IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7383723前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化
<>
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図1
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図2A
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図2B
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図3A
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図3B
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図4
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図5
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図6
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図7
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図8
  • -前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】前頭部脳活動モニタリングセンサからの情報に基づいた深い睡眠の強化
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20231113BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
A61M21/02 G
A61M21/02 B
A61M21/02 C
A61M21/02 D
A61B5/16 130
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021557157
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020057711
(87)【国際公開番号】W WO2020193382
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】62/825,088
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア モリナ ゲイリー ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】グロッセカソーファー ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】トラヤノフスキ ストヤン
(72)【発明者】
【氏名】サラザール ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】ツォネヴァ ツヴェトミラ キロヴァ
(72)【発明者】
【氏名】パストール サンダー テオドール
(72)【発明者】
【氏名】アキノ アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ アドリエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】サチデヴ ビルパル シング
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121755(WO,A1)
【文献】特表2001-503667(JP,A)
【文献】国際公開第2018/183106(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0060507(US,A1)
【文献】国際公開第2017/109621(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/001936(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
A61B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠セッション中に感覚刺激を対象者に供給することによって、ノンレム睡眠を強化するシステムであって、前記システムは、
前記睡眠セッション中に、前記対象者の脳活動に関連する情報を伝える出力信号を生成する、第1のセンサ及び第2のセンサであって、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、前記対象者の額とかかわる、第1のセンサ及び第2のセンサと、
前記睡眠セッション中に、前記感覚刺激を前記対象者に提供する、1つ又は複数の感覚刺激装置と、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサと、前記1つ又は複数の感覚刺激装置とに結合される、1つ又は複数のハードウェアプロセッサであって、前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの前記出力信号に基づいて、前記睡眠セッション中に、前記対象者のノンレム睡眠を検出し、
前記ノンレム睡眠中に、前記感覚刺激を前記対象者に提供して、前記睡眠セッション中に、前記対象者の前記ノンレム睡眠を強化するために、前記1つ又は複数の感覚刺激装置を制御する
ように、機械可読命令によって構成される、1つ又は複数のハードウェアプロセッサと
を備え、
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、
ーザの集団の、睡眠セッション中における、経時的な睡眠深度を示す、前記ユーザの集団の脳活動に関連する履歴的な睡眠深度情報を獲得することと、
ニューラルネットワークが、前記履歴的な睡眠深度情報を前記ニューラルネットワークへの入力として提供されることによって、前記履歴的な睡眠深度情報に基づいて、トレーニングされることと、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの前記出力信号に基づいて、トレーニングされた前記ニューラルネットワークに、前記対象者が深い睡眠ステージにある前記睡眠セッション中における将来の時間を予測させることであって、トレーニングされた前記ニューラルネットワークは、入力層と、出力層と、前記入力層と前記出力層との間の1つ又は複数の中間層とを備える、当該将来の時間を予測させることと、
前記将来の時間の各々に関して、(i)トレーニングされた前記ニューラルネットワークの前記出力層によって生成された、睡眠ステージと、(ii)トレーニングされた前記ニューラルネットワークの前記1つ又は複数の中間層によって生成された、睡眠ステージ確率値とを決定することと、
決定された前記睡眠ステージが、N3であることに応答して、又は決定された前記睡眠ステージが、N2であって、N2睡眠の確率に対するN3睡眠の確率の比が、少なくとも0.5であることに応答して、前記1つ又は複数の感覚刺激装置に、前記将来の時間において前記感覚刺激を前記対象者に提供させ、
トレーニングされた前記ニューラルネットワークの前記1つ又は複数の中間層が、2つ以上の対応する畳み込み層から、追加の値を生成し、別の畳み込み層からの値に対する1つの畳み込み層からの値の畳み込み層の比を決定し、前記1つ又は複数の中間層によって生成された前記睡眠ステージ確率値と、前記畳み込み層の比とに基づいて、前記睡眠セッション中に、前記感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させることと
を行うように、機械可読命令によってさらに構成される、
システム。
【請求項2】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、互いに10センチメートル以下の距離で、前記対象者の前記額とかかわる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のセンサは、中央前頭部電極を備え、前記第2のセンサは、右眼電極又は左眼電極を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のセンサ又は前記第2のセンサのどちらかが、基準電極である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの前記出力信号内の前記情報に基づいて、睡眠微小覚醒を検出し、N3睡眠中に、前記感覚刺激を前記対象者に提供して、前記睡眠セッション中に、前記対象者の前記N3睡眠を強化するために、検出された前記睡眠微小覚醒に基づいて、前記1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するように、機械可読命令によってさらに構成され、
前記睡眠微小覚醒は、脳波(EEG)のパワーバンドにおけるパワーに関するしきい値の違反に応答して、又は、トレーニングされた前記ニューラルネットワークからの追加の出力に基づいて、検出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの前記出力信号内の前記情報に基づいて、徐波を検出し、N3睡眠中に、前記感覚刺激を前記対象者に提供して、前記睡眠セッション中に、前記対象者の前記N3睡眠を強化するために、検出された前記徐波に基づいて、前記1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するように、機械可読命令によってさらに構成され、
前記徐波は、
負になる脳波(EEG)信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、
フィルタリングされた負になるEEG信号であって、前記フィルタリングが前記負になるEEG信号のデルタ部分を増大させる、フィルタリングされた負になるEEG信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、又は、
前記フィルタリングされた負になるEEG信号の形状の、対応する徐波テンプレートの形状との比較に基づいて、
検出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ンレム睡眠を強化するための強化システムの作動方法であって、前記強化システムは、第1のセンサ及び第2のセンサと、1つ又は複数の感覚刺激装置と、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサ並びに前記1つ又は複数の感覚刺激装置に結合される、1つ又は複数のハードウェアプロセッサとを備え、前記方法は、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが、睡眠セッション中に、前記対象者の脳活動に関連する情報を伝える出力信号を生成するステップと
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの前記出力信号に基づいて、前記睡眠セッション中に、前記対象者のノンレム睡眠を検出するステップと、
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記睡眠セッション中に、前記対象者の前記ノンレム睡眠を強化する前記1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するステップと、
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記ユーザの集団の、睡眠セッション中における、経時的な睡眠深度を示す、前記ユーザの集団の脳活動に関連する履歴的な睡眠深度情報を獲得するステップと、
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記履歴的な睡眠深度情報を前記ニューラルネットワークへの入力として提供されることによって、前記履歴的な睡眠深度情報に基づいて、ニューラルネットワークをトレーニングするステップと、
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの前記出力信号に基づいて、トレーニングされた前記ニューラルネットワークに、前記対象者が深い睡眠ステージにある、前記睡眠セッション中における将来の時間を予測させるステップであって、トレーニングされた前記ニューラルネットワークは、入力層と、出力層と、前記入力層と前記出力層との間の1つ又は複数の中間層とを備える、当該将来の時間を予測させるステップと、
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記将来の時間の各々に関して、(i)トレーニングされた前記ニューラルネットワークの前記出力層によって生成された、睡眠ステージと、(ii)トレーニングされた前記ニューラルネットワークの前記1つ又は複数の中間層によって生成された、睡眠ステージ確率値とを決定するステップと、
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、トレーニングされた前記ニューラルネットワークの前記1つ又は複数の中間層により、2つ以上の対応する畳み込み層から、追加の値を生成して、別の畳み込み層からの値に対する1つの畳み込み層からの値の畳み込み層の比を決定するステップと、を有し、
前記1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するステップは、前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記睡眠ステージと前記睡眠ステージ確率値と前記畳み込み層の比とに基づいて、前記1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するステップを含む、
方法。
【請求項8】
前記第1のセンサは、中央前頭部電極を備え、前記第2のセンサは、右眼電極又は左眼電極を備える、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のセンサ又は前記第2のセンサのどちらかが、基準電極である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの前記出力信号内の前記情報に基づいて、睡眠微小覚醒を検出するステップと、前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、検出された前記睡眠微小覚醒に基づいて、前記1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するステップとをさらに有し、
前記睡眠微小覚醒は、脳波(EEG)のパワーバンドにおけるパワーに関するしきい値の違反に応答して、又は、トレーニングされた前記ニューラルネットワークからの追加の出力に基づいて、検出される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサからの前記出力信号内の前記情報に基づいて、徐波を検出するステップと、前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、検出された前記徐波に基づいて、前記1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するステップとをさらに有し、
前記徐波は、
