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特許7383708画像合成装置、画像取得装置、画像処理システム、画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】画像合成装置、画像取得装置、画像処理システム、画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20231113BHJP
【FI】
H04N23/60
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021528589
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2019024626
(87)【国際公開番号】W WO2020255365
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-09-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(72)【発明者】
【氏名】小谷 一也
(72)【発明者】
【氏名】横井 勇太
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】五十嵐 努
【審判官】高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-315749(JP,A)
【文献】特開2014-135702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N5/222-5/257
H04N23/00
H04N23/40-23/76
H04N23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の点灯部位を有する照明装置を備えるカメラユニットを用いて、異なる撮像条件で撮像された同一の基板構成物に関する複数の合成用画像から合成画像を作成し、
前記合成画像の作成に用いた複数の前記合成用画像の前記撮像条件から、適正撮像条件を取得する画像合成装置であって、
前記異なる撮像条件のうち、組み合わせるべき複数の撮像条件を入力する入力装置と、
前記入力装置に入力された前記複数の撮像条件に関連付けられた複数の前記合成用画像が合成された合成画像を表示する表示装置と、
を備え、
前記入力装置は、前記表示装置に表示された前記合成画像を承認するか否かを入力し、
前記撮像条件は、前記点灯部位の点灯時間である露光時間を含む画像合成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像合成装置と、
複数の点灯部位を有する照明装置を備えるカメラユニットを用いて、前記点灯部位の点灯時間である露光時間を含む異なる撮像条件で同一の基板構成物を撮像し、前記撮像条件に関連付けられた前記基板構成物の複数の合成用画像を、自動的に取得する画像取得装置と、
を備え、
前記画像取得装置は、前記画像合成装置に、撮像条件に関連付けられた基板構成物の複数の合成用画像を送信し、
前記画像合成装置は、受信した複数の前記合成用画像を用いて合成画像を作成し、前記合成画像の作成に用いた複数の前記合成用画像の前記撮像条件から、適正撮像条件を取得する画像処理システム。
【請求項3】
前記画像合成装置は、前記画像取得装置に、前記合成画像および前記適正撮像条件のうち、少なくとも一方を送信する請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
複数の点灯部位を有する照明装置を備えるカメラユニットを用いて、異なる撮像条件で同一の基板構成物を撮像し、前記撮像条件に関連付けられた前記基板構成物の複数の合成用画像を、自動的に取得する画像取得ステップと、
前記異なる撮像条件のうち、組み合わせるべき複数の撮像条件を入力する入力ステップと、
入力された前記複数の撮像条件に関連付けられた複数の前記合成用画像を用いて合成画像を作成する作成ステップと、
作成された前記合成画像を表示する表示ステップと、
表示された前記合成画像を承認するか否かを入力するステップと、
