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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26B 15/00 20060101AFI20231113BHJP
   A01G 3/02 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
B26B15/00
A01G3/02 502B
A01G3/02 502C
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022012641
(22)【出願日】2022-01-31
(62)【分割の表示】P 2017123076の分割
【原出願日】2017-06-23
(65)【公開番号】P2022064964
(43)【公開日】2022-04-26
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】10 2016 211 978.8
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2016 211 976.1
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2016 211 975.3
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2016 211 974.5
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2016 211 973.7
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2016 211 972.9
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ザドル,エンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ナジ,ヤーノス
(72)【発明者】
【氏名】シェプシ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】グランビル,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ショルテース,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゾルドス,ゾルタン
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-058242(JP,A)
【文献】特開2013-146544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 15/00
A01G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相対的に可動の少なくとも1つの第1および第2の切断部材(12、14)と、
互いに相対的に可動の第1および第2のグリップ部材(16、18)と、
少なくとも1つの動作状態のときに前記第1の切断部材(12)に対して相対的な前記第2の切断部材(14)の運動を少なくともサポートするために意図される少なくとも1つの駆動ユニット(20)と、
を有する切断装置(10)において、
前記切断装置(10)は、前記第1のグリップ部材(16)と前記第2のグリップ部材(18)の間にある物体(17)を認識してサポート動作をオフにするために構成されており、
前記第2の切断部材(14)と前記第2のグリップ部材(18)とは、前記少なくとも1つの動作状態のときに前記駆動ユニット(20)によって駆動される力伝達部材(800)を介して結合され、
前記第2のグリップ部材(18)と前記力伝達部材(800)とは、互いに相対的に可動であり、センサ(401)によって認識される前記第2のグリップ部材(18)と前記力伝達部材(800)との位置関係が条件を満たすと、前記サポート動作をオンするために前記駆動ユニット(20)が作動化され、
前記第2のグリップ部材(18)は、前記力伝達部材(800)に対して旋回する
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記第1のグリップ部材(16)および前記第2のグリップ部材(18)の一方における、他方のグリップ部材(16、18)を向く面(600)に、前記センサ(401)が配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記センサ(401)によって前記第1のグリップ部材(16)と前記第2のグリップ部材(18)の間の前記物体(17)が認識されると、前記サポート動作をオフにするために前記駆動ユニット(20)が不作動化される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記第2のグリップ部材(18)は、前記第2のグリップ部材(18)の前記力伝達部材(800)に対する相対的な運動を制限する少なくとも1つの相対運動制限部材を有する
ことを特徴とする、請求項1から3までの何れか1項に記載の切断装置。
【請求項5】
前記センサ(401)は、ばね(68)およびスイッチ(72)を有する
ことを特徴とする、請求項1から4までの何れか1項に記載の切断装置。
【請求項6】
前記センサ(401)は、前記駆動ユニット(20)が作動化される前記条件を変更するためのサポート動作調整部材(730)を有する
ことを特徴とする、請求項1から5までの何れか1項に記載の切断装置。
【請求項7】
前記第1のグリップ部材(16)および前記第2のグリップ部材(18)の一方における他方のグリップ部材(16、18)を向く面(600)、丸みづけされて、および/または面取りされて構成されている
ことを特徴とする、請求項1から6までの何れか1項に記載の切断装置。
【請求項8】
動式の動作ならびに機械サポート式の動作可能であ
ことを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
切断装置、たとえば園芸用切断装置がすでに提案されている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1より、互いに相対的に可動の2つの切れ刃と、互いに相対的に可動の2つのグリップ部材と、動作状態のときに第1の切れ刃に対して相対的な第2の切れ刃の運動をサポートするために意図される駆動ユニットとを有する切断装置がすでに知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】ドイツ特許第102010016296B4号明細書
【発明の概要】
【0004】
互いに相対的に可動の第1および第2の切断部材と、互いに相対的に可動の第1および第2のグリップ部材と、少なくとも1つの動作状態のときに第1の切断部材に対して相対的な第2の切断部材の運動を少なくともサポートするために意図される少なくとも1つの駆動ユニットとを有する切断装置、たとえば園芸用切断装置が開示される。この切断装置はばね部材を有している。ばね部材は制動部材、開放ばね、力センサ部材、復帰部材、圧縮ばねまたは引張ばね、渦巻ばね、テンションスプリング、初期応力部材などとして構成されていてよい。切断装置は、少なくとも駆動ユニットが不作動化している動作状態のときに駆動ユニットを連結解除するために意図される少なくとも1つの自動切換式のクラッチユニットを有することが提案される。
【0005】
別案として、互いに相対的に可動の第1および第2の作業部材、たとえば把持部材やペンチ部材と、互いに相対的に可動の第1および第2のグリップ部材と、少なくとも1つの動作状態のときに第1の作業部材に対して相対的な第2の作業部材の運動を少なくともサポートするために意図される少なくとも1つの駆動ユニットとを有する別の手動工作機械も開示され、この手動工作機械は、少なくとも駆動ユニットが不作動化している動作状態のときに駆動ユニットを連結解除するために意図される少なくとも1つの自動切換式のクラッチユニットを有している。
さらに、少なくとも1つの自動切換式のクラッチユニットは、少なくとも1つの動作状態のとき、完全な手動動作を具体化するために駆動ユニットを連結解除するために意図されることが提案される。
さらに、少なくとも1つの自動切換式のクラッチユニットはフリーホイーリングクラッチとして構成されることが提案される。
さらに、少なくとも1つの自動切換式のクラッチユニットは、少なくとも1つのクランプ体を有することが提案される。
さらに、少なくとも1つの自動切換式のクラッチユニットは、クランプ体を収容する少なくとも1つの保持器と、少なくとも1つの動作状態のときに保持器を減速させるために意図される制動部材とを有することが提案される。
さらに、駆動ユニットにより駆動可能なロープウィンチと、少なくとも部分的に各グリップ部材の間に張り渡された、少なくとも部分的にロープウィンチに巻き取られた、および/または巻取可能な少なくとも1つのロープとが提案される。
さらに、少なくとも1つの自動切換式のクラッチユニットは、少なくとも1つのロープウィンチに少なくとも部分的に組み込まれていることが提案される。
さらに、たとえば渦巻ばねとして構成され、少なくとも1つの動作状態のときにロープに張力をかけるために意図される、ロープウィンチと結合されたばね部材が提案される。
さらに、グリップ部材の第1のグリップ部材に配置された少なくとも1つの伝動装置ユニットが提案される。
さらに、駆動ユニットと伝動装置ユニットは、空間的に、切断部材と少なくとも1つの自動切換式のクラッチユニットとの間に配置されることが提案される。
さらに、少なくとも1つの伝動装置ユニットは少なくとも2つのギヤ段を有しており、これらの間に少なくとも1つの自動切換式のクラッチユニットが配置されることが提案される。
さらに、グリップ部材の第2のグリップ部材に組み込まれた少なくとも1つの力センサが提案される。
これに加えて、切断装置を作動させる方法が提案され、定義された操作力を超過すると駆動ユニットが切断装置の閉止機構に接続される。
これに加えて、切断装置の最終位置に到達したときに駆動ユニットが自動的に停止し、クラッチユニットを開くために一時的に駆動方向と反対向きに駆動される方法ステップが提案される。
【0006】
さらに切断装置は、各グリップ部材の間にある物体を認識してサポート動作をオフにするために構成されることが提案される。
さらに、第1ないし第2のグリップ部材に、たとえばそれぞれ他方のグリップ部材に向かい合う第1ないし第2のグリップ部材のグリップ内面に、物体を認識するためのセンサが配置されることが提案される。
さらに、センサ、たとえば力センサおよび/またはストロークセンサが、運動サポートの必要性を認識するために、少なくとも各グリップ部材の間に物体が配置されているときに切断装置がサポート動作をオフにするように、第1ないし第2のグリップ部材に配置されることが提案される。
さらに、第2の切断部材と第2のグリップ部材との間に、駆動ユニットと作用接続され、運動サポートを規定するために、たとえば運動サポートのオンまたはオフを規定するために、第2のグリップ部材に対して相対運動可能に配置された、たとえば第2の切断部材と回転不能に結合された力伝達部材が配置されることが提案される。
さらに、この相対運動は第2のグリップ部材に対する力伝達部材の旋回運動であることが提案される。
さらに、第2のグリップ部材は少なくとも1つの相対運動制限部材を有することが提案される。
さらに、センサ、たとえば力センサおよび/またはストロークセンサが相対運動を検出することが提案される。
さらに、センサはばねおよびスイッチ、ならびに、たとえば第1または第2のグリップ部材のグリップ内面に配置されたサポート動作調整部材を有することが提案される。
さらに、グリップ部材のうち少なくとも1つは、少なくともグリップ内面のところで皮膚挟み防止式に、たとえば少なくとも部分的に弾性的に、丸みづけされて、かつ/または面取りされて構成されることが提案される。
【0007】
さらに、各グリップ部材を結合する回転ジョイントと、各グリップ部材の間に配置された開放ばねとの間で、防護装置が各グリップ部材の間に配置されることが提案される。
さらに、防護装置は切断装置のケーブル、たとえばエネルギー供給ケーブルやセンサケーブルを収容し、および/またはグリップ部材、回転ジョイント、および開放ばねによって区切られる中間スペースを、たとえばこの中間スペースに操作者の四肢の少なくとも1つの誤った配置を回避するために遮蔽するための遮蔽装置を形成することが提案される。
【0008】
さらに、互いに相対的に可動の第1および第2の切断部材と、互いに相対的に可動の第1および第2のグリップ部材と、各グリップ部材の間に配置された開放ばねと、少なくとも1つの動作状態のときに第1の切断部材に対して相対的な第2の切断部材の運動を少なくともサポートするために意図される少なくとも1つの駆動ユニットと、少なくとも1つの動作状態のときに駆動ユニットと作用接続される少なくとも1つの駆動力伝達部材とを有する切断装置、たとえば園芸用切断装置が開示される。
駆動力伝達部材は開放ばねの内部に配置されることが提案される。
さらに、駆動力伝達部材はロープであることが提案される。
さらに、ロープはポリエチレンで形成され、たとえば超高分子量ポリエチレンで形成されることが提案される。
さらに、各グリップ部材のうちの少なくとも1つに、駆動力伝達部材を低摩擦および/または低摩耗に案内するために案内部材、たとえば案内スリーブが配置されることが提案される。
さらに、開放ばねは駆動力伝達部材を低摩擦に案内するために少なくとも1つの案内部材を有することが提案される。
さらに、駆動力伝達部材は開放ばねの内部で無接触式に配置されることが提案される。
さらに、開放ばねは竹の子ばね、たとえば二重竹の子ばねであることが提案される。
さらに、開放ばねはこれにより形成される中空スペースを封止するように、たとえばダストおよび/または水分に対して封止するように構成されることが提案される。
さらに、開放ばねの端部はグリップ部材の切欠きに配置されることが提案される。
さらに、切断装置は手動式の動作ならびに手動式・機械支援式の動作を可能にすることが提案される。
【0009】
さらに、切断装置は第1のグリップ部材の表面または内部に駆動ユニット、伝動装置ユニット、クラッチユニット、復帰ユニット、および駆動力伝達部材の駆動部材をこの順番で配置されていることが提案され、クラッチユニットと駆動部材との間には別の伝動装置がない。
さらに、駆動部材はクラッチユニットおよび/または復帰ユニットの少なくとも1つの回転するコンポーネントを回転不能に結合し、たとえばクラッチユニットの内側の回転部材と復帰ユニットの回転体を回転不能に結合することが提案される。
さらに、クラッチユニットの内側の回転部材と復帰ユニットの回転体は少なくとも摩擦接合式および/または形状接合式に互いに回転不能に結合されることが提案される。
さらに、クラッチユニットの内側の回転部材は金属で製作され、復帰ユニットの回転体はプラスチックで製作されることが提案される。
さらに、駆動部材は多角形の形材を介してクラッチユニットおよび/または復帰ユニットと形状接合式に結合されることが提案される。
さらに、復帰ユニットとクラッチユニットは少なくとも部分的に共通のハウジングに収容されることが提案される。
さらに、固定部材が、クラッチユニットのクランプ体を収容するための保持器を介して、クラッチユニットと復帰ユニットをハウジングに固定することが提案される。
さらに、伝動装置ユニットのプラネタリキャリヤがクラッチユニットのコンポーネントであり、たとえばクラッチユニットの外側の回転部材であることが提案される。
【0010】
さらに、切断装置のための初期応力をかけられた復帰ユニットを少なくとも組み立てるための組立方法が提案され、復帰ユニットは、ハウジングおよび回転体と固定的に結合されたばね部材と、自動切換式のクラッチユニットの少なくとも1つの部分とを有しており、たとえば少なくとも1つの内側の回転部材、クランプ体を収容するための保持器、および制動部材を有しており、少なくとも次の各ステップを有する:
-クラッチユニットのハウジングに固定部材を介して復帰ユニットが固定され、
-回転体を回すことによってばね部材に初期応力がかけられ、
-ハウジングを回転体と回転不能に固定する組立補助具が、たとえばハウジングと内側の回転部材との間に一時的に配置される。
さらに、次の別の方法ステップを少なくとも有する組立方法が提案される:
-初期応力をかけられた復帰ユニットが切断装置の駆動力伝達部材と結合され、
