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特許7383710熱交換器を支持するように構成されたフレーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】熱交換器を支持するように構成されたフレーム
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/00 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
F28F9/00 C
F28F9/00 321
F28F9/00 331
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021535673
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 FR2019052884
(87)【国際公開番号】W WO2020128194
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】1873291
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ビロー
(72)【発明者】
【氏名】レミ、トゥルノワ
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル、エノン
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、アンドレ
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0323266(US,A1)
【文献】国際公開第2014/124847(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02975354(EP,A1)
【文献】特開2006-273050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却剤流体の通過のためのフランジ(22)を備える熱交換器を支持するように構成された支持フレーム(4)であって、前記フランジ(22)が通過するためのスロット(28)が生成された側壁(12)を備える、支持フレームにおいて、前記側壁(12)が、少なくとも1つのリム(34、36)を備え、前記リムは、前記側壁の法線に対して傾斜する前記フランジのための挿入経路を画定するように前記スロット(28)を少なくとも部分的に通るように配置され、前記リムはまた、前記フランジのための枢動点を形成するように構成される、支持フレーム(4)。
【請求項2】
前記側壁(12)が、前記スロット(28)を少なくとも部分的に通るように配置された2つのリム(34、36)を備え、各リムは、前記スロット(28)の対向する端部を画定する縁部から延びる、請求項1に記載の支持フレーム(4)。
【請求項3】
前記リム(34、36)それぞれが、前記側壁に連結された近位端と遠位端とを有し、各リムの前記遠位端は、前記フランジが前記支持フレーム内に置かれたときに前記フランジの表面を支持するように構成される、請求項2に記載の支持フレーム(4)。
【請求項4】
前記リム(34、36)それぞれが、前記側壁の法線に沿って相反する方向に前記側壁(12)から長手方向に突出して延びる屈曲形態を有する、請求項2または3に記載の支持フレーム(4)。
【請求項5】
前記支持フレーム(4)の内部に向かって前記側壁から長手方向に突出して延びる前記リムの前記遠位端が、前記スロット(22)内に前記枢動点を形成するために前記フランジの支持面として働くように構成される、請求項3に記載の支持フレーム(4)。
【請求項6】
前記リム(34、36)が、前記リムの遠位端が前記リムの近位端よりも前記スロット(22)の中心に近いように屈曲部分として構成される、請求項3から5のいずれか一項に記載の支持フレーム(4)。
【請求項7】
前記2つのリムの前記遠位端の2つの頂部間の最小寸法(D1)が、前記側壁の延長面と一致する投影面におけるこれらの2つの頂部間の寸法(D2)よりも大きい、請求項3、5及び6のいずれか一項に記載の支持フレーム(4)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の支持フレーム(4)と、冷却剤流体の入口または出口のためのフランジ(22)を有する少なくとも1つの熱交換器とを備え、前記フランジは、前記支持フレームのリム(34、36)によって形成された少なくとも1つの支持面を押す、フロントエンドモジュール(1)。
【請求項9】
