(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】変調光によりグレーティングの摂動を決定する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01D 5/353 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
G01D5/353 C
(21)【出願番号】P 2020569076
(86)(22)【出願日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 IL2019050742
(87)【国際公開番号】W WO2020008464
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-04-25
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519011865
【氏名又は名称】アリエル サイエンティフィック イノベーションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スターンクラー,シュムエル
(72)【発明者】
【氏名】グラッサー,ジブ
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5748312(US,A)
【文献】米国特許第5426297(US,A)
【文献】特開2015-198085(JP,A)
【文献】特開2008-20342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26-5/38
G01B 11/16
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバに形成された
複数のグレーティングのうちの1つのグレーティングの摂動を決定する方法であって、光ビームを変調し、及び前記光ファイバを通して伝送することと、前記
1つのグレーティングに反射された光を分散させることと、前記分散させることの後に、前記
1つのグレーティングに反射された光の変調における、少なくとも1つの位相シフトを測定することと、前記少なくとも1つの位相シフトに基づいて、前記
1つのグレーティングの前記摂動を決定することと、を含
み、
前記分散させることが、分散係数によって特徴付けられ、前記方法が、複数の分散係数値にわたり、前記係数の値を変動させることと、前記分散係数の値ごとに、前記1つのグレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定することと、前記測定された変調位相シフト及び前記測定された変調の大きさに基づいて、前記複数のグレーティングのうち少なくとも2つのグレーティングのそれぞれに関して、個々の光波長シフト又は光周波数シフトを決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記変調することが、前記伝送することの前に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調することが、前記光ビームが前記
1つのグレーティングに反射された後に実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つのグレーティングが、異なるブラッグ波長によって特徴付けられる、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの位相シフトの前記測定に先立って、前記異なるブラッグ波長にそれぞれ対応する、少なくとも2つのチャネル内へと前記反射された光ビームを逆多重化することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記変調することが、複数の変調周波数にわたり、前記変調の周波数を走査することを含み、前記方法が、変調周波数ごとに、前記少なくとも2つのグレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定することと、前記測定された変調位相シフト及び前記測定された変調の大きさに基づいて、前記少なくとも2つのグレーティングのそれぞれに関する、個々の光波長シフト又は光周波数シフトを決定することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの位相シフトの前記測定が、所定の位相分解能によって特徴付けられ、前記分散させることが、単位波長当たりのパルスの広がりを表す所定の分散パラメータによって特徴付けられ、前記変調することの周波数が、少なくとも、前記位相分解能と、前記分散パラメータに所定のスペクトル分解能閾値を乗算したものとの比である、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記
1つのグレーティングの前記摂動の前記決定が、前記反射された光ビームの光パワーに関するものではない、
請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記反射された光ビームの光パワーを決定することなく実行される、
請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記
1つのグレーティングの前記摂動の前記決定が、前記
1つのグレーティングを特徴付けるブラッグ波長のシフトとして前記摂動を表現することを含む、
請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記
1つのグレーティングの前記摂動の前記決定が、前記
1つのグレーティングの前記摂動を生じさせる少なくとも1つの物理量として、前記摂動を表現することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの物理量が、周囲温度、前記ファイバに付与される圧力、前記ファイバのひずみ、及び前記ファイバの加速的運動から成る群から選択される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
光ファイバに形成された
複数のグレーティングのうちの1つのグレーティングの摂動を決定するためのシステムであって、
光ビームを変調するための光変調システムと、
前記光ビームを前記光ファイバ内に結合させ、前記
1つのグレーティングに反射された光を受け取るための光結合器と、
前記
1つのグレーティングに反射された光の変調における、少なくとも1つの位相シフトを測定し、前記少なくとも1つの位相シフトに基づいて、前記
1つのグレーティングの前記摂動を決定するように構成された光学的及び電気的解析システムと、
を含み、
前記光学的及び電気的解析システムが、前記少なくとも1つの位相シフトの前記測定に先立って、前記反射された光ビームを分散させるように構成された分散光学デバイスを含
み、
前記分散させることが、分散係数によって特徴付けられ、前記光学的及び電気的解析システムが、複数の分散係数値にわたり、前記係数の値を変動させ、前記分散係数の値ごとに、前記1つのグレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定し、前記測定された変調位相シフト及び前記測定された変調の大きさに基づいて、前記複数のグレーティングのうちの少なくとも2つのグレーティングのそれぞれに関して、個々の光波長シフト又は光周波数シフトを決定するように構成される、システム。
【請求項14】
光ファイバに形成された複数のグレーティングのうちの1つのグレーティングの摂動を決定する方法であって、前記複数のグレーティングの少なくとも2つが、異なるブラッグ波長によって特徴付けられ、前記方法が、
光ビームを変調し、及び前記光ファイバを通して伝送することと、前記1つのグレーティングに反射された光を分散させることと、前記分散させることの後に、前記1つのグレーティングに反射された光の変調における、少なくとも1つの位相シフトを測定することと、前記少なくとも1つの位相シフトに基づいて、前記1つのグレーティングの前記摂動を決定することと、を含み、
前記変調することが、複数の変調周波数にわたり、前記変調の周波数を走査することを含み、前記方法が、変調周波数ごとに、前記少なくとも2つのグレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定することと、前記測定された変調位相シフト及び前記測定された変調の大きさに基づいて、前記少なくとも2つのグレーティングのそれぞれに関する、個々の光波長シフト又は光周波数シフトを決定することと、を含む、方法。
【請求項15】
光ファイバに形成されたグレーティングの摂動を決定する方法であって、光ビームを変調し、及び前記光ファイバを通して伝送することと、前記グレーティングに反射された光を分散させることと、前記分散させることの後に、前記グレーティングに反射された光の変調における、少なくとも1つの位相シフトを測定することと、前記少なくとも1つの位相シフトに基づいて、前記グレーティングの前記摂動を決定することと、を含み、
前記少なくとも1つの位相シフトの前記測定が、所定の位相分解能によって特徴付けられ、前記分散させることが、単位波長当たりのパルスの広がりを表す所定の分散パラメータによって特徴付けられ、前記変調することの周波数が、少なくとも、前記位相分解能と、前記分散パラメータに所定のスペクトル分解能閾値を乗算したものとの比である、方法。
【請求項16】
光ファイバに形成された複数のグレーティングのうちの1つのグレーティングの摂動を決定するためのシステムであって、前記複数のグレーティングの少なくとも2つが、異なるブラッグ波長によって特徴付けられ、
光ビームを変調するための光変調システムと、
前記光ビームを前記光ファイバ内に結合させ、前記1つのグレーティングに反射された光を受け取るための光結合器と、
前記1つのグレーティングに反射された光の変調における、少なくとも1つの位相シフトを測定し、前記少なくとも1つの位相シフトに基づいて、前記1つのグレーティングの前記摂動を決定するように構成された光学的及び電気的解析システムと、