負になる脳波(EEG)信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、
フィルタリングされた負になるEEG信号であって、前記フィルタリングが前記負になるEEG信号のデルタ部分を増大させる、フィルタリングされた負になるEEG信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、又は、
前記フィルタリングされた負になるEEG信号の形状の、対応する徐波テンプレートの形状との比較に基づいて、
検出される、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01] 本開示は、睡眠セッション中に感覚刺激を対象者に供給することによって、ノンレム(NREM)睡眠を強化するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[02] 睡眠をモニタリングし、睡眠中に感覚刺激をユーザに供給するためのシステムが、知られている。脳波(EEG)センサベースの睡眠モニタリング及び感覚刺激システムが、知られている。これらのシステムは、一般に、ユーザの耳の後ろに配置されたセンサからの情報に基づいて、感覚刺激を制御するが、それは、不快であること、及び/又は他の不都合を有することがある。ユーザの睡眠を強化するために、睡眠をモニタリングし、感覚刺激を制御することが依然としてできる、より快適なシステムが、必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
[03] 対象者の額に配置されたセンサからの情報に基づいて、閉ループシステムを用いて、睡眠セッション中に感覚刺激を対象者に自動的に供給することによって、NREM睡眠を強化することが、有利である。
【0004】
[04] したがって、本開示の1つ又は複数の態様は、睡眠セッション中に感覚刺激を対象者に供給することによって、ノンレム(NREM)睡眠を強化するように構成されたシステムに関連する。システムは、第1のセンサ及び第2のセンサ、1つ又は複数の感覚刺激装置、1つ又は複数のハードウェアプロセッサ、並びに/又は他のコンポーネントを備える。第1のセンサ及び第2のセンサは、睡眠セッション中に、対象者の脳活動に関連する情報を伝える出力信号を生成するように構成される。第1のセンサ及び第2のセンサは、対象者の額とかかわる(関連する又は結合する)ように構成される。1つ又は複数の感覚刺激装置は、睡眠セッション中に、感覚刺激を対象者に提供するように構成される。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、第1のセンサ及び第2のセンサと、1つ又は複数の感覚刺激装置とに結合される。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、機械可読命令によって構成される。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号に基づいて、睡眠セッション中に、対象者のNREM睡眠を検出し、NREM睡眠中に、感覚刺激を対象者に提供して、睡眠セッション中に、対象者のNREM睡眠を強化するために、1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するように構成される。
【0005】
[05] いくつかの実施形態においては、第1のセンサ及び第2のセンサは、互いに10センチメートル以下の距離で、対象者の額とかかわるように構成される。いくつかの実施形態においては、第1のセンサは、中央前頭部(FPz)眼電図(EOG)電極を備え、第2のセンサは、右眼電極(EOGR)又は左眼電極(EOGL)を備える。いくつかの実施形態においては、第1のセンサ又は第2のセンサのどちらかが、基準電極である。
【0006】
[06] いくつかの実施形態においては、1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、ユーザの集団についての履歴的な睡眠深度情報を獲得するように、機械可読命令によってさらに構成される。履歴的な睡眠深度情報は、ユーザの集団の、睡眠セッション中における、経時的な睡眠深度を示す、ユーザの集団の脳活動に関連する。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、ニューラルネットワークが、履歴的な睡眠深度情報をニューラルネットワークへの入力として提供されることによって、履歴的な睡眠深度情報に基づいて、トレーニングされるように構成される。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号に基づいて、トレーニングされたニューラルネットワークに、対象者が深い睡眠ステージにある、睡眠セッション中における将来の時間を予測させるように構成される。トレーニングされたニューラルネットワークは、入力層と、出力層と、入力層と出力層との間の1つ又は複数の中間層とを備える。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、将来の時間の各々に関して、トレーニングされたニューラルネットワークの出力層によって生成された、予測される睡眠ステージと、トレーニングされたニューラルネットワークの1つ又は複数の中間層によって生成された、睡眠ステージ確率値とを決定するように構成される。(1)予測される睡眠ステージが、N3であること、又は(2)予測される睡眠ステージが、N2であって、N2睡眠の確率に対するN3睡眠の確率の比が、少なくとも0.5であることに応答して、1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、1つ又は複数の感覚刺激装置に、将来の時間に、感覚刺激をユーザに提供させ、1つ又は複数の中間層によって生成された1つ又は複数の睡眠ステージ確率値に基づいて、睡眠セッション中に、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるように構成される。
【0007】
[07] いくつかの実施形態においては、1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号内の情報に基づいて、睡眠微小覚醒を検出し、N3睡眠中に、感覚刺激を対象者に提供して、睡眠セッション中に、対象者のN3睡眠を強化するために、検出された睡眠微小覚醒に基づいて、1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するように、機械可読命令によってさらに構成される。睡眠微小覚醒は、脳波(EEG)のパワーバンドにおけるパワーに関するしきい値の違反に応答して、又はトレーニングされたニューラルネットワークからの追加の出力に基づいて、検出される。
【0008】
[08] いくつかの実施形態においては、1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号内の情報に基づいて、徐波を検出し、N3睡眠中に、感覚刺激を対象者に提供して、睡眠セッション中に、対象者のN3睡眠を強化するために、検出された徐波に基づいて、1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するように、機械可読命令によってさらに構成される。徐波は、負になるEEG信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、フィルタリングされた負になるEEG信号であって、フィルタリングが負になるEEG信号のデルタ部分を増大させる、フィルタリングされた負になるEEG信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、又は、フィルタリングされた負になるEEG信号の形状の、対応する徐波テンプレートの形状との比較に基づいて、検出される。
【0009】
[09] いくつかの実施形態においては、1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、トレーニングされたニューラルネットワークの1つ又は複数の中間層が、2つ以上の対応する畳み込み層から、追加の値を生成するように構成されるように、また1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、別の畳み込み層からの値に対する1つの畳み込み層からの値の比を決定し、1つ又は複数の感覚刺激装置に、比に基づいて、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるように、機械可読命令によってさらに構成される。
【0010】
[10] 本開示の別の態様は、強化システムを用いて、睡眠セッション中に感覚刺激を対象者に供給することによって、ノンレム(NREM)睡眠を強化するための方法に関連する。システムは、第1のセンサ及び第2のセンサと、1つ又は複数の感覚刺激装置と、第1のセンサ及び第2のセンサ並びに1つ又は複数の感覚刺激装置に結合される1つ又は複数のハードウェアプロセッサとを備える。方法は、第1のセンサ及び第2のセンサを用いて、睡眠セッション中に、対象者の脳活動に関連する情報を伝える出力信号を生成するステップであって、第1のセンサ及び第2のセンサは、対象者の額とかかわるように構成される、ステップを有する。方法は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号に基づいて、睡眠セッション中に、対象者のNREM睡眠を検出するステップを有する。方法は、NREM睡眠中に、感覚刺激を対象者に提供して、睡眠セッション中に、対象者のNREM睡眠を強化するために、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するステップを有する。
【0011】
[11] いくつかの実施形態においては、第1のセンサは、中央前頭部(FPz)電極を備え、第2のセンサは、右眼電極(EOGR)又は左眼電極(EOGL)を備える。いくつかの実施形態においては、第1のセンサ又は第2のセンサのどちらかが、基準電極である。
【0012】
[12] いくつかの実施形態においては、方法は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、ユーザの集団についての履歴的な睡眠深度情報を獲得するステップであって、履歴的な睡眠深度情報は、ユーザの集団の、睡眠セッション中における、経時的な睡眠深度を示す、ユーザの集団の脳活動に関連する、ステップをさらに有する。方法は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、ニューラルネットワークが、履歴的な睡眠深度情報をニューラルネットワークへの入力として提供されることによって、履歴的な睡眠深度情報に基づいて、トレーニングされるステップをさらに有する。方法は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号に基づいて、トレーニングされたニューラルネットワークに、対象者が深い睡眠ステージにある、睡眠セッション中における将来の時間を予測させるステップであって、トレーニングされたニューラルネットワークは、入力層と、出力層と、入力層と出力層との間の1つ又は複数の中間層とを備える、ステップをさらに有する。方法は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、将来の時間の各々に関して、トレーニングされたニューラルネットワークの出力層によって生成された、予測される睡眠ステージと、トレーニングされたニューラルネットワークの1つ又は複数の中間層によって生成された、睡眠ステージ確率値とを決定するステップをさらに有する。方法は、(1)予測される睡眠ステージが、N3であること、又は(2)予測される睡眠ステージが、N2であって、N2睡眠の確率に対するN3睡眠の確率の比が、少なくとも0.5であることに応答して、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、1つ又は複数の感覚刺激装置に、将来の時間にユーザに感覚刺激を提供させ、1つ又は複数の中間層によって生成された1つ又は複数の確率値に基づいて、睡眠セッション中に、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるステップをさらに有する。
【0013】
[13] いくつかの実施形態においては、方法は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号内の情報に基づいて、睡眠微小覚醒を検出するステップと、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、N3睡眠中に、感覚刺激を対象者に提供して、睡眠セッション中に、対象者のN3睡眠を強化するために、検出された睡眠微小覚醒に基づいて、1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するステップとをさらに有する。睡眠時微小覚醒は、脳波(EEG)のパワーバンドにおけるパワーに関するしきい値の違反に応答して、又はトレーニングされたニューラルネットワークからの追加出力に基づいて、検出される。
【0014】
[14] いくつかの実施形態においては、方法は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号内の情報に基づいて、徐波を検出するステップと、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、N3睡眠中に、感覚刺激を対象者に提供して、睡眠セッション中に、対象者のN3睡眠を強化するために、検出された徐波に基づいて、1つ又は複数の感覚刺激装置を制御するステップとをさらに有する。徐波は、負になる脳波(EEG)信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、フィルタリングされた負になるEEG信号であって、前記フィルタリングが前記負になるEEG信号のデルタ部分を増大させる、フィルタリングされた負になるEEG信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、又は前記フィルタリングされた負になるEEG信号の形状の、対応する徐波テンプレートの形状との比較に基づいて、検出される。
【0015】
[15] いくつかの実施形態においては、トレーニングされたニューラルネットワークの1つ又は複数の中間層は、2つ以上の対応する畳み込み層から、追加の値を生成するように構成される。いくつかの実施形態においては、方法は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、別の畳み込み層からの値に対する1つの畳み込み層からの値の比を決定するステップと、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、1つ又は複数の感覚刺激装置に、比に基づいて感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるステップとをさらに有する。
【0016】
[16] 本開示のこれら及び他の目的、特徴、及び特性、並びに動作の方法、構造の関連要素の機能、部分の組み合わせ、及び製造の経済性は、それらのすべてが本明細書の一部を形成する、添付の図面を参照しながら、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を検討することで、より明らかとなり、様々な図において、同様の参照番号は、対応する部分を指定する。しかしながら、図面は、例示及び説明のためのものにすぎず、本開示の限定の定義として意図されていないことが、明白に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】[17] 1つ又は複数の実施形態に従った、睡眠セッション中に感覚刺激を対象者に供給することによって、ノンレム(NREM)睡眠及び/又は他の睡眠を強化するように構成されたシステムの概略図である。
