(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】ランダムアクセスの方法及び端末デバイス
(51)【国際特許分類】
H04W 72/1268 20230101AFI20231113BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20231113BHJP
H04W 72/232 20230101ALI20231113BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20231113BHJP
【FI】
H04W72/1268
H04W72/0446
H04W72/232
H04W74/08
(21)【出願番号】P 2022532864
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 CN2019123107
(87)【国際公開番号】W WO2021109041
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】シュ、ウェイジエ
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ズオミン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、チェンシャン
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-176476(JP,A)
【文献】CATT,Correction on the time gap definition[online],3GPP TSG RAN WG1 #98 R1-1908563,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_98/Docs/R1-1908563.zip>,2019年08月17日
【文献】vivo,Discussion on 2-step RACH procedure[online],3GPP TSG RAN WG1 #97 R1-1906125,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_97/Docs/R1-1906125.zip>,2019年05月01日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムアクセスの方法であって、
端末デバイスが所定のルールに基づいて、第1の伝送機会での第1の上りチャネルの伝送をキャンセルするかどうかを決定するステップを含み、前記第1の上りチャネルは、2段階ランダムアクセス手順の第1のメッセージにおける物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)であり、前記第1の伝送機会は前記PRACHに対応する伝送機会であり、
前記方法は、
前記端末デバイスが前記PRACHの伝送をキャンセルすることを決定した場合、前記端末デバイスが前記PRACHの伝送をキャンセルし、且つ第2の上りチャネルを送信しないステップをさらに含み、前記第2の上りチャネルは前記2段階ランダムアクセス手順の第1のメッセージにおける物理上り共有チャネル(PUSCH)であ
り、
前記端末デバイスが所定のルールに基づいて、第1の伝送機会での第1の上りチャネルの伝送をキャンセルするかどうかを決定するステップは、
前記第1の上りチャネルの伝送のために上位層によって構成される前記第1の伝送機会におけるシンボルセットについて、前記シンボルセット内のシンボルが上り/下り構成共通メッセージ及び上り/下り構成専用メッセージによってフレキシブルシンボルとして示される場合、又は、前記上り/下り構成共通メッセージ及び前記上り/下り構成専用メッセージが前記端末デバイスに提供されず、且つ前記端末デバイスがスロットフォーマット情報を運ぶ第1のDCIを検出しない場合、前記端末デバイスは第3の時点の後の前記第1の上りチャネルの伝送をキャンセルすることを決定するステップを含み、前記第3の時点は、前記第1のDCIの検出のために前記端末デバイスによって使用される制御リソースセット内の最後のシンボルからのMシンボルの後の時点であり、前記Mシンボルはチャネル処理時間である
ことを特徴とするランダムアクセスの方法。
【請求項2】
前記端末デバイスが所定のルールに基づいて、第1の伝送機会での第1の上りチャネルの伝送をキャンセルするかどうかを決定するステップは、
時分割複信(TDD)のシングルキャリアにおいて、前記第1の上りチャネルの伝送のために上位層によって構成される前記第1の伝送機会におけるシンボルセットについて、端末デバイスが、前記シンボルセットのシンボルサブセットで下りチャネルを受信するように端末デバイスに指示する第2のDCIを検出した場合、前記端末デバイスは第1の時点の後の前記第1の上りチャネルの伝送をキャンセルすることを決定するステップを含み、前記第1の時点は、前記第2のDCIが前記端末デバイスによって検出された制御リソースセット内の最後のシンボルからの時間長Tの後の時点であり、前記時間長Tはチャネル処理時間である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記端末デバイスが所定のルールに基づいて、第1の伝送機会での第1の上りチャネルの伝送をキャンセルするかどうかを決定するステップは、
前記第1の上りチャネルの伝送のために上位層によって構成される前記第1の伝送機会におけるシンボルセットについて、前記端末デバイスが、前記シンボルセットのシンボルサブセットにおけるシンボルをフレキシブルシンボル又は下りシンボルとして示す、スロットフォーマット情報を運ぶ第1のDCIを検出した場合、又は、前記シンボルセットのシンボルサブセットで下りチャネルを受信するように前記端末デバイスに指示する第2のDCIを検出した場合、前記端末デバイスは第2の時点の後の前記第1の上りチャネルの伝送をキャンセルすることを決定するステップを含み、前記第2の時点は、前記第1のDCI及び/又は前記第2のDCIが前記端末デバイスによって検出された制御リソースセット内の最後のシンボルからの時間長Tの後の時点であり、前記時間長Tはチャネル処理時間である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記端末デバイスが所定のルールに基づいて、第1の伝送機会での第1の上りチャネルの伝送をキャンセルするかどうかを決定するステップは、
上り/下り構成共通メッセージ又は上り/下り構成専用メッセージによって下りシンボルとして示されるシンボルについて、前記端末デバイスは、前記シンボルでの前記第1の上りチャネルの伝送をキャンセルすることを決定するステップを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
処理ユニット及び送信ユニットを備え、
前記処理ユニットは、所定のルールに基づいて、第1の伝送機会での第1の上りチャネルの伝送をキャンセルするかどうかを決定するように構成され、前記第1の上りチャネルは、2段階ランダムアクセス手順の第1のメッセージにおける物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)であり、前記第1の伝送機会は前記PRACHに対応する伝送機会であり、
前記送信ユニットは、前記処理ユニットが前記PRACHの伝送をキャンセルすることを決定した場合、前記PRACHの伝送をキャンセルし、且つ第2の上りチャネルを送信しないように構成され、前記第2の上りチャネルは前記2段階ランダムアクセス手順の第1のメッセージにおける物理上り共有チャネル(PUSCH)であ
り、
前記処理ユニットは、前記第1の上りチャネルの伝送のために上位層によって構成される前記第1の伝送機会におけるシンボルセットについて、前記シンボルセット内のシンボルが上り/下り構成共通メッセージ及び上り/下り構成専用メッセージによってフレキシブルシンボルとして示される場合、又は、前記上り/下り構成共通メッセージ及び前記上り/下り構成専用メッセージが前記端末デバイスに提供されず、且つ前記端末デバイスがスロットフォーマット情報を運ぶ第1のDCIを検出しない場合、第3の時点の後の前記第1の上りチャネルの伝送をキャンセルすることを決定するように構成され、前記第3の時点は、前記第1のDCIの検出のために前記端末デバイスによって使用される制御リソースセット内の最後のシンボルからのMシンボルの後の時点であり、前記Mシンボルはチャネル処理時間である
ことを特徴とする端末デバイス。
【請求項6】
前記処理ユニットは、TDDのシングルキャリアにおいて、前記第1の上りチャネルの伝送のために上位層によって構成される前記第1の伝送機会におけるシンボルセットについて、端末デバイスが、前記シンボルセットのシンボルサブセットで下りチャネルを受信するように端末デバイスに指示する第2のDCIを検出した場合、第1の時点の後の前記第1の上りチャネルの伝送をキャンセルすることを決定するように構成され、前記第1の時点は、前記第2のDCIが前記端末デバイスによって検出された制御リソースセット内の最後のシンボルからの時間長Tの後の時点であり、前記時間長Tはチャネル処理時間である
ことを特徴とする請求項
5に記載の端末デバイス。
【請求項7】