を含み、
前記光学的及び電気的解析システムが、前記少なくとも1つの位相シフトの前記測定に先立って、前記反射された光ビームを分散させるように構成された分散光学デバイスを含み、
前記光変調システムが、複数の変調周波数にわたり、前記変調の周波数を走査するように構成され、
前記光学的及び電気的解析システムが、変調周波数ごとに、前記少なくとも2つのグレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定し、前記測定された変調位相シフト及び前記測定された変調の大きさに基づいて、前記少なくとも2つのグレーティングのそれぞれに関する、個々の光波長シフト又は光周波数シフトを決定するように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容が全体として参照により本明細書に援用される、2018年7月4日に出願された、米国仮特許出願第62/693,941号の優先権の便益を主張するものである。
【0002】
本発明の分野及び背景
本発明は、その幾つかの実施形態において、センサシステムに関し、特に(但し、限定されない)、例えばファイバブラッググレーティング(FBG)による変調光の反射による検知を行うための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
FBGは、光ファイバ検知及び光ファイバ通信の分野で使用される周知のコンポーネントであり、一般的に、感光性光ファイバに書き込まれた繰り返しパターンを含む。照明されると、ブラッググレーティングは、中心波長及び帯域幅がグレーティングの特性(例えば、ピッチ、屈折率、グレーティングの長さ)に依存する範囲内の波長で、光の成分を反射する。この範囲の中心波長及び帯域幅は、それぞれ、ブラッグ波長及びFBG帯域幅と呼ばれる。例えば、温度、圧力、ひずみ、振動などによるグレーティングの摂動は、ブラッグ波長のシフト(「ブラッグシフト」と呼ばれる)をもたらし、これは、反射スペクトルで検出され得る。次いで、このシフトは、摂動の範囲を決定するために、摂動を受けないブラッグ波長と比較され得る。
【0004】
従って、FBGは、センサとして機能し得る。FBGセンサは、センサが、温度、圧力、ひずみ、振動などの即時評価に使用され得るスマート構造の埋込センサとして特に有用である。多くのグレーティングが、ある長さのファイバに書き込まれること、及び多重化技術を用いてアドレス指定されることが可能であるため、FBGセンサは、擬似分散検知能力を提供することができる。
【0005】
従来、ブラッグ波長のシフトは、干渉計、波長可変光フィルタ、波長可変レーザ、又は回折素子などのスペクトル解析技術により測定される[Chen et al., “Review of fiber Bragg grating sensor technology”, Front. Optoelectron. China 4 204 (2011)]。
【0006】
遠距離光通信の分野では、ファイバにおいて超短パルスを線形に分散させ、それらのスペクトルを時間領域にマッピングすることによって、光ファイバにおける分散を測定することが知られている。これは、分散されたパルスの時間プロファイルの2つのスパイク間の遅延を測定することにより分散をマッピングすることを可能にする[Tong et al., “Fibre dispersion or pulse spectrum measurement using a sampling oscilloscope”, Electronics Lett. 33(11) 983-985 (1997)]。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の幾つかの実施形態のある態様によれば、光ファイバに形成されたグレーティングの摂動を決定する方法が提供される。この方法は、光ビームを変調し、及び光ファイバを通して伝送することと、グレーティングに反射された光の変調における、少なくとも1つの位相シフトを測定することと、1つ又は複数の位相シフトに基づいて、グレーティングの摂動を決定することと、を含む。
【0008】
本発明の幾つかの実施形態によれば、変調は、伝送することの前に行われる。本発明の幾つかの実施形態によれば、変調は、光ビームがグレーティングに反射された後に行われる。本発明の幾つかの実施形態によれば、変調は、伝送することの前と、光ビームがグレーティングに反射された後とに行われる。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態によれば、光ファイバは、複数のグレーティングを有して形成され、複数のグレーティングの2つ以上が、異なるブラッグ波長によって特徴付けられる。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本方法は、1つ又は複数の位相シフトの測定に先立って、異なるブラッグ波長にそれぞれ対応する、2つ以上のチャネル内へと反射された光ビームを逆多重化することを含む。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本方法は、複数の変調周波数にわたり、変調の周波数を走査することを含み、本方法は、変調周波数ごとに、グレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定することと、測定された変調位相シフト及び測定された変調の大きさに基づいて、2つ以上のグレーティングのそれぞれに関する、個々の光波長シフト又は光周波数シフトを決定することと、を含む。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本方法は、1つ又は複数の位相シフトの測定に先立って、反射された光ビームを分散させることを含む。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態によれば、分散させることが、光ファイバに形成されたチャープグレーティングによって行われる。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態によれば、分散させることが、光ファイバスプールによって行われる。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態によれば、位相シフトの測定は、所定の位相分解能によって特徴付けられ、分散させることは、単位波長当たりのパルスの広がりを表す所定の分散パラメータによって特徴付けられ、変調の周波数は、少なくとも、位相分解能と、分散パラメータに所定のスペクトル分解能閾値を乗算したものとの比である。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態によれば、所定のスペクトル分解能閾値が、0.1ピコメートル未満であり、1つ又は複数の位相シフトの測定が、少なくとも1kHzのサンプリングレートにおけるものである。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態によれば、分散は、分散係数によって特徴付けられ、本方法は、複数の分散係数値にわたり、係数の値を変動させることと、分散係数の値ごとに、グレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定することと、測定された変調位相シフト及び測定された変調の大きさに基づいて、2つ以上のグレーティングのそれぞれに関して、個々の光波長シフト又は光周波数シフトを決定することと、を含む。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態によれば、変調は、無線周波数変調を含む。本発明の幾つかの実施形態によれば、変調は、正弦波変調を含む。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本方法は、伝送に先立って、光ビームを増幅させることを含む。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態によれば、グレーティングの摂動の決定は、反射された光ビームの光パワーに関するものではない。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本方法は、反射された光ビームの光パワーを決定することなく実行される。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態によれば、グレーティングの摂動の決定は、グレーティングを特徴付けるブラッグ波長のシフトとして摂動を表現することを含む。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本方法は、グレーティングの摂動を生じさせる、少なくとも1つの物理量を計算するために、ブラッグ波長のシフトを使用することを含む。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態によれば、グレーティングの摂動の決定は、グレーティングの摂動を生じさせる少なくとも1つの物理量として、摂動を表現することを含む。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の物理量は、周囲温度、ファイバに付与される圧力、ファイバのひずみ、及びファイバの加速的運動から成る群から選択される。
【0026】
