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特許7383733プレートを伴う履物物品およびそのような履物物品をカスタマイズするための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】プレートを伴う履物物品およびそのような履物物品をカスタマイズするための方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/28 20060101AFI20231113BHJP
   A43B 13/12 20060101ALI20231113BHJP
   A43B 13/16 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
A43B7/28
A43B13/12 A
A43B13/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021572896
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 US2020037396
(87)【国際公開番号】W WO2020252236
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】1906427
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503204222
【氏名又は名称】ザ ノース フェイス アパレル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】The North Face Apparel Corp.
【住所又は居所原語表記】3411 Silverside Road,Wilmington,Delaware 19810 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラベルティ,グレゴワール
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0224051(US,A1)
【文献】特開平05-199906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173456(US,A1)
【文献】国際公開第2018/017893(WO,A1)
【文献】米国特許第08613149(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 7/28
A43B 13/00 - 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物物品であって、
地面に係合するように構成されたアウトソールと、
前記アウトソールに隣接して配設されたコンフォート中間ソールと、
剛性支持プレートであって、前記コンフォート中間ソールが前記剛性支持プレートと前記アウトソールとの間に介在するように配設された、剛性支持プレートと、を備え、
前記剛性支持プレートが、前記剛性支持プレートの周囲の少なくとも一部分から延在する側壁を備え、
前記側壁が、前記側壁に形成された複数のノッチを備え、
前記剛性支持プレートが、溶融温度が70℃以下の組成物から形成されている、履物物品。
【請求項2】
前記コンフォート中間ソールが、1つ以上の発泡体部分含む、請求項1に記載の履物物品。
【請求項3】
前記剛性支持プレートの前記側壁が、前記剛性支持プレートの内側に沿って垂直に延在する、請求項1に記載の履物物品。
【請求項4】
前記剛性支持プレートの前記側壁が、前記剛性支持プレートの外側に沿って垂直に延在する、請求項1に記載の履物物品。
【請求項5】
前記剛性支持プレートの前記側壁が、前記剛性支持プレートの内側および外側に沿って垂直に延在する、請求項1に記載の履物物品。
【請求項6】
前記剛性支持プレートの前記側壁が、前記剛性支持プレートの踵部分の周囲の周りに垂直に延在する、請求項1に記載の履物物品。
【請求項7】
前記側壁が、前記剛性支持プレートのノッチのない部分の平均高さより上方に垂直に延在する隆起をさらに備える、請求項1に記載の履物物品。
【請求項8】
前記隆起が、前記剛性支持プレートの内側に配設されている、請求項7に記載の履物物品。
【請求項9】
前記組成物が、ベース樹脂および補強材料を含む熱可塑性マトリックスを備える、請求項1に記載の履物物品。
【請求項10】
前記補強材料が、ガラスもしくは炭素繊維、またはその両方の組み合わせを含む、請求項9に記載の履物物品。