図2a】[18] 1つ又は複数の実施形態に従った、(FP2-EOGR又は前頭部導出と呼ばれる)2つの前頭部電極の間で測定された信号振幅の減衰を、(FPz-M2と呼ばれる)前頭部電極と乳様突起基準との間で測定された信号振幅と比較した例を例示する図である。
図2b】[19] 1つ又は複数の実施形態に従った、2つの前頭部電極(FP2-EOGR)の間で測定された対象者の徐波を示す信号の減衰を、前頭部電極と乳様突起基準(FPz-M2)との間で測定された信号振幅と比較した例を例示する図である。
図3a】[20] 1つ又は複数の実施形態に従った、すべてが対象者の額に配置された、FPz電極と、EOGR電極と、EOGL電極とを例示する図である。
図3b】[21] 1つ又は複数の実施形態に従った、FPz電極と、EOGR電極とを備える、ヘッドバンドを例示する図である。
図4】[22] 1つ又は複数の実施形態に従った、システムによって実行される動作のうちのいくつかを例示する図である。
図5】[23] 1つ又は複数の実施形態に従った、微小覚醒検出を例示する図である。
図6】[24] 1つ又は複数の実施形態に従った、徐波を示す異なるEEG信号を例示する図である。
図7】[25] 1つ又は複数の実施形態に従った、EEGの部分からの候補徐波波形とテンプレートとの比較を例示する図である。
図8】[26] 1つ又は複数の実施形態に従った、ディープニューラルネットワークの畳み込み出力と関連付けられたスペクトル応答を例示する図である。
図9】[27] 1つ又は複数の実施形態に従った、強化システムを用いて、睡眠セッション中に感覚刺激を対象者に供給することによって、NREM睡眠を強化するための方法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[28] 本明細書において使用される場合、コンテキストが明らかにそうではないことを指定しない限り、単数形は、複数の参照を含む。本明細書において使用される場合、コンテキストが明らかにそうではないことを指定しない限り、「又は」という用語は、「及び/又は」を意味する。本明細書において使用される場合、2つ以上の部分又はコンポーネントが「結合」されるという陳述は、部分が、直接的に、又は間接的に、すなわち、リンクが生じる限り、1つ若しくは複数の介在する部分若しくはコンポーネントを通して、つながれること、又は一緒に動作することを意味するものとする。本明細書において使用される場合、「直接的に結合される」は、2つの要素が、互いに直接的に接触していることを意味する。本明細書において使用される場合、「固定的に結合される」又は「固定される」は、2つのコンポーネントが、互いに対して一定の向きを維持しながら、一体となって動くように結合されることを意味する。
【0019】
[29] 本明細書において使用される場合、「単位的な」という語は、コンポーネントが、単一のピース又はユニットとして作成されることを意味する。すなわち、別々に作成され、その後、ユニットとして一緒に結合されたピースを備える、コンポーネントは、「単位的な」コンポーネント又はボディではない。本明細書において利用される場合、2つ以上の部分又はコンポーネントが、互いに「かかわる」ということは、部分が、直接的に、又は1つ若しくは複数の介在する部分若しくはコンポーネントを通して、互いに力を及ぼし合うことを意味するものとする。本明細書において利用される場合、「数」という用語は、1、又は1より大きい整数(すなわち、複数)を意味するものとする。
【0020】
[30] 例えば、限定することなく、上、下、左、右、上方、下方、前方、後方、及びそれらの派生語など、本明細書において使用される方向についての語句は、図面に示された要素の向きに関連し、その中において明白に述べられない限り、特許請求の範囲を限定しない。
【0021】
[31] 図1は、睡眠セッション中に感覚刺激を対象者12に供給するように構成された、システム10の概略図である。システム10は、睡眠セッション中に感覚刺激を対象者12に供給することによって、深いノンレム(NREM)睡眠及び/又は他の睡眠を強化するように構成される。システム10は、対象者12の睡眠の回復効果を向上させるために、及び/又は他の目的のために、感覚刺激の対象者12への供給を容易にするように構成される。システム10は、睡眠中に供給される、聴覚及び/又は他の刺激を含む、感覚刺激が、覚醒を引き起こすことなく、対象者12の徐波を強化するように構成され、これは、例えば、認知的な利点、及び睡眠回復の向上をもたらす。本明細書において説明されるように、いくつかの実施形態においては、システム10は、睡眠セッション中の深い睡眠の期間を、(例えば、ニューラルネットワークからの出力、及び/又は他の情報に基づいて)決定するように構成される。いくつかの実施形態においては、そのような決定に基づいて、システム10は、睡眠徐波を強化するために、対象者12に供給される感覚(例えば、聴覚)刺激を調節するように構成される。いくつかの実施形態においては、深い睡眠の期間は、対象者12の睡眠セッション中に、リアルタイム及び/又はほぼリアルタイムで決定される。
【0022】
[32] 深い睡眠をリアルタイムで検出し、聴覚刺激を供給する、先行する閉ループ脳波(EEG)ベースのシステムは、ユーザの額に配置された活性電極(例えば、前頭部FPzセンサ)と、ユーザの耳の後ろに配置された基準電極(例えば、M2乳様突起センサ)とを使用する。ユーザの額に1つの電極を、ユーザの耳の後ろに1つの電極を位置付けることは、睡眠中、ユーザの不快感を大きくする。しかしながら、電極が互いにあまりにも近く(例えば、約10cmも離さずに)配置された場合、電極が発生するどんな差分信号も、相対的に小さい振幅しか有さないので、先行するシステムの電極は、このように位置付けられる。これまでは、小さい差分信号は、睡眠セッション中に、ユーザの睡眠ステージを検出する、及び/又は予測するために使用することが困難、又は不可能であった。
【0023】
[33] 例えば、図2a及び図2bに示されるように、2つの前頭部電極(例えば、FPz-EOGR又は前頭部導出と呼ばれる、中央前頭部(FPz)電極と右眼電極(EOGR))の間で測定された信号振幅の減衰は、(例えば、FPz-M2と呼ばれる)前頭部電極と乳様突起基準との間で測定された信号振幅と比較して、顕著である。図2aは、(上図が)FPz-M2信号202及びFPz-EOGR信号204についてのEEG振幅201の確率200を例示しており、(下図が)FPz-M2信号202及びFPz-EOGR信号204の様々な周波数208についてのパワースペクトル密度206を例示している。図2a(上図)に示されるように、FPz-M2信号202の確率分布203は、FPz-EOGR信号204の分布205よりも広い。また(図2aの下図)、FPz-M2信号202のパワースペクトル密度206のピークは、FPz-EOGR信号204のパワースペクトル密度のピークよりも高い。図2a(下図)に例示されるパワースペクトル密度206は、振幅の差が、(以下で説明される)睡眠時徐波の検出にとって重要なデルタ周波数範囲(0.5から4Hz)に主に現れることを示している。図2bには、徐波の減衰が、例示されている。
【0024】
[34] 図2bは、2つの前頭部電極(FP2-EOGR 204)の間で測定された対象者の徐波210を示す信号の減衰を、前頭部電極と乳様突起基準(FPz-M2 202)との間で測定された信号振幅と比較した例を例示している。図2bは、電圧214対時間216の目盛で、信号202及び信号204を例示している。図2bに示されるように、(徐波210を示す)FPz-M2信号202の負になるピーク212は、FPz-EOGR信号204の対応する特徴214と比較して、より顕著である。
【0025】
[35] システム10(図1)は、従来はユーザの耳の後ろに配置された基準電極を、対象者12の額に配置される電極に置き換えることによって、先行技術システムの制限に対処する。例えば、図3aは、ともに対象者12の額に配置された、中央前頭部(FPz)電極300と、右眼電極(EOGR)302とを例示している。図3aは、(例えば、EOGR302の代わりに、及び/又はEOGR302に加えて)システム10に備えられてよい、左眼電極(EOGL)304も例示している。図3bは、FPz電極300と、EOGR302とを備える、ヘッドバンド310を例示している。ヘッドバンド310は、ヘッドバンド310が、対象者12によって着用されたときに、FPz電極300及びEOGR302が、対象者12(図3a)の額とかかわるように構成される。
【0026】
[36] 図1に戻ると、額の電極は、睡眠セッション中、対象者12の快適性を高め、及び/又は他の利点を提供する。システム10は、(例えば、以下で説明されるようなN3睡眠を含む)任意の睡眠ステージを検出するために、振幅差(例えば、図2a及び図2bに示される、FP2-EOGR 204対FPz-M2 202)を考慮するように構成される。システム10は、2つの並列プロセスにおいて、対象者12の額にかかわるように構成された前頭部センサ(電極)からの出力信号内の情報を使用する。第1のプロセスは、センサ情報の時間ウィンドウをバッファリングし、時間ウィンドウは、時間ウィンドウと関連付けられた、可能性の高い睡眠ステージを決定するために、システム10によって処理される。第2のプロセスにおいては、システム10は、前頭部センサ出力信号(例えば、アルファ、ベータ、及びデルタ周波数バンドにおけるパワー)から、スペクトル特徴を決定する。
【0027】
[37] システム10は、個々の睡眠ステージ決定のための、中間出力及び確率推定を生成するように構成される。システム10は、アプリケーション固有の要件を満たすように、睡眠ステージ判定にバイアスをかけることによって、睡眠ステージ決定精度を向上させるように構成される(例えば、特異度の悪化を代償とした、NREM N3検出感度の向上)。システム10は、(ステージング精度向上後の)検出された睡眠ステージが、N3である場合、(例えば、図2a及び図2bに示される)スペクトル依存の振幅低下を補償するフィルタを通して、対応する前頭部信号ウィンドウが、強化されるように構成される。システム10は、睡眠徐波、及び睡眠微小覚醒の存在を検出するために、強化された信号が、睡眠ステージ決定動作からの中間及び最終出力と併せて、使用されるように構成される。睡眠微小覚醒、及び/又は他の情報は、感覚刺激の特性を決定するために利用される。いくつかの実施形態においては、システム10は、センサ13及びセンサ14、感覚刺激装置16、外部リソース18、プロセッサ20、電子記憶装置22、ユーザインターフェース24、並びに/又は他のコンポーネントのうちの1つ又は複数を備える。
【0028】
[38] センサ13及びセンサ14は、対象者12の脳活動及び/又は他の活動に関連する情報を伝える出力信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態においては、センサ13及びセンサ14は、例えば、図3aに示される電極300及び/又は電極302に類似し、及び/又は同じである。いくつかの実施形態においては、センサ13及びセンサ14は、対象者12の徐波活動など、脳活動に関連する情報を伝える出力信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態においては、対象者12の脳活動及び/又は他の活動に関連する情報は、徐波活動に関連する情報である。いくつかの実施形態においては、センサ13及びセンサ14は、睡眠セッション中に対象者12に提供される刺激に関連する情報を伝える出力信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態においては、センサ13及びセンサ14からの出力信号内の情報は、(以下で説明されるように)感覚刺激を対象者12に提供するように、感覚刺激装置16を制御するために使用される。
【0029】
[39] センサ13及びセンサ14は、対象者12の脳活動に関連する情報を伝える出力信号を生成する、1つ又は複数のセンサを備える。例えば、センサ13及びセンサ14は、眼球活動、及び/又は対象者12の脳内の電流に起因する、対象者12の額に沿った電気的活動を検出するように構成された、(例えば、上で説明されたような)眼電図(EOG)及び/又は脳波(EEG)電極を備える。いくつかの実施形態においては、センサ13及びセンサ14は、互いに10センチメートル以下の距離で、対象者12の額とかかわるように構成される。いくつかの実施形態においては、センサ13又は14の一方は、中央前頭部(FPz)電極を備え、センサ13又は14の他方は、右眼電極(EOGR)又は左眼電極(EOGL)を備える。いくつかの実施形態においては、センサ13又はセンサ14のどちらかが、基準電極である。図1においては、センサ13及びセンサ14は、対象者12の近くの単一のロケーションに例示されているが、これは、限定的であることを意図したものではない。センサ13及びセンサ14は、例えば、感覚刺激装置16内に(若しくはそれと通信するように)、対象者12の衣服と(着脱可能なやり方で)結合されて、(例えば、ヘッドバンドとして)対象者12によって着用されて、及び/又は他のロケーションになど、複数のロケーションに配置されたセンサを備えてよい。
【0030】
[40] 図1においては、センサ13及びセンサ14、感覚刺激装置16、プロセッサ20、電子記憶装置22、及びユーザインターフェース24は、別個のエンティティとして示されている。これは、限定的であることを意図したものではない。システム10のコンポーネント及び/又は他のコンポーネントのいくつか及び/又はすべては、1つ又は複数の単一デバイスにグループ化されてよい。例えば、これら及び/又は他のコンポーネントは、対象者12によって着用されるヘッドセット及び/又は他の衣類内に備えられる。そのようなヘッドセットは、例えば、感知電極と、基準電極と、EOG及び/又はEEGと関連付けられた1つ又は複数のデバイスと、聴覚刺激を供給する手段(例えば、有線及び/又は無線のオーディオデバイス及び/又は他のデバイス)と、1つ又は複数のオーディオスピーカとを備える。この例においては、オーディオスピーカは、対象者12の耳の中に、及び/若しくは耳の近くに、並びに/又は他のロケーションに配置される。この例においては、感知電極は、対象者12の脳活動に関連する情報、及び/又は他の情報を伝える出力信号を生成するように構成される。出力信号は、プロセッサ(例えば、図1に示される、プロセッサ20)、プロセッサを備えることもあり若しくは備えないこともあるコンピューティングデバイス(例えば、ベッドサイドのラップトップ)、及び/又は他のデバイスに、無線で、及び/又は有線を介して、送信される。この例においては、音響刺激は、無線オーディオデバイス及び/又はスピーカを介して、対象者12に供給される。この例においては、(EOG及び/又はEEG)感知電極、基準電極、及びEEGデバイスは、例えば、図1のセンサ13及びセンサ14によって表される。無線オーディオデバイス及びスピーカは、例えば、図1に示される感覚刺激装置16によって表される。この例においては、コンピューティングデバイスは、図1に示されるシステム10のプロセッサ20、電子記憶装置22、ユーザインターフェース24、及び/又は他のコンポーネントを備える。
【0031】