前記フランジ(22)が、その自由端において、前記支持フレームのリム(34、36)に当接することができる少なくとも1つの縁取り部(56、58)を備える、請求項8に記載のフロントエンドモジュール。
【請求項10】
冷却剤流体のための入口/出口フランジを備えた熱交換器を請求項1から7のいずれか一項に記載の支持フレーム(4)内に組み付けるための方法であって、
前記支持フレーム(4)の側壁内に形成された前記スロット(28)内に前記フランジ(22)を挿入するステップであって、挿入位置は、前記熱交換器が組み付けの終わりに配置される平面に対して10°から80°の間の傾斜角を有する平面内にあり、前記挿入ステップは、前記リムまたは複数のリム(34、36)を回避しながら前記スロット(28)を通るように角度を付けて前記フランジをもっていく、ステップと、
次いで、最終組み付け位置を前記熱交換器に与えるために、前記スロット(28)内で前記フランジ(22)を枢動させるステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、自動車、特にハイブリッド車両または電気車両様のフロントエンドモジュールに関し、より詳細には、これらのシステム内に含まれる1つまたは複数の熱交換器を支持するように構成されたフレームを備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の様々な構成要素、特にエンジンまたはバッテリを冷却するために、冷却剤または熱伝達流体のための様々な回路を自動車に提供すること、および/または暖房、空調、および/または換気システムのための冷却回路を形成することが知られている。これらの様々な流体回路は、車両に、特に車両の前端上に嵌められた1つまたは複数の熱交換器を通過しなければならず、それにより、交換器内を循環する流体は、車両の前端を通って入る空気の流れと熱を交換することができる。
【0003】
そのようなシステムは、燃焼機関車両と電気車両またはハイブリッド車両の両方に使用される。電気車両またはハイブリッド車両では、現在の電動化は、車両の範囲を拡大しながら、車両のエンジン性能および快適性を改善するためにますます強力なバッテリを使用することを意味する。バッテリパワーの増加は、急速充電手段の研究と連動しなければならない。50kWを超える電気パワーを使用する急速充電ステーションが、知られている。しかし、そのような高いパワーでは、車両バッテリには放熱があり、放電されない場合、バッテリ寿命の低下または充電速度の制限などの不可逆的な損傷を引き起こす可能性がある。
【0004】
このような損傷を防止するために、バッテリを熱調節し、特にバッテリを冷却する必要がある。この目的のために、自動車は、従来、1つの流体から別の流体に熱量を伝達することができる熱交換システムを装備している。換気ダクトが使用されて低温の流入空気を1つまたは複数の熱交換器に案内し、その熱交換器は、換気アセンブリも封入する気密シールされた封入ケーシング内に配置することができる。
【0005】
急速充電の特定の状況では、車両は静止している。バッテリの最適な冷却を可能にするのに十分な空気流を確保するために、モータファンユニットは高速で動作し、それによってケーシング内に高い過圧を生成する。そのような過圧は、新鮮な空気、すなわち交換器を通過せずにケーシングから出る空気の漏れ、および適宜、ケーシングの外側から来る高温空気の再循環を引き起こしやすく、これは熱性能を低下させる効果を有する。したがって、特に熱交換器入口および出口パイプなどの構成要素がケーシングを通過する場合、これらの構成要素が空気漏れの原因となり得る脆弱領域を構成するため、封入ケーシングをシールすることが不可欠である。
【0006】
シーリング装置は、管がケーシングを通過する領域において、封入ケーシング内で使用されてもよい。この問題は、上述のような熱伝達流体回路はまた、燃焼機関車両の換気、暖房、または空調システムの一部を形成することができるため、電気車両およびハイブリッド車両に限定されないことに留意されたい。しかし、知られている装置には多くの欠点がある。熱交換システムを構成する様々な直径および種類の管により、これらのシーリング装置はしばしば適応させることが困難であり、これらが意図される様々な可変のゲージの管に合わせた最適なシーリングを確実にするために、特定の寸法に合わせて作製されなければならない。
【0007】