前記合成画像が承認された場合に、前記合成画像の作成に用いた複数の前記合成用画像の前記撮像条件から、適正撮像条件を取得する条件取得ステップと、
を有する画像処理方法であって、
前記撮像条件は、前記点灯部位の点灯時間である露光時間を含む画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板構成物の適正撮像条件を取得する際に用いられる、画像合成装置、画像取得装置、画像処理システム、画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のバンプ付電子部品搭載装置においては、電子部品のバンプに対するフラックスの転写状態が検査される。当該フラックスなどの基板構成物の検査においては、予め設定された検査データと、基板構成物の実際の画像と、が比較される。当該検査データの作成においては、基板構成物の画像から、検査目的に応じたデータ(例えば、基板構成物のサイズ、色、コントラストなど)を取得する必要がある。基板構成物の撮像条件が適切であれば、画像が鮮明になるので、所望のデータを精度よく取得することができる。このため、高精度の検査データを作成することができる。このように、検査データの精度は、基板構成物を撮像する際の撮像条件に依存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-56218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適正な撮像条件を取得するためには、作業者は、「基板構成物を撮像する際の撮像条件を設定し、当該撮像条件で基板構成物を撮像し、取得された画像が検査データの作成に適しているか否かを検証する」という一連の作業を、適正な撮像条件が見つかるまで、何回も繰り返す必要がある。しかしながら、当該作業は、非常に煩雑である。また、当該作業は、作業者の熟練度に依存する。そこで、本開示は、基板構成物の適正撮像条件を簡単に取得可能な画像合成装置、画像取得装置、画像処理システム、画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の画像合成装置は、異なる撮像条件で撮像された同一の基板構成物に関する複数の合成用画像から合成画像を作成し、前記合成画像の作成に用いた複数の前記合成用画像の前記撮像条件から、適正撮像条件を取得する。
【0006】
本開示の画像取得装置は、異なる撮像条件で同一の基板構成物を撮像し、前記撮像条件に関連付けられた前記基板構成物の複数の合成用画像を、自動的に取得する。
【0007】
本開示の画像処理システムは、前記画像合成装置と、前記画像取得装置と、を備える画像処理システムであって、前記画像取得装置は、前記画像合成装置に、撮像条件に関連付けられた基板構成物の複数の合成用画像を送信し、前記画像合成装置は、受信した複数の前記合成用画像を用いて合成画像を作成し、前記合成画像の作成に用いた複数の前記合成用画像の前記撮像条件から、適正撮像条件を取得する。
【0008】
本開示の画像処理方法は、異なる撮像条件で同一の基板構成物を撮像し、前記撮像条件に関連付けられた前記基板構成物の複数の合成用画像を、自動的に取得する画像取得ステップと、取得された複数の前記合成用画像を用いて合成画像を作成し、前記合成画像の作成に用いた複数の前記合成用画像の前記撮像条件から、適正撮像条件を取得する条件取得ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の画像合成装置によると、複数の合成用画像から、画像の使用目的に適した合成画像を作成することができる。また、当該合成画像と同様の画像を実際に撮像することなく、当該合成画像を取得するための適正撮像条件を、簡単に取得することができる。
【0010】
本開示の画像取得装置によると、複数の合成用画像を、撮像条件に関連付けられた状態で、自動的に取得することができる。このため、合成画像作成時に、簡単に適正撮像条件を取得することができる。
【0011】
本開示の画像処理システムによると、画像取得装置が自動的に取得した複数の合成用画像を基に、画像合成装置が合成画像を作成することができる。また、合成用画像に関連付けられた撮像条件を基に、画像合成装置が適正撮像条件を取得することができる。
【0012】
