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特許7383633固体撮像素子、固体撮像素子パッケージ、及び、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】固体撮像素子、固体撮像素子パッケージ、及び、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20231113BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
H04N25/70
H01L27/146 D
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020553142
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2019040173
(87)【国際公開番号】W WO2020085116
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2018201497
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】飯田 聡子
(72)【発明者】
【氏名】朝妻 智彦
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/139278(WO,A1)
【文献】特開2002-231921(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156657(WO,A1)
【文献】特開2009-140948(JP,A)
【文献】特開2012-169488(JP,A)
【文献】特開2018-46040(JP,A)
【文献】特開2013-26565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00-25/79
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が行列状に2次元配置された有効画素領域と、
前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域と
を有し、
前記有効画素領域には、前記画素の境界部に画素間遮光膜が形成されており、
前記周辺回路領域内の基板上のリブ構造物が形成される領域には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成された
固体撮像素子。
【請求項2】
前記リブ構造物は、透明基板を支える構造物である
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記リブ構造物は、減衰係数をもつ樹脂材料で形成される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記有効画素領域と、前記周辺回路領域との間に、OPB画素領域をさらに有し、
前記OPB画素領域には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
少なくとも2枚の半導体基板を貼り合わせて構成されている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記リブ構造物が形成された第1の半導体基板と、
電荷の蓄積期間中にフローティングノードとなる回路が形成された第2の半導体基板とが貼り合わされて構成され、
前記回路は、前記第1の半導体基板の前記リブ構造物が形成されている領域よりも内側の領域に形成されている
請求項5に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
裏面照射型である
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
1枚の半導体基板を用いた構造である
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
複数の配線層と、層間絶縁膜とからなる多層配線層をさらに備え、
前記層間絶縁膜の少なくとも一部は、多孔性のLow-k材料を用いて形成されている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を保護する透明基板と、
前記固体撮像素子の基板上に形成され、前記透明基板を支えるリブ構造物と
を備え、
前記固体撮像素子は、
複数の画素の境界部に画素間遮光膜が形成された有効画素領域と、
前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域と
を有し、
前記周辺回路領域内の前記リブ構造物が形成された領域の前記基板上には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成された
固体撮像素子パッケージ。
【請求項11】
前記固体撮像素子のパッドに接続されているボンディングワイヤは、前記リブ構造物の中を貫通して配置される
請求項10に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項12】
前記固体撮像素子に形成されたパッドと前記リブ構造物とが平面方向に並んで配置され、
前記パッドは、前記リブ構造物よりも外周部側に配置されている
請求項10に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項13】
WL-CSPとして形成されている
請求項10に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項14】
前記固体撮像素子は、少なくとも2枚の半導体基板を貼り合わせた積層構造で構成されている
請求項10に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項15】
前記リブ構造物が形成された第1の半導体基板と、
電荷の蓄積期間中にフローティングノードとなる回路が形成された第2の半導体基板とが貼り合わされて構成され、
前記回路は、前記第1の半導体基板の前記リブ構造物が形成されている領域よりも内側の領域に形成されている
請求項14に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項16】
前記固体撮像素子は、裏面照射型である
請求項10に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項17】
前記固体撮像素子は、1枚の半導体基板を用いた構造である
請求項10に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項18】
複数の配線層と、層間絶縁膜とからなる多層配線層をさらに備え、
前記層間絶縁膜の少なくとも一部は、多孔性のLow-k材料を用いて形成されている
請求項10に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項19】
複数の画素が行列状に2次元配置された有効画素領域と、
前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域と
を有し、
前記有効画素領域には、前記画素の境界部に画素間遮光膜が形成されており、
前記周辺回路領域内の基板上のリブ構造物が形成される領域には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成された
固体撮像素子