【請求項11】
前記ベース樹脂が、ポリウレタンを含む、請求項9に記載の履物物品。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の履物物品をカスタマイズする方法であって、
前記剛性支持プレートが第1の状態の非剛性となるように、前記履物物品に熱を加えて、前記剛性支持プレートの温度を、前記剛性支持プレートの前記組成物の前記溶融温度よりも低い温度にまで上昇させることと、
前記第1の状態の前記剛性支持プレートに力を加えて、前記剛性支持プレートの形状をカスタマイズすることと、
前記剛性支持プレートが前記第1の状態よりも高い剛性を有する第2の状態になるように、前記履物を冷ますことと、を含む、方法。
【請求項13】
前記履物物品をカスタマイズすることが、対象となる活動の使用法に基づく、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記履物物品をカスタマイズすることが、対象となる足の形状に基づく、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2019年6月14日に出願されたフランス出願第19 06427号の優先権と利益を主張し、参照によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
靴には、外ソール、中間ソール、およびアッパーなど、さまざまな構成要素または層があり得る。
【0003】
EP 3 114 955は、発泡ポリウレタン製の第1のコンフォートソールにゴムの外ソールが取り付けられていると記載している。第2のエチレン酢酸ビニル(EVA)コンフォートソールは穿孔されており、それにより、アッパーは第1のソールおよび第2のコンフォートソールに取り付けられている。発泡ポリウレタンは、第1のコンフォートソールのクッション効果を高める。
【0004】
FR 2 898 252は、2つの部分からなる複合材料インサートが踵で外ソールおよびコンフォートソールに取り付けられ、靴のつま先でコンフォートソールおよびアッパーに取り付けられている運動靴を記載している。複合材料インサートのこの部分は、靴のつま先の弾力性を高める。
【0005】
「Sole Structures and Articles of Footwear Having Plate Moderated Fluid-Filled Bladders and/or Foam Type Impact Force Attenuation Members」と題された米国特許公開第2014/0075778は、運動用履物を含む履物の物品用ソール構造であって、a)外ソール構成要素、(b)外ソール構成要素と係合された中間ソール構成要素であって、少なくとも1つの開口部もしくはレセプタクルを含む、中間ソール構成要素、(c)開口部もしくはレセプタクル内に設けられた少なくとも1つの流体充填内袋システムもしくは発泡体システム、および/または(d)流体充填内袋もしくは発泡体システムを覆う1つ以上の剛性プレートを含む剛性プレートシステムを含む、履物用ソール構造を記載している。剛性プレートは、中間ソール構成要素に直接固定してもよく、または剛性プレートは、ソール構造が非圧縮状態の場合、流体充填内袋上、もしくは中間ソール構成要素の表面のやや上の発泡体上に載置されてもよい。履物の物品およびソール構造の製造方法、ならびにそのようなソール構造を含む履物の物品についても記載している。
【0006】
「Article of footwear with a stretchable upper and an articulated sole structure」と題された米国特許第6,990,755号は、伸縮性アッパーおよび関節式ソール構造のうちの少なくとも1つを含む履物の物品が開示されていると記載している。アッパーは、外層と、内層と、を含み得る。外層は、アッパーの外部の少なくとも一部を形成し、外層は、外層を通って延在する複数の切開部を含む。内層は外層の内面に隣接して位置しており、内層は切開部を通して露出している。ソール構造は、接続部分と、複数の別個のソール要素と、を含み得る。接続部分は、アッパーに隣接して位置付けられ、アッパーの長手方向の長さに沿って延在し得る。ソール要素は、接続部分から延在し、ソール要素は、ソール構造内に上方に延在する複数のサイプによって分離されている。
【0007】