本開示の画像処理方法によると、画像取得ステップで自動的に取得した複数の合成用画像を基に、条件取得ステップで合成画像を作成することができる。また、合成用画像に関連付けられた撮像条件を基に、条件取得ステップで適正撮像条件を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、画像処理システムの模式図である。
図2図2は、電子部品実装機の部分上面図である。
図3図3は、図2の枠III内の拡大図である。
図4図4は、図3のIV-IV方向断面図である。
図5図5は、画像取得ステップにおける撮像条件の模式図である。
図6図6は、条件取得ステップにおける撮像条件、合成用画像、適正撮像条件、合成画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の画像合成装置、画像取得装置、画像処理システム、画像処理方法の実施の形態について説明する。
【0015】
(画像処理システム)
まず、本実施形態の画像処理システムの構成について説明する。図1に、画像処理システムの模式図を示す。図1に示すように、画像処理システム1は、画像合成装置2と、生産ライン3と、カメラスタンド4と、を備えている。カメラスタンド4は、生産ライン3外に配置されている。
【0016】
画像合成装置2は、制御装置20と、入力装置(例えばキーボード、タッチパネルなど)21と、表示装置(例えばディスプレイ、入力装置21兼用のタッチパネルなど)22と、を備えている。制御装置20は、演算部(例えばCPUなど)200と、記憶部(例えばROM、RAMなど)201と、を備えている。生産ライン3は、はんだ印刷機30と、はんだ印刷検査機31と、複数の電子部品実装機32と、リフロー前基板外観検査機33と、リフロー炉34と、リフロー後基板外観検査機35と、を備えている。画像合成装置2と各画像取得装置(はんだ印刷機30、はんだ印刷検査機31、電子部品実装機32、リフロー前基板外観検査機33、リフロー後基板外観検査機35、カメラスタンド4)とは、双方向に通信可能である。基板は、生産ライン3を、上流側(はんだ印刷機30側)から下流側(リフロー後基板外観検査機35側)に向かって、搬送される。
【0017】
次に、本実施形態の画像取得装置の一例である、電子部品実装機32の構成について説明する。図2に、本実施形態の電子部品実装機の部分上面図を示す。図3に、図2の枠III内の拡大図を示す。図4に、図3のIV-IV方向断面図を示す。電子部品実装機32は、電子部品91の実際の画像と、予め設定された検査データと、を比較することにより、吸着ノズル326に対する電子部品91の吸着状態の検査を行う。
【0018】
図1図4に示すように、電子部品実装機32は、制御装置320と、入力装置321と、画像処理装置322と、カメラユニット(パーツカメラ)323と、部品供給部324と、基板搬送部(ベルトコンベア)325と、吸着ノズル326と、を備えている。制御装置320は、演算部320aと、記憶部320bと、を備えている。記憶部320bには、電子部品91の撮像プログラム、検査データが格納されている。撮像プログラムは、後述の画像処理方法の画像取得ステップで実行される。検査データには、電子部品91の寸法データ(例えばサイズ、色など)が含まれている。電子部品91の寸法データは、後述の画像処理方法で取得される適正撮像条件を用いて電子部品91を撮像することにより、取得される。また、後述するように、当該適正撮像条件は、電子部品実装機32が電子部品91を検査する際にも使用される。
【0019】
図2にハッチングで示すように、基板搬送部325の一対のベルト325a間には、基板9が架設されている。基板9は、左側(上流側)から右側(下流側)に向かって、基板搬送部325を搬送される。図3図4に示す吸着ノズル326は、電子部品91を吸着した状態で、XYロボット(図略)により、図2に示す部品供給部324と基板9との間を、前後左右方向(水平方向)に移動可能である。
【0020】
図2に示すように、カメラユニット323は、部品供給部324と、基板搬送部325(つまり基板9)と、の間に配置されている。図3図4に示すように、カメラユニット323は、部品供給部324から基板9に搬送される途中の電子部品91を、下側から撮像する。カメラユニット323は、撮像装置(例えばCCDカメラ、CMOSカメラなど)323aと、照明装置323bと、レンズなどの光学系(図略)と、を備えている。