-初期応力をかけられた復帰ユニットの初期応力を駆動力伝達部材へ伝達するために、たとえば駆動力伝達部材に復帰力によって初期応力をかけるために、組立補助具が取り外される。
さらに、次の別の方法ステップのうち第1の方法ステップを少なくとも有する組立方法が提案される:
-クラッチユニットの外側の回転部材が結合部材を介してクラッチユニットの内側の回転部材と回転可能に結合されて軸方向で固定され、
-プラネタリキャリヤとして構成された外側の回転部材が伝動装置ユニットと結合される。
【0011】
さらに、互いに相対的に可動の第1および第2の切断部材を有するバッテリ駆動式の手動工作機械、たとえばバッテリ駆動式の切断装置、たとえば園芸用ハサミのためのブロック装置が提案され、ブロック装置は、ブロック装置が手動工作機械の操作および/または工具運動をブロックする第1の位置にあるときに充電インターフェースをリリースし、ブロック装置が手動工作機械の操作および/または工具運動をリリースする第2の位置にあるときに充電インターフェースをブロックおよび/またはカバーする。
さらに、ブロック装置は機械式のブロック装置として構成されることが提案される。
さらに、ブロック装置は充電インターフェースをリリースするか、またはブロックおよび/またはカバーするスライドスイッチを有することが提案される。
さらに、ブロック装置は工具運動を、たとえば手動工作機械の第1および第2の切断部材の相互の相対運動の形態の工具運動を、機械的にブロックまたはリリースするために意図される係止部材を有することが提案される。
さらに、充電インターフェースは少なくともUSB充電インターフェースとして構成されることが提案される。
さらに、ブロック装置は第2の位置にあるとき、汚れから充電インターフェースを隔離するために意図されることが提案される。
ブロック装置は第2の位置にあるとき、充電インターフェースを封止し、たとえば水および/またはダストに対して密封して封止するために意図されることが提案される。
【0012】
さらに、回転軸を中心として互いに相対的に旋回可能な少なくとも1つの第1および第2の切断部材を有する切断装置、たとえば園芸用切断装置が提案され、切断部材は回転軸に沿って配置された少なくとも1つの結合部材を介して相互に結合されている。結合部材に関わりなく、たとえば結合部材のクランプ力に関わりなく、切断部材の定義された相互の圧着力Fanを回転軸の方向で惹起するコントロール装置が設けられることが提案される。
さらに、コントロール装置は、好ましくは結合部材をたとえばスリーブの形態で取り囲むスペーサ部材を有することが提案される。
さらに、スペーサ部材の長さIは回転軸の方向で、回転軸に沿った両方の切断部材の幅寸法b,bの合計に少なくとも相当することが提案される。
さらに、コントロール装置は、切断部材を相互に定義された軸方向力Faxで回転軸に沿って付勢する弾性部材、たとえばばね部材、好ましくは波形ワッシャを有することが提案される。
さらに、弾性部材は、回転軸に沿って切断装置のハウジングにより、たとえばグリップ部材のグリップハウジングにより少なくとも間接的に支持され、および/またはスペーサ部材により少なくとも間接的に支持されるように配置されることが提案される。
さらに、弾性部材は摩擦力調整部材として各切断部材の間の摩擦力を調整するために意図されることが提案される。
さらに、弾性部材は、切断装置の作動時に切断部材の可塑変形を少なくとも部分領域で防止するため、ないしは切断装置の作動時に切断部材の開口を少なくとも部分領域で可能にするために、切断装置の過負荷防止部材として構成されることが提案される。
さらに、コントロール装置は少なくとも結合部材を切断部材に対して回転に関して連結解除し、たとえば回り止めをするように、回転に関して連結解除することが提案される。
さらに、結合部材は回り止めされて構成された受け部にねじ止め可能であり、および/または少なくともスペーサ部材と一体的に構成されることが提案される。
【0013】
さらに、園芸用ハサミの切断部材収容部と結合するための収容部を備えた切断刃を有する園芸用ハサミのための切断部材が提案され、切断部材は園芸用ハサミの切断部材収容部へ切断部材を挿入するための挿入補助部を有している。
さらに、挿入補助部は傾斜面および/または円形面として構成され、たとえば純粋にばり取りされたエッジに等しくないように構成された傾斜面および/または円形面として構成されることが提案される。
さらに、傾斜面は30°よりも小さい、たとえば15°よりも小さい、特別に好ましくは°よりも小さい角度を切断部材の切断面に対して有することが提案される。
さらに、挿入補助部は少なくとも実質的に、切断部材の先端と反対を向いているほうの切断部材の端部と、切断部材収容部で切断部材を固定するための切欠きとの間に延びていることが提案される。
さらに、挿入補助部は切断部材収容部に配置された弾性部材を少なくとも間接的に拡張させるために構成されることが提案される。
さらに、切断部材は園芸用ハサミのための交換用切断部材であることが提案される。
さらに、切断部材は園芸用ハサミのグリップ部材と結合可能である園芸用ハサミのレバーと回転不能に結合するための少なくとも1つの形状接合部材を有することが提案される。
さらに、このような種類の第1の切断部材と、このような種類の第2の切断部材とを有する切断装置、特別に好ましくはバッテリ駆動式の園芸用ハサミが提案される。
この切断装置は、第1の切断部材と第2の切断部材の相互の定義された圧着力Fanを惹起するコントロール装置を有することができ、挿入補助部は切断部材を取り換えるときにコントロール装置を拡張させるために少なくとも意図される。
さらに、切断装置は手動式の動作を可能にし、ならびに手動式・機械支援式の動作を可能にする。
【0014】
切断装置はハサミとして構成されるのが好ましく、園芸用ハサミとして構成されるのが特別に好ましい。互いに相対的に可動の2つの切れ刃が互いに旋回可能に支承されるのが好ましい。「園芸用切断装置」とは、ここでの関連においては、たとえば植物に対して使用するために意図される切断装置を意味するものとする。これはたとえば植物、垣根、灌木、枝、および/または当業者に有意義と思われるその他の対象物を切断するために意図される切断装置であると理解されるべきである。「切断部材」とは、ここでの関連においては、たとえば切断されるべき対象物と直接的に接触するために意図される切断装置の部材を意味するものとする。これは、切断されるべき対象物を直接的に分断するために意図される部材であると理解されるのが好ましい。このとき原則として、切断部材のうち少なくとも1つは受動的に構成されており、たとえばアンビルおよび/または受動的な切断エッジとして構成されることが考えられる。しかしながら、少なくとも1つの切断部材は能動的な切断のために意図される能動的な切断エッジ、たとえば刃を有するのが好ましい。さらにこの関連において「グリップ部材」とは、たとえばハンドグリップの少なくとも1つの部分を形成する部材を意味するものとする。これは、作動時に少なくとも部分的に操作者によって握られる部材であると理解されるのが好ましい。作動時には両方のグリップ部材が操作者によって、たとえば同一の手で握られるのが好ましい。「第1の切断部材に対して相対的な第2の切断部材の運動をサポートする」とは、ここでの関連においては、たとえば操作力と同じ向きの方向へ少なくとも部分的に作用する力が駆動ユニットによって生成されることを意味するものとする。これは、たとえば少なくとも1つの動作状態のときに、たとえば切断部材の閉止運動を互いに相対的に惹起する手動の力が、駆動ユニットにより追加的に生成される力によってサポートされることであると理解されるのが好ましい。
【0015】
「自動切換式のクラッチユニット」とは、ここでの関連においては、たとえば外部の、たとえば制御ユニットの、たとえば電気式の切換信号なしで操作されるクラッチユニットを意味するものとする。これは、たとえばそれぞれのクラッチ状態の間で切換をするために、明示的な切換信号なしに操作されるクラッチユニットであると理解されるのが好ましい。これは、たとえば機械的な影響要因に基づいて操作されるクラッチユニットであると理解されるのが好ましい。これは、たとえば駆動側および/または従動側の少なくとも1つのパラメータに依存して操作されるクラッチユニットであると理解されるのが特別に好ましい。したがってクラッチユニットは、たとえば回転数操作式、トルク操作式、方向操作式、および/または力の流れ操作式に構成されていてよい。さらにこの関連において「駆動ユニットの連結解除」とは、たとえば切断装置の閉止機構からの駆動ユニットの連結解除を意味するものとする。
【0016】
本発明に基づく切断装置の構成により、駆動ユニットの好ましい連結解除を実現することができる。それにより、たとえば好ましく軽い動作での切断装置の手動動作を可能にすることができる。さらに、電気的な切換信号なしで好ましく操作されるクラッチユニットを提供できるという利点がある。それにより、たとえばクラッチユニットを制御するための制御ユニットを省略することができる。それによって特に、特別に信頼度の高いクラッチユニットを提供することができる。たとえば、エネルギー供給に依存せずに操作可能なように構成されたクラッチユニットを提供することができる。
【0017】
「完全な手動動作」とは、ここでの関連においては、たとえば駆動ユニットのサポートなしで切断装置が作動する動作状態を意味するものとする。これは、操作者の能動的な力によってのみ切断装置が作動する動作状態であると理解されるのが好ましい。これは、駆動ユニットが連結解除されており、したがって第1の切断部材に対して相対的な第2の切断部材の運動のサポートのために利用することができない動作状態であると理解されるのが特別に好ましい。それにより、たとえば好ましく軽い動作での切断装置の手動動作を可能にすることができる。それにより、たとえばエネルギー供給がない場合および/または軽微な切断作業の場合に、たとえば切断装置を好ましくは駆動ユニットなしで利用できることを実現することができる。
【0018】
「フリーホイーリングクラッチ」とは、ここでの関連においては、たとえば方向操作式および/または力の流れ操作式に構成された自動切換式のクラッチを意味するものとする。フリーホイーリングクラッチは少なくとも方向操作式であるのが好ましい。そのためにフリーホイーリングクラッチは、たとえばクラッチユニットの駆動側および/または従動側の回転方向に依存して、および/またはフリーホイーリングクラッチに対する力作用の方向に依存して、開放および/または閉止をするために意図されるのが好ましい。力作用の方向では、たとえば力が駆動側からフリーホイーリングクラッチに作用するか、従動側から作用するかを区別することができる。フリーホイーリングクラッチは、駆動ユニットを少なくとも1つの動作状態のときにたとえば駆動側および/または従動側の回転方向に依存して、および/またはフリーホイーリングクラッチに対する力作用の方向に依存して、開放または閉止するために意図されるのが好ましい。それにより、たとえば特別に好ましい自動切換式のクラッチユニットを提供することができる。たとえば、それによって好ましく軽い動作での切断装置の手動動作を可能にすることができる。それにより、特別に信頼度の高いクラッチユニットを提供できるという利点がある。
【0019】
「クランプ体」とは、ここでの関連においては、たとえば少なくとも1つの動作状態のときに、たとえばクラッチユニットが閉じた状態のときに、クラッチユニットの互いに回転可能に支承された2つの回転部材の間でクランプするために意図されるクラッチユニットの部材を意味するものとする。クランプ体は、クランプされた状態のとき、一方の回転部材と回転方向で形状接合式に結合されるとともに、他方の回転部材と回転方向で外力接合式に、たとえば摩擦接合式に結合されるのが好ましい。これは、たとえばクラッチユニットの動作状態に依存してクラッチユニットの回転部材を互いに回転不能に結合したり、クラッチユニットの回転部材を互いに相対的な円周方向の運動に関して連結解除するために意図される部材であると理解されるのが好ましい。クランプ体は、クラッチユニットが閉じた状態にあるとき、それぞれの回転部材の間でクランプされるのが好ましい。クランプユニットの回転部材のうち少なくとも1つはランプ部を有するのが好ましく、該ランプ部によって、それぞれの回転部材の間の半径方向の間隔が変えられる。半径方向の間隔が小さい領域へとクランプ体が動くと、ランプ部のない回転部材の回転連行が摩擦によって行われる。半径方向の間隔が広い領域へとクランプ体が動くと、摩擦が十分ではないので、ランプ部のない回転部材の回転連行は行われない。当業者に有意義と思われるさまざまなクランプ体が考えられるが、クランプ体は少なくとも部分的に円筒形または少なくとも部分的に球形に構成されるのが好ましい。それにより、たとえば特別に好ましい自動切換式のクラッチユニットを提供することができる。たとえば、それによって好ましい、たとえば設計的に簡素なフリーホイーリングクラッチを提供することができる。それにより、特別に信頼度の高い自動切換式のクラッチユニットを提供することができるという利点がある。
【0020】
クラッチユニットは、同一の保持器に収容された複数のクランプ体を有しているのが好ましい。保持器は、互いに分離された収容領域でクランプ体を収容するのが好ましい。制動部材は少なくとも1つの動作状態のときに、保持器の慣性を高めるために意図されるのが好ましい。制動部材は、保持器の意図しない回転を防止するために意図されるのが好ましい。制動部材は、定義された力作用になるまで保持器の回転を阻止するために意図されるのが特別に好ましい。制動部材は弾性作用により支承されるのが好ましい。たとえば制動部材は定義された力によって保持器に対して押圧される。「保持器」とはここでの関連においては、たとえば少なくとも1つのクランプ体をたとえば円周方向で位置決めおよび/または案内するために意図されるクラッチユニットの部材を意味するものとする。保持器は、複数のクランプ体を円周方向に互いに間隔をおいて、たとえば円周にわたって均等に配分するために意図されるのが好ましい。保持器は、複数のクランプ体を円周方向で互いに相対的に案内するために意図されるのが特別に好ましい。それにより、たとえば好ましく定義されたクランプ体の運動を実現することができる。たとえば複数のクランプ体の場合、クランプ体が円周方向で同一の運動を行うことを実現することができる。クランプ体のコントロールされたクランプを可能にできるという利点がある。さらに制動部材により、少なくとも1つのクランプ体の意図しない運動を回避することができる。たとえばそのようにして、意図されないクランプを防止することができる。それによってさらに、クラッチユニットの形状接合式の回転部材に力作用があったときにだけクランプ体が回転することを実現することができる。たとえば制動部材により、クラッチユニットの開放を確実に実現することができる。制動部材を通じて、クラッチユニットの開放運動のときにクランプ体が静止したまま保たれ、それに伴ってクラッチユニットの開放を可能にすることを実現できるという利点がある。
【0021】
ロープは一方のグリップ部材に固定的に固定され、他方のグリップ部材ではロープウィンチを介して取り付けられるのが好ましい。ロープウィンチを通じて、たとえばロープの自由長を変更することができる。ロープウィンチは、クランプユニットを介して駆動ユニットにより駆動可能なように構成されるのが好ましい。ロープウィンチは少なくとも1つの動作状態のとき、クラッチユニットを介して駆動ユニットから分断可能なように構成されるのが好ましい。ロープウィンチは、クラッチユニットの従動側を形成するのが特別に好ましい。「ロープウィンチ」とは、ここでの関連においては、少なくとも1つの動作状態のときに駆動ユニットにより駆動可能なように構成されるたとえばロープドラム、たとえば円筒状のロープドラムを意味するものとする。それにより、駆動ユニットの好ましい力作用を実現することができる。たとえばそれによって設計的に簡素に、第1の切断部材に対して相対的な第2の切断部材の運動のサポートを可能にすることができる。そのようにして操作者は、閉止運動の際に駆動ユニットによりサポートを受けることができるという利点がある。さらに、グリップ部材における駆動ユニットの力作用によって、好ましく高いトルクを提供することができる。それにより、ひいては駆動ユニットの出力を低く抑えることができる。
【0022】