[41] 刺激装置16は、感覚刺激を対象者12に提供するように構成される。感覚刺激装置16は、睡眠セッションに先立って、睡眠セッション中に、及び/又は他の時間に、聴覚、視覚、体性感覚、電気、磁気、及び/又は感覚刺激を、対象者12に提供するように構成される。いくつかの実施形態においては、睡眠セッションは、対象者12が眠っている、及び/又は眠ろうと試みている、いずれかの期間を含む。睡眠セッションは、夜の睡眠、うたた寝、及び/又は他の睡眠セッションを含む。例えば、感覚刺激装置16は、より深い睡眠のステージ、より浅い睡眠のステージへの移行を促進するために、睡眠を特定のステージに維持するために、睡眠の回復効果を向上させるために、及び/又は他の目的のために、睡眠セッション中に刺激を対象者12に提供するように構成される。いくつかの実施形態においては、感覚刺激装置16は、より深い睡眠ステージとより浅い睡眠ステージとの間の移行を促進することが、対象者12の睡眠徐波を減少させることを有し、より浅い睡眠ステージとより深い睡眠ステージとの間の移行を促進することが、睡眠徐波を増加させることを有するように構成される。
【0032】
[42] 感覚刺激装置16は、非侵襲的な脳刺激、及び/又は他の方法を通して、睡眠ステージ間の移行を促進し、睡眠を特定のステージに維持し、及び/又は睡眠の回復効果を向上させるように構成される。感覚刺激装置16は、聴覚、電気、磁気、視覚、体性感覚、及び/又は他の感覚刺激を使用する、非侵襲的な脳刺激を通して、睡眠ステージ間の移行を促進し、睡眠を特定のステージに維持し、及び/又は睡眠の回復効果を向上させるように構成される。聴覚、電気、磁気、視覚、体性感覚、及び/又は他の感覚刺激は、聴覚刺激、視覚刺激、体性感覚刺激、電気刺激、磁気刺激、異なるタイプの刺激の組み合わせ、及び/又は他の刺激を含む。聴覚、電気、磁気、視覚、体性感覚、及び/又は他の感覚刺激は、匂い、音、視覚刺激、触覚、味覚、体性感覚刺激、力覚、電気、磁気、及び/又は他の刺激を含む。感覚刺激は、強度、タイミング、及び/又は他の特性を有する。例えば、対象者12の睡眠の回復効果を向上させるために、音響トーンが、対象者12に提供される。音響トーンは、トーン間間隔によって互いに分離された、決定された長さのトーンの1つ又は複数の連続を含む。個々の音の音量(例えば、強度)は、(本明細書において説明されるような)睡眠深度及び他の要因に基づいて、より深い睡眠中に、大きな音が再生され、より浅い睡眠中に、柔らかい音が再生されるように、調節される。個々のトーンの長さ(例えば、タイミング)、及び/又はトーン間間隔(例えば、タイミング)も、対象者12がより深い睡眠にあるか、それともより浅い睡眠にあるかに応じて、調整される。この例は、限定的であることを意図したものではない。感覚刺激装置16の例は、サウンドジェネレータ、スピーカ、音楽プレーヤ、トーンジェネレータ、振動刺激を供給する(例えば、圧電部材などの)バイブレータ、脳の皮質を直接的に刺激する磁場を発生させるコイル、1つ若しくは複数の光ジェネレータ若しくはランプ、芳香ディスペンサ、及び/又は他のデバイスのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態においては、感覚刺激装置16は、(例えば、以下で説明されるように)対象者12に提供される刺激の強度、タイミング、及び/又は他のパラメータを調整するように構成される。
【0033】
[43] 外部リソース18は、情報のソース(例えば、データベース、ウェブサイトなど)、システム10に参加する外部エンティティ(例えば、1つ若しくは複数の外部睡眠モニタリングデバイス、医療提供者の医療記録システムなど)、及び/又は他のリソースを備える。例えば、外部リソース18は、ユーザの集団についての履歴的な睡眠深度情報、及び/又は他の情報のソースを備える。ユーザの集団についての履歴的な睡眠深度情報は、ユーザの集団の、睡眠セッション中における、経時的な睡眠深度を示す、ユーザの集団の脳活動に関連する。いくつかの実施形態においては、ユーザの集団についての履歴的な睡眠深度情報は、与えられた地理的エリアにおけるユーザ集団、性別、民族、年齢、一般的な健康レベルに関連する人口統計学情報、及び/若しくは他の人口統計学情報、ユーザの集団についての生理学的情報(例えば、体重、血圧、脈拍など)、並びに/又は他の情報に関連する。いくつかの実施形態においては、この情報は、ユーザの集団における個々のユーザが、人口統計学的に、生理学的に、及び/又は他の点で、対象者12に類似しているかどうかを示す。
【0034】
[44] いくつかの実施形態においては、外部リソース18は、情報の通信を容易にするコンポーネント、システム10の外部の1つ若しくは複数のサーバ、ネットワーク(例えば、インターネット)、電子記憶装置、Wi-Fi技術に関連する機器、Bluetooth(登録商標)技術に関連する機器、データ入力デバイス、センサ、スキャナ、個々のユーザと関連付けられたコンピューティングデバイス、及び/又は他のリソースを備える。いくつかの実施においては、本明細書において外部リソース18に帰される機能のいくつか又はすべては、システム10に備えられたリソースによって、提供される。外部リソース18は、プロセッサ20、ユーザインターフェース24、センサ13及びセンサ14、電子記憶装置22、感覚刺激装置16、並びに/又はシステム10の他のコンポーネントと、有線及び/若しくは無線接続を介して、ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク及び/若しくはインターネット)を介して、セルラ技術を介して、Wi-Fi技術を介して、並びに/又は他のリソースを介して、通信するように構成される。
【0035】
[45] プロセッサ20は、システム10において、情報処理能力を提供するように構成される。従って、プロセッサ20は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他のメカニズムのうちの1つ又は複数を備える。図1においては、プロセッサ20は、単一のエンティティとして示されているが、これは、例示を目的としたものにすぎない。いくつかの実施形態においては、プロセッサ20は、複数の処理ユニットを備えてよい。これらの処理ユニットは、物理的に同じデバイス(例えば、感覚刺激装置16、ユーザインターフェース24など)内に配置され、又はプロセッサ20は、協調して動作する複数のデバイスの処理機能を表す。いくつかの実施形態においては、プロセッサ20は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、サーバ、及び/又は他のコンピューティングデバイスなどの、コンピューティングデバイスであって、及び/又コンピューティングデバイス内に備えられる。そのようなコンピューティングデバイスは、システム10とのユーザ対話を容易にするように構成された、グラフィカルユーザインターフェースを有する、1つ又は複数の電子アプリケーションを実行する。
【0036】
[46] 図1に示されるように、プロセッサ20は、1つ又は複数のコンピュータプログラムコンポーネントを実行するように構成される。コンピュータプログラムコンポーネントは、例えば、プロセッサ20内に符号化された、及び/又は他のやり方で埋め込まれた、ソフトウェアプログラム及び/又はアルゴリズムを備える。1つ又は複数のコンピュータプログラムコンポーネントは、情報コンポーネント30、モデルコンポーネント32、制御コンポーネント34、調節コンポーネント36、及び/又は他のコンポーネントのうちの1つ又は複数を備える。プロセッサ20は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、及び/若しくはファームウェアの何らかの組み合わせ、並びに/又はプロセッサ20上において処理能力を構成するための他のメカニズムによって、コンポーネント30、32、34、及び/又は36を実行するように構成される。
【0037】
[47] 図1においては、コンポーネント30、32、34、及び36は、単一の処理ユニット内に一緒に配置されるものとして例示されているが、プロセッサ20が、多数の処理ユニットを備える、実施形態においては、コンポーネント30、32、34、及び/又は36のうちの1つ又は複数は、他のコンポーネントから遠く離れて配置されてよいことが理解されるべきである。以下で説明される、異なるコンポーネント30、32、34、及び/又は36によって提供される機能の説明は、例示を目的としたものであり、コンポーネント30、32、34、及び/又は36のいずれも、説明されるよりも多い又は少ない機能を提供することがあるので、限定的であることを意図したものではない。例えば、コンポーネント30、32、34、及び/又は36のうちの1つ又は複数は、排除され、それの機能のいくつか又はすべては、他のコンポーネント30、32、34、及び/又は36によって、提供される。別の例として、プロセッサ20は、以下でコンポーネント30、32、34、及び/又は36のうちの1つに帰される機能のいくつか又はすべてを実行する、1つ又は複数の追加のコンポーネントを実行するように構成される。
【0038】
[48] 情報コンポーネント30は、センサ13及びセンサ14からの出力信号をパーティショニング(又はウィンドウ化)し、(例えば、以下で説明されるように)時間ウィンドウにおいて、出力信号内の情報を、モデルコンポーネント32及び/又はディープニューラルネットワークに提供するように構成される。いくつかの実施形態においては、時間ウィンドウは、例えば、約6秒の長さである。この例は、限定的であることを意図したものではない。時間の他の時間ウィンドウが、企図される。情報コンポーネント30は、対象者12の1つ又は複数の脳活動パラメータを決定するようにも構成される。脳活動パラメータは、フィルタリングによって、並びに/又は本明細書において説明されるように、センサ13及びセンサ14からの出力信号内の情報に対して他の操作を実行することによって、決定される。脳活動パラメータは、対象者12の睡眠の深度を示す。いくつかの実施形態においては、脳活動に関連する出力信号内の情報は、経時的な睡眠深度を示す。いくつかの実施形態においては、経時的な睡眠深度を示す情報は、EEGの様々なバンドにおけるパワー、対象者12の徐波活動に関連する情報、及び/若しくは他の情報であり、又はそれらを含む。いくつかの実施形態においては、情報コンポーネント30は、センサ13及びセンサ14からの出力信号内の情報、及び/又は他の情報に基づいて、対象者12のEEGを決定するように構成される。
【0039】
[49] いくつかの実施形態においては、対象者12の徐波活動は、対象者12の睡眠ステージを示す。対象者12の睡眠ステージは、レム(REM)睡眠、ノンレム(NREM)睡眠、及び/又は他の睡眠と関連付けられる。ユーザの集団の睡眠ステージは、NREMステージN1、ステージN2、若しくはステージN3、REM睡眠、及び/又は他の睡眠ステージのうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態においては、対象者12の睡眠ステージは、ステージS1、S2、S3、又はS4のうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態においては、NREMステージ2及び/若しくは3(並びに/又はS3及び/若しくはS4)は、徐波(例えば、深い)睡眠である。いくつかの実施形態においては、経時的な睡眠深度を示す、脳活動に関連する情報は、1つ若しくは複数の追加の脳活動パラメータであり、及び/又はそれらに関連する。
【0040】
[50] いくつかの実施形態においては、経時的な睡眠深度を示す、脳活動に関連する情報は、ユーザの集団の、睡眠セッション中に生成された、EEG及び/若しくは他の情報であり、並びに/又はそれらを含む。いくつかの実施形態においては、脳活動パラメータは、EEG情報に基づいて、決定される。いくつかの実施形態においては、脳活動パラメータは、情報コンポーネント30、及び/又はシステム10の他のコンポーネントによって、決定される。いくつかの実施形態においては、脳活動パラメータは、前もって決定され、外部リソース18から獲得される履歴的な睡眠深度情報の一部である。いくつかの実施形態においては、1つ又は複数の脳活動パラメータは、周波数、振幅、位相、紡錘波、K複合、若しくは睡眠徐波などの特定の睡眠パターンの存在、アルファ波、様々なバンドにおけるパワー、及び/若しくはEEG信号の他の特性であり、並びに/又はそれらに関連する。いくつかの実施形態においては、1つ又は複数の脳活動パラメータは、EEG信号の周波数、振幅、及び/又は他の特性に基づいて、決定される。いくつかの実施形態においては、決定された脳活動パラメータ、及び/又はEEGの特性は、上で説明されたREM及び/若しくはNREM睡眠ステージに対応する睡眠ステージであり、並びに/又はそれを示す。例えば、NREM睡眠中の典型的なEEG特性は、睡眠ステージN1については、アルファ波(例えば、約8~12Hz)からシータ波(例えば、約4~7Hz)への移行、睡眠ステージN2については、睡眠紡錘波(例えば、約11から16Hz)及び/若しくは(例えば、睡眠徐波に類似した)K複合の存在、睡眠ステージN3については、約75μVよりも大きいピーク間振幅を有する、睡眠徐波としても知られる、デルタ波(例えば、約0.5から4Hz)の存在、浅い睡眠及び/若しくは覚醒の存在、並びに/又は他の特性を含む。いくつかの実施形態においては、浅い睡眠は、アルファ活動(例えば、8~12HzバンドにおけるEEGパワー)がもはや存在せず、徐波が存在しないという事実によって特徴付けられる。いくつかの実施形態においては、徐波活動は、正の連続的な値(例えば、0.4から4HzバンドにおけるEEGパワー)である。いくつかの実施形態においては、徐波の欠如は、浅い睡眠を示す。加えて、紡錘波活動(11から16HzバンドにおけるEEGパワー)が、高い。深い睡眠は、デルタ活動(例えば、0.5から4HzバンドにおけるEEGパワー)が支配的であるという事実によって特徴付けられる。いくつかの実施形態においては、睡眠EEGを考察するとき、デルタバンドにおけるEEGパワーとSWAとは、同じである。いくつかの実施形態においては、経時的な睡眠深度を示す、脳活動に関連する情報は、経時的なEEGデルタパワー、ユーザの集団における微小覚醒の量、他のEEGパワーレベル、及び/又は他のパラメータの変化を示す。
【0041】
[51] 情報コンポーネント30は、履歴的な睡眠深度情報を獲得するように構成される。いくつかの実施形態においては、履歴的な睡眠深度情報は、ユーザの集団についてのものである。いくつかの実施形態においては、履歴的な睡眠深度情報は、対象者12についてのものである。履歴的な睡眠深度情報は、ユーザの集団及び/又は対象者12の、以前の睡眠セッション中における、経時的な睡眠深度を示す、ユーザの集団及び/又は対象者12の脳活動に関連する。履歴的な睡眠深度情報は、対応する睡眠セッション中における、ユーザの集団及び/若しくは対象者12の、睡眠ステージ及び/若しくは他の脳活動パラメータ、並びに/又は他の情報に関連する。いくつかの実施形態においては、情報コンポーネント30は、外部リソース18、電子記憶装置22、及び/又は情報の他のソースから、履歴的な睡眠深度情報を電子的に獲得するように構成される。いくつかの実施形態においては、外部リソース18、電子記憶装置22、及び/又は情報の他のソースから、履歴的な睡眠深度情報を電子的に獲得することは、1つ若しくは複数のデータベース及び/若しくはサーバに問い合わせること、情報をアップロードする、及び/若しくは情報をダウンロードすること、ユーザ入力(例えば、ユーザインターフェース24を介して入力される、ターゲット患者集団を定義するために使用される基準)を促進すること、電子メールを送信及び/若しくは受信すること、テキストメッセージを送信及び/若しくは受信すること、他の通信を送信及び/若しくは受信すること、並びに/又は他の獲得動作を有する。いくつかの実施形態においては、情報コンポーネント30は、様々なソース(例えば、上で説明された外部リソース18のうちの1つ若しくは複数、電子記憶装置22など)からの情報を集約し、1つ若しくは複数の電子データベース(例えば、電子記憶装置22、及び/若しくは他の電子データベース)内に情報を配置し、履歴的な睡眠深度情報の1つ若しくは複数の特徴(例えば、睡眠セッションの長さ、睡眠セッションの数など)に基づいて、情報を正規化し、並びに/又は他の動作を実行するように構成される。