前記処理ユニットは、前記第1の上りチャネルの伝送のために上位層によって構成される前記第1の伝送機会におけるシンボルセットについて、前記端末デバイスが、前記シンボルセットのシンボルサブセットにおけるシンボルをフレキシブルシンボル又は下りシンボルとして示す、スロットフォーマット情報を運ぶ第1のDCIを検出した場合、又は、前記シンボルセットのシンボルサブセットで下りチャネルを受信するように前記端末デバイスに指示する第2のDCIを検出した場合、第2の時点の後の前記第1の上りチャネルの伝送をキャンセルすることを決定するように構成され、前記第2の時点は、前記第1のDCI及び/又は前記第2のDCIが前記端末デバイスによって検出された制御リソースセット内の最後のシンボルからの時間長Tの後の時点であり、前記時間長Tはチャネル処理時間である
ことを特徴とする請求項
5に記載の端末デバイス。
【請求項8】
前記処理ユニットは、
上り/下り構成共通メッセージ又は上り/下り構成専用メッセージによって下りシンボルとして示されるシンボルについて、前記シンボルでの前記第1の上りチャネルの伝送をキャンセルすることを決定するように構成される
ことを特徴とする請求項
5に記載の端末デバイス。
【請求項9】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項10】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施例は、通信分野に関し、より具体的にはランダムアクセスの方法及び端末デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
5Gシステム又はニューラジオ(New Radio,NR)システムでは、2段階ランダムアクセス(2-step RA)がサポートされている。2段階のランダムアクセス手順では、第1のメッセージ(Msg A)に物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel, PRACH)と物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel, PUSCH)が含まれる。NRにおける柔軟なスロットフォーマット指示方法は、Msg Aの伝送に影響を与えたので、2段階のランダムアクセス手順でMsg Aの効果的な伝送を実現する方法は、解決すべき緊急の問題になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願は、ランダムアクセスの方法及び端末デバイスを提供し、2段階のランダムアクセス手順において、Msg Aの効果的な伝送を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、ランダムアクセスの方法が提供され、前記方法は、端末デバイスが所定のルールに基づいて、2段階ランダムアクセス手順の第1のメッセージにおける上りチャネルに対応する伝送機会で前記上りチャネルを送信するかどうかを決定するステップを含み、前記上りチャネルは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)と物理上り共有チャネル(PUSCH)を含み、前記方法は、前記端末デバイスが前記PRACHを送信しないことを決定した場合、前記端末デバイスが前記PRACHを送信せず、且つ前記PUSCHを送信しないステップと、前記端末デバイスが前記PUSCHを送信しないことを決定した場合、前記端末デバイスが前記PUSCHを送信せず、且つ前記PRACHを送信するか又は送信しないステップをさらに含む。
【0005】
第2の態様では、ランダムアクセスの装置が提供され、前記装置は、前述の第1の態様又はその任意の選択可能な実施形態の方法を実行することができる。具体的には、前記装置は、前述の第1の態様又はその任意の選択可能な実施形態の方法を実行するための機能モジュールを含む。
【0006】
第3の態様では、プロセッサ及びメモリを含むランダムアクセスのデバイスが提供される。前記メモリは、コンピュータプログラムを格納するために使用され、前記プロセッサは、前記メモリに格納されているコンピュータプログラムを呼び出して実行することで、前述の第1の態様又はその任意の選択可能な実施形態の方法を実行するように構成される。
【0007】
第4の態様では、プロセッサを含むチップが提供される。前記プロセッサは、メモリからコンピュータプログラムを呼び出して実行することで、チップがインストールされたデバイスに、前述の第1の態様又はその任意の選択可能な実施形態の方法を実行させる。
【0008】
第5の態様では、コンピュータに前述の第1の態様又はその任意の選択可能な実施形態の方法を実行させるコンピュータプログラムを格納するためのコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0009】
第6の態様では、前述の第1の態様又はその任意の選択可能な実施形態の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0010】
第7の態様では、コンピュータ上で実行されるときに、前述の第1の態様又はその任意の選択可能な実施形態の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムが提供される。
【0011】
上記の技術的解決策に基づいて、2段階ランダムアクセス手順において、端末デバイスは、事前に設定されたルールに基づいてMsg AのPRACHを送信しないことを決定した場合、Msg AのPUSCHも送信しない。また、Msg AのPUSCHを送信しないことを決定した場合、Msg AのPRACHを送信することも送信しないこともできるため、PRACHとPUSCHを効果的に伝送できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本出願の実施例が適用される可能な無線通信システムの概略図である。
【
図2】
図2は、4段階のランダムアクセス手順の概略図である。
【
図3】
図3は、2段階のランダムアクセス手順の概略図である。
【
図4】
図4は、本出願の実施例によるフレームフォーマット指示方法の概略図である。
【
図5】
図5は、本出願の実施例によるフレームフォーマット指示方法の概略図である。
【
図6】
図6は、本出願の実施例によるフレームフォーマット指示方法の概略図である。
【
図7】
図7は、本出願の実施例によるランダムアクセス方法の概略フローチャートである。
【
図8】
図8は、本出願の実施例によるPRACH及びPUSCH伝送の概略図である。
【
図9】
図9は、本出願の実施例によるランダムアクセの装置の概略ブロック図である。
【
図10】
図10は、本出願の実施例によるランダムアクセスのデバイスの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願の実施例における技術的解決策は、添付の図面と併せて以下に説明される。
【0014】
本出願の実施例の技術的解決策は、例えば、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution, LTE)システム、LTE周波数分割複信(Frequency Division Duplex, FDD)システム、LTE時間分割複信(Time Division Duplex, TDD)システム、アドバンスロングタームエボリューション(Advanced Long Term Evolution, LTE-A)システム、ニューラジオ(New Radio,NR)システム、NRシステムの進化システム、アンライセンススペクトル上のLTE(LTE-based access to unlicensed spectrum, LTE-U)システム、アンライセンススペクトル上のNR(NR-based access to unlicensed spectrum, NR-U)システム、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(Universal Mobile Telecommunication System, UMTS)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Networks, WLAN)、ワイヤレスフィデリティ(Wireless Fidelity, Wi-Fi)、5Gシステム(ニューラジオ(New Radio,NR)システムとも呼ばれる )又はその他の通信システムなどの様々な通信システムに適用することができる。
【0015】
一般に、従来の通信システムは、限られた数の接続をサポートし、実装が容易である。しかし、通信技術の発展に伴い、モバイル通信システムは従来の通信をサポートするだけでなく、デバイス間(Device to Device, D2D)通信、マシンツーマシン(machine to machine, M2M)通信、マシンタイプ通信(machine type communication, MTC)、車両間(vehicle to vehicle, V2V)もサポートする。本出願の実施例はまた、これらの通信システムに適用することができる。
【0016】
例示的に、本出願の実施例で適用される通信システム100は、
図1に示されている。通信システム100は、ネットワークデバイス110と、ネットワークデバイス110のカバレッジ内に配置された少なくとも1つの端末デバイス120とを含む。ネットワークデバイス110は、特定の地理的エリアに通信カバレッジを提供し、当該カバレッジエリアで配置された端末デバイスと通信することができる。端末デバイス120は、電磁波を介してネットワークデバイス110と通信することができる。