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像素子、固体撮像素子パッケージ、及び、電子機器に関し、特に、フレアの発生を抑制することができるようにした固体撮像素子、固体撮像素子パッケージ、及び、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサにおいて、入射光を光電変換する有効画素領域より外側の周辺回路部に遮光膜を形成し、周辺回路内では入射光が入射されないように構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-164870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、有効画素領域から斜めに入り込んだ斜入射光が、周辺回路部に形成された遮光膜で反射し、再び有効画素領域に進入することで、光電変換部に入射され、フレア発生の一因となることがあった。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、フレアの発生を抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の側面の固体撮像素子は、複数の画素が行列状に2次元配置された有効画素領域と、前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域とを有し、前記有効画素領域には、前記画素の境界部に画素間遮光膜が形成されており、前記周辺回路領域内の基板上のリブ構造物が形成される領域には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成されたものである。
【0007】
本技術の第2の側面の固体撮像素子パッケージは、固体撮像素子と、前記固体撮像素子を保護する透明基板と、前記固体撮像素子の基板上に形成され、前記透明基板を支えるリブ構造物とを備え、前記固体撮像素子は、複数の画素の境界部に画素間遮光膜が形成された有効画素領域と、前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域とを有し、前記周辺回路領域内の前記リブ構造物が形成された領域の前記基板上には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成されたものである。
【0008】
本技術の第3の側面の電子機器は、複数の画素が行列状に2次元配置された有効画素領域と、前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域とを有し、前記有効画素領域には、前記画素の境界部に画素間遮光膜が形成されており、前記周辺回路領域内の基板上のリブ構造物が形成される領域には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成された固体撮像素子を備える。
【0009】
本技術の第1乃至第3の側面においては、複数の画素が行列状に2次元配置された有効画素領域と、前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域とが設けられ、前記有効画素領域には、前記画素の境界部に画素間遮光膜が形成されており、前記周辺回路領域内の基板上のリブ構造物が形成される領域には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成される。
【0010】
固体撮像素子、固体撮像素子パッケージ、及び、電子機器は、独立した装置であっても良いし、他の装置に組み込まれるモジュールであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本技術を適用した固体撮像素子の概略構成を示すブロック図である。
図2】画素とADCの詳細構成を示すブロック図である。
図3】固体撮像素子パッケージの第1実施の形態の構成例を示す断面図である。
図4】第1実施の形態に係る固体撮像素子の詳細構造を示す断面図である。
図5】第1実施の形態に係る固体撮像素子と比較する比較例を示す断面図である。
図6】第1の基板と第2の基板に形成される各領域の配置を示す平面図である。
図7】第1実施の形態の変形例の固体撮像素子パッケージの断面図である。
図8】固体撮像素子パッケージの第2実施の形態の構成例を示す断面図である。
図9】固体撮像素子パッケージの第3実施の形態の構成例を示す断面図である。
図10】半導体基板に形成される各領域の配置を示す平面図である。
図11】本技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図12】イメージセンサの使用例を説明する図である。
図13】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図14】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像素子の全体構成例
2.画素とADCの詳細構成例
3.固体撮像素子パッケージの第1実施の形態の構成例
4.固体撮像素子の断面構成例
5.比較例の断面図
6.基板平面図
7.第1実施の形態の変形例
8.固体撮像素子パッケージの第2実施の形態の構成例
9.固体撮像素子パッケージの第3実施の形態の構成例
10.電子機器への適用例
11.移動体への応用例
【0013】
<1.固体撮像素子の全体構成例>
図1は、本技術を適用した固体撮像素子の概略の構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1の固体撮像素子1は、画素アレイ部11、列信号処理部12、タイミング制御部13、行駆動部14、水平走査回路部15、参照信号生成部16、信号処理回路17、および、出力部18などを含んで構成される。
【0015】
画素アレイ部11には、複数の画素21が行列状に2次元配置されている。
【0016】
行列状に配置された複数の画素21は、水平信号線22により、行単位で行駆動部14と接続されている。換言すれば、画素アレイ部11内の同一行に配置されている複数の画素21は、同じ一本の水平信号線22で、行駆動部14と接続されている。なお、図1では、水平信号線22について1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。
【0017】
画素アレイ部11内の各画素21は、水平信号線22を介して行駆動部14から供給される信号に従って、内部に蓄積された電荷に応じた画素信号を、垂直信号線23に出力する。画素21の詳細な構成例については、図2を参照して後述する。画素アレイ部11内の同一列に配置された複数の画素21は、同じ一本の垂直信号線23に接続され、各画素21が出力した画素信号は、垂直信号線23を介して、列信号処理部12に供給される。
【0018】
列信号処理部12は、垂直信号線23を介して供給される画素信号を処理する処理部を、画素アレイ部11の画素列単位に備える。例えば、列信号処理部12は、垂直信号線23に接続されて、画素21とソースフォロア回路を形成する定電流源回路24と、ADC(アナログデジタルコンバータ)25などを備える。定電流源回路24は、負荷MOS等で構成される。ADC25は、垂直信号線23を介して画素21から供給される画素信号を、CDS(Correlated Double Sampling;相関2重サンプリング)処理し、さらにAD変換処理する。ADC25それぞれは、AD変換後の画素データを一時的に記憶し、水平走査回路部15の制御に従って、水平出力線26に出力する。
【0019】
