(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】昇降装置
(51)【国際特許分類】
B66F 7/28 20060101AFI20231113BHJP
B66F 13/00 20060101ALI20231113BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
B66F7/28 Z
B66F13/00
H02G11/00
(21)【出願番号】P 2022179585
(22)【出願日】2022-11-09
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸野 文徳
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 英俊
(72)【発明者】
【氏名】岩本 貴之
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-62381(JP,A)
【文献】特開2021-127214(JP,A)
【文献】特開平9-89068(JP,A)
【文献】特開2003-237459(JP,A)
【文献】特開平10-149461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/28
B66F 13/00
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高位置に配置される高所装置を当該高位置と手元作業の可能な低位置との間を昇降可能に支持する昇降装置であって、
前記高位置に設置されて前記高所装置を高所に保持する保持部材と、前記高所装置を支持しつつ前記保持部材との連携時には当該高所装置を前記高位置に保持するとともに当該保持部材との連携の解消時には該高位置から降下する支持部材と、前記保持部材および前記支持部材の双方に繋げられて前記高所装置の上下動に応じて全長が伸縮される伸縮機構と、前記高位置から延長されて前記高所装置に接続されて当該高所装置の上下動に応じて屈曲するケーブルを保持するケーブル保持機構と、を備え、
前記伸縮機構は、前記高所装置の周囲の複数個所に配置されており、
前記ケーブル保持機構は、前記伸縮機構の伸縮方向に離隔する複数個所に配置されて前記ケーブルを保持する保持構造により構成されて、当該伸縮機構毎に順次に渡される当該ケーブルを複数の当該保持構造が保持しつつ前記高所装置の上下動に応じて互いに近接または離隔して該ケーブルをコンパクトにまとめることを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
前記伸縮機構は、前記高所装置の機能を妨げることのない位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記伸縮機構は、前記高所装置が前記高位置に位置する際には前記保持部材および前記支持部材の間で縮小されるとともに、前記低位置に降下する際には前記保持部材および前記支持部材の間で伸長されて連結状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記伸縮機構は、前記高所装置が前記高位置に位置する際の前記保持部材および前記支持部材の間隔または当該間隔よりも短い長さに形成されて長さ方向に連続するように連結されて前記保持構造を一端部側に配置されている複数の短尺部材により構成されており、
前記短尺部材は、連続する状態を維持しつつ互いに前記長さ方向の正逆方向にスライド自在に連結されて、前記高所装置が前記高位置に位置する際には前記保持構造を機能するように両端部側と共に当該両端部間を重ねて縮小状態に変化するとともに、前記低位置に位置する際には反対側の端部同士を連結して伸長状態に変化する構造に作製されて連結されていることを特徴とする請求項3に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記保持構造は、前記伸縮機構の間を往復させる方向に前記ケーブルを屈曲させつつ当該屈曲箇所の該ケーブルの延長方向への移動を許容する移動機構と、前記ケーブルの屈曲箇所を前記伸縮機構に接近させる方向に付勢する付勢部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項6】
前記保持構造は、前記伸縮機構の間を往復させる方向に前記ケーブルを屈曲させつつ当該屈曲箇所を該ケーブルの延長方向に移動不能に固定する構造を備えることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項7】
前記保持構造は、前記ケーブルの前記伸縮機構間における中間位置を保持する中間保持機構をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所と低所との間を重量物がスムーズに昇降することを実現する昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種装置は、高所に設置される場合があり、特に、公共の場所に設置される各種装置は、人の往来に邪魔にならずに、また、人の手が届かない高所に設置される場合には、適宜の保守点検等のために、その高所から地上の作業員の手元位置まで降下させる機能を備える必要がある。例えば、鉄道の駅、空港、公園、博覧会会場など、人が集まり、また、移動する際の経由場所となる広場あるいは建物内などには、様々な用途に対応した機器を設置する必要がある。具体的には、各種情報を表示するモニタや鉄道などの案内掲示板に加えて、設置箇所の状況等を収集把握するために設置されるカメラを含む様々な機器が高所に設置されている。
【0003】