【0042】
[52] モデルコンポーネント32は、機械学習モデルが、履歴的な睡眠深度情報を使用して、トレーニングされるように構成される。いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、履歴的な睡眠深度情報を機械学習モデルへの入力として提供することによって、履歴的な睡眠深度情報に基づいて、トレーニングされる。いくつかの実施形態においては、機械学習モデルは、数学的方程式、アルゴリズム、プロット、チャート、ネットワーク(例えば、ニューラルネットワーク)、及び/若しくは他のツール及び機械学習モデルコンポーネントであり、並びに/又はそれらを含む。例えば、機械学習モデルは、入力層と、出力層と、1つ若しくは複数の中間層若しくは隠れ層とを備える、1つ若しくは複数のニューラルネットワークであり、及び/又はそれらを備える。いくつかの実施形態においては、1つ又は複数のニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク(例えば、入力層と出力層との間に1つ若しくは複数の中間層若しくは隠れ層を有するニューラルネットワーク)であり、及び/又はそれを備える。
【0043】
[53] 例として、ニューラルネットワークは、ニューラルユニット(又は人工ニューロン)の大きい集まりに基づく。ニューラルネットワークは、生物学的な脳が、(例えば、軸索によって接続された生物学的なニューロンの大きいクラスタを介して)働くやり方を大まかに模倣する。ニューラルネットワークの各ニューラルユニットは、ニューラルネットワークの他の多くのニューラルユニットと接続される。そのような接続は、接続されたニューラルユニットの活性化状態に対するそれらの影響において、強化的又は抑制的であることができる。いくつかの実施形態においては、各個々のニューラルユニットは、それのすべての入力の値を一緒に結合する、合算関数を有する。いくつかの実施形態においては、各接続(又はニューラルユニット自体)は、信号が、他のニューラルユニットに伝搬することを許可される前に、しきい値を超えなければならないような、しきい値関数を有する。これらのニューラルネットワークシステムは、明示的にプログラムされるのではなく、自己学習を行い、トレーニングされ、問題解決のある分野において、従来のコンピュータプログラムと比較して、著しく良好に働くことができる。いくつかの実施形態においては、ニューラルネットワークは、(例えば、フロント層からバック層に向かって信号経路が横断する)多数の層を備える。いくつかの実施形態においては、バックプロパゲーション技法が、ニューラルネットワークによって利用され、「フロント」ニューラルユニットにおける重みをリセットするために、フォワード刺激が使用される。いくつかの実施形態においては、ニューラルネットワークに対する刺激及び抑制は、より混沌とした複雑なやり方で相互作用する接続を用いて、より自由に流れる。
【0044】
[54] 上で説明されたように、トレーニングされたニューラルネットワークは、1つ又は複数の中間層又は隠れ層を備える。トレーニングされたニューラルネットワークの中間層は、1つ若しくは複数の畳み込み層、1つ若しくは複数の回帰層、及び/又はトレーニングされたニューラルネットワークの他の層を備える。個々の中間層は、情報を別の層から入力として受け取り、対応する出力を生成する。いくつかの実施形態においては、トレーニングされたニューラルネットワークは、例えば、長・短期記憶(LSTM)要素のスタックが後続する、畳み込みニューラルネットワークのスタックを備える、ディープニューラルネットワークを備える。畳み込みニューラルネットワーク層は、フィルタと考えられ、LSTM層は、例えば、睡眠ステージ履歴を追跡する、記憶要素と考えられる。ディープニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク層の間の次元を減らす、最大プーリング層が存在するように構成される。いくつかの実施形態においては、ディープニューラルネットワークは、LSTM層の前に、(ボディマス指数BMI、性別、年齢などのような)オプションのスカラパラメータを備える。いくつかの実施形態においては、ディープニューラルネットワークは、畳み込み層及び回帰層の上に、全結合層を備える。いくつかの実施形態においては、ディープニューラルネットワークは、例えば、ドロップアウト又は重み正則化パラメータなどの、追加のハイパーパラメータを備える。
【0045】
[55] 予測される睡眠ステージ、及び/又は深い睡眠ステージの将来の時間は、ニューラルネットワークの層によって処理された、センサ13及びセンサ14からの出力信号内の情報に基づいて、生成される。いくつかの実施形態においては、ディープニューラルネットワークの出力は、個々のウィンドウの間の個々の睡眠ステージについての(軟)確率値を含む。モデルコンポーネント32は、これらの確率値が、(例えば)ARGMAX演算子を介して、各ウィンドウについての硬判定睡眠ステージ値に変換されるように構成される。
【0046】
[56] モデルコンポーネント32は、トレーニングされた(例えば、ディープ)ニューラルネットワーク、及び/又は他の任意の教師付き機械学習アルゴリズムに、対象者12の睡眠ステージを検出させ、及び/又は対象者12の予測される睡眠ステージを示させるように構成される。いくつかの実施形態においては、これは、(1)睡眠セッション中に対象者12がNREMステージN3若しくはN2睡眠を経験している期間を決定すること、対象者12が深い(NREM)睡眠ステージにある、睡眠セッション中の将来の時間を予測すること、及び/若しくは他の動作であり、並びに/又はそれらを含む。決定された及び/又は予測される睡眠ステージ及び/又はタイミングは、ユーザが、刺激及び/又は他の情報のための深い睡眠にある(又は深い睡眠になる)かどうかを示す。非限定的な例として、出力信号に基づいて(例えば、出力信号内の情報をモデルに対する入力として使用して)、及び/又は他の情報に基づいて、トレーニングされたニューラルネットワークに、対象者12についての、予測される睡眠ステージ、並びに/又は深い睡眠ステージの将来の時間及び/若しくはタイミングを示させる。トレーニングされたニューラルネットワークは、睡眠セッション中における、対象者12についての、発生している睡眠ステージ、又は将来の時間に発生することが予測される睡眠ステージを示すように構成される。いくつかの実施形態においては、上で説明されたように、モデルコンポーネント32と連携する、情報コンポーネント30は、睡眠セッション中における個々の期間に対応する時間セット(ウィンドウ)内において、出力信号内の情報をニューラルネットワークに提供するように構成される。モデルコンポーネント32は、トレーニングされたニューラルネットワークに、情報の時間セットに基づいて、睡眠セッション中における、対象者12についての、決定された及び/若しくは予測される睡眠ステージ、並びに/又は深い睡眠ステージの予測される時間を出力させるように構成される。モデルコンポーネント32は、図4図8に関して、以下でさらに説明される。
【0047】
[57] 制御コンポーネント34は、睡眠中、及び/又は他の時間に、刺激を対象者12に提供するように、刺激装置16を制御するように構成される。制御コンポーネント34は、検出された及び/若しくは予測される睡眠ステージ、対象者12が深い睡眠ステージになる将来の時間、及び/又は睡眠セッション中の経時的な他の情報に基づいて、感覚刺激装置16に、感覚刺激を対象者12に提供させるように構成される。制御コンポーネント34は、対象者12が、刺激のための深いNREM睡眠(例えば、深いN3睡眠)にある、又はそうである可能性が高いことに応答して、感覚刺激装置16に、感覚刺激を対象者12に提供させるように構成される。制御コンポーネント34は、睡眠セッション中に対象者12の深いNREM睡眠を強化するために、深いNREM睡眠中に感覚刺激を対象者12に提供するように、1つ又は複数の感覚刺激装置16を制御するように構成される。
【0048】
[58] 例えば、制御コンポーネント34は、睡眠セッション中に対象者12の深いNREM睡眠を強化するために、深いNREM睡眠中に感覚刺激を対象者12に提供するように、1つ又は複数の感覚刺激装置16を制御することが、(1)対象者12が深いNREM N3睡眠を経験している期間、又は(2)将来の時間の各々に関して、トレーニングされたニューラルネットワークの1つ又は複数の中間層によって生成された1つ又は複数の値に基づいて、対象者12がN3睡眠中であるか、又はN3睡眠になる可能性が高いかを決定することと、(1)対象者12が深い(例えば、N3)NREM睡眠を経験している期間中に、又は(2)将来の時間に、1つ又は複数の感覚刺激装置16に、感覚刺激を対象者12提供させることと、1つ若しくは複数の中間層の1つ若しくは複数の値、及び/又は他の情報に基づいて、対象者12に提供される感覚刺激の量、タイミング、及び/若しくは強度を決定し、並びに/又は(例えば、本明細書において説明されるように)1つ若しくは複数の感覚刺激装置16に、それらを調節させることとを有するように構成される。いくつかの実施形態においては、刺激装置16は、(本明細書において説明されるように)深いNREM睡眠中に供給される(例えば、末梢聴覚、磁気、電気、及び/又は他の)刺激を通して、深いNREM睡眠を強化するように、制御コンポーネント34によって制御される。(例えば、深いNREM睡眠から他の何らかの睡眠ステージへの)睡眠ステージ移行の検出時に、制御コンポーネント34は、刺激を停止するように構成される。制御コンポーネント34は、図4図8に関して、以下でさらに説明される。
【0049】
[59] 調節コンポーネント36は、感覚刺激装置16に、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるように構成される。調節コンポーネント36は、脳活動パラメータ、トレーニングされたニューラルネットワークの(出力及び/若しくは中間)層から出力された値、並びに/又は他の情報に基づいて、感覚刺激装置16に、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるように構成される。例として、感覚刺激装置16は、脳活動パラメータ、畳み込み層から出力された値、回帰層から出力された値、及び/又は他の情報に基づいて、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させられる。いくつかの実施形態においては、(例えば、情報コンポーネント30によっても決定される)原EEG信号に基づいて、(例えば、図1に示される情報コンポーネント30によって)決定されるパラメータは、刺激設定を調節するために、使用されることができる。上で説明されたように、これらのパラメータは、睡眠深度パラメータ(例えば、デルタバンドにおけるEEGパワーとベータバンドにおけるEEGパワーとの間の比)、単位時間当たりの検出された徐波の密度、デルタバンドにおけるパワー、及び/又は他のパラメータを含む。調節コンポーネント36は、図4図8に関して、以下でさらに説明される。
【0050】
[60] 非限定的な例として、図4は、システム10によって実行される、上で説明された動作のうちのいくつかを例示している。図4に示される例においては、(対象者12の額とかかわるセンサ13及びセンサ14からの)前頭部信号400は、時間ウィンドウ402内において、処理され、及び/又はさもなければ、(例えば、図1に示される情報コンポーネント30及びモデルコンポーネント32によって)ディープニューラルネットワーク404に提供される。ディープニューラルネットワーク404は、時間ウィンドウ402内における情報に基づいて、将来の睡眠ステージ、及び/又は対象者12が深い睡眠にある将来の時間を予測406する。ディープニューラルネットワーク404のアーキテクチャは、(フィルタと考えることができる)畳み込み層410と、過去の予測を使用して、予測精度を精緻化することができるように、ネットワーク404に記憶を与える、(単なる一例として、長・短期記憶要素として実施される)回帰層412とを有する。(以下でさらに説明されるが-検出された及び/又は予測される睡眠ステージに基づいて、感覚刺激装置16に、感覚刺激を対象者12に提供させる一環として、図1に示される制御コンポーネント34によって実行される)睡眠ステージ予測精度向上動作411が、睡眠ステージ予測406に後続する。将来の睡眠ステージ、及び/又は深い睡眠ステージのタイミングを予測すること、並びにこれらの予測の精度を向上させることは、システム10が、(より浅い睡眠ステージが予測される場合は)刺激を保留することを、又はより深い(例えば、NREM)睡眠が予測されるときは、最適化されたタイミング及び強度を有する刺激を準備することを可能にするので、徐波睡眠を強化するための感覚刺激の提供を容易にする。
【0051】
[61] 図4に示されるように、システム10は、2つの並列プロセスにおいて、前頭部信号400内の情報を使用する。上で説明されたように、第1のプロセス421は、時間ウィンドウ402と関連付けられた可能性の高い睡眠ステージを決定するために、ディープニューラルネットワーク404によって処理される、センサ情報402の時間ウィンドウ402をバッファリングすることを有する。第2のプロセス423は、前頭部信号400(例えば、アルファ、ベータ、及びデルタ周波数バンドにおけるパワー)から、スペクトル特徴(例えば、上で説明されたようなパラメータ)を(例えば、図1に示される情報コンポーネント30によって)決定419することを有する。
【0052】
[62] 414において、NREMステージN3睡眠(例えば、感覚刺激の提供のための深い睡眠)が予測されることを示す、向上した睡眠ステージ予測408に応答して、ウィンドウ化された前頭部信号400が、強化450され、強化されたウィンドウ化された前頭部信号の徐波、微小覚醒、及び/又は他の特性が、検出452され、刺激416が、(例えば、図1に示される制御コンポーネント34によって制御される感覚刺激装置16から)対象者12に提供される。徐波、及び微小覚醒は、部分的には、第2のプロセス423からの決定されたスペクトル特徴419、ディープニューラルネットワーク404からの中間出力461、ディープニューラルネットワーク404によって予測406される睡眠ステージ、及び/又は他の情報に基づいて、検出される。刺激416の強度及び/又はタイミングは、(例えば、図1に示される情報コンポーネント30によって決定される)パラメータ419、検出された徐波、及び/若しくは微小覚醒452、向上した予測されるN3睡眠450、並びに/又は他の情報に基づいて、(例えば、調節コンポーネント36によって)調節418される。上で説明されたように、いくつかの実施形態においては、感覚刺激は、可聴トーンを備える。これらの実施形態においては、感覚刺激装置16は、トーン間間隔を減少させること、及び/又はトーンの音量を増加させることによって、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節する。
【0053】