タイミング制御部13は、所定の周波数のマスタクロックに基づいて、所定の動作に必要なクロック信号やタイミング信号を、行駆動部14や水平走査回路部15などに供給する。例えば、タイミング制御部13は、画素21のシャッタ動作や読み出し動作のタイミング信号を行駆動部14および水平走査回路部15に供給する。また、図示は省略されているが、タイミング制御部13は、所定の動作に必要なクロック信号やタイミング信号を、列信号処理部12、参照信号生成部16などにも供給する。
【0020】
行駆動部14は、例えば、画素駆動するための行の位置を決定する行デコーダ部と、画素21を駆動するための駆動信号を生成して水平信号線22を介して画素21に供給する行駆動回路部を備える。
【0021】
水平走査回路部15は、列信号処理部12内の複数のADC25に記憶されている画素データを、順次、所定のタイミングで水平出力線26に出力させる。
【0022】
参照信号生成部16は、DAC(Digital to Analog Converter)16aを有して構成されており、タイミング制御部13からのクロック信号に応じて、ランプ(RAMP)波形の基準信号を生成して、列信号処理部12内の各ADC25に供給する。
【0023】
信号処理回路17は、水平出力線26を介して供給される各画素21の画素データに対して、黒レベル調整処理、列ばらつき補正処理、階調補正処理などの各種のデジタル信号処理を行い、出力部18に供給する。また、信号処理回路17は、単にバファリングだけ行って、出力部18に出力してもよい。出力部18は、信号処理回路17から供給された画素データを、装置外へ出力する。
【0024】
以上のように構成される固体撮像素子1は、CDS処理とAD変換処理を行うADC25が画素列ごとに配置されたカラムAD方式と呼ばれるCMOSイメージセンサである。
【0025】
<2.画素とADCの詳細構成例>
次に、図2を参照して、画素21とADC25の詳細構成について説明する。
【0026】
図2には、一本の垂直信号線23に接続されている画素アレイ部11内の一つの画素21と、列信号処理部12の詳細構成が示されている。
【0027】
画素21は、光電変換素子としてのフォトダイオード31、転送トランジスタ32、FD(フローティングディフュージョン)33、リセットトランジスタ34、増幅トランジスタ35、および、選択トランジスタ36を有する。
【0028】
フォトダイオード31は、受光した光量に応じた電荷(信号電荷)を生成し、かつ、蓄積する。フォトダイオード31は、アノード端子が接地されているとともに、カソード端子が転送トランジスタ32を介して、FD33に接続されている。
【0029】
転送トランジスタ32は、転送信号TRGによりオンされたとき、フォトダイオード31で生成された電荷を読み出し、FD33に転送する。
【0030】
FD33は、フォトダイオード31から読み出された電荷を保持する。リセットトランジスタ34は、リセット信号RSTによりオンされたとき、FD33に蓄積されている電荷がドレイン(定電圧源VDD)に排出されることで、FD33の電位をリセットする。
【0031】
増幅トランジスタ35は、FD33の電位に応じた画素信号を出力する。すなわち、増幅トランジスタ35は、垂直信号線23を介して接続されている定電流源回路24とソースフォロワ回路を構成し、FD33に蓄積されている電荷に応じたレベルを示す画素信号が、増幅トランジスタ35から選択トランジスタ36と垂直信号線23を介してADC25に出力される。
【0032】
選択トランジスタ36は、選択信号SELにより画素21が選択されたときオンされ、画素21の画素信号を、垂直信号線23を介してADC25に出力する。転送信号TRG、選択信号SEL、及びリセット信号RSTが伝送される各信号線は、図1の水平信号線22に対応する。
【0033】
画素21は、例えば、以上のように構成することができるが、この構成に限定されるものではなく、その他の構成を採用してもよい。
【0034】
ADC25は、容量素子(キャパシタ)41および42、コンパレータ(比較器)43、並びに、アップダウンカウンタ(U/D カウンタ)44で構成される。
【0035】
画素21から出力された画素信号は、垂直信号線23を介して、ADC25の容量素子41に入力される。一方、容量素子42には、参照信号生成部16のDAC16aから、時間が経過するにつれてレベル(電圧)が傾斜状に変化する、いわゆるランプ(RAMP)波形の基準信号が入力される。
【0036】
なお、容量素子41および42は、コンパレータ43において基準信号および画素信号のAC成分のみで比較することができるように、基準信号および画素信号のDC成分を除去するためのものである。
【0037】
コンパレータ(比較器)43は、画素信号と基準信号とを比較して得られる差信号をアップダウンカウンタ44に出力する。例えば、基準信号が画素信号より大である場合にはHi(High)の差信号がアップダウンカウンタ44に供給され、基準信号が画素信号より小である場合にはLo(Low)の差信号がアップダウンカウンタ44に供給される。
【0038】
アップダウンカウンタ(U/D カウンタ)44は、P相(Preset Phase)AD変換期間で、Hiの差信号が供給されている間だけダウンカウントするとともに、D相(Data Phase)AD変換期間で、Hiの差信号が供給されている間だけアップカウントする。そして、アップダウンカウンタ44は、P相AD変換期間のダウンカウント値と、D相AD変換期間のアップカウント値との加算結果を、CDS処理およびAD変換処理後の画素データとして出力する。なお、P相AD変換期間でアップカウントし、D相AD変換期間でダウンカウントしてもよい。
【0039】
<3.固体撮像素子パッケージの第1実施の形態の構成例>
図3は、上述した固体撮像素子1をパッケージ化した固体撮像素子パッケージの第1実施の形態の構成例を示す断面図である。
【0040】
図3に示される固体撮像素子パッケージ51は、支持基板61の上面に固体撮像素子1を接着剤64により接着し、固体撮像素子1の受光面側である上側をカバーガラス(透明基板)70で保護して構成される。なお、固体撮像素子1を保護する保護基板として、カバーガラス70以外の光を透過させる透明基板、例えば、アクリル樹脂基板などを用いても良い。
【0041】
支持基板61の上面には、インターポーザ基板62が固着されており、支持基板61とインターポーザ基板62の上面が、ソルダマスク63で覆われている。そして、ソルダマスク63の上面には接着剤64を介して固体撮像素子1が接着されており、固体撮像素子1の上面に形成されたパッド(電極)66と、インターポーザ基板62に形成されたパッド(電極)65とが、ボンディングワイヤ67で電気的に接続されている。
【0042】
固体撮像素子1の上面の外周部にはリブ構造物69が配置されている。リブ構造物69は、固体撮像素子1とカバーガラス70とを接着するとともに、カバーガラス70を支える構造物である。リブ構造物69の材料には、光を吸収する物性を有する樹脂材料、換言すれば、減衰係数をもつ樹脂材料が用いられる。
【0043】
固体撮像素子1の平面サイズは、支持基板61の平面サイズよりも小さく形成され、支持基板61の中央部に、固体撮像素子1が接着されている。カバーガラス70の平面サイズは、固体撮像素子1の平面サイズと略同一である。固体撮像素子1、リブ構造物69、および、カバーガラス70の側方で、かつ、固体撮像素子1またはカバーガラス70が配置されていない支持基板61の上方は、モールド樹脂68で覆われている。固体撮像素子1のパッド66と、インターポーザ基板62のパッド65とを電気的に接続するボンディングワイヤ67が、リブ構造物69とモールド樹脂68の中を貫通している。
【0044】
固体撮像素子パッケージ51の入出力部であって、固体撮像素子1の出力信号や電源などを入出力するはんだボール71が、支持基板61の下面側に形成されている。
【0045】
