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  • 特許-アプリケーションソフトウェア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】アプリケーションソフトウェア
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/70 20180101AFI20231113BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20231113BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
G16H20/70
G09B5/02
G06F3/01 510
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022078226
(22)【出願日】2022-05-11
【審査請求日】2023-06-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512015677
【氏名又は名称】太田 英伸
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】太田 英伸
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/051010(WO,A1)
【文献】特開2020-162881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G09B 5/02
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアであって、
前記アプリケーションソフトウェアが、
前記自閉症児を含む児童の興味対象物を通信端末機器の画面に表示して、自由に動作させることができるものであり、
前記興味対象物の動作が、前記保護者を含む成人の言葉による実況中継および自閉症児を含む児童が発した言葉に反応してなされるようにできるものである、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェア。
【請求項2】
自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアであって、
前記アプリケーションソフトウェアが、
前記自閉症児を含む児童の興味対象物を画面に表示して、自由に動作させることができるものであり、
前記興味対象物の動作が、前記保護者を含む成人の言葉による実況中継および自閉症児を含む児童が発した言葉に反応してなされようにできるものであり、
前記保護者を含む成人の言葉による実況中継、自閉症児を含む児童の視線、発した言葉およびジェスチャーと、それらに対応した前記自閉症児を含む児童の興味対象物の動作が合わせて記録保存されるようにできるものである、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェア。
【請求項3】
自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアであって、
前記アプリケーションソフトウェアが、
前記自閉症児を含む児童の興味対象物を画面に表示して、自由に動作させることができるものであり、
前記興味対象物の動作が、前記保護者を含む成人の言葉による実況中継および自閉症児を含む児童が発した言葉に反応してなされるようにできるものであり、
前記前記保護者を含む成人の言葉による実況中継、自閉症児を含む児童の視線、発した言葉およびジェスチャーと、それらに対応した前記自閉症児を含む児童の興味対象物の動作が合わせて記録保存されるようにできるものであり、
さらに前記興味対象物の動作に対する自閉症児を含む児童の視線の動き、発語およびジェスチヤーを離れた場所からモニタリングすることができるようにするものである、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェア。
【請求項4】
前記興味対象物が、
哺乳類、爬虫類、鳥類、両生類、魚類、軟体動物、貝類、昆虫を含む動物からなる群から選ばれるもの、
消防車、パトカー、救急車、土木、建設、運搬作業に使用される重機、トラック、船舶、電車、機関車、普通自動車、自動二輪車、自転車、電車、機関車からなる群から選ばれるもの、
各種植物からなる群から選ばれるもの、
海、川、湖、滝、森、林、山からなる群から選ばれるもの、
雲、太陽、虹、空、夕焼け、朝焼け、雨、雷、霧を含む自然または自然現象から選ばれるもの、
アニメーションのキャラクターからなる群から選ばれるもの、並びに
前記の各群から選ばれる2以上のものの組み合わせである、請求項1~3のいずれか1項記載の自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェア。
【請求項5】
前記自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアが、スマートフォン、タブレットコンピューターデバイス、ノート型コンピューターを含むコンピューター、コンピューターと接続されたテレビ、コンピューターが内蔵されたテレビから選ばれる通信端末機器にインストールされて使用されるものである、請求項1~3のいずれか1項記載の自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェア。
【請求項6】
