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特許7383824プラズマの生成に使用するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】プラズマの生成に使用するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20231113BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20231113BHJP
   C23C 14/54 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
H05H1/46 L
C23C14/34 T
C23C14/54 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022536792
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 GB2020053113
(87)【国際公開番号】W WO2021123728
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】1918480.3
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ガウター
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/131921(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0079042(US,A1)
【文献】特開2009-140899(JP,A)
【文献】特表2013-502696(JP,A)
【文献】特開平11-135297(JP,A)
【文献】特開2019-052345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00 - 1/54
C23C 14/00 - 14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ反応器であって、
処理チャンバーと、
前記処理チャンバー内でプラズマを生成するように構成されたプラズマアンテナアセンブリと、
前記プラズマアンテナアセンブリから離れた前記処理チャンバー内の場所に前記プラズマを閉じ込めるように構成された1つ以上の磁石と、を備え、
ここで、前記プラズマアンテナアセンブリは、
プラズマ生成領域において前記プラズマを生成するように電流によって駆動されるように配置された高周波(RF)アンテナと、
前記プラズマ生成領域で生成された前記プラズマからアンテナを分離するように配置されたハウジングと、
前記アンテナの長さを部分的に囲むように配置される強磁性集束部材またはフェリ磁性集束部材と、を備
前記集束部材は、1つ以上の前記磁石によって生成される磁場から遮蔽される、プラズマ反応器。
【請求項2】
前記集束部材は、ニッケルを備える遮蔽材料でコーティングされる、請求項に記載のプラズマ反応器。
【請求項3】
前記集束部材は、フェライト集束部材である、請求項1又は2に記載のプラズマ反応器。
【請求項4】
前記アンテナおよび前記集束部材の両方は、前記ハウジング内に設けられる、請求項1からのいずれか一項に記載のプラズマ反応器。
【請求項5】
前記ハウジングは、石英管である、請求項1からのいずれか一項に記載のプラズマ反応器。
【請求項6】
前記集束部材によって部分的に囲まれる前記アンテナの前記長さは、前記ハウジングの中心長手方向軸からオフセットされ、その結果、前記アンテナの前記長さは、前記ハウジングの前記長手方向軸よりも前記プラズマ生成領域の近くに配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のプラズマ反応器。
【請求項7】
前記プラズマアンテナアセンブリは、強磁性遮蔽部材またはフェリ磁性遮蔽部材が前記アンテナの長さを完全に取り囲む遮蔽されたアンテナセクションを備える、請求項に記載のプラズマ反応器。
【請求項8】
前記遮蔽されたアンテナセクションにおいて、前記アンテナは、前記ハウジングの前記中心長手方向軸と整列される、請求項に記載のプラズマ反応器。
【請求項9】
前記プラズマアンテナアセンブリは、第1の集束部材によって部分的に囲まれるアンテナの第1の長さを備える第1のセクションと、第2の集束部材によって部分的に囲まれるアンテナの第2の長さを備える第2のセクションと、を備え、前記第1のセクションは、前記第2のセクションから離間され、前記プラズマ生成領域は、前記第1のセクションと前記第2のセクションとの間にあり、ここで、前記第1の集束部材は、前記第2の集束部材と実質的に対称に配置される、請求項1からのいずれか一項に記載のプラズマ反応器。
【請求項10】
前記アンテナの前記第1の長さおよび前記アンテナの前記第2の長さは、線形である、請求項に記載のプラズマ反応器。
【請求項11】
前記アンテナは、各集束部材が複数のアンテナの長さを部分的に取り囲むように、ループ配置を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のプラズマ反応器。
【請求項12】
スパッタターゲットから基板上にスパッタ材料をスパッタリングするためのスパッタコーティング装置であって、前記スパッタコーティング装置は、請求項1から11のいずれか一項に記載のプラズマ反応器を備え、
ここで、前記処理チャンバーは、前記スパッタターゲットおよび前記基板を受け入れるように配置され、
ここで、1つ以上の前記磁石は、前記プラズマを前記スパッタターゲットに閉じ込めるように構成される、スパッタターゲットから基板上にスパッタ材料をスパッタリングするためのスパッタコーティング装置。
【請求項13】
プラズマ反応器において使用するためのプラズマアンテナアセンブリであって、前記プラズマ反応器は、処理チャンバーと、前記プラズマアンテナアセンブリから離れた前記処理チャンバー内の場所に前記プラズマを閉じ込めるように構成された1つ以上の磁石と、を備え、前記プラズマアンテナアセンブリは、
プラズマ生成領域においてプラズマを生成するように電流によって駆動されるように配置された高周波(RF)アンテナと、
前記プラズマ生成領域において生成された前記プラズマからアンテナを分離するように配置されたハウジングと、
前記プラズマ生成領域の磁束密度を増加させるために、アンテナの長さを部分的に囲むように配置される、強磁性集束部材またはフェリ磁性集束部材と、
前記1つ以上の磁石によって生成される磁場から集束部材を遮蔽するように配置されたシールドと、を備える、プラズマ反応器において使用するためのプラズマアンテナアセンブリ。
【請求項14】
前記プラズマ生成領域においてプラズマを生成するようにRF周波数電流でアンテナを駆動し、前記プラズマ生成領域の前記磁場は、前記集束部材によって集束される、ステップを含む、請求項1からのいずれか一項に記載のプラズマ反応器を使用してプラズマを生成する方法。
【請求項15】
請求項1から11のいずれか一項に記載のプラズマ反応器を使用して基板上に材料を堆積させる方法であって、
前記処理チャンバーへのプラズマスパッタリングに適した1つ以上のスパッタターゲットを準備し、ここで、1つ以上の前記スパッタターゲットは、前記プラズマアンテナアセンブリから離れて配置される、前記処理チャンバーへのプラズマスパッタリングに適した1つ以上のスパッタターゲットを準備することと、
前記プラズマ生成領域においてプラズマを生成するように、RF周波数電流で前記アンテナを駆動することと、
1つ以上の前記磁石を使用して前記プラズマを1つ以上の前記スパッタターゲットに閉じ込めることと、
前記プラズマを使用して、1つ以上の前記スパッタターゲットからスパッタ材料を生成することと、
前記スパッタ材料を前記基板上に堆積させることと、を含む、方法。
【請求項16】
アンテナは、約2MHzのRF周波数で駆動される、請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ生成に関する。より具体的に、しかし排他的にではなく、本発明は、プラズマを生成する方法およびプラズマを生成する際に使用するための装置、例えば、プラズマアンテナ、プラズマアンテナアセンブリおよび/またはプラズマ反応器に関する。本発明はまた、プラズマを使用して基板上に材料を堆積させる方法およびスパッタ堆積を使用して堆積された材料の層を含む電子デバイスに関する。本発明の実施形態は、高密度プラズマの均一なシートを生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
高密度プラズマは、幅広い産業用途で使用されている。例えば、このようなプラズマは、表面の洗浄または準備の用途、エッチングの用途、表面の構造または密度の変更および薄膜の堆積に使用され得る。高密度プラズマは、1つ以上のプラズマアンテナを時変電流で駆動することによって引き起こされる時変磁場によって誘導結合プラズマ(「ICP」)として生成され得、こうして、電磁誘導によってプラズマを生成する。
【0003】
先行技術の特定の装置は、高密度プラズマの幅の広い連続シートを生成することに関する。これらは、プラズマチャンバーで個別のプラズマ源を使用してプラズマを生成し得る(つまり、遠隔プラズマ源)。このようなプラズマ源の例は、広く機能するプラズマを生成するために多くのアンテナを必要とする多重ループアンテナ配置である。ただし、プラズマの均一性を実現するためには、アンテナを正確に同等の電力と周波数に調整する必要があるため、このような多重ループアンテナシステムによって生成されるプラズマの均一性を制御することは難しい場合があり得る。多重ループアンテナ配置はまた、複数のプラズマが生成されるため、大量の電力を消費する。