図3に示した固体撮像素子パッケージ51は、ボンディングワイヤ67を、リブ構造物69とモールド樹脂68の中を貫通させることで、平面方向のパッケージサイズを縮小させた構造である。これにより、イメージセンサチップおよびパッケージサイズの小型化を実現している。
【0046】
<4.固体撮像素子の断面構成例>
次に、図4を参照して、図3の固体撮像素子1の内部の詳細構造について説明する。
【0047】
図4は、図3の固体撮像素子1の詳細構造を示す断面図である。
【0048】
図4には、固体撮像素子1と、カバーガラス70と、そのカバーガラス70を支えるリブ構造物69との一部の断面構造が示されている。
【0049】
固体撮像素子1は、平面方向に関し、画素アレイ部11に含まれる有効画素領域101およびOPB画素領域102と、画素アレイ部11の周辺の周辺回路領域103とに分けられる。有効画素領域101は、映像信号としての画素信号を出力する画素21が配列されている領域であり、OPB画素領域102は、映像信号における黒の基準となる画素信号を出力する画素21(OPB画素)が配列されている領域である。周辺回路領域103は、図1で示した列信号処理部12、タイミング制御部13、行駆動部14、水平走査回路部15、および、参照信号生成部16の少なくとも一部が配置される領域である。
【0050】
固体撮像素子1は、2枚の半導体基板の配線層どうしを貼り合わせて構成されている。より具体的には、固体撮像素子1は、第1の基板111の多層配線層112と、第2の基板211の多層配線層212とを貼り合わせて構成されている。図4の一点鎖線は、多層配線層112と多層配線層212との貼り合わせ面を表す。第1の基板111および第2の基板211には、例えばシリコン(Si)で構成された半導体基板が用いられる。
【0051】
第2の基板211の多層配線層212は、第1の基板111に最も近い最上層の配線層221a、中間の配線層221b、及び、第2の基板211に最も近い最下層の配線層221cなどからなる複数の配線層221と、各配線層221の間に形成された層間絶縁膜222とで構成される。
【0052】
複数の配線層221は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)などを用いて形成され、層間絶縁膜222は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などで形成される。
【0053】
また、層間絶縁膜222には、多孔性の低誘電率の材料(以下、Low-k材料と称する)を用いてもよい。多孔性のLow-k材料としては、例えば、ポーラスSiOC膜、ポーラスHSQ(Hydrogen Silsesquioxane)膜、ポーラスMSQ(Methyl Silsesquioxane)膜が代表的である。これらのLow-k材料は、まず、CVD法や塗布法によってポロジェン(Porogen)を含む膜成分が堆積され、その後、UVキュア、プラズマキュア、熱処理、電子線によるキュアによってポロジェンが膜成分から脱離することにより形成される。したがって、これらポーラスSiOC膜、ポーラスHSQ膜、ポーラスMSQ膜には、それぞれの膜に元々備わった平均径の小さい複数の空孔のみならず、ポロジェンの脱離によって形成された平均径の大きい複数の空孔も含まれている。層間絶縁膜222の材料に、多孔性のLow-k材料を用いることによって、第2の基板211に入射してきた光を、より吸収(減衰)させることができる。
【0054】
複数の配線層221及び層間絶縁膜222のそれぞれは、全ての階層が同一の材料で形成されていてもよし、階層によって2つ以上の材料を使い分けてもよい。第2の基板211と多層配線層212との界面には、MOSトランジスタ等が形成されている。
【0055】
一方、第1の基板111の多層配線層112は、第1の基板111に最も近い最上層の配線層121a、中間の配線層121b、及び、第2の基板211に最も近い最下層の配線層121cなどからなる複数の配線層121と、各配線層121の間に形成された層間絶縁膜122とで構成される。
【0056】
複数の配線層121及び層間絶縁膜122として使用される材料は、上述した配線層221及び層間絶縁膜222の材料と同種のものを採用することができる。また、複数の配線層121及び層間絶縁膜122が、1または2つ以上の材料を使い分けて形成されてもよい点も、上述した配線層221及び層間絶縁膜222と同様である。
【0057】
以上のように、固体撮像素子1は、2枚の半導体基板の配線層どうしを貼り合わせて構成され、第1の基板111の表面側である多層配線層112側と反対の裏面側から光が入射される裏面照射型の固体撮像素子である。なお、図4の例では、第1の基板111の多層配線層112は5層の配線層121で構成され、第2の基板211の多層配線層212は4層の配線層221で構成されているが、配線層の総数はこれに限られず、任意の層数で形成することができる。
【0058】
有効画素領域101およびOPB画素領域102の第1の基板111内には、PN接合により形成されたフォトダイオード31が、画素21ごとに形成されている。また、詳細な図示は省略されているが、多層配線層112と第1の基板111との界面には、転送トランジスタ32、増幅トランジスタ35などの複数の画素トランジスタや、FD33なども形成されている。
【0059】
第1の基板111の上面の所定の領域には、遮光膜131が形成されている。遮光膜131は、有効画素領域101では、複数配列されている画素21の境界部に形成され、隣接画素への光の入射を抑制する画素間遮光膜として機能する。OPB画素領域102では、遮光膜131は、画素21の全領域に形成され、光の入射を抑制するOPB遮光膜として機能する。OPB遮光膜が形成されている画素21は、OPB画素とも呼ばれる。周辺回路領域103では、リブ構造物69が形成された領域よりも有効画素領域101側の領域に、遮光膜131が形成されている。遮光膜131の材料としては、光を遮光する材料であればよく、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)などの金属材料を用いることができる。遮光膜131は、有効画素領域101、OPB画素領域102、および、周辺回路領域103の第1の基板111上に、同一工程で同時に形成される。
【0060】
遮光膜131の上側には、TEOS膜等による平坦化膜132が形成されており、平坦化膜132の上面に、カラーフィルタ層134とOCL(オンチップレンズ)層135が形成されている。OCL層135は、有効画素領域101およびOPB画素領域102では、最表面が所望の曲率で形成され、周辺回路領域103では、平坦に形成されている。カラーフィルタ層134の配列としては、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色が、例えばベイヤ配列により配置されることとするが、その他の配列方法で配置されてもよい。周辺回路領域103についてはR、G、Bのいずれの色でもよいが、図4の例では、Bのカラーフィルタ層134が形成されている。OCL層135上面には、例えば、ハフニウム酸化(HfO2)膜とシリコン酸化膜の2層の膜による反射防止膜136が成膜されている。
【0061】
周辺回路領域103は、平面方向に関し、第1の基板111上に、カバーガラス70を支えるリブ構造物69が形成された領域と、OPB画素領域102と同様に、カラーフィルタ層134、OCL層135、および、反射防止膜136が形成された領域とに分けられる。
【0062】
