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特許7383790サーバ装置、ネットワークシステム、情報提供方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】サーバ装置、ネットワークシステム、情報提供方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20231113BHJP
   G16H 10/60 20180101ALI20231113BHJP
【FI】
G16H10/00
G16H10/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022504944
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2020009845
(87)【国際公開番号】W WO2021176722
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 雄太
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0034642(US,A1)
【文献】特開2006-107134(JP,A)
【文献】特開2015-170074(JP,A)
【文献】特開2011-000185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と通信するサーバ装置であって、
メモリと、プロセッサと、を備え、
前記メモリは、
患者の情報と該患者を識別する患者識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶領域と、
患者に対する処置に用いる医療機器の識別情報と、該医療機器を用いて処置をする患者の患者識別情報と、処置中であるか否かを示すステータス情報と、を対応付けて記憶する第2の記憶領域と、を有するように構成され、
前記プロセッサは、
医療機器の識別情報を含む、患者の情報を要求する要求命令を前記ユーザ端末から受信し、
前記第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、受信した前記要求命令に含まれる前記医療機器の識別情報と対応付けられ、かつ前記ステータス情報が処置中である患者識別情報を特定し、前記第1の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、特定した前記患者識別情報と対応付けられた前記患者の情報を特定し
定した前記患者の情報を前記ユーザ端末に対して送信する、ことを実施するように構成されている、
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記患者の情報は、前記患者が受けた処置に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記患者に対する前記処置は、前記患者に対する検査であり、
前記患者の情報は、前記患者が受けた検査に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記医療機器の識別情報は、医療機器毎に付与されたシリアル番号である
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記医療機器の識別情報は、該医療機器を用いた処置を行う担当者を識別する情報である
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記医療機器の識別情報は、該医療機器が設置された場所を識別する情報である
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項7】
ユーザ端末と、前記ユーザ端末と通信するサーバ装置とを含むネットワークシステムであって、
患者の情報と該患者を識別する患者識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶領域、及び患者に対する処置に用いる医療機器の識別情報と、該医療機器を用いて処置をする患者の患者識別情報と、処置中であるか否かを示すステータス情報と、を対応付けて記憶する第2の記憶領域を有する1つ以上の記憶装置
を含み、
前記サーバ装置は、
医療機器の識別情報を含む、患者の情報を要求する要求命令を前記ユーザ端末から受信する受信部と、
前記第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、受信した前記要求命令に含まれる前記医療機器の識別情報と対応付けられ、かつ前記ステータス情報が処置中である患者識別情報を特定し、前記第1の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、特定した前記患者識別情報と対応付けられた前記患者の情報を特定する特定部と、
特定した前記患者の情報を前記ユーザ端末に対して送信する送信部と、
を備える
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項8】
ユーザ端末と通信するサーバ装置が、患者の情報を要求する要求命令を前記ユーザ端末から受信した場合に該要求命令に対する応答を前記ユーザ端末に送信する情報提供方法であって、
患者に対する処置に用いる医療機器の識別情報を含む前記要求命令を前記ユーザ端末から受信し、
医療機器の識別情報と、該医療機器を用いて処置をする患者の患者識別情報と、処置中であるか否かを示すステータス情報と、を対応付けて記憶する第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、受信した前記要求命令に含まれる前記医療機器の識別情報と対応付けられ、かつ前記ステータス情報が処置中である患者識別情報を特定し、
患者の情報と該患者を識別する患者識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、前記第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報の中から特定した前記患者識別情報と対応付けられた前記患者の情報を特定し、
特定した前記患者の情報を前記ユーザ端末に対して送信する、
ことを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
ユーザ端末と通信するサーバ装置に実行させるプログラムであって、
患者に対する処置に用いる医療機器の識別情報を含む要求命令を前記ユーザ端末から受信した場合に、
医療機器の識別情報と、該医療機器を用いて処置をする患者の患者識別情報と、処置中であるか否かを示すステータス情報と、を対応付けて記憶する第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、受信した前記要求命令に含まれる前記医療機器の識別情報と対応付けられ、かつ前記ステータス情報が処置中である患者識別情報を特定し、
患者の情報と該患者を識別する患者識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、前記第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報の中から特定した前記患者識別情報と対応付けられた前記患者の情報を特定し、
特定した前記患者の情報を前記ユーザ端末に対して送信する、
処理を前記サーバ装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、ネットワークシステム、情報提供方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関に構築される院内ネットワークは、該院内ネットワークに接続されたサーバ装置に患者の情報を含む医療情報を蓄積して一元的に管理することができ、医療機関の複数の職員(例えば、医師や看護師等)による医療情報の共有を可能にする。院内ネットワークが構築された医療機関の職員は、該院内ネットワークに接続された所定のユーザ端末(クライアント)を利用して、サーバ装置に蓄積された患者の情報を含む医療情報を閲覧することができる。院内ネットワークにはWEBシステムとして構築されたネットワークシステムがあり、この種の院内ネットワークにおけるユーザ端末とサーバ装置との通信には、例えば、HTTPプロトコル等の汎用の通信プロトコルが用いられる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