2018年6月21日付の「Energy return footwear plate」と題された米国特許公開第2018/0168281号は、履物の物品用ソールプレートが、第1の側と、第2の側と、外周と、第1の側から第2の側にプレート本体を通って延在する少なくとも1つの開口部と、少なくとも1つの開口部を境界付ける内周と、を有するプレート本体を備えると記載している。プレート本体は、外周に対して内周の第1の向きにバイアスされている。プレート本体は、第2の側に加えられた動的荷重の下で、外周に対して内周で反転する。プレート本体は、動的荷重を取り除くと、弾性的に第1の向きに戻る。ソール構造、およびソールプレートを含む履物の物品が開示されている。ソールプレートを伴う履物の物品の製造方法が開示されている。
【0008】
2019年3月12日付けの「Footwear sole structure with nonlinear bending stiffness」と題された米国特許第10,226,097号は、第1のプレートと、第2のプレートと、を備える履物の物品用ソール構造を記載している。第1のプレートは、第2のプレートの前足領域の少なくとも一部分を覆っている。第1のプレートおよび第2のプレートは、前足領域の後方で互いに固定されている。第1のプレートは、ソール構造の背屈中に屈曲範囲の第1の部分において第2のプレートの前足領域に対して長手方向にスライドし、かつ屈曲範囲の第1の部分よりも大きい屈曲角度を含む屈曲範囲の第2の部分中に第2のプレートと干渉するように構成されている。
【0009】
「Plate for footwear」と題された米国特許公開第2017/0095033号は、ソール構造を有する履物の物品用プレートが、ソール構造の前足領域に配設された最前点と、ソール構造の最前点よりも踵領域の近くに配設された最後点と、最前点と最後点との間に延在する凹部と、を含むと記載している。凹部は、ソール構造の最前点から中咽頭(MTP)点までの一定の曲率半径を含む。MTP点は、使用中に足のMTP関節に対向する。
【0010】
「Article of footwear with a segmented plate having a heel region”」と題された米国特許公開第2016/0000180号は、履物の物品が、概して、第1のプレートと第2のプレートと、を備えるソールを含み得ると記載している。第1のプレートは第1の縁を含み、第2のプレートは第2の縁を含み、第1の縁は第2の縁に面している。第1の縁は、第2の縁の第2の輪郭に対応する第1の輪郭を有する。第1のプレートは、踵領域を含み、踵領域は、第1の踵領域と、第2の踵領域と、を含む。ノッチ領域は、第1の踵領域および第2の踵領域を分離し、ノッチ領域は、踵領域の外縁から履物の物品の中足部分に向かって延在する。第1のプレートおよび第2のプレートは、ソールの剛性を高めることにより、ランニング中のエネルギー戻りの量を改善することができる。
【0011】
「Plate with foam for footwear」と題された米国特許公開第2018/0132564号は、アッパーを有する履物の物品用ソール構造が、第1のアパーチャを画定する外ソールと、外ソール上に配設され、かつ第2のアパーチャを画定するクッション部材と、クッション部材とアッパーとの間に配設されたプレートと、を含むと記載している。プレートは、前足領域に配設された最前点と、最前点よりも踵領域の近くに配設された最後点と、最前点と最後点の間に配設された中足指節(MTP)点と、前部湾曲領域であって、前足領域および中足領域を通って延在する曲率半径を有し、かつMTP点から最前点まで延在する前足湾曲部分と、MTP点から最後点に延在する中足湾曲部分と、を含む、前部湾曲領域と、を含む。第1のアパーチャおよび第2のアパーチャの重なり合う部分は、プレートの領域を露出させる。
【0012】
「Footwear Sole Structure Including a Spring Plate」と題された米国特許公開第2018/0116335号は、履物の物品が、アッパーと、外ソールと、スプリングプレートと、を含み得ると記載している。スプリングプレートは、外ソールの少なくとも一部分の上に位置し得、少なくとも内側前足および内側中足領域を通って延在し得る。スプリングプレートは、前足領域におけるスプリングプレートの前部が、前部の後方に位置するスプリングプレートの後部に対して下向きに曲げられた無負荷形状を有し得る。スプリングプレートは、周囲のバンドによって画定される開いた中央領域を備え得、アッパーから非破壊的に取り外し可能であり得、アッパーに交換可能であり得る。物品は、アッパーによって少なくとも部分的に画定された空隙内にしっかりと載置されるように成形された少なくとも1つの内側ソール部材をさらに含み得る。少なくとも1つの内側ソール部材は、少なくとも第1および第5の中足指節関節領域において圧縮可能であり得る。