このような高所設置の装置機器は、薄型のモニタや小型カメラなどのような軽量の装置機器だけでなく、駅や空港の行先掲示板のように大きな重量物などの場合もあり、さらに、装置機器自体が複数台設置されていたり、あるいは、装置機器に付属するケーブル類や周辺機器が一緒に設置されている場合もある。このような高所の装置機器は、軽量小型あるいは大容積重量物のいずれでも、例えば、特許文献1に記載のように、安全な降下および上昇を実現する昇降装置に搭載するのが、邪魔になる脚立などを用いることなく保守点検等を可能にするのに好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような高所に設置の装置機器は、ハウジング内に収容することが多用されており、高所に設置する装置機器にケーブル類が接続されている場合には、低所のメンテナンス位置から高所に戻す際に、接続するケーブルが自由に屈曲するのでは、そのケーブルを高所のハウジング内に簡易かつ容易に収容することが難しく作業が煩雑になってしまうとともに、そのケーブルがハウジング外にはみ出たり、挟まって切断されてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、高所の装置機器を低所のメンテナンス位置までケーブルを延長状態にしつつ降下させた後に、そのケーブルを高所に戻す際にコンパクトな状態にすることのできる、その装置機器の昇降装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する昇降装置の発明の一態様は、高位置に配置される高所装置を当該高位置と手元作業の可能な低位置との間を昇降可能に支持する昇降装置であって、前記高位置に設置されて前記高所装置を高所に保持する保持部材と、前記高所装置を支持しつつ前記保持部材との連携時には当該高所装置を前記高位置に保持するとともに当該保持部材との連携の解消時には該高位置から降下する支持部材と、前記保持部材および前記支持部材の双方に繋げられて前記高所装置の上下動に応じて全長が伸縮される伸縮機構と、前記高位置から延長されて前記高所装置に接続されて当該高所装置の上下動に応じて屈曲するケーブルを保持するケーブル保持機構と、を備え、前記伸縮機構は、前記高所装置の機能における少なくとも前面側を除く周囲の複数個所に配置されており、前記ケーブル保持機構は、前記伸縮機構の伸縮方向に離隔する複数個所に配置されて前記ケーブルを保持する保持構造により構成されて、当該伸縮機構毎に順次に渡される当該ケーブルを複数の当該保持構造が保持しつつ前記高所装置の上下動に応じて互いに近接または離隔して該ケーブルをコンパクトにまとめることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このように本発明の一態様によれば、高所装置は、保持部材に支持部材が連携する状態では高位置に保持されて、その連携状態の解除で上下動される場合に、少なくとも前面側を除く周囲の複数個所に配置されて全長が伸縮される伸縮機構の伸縮方向複数個所のケーブル保持機構(保持構造)毎に保持されているケーブルが高所装置の昇降に応じて屈曲されつつコンパクトにまとめられる。
【0009】
したがって、前面側を覆うことなく周囲の任意の複数個所に配置されている伸縮機構の伸長に連れて低位置から高所装置を上昇させる際には、高所装置に接続されているケーブルが屈曲されてコンパクトな状態で高位置に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る昇降装置を備えるモニタハウジングの一例を示す高所位置での概略全体構成を示す図であり、(a)はその透視概念側面図、(b)は(a)におけるIb―Ib断面矢視図である。
【
図2】
図2は、そのモニタハウジングのモニタを低位置に降下させた状態を示す概略全体構成を示す図であり、(a)はその透視概念側面図、(b)はその透視概念正面図である。
【
図3】
図3は、その要部構成のスライド部材を示す図であり、(a)はその伸長状態を示す斜視図、(b)はその縮小状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すスライド部材の他の形態を示す図であり、(a)はそのスライド部材の均等分割例を示す透視概念側面図、(b)はその不均等分割例を示す透視概念側面図である。
【
図5】
図5は、
図3および
図4に示すスライド部材の他の形態を示す図であり、(a)はそのスライド部材の向きを示す概念平面図、(b)はそのスライド部材の向きの混合例を示す概念平面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示すモニタを低位置に降下させた状態のモニタハウジングを示す図であり、(a)はその側面図、(b)はそのモニタに接続する電気ケーブルを含めて示す透視概念正面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す電気ケーブルの収納を説明する図であり、(a)はスライド部材に保持される電気ケーブルの状態を示す正面図、(b)はその電気ケーブルを保持する機構を示す斜視図、(c)は(b)と異なる状態の保持機構を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7示す電気ケーブルの持機構の他の形態を示す図であり、(a)はその
図7(b)と同じ状態を示す斜視図、(b)は(a)と異なる状態の保持機構を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、その要部構成のストッパ機構を示す透視斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示すストッパ機構の機能を説明する図であり、(a)は要部構成である定荷重バネを動作可能に開放する状態を示す平面図、(b)はその定荷重バネの動作を制限する状態を示す平面図である。
【
図11】
図11は、