特にエラストマー製の取付具の形態の知られているシーリング装置における別の欠点は、組み付けおよび分解の複雑さである。これらの装置の多くは、特に管が封入ケーシングを通過するところで管をシールして取り付けることを確実にするためにオーバーモールド作業を必要とする場合、恒久的に取り付けられる。そのような作業は、組み付けを複雑にするだけでなく、保守または修理のためのその後の分解をより困難にする。したがって、これらの交換器の管のためにケーシング内に形成された通路開口部の近くに効果的なシーリング要素を設置することは、熱交換システムの組み付けを複雑にし得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、この文脈に含まれ、システムに関連するケーシング内に熱交換器を気密に封入するための効果的なシーリング手段を備えるフロントエンドモジュールであって、組み立てることが簡単である、フロントエンドモジュールを提案することによって、この欠点に対処することを目的とする。
【0009】
本発明は、冷却剤流体の通過のためのフランジを備える熱交換器を支持するように構成された支持フレームであって、フランジが通過するためのスロットが形成された側壁を備える、支持フレームにおいて、側壁が少なくとも1つのリムを備え、リムは、スロットの端部の近くに置かれ、側壁の法線に対して傾斜するフランジのための挿入経路を画定するようにスロットを少なくとも部分的に通るように配置され、前記リムはまた、フランジのための枢動点を形成するように構成されることを特徴とする、支持フレームを提案する。
【0010】
本発明の様々な特徴によれば、単独でまたは組み合わせて、次のことを提供することができる。
a.側壁は、スロットを少なくとも部分的に通るように配置された2つのリムを備え、各リムは、スロットの対向する端部を画定する縁から延びる。
b.リムそれぞれは、側壁に連結された近位端と自由な遠位端とを有し、各リムの自由な遠位端は、フランジが支持フレームに配置されたときにフランジの表面を支持するように構成される。
c.リムそれぞれは、前記側壁の法線に沿って相反する方向に側壁から長手方向に突出して延びる屈曲形態を有する。
d.フレームの側壁から内部に向かって長手方向に突出して延びるリムの自由遠位端は、スロット内に前記枢動点を形成するためにフランジの支持面として働くように構成される。
e.リムは、リムの遠位端がこれらの近位端よりもスロットの中心に近いように屈曲部分として構成される。
f.2つのリムの遠位端の2つの頂間の最小寸法が、側壁の延長面と一致する投影面におけるこれらの2つの頂部間の寸法よりも大きい。
【0011】
本発明はまた、前記請求項のいずれか一項に記載の支持フレームと、冷却剤流体の入口または出口のためのフランジを有する少なくとも1つの熱交換器とを備えるフロントエンドモジュールに関し、前記フランジは、前記支持フレームのリムによって形成された少なくとも1つの支持面を押す。
【0012】
フランジは、その自由端において、支持フレームのリムに当接するようになることができる少なくとも1つの縁取り部を備えることができる。
【0013】
本発明はまた、冷却剤流体の入口/出口のためのフランジを備えた熱交換器を上記で定義したような支持フレーム内に組み付けるための方法に関する。
【0014】
方法は、支持フレームの側壁内に作製されたスロット内にフランジを挿入するステップを実施し、挿入位置は、熱交換器が組み付けの終わりに配置される平面に対して10°から80°の間の傾斜角を有する平面内にあり、挿入ステップは、リムまたは複数のリムを回避しながら角度を付けてスロットを通るようにフランジをもっていくことを目的とする。
【0015】
方法はまた、側壁に対して実質的に垂直な最終組み付け位置を熱交換器に与えるために、スロット内でフランジを枢動させるステップを実施する。
【0016】
換言すれば、方法は、少なくとも2つの連続するステップを含み、第1のステップは並進運動に対応し、第2のステップは回転運動に対応する。
【0017】
本発明およびその機能の他の特徴、詳細および利点は、例示として、添付の図を参照して以下に与えられる説明を読むことによってより明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】少なくとも1つの熱交換器(ここでは図示せず)を収容する支持フレームに取り付けられる換気ダクトを備えた閉鎖構成にある、本発明の一態様によるフロントエンドモジュールの概略斜視図であり、特にフレームの第1の側面と、熱交換器のうちの1つの管の通過を可能にすることができるシーリング装置とを示す。
図2】支持フレームの内部を解放し、その中に収容された熱交換器をアクセス可能にするために換気ダクトが取り外された、開構成にある図1に示すフロントエンドモジュールの概略斜視図である。
図3図2に示す支持フレームおよび支持フレーム内に組み付けられている間の熱交換器の部分斜視図であり、斜視角は、ここでは図2に見える第1の側面とは反対側のフレームの第2の側面を示し、第2の側面は、本発明による熱交換器の流体入口フランジのレベルにシーリング装置を備える。
図4】フレームの第2の側面内に作製され図3に示す入口フランジを収容することができる開口部を示す、熱交換器無しの図3からのフレームの側面図である。