【0017】
ネットワークデバイス110は、5G移動通信システムにおける基地局(gNB)などの3GPPによって定義される基地局であり得る。ネットワークデバイス110はまた、アクセスゲートウェイ(access gateway, AG)などの非3GPPのアクセスデバイスであり得る。ネットワークデバイス110はまた、中継局、アクセスポイント、車載デバイス、ウェアラブルデバイス、及び他のタイプのデバイスであり得る。
【0018】
端末デバイス120は、様々な無線通信機能を有するハンドヘルドデバイス、車載デバイス、ウェアラブルデバイス、コンピューティングデバイス又は無線モデムに接続された他の処理デバイスを含み得、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project, 3GPP)で定義されているユーザ機器(user equipment, UE)、移動局(mobile station, MS)、ソフトターミナル、ホームゲートウェイ、セットトップボックスなど。
【0019】
図1は、例示的に1つのネットワークデバイス及び2つの端末デバイスを示しているが、本出願はこれに限定されない。通信システム100は、複数のネットワークデバイスを含むことができ、各ネットワークデバイスのカバレッジに他の数の端末デバイスが含まれることができる。さらに、通信システム100はまた、ネットワークコントローラ及びモビリティ管理エンティティなどの他のネットワークエンティティを含み得る。
【0020】
セルサーチ手順の後、端末デバイスはセルとの下り同期を達成したので、端末デバイスは、下りデータを受信することができる。ただし、端末デバイスは、セルとの上り同期を達成した場合にのみ上り伝送を実行できる。端末デバイスは、ランダムアクセス手順(Random Access Procedure, RAR)を介してセルとの接続を確立し、上り同期を取得できる。つまり、ランダムアクセスを介して、端末デバイスは上り同期を取得でき、ネットワークデバイスによって割り当てられた一意の識別子、即ちセル無線ネットワーク一時的なアイデンティティ(Cell Radio Network Temporary Identity, C-RNTI)を取得する。
【0021】
ランダムアクセス手順は、4段階のランダムアクセス手順及び2段階のランダムアクセス手順を含み得る。以下、4段階のランダムアクセス手順及び2段階のランダムアクセス手順を
図2及び
図3と併せて説明する。
【0022】
4段階のランダムアクセス手順及び2段階のランダムアクセス手順は、通常、以下の6つのタイプのトリガーイベントのうちの1つによってトリガーされ得る。
【0023】
(1)初期アクセス。
【0024】
端末デバイスは、無線リソース制御(Radio Resource Control, RRC)アイドル状態(RRC_IDLE状態)からRRC接続状態(RRC_CONNECTED)に入る。
【0025】
(2)ハンドオーバー(Handover)。
【0026】
このとき、端末デバイスは、新しいセルとの上り同期を確立する必要がある。
【0027】
(3)RRC接続再確立(RRC Connection Re-establishment procedure)。
【0028】
端末デバイスで無線リンク障害(Radio Link Failure, RLF)が発生した後、無線接続が再確立される。
【0029】
(4)RRC接続状態で下りデータが到着すると、上りは「非同期」状態にある。
【0030】
下りデータが到着した後、端末デバイスは、確認応答(ACK)メッセージ又は否定応答(NACK)メッセージを返信する必要がある。
【0031】
(5)RRC接続状態で上りデータが到着すると、上りは「非同期」状態にあるか、又はスケジューリング要求(scheduling request, SR)メッセージの伝送に利用可能な物理上り制御チャネル(physical uplink control channel, PUCCH)リソースがない。
【0032】
上りデータが到着したとき、例えば、測定レポートを報告したり、ユーザーデータを送信したりする必要があるとき、上りは「非同期」状態にあるか、又はSRメッセージの伝送に利用可能なPUCCHリソースがない(この時点で、すでに上り同期状態にある端末デバイスは、SRの役割の代わりにランダムアクセスチャネル(RACH)を使用できる)と、端末デバイスはランダムアクセス手順を開始できる。
【0033】
(6)RRC接続状態で、端末デバイスを見つけるために、タイミングアドバンス(Timing Advance, TA)を取得する必要がある。
【0034】
さらに、ランダムアクセス手順はまた、RRCアクティベーション状態(RRC_INACTIVE)遷移、他のシステム情報(other system information, OSI)の要求、ビーム障害回復(beam failure recovery)などの原因のためにトリガーされ得る。
【0035】
本出願の一実施例では、4段階ランダムアクセス手順における第1から第4のメッセージは、それぞれ、Msg 1、Msg 2、Msg 3、及びMsg 4として示され、2段階のランダムアクセス手順における第1のメッセージ及び第2のメッセージは、それぞれMsg A及びMsg Bとして示される。
【0036】
図2は、4段階のランダムアクセスの相互作用フローチャートである。
図2に示されるように、4段階のランダムアクセスのフローは、以下の4つのステップを含むことができる。
【0037】
ステップ1において、端末デバイスは、Msg 1をネットワークデバイスに送信する。
【0038】
Msg 1は、プリアンブル、ランダムアクセスプリアンブルシーケンス、プリアンブルシーケンスなどとも呼ばれるランダムアクセスプリアンブル(Random Access Preamble, RAP)を運ぶ。前記プリアンブルは、PRACH上で運ばれる。さらに、Msg 1をネットワークデバイスに使用して、ネットワークデバイスと端末デバイスの間の伝送遅延を推定し、それに応じて上り時間を調整することもできる。
【0039】
ステップ2において、ネットワークデバイスは、Msg 2を端末デバイスに送信する。
【0040】
端末デバイスによって送信されたMsg 1を検出できたとき、ネットワークデバイスは、Msg 2、即ちランダムアクセス応答(Random Access Response, RAR)メッセージを前記端末デバイスに送信して、Msg 3の送信に使用できる上りリソースの情報を前記端末デバイスに通知し、無線ネットワーク一時的なアイデンティティ(Radio Network Temporary Identity, RNTI)を前記端末デバイスに割り当てるとともに、前記端末デバイスにTAコマンド(TA command)を提供する。
【0041】
端末デバイスは、前記RARメッセージを受信するために、RARウィンドウ(RAR window)内で物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel, PDCCH)を監視する。端末デバイスがRARウィンドウでRARメッセージを検出できない場合、端末デバイスはPRACHの再送信を実行できる。端末デバイスがRARウィンドウでRARメッセージを正常に検出した場合、端末デバイスは、RARメッセージによって示された上りリソースに従ってMsg 3の伝送を実行する。即ち、ステップ3を実行する。
【0042】
ステップ3において、端末デバイスは、Msg 3をネットワーク装置に送信する。
【0043】
このステップは、ハイブリッド自動再送要求(Hybrid Automatic Repeat reQuest, HARQ)再送信を可能にする。
【0044】
ステップ4において、ネットワークデバイスは、Msg 4を端末デバイスに送信する。
【0045】
Msg 4は、競合解決メッセージを含む。さらに、Msg 4は、端末デバイスに上り伝送リソースを割り当てることができる。このステップにより、HARQの再送信が可能になる。
【0046】
端末デバイスは、ネットワークデバイスによって送信されたMsg 4を受信すると、Msg 4が自分によって送信されたMsg 3の内容の一部を含むかどうかを検出する。含む場合、前記端末デバイスのランダムアクセスが成功したことを示す。それ以外の場合は、前記端末デバイスのランダムアクセスが失敗し、端末デバイスがステップ1からランダムアクセス手順を再度開始する必要があることを示す。
【0047】
4段階のランダムアクセス手順には大きな遅延があり、したがってNRでは、端末デバイスはまた、2段階のランダムアクセス手順を開始して、低待ち時間及び高信頼性のサービスに適応し、ランダムアクセスの遅延を削減する。
【0048】
簡単に言えば、2段階ランダムアクセス手順では、4段階ランダムアクセス手順におけるMsg 1及びMsg 3は、2段階ランダムアクセス手順におけるMsg Aにマージすることができ、4段階ランダムアクセス手順におけるMsg 2及びMsg 4は、2段階ランダムアクセス手順におけるMsg Bにマージすることができる。
【0049】
図3は、2段階ランダムアクセスの相互作用フローチャートである。
図3に示されるように、2段階ランダムアクセス手順は、以下の2つのステップを含むことができる。
【0050】
ステップ1において、端末デバイスは、Msg Aをネットワーク装置に送信する。
【0051】