【0004】
誘導結合プラズマは、プラズマがアンテナの周りに均一に生成されるように、形成され得る。アンテナは通常、石英管などのハウジングに収納される。したがって、生成されたプラズマは、ハウジングの壁の比較的大きな表面積と接触し得、その結果、壁での再結合のために高い損失が生じる。多くの用途では、プラズマの実際の相互作用は、異なる領域(例えば、基板など)でのみ望ましいものであるが、壁との過度の相互作用は、不要な加熱または不純物の形成につながり得る。プラズマの制御が不十分であると、電力効率が低下し得る。したがって、プラズマの特性を最大限に活用するためおよび/または効率を改善するために、プラズマ生成領域の形状および/または位置をよりよく制御することが望まれる。
【0005】
米国特許第6181069号明細書は、チャンバーを横切って配置された線形プラズマアンテナを有するプラズマチャンバーを開示する。プラズマは、例えば、ワークピースをエッチングすることによってまたはワークピース上に薄膜を形成することによって、ワークピースを処理する目的で、チャンバー内に生成される。米国特許第6181069号明細書の1つの実施形態では、作業場での処理から離れた領域でのいわゆる役に立たないプラズマの生成を制限し、必要に応じてプラズマの密度分布をより高く制御するために、アンテナを石英管に偏心して取り付ける必要がある。米国特許第6181069号明細書はまた、プラズマチャンバーの内部におけるプラズマの密度を制御する目的で、他の形状のアンテナおよび/またはアンテナもしくはその一部を収容するための異なる形状の石英管を開示している。米国特許第6181069号明細書でプラズマを効率的に生成するために採用された技術は、アンテナの形状および/または石英管ハウジングの形状、および/またはアンテナと石英管との間の空間的関係を変更することに依存する。さらなる効率が得られ得るおよび/または関心領域において必要な密度でのプラズマの効率的な生成が、異なる技術を使用して達成され得ると考えられる。
【0006】
本発明は、上記の問題の1つ以上を軽減しようとする。代替的または追加的に、本発明は、プラズマを生成する改善された方法および/または改善されたプラズマアンテナを提供しようとする。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様は、プラズマ、例えば、誘導結合プラズマの体積を生成するためのアンテナに関する。プラズマを生成するために使用されるアンテナは、本明細書では「プラズマアンテナ」という用語を使用して参照される。
【0008】
プラズマアンテナは、細長い形状であり得、長さを有する方向に延在し得る。アンテナまたはその一部は、長さを有し得る。アンテナの長さは、概して一方向に延在する形状を有し得る。
【0009】
アンテナの長さは、実質的に線形である方向に、第1の位置と第2の位置との間に延在し得る(例えば、概して直線で延在する)。プラズマアンテナは、1つ以上の直線セクションを有し得る。例えば、第1の直線セクションおよび第2の直線セクション(必要に応じて第1のセクションに平行であるか、または第1のセクションと同じ一般的な方向に延在する)を備え得、その結果、使用中に、第1の直線セクションと第2の直線セクションとの間に位置するプラズマ生成領域が存在する。
【0010】
アンテナは、例えば銅などの、導電体を備える。例では、アンテナは、そのような導電体、例えば何らかの形のワイヤーまたはチューブであると見なされ得る。他の例では、導電体は、他の材料を含む。プラズマアンテナは、銅アンテナであり得る。
【0011】
プラズマアンテナは、部分的に管状であり得る。これは、例えば、使用中のアンテナの冷却を容易にし得る。
【0012】
プラズマアンテナは、その長さに沿ったコイル状であり得る。例えば、アンテナは、アンテナが延在する方向と整列した軸を有するらせん状コイルを有し得る。特定の実施形態では、アンテナは、らせん状に巻かれたワイヤーである。巻かれたワイヤーを設けることによって、プラズマ生成を改善することが可能である。コイル状アンテナの軸は、実質的に直線であり得、例えば、概して一方向に延在する形状を有する。
【0013】
一般的に直線的な経路をたどるまたは直線軸を有するらせん状の形状を有する代わりに、アンテナの長さ(またはアンテナの軸)は、曲がりくねった経路をたどり得る。このような形状によって、プラズマ生成ホットスポットの作成が可能になり得る。これは、特定の用途に役立ち得る。
【0014】
使用中、プラズマアンテナまたはその1つ以上の部分は、ガス状媒体を励起するように構成され(つまり、通常、高周波電力の適用の結果として)、それによって、プラズマを生成し、例えば、アンテナの長さに沿ってプラズマを形成することを理解されたい。このようなプラズマは、例えば、アンテナが配置されている処理チャンバー内で生成され得る。例では、プラズマは、処理チャンバー内のアンテナの全長に沿って生成され得る。
【0015】
例では、プラズマは、互いに横方向に(例えば、互いに平行に)離間する少なくとも2つの長さのプラズマアンテナを使用して生成され得る。2つの長さのプラズマアンテナは、共通のRF電流源によって駆動され得るかおよび/または互いに電気的に結合され得る。
【0016】
導電性シールド部材は、存在し得る。そのようなシールド部材は、1つ以上の領域でのプラズマの生成を制限(例えば、防止)し得る。少なくとも1つのシールド部材の結果として、プラズマの生成が削減および/または抑制される、第1の位置と第2の位置との間のアンテナに隣接する領域が存在し得る。これにより、プラズマイオンの望ましくない再結合を減らした結果として電気効率を向上させ得および/またはプラズマを必要な領域に局在化し得る(プラズマが提供されるプロセスまたは用途に関係なく)。
【0017】
アンテナの導電体の少なくとも一部は、誘電体材料を備えるカバーを設け得る。カバーは、導電体の望ましくない劣化を引き起こしアンテナの機能寿命を低下させ得る、導電体に隣接するプラズマ点火を抑制するために提供される。例えば、カバーは、導電体をプラズマから隔離し得る。そのようなカバーは、少なくとも20ミクロンの平均厚さを有し得る。そのようなカバーは、少なくとも5W/m.Kの熱伝導率を有し得る。そのようなカバーは、50x10-6/K以下の熱膨張係数を有し得る。熱伝導率および熱膨張係数の値は、例えば20℃での室温の値であり得る。カバーは、誘電体カバーであり得る。カバーは、実質的に誘電体材料からなり得る。例(以下でより詳細に説明する)では、そのようなカバーは、アンテナの導電体上のコーティングの形態であり得る。1つ以上の中間層は、導電体とコーティングとの間に設けられ得る。コーティングは、プラズマアンテナの使用中の一般的な熱特性および温度プロファイルと互換性があり得る。コーティングの熱膨張係数は、導電体の熱膨張係数の50%以下であり得る。このようなカバーを使用すると、石英管ハウジングの必要性がなくなり得、および/または無視できない圧力でガスが直接存在する場所でのアンテナの使用が容易になり得る。カバーの厚さは、2mm未満であり得る。カバーは、例えば、窒化ケイ素および窒化アルミニウムの一方または両方などの1つ以上の窒化物を備え得、必要に応じて、実質的にそれらからなり得る。カバーは、少なくとも1015Ωcmの電気抵抗率を有し得る。電気抵抗値は、例えば20℃での室温値であり得る。カバーは、少なくとも50ミクロン、必要に応じて少なくとも100ミクロン、必要に応じて少なくとも200ミクロンおよび必要に応じて少なくとも500ミクロンの平均厚さを有し得る。カバーは、5.0mm以下、必要に応じて4.0mm以下、必要に応じて3.0mm以下、必要に応じて2.0mm以下、必要に応じて1.0mm以下の平均厚さを有し得る。特定の実施形態では、カバーの厚さは、アンテナの導電体を周囲のプラズマから電気的に隔離または絶縁するのに十分に厚くあるべきだが、結合効率の望ましくないほど高い低下を引き起こすほど高くあるべきではない。
【0018】
アンテナは、液冷されるように構成され得る。例えば、アンテナは、水などの冷却液などの冷却液を受け入れるための管腔を設け得る。
【0019】
例では、カバーまたはその一部は、アンテナの導電体に直接隣接し得または離れ得る。カバーは、カバー部材を備え得る。カバー部材の少なくとも一部と導電体の少なくとも一部との間に、ギャップが存在し得る。例では、ギャップは、ギャップ内のプラズマ点火を抑制するのに十分に小さい。ギャップは、例えば1.0mm以下であり得る。1つ以上のスペーサーなどの構造は、導電体に対してカバー部材を配置するために提供され得、例えば、導電体に対して間隔を空けた関係でカバー部材を保持し、それによって、必要に応じて、カバー部材の少なくとも一部と導電体の一部との間にギャップを提供する。構造は、1つ以上のスペーサーを備え得る。
【0020】