院内ネットワークに接続されたユーザ端末により医療情報を閲覧する際には、閲覧する医療情報を特定するための情報を含む要求命令を通信端末からサーバ装置に送信する。医療情報を特定するための情報には、例えば、患者を識別する情報が使用されるが、患者を識別する情報は個人情報の1つである。このため、個人情報を含む要求命令を通信端末からサーバ装置に送信する院内ネットワークには、個人情報の漏洩を防ぐために高レベルのセキュリティが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-180797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、院内ネットワークのセキュリティレベルは、院内ネットワークの規模や管理体制等の違いにより、院内ネットワーク毎に異なる。このため、セキュリティレベルが十分に高いとは言えない状態で院内ネットワークが稼働していることもある。そのようなセキュリティレベルが十分に高いとは言えない院内ネットワークにおいて個人情報を含む要求命令をユーザ端末からサーバ装置に送信する場合、該要求命令に含まれる個人情報が漏洩するリスクが高い。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、院内ネットワークにおける患者の個人情報の漏洩リスクを低減することが可能なサーバ装置、ネットワークシステム、情報提供方法、及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るサーバ装置は、ユーザ端末と通信するサーバ装置であって、メモリと、プロセッサと、を備え、前記メモリは、患者の情報と該患者を識別する患者識別情報と、を対応付けて記憶する第1の記憶領域と、患者に対する処置に用いる医療機器の識別情報と、該医療機器を用いて処置をする患者の患者識別情報と、処置中であるか否かを示すステータス情報と、を対応付けて記憶する第2の記憶領域と、を有するように構成され、前記プロセッサは、医療機器の識別情報を含む、患者の情報を要求する要求命令を前記ユーザ端末から受信、前記第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、受信した前記要求命令に含まれる前記医療機器の識別情報と対応付けられ、かつ前記ステータス情報が処置中である患者識別情報を特定し、前記第1の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、特定した前記患者識別情報と対応付けられた前記患者の情報を特定する特定部と、特定した前記患者の情報を前記ユーザ端末に対して送信する送信部と、を備えるサーバ装置である。
【0008】
本発明の一態様に係るネットワークシステムは、ユーザ端末と、前記ユーザ端末と通信するサーバ装置とを含むネットワークシステムであって、患者の情報と該患者を識別する患者識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶領域、及び患者に対する処置に用いる医療機器の識別情報と、該医療機器を用いて処置をする患者の患者識別情報と、処置中であるか否かを示すステータス情報と、を対応付けて記憶する第2の記憶領域を有する1つ以上の記憶装置を含み、前記サーバ装置は、医療機器の識別情報を含む、患者の情報を要求する要求命令を前記ユーザ端末から受信する受信部と、前記第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、受信した前記要求命令に含まれる前記医療機器の識別情報と対応付けられ、かつ前記ステータス情報が処置中である患者識別情報を特定し、前記第1の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、特定した前記患者識別情報と対応付けられた前記患者の情報を特定する特定部と、特定した前記患者の情報を前記ユーザ端末に対して送信する送信部と、を備えるネットワークシステムである。
【0009】
本発明の一態様に係る情報提供方法は、ユーザ端末と通信するサーバ装置が、患者の情報を要求する要求命令を前記ユーザ端末から受信した場合に該要求命令に対する応答を前記ユーザ端末に送信する情報提供方法であって、患者に対する処置に用いる医療機器の識別情報を含む前記要求命令を前記ユーザ端末から受信し、医療機器の識別情報と、該医療機器を用いて処置をする患者の患者識別情報と、処置中であるか否かを示すステータス情報と、を対応付けて記憶する第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、受信した前記要求命令に含まれる前記医療機器の識別情報と対応付けられ、かつ前記ステータス情報が処置中である患者識別情報を特定し、患者の情報と該患者を識別する患者識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、前記第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報の中から特定した前記患者識別情報と対応付けられた前記患者の情報を特定し、特定した前記患者の情報を前記ユーザ端末に対して送信する、情報提供方法である。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、ユーザ端末と通信するサーバ装置に実行させるプログラムであって、患者に対する処置に用いる医療機器の識別情報を含む前記要求命令を前記ユーザ端末から受信した場合に、医療機器の識別情報と、該医療機器を用いて処置をする患者の患者識別情報と、処置中であるか否かを示すステータス情報と、を対応付けて記憶する第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、受信した前記要求命令に含まれる前記医療機器の識別情報と対応付けられ、かつ前記ステータス情報が処置中である患者識別情報を特定し、患者の情報と該患者を識別する患者識別情報とを対応付けて記憶する第1の記憶領域に記憶された前記患者識別情報のうちの、前記第2の記憶領域に記憶された前記患者識別情報の中から特定した前記患者識別情報と対応付けられた前記患者の情報を特定し、特定した前記患者の情報を前記ユーザ端末に対して送信する、処理を前記サーバ装置に実行させるプログラム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、院内ネットワークにおける患者の個人情報の漏洩リスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る院内ネットワークを説明する図である。
図2】サーバ装置の記憶部に記憶される患者情報、検査情報、機器情報、及び検査オーダーの一例を説明する図である。
図3】一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる処理の一例を説明するシーケンス図(その1)である。
図4】一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる処理の一例を説明するシーケンス図(その2)である。
図5】サーバ装置が行う振り分け処理の一例を説明するフローチャートである。
図6】サーバ装置が行う検査中情報検索処理の一例を説明するフローチャートである。
図7】第1のユーザ端末に検査オーダーの一覧データを表示させる処理の具体例を説明する図である。
図8】第1のユーザ端末を利用して検査を振り分ける処理の具体例を説明する図である。
図9】検査を開始する際の処理の具体例を説明する図である。
図10】検査中に検査データを表示させる処理の具体例を説明する図である。
図11】第1のユーザ端末に表示される検査データの具体例を説明する図である。
図12】一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる患者情報を閲覧する処理の一例を説明するシーケンス図である。
図13】第1のユーザ端末に患者の詳細情報を表示させる処理の具体例を説明する図である。
図14】第1のユーザ端末に表示される患者の詳細情報の一例を説明する図である。
図15】一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる検査履歴を閲覧する処理の一例を説明するシーケンス図(その1)である。
図16】一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる検査履歴を閲覧する処理の一例を説明するシーケンス図(その2)である。
図17】第1のユーザ端末に検査履歴情報を表示させる処理の具体例を説明する図である。
図18】第1のユーザ端末に過去検査詳細情報を表示させる処理の具体例を説明する図である。
図19】コンピュータのハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るサーバ装置、院内ネットワーク、情報閲覧方法、及びプログラムについての実施形態を説明する。なお、以下の説明では、院内ネットワークにおける周知の構成、機能、及び処理についての詳細な説明を省略する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る院内ネットワークを説明する図である。図1に例示した院内ネットワーク1は、サーバ装置2、クライアントとしてのユーザ端末3(301及び302)、並びに検査機器4(401及び402)を含む。以下の説明では、図1に例示した2つのユーザ端末301及び302を区別しない場合にはユーザ端末3と記載する。以下の説明では、2つのユーザ端末301及び302を区別する場合には、それぞれ、第1のユーザ端末301及び第2のユーザ端末302と記載する。以下の説明では、図1に例示した2つの検査機器401及び402を区別しない場合には検査機器4と記載する。以下の説明では、2つの検査機器401及び402を区別する場合には、それぞれ、第1の検査機器401及び第2の検査機器402と記載する。なお、図1に例示した院内ネットワーク1は2つのユーザ端末3及び2つの検査機器4を含むが、本実施形態に係る院内ネットワーク1におけるユーザ端末3の数及び検査機器4の数は任意である。院内ネットワーク1は、ユーザ端末3の数と検査機器4の数とが異なっていてもよい。
【0015】
本実施形態におけるユーザ端末3は、院内ネットワーク1が構築された医療施設の特定の職員(例えば、医師、看護師、検査技師等の医療従事者)が利用可能であるように管理される情報処理装置である。ユーザ端末3は、例えば、タブレット型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ等の、通信可能な情報処理装置である。検査機器4は、患者に対する検査に使用される通信可能な電子機器である。第1の検査機器401及び第2の検査機器402を含む複数の検査機器は、例えば、内視鏡を利用した検査に用いられる検査機器、及びCT(Computed Tomography)検査やMRI(Magnetic Resonance Imaging)検査に用いられる検査機器等を含む。検査機器4は、院内ネットワーク1における医療機器の一例である。
【0016】