即ち、プリアンブル及び追加情報が伝送される。Msg Aには、プリアンブルと上りデータを含めることができる。前記プリアンブルはPRACHで運ばれる。前記上りデータは、例えばPUSCHなどの上りチャネルで運ばれる。前記上りデータには、端末デバイスの識別情報、RRC要求の原因などが運ばれる。言い換えれば、Msg Aは、4段階のランダムアクセス手順におけるMsg 1及びMsg 3の情報の一部又は全部を含むことができる。
【0052】
ネットワークデバイスは、2段階のランダムアクセス手順におけるMsg Aを送信するために使用することができる周期的なリソース、即ちPRACH機会(PRACH occasion)及びPUSCH機会(PUSCH occasion)を構成することができる。
【0053】
ステップ2において、ネットワークデバイスは、Msg Bを端末デバイスに送信する。
【0054】
即ち、RAR及び競合解決が伝送される。Msg Bには、競合解決情報、C-RNTI割り当て情報、TA情報などが含まれる。言い換えれば、Msg Bは、4段階のランダムアクセス手順におけるMsg 2及びMsg 4の情報の一部又は全部を含むことができる。
【0055】
図2及び
図3は単なる例であることを理解されたい。ここで、Msg Aには、Msg 1及びMsg 3で運ばれる情報の一部又はすべてが含まれ得、又は、他の情報も含まれる場合もあり得る。Msg Bには、Msg 2及びMsg 4で運ばれる情報の一部又はすべてが含まれ得、又は、他の情報も含まれる場合もあり得る。
【0056】
2段階ランダムアクセス手順はまだ標準化段階に入っていないので、ここではただ
図3を例として紹介する。関連する各ランダムアクセスメッセージの定義には他の可能性があり、2段階のランダムアクセス手順におけるランダムアクセスメッセージの他の定義に制限はない。本出願の実施例に記載されている方法は、他のすべての2段階ランダムアクセス手順に適用可能である。
【0057】
NRには柔軟なスロットフォーマットの指示方法があり、ネットワークデバイスは、異なる指示方法を介して端末デバイスにスロットフォーマットを示すことができる。以下、NRにおけるスロットフォーマットの指示方法を
図4から
図6と併せて説明する。
【0058】
NRでは、柔軟な上り/下りスロットフォーマットがサポートされており、各スロットは、下り(downlink, DL)、上り(uplink, UL)、及びフレキシブル(flexible)の3つのタイプ(又は方向と呼ばれる)として構成することができる。DLスロットは、下りチャネル又は下り信号を伝送するために使用される。ULスロットは、上りチャネル又は上り信号を伝送するために使用される。flexibleスロットは、上りチャネル又は上り信号を伝送するために使用でき、下りチャネル又は下り信号を伝送するためにも使用できる。各スロットのシンボルも、DL、UL、及びフレキシブルの3つのタイプに構成することができる。flexibleスロットは、スケジューリングによってDLスロット又はULスロットになり得る。flexibleシンボルは、スケジューリングによってDLシンボル又はULシンボルになり得る。
【0059】
ネットワークデバイスは、ブロードキャストメッセージを介してセル固有(cell-specific)の上り/下り構成(UL/DL configuration)メッセージ(cell-specific UL/DL configuration)を送信することができる。この構成メッセージは、10msなどの一つの周期内のスロットフォーマットを構成するために使用される。端末デバイスは、cell-specific UL/DL configurationに従って、この周期内のスロットフォーマットを決定できる。
図4に示すように、この周期内のX個のスロットがDL、X+1番目のスロットの最初のxシンボルがDLであるとする。この周期内の最後のYシンボルはUL、後から(Y+1)番目のスロットの最後のyシンボルはULである。この周期の残りのシンボルはflexibleである。
【0060】
さらに、ネットワークデバイスはまた、RRC専用シグナリングを介して、UE固有(UE-specific)の上り/下り構成(UL/DL configuration)メッセージ(UE-specific UL/DL configuration)を送信することができる。この構成メッセージは、一つの周期、即ちCell-specific UL/DL configuration配置周期内の指定されたスロットのスロットフォーマットを構成するために使用され、Cell-specific UL/DL configurationによってflexibleとして構成されたシンボルの方向のみを変更でき、Cell-specific UL/DL configurationによってDL又はULとして構成されたシンボルの方向を変更することはできない。
図5に示すように、mはスロット内のDLシンボルの数、nはスロット内のULシンボルの数、残りのシンボルは依然としてflexibleシンボルである。
【0061】
さらに、ネットワークデバイスは、下り制御情報(DCI)を介してスロットフォーマットを示すこともできる。このDCIはスロットフォーマットインジケータ(Slot Format Indicator, SFI)メッセージを運び、このSFIメッセージはスロットフォーマットを構成するために使用され、SFIの構成周期はCell-specific UL/DL configurationの構成周期と異なってもよい。さらに、SFIは、Cell-specific UL/DL configuration及びUE-specific UL/DL configurationによってflexibleとして構成されたシンボルの方向のみを変更でき、既にDL又はULとして構成されているシンボルの方向を変更することはできない。
図6に示すように、SFIは、Kスロットのスロットフォーマットを示すために使用される。
【0062】
端末デバイスは、上記の方法に基づいて上り/下りデータの伝送位置を決定する必要があり、データ伝送は、事前に設定されたルールに従う必要がある。2段階ランダムアクセス手順のMsg AにおけるPRACHとPUSCHの場合、その伝送もこれらのルールに従う必要がある。これらのルールは、リソースの競合などの問題を回避できるが、2段階ランダムアクセス手順のMsg AにおけるPRACH又はPUSCHの伝送を制限する可能性もある。PRACHとPUSCHの間には一定の関連があるため、PRACHとPUSCHの伝送は相互に影響を及ぼし、かつPRACHとPUSCHは下りチャネルの伝送にも影響を与える可能性がある。
【0063】
このために、本出願の実施例にはランダムアクセス方法が提案され、これは、2段階のランダムアクセス手順においてMsg Aの効果的な伝送を実現することができる。
【0064】
図7は、本出願の実施例によるランダムアクセス方法の概略フローチャートである。
図7に示す方法は、端末デバイスによって実行することができる。この端末デバイスは、例えば、
図1に示される端末デバイス120であり得る。
図7に示されるように、この方法は、以下のステップのいくつか又はすべてを含む。
【0065】
710において、端末デバイスは、所定のルールに基づいて、2段階ランダムアクセス手順の第1のメッセージにおける上りチャネルに対応する伝送機会に前記上りチャネルを送信するかどうかを決定する。
【0066】
前記上りチャネルは、例えば、PRACH又はPUSCHを含む。
【0067】
前記PRACHに対応する伝送機会はPRACH機会であり、PUSCHに対応する伝送機会はPUSCH機会である。
【0068】
720において、端末デバイスが前記PRACHを送信しないことを決定した場合、端末デバイスは前記PRACHを送信せず、前記PUSCHを送信しない。
【0069】
730において、端末デバイスが前記PUSCHを送信しないことを決定した場合、端末デバイスは、前記PUSCHを送信せず、前記PRACHを送信するか、又は送信しない。
【0070】
端末デバイスは、上記の方法で示されたスロットフォーマットに基づいて上り/下り伝送を行う場合、事前に設定されたルールに従う必要があり、前記事前に設定されたルールは、例えば、上り伝送と下り伝送の間の競合、及び上り信号と上りチャネルの間の競合を回避し、端末デバイスのチャネル監視動作を規制するために使用できる。710において、端末デバイスが前記事前設定されたルールに基づいて、2段階ランダムアクセス手順の第1のメッセージにおける上りチャネルに対応する伝送機会に、PRACH及び/又はPUSCHなどの前記上りチャネルを送信しないことを決定した場合、端末デバイスは、720及び730に従って、PRACH及びPUSCHを送信するかどうかを決定することができる。
【0071】
720では、端末デバイスがPRACHを送信しない場合、対応するPUSCHも送信しない。 730では、端末デバイスがPUSCHを送信しない場合、端末デバイスはPRACHを送信しないか、PRACHを送信するかを選択できる。
【0072】
完全なMsg Aは、PRACH及びPUSCHという2つの部分を含む。一般に、ネットワークデバイスは、端末デバイスによって送信されたPRACHで運ばれるプリアンブルを検出した後にのみ、PUSCHが存在することを認識し、したがって、対応するPUSCHを検出する。ネットワークデバイスは、PRACHの検出に基づいて関連するチャネル情報を推定して取得し、前記チャネル情報を使用してPUSCHの復調を支援する必要がある。ネットワークデバイスがPRACHを検出したが、PUSCHを検出できなかった場合、ネットワークデバイスは前記PRACHにのみ応答でき、このとき、Msg AはMsg 1として使用できる。