図5図4に示す断面V-Vに沿った開口部のレベルにおけるフレームの第2の側面の部分断面図である。
図6図3に示す熱交換器の、ある斜視角からの部分図であり、図4に示すフレームの第2の側面内に形成された開口部と共働するように構成された流体路フランジをより明確に示す。
図7図3に示す熱交換器の、異なる斜視角からの部分図である。
図8図5および図6に示す熱交換器のフランジを図3および図4に示すフレームのスロットに挿入する方法の第1のステップを示す図である。
図9図5および図6に示す熱交換器のフランジを図3および図4に示すフレームのスロットに挿入する方法の第2のステップを示す図である。
図10図5および図6に示す熱交換器のフランジを図3および図4に示すフレームのスロットに挿入する方法の第3のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、図は、その実施のために本発明を詳細に記載しているが、当然のことながら、必要に応じて本発明をより良く定義するために使用されてもよいことに留意されたい。図に示す本発明の実施形態は、非限定的な例として与えられていることも理解されよう。
【0020】
本発明によるフロントエンドモジュール1は、少なくとも1つの熱交換器2であって、熱交換器用の支持フレーム4によって形成された封入ケーシング内に収容される、少なくとも1つの熱交換器と、前記フレームと協働し、新鮮な空気をこのフレームの方向に案内して熱交換器を通過させるように構成された少なくとも1つの換気ダクト6とを備える。
【0021】
ホルダフレームとも呼ばれる支持フレーム4は、剛性構造、より具体的には、熱交換器2および場合によってはモータファンユニットが中に配置される表面を画定する4つの部材を備えた剛性プラスチックフレームに対応する。連続性を確保するために、換気ダクト6は、気流ダクトに対応して、シールされた形で支持フレーム4に取り付けられる。換言すれば、ホルダフレームは、換気ダクト6の連続性を確保し、または換言すれば、ホルダフレームは、流れダクト6の一部に対応する。
【0022】
上記で明記したように、本発明は、フロントエンドモジュールと、1つまたは複数の熱交換器を支持するための関連する支持フレームとに関し、フレームの側壁は、交換器のフランジの通過を可能にするように構成されたスロットを有し、スロットは、リムに関連付けられ、リムは、前記スロットの通過断面を制限し、それによって、リム間の挿入経路をフランジが辿ることができるように熱交換器の傾斜した挿入を必要とするようにし、これらのリムはまた、熱交換器をその機能位置に向けて枢動させるための支持体と、支持フレーム内に形成されたスロットを通る空気の入口または出口を低減させるためのシケインとを形成する。
【0023】
以下では、例えば図1に示すように、長手方向軸Lは、支持フレームおよび各熱交換器を通る空気流の主循環方向に平行な軸として定義され、横方向Ltおよび横方向Tの向きは、長手方向軸に垂直な向きとして定義される。
【0024】
そのようなシステム1は、特に、図1および図2にそれぞれ閉構成および開構成で概略的に示されている。熱交換器(複数可)2は、換気ダクト6の取り付けを可能にするように構成された支持フレーム4内に収容される。
【0025】
支持フレーム4および換気ダクト6は、いわゆる「閉」構成を採用するように互いに組み付けられると、熱交換器を気密に含む封入ケーシングを形成する。
【0026】
より具体的には、換気ダクト6は、自動車の前端に開口する通気口8を有し、したがって、封入ケーシング内で熱交換器2に向かって方向転換する新鮮な空気流の進入を可能にする。通気口の反対側の端部において、この換気ダクトは、図1に示す閉構成において、支持フレーム4と接触する後端面10を有する。
【0027】
図示しない方法では、支持フレームは、換気ダクトを受け入れるのとは反対側に、換気アセンブリのための支持体を形成することができ、この換気アセンブリは、フレーム上に一体的に形成された補強材と、フロントエンドモジュールを通る空気の循環を容易にするために補強材を通るように配置された電動ファンとを備える。
【0028】
支持フレーム4は、2つの側壁11、12と、壁間に1つまたは複数の熱交換器4を収容するための開放容積部を画定する2つの横断方向壁13、14とを備える。支持フレームの前端面16は、換気ダクト6、より詳細にはこの換気ダクトの後端面10と接触するように意図された面として定義され、後端面18は、換気アセンブリと接触するように意図された面として定義される。矢印AVによって示すように車両の前方に面するこの前端面16を介して、図示する例では、図1の新鮮な空気は、交換器を通過するためにフレームに入るようにもっていかれる。
