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特許7383721動力電池パック、エネルギー蓄積装置及び電気自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】動力電池パック、エネルギー蓄積装置及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20231113BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231113BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20231113BHJP
   H01M 50/267 20210101ALI20231113BHJP
   H01M 50/367 20210101ALN20231113BHJP
   H01M 50/35 20210101ALN20231113BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/249
H01M50/233
H01M50/267
H01M50/367
H01M50/35 201
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2021552815
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 CN2019097641
(87)【国際公開番号】W WO2020181705
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】201910176889.1
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
(72)【発明者】
【氏名】唐江▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】江文▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152249(JP,A)
【文献】特開2011-255747(JP,A)
【文献】特開2011-119222(JP,A)
【文献】特開2013-051048(JP,A)
【文献】実開昭53-062627(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102903875(CN,A)
【文献】特許第7114799(JP,B2)
【文献】中国実用新案第209249506(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容装置(200)と、前記収容装置(200)内に設置された複数の単電池(100)とを含む、動力電池パックであって、
前記収容装置(200)は、複数の収容領域を有し、
各収容領域は、第1の方向(A1)に沿って対向して設置された第1側端部(201)及び第2側端部(202)、及び前記第1側端部(201)と前記第2側端部(202)との間に設置された前記単電池(100)を有し、
異なる前記収容領域内において、第1側端部(201)と第2側端部(202)の前記第1の方向(A1)に沿った間隔が異なり、
各単電池(100)は、対向する第1の端部及び第2の端部を含み、少なくとも1つの前記単電池(100)の前記第1の端部と第2の端部との間の距離は、対応する第1側端部(201)と第2側端部(202)との間の距離に合致しており、
各単電池(100)の前記第1の端部は、対応する第1側端部(201)に固定され、各単電池(100)の前記第2の端部は、対応する第2側端部(202)に固定されることを特徴とする、動力電池パック。
【請求項2】
少なくとも1つの前記単電池(100)の前記第1の端部は、対応する第1側端部(201)に支持され、かつ、前記単電池(100)の前記第2の端部は、対応する第2側端部(202)に支持されることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記単電池(100)の長手方向は、前記第1側端部(201)及び前記第2側端部(202)に実質的に垂直であり、
各収容領域内に、前記単電池(100)の前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離はL1とし、前記第1側端部(201)の内面と前記第2側端部(202)の内面との間の距離はL2としたとき、L1/L2≧50%を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の動力電池パック。
【請求項4】
前記複数の収容領域は、中央領域(221)と、前記中央領域(221)の対向する両側に位置する両側領域(222)とを含み、
前記中央領域(221)の第1側端部(201)と第2側端部(202)との間隔が、前記両側領域(222)の第1側端部(201)と第2側端部(202)との間隔よりも大きいことにより、前記複数の収容領域が十字形構造を形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項5】
前記複数の収容領域は、第1の領域と、前記第1の領域の一側に位置する第2の領域とを含み、
前記第1の領域内の第1側端部(201)と第2側端部(202)との間隔が前記第2の領域内の第1側端部(201)と第2側端部(202)との間隔よりも大きいことにより、前記複数の収容領域がT字形構造を形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項6】
異なる収容領域内の単電池(100)が同じ体積、及び/又は、同じ容量を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項7】
前記単電池(100)は、角型電池であり、かつ長さの値(L)、厚さの値(D)、及び、前記長さの値(L)と厚さの値(D)との間にある高さの値(H)を有し、
前記単電池(100)は、横向きに配置され、前記単電池(100)の長手方向が前記第1の方向(A1)であり、厚さ方向が第2の方向(A2)であり、高さ方向が第3の方向(A3)であり、
異なる前記収容領域内の前記単電池(100)の前記高さの値(H)が同じであり、
異なる前記収容領域内の前記単電池(100)の前記長さの値(L)の比の値と、前記異なる前記収容領域内の前記単電池(100)の前記厚さの値(D)の比の値とが互いに逆数であることを特徴とする、請求項6に記載の動力電池パック。
【請求項8】
前記収容装置(200)は、車両用トレイであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項9】
前記単電池(100)の長さは、500mm~1000mmであることを特徴とする、請求項8に記載の動力電池パック。
【請求項10】
前記収容装置(200)は、電気自動車に形成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項11】
前記収容装置(200)は、下向きに凹んだチャンバー(300)を含むことを特徴とする、請求項10に記載の動力電池パック。
【請求項12】
前記チャンバー(300)は、対向する第1の側壁(301)及び第2の側壁(302)を含み、
前記第1側端部(201)は、前記チャンバー(300)の前記第1の側壁(301)及び前記第1の側壁(301)の延在部であり、
前記第2側端部(202)は、前記チャンバー(300)の前記第2の側壁(302)及び前記第2の側壁(302)の延在部であることを特徴とする、請求項11に記載の動力電池パック。
【請求項13】
前記チャンバー(300)の底部(303)は、前記第1の側壁(301)の延在部と前記第2の側壁(302)の延在部によって形成されることを特徴とする、請求項12に記載の動力電池パック。
【請求項14】
前記複数の単電池(100)は、前記第1の方向(A1)とは異なる第2の方向(A2)に沿って配列されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項15】
動力電池パックには、第3の方向(A3)に沿って、単電池(100)が複数層に配置され、各層における全ての単電池(100)は、前記第1側端部(201)と第2側端部(202)との間に位置することを特徴とする、請求項14に記載の動力電池パック。
【請求項16】
各単電池(100)は、前記第1の方向(A1)を長手方向として設置されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項17】
前記収容装置(200)は、前記第1の方向(A1)とは異なる第2の方向(A2)に沿って設置された第3側端部(203)及び第4側端部(204)をさらに含み、
前記両側領域(222)の第1側端部(201)及び第2側端部(202)の前記中央領域(221)から離れた端は、前記第3側端部(203)により接続され、
前記両側領域(222)の第1側端部(201)及び第2側端部(202)の前記中央領域(221)に近接する端は、前記第4側端部(204)により、それぞれ前記中央領域(221)の第1側端部(201)及び第2側端部(202)に接続され、
前記両側領域(222)内の単電池(100)は、第2の方向(A2)に沿って第3側端部(203)と第4側端部(204)との間に配列され、
前記中央領域(221)内の単電池(100)は、第2の方向(A2)に沿って第4側端部(204)の間に配列されることを特徴とする、請求項4に記載の動力電池パック。
【請求項18】
前記第3側端部(203)は、前記第3側端部(203)に隣接して設置された前記単電池(100)に前記両側領域(222)内に向かう作用力を加え、
前記第4側端部(204)は、前記第4側端部(204)に隣接して設置された前記単電池(100)に前記中央領域(221)内に向かう作用力を加えることを特徴とする、請求項17に記載の動力電池パック。
【請求項19】
収容装置(200)と、前記収容装置(200)内に設置された複数の単電池(100)とを含む、動力電池パックであって、
前記収容装置(200)は、複数の収容領域を有し、
各収容領域は、第1の方向(A1)に沿って対向して設置された第1側端部(201)及び第2側端部(202)、及び前記第1側端部(201)と前記第2側端部(202)との間に設置された前記単電池(100)を有し、
異なる前記収容領域内において、第1側端部(201)と第2側端部(202)の前記第1の方向(A1)に沿った間隔が異なり、
各収容領域内に、単電池(100)の第1の端部と前記第1側端部(201)との間に第1の端板(205)が設置され、
前記単電池(100)の第2の端部と前記第2側端部(202)との間に第2の端板(206)が設置され、
前記単電池(100)の第1の端部は、前記第1の端板(205)により前記第1側端部(201)に支持され、
前記単電池(100)の第2の端部は、前記第2の端板(206)により前記第2側端部(202)に支持され、
前記第1の端板(205)、前記第2の端板(206)及び前記複数の単電池(100)は、電池モジュール(400)を構成し、
前記電池モジュール(400)の前記第1の方向(A1)に沿った長さは、対応する第1側端部(201)と第2側端部(202)との間の距離に合致しており、
電池モジュール(400)の前記第1の端板(205)は、対応する第1側端部(201)に固定され、電池モジュール(400)の前記第2の端板(206)は、対応する第2側端部(202)に固定されることを特徴とする、動力電池パック。
【請求項20】
各収容領域内に、前記複数の単電池(100)の下方にモジュール底板(209)が設置され、前記モジュール底板(209)は、前記第1の端板(205)と第2の端板(206)との間に接続され、前記モジュール底板(209)、前記第1の端板(205)、前記第2の端板(206)及び前記複数の単電池(100)は、前記電池モジュール(400)を構成することを特徴とする、請求項19に記載の動力電池パック。
【請求項21】
各収容領域内に、前記複数の単電池(100)の上方にモジュール天板(210)が設置され、前記モジュール天板(210)は、前記第1の端板(205)と第2の端板(206)との間に接続され、前記モジュール天板(210)、前記モジュール底板(209)、前記第1の端板(205)、前記第2の端板(206)及び前記複数の単電池(100)は、前記電池モジュール(400)を構成することを特徴とする、請求項20に記載の動力電池パック。
