(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】シートベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/44 20060101AFI20231113BHJP
B60R 22/46 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
B60R22/44 166
B60R22/46 142
(21)【出願番号】P 2021565725
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2020062494
(87)【国際公開番号】W WO2020225271
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102019206439.6
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】クルーテ、ギュンター
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0296198(US,A1)
【文献】米国特許第2825581(US,A)
【文献】特開平10-117486(JP,A)
【文献】特開2002-321597(JP,A)
【文献】特表2012-502836(JP,A)
【文献】米国特許第06655743(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/44
B60R 22/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトリトラクタであって、
シートベルトスプール(2)と、
駆動装置と、
を有する、シートベルトリトラクタにおいて、
前記シートベルトスプール(2)及び前記駆動装置の双方が、モジュール式サブアセンブリであり、シートベルトスプールモジュール(1)及び駆動装置モジュール(20)として設計されており、
前記シートベルトスプールモジュール(1)と前記駆動装置モジュール(20)とが、構造的インタフェースを介して、互いに対して異なる向きで相互接続可能であることを特徴とする、シートベルトリトラクタ。
【請求項2】
シートベルトリトラクタにおいて、前記シートベルトスプールモジュール(1)の前記サブアセンブリが、
前記シートベルトスプール(2)、
作動時に引き出し方向において前記シートベルトスプール(2)を制止する、制止装置(7)、
巻き取り方向において前記シートベルトスプール(2)に張力を加える、駆動ばね(5)、
単純な若しくは適応型の力制限装置(6)、及び/又は、
1つ以上のセンサユニット(8)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項3】
シートベルトリトラクタにおいて、前記駆動装置モジュール(20)の前記サブアセンブリが、
電気モータ(24)、
火薬式駆動ユニット(25)、
前記電気モータ(24)及び/若しくは前記火薬式駆動ユニット(25)に結合されている、伝動装置、並びに/又は、
前記電気モータ(24)及び/若しくは前記火薬式駆動ユニット(25)を制御する、制御ユニットを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項4】
シートベルトリトラクタにおいて、
前記シートベルトスプールモジュール(1)及び前記駆動装置モジュール(20)の双方が、ハウジング(3、21)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項5】
シートベルトリトラクタにおいて、
前記構造的インタフェースが、前記駆動装置モジュール(20)の前記ハウジング(21)に前記シートベルトスプールモジュール(1)の前記ハウジング(3)を接続するアダプタ部分(14)によって形成され、前記アダプタ部分の形状が、前記駆動装置モジュール(20)に対する前記シートベルトスプールモジュール(1)の前記向きを画定することを特徴とする、請求項4に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項6】
シートベルトリトラクタにおいて、
前記シートベルトスプールモジュール(1)及び/又は前記駆動装置モジュール(20)が、前記構造的インタフェースに面する側部に、前記ハウジング(3、21)に支持され、かつ前記シートベルトスプール(2)及び/又は前記駆動装置が取り付けられる、軸受プレート(4、22)を有することを特徴とする、請求項4又は5に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項7】