【0029】
図2は、支持フレーム4内に収容することができる熱交換器の構造を示す。各熱交換器2は、交換面20と、前記交換面に対して横方向に配置された少なくとも1つのコレクタボックス21と、交換面へのまたは交換面からの流体の入口または出口のための冷却流体の通過のための少なくとも1つのフランジ22とを備え、冷却剤流体は、交換面上を通過する空気と熱量を交換するようにされる。
【0030】
各フランジ22は、交換器のコレクタボックスから、実質的に交換器の主延長面内に、すなわち前記フレーム4を画定するのに役立つ側壁11、12に対して垂直に延びる。その結果、ここには図示しない冷却剤回路との交換器の連結を可能にするフランジは、交換器がフレーム上に組み立付けられたときに画定される通路領域24内で支持フレーム4を通過するように配置される。
【0031】
フロントエンドモジュールの封入の密封性を確保し、したがって新鮮な空気の漏れ、すなわち交換器を通過せずにケーシングの外側に空気が通過すること、または熱交換器の性能を低下させる高温空気の再循環を回避するために、フロントエンドモジュール1は、フレームの第1の側壁11の通路領域24のレベルにシーリング要素26を装備する。このシーリング装置は、本発明の文脈を逸脱することなく任意の形態をとることができる。
【0032】
本発明は、第2の側壁12を示すために支持フレーム4が回転されている図3および図4により詳細に示される。
【0033】
第2の側壁12は、ここでは、正方形の肺胞を形成するようにリブが付けられる。これらの肺胞のうちの1つにおいて、支持フレーム4の第2の側壁12は、垂直端の近くに、すなわち、横断方向壁13との接合部のゾーン内に、第2の側壁12を通る通路を形成するスロット28を有する。スロット28は、側壁12に垂直または実質的に垂直な方向を有する主軸30の周りに配置される。
【0034】
スロット28は、熱交換器のフランジ22を受け入れるように設計されており、そして第1に、フランジ、したがって交換器を支持フレームに対して固定することを可能にし、第2に、熱交換器が組み付けられると十分にシールされた構造を提供するように設計されている。本発明によれば、この二重の機能は、スロット28の通路領域において、フランジおよび熱交換器のためのシケインおよび支持面を形成するリブの適切な配置のみによって達成される。したがって、支持フレームと熱交換器との間に介在される追加のシール手段を設ける必要はない。
【0035】
図3は、熱交換器を組み付ける第1のステップにおける、熱交換器のフランジ22とフレームの側壁およびスロット28との協働を示し、スロット内の熱交換器およびフランジ22の挿入方向は、スロット28の主軸30に対して角度を有する。
【0036】
図4に示すように、スロット28は、平行六面体形状の通路を画定し、一方の側では側壁12の外面31に開口し、他方の側では前記側壁の内側対向面32に開口する。
【0037】
側壁の外面31の側面には、図3に示すフランジヘッドの位置決めを可能にするためのクリアランスゾーン33が形成される。
【0038】
例えば図4に示すように、スロット28は、通路断面を低減する2つのリムによって縁取られている。第1のリム34は、支持フレーム4の外側前面16の側の、スロット28の第1の長手方向端部35に配置される。第2のリム36は、支持フレーム4の外側後面18の側の、第2の長手方向端部37において長手方向に対向して配置される。
【0039】
これらの2つのリム34、36の具体的な形態を、図5を参照してより詳細に説明する。
【0040】
断面における第1のリム34は、側壁12の外面31から突出して延びる屈曲形態の第1のタブの形状を有する。特に、第1のリム34は、第1の部分38を備え、この第1の部分は、上述したようにスロットの第1の長手方向端部のレベルにおいて、スロット28を画定する外面の縁部を延ばすように実質的に垂直に突出する。この第1の部分38は、スロット28の主軸30に平行または実質的に平行な方向に延びる。第1のリム34はまた、側壁12の反対側に第1の部分を延ばす第1の戻り縁40を備える。この第1の戻り縁40は、特に、スロット28の主軸30の方向に第1の部分を直接延ばして、スロット28の通路断面を低減する第1の戻り部分42と、第1のリムの自由端を形成する第2の戻り部分44であって、スロット28の通路断面を低減するように意図された階段形状を形成するために第1の部分38と平行に延びる、第2の戻り部分とを備える。第2の戻り部分44は、関連する熱交換器が支持フレームに組み付けられるとフランジのそれぞれの縁部を支持するための第1の支持面45および第2の支持面47を有する。第1の支持面45は、スロットの軸30の方に向きを転じ、第2の支持面47は、支持フレーム4の側壁12の反対に向きを転じる。