【0073】
したがって、端末デバイスはPRACHを送信しないことを決定した場合、PUSCHも送信しない。また、端末デバイスはPUSCHを送信しないことを決定した場合、PRACHを送信するかどうかを選択できる。
【0074】
オプションで、端末デバイスがPUSCHを送信しないが、同じMsg Aに対応するPRACHを送信した場合、2段階のランダムアクセス手順は、4段階のランダムアクセス手順にフォールバックすることができる。
【0075】
即ち、端末デバイスがPRACHを送信できない場合、PUSCHを送信することもできない。ただし、端末デバイスがPUSCHを送信できない場合、PRACHは送信される場合と送信されない場合がある。さらに、ネットワークデバイスがPRACHのみを受信した場合、端末デバイスによって送信されたPRACHを最大限に活用するために、2段階のランダムアクセス手順から4段階のランダムアクセス手順にフォールバックすることができる。
【0076】
710において、前記事前に設定されたルールは、例えば、以下のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0077】
(1)TDDシングルキャリアにおいて、前記伝送機会が、同期信号ブロック(Synchronizing Signal/PBCH Block、SSB又はSS/PBCH Block)を伝送するために使用されるシンボルセットからのいずれかのシンボルと重複する場合、前記端末デバイスは前記シンボルセットで前記上りチャネルを送信しないことを決定する。
【0078】
(2)前記伝送機会において上り/下り構成共通メッセージ(tdd-UL-DL-ConfigurationCommon)及び上り/下り構成専用メッセージ(tdd-UL-DL-ConfigurationDedicated)によってフレキシブルシンボルとして指示され且つスロットフォーマット情報を運ぶ第1のDCIによってフレキシブルシンボルとして指示されるシンボルセットについて、前記端末デバイスが前記上りチャネルを伝送するように前記端末デバイスをスケジュールする第2のDCIを検出できない場合、前記端末デバイスは前記シンボルセットで上りチャネルを送信しないことを決定する。
【0079】
(3)TDDシングルキャリアにおいて、前記伝送機会のうちの前記上りチャネルを伝送するために上位層によって構成されるシンボルセットについて、端末デバイスが、前記シンボルセットのシンボルサブセット内で下りチャネルを受信するように端末デバイスを指示する第2のDCIを検出した場合、前記端末デバイスは、前記第2のDCIが検出された制御リソースセットの最後のシンボルからの時間長Tの後に前記上りチャネルを送信しないことを決定する。
【0080】
(4)前記伝送機会のうちの上りチャネルを伝送するために上位層によって構成されるシンボルセットについて、前記端末デバイスが、前記シンボルセットのシンボルサブセットにおけるシンボルがフレキシブルシンボル又は下りシンボルとして示されるために使用されるスロットフォーマット情報を運ぶ第1のDCIを検出した場合、又は前記シンボルサブセットで下りチャネルを受信することを端末デバイスに指示する第2のDCIを検出した場合、前記端末デバイスは、前記第1のDCI及び/又は前記第2のDCIが検出された制御リソースセットの最後のシンボルから時間長Tの後に前記上りチャネルを送信しないことを決定する。
【0081】
(5)前記伝送機会のうちの前記上りチャネルを伝送するために上位層によって構成されるシンボルセットについて、前記シンボルセットからのシンボルが上り/下り構成共通メッセージ(tdd-UL-DL-ConfigurationCommon)上り/下り構成専用メッセージ(tdd-UL-DL-ConfigurationDedicated)によってフレキシブルシンボルとして指示される場合、又は上り/下り構成共通メッセージ(tdd-UL-DL-ConfigurationCommon)上り/下り構成専用メッセージ(tdd-UL-DL-ConfigurationDedicated)が前記端末デバイスに提供されず、且つ前記端末デバイスがスロットフォーマット情報を運ぶ前記第1のDCIを検出できなかった場合、前記端末デバイスは前記第1のDCIの検出に使用される制御リソースセットの最後のシンボルからのMシンボルの後に前記上りチャネルを送信しないことを決定する。
【0082】
710において、端末デバイスが、上記(1)~(5)に記載の事前に設定されたルールに基づいて、対応する伝送機会で前記上り信号を送信しないことを決定した場合、例えば、PRACH 機会でPRACHを送信しないことを決定するか、又はPUSCH機会でPUSCHを送信しないことを決定する場合、端末デバイスは720又は730を実行する。
【0083】
ルール(3)から(5)の場合、時間長T及びMシンボルは、いずれもチャネル処理時間である。チャネル処理時間は、端末デバイスによってDCIを処理する時間として理解できる。ルール(3)を例にとると、端末デバイスがDCIに対する復号化などの処理を実行するために時間長Tが必要とされる。端末デバイスがDCIの復号化を完了しないと、前記DCIが下り伝送をスケジュールしていることを認識できない。したがって、端末デバイスは、時間長T内で前記上りチャネルを送信することができるが、時間長Tの後、端末デバイスは、対応する伝送機会で前記上りチャネルを送信しない。簡単にするために、時間長T及びMシンボルは、本明細書ではPUSCH処理時間として事前設定されており、PUSCH処理時間は、端末デバイスの処理能力に対応している。
【0084】
例えば、
図8に示されるように、端末デバイスは、
図8に示される前記上りチャネルの伝送のために上位層によって構成されたシンボルセットでPRACH及びPUSCHを送信する準備をする。端末デバイスが制御リソースセット(Control Resource Set, CORESET)で第2のDCIを受信し、且つ前記第2のDCIが端末デバイスに前記シンボルセットからのシンボルサブセットで下りチャネルを受信するように指示した場合、前記CORESETの最後のシンボルを基準点として、前記シンボルサブセットのうちの時間長T内にあるシンボルで、端末デバイスはすでに準備できたPRACHの伝送をキャンセルせず、前記シンボルサブセットのうちの時間長Tの後にあるシンボルで、端末デバイスはPRACHの伝送をキャンセルする。PRACH伝送がキャンセルされた場合、PUSCHも伝送されない。
【0085】
本出願の実施例における第1のDCIは、スロットフォーマット情報、例えば、SFI指示フィールド(SFI-index field)を運ぶことを理解されたい。SFI-index fieldの値を使用して、flexible、UL、DLを含むスロットフォーマットを示すことができる。第1のDCIのフォーマットは、DCIフォーマット2_0、DCIフォーマット2_Xなどであり得る。
【0086】
本出願の実施例における第2のDCIは、ULスケジューリング情報及びDLスケジューリング情報を含むスケジューリング情報とも呼ばれ得、ULスケジューリング情報及びDLスケジューリング情報はそれぞれ、対応するシンボル又はスロット上で上りデータを送信又は下りデータを受信するように端末デバイスに指示するために使用される。第2のDCIのフォーマットは、DCIフォーマット0_1、DCIフォーマット1_0、DCIフォーマット1_1、DCIフォーマット2_3、DCIフォーマット2_X、RAR上りグラントメッセージ(RAR UL grant)などであり得る。
【0087】
上記のルール(1)から(5)はすべて、PRACH及び/又はPUSCHのキャンセルを引き起こす可能性があり、言い換えれば、PRACH及び/又はPUSCHが送信されない原因となる可能性がある。さらに、前記事前に設定されたルールには他のルールが含まれる場合もある。Msg AにおけるPRACHとPUSCHを送信する際に端末デバイスが従う必要のあるルールを以下に詳細に示す。
【0088】
ルール0
tdd-UL-DL-ConfigurationCommon又はtdd-UL-DL-ConfigurationDedicatedによってDLとして示されるシンボルの場合、端末デバイスは、これらのシンボルでPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、及びSRSを送信しない。
【0089】
ルール1
時分割複信(Time Division Duplex, TDD)シングルキャリアで動作する端末デバイスの場合、端末デバイスがSSBを受信するシンボルセットの場合、PUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCHのいずれかのシンボルが前記シンボルセットとオーバーラップすれば、端末デバイスは前記シンボルセットでPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、又はMsg AのPUSCHを送信せず、且つ端末デバイスは前記シンボルセットでサウンディング参照信号(Sounding Reference Signal, SRS)を送信しない。
【0090】
上記の理由により端末デバイスがMsg AのPRACHを送信しない場合、端末デバイスは同じMsg Aに対応するPUSCHを送信しない。また、上記の理由により端末デバイスがMsg AのPUSCHを送信しない場合、端末デバイスは、同じMsg Aに対応するPRACHを送信することも送信しないこともできる。