周辺回路領域103のOCL層135等が形成されている所定の位置には、第1の基板111側の所定の配線層121と接続されているシリコン貫通電極151と、第2の基板211の所定の配線層221と接続されているチップ貫通電極152とが、形成されている。シリコン貫通電極151とチップ貫通電極152は、第1の基板111上面に形成された接続用配線153で接続されている。このシリコン貫通電極151と、チップ貫通電極152と、これら2つの貫通電極(Through Silicon Via, TSV)を接続するための接続用配線153とによって、第1の基板111と第2の基板211とが、電気的に接続されている。なお、シリコン貫通電極151およびチップ貫通電極152のそれぞれと、第1の基板111との間は、絶縁膜154で絶縁されている。シリコン貫通電極151とチップ貫通電極152とを用いて第1の基板111と第2の基板211の電気的接続を行う構造を、以下では、ツインコンタクト構造と称する。
【0063】
周辺回路領域103において、接続用配線153の上面や、接続用配線153よりもOPB画素領域102側の第1の基板111上には、有効画素領域101およびOPB画素領域102と同じ遮光膜131が形成されているが、リブ構造物69が形成された領域の第1の基板111上には、画素間遮光膜やOPB遮光膜と同時かつ同層の遮光膜131は形成されていない。
【0064】
<5.比較例の断面図>
これに対して、例えば、図5に示されるように、リブ構造物69が形成された領域を含む周辺回路領域103の第1の基板111上の全面に、遮光膜131を形成する構造が考えられる。
【0065】
図5は、図3の固体撮像素子1と比較する比較例を示す断面図である。
【0066】
図5に示されるように、リブ構造物69の下面となる領域にも遮光膜131を形成した場合、リブ構造物69に入射された斜入射光が、リブ構造物69下面の遮光膜131で反射され、有効画素領域101へ入り込み、フレア発生の一因となることがあり得る。
【0067】
これに対し、図3に示した固体撮像素子1の構造によれば、リブ構造物69の下面となる領域には遮光膜131を形成しない構造を採用したことにより、リブ構造物69に入射された斜入射光は、第1の基板111内へ入射するため、フレア発生の一因となる有効画素領域101への再入射を防止することができる。すなわち、図3の固体撮像素子1の構造によれば、フレアの発生を抑制することができる。また、図3の固体撮像素子1では、リブ構造物69の材料として、減衰係数をもつ樹脂材料を用いているため、リブ構造物69に入射された光のほとんどはリブ構造物69で吸収される。これにより、リブ構造物69を通過して第1の基板111内へ入射する光自体を減少させることができる。
【0068】
また、図3に示した固体撮像素子1は、第1の基板111と第2の基板211とを貼り合わせた積層構造で構成されており、積層構造では、仮に第1の基板111内へ光が入射されたとしても、配線層の層数が多い為、積層方向の距離が長くなり、第2の基板211に形成された回路領域に到達するまでには、光は完全に減衰される。これにより、第2の基板211に形成された回路は、光の影響を受けない。
【0069】
<6.基板平面図>
図6は、第1の基板111と第2の基板211に形成される各領域の配置を示す平面図である。
【0070】
図6のAは、第1の基板111の平面図を示している。
【0071】
第1の基板111では、画素アレイ部11の有効画素領域101が中央部に配置され、有効画素領域101の外側にOPB画素領域102が配置される。そして、OPB画素領域102より外側から第1の基板111の端部までが周辺回路領域103(図6では不図示)となる。
【0072】
OPB画素領域102と、それに隣接する周辺回路領域103の一部のグレーで着色された領域が、遮光膜131が形成されている領域を表す。なお、図6のAでは、有効画素領域101内の画素間遮光膜としての遮光膜131の部分はグレーで着色されていない。
【0073】
第1の基板111には、OPB画素領域102の外周の4辺のうちの所定の2辺の近傍に、ツインコンタクト構造が形成されているコンタクト領域301および302が配置されている。このコンタクト領域301および302にも、遮光膜131が形成されている。コンタクト領域301および302よりも外側となる、第1の基板111の最外周に、リブ構造物69が形成されている。上述したように、リブ構造物69の領域には、遮光膜131は形成されていない。
【0074】
図6のBは、第2の基板211の平面図を示している。
【0075】
第2の基板211では、第1の基板111において画素アレイ部11の行方向に隣接する位置に形成されたコンタクト領域301と重畳するように、行駆動部14の回路が形成されている行駆動部領域321が配置されている。
【0076】
一方、第1の基板111において画素アレイ部11の列方向に隣接する位置に形成されたコンタクト領域302と重畳するように、列信号処理部12および水平走査回路部15を含む回路が形成されている列信号処理領域322が配置されている。
【0077】
第2の基板211において、第1の基板111の有効画素領域101と重畳する領域には、信号処理回路17が形成されている信号処理回路領域323が配置されている。
【0078】
第2の基板211に形成される回路のうち、電荷の蓄積期間中にフローティングノードとなる回路、例えば、ADC25の容量素子41および42、DAC16aや定電流源回路24に含まれる容量素子などは、第1の基板111のリブ構造物69が形成されている領域よりも内側となる、遮光膜131が形成されている領域の下の位置に形成される。この場合、入射光が第2の基板211まで到達することがないので、第2の基板211に形成される回路において、光電変換による特性変動を阻止することができる。なお、仮に、第1の基板111のリブ構造物69が形成されている領域の下の位置に、フローティングノードとなる回路を配置した場合であっても、上述したように、リブ構造物69が減衰係数をもつ樹脂材料により形成されていることと、第1の基板111と第2の基板211との積層構造により、回路領域までの到達距離が長いことにより、光電変換による特性変動を阻止することができる。
【0079】
<7.第1実施の形態の変形例>
上述した例では、イメージセンサチップおよびパッケージサイズを小型化するため、固体撮像素子1のパッド66と、インターポーザ基板62のパッド65とを電気的に接続するボンディングワイヤ67を、リブ構造物69の中に貫通させる構造が採用されていた。
【0080】
しかしながら、上述したフレア発生を抑制する構造は、ボンディングワイヤ67がリブ構造物69の中を貫通しない構造をもつ固体撮像素子パッケージ51に対しても同様に適用することができる。
【0081】
図7は、ボンディングワイヤ67がリブ構造物69の中を貫通しない構造をもつ固体撮像素子パッケージ51の断面図である。
【0082】
図7においては、図3と対応する部分については同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0083】
図3に示した固体撮像素子パッケージ51の断面構造では、カバーガラス70の平面サイズと、固体撮像素子1の平面サイズとが、略同一に形成され、図6で示したように、カバーガラス70を支えるリブ構造物69が、固体撮像素子1の外周部に形成されていた。
【0084】
これに対して、図7の固体撮像素子パッケージ51の断面構造では、カバーガラス70の平面サイズが、固体撮像素子1の平面サイズより小さく形成され、カバーガラス70を支えるリブ構造物69は、固体撮像素子1の外周部よりも内側の位置に配置されている。そして、固体撮像素子1上面において、リブ構造物69とパッド66とが平面方向に並んで配置され、パッド66の方が、リブ構造物69よりも固体撮像素子1の外周部側に配置されている。これにより、固体撮像素子1のパッド66と、インターポーザ基板62に形成されたパッド65とを電気的に接続するボンディングワイヤ67は、リブ構造物69の中を貫通しない構造となっている。
【0085】