【0021】
照明装置323bは、側射照明部50と、同軸落斜照明部51と、ハーフミラー52と、を備えている。ハーフミラー52は、所定の透過率を有する反射鏡である。ハーフミラー52は、撮像装置323aの上側に配置されている。撮像装置323aから上側に延在する垂線Lに対して、ハーフミラー52は、45°傾斜して配置されている。同軸落斜照明部51は、ハーフミラー52の左側(水平方向隣り)に配置されている。同軸落斜照明部51の照明光は、ハーフミラー52で90°反射され、下側から電子部品91に照射される。側射照明部50は、ハーフミラー52の上側に配置されている。側射照明部50は、下底部に開口500を有する、上向きのカップ状を呈している。側射照明部50は、下段部50aと、中段部50bと、上段部50cと、を備えている。下段部50a、中段部50b、上段部50cは、各々、環状を呈している。下段部50a、中段部50b、上段部50cは、各々、複数の光源セルCが周方向に連なることにより、構成されている。下段部50aの上側には中段部50bが、中段部50bの上側には上段部50cが、各々、配置されている。下段部50a、中段部50b、上段部50cの照明光は、互いに異なる角度(垂線Lに対する角度)から、電子部品91に照射される。撮像装置323aは、電子部品91を下側から撮像する。画像処理装置322は、撮像装置323aが撮像した画像に所定の画像処理を施す。なお、はんだ印刷機30、はんだ印刷検査機31、リフロー前基板外観検査機33、リフロー後基板外観検査機35、カメラスタンド4は、各々、上述のカメラユニット323、画像処理装置322同様のカメラユニット、画像処理装置を備えている。
【0022】
(画像処理方法)
次に、本実施形態の画像処理方法について説明する。上述したように、電子部品実装機32の記憶部320bには、検査データが格納されている。検査データには、電子部品91の寸法データが含まれている。本実施形態の画像処理方法は、当該寸法データの作成に最適な画像を撮像可能な適正撮像条件を取得するために、実行される。並びに、本実施形態の画像処理方法は、実際の基板9の生産時に、電子部品91の検査に最適な画像を撮像可能な適正撮像条件を取得するために、実行される。本実施形態の画像処理方法は、画像取得ステップと、条件取得ステップと、を有する。画像取得ステップは、電子部品実装機32により実行される。条件取得ステップは、画像合成装置2により実行される。
【0023】
画像取得ステップにおいては、電子部品実装機32が、カメラユニット323を用いて電子部品91の撮像を行う。カメラユニット323は、同一の電子部品91に対して、全ての撮像条件の合成用画像を取得する。図5に、画像取得ステップにおける撮像条件の模式図を示す。図5に示すように、照明装置323bの点灯部位(同軸落斜照明部51、下段部50a、中段部50b、上段部50c)は4箇所である。また、各点灯部位の点灯色は、各々、R(赤)、G(緑)、B(青)に切替可能である。また、各点灯部位の露光時間(点灯時間)は、各々、独立して10パターンに切替可能である。また、各点灯部位の点灯強度は、各々、独立して5パターンに切替可能である。図5に示す例の場合、撮像条件の数は、合計600(=4(点灯部位)×3(R、G、B)×10(露光時間)×5(点灯強度))である。このように、本開示における「異なる撮像条件」とは、複数の撮像条件間において、撮像条件に採用される撮像装置323aや照明装置323bなどの要因(点灯部位、点灯色、露光時間、点灯強度など)のうち、少なくとも一つが異なることをいう。
【0024】
作業者が図1に示す入力装置321を介して撮像指示を入力すると、演算部320aは、記憶部320bの撮像プログラムを実行する。具体的には、演算部320aは、図3図4に示すように、まず、電子部品91付きの吸着ノズル326を、撮像装置323aの撮像エリアEまで移動させる。次に、演算部320aは、図5に示す撮像条件を、♯1から♯600まで全て実行する。演算部320aは、電子部品91の合成用画像A1~A600を取得する。演算部320aは、記憶部320bに、合成用データ(撮像条件♯1~♯600に関連付けられた状態の合成用画像A1~A600のデータ)を格納する。例えば、合成用画像A1は撮像条件♯1に、合成用画像A2は撮像条件♯2に、各々関連付けられた状態で記憶部320bに格納される。演算部320aは、合成用データを、画像合成装置2に送信する。