【請求項22】
各収容領域内に、前記第1の端板(205)と前記第2の端板(206)との間に対向する第1の側板(207)及び第2の側板(208)が設置され、前記第1の端板(205)、第2の端板(206)、第1の側板(207)、第2の側板(208)、モジュール天板(210)、モジュール底板(209)及び前記複数の単電池(100)は、前記電池モジュール(400)を構成することを特徴とする、請求項21に記載の動力電池パック。
【請求項23】
各収容領域内に、前記複数の単電池(100)の下方にモジュール底板(209)が設置され、前記単電池は、前記モジュール底板(209)により前記第1側端部(201)及び第2側端部(202)に支持され、前記モジュール底板(209)及び前記複数の単電池(100)は、電池モジュール(400)を構成することを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項24】
前記第1の方向(A1)とは異なる第2の方向(A2)に沿って、各収容領域内の前記電池モジュール(400)は、少なくとも2つであることを特徴とする、請求項19~23のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項25】
前記動力電池パックには、第3の方向(A3)に沿って、前記電池モジュール(400)が複数層に配置されることを特徴とする、請求項19~23のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項26】
前記単電池(100)は、直方体構造の角型電池であり、かつ長さの値(L)、厚さの値(D)、及び前記長さの値(L)と厚さの値(D)との間にある高さの値(H)を有し、各前記単電池(100)は、横向きに配置され、各前記単電池(100)の長手方向が前記第1の方向(A1)であり、厚さ方向が第2の方向(A2)であり、高さ方向が第3の方向(A3)であり、各収容領域内の隣接する2つの前記単電池(100)は、幅広面が幅広面に面するように配列されることを特徴とする、請求項14又は15に記載の動力電池パック。
【請求項27】
前記単電池(100)の長さの値(L)と厚さの値(D)との比は、50≦L/D≦70を満たすことを特徴とする、請求項26に記載の動力電池パック。
【請求項28】
各収容領域内において、前記第1側端部(201)は第1の支持段差(211)を含み、前記第2側端部(202)は第2の支持段差(212)を含み、各単電池(100)の前記第1の端部は、対応する第1の支持段差(211)に支持され、各単電池(100)の前記第2の端部は、対応する第2の支持段差(212)に支持されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項29】
前記第1側端部(201)は第1の固定部(213)を含み、前記第2側端部(202)は第2の固定部(214)を含み、各単電池(100)の前記第1の端部は、前記第1の固定部(213)に固定され、各単電池(100)の前記第2の端部は、前記第2の固定部(214)に固定されることを特徴とする、請求項28に記載の動力電池パック。
【請求項30】
前記単電池(100)の第1の電極(101)は、前記単電池(100)の前記第1側端部(201)に向かう前記第1の端部から引き出され、
前記単電池(100)の第2の電極(102)は、前記単電池(100)の前記第2側端部(202)に向かう前記第2の端部から引き出されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の動力電池パック。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項に記載の動力電池パックを含むことを特徴とする、電気自動車。
【請求項32】
請求項1~30のいずれか一項に記載の動力電池パックを含むことを特徴とする、エネルギー蓄積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2019年3月8日に提出された中国特許出願第201910176889.1号に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、動力電池パックの技術分野に関し、具体的には、動力電池パック、該動力電池パックを使用するエネルギー蓄積装置、及び該動力電池パックを使用する電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、動力電池パックは、主に収容装置と、収容装置内に取り付けられた複数の電池モジュールとを含み、電池モジュールは、主に複数の単電池で組み立てられ、収容装置は、一般的に底板及び側部梁を含み、側部梁が底板の周囲に設置される。収容装置に十分な強度を備えさせ、電池モジュールの取付を容易にするために、通常、側部梁の間に複数の横梁及び縦梁が設置され、複数の横梁及び縦梁は、側部梁及び底板と共に、複数の電池モジュールを収容するための複数の収容空間を画定し、各電池モジュールは、対応する収容空間内に配置される。
【0004】
上記動力電池パックは、少なくとも以下の4つの欠点を有する。
【0005】
一、横梁と縦梁が存在するため、収容装置の体積利用率が低く、体積利用率が約40%であり、取付可能な単電池の数が限られ、動力電池パックの航続能力を効果的に向上させることができない。
【0006】
二、従来の動力電池パックでは、複数の電池モジュールを含み、組立過程において、各電池モジュールを横梁に固定する必要があり、複数のねじなどの締結具を用いてモジュールを締結する必要があり、また、横梁又は縦梁が一定の重量を有するため、収容装置の重量が増加する。
【0007】
三、収容装置内に横梁及び縦梁が設置されるため、構造が複雑であり、収容装置の製造プロセスの複雑さを増加させる。
【0008】
四、単電池を収容装置内に配置する前に電池モジュールに組み立てる必要があり、操作ステップが複雑である。
【0009】
また、電池モジュールの配置を容易にするために、通常、収容装置は、正方形又は長方形に設計され、車体シャーシの形状との適合度が低く、車体シャーシの取付面積の利用率が低くなることにより、車体に取り付けられた単電池の数が減少して、車両の航続能力を弱める。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、動力電池パック、該動力電池パックを使用するエネルギー蓄積装置、及び該電源電池パックを使用する電気自動車を提供し、該動力電池パックは、収容装置の体積利用率を効果的に向上させ、かつ動力電池パックの航続能力を向上させることができる。
【0011】
上記目的を実現するために、本開示に係る動力電池パックは、収容装置と、前記収容装置内に設置された複数の単電池とを含み、前記収容装置は、複数の収容領域を有し、各収容領域は、それぞれ第1の方向に沿って対向して設置された第1側端部及び第2側端部、及び前記第1側端部と前記第2側端部との間に設置された前記単電池を有し、異なる前記収容領域内に、前記第1側端部と第2側端部の前記第1の方向に沿った間隔が異なり、各単電池は、対向する第1の端部及び第2の端部を含み、少なくとも1つの前記単電池の前記第1の端部と第2の端部との間の距離は、対応する第1側端部と第2側端部との間の距離に合わせる。
【0012】
本開示のいくつかの実施例において、少なくとも1つの前記単電池の前記第1の端部は、対応する第1側端部に支持され、かつ該単電池の前記第2の端部は、対応する第2側端部に支持される。
【0013】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池は、長手方向に前記第1側端部及び第2側端部にほぼ垂直であり、各収容領域内に、前記単電池の前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離はL1であり、前記第1側端部の内面と前記第2側端部の内面との間の距離はL2であり、L1/L2≧50%を満たす。
【0014】
本開示のいくつかの実施例において、前記複数の収容領域は、中央領域と、前記中央領域の対向する両側に位置する両側領域とを含み、前記複数の収容領域は、前記中央領域内の第1側端部と第2側端部との間隔が前記両側領域内の第1側端部と第2側端部との間隔よりも大きいことにより、十字形構造を構成する。
【0015】
本開示のいくつかの実施例において、前記複数の収容領域は、第1の領域と、前記第1の領域の一側に位置する第2の領域とを含み、前記複数の収容領域は、前記第1の領域内の第1側端部と第2側端部との間隔が前記第2の領域内の第1側端部と第2側端部との間隔よりも大きいことにより、T字形構造を構成する。
【0016】
本開示のいくつかの実施例において、異なる前記収容領域内の前記単電池の体積及び容量のうちの少なくとも1つが同じである。
【0017】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池は、角型電池であり、かつ長さ、厚さ、及び前記長さと厚さとの間にある高さを有し、前記単電池は、横向きに配置され、前記単電池の長手方向が前記第1の方向であり、厚さ方向が第2の方向であり、高さ方向が第3の方向であり、異なる前記収容領域内の前記単電池の前記高さが同じであり、前記長さと前記厚さとの比が互いに逆数である。
【0018】
本開示のいくつかの実施例において、前記収容装置は、車両用トレイである。
【0019】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池の長さは、500mm~1000mmである。
【0020】
本開示のいくつかの実施例において、前記収容装置は、電気自動車に形成される。
【0021】
本開示のいくつかの実施例において、前記収容装置は、下向きに凹んだチャンバーである。
【0022】
本開示のいくつかの実施例において、前記チャンバーは、対向する第1の側壁及び第2の側壁を含み、前記第1側端部は、前記チャンバーの前記第1の側壁及び前記第1の側壁の延在部であり、前記第2側端部は、前記チャンバーの前記第2の側壁及び前記第2の側壁の延在部である。
【0023】
本開示のいくつかの実施例において、前記第1の側壁の延在部と前記第2の側壁の延在部は、前記チャンバーの底部を形成する。
【0024】
本開示のいくつかの実施例において、80%≦L1/L2≦97%を満たす。
【0025】
本開示のいくつかの実施例において、前記複数の単電池は、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列される。
【0026】
本開示のいくつかの実施例において、前記動力電池パックには、第3の方向に沿って、前記複数の単電池が複数層に配置され、各層における前記複数の単電池は、いずれも前記第1側端部と第2側端部との間に位置する。
【0027】
本開示のいくつかの実施例において、各単電池は、前記第1の方向を長手方向として設置される。
【0028】
本開示のいくつかの実施例において、前記収容装置は、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って設置された第3側端部及び第4側端部をさらに含み、前記両側領域の第1側端部及び第2側端部の前記中央領域から離れた端部は、前記第3側端部により接続され、前記両側領域の第1側端部及び第2側端部の前記中央領域に近接する端部は、前記第4側端部により、それぞれ前記中央領域の第1側端部及び第2側端部に接続され、前記両側領域内の単電池は、第2の方向に沿って前記第3側端部と第4側端部との間に配列され、前記中央領域内の単電池は、第2の方向に沿って前記第4側端部の間に配列される。
【0029】
本開示のいくつかの実施例において、前記第3側端部は、前記第3側端部に隣接して設置された前記単電池に前記両側領域内に向かう作用力を加え、前記第4側端部は、前記第4側端部に隣接して設置された前記単電池に前記中央領域内に向かう作用力を加える。
【0030】
本開示のいくつかの実施例において、各単電池の前記第1の端部は、対応する第1側端部に固定され、各単電池の前記第2の端部は、対応する第2側端部に固定される。
【0031】