本発明の幾つかの実施形態のある態様によれば、光ファイバに形成されたグレーティングの摂動を決定するためのシステムが提供される。このシステムは、光ビームを変調するための光変調システムと、光ビームを光ファイバ内に結合させ、グレーティングに反射された光を受け取るための光結合器と、グレーティングに反射された光の変調における、少なくとも1つの位相シフトを測定し、1つ又は複数の位相シフトに基づいて、グレーティングの摂動を決定するように構成された光学的及び電気的解析システムと、を含む。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態のある態様によれば、センサシステムが提供される。このセンサシステムは、光ビームを変調するための光変調システムと、光ビームを光ファイバ内に結合させ、グレーティングに反射された光を受け取るための光結合器と、グレーティングに反射された光の変調における、少なくとも1つの位相シフトを測定し、グレーティングの摂動を生じさせる少なくとも1つの物理量を決定するように構成された光学的及び電気的解析システムと、を含む。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の物理量が、周囲温度、ファイバに付与される圧力、ファイバのひずみ、及びファイバの加速的運動から成る群から選択される。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態によれば、光変調システムは、伝送前に、光ビームを変調するように構成される。本発明の幾つかの実施形態によれば、光変調システムは、光ビームがグレーティングに反射された後に、光ビームを変調するように構成される。本発明の幾つかの実施形態によれば、光変調システムは、伝送することの前と、光ビームがグレーティングに反射された後とに、光ビームを変調するように構成される。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態によれば、光ファイバは、複数のグレーティングを有して形成され、複数のグレーティングの2つ以上は、異なるブラッグ波長によって特徴付けられる。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態によれば、解析システムは、1つ又は複数の位相シフトの測定に先立って、異なるブラッグ波長にそれぞれ対応する、2つ以上のチャネル内へと反射された光ビームを逆多重化するための光逆多重化システムを含む。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態によれば、解析システムは、各チャネルに1つずつ、複数の光検出器を含む。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態によれば、光変調システムは、複数の変調周波数にわたり、変調の周波数を走査するように構成され、光学的及び電気的解析システムは、変調周波数ごとに、グレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定し、並びに測定された変調位相シフト及び測定された変調の大きさに基づいて、2つ以上のグレーティングのそれぞれに関する、個々の光波長シフト又は光周波数シフトを決定するように構成される。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態によれば、解析システムは、単一の光検出器を含む。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態によれば、解析システムは、1つ又は複数の位相シフトの測定に先立って、反射された光ビームを分散させるように構成された分散光学デバイスを含む。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態によれば、分散光学デバイスは、光ファイバに形成されたチャープグレーティングを含む。本発明の幾つかの実施形態によれば、分散光学デバイスは、光ファイバスプールを含む。
【0037】
本発明の幾つかの実施形態によれば、解析システムは、所定の位相分解能で、1つ又は複数の位相シフトを測定するように構成された信号処理システムを含み、分散光学デバイスは、単位波長当たりのパルスの広がりを表す所定の分散パラメータに従って分散を生じさせるように構成され、光変調システムは、少なくとも、位相分解能と、分散パラメータに所定のスペクトル分解能閾値を乗算したものとの比である周波数で、光ビームを変調するように構成される。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態によれば、所定のスペクトル分解能閾値は、10ピコメートル未満である。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態によれば、所定のスペクトル分解能閾値は、0.1ピコメートル未満であり、信号処理システムは、少なくとも1kHzのサンプリングレートで、1つ又は複数の位相シフトを測定するように構成される。
【0040】
本発明の幾つかの実施形態によれば、分散光学デバイスは、制御可能であり、システムは、分散光学デバイスを特徴付ける分散係数の値を変動させるように分散光学デバイスを制御するための分散コントローラを含み、光学的及び電気的解析システムは、分散係数の異なる値に関して、グレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定し、並びに測定された変調位相シフト及び測定された変調の大きさに基づいて、2つ以上のグレーティングのそれぞれに関して、個々の光波長シフト又は光周波数シフトを決定するように構成される。
【0041】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本方法は、伝送に先立って、光ビームを増幅させるための光増幅器を含む。
【0042】
本発明の幾つかの実施形態のある局面によれば、光ファイバに形成された複数のグレーティングの摂動を決定する方法が提供される。この方法は、光ビームを変調し、及び光ファイバを通して伝送することであって、変調が、複数の変調周波数にわたり、変調の周波数を走査することを含むことと、変調周波数ごとに、グレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定することと、測定された変調位相シフト及び測定された変調の大きさに基づいて、複数のグレーティングの2つ以上の摂動を決定することと、を含む。
【0043】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本方法は、制御可能な分散光学デバイスを用いて、グレーティングに反射された光を分散させることを含み、分散させることは、分散光学デバイスを特徴付ける分散係数の値を変動させるように分散光学デバイスを制御することを含み、本方法は、分散係数の異なる値に関しても、変調位相シフト及び変調の大きさを測定することを含む。
【0044】
本発明の幾つかの実施形態のある態様によれば、光ファイバに形成された複数のグレーティングの摂動を決定する方法が提供される。この方法は、光ビームを変調し、及び光ファイバを通して伝送することと、制御可能な分散光学デバイスを用いて、グレーティングに反射された光を分散させることであって、分散させることが、分散光学デバイスを特徴付ける分散係数の値を変動させるように分散光学デバイスを制御することを含むことと、分散係数の異なる値に関して、グレーティングに反射された光の変調位相シフト及び変調の大きさを測定することと、測定された変調位相シフト及び測定された変調の大きさに基づいて、複数のグレーティングの2つ以上の摂動を決定することと、を含む。
【0045】
本発明の幾つかの実施形態によれば、変調は、伝送することの前に実行される。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態によれば、変調は、光ビームがグレーティングに反射された後に実行される。
【0047】
本発明の幾つかの実施形態によれば、変調は、伝送することの前と、光ビームがグレーティングに反射された後とに実行される。
【0048】
本発明の幾つかの実施形態によれば、摂動を決定することは、各グレーティングによって生じた光波長シフト又は光周波数シフトを計算することを含む。
【0049】
別段の定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び/又は科学的用語は、本発明が関連する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を持つ。本明細書に記載する方法及び材料に類似した、又は本明細書に記載する方法及び材料と同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施又は試験において使用され得るが、例示的方法及び/又は材料を以下に記載する。矛盾が生じた場合は、定義を含む本特許明細書が支配する。加えて、材料、方法、及び例は、説明のためのものにすぎず、必ずしも限定であることが意図されるものではない。
【0050】
本発明の実施形態の方法及び/又はシステムの実施は、手動で、自動的に、又はそれらの組み合わせで、選択されたタスクを行うこと、又は完了することを伴い得る。また、本発明の方法及び/又はシステムの実施形態の実際の器具類及び機器によれば、幾つかの選択されたタスクは、オペレーティングシステムを使用して、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、又はファームウェアによって、又はそれらの組み合わせによって実施され得る。
【0051】
例えば、本発明の実施形態による、選択されたタスクを行うためのハードウェアは、チップ又は回路として実施され得る。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による、選択されたタスクは、任意の適宜のオペレーティングシステムを用いてコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施され得る。本発明のある例示的実施形態では、本明細書に記載されるような方法及び/又はシステムの例示的実施形態による、1つ又は複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって行われる。任意選択的に、データプロセッサは、命令及び/又はデータを保存するための揮発性メモリ、及び/又は命令及び/又はデータを保存するための不揮発性ストレージ(例えば、磁気ハードディスク及び/又は可換型媒体)を含む。任意選択的に、ネットワーク接続も提供される。任意選択的に、ディスプレイ及び/又はキーボード若しくはマウスなどのユーザ入力デバイスも提供される。