【0013】
「Footwear incorporating a composite plate sole structure」と題された米国特許第8,613,149号は、履物の物品が、アッパーと、アッパーに固定されたソール構造と、を有すると記載している。ソール構造は、プレートと、コアと、を含む。プレートは、接地部と、フットベッド部と、を有し、フットベッド部の周囲が接地部に固定されて、接地部とフットベッド部との間に空洞を画定する。コアは空洞内に位置する。プレートは複合材料から形成することができるが、コアはポリマーフォーム材料から形成することができる。
【0014】
「Shoe」と題された米国特許公開第2012/0317835号は、ソール部材から切り離されたH字型パッドを伴う湾曲したロッカー底部ソール部材を伴う靴を記載している。この靴は、中足領域のフットストライクおよびより均一な圧力分散を促進する。
【0015】
「Shoe」と題された米国特許公開第2012/0204449号は、アッパーと、湾曲ソール部材と、を有する靴であって、ソール部材は、1つの単一部品または別個の中間ソールおよび別個の外ソールから構成され得る、靴を記載している。湾曲は、ソール部材の踵領域の外側の近傍の点を通ってソール部材の前足領域の内側の近傍の点まで延在する重心軸に沿って傾斜するソール部材から生じる。重心軸は、靴の全長に沿って対角線上にある。湾曲のため、ソール部材は不均一な厚さを有する。ソール部材の湾曲により、ユーザーの足をより自然な動きにガイドすることができ、より多くの動きの効率と快適性を提供する。
【0016】
「Shoe」と題された米国特許第7,779,557号は、靴であって、つま先領域と、中間領域と、踵領域と、多層多密度の中間ソールであって、中間ソールの上層が、縦方向の凸面および縦方向の凹面を有する底面を有し、縦方向の凸面が、通常、つま先領域の実質的な部分またはつま先領域および中間領域の実質的な部分を占め、縦方向の凹面が、通常、踵領域の実質的な部分を占め、縦方向の凸面および縦方向の凹面が総じて、表面の実際の硬さに関係なく、砂浜または所与の表面もしくは凹凸の表面上を歩くことの効果を模倣し、かつフィットネスの利点を与えることに寄与する、中間ソールと、を有する靴を記載している。
【0017】
「Teardrop propulsion plate footwear」と題された米国特許第5,315,769号は、動的流体踵パッドおよび粘弾性中間ソールと組み合わせた涙滴形スプリングプレートを伴う運動靴を記載しており、そのようなスプリングプレートは基本的にその長手方向軸を中心に対称であり、流体パッドの前方で横たわっており、中足骨頭の領域の下で最も広い寸法を持ち、指骨の下で徐々に上に曲がっている。ポリマーに埋設された平行繊維の多層のスプリングプレートは、踵パッドと組み合わされて、足のコントロールの安定性を実現するだけでなく、中間ソールと履物の耐用年数を延ばす。
【0018】
「Propulsion plate hydrodynamic footwear」と題された米国特許第5,191,727号は、運動靴であって、アーチ領域を通って踵の外側部分ではなく内側部分の下に延在する特別に構成されたスプリングプレートおよびその上に、中足骨頭の領域とつま先の領域およびその下に、中間ソール内に流体力学的踵インサートパッドを有し、足が、歩行サイクル、および効率的なつま先離れによる複雑な動きを介して進むときの足の制御と組み合わせて、踵の衝突時の力のスパイクを排除するのに役立つ運動靴を記載している。
【0019】
「Spring plate shoe」と題された米国特許第5,052,130号は、粘弾性中間ソールと組み合わせたスプリングプレートを伴う運動靴であって、そのようなスプリングプレートは、スプリングプレートが曲線状で、かつ靴の外側にあるアーチを通って、踵の内側から中足骨頭の領域およびつま先の下を通って、実質的に中間ソールの長さに延在する、運動靴を記載しているスプリングプレートは複数の層からなり、平行な炭素繊維の各々がポリマーに埋設されており、繊維は対称的に連続する層内で鋭角になっている。プレートの剛性は異方性であり、横方向よりも縦方向の方が大きくなる。中足骨破断線の前方のプレートの厚さは、破断線の後方のプレートの厚さの半分である。
【0020】
しかしながら、改善が必要である。
【発明の概要】
【0021】