本開示のいくつかの実施例において、各収容領域内に、前記複数の単電池のうちの少なくとも一部の単電池の第1の端部と前記第1側端部との間に第1の端板が設置され、前記複数の単電池のうちの少なくとも一部の単電池の第2の端部と前記第2側端部との間に第2の端板が設置され、前記少なくとも一部の単電池の第1の端部は、前記第1の端板により前記第1側端部に支持され、前記少なくとも一部の単電池の第2の端部は、前記第2の端板により前記第2側端部に支持され、前記第1の端板、前記第2の端板及び前記少なくとも一部の単電池は、電池モジュールを構成する。
【0032】
本開示のいくつかの実施例において、各収容領域内に、前記複数の単電池のうちの少なくとも一部の単電池の下方にモジュール底板が設置され、前記モジュール底板は、前記第1の端板と第2の端板との間に接続され、前記モジュール底板、前記第1の端板、前記第2の端板及び前記少なくとも一部の単電池は、前記電池モジュールを構成する。
【0033】
本開示のいくつかの実施例において、各収容領域内に、前記複数の単電池のうちの少なくとも一部の単電池の上方にモジュール天板が設置され、前記モジュール天板は、前記第1の端板と第2の端板との間に接続され、前記モジュール天板、前記モジュール底板、前記第1の端板、前記第2の端板及び前記少なくとも一部の単電池は、前記電池モジュールを構成する。
【0034】
本開示のいくつかの実施例において、各収容領域内に、前記第1の端板と前記第2の端板との間に対向する第1の側板及び第2の側板が設置され、前記第1の端板、第2の端板、第1の側板、第2の側板、モジュール天板、モジュール底板及び前記少なくとも一部の単電池は、前記電池モジュールを構成する。
【0035】
本開示のいくつかの実施例において、各収容領域内に、前記複数の単電池のうちの少なくとも一部の単電池の下方にモジュール底板が設置され、前記少なくとも一部の単電池は、前記モジュール底板により前記第1側端部及び第2側端部に支持され、前記モジュール底板及び前記少なくとも一部の単電池は、電池モジュールを構成する。
【0036】
本開示のいくつかの実施例において、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、各収容領域内の前記電池モジュールは、少なくとも2つである。
【0037】
本開示のいくつかの実施例において、前記動力電池パックには、第3の方向に沿って、前記電池モジュールが複数層に配置される。
【0038】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池は、直方体構造の角型電池であり、かつ長さ、厚さ、及び前記長さと厚さとの間にある高さを有し、各前記単電池は、横向きに配置され、各前記単電池の長手方向が前記第1の方向であり、厚さ方向が第2の方向であり、高さ方向が第3の方向であり、各収容領域内の隣接する2つの前記単電池は、幅広面が幅広面に面するように配列される。
【0039】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池の長さLと厚さDとの比は、50≦L/D≦70を満たす。
【0040】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池の表面積Sと体積Vとの比は、0.15≦S/V≦0.2を満たす。
【0041】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池の表面積SとエネルギーEとの比は、250≦S/E≦400を満たす。
【0042】
本開示のいくつかの実施例において、各収容領域内に、前記第1側端部に第1の支持段差が設置され、前記第2側端部に第2の支持段差が設置され、各単電池の前記第1の端部は、対応する第1の支持段差に支持され、各単電池の前記第2の端部は、対応する第2の支持段差に支持される。
【0043】
本開示のいくつかの実施例において、前記第1側端部に第1の固定部が設置され、前記第2側端部に第2の固定部が設置され、各単電池の前記第1の端部は、前記第1の固定部に固定され、各単電池の前記第2の端部は、前記第2の固定部に固定される。
【0044】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池は、金属製ケースを有する角型電池である。
【0045】
本開示のいくつかの実施例において、前記モジュール底板と前記単電池との間に断熱層が設置される。
【0046】
本開示のいくつかの実施例において、前記モジュール天板と前記単電池との間に熱伝導板が設置される。
【0047】
本開示のいくつかの実施例において、前記モジュール天板は、内部に冷却構造が設置された液冷板又は直冷板である。
【0048】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池の第1の電極は、前記単電池の前記第1側端部に向かう前記第1の端部から引き出され、前記単電池の第2の電極は、前記単電池の前記第2側端部に向かう前記第2の端部から引き出される。
【0049】
本開示のいくつかの実施例において、前記単電池の前記第1側端部に向かう前記第1の端部に防爆弁が設置され、前記第1側端部の内部に排気通路が設置され、前記第1側端部の、各単電池の前記防爆弁に対応する位置にいずれも吸気口が設置され、前記吸気口が前記排気通路に連通し、前記収容装置に前記排気通路に連通する排気孔が設置され、或いは、前記単電池の前記第2側端部に向かう前記第2の端部に防爆弁が設置され、前記第2側端部の内部に排気通路が設置され、前記第2側端部の、各単電池の前記防爆弁に対応する位置にいずれも吸気口が設置され、前記吸気口が前記排気通路に連通し、前記収容装置に前記排気通路に連通する排気孔が設置され、或いは、前記単電池の前記第1側端部に向かう前記第1の端部と前記第2側端部に向かう前記第2の端部にいずれも防爆弁が設置され、前記第1側端部と前記第2側端部の内部にいずれも排気通路が設置され、前記第1側端部の、各単電池の前記防爆弁に対応する位置にいずれも吸気口が設置され、前記第2側端部の、各単電池の前記防爆弁に対応する位置にいずれも吸気口が設置され、前記吸気口が対応する前記排気通路に連通し、前記収容装置に前記排気通路に連通する排気孔が設置される。
【0050】
本開示のいくつかの実施例において、前記第1の方向は、車体の幅方向であり、前記第2の方向は、車体の長手方向であり、或いは、前記第1の方向は、車体の長手方向であり、前記第2の方向は、車体の幅方向である。
【0051】
上記技術手段により、本開示において、単電池の第1の端部と第2の端部が第1側端部と第2側端部に嵌合し、すなわち、単電池が、収容装置の対向して設置された第1側端部と第2側端部との間に延在することにより、従来技術における収容装置内の横梁又は縦梁の使用を低減し、更に収容装置内に横梁又は縦梁を使用しなくてよく、横梁又は縦梁が収容装置に占める空間を低減し、収容装置の空間利用率を向上させ、可能な限りより多くの単電池を収容装置内に配置して、動力電池パック全体の容量、電圧及び航続能力を向上させることができる。例えば、電気自動車において、この設計は、空間利用率を従来の40%程度から60%以上、更にそれ以上、例えば80%に向上させることができる。
【0052】
そして、収容装置内に横梁又は縦梁を配置する必要がないため、収容装置の製造プロセスを簡略化し、単電池の組立の複雑度を低減し、生産コストを低減する一方、収容装置及び動力電池パック全体の重量を軽減し、動力電池パックの軽量化を実現する。特に、動力電池パックが電気自動車に取り付けられると、電気自動車の航続能力を向上させ、電気自動車の軽量化を実現することもできる。
【0053】
また、従来技術における単電池と比較して、本開示に係る単電池は、第1側端部と第2側端部との間に延在し、単電池自体は、収容装置の構造強度を補強するための横梁又は縦梁として機能することができ、すなわち、収容装置内にその構造強度を補強するための補強構造を設置する必要がなく、補強構造の代わりに単電池自体のままで収容装置の構造強度を保証し、収容装置が外力の作用下で変形しにくいことを確保することができる。そして、体積が一定である場合、従来技術における単電池の寸法が小さく、長さが短いため、単電池の対向する両端が収容装置内の対向して設置された2つの側端部に嵌合することができず、しかしながら、本開示における単電池の第1の方向に沿った長さが長いため、第1の方向とは異なる第2の方向に沿った厚さを薄くすることにより、単一の単電池の表面積を従来技術における単電池の表面積よりも大きくして、単電池の放熱面積を大きくし、単電池の放熱速度を向上させ、さらに動力電池パック全体の安全性を向上させ、動力電池パックをより安全で確実にすることができる。
【0054】
また、本開示において、収容装置は、複数の収容領域をさらに有し、かつ各収容領域内の第1側端部と第2側端部の第1の方向に沿った間隔が異なり、すなわち、収容装置は、形状や寸法の大きさが異なる複数の収容領域を有し、動力電池パックが電気自動車に取り付けられる場合、収容装置の構造及び形状は、動力電池パックの電気自動車での取付空間の構造及び形状に適合することができ、例えば、動力電池パックが車体シャーシに取り付けられる場合、収容装置が車体シャーシの形状に適合することにより、可能な限り多くの単電池を配置して、電気自動車の航続能力を向上させることができる。
【0055】
本開示の別の態様に係る電気自動車は、上記動力電池パックを含む。
【0056】
本開示のいくつかの実施例において、前記動力電池パックは、前記電気自動車の底部に設置され、前記収容装置は、前記電気自動車のシャーシに固定接続される。
【0057】
本開示のいくつかの実施例において、前記電気自動車は、前記電気自動車の底部に設置された1つの動力電池パックを含み、前記収容装置は、前記電気自動車のシャーシに固定接続され、前記複数の単電池は、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列され、前記第1の方向は、前記電気自動車の車体の幅方向であり、前記第2の方向は、前記電気自動車の車体の長手方向である。
【0058】
本開示のいくつかの実施例において、前記複数の収容領域は、中央領域と、前記中央領域の対向する両側に位置する両側領域とを含み、前記収容領域は、前記中央領域の第1側端部と第2側端部との間隔が前記両側領域の第1側端部と第2側端部との間隔よりも大きいことにより、十字形構造を呈し、前記両側領域の前記第2の方向に沿った外側は、前記電気自動車の車輪領域に対応する。
【0059】
本開示のいくつかの実施例において、前記中央領域の前記第1の方向の幅L3と車体幅Wとの比は、50%≦L3/W≦80%を満たす。
【0060】
本開示のいくつかの実施例において、前記中央領域内の単電池の前記第1の方向の長さL4と車体幅Wとの比は、40%≦L4/W≦70%を満たす。
【0061】
本開示のさらに別の態様に係るエネルギー蓄積装置は、上記動力電池パックを含む。
【0062】
本開示の他の特徴及び利点については、以下の具体的な実施形態において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図面は、本開示の理解を提供し、かつ明細書の一部を構成するものであり、以下の具体的な実施形態と共に本開示を解釈するものであるが、本開示を限定するものではない。
【0064】
図1】従来技術に係る動力電池パックの分解組立図である。
図2】本開示の一実施形態に係る単電池の立体構造概略図である。
図3】本開示の一実施形態に係る動力電池パックの立体構造概略図である。
図4】本開示の一実施形態に係る動力電池パックの上面図である。
図5】本開示の一実施形態に係る動力電池パックの分解図である。
図6】本開示の一実施形態に係る収容装置の立体構造概略図である。
図7】本開示の別の実施形態に係る収容装置の立体構造概略図である。
図8図7におけるA部分の拡大図である。
図9】本開示の一実施形態に係る電池モジュールの立体構造概略図である。
図10】本開示の別の実施形態に係る動力電池パックの立体構造概略図であり、各収容領域内の電池モジュールが複数である。
図11】本開示のさらに別の実施形態に係る動力電池パックの立体構造概略図であり、各収容領域内の電池モジュールが多層である。
図12】本開示の一実施形態に係る動力電池パックの断面斜視図である。
図13図12におけるB部分の拡大図である。
図14】本開示の一実施形態に係る電池モジュールの分解図である。
図15】本開示の一実施形態に係る第1の側板又は第2の側板の立体構造概略図である。
図16】本開示の一実施形態に係る第1の端板又は第2の端板の立体構造概略図である。
図17】本開示の一実施形態に係る動力電池パックの断面図であり、第1側端部と第2側端部が図示されていない。