シートベルトリトラクタにおいて、
前記シートベルトスプールモジュール(1)及び前記駆動装置モジュール(20)の前記ハウジング(3、21)が、管状であることを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項8】
シートベルトリトラクタにおいて、
前記シートベルトスプールモジュール(1)及び前記駆動装置モジュール(20)の前記ハウジング(3、21)が、同一の断面形状を有することを特徴とする、請求項4~7のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項9】
シートベルトリトラクタにおいて、
前記アダプタ部分(14)と、前記シートベルトスプールモジュール(1)及び/又は前記駆動装置モジュール(20)の前記ハウジング(3、21)のうちの少なくとも一方とが、少なくとも接続領域において、同一の断面形状を有することを特徴とする、請求項4~8のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項10】
シートベルトリトラクタにおいて、
前記駆動装置モジュール(20)からの駆動運動を、前記構造的インタフェースを介して、前記シートベルトスプールモジュール(1)の前記シートベルトスプール(2)に伝達する、少なくとも1つの力伝達装置(9、10)が設けられていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項11】
シートベルトリトラクタにおいて、
前記力伝達装置(9、10)が、本質的に可撓性であることを特徴とする、請求項10に記載のシートベルトリトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有する、シートベルトリトラクタに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
シートベルトリトラクタは、基本的構成要素として、耐荷重フレームと、そのフレーム内に回転可能に取り付けられ、安全ベルトを巻き付けることが可能な、シートベルトスプールとを備える。フレームは、シートベルトスプールを取り付けるためだけではなく、シート構造体又は車両構造体に固定する役割も果たすものであり、この目的のために、フレームは、U字形状フレームへと屈曲された、相応に厚い鋼板で作製されている。
【0003】
安全ベルト装置を有する車両シートは、例えば、コンバーチブル内のフロントシートとしての使用において既知であり、少なくとも、安全ベルト装置のシートベルトリトラクタは、車両シートの背もたれ内に固定されている。この場合、耐荷重Bピラーの欠如により、及び後部シートへのアクセスに関する理由、又は後部車両構造体からの距離に関する理由から、シートベルトリトラクタは、好ましくは、車両シートの背もたれ内に組み込まれており、それゆえまた、拘束する際に作用する引張力を吸収するようにも設計されなければならない。このシートベルトリトラクタ自体は、標準的なシートベルトリトラクタの全ての基本的構成要素を有しており、自己整合慣性センサなどの、特に背もたれ内に設置するために提供されている、様々な追加的サブアセンブリのみを装備している。
【0004】
その基本設計において、車両シートは、車両構造体に車両シートを固定する役割を果たす、いくつかの耐荷重構造部分から成る、シート構造体を有する。シート構造体は、座り心地を改善するために、ばね及び張り材を装備しており、また、関連する電気モータを含む、様々なシート調節機構などの更なる構成要素、及び、加熱装置、センサ、ディスプレイ、ヘッドレストなどの更なる構成要素を固定するためにも使用される。
【0005】
自律運転システムを有する最新の車両では、車両の乗員が、自律運転によって得られる自由を、例えば、他の乗員とのより有意義なコミュニケーション、より長時間のかつ集中的な休息期間、又は更に仕事に使用することができるように、また、それに応じて車両シートを方向付けることができるように、異なる向き及び位置における、より多大な車両シートの調節機能に対する要求が高まっている。結果として、安全ベルト装置、及び、特にシートベルトリトラクタは、従来のように車両構造体に固定する必要はなく、むしろ、例えば既にコンバーチブルのフロントシートの場合におけるように、車両シートに固定する必要がある。
【0006】