このようなボンディングワイヤ67がリブ構造物69の中を貫通しない構造をもつ固体撮像素子パッケージ51においても、固体撮像素子1は、図4に示した構造のように、リブ構造物69の下面となる領域には遮光膜131を形成しない構造とされる。これにより、フレアの発生を抑制することができる。
【0086】
<8.固体撮像素子パッケージの第2実施の形態の構成例>
図8は、固体撮像素子パッケージの第2実施の形態の構成例を示す断面図である。
【0087】
図8においては、第1実施の形態における図3および図4と対応する部分については同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0088】
第2実施の形態に係る固体撮像素子パッケージ51はWL-CSP(Wafer Level Chip Size Package:ウエハレベルチップサイズパッケージ)として形成されている。
【0089】
WL-CSPは、ウエハ状態の半導体基板に撮像素子回路を形成し、撮像素子回路を形成した半導体基板とカバーガラスとなるガラス基板とを固着した後、半導体基板とガラス基板とを個片化するという方法によって形成される。そのため、図8の固体撮像素子パッケージ51には、第1実施の形態におけるボンディングワイヤ67やパッド66は形成されず、第2の基板211の多層配線層212側と反対側(図8の下側)となる第2の基板211の裏面に、固体撮像素子1の入出力部として、はんだボール341が形成されている。
【0090】
より詳しくは、第2の基板211の所定の位置に、第2の基板211を貫通するシリコン貫通孔342が形成されており、シリコン貫通孔342の内壁に、絶縁膜343を介して接続導体344が埋め込まれることにより、貫通ビア345が形成されている。絶縁膜343は、例えば、SiO2膜やSiN膜などで形成することができる。貫通ビア345は、図8では、はんだボール341側よりも多層配線層212側の平面積が小さい逆テーパ形状となっているが、反対に、はんだボール341側の平面積が小さい順テーパ形状でもよいし、はんだボール341側と多層配線層212側の面積が略同一の非テーパ形状でも良い。
【0091】
貫通ビア345の接続導体344は、例えば、多層配線層212内の最下層の配線層221cと電気的に接続されている。また、接続導体344は、第2の基板211の下面側に形成された再配線346と接続されており、再配線346は、はんだボール341と接続されている。接続導体344及び再配線346は、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、チタンタングステン合金(TiW)、ポリシリコンなどで形成することができる。
【0092】
また、第2の基板211の下面側には、はんだボール341が形成されている領域を除いて、再配線346と絶縁膜343を覆うように、ソルダマスク(ソルダレジスト)347が形成されている。
【0093】
以上のように、WL-CSPとして形成された図8の固体撮像素子パッケージ51は、固体撮像素子1の入出力部の構成が、第1実施の形態に係る固体撮像素子パッケージ51と異なる。
【0094】
しかしながら、図8の固体撮像素子パッケージ51は、第1実施の形態と同様に、リブ構造物69の下面となる領域に、遮光膜131を形成しない構造とされている。したがって、WL-CSPとして形成された固体撮像素子パッケージ51においても、フレアの発生を抑制することができる。
【0095】
<9.固体撮像素子パッケージの第3実施の形態の構成例>
図9は、固体撮像素子パッケージの第3実施の形態の構成例を示す断面図である。
【0096】
図9は、第1実施の形態の図4と同様に、カバーガラス70を支えるリブ構造物69の断面部分を含む固体撮像素子パッケージ51の一部分の断面図である。図9においても、第1実施の形態の図4と対応する部分については同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0097】
第1実施の形態では、固体撮像素子1が2枚の半導体基板を貼り合わせた積層構造で構成されていたが、第3実施の形態の固体撮像素子1は、1枚の半導体基板を用いた構造である。
【0098】
具体的には、図9の固体撮像素子パッケージ51は、1枚の半導体基板411と、多層配線層412とを含む固体撮像素子1の受光面側である上側をカバーガラス70で保護して構成される。固体撮像素子1の外周の端面(側面)から所定幅の外周部の半導体基板411上にはリブ構造物69が形成され、カバーガラス70が、リブ構造物69によって支えられている。
【0099】
有効画素領域101およびOPB画素領域102の半導体基板411内には、PN接合により形成されたフォトダイオード31が、画素21ごとに形成されている。半導体基板411の表面側(図中の下面)には、複数の配線層421と、各配線層421の間に形成された層間絶縁膜422とで構成される多層配線層412が形成されている。また、図示は省略されているが、多層配線層412と半導体基板411の界面には、転送トランジスタ32、増幅トランジスタ35などの複数の画素トランジスタや、FD33なども形成されている。図9の例では、多層配線層412は、半導体基板411に最も近い最上層の配線層421a、中間の配線層421b、及び、最下層の配線層421cを含む4層の配線421を有するが、配線層421の層数は、これに限定されない。
【0100】
複数の配線層421及び層間絶縁膜422として使用される材料は、上述した配線層221及び層間絶縁膜222の材料と同種のものを採用することができる。また、複数の配線層421及び層間絶縁膜422が、1または2つ以上の材料を使い分けて形成されてもよい点も、上述した配線層221及び層間絶縁膜222と同様である。
【0101】
図9において上側となる、半導体基板411の裏面側の上面には、第1実施の形態と同様に、遮光膜131が形成されている。遮光膜131は、有効画素領域101では、画素間遮光膜として形成されており、OPB画素領域102では、OPB遮光膜として形成されている。そして、リブ構造物69が形成された領域よりも有効画素領域101側の周辺回路領域103には、遮光膜131が形成されているが、リブ構造物69が形成された領域には、遮光膜131が形成されていない。
【0102】
遮光膜131の上側には、平坦化膜132が形成されており、平坦化膜132の上面に、カラーフィルタ層134とOCL層135が形成されている。OCL層135の上面には、反射防止膜136が形成されている。
【0103】
図10は、半導体基板411の平面図であり、半導体基板411に形成される各領域を示している。
【0104】
半導体基板411では、画素アレイ部11の有効画素領域101が中央部に配置され、有効画素領域101の外側にOPB画素領域102が配置される。そして、OPB画素領域102より外側から半導体基板411の端部までが周辺回路領域103(図10では不図示)となる。
【0105】
OPB画素領域102と、それに隣接する周辺回路領域103の一部のグレーで着色された領域が、遮光膜131が形成されている領域を表す。なお、有効画素領域101内の画素間遮光膜としての部分はグレーで着色されていない。グレーで着色された遮光膜131形成領域の外側から、半導体基板411の最外周の端部までの領域は、リブ構造物69が形成されている領域であり、リブ構造物69が形成されている領域には、遮光膜131は形成されていない。
【0106】
画素アレイ部11の外周の4辺のうちの所定の2辺の近傍に、行駆動部領域321と列信号処理領域322が配置されている。より具体的には、画素アレイ部11の行方向に隣接する位置に、行駆動部14の回路が形成されている行駆動部領域321が配置されており、画素アレイ部11の列方向に隣接する位置に、列信号処理部12および水平走査回路部15を含む回路が形成されている列信号処理領域322が配置されている。行駆動部領域321および列信号処理領域322は、リブ構造物69が形成されている領域の下に相当する。