サーバ装置2、ユーザ端末3、及び検査機器4は、伝送路5を通じて相互に接続される。サーバ装置2、ユーザ端末3、及び検査機器4は、それぞれ、例えば、LAN(Local Area Network)ケーブル等の通信ケーブルにより伝送路5に接続される。サーバ装置2、ユーザ端末3、及び検査機器4のうちの1つ以上の装置は、例えば、伝送路5に接続された無線アクセスポイント(図示せず)との間で無線通信を行うことにより、伝送路5に接続されてもよい。また、ユーザ端末3は、伝送路5を介さずに検査機器4に接続されていてもよい。伝送路5を介さずに検査機器4と接続されるユーザ端末34は、例えば、検査機器4及び伝送路5を介してサーバ装置2と通信を行ってもよい。
【0017】
サーバ装置2は、患者の識別情報を含む医療情報を蓄積して一元的に管理する情報処理装置である。サーバ装置2は、通信部200、記憶部210、及び特定部220を含む。
【0018】
通信部200は、伝送路5を介してユーザ端末3、及び検査機器4等と通信する。通信部200は、受信部201、及び送信部202を含む。受信部201は、伝送路5によりユーザ端末3、及び検査機器4等からサーバ装置2に伝送される各種データを受信する。受信部201が受信するデータは、ユーザ端末3からの患者情報等の要求命令(リクエスト)と、検査機器4からの検査データとを含む。送信部202は、伝送路5によりユーザ端末3、及び検査機器4等に伝送する各種データを送信する。送信部202が送信するデータは、ユーザ端末3からの要求命令に対する応答(レスポンス)と、検査機器4に対する検査に関する情報(例えば、該検査機器4による検査を行う患者を識別する情報)とを含む。
【0019】
本実施形態の院内ネットワーク1におけるサーバ装置2の通信部200は、院内ネットワーク1における独自の通信プロトコルによる通信と、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)による通信とが可能である。例えば、ユーザ端末3は、サーバ装置2に対して患者情報を要求するHTTPリクエストを送信することができ、サーバ装置2は、該HTTPリクエストに対する応答(HTTPレスポンス)として要求された患者情報をユーザ端末3に送信することができる。したがって、ユーザ端末3の利用者は、ユーザ端末3で実行されるWebブラウザ上で、サーバ装置2の記憶部210に記憶(格納)された患者情報等の各種情報を閲覧することができる。例えば、第1の検査機器401が設置された第1検査室601において医師701が患者801の検査を行う場合、医師701は、第1のユーザ端末301を利用して患者801の患者情報等を閲覧することができる。同様に、第2の検査機器402が設置された第2検査室602において医師702が患者802の検査を行う場合、医師702は、第2のユーザ端末302を利用して患者802の患者情報等を閲覧することができる。
【0020】
サーバ装置2の記憶部210は、各種情報を記憶する。記憶部210は、患者情報記憶領域10、検査情報記憶領域11、機器情報記憶領域12、及び検査オーダー記憶領域13を含む。患者情報記憶領域10、検査情報記憶領域11、機器情報記憶領域12、及び検査オーダー記憶領域13には、それぞれ、例えば、図2に例示したような患者情報、検査情報、機器情報、及びオーダー情報が記憶(格納)される。
【0021】
図2は、サーバ装置の記憶部に記憶される患者情報、検査情報、機器情報、及び検査オーダーの一例を説明する図である。
【0022】
患者情報記憶領域10に記憶される患者情報は、例えば、患者の氏名、性別、年齢、及び血液型を含む患者に関する各種情報を含む。該患者情報は、患者を識別する患者識別情報である患者IDと対応付けて患者情報記憶領域10に記憶(格納)される。検査情報記憶領域11に記憶される検査情報は、患者が受けた検査に関する情報、例えば、検査日、検査種別、検査結果(検査データ)、及び所見等の情報を含む。該検査情報は、患者毎に、患者IDと対応付けて検査情報記憶領域11に記憶される。機器情報記憶領域12に記憶される機器情報は、院内ネットワーク1に接続された検査機器を識別する機器識別情報、例えば、機器のシリアル番号(SN)と、院内ネットワーク1における該検査機器のアドレスとを含む。検査オーダー記憶領域13に記憶されるオーダー情報は、例えば、院内ネットワーク1が構築された医療施設において特定の期間(例えば1日)に行われる検査及び検査データの管理に関する情報、例えば、検査を受ける患者の患者ID、検査の進捗状況(Status)を示すステータス情報、及び機器のSNを含む。図2に例示した検査オーダー記憶領域13のステータス情報において、「検査済」は検査が終了したことを示し、「検査中」は現在検査が行われていることを示す。また、図2に例示した検査オーダー記憶領域13のステータス情報において、「振り分け済」は検査前であるが検査機器への検査データ送信が完了していること(すなわちその患者に対する検査に用いる検査機器4が決定していること)を示し、「未検査」は検査前でありかつ検査機器への検査データ送信が行われていないことを示す。該オーダー情報は、検査毎に、検査を識別する検査識別情報、例えば、検査IDと対応付けて検査オーダー記憶領域13に記憶される。以下の説明では、検査に用いる検査機器を決定するための検査機器への検査データ送信を行うことを「検査(の)振り分け」といい、該検査振り分けが完了したことを「振り分け済」という。
【0023】
患者情報記憶領域10は、患者毎に、患者識別情報と患者情報とを対応付けて記憶する第1の記憶領域の一例である。また、検査オーダー記憶領域13は、検査毎に、検査機器の機器識別情報と、該検査機器を利用した検査を受ける患者の患者識別情報と、検査の進捗情報を示すステータス情報とを対応付けて記憶する第2の記憶領域の一例である。
【0024】
本実施形態のサーバ装置2における記憶部210は、1つ以上の記憶装置により実現され、患者情報記憶領域10、検査情報記憶領域11、機器情報記憶領域12、及び検査オーダー記憶領域13は、単一の記憶装置に設けてもよいし、2つ以上の記憶装置に分散させて設けてもよい。
【0025】
図1に例示したサーバ装置2の特定部220は、該サーバ装置2で受信した要求命令に基づいて、該要求命令に対する応答としてユーザ端末3及び検査機器4等に送信する情報を特定して抽出する。
【0026】
本実施形態の院内ネットワーク1では、上述のように、ユーザ端末3からサーバ装置2に送信される患者情報及び検査情報等を要求する要求命令として、HTTPリクエストを利用することができる。HTTPリクエストにおけるリクエストの対象は、URL(Uniform Resource Locator)により指定される。本実施形態に係るユーザ端末3は、患者情報及び検査情報等をHTTPリクエストにより要求する場合には、要求する情報を示すパラメータと、検査機器を識別する機器識別情報(例えば、機器のSN)を示すパラメータとを含むURLにより、リクエストの対象を指定する。すなわち、本実施形態の院内ネットワーク1では、患者情報及び検査情報等をHTTPリクエストにより要求する場合に、患者の個人情報(例えば、患者ID等)を含まないURLによりリクエストの対象を指定する。
【0027】
本実施形態に係るサーバ装置2の特定部220は、HTTPリクエストのURLに記述された機器のSNと、検査オーダー記憶領域13のオーダー情報とに基づいて、患者IDを特定する。例えば、URLに記述された機器のSNが「1000」である場合、特定部220は、図2に示したように、検査オーダー記憶領域13内の、機器のSNが「1000」であり、かつステータス情報が「検査中」であるオーダー情報1301を検索する。その後、特定部220は、検索したオーダー情報1301の患者IDを検索キーとして患者情報記憶領域10内の患者情報1001を検索(特定)し、HTTPリクエストを発信したユーザ端末3に送信する患者情報1001を抽出する。
【0028】
また、本実施形態に係るユーザ端末3は、例えば、患者が現在受けている検査に関する検査データを要求するHTTPリクエストをサーバ装置2に送信する場合には、検査データを要求することを示す情報と、機器のSNとが記述されたURLによりリクエストの対象を指定する。この場合も、サーバ装置2の特定部220は、例えば、HTTPリクエストのURLに記述された機器のSNと、検査オーダー記憶領域13のオーダー情報とに基づいて、患者IDを特定する。例えば、URLに記述された機器のSNが「1000」である場合、特定部220は、図2に示したように、検査オーダー記憶領域13内の、機器のSNが「1000」であり、かつステータス情報が「検査中」であるオーダー情報1301を検索する。その後、特定部220は、検索したオーダー情報1301の患者IDを検索キーとして検査情報記憶領域11内の検査情報1101を検索し、例えば、検査日の情報に基づいてHTTPリクエストを発信したユーザ端末3に送信する検査情報を特定し、抽出する。
【0029】
また、本実施形態に係るサーバ装置2の特定部220は、例えば、HTTPリクエストのURLのパラメータ、又は検査オーダー記憶領域13内のオーダー情報における機器のSNに基づいて、機器情報記憶領域12内の機器情報1201を検索する。この場合、特定部220は、検索した機器情報1201に基づいて、検査を受ける患者の患者ID等の情報を送信する検査機器4のアドレスを特定し、抽出する。
【0030】
図3は、一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる処理の一例を説明するシーケンス図(その1)である。図4は、一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる処理の一例を説明するシーケンス図(その2)である。図3及び図4には、第1検査室601に設置された第1の検査機器401を利用して患者を検査する場合に、第1の検査機器401、第1のユーザ端末301、及びサーバ装置2により行われる処理の一例を示している。第1のユーザ端末301は、例えば、起動完了時又はログイン時に、予め関連付けられた院内ネットワーク1内の第1の検査機器401と接続するように設定されている。