図9に示すストッパ機構の操作を説明する図であり、(a)はその定荷重バネの動作の制限または開放を切り替える境界での状態を示す平面図、(b)はその定荷重バネの動作開放状態を示す平面図、(c)はその定荷重バネの動作制限状態を示す平面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施形態に係る昇降装置を備えるモニタハウジングの一例を示すモニタを低位置に降下させた状態を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はそのモニタに接続する電気ケーブルを含めて示す透視概念正面図である。
【
図13】
図13は、その要部構成のスライド部材の伸長状態を電気ケーブルの保持機構を含めて示す一部拡大斜視図である。
【
図14】
図14は、
図13に示す電気ケーブルの保持機構を示す図であり、(a)はその一方向からの斜視図、(b)はその(a)と異なる方向からの斜視図、(c)はその平面図である。
【
図15】
図15は、
図12に示す電気ケーブルの収納を説明する図であり、(a)はスライド部材に保持される電気ケーブルの状態を示す正面図、(b)はその電気ケーブルの中間を保持する部材を示す斜視図、(c)は(b)と異なる傾斜の電気ケーブルの中間保持部材を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、そのモニタハウジングの
図1(b)と同様に高所位置での概略全体構成を示す断面図である。
【
図18】
図18は、
図17に示すストッパ機構の機能を説明する図であり、(a)は定荷重バネの動作を制限する状態を示す平面図、(b)はその定荷重バネの動作開放状態を示す平面図である。
【
図19】
図19は、
図17に示すストッパ機構の操作を説明する図であり、(a)はその定荷重バネの動作の制限または開放を切り替える境界での状態を示す平面図、(b)はその定荷重バネの動作制限状態を示す平面図、(c)はその定荷重バネの動作開放状態を示す平面図である。
【
図20】
図20は、電気ケーブルを従来構造で保持するモニタハウジングに本発明を適用する形態を示す図であり、(a)はモニタを低位置に降下させた状態を示す側面図、(b)はその電気ケーブルの従来の保持構造を含めて示す透視概念正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1~
図11は本発明の第1実施形態に係る昇降装置を備えるモニタハウジングの一例を示す図である。
【0013】
図1において、モニタ(高所装置)100を昇降可能に収容するモニタハウジング10は、例えば、駅舎などの天井付近の高所(高位置)に上部側の取付部13fを固定することによって設置されている。モニタハウジング10は、モニタ100の下部を支持する台座部11と、そのモニタ100の各種情報を表示出力する前面側の画面101を外部に露出させるように台座部11と共に周囲を囲う外装部13と、を備えている。
【0014】
このモニタハウジング10は、台座部11がモニタ100の前側の画面101周囲の前部を保持する前面部11fを備えて、外装部13がそのモニタ100の画面101に対する上方の上面部13u、両側方の側面部13sおよび後方の背面部13bを備えており、これらの台座部11および外装部13がモニタ100の画面101以外を覆うようになっている。
【0015】
また、モニタハウジング10は、外装部13がモニタ100の下部に位置する台座部11を係合連携して保持するように、その側方下部の前後2か所に配置されている係合部15が機能することによって、後述する昇降機構により手元でメンテナンス作業可能な最下の低所まで降下する台座部11(
図2を参照)をモニタ100と共に降下させないように通常のモニタ動作(稼働)する高所に維持する。すなわち、台座部11は高所装置のモニタ100を高所に維持するとともに降下可能に支持することから支持部材を構成し、外装部13は高位置の天井付近に設置されてそのモニタ100を支持する台座部11をその高位置に保持することから保持部材を構成している。
【0016】
係合部15は、例えば、台座部11の両側面の前後2か所で外方に付勢されている突起15aが外装部13の両側面部13sの下部に開口されている係合穴15b内に進入することにより係合状態を維持して台座部11と外装部13とを連携させるようになっており、突起15aを内方にスライドさせて係合穴15bから離脱させることにより連携係合状態を解消するようになっている。なお、
図1(b)では、左側の係合部15の突起15aおよび係合穴15bの双方を露出させて図示している。ここで、本実施形態では、台座部11と外装部13とを連携させる構造として係合部15を採用するが、これに限るものではなく、例えば、螺子止めして連携状態にすることで外装部13に台座部11を高所に位置決め支持させてもよく、また、電磁力を利用するなど何らかの形態で連携させる機構を採用してもよいことは言うまでもない。
【0017】
また、モニタハウジング10は、
図2に示すように、モニタ100の左右外側に一対の定荷重バネ21が配置されてモニタ100を支持する台座部11とそのモニタ100を覆う外装部13とが繋げられている。
【0018】
定荷重バネ21は、所定の弾性力で巻取り状態に戻ろうとして台座部11および外装部13を互いに近接させる方向の弾性力を付加する板バネ本体21aにより構成されており、台座部11に取り付けられている収納部29から引き出された板バネ本体21aの伸縮先端部21cが外装部13上部に固定されている。この定荷重バネ21は、板バネ本体21aの巻取り状態に復帰する弾性力がモニタ100を含む台座部11の重量にバランスするように設定されることによって、その巻き取る方向の弾性力を介して外装部13から離隔して降下する台座部11の高さが急激に変化(高速落下および高速上昇)してしまうことがないように移動速度を抑制するようになっている。すなわち、定荷重バネ21は板バネ本体21aが伸縮部材として機能する落下抑制機構を構成している。
【0019】