しかしながら、1つの問題点は、シートベルトリトラクタと、その更なる構成要素が、その外形寸法に起因して比較的大きい空間を必要とするため、車両シート内に設置することが困難になり得る点である。このことは特に、引張力が吸収されるためには、安全ベルトが、例えば46mmの所定の幅であるとすると、特定の最小厚さを有さなければならず、また乗員を拘束するためには、例えば2,500mmの、特定の最小長さを有さなければならないため、安全ベルトを完全に巻き取った場合、巻き取られた安全ベルトの体積に起因して、シートベルトスプール上に巻き取られたベルトは、相応に大きい外径を有するという事実に起因する。この大きい巻き取られたベルトは、シートベルトスプールの相応に大きいフレームによって、及び、力制限装置、センサユニット、駆動ばね、制止装置などの、シートベルトリトラクタの更なる構成要素によって、更に拡大される。
【0007】
更には、最新のシートベルトリトラクタは、電気モータ及び伝動装置を有する、非リバーシブルベルトテンショナ及び/又はリバーシブルベルトテンショナによって形成された、駆動装置などのアクチュエータを備えており、これにより、ベルトシャフトを、巻き取り方向又は巻き出し方向で能動的に駆動することができる。
【0008】
シートベルトリトラクタの設置空間に対する要求の増大に反して、車両シートの背もたれ内で利用可能な空間が限定されており、設置空間の形状及び分布は、背もたれの形状、並びに背もたれ内に更に収容されている構成要素、又は設けられている張り材及びばねの形状の機能であるということも事実である。
【0009】
利用可能な設置空間に対する要求の増大と、最新の車両シート内で利用可能な限定された設置空間とが、シートベルトリトラクタ及び車両シートの設計に関する、重要な設計上の課題を生じさせている。同時に、シートベルトリトラクタは、高いコスト効率で大量に製造することができるように、可能な限り多くの異なる車両シートにおいて使用可能であるべきである。
【0010】
こうした背景の下、本発明は、車両シートの背もたれ内の利用可能な設置空間の活用に関して改善された設計を有し得る、シートベルトスプールと駆動装置とを有するシートベルトリトラクタを提供する目的に基づく。
【0011】
この目的を達成するために、請求項1の特徴を有するシートベルトリトラクタが提案される。本発明の更なる好ましい展開は、従属請求項、図、及び関連する説明から得ることができる。
【0012】
請求項1に記載の本発明の基本的構想によれば、シートベルトスプールと駆動装置とを有するシートベルトリトラクタであって、シートベルトスプール及び駆動装置の双方が、モジュール式サブアセンブリであり、シートベルトスプールモジュール及び駆動装置モジュールとして設計されており、シートベルトスプールモジュールと駆動装置モジュールとが、構造的インタフェースを介して、互いに対して異なる向きで相互接続可能である、シートベルトリトラクタが提案される。
【0013】
本発明による解決策は、それゆえ、2つの本質的な構造的特徴に基づく。第1に、シートベルトスプール及び駆動装置は、シートベルトスプールモジュール及び駆動装置モジュールの形態の、モジュール設計のものであり、これらは、シートベルトスプール及び駆動装置に関連する全ての構成要素を含み、シートベルトスプール及び駆動装置の機能に必要とされるものである。シートベルトスプールモジュール及び駆動装置モジュールは、それゆえ、自己完結型サブアセンブリを形成しており、それゆえ、利用可能な設置空間に応じて、背もたれ内に個別に配置することができる。シートベルトスプールモジュール及び駆動装置モジュールの双方は、配置するために個別に準備される背もたれとは関係なく、大量に製造することができる。第2に、シートベルトスプールモジュールと駆動装置モジュールとが、構造的インタフェースを介して、異なる向きで相互接続可能であることが提案され、それにより、背もたれ内での個々の設置空間の形状を考慮することができる。構造的インタフェースは、この目的のためにモジュールを構造的に変更する必要なく、互いに対するモジュールの異なる向きを可能にする。
【0014】
その際、シートベルトスプールモジュールのサブアセンブリは、好ましくは、シートベルトスプール、作動時に引き出し方向においてシートベルトスプールを制止する、制止装置、巻き取り方向においてシートベルトスプールに張力を加える、駆動ばね、単純な若しくは適応型の力制限装置、及び/又は、1つ以上のセンサユニットを備え得る。それゆえ、シートベルトスプールモジュールは、好ましくは、事故の場合に乗員の前方移動の力を制限するために必要とされる力制限装置を含む、安全ベルトの巻き取り及び制止のための、最新のシートベルトリトラクタの主要な構成要素又は全ての構成要素を含む。
【0015】
更に、駆動装置モジュールのサブアセンブリが、電気モータ、火薬式駆動ユニット、電気モータ及び/若しくは火薬式駆動ユニットに結合されている伝動装置、並びに/又は、電気モータ及び/若しくは火薬式駆動ユニットを制御する制御ユニットを備えることが提案される。それゆえ、駆動装置モジュールは、シートベルトスプールを巻き取り方向で駆動するために必要とされる、又は、快適性を目的としてシートベルトスプールを駆動するためにもまた必要とされる、主要な構成要素又は全ての構成要素を含む。