さらに、少なくとも1つのロープは、グリップ部材のグリップ領域と、各グリップ部材が互いに旋回可能に構成される回転ジョイントとの間の領域で、それぞれのグリップ部材の間に張り渡されることが提案される。ロープは回転ジョイントの近傍で、たとえば回転ジョイントに10cmよりも近く、好ましくは8cmよりも近く、それぞれのグリップ部材の間に張り渡されるのが好ましい。「グリップ領域」とは、ここでの関連においては、たとえばグリップ部材が操作者によって通常握られるグリップ部材の領域を意味するものとする。それにより、操作者がロープによって煩わされるのを防止できるという利点がある。さらに、ロープを好ましく短く施工することができる。それにより、ロープウィンチをたとえば小型に施工できるという利点がある。さらに、ロープウィンチの少ない回転数で、切断装置の高速の閉止を可能にすることができる。
【0023】
さらに、切断装置は、たとえば渦巻ばねとして構成され、少なくとも1つの動作状態のときロープに張力をかけるために意図される、ロープウィンチと結合された少なくとも1つのばね部材を有することが提案される。ばね部材は、ロープの張力を保証するために意図されるのが好ましい。ばね部材は、ロープウィンチを力で、たとえば円周方向の力で付勢するために意図されるのが好ましい。ばね部材は、ロープウィンチを介して引張力をロープに対して作用させるために意図されるのが特別に好ましい。たとえばばね部材を介して、ロープが張力をかけられたまま保たれるのがよい。ばね部材は、開放ばねのばね力よりも低いばね力を有するのが好ましい。ばね部材により、たとえば完全な手動動作のときでも、ロープの張力を保証することができる。そのようにして、意図しないロープの絡まりを防止できるという利点がある。さらに、ロープの巻取を駆動なしで保証することができる。
【0024】
「伝動装置ユニット」とは、ここでの関連においては、たとえば2よりも大きい、好ましくは10よりも大きい、特別に好ましくは50よりも大きい変速比を有する変速伝動装置ユニットを意味するものとする。それにより、好ましくコンパクトな設計形態を実現することができる。さらに、それによって特別に好ましい重量分布を実現することができる。たとえば伝動装置ユニットの重量を、操作者の手の領域に直接配置することができる。それにより、ひいては高い操作快適性を実現することができる。さらに、そのようにしてたとえば従来式の手動動作式の園芸用ハサミに少なくとも類似する使用感を実現することができる。
【0025】
力センサは第2のグリップ部材のグリップ領域と連結されるのが好ましい。グリップ領域は、第2のグリップ部材の本体に対して可動に支承されるのが特別に好ましい。力センサは、第2のグリップ部材に対して作用する力を、たとえば第1のグリップ部材に対して相対的にセンシングするために意図されるのが好ましい。力センサは、正確な力を検出するだけでなく、限界力の超過も検出するために意図されていてよいのが好ましい。
【0026】
さらに、切断装置を作動させる方法が提案される。定義された操作力を超過すると、駆動ユニットが切断装置の閉止機構に接続されることが提案される。それにより、好ましく快適な切断装置を提供することができる。さらに、たとえば重労働の切断作業のときにだけ駆動ユニットが接続されることを実現することができる。それによってエネルギー消費量を少なく抑えることができる。
【0027】
ここで「駆動方向」とは、たとえば駆動ユニットが通常動作のときにたとえば切断運動をサポートするために回転する、駆動ユニットの回転方向を意味するものとする。それにより、切断装置の迅速な開放を可能にできるという利点がある。たとえば、それによって好ましく直感的な操作を実現することができる。クラッチユニットの開放を確実に可能にすることができる。
【0028】
別案として、切断装置の最終位置に到達したときに駆動ユニットが自動的に不作動化され、駆動ユニットの回転運動が停止するとクラッチユニットが自動的に連結解除されることが提案される。それにより、切断装置の迅速な開放を可能にできるという利点がある。たとえば、それにより好ましく直感的な操作を実現することができる。
【0029】
バッテリ駆動式の手動工作機械のための、特にバッテリ駆動式の切断装置のための、ブロック装置が開示される。ブロック装置は、ブロック装置が手動工作機械の操作および/または工具運動をブロックする第1の位置にあるときに充電インターフェースをリリースし、ブロック装置が手動工作機械の操作および/または工具運動をリリースする第2の位置にあるときに充電インターフェースをブロックおよび/またはカバーすることが提案される。それにより、充電状態での手動工作機械の操作を防止することができるという利点がある。怪我の潜在的可能性が最低限に抑えられる。手動工作機械がいっそう安全になる。充電ケーブルの意図しない分断が回避される。充電ケーブルが意図せず分断されたときに生じる手動工作機械の操作者にとっての感電の危険性が最低限に抑えられる。手動工作機械のエレクトロニクスや制御部が防護される。手動工作機械の同時の作動と充電が防止されるからである。このように、しばしば小型化して設計されるエレクトロニクスが過熱することがあり得ない。手動工作機械の損傷が回避される。充電インターフェースが、手動工作機械の作動時に機械的な影響や作用、特に損傷から防護される。充電インターフェースの表面や内部の汚れや腐食が回避される。充電インターフェースの耐用寿命が長くなる。
【0030】
さらに、ブロック装置は機械式のブロック装置として構成されることが提案される。それにより、ブロック装置が高いロバスト性で施工されていてよいという利点がある。ブロック装置の各部材を簡素に、かつ低コストに製造することができる。ブロック装置は、操作力および搬送時に発生する負荷に確実に耐えることができ、損傷なしに耐えることができる。
【0031】
さらに、ブロック装置は、充電インターフェースをリリースまたはブロックおよび/またはカバーするスライドスイッチを有することが提案される。スライドスイッチは容易に操作できる利点がある。スライドスイッチは、手動工作機械のハウジングで良好に案内することができる。手動工作機械が2シェル構造のとき、スライドスイッチを容易に組み付けることができる。スライドスイッチは良好なグリップと操作ジオメトリーを可能にする。
【0032】
これに加えてブロック装置は、工具運動を、特に手動工作機械の2つの切断刃の相互の相対運動の形態の工具運動を、機械的にブロックまたはリリースするために意図される係止部材を有することが提案される。係止部材は、脱着可能な形状接合式の結合を提供するという利点がある。係止部材は低コストに製造することができる。係止部材は頑丈である。
【0033】
これに加えて、充電インターフェースは少なくともUSB充電インターフェースとして構成されることが提案される。したがって、たとえば移動無線機器などのために意図されるどのような充電機器によっても手動工作機械を充電できるという利点がある。充電インターフェースはコンパクトで実績があり、ITの分野で標準品として普及している。車両または少なくともそのシガーライタのUSB充電インターフェースを介しての充電も問題なく可能であり、それにより移動式の充電が可能となる。さらに、USBインターフェースを介して特に充電プロセス中に器具データを読み出し、ソフトウェアアップデートを実行し、または手動工作機械のエラー診断を行うことができる。
【0034】
さらに、ブロック装置は第2の位置にあるとき、汚れを充電インターフェースから遠ざけるために意図されることが提案される。さらに、ブロック装置は充電インターフェースを第2の位置で封止し、特に水密に封止することが提案される。それにより、手動工作機械の作動時に充電インターフェースが汚れや水分の侵入に対して防護されるという利点がある。特に、手動工作機械の電子コンポーネントへの汚れや水分の侵入が、そのようにして回避される。手動工作機械の不具合のない動作、または機能性の維持が確保される。
【0035】
さらに、バッテリ駆動式の手動工作機械は園芸用ハサミであり、好ましくは、純粋に手動式ならびに手動式・機械サポート式の動作を可能にする園芸用ハサミであることが提案される。園芸用ハサミの切断部材は、ブロックされていない状態のとき、操作者にとって怪我の危険となる。この危険は、電子機械式に作動可能なサポートによっていっそう高くなる。さらに、バッテリ駆動式の園芸用ハサミ、特に片手動作のために構成された園芸用ハサミは、できる限りコンパクトに構成されるのがよい。本発明に基づくブロック装置によって、充電インターフェースをコンパクトに、かつ汚れや水分に対して耐性をもつように構成することができる。充電インターフェースカバーの組み合わせにより、ならびに操作および/または工具運動のブロックにより、コンポーネントの個数を少なく抑えることができる。コンパクトで重量を削減した手動工作機械の構造が具体化される。
【0036】
さらに、切断部材は結合部材が貫通する貫通孔を回転軸方向に有することが開示される。切断部材の貫通孔の半径方向の面は、特にコントロール装置の、特に結合部材を半径方向で取り囲むスリーブの、対応する軸受面の上で回転可能に支承される、特にすべり支承される軸受面を形成する。「クランプ力」とは、特に、結合部材により生成される軸方向力、ないしは結合部材の初期応力を意味するものとする。結合部材は、特に、少なくとも1つのねじとねじ付きナットである。「圧着力」とは、特に、切断部材の軸方向の摺動面が少なくとも結合部材の領域で互いに押圧される力を意味するものとする。切断部材の圧着力に依存して、グリップ部材に対して印加される、切断部材を回転ないし旋回させるための操作力が大きくなくてはならず、もしくは小さくなくてはならない。
【0037】
コントロール装置により、従来技術に基づく切断装置の問題が克服されるという利点がある。圧着力ないし初期応力を事前調整することができる。操作者の力および/または結合部材の引締トルクに関わりなく、切断部材の圧着力は少なくともほぼ一定である。切断結果が向上する。切断部材の開口、特に可塑変形が防止され、切断装置の耐久性が向上する。
【0038】
さらに、コントロール装置は、好ましくは結合部材を特にスリーブの形態で取り囲むスペーサ部材を有することが提案される。スペーサ部材は結合部材と一体的に構成されていてよい。スペーサ部材が結合部材を形成することもできる。スペーサ部材は、結合部材の2つのクランプ力伝達部材の間隔を、特に最低間隔を、回転軸の方向で規定する。クランプ力伝達部材は、初期応力を少なくとも部分的にスペーサ部材へ、および/または少なくとも間接的に切断部材の軸方向面へと伝達する、特にねじのねじ頭とねじ付きナットである。このことは、少なくとも結合部材の領域で、好ましくは切断刃の結合領域ないし摺動領域で、回転軸の方向での両方の切断部材の最低間隔を実現する役目を果たす。スペーサ部材は切断部材を半径方向でも結合部材から間隔をおかせることができる。それにより、切断部材と結合部材またはコントロール装置の結合断面積が増える。このことは、ひいては切断装置のいっそう高い耐久能力を可能にする。特に力サポート動作中にいっそう高い力を伝達するための園芸用ハサミの適性を具体化することができる。
【0039】
さらに、スペーサ部材の長さは回転軸の方向で、回転軸に沿った両方の切断部材の幅寸法の合計に少なくとも相当し、特に、切断部材の切欠きの領域における両方の切断部材の幅寸法の合計に少なくとも相当することが提案される。それにより、結合部材のクランプ力および/または結合ねじの締付トルクのクランプ力に関わりなく、少なくとも最小のクリアランスをそれぞれの切断部材の間で保証することができるので、切断装置の操作可能性が保証される。
【0040】
これに加えて、コントロール装置は、切断部材を回転軸に沿って定義された軸方向力ないしクランプ力で相互に付勢する弾性部材、特にばね部材を有することが提案される。弾性部材は少なくとも、切断部材のうちの1つを軸方向でスペーサ部材に対して少なくとも間接的に支持するように配置されるのが好ましい。弾性部材は摩擦力調整部材として、それぞれの切断部材の間の摩擦力を調整するために意図されていてよい。
それにより、切断装置を閉止するための基本操作力を一定に規定することができるという利点がある。許容範囲内での切断刃の製造幅に関わりなく、切断部材の相互の圧着力が常にほぼ一定となる。それにより、切断部材の交換をねじのクランプ力の再調節なしに具体化することができる。切断部材のサイズが異なる場合、使用する切断刃に依存して、異なるばね剛性を有する異なる弾性部材を適用することができ、結合部材を変更する必要がない。
【0041】
弾性部材は、回転軸に沿って少なくとも間接的に切断装置のハウジングにより、特にグリップハウジングにより、および/または少なくとも間接的にスペーサ部材により支持されるように配置されることが提案される。ハウジングへの支持により、結合部材を、特に結合・スペーサ部材を、たとえば切断部材の交換のために取り外すことができ、その間に、弾性部材が引き続き切断装置に固定されて収容されるという利点がある。さらに、取り外されるべき、ないしは交換可能な切断部材が、適用される結合部材なしでも切断装置から少なくとも抜け落ちないように固定される。したがって、特に切断部材を交換するときの切断装置の操作快適性を簡素化することができる。受け部、特に結合部材のねじ付きナットは、同じく切断装置のハウジングに、特にグリップハウジングに、特に六角形の形状接合部材によって固定的に回り止めされて収容される。それにより、たとえば切断部材の交換のために結合部材を取り外すときの操作快適性をいっそう高めることができる。
【0042】
さらに、弾性部材は摩擦力調整部材として、それぞれの切断部材の間の摩擦力を調整するために意図されることが提案される。たとえば、たとえば切断されるべき異なる材料、異なる切断部材、および/または異なる切断目的を簡単な仕方で1つの切断装置によってカバーできるようにするために、開口サイズを調整可能に規定することができる。
【0043】
さらに、弾性部材は、切断装置の作動時の切断部材の可塑変形を少なくとも部分領域で防止するために、ないしは、切断装置の作動時の切断部材の開口を少なくとも部分領域で可能にするために、切断装置の過負荷防護部材として構成されることが提案される。弾性部材によっていわば閾値が調整され、これを超えると切断部材が弾性的に開口することが許容される。そのようにして、たとえば太すぎる枝や硬すぎる材料を切断しようと試みることによって切断装置に過負荷が生じたときでさえ、切断装置の損傷が生じることがない。したがって、何らかの基準を超過したときに弾性挙動と希望される開口が切断装置を保護し、同じくその耐久期間を長くする。
【0044】
これに加えて、コントロール装置は結合部材を切断部材に対して回転に関して連結解除し、特に回り止めをするように回転に関して連結解除することが提案される。このように、切断部材の動作上の回転ないし旋回が、結合部材の緩みないし回転につながらないという利点がある。そのためにコントロール装置および/または結合部材は、回転軸を中心とするコントロール装置および/または結合部材の回転に関する固定のために、少なくとも1つの係止部材を保証することができる。たとえばワッシャに配置される係止部材を利用することができ、これが回り止め部材としてグリップハウジングまたは取付部品にある係止切欠きと協同作用する。さらに結合部材および/またはスペーサ部材、または特に弾性部材を固定するリングが、回り止めとしてグリップハウジングに支承されていてよい。
【0045】
さらに、結合部材は定置に構成された切断部材にねじ止め可能であり、および/または特に少なくともスペーサ部材と一体的に構成されることが提案される。
【0046】
さらに、切断装置は、手動式ならびに手動式・機械サポート式の動作を可能にする特に園芸用ハサミ、特別に好ましくはバッテリ駆動式の園芸用ハサミであることが提案される。
【0047】
切断部材は、園芸用ハサミの切断部材収容部へ切断部材を挿入するための挿入補助部を有することが提案される。園芸用ハサミの切断部材収容部と結合をするための収容部は、穴ないし切欠きとして製作されるのが好ましい。切欠きにより、特にねじおよび/またはスリーブの形態の結合部材を、園芸用ハサミの切断部材収容部で固定をするために差し込むことができる。結合部材は切断部材のための回転軸受としての役目を果たし、これとともに回転ジョイントを形成する。挿入補助部により、切断部材の交換を簡素化できるという利点がある。
さらに、挿入補助部は、純粋にばり取りされたエッジおよび/または円形面には等しくないように構成された傾斜面および/または円形面として構成されることが提案される。純粋にばり取りされたエッジとは、切断部材に触れたりつかんだりしたときの怪我を回避するために、たとえば破断されたエッジ、特に45°の角度で破断されたエッジを意味するものとする。純粋にばり取りされたエッジは、丸みづけされたエッジであってもよい。破断されたエッジの辺の長さは実質的に等しい長さである。それに対して本発明に基づく傾斜面は、面取りされたエッジの脚部の長さに関して、特に少なくとも1:3の比率で明らかな相違を有する。傾斜面により、挿入補助部の領域で切断部材が楔形に構成される。傾斜面は、切断部材の挿入ないし交換のときに切断部材収容部を、特にばねで初期応力をかけられた切断部材収容部を、拡張する役目を果たすという利点がある。