これにより、モニタハウジング10は、大きな力を必要とすることなく台座部11を掴んで軽く上下させるだけで高位置と低位置の間を往復移動するように昇降させることができ、大きな注意を払うことなく高所から低所にモニタ100を降ろしてメンテナンス作業(手元作業)を行うことができ、その作業後には低所から高所に上昇させて天井付近に戻してモニタ稼働させることができる。
【0020】
さらに、モニタハウジング10は、モニタ100の左右一対の定荷重バネ21の設置位置のそれぞれに剛性のスライド部材(短尺部材)23の複数個が定荷重バネ21と同様に台座部11と外装部13とを繋げるように取り付けられている。スライド部材23は、詳細には後述するように断面長方形の角筒形状に形成されてモニタ100の左右外側で前後方向と平行になって定荷重バネ21の板バネ本体21aを収容するように取り付けられており、複数個が長さ方向に相対スライド可能に連結されて全長を伸縮可能に組み立てられて定荷重バネ21の板バネ本体21aの全体を収容可能にされている。なお、本実施形態では、定荷重バネ21とスライド部材23を同じ個所に設置しているが、これに限るものではなく、邪魔にならない他の場所に設置するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0021】
これにより、モニタハウジング10は、外装部13に吊り下げ支持される台座部11がモニタ100を含む荷重の偏りや定荷重バネ21の板バネ本体21aの弾性力の差を含めて、そのモニタ100の左右外側で定荷重バネ21の板バネ本体21aを収納する複数個のスライド部材23により連結支持されている。このモニタハウジング10は、モニタ100を昇降させる際の力の入れ方で前後左右あるいは捻じれて回転しようとする現象が発生し易く、特に、台座部11を押し上げて外装部13内にモニタ100をスムーズに収容することが難しくなってしまうが、左右一対の両側に配置されている複数個の剛性のスライド部材23によりそのモニタ100の前後左右の振れや捻じれ回転が抑制される。この複数個の剛性のスライド部材23は、モニタ100の左右両側に設置されるので、前面側の画面101の視認を妨げてしまうこともなく、また、従来にはモニタ100の回転などを抑制するために設置する背骨構造のように背面側からのメンテナンス作業の作業性を低下させてしまうこともない。すなわち、モニタ100の左右両側面の外側に配置される複数個の剛性のスライド部材23が伸縮機構と共に回転抑制機構やカバー構造を構成している。ここで、スライド部材23は、モニタ(高所装置)100の機能である前面側の画面101の視認性を妨げない配置を一例として例示するが、これに限るものではなく、例えば、モニタ100の前面側だけでなく側面側や背面側も含めて、他の機器との接続機能や、装置の設定操作や稼働操作等を行う操作部などの操作機能やその他の機能を損なうことのない複数個所に設置するようにするのが好適である。また、モニタ100の各種機能を妨げないようにすることは他の部材や機構等の配置に関しても同様である。
【0022】
スライド部材23は、
図3に示すように、台座部11と外装部13の上面部13uとの間の間隔よりも短い高さ(長さ)に形成されて長さ方向に連続しつつ、内部に定荷重バネ21の板バネ本体21aを収容可能な断面長方形の角筒形状の相似形状に形成されている。このスライド部材23は、モニタ100が高所に位置する際には両端部間が重なる縮小状態でそれぞれ内部に入れ子式に、言い換えると、所謂、マトリョーシカ形式でスライド自在に順次に挿入されて伸縮自在のカバー構造に組み立てられている。なお、スライド部材23は、上端側および下端側に位置して外装部13の上面部13uや台座部11に連結される端部側に、所謂、フランジ形状に広がる鍔形状片23aが形成されて螺子止め固定されるようになっている。
【0023】
また、スライド部材23は、断面長方形の短尺側の片面23bに長さ方向に延在するスライド溝23sが形成されて、その反対側の片面23bにはそのスライド溝23s内に離脱不能に差し込まれて長さ方向にスライドする突起23pが形成されており、このスライド溝23sと突起23pが複数のスライド部材23の両片面23bにおいて上下方向で交互に位置するように配置されて伸縮可能に組み立てられている。
【0024】
この構造では、スライド部材23は、突起23pと共に交互に配置することでスライド溝23sを長手方向に十分に延長させて形成することができ、そのスライド溝23sに突起23pを係合させて有効に相対スライドさせることができる。このため、モニタハウジング10は、少ない本数のスライド部材23同士を十分に相対スライド(伸長)させて外装部13の上面部13uから台座部11を十分に降下させて離隔させることができ、そのスライド部材23をコンパクトに重ねる状態にして収容することができる。
【0025】
ここで、本実施形態の定荷重バネ21およびスライド部材23は、モニタ100の左右一対となるように外装部13の上面部13uや台座部11に配置するが、これに限るものではなく、例えば、
図4(a)に示すように、前後に均等幅に分割し、または、
図4(b)に示すように、前後に不均等幅に分割して計4か所に設置してもよく、不均等分割の場合には、前後の片側のみに定荷重バネ21を収容するようにしてもよい。あるいは、定荷重バネ21およびスライド部材23は、
図5(a)に示すように、モニタ100の背面側で前後方向に対して直交する横向きにして剛性を向上させるように設置してもよく、そのスライド部材23内には定荷重バネ21を収容してもしなくてもよく、さらに、モニタ100の左右で対称に配置する必要もなく、例えば、
図5(b)に示すように、
図4(a)および
図5(a)に示す配置を混合させてもよく、さらに、左右で本数を変えるなどして合計で奇数本になるように配置してもよい。
【0026】
ところで、モニタ100は、台座部11と共に最下の低所まで降下させてメンテナンス作業を行う際にも電気ケーブル(電源ラインや信号ライン)が必要であることから、モニタハウジング10は、