【0052】
図面の幾つかの表示の簡単な説明
本発明の幾つかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照してここに記載する。これより、図面を詳細に具体的に参照して、示される詳細は、例として、本発明の実施形態の説明のための議論を進めるためのものであることを強調する。この点で、図面と併せた説明は、どのように本発明の実施形態が実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の幾つかの実施形態による、光ファイバに形成されたグレーティングの摂動を決定するのに適した方法のフローチャート図である。
【
図2】本発明の幾つかの実施形態による、光ファイバに形成されたグレーティングの摂動を決定するのに適したシステムの模式図である。
【
図3】本発明の幾つかの実施形態に従って行われた実験に使用された実験機構の模式図である。
【
図4】本発明の幾つかの実施形態に従って行われた実験で取得された、FBGに対する周期的なひずみによる、モニタリングされたブラッグ波長シフトを示す。
【
図5】本発明の幾つかの実施形態に従って行われた実験で取得された、振動パワーの複数の異なる値に関する、水中の超音波のフーリエ解析を示す。
【
図6】約200kHzで振動する圧電ファイバストレッチャの周りに巻かれたFBGから戻ってくる信号のフーリエ解析を示す。
【
図7】本発明の幾つかの実施形態に従って行われた実験で取得された、速度の関数としての分解能を示す。
【
図8】本発明の幾つかの実施形態による、位相シフトを増幅させることに適した方法のフローチャート図である。
【
図9】本発明の幾つかの実施形態による、位相シフトを増幅させるためのシステムの模式的ブロック図の図示である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
発明の具体的な実施形態の説明
本発明は、その幾つかの実施形態において、センサシステムに関し、特に(但し、限定されない)、例えばファイバブラッググレーティング(FBG)による変調光の反射による検知を行うための方法及びシステムに関する。
【0055】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その適用例において、以下の説明に記載される、及び/又は図面及び/又は実施例に図示されるコンポーネント及び/又は方法の構造及び配置の詳細に必ずしも限定されないことが理解されるものとする。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は様々なやり方で実施若しくは実行されることが可能である。
【0056】
従来のFBGセンサでは、FBGにおける摂動により生じるブラッグシフトは、一般的に、スペクトロメータ、干渉計、波長可変光フィルタ、波長可変レーザ、又は回折素子などのスペクトル解析技術により測定される。本発明者らは、これらの技術が複雑であり、十分な精度を得るためには高価な機器を必要とすることに気付いた。本発明者らは、レーザ周波数掃引を用いる必要性に依存する技術が、特に掃引が機械的に行われる場合に、測定の速度を制限することにも気付いた。他のシステムは、分散素子を通過するパルスの時間応答を測定する。本発明者らは、このタイプの技術も、超短パルスを変調することが可能な変調器、及び高速電子検出デバイスなどの高価なツールを必要とすることを発見した。本発明者らは、この技術が、周波数領域で時間的応答を分解する必要性(これは、スペクトル分解能を制限する)などのさらなる欠点を持つことも発見した。
【0057】
上記の問題点を任意選択的に、且つ好ましくは、克服する技術、及び/又は任意選択的に、且つ好ましくは、より正確な、及び/又はより高速に実行可能な技術を求めて、本発明者らは、1つ又は複数のグレーティングに反射された光の変調から直接的に、1つ又は複数のグレーティングのインテロゲータデータを取得する方法及びシステムを考案した。本発明者らは、このような直接的取得が、多くの利点から恩恵を受けると同時に、上述の欠点の1つ又は複数を克服することを発見した。第1に、本技術は、スペクトル掃引を必要としないため、高ノイズ除去及び高速測定を享受する。第2に、本技術は、高速時間領域測定に必要とされる機器と比較して、比較的低コストの機器を用いて実行可能である。第3に、フェージング効果によって分解能が制限される、周波数領域において時間的応答を分解する従来の技術とは異なり、本発明の幾つかの実施形態による技術は、フェージング効果の周期性に応じて動作周波数を選択し、それによって分解能が向上する。
【0058】
これより図面を参照し、
図1は、本発明の幾つかの実施形態による、光ファイバに形成されたグレーティングの摂動を決定するのに適した方法のフローチャート図であり、
図2は、本発明の幾つかの実施形態による、光ファイバに形成されたグレーティングの摂動を決定するのに適したシステム30の模式図である。好適な実施形態では、システム30は、本方法の動作の少なくとも数個を実行するために使用され得る。
【0059】
別段の定義がなければ、以下に記載する動作は、実行の多数の組み合わせ又は順序で、同時に、又は順次実行され得ることが理解されるものとする。具体的には、フローチャート図の順序付けは、限定と見なされるべきものではない。例えば、以下の説明又はフローチャート図に特定の順序で出現する2つ以上の動作は、異なる順序(例えば、逆の順序)で、又は実質的に同時に実行されてもよい。さらに、下記の幾つかの動作は、任意選択のものであり、実行されなくてもよい。
【0060】
本方法は、10で開始され、任意選択的に、且つ好ましくは、光ビームが生成される11、及び変調光ビーム34を提供するために光ビームが変調される12へと続く。光は、要望通りに、赤外光、可視光、又は紫外線光でもよい。好ましくは、光は、赤外光である。
【0061】
生成11及び変調12は、光変調システム40によって実行することができる。変調は、直接変調又は外部変調のどちらでもよく、当該技術分野で公知のどのようなタイプのものでもよい。直接変調が用いられる場合、光源36は、コントローラ42から変調信号を受信し、変調光ビーム34を生成する。外部変調が用いられる場合、非変調光ビーム32が、光源36によって生成され、変調信号をコントローラ42から受信する光変調器38によって変調される。コントローラ42は、変調信号を生成するための専用回路を含み得る。
【0062】
変調は、限定されないが、無線周波数などの任意の周波数範囲のものでよい。無線周波数変調が用いられる場合、変調周波数は、任意選択的に、且つ好ましくは、約1kHz~約40GHzである。本発明の様々な例示的実施形態では、変調は、正弦波変調であるが、幾つかの実施形態では、正弦波以外の変調波形も企図される。例えば、各々が異なる周波数の正弦波信号の和によって多周波変調が用いられる実施形態も企図される。変調は、光ビームの振幅、周波数、及び位相の何れかを変調する(振幅、周波数、及び位相の2つ以上の変調を含む)ために実行され得る。好適な実施形態では、少なくとも振幅変調が用いられ、より好適な実施形態では、振幅変調のみが用いられ、周波数及び位相は変調されない。
【0063】
本実施形態は、複数の変調周波数にわたり、変調の周波数が走査される変調走査も企図する。これらの実施形態の利点を以下に説明する。但し、変調走査を用いることが必須ではないこと、及び変調が周波数走査を用いないときも、本発明の幾つかの実施形態による方法が実施され得ることが理解されるものとする。
【0064】
本発明の幾つかの任意選択の実施形態では、本方法は、光ビーム34が増幅される13に進む。これは、任意選択的に、且つ好ましくは、限定されないが、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)、イッテルビウム添加ファイバ増幅器(YDFA、ラマン増幅器、ラマン/エルビウム添加ハイブリッド増幅器、ラマン/イッテルビウム添加ハイブリッド増幅器、エルビウム-イッテルビウム共添加ファイバ増幅器、ネオジム添加ファイバ増幅器、ツリウム添加ファイバ増幅器などの光増幅器50によって達成することができる。
【0065】
本方法は、変調光ビーム34が、1つ又は複数のグレーティング46が内部に形成された光ファイバ44を通って伝送される14、及び1つ又は複数のグレーティング46に反射された光が、光ファイバ44の外に結合される15に進み得る。1つ又は複数のグレーティングは、コアの断面の全体、若しくは一部内に、又はファイバ44のコア-クラッド界面に、又は当該技術分野で公知の他のファイバ部分に作製され得る。光ファイバ44は、任意選択的に、且つ好ましくは、FBGセンサ又はFBGセンサアレイを備えた光ファイバである。グレーティング46は、ある特定のブラッグ波長を中心とする、ある特定のブラッグ帯域幅の範囲内の波長を有する光の成分を選択的に反射し、他の成分がファイバ44内で伝搬し続けることを可能にするように構築される。光ファイバ44が複数のグレーティングを備える場合、グレーティングの少なくとも2つの各々、より好ましくは、ファイバ44に形成されたグレーティングの各々は、光の異なる成分を選択的に反射するように構築される。従って、ファイバ44の各グレーティング46は、ブラッグ波長(及び対応するブラッグ帯域幅)によって特徴付けられ、グレーティングの少なくとも2つは、異なるブラッグ波長によって特徴付けられる。
図2に示すのは、λ
1、λ
2、…、λ
Nで示されるN個の異なるそれぞれのブラッグ波長のセットによって特徴付けられたN個のグレーティングを備えたファイバである。グレーティングは、それらのλ値に従って順序付けられる必要はない。
【0066】
本発明の様々な例示的実施形態では、光ファイバ44は、限定されないが、飛行機翼、フェンス、風力タービン翼、建物、橋、暗渠、トンネルの内張り、パイプライン、川、洪水調整池、井戸などの構造上に配備され、又はそのような構造内に埋め込まれる。
【0067】