【0016】
更に、シートベルトスプールモジュール及び駆動装置モジュールの双方が、ハウジングを有することが提案される。ハウジングは、モジュール内の構成要素を取り付けて固定するための構造フレームを形成しており、更に、外部に対して構成要素を覆うことができ、それにより、構成要素自体が、環境から(逆もまた同様)、及び相互の機械的影響から保護される。
【0017】
更に、この場合の構造的インタフェースが、駆動装置モジュールのハウジングにシートベルトスプールモジュールのハウジングを接続するアダプタ部分によって形成され、このアダプタ部分の形状が、駆動装置モジュールに対するシートベルトスプールモジュールの向きを画定することが提案される。
【0018】
この場合、更に、ハウジングに支持され、かつシートベルトスプール及び/又は駆動装置が取り付けられる軸受プレートが、構造的インタフェースに面するハウジングの側部に設けられることが提案される。それゆえ、シートベルトスプール及び/又は駆動装置は、それぞれの他方のモジュールに面する側部に取り付けられ、またそれゆえ、この側部の位置及び向きで固定されることにより、駆動運動の伝達を単純化することができる。更には、シートベルトスプール及び/又は駆動装置は、互いに対するモジュールの角度配置が180度に等しくない場合には、駆動運動の偏向に可能な限り近づくように取り付けられることにより、駆動運動の偏向によって引き起こされる横方向の力を、軸受技術の観点から特に良好に吸収することができ、シートベルトスプール及び/又は駆動装置の良好かつコンパクトな取り付けを容易にすることができる。
【0019】
シートベルトスプールモジュール及び駆動装置モジュールのハウジングは、管状とすることができる。この場合、シートベルトスプール及び駆動装置は、管状ハウジング内に配置されていることにより、全周方向において外部の影響から保護されている。更には、管状ハウジングは、モジュールに対して作用する、横方向の力及びねじり力に対して、寸法安定性であるように設計することができる。
【0020】
更には、シートベルトスプールモジュールのハウジングと駆動装置モジュールのハウジングとが、同一の断面形状を有し得ることにより、直線的な配置では、それらは、長手方向軸線の方向において一定の断面形状を有する細長いシートベルトリトラクタに対して、互いに180度の長手方向軸線の角度で互いに補完している。
【0021】
更には、アダプタ部分と、シートベルトスプールモジュールのハウジング及び/又は駆動装置モジュールのハウジングのうちの少なくとも一方とが、少なくとも接続領域において、同一の断面形状を有し得ることにより、アダプタ部分とシートベルトスプールモジュール及び/又は駆動装置モジュールとの間の移行部における、断面の飛び出しを回避することができる。
【0022】
更に、駆動装置モジュールからの駆動運動を、構造的インタフェースを介して、シートベルトスプールモジュールのシートベルトスプールに伝達する、少なくとも1つの力伝達装置が設けられることが提案される。力伝達装置は、インタフェースを越えて駆動運動を伝達する役割を果たし、例えば、伝動装置、シャフト、牽引ケーブルなどによって形成することができ、力伝達装置は、好ましくは、本質的に可撓性であることにより、モジュールの角度配置が180度に等しくない場合であっても、駆動運動を偏向させながら、駆動運動を伝達することができる。そのような可撓性の力伝達装置は、例えば、プルケーブル又は屈曲シャフトとすることができる。更には、力伝達装置はまた、斜交歯車によって実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、添付図面を参照して、好ましい実施形態を使用して以下で説明される。以下が示される:
【
図1】
図1は、本発明によるシートベルトリトラクタのシートベルトスプールモジュールの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明によるシートベルトリトラクタである。
【
図3】
図3は、様々なアダプタ部分を有する本発明によるシートベルトリトラクタである。
【
図4】
図4は、本発明によるシートベルトリトラクタの駆動装置モジュールの断面図である。
【
図5】
図5は、切断線A-Aに沿ったシートベルトリトラクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、管状ハウジング3と、管状ハウジング3内に回転可能に取り付けられているシートベルトスプール2とを含む、シートベルトスプールモジュール1を示す。シートベルトスプール2は、駆動ばね5を介して、巻き取り方向にばね付勢されており、この駆動ばねは、回転的に固定される方式でハウジング3に支持されている。シートベルトスプール2は、