【0031】
院内ネットワーク1では、まず、図3に例示したステップS101~S104を含む業務前準備が行われる。業務前準備では、第1の検査機器401を起動させ(ステップS101)、第1のユーザ端末301を起動させる(ステップS102)。第1のユーザ端末301の起動が完了すると、第1のユーザ端末301は、起動が完了したことを第1の検査機器401に通知する(ステップS103)。該通知を受けた第1の検査機器401は、検査機器を識別する機器識別情報として、自身のシリアル番号(SN)を第1のユーザ端末301に送信する(ステップS104)。
【0032】
業務前準備(ステップS101~S104)が終了すると、院内ネットワーク1では、ステップS105~S114を含む検査前準備が行われる。図3では省略しているが、検査前準備では、まず、第1のユーザ端末301においてWebブラウザを起動し、第1のユーザ端末301の表示装置に所定のメニュー画面を表示させる。メニュー画面には、例えば、検査オーダーに対する処理を選択するボタン、患者情報の閲覧を選択するボタン、及び検査情報の閲覧を選択するボタンが含まれる。
【0033】
第1のユーザ端末301の利用者(医師701)が第1のユーザ端末301を操作して検査オーダーの一覧表示を選択すると(ステップS105)、第1のユーザ端末301は、検査オーダーの検索指示をサーバ装置2に送信する(ステップS106)。検索指示を受信したサーバ装置2は、該検索指示に基づいて、記憶部210の検査オーダー記憶領域13内のオーダー情報を読み出し、読み出したオーダー情報の一覧データを第1のユーザ端末301に送信する(ステップS107)。一覧データを受信した第1のユーザ端末301は、受信した一覧データを表示する(ステップS108)。第1のユーザ端末301に表示される一覧データは、検査を受ける患者の患者ID及びステータス情報を含む。一覧データを表示する際には、例えば、検査の振り分けをすること、又は現在行っている検査の検査データや過去に行った検査の検査データを表示することができるようにしてもよい。
【0034】
一覧データが表示された後、医師701が第1のユーザ端末301を操作し一人の患者に対する検査の振り分けを選択すると(ステップS109)、第1のユーザ端末301は、検査振り分け指示をサーバ装置2に送信する(ステップS110)。検査振り分け指示は、選択した患者に対する検査を第1のユーザ端末301と関連付けられた第1の検査機器401で行うことを指示する情報を含む。検査振り分け指示を受信したサーバ装置2は、該検査振り分け指示に基づいて、検査振り分け処理を行う(ステップS111)。サーバ装置2が行う検査振り分け処理(ステップS111)の具体例については、図5を参照して後述する。検査振り分け処理が終了すると、サーバ装置2は、第1のユーザ端末301に検査振り分けの完了通知を送信し(ステップS112)、第1の検査機器401に検査データを送信する(ステップS113)。図3では省略しているが、完了通知を受信した第1のユーザ端末301は、表示している一覧データにおける検査の振り分けが完了した検査のステータス情報を、検査の振り分けが完了したことを示す値に変更する。また、第1の検査機器401に送信される検査データは、例えば、患者IDを含み、検査データを受信した第1の検査機器401は、該検査データに含まれる患者IDを読み出してセットする(ステップS114)。
【0035】
検査前準備は、検査オーダー記憶領域13に記憶されたオーダー情報、言い換えると検査識別情報により識別される検査毎に行われる。第1の検査機器401を用いて検査を行う医師701は、表示された一覧データに含まれる検査オーダーのうちの自身が担当する検査に対し、ステップS109における検査の振り分けの選択を行う。第1のユーザ端末301とサーバ装置2との間で行われるステップS110及びS112の通信は、後述するようにHTTPリクエスト及びHTTPレスポンスによって行われる。なお、第1のユーザ端末301とサーバ装置2との間で行われるステップS110及びS112の通信、例えば、院内ネットワーク1における独自の通信プロトコルに従って行われてもよい。ステップS110の通信を独自の通信プロトコルに従って行う場合、検査振り分け指示には、検査を受ける患者を識別する患者識別情報(患者ID)と、検査に使用する第1の検査機器401を識別する機器識別情報(機器のSN)とを含んでもよい。
【0036】
図3に例示した検査前準備により検査の振り分けが完了した検査を行う時刻が到来し、検査を開始することが可能になると、院内ネットワーク1では、例えば、図4に例示したステップS115~S128を含む検査中の処理が行われる。検査中の処理では、まず、医師701により第1の検査機器401に患者IDが入力され(ステップS115)、第1の検査機器401からサーバ装置2に検査の開始が通知される(ステップS116)。検査開始の通知は、例えば、ステップS115で入力された患者IDを含む。検査開始の通知を受けたサーバ装置2は、該通知に含まれる患者IDに基づいて検査オーダーのステータス情報を変更し(ステップS117)、ステータスの変更を第1のユーザ端末301に通知する(ステップS118)。また、検査開始の通知をした後、第1の検査機器401からサーバ装置2に検査データが送信される(ステップS119)。
【0037】
ステップS117において、サーバ装置2は、検査オーダー記憶領域13内の、検査開始の通知から読み出した患者IDを含むオーダー情報(検査オーダー)を検索し、該オーダー情報におけるステータス情報を、検査振り分け済みであることを示す値から、現在検査が行われていることを示す値に変更する。ステップS118において、サーバ装置2は、ステップS117によるステータス情報の変更を第1のユーザ端末301に反映させる。第1の検査機器401とサーバ装置2との間で行われるステップS116及びS119の通信は、例えば、院内ネットワーク1における独自の通信プロトコルに従って行う。
【0038】
検査を開始した後、第1のユーザ端末301では、現在行っている検査において第1の検査装置401により取得され、サーバ装置2に蓄積されている検査データを閲覧することができる。このため、医師701の操作により第1のユーザ端末301で検査情報の表示が選択されると(ステップS120)、第1のユーザ端末301は、現在行っている検査についての検査情報(検査データ)を要求するHTTPリクエストを生成してサーバ装置2に送信する(ステップS121)。ステップS121でサーバ装置2に送信されるHTTPリクエストにおけるリクエストの対象を指定するURLは、上述したように、患者ID等の患者の個人情報を含まない。
【0039】
HTTPリクエストを受信したサーバ装置2は、該HTTPリクエストに基づいて、現在行っている検査において第1の検査装置401により取得され、サーバ装置2に蓄積されている検査データを検索する検査中情報検索処理を行う(ステップS122)。ステップS122の処理は、サーバ装置2の特定部220が行う。検査中情報検索処理(ステップS122)の具体例については、図6を参照して後述する。検査中情報検索処理が終了すると、サーバ装置2は、検索した検査情報をHTTPレスポンスとして第1のユーザ端末301に送信し(ステップS123)、第1のユーザ端末301は、受信した検査情報を表示する(ステップS124)。ステップS123は、例えば、検査が終了するまで、又は第1のユーザ端末301において検査情報の表示が終了するまで繰り返し行われてもよい。ステップS124は、サーバ装置2からの検査情報を受信する毎に行われる。
【0040】
ステップS115で入力した患者IDが割り当てられた患者に対する検査が終了し、医師701により第1の検査機器401に検査終了指示が入力されると(ステップS125)、第1の検査機器401からサーバ装置2に検査の終了が通知される(ステップS126)。検査終了の通知は、例えば、ステップS115で入力された患者IDを含む。検査終了の通知を受けたサーバ装置2は、該通知に含まれる患者IDに基づいて検査オーダーのステータス情報を変更し(ステップS127)、ステータスの変更を第1のユーザ端末301に通知する(ステップS128)。
【0041】
図5は、サーバ装置が行う検査振り分け処理の一例を説明するフローチャートである。図5は、図3に例示したシーケンスにおいて第1のユーザ端末301からサーバ装置2に送信される検査振り分け指示がHTTPリクエストである場合に、サーバ装置2が行う検査振り分け処理(ステップS111)の内容の一例を説明する。この場合、検査振り分け指示は、例えば、検査IDと、検査に用いる機器のSNとを含む。
【0042】
検査振り分け処理を開始すると、サーバ装置2の特定部220は、まず、検査振り分け指示から検査IDと検査機器のSNとを読み出す(ステップS111a)。次に、特定部220は、検査オーダー記憶領域13内のオーダー情報における、検査振り分け指示から読み出した検査IDと対応付けられたステータス情報を、検査の振り分けが完了している(振り分け済である)ことを示す値に変更し、検査機器のSNを登録する(ステップS111b)。次に、特定部220は、オーダー情報における、検査IDと対応付けられた患者IDを読み出す(ステップS111c)。その後、特定部220は、検査機器のSNに基づいて機器情報格納領域12において機器のSNと対応付けられたアドレスを特定し、該アドレスを利用して、第1の検査機器401に患者IDを含む検査データを送信する(ステップS111d)。
【0043】
図6は、サーバ装置が行う検査中情報検索処理の一例を説明するフローチャートである。図6は、図4に例示したシーケンスにおいて第1のユーザ端末301からサーバ装置2に検査情報の表示を要求するHTTPリクエストが送信された場合に、サーバ装置2が行う検査中情報検索処理(ステップS122)の内容の一例を説明する。
【0044】