ファイバ44内への、及びファイバ44の外への光のインカップリング及びアウトカップリングは、任意選択的に、且つ好ましくは、システム40とファイバ44との間で、並びに任意選択的に、且つ好ましくは、ファイバ44と、一般に52で示される光学的及び電気的解析システムとの間においても、光結合を提供する1つ又は複数の光結合器48を介する。限定と見なされるべきではない、
図2に示される模式図では、光結合器48は、より多くの入出力(I/O)ポートの内の3つを備えた(この例では、3つが示されている)光サーキュレータとして示され、少なくとも1つのポートが、システム40と光通信しており、少なくとも1つのポートが、ファイバ44と光通信している。
図2では、光ビーム34は、第1のポート(1)を通ってサーキュレータ48に入射し、第2のポート(2)を通ってファイバ44内へと出射する。1つ又は複数のグレーティング46に反射された光は、ファイバ44内で、後方へ伝搬し、第2のポート(2)を通ってサーキュレータ48に入射し、第3のポート(3)を通って出射する。第3のポートから、反射光は、任意選択的に、且つ好ましくは、以下にさらに詳述するように、処理及び解析を行うためのシステム52に入射する。
【0068】
本発明の幾つかの任意選択の実施形態では、変調12は、光がファイバ44から出射した後に実行される。これらの実施形態では、光をファイバへと伝送する前に、変調12を実行する必要はない。さらに、変調12が2回以上(例えば、光がファイバ内に結合される前に、及び光がファイバから出射した後に)適用される実施形態も企図される。
【0069】
本発明の幾つかの実施形態では、本方法は、反射された光ビームが分散される16に進む。動作16は、反射された光ビームの群速度分散(GVD)を増加させるために実行される。好ましくは、動作16に続いて、光ビームのGVDの大きさは、システム52の他の全てのコンポーネントの総有効GVDの大きさよりも大きい(例えば、2倍、又は4倍、又は8倍、又は10倍大きい)。動作16は、任意選択的に、且つ好ましくは、分散光学デバイス54(これは、本発明の幾つかの実施形態では、システム52の一コンポーネントである)によって行われる。代替的に、又は追加的に、動作16は、ファイバ自体の1つ又は複数のグレーティングによっても行われ得る。
【0070】
デバイス54としての使用に適した分散光学デバイスの代表例には、限定されないが、光ファイバに形成されたチャープグレーティング(例えば、限定されないが、カナダのTeraxionが販売するチャープFBGなどのチャープFBG)、分散補償ファイバ(DCF)、及び光ファイバスプールが含まれる。
【0071】
本出願から成熟した特許権の存続期間中に、光を分散させる多くの関連の光学デバイスが開発されることが予期され、分散光学デバイスという用語の範囲は、このような新しい全ての技術を先験的に含むことが意図される。
【0072】
分散光学デバイス54によって提供される分散は、一般的に、分散係数
【数1】
によって特徴付けられる。
【数2】
パラメータは、単位波長当たりの(一般的には、ps/nm単位)分散光学デバイス内を伝搬する光パルスの広がりの量を表す。本実施形態に適するのは、少なくとも100ps/nm、又は少なくとも300ps/nm、又は少なくとも1000ps/nm、又は少なくとも1500ps/nm、又は少なくとも2000ps/nm、又は少なくとも2500ps/nmの絶対値を持つ正又は負の分散パラメータ
【数3】
によって特徴付けられる分散を生じさせることが可能な分散光学デバイスである。
【0073】
本発明の幾つかの実施形態では、分散光学デバイス54は制御可能であり、分散係数
【数4】
は、例えば、分散コントローラ55により変動し得る。分散係数の変動は、例えば、デバイス54にひずみを生じさせることによって(例えば、それに応力又は張力を付与することによって)、及び/又はそれの温度を変更することによって達成され得る。分散コントローラ55は、好ましくは、デバイス45に対して、応力及び/又は張力及び/又は温度を付与するように構成された構造である。本実施形態は、分散走査も企図し、分散係数
【数5】
が、複数の分散係数にわたり走査される。これらの実施形態の利点を以下に説明する。但し、分散走査を用いることは必須ではないこと、及び本発明の幾つかの実施形態による方法は、分散光学デバイス54が、分散係数の固定値によって特徴付けられる場合にも実施され得ることが理解されるものとする。
【0074】
ファイバ44が2つ以上のグレーティング46を含む場合、本方法は、任意選択的に、及び好ましくは、反射された光ビームに逆多重化が適用される17に進む。逆多重化17は、好ましくは、2つ以上の空間的に分離した光チャネル(各々が、ファイバ44の異なるグレーティングを特徴付けるブラッグ波長に対応する)を提供するために実行される。逆多重化17は、システム52の一コンポーネントでもよい、光逆多重化システム56を使用して実行され得る。逆多重化システム56は、限定されないが、アレイ導波路グレーティング、フォトニック結晶ファイバなどを含む任意のタイプのものでもよい。
図2に示すのは、各々が上述のセットλ
1、λ
2、…、λ
Nの1つのブラッグ波長に対応する、N個のチャネルを生じさせる光逆多重化システムである。
【0075】
ファイバ44が複数のグレーティング46を含む場合であっても、反射光を逆多重化することが必須ではないことが理解されるものとする。例えば、変調走査が用いられる場合、変調周波数の多重度は、以下にさらに説明するように、2つ以上のグレーティングの寄与に関する十分な情報を提供することができる。別の例は、分散走査が用いられる場合であり、この場合、分散係数の値の多重度が、以下にさらに説明するように、2つ以上のグレーティングの寄与に関する十分な情報を提供することができる。
【0076】
18では、光は、好ましくは、例えば光検出器(例えば、単一の光センサを備えたセレクタ)、又は光検出器のアレイ58(光がチャネルに逆多重化される実施形態では、光チャネルごとに1つ)を使用して、電気信号に変換され、19では、1つ又は複数のグレーティング46から反射された光の変調における少なくとも位相シフトが、例えば、
図2に示されるような信号処理システム60によって測定される。本発明の幾つかの実施形態では、動作19は、信号の大きさを測定することも含む。
【0077】
本発明者らは、変調位相シフトが、グレーティングにおける摂動を表し、従って、信号の時間領域応答を決定する必要なしに、位相シフトが光の変調から直接決定されるため、検知を向上させることができることを発見した。
【0078】
変調位相シフトは、当該技術分野で公知の任意の技術を使用して、処理システム60によって決定することができる。位相シフトを決定する適宜の技術の代表例は、後続の実施例のセクション(実施例2を参照)で提供される。代替的に、又は追加的に、信号処理システム60は、ネットワークアナライザ及び/又はスペクトルアナライザを含み得る。処理システム60がネットワークアナライザを含む場合、それは、位相シフトを決定するために、検出器アレイ58によって提供された電気信号を処理するため、且つ光源36又は変調器38によって受信される変調信号を生成するために機能し得る。従って、同じネットワークアナライザが、コントローラ42として、且つ信号処理システム60として機能し得る。
【0079】
ファイバが複数のグレーティングを備え、変調走査が用いられる実施形態では、各グレーティングによって生じる個々の位相シフト、波長シフト、又は周波数シフトは、変調周波数の多重度によって提供される情報から決定することができる。これらの実施形態では、本方法は、好ましくは、変調周波数ごとに、反射された光の大域的位相シフト及び大域的大きさを測定する。これは、複数の大域的位相シフト及び複数の大域的大きさを提供する。各大域的位相シフト及び大域的大きさは、それぞれファイバ内の複数のグレーティングに対応する複数の部分波から形成される波を表す。従って、各大域的位相シフト及び大域的大きさは、ファイバ内のグレーティングによって生じる個々の位相シフト、波長シフト、又は周波数シフトに関する情報を運ぶ。本発明の幾つかの実施形態によれば、用いられる複数の異なる変調周波数の数は、大域的位相シフト及び大域的大きさから、個々の位相シフト、波長シフト、又は周波数シフト、及び任意選択的に個々の大きさも抽出するのに十分なものである。これは、例えば、未知数が個々の位相シフト、波長シフト、又は周波数シフトであり、係数及び既知項が、大域的位相シフト及び大域的大きさである、方程式のセットを解くことによって行うことができる。本発明者らによって、N個のグレーティングを備えたファイバの場合、N/2個の異なる変調周波数を用いれば十分であることが発見された。方程式のセット、及びこれらの方程式を自動的に解くための技術の代表例が、後続の実施例のセクション(実施例3を参照)で提供される。
【0080】
ファイバが複数のグレーティングを備え、分散走査が用いられる実施形態では、各グレーティングによって生じる個々の位相シフト、波長シフト、又は周波数シフトは、分散係数値の多重度によって提供される情報から決定することができる。これらの実施形態では、本方法は、好ましくは、分散係数値ごとに、反射された光の大域的位相シフト及び大域的大きさを測定する。これは、上記でさらに詳述した通り、複数の大域的位相シフト及び複数の大域的大きさを提供する。本発明の幾つかの実施形態によれば、用いられる複数の異なる分散係数の数は、大域的位相シフト及び大域的大きさから、個々の位相シフト、波長シフト、又は周波数シフト、及び任意選択的に個々の大きさも抽出するのに十分なものである。これは、上記でさらに詳述した通り、及び以下に例示する通り、例えば、方程式のセットを解くことによって行うことができる。
【0081】
本発明の幾つかの実施形態では、システム60は、参照光検出器62からの信号も受信する。参照光検出器62は、1つ又は複数のグレーティングに反射されたが、さらなる分散及び/又は逆多重化を受けない光ビームを受け取ることができる。例えば、ビームスプリッタ57が、上記でさらに詳述した通り、1つのビームが進み続け、参照ビームとして機能する別のビームが検出器62に指向されるように、ファイバ44を出射する光ビームの光路上に配置されてもよい。
【0082】