図18】本開示の一実施形態に係る収容装置(チャンバー)が電気自動車に形成されている場合の立体構造概略図である。
図19】本開示の一実施形態に係るチャンバーの断面図である。
図20】本開示の一実施形態に係る収容装置(車両用トレイ)が電気自動車に固定されている場合の分解図である。
図21】本開示の電気自動車の概略構成図である。
図22】本開示のエネルギー蓄積装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、図面を参照しながら本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記述した具体的な実施形態は、本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0066】
本開示において、逆に説明しない場合に、使用される方位用語、例えば「上、下、左、右、天、底」などによって示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有し、特定の方位において構成され、操作されなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本開示を限定するものとして理解してはならず、また、「内、外」は、対応する部件及び構造の輪郭の内側と外側を意味する。
【0067】
また、「第1の」、「第2の」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を示唆するものとして理解してはならない。
【0068】
また、本開示において、電気自動車を説明するときに使用される方位用語「前、後、左、右」は、一般的に車両自体の前、後、左、右を指し、本開示のいくつかの実施例において、左車輪に向かう方向が左であり、右車輪に向かう方向が右であり、車のヘッドに向かう方向が前であり、車のテールに向かう方向が後である。
【0069】
図2図20に示すように、本開示の一態様に係る動力電池パック700は、収容装置200と、収容装置200内に設置された複数の単電池100とを含み、収容装置200は、複数の収容領域を有し、各収容領域は、それぞれ第1の方向A1に沿って対向して設置された第1側端部201及び第2側端部202、及び第1側端部201と第2側端部202との間に設置された単電池100を有し、異なる収容領域内に、第1側端部201と第2側端部202の第1の方向A1に沿った間隔が異なり、異なる形状や寸法の収容領域を構成し、各単電池100は、対向する第1の端部及び第2の端部を含み、少なくとも1つの単電池100の第1の端部と第2の端部との間の距離は、対応する第1側端部201と第2側端部202との間の距離に合わせる。
【0070】
換言すれば、各単電池100は、第1側端部201と第2側端部202との間に延在し、複数の単電池100は、第1側端部201と第2側端部202の長手方向に沿って配列され、すなわち、第2の方向A2に沿って配列される。本開示のいくつかの実施例において、収容装置200は、複数であってもよく、1つであってもよい。ここで、上述した「合わせる」とは、2つの側端部又は下記2つの側壁の間の間隔により1つの単電池100を取り付けることができることを意味し、このような合わせは、本開示の目的を達成するために、すきま嵌め、締まり嵌め、きつい嵌め、固定嵌合などの様々な嵌合形態とすることができる。
【0071】
従来技術において、単電池の寸法が小さく、長さが短いため、単電池の対向する両端が、収容装置200内の対向して設置された2つの側部梁に嵌合することができないため、収容装置200内に横梁500又は縦梁600(図1に示す)を設置する必要があり、このように、単電池の組立が容易になる。単電池を電池モジュール400の形態で収容装置200内に取り付けた後、収容装置200の第1の方向A1に沿って複数の単電池が存在し、すなわち、単電池は、対向して設置された2つの側端部の間に延在することなく、対向して設置された2つの横梁500又は縦梁600の間に延在し、電池モジュール400は、締結具により隣接する横梁500に固定され、又は締結具により隣接する縦梁600に固定され、又は締結具により隣接する横梁500及び縦梁600に固定される。
【0072】
従来技術における収容装置200内に横梁500又は縦梁600が設置され、横梁500又は縦梁600が、収容装置200内の、単電池を収容するための取付空間を多く占めるため、収容装置200の体積利用率が低くなり、一般的には、収容装置200の体積利用率が約40%であり、更にそれ以上低く、すなわち、従来技術における収容装置200内に、単電池を取り付けるための空間が40%程度のみであるため、収容装置200内に収容可能な単電池の数が限られ、動力電池パック700全体の容量、電圧が制限され、動力電池パック700の航続能力が低い。
【0073】
しかしながら、本開示において、単電池100の第1の端部と第2の端部が第1側端部201と第2側端部202に嵌合し、すなわち、単電池100が、収容装置200の対向して設置された第1側端部201と第2側端部202との間に延在することにより、従来技術における収容装置200内の横梁500又は縦梁600の使用を低減し、更に収容装置200内に横梁500又は縦梁600を使用しなくてよく、横梁500又は縦梁600が収容装置200に占める空間を低減し、収容装置200の空間利用率を向上させ、可能な限りより多くの単電池100を収容装置200内に配置して、動力電池パック700全体の容量、電圧及び航続能力を向上させることができる。例えば、電気自動車800において、この設計は、空間利用率を従来の40%程度から60%以上、更にそれ以上、例えば80%に向上させることができる。
【0074】
そして、収容装置200内に横梁500又は縦梁600を配置する必要がないため、収容装置200の製造プロセスを簡略化し、単電池100の組立の複雑度を低減し、生産コストを低減する一方、収容装置200及び動力電池パック700全体の重量を軽減し、動力電池パック700の軽量化を実現する。特に、動力電池パック700が電気自動車800に取り付けられると、電気自動車800の航続能力を向上させ、電気自動車800の軽量化を実現することもできる。
【0075】
また、従来技術における単電池と比較して、本開示に係る単電池100は、第1側端部201と第2側端部202との間に延在し、単電池100自体は、収容装置200の構造強度を補強するための横梁又は縦梁として機能することができ、すなわち、収容装置内にその構造強度を補強するための補強構造を設置する必要がなく、補強構造の代わりに単電池100自体のままで収容装置200の構造強度を保証し、収容装置200が外力の作用下で変形しにくいことを確保することができる。そして、体積が一定である場合、従来技術における単電池の寸法が小さく、長さが短いため、単電池100の対向する両端が収容装置200内の対向して設置された2つの側端部に嵌合することができず、しかしながら、本開示における単電池100の第1の方向A1に沿った長さが長いため、第1の方向A1とは異なる第2の方向A2に沿った厚さを薄くすることにより、単一の単電池100の表面積を従来技術における単電池の表面積よりも大きくして、単電池100の放熱面積を大きくし、単電池100の放熱速度を向上させ、さらに動力電池パック700全体の安全性を向上させ、動力電池パック700をより安全で確実にすることができる。
【0076】
また、本開示において、収容装置200は、複数の収容領域をさらに有し、かつ各収容領域内の第1側端部201と第2側端部202の第1の方向A1に沿った間隔が異なり、すなわち、収容装置200は、形状や寸法の大きさが異なる複数の収容領域を有し、動力電池パック700が電気自動車800に取り付けられる場合、収容装置200の構造及び形状は、動力電池パック700の電気自動車800での取付空間の構造及び形状に適合することができ、例えば、動力電池パック700が車体シャーシに取り付けられる場合、収容装置200が車体シャーシの形状に適合することにより、可能な限り多くの単電池100を配置して、電気自動車800の航続能力を向上させることができる。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの単電池100の第1の端部は、対応する第1側端部201に支持され、かつ該単電池100の第2の端部は、対応する第2側端部202に支持される。単電池100の第1の端部と第2の端部は、それぞれ第1側端部201と第2側端部202に配置されてもよく、第1側端部201と第2側端部202に固定されてもよく、具体的な固定態様について詳細に後述し、特定の支持及び固定形態に対して、本開示は限定しない。
【0078】
支持は、直接支持であっても間接支持であってもよく、直接とは、単電池100の第1の端部と第1側端部201とが直接接触して嵌合支持され、単電池100の第2の端部と第2側端部202とが直接接触して嵌合されることを意味し、間接とは、例えば、いくつかの実施例において、単電池100の第1の端部が第1の端板205により第1側端部201に嵌合支持され、単電池100の第2の端部が第2の端板206により第2側端部202に嵌合支持されることを意味する。
【0079】
本開示に係るいくつかの例示的な実施形態において、各単電池100の第1の端部は、対応する第1側端部201に固定され、各単電池100の第2の端部は、対応する第2側端部202に固定され、固定接続方式は、第3の方向A3に単電池100に対して支持作用を果たす一方、全体構造の安定性及び堅牢性を向上させることができる。ここで、固定方式は複数種あり、例えば、各単電池100の第1の端部は、締結具により第1側端部201に取り外し可能に固定され、第2の端部は、締結具により第2側端部202に取り外し可能に固定され、或いは、各単電池100の第1の端部と第2の端部は、溶接方式により、それぞれ第1側端部201又は第2側端部202に固定され、或いは、各単電池100の第1の端部と第2の端部は、ディスペンス方式でそれぞれ第1側端部201又は第2側端部202に固定される。
【0080】
なお、上述及び後述する、第1側端部201と第2側端部202が対向して設置されるとは、第1側端部201が互いに平行であっても角度をなして設置されてもよく、直線構造であっても曲線構造であってもよいことを意味する。単電池100は、第1側端部201に垂直であっても、第2側端部202に垂直であっても、第1側端部201と鋭角又は鈍角をなして設置されても、第2側端部202と鋭角又は鈍角をなして設置されてもよい。例えば、第1側端部201及び第2側端部202が互いに平行である場合、第1側端部201及び第2側端部202で構成される収容装置200は、矩形、正方形、平行四辺形、扇形などの構造とすることができ、第1側端部201及び第2側端部202が角度をなす場合、第1側端部201及び第2側端部202で構成される収容装置200は、台形、三角形などの構造とすることができる。本開示は、第1側端部201と第2側端部202との間の角度関係、及び単電池100と第1側端部201及び第2側端部202との間の角度関係を限定しない。
【0081】
第1側端部201と第2側端部202が互いに平行である実施例について、異なる収容領域内に、第1側端部201と第2側端部202との間の距離は、寸法が急激に変化し、第1側端部201と第2側端部202が角度を呈して設置される実施例について、異なる収容領域内に、第1側端部201と第2側端部202との間の距離は、寸法が徐々に変化し、このとき、第1側端部201と第2側端部202との間の間隔は、該収容領域内の第1側端部201と第2側端部202との間の間隔の平均値を意味する。
【0082】
また、第1側端部201と第2側端部202が収容装置200の第1の方向A1に沿って対向する両側に位置するとは、第1側端部201と第2側端部202が収容装置200の第1の方向A1に沿った最も側方に位置し、すなわち、第1側端部201と第2側端部202が収容装置200の最も外側であることを意味する。
【0083】
また、上述及び後述した単電池100の「第1の端部」及び「第2の端部」は、単電池100の方位を説明するためのものであり、単電池100の具体的な構造を限定して説明するためのものではなく、例えば、第1の端部及び第2の端部は、単電池100の正極及び負極を限定して説明するためのものではなく、すなわち、本開示では、単電池100の第1側端部201に嵌合された端部が第1の端部であり、単電池100の第2側端部202に嵌合された端部が第2の端部である。
【0084】