[63] 図1及び図4を参照すると、ニューラルネットワークの有用な特性は、それらが、事前定義された睡眠ステージ(例えば、目覚め、REM、N1、N2、N3睡眠)と関連付けられた確率を生成することができることである。モデルコンポーネント32は、確率のセットが、どの睡眠ステージが、他の睡眠ステージと比較して、(可能な値の連続体における)最も高い確率値と関連付けられるかを決定することによって、硬判定に変換される、いわゆる軟判定ベクトルを構成するように構成される。これらの軟判定は、(先行技術のシステムにおけるように)特定のEEG情報が、どの離散的な睡眠ステージ「バケット」に属するかを決定することを強いられる代わりに、システム10が、連続体上の異なる可能な睡眠状態を検討することを可能にする。モデルコンポーネント32は、畳み込み層から出力される値と、軟判定値出力との両方が、睡眠ステージなどの離散値ではなく、連続値を含むベクトルであるように構成される。その結果、畳み込み及び回帰(軟判定)値出力は、システム10によって使用されて、例えば、睡眠ステージを決定及び/若しくは予測し、刺激の量を調節し、並びに/又は他の操作を実行するために、利用可能である。
【0054】
[64] モデルコンポーネント32は、睡眠セッション中の個々の将来の時間に関して、トレーニングされたニューラルネットワークの出力層によって生成される、予測される睡眠ステージ、及びトレーニングされたニューラルネットワークの1つ又は複数の中間層によって生成される、睡眠ステージ確率値(例えば、図4における406)を決定するように構成される。上で説明されたように、システム10は、N3検出精度を向上させるために(例えば、図4に示される411)、センサ13及びセンサ14が、ともに、睡眠セッション中に対象者12の額に配置されるように構成される。N3検出感度を改善することは、各個々の将来の時間についてのN2睡眠とN3睡眠との間の確率比を考察することによって、達成される。
【0055】
[65] 例えば、システム10において、制御コンポーネント34は、(1)予測される睡眠ステージ(例えば、トレーニングされたニューラルネットワークの出力層からの出力)が、N3であること、又は(2)予測される睡眠ステージが、N2であって、N2睡眠の確率に対するN3睡眠の確率の比が、少なくとも0.5であること(この例は、限定的であることを意図したものではない)に応答して、感覚刺激装置16に、将来の時間に感覚刺激を対象者12に提供させる(並びに/又は本明細書において説明されるような、1つ若しくは複数の中間層によって生成された1つ若しくは複数の確率値に基づいて、睡眠セッション中に、感覚刺激のタイミング及び/若しくは強度を調節する)ように構成される。制御コンポーネント34は、トレーニングされた(ディープ)ニューラルネットワークの軟出力(確率)に対して、後処理ステップ(例えば、図4からの411)を実行すると考えられる。N2確率が最も高く、N3確率が2番目に高い、ウィンドウについて、N3の確率とN2の確率との間の比が、(例えば)0.5よりも大きいとき、制御コンポーネント34は、(N2が最も高い確率を有し、それ自体、トレーニングされたニューラルネットワークによって予測される睡眠ステージであったとしても、N2の代わりに)N3睡眠を、そのウィンドウに割り当てるように構成される。
【0056】
[66] いくつかの実施形態においては、制御コンポーネント34は、センサ13及びセンサ14からの出力信号内の情報、並びに/又は他の情報に基づいて、(例えば、図4における動作450において)睡眠微小覚醒を検出し、N3睡眠中に感覚刺激を対象者12に提供して(例えば、図4における416)、睡眠セッション中に、対象者12のN3睡眠を強化するために、検出された睡眠微小覚醒に基づいて、1つ又は複数の感覚刺激装置16を制御するように構成される。検出された微小覚醒に基づいて、1つ又は複数の感覚刺激装置16を制御することは、対象者12に提供される感覚刺激の強度、及び/又は他の制御を調節すること(例えば、図4における418)を有する。制御コンポーネント34は、刺激の間に、微小覚醒が、検出された場合、感覚刺激の供給が、事前定義された期間(例えば、10秒)の間、一時停止されるように構成される。いくつかの実施形態においては、睡眠微小覚醒は、EEGのパワーバンドにおけるパワーに関するしきい値の違反に応答して、トレーニングされたニューラルネットワークからの追加の出力に基づいて、及び/又は他の情報に基づいて、検出される。
【0057】
[67] 非限定的な例として、制御コンポーネント34は、(前処理された)EEG信号(例えば、センサ15、16からの出力信号)が、αバンド(この特定の例においては、フィルタは、8~14.5Hzバンドを使用する)、及びβバンド(例えば、19~24Hz)において、バンドパスフィルタリングされるように構成される。制御コンポーネント34は、これらの信号を使用して、1.5秒(及び/又は例えば、システム10が本明細書において説明されるように機能することを可能にする、他の任意の時間の量)ごとに推定される、αバンド及びβバンドRMS(2乗平均平方根)値を生成する。任意の単一のα又はβRMSサンプルが、それぞれのしきい値を上回ったときに、制御コンポーネント34によって、候補(又は可能な)微小覚醒にフラグが立てられる。候補微小覚醒が、覚醒リフラクトリ期間(例えば、連続した2秒、及び/又はシステム10が本明細書において説明されるように機能することを可能にする、他の任意の時間の長さ)よりも長く持続する場合、検出された微小覚醒として、イベントにフラグが立てられる。
【0058】
[68] 微小覚醒検出の例が、図5に示されている。図5は、αバンド500及びβバンド502のRMS値と、対応するしきい値504(例えば、7)及び506(例えば、0.9)と、覚醒リフラクトリ期間508(T2-T1)とを例示している。上で説明されたように、任意の単一のα又はβRMSサンプル値500、502が、対応するしきい値504、506を上回ったときに、制御コンポーネント34(図1)によって、候補(又は可能な)微小覚醒にフラグが立てられる。候補微小覚醒が、覚醒リフラクトリ期間508よりも長く持続する場合、検出された微小覚醒として、イベントにフラグが立てられる。いくつかの実施形態においては、制御コンポーネント34は、互いに時間的に近接した(例えば、第1の検出された微小覚醒の終了と第2の微小覚醒の開始との間の間隔が3秒以内の)検出された微小覚醒が、マージされるように構成される。
【0059】
[69] 図1及び図4に戻ると、いくつかの実施形態においては、制御コンポーネント34は、α及びβについてのしきい値が、トレーニングを受けた睡眠技術者によって手動で注釈付けされた微小覚醒に整合するように構成された、パラメータ最適化手順を使用して、決定されるように構成される。(例えば、センサ13、14からの)原出力信号は、睡眠ステージ決定をシミュレートするように設計されたソフトウェア(例えば、上で説明されたトレーニングされたニューラルネットワーク)を通過させられる。α∈{5:12;ステップ=1}及びβ∈{0.6:2,ステップ=0.1}のしきい値のいくつかの異なる組み合わせを、シミュレータによってテストすることができる。(上で説明されたように自動的に検出された)N3睡眠の期間において検出された覚醒が、同じ期間における睡眠技術者によって手動で注釈付けされた覚醒と比較される。非限定的な例として、感度、特異度、陽性予測値(PPV)、及び受信者動作特性(ROC)曲線下の面積(曲線下面積-AUC)が、微小覚醒検出性能を定量化し、最適なα-β組み合わせの選択を容易にするために、決定される。いくつかの実施形態においては、最適なアルファしきい値は、7(α=7)であり、最適なベータしきい値は、0.9(β=0.9)であるが、これらの例は、限定的であることを意図したものではない。
【0060】
[70] いくつかの実施形態においては、制御コンポーネント34は、睡眠微小覚醒を検出するために、1つ又は複数のディープニューラルネットワークを使用するように構成される。睡眠微小覚醒を検出するために使用されるディープニューラルネットワークは、上で説明されたディープニューラルネットワークに類似し、及び/又はそれと同じである。同様に、ディープニューラルネットワークは、オプションの全結合層を伴う、1つ若しくは複数の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、及び長・短期記憶(LSTM)、並びに/又は他のアーキテクチャを備える。このアーキテクチャは、出力信号を時間ウィンドウにセグメント化すること(例えば、3秒のウィンドウにウィンドウ化すること-この例は、限定的であることを意図したものではない)を必要とする。明確にするために、システム10においては、3つのタイプのウィンドウが、すなわち、睡眠ステージを検出するための(例えば、6秒の)ウィンドウ、ベータ/アルファバンドにおけるパワーに基づいて微小覚醒を検出するための(例えば、1.5秒の)ウィンドウ、及び深層学習ベースの検出器に基づいて微小覚醒を検出するための(例えば、3秒の長さの)ウィンドウが、考慮される。いくつかの実施形態においては、制御コンポーネント34は、2項分類問題として、微小覚醒検出に対処するように構成される。覚醒検出問題は、非常に不均衡であり、つまり、覚醒サンプルと非覚醒サンプルは、常に等しいサイズとは限らない。いくつかの実施形態においては、覚醒検出DNNは、入力として、(バンドパワーではなく)EEGサンプルを有する(例えば、3秒の)ウィンドウを使用する。これらのウィンドウの各々について、DNNは、覚醒が検出されたかどうかを定義する、イエス/ノー出力(すなわち、2値判定)を生成する。DNNは、覚醒の存在について、専門の睡眠技術者によって事前に注釈付けされた、睡眠データを用いて、トレーニングされる。(覚醒に比べて非覚醒がより多い)不均衡問題は、典型的な睡眠の夜においては、健康なユーザからは、覚醒を含む3秒のウィンドウと比較して、覚醒のない3秒のウィンドウが、より多くという事実に起因する。
【0061】
[71] いくつかの実施形態においては、制御コンポーネント34は、(例えば、図4の動作450において)センサ13及びセンサ14からの出力信号内の情報に基づいて、徐波を検出し、N3睡眠中に、感覚刺激(例えば、図4に示される416)を対象者に提供して、睡眠セッション中に、対象者のN3睡眠を強化するために、検出された徐波に基づいて、1つ又は複数の感覚刺激装置16を制御するように構成される。いくつかの実施形態においては、徐波は、負になるEEG信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、(フィルタリングが負になるEEG信号のデルタ部分を増大させる)フィルタリングされた負になるEEG信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、及び/又はフィルタリングされた負になるEEG信号の形状の、対応する徐波テンプレートの形状との比較に基づいて、検出される。
【0062】
[72] 非限定的な例として、図6は、1つ又は複数の実施形態に従った、徐波608を示す、時間603にわたる、EEG601の異なる信号600、602、604を例示している。典型的なFPz-M2電極信号600を生成する、先行システムにおいては、睡眠徐波のリアルタイム検出は、構成可能なしきい値605に違反する最小ピーク620を有する、EEG信号(例えば、602)の負になる部分618から、4つの点610、612、614、616をサンプリングすることによって、達成される。図6に示されるように、サンプリングされた関心点610、612、614、616は、負のしきい値605が最初に違反されるインデックスにおいて、負のピーク620において、負のしきい値605に戻った(正の勾配を有する)点において、及びその後の正に向かってゼロを越える点において、収集される。サンプリングされた点は、その後、それらの点を通過し、及び正に向かうゼロ越えを通過する、対応する正弦曲線の周波数を推定するために使用されて、候補睡眠徐波に対応する3つの周波数推定をもたらす。その後、ウィンドウ化された信号を徐波として適格又は不適格であると見なすために、平均周波数推定が、境界しきい値と比較される。例として、典型的な先行システムは、徐波検出中に、29μVの最小しきい値(例えば、605)を使用する。
【0063】
[73] 対象者12の額にかかわるように構成されたセンサ13及びセンサ14を備えるシステム10(図1)(例えば、前頭部導出システム)においては、パワースペクトル密度分析は、デルタバンド(0.5から4Hz)の振幅が、隣接する周波数バンドと比較して、より顕著に低減させられていることを示す。これは、図6において、FPz-EOGR信号602によって、例示されている。信号600に比べて、信号602においては、徐波608が、はるかに浅く見える。したがって、徐波を検出するために、システム10は、異なるしきい値を用いて動作するように構成され、及び/又は異なるやり方で徐波を検出するように構成される。例えば、システム10は、前頭部導出信号に見出される低減した振幅を有するとしても、以下の可能な手法のうちの1つ又は複数を使用して、徐波を検出するように構成される。
【0064】
[74] いくつかの実施形態(例えば、第1の例示的な手法)においては、制御コンポーネント34(図1)は、徐波感度が、取り戻されるまで、徐波最小ピークしきい値605を低減607させるように構成される。徐波ピークについてのしきい値の減少は、より多くの徐波イベントが、検出されることができるので、感度を高める。制御コンポーネント34は、(例えば、信号602のために選択された)負のしきい値が最初に違反されるインデックスにおいて、信号内の負になるピークにおいて、信号内の負のしきい値605に戻った(正の勾配を有する)点において、及び信号内のその後に正に向かってゼロを越える点において、前頭部信号(例えば、信号602、図1に示されるセンサ13及びセンサ14の出力信号)についての(例えば、610、612、614、及び616に類似しているが、信号602についての)関心点をサンプリングするように構成される。前頭部信号(例えば、602)のサンプリングされた点は、その後、それらの点を通過し、及び正に向かうゼロ越えを通過する、対応する正弦曲線の周波数を推定するために使用されて、候補睡眠徐波に対応する3つの周波数推定をもたらす。その後、ウィンドウ化された信号を徐波として適格又は不適格であると見なすために、平均周波数推定が、前頭部信号のための境界しきい値と比較される。
【0065】
[75] いくつかの実施形態(例えば、第2の例示的な手法)においては、制御コンポーネント34は、N3の深い睡眠において典型的に見出される、デルタ周波数成分と非デルタ周波数成分との振幅間の不一致を引き起こす、及び/又は保持するように構成される。前頭部導出信号(例えば、図6に示す602)が、周波数スペクトルにわたって振幅の非対称な減少を有することを考慮すると、制御コンポーネント34は、シェルビングフィルタを介して、デルタ周波数及び近くの周波数を増大させる(例えば、図4に示される動作450)ように構成される。この増大された信号は、図6において、信号604によって例示されている。図6に示されるように、信号604は、信号600と比較して、徐波608において、より浅い(例えば、より小さい負の最小値を有する)が、信号602と比較して、より深い(例えば、より大きい負の最小値を有する)。制御コンポーネント34(図1)は、徐波の検出を容易にするために、増大された信号604についての徐波最小ピークしきい値を決定するように構成される。このしきい値は、例えば、信号600及び信号602のための対応するしきい値の間にある。増大された信号604のための徐波最小ピークしきい値は、徐波の検出を容易にするために、上の段落において説明されたしきい値(例えば、605)として使用される。
【0066】