19から、本方法は、位相シフトに基づいて、グレーティングの摂動が決定される20に進み得る。例えば、システム40が、cos(Ωt)(Ωは、(例えば、無線周波数範囲内の)角度変調周波数である)に従って正弦波的に変調される光ビームを提供すると仮定する。分散光学デバイス54は、各成分が別々に光逆多重化システム56内に到着するように、光を分散させる。ファイバ44が摂動を受けない場合に、i番目のグレーティングから反射された光成分が、cos(Ωt+φi)に従って変調されるように、全体的変調位相φiを取得する分散光学デバイス54を出射するとさらに仮定する。システム56は、各成分を別個のチャネル内に指向させ、i番目のグレーティングから反射された光成分は、i番目の光チャネルに指向される。各光検出器は、i番目の光チャネルを、次に、変調パラメータを決定するために信号処理システム60によって処理される電気信号へと変換する。
【0083】
ここで、i番目のグレーティングが選択的に波長λi+Δλiの光成分を反射するように、摂動がi番目のグレーティングで生じると仮定する(λiは、もしi番目のグレーティングが摂動を受けていなければ、i番目のグレーティングから反射されたであろう光成分の(光領域内の)波長である)。分散光学デバイス54による分散に続いて、i番目の成分が、cos(Ωt+φi+Δφi)に従って変調されるように、変調位相φi+Δφiを取得する。従って、変調における光位相シフトΔφiは、光波長シフトΔλi(又は、同等に、光周波数シフトΔfi=cΔλi /λi
2(cは、光の速度である))のプロキシである。
【0084】
逆多重化システム56が用いられる場合、逆多重化システム56は、この成分をi番目の光チャネル内に指向させ、各光検出器は、この成分を、信号処理システム60によって受信される電気信号へと変換する。i番目の検出器によって生成された信号の位相がシフトされたと信号処理システム60が決定すると、本方法は、摂動がi番目のグレーティングで生じたと決定する。
【0085】
代替的に、信号処理システム60は、例えば、本明細書に記載するような変調走査を用いることによって、逆多重化なしに、且つ変調位相シフトのプロキシを測定することなく、光波長シフトΔλiの値を決定することができる。Δλiがゼロではないと信号処理システム60が決定すると、本方法は、摂動がi番目のグレーティングで生じたと決定する。
【0086】
従って、本方法及び本システムは、任意選択的に、且つ好ましくは、反射された光ビームの光パワーに依存することなく、位相シフトに基づいて摂動を上手く決定する。これは、摂動を決定するために、複雑な光パワー処理動作を必要とする従来の技術とは異なる。
【0087】
20で決定されるような摂動は、2つ以上のやり方で表現され得る。幾つかの実施形態では、摂動は、各ブラッグ波長のシフト(上記の例では、Δλi)として表現される。ブラッグシフトは、例えば、変調位相シフトΔφiとブラッグシフトΔλiとを関連付ける、経験的に生成されたルックアップテーブルを使用して決定することができる。ブラッグシフトの表現された値から、本方法は、例えば、FBGセンサの分野で知られているように、グレーティングの摂動を生じさせる物理量の値を決定することができる。
【0088】
実際にブラッグシフトを決定することなく、摂動が物理量の値として表現される実施形態も企図される。物理量の値は、変調位相シフトと物理量の値とを関連付ける、経験的に生成されたルックアップテーブルを使用して決定することができる。
【0089】
決定され得る物理量の代表例には、限定されないが、周囲温度、ファイバに付与される圧力、ファイバのひずみ、ファイバの加速的運動(例えば、振動)が含まれる。企図される別の物理量は、付与される圧力に基づいて決定され得る各グレーティングの深さである。
【0090】
本発明者らは、ブラッグシフトの(従って、決定されるべき物理量の値も)検知の分解能が、変調の周波数及び/又は変調位相シフトの測定の分解能の賢明な選択によって向上され得ることを発見した。具体的には、変調位相シフトの測定の分解能をΔφ
resによって示し、分散を特徴付ける分散パラメータを
【数6】
によって示し、及び変調角周波数をΩによって示す場合、Ω、Δφ
res、及び
【数7】
の少なくとも1つは、好ましくは、関係:
【数8】
(式中、Δλ
resは、所定のスペクトル分解能閾値である)を満たすように選択される。例えば、位相をΔφ
resの分解能の位相で測定することが可能な信号処理システム60、及び分散係数の分散パラメータ
【数9】
によって特徴付けられる分散を生じさせることが可能な分散光学デバイス54の場合、コントローラ42は、少なくとも
【数10】
の角度変調周波数Ωによって特徴付けられる変調信号を生成するように構成され得る。
【0091】
一般的に(但し、必ずではない)、Δλresは、10ピコメートル未満、又は1ピコメートル未満、又は0.1ピコメートル未満、又は0.05ピコメートル未満(例えば、0.01以下)である。
【0092】
本発明者らは、スペクトル分解能Δλ
resの向上(従って、物理量の値を決定する能力の向上も)が、測定の速度に関する小さな妥協なしに、又は測定の速度に関する小さな妥協と共に達成され得ることを発見した。測定の速度は、一般的に、変調位相シフトを決定する際に信号処理システム60によって用いられるサンプリングレートによって表現される。本発明の幾つかの好適な実施形態によれば、Ω、Δφ
res、及び
【数11】
の少なくとも1つは、少なくとも1kHz、又は少なくとも10kHz、又は少なくとも100kHz、又は少なくとも1MHz、又は少なくとも10MHzの信号処理システム60のサンプリングレートで、0.1ピコメートル未満、又は0.05ピコメートル未満(例えば、0.01以下)のΔλ
resのスペクトル分解能を提供するように選択される。
【0093】
本方法は、21で終了する。
【0094】
本明細書において、「約」という用語は、±10%を指す。
【0095】
「例示的」という単語は、本明細書において、「例、具体例、又は実例として機能すること」を意味するために使用される。「例示的」と記載される何れの実施形態も、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい、又は有利であると解釈されるものではなく、及び/又は他の実施形態からの特徴の取り込みを排除するものではない。
【0096】
「任意選択的に」という単語は、本明細書において、「幾つかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されないこと」を意味するために使用される。本発明のどの特定の実施形態も、複数の「任意選択の」特徴を、これらの特徴同士が矛盾しなければ、含み得る。
【0097】
「含む(comprises)」という用語、「含んだ(comprising)」という用語、「含む(includes)」という用語、「含んだ(including)」という用語、「備えた(having)」という用語、及びこれらの同根語は、「含むが、限定されないこと」を意味する。
【0098】
「~から成る(consisting of)」という用語は、「含み、且つ限定されること」を意味する。
【0099】
「基本的に~から成る(consisting essentially of)」という用語は、組成、方法、又は構造が、追加の構成要素、ステップ、及び/又は部分を、これらの追加の構成要素、ステップ、及び/又は部分が、請求される組成、方法、又は構造の基本的特性及び新規の特性を実質的に変えない場合にのみ、含み得ることを意味する。
【0100】
本明細書において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明白に他の意味が規定されない限り、複数形の言及を含む。例えば、「1つの化合物(a compound)」又は「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、複数の化合物(これらの混合物を含む)を含み得る。
【0101】
本出願全体を通して、本発明の様々な実施形態が、範囲形式で提示される場合がある。範囲形式での記載は、単に、便宜上、且つ簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に関する変更できない限定と解釈されるべきものではないことが理解されるものとする。従って、範囲の記載は、具体的に開示された全ての可能な部分範囲と、その範囲内の個々の数値を含むと見なされるものとする。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示された部分範囲と、その範囲内の個々の数字(例えば、1、2、3、4、5、及び6)を含むと見なされるものとする。このことは、範囲の広がりにかかわらず当てはまる。
【0102】
本明細書において、数値範囲が示される場合はいつでも、その示された範囲内のあらゆる言及された数字(分数又は整数)を含むことが意図される。第1の示された数字と、第2の示された数字と「の間に及んでいる/及ぶ」というフレーズ、及び第1の示された数字「から」第2の示された数字「に」「及んでいる/及ぶ」というフレーズは、本明細書では、言い換え可能に使用され、第1の示された数字及び第2の示された数字、並びにそれらの間の全ての分数及び整数を含むことが意図される。
【0103】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載された本発明の特定の特徴が、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよいことが認識される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載された、本発明の様々な特徴が、別々に、又は任意の適宜のサブコンビネーションで、又は本発明のその他の記載された実施形態において適宜に提供され得る。様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしに動作不能でない限り、それらの実施形態の不可欠な特徴と見なされないものとする。
【0104】