単電池100は、様々な実施形態により第1側端部201と第2側端部202との間に取り付けられ、例えば、本開示のいくつかの実施形態において、各単電池100の第1の端部は、対応する第1側端部201に支持され、各単電池100の第2の端部は、対応する第2側端部202に支持される。単電池100の第1の端部と第2の端部は、それぞれ第1側端部201と第2側端部202に配置されてもよく、第1側端部201と第2側端部202に固定されてもよく、具体的な固定態様について詳細に後述し、特定の支持及び固定形態に対して、本開示は限定しない。
【0085】
支持は、直接支持であっても間接支持であってもよく、直接とは、単電池100の第1の端部と第1側端部201とが直接接触して嵌合支持され、単電池100の第2の端部と第2側端部202とが直接接触して嵌合されることを意味し、間接とは、例えば、いくつかの実施例において、単電池100の第1の端部が第1の端板205により第1側端部201に嵌合支持され、単電池100の第2の端部が第2の端板206により第2側端部202に嵌合支持されることを意味する。
【0086】
本開示に係るいくつかの例示的な実施形態において、各単電池100の第1の端部は、対応する第1側端部201に固定され、各単電池100の第2の端部は、対応する第2側端部202に固定され、固定接続方式は、第3の方向A3に単電池100に対して支持作用を果たす一方、全体構造の安定性及び堅牢性を向上させることができる。ここで、固定方式は複数種あり、例えば、各単電池100の第1の端部は、締結具により第1側端部201に取り外し可能に固定され、第2の端部は、締結具により第2側端部202に取り外し可能に固定され、或いは、各単電池100の第1の端部と第2の端部は、溶接方式により、それぞれ第1側端部201又は第2側端部202に固定され、或いは、各単電池100の第1の端部と第2の端部は、ディスペンス方式でそれぞれ第1側端部201又は第2側端部202に固定される。
【0087】
また、複数の収容領域で構成された収容装置200は、任意の適切な構造及び形状を有してよく、例えば、本開示に係る一実施形態において、複数の収容領域は、中央領域221と、中央領域221の対向する両側に位置する両側領域222とを含み、上記複数の収容領域は、中央領域221内の第1側端部201と第2側端部202との間隔が両側領域222内の第1側端部201と第2側端部202との間隔よりも大きいことにより、十字形構造を構成する。このように、収容装置200が電気自動車800の底部に取り付けられる場合、両側領域222のうちの一方は、前左車輪と前右車輪との間に位置することができ、両側領域222のうちの他方は、後左車輪と後右車輪との間に位置することができ、中央領域221は、前車輪(前左車輪と前右車輪を含む)と後車輪(後左車輪と後右車輪を含む)との間に位置することができることにより、電気自動車800の底部の取付空間を可能な限り多く利用し、収容装置200の面積を拡大して、より多くの単電池100を電気自動車800に配置し、電気自動車800の航続能力を向上させることができる。中央領域221の両側に位置する両側領域222の第1側端部201と第2側端部202との間隔は、同じであっても異なってもよく、これに対して、本開示は限定しない。
【0088】
本開示に係る別の実施形態において、複数の収容領域は、第1の領域と、上記第1の領域の一側に位置する第2の領域とを含み、複数の収容領域は、第1の領域内の第1側端部201と第2側端部202との間隔が上記第2の領域内の第1側端部201と第2側端部202との間隔よりも大きいことにより、T字形構造を構成する。このように、収容装置200が電気自動車800の底部に取り付けられる場合、第2の領域が前左車輪と前右車輪との間又は後左車輪と後右車輪との間の領域に入り込むことで、電気自動車800の底部の車輪間の取付領域を合理的に利用し、収容装置200の面積を可能な限り増大させることができる。他の実施形態において、複数の収容領域は、三角形、台形、菱形、平行四辺形などを構成することもでき、複数の収容領域で構成された具体的な形状は、電気自動車800の底部の取付空間に応じて設定することができる。
【0089】
また、異なる収容領域内の単電池100が一致性を有することを保証するために、本開示に係る一実施形態において、異なる収容領域内の単電池100は、体積が同じであるか又は容量が同じであり、或いは、体積及び容量がいずれも同じである。動力電池パック700において、一般的に、単電池100同士を互いに直列接続することにより、動力電池パック700は、電気自動車800を走行するように駆動するのに十分な電圧を有し、異なる収容領域内の第1側端部201と第2側端部202との間の間隔が異なるため、第1の単電池100の第1の端部と第2の端部との間の距離も異なり、すなわち、異なる収容領域内の単電池100の形状及び寸法が異なる。一般的には、各単電池100の電圧は同じであり、異なる収容領域内の単電池100が一致性を有することを保証するために、すなわち、異なる収容領域内の単電池100の電力量が同じであることを保証するために、各単電池の容量が同じである(電力量が容量と電圧との積に等しい)ことを保証する必要がある。各単電池100に採用された材料が同じである場合、容量が単電池100の体積に正比例するため、各単電池100の体積が同じであることを保証することで、各単電池の電力量が同じであることを保証する目的を達成することができ、このように、異なる収容領域内の単電池100が同じ充電時間内に同じ状態まで充電されることを確保することができ、ある単電池100が満充電されたが、別の単電池100が満充電されない状況などの発生を回避することができる。
【0090】
異なる収容領域内の単電池100の体積と容量との比が同じであることを保証するために、本開示に係る例示的な実施形態において、単電池100は、直方体構造の角型電池であり、かつ長さL、厚さD、及び長さLと厚さDとの間にある高さHを有し、各単電池100は、横向きに配置され、各単電池100の長手方向が第1の方向A1であり、厚さ方向が第2の方向A2であり、高さ方向が第3の方向A3であり、異なる収容領域内の単電池100の高さHが同じであり、長さLと厚さDとの比が互いに逆数であることにより、異なる収容領域内の単電池100の体積と容量との比が同じである。ここで、複数の収容領域が十字形を構成し、かつ両側領域222の第1側端部201と第2側端部202との間の距離が等しい実施例を例として説明し、中央領域221内の単電池100の長さが両側領域222内の単電池100の長さの2倍であると、両側領域222内の単電池100の厚さが中央領域221内の単電池100の厚さの2倍であることにより、中央領域221内の単電池100と両側領域222内の単電池100の体積が同じであることを保証することにより、同じ電力量を有し、中央領域221内の単電池100と両側領域222内の単電池100との間に一致性を有することを保証する。
【0091】
また、図2に示すように、本開示に係る一実施形態において、収容装置200は、独立して製造され、単電池100を収容して取り付ける車両用トレイである。単電池100を車両用トレイに取り付けた後、該車両用トレイは、締結具により車体に取り付けられてよく、例えば、電気自動車800のシャーシに吊り下げられる。
【0092】
車両用トレイに関して、車体の幅が大きく、例えば1.2m~2mであり、長さが長く、例えば2m~5mであり、異なる車種に対して、対応する車体の幅と車体の長さが異なる。大きい車体の幅及び長さにより、車体の底部に設置されたトレイ全体の寸法に対する要求も大きくなる。トレイの寸法が大きい場合、従来技術において、トレイに辺側に位置する側端部を設置しなければならない以外、内部に単電池を設置するのに十分な支持力及び構造強度を提供するために、トレイの内部に横梁500を設置する必要がある。車両用トレイに横梁500を増設した後、車両用トレイ全体の重量が増加し、その内部空間が占められ、トレイの内部において効果的に利用できる空間が小さくなり、また、横梁500の存在により、横梁500の取付に合わせるために、トレイの内部の幅方向及び長手方向に複数の電池モジュール400を設置しなければならず、取付が複雑であり、必要な取付部材も多い。
【0093】
そして、図1に示すように、横梁500を除去すれば、従来技術におけるモジュールレイアウト及び単電池のレイアウト方式により、電池モジュール400に十分な構造強度を提供することができず、トレイが十分な荷重力を提供することができない。
【0094】
本開示において、単電池100の両端を第1側端部201と第2側端部202に支持するか又は単電池100の両端を第1側端部201と第2側端部202に支持固定することにより、単電池100の重量を両側のトレイ側端部に分散し、横梁500を除去した上で、トレイの荷重能力を効果的に向上させ、また、単電池100自体も動力電池パック700全体の補強構造として使用することができ、動力電池パック700全体の構造強度を向上させる。
【0095】
いくつかの実施例において、動力電池パック700を、車両に用いられ電気エネルギーを供給する電池パック700として使用する場合、単電池100の第1の方向A1を車両の幅方向、すなわち車両の左右方向とすることができ、好ましい実施形態として、単電池100の長さを車両の幅に適合させるために、単電池100の第1の方向A1に沿った長さは、500mm~1000mmであってもよい。異なる収容領域について、各収容領域内の単電池100の第1の方向A1に沿った長さは、いずれも500mm~1000mmの範囲内にある。
【0096】
本開示に係る別の実施形態において、図3図9に示すように、上記収容装置200は、電気自動車800に直接形成されてもよく、すなわち、収容装置200は、電気自動車800の任意の適切な位置に形成される、単電池100を取り付ける装置である。例えば、収容装置200は、電気自動車800のシャーシに形成されてよい。
【0097】
一実施例として、収容装置200は、単電池100の組立を容易にするために、下向きに凹んだチャンバー300であってよい。本開示のいくつかの実施例において、収容装置200は、電気自動車800のシャーシと一体成形することができ、かつ該シャーシから下向きに凹んだチャンバー300として形成することができる。
【0098】
本開示に係る具体的な実施形態において、該チャンバー300は、対向して設置された第1の側壁301及び第2の側壁302を含んでよく、本開示のいくつかの実施例において、第1側端部201は、電気自動車800のシャーシから下向きに延在して得られ、第2側端部202は、電気自動車800のシャーシから下向きに延在して得られる。上記第1側端部201は、該チャンバー300の第1の側壁301及び第1の側壁301の延在部であり、上記第2側端部202は、該チャンバー300の第2の側壁302及び第2の側壁302の延在部である。このように、本開示のいくつかの実施形態として、単電池100の第1の端部は、第1の側壁301の延在部に支持されてよく、単電池100の第2の端部は、第2の側壁302の延在部に支持されてよい。すなわち、本開示は、上記技術手段に従って単電池100を配列できる電気自動車800をさらに提供し、該電気自動車800に単独の車両用トレイの特徴と同様な特徴を有するチャンバー300を形成することにより、本開示に係る電池収容装置200を構成する。
【0099】
本開示のいくつかの実施例において、第1の側壁301の延在部と第2の側壁302の延在部は、チャンバー300の底部303を形成することができる。一実施形態において、第1の側壁301の延在部は、第2の側壁302の延在部に当接することにより、上記チャンバー300が、下向きに凹んだU字形の溝を有するチャンバー300に形成し、単電池100は、該チャンバー300の底部303により支持されてよい。別の実施形態において、第1の側壁301の延在部と第2の側壁302の延在部とが一定の距離だけ離間してもよい。
【0100】
図2図7に示すように、単電池100に戻り、いくつかの実施例において、単電池100は、第1側端部201及び第2側端部202に垂直であり、単電池100の第1の端部と第2の端部との間の距離はL1であり、第1側端部201の内面と第2側端部202の内面との間の距離はL2であり、L1とL2の比はL1/L2≧50%を満たす。換言すれば、第1の方向A1に沿って、第1側端部201と第2側端部202との間に1つの単電池100のみが配置され、第1の方向A1に単電池100と2つの側端部との間の距離関係をこのように設定することにより、単電池100を横梁500又は縦梁600とする目的を達成することができる。他の可能な実施形態において、このような寸法比を満たし、本開示の構想では、第1の方向A1に2つ又は2つ以上の単電池100を設置してもよく、少なくとも収容装置200の空間を十分に利用するという効果を果たすこともできる。