【0091】
ルール2
有効な(valid)Msg 1に対応するPRACH機会、有効なMsg Aに対応するPRACH機会又は有効なMsg Aに対応するPUSCH機会、及び有効なMsg 1に対応するPRACH機会、有効なMsg Aに対応するPRACH機会又は有効なMsg Aに対応するPUSCH機会の前のNgap個のシンボルのシンボルセットにおいて、端末デバイスは、前記シンボルセットとオーバーラップするPDCCH(タイプ1-共通サーチスペース(Common Search Space, CSS)セット(Type 1-PDCCH CCS set))、PDSCH又はチャネル状態情報参照信号(Channel State Information-Reference Signal, CSI-RS)を受信しない。
【0092】
端末デバイスは、前記シンボルセットが、tdd-UL-DL-ConfigurationCommon又はtdd-UL-DL-ConfigurationDedicatedによってDLとして示されることを期待しない。
【0093】
本出願の実施例における「端末デバイスは…を期待しない」は、端末デバイスが検出しない、受信しない、又は受信した後に廃棄することとして理解され得ることが理解されるべきである。同様に、ネットワークデバイスにとって、「端末デバイスは...を期待しない」とは、ネットワークデバイスが送信しないことと理解することができる。
【0094】
ルール3
ルール3.1において、DCIフォーマット2_0によってDLとして示されるシンボルセットにおいて、端末デバイスは、PUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH又はSRSを前記シンボルセットで送信するようにスケジュールされることを期待しない。
【0095】
ルール3.2において、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、又はMsg AのPUSCHの送信のために構成されたシンボルセットにおいて、端末デバイスは、前記シンボルセットをDLとして示すDCIフォーマット2_0を受信することを期待しない。
【0096】
ルール4
tdd-UL-DL-ConfigurationCommon及びtdd-UL-DL-ConfigurationDedicatedによってflexibleと示されたシンボルセットの場合、又はtdd-UL-DL-ConfigurationCommon及びtdd-UL-DL-ConfigurationDedicatedが提供されていない場合、端末デバイスはDCIフォーマット2_0を検出すると、
DCIフォーマット2_0によってflexibleとして示されるシンボルセットについて、端末デバイスは、前記シンボルセットにおいてPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSを送信するようにスケジュールされ得;
DCIフォーマット2_0によってflexibleとして示されるシンボルセットについて、端末デバイスがDLスケジューリング情報を受信せず、ULスケジューリング情報も受信しなかった場合、端末デバイスは前記シンボルセットにおいて受信も送信も実行しなく;
PUCCH、PUSCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、又はMsg AのPUSCHを送信するように上位層によって構成され、且つDCIフォーマット2_0によってULとして示されるシンボルセットにおいて、端末デバイスは、PUCCH、PUSCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、又はMsg AのPUSCHを送信し、
上記の理由により端末デバイスがMsg AのPRACHを送信しない場合、端末デバイスは同じMsg Aに対応するPUSCHを送信せず、上記の理由により端末デバイスがMsg AのPUSCHを送信しない場合、端末デバイスは、同じMsg Aに対応するPRACHを送信することも送信しないこともできる。
【0097】
ルール5
CSI-RS又はPDSCHを受信するように上位層によって構成されたシンボルセットにおいて、前記シンボルセットからのシンボルサブセットがDCIフォーマット2_0によってUL又はflexibleとして示される場合、又は前記シンボルセットからの少なくとも1つのシンボルがPUCCH、PUSCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH又はSRSを伝送するようにスケジュールされている場合、端末デバイスはCSI-RS又はPDSCHの受信をキャンセルする。
【0098】
ルール6
tdd-UL-DL-ConfigurationCommon又はtdd-UL-DL-ConfigurationDedicatedによってflexibleとして示されたシンボルセットの場合、又はtdd-UL-DL-ConfigurationCommon及びtdd-UL-DL-ConfigurationDedicatedが提供されていない場合、DCIフォーマット2_0を運ぶPDCCHを監視するように端末デバイスが構成されていないと、端末デバイスは、前記シンボルセットでPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSを送信するようにスケジュールされることができる。
【0099】
ルール7
TDDシングルキャリアのシナリオにおいて、PUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSの送信のために上位層によって構成されたシンボルセットについて、端末デバイスが前記シンボルセットからのシンボルサブセットでCSI-RS又はPDSCHを受信するように端末デバイスに示すスケジューリング情報を検出した場合、前記スケジューリング情報を検出したCORESETの最後のシンボル基準点として、時間長T内のシンボルサブセットからのシンボルにおいて、端末デバイスは、上位層によって構成されたPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、又はMsgAのPUSCHの伝送をキャンセルすることを期待しない。端末デバイスは、前記シンボルセットの残りのシンボルにおけるPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、又はMsg AのPUSCHの伝送をキャンセルし、前記シンボルサブセットの残りのシンボルにおけるSRSの伝送をキャンセルする。
【0100】
端末デバイスがMsg AのPRACHを送信しない場合、端末デバイスは、PUSCHの送信が前記シンボルサブセットの残りのシンボルにあるかどうかに関係なく、同じMsg Aに対応するPUSCHを送信しない。また、端末デバイスがMsg AのPUSCHを送信しない場合、端末デバイスは、同じMsg Aに対応するPRACHを送信する場合もあれば、送信しない場合もある。
【0101】
PUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSを伝送するように上位層によって構成されたシンボルセットについて、端末デバイスがDCIフォーマット2_0を検出し、前記DCIフォーマット2_0は前記シンボルセットからのシンボルサブセットをDL又はflexibleとして示す場合、又は、端末デバイスが前記シンボルセットからのシンボルサブセットでCSI-RS又はPDSCHを受信することを端末デバイスに示すスケジューリング情報を検出した場合、DCIフォーマット2_0又は前記スケジューリング情報が検出されたCORESETの最後のシンボルを基準点として、時間長T内のシンボルサブセットからのシンボルにおいて、端末デバイスは、上位層によって構成されたPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSの伝送をキャンセルすることを期待しない。端末デバイスは、前記シンボルセットの残りのシンボルにおけるPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、又はMsg AのPUSCHの伝送をキャンセルし、前記シンボルサブセットの残りのシンボルにおけるSRSの伝送をキャンセルする。
【0102】
端末デバイスがMsg AのPRACHを送信しない場合、端末デバイスは、PUSCHの送信が前記シンボルサブセットの残りのシンボルにあるかどうかに関係なく、同じMsg Aに対応するPUSCHを送信しない。また、端末デバイスがMsg AのPUSCHを送信しない場合、端末デバイスは、同じMsg Aに対応するPRACHを送信する場合もあれば、送信しない場合もある。
【0103】
ルール8
TDDシングルキャリアのシナリオにおいて、端末デバイスがPDCCHを監視するCORESET内のフレキシブルシンボルについて、端末デバイスが、前記フレキシブルシンボルをフレキシブル又はULとして示すDCIフォーマット2_0を検出せず、且つ端末デバイスが前記フレキシブルシンボル上でPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSを送信するように端末デバイスに示すスケジューリング情報を検出しない場合、端末デバイスは前記フレキシブルシンボルがULであると想定する。
【0104】