カバー部材の第1の端を超えて延在するアンテナの導電体の第1の部分が存在し得る。したがって、導電体の第1の部分は、カバー部材によって覆われていない。プラズマ反応器内で使用されるそのようなアンテナの構成は、カバー部材を設けるアンテナの部分がプラズマ反応器内の周囲条件にさらされ、導電体の第1の部分がプラズマ反応器内の周囲条件から隔離されるようなものであり得る。カバー部材の第2の端を超えて延在する導電体の第2の部分が存在し得る。したがって、導電体の第2の部分は、カバー部材によって覆われていない。導電体の第2の部分はまた、プラズマ反応器内の周囲条件から隔離され得る。例では、第1および/または第2の部分(存在するとき)をプラズマ反応器の周囲条件から分離する第1のパーティション(および必要に応じて第2のパーティション)が存在する。カバー部材とそのような第1および/または第2のパーティションとの間にギャップが存在し得、当該ギャップは、当該ギャップ内のプラズマ点火を抑制するのに十分に小さい。
【0021】
プラズマアンテナと、プラズマの生成に影響を与える1つ以上の材料、デバイスまたは他の手段(例えば、プラズマの位置、密度、および/または形状)と、を備えるアンテナアセンブリが提供され得る。例えば、プラズマアンテナアセンブリは、1つ以上のシールド部材を含み得る。プラズマアンテナアセンブリは、上述のカバーなどのカバーを含み得る。
【0022】
プラズマアンテナアセンブリは、例えば管である、その中にアンテナが配置されるハウジングを含み得る。ハウジングは、RF電磁放射に対して透過であり得るか、または必要に応じて少なくとも部分的に透過であり得、その結果、ハウジングの外側でのプラズマの生成を妨害しない。ハウジングは、1つ以上の壁を備え得る。そのような壁は、石英材料でできている場合があり得る。例では、ハウジングは石英管である。
【0023】
ハウジングは、ハウジングの一部またはセクションがRF放射の透過を通さないように形成され得、その結果、プラズマは、ハウジングが透過であるセクションでのみ生成される。例では、ハウジングの断面側面、例えば、装置の1つ以上の磁石に面する表面のみが、RF放射に対して透過であり、その結果、RF放射は、所望の方向にのみ(例えば、処理チャンバー内で)透過され、プラズマを伝播する。
【0024】
例では、ハウジングは、細長く、直線経路をたどる長さを有する部分を少なくとも有する。アンテナは、直線のワイヤーまたはチューブの少なくとも一部を備え得る。アンテナは、例えばその中心または中心軸を通って、ハウジングの長さに沿って延在するように、ハウジング内に配置され得る。他の構成は、特定の実施形態において利点を有し得る(他の例では、アンテナは、ハウジングの中心を通って延在する直線ワイヤーである必要はない)。アンテナは、例えば、アンテナの一部または端がアンテナの別の部分または端に対してハウジングの内壁に近くなるように、ハウジングの中心線からオフセットされた角度でハウジングを通って延在し得る。これにより、特定の用途で必要な場合、特定の領域(例えば、処理チャンバーの特定の部分)でのプラズマ形成が促進される。アンテナの位置が固定されていない場合があり得る。例えば、アンテナは、例えば断続的なプラズマ生成が必要な場合に、動作中にハウジングの内壁からさらに離れるように構成され得る。
【0025】
アンテナは、アンテナの縦軸がハウジングの縦軸から離れるように、そのハウジング内で偏心して配置され得る。そのような配置は、プラズマが所望の位置で生成されることを確実にするのを助け得る。
【0026】
ハウジングは、2つ以上の細長い部分、例えば、管を備え得、これらは、各々アンテナのそれぞれのセクション(例えば、直線セクション)を取り囲む。
【0027】
ハウジングは、プラズマアンテナの少なくとも一部の周りに気密領域を形成し得る。
【0028】
本明細書に記載のシールド部材は、ハウジングの外部に取り付けられ得、必要に応じてハウジングと接触され得る。
【0029】
アンテナを部分的に取り囲むように、好ましくはプラズマ生成領域の磁束密度を増加させるように配置された強磁性材料またはフェリ磁性材料が存在し得る。そのような材料の使用は、1つ以上の領域でのプラズマ生成を増強し得、および/またはプラズマをそのような領域に局在化し得る。これにより、プラズマイオンの望ましくない再結合を減らした結果として電気効率を向上させ得および/またはプラズマを必要な領域に局在化し得る(プラズマが提供されるプロセスまたは用途に関係なく)。プラズマ生成領域における磁束密度を増加させるようにアンテナを部分的に取り囲むように配置された強磁性材料またはフェリ磁性材料は、本明細書では、集束部材と呼ばれ得る。
【0030】
集束部材は、外部磁場、すなわち、アンテナによって生成されない/プラズマアンテナアセンブリの外部で生成される磁場から、遮蔽され得る(すなわち、遮蔽によって)。プラズマアンテナから離れた位置にプラズマを閉じ込めるおよび/または伝播させるプラズマ生成装置内に配置された1つ以上の磁石(例えば、電磁石)のために、外部磁場は、集束部材に存在し得る。したがって、集束部材は、1つ以上の磁石によって生成される磁場から遮蔽され得る。
【0031】
集束部材が外部磁場から完全に遮蔽されていない場合があり得ることを理解されたい。例えば、1つ以上の磁石によって生成される磁場の影響は、集束部材で測定可能(つまり、無視できない)であり得る。しかしながら、遮蔽は、集束部材の強磁性材料またはフェリ磁性材料が外部磁場によって飽和されないように、その磁場の強度/効果を低下させ得、それによって、プラズマ生成領域の磁束密度を増加させるために、アンテナによって生成された磁場を効果的に方向転換し得る。
【0032】
集束部材は、遮蔽材料でコーティングされ得る。遮蔽材料は、ニッケルを備え得る。遮蔽材料は、ニッケル合金であり得、例えば、米国イリノイ州ベンセンビルのMagnetic Shield CorporationによるMuMetal(登録商標)合金であり得る。代替的または追加的に、アンテナを収容するハウジングの部分は、遮蔽材料で設けられ得る(例えば、コーティングされる)。代替的または追加的に、1つ以上の独立したシールド要素は、集束部材とプラズマ生成装置内の1つ以上の磁石との間の領域に提供され得る。
【0033】
集束部材の強磁性材料またはフェリ磁性材料は、フェライトであり得る。
【0034】
ハウジングは、使用中に、アンテナによって生成されたプラズマから集束部材を分離するように構成され得る。集束部材は、アンテナを備えたハウジング内に提供され得る。
【0035】
集束部材によって部分的に囲まれるアンテナの長さは、ハウジングの中心長手方向軸からオフセットされ得る。オフセットは、アンテナの長さがハウジングの長手方向軸よりもプラズマ生成領域の近くに配置されるようなものであり得る。オフセットは、アンテナがハウジングの壁の近くまで延在するようなものであり得る。
【0036】
アンテナおよび集束部材は、プラズマ生成領域の反対側(例えば、ハウジング内)に、概して対称的な配置、すなわち、鏡像で配置され得る。例えば、プラズマアンテナアセンブリは、第1の集束部材によって部分的に囲まれる第1の(例えば、直線/線形)長さのアンテナを備える第1のセクションと、第2の集束部材によって部分的に囲まれる第2の(例えば、直線/線形)長さのアンテナを備える第2のセクションとを備え得、第1のセクションは、第2のセクションから離れて配置され、第1のセクションと第2のセクションとの間にあるプラズマ生成領域を有する。各セクションにおける集束部材およびアンテナの長さは、例えば鏡像において概して対称になるように配置され得る。
【0037】
実施形態では、集束部材は、磁場がプラズマアンテナアセンブリの一方の側方(他方の側方と比較して)でより強くなるように、磁場を集束/集中するように配置され得る。例えば、最大磁束密度の位置は、プラズマ生成装置内の1つ以上の磁石によってプラズマが伝播される方向にシフトされ得る。
【0038】
各集束部材は、1つ以上の長さのアンテナを部分的に取り囲み得る。特に、アンテナがプラズマ生成領域の周りにループするおよび/またはループした(例えば、コイル状および/またはらせん状)配置を有する実施形態では、各集束部材は、複数の長さのアンテナを部分的に取り囲み得る。
【0039】
本発明のさらなる態様は、プラズマを生成する方法、例えば、プラズマアンテナを使用して生成される誘導結合プラズマの体積に関する。プラズマアンテナは、本明細書において請求または記載される本発明の任意の態様によるものであり得、場合によっては、そのようなプラズマアンテナまたはプラズマアンテナアセンブリに関連する本明細書で言及される任意の必要に応じた特徴を含む。
【0040】
アンテナは、RF送信機であり得る。例では、アンテナは、1MHz~1GHzの周波数で動作する高周波電源システムから、場合によっては1MHz~100MHzの周波数、好ましくは、10MHz~40MHzの周波数であり、実施形態では、約13.56MHzまたはその倍数の周波数で、電力が供給される。
【0041】
アンテナは、比透磁率が10より大きく、必要に応じて25より大きく、好ましくは100より大きい、周波数で駆動されるように配置され得る。
【0042】
例では、この方法は、通常少なくとも1kW、場合によっては2kW以上の電力でプラズマを生成するためにRF周波電流でアンテナを駆動することを含む。
【0043】
強磁性集束部材またはフェリ磁性集束部材を備える実施形態では、集束部材への電力損失を低減するために、アンテナは、13.56MHzよりも低い周波数で駆動され得る。例えば、アンテナは、1MHz~10MHzの範囲の周波数で駆動され得、例えば、周波数は、約2MHzであり得る。
【0044】
プラズマは、アンテナの長さに沿った方向に、第1の位置と第1の位置から離れた第2の位置との両方で生成され得る。上記のように、1つ以上のシールド部材は、提供され得る。少なくとも1つのシールド部材の結果として、プラズマの生成が制限される(および/または削減される、および/または抑制される)第1の位置と第2の位置との間のアンテナに隣接する領域があり得る。少なくとも1つのシールド部材は、プラズマの生成を防ぎ得る。