検査中情報検索処理を開始すると、サーバ装置2の特定部220は、まず、HTTPリクエストから検査機器のSNを読み出す(ステップS122a)。次に、特定部220は、検査オーダー記憶領域13内のオーダー情報の中から、HTTPリクエストから読み出した機器のSNと対応付けられ、かつステータス情報が検査中であることを示す情報である検査識別情報(検査ID)を特定する(ステップS122b)。次に、特定部222は、特定した検査識別情報と対応付けられた患者IDに基づいて、該患者IDと対応付けられた検査情報の内の検査中の情報を読み出し、読み出した検査中の情報を第1のユーザ端末301に送付する(ステップS122c)。
【0045】
本実施形態の院内ネットワーク1では、HTTPリクエストにより検査振り分け指示や検査情報を要求する場合に、上述のように、患者IDのような個人情報の代わりに、検査オーダーにおいて患者IDと対応付けられる検査IDや検査機器を識別する機器識別情報を用いる。このため、汎用の通信プロトコルに従ったHTTPリクエスト等の要求命令を第1のユーザ端末301からサーバ装置2に送信する際の、個人情報の漏洩を防ぐことができる。
【0046】
次に、図7図11を参照して、院内ネットワーク1で行われる処理及び第1のユーザ端末301の画面遷移の具体例を説明する。
【0047】
図7は、第1のユーザ端末に検査オーダーの一覧データを表示させる処理の具体例を説明する図である。図8は、第1のユーザ端末を利用して検査を振り分ける処理の具体例を説明する図である。図9は、検査を開始する際の処理の具体例を説明する図である。図10は、検査中に検査データを表示させる処理の具体例を説明する図である。図11は、第1のユーザ端末に表示される検査データの具体例を説明する図である。なお、図8図11の各図では、サーバ装置2の受信部201、送信部202、及び特定部220は省略している。
【0048】
本実施形態の院内ネットワーク1では、第1の検査機器401及び第1のユーザ端末301を起動すると、図7に例示したように、検査機器を識別する機器識別情報である機器のSNが、第1の検査機器401から第1のユーザ端末301に送信される(ステップS104)。また、起動した第1のユーザ端末301の表示パネル15には、院内ネットワーク1で利用可能なサービスを提示するメニュー画面16が表示される。メニュー画面16における「検査リスト表示」のボタン1601は、サーバ装置2の記憶部210の検査オーダー記憶領域13に記憶された検査オーダー(オーダー情報)の一覧を表示させる操作入力を受け付ける。表示パネル15がタッチパネルである場合、表示パネル15におけるボタン1601が表示された領域に触れることで、ボタン1601に対する操作入力が行われる。利用者(医師701)がボタン1601を選択する操作を行うと、第1のユーザ端末301は、サーバ装置2に対して検索指示を送信する(ステップS106)。検索指示は、例えば、図7に例示したようなURL(https://192.168.1.1/OrderList/Today)を含む。このURLにおける「https://192.168.1.1/」はドメインを指定するパラメータである。また、このURLにおいて、「OrderList/」は検査オーダーの一覧を示すパラメータであり、「Today」は一覧に含める期間を示すパラメータである。検索指示は、伝送路5を介してサーバ装置2に送信され、サーバ装置2の受信部201が受信する。受信部201で受信された検索指示は、例えば、特定部220に転送される。特定部220は、検索指示に含まれるURLに記述されたパラメータに基づいて、記憶部210の検査オーダー記憶領域13に記憶された検査オーダーのうちの、当日に行われる検査についてのオーダー情報1302を特定して抽出する。抽出したオーダー情報は、送信部202に転送され、一覧データとしてサーバ装置2から第1のユーザ端末301に送信される(ステップS107)。第1のユーザ端末301は、一覧データを受信すると、表示パネル15の表示を、例えば、図8に例示したような検査リスト17に切り替える。
【0049】
検査リスト17は、例えば、当日に行われる検査のステータス情報と、患者IDと、患者名と、処理ボタンとを含む。図8に例示した検査リスト17のステータス情報における「未検査」は、上述したように、検査の振り分けが行われておらず、検査が実施されていないことを示す。検査の振り分けは、例えば、第1のユーザ端末301の利用者(医師701)が検査リスト17におけるステータス情報が「未検査」である検査についての設定ボタン1750を押下することにより行われる。例えば、検査リスト17における患者IDが「aaaaaaaa」であるオーダー情報(検査オーダー)1701に含まれる「SET」というボタン1750を押下すると、第1のユーザ端末301は、患者IDが「aaaaaaaa」である患者が受ける検査に対する検査振り分け指示をサーバ装置2に送信する。振り分け指示は、例えば、図8に例示したようなURL(https://192.168.1.1/OrderList/?Studyid=11111111&?SER=1000)を含む。このURLにおける「?Studyid=11111111&?SER=1000」は、検査振り分けの対象となる検査の検査IDと、検査に利用する検査機器のSNとを示すパラメータである。「?Studyid=11111111」により検査IDが指定され、「?SER=1000」により機器のSNが指定される。
【0050】
検査振り分け指示を受信したサーバ装置2では、図8に例示したように、検査オーダー記憶領域13内のオーダー情報のうちの、検査振り分け指示により指定された検査IDが「11111111」であるオーダー情報1303のステータス情報を「振り分け済」に変更し、機器のSNを「1000」に設定する(ステップS111b)。この後、サーバ装置2は、第1のユーザ端末301に対して完了通知を送信し(ステップS112)、第1の検査機器401に検査データを送信する(ステップS111d及びS113)。サーバ装置2は、例えば、オーダー情報1303に設定した機器のSNに基づいて、機器情報記憶領域12内の機器のSNが「1000」である機器情報1202を検索し、該機器情報1202におけるアドレス1203を利用して、第1の検査機器401に検査データを送信する。第1の検査機器401に送信する検査データには、オーダー情報1303における患者ID 1304が含まれる。これにより、第1の検査機器401には、患者IDが「aaaaaaaa」である患者に対する検査に利用されることが設定される。また、第1のユーザ端末301は、サーバ装置2からの完了通知を受信すると、表示パネル15に表示されている検査リスト17を更新する。更新後の検査リスト17は、例えば、図9に例示したように、患者IDが「aaaaaaaa」であるオーダー情報(検査オーダー)1701におけるステータス情報が「振り分け済」に変更される。また、詳細な説明は省略するが、患者IDが「bbbbbbbb」であるオーダー情報(検査オーダー)に対して同様の操作をすることにより、図9に例示した検査リスト17のように、該オーダー情報におけるステータス情報が「振り分け済」に変更される。
【0051】
患者IDが「aaaaaaaa」である患者が受ける検査についての検査振り分けを行った後、該患者に対する検査を開始する時刻が到来し、検査の準備が完了すると、医師701は、第1の検査機器401に患者IDを入力し(ステップS115)、検査を開始する。このとき、第1の検査機器401は、院内ネットワーク1における独自の通信プロトコルに従って、図9に例示したように、検査を行う患者の患者IDを示す情報を含む検査開始の通知をサーバ装置2に送信する(ステップS116)。サーバ装置2は、検査開始の通知を受信すると、該通知に含まれる患者IDに基づいて、検査オーダー記憶領域13内のオーダー情報のうちの、患者IDが「aaaaaaaa」である患者に対するオーダー情報1303のステータス情報を「検査中」に変更し、変更通知を第1のユーザ端末301に送信する(S118)。このため、患者IDが「aaaaaaaa」である患者に対する検査が開始されると、第1のユーザ端末301の表示パネル15に表示された検査リスト17における患者IDが「aaaaaaaa」である患者に対するオーダー情報1701は、例えば、図10に例示した検索リスト17のオーダー情報1701のように、ステータス情報が「検査中」に変更される。また、患者IDが「aaaaaaaa」である患者に対する検査が開始されると、第1の検査機器401は、検査データをサーバ装置2に送信する(ステップS119)。サーバ装置2は、受信した検査データを、患者IDが「aaaaaaaa」である患者に対する検査データとして検査情報記憶領域11内に記憶(格納)する。
【0052】
患者IDが「aaaaaaaa」である患者に対する検査が行われているときに、医師701は、第1のユーザ端末301を利用して現在行われている検査で得られた検査データを閲覧することができる。例えば、図10に例示した第1のユーザ端末301の表示パネル15に表示された検査リスト17では、患者IDが「aaaaaaaa」である患者のオーダー情報1701に「IMG」というボタン1752が含まれる。この「IMG」というボタン1752を押下すると、第1のユーザ端末301は、患者IDが「aaaaaaaa」である患者に対して現在行っている検査の検査データを要求するHTTPリクエストをサーバ装置2に送信する。このHTTPリクエストは、例えば、図10に例示したようなURL(https://192.168.1.1/StudyInfo/?SER=1000)を含む。このURLにおいて、「StudyInfo/」は検査データを示すパラメータであり、「?SER=1000」は検査に用いられている機器のSNを示すパラメータである。すなわち、検査データを要求するHTTPリクエストは、患者ID等の患者の個人情報を含まない。
【0053】