本開示は、概して、カスタマイズ可能なプレート(例えば、支持プレート、シェル)を備える履物に関する。一例として、プレートは、第1の温度(例えば、室温、周囲温度)で剛性である材料から形成され得るが、加熱され、カスタム形状に成形され、次いで冷まして再び剛性となり得る。このように、単一のカスタマイズ可能なプレートを伴う履物は、履物全体を再現する必要なしに、様々なカスタム形状に構成することができる。カスタマイズは、特定の対象の足の形状に基づく場合がある。カスタマイズは、対象の活動または使用目的に基づく場合がある。活動または使用法が変化するにつれて、プレートを加熱および成形し、次いで冷まして、新しい構成に堅固な支持を提供することができる。
【0022】
履物支持プレートに使用される従来の射出成形熱可塑性物質または熱硬化性物質は、100℃を超える融点(例えば、120℃)を有することを理解されたい。融点が100℃を超えると、支持プレートの加熱と再形成が実行不可能となり得る。このように、本開示による支持プレートは、70℃以下の溶融温度を有する組成物から形成されている。100℃未満、90℃未満、80℃未満、70℃未満、約70℃などの他の範囲を使用してもよい。
【0023】
一例として、履物物品は、地面に係合するように構成された外ソールと、外ソールに隣接して配設された1つ以上の発泡体部分と、支持プレートであって、1つ以上の発泡体部分が支持プレートと外ソールとの間に介在するように配設された支持プレートと、を備え得、支持プレートは、支持プレートの周囲の少なくとも一部分から延在する側壁を備え、側壁は、側壁に形成された複数のノッチを備え、支持プレートは、溶融温度が70℃以下の組成物から形成されており、履物物品は、支持プレートが第1の状態の非剛性となり、支持プレートの形成をカスタマイズすることを可能にするように、履物物品に熱を加えて、支持プレートの温度を、支持プレートの組成物の溶融温度よりも低い温度にまで上昇させることと、支持プレートが第1の状態よりも高い剛性を有する第2の状態になるように、履物を冷ますことと、によってカスタマイズすることができる。
【0024】
履物物品は、地面に係合するように構成された外ソールと、外ソールに隣接して配設されたコンフォート中間ソールと、支持プレートであって、コンフォート中間ソールが支持プレートと外ソールとの間に介在するように配設された、支持プレートと、を備え得、支持プレートは、支持プレートの周囲の少なくとも一部分から延在する側壁を備え、側壁は、側壁に形成された複数のノッチを備え、支持プレートは、70℃以下の溶融温度を有する組成物から形成されている。
【0025】
履物物品をカスタマイズする方法は、履物物品に熱を加えて、支持プレートの温度を、支持プレートが第1の状態の非剛性になるように、支持プレートの組成物の溶融温度よりも低い温度にまで上昇させることと、第1の状態の支持プレートに力を加えて、支持プレートの形状をカスタマイズすることと、支持プレートが第1の状態よりも高い剛性を有する第2の状態になるように履物を冷ますことと、を含み得る。
【0026】
本開示による履物は、アッパーとコンフォートソールとの間に挿入されたプラスチックまたは複合材料で作られた支持プレートまたはプレートを備え得る。このプレートは、アッパーにねじれと曲げ剛性とを与えるように構成され得、靴の踵と地面との衝突時の足の変位を妨げ、よって支持の安定性に寄与する。弾性的に変形することにより、コンフォートソールによって放散されるエネルギーの一部を低減することにより、衝撃によって放出されるエネルギーの一部を緩和中に取り戻すこともできる。
【0027】
プレートは、アッパーおよびコンフォートソールのつま先まで挿入して取り付けることができる。この配置を通して、プレートは、靴の踵からつま先までのストライド全体で弾性的に変形し、蓄積されたエネルギーを戻すことにより、アッパーによって囲い込まれた足に刺激効果をもたらす。
【0028】
プレートは、プレート底部とプレート側部を介して、アッパーおよびコンフォートソールに挿入して取り付けることができる。
【0029】
プレートは、一方では、ストライド中にプレートが地面に対して足を安定させることを可能にするために、プレート底部の周りに縁を形成する側壁を備え得る。よって、アッパーによって囲い込まれた足は、踵が地面に衝突したときに、靴によって保持される位置合わせで保たれる。他方、プレート側壁の縁(例えば、プレート側)は、プレートの屈曲およびねじり剛性を増加させる。この配置は、特にロードランニングに適している。
【0030】
プレート側壁は、踵に対応するプレート底部の一部分を取り囲むことができ、つま先に対応するプレート底部の一部分に沿って切断される。プレート側部の切断は、踵の剛性を維持しながら、靴のつま先に柔軟性を与える。この配置は、特にトラックランニングに適している。
【0031】
プレート側壁は、プレート底部の周りに縁を形成し得る。
【0032】