[76] いくつかの実施形態(例えば、第3の例示的な手法)においては、制御コンポーネント34(図1)は、上で説明されたデルタ増大が、異なる徐波検出アルゴリズムと組み合わされるように構成される。図6に示されるように、前頭部信号602から決定されたEEGは、基準信号(FPz-M2)600とは異なる形態をしばしば有する。いくつかの実施形態においては、前頭部信号は、乳様突起を基準とする信号と比較して、著しく小さい。前頭部信号は、単にスケールダウンされるばかりでなく、それのスペクトル特性も、異なる(例えば、それは、異なる形態を有する-図2を参照)。いくつかの実施形態においては、制御コンポーネント34は、候補徐波を含むEEGのウィンドウが、サンプリングされ、テンプレート徐波との比較のために、正規化されるように構成される。テンプレート徐波は、対象者12の以前の睡眠セッションからの情報に基づいて、決定され、他の(例えば、人口統計学的に類似した)ユーザの以前の睡眠セッションからの情報に基づいて、決定され、介護者、対象者12、及び/若しくは他のユーザによって行われた(例えば、ユーザインターフェース24を介した)入力及び/若しくは選択に基づいて、決定され、並びに/又は(例えば、以下で説明されるような)他のやり方で、決定される。制御コンポーネント34は、テンプレートが、(EEGウィンドウからサンプリングされたサンプリング点の数と)同一の数のサンプリング点を有し、基準(例えば、FPz-M2)信号が徐波を有するロケーションにおいて、(例えば、FPz-EOGR)信号を収集し、収集された信号を平均化することによって、決定されるように構成される。(例えば、以下で提供されるさらなる情報を用いて、上で説明されたように)候補徐波が、ひとたび検出されると候補が、徐波と見なされるほど十分に、テンプレートと形態的に類似しているかどうかを決定するために、(正規化され、テンプレートと比較された)点ごとの誤差の平均及び/又は標準偏差が、使用される。いくつかの実施形態においては、候補徐波は、それらの持続時間についてのしきい値、及び上で説明された方法に類似する最小の負しきい値を介して、制御コンポーネント34によって、事前スクリーニングされる。テンプレート選択、テンプレート正規化、潜在的な徐波の識別、潜在的な徐波の正規化、及びテンプレートとの比較の例が、以下で説明される。
【0067】
[77] テンプレート選択:制御コンポーネント34(図1)は、徐波テンプレートが、一度だけ決定されさえすればよく(しかし、多数のテンプレート決定及び再決定が、企図される)、対象者及び睡眠セッションデータセットにわたって再使用されるように構成される。自動検出のために使用される徐波テンプレートは、実際の対象者データセットからテンプレートを選択し、他の方法を使用して自動的に検出された、所望の波形特徴から手動で構築された、及び/又は他のやり方で決定された徐波の平均に基づいて、テンプレートを決定することによって、決定される。
【0068】
[78] テンプレート正規化:制御コンポーネント34は、テンプレートが、決定された後、テンプレートからk個の等間隔の点を選択することによって、テンプレートが、デシメーションされるように構成される。kの選択は、リアルタイム処理の必要性とテンプレート解像度との間のトレードオフに基づいて、決定される。kの値は、例えば、約16である。テンプレート徐波の電圧範囲は、ピーク電圧[0,vPeak]からターゲット電圧[0,例えば、-40μV]に正規化される。kの値、ターゲット電圧、及び/又は他のパラメータは、対象者12及び/若しくは他のユーザの以前の睡眠セッションからの情報に基づいて、決定され、介護者、対象者12、及び/若しくは他のユーザによって入力及び/若しくは選択され、並びに/又は他のやり方で決定される。
【0069】
[79] 潜在的な徐波の識別:制御コンポーネント34(図1)は、潜在的な徐波が、以下の特性、すなわち、正から負へのゼロ越え、その後の-40μVを下回る負のピーク、及びその後の負のピーク振幅の事前決定されたパーセンテージまでの(電圧の)戻りを有し、0μVを下回る、いずれかの波形セグメントであると決定されるように構成される。例えば、事前決定されたパーセンテージは、波形の電圧が、(例えば、図6の点616と同様に)負から正へのゼロ越えに達したときに、潜在的な徐波が識別されることを示す、0%、波形の電圧が、(例えば、図6の点612と同様に)負のピークにあるときに、潜在的な徐波が識別されることを示す、100%、波形の電圧が、(例えば、図6の点614と同様に)負のピークとその後のゼロ越えとの間の中間地点にあるときに、潜在的な徐波が識別されることを示す、50%、及び/又は他のパーセンテージである。事前決定されたパーセンテージは、対象者12及び/若しくは他のユーザの以前の睡眠セッションからの情報に基づいて、決定され、介護者、対象者12、及び/若しくは他のユーザによって入力及び/若しくは選択され、並びに/又は他のやり方で、決定される。
【0070】
[80] 潜在的な徐波の正規化:制御コンポーネント34(図1)は、潜在的な徐波が、ひとたび識別されると、候補波形が、上述のテンプレート正規化と同一のやり方で、正規化されるように構成される。制御コンポーネント34は、テンプレートからk個の等間隔の点を選択することによって、波形が、デシメーションされ(ここで、kの選択は、リアルタイム処理の必要性とテンプレート解像度との間のトレードオフに基づいて、決定され、kの値は、例えば、約16である)、その範囲が、[0,vPeak]からターゲット範囲(例えば、[0,-40μV])に正規化されるように構成される。
【0071】
[81] テンプレートとの比較:制御コンポーネント34(図1)は、点ごとの誤差の平均及び/若しくは標準偏差を使用して、並びに/又は他の方法を使用して、潜在的な徐波をテンプレートと比較するように構成される。例えば、いくつかの実施形態においては、制御コンポーネント34は、候補波形とテンプレートとの間の点ごとの電圧差を決定し(Vdiff=Vcandidate-Vtemplate)、これらの差の平均を、例えば、マイクロボルトの単位で、決定し(μ=mean(Vdiff))、平均が、平均に関するしきい値に違反するかどうかに基づいて、候補波形を検証することによって、潜在的な徐波とテンプレートとの間の点ごとの差の平均を使用するように構成される。平均に関するしきい値は、対象者12及び/若しくは他のユーザの以前の睡眠セッションからの情報に基づいて、決定され、介護者、対象者12、及び/若しくは他のユーザによって入力及び/若しくは選択され、並びに/又は他のやり方で決定される。
【0072】
[82] 別の例として、いくつかの実施形態においては、制御コンポーネント34は、候補波形とテンプレートとの間の点ごとの電圧差を決定し(Vdiff=Vcandidate-Vtemplate)、これらの差の平均及び標準偏差を、例えば、マイクロボルトの単位で、決定し(μ=mean(Vdiff)、σ=std(Vdiff))、標準偏差、標準偏差と平均、又は両方の積が、対応するしきい値に違反するかどうかに基づいて、候補波形を検証することによって、潜在的な徐波とテンプレートとの間の点ごとの差の標準偏差を使用するように構成される。これらのしきい値は、対象者12及び/若しくは他のユーザの以前の睡眠セッションからの情報に基づいて、決定され、介護者、対象者12、及び/若しくは他のユーザによって入力及び/若しくは選択され、並びに/又は他のやり方で決定される。
【0073】
[83] 図7は、(例えば、図1に示されるセンサ13及びセンサ14からの情報に基づいて、情報コンポーネント30によって決定される)EEG706の一部704からの候補徐波波形702の、テンプレート708との比較700を例示している。制御コンポーネント34(図1)は、候補波形702とテンプレート708との間の点ごとの電圧差710を決定し、これらの差710の平均及び標準偏差を、例えば、マイクロボルトの単位で、決定し、平均、標準偏差、標準偏差と平均、又は両方の積が、対応するしきい値に違反するかどうかに基づいて、候補波形を検証することによって、潜在的な徐波702とテンプレート708との間の点ごとの電圧差710の平均又は標準偏差を使用するように構成される。
【0074】
[84] 図1に戻ると、上で説明されたように、調節コンポーネント36は、感覚刺激装置16に、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させる(例えば、図4の418)ように構成される。調節コンポーネント36は、感覚刺激装置16に、1つ若しくは複数の脳活動パラメータ、トレーニングされたニューラルネットワークの畳み込み層及び/若しくは回帰層から出力される値、並びに/又は他の情報に基づいて、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるように構成される。例として、対象者12に提供される聴覚刺激の音量は、畳み込み層の値出力、及び回帰層の値出力(例えば、睡眠ステージ(軟)予測確率)など、ディープニューラルネットワークからの値出力に基づいて、調整され、及び/又は他のやり方で制御(例えば、調節)される。
【0075】
[85] いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36は、前頭部EEG信号(例えば、センサ13及びセンサ14からの出力信号内の情報、並びに/又は情報コンポーネント30によって決定されるEEG)に基づいて決定される、高周波数/低周波数スペクトル比に基づいて、動的な刺激強度(例えば、量)が、提供されるように構成される。EEGにおける高周波数と低周波数との間の比は、より低い値が、浅い睡眠に対応し、より高い値が、深い睡眠に対応するように、睡眠深度(SD、以下の式を参照)を反映する。
【数1】
【0076】
[86] 調節コンポーネント36は、睡眠を阻害する可能性を最小化するために、感覚刺激の強度(例えば、量)が、より低い量をより低い睡眠深度に、より高い量をより高い睡眠深度にマッピングする線形関数に従って、調節されるように構成される。非限定的な例として、聴覚刺激については、音量は、35dBと60dBとの間で調節され、対象者12が、最小の睡眠深度にあるときは、最も小さい音量が、(調節コンポーネント36によって制御される)感覚刺激装置16によって供給され、対象者12が、最大の睡眠深度にあるときは、最も大きい音量が、供給される。調節コンポーネント36は、睡眠深度が、最小睡眠深度しきい値に違反する場合は、トーンが、再生されないように、また睡眠深度が、いかに深くても、聴覚刺激の音量が、事前決定された最大値を超えないように構成される。対象者12固有の音量レベルも、使用される。
【0077】
[87] いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36は、刺激強度(例えば、量)タイトレーションのための睡眠深度範囲が、対象者12及び/又は他のユーザの以前の睡眠セッションの睡眠深度情報についての、(例えば、上で説明されたように決定される)検出されたN3睡眠内にある睡眠深度値の分布に基づいて、決定されるように構成される。いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36は、睡眠深度最小値が、対象者12及び/又は他のユーザの以前の睡眠セッションの睡眠深度情報からの睡眠深度値の分布の35パーセンタイルに対応する睡眠深度として定義されるように構成される。同様に、睡眠深度最大値は、98パーセンタイルに対応する睡眠深度として定義される。これらのパーセンタイルは、限定的であることを意図したものではない。それらは、システム10が、本明細書において説明されるように機能することを可能にする、任意のパーセンタイル値であってよい。
【0078】
[88] いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36は、ニューラルネットワーク中間出力を使用して、感覚刺激装置16に刺激の強度(例えば、量)を調節させるように構成される。ニューラルネットワーク中間出力は、例えば、軟出力(例えば、各睡眠ステージについての確率)、畳み込み出力、及び/又は他の中間出力を含む。例えば、軟出力は、ネットワークが、与えられた睡眠ステージを検出する確実性を特徴付ける、連続的に変化する値である。N3が検出されたときの軟出力は、N3睡眠の確率がより高いほど、刺激の量がより大きくなるように、刺激の量を調節するために、使用されることができる。
【0079】
[89] いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36は、対象者12に供給される刺激を調節するために、ニューラルネットワーク畳み込み層出力を利用するように構成される。いくつかの実施形態においては、ニューラルネットワーク畳み込み出力は、刺激を調節するために、上で説明された確率値及び/又は(例えば、EEGから直接的に決定される)他のパラメータの代わりに、使用される。いくつかの実施形態においては、ニューラルネットワーク畳み込み出力は、刺激を調節するために、上で説明された確率値及び/又は(例えば、EEGから直接的に決定される)他のパラメータに加えて、使用される。
【0080】
[90] いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36は、刺激のタイミング及び強度を調節するための基礎として、個々の畳み込み層出力が使用されるように構成される。いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36は、複数の畳み込み層出力が、刺激のタイミング及び強度(例えば、量)を調節することを容易にするように構成される。いくつかの実施形態においては、1つ又は複数の畳み込み層からの出力は、2つ以上の対応する畳み込み層からの2つ以上の個々の出力を備える。いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36は、別の畳み込み層からの出力に対する1つの畳み込み層からの出力の比を決定するように構成される。いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36は、1つ又は複数の感覚刺激装置に、比に基づいて、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させるように構成される。
【0081】
[91] 非限定的な例として、畳み込み出力と関連付けられたスペクトル応答が、図8に示されている。第1の出力された畳み込み層出力(CNN1)は、デルタ周波数バンドにおけるスペクトル内容に選択的に応答し、第2の畳み込み層出力(CNN2)は、ベータ(15~30Hz)及びガンマ(>30Hz)バンドにおけるスペクトル内容に選択的に応答する。他の畳み込み層出力は、他のスペクトル内容に選択的に応答する。この例においては、CNN1とCNN2との間の比の対数(例えば、800)を取ることは、刺激がより高い強度(例えば、量)で供給されることができる、(ヒプノグラム806に示されるような)検出されたN3睡眠804における、異なる期間802を示す。
【0082】
[92] いくつかの実施形態においては、調節コンポーネント36(図1)は、(刺激後に望ましくない効果が生成されたときに、例として)前頭部入力信号のシーケンスを自動的にラベル付けし、記憶するために、微小覚醒の存在、及び/又は徐波睡眠からの脱出(例えば、N3からN2への移行)などの合図が、使用されることができるように構成される。これらのシーケンスは、その後、刺激ロジック(例えば、聴覚刺激が、いつ、どれだけの強さで供給されるか)を再トレーニング/再校正するために、使用されることができる同様に、刺激後に望しい効果が生成されたときのシーケンスは、上で説明された基礎的なアルゴリズムが、有用な前頭部入力信号を用いて改善されることができるように、ラベル付けされ、記憶されることができる。
【0083】