【0041】
断面における第2のリム36は、側壁12の内面32から突出して延びる屈曲形態の第2のタブの形状を有する。特に、第2のリム36は、第1の部分46を備え、この第1の部分は、上述のようにスロットの第1の長手方向端部のレベルで、スロット28を画定する内面の縁部を実質的に垂直な突出によって延ばす。この第1の部分46は、スロット28の主軸30に平行または実質的に平行な方向に延びる。第2のリム36はまた、スロットの主軸30の方向に第1の部分を直接延ばして、スロット28の通路断面を低減する、第2の戻り縁部48を備える。関連する熱交換器が支持フレーム内に組み付けられると、第2の戻り縁部48は、その自由端に、フランジの縁部のための支持面50を有する。
【0042】
上記から、リム34、36の遠位端、すなわち側壁から離れた自由端は、シケインを形成するようにスロット28の断面において部分的に重ねられて、通路断面と同様の形状および寸法の物体がスロットの主軸30に平行な並進運動でスロット28内に挿入されることを防止する。
【0043】
リム34、36の遠位端は、スロット28の主軸30に平行または実質的に平行な方向に、20mm~100mmの間、好ましくは40mm~70mmの間の距離だけ互いに離間していてもよい。
【0044】
上記で言及したように、スロット28は、図6および図7に示すように、熱交換器のフランジ22の通過を可能にするように構成される。熱交換器2は平行六面体の形態であり、コレクタボックス21のレベルに、長さ方向23に延びるフランジ22を備えることが想起される。フランジはまた、平行六面体の形態のものであり、熱交換器内の冷却剤流体の循環を可能にする2つのチャネル52を備える。フランジは、より具体的には、熱交換器に出入りする冷却剤流体の通過を促進するために、熱交換器の垂直端縁の近くに配置される。
【0045】
フランジ22は、その自由端54のレベルにおいて、フランジの2つの対向する縁部が縁取り部56、58によって延長されるように構成される。したがって、フランジ22は、図7で特に明確であるT字形の輪郭を有する。各縁取り部56、58について、フランジが突起するコレクタボックスの方に向きを転じる内面と、熱交換器およびコレクタボックスの反対に向きを転じる外面とが画定される。
【0046】
通路を形成するスロット28および側壁内に配置されたリムの形状は、そのようなフランジをスロット28の軸30の方向に対してある挿入角度で挿入し、次いで、スロットの軸を含む平面内に関連する熱交換器が配置される機能位置に枢動させることを可能にし、また、封入ケーシングのシーリング機能を確保するために、側壁内のフランジの周りに設けられたリムの配置を調整するように提供される。
【0047】
より詳細には、図5を参照すると、2つのリム34、36の遠位端の2つの頂部間の最小寸法D1は、側壁の延長面と一致する投影面におけるこれらの2つの頂部間の寸法D2よりも大きいことが理解される。リム間のフランジの通過を可能にするための寸法は、熱交換器が組み付けられた後のフレーム内のその機能位置に対して角度をつけて存在するときにより大きく、リムは、この傾斜した挿入が必須となるように寸法設定される。
【0048】
次に、図8図9および図10を参照して、熱交換器が支持フレーム4内に挿入される組み付け方法を参照して、この協働について説明する。
【0049】
方法は、熱交換器を図3および図8に示すように支持フレーム4内に、フランジ22の自由端54が、これが置かれることが意図されるスロット28の反対側に配置されるように配置する第1のステップを実施する。熱交換器は、図3に示すものと同様の位置、すなわち支持フレーム内の熱交換器の最終位置に対して傾斜した位置で挿入される。熱交換器の主延長面は、本方法の第1のステップ中に挿入されるとき、支持フレーム4内に組み付けられたときの熱交換器の主延長面に対して、フランジおよびスロットの軸に対して図8に示すように角度αだけ傾斜される。方法の第1のステップにおける支持フレームへの挿入時の熱交換器の傾斜角αの値は、10°から80°の間である。このようにして、熱交換器は、動作位置に位置する平面まで平行な方向に変位されず、または熱交換器は、動作位置の前記平面に対して垂直に、すなわち熱交換器を通る空気流の循環方向に平行に挿入されないことが理解される。好ましくは、傾斜角度値は、30°から45°の間にあってもよい。
【0050】
図9に示す方法の第2のステップによれば、熱交換器は次いで、フランジ22の自由端54を並進運動でスロット28に挿入するようにスロット28の方向に移動される。フランジは、フランジの縁取り部56、58が支持フレームの側壁を通過してクリアランスゾーン33内に位置するまでスロット内に導入される。
【0051】