検査データを要求するHTTPリクエストを受信したサーバ装置2は、該リクエストに含まれる機器のSNに基づいて、検査オーダー記憶領域13内の、機器のSNが「1000」であり、かつステータス情報が「検査中」であるオーダー情報1303を特定する(ステップS122b)。その後、サーバ装置2は、オーダー情報1303における患者IDを利用して、検査情報記憶領域11内の「aaaaaaaa」という患者IDと対応付けられた検査データのうちの、現在行われている検査についての検査データを読み出し、検査情報として第1のユーザ端末301に送信する(ステップS122c及びS123)。第1のユーザ端末301は、検査情報を受信すると、例えば、図11に例示したような検査情報画面18を表示パネル15に表示する(ステップS124)。検査情報画面18は、例えば、第1の検査機器401により取得した検査データを表示する表示欄1801と、該検査データに対する所見を記入する記入欄1802とを含む。なお、第1のユーザ端末301がHTTPリクエストにより要求する検査データは、現在行われている検査についての検査データに限らず、過去に行われた検査についての検査データであってもよい。過去に行われた検査についての検査データを要求する場合、例えば、HTTPリクエストのURLにおいて検査が行われた日付を指定する。過去に行われた検査についての検査データを要求した場合、第1のユーザ端末301の表示パネル15には、図11に例示した検査情報画面18と類似しており、検査日がHTTPリクエストで指定した日付である画面が表示される。
【0054】
上記の説明では、第1の検査機器401と第1のユーザ端末301との組み合わせについて説明しているが、図1に例示した院内ネットワーク1における第2の検査機器402と第2のユーザ端末302との組み合わせや、図示していないその他の検査機器4とユーザ端末3との組み合わせでも、同様の処理を行うことができる。
【0055】
このように、本実施形態の院内ネットワーク1では、汎用プロトコルであるHTTPを利用した要求命令をユーザ端末3からサーバ装置2に送信することにより、専用のアプリケーションをユーザ端末3にインストールすることなく、患者の検査データを閲覧することができる。しかも、閲覧する検査データをHTTPリクエストのURLで指定する際に、患者を識別する患者識別情報の代わりに、患者の検査に利用している検査機器を識別する機器識別情報を使用し、サーバ装置2で管理される患者識別情報と機器識別情報との対応関係に基づいて、閲覧する検査データを特定する。このため、本実施形態の院内ネットワーク1によれば、伝送路5を介してユーザ端末3からサーバ装置2に送信される、汎用プロトコルを利用した要求命令から患者の個人情報が漏洩することを防ぐことができる。
【0056】
なお、本実施形態に係る院内ネットワーク1においてユーザ端末3からサーバ装置2に送信するHTTPリクエストは、上述した検査振り分け指示や検査中の患者についての検査データを要求する要求命令に限らず、他の情報を要求する要求命令であってもよい。例えば、HTTPリクエストは、検査の振り分けが行われた患者の患者情報を要求する要求命令、又は検査の振り分けが行われた患者が過去に受けた検査についての検査データ(検査履歴)を要求する要求命令であってもよい。これらの要求命令(HTTPリクエスト)は、対象となる患者に対する検査が開始される前にユーザ端末3からサーバ装置2に送信されてもよい。
【0057】
図12は、一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる患者情報を閲覧する処理の一例を説明するシーケンス図である。図12には、第1の検査機器401を利用した検査を受ける患者の患者情報を第1の検査機器401と関連付けられた第1のユーザ端末301を利用して閲覧する場合の、第1の検査機器401、第1のユーザ端末301、及びサーバ装置2により行われる処理の一例を示している。また、図12には、図3のシーケンス図における検査振り分け処理(ステップS111)を含む検査前準備が行われた後の、第1の検査機器401、第1のユーザ端末301、及びサーバ装置2により行われる処理の一例を示している。検査振り分け処理(ステップS111)は、例えば、図5に例示したステップS111a~S111dのような処理を含む。
【0058】
検査振り分け処理を含む検査前準備(例えば、図3に例示したステップS105~S114の処理)が終わると、第1のユーザ端末301の利用者(医師701)は、例えば、第1のユーザ端末301を操作して表示パネル15の表示をメニュー画面に戻すことができる。また、医師701は、例えば、第1のユーザ端末301を操作して、メニュー画面に表示された複数の項目のなかから患者の詳細情報の表示を選択することができる(ステップS131)。患者の詳細情報の表示が選択されると、第1のユーザ端末301は、患者の詳細情報を要求するHTTPリクエストをサーバ装置2に送信する(ステップS132)。ステップS132でサーバ装置2に送信するHTTPリクエストは、患者の詳細情報を要求することを示すパラメータと、患者の検査に利用する第1の検査機器401を識別する機器識別情報(機器のSN)を示すパラメータとを含むURLによりリクエストの対象を指定する。すなわち、ステップS132でサーバ装置2に送信するHTTPリクエストは、上述した検査中の検査情報を要求するHTTPリクエストと同様、患者を識別する患者識別情報を含まないURLによりリクエストの対象を指定する。
【0059】
HTTPリクエストを受信したサーバ装置2は、該リクエストのURLから機器のSNを読み出す(ステップS133)。続けて、サーバ装置2は、特定部220により、検査オーダー記憶領域13内を検索し、読み出した機器のSNを含むオーダー情報から患者IDを特定する(ステップS134)。その後、サーバ装置2は、患者情報記憶領域10内の患者情報のうちの、ステップS134で特定した患者IDを含む患者情報を読み出し(ステップS135)、読み出した患者情報を患者詳細情報として第1のユーザ端末301に送信する(ステップS136)。第1のユーザ端末301は、患者詳細情報を受信すると、該患者詳細情報を表示パネル15に表示する(ステップS137)。
【0060】
図13は、第1のユーザ端末に患者の詳細情報を表示させる処理の具体例を説明する図である。図14は、第1のユーザ端末に表示される患者の詳細情報の一例を説明する図である。なお、図13及び図14では、サーバ装置2の受信部201、送信部202、及び特定部220は省略している。
【0061】
図13に例示した第1のユーザ端末301の表示パネル15には、上述した「検査リスト表示」のボタン1601を含むメニュー画面16が表示されている。上述した検査振り分け処理(ステップS111)を行った後で、メニュー画面16内に設けられた「患者詳細情報表示」のボタン1602を押下すると、第1のユーザ端末301は、患者の詳細情報を要求するHTTPリクエストをサーバ装置2に送信する(ステップS132)。このHTTPリクエストは、例えば、図13に例示したようなURL(https://192.168.1.1/PatieInfo/?SER=1000)を含む。このURLにおいて、「PatieInfo/」は患者の詳細情報を示すパラメータであり、「?SER=1000」は患者に対する検査に使用する検査機器の機器識別情報を示すパラメータである。
【0062】
サーバ装置2は、患者の詳細情報を要求するHTTPリクエストを受信すると、該リクエストのURLに記述された機器識別情報(機器のSN)を読み出し、検査オーダー記憶領域13内の、読み出した機器のSNを含むオーダー情報1303を特定する(ステップS134)。その後、サーバ装置2は、特定したオーダー情報1303における患者IDに基づいて、患者情報記憶領域10内の患者情報1002を読み出し(ステップS135)、第1のユーザ端末301に送信する(ステップS136)。第1のユーザ端末301は、患者の詳細情報(患者情報1002)を受信すると、例えば、図14に例示したような患者情報表示画面19を表示パネル15に表示する。なお、図14に例示した患者情報表示画面19は、患者の詳細情報を表示する画面の一例に過ぎない。患者の詳細情報を表示する画面は、表示する詳細情報の種類等に応じて適宜変更可能である。例えば、第1のユーザ端末301の表示パネル15に表示される患者の詳細情報には、使用している薬剤や、その患者に特有の検査をする際の注意事項(例えば、過去の検査において経過観察が必要であると認められた部位を示す情報等)等が含まれていてもよい。
【0063】
このように、本実施形態の院内ネットワーク1では、患者の個人情報を含まないHTTPリクエストにより第1のユーザ端末301からサーバ装置2に患者の詳細情報を要求することができ、HTTPリクエストから患者の個人情報が漏洩することがない。また、検査を開始する前に第1のユーザ端末301を利用して患者の詳細情報を閲覧することができるので、事前に検査を受ける患者の確認、検査時に注意する点の確認等をすることができる。
【0064】
上記の説明では、第1の検査機器401と第1のユーザ端末301との組み合わせについて説明しているが、図1に例示した院内ネットワーク1における第2の検査機器402と第2のユーザ端末302との組み合わせや、図示していないその他の検査機器4とユーザ端末3との組み合わせでも、同様の処理を行うことができる。
【0065】
図15は、一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる検査履歴を閲覧する処理の一例を説明するシーケンス図(その1)である。図16は、一実施形態に係る院内ネットワークにおいて行われる検査履歴を閲覧する処理の一例を説明するシーケンス図(その2)である。図15及び図16には、第1の検査機器401を利用した検査を受ける患者の検査履歴を第1の検査機器401と関連付けられた第1のユーザ端末301を利用して閲覧する場合の、第1の検査機器401、第1のユーザ端末301、及びサーバ装置2により行われる処理の一例を示している。また、図15及び図16には、図3のシーケンス図における検査振り分け処理(ステップS111)を含む検査前準備が行われた後の、第1の検査機器401、第1のユーザ端末301、及びサーバ装置2により行われる処理の一例を示している。検査振り分け処理(ステップS111)は、例えば、図5に例示したステップS111a~S111dのような処理を含む。