【0045】
アンテナの長さに沿った位置(前述の第1の位置および第2の位置の一方または両方であり得る)で生成されたプラズマは、通常、アンテナの周りを45度以上円周方向に延在する。生成されたプラズマは、アンテナの周囲に90度超、180度超、場合によっては300度超延在し得る。第1の位置および第2の位置の一方または両方で生成されたプラズマは、アンテナの周囲全体に円周方向に延在し得る。
【0046】
アンテナの長さに沿った位置(前述の第1の位置および第2の位置の一方または両方であり得る)で生成されたプラズマは、アンテナの周囲に270度未満、必要に応じて210度未満で延在し得る。生成されたプラズマは、アンテナの周囲の約半分以下、円周方向に延在し得る。
【0047】
アンテナの周りのプラズマの円周方向の範囲の制限は、1つ以上のシールド部材の結果であり得る。シールド部材は、アンテナの長さに沿った少なくとも1つの位置で、アンテナの軸の周りに120度を超えて(必要に応じて円の全体にわたって)延在し得る。少なくとも1つのシールド部材は、アンテナの周囲のプラズマの生成を300度超に制限し得る。シールド部材は、アンテナの長さに沿った少なくとも1つの位置で、アンテナの軸の周りに、240度未満(必要に応じて円の約半分)で延在し得る。
【0048】
使用中、少なくとも1つのシールド部材は、アンテナの長さに沿った少なくとも1つの位置の周りの全ての円周方向の位置でのプラズマの生成を制限し得る。少なくとも1つのシールド部材は、使用中、アンテナの長さに沿った少なくとも1つの位置で、アンテナの周囲のプラズマの生成を270度未満に制限し得る。
【0049】
シールド部材の配置は、プラズマがアンテナの反対側の第1の位置および第2の位置の一方または両方で生成されるようなものであり得、少なくとも1つのシールド部材が別の位置(例えば、第1の位置と第2の位置との間)でそれらの両方の反対側でのプラズマの生成を制限するようなものであり得る。
【0050】
シールド部材の配置は、プラズマが第1の位置および第2の位置の一方または両方で(例えば、アンテナの周囲に300度未満だけ円周方向に延在するセクター上でのみ)生成されるようなものであり得、少なくとも1つのシールド部材がプラズマの生成につれてアンテナの長さに沿った同じ位置でのプラズマの生成を制限するようなものであり得る。
【0051】
シールド部材が、アンテナの長さに沿った方向に、第2の位置から第1の位置の反対側にあるさらなる領域でのプラズマの生成を制限し得る。シールド部材が、アンテナの長さに沿った方向に、第1の位置から第2の位置の反対側にあるさらなる領域でのプラズマの生成を制限し得る。
【0052】
各シールド部材は、例えば、250未満の低い比透磁率を有し得る。シールド部材からの材料は、例えば、250未満の低い比透磁率を有する材料を備え得る。そのような材料は、好ましくは100未満、必要に応じて25未満、場合によっては10未満である。
【0053】
シールド部材は、電磁遮蔽導電性材料を備える。
【0054】
各シールド部材は、部分的または完全なファラデーケージの形をとり得る。したがって、例では、シールド部材は、アンテナによって生成される磁場と結合せず、またはそれを増強しない。
【0055】
シールド部材は、非強磁性材料でできている場合があり得る。例では、シールド部材は、非フェライト系ステンレス鋼で形成される。
【0056】
プラズマ生成中、シールド部材は、固定電位に保持され得、例えば、接地され得る。シールド部材は、低インピーダンス経路を介して電気的に接地され得る。
【0057】
少なくとも1つのシールド部材は、誘電体材料を備え得る。例では、シールド部材は、Al(すなわちアルミナ)から作られる。
【0058】
上記のように、アンテナの導電体の少なくとも一部は、例えば、特定の好ましい熱特性を有する、誘電体材料を含み得るまたは誘電体材料の(もしくは誘電体材料を備える)カバーを設け得る。上記のように、カバーは、必要に応じてシールドとして機能し得る。
【0059】
例えば、誘電体材料は、窒化物、例えば、窒化ケイ素および窒化アルミニウムの一方または両方を備え得る。
【0060】
誘電体材料(および/またはカバー)は、少なくとも1015Ωcmの電気抵抗率を有し得る。
【0061】
シールドは、上記のようなコーティングまたはカバー部材を備え得る。シールドは、アンテナの導電体上に形成されたコーティングを備え得る。導電体とコーティングとの間に1つ以上の中間層が存在し得る。1つ以上の中間層は、導電体へのコーティングの付着を容易にするための接着層を備え得る。コーティングの平均厚さは、少なくとも100ミクロンであり得る。コーティングは、2.0mm未満の平均厚さであり得る。コーティングの少なくとも95%の面積は、少なくとも100ミクロン、必要に応じて少なくとも200ミクロンの最小厚さを有することが好ましい。コーティングの少なくとも95%の面積は、2.0mm未満、場合によっては1.5mm未満の厚さを有することが好ましい。
【0062】
コーティングの熱膨張係数は、アンテナの導電体の熱膨張係数の50%以下であり得る。
【0063】
アンテナは、使用中に、例えば液体冷却剤によって冷却され得る。プラズマアンテナは、液冷されるように構成され得る。例では、プラズマアンテナの冷却に使用するための冷却液を受け入れるための管腔が存在する。
【0064】
使用中、アンテナは、磁場を生成する。上記のように、例えばプラズマ生成領域における磁束密度を増加させるために、強磁性材料/フェリ磁性材料は、アンテナを部分的に取り囲むように配置され得る。プラズマ生成領域の磁場は、強磁性材料/フェリ磁性材料を備える、プラズマ集束部材によって増強および/または集束され得る。このような強磁性材料/フェリ磁性材料は、25を超える、好ましくは100を超える、必要に応じて250を超える、場合によっては500を超える、比透磁率(つまり、材料の透磁率と自由空間の透磁率との比)を有し得る。材料は、フェライトであり得る。
【0065】
プラズマアンテナアセンブリは、強磁性遮蔽部材またはフェリ磁性遮蔽部材がアンテナの長さを完全に取り囲む遮蔽されたアンテナセクションを備え得る。特に、集束部材の強磁性材料またはフェリ磁性材料はまた、アンテナの長さを完全に取り囲む遮蔽部材に形成され得る。強磁性遮蔽部材またはフェリ磁性遮蔽部材は、ハウジング内に設けられ得る。強磁性遮蔽部材またはフェリ磁性遮蔽部材は、強磁性集束部材またはフェリ磁性集束部材と一体であり得る。当該遮蔽されたアンテナセクションにおいて、アンテナは、ハウジングの中心長手方向軸と整列され得る。
【0066】
強磁性シールドまたはフェリ磁性シールドは、プラズマ生成が不要なアンテナの1つ以上の端領域で使用され得る。これにより、ハウジングの直線セクションは、概してクランク状の長さのアンテナを備え得、それによって、端セクションで、アンテナは、ハウジングの中心長手方向軸と整列し、遮蔽のために強磁性材料またはフェリ磁性材料によって完全に囲まれ、アンテナは、中央領域で、ハウジングの中心長手方向軸からオフセットされ、集束のために強磁性材料またはフェリ磁性材料によって部分的に囲まれる。
【0067】
例では、高密度プラズマが作成される。したがって、プラズマの少なくともいくつかの部分は、1011cm-3を超える密度を有し得る。1011cm-3を超える密度で生成されるプラズマの体積は、10cmを超え得、500cmを超え得る。
【0068】
この方法は、プラズマを特定の位置もしくは領域にまたは特定の位置もしくは領域に向かって、例えば処理チャンバー内のターゲットに閉じ込める(例えば、成形する)および/または誘導することを含み得る。電場および/または磁場は、プラズマを積極的に閉じ込め/誘導するために使用され得る。アンテナは、1つ以上の遮蔽材料/部材および/または磁場集束材料/部材および/または磁場増強材料/部材を有し得、これらは、使用中に、プラズマを閉じ込め/誘導するように作用する。
【0069】
例えばプラズマアンテナとは別に、1つ以上の磁石が設けられ得る。そのような磁石は、プラズマが、例えば処理チャンバーを横切って、アンテナの長さに対して直交する方向に閉じ込められおよび/または伝播されるように構成され得る。アンテナが少なくとも部分的に処理チャンバー内に配置される場合、1つ以上の磁石のうちの1つもまた、処理チャンバー内に配置され得る。磁石は、装置の設置面積を減らすために、処理チャンバー内に配置され得る。さらに、磁石は、プラズマ形成を調整、集束、閉じ込めおよび/または誘導するために、処理チャンバーの空間内で操作され得る。したがって、プラズマは、処理チャンバーに必要な正しい形になるように生成および成形/閉じ込められ得る。
【0070】
1つ以上の磁石は、アンテナ/複数のアンテナによって生成されたプラズマを、例えば処理チャンバー全体に線形プラズマとして、必要に応じてアンテナから発生する薄いプラズマのシートまたはスラブの形をとるように、閉じ込め、成形および/または伝播するために使用され得る。これは、処理表面またはターゲットと接触し得る非集束プラズマ雲またはビームを生成するために多くのアンテナおよび磁石が配置される、従来の非効率的な大面積プラズマ処理装置とは対照的である。プラズマは、どちらも適切なレベルで磁化され得、磁場は、アンテナに対して方向付けられ得、その結果、アンテナによって印加されるRF電力が他のプラズマ生成システムにおいて通常よりもはるかに大きな空間範囲に伝播する。驚くべきことに、本発明の実施形態のプラズマは、従来の動作領域(50~200ガウス)よりも一桁小さい4.8ガウスという低い磁場強度で操作され得ることが見出された。はるかに低い磁場強度を使用することによってプラズマを操作すると、有害または意図しないクロスプラズマ源の干渉なしに、単一の処理チャンバー内で多重プラズマ源を使用可能であるため、同じ処理チャンバー内で複数の同時プラズマプロセスを実行することが可能となる。