【0025】
条件取得ステップにおいては、画像合成装置2が、受信した合成用データを用いて、合成画像を作成し、検査データ作成用の適正撮像条件を取得する。以下、一例として、作業者が、撮像条件♯1~♯4を組み合わせると最適な合成画像(鮮明な合成画像)が得られると考えた場合を想定する。図6に、条件取得ステップにおける撮像条件、合成用画像、適正撮像条件、合成画像の模式図を示す。なお、図6においては、点灯している点灯部位(同軸落斜照明部51、下段部50a、中段部50b、上段部50c)、電子部品91の下面のうち明るい部分に点線ハッチングを施す。
【0026】
作業者は、入力装置21を介して、撮像条件♯1~♯4を入力する。演算部200は、記憶部201から、撮像条件♯1~♯4に関連付けられた合成用画像A1~A4を読み出す。演算部200は、合成用画像A1~A4を合成し、合成画像Bを作成する。演算部200は、表示装置22に合成画像Bを表示する。作業者は、表示装置22の合成画像Bを確認する。作業者は、表示装置22の合成画像Bが鮮明であり電子部品91の寸法データの取得に適していると判断した場合、入力装置21を介して、検査用画像として合成画像Bを承認する。演算部200は、撮像条件♯1~♯4を合成し、適正撮像条件を作成する。演算部200は、記憶部201に、適正撮像条件および合成画像Bを格納する。また、演算部200は、適正データ(合成画像B、適正撮像条件)を、電子部品実装機32に送信する。なお、条件取得ステップにおいて、作業者が検査用画像として合成画像Bを承認しない場合(合成画像Bが好適でない場合)、作業者は、合成用画像A1~A4に新たな合成用画像A5~A600を追加したり、合成用画像A1~A4のうち少なくとも一部を交換したりして、表示装置22上において、好適な合成画像Bを作成する。
【0027】
基板9の生産に先立って、電子部品実装機32の演算部320aは、カメラユニット323を駆動して、受信した適正撮像条件を用いて電子部品91を撮像し、電子部品91の寸法データを取得する。そして、検査データを完成させる。実際の基板9の生産時に、演算部320aは、カメラユニット323を駆動して、当該適正撮像条件を用いて、実際の電子部品91を撮像する。そして、検査データと電子部品91の実際の画像とを比較し、吸着ノズル326に対する電子部品91の吸着状態を検査する。
【0028】
(作用効果)
次に、本実施形態の画像合成装置2、電子部品実装機32、画像処理システム1、画像処理方法の作用効果について説明する。図6に示すように、本実施形態の画像合成装置2によると、複数の合成用画像A1~A4から、検査データの設定に適した合成画像Bを作成することができる。また、当該合成画像Bと同様の画像を実際に撮像することなく、当該合成画像Bを取得するための適正撮像条件を、簡単に取得することができる。
【0029】
図5に示すように、本実施形態の電子部品実装機32によると、複数の合成用画像A1~A600を、撮像条件♯1~♯600に関連付けられた状態で、自動的に取得することができる。このため、図6に示すように、合成画像B作成時に、簡単に適正撮像条件を取得することができる。
【0030】
図5図6に示すように、本実施形態の画像処理システム1および画像処理方法によると、画像取得ステップで、電子部品実装機32が自動的に取得した複数の合成用画像A1~A4を、条件取得ステップで、画像合成装置2が合成することにより、合成画像Bを作成することができる。また、条件取得ステップで、画像合成装置2が合成用画像A1~A4に関連付けられた撮像条件♯1~♯4を合成することにより、適正撮像条件を取得することができる。
【0031】
図1に示す画像合成装置2は、条件取得ステップにおいて、電子部品実装機32に、適正データ(合成画像B、適正撮像条件)を送信する。電子部品実装機32は、適正撮像条件で電子部品91を撮像し、電子部品91の寸法データを取得することができる。そして、電子部品実装機32は、電子部品91の検査データを完成させることができる。また、電子部品実装機32は、基板9の生産時に、電子部品91を検査する際に、適正撮像条件を用いて電子部品91を撮像することができる。適正撮像条件を用いると、合成画像B(電子部品91の形状、色などを判別しやすい画像)と同様の画像を取得することができる。このため、電子部品91の検査精度(合否判定精度)を向上させることができる。