前記自閉症児を含む児童の言語発達用のためのデジタルセラピーに使用されるものである、請求項1~のいずれか1項記載の自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自閉症児を含む児童の言語発達ためのデジタルセラピー用のアプリケーションソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の子供の絵本や玩具に代えて、コンピューターとアプリケーションを利用したデジタル方式のものがあり、自閉症児に対するものも知られている。
特許文献1は、子供がアプリケーションを実行したり、アプリケーションに触れたりできるようにするとともに、親がシステムの設定を行えるようにすることができる、セルラー通信、教育、エンターテイメント、アラート及びモニタリングシステムを統合した子供参加型システムに関する発明が開示されている。
追加例として、子供参加型システムは、自閉症児のコミュニケーション障害に対処するために特別に設計されることができ、子供参加型システムと子供の間の直接インタフェースは、自閉症の子供の学びへの効率的な手段を提供する見込みがあると記載されている(段落番号0258)。
【0003】
非特許文献1には、言葉の意味と機能を親が児に段階的に伝達する子育て認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)は、その名前の通り、遊びの中で行動を「実況中継」することであり、このCBTを1日5分間継続して行うことで、児の言葉・コミュニケーションの発達が促されることが報告されている。
【0004】
非特許文献2には、米国で開発された子育てCBTであるPCIT(Paretn-Child Interaction Therapy:PCIT親子相互交流法)においても、1日5分間の訓練で同様の効果があることが報告されている。
【0005】
非特許文献3には、ADHD(注意欠如多動性障害)患者に対するCBTの一環として、AR(拡張現実感)を使用したゲームを作製したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2014-515571号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】小沢ら. 小児科診療. 2014;12:1842-1846
【文献】Boggs et al., Behavior Therapy. 2004;26:1-22
【文献】Healthcare 2019,7,146;doi:10.3390/healthcare7040146
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、自閉症児を含む児童の言語発達ためのデジタルセラピー用のアプリケーションソフトウェアを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアであって、
前記アプリケーションソフトウェアが、
前記自閉症児を含む児童の興味対象物を通信端末機器の画面に表示して、自由に動作させることができるものであり、
前記興味対象物の動作が、前記保護者を含む成人の言葉による実況中継および自閉症児を含む児童が発した言葉に反応してなされるようにできるものである、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアを提供する。
【0010】
また本発明は、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアであって、
前記アプリケーションソフトウェアが、
前記自閉症児を含む児童の興味対象物を画面に表示して、自由に動作させることができるものであり、
前記興味対象物の動作が、前記保護者を含む成人の言葉による実況中継および自閉症児を含む児童が発した言葉に反応してなされようにできるものであり、
前記保護者を含む成人の言葉による実況中継、自閉症児を含む児童の視線、発した言葉およびジェスチャーと、それらに対応した前記自閉症児を含む児童の興味対象物の動作が合わせて記録保存されるようにできるものである、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアを提供する。
【0011】
さらに本発明は、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアであって、
前記アプリケーションソフトウェアが、
前記自閉症児を含む児童の興味対象物を画面に表示して、自由に動作させることができるものであり、
前記興味対象物の動作が、前記保護者を含む成人の言葉による実況中継および自閉症児を含む児童が発した言葉に反応してなされるようにできるものであり、
前記保護者を含む成人の言葉による実況中継、自閉症児を含む児童の視線、発した言葉およびジェスチャーと、それらに対応した前記自閉症児を含む児童の興味対象物の動作が合わせて記録保存されるようにできるものであり、
さらに前記興味対象物の動作に対する自閉症児を含む児童の視線の動き、発語およびジェスチヤーを離れた場所からモニタリングすることができるようにするものである、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアプリケーションソフトウェアは、スマートフォンなどの通信端末機器にインストールすることで、自閉症児を含む児童の言語発達やコミュニケーション能力の向上のためのデジタルセラピーに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のアプリケーションソフトウェアの一実施形態を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、通信端末機器にインストールして使用するものであり、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアである。