【0071】
例では、プラズマは1つ以上の磁石によって成形される。例では、プラズマのシートを生成する単一のプラズマ源が存在する。このような場合、プラズマは、アンテナの全長に沿って実質的に均一な密度を有し得る。これは、広域プラズマ処理を実行するために複数の調整されたアンテナおよび磁石を必要とする従来の技術の多重アンテナ誘導結合プラズマとは対照的である。
【0072】
本発明の一態様は、例えば、スパッタコーティングによって、基板上に材料を堆積させる方法に関する。この方法は、本明細書において請求または記載される本発明の任意の態様によるアンテナを使用してプラズマ(例えば、誘導結合プラズマの体積)を生成するステップを含み得、場合によっては、そのようなプラズマアンテナまたはプラズマアンテナアセンブリに関連する本明細書で言及される任意の必要に応じた特徴を含む。そのように生成されたプラズマを使用して、1つ以上のスパッタターゲットからスパッタされた材料を生成するステップが存在し得る。次に、そのようなスパッタされた材料は、基板上に堆積され得る。プラズマを生成するステップは、プラズマが1つ以上のスパッタターゲットから遠隔で生成されるように実行され得る。基板は、可撓性基板であり得る。この方法は、プラズマをプラズマのシートとして伝播させるおよび/または閉じ込めるステップを含み得る。スパッタ材料を基板上に堆積させるステップは、材料が堆積されるときに、結晶性材料がその場で形成される結果となり得る。
【0073】
基板上に堆積されたスパッタ材料は、半導体材料を備え得る。この方法は、複数の層を堆積させるために複数回実行され得る。
【0074】
プラズマを使用して1つ以上のターゲットからスパッタ材料を生成するステップは、例えば電場および/または磁場を使用して、プラズマをターゲットに閉じ込めおよび/または誘導することを含み得る。プラズマは、そうして、プラズマのシート、例えば、基板の幅に沿った方向および基板の長さに沿った方向に延在するシートを形成するように、成形され得および閉じ込められ得る。プラズマは、例えば、少なくとも部分的に、少なくとも1つのシールド部材の使用の結果として、ターゲットにおいて実質的に均一な密度を有し得る。
【0075】
例では、プラズマは、処理チャンバーの作業空間で生成、維持、成形され、個別の、離散したまたは統合されていないプラズマチャンバー(通常は排出チューブと呼ばれる)では生成されず、これは、先行技術のシステムに見られるように、その後、処理チャンバーの作業空間に引き込まれる。したがって、プラズマ源の少なくとも一部(例えば、アンテナまたは必要に応じてそのハウジングまたはその一部)は、ハウジングまたはアンテナがプラズマチャンバーによって囲まれる必要なしに、処理チャンバーの一体または統合された要素を形成し得、またはそれ自体がプラズマチャンバーの一部であるハウジングを形成し得る。対照的に、本発明の特定の例は、処理チャンバーのガス状媒体中に高密度プラズマを生成および維持する。特定の例では、アンテナ自体を処理チャンバー内に収容または密閉するだけで十分であり、したがって、プラズマ処理装置の設計要件を大幅に簡素化することが見出された。
【0076】
スパッタターゲットから基板上にスパッタ材料をスパッタリングするためのスパッタコーティング装置が提供され得るが、スパッタコーティング装置は、本明細書において請求または記載される本発明の任意の態様によるアンテナを備え、場合によっては、そのようなプラズマアンテナまたはプラズマアンテナアセンブリに関連する本明細書で言及される任意の必要に応じた特徴を含む。スパッタターゲットと基板とを受け入れるように配置された処理チャンバーが存在し得る。1つ以上の磁石は、プラズマを1つ以上のスパッタターゲットに閉じ込めて伝播するように構成され得る。
【0077】
本発明のさらなる態様は、本明細書において請求または記載される本発明の任意の態様による1つ以上のプラズマアンテナを備えるプラズマ反応器に関し、場合によっては、そのようなプラズマアンテナまたはプラズマアンテナアセンブリに関連する本明細書で言及される任意の必要に応じた特徴を含む。
【0078】
プラズマアンテナは、誘導結合プラズマを生成するように構成され得る。代替の実施形態では、プラズマアンテナは、ヘリコン結合モードで動作するように構成され得る。プラズマ反応器は、ヘリコン結合モードで少なくとも部分的に動作するように構成され得る。プラズマアンテナは、波加熱プラズマを生成するように構成され得る。本発明のいくつかの態様は、容量結合プラズマを生成することに関連して適用され得る。
【0079】
プラズマアンテナは、スパッタターゲットから離れたプラズマを生成するように構成され得る。
【0080】
プラズマ反応器は、処理チャンバーを備え得る。
【0081】
本発明のさらに別の態様は、本明細書において請求または記載される本発明の任意の態様によるプラズマアンテナを使用してプラズマを生成するように構成された処理チャンバーに関し、場合によっては、そのようなプラズマアンテナまたはプラズマアンテナアセンブリに関連する本明細書で言及される任意の必要に応じた特徴を含む。
【0082】
使用中、プラズマアンテナまたはその1つ以上の部分は、ガス状媒体を励起し、それによってプラズマを生成するように構成されることを理解されたい。このようなプラズマは、例えば、アンテナの長さに沿って処理チャンバー内で生成され得る。例では、プラズマは、処理チャンバー内のアンテナの全長に沿って生成され得る。アンテナは、本明細書に記載されるように、少なくとも部分的にハウジング、例えばチューブ内に収容され得る。ハウジングは、チャンバーの内部から密閉され得る。
【0083】
本発明のさらなる態様は、本明細書において請求または記載される本発明の任意の態様による1つ以上のプラズマアンテナを備える装置、例えば、堆積装置、に関し、場合によっては、そのようなプラズマアンテナまたはプラズマアンテナアセンブリに関連する本明細書で言及される任意の必要に応じた特徴を含む。装置は、処理チャンバーを備え得る。処理チャンバーは、処理表面を含み得る。プラズマは、概して処理表面と平行な方向の磁場によって、例えばプラズマのシートとして、伝播および/または閉じ込められ得る。例えば、1つ以上の磁石は、誘導結合プラズマをプラズマ源から離れた処理チャンバー内の位置に閉じ込めて伝播するように構成され得る。
【0084】
装置は、アンテナによって生成されたプラズマからアンテナを分離するように配置されたハウジングを備え得る。
【0085】
本発明のさらに別の態様は、本明細書において請求または記載される本発明の任意の態様の方法を使用して堆積される材料の層を備える構成要素を備える電子デバイスに関し、場合によっては、本明細書で言及される任意の必要に応じた特徴を含む。構成要素は、材料の層が堆積された基板を含み得る。
【0086】
もちろん、本発明の一態様に関連して記載された特徴は、本発明の他の態様に組み込まれ得ることを理解されたい。例えば、本発明の方法は、本発明の装置に関して記載された特徴のいずれかを組み込み得、逆もまた同様である。
【0087】
ここで、本発明の実施形態は、以下を含む添付の概略図を参照する場合にのみ、例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】本発明の実施形態によるプラズマ生成装置を組み込んだスパッタ堆積システムの概略縦断面図である。
図2図1の左側から見た、平面A-A’についての図1の装置の横断面図である。
図3図1の下部から見た、平面B-B’についての図1の装置の概略断面図である。
図4図1の装置で使用するためのさまざまなタイプのプラズマアンテナを示す図である。
図5図1の装置で使用するためのさまざまなタイプのプラズマアンテナを示す図である。
図6図1の装置で使用するためのさまざまなタイプのプラズマアンテナを示す図である。
図7図6に示すアンテナの平面C-C’を横切って取られた断面を示す図である。
図8図1の装置で使用するためのさらなるタイプのプラズマアンテナを示す図である。
図9図6に示すアンテナの平面D-D’を横切る断面を示す図である。
図10図1の装置で使用するためのさらなるタイプのプラズマアンテナを示す図である。
図11図10に示すアンテナの平面D-D’を横切る断面を示す図である。
図12図10に示すアンテナの平面E-E’を横切る断面を示す図である。
図13図1の装置で使用するためのさらなるタイプのプラズマアンテナの断面図である。
図14】誘電体材料でコーティングされたアンテナの導電体を有し、アンテナアセンブリは図1の装置での使用に適する、本発明の一態様によるプラズマアンテナアセンブリの例の断面端図である。
図15】アンテナの導電体の周りに設けられた誘電体カバースリーブを有し、アンテナアセンブリは、図1の装置での使用に適する、本発明の一態様による別のプラズマアンテナアセンブリの例の簡略化された断面側面図である。
図16図1の装置を使用して基板上に材料を堆積させる方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
本発明の実施形態の方法、装置、システム、構造および装置の詳細は、図を参照して、以下の説明から明らかになるであろう。
【0090】
本実施形態は全て、プラズマ生成に関係があるかまたはプラズマ生成に関する。
【0091】