【0107】
以上のように、固体撮像素子1が1枚の半導体基板411を用いた構成である場合にも、固体撮像素子パッケージ51は、カバーガラス70を支えるリブ構造物69の下面(光入射面と反対側)となる領域に、遮光膜131を形成しない構造とされている。これにより、フレアの発生を抑制することができる。
【0108】
<10.電子機器への適用例>
本技術は、固体撮像素子への適用に限られるものではない。即ち、本技術は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像素子を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に固体撮像素子を用いる電子機器全般に対して適用可能である。固体撮像素子は、ワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0109】
図11は、本技術を適用した電子機器としての、撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0110】
図11の撮像装置600は、レンズ群などからなる光学部601、固体撮像素子(撮像デバイス)602、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路603を備える。また、撮像装置600は、フレームメモリ604、表示部605、記録部606、操作部607、および電源部608も備える。DSP回路603、フレームメモリ604、表示部605、記録部606、操作部607および電源部608は、バスライン609を介して相互に接続されている。
【0111】
光学部601は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像素子602の撮像面上に結像する。固体撮像素子602は、光学部601によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。この固体撮像素子602として、固体撮像素子1をパッケージ化した固体撮像素子パッケージ51を用いることができる。
【0112】
表示部605は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の薄型ディスプレイで構成され、固体撮像素子602で撮像された動画または静止画を表示する。記録部606は、固体撮像素子602で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0113】
操作部607は、ユーザによる操作の下に、撮像装置600が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部608は、DSP回路603、フレームメモリ604、表示部605、記録部606および操作部607の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0114】
上述したように、固体撮像素子602として、固体撮像素子1をパッケージ化し、リブ構造物69の下面となる領域には遮光膜131を形成しない構造を採用した固体撮像素子パッケージ51を用いることで、フレアの発生を抑制することができる。従って、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置600においても、撮像画像の高画質化を図ることができる。
【0115】
<イメージセンサの使用例>
図12は、上述の固体撮像素子パッケージ51を用いたイメージセンサの使用例を示す図である。
【0116】
上述の固体撮像素子パッケージ51を用いたイメージセンサは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0117】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0118】
<11.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0119】
図13は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0120】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図13に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0121】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0122】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0123】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0124】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0125】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0126】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0127】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0128】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0129】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図13の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0130】
図14は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0131】
図14では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0132】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0133】
なお、図14には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0134】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0135】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0136】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0137】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0138】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031として、上述した固体撮像素子パッケージ51の各実施の形態を適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、フレアの発生を抑制することができるので、より見やすい撮影画像を得ることができたり、距離情報を取得することができる。また、得られた撮影画像や距離情報を用いて、ドライバの疲労を軽減したり、ドライバや車両の安全度を高めることが可能になる。
【0139】