以下、本発明のアプリケーションソフトウェアを第1実施形態~第3実施形態に分けて説明する。
なお、自閉症児を含む児童は、自閉症児と自閉症ではない児童を含むものであるが、以下においては児童が自閉症児である場合を中心として説明する。
【0015】
(1)第1実施形態
アプリケーションソフトウェアは、自閉症児の興味対象物を通信端末機器の画面に表示して、自由に動作させることができるものである。
またアプリケーションソフトウェアは、前記興味対象物の動作が、前記保護者を含む成人の言葉による実況中継および自閉症児が発した言葉に反応してなされるようにできるものである。
これらは拡張現実感(Augmented Reality: AR)技術であり、AI技術を使用して作製することができる。
【0016】
自閉症児の興味対象物は、対象となる自閉症児のそれぞれで異なるものであり、特に限定されるものではなく、生物、人工物、自然、自然現象およびそれらの組み合わせなどから選ばれるものである。
【0017】
前記興味対象物としては、
哺乳類(人も含む)、爬虫類、鳥類、両生類、魚類、軟体動物、貝類、昆虫を含む動物からなる群から選ばれるもの、
消防車、パトカー、救急車、土木、建設、運搬作業に使用される重機(クレーン車、ブルドーザーなど)、トラック、船舶、電車、機関車、普通自動車、自動二輪車、自転車、電車、機関車からなる群から選ばれるもの、
各種植物からなる群から選ばれるもの、
海、川、湖、滝、森、林、山からなる群から選ばれるもの、
雲、太陽、虹、空、夕焼け、朝焼け、雨、雷、霧を含む自然または自然現象から選ばれるもの、
アニメーションのキャラクターからなる群から選ばれるもの並びに
前記の各群から選ばれる2以上のものの組み合わせから選ばれるものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、前記興味対象物が人以外のものの場合には、顔や手足などを付けて擬人化して表示することもできる。
【0018】
前記アプリケーションソフトウェアは、スマートフォン、タブレットコンピューターデバイス、ノート型コンピューターを含むコンピューター、コンピューターと接続されたテレビ、コンピューターが内蔵されたテレビから選ばれる通信端末機器にインストールされて使用されるものである。
これらの中でも携帯して使用できるスマートフォン、タブレットコンピューターデバイス、ノート型コンピューターが好ましい。
【0019】
アプリケーションソフトウェアの第1実施形態について例を挙げて説明する。
まず、自閉症児の興味対象物がライオンである場合について図1により説明する。
図1(a)は、保護者(親)が自宅室内において、本発明のアプリケーションソフトウェアがインストールされたスマートフォンの画面を見ている状態を示している。図示されていないが、保護者の側には自閉症児がいる。
【0020】
一例を説明する。
保護者が自宅の室内でスマートフォンを操作し、本発明のアプリケーションソフトウェアを起動させる。
保護者がスマートフォンに対して「あ!向こうにライオンがいるよ」と言うと、画面の中にライオンが現れる(図1(b))。ライオンの動作は、保護者の言葉による実況中継および自閉症児が発した言葉に反応してなされる。
ライオンが好きな自閉症児は画面を覗き込む。
保護者が「ライオンがこっちに歩いてくるよ」と言うと、画面のライオンがこちらに向かって歩いてくる。
保護者が「ライオンが止まったよ」と言うと、画面のライオンが立ち止まる。
保護者が「ライオンがあくびをしたよ」と言うと、画面のライオンがあくびをする。
保護者が「ライオンがえさを食べ始めたよ」と言うと、画面のライオンがえさを食べ始める。
このように保護者の実況中継に対応して画面のライオンが動作をする。また、自閉症児がライオンに対して言葉を発したときは、その言葉に対してもライオンは動作する。
自閉症児は、自分が好きなライオンが動作するため、注意レベルをより長く維持することでき、ライオンが提示された場面で初めて自分の意識・注意を活性化し、親が発した言葉「ライオン、歩く、あくびをする、えさを食べる」に耳を傾けることが可能となる。
つまり、ライオンのしぐさに対する行動実況中継を通してのみ、自閉症児の脳は親の発した音声情報を受け取り、その単語と音声の結びつき、そして単語同士の意味のつながり(「歩く」は「ライオン」の行動の1つを示しているというつながり)を推測できるようになる。
このようにしてスマートフォンの画面越しに見える「デジタルおもちゃ」を用いて、自閉症児が自宅で遊びながら、言語発達・他者とのコミュニケーション能力が促されることで、発達障害特性が治療できる。
なお、自閉症ではない児童の言語習得過程では、自閉症児と異なり興味の範囲が特定の対象に限定されないため、ライオンに関連した遊びに限らず、全ての遊びの中で単語と音声の結びつき、単語同士の意味の関連が推測され、より効率的な言語習得が行われる。
【0021】
自閉症児の興味対象物が植物である場合の例を説明する。
スマートフォンの画面に表示された植物の種に対して、保護者が「種から芽がでたよ」と言うと、画面に植物の種が表示され、芽が出始める。
植物が好きな自閉症児は画面を覗き込む。
保護者が「芽がどんどん伸びていくよ」と言うと、画面の植物の芽がどんどん伸びていく。