【0048】
さらに、傾斜面は30°よりも小さい、特に15°よりも小さい、特別に好ましくは5°よりも小さい角度を切断部材の切断面に対して有することが提案される。それにより、切断部材を挿入するときに、園芸用ハサミの切断部材収容部の高いばね力を克服することができるという利点がある。切断部材の厚みは、収容部と切断部材の端部との間で低減しており、特に3.5mmから2.7mmまで低減する。
【0049】
さらに、挿入補助部は少なくとも実質的に、切断部材の先端と反対を向いているほうの切断部材の端部と、切断部材収容部で切断部材を固定するための切欠きとの間に延びていることが提案される。「実質的に」とは、ここでの関連においては50%よりも大きい、特に75%よりも大きい、特別に好ましくは85%よりも大きい領域を意味するものとする。それにより、一方では園芸用ハサミの切断部材収容部の容易な拡張を実現できるという利点がある。さらに、この領域が切欠きの周囲で脆弱にならない。さらに、少なくとも軸方向で回転軸に沿って園芸用ハサミの他方の切断部材に支持される、特に切断装置のレバーに追加的に支持される、切断平面と平行な十分な当接面が得られるままに保たれる。
【0050】
さらに、挿入補助部は園芸用ハサミに配置された弾性部材を少なくとも間接的に拡張するために構成されることが提案される。挿入補助部により、園芸用ハサミへ切断部材を挿入するときに弾性部材を他の補助手段なしに、操作者の手の力だけで拡張できるという利点がある。弾性部材により、ひいては別の利点も実現することができ、たとえば園芸用ハサミの過負荷防護、切断部材を交換するときの園芸用ハサミからの切断部材の意図しない脱落を防ぐ切断部材の固定などが実現される。
【0051】
これに加えて、切断部材は園芸用ハサミのための交換切断部材であることが提案される。刃が摩減したときに切断部材を交換できるという利点があり、または、たとえば異なる材料を切断するために異なる切断刃を使用し、簡単な仕方により交換することができる。
【0052】
さらに、切断部材は園芸用ハサミのグリップ部材と結合可能である園芸用ハサミのレバーと回転不能に結合するための少なくとも1つの形状接合部材を有することが提案され、レバーと切断部材は、切断部材の切断面に対して横向きに同軸の切欠きを有しており、該切欠きを介してこれらを園芸用ハサミの回転ジョイントで旋回可能に配置可能である。このようにして、園芸用ハサミの駆動力サポート式の動作を具体化できるという利点がある。さらに、レバーの配置によって指の挟み込み防護を具体化することができる。良好な力伝達、ならびに切断部材の交換可能性がそれによって改善される。
【0053】
さらに、本発明に基づく切断部材を有する切断装置、特別に好ましくはバッテリ駆動式の園芸用ハサミが提案される。
さらに、切断部材および他の切断部材の相互の定義された圧着力を惹起するコントロール装置を有する切断装置が提案され、挿入補助部は切断部材を交換するときにコントロール装置を拡張させるために意図される。コントロール装置は弾性部材を含んでいるのが好ましい。それにより、過負荷防護、定義された開口、簡素化された切断部材交換などを実現できるという利点がある。
【0054】
さらに、手動式ならびに手動式・機械サポート式の動作を可能にする切断装置が提案される。
【0055】
その他の利点は以下の図面の説明から明らかとなる。図面には、本発明の一実施例が示されている。図面、発明の詳細な説明、および特許請求の範囲は数多くの構成要件を組み合わせの形で含んでいる。当業者はこれらの構成要件を目的に即して個別に考察し、有意義な別の組み合わせをなすようにまとめることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】2つの切断部材と2つのグリップ部材とを有する本発明による切断装置を閉じた状態で示す図である。
図2】開いた状態の切断装置であり、力サポート動作が不作動化されており、ならびに切断装置の力センサの拡大図である。
図3図2に示す切断装置であるが、力サポート動作が作動化されている。
図4】切断装置の伝動装置ユニット、クラッチユニット、復帰ユニット、およびロープウィンチを模式的な断面図で示す詳細部Iである。
図5】切断装置のクラッチユニットと復帰ユニットを模式的な断面図で示す詳細部IIである。
図6】切断装置のクラッチユニットを連結状態ないしサポート動作で模式的な断面図として示すIV-IV断面図である。
図7】切断装置のクラッチユニットを連結解除状態で模式的な断面図として示すIV-IV断面図である。
図8】切断装置のクラッチユニットを模式的な断面図として示すV-V断面図である。
図9】切断装置の復帰ユニットを模式的な断面図として示すVI-VI断面図である。
図10】切断装置を作動させる方法を示すフローチャートである。
図11】ブロック装置を第1の状態で断面図として示す詳細部III、ならびにブロック装置の部分図である。
図12】ブロック装置を第2の状態で断面図として示す詳細部III’、ならびにブロック装置の部分図である。
図13】切断装置の切断部材収容部を切断面III’-III’の断面図として示す図である。
図14】切断装置の切断部材を示す平面図と側面図である。
図15】力伝達部材と結合された切断部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、本発明による切断装置10を示している。切断装置10は園芸用切断装置として構成されている。切断装置10は園芸用ハサミとして構成されている。切断装置はバッテリ駆動式の切断装置10として構成されている。しかしながら原則として、たとえばカーペット用やブリキ用のハサミなどとしての、切断装置10のこれ以外の構成も考えられる。
【0058】
切断装置10は、互いに相対的に可動の2つの切断部材12,14を有している(図2、3)。切断部材12,14は互いに相対的に旋回可能である。ここでは第1の切断部材12は切断エッジを有する受動的な切れ刃として構成される。第2の切断部材14は、刃を有する能動的な切れ刃として構成される。さらに切断装置10は、互いに相対的に可動の2つのグリップ部材16,18を有している。グリップ部材16,18は互いに相対的に旋回可能ないし回動可能である。グリップ部材16,18は、少なくとも1つの回転ジョイント42を介して、互いに旋回可能なように構成されている。切断部材12,14も同じく回転ジョイント42を介して、互いに旋回可能なように構成されている。回転ジョイント42は、グリップ部材16,18と切断部材12,14の間に配置されている。第1のグリップ部材16と第1の切断部材12が互いに結合されて、回転ジョイント42のそれぞれ異なる側に配置される。さらに、第2のグリップ部材18と第2の切断部材14が少なくとも間接的に互いに結合されて、回転ジョイント42のそれぞれ異なる側に配置される。ここではレバー80の形態の力伝達部材800が、第2の切断部材14を第2のグリップ部材18と結合する。グリップ部材16,18は、操作者によって握られるために意図される。グリップ部材16,18は、操作者により同一の手で握られるために意図される。しかしながら原則として、切断装置10が両手での操作のために意図されることも考えられる。その場合、グリップ部材16,18に印加される力に対して、特に操作力Fuserに対して、切断力Fcutを相対的に少なくとも部分的に変更するために、たとえば別のレバー部材および/または変速部材が設けられていてよい。
【0059】
さらに、グリップ部材16,18の間には開放ばね50が配置されている。開放ばね50は、グリップ部材16,18の長手方向に関して、グリップ部材16,18の自由端よりも回転ジョイント42の近くに配置されている。開放ばね50は圧縮ばねとして構成されている。開放ばね50の端部は、第1および第2のグリップ部材16,18に支持される。開放ばね50は、グリップ部材16,18を互いに離れるように押圧し、それによって切断装置10を開くために意図される。さらに開放ばね50は、あとで詳しく説明するように、ここではロープ34の形態の、駆動ユニット20と作用接続された駆動力伝達部材340を、これにより形成される中空スペースの中で収容および/または案内するために意図される。
【0060】
さらに、開放ばね50と回転ジョイント42の間には防護装置300が配置されている。防護装置300は、両方のグリップ部材16,18の間に延びている。防護装置300は第2のグリップ部材18と固定的に結合されるのが好ましい。さらに防護装置300は、第1のグリップ部材16に可動に収容される。防護装置はたとえば入れ子状の装置として、または固定的な装置として構成されていてよい。防護装置300は、たとえば第1から第2のグリップ部材16,18の中へと案内される、切断装置10の少なくとも1つのケーブル(図示せず)を外部の影響から防護し、および/または第1および第2のグリップ部材16,18の間で確実に収容するために意図される。ケーブルは、たとえばエネルギー蓄積ユニット54および制御ユニット52および/または駆動ユニット20の電気接続のためのケーブルであり、あるいはセンサ401から制御ユニット52へと案内されるセンサケーブルである。しかしながら防護装置300は、回転ジョイント42と開放ばね50の間の自由な中間スペース301をも狭め、ないしはこれを少なくとも部分的に充填し、それにより、たとえば操作者が誤って自分の指をこの中間スペースで挟まれることを起こりにくくし、あるいは、たとえば小枝や大枝のような切断物がこの中間スペースに引っかかるのを起こりにくくする。その意味で、防護装置300は中間スペース301の遮蔽装置でもある。このとき回転ジョイント42と開放ばね50の間の中間スペース301は、特に操作者の指や皮膚のような物体17の挟み込みにとって特別に危険であるが、それは、この領域で作用する力が、回転ジョイント42を中心とするグリップ部材16,18のレバー比率ないしレバー長さに基づいて高いからである。したがって防護装置300により、グリップ部材16,18の間での電子コンポーネントの防護された安全な案内を保証することができる。さらに、防護装置300は怪我の回避のために役目を果たす。
【0061】
さらに、切断装置10は駆動ユニット20を有している。駆動ユニット20は電動モータとして構成されている。電動モータは110Vより小さい電圧、特に1Vから36Vの電圧、好ましくは3.6Vで供給を受けるために意図される。駆動ユニット20は、第1のグリップ部材16に配置されている。駆動ユニット20はグリップ部材16のグリップハウジング44に配置されている。駆動ユニット20は、切断部材12,14と反対を向いているほうの第1のグリップ部材16の端部に配置されている。グリップハウジング44は2つのハウジングシェルを有していて、その中に駆動ユニット20が固定的に収容される。駆動ユニット20は少なくとも1つの動作状態のとき、第1の切断部材12に対して相対的な第2の切断部材14の運動をサポートするために意図される。駆動ユニット20は、グリップ部材16,18を介して行われる切断装置10の閉止運動を、切断作業が困難な場合にサポートするために意図される。それにより、切断装置10を操作するために操作者に必要とされる力Fuserを低減することができる。
【0062】
さらに、切断装置10は伝動装置ユニット38を有している。伝動装置ユニット38は第1のグリップ部材16に配置されている。伝動装置ユニット38はグリップ部材16のグリップハウジング44に配置されている。伝動装置ユニット38は、切断部材12,14のほうを向いている駆動ユニット20の側に配置されている。伝動装置ユニット38は、本例では、駆動ユニット20によって直接駆動される。駆動ユニット20から伝動装置ユニット38への力伝達は、動ユニット20の従動軸21を介して、伝動装置ユニット38のピニオン82へと行われる。伝動装置ユニット38は歯車伝動装置ユニットとして構成されている。伝動装置ユニット38は少なくとも1つのギヤ段を有する。伝動装置ユニット38は複数のギヤ段を有するのが好ましい。伝動装置ユニット38は特に最大で6つのギヤ段、好ましくは4つのギヤ段を有する。少なくとも1つのギヤ段はプラネタリギヤ段381,382,383,384として構成される。伝動装置ユニット38はプラネタリギヤ装置ユニットとして構成される(図4)。伝動装置ユニット38の伝達比は30:1から300:1、特に100:1から150:1、特に130:1の比率を有するのが好ましい。しかしながら、原則としてこれ以外の伝達比も考えられる。伝動装置ユニット38は、伝動装置ユニット38のハウジング74を介して、グリップ部材16に支承されている。伝動装置ユニット38のハウジング74は、少なくとも1つのプラネタリギヤ段381,382,383,384の少なくとも1つのリングギヤ385により形成される。伝動装置ユニット38のハウジング74は、プラネタリギヤ段381,382,383,384の直列に配置された個々のリングギヤから形成されていてもよい。少なくとも1つのプラネタリギヤ段381,382,383,384の内部での力伝達は、駆動されるサンギヤ386から、定置のリングギヤ381に支持されるそれぞれのプラネタリギヤ段の遊星歯車387を介して、遊星歯車387とともに周回するプラネタリキャリヤ388へとそれぞれ行われる。さらにプラネタリキャリヤ388が、次のギヤ段382,383,384のサンギヤを駆動する。最後のギヤ段384のプラネタリキャリヤ389が、伝動装置ユニット38の従動部を形成する。
【0063】
さらに、切断装置10はクラッチユニット22(図4および5)を有している。クラッチユニット22は自動切換式のクラッチユニット22として構成される。「自動切換式のクラッチユニット」とは、ここでの関連においては、外部の、特に制御ユニット52の、たとえば電気式の切換信号なしで操作されるクラッチユニット22を意味するものとする。これは、それぞれのクラッチ状態の間で切換をするために、明示的な切換信号なしに操作されるクラッチユニット22であると理解されるのが好ましい。これは、機械的な影響要因に基づいて操作されるクラッチユニット22であると理解されるのが好ましい。これは、駆動側および/または従動側の少なくとも1つのパラメータに依存して操作されるクラッチユニット22であると理解されるのが好ましい。したがってクラッチユニット22は、特に回転数操作式、トルク操作式、方向操作式、および/または力の流れ操作式に構成されていてよい。自動切換式のクラッチユニット22はフリーホイーリングクラッチとして構成されている。「フリーホイーリングクラッチ」とは、ここでの関連においては、特に方向操作式および/または力の流れ操作式に構成された自動切換式のクラッチを意味するものとする。フリーホイーリングクラッチは少なくとも方向操作式であるのが好ましい。そのためにフリーホイーリングクラッチは、特にクラッチユニット22の駆動側および/または従動側の回転方向に依存して、および/またはフリーホイーリングクラッチに対する力作用の方向に依存して、開放および/または閉止をするために意図されるのが好ましい。力作用の方向では、たとえば力が駆動側からフリーホイーリングクラッチに作用するか、従動側から作用するかを区別することができる。フリーホイーリングクラッチは、駆動ユニット20を少なくとも1つの動作状態のときに特に駆動側および/または従動側の回転方向に依存して、および/またはフリーホイーリングクラッチに対する力作用の方向に依存して、開放または閉止するために意図されるのが好ましい。クラッチユニット22は第1のグリップ部材16に配置されている。クラッチユニット22は第1のグリップ部材16のグリップハウジング44に配置されている。クラッチユニット22は、駆動ユニット20が不作動化している少なくとも1つの動作状態のとき、駆動ユニット20を連結解除するために意図される。特に、切断装置10の最終位置に達したとき、および/またはグリップ部材16,18に及ぼされる操作力Fuserが低下したとき、駆動ユニット20が自動的に不作動化され、クラッチユニット22は駆動ユニット20の回転運動がフェードアウトすると自動的に連結解除される。「駆動ユニットの連結解除」とは、特に、切断装置10の閉止機構からの駆動ユニット20の連結解除を意味するものとする。クラッチユニット22は、駆動ユニット20が不作動化している少なくとも1つの動作状態のとき、伝動装置ユニット38を連結解除するためにも意図される。クラッチユニット22は、少なくとも完全な手動動作を具体化するために、駆動ユニット20および/または伝動装置ユニット38を連結解除するために意図される。「完全な手動動作」とは、ここでの関連においては、特に駆動ユニット20のサポートなしで切断装置10が作動する動作状態を意味するものとする。これは、操作者の能動的な力Fuserによってのみ切断装置10が作動する動作状態であると理解されるのが好ましい。これは、駆動ユニット20が連結解除されており、したがって第1の切断部材12に対して相対的な第2の切断部材14の運動のサポートのために利用することができない動作状態であると理解されるのが特別に好ましい。それにより、特に、好ましく軽い動作での切断装置の手動動作を可能にすることができる。それにより、特に、たとえばエネルギー供給がない場合および/または軽微な切断作業の場合に、切断装置10を好ましくは駆動ユニット20なしでも利用できることを実現することができる。クラッチユニット22は、2つの切断部材12,14ないし2つのグリップ部材16,18の開放運動ないし拡張運動を加速させるために意図されるのが好ましい。クラッチユニット22は、切断装置10が開放ないし拡張されるときに、あとでさらに説明するとおり、ここではロープ34の形態の駆動力伝達部材340の、ロープウィンチ32ないしロープウィンチ32のロープドラム320からの加速された巻取りおよび/または巻出しを可能にする。それにより、切断装置の操作速度ないし加工速度を向上させることができ、操作快適性を高めることができる。単位時間あたりに可能な切断の回数を増やすことができる。少なくとも駆動ユニット20が第1の切断部材12に対して相対的な第2の切断部材14の運動をサポートする、切断装置10の先行する閉止プロセスの後に、クラッチユニット22は、駆動ユニット20を連結解除して、モータでの力サポートを伴う閉止運動があらためて行われるときに再び連結するために意図される。