【0032】
(その他)
以上、本開示の画像合成装置、画像取得装置、画像処理システム、画像処理方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0033】
図5に示す撮像条件に採用される撮像装置323aや照明装置323bなどの要因(点灯部位、点灯色、露光時間、点灯強度など)は特に限定しない。また、各点灯部位(同軸落斜照明部51、下段部50a、中段部50b、上段部50c)の点灯パターンは特に限定しない。図3に示す光源セルC単位で、各点灯部位を点灯させてもよい。図3に枠Dで示すように、径方向に隣り合う複数の光源セルC単位で、各点灯部位を点灯させてもよい。勿論、周方向に隣り合う複数の光源セルC単位で、各点灯部位を点灯させてもよい。また、露光時間のパターン数、点灯強度のパターン数は特に限定しない。点灯部位の配置数は特に限定しない。3箇所以下や5箇所以上であってもよい。図3に示す下段部50a、中段部50b、上段部50cの配置形状、配置段数は特に限定しない。配置形状は、多角形(四角形、六角形、八角形など)環状、円環状であってもよい。配置段数は、2段以下、4段以上であってもよい。
【0034】
電子部品実装機32は、画像取得ステップにおいて、4箇所の点灯部位が全て消灯している状態の画像を、差分用画像として取得してもよい。画像合成装置2は、条件取得ステップにおいて、図6に示す合成画像Bから差分用画像を除去してもよい。こうすると、全消灯時の画像に起因するノイズを、合成画像Bから排除することができる。このため、より鮮明な合成画像Bを取得することができる。
【0035】
図1に示す画像合成装置2と、画像取得装置(はんだ印刷機30、はんだ印刷検査機31、電子部品実装機32、リフロー前基板外観検査機33、リフロー後基板外観検査機35、カメラスタンド4)と、の通信方法は特に限定しない。有線でも無線でもよい。また、画像合成装置2と、画像取得装置と、は通信不可能でもよい。この場合、データ(例えば、合成用データ(図5に示す撮像条件♯1~♯600に関連付けられた状態の合成用画像A1~A600のデータ)、適正データ(合成画像B、適正撮像条件)など)の送受は、搬送可能な記憶媒体(フラッシュメモリ(SSD、USBフラッシュ、SDカードなど)、ハードディスク、光ディスク(CD、DVD、ブルーレイディスクなど)を介して行えばよい。また、データの送受を、クラウドストレージ(オンラインストレージ)を介して行ってもよい。
【0036】
画像合成装置2と画像取得装置とは、同一の場所に配置されていても、異なる場所に配置されていてもよい。例えば、画像合成装置2と画像取得装置とは、同一の工場に配置されていてもよい。また、画像合成装置2と画像取得装置とは、画像合成装置2または画像取得装置として、一体化されていてもよい。また、画像合成装置2と画像取得装置とは、同一のユーザー(画像合成装置2、画像取得装置のユーザー)内において、異なる場所(例えば事務所と工場)に分かれて配置されていてもよい。また、画像合成装置2と画像取得装置とは、画像取得装置のユーザーとメーカーとに分かれて配置されていてもよい。すなわち、ユーザー所有の画像取得装置の適正撮像条件や合成画像Bを、メーカー所有の画像合成装置2で、提供してもよい。この場合、ユーザー数は単数であっても複数であってもよい。
【0037】
画像合成装置2および画像取得装置のうち少なくとも一方と、合成画像Bや適正撮像条件を実際に使用する装置(実行装置)と、は同一であっても異なっていてもよい。また、適正データ(合成画像B、適正撮像条件)は、合成画像B、適正撮像条件のうち、少なくとも一方を備えていればよい。例えば、適正データは、合成画像Bのみであっても、適正撮像条件のみであってもよい。適正データが適正撮像条件を備える場合、当該適正撮像条件の使用目的(用途)は特に限定しない。例えば、電子部品実装機32が実行装置である場合は、基板9の生産時に、電子部品91を撮像し、検査用の画像を取得する際に、適正撮像条件を使用すればよい。また、電子部品91の検査データを作成する際に(電子部品91の寸法データを取得する際に)、適正撮像条件を使用すればよい。