特定の実施形態は、処理チャンバー、処理チャンバー内に一定量のプラズマを生成するように構成されたプラズマアンテナアセンブリ、およびプラズマを処理チャンバー内のプラズマアンテナアセンブリから離れた位置に閉じ込めおよび/または伝播するように配置された1つ以上の磁石を備えるプラズマ反応器に関し、ここで、プラズマアンテナアセンブリは、プラズマ生成領域でプラズマを生成するように電流によって駆動されるように配置された高周波(RF)アンテナと、プラズマ生成領域で生成されたプラズマからアンテナを分離するように配置されたハウジングと、アンテナの長さを部分的に囲むように配置される強磁性集束部材またはフェリ磁性集束部材と、を備える。
【0092】
特定の実施形態は、プラズマ反応器で使用するためのプラズマアンテナアセンブリに関し、プラズマアンテナアセンブリは、プラズマ生成領域でプラズマを生成するように電流によって駆動されるように配置された高周波(RF)アンテナと、プラズマ生成領域で生成されたプラズマからアンテナを分離するように配置されたハウジングと、プラズマ生成領域の磁束密度を増加させるようにアンテナの長さを部分的に囲むように配置される強磁性集束部材またはフェリ磁性集束部材と、プラズマアンテナアセンブリの外部で生成された磁場から集束部材を遮蔽するように配置されたシールドと、を備える。
【0093】
特定の実施形態は、長さを有するプラズマアンテナを使用してプラズマを生成する方法に関し、この方法は、プラズマアンテナの導電体をRF周波電流で駆動して、第1の位置とアンテナの長さに沿った方向に第1の位置から間隔を空けた第2の位置との両方でプラズマを生成することを含み、第1の位置と第2の位置の間にアンテナに隣接する領域が存在し、そこで、少なくとも1つのシールド部材の結果としてプラズマの生成が制限および/または削減および/または抑制される。
【0094】
特定の実施形態は、プラズマアンテナアセンブリに関し、アセンブリは、アンテナおよびハウジングを備え、ここで、アンテナは、長さを有し、アンテナは、RF周波電流によって電力が供給されるとき、アンテナの長さに沿った方向に第1の位置と第1の位置から離間して配置される第2の位置との両方でプラズマを生成するように構成され、ハウジングは、第1の位置と第2の位置との間にアンテナに隣接する領域が存在するように配置された少なくとも1つのシールド部材を有し、そこで、使用中に、プラズマの生成は、少なくとも1つの当該シールド部材の結果として制限および/または削減および/または抑制される。
【0095】
特定の実施形態は、RF電流によって駆動されるときにプラズマを生成するための導電体を備えるアンテナを備えるプラズマアンテナアセンブリに関し、導電体の少なくとも一部は、誘電体材料を備えるカバーを設け、カバーは、少なくとも20ミクロンの平均厚さ、少なくとも5W/m.Kの熱伝導率および50x10-6/K以下の熱膨張係数を有する。
【0096】
特定の実施形態は、高周波電流によって駆動されるときにプラズマを生成するための導電体を備えるRFアンテナ、誘電体材料を備えるカバー部材を設ける導電体の少なくとも覆われた部分、導電体に対して間隔を置いて保持されるカバー部材、カバー部材の第1の端を越えて延在するアンテナの導電体の第1の部分を備える、プラズマアンテナアセンブリに関する。
【0097】
特定の実施形態は、プラズマ反応器におけるプラズマアンテナ配置に関し、プラズマアンテナ配置は、高周波電流によって駆動されるときにプラズマを生成するための導電体を備えるアンテナ、誘電体材料を備えるカバー部材を設けた導電体の少なくとも覆われた部分、カバー部材の第1の端を超えて延在する導電体の第1の部分を備え、ここで、カバー部材を設けた導電体の覆われた部分は、プラズマ反応器内の周囲条件に曝され、導電体の第1の部分は、プラズマ反応器内の周囲条件から絶縁される。
【0098】
本発明の実施形態で利用されるプラズマ生成装置1を図1~3に示す。
【0099】
プラズマ生成装置1は、処理チャンバー2、プラズマ生成システム3、ターゲットアセンブリ4、基板アセンブリ5、関連する電源7を有する磁石6、および処理ガス供給システム8を備える。
【0100】
処理チャンバー2は、その最も単純な形態では、少なくともプラズマ生成システム3、ターゲットアセンブリ4および基板アセンブリ5を備える密封箱である。図1に示すように、プラズマ生成システム3と基板アセンブリ5とは、処理チャンバー2内で互いに近接して配置される。プラズマ生成システム3と基板アセンブリ5とは同じチャンバー空間にある(すなわち、プラズマを生成するための分離したプラズマチャンバーがない)ため、処理チャンバー2は、局所的なプラズマ生成ゾーン(プラズマ生成システム3を含む)と処理ゾーン(ターゲットアセンブリ4および/または基板アセンブリ5の少なくとも1つを含む)とに分割されると言うことができる。図1から3に示す特定のアセンブリでは、処理チャンバー2は、磁石6をも収容する。
【0101】
プラズマ生成システム3は、プラズマ生成ゾーン内の処理チャンバー2に配置され、図2および3に詳細に示される。プラズマ生成システム3は、アンテナ9、ハウジング10および電磁石11を備える。プラズマ生成システム3は、インピーダンス整合ネットワーク12および信号生成器13に接続される。プラズマが含有されるプラズマ生成システム内で生成され、次に処理チャンバー内に引き出される処理チャンバーの従来の例とは対照的に、本発明のプラズマ生成システム3は、処理チャンバー2の同じ空間内に存在し、そこへに対して開かれており、ここで、プラズマは、ターゲットアセンブリ4および/または基板アセンブリ5の処理に適用される。言い換えれば、プラズマは、処理チャンバー2の大気中で局所的に生成される。
【0102】
アンテナ9は、処理チャンバー2の外側の湾曲部分16によって接続される2つの直線セクション14、15において処理チャンバー2を通って延在する単一のループ状ワイヤーとして示される。直線セクション14、15は、アンテナ9の直線セクション14、15の間の領域にプラズマ励起を誘発するために、処理チャンバー2においてオフセットされる。アンテナ9は、成形金属管(例えば、銅管)で作製されるが、例えば、ロッド、ストリップ、ワイヤーまたはその組み合わせアセンブリなどのさまざまな断面形状であり得るように、例えば真鍮、アルミニウム、グラファイトなどの、代替の導電性材料が使用され得る。本発明の実施形態において、アンテナ9は、それが処理チャンバー2においてRF周波数を送信し得るように選択される。
【0103】
ハウジング10は、アンテナ9を処理チャンバー2から囲み、隔離する。ハウジング10は、画定された内部空間または内部容積を有する細長い管を備える。ハウジング10は、管が処理チャンバー2の壁と接続するように、処理チャンバー2を通って延在する。ハウジング10は、図2および3に示されるように、内部容積が一端または両端で大気に開放されるように、ハウジング10の端および処理チャンバー2の壁の周りに適切な真空シールを設ける。明瞭にするために、支持手段および真空シールおよび空冷を実現する手段は図から省略される。
【0104】
ハウジング10は、アンテナ9から放出される高周波に対して少なくとも部分的に透過である。ハウジング10の透過性は、処理チャンバー2内でのプラズマの生成を可能にする。
【0105】
ハウジング10は、通常、壁の厚さが2~3mmの石英管である。ハウジング10は、内部容積が大気に開放されるように十分な厚さであるか、または流体流が内部容積を通過してアンテナの冷却を助け得る。しかしながら、代替の実施形態では、ハウジング10の壁はより薄い場合があり得、そのため、処理チャンバー2とハウジング10の内部容積との間の実質的な圧力差を支持することが不可能であり得る。この代替の実施形態では、処理チャンバー2内およびハウジングの内部容積内の圧力の差のバランスをとるために、ハウジング10を排気する必要があり得る。 アンテナ9が存在する内部容積を、処理チャンバー2内のプラズマを生成するよりもむしろハウジング10の内部容積内でのプラズマ生成を抑制する圧力まで排気するために、真空ポンピングシステムをハウジング10に嵌合させるかまたは取り付ける必要があることを理解されたい。
【0106】
電磁石11は、アンテナ9およびハウジング10の近くに配置され、関連する電源11a(例えば、DC電源)によって電力を供給されるとき、4.8ガウスから最大500ガウスの軸方向磁場強度を生成し得る。電磁石11は、プラズマ生成システム3によって生成されたプラズマを伝播するかさもなければ閉じ込めまたは成形するために、処理チャンバー2内に磁場を提供し、その結果、プラズマ生成ゾーンからプラズマチャンバー2の処理ゾーンに、およびプラズマチャンバー2の処理ゾーンを横切って、延在または移動する。
【0107】
プラズマ生成システム3はまた、プラズマ生成および伝播の調整を可能にするために、処理チャンバー2内にアンテナ9、ハウジング10および電磁石11を支持し、位置合わせし、配置するための手段を含む。さらに、インピーダンス整合ネットワーク12、および信号生成器13は、より効率的なプラズマ生成のために特定の周波数に電力供給され得る。
【0108】
ターゲットアセンブリ4は、処理チャンバー2の処理ゾーン内に存在し、取付アセンブリ18に冷却水と電力とを供給する処理チャンバーフィードスルー17を備え、ターゲットアセンブリ4は、水冷され、処理チャンバー2の外部の電源19からそれに印加される電圧を有することが可能である。ターゲット材料20は、基板アセンブリ5に面する取付アセンブリ18の面に嵌合され、既知の手段、例えば、銀を充填したエポキシとの結合によって、良好な電気的および熱的接触を確実にする。さらに、取付アセンブリ18のスパッタを防ぐために、電気的に接地されたシールド21は、この物品の周りに提供され、ターゲット材料19のみがプラズマに直接さらされることを可能にする。