【0064】
クラッチユニット22は、内側の回転部材46と外側の回転部材48とを有している。内側の回転部材46は少なくとも1つの状態のとき、外側の回転部材48に対して相対的に回転可能である。外側の回転部材48は、伝動装置ユニット38の従動部と結合されるのが好ましい。クラッチユニット22の一部は、伝動装置ユニット38の特に最後のギヤ段384の一部を形成するのが好ましい。外側の回転部材48は、伝動装置ユニット38の一部と、特に最後のギヤ段384のプラネタリキャリヤ389および/または伝動装置ユニット38の従動部と、一体的に構成されるのが好ましい。内側の回転部材46と外側の回転部材48は、特に同軸の結合部材47によって相互に固定される。結合部材47は、結合ピンとして構成されている。結合部材47は、内側および外側の回転部材46,48を少なくとも軸方向および/または半径方向で相互に固定する。結合部材47は固定的に、特に摩擦接合式に、外側の回転部材48と、および少なくとも回転遊びを伴って内側の回転部材46と結合されるのが好ましい。結合シャフト47は、内側の回転部材46にすべり支承されて収容されている。結合シャフト47は、外側の回転部材48に対して内側の回転部材46を軸方向で固定するために肩部471をさらに有している。肩部471は、内側の回転部材46の特にリム状の面に支持される。
【0065】
さらにクラッチユニット22は、複数のクランプ体24を有している(図6および7)。「クランプ体」とは、ここでの関連においては、特に少なくとも1つの動作状態のときに、特にクラッチユニット22が閉じた状態のときに、クラッチユニット22の互いに回転可能に支承された2つの回転部材の間でクランプするために意図されるクラッチユニット22の部材を意味するものとする。クランプ体24は、内側の回転部材46と外側の回転部材48の間に配置される。クランプ体24は円周方向で相前後するように内側の回転部材46の周りに配置される。クランプ体24は円柱および/またはロールとして、特に円柱ロールとして構成される。しかしながら原則として、たとえば球や樽型など、クランプ体24のこれ以外の構成も考えられる。外側の回転部材48はその内面に、円周方向に連続する複数のランプ部49を有している。このときランプ部49の個数は、クランプ体24の個数に相当する。クランプ体24はそれぞれのランプ部49の間で可動に配置されていて、外側の回転部材48が回転するとクランプ体24の連行が行われる。外側の回転部材48が円周方向でランプ部勾配と反対に駆動されると、クランプ体24はより狭く終わっているほうの領域へと外側の回転部材48と内側の回転部材46との間で転がり、内側の回転部材46に向かって押圧される。このことは、外側の回転部材48が駆動されるときには駆動方向41に行われる。ここで「駆動方向」とは、特に、駆動ユニット20が通常動作のときに、特に切断運動をサポートするために回転する駆動ユニット20の回転方向を意味するものとする。内側の回転部材46の回転連行が行われる。クラッチユニット22はこの状態のとき閉じており、その様子は図6に示されている。それに対して内側の回転部材46が駆動されると、回転方向に関わりなく、クランプ体24はランプ部49の谷部にとどまるか、もしくはその中に転がって戻り、外側の回転部材48に対して間隔をおく。クランプ体24はそれぞれの回転部材46,48の間で自由に配置されている。回転連行は行われない。クラッチユニット22はこの状態のとき開いており、その様子は図7に示されている。外側の回転部材46は伝動装置ユニット38を介して駆動ユニット20により駆動される。伝動装置ユニット38と駆動ユニット20は、クラッチユニット22の駆動側を形成する。内側の回転部材46が駆動方向41と反対向きに駆動されると、クランプ体24がランプ部49の谷部の中へと動き、同じくそれぞれの回転部材46,48の間で自由に配置される。自動切換式のクラッチユニット22は空間的に切断部材12,14と駆動ユニット20との間に配置されている。自動切換式のクラッチユニット22は空間的にロープウィンチ32と伝動装置ユニット38との間に配置されている。少なくともロープウィンチ32ないしロープウィンチ32の従動部材が、クラッチユニット22の従動部を形成する。
【0066】
自動切換式のクラッチユニット22は、クランプ体24を収容する保持器26を有している(図6、7)。保持器26はクランプ体24を互いに分離された収容領域で収容する。保持器26は、クランプ体24を円周方向で位置決めして案内する役目を果たす。保持器26は、クランプ体24を円周方向で互いに間隔をおいて均等に配分するために意図される。特に複数のクランプ体24がある場合、クランプ体24が円周方向で同一の運動を行うことを実現することができる。クランプ体24のコントロールされたクランプを可能にできるという利点がある。保持器26は部分的に環状に構成されている。保持器26は部分的に円筒状に構成されている。保持器26の円筒状の本体の上に、軸方向に突出する複数の円弧状のウェブが装着されていて、これらが円周方向でそれぞれのクランプ体24の間に延びている。保持器26はクラッチユニット22の内側の回転部材46に支承されている。
【0067】
さらにクラッチユニット22は、保持器26を減速させるために意図される制動部材28を有している(図8)。制動部材28はばね部材として構成される。制動部材28は一種の渦巻ばねとして構成される。制動部材28は輪ばねとして構成される。制動部材28は一方の端部が保持器26の切欠き29に固定的に配置されている。制動部材28は少なくとも部分的に円周方向で保持器26を中心として螺旋状に延びている。制動部材28は保持器26に巻き付けられる。制動部材28の外側の面は、少なくとも部分的に、制動部材28ないし保持器26を半径方向に取り囲む止め部材27に支持される。止め部材27は固定リングまたは止めリングとして構成される。止め部材27はクラッチユニット22に定置に配置される。止め部材27は固定的に、特に少なくとも回転固定的に、好ましくは摩擦接合式に、クラッチユニット22のハウジング23と結合される。より良い力伝達のために、ハウジング23の内面は、止め部材27を配置するために意図される領域の領域で構造化されており、特に溝付けされている。制動部材28は1つの回転方向で、特に駆動回転方向で、定置のグリップハウジング44に対して相対的に保持器26の回転を可能にするとともに、これと反対向きの回転方向では保持器26の回転を阻止する。制動部材28は、クラッチユニット22のハウジング23に対して、ないし止め部材27に対して相対的に保持器26の回転を1つの方向で可能にするとともに、これと反対向きの回転方向では保持器26の回転を阻止する。制動部材28の少なくとも1つの部分は、特に外側の面の大部分が、ばね力によって半径方向外側に向かって止め部材27に対して押圧をする。制動部材28は、保持器26のフリーホイーリングを可能にするために構成されている。制動部材28は、保持器26を反駆動方向410で減速させ、ないしは回転を阻止し、もしくは保持器を固定し、駆動方向41では外側の支持面ないし止め部材27に対して相対的な保持器26の回転を可能にし、特に低摩擦で可能にするために構成されている。このような形式のオーバーランニングクラッチは、駆動方向41で保持器26が回転するとその自由端を共にけん引し、その際に止め部材27の内面の上で摺動する。それに対して反駆動方向410に回転すると、この種のオーバーランニングクラッチは拡張し、止め部材27に対して相対的に保持器26を少なくとも制動し、ないしはブロックする。制動部材28は、保持器26の意図しない回転を防止するために意図される。制動部材28は、力作用があるまで、特に駆動ユニット20による力作用があるまで、保持器26の回転を妨げるために意図される。制動部材28はラチェット部材や、フリーホイーリングを生起するその他の部材などとして構成されていてもよい。
【0068】
さらに内側の回転部材46は、少なくとも1つの、特に2つの形状接合部材460,460’を有している。形状接合部材はフランジとして構成され、あるいはその他の形状を有することもできる。保持器26は同じく形状接合部材260を有している。回転体370は形状接合部材370を有している。止め部材27は少なくとも1つの形状接合部材270を有している。少なくとも形状接合部材260,270,370,460,460’を介して、ならびに、それに伴う回転体37と内側の回転部材46との間の摩擦接合式の結合を介して、クラッチユニット22と復帰ユニット31の各部材が互いに固定されて結合される。すなわち、これらの部材の相互の軸方向の固定が保証される。あるいは軸方向の固定は、これ以外の仕方で行うこともできる。追加の支承、たとえばすべり軸受や転がり軸受を省略できるという利点がある。さらに、結合部材47を介して外側の回転部材48も内側の回転部材46に対して軸方向で固定され、そのようにして、止め部材27を介して軸方向でクラッチユニット22に対して位置決めされる。
【0069】
さらに切断装置10は復帰ユニット31を有している(図9)。復帰ユニット31は第1のグリップ部材16に配置されている。復帰ユニット31はグリップ部材16のグリップハウジング44の表面に、好ましくはその内部に配置される。復帰ユニット31はクラッチユニット22に配置される。復帰ユニット31は、ロープの張力を保証するために意図されるのが好ましい。復帰ユニット31は、ロープウィンチ32を力により、特に円周方向の力により、付勢するために意図されるのが好ましい。復帰ユニット31は、ロープウィンチ32を介してロープ34に対する引張力を惹起するために意図されるのが特別に好ましい。特に復帰ユニット31を介して、ロープ34が恒常的に張力をかけられるように保持されるのがよい。復帰ユニット31は、開放ばね50(図3)の開放力FOSよりも低い復帰力FVSを惹起するのが好ましい。復帰ユニット31により、特に完全な手動動作のときでも、ロープ34の張力を保証することができる。そのようにして、ロープ34の意図しない絡まりを防止できるという利点がある。さらに駆動力なしに、ロープ34の巻取りを保証することができる。復帰ユニット31は、ばね部材36と、回転体37とを有している。ばね部材36の一端がクラッチユニット22のハウジング23と固定的に結合される。ばね部材36の他方の端部は、回転体37と固定的に結合されている。ばね部材36は半径方向で、クラッチユニット22のハウジング23と回転体37との間に配置される。ばね部材36は回転体37を半径方向で包囲する。ばね部材36は回転体37に複数回巻き付けられている。復帰ユニット31は特に回転体37を介して少なくとも間接的にロープウィンチ32と結合される。回転体37はばね部材36を介して、グリップハウジング44ないしクラッチユニット22のハウジング23に対して相対的に、限定的に回転可能なように固定されている。回転体37はシャフト35を介してロープウィンチ32と結合されている。さらに回転体37は、シャフト35を介して、クラッチユニット22の内側の回転部材46と回転不能に結合されるのが好ましい。回転体37は、少なくとも1つの半径方向および/または軸方向の形状接合部材を介して、内側の回転部材46と結合されていてよい。回転体37は同軸の切欠きを有している。この切欠きは多角形に構成される。切欠きの内側輪郭は、シャフト35の外側輪郭に対応するように構成されている。ばね部材36は、シャフト35を駆動方向41の力で付勢するために意図される。ばね部材36は、内側の回転部材46を駆動方向41の力で付勢するために意図される。ばね部材36は、ロープウィンチ32を介して引張力をロープ34に伝達するために意図される。ばね部材36を介して、ロープ34が恒常的に応力をかけられ、特に引張応力をかけられるように保持されるのがよい。切断装置10の、または少なくともクラッチユニット22および復帰ユニット31の組み立てを簡素化するために、ばね部材36は初期応力をかけて、組立補助具360によりクラッチユニット22のハウジング23に対して相対的に固定することができる。そのようにして少なくとも復帰ユニット31を、特にクラッチユニット22との関連で、モジュールとして初期応力をかけて取り付けることができる。
さらに別案として、駆動モータが不作動化するとただちに、ばね部材36を介してクラッチユニット22を開くことができる。そのようにして、ばね部材36を介して内側の回転部材46を駆動方向41へ回転させることができ、それによってひいては、駆動モータ20が不作動化するとただちに、保持器26を制動部材28を介して減速させることができる。そのようにして、クラッチユニット22を開放するための駆動モータ20の交互の回転方向反転を回避できるという利点がある。
【0070】
さらに切断装置10は、駆動ユニット20により駆動可能なロープウィンチ32を有している。ロープウィンチ32は第1のグリップ部材16に配置されている。ロープウィンチ32は、クラッチユニット22を介して駆動ユニット20により駆動可能なように構成されるのが好ましい。ロープウィンチ32は、少なくとも1つの動作状態のとき、クラッチユニット22を介して駆動ユニット20から連結解除可能なように構成されるのが好ましい。ロープウィンチ32により、駆動ユニット20の好ましい力作用を実現することができる。特に、それによって設計的に簡単に、第1の切断部材12に対して相対的な第2の切断部材14の運動のサポートを可能にすることができる。操作者は、そのようにして閉止運動の際に駆動ユニット20によってサポートを受けられるという利点がある。さらに、グリップ部材16,18での駆動ユニットの力作用によって、好ましく高いトルクを提供することができる。それにより、ひいては駆動ユニット20の出力を低く抑えることができる。ロープウィンチ32は第1のグリップ部材16のグリップハウジング44に配置される。ロープウィンチ32は、切断部材12,14のほうを向いているクラッチユニット22の側に配置される。ロープウィンチ32はシャフト35と結合されている。シャフト35はロープウィンチ32と一体的に構成されるのが好ましい。シャフト35は軸受を介して、特にすべり軸受77,77’を介して支承されている。切断部材12,14のほうを向く軸受77は、グリップ部材16のグリップハウジング44に支持される。切断部材12,14と反対を向く軸受77’は、クラッチユニット22のハウジング23に支持される。シャフト35はクラッチユニット22と結合されている。シャフト35は内側の回転部材46と回転不能に結合されている。さらにシャフト35は回転体37と回転不能に結合されている。シャフト35は多角形の断面形状を有している。シャフトは、クラッチユニット22との結合のためにこれ以外の断面形状、たとえば正方形の断面形状、さねつぎ形の断面形状、あるいはその他のシャフト・ハブ・結合断面形状を有することもできる。ロープウィンチ32がクラッチユニット22の内側の回転部材46と、および復帰ユニットの回転体37と直接的に結合され、さらにはこれら両方の部材が相互に結合されることにより、本装置は非常にコンパクトに構成される。自動切換式のクラッチユニット22は、ロープウィンチ32に部分的に組み込まれていてもよい。クラッチユニット22はロープウィンチ32により部分的に包囲することができる。さらにロープウィンチ32は、クラッチユニット22の従動側を形成する。ロープウィンチ32はロープドラム320を有している。ロープドラム320は実質的に円筒状に構成されている。ロープドラム320の軸方向の長さは、ロープ34を単層でのみ巻き取るために意図されるのが好ましい。ロープドラム320の軸方向の長さは5~15mm、特に6mmであるのが好ましい。ロープドラム320でロープ34を位置決めするために、ロープドラムは少なくとも回転ジョイント42のほうを向く側に肩部を形成している。ロープドラム320の直径は10mmよりも短いのが好ましく、特に7mmである。ロープウィンチ32はロープ34を固定するために収容部33を有している。収容部33は開口部として、ないしは貫通孔として、ロープウィンチ32ないしシャフト35の横軸方向に構成される。収容部33は少なくとも実質的に長方形の断面を有している。収容部33は楕円形、円形、方形などとして構成されていてもよい。収容部33は、ロープ34のロープ端部を好ましく確実かつコンパクトに収容するためのクランプシートを有することができる。収容部33の領域でシャフト35は、ロープドラム320の領域におけるよりも大きい直径を有するのが好ましい。これは8mmであるのが好ましい。