【0066】
検査振り分け処理を含む検査前準備(例えば、図3に例示したステップS105~S114の処理)が終わると、第1のユーザ端末301の利用者(医師701)は、例えば、第1のユーザ端末301を操作して表示パネル15の表示をメニュー画面に戻すことができる。また、医師701は、例えば、第1のユーザ端末301を操作して、メニュー画面に表示された複数の項目のなかから患者の検査履歴の表示を選択することができる(ステップS141)。患者の検査履歴の表示が選択されると、第1のユーザ端末301は、患者の検査履歴を要求するHTTPリクエストをサーバ装置2に送信する(ステップS142)。ステップS142でサーバ装置2に送信するHTTPリクエストは、患者の検査履歴を要求することを示すパラメータと、患者の検査に利用する第1の検査機器401を識別する機器識別情報(機器のSN)を示すパラメータとを含むURLによりリクエストの対象を指定する。すなわち、ステップS142でサーバ装置2に送信するHTTPリクエストは、上述した検査中の検査情報や患者情報等を要求するHTTPリクエストと同様、患者を識別する患者識別情報を含まないURLによりリクエストの対象を指定する。
【0067】
HTTPリクエストを受信したサーバ装置2は、該リクエストのURLから機器のSNを読み出す(ステップS143)。続けて、サーバ装置2は、特定部220により、検査オーダー記憶領域13内を検索し、読み出した機器のSNを含むオーダー情報から患者IDを特定する(ステップS144)。その後、サーバ装置2は、検査情報記憶領域11内の検査情報の内の、ステップS144で特定した患者IDと対応付けられた検査履歴情報を読み出し(ステップS145)、読み出した検査履歴情報を第1のユーザ端末301に送信する(ステップS146)。ここで、検査履歴情報は、過去に患者が受けた検査を示す情報であり、例えば、図2に例示した検査情報記憶領域11内の検査情報のうちの、検査日及び検査種別を示す情報を含む。第1のユーザ端末301は、検査履歴情報を受信すると、該検査履歴情報を表示パネル15に表示する(ステップS147)。
【0068】
第1のユーザ端末301に検査履歴情報が表示された後、医師701は、例えば、図16に示すように、過去検査詳細情報の表示を選択することができる(ステップS148)。ここで、過去検査詳細情報は、検査履歴により提示される患者が過去に受けた検査についての詳細な情報(例えば、画像等の検査データ、及び検査データに基づく医師の所見等)である。
【0069】
過去検査詳細情報の表示が選択されると、第1のユーザ端末301は、過去検査詳細情報を要求するHTTPリクエストをサーバ装置2に送信する(ステップS149)。ステップS14でサーバ装置2に送信するHTTPリクエストは、過去検査詳細情報を要求することを示すパラメータと、患者の検査に利用する第1の検査機器401を識別する機器識別情報(機器のSN)を示すパラメータと、詳細情報を要求する検査を識別する検査識別情報を示すパラメータとを含むURLによりリクエストの対象を指定する。検査識別情報は、例えば、検査日である。すなわち、ステップS149でサーバ装置2に送信するHTTPリクエストは、上述した検査中の検査情報を要求するHTTPリクエストと同様、患者を識別する患者識別情報を含まないURLによりリクエストの対象を指定する。
【0070】
HTTPリクエストを受信したサーバ装置2は、該リクエストのURLから機器のSN及び検査識別情報(検査日)を読み出す(ステップS150)。続けて、サーバ装置2は、特定部220により、検査オーダー記憶領域13内を検索し、読み出した機器のSNを含むオーダー情報から患者IDを特定する(ステップS151)。その後、サーバ装置2は、検査情報記憶領域11内の検査情報のうちの、ステップS151で特定した患者IDを含む検査情報を検索し、検査識別情報(検査日)と対応付けられた過去検査詳細情報を読み出す(ステップS152)。ステップS152において、サーバ装置2は、例えば、検査識別情報と対応付けられた検査データ(例えば画像データ)や、該検査データに基づく医師701の所見等の情報を読み出す。サーバ装置2は、読み出した過去検査詳細情報を第1のユーザ端末301に送信する(ステップS153)。第1のユーザ端末301は、過去検査詳細情報を受信すると、該過去検査詳細情報を表示パネル15に表示する(ステップS154)。
【0071】
図17は、第1のユーザ端末に検査履歴情報を表示させる処理の具体例を説明する図である。図18は、第1のユーザ端末に過去検査詳細情報を表示させる処理の具体例を説明する図である。なお、図17及び図18では、サーバ装置2の受信部201、送信部202、及び特定部220は省略している。
【0072】
図17に例示した第1のユーザ端末301の表示パネル15には、上述したメニュー画面16が表示されている。上述した検査振り分け処理(ステップS111)を行った後で、メニュー画面16内に設けられた「検査履歴表示」のボタン1603を押下すると、第1のユーザ端末301は、検査履歴情報を要求するHTTPリクエストをサーバ装置2に送信する(ステップS142)。このHTTPリクエストは、例えば、図17に例示したようなURL(https://192.168.1.1/StudyInfo/?SER=1000)を含む。このURLにおいて、「StudyInfo/」は検査履歴情報を示すパラメータであり、「?SER=1000」は患者に対する検査に使用する検査機器の機器識別情報を示すパラメータである。
【0073】
サーバ装置2は、検査履歴情報を要求するHTTPリクエストを受信すると、該リクエストのURLに記述された機器識別情報(機器のSN)を読み出し、検査オーダー記憶領域13内のオーダー情報のなかから、読み出した機器のSNを含むオーダー情報1303を特定する(ステップS144)。その後、サーバ装置2は、検査情報記憶領域11内の患者情報のうちの、ステップS144で特定したオーダー情報1303における患者IDと対応付けられた検査情報1103のなかから、検査履歴情報(例えば、検査日及び検査種別)を読み出し(ステップS145)、第1のユーザ端末301に送信する(ステップS146)。第1のユーザ端末301は、検査履歴情報を受信すると、例えば、図18に例示したような、患者IDが「aaaaaaaa」である患者が過去に受けた検査についての検査日及び検査種別を含む、検査履歴表示画面20を表示パネル15に表示する。
【0074】
第1のユーザ端末301に検査履歴表示画面20が表示されている場合、第1のユーザ端末301の利用者(医師701)は、検査履歴表示画面20に含まれる検査を選択し、該選択した検査に関する詳細情報を閲覧することができる。例えば、図18に例示した検査履歴表示画面20内の「上部検診(検査A)」の欄2001を押下する等の方法により選択すると、第1のユーザ端末301は、選択された検査についての詳細情報(過去検査詳細情報)を要求するHTTPリクエストをサーバ装置2に送信する(ステップS149)。このHTTPリクエストは、例えば、図18に例示したようなURL(https://192.168.1.1/StudyInfo/?SER=1000&?DATE=20160709)を含む。このURLにおいて、「?SER=1000」は患者に対する検査に使用する検査機器の機器識別情報を示すパラメータであり、「?DATE=20160709」は詳細情報を要求する検査の検査日(検査識別情報)を示すパラメータである。
【0075】
サーバ装置2は、過去検査詳細情報を要求するHTTPリクエストを受信すると、該リクエストのURLに記述された機器識別情報(機器のSN)と、検査識別情報(検査日)とを読み出す(ステップS150)。続けて、サーバ装置2は、検査オーダー記憶領域13内の、読み出した機器のSNを含むオーダー情報1303を特定する(ステップS151)。その後、サーバ装置2は、検査情報記憶領域11内の検査情報のうちの、ステップS151で特定したオーダー情報1303における患者IDと対応付けられた検査情報であり、かつステップS150で読み出した検査日の検査情報1104を読み出す(ステップS152)。サーバ装置2は、ステップS152で読み出した検査情報1104を、過去検査詳細情報として、第1のユーザ端末301に送信する(ステップS153)。第1のユーザ端末301は、過去検査詳細情報(検査情報1104)を受信すると、例えば、図11に例示した検査情報画面18と類似しており、かつ検査日の欄にHTTPリクエストにより指定された日付が表示された検査情報画面を表示パネル15に表示する。
【0076】
このように、本実施形態の院内ネットワーク1では、患者の個人情報を含まないHTTPリクエストにより第1のユーザ端末301からサーバ装置2に患者の過去の検査結果を要求することができ、HTTPリクエストから患者の個人情報が漏洩することがない。また、検査を開始する前に第1のユーザ端末301を利用して患者の過去の検査結果を閲覧することができるので、今回の検査における注意点、例えば、詳しく見る必要のある部位や検査項目の有無等を確認し、どのように検査を進めるかを事前に検討することができる。
【0077】
なお、上述した過去の検査についての詳細情報を第1のユーザ端末301で閲覧する場合、図17に例示したメニュー画面16及び図18に例示した検査履歴表示画面20とは別の画面から閲覧する検査を指定することができるようになっていてもよい。
【0078】
上記の説明では、第1の検査機器401と第1のユーザ端末301との組み合わせについて説明しているが、図1に例示した院内ネットワーク1における第2の検査機器402と第2のユーザ端末302との組み合わせや、図示していないその他の検査機器4とユーザ端末3との組み合わせでも、同様の処理を行うことができる。
【0079】