【0109】
基板アセンブリ5は、実質的に、処理チャンバー2内でコーティングされる1つ以上の基板22を配置および保持するための手段を提供する。基板アセンブリ5は、水冷され得るか、または基板22の温度を制御するためのヒーターを含み得、堆積膜特性の制御を支援するためにそれに印加される電圧を有することが可能であり得、コーティングの厚さの均一性を改善するために基板22を回転および/または傾斜させる手段を含み得、およびそれ自体が処理チャンバー2内で移動および/または回転することが可能であり得る。可動式シャッターアセンブリ23は、「閉」位置で、基板22をコーティングすることなくターゲットスパッタリングを行い得るように提供される。可動式シャッターアセンブリ23は、基板22をコーティングするように基板アセンブリ5がその下で平行移動するコーティング開口を画定するシールドの固定されたセットと置換され得る。適切な基板のタイプおよび材料の場合、基板アセンブリ8は必要ない場合があり得る。
【0110】
図1~3に示す装置では、ターゲットアセンブリ4と基板アセンブリ5とは、処理チャンバー2内の2つの平行な平面に位置しおよび配置される。これらの平面は、処理チャンバー2を通るアンテナ9およびハウジング10の延在方向と共通である。
【0111】
ターゲットアセンブリ4の代替の実施形態では、単一のターゲット材料20は、2つ以上の異なるターゲット材料で置き換えられ得、その結果、異なる個々の材料の複合混合物、合金または化合物である基板22上の材料のコーティングは、形成され得る。個々のターゲット材料は、個別に電気的にバイアスされ得る。これは、1つ以上のターゲットがRF電力によってバイアスされ、RF電力による低強度プラズマの生成および処理を汚染し得る他のターゲット材料のスパッタリングを防止することが望ましい場合に役立つ。別の配置では、ターゲットアセンブリ4は、パルスDCおよびDCバイアスによって個別に電気的にバイアスされ得る。加えてまたはあるいは、ターゲット材料20および取付アセンブリ18は、例えば、様々な形状であるように作製され得、必要に応じて、例えば、スパッタされる表面積を実質的に増やすことによってターゲット材料の寿命を最大化するために移動(例えば回転)される1つ以上のターゲットを有する。
【0112】
ターゲットアセンブリ4のさらなる代替の実施形態では、ターゲットシールド21は、ターゲット材料20および取付アセンブリ18の全長をカバーするように延在し、それによってプラズマがターゲット材料20とそれらの位置でのみ相互作用してスパッタすることを可能にする様々な位置において開口を含み、それによって、スパッタされるターゲット領域を制限および画定する。この実施形態は、基板での材料の相互汚染を低減することが可能であるため、前述のようにいくつかのターゲット材料20を備えるターゲットと組み合わせるときに、特に有用である。
【0113】
磁石6は、ターゲットアセンブリ4および基板アセンブリ5に近接して、処理チャンバー2の処理ゾーンの内側に配置される。磁石6は、プラズマ生成システム3から離れて配置されており、ターゲットアセンブリ4および基板アセンブリ5に対して、プラズマ生成システム3の反対側に配置されると言うことができる。磁石6および電磁石11は、それぞれの電源7および11aによって電力を供給され得、それらの間および処理チャンバー2全体にわたって、およそ4.8ガウスから最大500ガウスの強度の磁場を生成し得る。
【0114】
処理ガス供給システム8は、1つ以上の処理ガス(例えば、アルゴン)または処理ガス混合物のための1つ以上のガス入口を備え、各ガス流は、例えば、市販のマスフローコントローラを使用して制御可能であり、必要に応じて、真空チャンバー内のガス混合マニホルドおよび/またはガス分配システムを含む。単一のガス入口が真空チャンバーに提供され、その後、1つ以上の処理ガスが、通常の低圧拡散プロセスまたは方向付けられた配管によって処理チャンバー2の全ての部分に分配される。
【0115】
使用中、プラズマ生成装置1は、別個のまたは密閉されたプラズマチャンバーを必要とせずに、処理チャンバー2内で均一なプラズマシート24を生成および伝播する。
【0116】
本発明の特定の実施形態は、特にアンテナおよび/またはそのハウジングの配置に関連して、プラズマ生成システム3の特徴およびそれに関連する変形に関する。図4から7は、この点に関する一組の実施形態に関する。
【0117】
図4は、壁厚3mmの石英管ハウジング110に密閉された、直径6mmの銅管から作成されたプラズマアンテナ109を備えるプラズマ生成システム103を示す。ハウジングは、ハウジング110の軸の長さに沿って互いに間隔を置いて配置された3つの円筒形シールド部材130によって遮蔽される。各シールド部材130は、ハウジング110の外径よりわずかに大きい内径を有するステンレス鋼材料の円筒形ケージから形成される。シールド部材130は、全て、非常に低いインピーダンス経路を介して接続されることによって電気的に接地される(これによって、シールドが不正なアンテナとして機能するのを防ぐ)。使用中、各シールド部材130は、アンテナによって放出される電磁波を制限/遮断するための電磁シールドとして機能する。変化する電磁場、したがってプラズマは、特定の位置に集束/集中し得る。プラズマが生成される位置(および生成されない位置)を制御することが可能であることによって、システムの効率は、エネルギーを使用して必要な位置/領域でのみプラズマを生成することによって、向上され得る。図4に示すプラズマアンテナは、プラズマ124が生成される第1の環状領域131と、アンテナの長さLに沿った方向に、プラズマの第1の領域の位置から離れた位置にある、プラズマ124が生成される第2の環状領域132(他の源からの磁場/電場に大きな影響がない場合)とを有する。他の源からの磁場/電場に大きな影響がない場合、第1の領域と第2の領域の各々で生成されたプラズマは、アンテナの周囲(つまり、360度全て)に比較的均一に広がる。他の実施形態では、および/または他の磁場および電場の源の存在下で、プラズマは、周囲に不均一に分布し得る。プラズマは、例えば、他の磁場源および電場源の影響の結果として、周囲の一部のみに効果的に分布し得る。
【0118】
シールド部材は、第1の領域131と第2の領域132との間に隣接する領域でのプラズマの生成を防止する(または少なくとも制限する)ものを含むことが分かるであろう。他の2つのシールド部材には、図4の左側にあるものが含まれる。これは、アンテナの長さLに沿った方向のプラズマの第1の領域の左側の領域(つまり、第2の領域132から第1の領域131の反対側にある領域)でのプラズマの生成を制限する。図4の右側にシールド部材が存在し、プラズマの第2の領域132の右側の領域(つまり、第1の領域131から第2の領域132の反対側にある領域)でのプラズマの生成を制限する。
【0119】
導電性のステンレス鋼のケージは、ファラデーケージとして機能する。使用されるステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼などの非フェライト系ステンレス鋼であり、10未満の比透磁率を有し得る。したがって、導電性の非フェライト系材料のケージによってそのように形成されたシールド部材は、特定の領域でアンテナによって生成される局所的な磁場を低減し得る。
【0120】
シールド部材がステンレス鋼から作られるこの実施形態では、RF波が導体に透過し得る限られた距離(表皮深さ)の結果として、遮蔽作用が提供され得る。ほとんどの導体の場合、これは50μm未満であるため、かさばる材料を必要とせずに効果的な遮蔽を提供し得る(図は縮尺どおりには示されていない)。RFは、エネルギーを、導電性材料の渦電流の形でシールドに結合を生じさせ得る。システム効率を向上させるために、可能な場合はこれを最小限に抑える必要がある。
【0121】
本実施形態(誘導結合プラズマを利用する)の文脈において、容量結合は、通常、望ましくないと見なされ、したがって、可能な場合は最小化/低減されるべきである。ただし、最初にプラズマに衝突するためには、何らかの容量結合が必要になる場合があり得ることが認識される。システム内の容量結合は、絶縁された表面の充電につながり、続いてこれらの表面のスパッタリングにつながり得る。容量性放電は、はるかに小さいイオン密度に関連する。放電がより高密度になると、磁場は、自由電荷に効率的に結合し、さらに高密度のプラズマを生成し得る。これによって、電場がプラズマ体積に透過することがますます困難になる。
【0122】
他の実施形態では、遮蔽は、石英管の内側に実装される。
【0123】
図5は、図4に示されるものと同様のアンテナプラズマ生成システム203を示す。プラズマの生成を防止する鋼製シールド部材230を備えた石英管ハウジング210に密閉されたアンテナ209が存在する。次に、図4の配置と比較した図5の配置の主な違いについて説明する。アンテナの周りを約180度円周方向に延在するステンレス鋼材料の半円筒から形成された単一のシールド部材230が存在する。したがって、図5に示される配置では、アンテナの長さに沿って、プラズマ224が生成される第1の位置231と、プラズマ224も生成される第2の離間位置232とが存在する。両方の位置で、プラズマは、磁場/電場に他の源からの大きな影響がない場合、アンテナの周囲で約180度まで延在する。第1の位置231と第2の位置232との間のアンテナの長さLに沿って、第3の位置233があり、そこでまた、プラズマは、アンテナの約180度の周りで生成される。アンテナの長さLに沿った第1、第2および第3の位置の各々に、アンテナの周りの他の180度の周りのプラズマの生成を制限するシールド部材230の部分も存在する。シールド部材(およびアンテナのシールド部材の反対側でプラズマが生成される領域)も、プラズマの第1の位置231の左側(図5に見られるように)および第2の位置232の右側に延在する。