【0071】
さらに切断装置10はロープ34を有している。ロープ34は第2のグリップ部材18に固定的に固定されるとともに、第1のグリップ部材16にロープウィンチ32を介して巻取可能なように取り付けられるのが好ましい。ロープ34はグリップ部材16,18に関して、回転ジョイント42から間隔をおくグリップ部材16,18の端部よりも回転ジョイント42に近く配置されるのが好ましく、特に10cmよりも近く、好ましくは回転ジョイント42から6から8cmの間である。ロープはグリップ部材16,18の間に張り渡される。ロープ34は第1のグリップ部材16および/または第2のグリップ部材18で案内部材780を介して、特に案内スリーブ78を介して支承されていてよい。案内スリーブ78は好ましくは中空円筒状に構成され、片側にフランジ783を有している。フランジ783は、第1ないし第2のグリップ部材16,18への固定のために意図されていてよいのが好ましい。さらに、案内部材780は開放ばね50を第1および/または第2のグリップ部材16,18で位置決めし、および/または固定することができる。案内スリーブ78の円筒は、特にグリップ部材16,18の長手方向に対して横向きに、向かい合うグリップ部材16,18の方向を向いている。円筒の外面784が、開放ばね50の内側ないし内面を支持する。案内スリーブ78の少なくとも1つの開口部に、特に両方の開口部に、それぞれ湾曲部782が設けられている。湾曲部782の半径は0.6mmであるのが好ましい。このことは、ロープ34の低摩擦の支承に貢献する。さらに円筒の内径は、フランジ783の方向でテーパ上に拡大していく。それにより、それぞれ他方のグリップ部材16,18のほうを向く案内部材780の開口部でのみ、ロープ34が案内部材780に接触するという利点があり、このことも同じく案内部材780でのロープ34の低摩擦の支承、ならびに開放ばね50の内部でのロープ34の無接触の支承に役立ち、および/またはドラム幅全体にわたってのロープ34の転動がいわば案内されながら可能となる。ロープ34は2つのグリップ部材16,18の間に張り渡される。開放ばね50の端部は、第1および第2のグリップ部材16,18で案内スリーブ78に収容される。案内スリーブ78は、グリップ部材16,18よりも硬質の素材で形成されている。ロープ34は開放ばね50の内部で案内される。開放ばね50は竹の子ばねとして、特に二重竹の子ばねとして構成される。開放ばね50は弛緩した状態のときに100mmよりも短い長さ、特に70mmの長さを有するのが好ましい。圧縮された状態では、開放ばね50は25mmよりも短い長さ、特に17mmの長さを有する。開放ばね50は圧縮された状態のとき、たとえば100Nよりも低い開放力、特に32Nの開放力を有する。ばねの直径はたとえば端部のところで4から8mm、特に6.6mmであり、開放ばね50の中央部ではおよそ10から15mm、特に11mmである。開放ばね50は、回転ジョイント42を中心とするグリップ部材16,18の最大70°、特に最大50°、特別に好ましくは最大35°の開放角σを可能にするために意図されるのが好ましい。
【0072】
ロープ34は開放ばね50の内部で低摩擦に支承されていてよい。ロープ34は開放ばね50の内部で損傷しにくいように案内されていてよく、それにより、たとえば開放ばね50の鋭いエッジによるロープの損傷が回避される。開放ばね50は、ロープ34を保護するように、かつ低摩擦に開放ばね50の内部で案内する追加の案内部材781を有している。ロープ34はポリエチレン、特に超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)で製作されるのが好ましい。これはDyneema(登録商標)ロープ34である。これは2mmの直径を有するのが好ましく、たとえば1000Nの繰り返し引張力とロープドラム320での巻取りに耐える。このような種類のロープ34は特別に耐摩耗性である。摩擦低減や損傷低減をする部材なしで、開放ばね50に直接配置することができ、ないしは開放ばね50によって案内することができる。このようなロープは良好な巻付特性と、高い、強度と、良好な耐老化性ないし耐使用性とを有する。あるいはロープ34はポリアクリル、ケブラー、ワイヤなどで構成されていてもよい。ロープ34は、回転ジョイント42bと、切断部材12,14と反対を向くほうの第2のグリップ部材18の端部との間の領域で、第2のグリップ部材18と少なくとも間接的に結合される。駆動力伝達部材340を介して、切断部材12,14を閉じるためのサポート力をこれに対して及ぼすことができる。ロープ34は、レバー80の形態の力伝達部材を介して、第2のグリップ部材18と結合されている。第1のグリップ部材16で、ロープ34をロープウィンチ32に可変的に巻取可能である。ロープ34が開放ばね50で案内されることにより、操作者が切断装置10の操作時にロープ34によって煩わされるのを防止できるという利点がある。さらに、損傷、汚れ、気象暴露、ロープ34の傷み、および/またはこれに類する事態を特に竹の子ばねの利用によって回避することができる。ロープウィンチ32を駆動を通じて、ロープ34の自由長を変更することができ、ないしは、グリップ部材16,18の間隔もしくは開放角σ、および/または切断部材12,14の開放角を変更することができる(図2、3)。
【0073】
手動工作機械の力サポート動作をするための駆動系統は次の各部材で形成されるのが好ましい:駆動モータ20、伝動装置ユニット38、クラッチユニット22、復帰ユニット31、およびロープウィンチ32。これらの部材は直列に、特に前述した順番で配置される。これらの部材は第1のグリップ部材16に配置されるのが好ましい。必要な場合、駆動モータ20が伝動装置ユニット38を駆動し、これを介してクラッチユニット22がロープウィンチ32を駆動する。復帰ユニット31はロープ34を恒常的に張力のもとで保つとともに、クラッチユニット22の各部材との関連で、力サポートをする動作から力サポートをしない動作への切換時にクラッチユニット22を連結解除するために意図されていてよい。この駆動系統は、グリップハウジング44の中で、モータユニット20のハウジング、伝動装置ユニット38のハウジング74、クラッチユニット22のハウジング23、ならびに切断部材12,14のほうを向いているロープウィンチ32の回転軸受77を介してのみ支承ないし固定されるのが好ましい。クラッチユニット22と復帰ユニット31は非常にコンパクトに設計されており、簡単な組み立てを可能にする。第1のグリップ部材16が少なくともそれによってコンパクトに、ないしは短く構成されていてよい。第1ないし第2のグリップ部材16,18の長さは、回転ジョイント42と反対を向いているほうの第1ないし第2のグリップ部材16,18の端部と、開放ばね50との間で150mm以下、特に120から130mmである。回転ジョイント42と反対を向いているほうの端部から回転ジョイント42までの第1ないし第2のグリップ部材16,18の長さは200mm以下、特に170から190mmであるのが好ましい。切断装置10の全長は300mm以下、特に200から300mmであるのが好ましく、好ましくは250から260mmである。グリップ領域62における第1のグリップ部材16の周りの包絡円直径は40mm以下、特に30から35mmであるのが好ましい。グリップ領域における第2のグリップ部材18の周りの包絡円直径は30mm以下、特におよそ25mmであるのが好ましい。切断装置10により、モータを装備していない純粋に手動式の切断装置に準ずる触覚および/または人間工学が実現されるのが好ましい。さらに、少なくとも一方のグリップ部材16,18での駆動系統の配置、およびエネルギー蓄積ユニット54の配置が可能となる。
【0074】
さらに、グリップ部材16,18のうち少なくとも1つは、少なくとも、少なくとも1つのグリップ部材16,18の側面610へのグリップ内面600の移行部のところに、少なくとも部分的に弾性的に、および/または傾斜して、および/または面取りされて構成された領域620を有している(図1)。この領域は、側面610に比べて、少なくとも1つのグリップ部材16,18のハウジングシェルの分割平面の方向へ引っ込むように構成されていてよい。グリップ内面600とは、特に互いに向き合うグリップ内側を意味している。両方のグリップ部材16,18の傾斜した領域620の相互の開放角βは30°から150°の間であるのが好ましく、ないしは、グリップ部材16,18と、第1または第2のグリップ部材16,18の傾斜した領域620との間の仮想的な分離平面の間の角度はその半分である。特に、回転ジョイント42と、回転ジョイント42と反対を向いているほうのグリップ部材16,18の端部との間の開放角βは、少なくとも60°から120°の間で変動する。傾斜した面の辺の長さsは5から10mmであるのが好ましく、同じくその長さに関して変動することがあり得る。回転ジョイント42と反対を向いているほうのグリップ部材16,18の端部の領域では、グリップ内面にスペーサ部材630、特にソフトストッパ部材が設けられる。グリップ部材16,18の外面64は同じく面取りされるのが好ましく、特に、上に述べたそれぞれのグリップ部材16,18の包絡円直径に準じて面取りされる。この外面64は、操作快適性を向上させるためにソフトグリップ面を有し、および/または操作時のすべりを回避するために構造化を有するのが好ましい。グリップ部材16,18は互いに少なくともほとんど接触するように意図される。グリップ内面の弾性的な、ないしは面取りされた構成により、望ましくない挟み込み、特に操作者の手の皮膚の挟み込みを回避できるという利点がある。このことは切断装置10の操作安全性を向上させる。閉じた切断装置10の周りの包絡円直径は100mm以下であるのが好ましく、特に、閉じたグリップ部材16,18のグリップ領域62の周りの包絡円直径は70mm以下、好ましくは50から60mmである。
【0075】
さらに切断装置10は、制御ユニット52を有している。制御ユニット52は第1のグリップ部材16に配置される。制御ユニット52はグリップ部材16のグリップハウジング44に配置される。制御ユニット52は、駆動ユニット20を制御するために意図される。原則として、駆動ユニット20の純粋な開ループ制御だけでなく、駆動ユニット20の閉ループ制御も行うことができる。制御ユニット52はそのために駆動ユニット20にエネルギーを供給する。しかしながら原則として、駆動ユニット20がスイッチ72を介してエネルギー蓄積ユニット54と直接接続されていてもよい。制御ユニット52は、駆動ユニット20と回転ジョイント42との間に配置される。制御ユニット52は、ロープウィンチ32と回転ジョイント42との間に配置される。制御ユニット52は表示部材200と接続されるのが好ましい。表示部材200は駆動ユニット20の作動化ないし動作を表示し、あるいは、それ以外の形態の状態表示を可能にすることもできる。表示部材200はライトである。ライトはLEDである。表示部材200は操作者に、たとえば光の色を通じて、エネルギー蓄積ユニット54の充電状態、サポート動作中のサポート力などに関する示唆を表示することができ、および/またはサポート動作がアクティブになっているか否かに関して表示をすることができる。制御ユニット52はエネルギー蓄積ユニット54と接続されている。エネルギー蓄積ユニット54を介して、駆動ユニット20は制御ユニット52からエネルギーの供給を受けることができる。エネルギー蓄積ユニット54は少なくとも1つの蓄電池を有する。蓄電池58はリチウムイオン電池で構成される。しかしながら原則として、少なくとも1つの蓄電池58のこれ以外の構成も考えられる。蓄電池58は第2のグリップ部材18に配置される。蓄電池58は第2のグリップ部材18のグリップハウジング60に配置される。蓄電池58は制御ユニット52と接続されている(図2、3)。
【0076】
さらに、バッテリ駆動式の手動工作機械ないし切断装置10はブロック装置202を有している。ブロック装置202は第1のグリップ部材16に配置される。ブロック装置202はグリップ部材16のグリップハウジング44に配置される。図11は、切断装置10の一部分ないしブロック装置202を第1の状態で示している。切断装置10の切断部材12,14は閉じられた状態にある。ブロック装置202は第1の位置にある。ブロック装置202は切断装置10の相互の、特に切断部材12,14ないしグリップ部材16,18の、操作および/または工具運動をブロックする。ブロック装置202は機械式のブロック装置202として構成される。ブロック装置202はスライドスイッチ204を有している。スライドスイッチ204は、充電インターフェース211をブロックし、および/または閉止あるいはリリースするために意図される。スライドスイッチ204は、操作者により、特に操作者の指によりスライドされるために意図される。ブロック装置202は係止部材206を有している。係止部材206は、2つの切断部材12,14の相互の相対運動を機械的にブロックまたはリリースするために意図される。スライドスイッチ204は係止部材206と機械的に結合されている。スライドスイッチ204は回転ジョイント208を介して係止部材206と結合されている。ブロック装置202は制御ユニット52の領域に配置される。ブロック装置202はグリップ部材16の肉厚部の領域に配置される。ブロック装置202ないしブロック装置のスライドスイッチ204は、切断装置10が片手で操作されるとき、少なくとも操作者の親指で操作可能であるのが好ましい。スライドスイッチ204は、グリップ部材16の溝207を介して、長手方向スライド可能なように案内ないし支承されている。スライドスイッチ204はグリップ部材16に対して相対的にスライドさせることができる。スライドスイッチ204は、グリップハウジング44の開口部209を閉止し、または少なくとも部分的にリリースするために構成される。スライドスイッチ204は、充電インターフェース211をカバーし、ないしは閉止し、またはリリースするために意図される。スライドスイッチ204は、第1の位置にあるときに充電インターフェース211をリリースし、第2の位置にあるときに充電インターフェース211を閉止するために意図される。
係止部材206は一方の自由端で回転ジョイント208と結合されている。係止部材206は他方の自由端にロック部材210を有している。係止部材206は、切断部材12,14が閉じた状態にあるとき、ロック部材210によって第1ないし第2の切断部材12,14の第1および第2の切欠き212,214へ係合するために構成される。閉じた状態にあるとき、切断部材12,14の第1および第2の切欠き212,214は回転ジョイント42の回転軸149の方向で一直線上に並ぶ。係止部材206ないしロック部材210は、この位置のとき、一直線上に並ぶ切欠き212,214に係合するために意図される。
【0077】