ただし、電子部品91の寸法データは、実際に電子部品91を撮像しなくても、電子部品91のCADデータなどから取得することができる。このため、電子部品実装機32は、少なくとも、基板9の生産時に、電子部品91を撮像し、検査用の画像を取得する際に、適正撮像条件を使用すればよい。また、はんだ印刷機30が実行装置である場合は、基板9のマークの検査用として、合成画像(基板本体と、基板本体の位置決めマークと、を判別しやすい画像)と同様の画像を取得するために、適正撮像条件を用いればよい。また、はんだ印刷検査機31が実行装置である場合は、はんだの検査用として、合成画像(例えば、基板本体と、はんだと、を判別しやすい画像)と同様の画像を取得するために、適正撮像条件を用いればよい。また、リフロー前基板外観検査機33やリフロー後基板外観検査機35が実行装置である場合は、基板9の外観の検査用として、合成画像(例えば、基板本体と、パッド(ランド)と、はんだと、電子部品と、を判別しやすい画像)と同様の画像を取得するために、適正撮像条件を用いればよい。カメラスタンド4が実行装置である場合は、当該カメラスタンド4の用途(例えば、はんだ印刷機30、はんだ印刷検査機31、電子部品実装機32、リフロー前基板外観検査機33、リフロー後基板外観検査機35などのカメラユニット323の代用など)に応じて、適正撮像条件を用いればよい。
【0038】
画像取得ステップにおける合成用画像A1~A600の取得数は、2枚以上であればよい。条件取得ステップにおいては、同一の合成用画像を複数枚合成してもよい。例えば、図5の合成用画像A1を2枚合成すると、点灯強度2(=1+1)の合成画像を取得することができる。条件取得ステップにおける、合成画像Bや適正撮像条件の送信先は、画像取得装置でなくてもよい。例えば、送信先は、画像取得装置以外の通信端末(PC、スマートフォン、タブレット型PCなど)であってもよい。
【0039】
図1に示す画像処理システム1の用途は限定しない。例えば、基板9の生産開始前に、基板9の生産プログラムを作成する際に用いることができる。また、基板9の生産途中で、基板構成物が変更される場合も、画像処理システム1を用いることができる。例えば、基板9の生産途中で、任意の電子部品91が、当該電子部品91と同種かつ異メーカーの電子部品91に、変更される場合がある。この場合、変更前後で電子部品91の色などが変わってしまう場合がある。このような場合であっても、画像処理システム1を用いると、変更後の電子部品91に応じた合成画像Bや適正撮像条件を取得することができる。
【0040】
本開示の「基板構成物」には、基板9を構成するあらゆる物が含まれる。例えば、基板本体、パッド、電子部品91、はんだ、フラックス、位置決めマークなどが含まれる。本開示の「適正撮像条件」は、最適撮像条件でなくてもよい。個々の合成用画像の撮像条件に対して、画像の使用目的を達成しやすい撮像条件であればよい。例えば、図6に示す合成画像B用の適正撮像条件は、最適撮像条件でなくてもよい。図5に示す個々の合成用画像A1~A600の撮像条件♯1~♯600に対して、画像の使用目的(寸法データの取得、電子部品91の検査)を達成しやすい撮像条件であればよい。少なくとも、適正撮像条件を用いて、画像の使用目的を達成できればよい。
【符号の説明】
【0041】
1:画像処理システム、2:画像合成装置、3:生産ライン、4:カメラスタンド(画像取得装置)、9:基板、20:制御装置、21:入力装置、22:表示装置、30:はんだ印刷機(画像取得装置)、31:はんだ印刷検査機(画像取得装置)、32:電子部品実装機(画像取得装置)、33:リフロー前基板外観検査機(画像取得装置)、34:リフロー炉、35:リフロー後基板外観検査機(画像取得装置)、50:側射照明部、50a:下段部、50b:中段部、50c:上段部、51:同軸落斜照明部、52:ハーフミラー、91:電子部品(基板構成物)、200:演算部、201:記憶部、320:制御装置、320a:演算部、320b:記憶部、321:入力装置、322:画像処理装置、323:カメラユニット、323a:撮像装置、323b:照明装置、324:部品供給部、325:基板搬送部、325a:ベルト、326:吸着ノズル、500:開口、A1~A600:合成用画像、B:合成画像、C:光源セル、E:撮像エリア、♯1~♯600:撮像条件
図1
図2
図3
図4
図5
図6