TDDシングルキャリアのシナリオにおいて、端末デバイスはシンボルセットでPDCCH、PDSCH又はCSI-RSを受信するように上位層によって構成され、端末デバイスが前記シンボルセットからの少なくとも1つのシンボルでPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSを送信するように端末デバイスに示すスケジューリング情報を受信しない場合、端末デバイスは前記シンボルセットでPDCCH、PDSCH、又はCSI-RSを受信し、それ以外の場合、端末デバイスは前記シンボルセットでPDCCH、PDSCH、又はCSI-RSを受信しない。
【0105】
ルール9
tdd-UL-DL-ConfigurationCommon及びtdd-UL-DL-ConfigurationDedicatedによってflexibleと示されるシンボルセットにおいて、又はtdd-UL-DL-ConfigurationCommon及びtdd-UL-DL-ConfigurationDedicatedが提供されず、端末デバイスがDCIフォーマット2_0を検出しないと、
端末デバイスが、前記シンボルセットにおいてPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSを送信するようにスケジュールされている場合、端末デバイスは、PUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH又はSRSを送信し;
端末デバイスが、前記シンボルセットにおいてPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSを送信するように上位層によって構成されている場合、DCIフォーマット2_0を運ぶPDCCHを監視するために構成されたCORESEの最後のシンボルを基準点として、Mシンボルの後の前記シンボルセットが位置するスロットにおいて、端末デバイスはPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、又はMsg AのPUSCHを送信せず、Mシンボルの後の前記シンボルセットにおいてSRSを送信しない。端末デバイスは、Mシンボル内の前記シンボルセットにおけるPUSCH、PUCCH、Msg 1のPRACH、Msg AのPRACH、Msg AのPUSCH、又はSRSの伝送をキャンセルすることを期待しない。
【0106】
端末デバイスがMsg AのPRACHを送信しない場合、端末デバイスは、同じMsg Aに対応するPUSCHを送信しない。また、端末デバイスがMsg AのPUSCHを送信しない場合、端末デバイスは同じMsg Aに対応するPRACHを送信することも送信しないこともできる。
【0107】
本出願の実施例における方法は、初期アクセス手順だけでなく、様々なランダムアクセス手順に適用することができる。さらに、本出願の実施例における方法は、競合ベースのランダムアクセス手順(contention based RACH)及び競合のないランダムアクセス手順(contention free RACH)に適用することができる。
【0108】
衝突がないという前提の下で、本出願に記載される様々な実施例及び/又は様々な実施例における技術的特徴は、互いに任意に組み合わせることができ、その組み合わせから得られる技術的解決策も、本出願の保護範囲に含まれる。
【0109】
本出願の各実施例では、各プロセスのシーケンス番号は、実行順序の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順序は、その機能及び内部論理に従って決定されるべきであり、本出願の実施例の実装過程を制限するべきではない。
【0110】
本出願の実施例によるランダムアクセス方法は、上で詳細に説明されてきた。本出願の実施例によるランダムアクセスのための装置は、
図9に関連して以下に説明される。 方法の実施例に記載されている技術的特徴は、以下の装置の実施例に適用可能である。
【0111】
前記装置は上記の機能を実現するために、各機能を実行するための対応するハードウェア構造及び/又はソフトウェアモジュールを含むことが理解され得る。当業者は、本明細書に開示される実施例に記載される各例示のユニット及びアルゴリズムステップと組み合わせて、本出願がハードウェア又はハードウェアとコンピュータソフトウェアの組み合わせの形で実施できることを容易に理解するはずである。特定の機能がハードウェアによって実行されるか、コンピューターソフトウェア駆動型ハードウェアによって実行されるかは、技術的解決策の特定のアプリケーションと設計制約条件によって異なる。専門的な技術者は、特定のアプリケーションごとに異なる方法を使用して、説明されている機能を実装できるが、そのような実装は、本出願の範囲を超えると見なされるべきではない。
【0112】
本出願では、前述の方法に従って前記装置を機能ユニットに分割することができる。例えば、各機能に応じて各ユニットに分割したり、2つ以上の機能を1つのユニットに統合したりできる。上記の統合ユニットは、ハードウェア又はソフトウェア機能ユニットの形式で実装できる。本出願におけるユニットの分割は例示的なものであり、論理的な機能の分割にすぎず、実際の実装には他の分割方法があり得ることに留意されたい。
【0113】
図9は、本出願の実施例によるランダムアクセスのための装置900の概略ブロック図である。
図9に示されるように、装置900は、処理ユニット910及び送信ユニット920を含む。
【0114】
処理ユニット910は、所定のルールに基づいて、2段階ランダムアクセス手順の第1のメッセージにおける上りチャネルに対応する伝送機会に前記上りチャネルを送信するかどうかを決定するように構成される。ここで、前記上りチャネルは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)と物理上り共有チャネル(PUSCH)を含む。
【0115】
送信ユニット920は、前記処理ユニットが前記PRACHを送信しないことを決定したときに、前記PRACHを送信せず、且つ前記PUSCHを送信せず、前記処理ユニットが前記PUSCHを送信しないことを決定したときに、前記PUSCHを送信せず、且つ前記PRACHを送信するか又は送信しないように構成される。
【0116】
したがって、2段階ランダムアクセス手順において、前記装置が、事前に設定されたルールに基づいてMsg AのPRACHを送信しないことを決定した場合、Msg AのPUSCHも送信しない。一方、Msg AのPUSCHを送信しないことを決定した場合、Msg AのPRACHを送信することも送信しないこともできるため、PRACHとPUSCHを効果的に伝送することができる。
【0117】
オプションとして、前記処理ユニット910は、前記送信ユニットがPUSCHを送信せず、且つ前記PRACHを送信する場合に、2段階ランダムアクセス手順から4段階ランダムアクセス手順にフォールバックすることを決定するようにさらに構成される。
【0118】
オプションとして、前記処理ユニット910は、時分割複信(TDD)のシングルキャリアにおいて、前記伝送機会と同期信号ブロックの伝送に使用されるシンボルセットとの間でいずれかのシンボルが重複する場合、前記シンボルセットで前記上りチャネルを送信しないことを決定するように構成される。
【0119】
オプションとして、前記処理ユニット910は、前記伝送機会において上り/下り構成共通メッセージ及び上り/下り構成専用メッセージによってフレキシブルシンボルとして示され、且つスロットフォーマット情報を運ぶ第1の下り制御情報(DCI)によってフレキシブルシンボルとして示されるシンボルセットについて、前記端末デバイスが前記上りチャネルを送信するように前記端末デバイスをスケジュールする第2のDCIを検出しない場合、前記シンボルセットで前記上りチャネルを送信しないことを決定するように構成される。
【0120】
オプションとして、前記処理ユニット910は、TDDのシングルキャリアで、前記上りチャネルの伝送のために上位層によって構成される前記伝送機会におけるシンボルセットについて、端末デバイスが前記シンボルセットのシンボルサブセットで下りチャネルを受信するように端末デバイスに指示する第2のDCIを検出した場合、前記第2のDCIが検出された制御リソースセットの最後のシンボルからの時間長Tの後に前記上りチャネルを送信しないことを決定するように構成され、前記時間長Tはチャネル処理時間である。
【0121】
オプションとして、前記処理ユニット910は、前記上りチャネルの伝送のために上位層によって構成される前記伝送機会におけるシンボルセットについて、前記端末デバイスが前記シンボルセットのシンボルサブセットをフレキシブルシンボル又は下りシンボルとして示す、スロットフォーマット情報を運ぶ第1のDCIを検出した場合、又は、前記シンボルサブセットで下りチャネルを受信するように前記端末デバイスに示す第2のDCIを検出した場合、前記第1のDCI及び/又は前記第2のDCIが検出された制御リソースセットの最後のシンボルからの時間長Tの後に前記上りチャネルを送信しないことを決定するように構成され、前記時間長Tはチャネル処理時間である。
【0122】