図12はブロック装置202を第2の状態で示している。ブロック装置202は第2の位置にある。切断装置10の切断部材12,14は開いた位置にある。第2の状態では、切断部材12,14は互いに相対的に可動である。切断装置10は少なくとも手動動作のために意図される状態にある。ブロック装置202の第2の位置では、ブロック装置202は切断装置10の、特に切断部材12,14ないしグリップ部材16,18の相互の操作および/または工具運動をリリースする。充電インターフェース211はブロック装置202のスライドスイッチ204によりブロックないし閉止される。係止部材206は切断部材12,14の切欠き212,214に突入しない。切欠き212,214のうち少なくとも1つは、切断部材12,14のうち1つと回転不能に結合された少なくとも1つの構造部に配置されていてもよい。たとえば切欠き214はレバー80に配置されていてもよい。スライドスイッチ204にもグリップ部材18にも、充電インターフェース211の封止を可能にするシール部材(図示せず)が配置されていてよい。シール部材は特にグリップ部材18とスライドスイッチ204の間に配置される。少なくとも1つのシール部材は、ブロック装置が第2の位置にあるときに充電インターフェース211の封止を保証するのが好ましい。このようにして、制御ユニット52や切断装置10のその他の電子コンポーネントであって充電インターフェース211と少なくとも電子接触するものも、ダストや水分に対して、特に切断装置の作動時に防護することができるという利点がある。
【0078】
さらに切断装置10は、レバー80の形態の力伝達部材を有している。レバー80は第2の切断部材14を第2のグリップ部材18と結合する。レバー80は、切断部材14と結合するための少なくとも1つの形状接合部材を有している。第2のグリップ部材18は少なくとも1つの別の回転ジョイント65を介してレバー80と結合されている。グリップ部材18とレバー80は、少なくとも限定的に互いに相対的に旋回可能なように構成されている。グリップ部材18とレバー80は、別の回転ジョイント65を中心として旋回する。グリップ部材18とレバー80は、旋回軸66を中心として互いに相対的に旋回可能なように構成される。この旋回運動は、少なくとも、中空のグリップ部材18の内側輪郭を通じて制限される。さらにこの旋回運動は、グリップ部材18に構成される形状接合部材によって制限されていてよい。さらにグリップ部材18は、ばね68によってレバー80に対して支持される。グリップ部材18はレバー80の自由端のところで、ばね68によってレバー80に対して支持される。
【0079】
さらに切断装置10はセンサ401を有している。センサ401は、力サポート動作が必要である動作状態をセンシングするために構成される。センサ401またはその他のセンサ(ここには図示せず)は、切断装置の動作安全性の目的のために、特にグリップ部材16,18の間に物体17が配置されているときに、サポート動作が中止および/または停止されるべきである動作状態をセンシングできるのが好ましい。センサ401は、特に第1のグリップ部材16に対して相対的に、および/またはレバー80に対して相対的に、第2のグリップ部材18に作用する力をセンシングするために意図される力センサ40であるのが好ましい。力センサ40は、正確な力を検出するためにも、限界力の超過だけを検出するためにも意図されるのが好ましい。力センサ40は、第2のグリップ部材18および/またはレバー80として構成される力伝達部材に配置される。力センサ40は、第2のグリップ部材18に組み込まれて配置されるのが好ましい。力センサ40はレバー80とグリップ部材18の間に配置される。力センサ40は、少なくとも1つのばね68と、スイッチ72、特にマイクロスイッチとを有している。ばね68は、第2のグリップ部材18の外面64に対してレバー80を支持するのが好ましい。たとえば切断物11を切断するために切断装置10が閉じられたとき、切断力Fcutが切断部材12,14に対して作用すると、第2のグリップ部材18は力伝達部材ないしレバー80に対して相対的に、ばね68のばね力Fgsに抗して動くことができ、特に旋回することができる。そのためにレバー80とグリップ部材18は、共通の別の回転ジョイント65を中心として旋回可能なように配置されている。ばね68は少なくとも1つの動作状態のとき、いわばグリップ部材18をレバー80と連結する。レバー80は切欠きを有しており、グリップ部材18は延長部を有しており、この延長部は特に第2のグリップ部材18の2つのグリップシェルが結合されたときに回転軸66を構成し、これを中心としてレバー80が少なくとも限定的に回転ないし旋回することができる。グリップ部材18はレバー80に対して、回転軸66を中心として限定的に旋回可能であるのが好ましい。この旋回運動を、第2のグリップ部材18とレバー80にある少なくとも対応する形状接合部材が保証する。さらにはばね68も、特に圧縮されたばね68も、旋回制限部となることができる。第2のグリップ部材18はレバー80の自由端で、ばね68によってレバー80に対して支持されるのが好ましい。レバー80には収容部材69が外嵌されるのが好ましい。収容部材69は収容部として、特にばね68の案内収容部として、および好ましくはスイッチ72のための収容部として、特に差込収容部としての役目を果たすのが好ましい。切断部材12,14を操作するためにグリップ部材18に対して及ぼされる操作力Fuserがばね力Fgsを上回ると、グリップ部材18がレバー80に対して相対的に旋回する。本例では、グリップ部材18の外面64がレバー80に近づいていく。
【0080】
旋回運動または旋回力を検出するために、または少なくとも閾値超過、ばね68の運動、および/またはその他を検出するために、力センサ40はスイッチ72を有している。スイッチ72はマイクロスイッチとして、特にブレーク接点または切換接点として構成される。スイッチ72は、押圧部材として構成されたトリガ部材を有している。押圧部材は旋回部材71として、特に旋回レバーとして製作され、スイッチ72を操作するために意図される。スイッチ72は、第2のグリップ部材18の内面63からのスイッチ72の外方旋回ないし距離拡大をセンシングするのが好ましい。このようにスイッチ72は、旋回部材71が外方旋回したときに作動化する。あるいは別の表現で言えば、スイッチ72は、旋回部材71がスイッチ72に当接する状態のときに不作動化され、旋回部材71がスイッチ72に対して外方旋回している状態のときに作動化される。このようにスイッチ72は、旋回部材71の定義された外方旋回のときに閉じられる。旋回部材71はグリップ部材18のハウジングに直接支持されるか、または、追加の押圧部材81などに支持される。さらに押圧部材81は、力センサ40の感度を選択するために意図されるように構成されていてよい。押圧部材81は、別のスイッチ73に配置されるのが好ましい力センサ40の一部であるのが好ましい。この別のスイッチはサポート動作調整部材としての役目を果たす。別のスイッチ73は旋回部材71に対して横方向スライド可能なように構成されるのが好ましい。別のスイッチ73は回転ジョイント42の方向にスライドすることができる。別のスイッチ73は、第1のグリップ部材16のほうを向いている第2のグリップ部材18の側に配置される。すなわち別のスイッチ73は、第2のグリップ部材18の内面63に配置される。特に切断プロセス中の別のスイッチ73の誤っての操作を、それによって回避することができる。別のスイッチ73はスライドスイッチとして構成される。別のスイッチ73は、楔形に構成された押圧部材81を有している。押圧部材81は、すべての動作状態のときに旋回部材71に接触するために意図される。スイッチ72ないし旋回部材71に対して別のスイッチ73をスライドさせることで、力センサ40の感度ないしスイッチ72を作動させるための閾値を変更することができる。特に第2のグリップ部材18の内部におけるレバー80のレバー長を通じての、旋回部材71に対する押圧部材81の三角関数的な距離関係により、別のスイッチ73がスライドしたときに力センサ40の感度を変更することができる。別のスイッチ73が第1ないし第2の切断部材12,14の方向へスライドすると、スイッチ72はいっそう高い操作力Fuserで初めて作動化される。それに対して、別のスイッチ73がこれと反対方向へスライドすると、スイッチ72はいっそう低い操作力Fuserで作動化される。このように、機械式の手段による低コストな仕方で力センサ40の感度を調整することができる。切断装置10のサポート動作について、たとえば操作者の変化する手の力に依存して、さまざまに異なる作動化レベルないし閾値を調整することができる。別のスイッチ73はスイッチ収容部との関連で、特にグリップ部材18との関連で、3つの係止位置を有しているのが好ましい。それにより、3つのサポート動作レベルを定義できるという利点がある。
このような設計により、定義された閾値超過をセンシングするために恒常的な通電を必要とすることになる、純粋に電子式の代替的な力センサないしストロークセンサを作動化させるための追加のオン/オフスイッチを省略することができる。したがって、スイッチ72およびこれに伴ってサポート駆動装置が、閾値の形態のばね68の機械的な力が超過された場合にだけ作動化されるという利点がある。あるいは換言すると、グリップ部材18の内部のレバー80のばねで難しくされる回転ジョイント67を中心とした旋回運動に依存して閾値が超過され、それによりスイッチ72が入る。それにより、特別に低コストで設計的に簡素な力センサ40を提供することができる。
【0081】
さらに、駆動ユニット20と作用接続されたロープ34の形態の駆動力伝達部材340がレバー80に作用する。すなわち駆動ユニット20が作動化されると、レバーが駆動力Fanで付勢されて、切断装置12,14の閉止運動がサポートされる。このようにレバー80は駆動力Fanを、グリップ部材18での直接的な力作用から切り離す。たとえば切断装置10の力サポート動作中に物体17がそれぞれのグリップ部材16,18の間に配置されると、グリップ部材16,18をそれ以上開くように動かすことができなくなる。駆動力Fanがレバー80をグリップ部材18の内部でその初期位置の方向へ動かし、スイッチ72が開き、力サポート動作が終了する。このように力センサ40ないしレバー80、ばね68、およびスイッチ72が、グリップ部材16,18を押し縮めるための力サポート動作を分断する。すなわち物体17がそれぞれのグリップ部材16,18の間に配置されている限り、必然的にスイッチ72が開いて駆動ユニット20が不作動化され、それにより、たとえば操作者の四肢や皮膚の望ましくない押し潰しや、たとえば太い枝が間に配置されたときのグリップ部材16,18の損傷などが起こることがあり得ない。このようなケースでは、操作力Fuserだけが物体17の押し潰しに寄与するにすぎない。グリップ部材18にレバー80が配置されることで、特に、レバーの別の回転ジョイント65と、回転ジョイント42と反対を向いているグリップ部材16,18の端部との間の範囲全体で物体17の配置を認識して、サポート動作を停止することができる。それぞれのグリップ部材16,18の間の物体17を認識するための追加のセンサ(ここには図示せず)を省略することができる。このように、閾値超過のときに作動してサポート動作を作動化させ、物体17がグリップ部材16,18の間に配置された瞬間にサポート動作を強制的に停止させる力センサ40しか必要ないという利点がある。それにより、故障の起こりやすさや怪我のリスクも制御コストと同様に、場合によりさまざまな動作ケース-力伝達動作が必要である、グリップ部材16,18の間に物体17がある-を認識するための複数の代替的なセンサの分だけはるかに低くなる。
【0082】
しかしながら原則として、力センサ40の別案の構成も考えられる。それは、たとえば第1または第2のグリップ部材16,18のグリップ面にある力センサによってであり、あるいは、第2のグリップ部材18とレバー80との間の相対運動を認識するためのストロークセンサによってであり、もしくはグリップ部材16,18に作用する操作力Fuserを認識するための、および/またはグリップ部材16,18の間の物体17により引き起こされる、グリップ部材16,18の閉止運動と逆に作用する反力を認識するためのその他の種類のセンサによってである。同様の機能性を具体化するためのばね68、スイッチ72、または別のスイッチ73の別案の配置も考えられる。それにより、同じくグリップ部材16,18に現在印加されている力を、特に力サポート動作の必要性を、および特殊ケース-グリップ部材16,18の間の物体17、力サポート動作の中止-を検出することができる。さらに、1つないし複数の力センサ40の作動力をソフトウェアによって自由に定義することができる。さらに原則として、スイッチ72の押し込みや旋回部材71の旋回のさまざまな度合いの間で、力センサ40が区別をすることができることも考えられ、それは、そのようにして現在印加されている正確な操作力Fuserを推定できるようにするためである。
【0083】
さらに力センサ40は制御ユニット52と接続されている。制御ユニット52は、力センサ40の信号に依存して、駆動ユニット20を制御するために意図される。制御ユニット52は、力センサ40の定義された測定値を上回ったときに、駆動ユニット20を作動化させるために意図される。制御装置52は、力センサ40のスイッチ72が閉じたときに、駆動ユニット20を作動化させるために意図される。さらに制御ユニット52は、力センサ40のスイッチ72が開いたときに駆動ユニット20をストップさせるために意図される。スイッチ72を介して、かつ制御部52なしでの、エネルギー蓄積ユニット54と動ユニット20との直接的な接続も考えられる。
【0084】
切断装置10の作動時には、切断力Fcutがすべて操作者により印加される切断装置10の手動モードと、切断力Fcutの一部がさらに駆動ユニット20によって印加されるサポートモードとの間で区別をすることができる。
【0085】
第2の切断部材14は、切断エッジを有する能動的な切断部材14である。これは交換可能な切断部材14として構成される。第2の切断部材14は、少なくとも1つの形状接合部材216(図11、12)を介して切断装置10のレバー80と結合されていて、このレバーがさらに第2のグリップ部材18と結合される。形状接合部材216は、回転軸420を中心として半径方向へ力を伝達するために少なくとも意図されるが、軸方向の力Faxを回転軸420の方向でレバー80へ、または切断部材14へ伝達するためにも構成されていてよい。レバー80には係止ラグ220が構成されていて、これが切断部材14の形状接合部材216に結合状態のとき係合する。さらに、切断部材収容部400の中へ切断部材14を挿入するための少なくとも1つの軸方向の案内面332が設けられている。
【0086】
図13は、切断装置10ないし切断部材収容部400の断面III-III’を示している。第1および第2の切断部材12,14は、回転軸420に沿って配置されたシャフトを介して間接的に結合されている。このシャフトは、切断部材12,14のための回転ジョイント42を形成する。シャフトは少なくとも結合部材421によって形成される。さらに結合部材421にはスペーサ部材423が配置されている。スペーサ部材423は、切断部材12,14に対して結合部材421が少なくとも軸方向で、本例では半径方向にも、間隔をおくようにする役目を果たす。スペーサ部材423は、固定部材430を介して結合部材421に固定されていてよい。結合部材421は、スペーサ部材423と一体的に構成されていてもよい。結合部材421はねじとして構成されている。ねじは緩めることができ、スペーサ部材423とともに切断装置10ないしグリップハウジング44から取り外すことができるという利点がある。スペーサ部材423は、結合部材421のクランプ力Fklemmに関わりなく切断部材12,14の相互の定義された圧着力Fanprを回転軸420の方向に惹起するコントロール装置422の一部である。切断部材12,14は回転軸方向420に貫通孔120,140を有していて、これらに結合部材421が挿通される。貫通孔120,140の半径方向の面は、スペーサ部材423ないし結合部材421を半径方向で取り囲むスリーブの対応する軸受面の上に配置される軸受面を形成する。
【0087】
スペーサ部材423は少なくとも間接的に、ここではねじのねじ頭443の形態および受け部425の形態の、2つのクランプ力伝達部材の最低間隔を回転軸420の方向で規定し、受け部はねじ付きナットとして、特に回り止めされて受容されたねじ付きナットとして構成されて、これとねじが結合される。このような力伝達部材は、結合部材421の初期応力Fklemmを少なくとも間接的にスペーサ部材423へ伝達する。スペーサ部材423によっては、クランプ力Fklemmの定義された一部だけが切断部材12,14の軸方向面121,141に伝達されるにすぎない。このように、回転軸に沿った両方の切断部材12,14の少なくとも1つの軸方向位置を、ないしは相互に旋回したときに発生する切断部材12,14の間の摩擦力を、結合部材423の引締トルクに関わりなく、ないしはその他の影響量に関わりなく、規定することができる。