【0101】
本開示のいくつかの実施例において、L1とL2の比が80%≦L1/L2≦97%を満たして、単電池100の第1の端部及び第2の端部を第1側端部201及び第2側端部202に可能な限り近接させ、さらに第1側端部201及び第2側端部202に当接させ、このように、単電池100自体の構造により力の分散、伝達を実現することを容易にし、単電池100を、収容装置200の構造強度を補強するための横梁500又は縦梁600として使用することを保証し、収容装置200が外力による変形に抵抗するのに十分な強度を有することを保証する。
【0102】
図3に示すように、複数の単電池100は、収容装置200内に様々な配列方式を有することができ、本開示に係る一実施形態において、複数の単電池100は、第1の方向A1とは異なる第2の方向A2に沿って配列される。複数の単電池100は、第2の方向A2に沿って離間して配列されてもよく、密に配列されてもよく、本実施形態において、空間を十分に利用するために、第1の方向A1に垂直な第2の方向A2に沿って密に配列される。
【0103】
本開示に係る具体的な実施形態において、第1の方向A1は、第2の方向A2に垂直であってよく、第1の方向A1は、各単電池100の長手方向であり、第2の方向A2は、第1側端部201及び第2側端部202の長手方向、すなわち、各単電池100の厚さ方向である。すなわち、第1側端部201及び第2側端部202は、単電池100に垂直であり、各単電池100の長手方向の両端は、第1側端部201及び第2側端部202に支持される。このように、第1側端部201が外力による衝撃を受ける場合、又は第2側端部202が外力による衝撃を受ける場合、又は第1側端部201と第2側端部202が同時に外力による衝撃を受ける場合、複数の単電池100は、力の伝達及び分散を行うことにより、補強構造としての役割をよりよく果たし、収容装置200の外力による変形に抵抗する能力を向上させることができる。第1側端部201と第2側端部202は、直線構造であり、第2の方向A2は、直線方向である。いくつかの可能な実施形態では、第1側端部201及び第2側端部202は、曲線構造であってよく、このとき、第1の方向A1は、円周方向であってもよく、対応する第2の方向A2は、径方向になる。
【0104】
他のいくつかの実施例において、動力電池パック700には、第3の方向A3に沿って、上記複数の単電池100が複数層に配置される。換言すれば、複数の単電池100は、第3の方向A3に沿って積層された複数層に配置され、各層における複数の単電池100は、いずれも第1側端部201と第2側端部202との間に位置し、単電池100の層数は、収容装置200の寸法に応じて設定することができる。このように、収容装置200の限られた空間内に複数の単電池100を可能な限り多く配置することができることにより、収容装置200の体積利用率を向上させ、動力電池パック700の容量、電圧及び航続能力を向上させることができる。一実施形態において、第1の方向A1と第2の方向A2は、互いに垂直であってよく、第3の方向A3は、第1の方向A1と第2の方向A2に垂直であってよい。本開示のいくつかの実施例において、第1の方向A1と第2の方向A2は、水平方向における前後左右方向であり、第3の方向A3は、鉛直方向である。本開示のいくつかの実施例において、各層における単電池100同士は、接続されても、接続されなくてもよく、これに対して、本開示は限定しない。
【0105】
上記実施例において、第3の方向A3に沿って積層された単電池100は、両端が第1側端部201及び第2側端部202に嵌合された単電池100であってもよく、第1側端部201及び第2側端部202に嵌合支持されるか又は接続されることなく、次層の単電池100の頂部に直接配置された単電池100であってもよい。
【0106】
一実施形態において、図3図8に示すように、単電池100の第1の電極101は、単電池100の第1側端部201に向かう第1の端部から引き出され、単電池100の第2の電極102は、単電池100の第2側端部202に向かう第2の端部から引き出される。換言すれば、単電池100の長手方向は、単電池100の内部の電流方向であってよく、すなわち、単電池100の内部の電流方向は、第1の方向A1である。このように、電流方向が単電池100の長手方向と同じであるため、単電池100の有効放熱面積がより大きく、放熱効率がより高い。ここで、第1の電極101は、単電池100の正極であり、第2の電極102は、単電池100の負極であり、或いは、第1の電極101は、単電池100の負極であり、第2の電極102は、単電池100の正極である。
【0107】
また、単電池100は、任意の適切な構造及び形状を有することができ、本開示に係る一実施形態において、図4図8に示すように、単電池100は、直方体構造の角型電池であり、かつ長さL、厚さD、及び長さLと厚さDとの間にある高さHを有し、各単電池100は、横向きに配置され、各単電池100の長手方向が第1の方向A1であり、厚さ方向が第2の方向A2であり、高さ方向が第3の方向A3であり、隣接する2つの単電池100は、幅広面が幅広面に面するように配列される。換言すれば、該直方体は、長手方向に長さLを有し、長手方向に垂直な厚さ方向に厚さDを有し、高さ方向に高さHを有し、該高さHは、長さLと厚さDとの間にある。本開示のいくつかの実施例において、単電池100は、幅広面、幅狭面及び端面を有し、幅広面は、長辺が上記長さLを有し、短辺が上記高さHを有し、幅狭面は、長辺が上記長さLを有し、短辺が上記厚さDを有し、端面は、長辺が上記高さHを有し、短辺が上記厚さDを有する。単電池100が横向きに配置されることは、単電池100の2つの端面がそれぞれ第1側端部201及び第2側端部202に面し、隣接する2つの単電池100の幅広面が対向することを意味し、このように、単電池100は、横梁500に代わる機能を有し、効果がより高く、強度がより高い。他の実施形態において、単電池100は、円柱状電池であってもよい。
【0108】
従来技術において、単電池が適切な電池容量及び高い放熱効果を有するために、単電池の形状と寸法をどのように設計するかは、電池の技術分野において解決すべき課題の1つである。
【0109】
本開示に係る一実施形態において、単電池100の長さLと厚さDとの比は、50≦L/D≦70を満たす。該比で、長さが長く、厚さが薄い単電池100を得ることができ、このように、単電池100の長さが第1の方向A1に沿って延在する場合にも、適切な抵抗値、広い放熱面積及び高い放熱効率を維持することができ、様々な車種に対する適応性が高い。
【0110】
本開示に係る別の実施形態において、単電池100の表面積Sと体積Vとの比は、0.15≦S/V≦0.2を満たす。該比で、長さが長く、厚さが薄い上記単電池100により実現されてもよく、寸法の調整により実現されてもよく、単電池100の表面積Sと体積Vとの比を制御することにより、単電池100の長さが第1の方向A1に沿って延在するとともに、十分な放熱面積を有することを保証して、単電池100の放熱効果を保証することができる。
【0111】
本開示に係るさらに別の実施形態において、単電池100の表面積SとエネルギーEとの比は、250≦S/E≦400を満たす。該比で、依然として長さが長く、厚さが薄い単電池100を得ることができる。同様に、該比は、長さが長く、厚さが薄い上記単電池100により実現されてもよく、他の寸法の調整により実現されてもよく単電池100の表面積SとエネルギーEとの比を制御することにより、単電池100が一定のエネルギーEを有するとともに、その表面積Sが放熱需要を満たすことを保証することができる。
【0112】
いくつかの実施例において、上記単電池100は、金属製ケースを有する角型電池であってよく、すなわち、単電池100のケースが金属材料で製造される場合、金属の熱伝導性能がより高いことにより、単電池100の放熱効率を向上させ、放熱効果を最適化することができる。本開示に係る別の実施形態において、単電池100は、パウチ電池であってよく、パウチ電池とは、液状のリチウムイオン電池に一層のポリマーケースを被せ、構造的にアルミプラスチックフィルムで包装したものを意味し、安全上の問題が発生する場合、パウチ電池は、爆発することなく、膨脹して裂開するため、単電池100の安全性を向上させる。
【0113】
図6及び図7に示すように、収容装置200の具体的な構造に戻り、複数の収容領域で十字形を構成する実施例を例とし、本開示に係る一実施形態において、収容装置200は、第1の方向A1とは異なる第2の方向A2に沿って設置された第3側端部203及び第4側端部204をさらに含み、両側領域222の第1側端部201及び第2側端部202の中央領域221から離れた端部は、第3側端部203により接続され、両側領域222の第1側端部201及び第2側端部202の中央領域221に近接する端部は、第4側端部204により、それぞれ中央領域221の第1側端部201及び第2側端部202に接続され、両側領域222内の単電池100は、第2の方向A2に沿って第3側端部203と第4側端部204との間に配列され、中央領域221内の単電池100は、第2の方向A2に沿って第4側端部204の間に配列される。本開示のいくつかの実施例において、第1側端部201及び第2側端部202は、第3側端部203及び第4側端部204に垂直に接続される。
【0114】
なお、収容装置200は、単独で製造された、単電池100を収容して取り付ける車両用トレイであれ、電気自動車800のシャーシと一体成形されたチャンバー300であれ、その形状及び構造がほぼ同じであり、車両用トレイと単電池100との間の寸法関係は、同様にチャンバー300と単電池100に適用される。
【0115】
いくつかの実施例において、図3図12に示すように、第3側端部203は、第3側端部203に隣接して設置された単電池100に両側領域222内に向かう作用力を加えることができ、第4側端部204は、第4側端部204に隣接して設置された単電池100に中央領域221内に向かう作用力を加えることができる。複数の単電池100が第2の方向A2に沿って密に配列できるように、複数の単電池100は、互いに貼り合わせることができる。また、第3側端部203及び第4側端部204は、第2の方向A2に複数の単電池100を位置規制することができ、特に、単電池100が僅かに膨張すると、単電池100に対して緩衝し内向きの圧力を提供するという役割を果たし、単電池100の膨張量及び変形量が大きすぎることを防止することができる。特に、単電池100に防爆弁103及び電流遮断装置(CID)が設置された場合、第3側端部203及び第4側端部204により、単電池100が膨張することを効果的に制限することができることにより、単電池100が故障して膨張すると、その内部は、防爆弁103又は電流遮断装置(CID)内の反転シートを突き破るのに十分な気圧を有することにより、単電池100を短絡させ、単電池100の安全を保証し、単電池100が爆発することを防止することができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、単電池100の第1側端部201に向かう第1の端部に防爆弁103が設置され、第1側端部201の内部に排気通路220が設置され、第1側端部201の、各単電池100の防爆弁103に対応する位置にいずれも吸気口219が設置され、吸気口219が排気通路220に連通し、収容装置200に排気通路220に連通する排気孔が設置され、或いは、単電池100の第2側端部202に向かう第2の端部に防爆弁103が設置され、第2側端部202の内部に排気通路220が設置され、第2側端部202の、各単電池100の防爆弁103に対応する位置にいずれも吸気口219が設置され、吸気口219が排気通路220に連通し、収容装置200に排気通路220に連通する排気孔が設置され、或いは、単電池100の第1側端部201に向かう第1の端部と第2側端部202に向かう第2の端部にいずれも防爆弁103が設置され、第1側端部201と第2側端部202の内部にいずれも排気通路220が設置され、第1側端部201の、各単電池100の防爆弁103に対応する位置にいずれも吸気口219が設置され、第2側端部202の、各単電池100の防爆弁103に対応する位置にいずれも吸気口219が設置され、吸気口219が対応する排気通路220に連通し、収容装置200に排気通路220に連通する排気孔が設置される。