図2において見られるように、スロットを通ってハウジング3の外に送り出される安全ベルト13を、巻き取る役割を果たす。更には、トーションバーの形態の、適応型の力制限装置6が、シートベルトスプール2に対して同軸配置で設けられている。トーションバーは、異なる直径と、それら異なる直径から生じる異なる力制限レベルとを有する、いくつかのセクションを有し、それらは、切り替え装置によって、シートベルトスプール2に対して、及び/又はハウジング3に対して、トーションバーの異なるプロファイルのセクションを固定することによって、互いに独立して作動させることができ、それにより、シートベルトスプール2が制止される場合に、異なる力制限レベルにおいて、ベルトウェビングを伸長させる力を制限することを可能にする。トーションバーは、図中のトーションバーの右端部で、回転的に固定される方式でシートベルトスプール2に接続されており、図中のトーションバーの左端部で、回転的に固定される方式でプロファイルヘッド16に接続されている。それゆえ、プロファイルヘッド16は、トーションバーの塑性変形の限界によって画定される力制限レベルに達するまで、トーションバーを介して、回転的に固定される方式でシートベルトスプール2に接続されている。更には、プロファイルヘッド16は、プロファイルヘッド16に枢動可能に取り付けられている制止爪の形態の制止装置7を保持しており、この制止爪は、トリガされると、ハウジングに固定されている歯部内に導かれることにより、トーションバーを介した接続を介して、引き出し方向においてシートベルトスプール2を制止する。プロファイルヘッド16は、回転的に固定する方式でハウジング3内に支持されている、軸受プレート4に取り付けられている。プロファイルヘッド16はまた、外歯部12も有しており、この外歯部12は、プロファイルヘッド16に一体部品として設けることができ、又は、回転的に固定される方式でプロファイルヘッド16に接続されている歯車によって形成することもできる。
【0025】
図4は、理想的にはシートベルトスプールモジュール1のハウジング3と同じ断面形状を有し、かつ同じ寸法の長さ、高さ及び/又は幅を有する、管状ハウジング21を同様に有する、駆動装置モジュール20を示す。非リバーシブルベルトテンショニング装置、及びリバーシブルベルトテンショニング装置が、駆動装置モジュール20内に設けられている。
【0026】
非リバーシブルベルトテンショニング装置は、ケーブルドラム23を含み、このケーブルドラム23は、ハウジング21の長手方向軸線に垂直な回転軸を有して、変位不能な方式で、ハウジング21内に回転可能に取り付け又は保持されている。ケーブルドラム23には、回転的に固定される方式でケーブルドラム23に接続されている、歯車26が設けられており、その外歯部に、歯付きラック29が係合するか、又は係合するように歯付きラック29を移動することができる。歯付きラック29は、円筒形キャビティ内で変位可能に案内されることにより、一方の側部でキャビティを摩耗するピストンを形成している。更には、火薬式ガス発生器25が設けられており、この火薬式ガス発生器は、作動されると、キャビティ内にガス流を急激に放出することにより、歯付きラック29を駆動し、次いで歯車26の歯部に係合することによって、ケーブルドラム23を、ケーブルドラム23に固定されているプルケーブルの巻き取り方向に駆動する。プルケーブルは、ここでは、本質的に可撓性の第1の力伝達装置9を形成しており、その機能は、以下でより詳細に説明される。
【0027】
リバーシブルベルトテンショニング装置は、電気モータ24を含み、この電気モータ24は、電気モータ24の出力シャフトの回転軸に対して、回転的に固定される方式でハウジング21内に支持されている。リバーシブルベルトテンショニング装置は、回転的に固定される方式でモータシャフトに接続されている駆動歯車28と、屈曲シャフトによって形成されている第2の力伝達装置10に回転的に固定される方式で接続されている出力歯車27とから形成されている、伝動装置を更に含む。電気モータ24は、駆動歯車28の側部で、軸受プレート22に取り付けられている。それゆえ、屈曲シャフト、すなわち力伝達装置10は、駆動装置モジュール20から、構造的インタフェースを通ってシートベルトスプールモジュール1内へと延びており、力伝達装置10の端部に駆動歯車11を有し、この駆動歯車11は、その歯部で、プロファイルヘッド16の外歯部12に係合する。駆動歯車11と共に、外歯部12は、屈曲シャフトの回転運動を、プロファイルヘッド16に伝達して、トーションバーを介してシートベルトスプール2に伝達するための、更なる伝動装置をシートベルトスプールモジュール1内に形成している。