上記で詳しく説明したような、及び下記の特許請求の範囲のセクションで請求されるような、本発明の様々な実施形態及び局面は、以下の実施例において、実験的確証を得た。
【実施例】
【0105】
実施例
これより、上記の説明と共に、非限定的に本発明の幾つかの実施形態を示す、以下の実施例を参照する。
【0106】
実施例1
実験的研究
本実施例は、無線周波数(RF)位相シフト測定に基づく、高速及び高感度FBGインテロゲータを実証する。正弦波的に変調された光源及び色分散素子を使用して、ブラッグ波長シフトが、直接RF位相シフトに変換される。1pm未満のスペクトル感度で、1MHzを超える問合せの速度、及び100Hzの速度で0.01pm未満の感度の問合せの速度が実証される。優れた分解能-速度のトレードオフが、5桁の速度範囲にわたり実証される。全体的感度対0.34fm/√Hz(これは、0.3ナノストレイン(nanostrain)/√Hzに等しい)の速度依存性が実証される。本実施例は、FBGセンサの波長シフトの問合せの基礎として、直接RF位相シフト測定を用いる。優れた分解能-速度のトレードオフ(例えば、1pmスペクトル分解能で10MHzの速度)を達成するための本方法の固有の潜在能力が実証される。
【0107】
光源は、周波数f
mod=Ω/2π及び変調指数mで、正弦波RF信号によって変調され、パワー:
P(t)=P
0[1+mcos(Ωt)]=P
0+P
AC(t) (1)
が与えられ、式中、P
0及びP
AC(t)は、それぞれ、平均パワー及び信号エンベロープである。分散係数D[ps/nm/km]及び長さLを含む分散媒体を通過した後に、信号は、AC項で追加の位相φとして表現され得る群遅延τ
gを取得する:
【数12】
【0108】
群遅延は、搬送波波長に依存するため、中心波長の僅かなシフトΔλは、
【数13】
として近似的に表現することができるRF位相Δφのシフトを生じさせる。
【0109】
Δφを測定することによって、Δλが決定される。最小検出可能位相シフトΔφ
resは、信号に伴う位相ノイズによって制限される。従って、スペクトル分解能は、スペクトル分解能が、位相シフト分解能のより低い値、より高いRF変調周波数、及びより高い分散に関して向上するように、
【数14】
と定義される。
【0110】
この実証で使用される実験機構が
図3に示される。c帯域の超放射発光ダイオード(SLED)が、可変RFフィルタを備えたベクトルネットワークアナライザ(VNA)のRF信号で直接変調された。本実施例では、変調周波数は、f
mod=923MHzであった。変調された光は、EDFAによって増幅され、サーキュレータを用いて、異なるブラッグ波長を持つ3つのFBGを備えた検知チャネル内に指向された。反射された光は、(下記の最初の3つの実験に使用される)分散パラメータ
【数15】
を持つサーキュレータ及びチャープFBG(Teraxion DCML-C0100-160k)から成る分散補償モジュール(DCM)、又は(下記の第4の実験の一部に使用される)DL=-680ps/nmの分散パラメータを持つ分散補償ファイバ(DCF)のどちらかである分散コンポーネントに指向された。デマルチプレクサは、3つのFBGのブラッグ波長に対応する3つのスペクトルレジームに光を分割し、検出された信号は、次に、RF位相シフト測定のために、VNAに戻るようにルーティングされた。平均検出光パワーは、約-16dBmであった。
【0111】
第1の実験では、弱いひずみを持つシステムの性能が実証された。FBGの1つが、約1Hzの周波数で、電動高精度メカニカルステージを用いて、周期的にひずませられ、信号が、10Hzのレートでサンプリングされた。FBGに対するピークツーピークひずみは、約0.09μεであり、ブラッグ波長において約0.1pmのスペクトルシフトが与えられた。出力信号は、
図4に示され、良好なSNRで弱いひずみ信号を取得する、本実施形態のシステムの能力を実証している。示された分解能能力は、0.1pm未満である。この実験では、VNAの中間周波数帯域幅(IF
BW)は、IF
BW=10Hzに設定された(VNAのサンプリングレートは、IF
BWに比例するため、1秒当たり約10サンプルの速度取得が可能となる)。
【0112】
第2の実験は、20~100kHzの超音波領域のシステム応答を実証した。第2のFBGが、20kHzの一定振動を与える超音波プローブ(SonicsのVibra-Cell)と共に、水で満たされた容器に沈められた。3つの異なる値の超音波強度に関する、取得された信号の高速フーリエ変換(FFT)が、
図5に示される。
図5では、緑色の線が、20%の超音波パワーに対応し、赤色の線が、60%の超音波パワーに対応し、黒色の線が、80%の超音波パワーに対応する。赤色の線及び黒色の線は、明確にするためにオフセットされる。なお、強度が増すにつれて、40kHzの第2高調波が出現し、より高い強度では、プローブの非線形性により、他の周波数が出現する。y軸波長シフト値(Δλ)は、低強度レベルの実験(20%)のみに言及し、その他は、同じスケールにあるが、明確にするためにシフトされている。速度取得は、より高い調和振動を記録するために、低レベル実験に関しては約70kHzであり、より高いレベルに関しては約96kHzであった。
【0113】
図6は、第3のFBGが、200kHzの正弦波信号によって駆動される圧電ファイバストレッチャ(Optiphase)の周りに巻かれた第3の実験の結果を示す。取得速度は、約1.4MHzに設定された。信号FFTのグラフは、200kHzのピークを示し、これは、約7のSNRを有するブラッグ波長の約3.5pmのシフトに対応する。
【0114】
これらの実験全体を通して、複数の異なるFBG反射のRF信号間でクロストークが観察されず、各FBGセンサのクリーンな検出が可能となる。
【0115】
4つの異なるランから構成される第4の実験では、IF
BWに対するシステム分解能の全体的依存性(これは、測定の速度を制限する)が、
【数16】
パラメータ及び/又は変調周波数f
modの異なる値に関して特徴付けられた。各実験ランにおいて、VNAのIF
BWが徐々に増加され、第3の実験で使用したのと同じ第3のFBGを使用して、最小(SNR=1)波長シフト分解能が測定された。それらの結果が、
図7にプロットされる。第1のランでは、
【数17】
の標準分散補償ファイバ(DCF)が使用された(
図7の青色の点)。第2のランでは、DCFが、上記で使用したDCM(
【数18】
、
図7の赤色の点)に置き換えられた。両ランに関して、f
modは、133MHzであった。第3及び第4のランでは、DCMのままで、変調周波数が、まず、913MHzに上げられ(
図7の緑色の点)、次に、635MHzに下げられた(
図7の黒色の点)。本実施例では、17dB大きいRFパワーを与える、この後者の周波数が好ましかった。
図7の実線は、速度の平方根に比例する分解能に対する適合である。
【0116】
図7で実証されるように、所与の分散パラメータ
【数19】
及び変調周波数に関して、速度及び感度間のトレードオフは、IF
BWにのみ依存する。例えば、DCF(青色の線)をDCM(赤色の線)に置き換えることによって、分散係数を4倍増加させることにより方程式4によって予測されるように、同じ倍数だけ全般的性能が向上する。f
modを8倍増加させることにより(赤色の線から緑色の線へ)、5.3という、より低い倍数分、感度が向上した。これは、周波数の増加に伴う位相ノイズの増加と、システムの様々なコンポーネントの総RF依存性との組み合わせによると仮定される。これは、システムの全体的RF応答によりシステムの性能がピークに達した635MHzの最終ラン(黒色の線)から裏付けられる。これは、本実施例に記載される性能が、さらにもっと高められ得ることを示唆する。
【0117】
本実施例は、全体的感度対約
【数20】
(これは、ひずみ測定の観点から、
【数21】
に等しい)の速度依存性を実証する。これらの結果は、従来のFBGインテロゲータよりも優れている。本実施形態の技術は、ロバストであり、動的測定と、コスト及び複雑さを増大させる追加の補償技術の必要性なしに、準静的モニタリングとに使用することができる。周波数領域測定及び電子的RF処理への依存により、本実施形態の技術は、従来の方法、特に、時間領域測定に依存する方法よりも柔軟性がある。本実施例は、RFフィルタ帯域幅、又は他の同等の信号処理パラメータを調節することによって、超高感度と超高速との間の領域中のどこででも、動作点を選択できることを実証する。
【0118】
例示技術のスペクトルダイナミックレンジ(スペクトル帯域幅と分解能との比)は、2π位相アンビギュイティ制約内で、2mradの位相分解能に関して、約35dBである。測定可能な波長範囲に関しては、本実施形態の技術の柔軟性は、変調周波数を低下させることにより、波長シフト-位相シフト比が減少し(方程式3を参照)、大きな波長範囲測定が可能となるため、利点である。位相は、本発明の幾つかの実施形態では、サンプリングレートが、信号測定速度の少なくとも2倍速く、ダイナミックレンジの増加が可能となる場合に、デジタル信号処理によってアンラッピングすることができる。大きなスペクトルダイナミックレンジ及び柔軟な波長範囲測定は、高速及び高分解能の問合せを可能にする。例示技術の別の利点は、光源パワーの変動が測定に影響を与えない点である。この特徴は、広帯域スペクトルが、長い時間スケールにわたり安定して見えるが、RF時間スケールでは変動する、SLEDなどの増幅自然放出光(ASE)光源に特に有用である。
【0119】
本実施形態の技術のさらなる利点は、(例えば、デマルチプレクサを使用して)各FBGセンサの複数の異なるスペクトル領域を異なる検出器にルーティングすること、及び全ての位相シフトを並行して測定することによって、縦続接続されたFBGセンサを同時に問合せする能力である。この能力は、MHzサンプリングレートでの機械状態モニタリングなどの用途に特に有用である。
【0120】
実施例2
例示の位相シフト測定