【0088】
転軸420の方向におけるスペーサ部材423の長手方向長さlは切断部材12,14の相対運動を許容し、特に、切断部材12,14の相互の旋回運動を許容する。この長さは、回転軸420に沿った両方の切断部材12,14の幅寸法b,bの合計に少なくとも相当するのが好ましい。それにより、結合部材421のクランプ力Fklemmに関わりなく、ないしはねじの引締トルクに関わりなく、間隔ないし最大の圧着力Fanを少なくとも切断装置10の非操作の状態のときに切断部材12,14の間で規定することができ、それによって切断装置10の操作可能性が保証される。
【0089】
さらにコントロール装置は、切断部材12,14を相互に定義された軸方向力ないしクランプ力Fklemmで回転軸420に沿って付勢する弾性部材424を有することができる。弾性部材424はばねとして、特に圧縮ばねとして、特別に好ましくは波形ワッシャとして構成される。弾性部材424は、第1の切断部材12の軸方向面122とスペーサ部材423の半径方向の肩部426との間で間接的に配置される。弾性部材は、第1の切断部材12の軸方向面122と止めリング427との間に配置される。止めリング427はスペーサ部材423の肩部426に支持される。さらに止めリング427は、グリップハウジング44にも支持される。弾性部材424が圧縮される力は軸方向力Faxに相当し、2つの切断部材12,14の間の圧着力Fanとして、ないしは接触圧または法線方向力として作用する。このように弾性部材424は、切断部材12,14の間の摩擦力を調整する。それによって少なくとも部分的に、切断装置10を閉じるための基本操作力を規定することができる。それによって切断部材12,14の間の基本間隔を調整することができる。切断部材12,14の-許容範囲内での-製造幅に関わりなく、切断部材12,14の相互の圧着力Fanは、弾性部材424のばね定数に基づいてほぼ一定に保たれる。切断部材収容部400のそれ以外の許容差も補償することができる。このように、一枚の紙でも木の枝でも切断装置10によって切断できるという利点がある。切断物11により与えられる要求事項に合わせて切断間隔を適合化することができるからである。第2の切断部材14の交換は、ねじのクランプ力ないし引締トルクの再調節なしに、もしくは中間部材を変更することなしに可能である。結合部材423ないしねじのクランプ力ないし引締トルクに関わりなく、切断部材12,14の間の圧着力Fanはほぼ一定に保たれる。波形ワッシャは20mmの範囲の外径と、15mmの範囲の内径とを有するのが好ましい。波形ワッシャの自由な軸方向長さは5mm以下、特に3.25mmであるのが好ましい。波形ワッシャのクランプ力は、1.1から1.5mmの圧縮された長さのとき15から25Nであるのが好ましい。
【0090】
さらに、結合部材423が緩められると、および特に結合部材とスペーサ部材421,423が全面的に取り外されると、止めリング427がグリップハウジング44に軸方向で支持される。このようにして、ばねの少なくとも1つの低減された軸方向力Faxないし圧着力Fanが、少なくとも第1の切断部材12に対して維持される。それにより、交換されるべき第2の切断部材14を結合部材421なしでも少なくとも位置決めすることができ、および/または切断装置10からの意図しない脱落に対して防護される。
【0091】
少なくとも弾性部材424の軸方向力Faxを伝達するために、第1の特に定置の切断部材12も横方向スライド可能なように、すなわち回転軸420の方向へスライド可能なように構成される。この切断部材は回転軸を中心とする回転方向で、形状接合部材によって固定される。この形状接合部材は第1のグリップ部材16の対応する形状接合部材に支持される。特に対応する形状接続部材は、第1のグリップ部材16のグリップシェルを結合するための結合部材である。
【0092】
弾性部材424は切断装置10の過負荷防護部材としての役目も果たす。弾性部材は切断装置10の作動時に、切断部材12,14の可塑変形を防止する。弾性部材424により、これを超えると切断装置10が開口するのを許容される閾値Faxが調整される。ばね力Faxを上回ると、少なくとも第2の切断部材14がストッパ部材442に軸方向で突き当たるまで弾性部材が撓曲し、そのようにして、少なくともわずかな軸方向のスライドおよび/または傾動を第1のグリップ部材16の内部で、ないしは回転軸420に沿って可能にする。定義された閾値を上回ったときの弾性挙動と希望される力は、弾性部材424のばね力を通じて、およびコントロール装置422の構造を通じて調整することができる。本例では、コントロール装置422は、結合部材421と、スペーサ部材423と、止めリング427と、弾性部材424とを少なくとも含んでいる。
【0093】
ねじ付きナットの形態の結合部材421の受け部425は、切断装置10のグリップハウジング44で固定的に収容されており、六角形の形状接合部材428を介して回り止めされて収容される。グリップハウジング44と結合された蓋429がねじ付きナットを軸方向に固定し、それにより、ねじ付きナットは結合部材421が取り外されたときでも切断装置10で位置決めされる。さらにグリップハウジング44とレバー80の間には、摺動リングないし摺動ディスクの形態の摺動部材440が配置されている。摺動ディスクは少なくとも1つの固定部材441によりグリップハウジング44と回転不能に結合されている。さらに摺動部材440は、スペーサ部材423と、ねじ付きナットとして構成された受け部425との間にも配置されている。このように受け部は、軸方向に摺動部材440と蓋429との間で、特に結合部材421が取り外されたときに固定される。さらに摺動部材440は、スペーサ部材423の潜在的な回転運動を受け部425から連結解除する。
【0094】
ントロール装置422は、1つまたは複数の個所で少なくとも間接的に、グリップハウジング44および/または定置の第1の切断部材12と回り止めされていてよく、それにより、レバー80ないし第1の切断部材12の相対運動が結合部材421の意図しない緩みにつながることがない。そのために、たとえば摺動部材、受け部425、および/またはスペーサ部材423が回り止めされてグリップハウジング44に収容される。
【0095】
第1の切断部材12の厚みは4mmであるのが好ましい。第2の切断部材14の厚みは、そのもっとも厚い個所で3.5mmであるのが好ましい。レバー80の厚みは3.5mmであるのが好ましい。
【0096】
図14は、第2の切断部材14として構成された切断部材を平面図ならびに側面図として示している。第2の切断部材14は刃143を有している。第2の切断部材14は、切断装置10のための交換可能な切断部材である。第2の切断部材14は先端部146と、先端部146に向かい合う端部148とを有している。端部148の領域に、第2の切断部材14は切欠き214を有している。切欠き214は、切断部材12,14の相互の運動をブロックするための切断装置10のブロック装置202のロック部材210のための収容部としての役目を果たす。さらに第2の切断部材14は、切断装置10のレバー80の係止ラグ220のための対応係止切欠きとして構成される形状接合部材216を有している。形状接合部材216は、グリップ部材18の半径方向の力を、特にレバー80を介して、切断装置10の回転ジョイント42を中心として伝達する役目を果たす。さらに第2の切断部材14の端部148は少なくとも部分的に面取りされている。第2の切断部材14の端部148と、切断装置10で第2の切断部材14を回転可能に収容するために意図される切欠き140として構成された収容部142との間に、第2の切断部材14は傾斜面の形態の挿入補助部144を有している。挿入補助部144は、切断面145により形成される第2の切断部材14の切断面平面に対して傾斜しているが、円形に、特に中高に構成されていてもよい。挿入補助部144は実質的に収容部142の中心から半径方向に、第2の切断部材14の端部148まで延びている。第2の切断部材14の厚みは挿入補助部144の領域で、端部148の方向に減少していく。この厚みはおよそ3.5mmから2.7mmまで減少していく。傾斜面の辺の長さは9mmであるのが好ましい。傾斜面の角度αは好ましくは30°以下、特に15°以下、きわめて特別に好ましくはおよそ5°である。挿入補助部144と刃143の間には載置面149が延びている。載置面149は、レバー80と形状接合式に結合するために意図される。載置面は平坦に構成され、切欠き142の方向に対して法線方向に、ないしは園芸用ハサミ10の回転軸420の方向に対して法線方向に向いている。向かい合う切断面145は、第1の切断部材12に沿って摺動するために構成される。回転軸420ないし回転ジョイント42を中心として、第1の切断部材12に沿って摺動するように旋回する。
【0097】
次に、切断装置10を作動させる方法について説明する(図10)。
【0098】
切断装置の操作は、ブロック装置が第2の位置にあるときに限り可能であるのが好ましい。切断装置の充電プロセスは、この第2の位置では意図されないのが好ましい。
切断装置10は常に動作モードにある。スイッチ72が閉じられると、ただちに制御ユニット52が駆動モータ20を作動化させる。しかしながら原則として、切断装置10が特に追加的に動作スイッチを有していて、これによって切断装置10を作動化および不作動化できることも考えられる。別案として、たとえば切断装置10の定義された連続閉止および/または連続開放によって、切断装置10を自動的に作動化できることも考えられよう。不作動化はたとえば時間依存的であることが考えられる。
【0099】
操作者が作動中に切断プロセスを実行しようとするとき、たとえば枝を断裁しようとするとき、操作者は、切断されるべき切断物11を切断装置10の切断部材12,14の間に位置決めしなければならない。次いで切断部材12,14を、特に従来式の園芸用ハサミと同じく、グリップ部材16,18を互いに相対的に押し縮めることによって閉じることができる。グリップ部材16,18がステップ1180で、操作者によって手動式に押し縮められる。力センサ40のばね力が超過されない限り、スイッチ72は信号を出力しない。ステップ1200で、制御ユニット52が力センサ40ないしスイッチ72の信号を監視する。このように制御ユニット52は、切断プロセスにとって必要な力を監視する。制御ユニット52は、力センサ40のスイッチ72が開いているか閉じているかをチェックする。
【0100】
切断プロセスのために必要な操作者の力Fuserが、スイッチ72を閉じるために必要とされる、力センサ40によって定義される力よりも低いとき、切断装置10は手動モードで使用される。スイッチ72が開いていれば、次の分岐1220でステップ1200が繰り返される。手動モードでは、グリップ部材16,18が操作者によって手動で相互に旋回させられる。手動モードでは、復帰ユニット31ないしばね部材36によってロープ34がロープウィンチ32に巻き取られる。このとき力が従動側からクラッチユニット22に作用するので、クラッチユニット22は開いた状態にある。したがってロープウィンチ32は、伝動装置ユニット38や駆動ユニット20の抵抗なしに回転することができる。この状態のときロープ34はばね部材36により張力をかけられたまま保たれる。たとえば切断プロセスが終了したことにより操作者がグリップ部材16,18に対する力を弱めると、グリップ部材16,18が開放ばね50によって押し開かれて、切断装置10が開く。このときロープ34はばね部材36のばね力に抗してロープウィンチ32から巻き出される。
【0101】
切断装置10のエネルギー蓄積ユニット54が空になっているときには、切断装置10を手動モードで利用することができ、この場合、力センサ40により定義される力を上回ったときでも、駆動ユニット20は不作動化されたままに保たれる。駆動ユニット20の作動化は行われず、それによってクラッチユニット22も開いたままに保たれる。
【0102】
切断プロセスのために必要な操作者の力Fuserが、スイッチ72を閉じるために必要となる、力センサ40により定義される力よりも大きいと、切断装置10はサポートモードで利用される。手動モードからサポートモードへの切換は、原則として切断プロセス中に行われる。手動モードでは、グリップ部材16,18が操作者によって手動で相互に旋回させられる。硬い切断物11が切断されるときには、グリップ部材16,18が大きい力で操作者により相互に押圧されなければならない。ばね力Fgsが克服されたときにスイッチ72が閉じる程度に大きい力が印加されると、このことが制御ユニット52によりセンシングされる。制御ユニット52はこれを受けて駆動ユニット20を作動化させる。分岐1220でスイッチ72が閉じていることが判定されると、駆動ユニット20が制御ユニット52を通じてステップ1240で作動化される。駆動ユニット20はそれに応じて、定義された操作力を上回ったとき、切断装置10の閉止機構に接続される。これを受けて駆動ユニット20は伝動装置ユニット38を介して、クラッチユニット22の内側の回転部材46を駆動する。駆動ユニット20は駆動方向41に駆動される。クラッチユニット22が閉じられ、ロープウィンチ32を駆動する。ロープ34がロープウィンチ32に巻き取られる。するとグリップ部材16,18が、操作力Fuserに追加して駆動力Fasにより押し縮められ、ないしは引き締められる。駆動ユニット20はこの動作状態のとき、部分的に手動式の運動で、切断部材12,14を追加の力により付勢する。駆動力Fasはこのときロープウィンチ32を介してロープ34で作用する。
【0103】
このとき駆動力Fasは、ロープ34を介してレバー80に作用する。操作力Fuserが引き続き、スイッチ72を閉じるために必要な力センサ40により定義される力よりも大きい限り、手動式の運動が駆動力Fanによって引き続きサポートされる。それに対して操作力Fuserが低下してスイッチ72が開くと、ステップ1260で駆動ユニット20が停止する。ステップ1260での駆動ユニット20の停止は、2つのグリップ部材16,18が閉じられ、ないしはスペーサ部材630を介して互いに接触し、または物体17がグリップ部材16,18の間に配置され、そのために、スイッチ72を閉じるために必要となる力センサ40により定義される力が同じく超過されたときにも実現することができる。操作力Fuserは、この状態のとき、力センサ40にそれ以上は作用しなくなる。駆動力Fasがロープ34を介してレバー80に作用して、スイッチ72が開くその初期位置へとこれを動かすからである。そして駆動ユニット20はステップ1280で、クラッチユニット22を開くために一時的に反駆動方向410へ駆動される。制動部材28が保持器26を制動し、クランプ体24が外側の回転部材を内側の回転部材46,48によりクランプしなくなる。このような駆動ユニット20ないし駆動ユニット20の駆動部の反駆動方向410への方向転換はそのために一時的であればよく、たとえば100ミリ秒以下、特に40ミリ秒以下であってよい。そして駆動ユニット20がステップ1300で不作動化される。駆動ユニット20の不作動化の後に、本方法を最初から始めることができる。
【0104】
原則として、クラッチユニット22は回転運動が行われないとき、駆動ユニット20を自動的に連結解除することもできる。このとき切断装置10は、駆動ユニット20の回転運動が停止した場合に、原則として開放ばね50によって少なくとも部分的に開くこともでき、その際に、ロープウィンチ32がロープ34を介して駆動ユニット20の駆動方向41と反対向きに部分的に回転する。このとき同じくクラッチユニット22の外側の回転部材48に対する内側の回転部材46の回転が行われ、そのようにしてクラッチユニット22が開かれる。しかしながら原則として、クラッチユニット22を開くためのこれ以外の方式も考えられる。
【符号の説明】
【0105】
10 切断装置
12,14 切断部材
16,18 グリップ部材
17 物体
20 駆動ユニット
22 クラッチユニット
24 クランプ体
26 保持器
28,50,36,68,424 ばね部材
32 ロープウィンチ
34 ロープ
38 伝動装置ユニット
40 力センサ
42 回転ジョイント
50 開放ばね
72 スイッチ
142 収容部
143 切断刃
144 挿入補助部
149 回転軸
202 ブロック装置
211 充電インターフェース
300 防護装置
301 中間スペース
340 駆動力伝達部材
400 切断部材収容部
401 センサ
421 結合部材
600 グリップ内面
730 サポート動作調整部材
800 駆動力伝達部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15