プレート側壁は、一方では、ストライド中にプレートが地面に対して足を安定させることを可能にするために、プレート底部の周りに縁を形成し得る。よって、アッパーによって囲い込まれた足は、踵が地面に衝突したときに、靴によって保持される位置合わせで保たれる。他方、プレート側壁の縁は、プレートの屈曲およびねじり剛性を増加させる。この配置は、特にロードランニングに適している。
【0033】
プレート側壁は、ノッチを備え得る。そのようなノッチは、プレート側壁の剛性セクションを区切ることによってプレートの剛性を変化させ、ノッチによりセクション間の柔軟性をもたらし得る。「トレイルランニング」として知られるマウンテンランに特に適している。
【0034】
プレート底部は、穿孔することができる。プレート底部に穿孔すると、プレート側部によって供給される剛性を維持しながら、プレートの重量を減少させることができる。
【0035】
コンフォートソールは、踵からつま先までの線のすべての点で曲率半径を有し得、外ソールとの境界面を生成する。コンフォートソールの湾曲は、湾曲を伴わないコンフォートソールで感じられる最初の衝撃の重なり効果を排除する。衝撃と足の回転との間の移行は瞬時に行われる。複合プレートの剛性と組み合わせて、コンフォートソールの屈曲はエネルギーの戻りを促進し、それによってより速く、したがってより強力なストライドを可能にする。
【0036】
本開示の他の利点は、図面によって示される実施形態の説明で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下の図面は、概して、本開示に論じられる様々な例を、限定としてではなく、例として示す。図面において、
【0038】
図1】本開示の一態様による靴の側面図である。
図2図1の靴の分解図である。
図3図1の断面A-A’に沿う図である。
図4】本開示の一態様による靴の側面図である。
図5図4の靴の分解図である。
図6図4の断面B-B’に沿う図である。
図7】本開示の一態様による靴の側面図である。
図8】本開示によるプレートの斜視図である。
図9】本開示の一態様による靴の側面図である。
図10】本開示によるプレートの斜視図である。
図11】本開示によるカスタムプレートの上面図を示す。
図12図11のカスタムプレートの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書に記載のシステムおよび/または方法は、靴の着用者の特定の足の解剖学的構造に合わせてプレート(例えば、支持プレート、シェルなど)の形状をカスタマイズすることを可能にする。プレートは、アッパーと発泡中間ソールまたはコンフォートソールとの間に位置し得る。足に対するプレートのそのような位置は、プレートの剛性側壁および足の踵から足のつま先まで及ぶプレートの形状寸法のために、プレートが足を安定させることを可能にし得る。プレートは、着用者の足にごく近接して、インソールまたは何らかの他のセパレータによって離間して配設することができる。しかし、他の配置を使用してもよい。特定の態様では、プレートの剛性により、プレートを着用者の足に直接配置することが望ましくない場合がある。そのような状況では、インソールまたはより柔軟な層が、プレートと足との間に介在し得る。しかしながら、プレートが足に近接していることは、着用者に望ましい支持を与え得る。
【0040】
プレートの形状および/または位置は、プレートを靴の着用者の形状にカスタマイズすることを可能にし得る。プレートは、足の足底形状に適合して、足とアッパーの底部との一致を提供することができる。プレートの幅は、側壁のために形作られ得る。
【0041】
プレートは、熱可塑性マトリックスで作られた複合材料を含み得る。プレートは、ガラスおよび/または炭素繊維材料と、低融点温度(例えば、100℃未満、90℃未満、80℃未満、70℃未満、約70℃)を有する熱可塑性物質(例えば、ポリウレタン)と、を含み得る。プレートは、比較的低温(例えば、100℃未満、90℃未満、80℃未満、70℃未満、約70℃)でプレートを成形することを可能にする特性を備える樹脂を備え得る。プレートは、靴が通常の条件で着用されたときにプレートが支持的な役割を果たすように、周囲温度で剛性である材料を含み得る。
【0042】
プレートは、踵からつま先までアッパーと中間ソールとの間に挿入された剛性プレートであってもよい。プレートは、垂直側壁を可能にする三次元(3D)形状を備え得る。プレートは、足の外側および/または内側に延在し得る。プレートは、踵を包み得る。
【0043】