図6に示すように、取付部13fを介して駅舎などの天井側に接続されている複数本の電気ケーブルCをモニタ100の背面側に接続させたまま昇降可能に構築されている。その電気ケーブルCは、外部にはみ出たり挟まれたりしないように、何らの対策機構がない場合には都度台座部11上に押し込まなければならず、また、その電気ケーブルCには剛性が高い種類もあって容易に押し込むことができない場合がある。このことから、電気ケーブルCは、モニタ100の左右に配置されているスライド部材23の間でコンパクトなつづら折りになるように屈曲されて、そのスライド部材23の内側に突出する形態の保持器(ケーブル保持機構)31にその屈曲部Cbを保持されるようになっている。
【0027】
このスライド部材23は、
図3に示すように、モニタ100の左右両側の内側で対面する断面長方形の長尺側の片面23cの中央に上下両端側まで延長されている開口部23dが形成されており、その開口部23dの内側にスライド不能に一体化されて内部の定荷重バネ21の板バネ本体21aを隠すように収納するカバー板25が固定されている。このカバー板25は、スライド部材23の開口部23dの上部に電気ケーブルCの屈曲部Cbを保持する保持器31を内側に突出する姿勢で固定されており、
図6に示すように、スライド部材23のスライドに連動して伸長時には保持器31を離隔位置に位置させるとともに、
図3(b)に示す縮小時には保持器31をコンパクトになるように隣接位置に位置させ、その伸長および縮小の途中には、
図3(a)および
図7(a)に示すように、その保持器31と共に保持する電気ケーブルCの屈曲部Cbの位置を移動させるように作製されている。
【0028】
これにより、モニタハウジング10は、スライド部材23がモニタ100の左右両側に位置して定荷重バネ21の板バネ本体(露出部材)21aの鋭い両側辺側を覆って作業員等が触れてしまう可能性を低減することがき、さらに、そのスライド部材23の開口部23dをカバー板(保持構造)25で閉じてその板バネ本体21aが何らかの要因で外部に出てしまうことを抑制することができ、安全性を確保することができる。
【0029】
保持器31は、
図7に示すように、スライド部材23(カバー板25)に固定されるホルダ部材33と、このホルダ部材33に支持される2本一組の調整棒35a、35bと、この調整棒35a、35bに両端側を支持される一対のバネ部材37と、を備えて構築されている。ホルダ部材33は、コの字形状に形成されて対面姿勢で水平方向に突出する一対の腕部33aの間のベース部33bがカバー板25に螺子止め固定されている。1本の調整棒35aは、ホルダ部材33の腕部33aの先端側からベース部33bに近接する位置まで水平方向に延在するスライド溝33sにスライド自在に差し込まれて離脱不能にワッシャを介して螺子止め支持されており、もう1本の調整棒35bは、そのホルダ部材33のベース部33bに隣接する位置で腕部33aの間に螺子止め固定されている。一対のバネ部材37は、2本一組の調整棒35a、35bに互いを近接させる方向の弾性力で牽引するように両端側を連結されている。すなわち、ホルダ部材33のスライド溝33sが電気ケーブルCの屈曲部Cbに位置する調整棒35aをスライド移動することを許容する移動機構を構成し、また、バネ部材37がその調整棒35aをスライド部材23に接近させる方向に付勢する付勢部材を構成している。
【0030】
この保持器31は、モニタ100の左右に位置して電気ケーブルCのつづら折りに対応するようにスライド部材23に設置されており、そのホルダ部材33の腕部33aのスライド溝33sに水平方向にスライド自在に支持されている調整棒35aは、バネ部材37の弾性力でスライド部材23(ホルダ部材33のベース部33b)に近接する方向に牽引されつつその電気ケーブルCを屈曲させる状態で巻き掛けられる。
【0031】
これにより、モニタハウジング10は、
図7(a)に示すように、モニタ100の左右側で上下方向にスライドして全長を伸縮させるスライド部材23に連動して保持器31の互いの離隔間隔を変化されることにより、屈曲させる電気ケーブルCのつづら折り状態を維持しつつその電気ケーブルCを外装部13内やスライド部材23間に収まるコンパクトな状態に保持することができる(
図1(b)や
図7(a)を参照)。このとき、保持器31は、スライド部材23が全長の伸長方向にスライドする際には、
図7(b)に示すように、スライド自在に支持されている調整棒35aが、バネ部材37の弾性力に抗してスライド部材23から離隔する方向に変位して直線的になろうとする電気ケーブルCにより牽引される。また、保持器31は、反対に、スライド部材23が全長を縮小状態にスライドする際には、
図7(c)に示すように、スライド自在に支持されている調整棒35aは、バネ部材37の弾性力によってスライド部材23に接近する方向にスライドして電気ケーブルCを牽引しつつ小さく屈曲させる。
【0032】
ここで、本実施形態の保持器31は、電気ケーブルCを調整棒35aに巻き掛けるようにして屈曲させるだけであることから、その電気ケーブルCにおける屈曲部Cbの形成位置が長さ方向にずれて屈曲することを許容するが、
図8に示すように、その調整棒35aに電気ケーブルCを押し付けて移動不能に固定するプレート(固定構造)35pを設置して電気ケーブルCにおける屈曲部Cbの位置がずれないように癖付けるようにしてもよい。
【0033】
そして、モニタハウジング10は、モニタ100の左右側に設置されて台座部11が高速に昇降しないように弾性力と重量とをバランスさせつつ支持する一対の定荷重バネ21の板バネ本体21aの引出し(巻出し)および巻取りを制限するストッパ機構41がその台座部11に設置されている。
【0034】
ストッパ機構41は、
図9および
図10に示すように、モニタ100の左右外側に位置するように台座部11上に設置されて定荷重バネ21の板バネ本体21aを引出し可能に巻き取って収納する収納部29として機能する枠体49内に構築されており、その枠体49内の左右に位置する一対のブレーキ部材43と、この左右一対のブレーキ部材43を枠体49の左右端部に設置されて巻き取られている状態の板バネ本体21aに押し付ける押し付け構造45と、を備えている。