本実施形態に係る院内ネットワーク1では、患者の検査に使用する検査機器を識別する機器識別情報と、サーバ装置2の記憶部210における検査オーダー記憶領域13に格納された患者識別情報、機器識別情報、及びステータス情報の対応関係とに基づいて、サーバ装置2の特定部220において患者を特定することができる。このため、院内ネットワーク1では、ユーザ端末3を利用して患者に関する情報を閲覧する際に、患者ID等の患者の個人情報を含まない要求命令をユーザ端末3からサーバ装置2に送信し、該要求命令に応じた情報をユーザ端末3に表示させることができる。また、所定の期間(例えば、1日)内に1つの検査機器(例えば、第1の検査機器401)を利用した検査を受ける患者は複数人である場合が多い。このため、機器識別情報を含む要求命令から機器識別情報が漏洩したとしても、該機器識別情報から患者を特定することは困難である。このため、ユーザ端末3からサーバ装置2に送信する要求命令が汎用プロトコルを利用した要求命令(HTTPリクエスト)である場合にも、患者の個人情報の漏洩を防ぐことができる。
【0080】
上述した院内ネットワーク1におけるサーバ装置2は、例えば、コンピュータと、図5図6図12図15、及び図16に示したような処理をコンピュータに実行させるプログラムとにより実現される。
【0081】
図19は、コンピュータのハードウェア構成例を説明する図である。
【0082】
図19に例示したコンピュータ50は、プロセッサ5001、主記憶装置5002、補助記憶装置5003、表示制御装置5004、表示装置5005、入出力インタフェース5006、キーボード装置5007、マウス装置5008、通信制御装置5009、及び媒体駆動装置5010を含む。プロセッサ5001、主記憶装置5002、補助記憶装置5003、表示制御装置5004、入出力インタフェース5006、通信制御装置5009、及び媒体駆動装置5010は、バス501を介して相互にデータを送受信することができる。
【0083】
プロセッサ5001は、OS(Operating System)や、図5図6図12図15、及び図16に示したような処理を含むプログラムを実行することにより、上述したサーバ装置2として機能するようコンピュータ50の動作を制御する。プロセッサ5001は、例えば、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)を含む。プロセッサ5001は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)を含んでもよい。図5図6図12図15、及び図16に示したような処理を含むプログラムを実行するプロセッサ5001は、上述したサーバ装置2の特定部220の機能を実現するハードウェアの一例である。
【0084】
主記憶装置502は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。補助記憶装置5003は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の、主記憶装置502と比べて記憶容量の大きい記憶装置である。主記憶装置502及び補助記憶装置503は、プロセッサ5001に実行させるプログラム、及びプロセッサ5001がプログラムを実行する際に使用される各種データを記憶(格納)させる記憶領域を提供する。例えば、補助記憶装置503は、サーバ装置2の記憶部210の機能を実現するハードウェアの一例であり、上述した患者情報記憶領域10、検査情報記憶領域11、機器情報記憶領域12、及び検査オーダー記憶領域13のうちの1つ以上を提供する。
【0085】
表示制御装置5004は、液晶ディスプレイ等の表示装置5005の表示を制御する。入出力インタフェース5006は、キーボード装置5007及びマウス装置5008等の入力装置からの入力信号の受付、図示しない出力装置(例えば、プリンタ等)への出力信号の出力を行うハードウェアインタフェースである。
【0086】
通信制御装置5009は、伝送路5を介したユーザ端末3及び検査機器4等と通信を制御する。通信制御装置5009は、有線又は無線通信により伝送路5に接続される。通信制御装置5009は、サーバ装置2の通信部200(受信部201及び送信部202)の機能を実現するハードウェアの一例である。
【0087】
媒体駆動装置5010は、可搬型機記録媒体501に記憶された情報の読み出し、及び可搬型記録媒体501への情報の書き込み等を行う。可搬型記録媒体501は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、及びメモリカードを含む。可搬型記録媒体501は、読み取り専用であってもよいし、書き込み又は書き換えが可能なものであってもよい。書き換え可能な可搬型記録媒体501は、上述した患者情報記憶領域10、検査情報記憶領域11、機器情報記憶領域12、及び検査オーダー記憶領域13のうちの1つ以上を提供することに利用可能である。媒体駆動装置5010と書き換え可能な可搬型記録媒体501との組み合わせは、サーバ装置2の記憶部210の機能を実現し得る。媒体駆動装置5010は、入出力インタフェース5006を介してバス501に接続されてもよい。
【0088】
図19に例示したコンピュータ50のハードウェア構成は、サーバ装置2として利用可能なコンピュータのハードウェア構成の一例に過ぎない。サーバ装置2として利用可能なコンピュータは、図19に例示した構成要素のうちのいくつか(例えば、媒体駆動装置5010等)を含まないものであってもよい。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係る院内ネットワーク1では、ユーザ端末3を利用してサーバ装置2に蓄積された患者に関する情報を閲覧する際に、患者の個人情報を含まない要求命令をユーザ端末3からサーバ装置2に送信して閲覧することができる。このため、本実施形態の院内ネットワーク1では、患者に関する情報を、ユーザ端末3を利用して閲覧する際にユーザ端末3からサーバ装置2に送信される要求命令から患者の個人情報が漏洩することを防げる。したがって、専用のアプリケーションをインストールすることなく、かつ個人情報漏洩のリスクを回避し、Webブラウザを利用したユーザ端末3による患者に関する情報のセキュアな閲覧が可能となる。
【0090】
上述した実施形態では、HTTPリクエストにおいて患者ID等の患者の個人情報の代わりに利用する機器識別情報として検査機器のシリアル番号(SN)を挙げた。しかしながら、機器識別情報は、機器のシリアル番号に限らず、患者の検査に用いる検査機器を識別することが可能な他の情報であってもよい。機器識別情報は、例えば、患者に対する検査を行う検査担当者(例えば、医師や検査技師等)を識別する情報や、検査機器が設置された場所を識別する情報(例えば、検査機器が設置された検査室の番号等)であってもよい。また、機器識別情報は、医療施設に設置された複数の検査機器を識別するために機器毎に設定された、検査機器のシリアル番号とは別の識別番号であってもよい。
【0091】
また、HTTPリクエストにおいて患者ID等の患者の個人情報の代わりに利用する情報は、機器識別情報を含む、患者の個人情報とは異なる2つ以上の情報の組み合わせであってもよい。検査オーダー記憶領域13に格納された検査毎のオーダー情報には、同一の機器識別情報(機器のSN)が対応付けられた複数のオーダー情報が含まれることがある。例えば、検査オーダー記憶領域13には、第1の検査機器401のSNと対応付けられ、かつステータス情報が「振り分け済」である複数のオーダー情報が含まれることがある。このため、例えば、上述したHTTPリクエストは、サーバ装置2において患者を特定することに用いる情報として、機器識別情報と、該機器識別情報及び患者の個人情報とは別の識別情報とを含むものであってもよい。
【0092】
また、上述した実施形態では、院内ネットワーク1における医療機器の一例として患者に対する検査に用いる検査機器4を挙げたが、院内ネットワーク1における医療機器は、これに限らず、例えば、患者に対する検査とは別の処置に用いるものであってもよい。医療機器を利用して検査とは別の処置を行う場合、例えば、HTTPリクエストのURLに含まれる機器識別情報と、サーバ装置2の記憶部210に記憶させた処置に関する情報において該医療機器を利用した治療を受ける患者のうちのステータス情報が「処置中」である患者の患者IDとを利用して、患者の詳細情報や処置の履歴を特定することができる。
【0093】
更に、上述した実施形態において参照した図面に例示したメニュー画面16、検査リスト17、検査情報画面18、患者情報表示画面19、及び検査履歴表示画面20は、それぞれ、第1のユーザ端末301(ユーザ端末3)の表示パネル15に表示される画面の一例に過ぎない。上述した処理を通じてユーザ端末3に表示される画面に含まれる情報は、例えば、ユーザ端末3と組み合わせて用いられる検査機器4等の医療機器の種類、HTTPリクエスト等の要求命令に対する応答としてユーザ端末3に送信される情報の種類等に応じて適宜変更可能である。ユーザ端末3に表示される画面における各種情報の表示形式やレイアウトにつても適宜変更可能である。
【0094】
本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用ができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0095】
1 院内ネットワーク
2 サーバ装置
200 通信部
201 受信部
202 送信部
210 記憶部
220 特定部
3,301,302 ユーザ端末
4,401,402 検査機器
5 伝送路
601,602 検査室
701,702 医師
801,802 患者
10 患者情報記憶領域
11 検査情報記憶領域
12 機器情報記憶領域
13 検査オーダー記憶領域
15 表示パネル
16 メニュー画面
17 検査リスト
18 検査情報画面
19 患者情報表示画面
20 検査履歴表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19