プレートは、靴が加熱されたときに形状修正を可能にする低融点熱可塑性材料(注入および/または熱可塑性マトリックスとの複合体)で作ることができる。プレートの形状寸法は、1つの構成で靴の形状寸法を固定(例えば、設定、確立など)し得る。構成は、つま先上がり、踵の幅、および/または前足の幅を含み得る。
【0044】
本明細書に記載のシステムおよび/または方法は、靴を約60℃で加熱することを可能にし得る。プレートは、より柔軟になり、特定の使用法(地形、速度、身体スペックなど)に合わせて成形できるようになり得る。プレートは、より柔軟になり、特定の足の形状に合わせて成形できるようになり得る。靴が冷めると、プレートは再び硬くなり、靴の形状寸法を新しく形成された位置に固定(例えば、設定、確立など)することができる。
【0045】
靴のカスタマイズは、靴を加熱し、次いでプレートを手で押して、足に合わせて形状寸法を調整することでなされ得る。靴のカスタマイズは、靴を加熱し、プレートを手動で、または真空機などの装置を使用して成形し、靴を操作し、プレートをカスタムの形状と構成に再成形することで、なされ得る。
【0046】
図1図3は、つま先1と踵3との間に延在し、かつコンフォートソール9を介して外ソール7に取り付けられたアッパー5を備える運動靴を示している。
【0047】
外ソール7は、ゴムなどの接着性材料で作ることができ、地面上での良好なグリップおよび良好な耐摩耗性を提供することを目的としている。コンフォートソール9は、衝撃吸収材として機能し、靴が地面に接触している間、特に踵3によって衝撃を吸収することができる。コンフォートソール9はまた、ねじれおよび屈曲剛性特性を制御することができる。アッパー5は、足を靴に囲い込んでおくのに役立ち得、この目的のために、靴ひもまたはクイックファスナーストリップを使用する閉鎖システム11を備え得る。外ソール7およびコンフォートソール9は、例えば、つま先1から踵3まで接着することによって、互いに接続することができる。他の結合メカニズムを使用してもよい。外ソール7は、靴のつま先1に先端71を装備してもよい。
【0048】
コンフォートソール9は、踵3からつま先1までの線L上の任意の点Pで曲率半径Rを有し得る。図1および図4において、線Lの点P1およびP2は、曲率半径R1およびR2を有する。コンフォートソール9の湾曲は、湾曲を伴わないコンフォートソールで感じられる最初の衝撃の重なり効果を排除する。衝撃と足の回転との間の移行は瞬時に行われる。プレート13の剛性と組み合わせて、コンフォートソール9の屈曲はエネルギーの戻りを促進し、それによってより速く、したがってより強力なストライドを可能にする。
【0049】
本開示によれば、靴などの履物は、プレート13を備え得る。プレート13は、プラスチック、ポリマー、および/または複合材料を含み得る。プレート13は、アッパー5とコンフォートソール9との間に配設することができる。靴の踵3に対応して、アッパー5の後部51は、プレート13の後部17に結合、例えば、接着され得、同様に、後部17は、コンフォートソール9の後部91に結合され得る。接着または接合などの様々な結合手段を使用することができる。
【0050】
図1図3に示すように、プレート13は、踵3に対応する後部17から、つま先1に対応する前部19まで延在する。しかしながら、プレート13は、踵3とつま先1との間の距離よりも短い距離だけ延在するように構成することができる。非限定的な例として、プレート13の前部19の端部21は、靴の踵3とつま先1との間の距離よりも短い、後部17からの距離で示されている。この場合、アッパー5は、プレート13が配設されていない靴のつま先1の部分において、コンフォートソール9と直接接触し得る。
【0051】
プレート13は、アッパー5とコンフォートソール9との間に挿入され、一方では、アッパーにねじれおよび屈曲剛性を与えるために、踵3によってこれらの2つの要素に取り付けられている。
【0052】
靴の踵3と地面との衝突時、プレート13は、アッパー5内に囲い込まれた足の変位を妨げ、よって、支持の安定性に寄与する。他方では、プレートは、プラスチックまたは複合材料で作られ、コンフォートソールによって放散されるエネルギーの一部を低減することにより、衝撃によって放出されるエネルギーの一部を緩和中に取り戻すことができる。
【0053】
プレート13は、プレート底部23およびプレート側部25または側壁を介してアッパー5および/またはコンフォートソール9に結合することができる。図1図3に示すように、プレート側部25は、踵1に対応するプレート13の後部17に沿ってプレート底部23を取り囲み、かつつま先1に対応するプレート13の前部19でプレート底部23に沿って切断されている。プレート側部25の切断は、踵3の剛性を維持しながら、靴のつま先1に柔軟性を与えることができる。この配置は、より具体的には、トラックランニングに適し得る。