【0117】
他の実施形態において、図12に示すように、吸気口219は、第1側端部201と後述する第1の端板205に形成され、又は、吸気口219は、第2側端部202と後述する第2の端板206に形成され、又は、第1側端部201、第2側端部202及び後述する第1の端板205、第2の端板206にいずれも吸気口219が設置される。
【0118】
従来技術において、単電池の使用中に、その内部の気圧がある程度まで上昇すれば、防爆弁が開き、単電池の内部の火炎、煙又はガスが防爆弁を通って排出され、動力電池パック700の内部に集まり、タイムリーに排出できなければ、単電池に対して二次的なダメージを与える。しかしながら、本開示において、第1側端部201又は第2側端部202に、単電池100の防爆弁103に対応する吸気口219が設置され、かつ第1側端部201又は第2側端部202の内部に排気通路220が設置されるため、単電池100の内部の気圧が上昇すると、防爆弁103が開き、その内部の火炎、煙又はガスなどが吸気口219を通って第1側端部201内の排気通路220に直接的に入るか又は第2側端部202内の排気通路220に直接的に入り、かつ排気孔により第1側端部201又は第2側端部202から排出され、例えば、排気口により大気中に排出され、このように、該火炎、煙又はガスが収容装置200の内部に集まらず、火炎、煙又はガスが単電池100に対して二次的なダメージを与えることを回避する。
【0119】
また、本開示のいくつかの実施例において、複数の単電池100を少なくとも1つの電池モジュール400に組み立てた後に収容装置200内に取り付けることができる。このように、本開示の技術的思想に基づいて、電池モジュール400の外部構造と第1側端部201及び第2側端部202との嵌合関係により、本開示の技術的効果を同様に達成することができる。
【0120】
例えば、第1の実施形態において、各収容領域内に、複数の単電池100のうちの少なくとも一部の単電池100の第1の端部と第1側端部201との間に第1の端板205が設置され、複数の単電池100のうちの少なくとも一部の単電池100の第2の端部と第2側端部202との間に第2の端板206が設置され、少なくとも一部の単電池100の第1の端部は、第1の端板205により第1側端部201に支持され、少なくとも一部の単電池100の第2の端部は、第2の端板206により第2側端部202に支持され、第1の端板205、第2の端板206及び少なくとも一部の単電池100は、電池モジュール400を構成する。
【0121】
本開示のいくつかの実施例において、各収容領域内に、第1の端板205及び第2の端板206は1つである場合があり、第1の端板205、第2の端板206及び複数の単電池100は、1つの電池モジュール400を構成し、単電池100の第1の端部及び第2の端部は、第1の端板205及び第2の端板206により、それぞれ第1側端部201及び第2側端部202に支持されるか又は第1側端部201及び第2側端部202に固定される。第1の端板205及び第2の端板206は複数である場合もあり、複数の第1の端板205、第2の端板206、単電池100は、複数の電池モジュール400を構成し、各電池モジュール400は、対応する第1の端板205及び第2の端板206により第1側端部201及び第2側端部202に支持される。換言すれば、一実施形態として、第1の方向A1とは異なる第2の方向A2に沿って、各収容領域内の電池モジュール400は、少なくとも2つである。本開示において、第1の端板205及び第2の端板206の数、すなわち、電池モジュール400の数を限定しない。
【0122】
第2の実施形態において、各収容領域内に、複数の単電池100のうちの少なくとも一部の単電池100の下方にモジュール底板209が設置されてもよく、モジュール底板209は、第1の端板205と第2の端板206との間に接続され、モジュール底板209、第1の端板205、第2の端板206及び少なくとも一部の単電池100は、電池モジュール400を構成する。換言すれば、単電池100を支持するために、複数の単電池100のうちの少なくとも一部の下方にモジュール底板209が設置され、モジュール底板209は、第1の端板205及び第2の端板206に接続され、モジュール底板209、第1の端板205、第2の端板206及び複数の単電池100のうちの少なくとも一部は、電池モジュール400を構成する。モジュール底板209は、1つであってもよく、複数であってもよい。各収容領域内に複数の電池モジュール400が配置される実施例について、隣接する2つの電池モジュール400のモジュール底板209は、互いに接続されてもよく、1つのモジュール底板209に一体成形されてもよい。或いは、複数の収容領域内のモジュール底板209は、1つのモジュール底板209に一体成形され、例えば、複数の収容領域が十字形構造を構成する実施例について、モジュール底板209は、十字形であってもよい。
【0123】
第3の実施形態において、複数の単電池100のうちの少なくとも一部の単電池100の上方にモジュール天板210が設置されてもよく、モジュール天板210は、第1の端板205と第2の端板206との間に接続され、モジュール天板210、モジュール底板209、第1の端板205、第2の端板206及び少なくとも一部の単電池100は、電池モジュール400を構成する。このように、単電池100は、モジュール天板210とモジュール底板209との間に位置し、モジュール天板210及びモジュール底板209は、単電池100が上下に移動することを防止し、単電池100の安定性を向上させることができる。モジュール天板210は、1つであってもよく、複数であってもよい。各収容領域内に複数の電池モジュール400が配置される実施例について、隣接する2つの電池モジュール400のモジュール天板210は、互いに接続されてもよく、1つのモジュール天板210に一体成形されてもよい。或いは、複数の収容領域内のモジュール天板210は、1つのモジュール天板210に一体成形され、例えば、複数の収容領域が十字形構造を構成する実施例について、モジュール天板210は、十字形であってもよい。
【0124】
第4の実施形態において、各収容領域内に、第1の端板205と上記第2の端板206との間に対向する第1の側板207及び第2の側板208が設置されてもよく、第1の端板205、第2の端板206、第1の側板207、第2の側板208、モジュール天板210、モジュール底板209及び少なくとも一部の単電池100は、電池モジュール400を構成する。例えば、複数の収容領域で十字形構造を構成する実施例を例とし、中央領域221内の第1の側板207は、そのうちの1つの第4側端部204に近接することができ、中央領域221内の第2の側板208は、別の第4側端部204に近接することができ、両側領域222内の第1の側板207は、第3側端部203に近接することができ、両側領域222内の第2の側板208は、第4側端部204に近接することができ、すなわち、中央領域221の第1の側板207は、両側領域222の第2の側板208に隣接することができる。第1の側板207及び第2の側板208は、第1側端部201及び第2側端部202に支持されてもよく、第1側端部201及び第2側端部202に固定されてもよく、モジュール底板209に固定されてもよい。
【0125】
第5の実施形態において、各収容領域内に、複数の単電池100のうちの少なくとも一部の単電池100の下方にモジュール底板209が設置され、少なくとも一部の単電池は、モジュール底板209により第1側端部201及び第2側端部202に支持され、モジュール底板209及び少なくとも一部の単電池100は、電池モジュール400を構成する。ここで、モジュール底板209は、主に単電池100の底部を遮断するために用いられ、単電池100の底部は、モジュール底板209に接触してもよく、モジュール底板209と単電池100との間に断熱層215又は保温層を配置するためにモジュール底板209と離間して設置されてもよい。該実施形態において、複数の単電池100をモジュール底板209により第1側端部201及び第2側端部202に支持することにより、電池モジュール400の構造を簡略化し、動力電池パック700の軽量化の実現に役立つ。
【0126】
上記実施例において、第1の端板205及び第2の端板206、又はモジュール底板209は、様々な実施形態で第1側端部201及び第2側端部202に支持されてもよく、これに対して、本開示は限定せず、例えば、締結具により第1側端部201及び第2側端部202に取り外し可能に締結され、又は溶接方式で第1側端部201及び第2側端部202に固定され、又はディスペンス方式で第1側端部201及び第2側端部202に接続され、又は第1側端部201及び第2側端部202に直接配置されて、第1側端部201及び第2側端部202に支持される。
【0127】
単電池100が電池モジュール400の形態で収容装置200内に設置される実施例について、動力電池パック700には、第3の方向A3に沿って、電池モジュール400が複数層に配置される。このように、収容装置200の体積利用率を向上させて、動力電池パック700の航続能力を向上させることができる。本開示のいくつかの実施例において、第3の方向A3に沿って積層された電池モジュール400は、両端が第1側端部201及び第2側端部202に嵌合された電池モジュール400であってもよく、第1側端部201及び第2側端部202に嵌合支持されるか又は接続されることなく、次層の電池モジュール400の頂部に直接配置された電池モジュール400であってもよい。
【0128】
なお、収容装置200は、単独で製造された、単電池100を収容して取り付ける車両用トレイであれ、電気自動車800のシャーシと一体成形されたチャンバー300であれ、その形状及び構造がほぼ同じであり、上述した第1の端板205、第2の端板206、第1の側板207、第2の側板208などが車両用トレイに取り付けられた構造は、同様にチャンバー300に適用される。
【0129】
上記実施例において、電池モジュール400内にモジュール底板209が含まれている実施例について、図12に示すように、モジュール底板209と単電池100との間に断熱層215が設置されてよく、このように、単電池100と外部との熱伝達を遮断して、単電池100の保温機能を実現し、かつ収容装置200の外部環境と収容装置200内の単電池100との間に熱干渉が生じることを回避する。本開示のいくつかの実施例において、断熱層215は、断熱性、保温機能を有する材料で製造されてよく、例えば、保温綿で製造される。
【0130】
電池モジュール400内にモジュール天板210が含まれている実施例について、モジュール天板210と単電池100との間に熱伝導板216が設置されてよく、このように、単電池100の放熱に役立ち、かつ複数の単電池100の間の温度差が大きくなりすぎないことを保証する。熱伝導板216は、熱伝導性の高い材料で製造されてよく、例えば、熱伝導板216は、熱伝導率の高い銅又はアルミニウムなどの材料で製造されてよい。
【0131】
一実施形態において、上記モジュール天板210は、内部に冷却構造が設置された液冷板217であり、液冷板217の内部に冷却液が設置されるため、冷却液により単電池100の降温を実現し、単電池100を好適な作動温度にすることができる。液冷板217と単電池100との間に熱伝導板216が設置されるため、冷却液により単電池100を冷却するとき、液冷板217の各位置での温度差を熱伝導板216によって均一化して、複数の単電池100の温度差を1℃以内に制御することができる。
【0132】
液冷板217の冷却効果を向上させるために、液冷板217の上流に気液分離器を設置することができ、液冷板217内の冷却液が車両の他の熱管理回路に由来する可能性があるため、冷却液は、ガス状と液状が混合した冷却液である可能性があり、ガス状と液状が混合した冷却液を、気液分離器を通って気液分離させた後、純液相の冷却液が液冷板217に入って単電池100を冷却することを保証し、冷却効果を保証することができる。
【0133】
別の実施形態において、単電池100を冷媒により冷却することもでき、モジュール天板210は、内部に冷却構造が設置された直冷板218であり、直冷板218の内部に冷媒が設置され、該冷媒は、車両の空調システムにより放熱降温した冷媒であってよく、低温冷媒は、単電池100の熱を効果的に吸収して、単電池100の温度を適切な温度値に常時に維持することができる。
【0134】