オプションとして、前記処理ユニット910は、前記上りチャネルの伝送のために上位層によって構成される前記伝送機会におけるシンボルセットについて、前記シンボルセット内のシンボルが上り/下り構成共通メッセージ及び上り/下り構成専用メッセージによってフレキシブルシンボルとして示される場合、又は、前記上り/下り構成共通メッセージ及び前記上り/下り構成専用メッセージが前記端末デバイスに提供されず、且つ前記端末デバイスがスロットフォーマット情報を運ぶ第1のDCIを検出しない場合、前記第1のDCIの検出に使用される制御リソースセット内の最後のシンボルからのMシンボルの後に前記上りチャネルを送信しないことを決定するように構成され、前記Mシンボルはチャネル処理時間である。
【0123】
装置900がランダムアクセスを実行する特定の方法及びそれから生じる有益な効果については、方法の実施例における関連する説明を参照することができる。
【0124】
図10は、本出願によって提供されるランダムアクセスデバイスの概略構造図である。
図10の点線は、 このユニット又はモジュールがオプションであることを示す。デバイス1000は、前述の方法の実施例に記載された方法を実施するために使用され得る。デバイス1000は、端末デバイス又はネットワークデバイス又はチップであり得る。
【0125】
デバイス1000は、1つ又は複数のプロセッサ1001を含み、前記1つ又は複数のプロセッサ1001は、デバイス1000が
図2乃至
図8に対応する方法の実施例における方法を実施することをサポートできる。プロセッサ1001は、汎用プロセッサ又は専用プロセッサであり得る。例えば、プロセッサ1001は、中央処理装置(CPU)であり得る。CPUは、ソフトウェアプログラムを実行し、ソフトウェアプログラムのデータを処理するようにデバイス1000を制御するために使用できる。デバイス1000は、信号の入力(受信)及び出力(送信)を実施するための通信ユニット1005をさらに含むことができる。
【0126】
例えば、デバイス1000はチップであり得、通信ユニット1005は前記チップの入力及び/又は出力回路であり得、又は通信ユニット1005は前記チップの通信インターフェースであり得、前記チップは、端末デバイス、ネットワークデバイス、又はその他の無線通信デバイスのコンポーネントとして使用できる。
【0127】
別の例として、デバイス1000は、端末デバイス又はネットワークデバイスであり得、通信ユニット1005は、前記端末デバイス又は前記ネットワークデバイスの送受信器であり得、又は通信ユニット1005は、前記端末デバイス又は前記ネットワークデバイスの送受信回路であり得る。
【0128】
デバイス1000は、プログラム1004が格納された1つ又は複数のメモリ1002を含むことができる。プログラム1004は、プロセッサ1001によって実行されて、命令1003を生成することができ、その結果、プロセッサ1001は、命令1003に従って前述の方法の実施例に記載された方法を実行する。オプションで、メモリ1002は、データを格納することもできる。オプションとして、プロセッサ1001はまた、メモリ1002に記憶されたデータを読み取ることができ、前記データはプログラム1004と同じ記憶アドレスに記憶されてもよく、前記データはプログラム1004とは異なる記憶アドレスに記憶されてもよい。
【0129】
プロセッサ1001及びメモリ1002は、別々に提供されてもよく、又は一緒に統合されてもよく、例えば、端末デバイスのシステムオンチップ(SOC)に統合されてもよい。
【0130】
デバイス1000はまた、アンテナ1006を含み得る。通信ユニット1005は、アンテナ1006を介してデバイス1000の送受信機能を実施するために使用される。
【0131】
プロセッサ1001が通信方法を実行する特定の方法については、方法の実施例における関連する説明を参照することができる。
【0132】
前述の方法の実施例の各ステップは、プロセッサ1001内のハードウェア形態の論理回路又はソフトウェア形態の命令によって完了することができることを理解されたい。プロセッサ1001は、CPU、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor, DSP)、アプリケーション固有の集積回路(Application Specific Integrated Circuit, ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array, FPGA)、又はディスクリートゲート、トランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントなどの他のプログラマブルロジックデバイスであり得る。
【0133】
本出願はまた、プロセッサ1001によって実行されるときに、本出願の任意の方法の実施例に記載された方法を実施するコンピュータプログラム製品を提供する。
【0134】
前記コンピュータプログラム製品、例えば、プログラム1004は、メモリ1002に格納され得る。プログラム1004は、前処理、コンパイル、アセンブリ、及びリンクなどのプロセスを通じて、最終的に、プロセッサ1001によって実行され得る実行可能オブジェクトファイルに変換される。
【0135】
本出願はまた、コンピュータプログラムが格納されるコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータプログラムは、コンピュータによって実行される場合、本出願の任意の方法の実施例に記載される方法を実施する。前記コンピュータプログラムは、高級言語プログラム又は実行可能なターゲットプログラムである可能性がある。
【0136】
前記コンピュータ読取可能な記憶媒体は、例えば、メモリ1002である。メモリ1002は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであってもよく、又はメモリ1002は揮発性及び不揮発性メモリの両方を含んでもよい。ここで、不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(Programmable ROM,PROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(Erasable PROM,EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(Electrically EPROM,EEPROM)又はフラッシュメモリであってもよい。揮発性メモリは、外部キャッシュとして使用されるランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)であってもよい。限定ではなく例として、例えばスタティックランダムアクセスメモリ(Static RAM,SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic RAM,DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Synchronous DRAM,SDRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Double Data Rate SDRAM,DDR SDRAM)、拡張同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Enhanced SDRAM,ESDRAM)、同期接続ダイナミックランダムアクセスメモリ(Synchlink DRAM,SLDRAM)、及びダイレクトメモリバスランダムアクセスメモリ(Direct Rambus RAM,DR RAM)等の多くの形式のRAMが利用可能である。
【0137】
当業者は、説明の便宜及び簡潔さのために、上記の装置及びデバイスの特定の作業プロセス及び生じる技術的効果について、前述の方法の実施例における対応するプロセス及び技術的効果を参照できることを明確に理解することができ、ここでは繰り返さない。
【0138】
本出願の実施例では、開示されたシステム、装置及び方法は、他の方式で実現されてもよい。例えば、前述の方法実施例における幾つかの特徴は省略され又は実行されなくてもよい。上述のような装置の実施例は、単なる例にすぎず、ユニットの区分は、単なる論理的な機能による区分であり、実際に実現するときは他の区分方式であってもよく、複数のユニット又はコンポーネントが組み合わされるか又は別のシステムに集積されてもよい。なお、各ユニットの間の結合又は各コンポーネントの間の結合は、直接的な結合又は間接的な結合でもよく、前記結合は、電気的、機械的、又は他の形態の接続を含む。
【0139】
さらに、本出願の実施例における「システム」と「ネットワーク」という用語はしばしば互換的に使用される。「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するだけであり、3種類の関係があり得ることを示す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在する3つのケースを示すことができる。また、「/」の表記は、一般的に、この表記の前後の関連対象が「又は」の関係にあることを示す。
【0140】
本出願の実施例では、「Aに対応するB」は、BがAに関連していることを意味し、BはAから決定できる。しかし、AからBを決定することは、BはAからのみに決定されることを意味せず、A及び/又はその他の情報からも決定できることを意味することを理解されたい。
【0141】
要約すると、上記のものは、本出願の技術的解決策の好ましい実施例にすぎず、本出願の保護範囲を制限するために使用されない。本出願の精神及び原則の範囲内で行われた修正、同等の交換、改善などは、いずれも本出願の保護範囲に含まれるものとする。