また、本技術は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像素子への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像素子や、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像素子(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
【0140】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0141】
例えば、上述した複数の実施の形態の全てまたは一部を適宜組み合わせた形態を採用することができる。
【0142】
上述した実施の形態では、固体撮像素子1の基板構造として、2枚の半導体基板を貼り合わせた積層構造と、1枚の半導体基板を用いた構造について説明したが、3枚以上の半導体基板の積層構造で形成してもよい。
【0143】
また、上述した固体撮像素子の各実施の形態では、半導体基板の多層配線層が形成された表面側と反対の裏面側から入射光が入射される裏面照射型の構造についてのみ説明したが、本技術は、表面照射型の構造でも同様に実現可能である。その場合も、リブ構造物69が形成された領域には、画素間遮光膜やOPB遮光膜と同時かつ同層の遮光膜131が形成されない。
【0144】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0145】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
複数の画素が行列状に2次元配置された有効画素領域と、
前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域と
を有し、
前記有効画素領域には、前記画素の境界部に画素間遮光膜が形成されており、
前記周辺回路領域内の基板上のリブ構造物が形成される領域には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成された
固体撮像素子。
(2)
前記リブ構造物は、透明基板を支える構造物である
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
前記リブ構造物は、減衰係数をもつ樹脂材料で形成される
前記(1)または(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
前記有効画素領域と、前記周辺回路領域との間に、OPB画素領域をさらに有し、
前記OPB画素領域には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されている
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(5)
少なくとも2枚の半導体基板を貼り合わせて構成されている
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(6)
前記リブ構造物が形成された第1の半導体基板と、
電荷の蓄積期間中にフローティングノードとなる回路が形成された第2の半導体基板とが貼り合わされて構成され、
前記回路は、前記第1の半導体基板の前記リブ構造物が形成されている領域よりも内側の領域に形成されている
前記(5)に記載の固体撮像素子。
(7)
裏面照射型である
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(8)
1枚の半導体基板を用いた構造である
前記(1)乃至(4)、または(7)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(9)
複数の配線層と、層間絶縁膜とからなる多層配線層をさらに備え、
前記層間絶縁膜の少なくとも一部は、多孔性のLow-k材料を用いて形成されている
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(10)
固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を保護する透明基板と、
前記固体撮像素子の基板上に形成され、前記透明基板を支えるリブ構造物と
を備え、
前記固体撮像素子は、
複数の画素の境界部に画素間遮光膜が形成された有効画素領域と、
前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域と
を有し、
前記周辺回路領域内の前記リブ構造物が形成された領域の前記基板上には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成された
固体撮像素子パッケージ。
(11)
前記固体撮像素子のパッドに接続されているボンディングワイヤは、前記リブ構造物の中を貫通して配置される
前記(10)に記載の固体撮像素子パッケージ。
(12)
前記固体撮像素子に形成されたパッドと前記リブ構造物とが平面方向に並んで配置され、
前記パッドは、前記リブ構造物よりも外周部側に配置されている
前記(10)または(11)に記載の固体撮像素子パッケージ。
(13)
WL-CSPとして形成されている
前記(10)乃至(12)のいずれかに記載の固体撮像素子パッケージ。
(14)
前記固体撮像素子は、少なくとも2枚の半導体基板を貼り合わせた積層構造で構成されている
前記(10)乃至(13)のいずれかに記載の固体撮像素子パッケージ。
(15)
前記リブ構造物が形成された第1の半導体基板と、
電荷の蓄積期間中にフローティングノードとなる回路が形成された第2の半導体基板とが貼り合わされて構成され、
前記回路は、前記第1の半導体基板の前記リブ構造物が形成されている領域よりも内側の領域に形成されている
前記(14)に記載の固体撮像素子パッケージ。
(16)
前記固体撮像素子は、裏面照射型である
前記(10)乃至(15)のいずれかに記載の固体撮像素子パッケージ。
(17)
前記固体撮像素子は、1枚の半導体基板を用いた構造である
前記(10)乃至(13)、または(16)のいずれかに記載の固体撮像素子パッケージ。
(18)
複数の配線層と、層間絶縁膜とからなる多層配線層をさらに備え、
前記層間絶縁膜の少なくとも一部は、多孔性のLow-k材料を用いて形成されている
前記(1)乃至(17)のいずれかに記載の固体撮像素子パッケージ。
(19)
複数の画素が行列状に2次元配置された有効画素領域と、
前記有効画素領域の周辺の周辺回路領域と
を有し、
前記有効画素領域には、前記画素の境界部に画素間遮光膜が形成されており、
前記周辺回路領域内の基板上のリブ構造物が形成される領域には、前記画素間遮光膜と同層の遮光膜が形成されないように構成された
固体撮像素子
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0146】
1 固体撮像素子, 11 画素アレイ部, 12 列信号処理部, 14 行駆動部, 16 参照信号生成部, 16a DAC, 21 画素, 24 定電流源回路, 25 ADC, 41,42 容量素子, 51 固体撮像素子パッケージ, 65,66 ,パッド 67 ボンディングワイヤ, 68 モールド樹脂, 69 リブ構造物, 70 カバーガラス, 101 有効画素領域, 102 OPB画素領域, 103 周辺回路領域, 111 第1の基板, 112 多層配線層, 122 層間絶縁膜, 131 遮光膜, 211 第2の基板, 212 多層配線層, 222 層間絶縁膜, 411 半導体基板, 412 多層配線層, 422 層間絶縁膜, 600 撮像装置, 602 固体撮像素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14