【0035】
ブレーキ部材43は、板バネ本体21aの巻き芯と平行方向に延在して、その板バネ本体21aの外周面に長尺かつ大面積で圧接して引出しまたは巻取り方向の回転を制限するパッド部(個別制限部)43pと、そのパッド部43pの下辺側から枠体49の中心に向かう方向に延長されているベース板43bと、このベース板43bの両側辺から枠体49のモニタ100の画面101と平行方向に延長されて対面する枠体49の両壁面49wの上縁を囲むように断面コの字形状に形成されてスライド自在に保持して支持されるホルダ43hと、を備えている。
【0036】
このブレーキ部材43は、モニタ100の左右外側に位置する枠体49の左右端部のそれぞれにおいて、枠体49の両壁面49wに沿ってホルダ43hが支持されつつスライドして進退するパッド部43pが、その枠体49の両端側に回転自在に収納されている板バネ本体21aの外周面にそれぞれ同時に圧接またはその圧接を解消することによって、その板バネ本体21aの引出しおよび巻取りを制限またはその制限を開放することができる。
【0037】
押し付け構造45は、枠体49の中央で回転自在に設置されている円盤部材(切替機構)45dと、この円盤部材45dの上面に把持可能に取り付けられて回転操作するハンドル(共通操作部)45hと、円盤部材45dの外周縁の所定位置と後述の底上げ部材46の所定位置とに両端部を固定されている一対のスプリング(付勢部材)45sと、円盤部材45dの外周縁とブレーキ部材43のベース板43bとを連携させるように取り付けられる左右2組の連結棒47と、を備えている。このうちの連結棒47は、リンク構造として機能するようにそれぞれの一端側を相対回転自在に連結されている連結回転棒47rおよび連結直進棒47dにより構築されている。連結回転棒47rは、他端側を円盤部材45dの外周縁の所定位置に回転自在に連結されており、連結直進棒47dは、他端側をブレーキ部材43のベース板43bのパッド部43pから離隔する位置に連結されているとともに、枠体49の底面に壁状に立てられている規制板48に形成されているスリット48sに左右から挟み込まれることで、ブレーキ部材43(パッド部43p)と同一の進退方向に直線的にスライドするように取り付けられている。また、円盤部材45dおよび連結棒47は、枠体49の底面に設置されている底上げ部材46上に配置されており、スプリング45sは、それらの動作の妨げにならないように、底上げ部材46下に配置されている。なお、スプリング45sは、各図中に1つのみを図示するが、弾性力を円盤部材45dに均等に付加して牽引するように、その回転軸を中心にする回転対称位置に一対の形態で配置されている。
【0038】
この押し付け構造45は、
図10(a)に示すように、枠体49の両端側に収納されている板バネ本体21aの外周面に一対のブレーキ部材43のパッド部43pのそれぞれを圧接させる方向に円盤部材45dを回転させるように一対のスプリング45sの弾性力を付与して牽引するように設置されている。同様に、押し付け構造45は、反対に、
図10(b)に示すように、枠体49の両端側の板バネ本体21aの外周面から一対のブレーキ部材43のパッド部43pのそれぞれが離隔して圧接を解消する方向に円盤部材45dを回転させるように一対のスプリング45sがそれぞれ弾性力を付与して牽引するように設置されている。要するに、押し付け構造45は、枠体49内に配置されている左右一対のブレーキ部材43を一対のスプリング45s毎の弾性力を利用して左右対称に進退移動させることによって、定荷重バネ21の巻き取られている左右の板バネ本体21aの外周面に同時に圧接させ、また離隔させることを実現するように構築されている。
【0039】
詳細には、押し付け構造45は、
図11(a)に示すように、円盤部材45dの中心上に一対のスプリング45sがそれぞれ位置するようにハンドル45hを回転操作する中立状態から、
図11(b)に示すように、板バネ本体21aの外周面に一対のブレーキ部材43のパッド部43pを圧接させる方向に円盤部材45dをさらに回転させると、その
図11(a)に示す中立状態を超える方向に逆回転させない限り、そのブレーキ部材43のパッド部43pが板バネ本体21aの外周面に圧接して回転不能にする状態を維持することができる。
【0040】
この押し付け構造45は、反対に、
図11(a)に示す中立状態から、
図11(c)に示すように、板バネ本体21aの外周面から一対のブレーキ部材43のパッド部43pがそれぞれ離隔する方向に円盤部材45dをさらに回転させると、その
図11(a)に示す中立状態を超える方向に逆回転させない限り、そのブレーキ部材43のパッド部43pが板バネ本体21aの外周面から離隔して回転可能にする状態を維持することができる。
【0041】
これにより、モニタハウジング10は、メンテナンス作業する低所など任意の高さで、台座部11上の枠体49内のハンドル45hを正逆回転させることによって、ストッパ機構41のブレーキ部材43のパッド部43pを定荷重バネ21の板バネ本体21aの外周面に圧接(回転不能)させて不用意に台座部11と共にモニタ100が昇降してしまうことを回避することができ、また、その圧接を解消させてモニタ100と共に台座部11を昇降させることができる。
【0042】
このように、本実施形態のモニタハウジング10においては、モニタ100を支持する台座部11を係合部15により外装部13に係合連携させて高所に維持するとともに、その係合連携を解除して降下させることができる。このとき、モニタ100(台座部11)が高速落下してしまうことを定荷重バネ21により抑制するとともに、その定荷重バネ21の枠体49(収容部29)から外部に露出する板バネ本体21aをスライド部材23(カバー板25を含む)内に収容して作業員が不用意に触れることを制限して安全を図ることができる。このスライド部材23は、モニタ100周りで台座部11と外装部13に繋ぐように複数本を上下方向にスライド自在に配置されることによって台座部11が回転してしまうことを抑制することができる。さらに、モニタ100に接続する電気ケーブルCは、つづら折りにされてスライド部材23と共に上下動する保持器31に屈曲部Cbを保持させて外装部13内にはみ出ることのないようにコンパクトに収容することができる。この定荷重バネ21は、押し付け構造45を操作するだけで、ストッパ機構41のブレーキ部材43のパッド部43pを板バネ本体21aに圧接させて引出しや巻取りを制限することができ、突然、台座部11(モニタ100)が昇降してしまうことを制限することができる。