保護者が「枝が出たよ、葉っぱも出たよ、つぼみも付いた」と言うと、画面の植物がさらに成長していく。
保護者が「花が咲いたよ」と言うと、画面の植物が花を咲かせる。
保護者が「チョウチョが蜜を吸いに来たよ」と言うと、画面の植物の花の蜜を吸いにチョウチョがやって来る。
保護者が「実を付けたよ」と言うと、画面の花が実に変わる。
保護者が「鳥が実を食べに来たよ」と言うと、画面の植物の実を食べに鳥がやって来る。
このように保護者の実況中継に対応して画面の植物が早送りで成長する。
そして、興味対象物がライオンの場合と同様にして、自閉症児が自宅で遊びながら、言語発達・他者とのコミュニケーション能力が促されることで、発達障害特性が治療できる。
【0022】
自閉症児の興味対象物が空(天気の変化)である場合の例を説明する。
保護者が「いい天気だね。」と言うと、画面に青空が表示される。
保護者が「少し雲が出てきたよ。」と言うと、画面の青空に雲が出てくる。
保護者が「雲がたくさん出てきたよ。」と言うと、画面の青空に雲が広がってくる。
保護者が「雨が降り出したよ。」と言うと、画面も雨が降り出す。
保護者が「雨がどんどん激しくなるよ。」と言うと、画面の雨も強くなる。
保護者が「雨がやんできたよ。」と言うと、画面の雨もやんでくる。
保護者が「晴れてきて、虹が架かっているよ。」と言うと、画面の青空に虹が架かる。
このように保護者の実況中継に対応して画面の天気が早送りで変化する。
そして、興味対象物がライオンの場合と同様にして、自閉症児が自宅で遊びながら、言語発達・他者とのコミュニケーション能力が促されることで、発達障害特性が治療できる。
【0023】
その他、自閉症児の興味対象物が消防車、機関車、パトカーなどの乗り物である場合には、それらの前面に顔を付けたり、側面に手足を付けたりすることで擬人化して表示されるようにすることもできる。
【0024】
(2)第2実施形態
第2実施形態のアプリケーションソフトウェアは、第1実施形態のアプリケーションソフトウェアに加えて、さらに前記保護者を含む成人の言葉による実況中継、自閉症児の視線、発した言葉およびジェスチャーと、それらに対応した前記自閉症児の興味対象物の動作が合わせて記録保存されるようにできるものである。
第2実施形態は、第1実施形態と同様に一つの通信端末機器を使用して実施することもできるが、必要に応じて2以上の通信端末機器(例えばスマートフォンに加えてノート型コンピューター)を使用して記録保存することができる。
このように自動記録保存することにより、言語発達と他者との視線・言語・ジェスチャーによるコミュニケーション能力の発達を評価することができるようになるため、発達障害特性の治療にもより役立つことになる。
【0025】
(3)第3実施形態
第3実施形態のアプリケーションソフトウェアは、第2実施形態のアプリケーションソフトウェアに加えて、さらに前記興味対象物の動作に対する自閉症児の視線の動き、発語およびジェスチヤーを離れた場所からモニタリングすることができるようにするものである。
第3実施形態の実施において離れた場所からモニタリングするときは、第1実施形態および第2実施形態で使用したものとは別の通信端末機器を使用してモニタリングすることになる。
このようなモニタリング情報により、「遊び」終了時に自閉症児の言語コミュニケーションの発達を評価できる。
この評価は同時に実施することもできるし、後日実施することもできる。この場合の評価は、児童精神科医、作業療法士、臨床心理士、理学療法士、言語聴覚療法士などの専門家が行う。
【0026】
第1実施形態~第3実施形態を含む本発明のアプリケーションソフトウェアを使用することにより次のような利点が得られる。
(I)子育て認知行動療法(子育てCBT)による治療場所を病院から家庭へ移すことが可能となる。
このため、感染症の流行時、夏季および冬季のような高温または低温環境時、荒天時、自宅と病院の距離が遠い場合などのように通院することが困難な時期および地域であっても、継続して治療ができるようになる。
(II)自閉症児のこだわり特性から、自閉症児の注意レベルを持続させるのに最適な「デジタルおもちゃ」を利用することで、より高い効果が得られる。
(III)児童精神科医、作業療法士、臨床心理士、理学療法士、言語聴覚療法士などの専門家が常に同席しなくても、治療を継続的に実施することができる。
なお、自閉症ではない児童においても言語発達、他者とのコミュニケーション能力を促すようにすることができる。
このように本発明のアプリケーションソフトウェアは、自閉症児を含む児童の言語発達に有用なデジタルセラピーのために使用することができ、例えば、未就学児童(1~5歳児)のために使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のアプリケーションソフトウェアは、スマートフォンなどの通信端末機器にインストールすることで、自閉症児を含む児童の言語発達のためのデジタルセラピーに利用することができる。
【要約】
【課題】自閉症児を含む児童の言語発達のためのデジタルセラピーに使用できるアプリケーションソフトウェアの提供。
【解決手段】自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェアであって、前記アプリケーションソフトウェアが、前記自閉症児を含む児童の興味対象物を通信端末機器の画面に表示して、自由に動作させることができるものであり、前記興味対象物の動作が、前記保護者を含む成人の言葉による実況中継および自閉症児を含む児童が発した言葉に反応してなされるようにできるものである、自閉症児を含む児童とその保護者を含む成人が使用するためのアプリケーションソフトウェア。
【選択図】なし
図1