これを達成するために、縁取り部は最初に、側壁12の内面32から突出して配置された第2のリム36を越えて通過し、故に、フレーム内に熱交換器を挿入する際にフランジを最初に位置決めする(face)ことが理解される。フランジの2つの縁取り部は、熱交換器の傾斜した挿入により、第2のリム36と、スロットの第1の長手方向端部のレベルで通路を画定する縁部との間を通過することができる。次に、縁取り部は第1のリム34を越えて通過し、この場合、最小寸法D1は、特に2つの縁取り部の突出寸法によって画定されるフランジの長手方向寸法Dよりも大きいことが理解される。
【0052】
図9および図10に示す第3のステップでは、熱交換器は、フランジの延長軸がスロット28の主軸30と平行または実質的に平行になるように枢動される。この枢動は、特に、フランジ22と支持面50との間の接触によって画定された枢動軸の周りで行われる。熱交換器の重量は、枢動中に一定の枢動軸を形成するために、フランジの側壁60と第2のリム36の支持面50との間の接触を促進することに留意されたい。枢動は、図10に示すように、フランジ22がスロット28をシールするまで継続する。より具体的には、枢動は、枢動軸を画定するように働くフランジの側壁61とは反対側のフランジの側壁60と、第1のリム34の第1の支持面45との間に接触が生じるまで継続する。この枢動が実行された後、熱交換器および関連するフランジ22は、スロット28の軸30を含む平面内に配置される。
【0053】
最後の動作では、オペレータは、スロット28が作製される側壁12とは反対の方向に熱交換器を並進移動させる。このようにして、第1の縁取り部56の内面、すなわち、枢動軸を画定するように働くフランジの側壁60とは反対側に配置された縁取り部と、第1のリム34の第2の支持面47との間で接触またはほぼ接触が達成される。
【0054】
したがって有利には、スロット28は、リム34、36がフランジの壁に接触および/または近接するように構成され、それによって支持フレーム4の側壁12を通る空気流の通過を制限し、フロントエンドモジュールの熱性能を改善する。
【0055】
本発明によるフロントエンドモジュール1は、空気流の流量を変化させるように回転可能に枢動することができるシャットオフフラップのセットを備えるシャットオフ装置をさらに備えることができ、前記シャットオフ装置は、空気流の流れに対して熱交換器の上流の換気ダクト6内に配置される。シャットオフ装置は、シャットオフフラップを保持するために軸受を有する支持フレームをさらに備える。回転軸は、シャットオフフラップが開構成から閉構成に切り替わることを可能にする。開構成は、シャットオフフラップを、空気流を適切に向ける間できるだけこれに対抗しないように(回転によって)置くことにある。閉構成は、シャットオフフラップを、その前面によって、他のシャットオフフラップと協働して空気流Fの流れに可能な限り対抗するように置くことになる。
【0056】
図示しないフロントエンドモジュール1の一実施形態によれば、熱交換器および支持フレーム4は、シャットオフ装置に対して傾斜していてもよい。換言すれば、支持フレーム4およびシャットオフ装置の中間面は、0°以外(非ゼロ)の角度、特に10°から80°の間隔、より具体的には30°から60°の間隔の角度を形成する。このような配置は、フロントエンドモジュール1の空間設置面積を低減することを可能にする。
【0057】
上記を読むことから、本発明は、支持フレームと、支持フレーム内に熱交換器をシール式に組み付けることを可能にするように構成された関連するフロントエンドモジュールであって、支持フレームが熱交換器の封入ケーシングの一部を形成する場合、追加の部材のコストに加えて組み付けの困難性も呈し得る、例えばエラストマー製のシーリング要素を設ける必要がない、フロントエンドモジュールとを提案することが理解されよう。
【0058】
しかし、本発明は、本明細書に記載および図示する手段および構成に限定されず、すべての同等の手段または構成およびそのような手段の任意の技術的に機能的な組み合わせにも及ぶ。特に、リムの形状は、異なり、熱交換器の斜めの挿入を必要とし、そして支持フレームをシールするためのシケインも形成するリブの1つによって形成された枢動軸の周りでこの熱交換器を枢動させることを可能にしてもよい。
【0059】
本発明は、追加のシーリング要素がないことを可能にするが、図示しない実施形態では、フランジが前記スロットを気密にシールすることを確実にするために、側壁の通路の周りに形成されたリムの自由端が弾性材料によって覆われてもよいことが提供され得ることに留意されたい。別の変形例では、フランジの壁は、同じ所望の追加の効果を得るために、同じ種類の材料によって覆われていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10