【0043】
したがって、モニタハウジング10は、モニタ100を収容するとともに、必要に応じてメンテナンス作業する手元の低所と天井付近の高所との間を快適に安全かつ容易に昇降させることができる。
【0044】
<第2実施形態>
次に、
図12~
図19は本発明の第2実施形態に係る昇降装置を備えるモニタハウジングの一例を示す図である。ここで、本実施形態は上述実施形態と同様に構成されていることから、同様の構成には同一の符号を付して簡単に説明する。
【0045】
図12において、モニタハウジング10は、上述実施形態における保持器31に代えて、同様にスライド部材23のカバー板25に内側に突出するように設置されて電気ケーブルCがコンパクトなつづら折りになるようにその屈曲部Cbを保持する保持器(ケーブル保持機構)131を備えている。
【0046】
保持器131は、
図13および
図14に示すように、スライド部材23のカバー板25に固定されるホルダ部材33と、このホルダ部材33の一対の腕部33aに螺子止めされて電気ケーブルCの屈曲部Cbを移動不能に挟み込むように固定される一対のプレート(固定構造)135a、135bと、を備えて構築されている(
図3も参照)。
【0047】
これにより、モニタハウジング10は、
図15(a)に示すように、モニタ100の左右側で上下方向にスライドして全長を伸縮させるスライド部材23に連動して保持器131の互いの離隔間隔を変化されることにより、電気ケーブルCのつづら折り状態を屈曲部Cbの位置を延長方向に変化させることなく維持しつつその電気ケーブルCを外装部13内やスライド部材23間に収まるコンパクトな状態に保持することができる。このとき、電気ケーブルCはスライド部材23毎に設置されている保持器131に屈曲部Cbを延長方向に滑ることなく固定支持されていることから、その保持器131の間で自由に変形することを許容されると、外装部13内やスライド部材23間からはみ出る状況になる可能性があることから、このモニタハウジング10には、その電気ケーブルCに固定治具133を取り付けるとともに、外装部13内にワイヤ135wを小さな力で巻き取るゼンマイワイヤ135を設置されている。
【0048】
具体的には、固定治具133は、電気ケーブルCの屈曲部Cbを保持するスライド部材23(保持器131)間の中央を挟み込む一対のプレート133pの一端部にリング133rが一体形成されており、ゼンマイワイヤ135は、外装部13内のモニタ100上部に位置するようにワイヤ135wを巻き取る収納部135sを設置して、その収納部135s内から引き出したワイヤ135wを固定治具133のリング133rに通して左右にぶれる(ずれる)ことを制限するようになっている。このとき、電気ケーブルCは、スライド部材23が全長の縮小方向にスライドする状態では、
図15(b)に示すように、固定治具133がゼンマイワイヤ135により中央に位置するように規制されつつ接近するつづら折れ状態になって、先の実施形態の
図1(b)に対応する
図16に示すように、外装部13内にコンパクトに収容される。反対に、電気ケーブルCは、スライド部材23が全長を伸長状態にスライドする状態では、
図15(c)に示すように、固定治具133がゼンマイワイヤ135により中央に位置するように規制されつつ大きく傾斜するつづら折れ状態に保持される。すなわち、固定治具133およびゼンマイワイヤ135が電気ケーブルCの中央(中間位置)を保持する中間保持機構を構成している。
【0049】
そして、モニタハウジング10は、上述実施形態における1組のストッパ機構41に代えて、一対の定荷重バネ21の板バネ本体21aの引出し(巻出し)および巻取りを制限する2組のストッパ機構141が台座部11に設置されている。
【0050】
ストッパ機構141は、
図17および
図18に示すように、モニタ100の左外側または右外側に位置するように台座部11上に設置されて定荷重バネ21の板バネ本体21aを引出し可能に巻き取って収納する収納部29として機能する枠体49内に構築されており、その枠体49内の左側端部および右側端部に位置する2組のブレーキ部材43と、これらブレーキ部材43を枠体49の左右端部に設置されて巻き取られている状態の板バネ本体21aのそれぞれに押し付ける2組の押し付け構造145と、を備えている。
【0051】
押し付け構造145は、枠体49の左右端部のブレーキ部材43よりも内側にそれぞれ位置して回転自在に設置されている円盤部材(切替機構)145dと、これら円盤部材145d毎の外周縁から外方に把持可能に延長されてそれぞれ別個に回転操作可能なハンドル(個別操作部)145hと、円盤部材145d毎の外周縁の所定位置と後述の底上げ部材146の所定位置とに両端部を固定されているスプリング(付勢部材)145sと、これら円盤部材145dのハンドル145hと異なる別個の外周縁位置から外側かつ上方に突出する連結突起145rと、ブレーキ部材43のベース板43bのパッド部43pから離隔する位置でそのパッド部43pの移動方向に対する直交方向に延在して連結突起145rをスライド自在かつ離脱不能に差し込まれて係合するスライド溝143sと、を備えている。すなわち、ストッパ機構141は、上述実施形態のストッパ機構41よりも簡易な構造の少ない部品点数で構築可能に構成されている。ここで、円盤部材145dは、枠体49の底面に設置されている底上げ部材146上に配置されており、スプリング145sは、その動作の妨げにならないように、底上げ部材146下に配置されている。