[93] 図1に戻ると、電子記憶装置22は、情報を電子的に記憶する電子記憶媒体を備える。電子記憶装置22の電子記憶媒体は、システム10と一体的に(すなわち、実質的に非リムーバブルに)提供される、システム記憶装置、及び/又は例えば、ポート(例えば、USBポート、ファイアワイヤポートなど)、若しくはドライブ(例えば、ディスクドライブなど)を介して、システム10にリムーバブルに接続可能である、リムーバブル記憶装置の一方又は両方を備える。電子記憶装置22は、光学的に可読な記憶媒体(例えば、光ディスクなど)、磁気的に可読な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピドライブなど)、電荷ベースの記憶媒体(例えば、EPROM、RAMなど)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブなど)、クラウドストレージ、及び/又は他の電子的に可読な記憶媒体のうちの1つ又は複数を備える。電子記憶装置22は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ20によって決定された情報、ユーザインターフェース24及び/若しくは外部コンピューティングシステム(例えば、外部リソース18)を介して受信された情報、並びに/又はシステム10が本明細書において説明されるように機能することを可能にする他の情報を記憶する。電子記憶装置22は、(全体的若しくは部分的に)システム10内の別個のコンポーネントであり、又は電子記憶装置22は、(全体的若しくは部分的に)システム10の1つ若しくは複数の他のコンポーネント(例えば、プロセッサ20)と一体的に提供される。
【0084】
[94] ユーザインターフェース24は、対象者12及び/又は他のユーザが、それを通してシステム10に情報を提供し、システム10から情報を受け取る、システム10と対象者12及び/又は他のユーザとの間のインターフェースを提供するように構成される。これは、データ、合図、結果、及び/又は命令、並びに一括して「情報」と呼ばれる、他の任意の伝達可能なアイテムが、ユーザ(例えば、対象者12)と、センサ13及びセンサ14、感覚刺激装置16、外部リソース18、プロセッサ20、並びに/又はシステム10の他のコンポーネントのうちの1つ又は複数との間で伝達されることを可能にする。例えば、ヒプノグラム、EEGデータ、睡眠ステージ確率、及び/又は他の情報が、ユーザインターフェース24を介して、対象者12又は他のユーザに対して表示される。別の例として、ユーザインターフェース24は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなどのコンピューティングデバイス、及び/若しくは他のコンピューティングデバイスであり、並びに/又はそれらの中に備えられる。そのようなコンピューティングデバイスは、ユーザに情報を提供し、及び/又はユーザから情報を受け取るように構成された、グラフィカルユーザインターフェースを備える、1つ又は複数の電子アプリケーションを実行する。
【0085】
[95] ユーザインターフェース24への包含に適した、インターフェースデバイスの例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示スクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロフォン、インジケータライト、可聴アラーム、プリンタ、触覚フィードバックデバイス、及び/又は他のインターフェースデバイスを備える。いくつかの実施形態においては、ユーザインターフェース24は、複数の別個のインターフェースを備える。いくつかの実施形態においては、ユーザインターフェース24は、プロセッサ20、及び/又はシステム10の他のコンポーネントと一体で提供される、少なくとも1つのインターフェースを備える。いくつかの実施形態においては、ユーザインターフェース24は、プロセッサ20、及び/又はシステム10の他のコンポーネントと無線で通信するように構成される。
【0086】
[96] 配線接続又は無線の、他の通信技術も、ユーザインターフェース24として、本開示によって企図されていることが、理解されるべきである。例えば、本開示は、ユーザインターフェース24が、電子記憶装置22によって提供される、リムーバブル記憶装置インターフェースと一体化されることを企図している。この例においては、ユーザがシステム10の実施をカスタマイズすることを可能にする情報が、リムーバブル記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスクなど)から、システム10にロードされる。ユーザインターフェース24としてシステム10とともに使用するように適合された、他の例示的な入力デバイス及び技法は、RS-232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル、又はその他)を備えるが、それらに限定されない。要するに、システム10と情報を交換するための任意の技法が、本開示によって、ユーザインターフェース24として企図されている。
【0087】
[97] 図9は、強化システムを用いて、睡眠セッション中に感覚刺激を対象者に供給することによって、NREM睡眠を強化するための方法900を例示している。システムは、1つ若しくは複数のセンサ、1つ若しくは複数の感覚刺激装置、機械可読命令によって構成される1つ若しくは複数のハードウェアプロセッサ、及び/又は他のコンポーネントを備える。1つ又は複数のハードウェアプロセッサは、コンピュータプログラムコンポーネントを実行するように構成される。コンピュータプログラムコンポーネントは、情報コンポーネント、モデルコンポーネント、制御コンポーネント、調節コンポーネント、及び/又は他のコンポーネントを備える。以下に提示される方法900の動作は、例示的であることが意図されている。いくつかの実施形態においては、方法900は、説明されない1つ若しくは複数の追加の動作を用いて、及び/又は説明される動作のうちの1つ若しくは複数を用いずに、達成される。加えて、方法900の動作が図9に例示され、以下で説明される順序は、限定的であることを意図したものではない。
【0088】
[98] いくつかの実施形態においては、方法900は、本明細書において説明される1つ又は複数のプロセッサ20などの、1つ又は複数の処理デバイスで(例えば、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他のメカニズでム)実施される。1つ又は複数の処理デバイスは、電子記憶媒体上に電子的に記憶された命令に応答して、方法900の動作のいくつか又はすべてを実行する、1つ又は複数のデバイスを備える。1つ又は複数の処理デバイスは、方法900の動作のうちの1つ又は複数を実行するために特別に設計された、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを通して構成される、1つ又は複数のデバイスを備える。
【0089】
[99] 動作902において、対象者の脳活動に関連する情報を伝える出力信号が、生成される。出力信号は、対象者の睡眠セッション中、及び/又は他の時間に、生成される。出力信号は、対象者の額とかかわるように構成された、第1のセンサ及び第2のセンサを用いて、生成される。いくつかの実施形態においては、第1のセンサは、中央前頭部(FPz)電極を備え、第2のセンサは、右眼電極(EOGR)又は左眼電極(EOGL)を備える。いくつかの実施形態においては、第1のセンサ又は第2のセンサのどちらかが、基準電極である。いくつかの実施形態においては、動作902は、(図1に示され、本明細書において説明される)センサ13及びセンサ14と同じ又は類似のセンサによって実行される。
【0090】
[100] 動作904において、NREM睡眠が、対象者において検出される。睡眠セッション中に、NREM睡眠が、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号に基づいて、並びに/又は他の情報に基づいて、対象者において検出される。動作904は、ユーザの集団について、履歴的な睡眠深度情報を獲得することを有する。履歴的な睡眠深度情報は、ユーザの集団の、睡眠セッション中における、経時的な睡眠深度を示す、ユーザの集団の脳活動に関連する。動作904は、ニューラルネットワークが、履歴的な睡眠深度情報をニューラルネットワークへの入力として提供されることによって、履歴的な睡眠深度情報に基づいて、トレーニングされることを有する。動作904は、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号に基づいて、トレーニングされたニューラルネットワークに、対象者が深い睡眠ステージにある、睡眠セッション中における将来の時間を予測させることを有する。トレーニングされたニューラルネットワークは、入力層と、出力層と、入力層と出力層との間の1つ又は複数の中間層とを備える。いくつかの実施形態においては、動作904は、(図1に示され、本明細書において説明される)モデルコンポーネント32及び/又は制御コンポーネント34と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって実行される。
【0091】
[101] 動作906において、予測される睡眠ステージが、決定される。いくつかの実施形態においては、動作906は、例えば、動作904の一部である。動作906は、将来の時間の各々に関して、トレーニングされたニューラルネットワークの出力層によって生成された、予測される睡眠ステージと、トレーニングされたニューラルネットワークの1つ又は複数の中間層によって生成された、睡眠ステージ確率値とを決定することを有する。いくつかの実施形態においては、動作906は、(図1に示され、本明細書において説明される)モデルコンポーネント32と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって実行される。
【0092】
[102] 動作908において、予測される睡眠ステージが、N3であるか、又はN3である可能性が高いかどうかの決定が、行われる。いくつかの実施形態においては、動作908は、例えば、動作904の一部である。動作908は、(1)予測される睡眠ステージが、N3であると決定すること、又は(2)予測される睡眠ステージが、N2であって、N2睡眠の確率に対するN3睡眠の確率の比が、少なくとも0.5であると決定し、予測される睡眠ステージが、N2であって、N2睡眠の確率に対するN3睡眠の確率の比が、少なくとも0.5であることに応答して、N2睡眠は、実際にはN3睡眠である可能性が高いと決定することを有する。いくつかの実施形態においては、動作908は、(図1に示され、本明細書において説明される)モデルコンポーネント32及び/又は制御コンポーネント34と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって実行される。
【0093】
[103] 動作910において、感覚刺激を対象者に提供するために、感覚刺激装置が、制御される。睡眠セッション中に、対象者のNREM睡眠を強化するために、NREM睡眠中に、感覚刺激が、対象者に提供される。動作910は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサを用いて、1つ又は複数の感覚刺激装置に、将来の時間に、感覚刺激を対象者に提供させ、1つ又は複数の中間層によって生成された1つ又は複数の確率値に基づいて、睡眠セッション中に、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させることを有する。
【0094】
[104] 動作910は、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号内の情報、並びに/又は他の情報に基づいて、睡眠微小覚醒を検出することと、N3睡眠中に、感覚刺激を対象者に提供して、睡眠セッション中に、対象者のN3睡眠を強化するために、検出された睡眠微小覚醒に基づいて、1つ又は複数の感覚刺激装置を制御することとを有する睡眠微小覚醒は、EEGのパワーバンドにおけるパワーに関するしきい値の違反に応答して、又はトレーニングされたニューラルネットワークからの追加の出力に基づいて、検出される。
【0095】
[105] 動作910は、第1のセンサ及び第2のセンサからの出力信号内の情報、並びに/又は他の情報に基づいて、徐波を検出することと、N3睡眠中に、感覚刺激を対象者に提供して、睡眠セッション中に、対象者のN3睡眠を強化するために、検出された徐波に基づいて、1つ又は複数の感覚刺激装置を制御することとを有する。徐波は、負になる脳波(EEG)信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、フィルタリングされた負になるEEG信号であって、フィルタリングが負になるEEG信号のデルタ部分を増大させる、フィルタリングされた負になるEEG信号に関する徐波最小ピークしきい値の違反に応答して、又は、フィルタリングされた負になるEEG信号の形状の、対応する徐波テンプレートの形状との比較に基づいて、検出される。
【0096】
[106] いくつかの実施形態においては、トレーニングされたニューラルネットワークの1つ又は複数の中間層は、2つ以上の対応する畳み込み層から、追加の値を生成するように構成される。いくつかの実施形態においては、動作910は、別の畳み込み層からの値に対する1つの畳み込み層からの値の比を決定することと、1つ又は複数の感覚刺激装置に、比に基づいて、感覚刺激のタイミング及び/又は強度を調節させることとを有する。いくつかの実施形態においては、動作910は、(図1に示され、本明細書において説明される)モデルコンポーネント32、制御コンポーネント34、及び/又は調節コンポーネント36と同じ又は類似のプロセッサコンポーネントによって実行される。
【0097】
[107] 特許請求の範囲において、括弧の間に置かれたいずれの参照符号も、特許請求の範囲を限定すると解釈されないものとする。「備える」又は「有する」という語は、請求項に列挙されたもの以外の要素又はステップの存在を排除しない。いくつかの手段を列挙したデバイスの請求項において、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアのまったく同一のアイテムによって具現化されてよい。単数形は、複数のそのような要素の存在を排除しない。いくつかの手段を列挙したいずれのデバイスの請求項においても、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアのまったく同一のアイテムによって具現化されてよい。ある要素が相互に異なる従属請求項において列挙されるという事実だけでは、これらの要素が組み合わされて使用されることができないことを示さない。
【0098】
[108] 上で提供された説明は、最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられるものに基づいて、例示の目的で、詳細を提供するが、そのような詳細は、その目的のためにすぎないこと、並びに本開示は、明示的に開示された実施形態に限定されず、それどころか、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲内にある、変更及び均等物構成をカバーすることが意図されていることが、理解されるべきである。例えば、本開示は、可能な範囲で、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴が、他の任意の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わされることができることを企図していることが、理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9