また、収容装置200の具体的な構造に戻り、第1側端部201及び第2側端部202が単電池100に支持力を提供することができるように、本開示に係る一実施形態において、図9図11図12に示すように、各収容領域内に、第1側端部201に第1の支持段差211が設置され、第2側端部202に第2の支持段差212が設置され、各単電池100の第1の端部は、対応する第1の支持段差211に支持され、各単電池100の第2の端部は、対応する第2の支持段差212に支持される。本開示のいくつかの実施例において、第1の支持段差211は、第1側端部201の底部から内向きに突出することができ、第2の支持段差212は、第2側端部202の底部から内向きに突出することができる。従来技術における、収容装置内の底板により単電池を支持する技術手段と比較して、本開示において、第1側端部201及び第2側端部202に設置された第1の支持段差211及び第2の支持段差212により単電池100を支持することで、本開示に係る収容装置200の構造を簡略化し、かつ収容装置200の重量を軽減することができる。本開示のいくつかの実施例において、第1の支持段差211及び第2の支持段差212に絶縁板を設置することができ、絶縁板は、単電池100と第1の支持段差211及び第2の支持段差212との間に位置する。
【0135】
いくつかの実施例において、第1側端部201に第1の固定部213がさらに設置され、第2側端部202に第2の固定部214がさらに設置され、各単電池100の第1の端部は、第1の固定部213に固定され、各単電池100の第2の端部は、第2の固定部214に固定される。本開示のいくつかの実施例において、該第1の固定部213は、第1側端部201に設置された第3の支持段差であってもよく、第3の支持段差は、第1の支持段差211の上方に位置し、該第2の固定部214は、第2側端部202に設置された第4の支持段差であってもよく、第4の支持段差は、第2の支持段差212の上方に位置する。電池の第1の端部及び第2の端部は、締結具により第1の固定部213及び第2の固定部214に固定されてもよく、第1の固定部213及び第2の固定部214に溶接されてもよい。
【0136】
単電池100が電池モジュール400により収容装置200内に取り付けられ、電池モジュール400が、第1側端部201に隣接して設置された第1の端板205と、第2側端部202に隣接して設置された第2の端板206とを含む実施例について、第1の端板205の底部は、第1の支持段差211に支持されてよく、第1の端板205の頂部又は側壁は、第1の固定部213に固定されてよく、第2の端板206の底部は、第2の支持段差212に支持されてよく、第2の端板206の頂部又は側壁は、第2の固定部214に固定されてよい。
【0137】
本開示に係る動力電池パック700が電気自動車800に配置される場合、一実施形態として、上述した第1の方向A1は、車体の幅方向、すなわち、車両の左右方向であってよく、第2の方向A2は、車両の車体の長手方向、すなわち、車両の前後方向であってよく、このように、単電池100が第1の方向A1に沿って延在するため、単電池100は、収容装置200内に横方向補強梁として機能する。本開示に係る別の実施形態において、上述した第1の方向A1は、車両の車体の長手方向、すなわち、車両の前後方向であってよく、第2の方向A2は、車両の車体の幅方向、すなわち、車両の左右方向であってよく、このように、単電池100が第1の方向A1に沿って延在するため、単電池100は、収容装置200内に縦方向補強梁として機能する。
【0138】
本開示の別の態様に係るエネルギー蓄積装置900は、上記動力電池パック700を含む。該エネルギー蓄積装置900は、乗用車だけでなく、商用車、特種用途自動車、汽船、予備電源(dps、ups)、電動自転車、電動バイク、電動スクーターなどの単電池100で電気エネルギーを提供する必要がある装置にも適用することができる。
【0139】
本開示のさらに別の態様に係る電気自動車800は、上記動力電池パック700を含み、該電気自動車800に少なくとも1つの上記収容装置200が形成され、該収容装置200は、電気自動車800に一体成形された、上述したチャンバー300である。
【0140】
本開示のさらに別の態様に係る電気自動車800は、上記動力電池パック700を含む。本開示のいくつかの実施例において、該動力電池パック700内の収容装置200は、単独で製造された、単電池100を収容して取り付ける車両用トレイである。
【0141】
ここで、電気自動車800は、動力電池パック700を用いて電気エネルギーを提供して、走行するよに駆動する必要がある商用車、特種用途自動車、電動自転車、電動バイク、電動スクーターなどの電気自動車800を含んでよい。
【0142】
一実施形態として、動力電池パック700は、電気自動車800の底部に設置され、収容装置200は、電気自動車800のシャーシに固定接続される。電気自動車800のシャーシでの取付空間が大きいため、動力電池パック700を電気自動車800のシャーシに設置することにより、単電池100の数を可能な限り増加させて、電気自動車800の航続能力を向上させることができる。ここで、電気自動車800の底部に設置された動力電池パック700は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0143】
本開示のいくつかの実施例において、電気自動車800は、電気自動車800の底部に設置された1つの動力電池パック700を含み、収容装置200は、電気自動車800のシャーシに固定接続され、複数の単電池100は、第1の方向A1とは異なる第2の方向A2に沿って配列され、第1の方向A1は、電気自動車800の車体の幅方向であり、第2の方向A2は、電気自動車800の車体の長手方向である。
【0144】
本開示のいくつかの実施例において、電気自動車800は、電気自動車800の底部に設置された複数の動力電池パック700を含むことができ、複数の動力電池パック700の形状及び寸法は、同じであってもよく、異なってもよく、具体的には、各動力電池パック700は、電気自動車800のシャーシの形状及び寸法に応じて調整することができる。
【0145】
いくつかの実施例において、複数の収容領域は、中央領域221と、中央領域221の対向する両側に位置する両側領域222とを含み、収容領域は、中央領域221の第1側端部201と第2側端部202との間隔が両側領域222の第1側端部201と第2側端部202との間隔よりも大きいことにより、十字形構造を呈し、両側領域222の第2の方向A2に沿った外側は、電気自動車800の車輪領域に対応する。
【0146】
本開示のいくつかの実施例において、中央領域221の第1の方向A1における幅L3と車体の幅Wとの比は、50%≦L3/W≦80%を満たし、該比は、車体の幅方向に沿って1つの収容装置200のみを設置することで実現することができる。一般的には、複数の車両にとって、車体の幅が500mm~2000mm、例えば500mm、1600mm、1800mm、2000mmであり、車体の長さが500mm~5000mmであり、乗用車にとって、乗用車の幅が一般的に500mm~1800mmであり、車体の長さが500mm~4000mmである。
【0147】
本開示に係る例示的な実施形態において、中央領域221内の単電池100の第1の方向A1における長さL4と車体の幅Wとの比は、40%≦L4/W≦70%を満たす。収容装置200の第1側端部201及び第2側端部202の厚さを考慮する場合、単電池100の第1の方向A1における長さL4と車体の幅Wとの比が40%≦L4/W≦70%を満たすと、車体の幅方向に沿って1つの単電池100のみを設置することで実現することができる。他の可能な実施形態では、このような寸法要求を満たす場合、長手方向に複数の電池モジュール400又は複数の単電池100を設置することで実現することができる。一実施形態として、単電池100の第1の方向A1における長さL4は、500mm~1000mmである。
【0148】
なお、本開示のいくつかの実施例において、単電池100の両端がそれぞれ第1側端部201及び第2側端部202に嵌合支持される技術手段が開示されているが、実際の製造過程において、車体の幅に適合した長さ寸法を有する単電池100を製造することができないおそれがあり、すなわち、単電池100を何らかの原因で所望の長さに加工することができない。これは、電気自動車800にとって、単電池100の電圧プラトーが一定の基準を満たす必要があり、固定した材料系において、一定の電圧プラトーに到達するために、必要な単電池100の体積が一定であるからであり、このように、単電池100の長さを長くすれば、その厚さ又は幅を小さくするようになる。一方、放熱機能を向上させるために電池全体の表面積を保証する必要があり、この前提で、単電池100の幅(高さ)を低くすることにより単電池100の長さを長くすることができず、また、車体の高さ空間の利用も限られ、影響を最大限軽減するために、一般的に、単電池100の幅(高さ)を調整しない。したがって、単電池100の第1の方向A1における長さ及び第2の方向A2における厚さを変更することで単電池100全体の表面積を変更することしかできず、したがって、長さを長くしようとすると、厚さを小さくするという観点から考慮する可能性が大きい。実際には、単電池100は、内部にセル及び関連材料を増設する必要があるため、厚さの変化が最小限界値を有し、これにより、単電池100の長さが厚さの限界値による影響を受けるため、第1の方向A1における長さの変更能力も限られ、単電池100の長さを無限に長くすることができない。
【0149】
したがって、いくつかの実施例において、第1の方向A1に2つの単電池100を設置することにより、上記問題を解決する。例えば、第1の方向A1に沿って1つの単電池100を設置する元の技術手段では、単電池100の第1の方向A1に沿った長さが1000mmであり、この技術手段を採用すると、第1の方向A1に2つの単電池100が設置され、各単電池100の長さが概ね450mm程度である。1000mmの半分未満になるのは、中間に取付位置を増設する必要があるからである。
【0150】
以上、図面を参照しながら本開示のいくつかの具体的な実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態の具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の範囲内に、本開示の技術手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更がいずれも本開示の保護範囲に属する。
【0151】
なお、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、いずれの適切な方式によって組み合わせることができ、不要な重複を回避するために、本開示は、可能な様々な組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0152】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の構想から逸脱しない限り、本開示に開示されている内容に属すべきである。
【符号の説明】
【0153】
100 単電池;101 第1の電極
102 第2の電極;103 防爆弁
200 収容装置;201 第1側端部
202 第2側端部;203 第3側端部
204 第4側端部;205 第1の端板
206 第2の端板;207 第1の側板
208 第2の側板;209 モジュール底板
210 モジュール天板;211 第1の支持段差
212 第2の支持段差;213 第1の固定部
214 第2の固定部;215 断熱層
216 熱伝導板;217 液冷板
218 直冷板;219 吸気口
220 排気通路;221 中央領域
222 両側領域
300 チャンバー;301 第1の側壁
302 第2の側壁;303 チャンバーの底部
400 電池モジュール;500 横梁
600 縦梁;700 動力電池パック
800 電気自動車;900 エネルギー蓄積装置
A1 第1の方向;A2 第2の方向
A3 第3の方向
L 単電池の長さ;D 単電池の厚さ
H 単電池の高さ
L1 単電池の第1の端部と第2の端部との間の距離/単電池の第1の方向に沿った長さ
L2 第1側端部の内面と第2側端部の内面との間の距離/第1の側壁と第2の側壁との間の第1の方向に沿った距離
L3 収容装置の第1の方向における幅
L4 単電池の第1の方向における長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22