【0052】
この押し付け構造145は、
図18(a)に示すように、枠体49の両端側に収納されている板バネ本体21a毎の外周面に2組のブレーキ部材43のパッド部43pのそれぞれを別個に圧接させる方向に円盤部材145d毎を回転させるようにスプリング145sのそれぞれの弾性力を付与して別個に牽引するように設置されている。同様に、押し付け構造145は、反対に、
図18(b)に示すように、枠体49の両端側の板バネ本体21aの外周面から2組のブレーキ部材43のパッド部43pのそれぞれが離隔して圧接を解消する方向に円盤部材145d毎を回転させないようにスプリング145sのそれぞれが別個に弾性力を付与して牽引するように設置されている。要するに、押し付け構造145は、枠体49内に配置されている左右一対のブレーキ部材43をスプリング45s毎の弾性力を利用して別個に進退移動させることによって、定荷重バネ21の巻き取られている左右の板バネ本体21aの外周面に任意のタイミングで圧接させ、また離隔させることを簡易な構造で実現するように構築されている。
【0053】
詳細には、押し付け構造145は、
図19(a)に示すように、円盤部材145dの中心上にスプリング145sが位置するように別個のハンドル145hを回転操作する中立状態から、
図19(b)に示すように、板バネ本体21aの外周面にブレーキ部材43のパッド部43pを圧接させる方向に円盤部材145dをさらに別個に回転させると、その
図19(a)に示す中立状態を超える方向に逆回転させない限り、そのブレーキ部材43のパッド部43pが板バネ本体21aの外周面に圧接して回転不能にする状態を維持することができる。
【0054】
この押し付け構造145は、反対に、
図19(a)に示す中立状態から、
図19(c)に示すように、板バネ本体21aの外周面から別個のブレーキ部材43のパッド部43pがそれぞれ離隔する方向に別個の円盤部材145dをさらに回転させると、その
図19(a)に示す中立状態を超える方向に逆回転させない限り、そのブレーキ部材43のパッド部43pが板バネ本体21aの外周面から離隔してそれぞれ回転可能にする状態を維持することができる。
【0055】
これにより、モニタハウジング10は、簡易な構造のストッパ機構141および押し付け構造145でも同様に、メンテナンス作業する低所など任意の高さで、台座部11上の枠体49内の左右に配置されているハンドル145hをそれぞれ正逆回転させることによって、ストッパ機構141のブレーキ部材43のパッド部43pを定荷重バネ21の板バネ本体21aの外周面に圧接(回転不能)させて不用意に台座部11と共にモニタ100が昇降してしまうことを回避することができ、また、その圧接を解消させてモニタ100と共に台座部11を昇降させることができる。
【0056】
このように、本実施形態のモニタハウジング10においては、ストッパ機構41を機能させる簡易な構造の押し付け構造145を容易に操作するだけで、台座部11(モニタ100)を適宜に昇降させて電気ケーブルCをコンパクトにつづら折りにしつつ外装部13内に収容することができ、上述実施形態による作用効果を同様に得ることができる。
【0057】
ここで、上述実施形態では、電気ケーブルCをスライド部材23毎の保持器31、131での屈曲部Cbを保持して収容状態に維持する形態を一例として説明するが、これに限るものではなく、例えば、
図20に示すように、複数の菱形形状の骨組み91が折り畳み可能に連続する所謂、パンタグラフ構造90を台座部11および外装部13の間で上下方向に伸縮するように設置して、その骨組み91に電気ケーブルCを這わせて支持させる場合にも、上述実施形態のスライド部材23などを適用してもよいことは言うまでもない。なお、
図20中の92はストッパであり、ストッパ92はパンタグラフ構造90の骨組み91の離隔状態を保持して、不用意に台座部11(モニタ100)が昇降してしまうことを制限する際に利用される。
【0058】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により特定される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0059】
10……モニタハウジング
11……台座部
13……外装部
15……係合部
21……定荷重バネ
21a……板バネ本体
23……スライド部材
23p……突起
23s……スライド溝
25……カバー板
29……収納部
31、131……保持器
33……ホルダ部材
33s……スライド溝
35a、35b……調整棒
35p……プレート
37……バネ部材
41、141……ストッパ機構
43……ブレーキ部材
43p……パッド部
45、145……押し付け構造
45d、145d……円盤部材
45h、145h……ハンドル
45s、145s……スプリング
49……枠体
100……モニタ
133……固定治具
133r……リング
135……ゼンマイワイヤ
135w……ワイヤ
C……電気ケーブル
Cb……屈曲部
【要約】
【課題】高所の装置機器を低位置までケーブルを延長しつつ降下後に、そのケーブルを高所に戻す際にコンパクトな状態にする当該装置機器の昇降装置を提供すること。
【解決手段】高位置のモニタ100を手元作業可能な低位置との間で昇降可能に支持する昇降装置を備えるモニタハウジング10であって、天井付近に設置されてモニタの周囲を覆う外装部13と、モニタを支持しつつ外装部に係合して保持されるとともに当該外装部との係合解消時には該高位置から降下する台座部11と、モニタ左右側の台座部と外装部の双方に繋げられてモニタの高速落下を抑制する定荷重バネ21と、定荷重バネを収容しつつモニタの上下動に応じて全長が伸縮される複数部材のスライド部材23と、スライド部材毎に設置されて該スライド部材間に渡す電気ケーブルCを屈曲させつつ当該屈曲箇所を保持する保持器31とを備える。
【選択図】
図6