図8は、本発明の幾つかの実施形態による、参照信号に対する信号の位相シフトを増幅させることに適した方法のフローチャート図である。本方法は、位相シフト測定の分解能を向上させることに適する。位相シフトは、位相シフト検出器の検出分解能の範囲内の値へと、所定の倍数で増幅され得る。次いで、増幅された位相シフトは、当該技術分野で公知の位相シフト検出器によって測定することができ、測定の結果は、所定の倍数で割ることができ、それによって、増幅されていない位相シフトの決定が、その範囲が位相シフト検出器の利用可能な分解能未満であっても可能となる。
【0121】
本方法は、600で開始され、信号Sが生成又は受信される601へ、及び参照信号Srefが生成又は受信される602へと続く。例えば、信号の1つ(例えば、信号S)は、本実施形態のファイバ内の1つ又は複数のグレーティングに反射された信号でもよく、他の信号(例えば、信号Sref)は、それが1つ又は複数のグレーティングと相互作用することを許容しない経路を通って受信され得る。本方法は、これらの信号の少なくとも一方の変調が変動する603へと続く。この変動は、任意選択的に、且つ好ましくは、信号及び参照信号の変調振幅が、互いに十分に近くなるような、変調振幅に関するものである。好ましくは、信号の変調振幅と、参照信号の変調振幅との比は、約0.9~約1.1、又は約0.95~約1.05、又は約0.99~約1.01、又は約0.995~約1.005、又は約0.999~約1.001、又は約0.9995~約1.0005、又は約0.9999~約1.0001である。変動は、任意選択的に、且つ好ましくは、参照信号の位相θ1と、信号の位相θ2との間の位相差θinが、上記でさらに詳述した通り、十分に小さく、又はπラジアンに十分に近くなるように、変調位相にも関するものである。任意選択的に、信号S及びSrefの一方は、位相差θinが、十分に小さく、又はπラジアンに十分に近くなることを確実にするために、方法100の選択された動作によって生成される。変調変動に用いられる1つ又は複数の振幅及び1つ又は複数の位相は、本方法によって選択することができ、又は変調を変動させる回路において保存若しくは符号化することができる。
【0122】
本方法は、好ましくは、信号の線形結合である出力信号Soutが形成される604へと続く。これは、電気回路を用いて電子的に、又は光学アセンブリを用いて光学的に行うことができる。結合604は、例えば信号加算回路を用いて直接的に、又は例えば、上記でさらに詳述した通り、信号乗算に続いて、各信号に線形比例する信号成分の抽出によって間接的に行うことができる。
【0123】
線形結合は、一般に、Sout=p(S+qSref)(式中、pは、正規化パラメータであり、qは、線形結合係数であり、並びにS及びSrefは、それぞれ、変調変動603後の信号及び参照信号である)と表すことができる。正規化パラメータpは、任意の数、例えば1に設定することができる。線形結合係数は、2つの信号のウェイトレシオを反映し、任意選択的に、且つ好ましくは、cos(θin)(θinは、これらの信号の変調位相間の位相差である)の符号に基づいて選択される。
【0124】
一般に、cos(θin)が負であるときには、qは、約1であり、cos(θin)が正であるときには、qは、約-1である。これは、数学的に、q≒-NINT(cos(θin))と表すことができ、式中、NINTは、最近隣数関数であり、「≒」の記号は、10%以内と理解されるものとする。つまり、qは、任意選択的に、且つ好ましくは、sign(q)=-sign(cos(θin))及び0.9≦|q|≦1.1という条件を満たす。
【0125】
参照に対する出力信号の位相差(θout-θ1)が位相差θinに対して増幅されることを上記のプロシージャが確実にすることができることが、本発明者らによって発見された。増幅の範囲が、1/αの値に達し得る(αは、1と、信号の変調振幅間の比との差の絶対値である)ことが発見された。本発明の幾つかの実施形態によれば、θoutが、θinよりも10倍大きい、又は20倍大きい、又は100倍大きい、又は200倍大きい、又は1000倍大きい、又は2000倍大きい、又は10000倍大きくなり得るように(θoutは、Soutの位相である)、αは、最大で0.1、又は最大で0.05、又は最大で0.01、又は最大で0.005、又は最大で0.0001以下となり得る。
【0126】
本発明の幾つかの実施形態では、本方法は、参照信号に対する出力信号の位相が測定される605へと続く。これは、当該技術分野で公知の任意の位相測定技術を用いて行うことができる。限定されないが、代表例は、米国のMini-Circuits(登録商標)、及び米国のOn Semiconductors(登録商標)から市販される位相検出器を含む。
【0127】
本発明の幾つかの実施形態では、本方法は、参照信号に対する出力信号の位相の経時的変化が測定される606へと続く。信号の位相の変化は、信号の位相自体が未知であっても測定可能であるため、出力信号の位相が既知であろうとなかろうと、動作606は、実行され得る。従って、幾つかの実施形態では、605が実行され、且つ606は実行されず、幾つかの実施形態では、605及び606が共に実行され、幾つかの実施形態では、605が実行されず、且つ606は実行され、幾つかの実施形態では、605及び606のいずれも実行されない。
【0128】
本方法は、607で終了する。
【0129】
位相の変化が測定されると、それは、増幅されていない位相シフトを決定するために、αで乗算され得る。
【0130】
図9は、本発明の幾つかの実施形態による、参照信号に対する信号の位相シフトを増幅させるためのシステム700の模式的ブロック図の図示である。システム700は、任意選択的に、且つ好ましくは、上記の方法600の1つ又は複数の動作を実行するために構成される。システム700は、上記でさらに詳述した通り、これらの信号の少なくとも一方の変調を変動させるように構成された変調回路702を含む。回路702によって行われる変調変動に用いられる1つ又は複数の振幅及び1つ又は複数の位相は、例えば振幅選択回路を使用して、システム700によって選択されてもよく、又は回路702において、保存若しくは符号化されてもよい。
【0131】
システム700は、上記でさらに詳述した通り、信号の線形結合である出力信号Soutを形成するように構成された信号結合器704も含み得る。幾つかの実施形態では、結合器704は、信号加算器回路を含む。これらの実施形態は、線形結合係数が正(例えば、q=1)である場合に有用である。幾つかの実施形態では、結合器704は、信号減算器回路を含む。これらの実施形態は、線形結合係数が負(例えば、q=-1)である場合に有用である。幾つかの実施形態では、結合器704は、信号乗算器回路を含む。これらの実施形態は、上記でさらに詳述した通り、乗算の後に、線形成分の抽出が続くことによって、線形結合が得られる場合に有用である。
【0132】
ある実施形態では、結合器704は、当該技術分野で公知の2つの信号の線形結合を行うように構成された光学アセンブリである。
【0133】
本発明の幾つかの実施形態では、システム700は、参照信号に対する出力信号の位相を測定するための位相検出器として、又は出力信号の位相の経時的変化を測定するための位相変化検出器として、又は位相及びその変化の両方を測定するための統合された位相検出器及び位相変化検出器として構成され得る検出器回路706を含む。
【0134】
実施例3
連立方程式を解くことによる位相シフトの計算
本実施例は、変調周波数を走査することによって、各グレーティングによって生じた波長シフトを数値的に計算するための技術を説明する。本技術の利点は、チャネル間を分離するために、物理的素子(デマルチプレクサなど)を必要としない点である。複数のグレーティングに反射された(及び任意選択的に、且つ好ましくは、分散光学デバイスを通過した)光は、複数の異なるグレーティングから戻ってくる複数の異なる信号の総和であるため、変調周波数Ωの合計の信号は、
【数22】
と表すことができ、式中、a
i及び
【数23】
は、それぞれ、i番目のグレーティングに反射された大きさ及び位相シフトであり、b及びξは、それぞれ、単一の光センサを備えた光検出器によって測定される合計の信号の大域的大きさ及び大域的位相シフトである。
【0135】
大きさa
iが、予備測定から既知であると仮定し、複数の異なる変調周波数Ω
j(好ましくは、少なくともN/2個(Nは、ファイバ内のグレーティングの数))を走査することによって、N個の未知数(ブラッグ波長シフトΔλ
i)を持つ連立方程式(N個の方程式)を得ることができる。走査は、順次又は並列であってもよい。並列走査は、幾つかの周波数を用いてRF信号を同時に変調し、例えば信号処理システムによって、例えばRFフィルタを使用して、各周波数を単独で同時に測定することによって、達成することができる。適宜の連立方程式(N個の方程式)は、
【数24】
と表すことができる。
【0136】
この連立方程式の解又は部分解は、Δλi(i=1,2,…N)の値を提供することができる。この連立方程式は、当該技術分野で公知の任意の技術を用いて、自動的に解くことができる。代表例には、限定されないが、「信頼区間(Trust-region)」方法[26]及び「Levenberg-Marguardt」技術[27、28]が含まれる。
【0137】
本発明を、その具体的な実施形態と共に説明したが、多くの代替形態、変更形態、及び変形形態が当業者には明らかであることが明白である。従って、添付の請求項の精神及び広い範囲に入る、そのような全ての代替形態、変更形態、及び変形形態を包含することが意図される。
【0138】
本明細書で言及した全ての出版物、特許、及び特許出願は、個々の出版物、特許、又は特許出願のそれぞれが、具体的且つ個々に、参照により本明細書で援用されると示された場合と同じ程度に、その全体が参照により本明細書に援用される。加えて、本出願における、あらゆる参考文献の引用又は識別情報は、このような参考文献が、本発明に対する従来技術として利用可能であるとの承認として解釈されないものとする。セクションの見出しが使用される範囲内において、それは、必ずしも限定として解釈されないものとする。
【0139】
加えて、本出願のあらゆる1つ又は複数の優先権書類は、そ(れら)の全体が、参照により本明細書に援用される。
【0140】
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