【0028】
軸受プレート22は、第1の力伝達装置9及び第2の力伝達装置10が互いに別個に通る、直径方向に配置された2つの貫通開口部を有する。軸受プレート22は同様に、ハウジング21の内側で、電気モータ24の回転軸に対して、又はハウジング21の長手方向軸線に対して、回転的に固定される方式で支持されている。
【0029】
シートベルトスプールモジュール1及び駆動装置モジュール20は、構造的インタフェース(この場合、それぞれの前面)において、それらモジュールがアダプタ部分14を介して異なる角度位置で互いに接続することができるように設計されている。この目的のために、シートベルトスプールモジュール1及び駆動装置モジュール20を構造的に変更する必要はなく、所定の角度でのモジュールの向きは、ここでは、アダプタ部分14によってのみ画定される。それゆえ、異なる向きへの個別化は、アダプタ部分14を介して実行される。
図2及び
図3の上側の図では、アダプタ部分14は、互いに平行に整列した前面を有する、管状の中間部品として設計されており、これによってモジュールは、180度の整列、すなわち、互いに直線に整列し、互いに接続されている。
図3の下側の図では、アダプタ部分14は、互いに対して180度に等しくない角度を向いた、2つの前面を有するように設計されており、それにより、それら2つの前面に取り付けられているモジュールも同様に、モジュールの長手方向軸線が互いに対して180度に等しくない角度で方向付けられている。
【0030】
ハウジング3及びハウジング21は、好ましくは管状であり、閉鎖された中空形状として設計されていることにより、それらは、特に耐ねじれ性であり、このことはまた、シートベルトスプール2を制止している間に、及び張力を加えている間に、反力を吸収するために有利である。更には、ハウジング3及びハウジング21は、車両シートの背もたれの構造を完成又は補強することができ、それにより、車両シートは、その後、その構造設計において、より容易に実現され、簡略化され得る。ハウジング3及びハウジング21は、好ましくは、例えば、左右の車両シート内に設置用に設けられている同一又は鏡面対称の形状のキャビティを有する背もたれ内に設置するために、反転した配置で構成されるように、同一の断面形状及び/又は長さを有する。アダプタ部分14も同様に、好ましくはハウジング3及びハウジング21のうちの少なくとも一方と同一の、断面形状を有することにより、アダプタ部分14からハウジング3及びハウジング21への移行点において、力の吸収に関して好ましくない断面の飛び出しを低減することができる。モジュールのハウジング3及びハウジング21が、異なる断面形状を有する場合には、アダプタ部分14はまた、アダプタ部分14が一方の側部でハウジング3又はハウジング21の一方の断面形状を有し、他方の側部でハウジング3又はハウジング21の他方の断面形状を有しているという点で、より連続的に外形を移行させるために使用することもできる。ハウジング3及びハウジング21は更に、好ましくは断面が非円形、例えば正方形である内側部を有し、その内壁に、モジュールの構成要素が、ハウジング3及びハウジング21の長手方向軸線に対して回転的に固定される方式で支持されている。
【0031】
2つの力伝達装置9及び力伝達装置10は、好ましくは、本質的に可撓性であり、例えば、プルケーブル又は屈曲シャフトとして設計されており、それゆえ、モジュールの異なる角度方向に適応することができる。この場合、それらは、例えば軸受プレート22及び軸受プレート4の貫通開口部内へと偏向させることができる。この目的のために、軸受プレート4及び軸受プレート22は、好ましくは、構造的インタフェースを形成する、対応のハウジング3又はハウジング21の側部に配置されており、取り付けられた位置では、他方のモジュールの、対応する他方のハウジング3、21に面している。この場合、構造的インタフェースは、アダプタ部分14を取り付けるために設けられている側部である、ハウジング3、21の側部と、アダプタ部分14自体とによって形成され、その場合、アダプタ部分14の形状が、そのアダプタ部分に固定される、他方のモジュールの他方のハウジング3、21の向きの角度を画定する。軸受プレート4及び軸受プレート22はまた、単一の軸受プレート4又は軸受プレート22として設計することもでき、この軸受プレートは、一方の側部で、プロファイルヘッド16又はシートベルトスプール2を取り付けるための役割を果たし、他方の側部で、電気モータ24のモータシャフト又は伝動装置を取り付けるための軸受点を形成する。
【0032】
アダプタ部分14が設けられておらず、シートベルトスプールモジュール1及び駆動装置モジュール20が直線的な向きで互いに接続されている場合には、構造的インタフェースが、2つのモジュールの接続点である。