【0054】
図4図6は、プレート底部23の周りに縁を形成するプレート側部25’を有するプレート13’を示している。同様の構成要素は、同じ数字を使用して参照される。特定のバリエーションは、プライム(’)記号を使用した参照である。プレート側部25’は、一方では、ストライド中にプレート13’が地面に対して足を安定させることを可能にするために、プレート底部23の周りに縁または側壁を形成し得る。よって、アッパー5によって囲い込まれた足は、踵3が地面に衝突したときに、靴によって保持される位置合わせで保たれる。他方、プレート側部25’の周囲は、プレート13’の屈曲およびねじり剛性を増加させる。そのような配置は、ロードランニングに適し得る。
【0055】
プレート(例えば、プレート13、13’)の剛性は、プレート側部25、25’の剛性セクションを区切ることによって変化させることができ、例えば、プレート側部25、25’の空間セクションにノッチを配設することによって柔軟性をもたらす。ノッチ27は、プレート13の前部19において、プレート底部13の周囲に沿って配置され得る。ノッチ27は、例えば、足の中足骨と指骨との間、および指骨とつま先との間の関節の位置に対応し得る。この実施形態の変形は、「トレイルランニング」として知られるマウンテンランに特に適している。
【0056】
図9および図10は、穿孔された底プレート23”を示している。空洞29は、プレート側部25”によって提供される剛性を維持しながら、プレート13”の重量を減少させる。
【0057】
プレート(例えば、プレート13、13’、13”)のねじりおよび屈曲剛性は、その厚さおよびその形状寸法、特にプレート側部の高さに応じて、所与の材料に対して調整することができる。コンフォート層は、EVAなどの様々な材料から形成することができるが、粘弾性材料またはポリウレタンフォームから作ることもできる。
【0058】
図11図12は、本開示の一態様によるプレート113を示している。履物物品は、本明細書に示され、説明されるように、地面に係合するように構成された外ソールを備え得る。履物物品は、外ソールに隣接して配設された1つ以上の発泡体部分(例えば、中間ソール)を備え得る。プレート113(例えば、支持プレート)は、1つ以上の発泡体部分が支持プレート113と外ソールとの間に介在するように配設することができる。支持プレート113は、支持プレート113の底部123の周囲の少なくとも一部分から延在する側壁125を備え得る。側壁125は、側壁125に形成された複数のノッチ127を備え得る。
【0059】
支持プレート113は、溶融温度が70℃以下の組成物から形成することができる。支持プレート113を備える履物は、少なくとも、履物物品に熱を加えて、支持プレート113のカスタム形成を可能にするために、支持プレートが第1の状態の非剛性になるように、支持プレート113の温度を、支持プレート113の組成物の溶融温度よりも低い温度にまで上昇させ、かつ支持プレート113が第1の状態よりも高い剛性を有する第2の状態になるように履物を冷ますことで、カスタマイズすることができる。
【0060】
支持プレート113の側壁125は、支持プレート113の内側130に沿って垂直に延在し得る。支持プレート113の側壁125は、支持プレート113の外側131に沿って垂直に延在し得る。支持プレート113の側壁125は、支持プレート113の内側130および外側131に沿って垂直に延在し得る。
【0061】
側壁125は、支持プレート113のノッチのない部分(例えば、側壁125)の平均高さより上方に垂直に延在する隆起132をさらに備え得る。
【0062】
履物をカスタマイズする方法は、履物物品に熱を加えて、支持プレートの温度を、支持プレートが第1の状態の非剛性になるように、支持プレートの組成物の溶融温度よりも低い温度にまで上昇させることと、第1の状態の支持プレートに力を加えて、支持プレートの形状をカスタマイズすることと、支持プレートが第1の状態よりも高い剛性を有する第2の状態になるように履物を冷ますことと、を含み得る。
【0063】
最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものが示され、説明されているが、説明および示される特定の設計および方法からの逸脱は、当業者にそれ自体を示唆し、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく使用できることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12