【0124】
図6は、図5に示されるものと同様のアンテナプラズマ生成システム303を示す。一定の領域でプラズマが生成されるのを防ぐ、概して円筒形の鋼製シールド部材330を備えた石英管ハウジング310に密閉されたアンテナ309が存在する。次に、図5の配置と比較した図6の配置の主な違いについて説明する。単一のシールド部材330は、シールド部材が半円筒の形状の中間部分336を有するように切り欠き335を有し、これは、それぞれが完全な円筒の形態である2つの端部337a、bの間に配置される。図7は、断面(平面C-C’について)において、そのハウジング310およびシールド部材330の中央部分336によって囲まれたアンテナ309を示す。中央部分336は、アンテナの周りを約180度円周方向に延在し、一方、2つの端部337a、bは、アンテナの周りを360度全体にわたって円周方向に延在する。したがって、図6および7に示される配置では、アンテナの長さに沿って、プラズマ324が生成される第1の位置331と、またプラズマが生成される第2の離間位置332とが存在する。両方の位置で、プラズマは、他の源からの磁場/電場に大きな影響がない場合、アンテナの周囲で180度未満だけ延在する。第1の位置331と第2の位置332との間のアンテナの長さLに沿って、第3の位置333が存在し、そこでまたプラズマは、部分的にアンテナの周りに生成される。図7から、プラズマは、アンテナの約90度の円周方向に延在する空間のセクター(アンテナ軸の中心で交わる破線で示される)内に閉じ込められた領域に存在することがわかる。プラズマの質量中心は、シールド部材の外径よりもアンテナ軸の中心から(半径方向に)離れた位置に存在する。
【0125】
アンテナの長さLに沿った第1、第2および第3の位置の各々に、アンテナの周りに円周方向に約180度延在するセクター内のプラズマの生成を制限するシールド部材330の部分が存在する。シールド部材の左端部分337aは、第1の位置331の左側(図6に見られるように)に配置され、プラズマが左端部分337aの領域で生成されるのを防ぐ。同様に、シールド部材の右端部分337bは、第2の位置332の右側(図6に見られるように)に配置され、プラズマが右端部分337bの領域およびプラズマが生成される第2の位置232の右側に生成されるのを防ぐ。
【0126】
使用中、特にアンテナによって生成されたプラズマが、プラズマアンテナから離れた特定の所望の領域に存在することを必要とするプロセスで使用するために拘束、方向付け、または他の方法で操作される場合、プラズマの形状および位置に影響を与える他の磁場源/電場源が必要になることを理解されたい。そのため、使用中、プラズマの形状および位置は不均一になり、および/または添付の図に示されるものとは異なる。
【0127】
他の実施形態では、遮蔽は、石英管の内側に実装される。
【0128】
図8は、図4に示されるものと同様のプラズマ生成システム403を示す。アンテナの長さに沿って離間した3つの環状領域でプラズマが生成されるのを防ぐ3つの離間したシールド部材430を備えた石英管ハウジング410に密閉されたアンテナ409が存在する。線D-Dに沿って取られた複合断面図は、そのハウジング410によって囲まれたアンテナ409を示す図9によって概略的に示される。図9の下半分は、ある縦方向の位置にあるシールド部材430のセクションを示し、図9の上半分は、別の縦方向の位置で生成されたプラズマを示す。図4の配置と比較した図8の配置の主な違いは、シールド部材430がアルミナなどの誘電体材料から作られていることである。シールド部材の全体的な形状は、図4の例のそれと類似しているが、図8および9のシールド部材430は、アンテナからわずかに半径方向にさらに延在していることが分かるであろう。誘電体シールド部材を使用することによって、プラズマの点火は、誘電体材料中の電磁波の減衰と生成源からの距離に伴う電場強度の低下との複合効果によって、抑制される。図8および9に示す配置では、プラズマ424が生成される第1の環状領域431と、プラズマの第1の領域の位置から(アンテナの軸に沿って)離れた位置にある、プラズマ424が生成される第2の環状領域432(他の源からの磁場/電場に大きな影響がない場合)と、が存在する。他の源からの磁場/電場に大きな影響がない場合、第1および第2の領域431、432の各々で生成されたプラズマは、アンテナの周囲(つまり、360度全て)に比較的均一に広がる。中央のシールド部材430は、第1の領域431、第2の領域432の間の第3の領域433でのプラズマの生成を制限する。図9から、プラズマ424の質量の入口が、シールド部材430の外径よりもアンテナ軸の中心(半径方向)の近くに位置していることが分かるであろう。
【0129】
アンテナからの距離が増加するにつれて、電場強度が減衰することを理解されたい。この実施形態では、シールド部材が主に誘電体材料から作られている場合、シールド材料の主な機能は、アンテナの近くの空間を占有して、その結果、その空間またはアンテナの隣に存在する、プラズマに衝突し得るガスが存在しない(または不十分である)ようになり、その結果、シールド部材を超えたガス(アンテナから半径方向)は、プラズマ点火が発生する可能性のあるレベルよりも低いレベルまで電場および磁場が十分に減少した領域にあるようになる。損失を最小限に抑えるために、シールド部材に使用される誘電体材料は、アンテナからの電磁波との相互作用を最小限にすることが好ましい。
【0130】
図5および6に示されるものと同様の形状(および他の形状)が、金属導電性シールド部材の代わりに誘電体シールド部材を用いて実施され得ることを理解されたい。
【0131】
図10は、本発明の実施形態によるプラズマ生成システム503を示す。プラズマ生成システム503は、直線上部セクション538Aおよび直線下部セクション538Bを備えるアンテナアセンブリ538を備える。上部セクション538Aおよび下部セクション538Bの長手方向軸は平行であり、各セクション538A、538Bの端は位置合わせされる。
【0132】
上部セクション538Aおよび下部セクション538Bは各々、銅管で作製されたある長さのRFアンテナ509を備える。アンテナ509は、示されるようにU字形状にループしており、したがって、上部セクション538Aおよび下部セクション538Bの両方に共通である。
【0133】
上部セクション538Aおよび下部セクション538Bは各々、そのセクション内のアンテナ509の長さを密閉する石英管ハウジング510を備える。各セクション538A、538Bの中央領域において、アンテナ509の長さは、ハウジング510の壁に近接して配置され、それによって、ハウジング510の長手方向軸からオフセットされる。上部セクション538Aおよび下部セクション538Bは各々、フェライト集束部材540をさらに備える。集束部材540もまた、ハウジング510に設けられ、アンテナ509の長さを部分的に取り囲む。
【0134】
図11に示すように、集束部材540は、概してC字形状の断面を有し、アンテナ509は、C字形状のくぼんだ部分に設けられる。上部セクション538Aにおける集束部材540およびアンテナ509は、下部セクション538Bにおける集束部材540およびアンテナ509に対して鏡像で配置され、集束部材540の開放側は、各々、概して内側を向く。
【0135】
使用中、アンテナ509は、RF電流によって駆動され、時変磁場を生成する。磁場は、ハウジングの外側のガスをイオン化し、誘導結合プラズマ524は、上部セクション538Aと下部セクション538Bとの間のプラズマ生成領域525で生成される。
【0136】
集束部材540は、各々、アンテナ509がハウジング510の壁から遮蔽されていない(すなわち、集束部材510によって囲まれていない/集束部材510が開放されている)角度領域における磁束密度を増加させる効果を有する。両方の集束部材540の配置は、それによって、プラズマ生成領域525における磁束密度を増加させるように作用する。
【0137】
見られるように、上部セクション538Aでは、アンテナ509は、ハウジング510内で約7時の位置に提供され、下部セクション538Bでは、アンテナは、ハウジング510内で約11時の位置に提供される。プラズマ生成装置1で使用する場合、これは、最大磁束密度の領域を電磁石11に向かってわずかに移動させる効果を有する。
【0138】
集束部材540はまた、上部セクション538Aの上および下部セクション538Bの下の領域に誘導される磁場を低減する効果を有し、したがって、これらの領域へと失われる電力が少ない。集束部材540は、それによって、プラズマ生成システム全体の効率を改善する。当該増加および改善は、集束部材540が存在しない同様のアンテナアセンブリと比較されることを理解されたい。
【0139】
集束部材540の存在を十分に利用するために、集束部材540のフェライト材料は、好ましくは、外部磁場(すなわち、アンテナ509によって生成されない磁場)によって飽和されるべきではない。プラズマ生成装置1での使用において、そのような外部磁場は、プラズマ524を閉じ込めて伝播する電磁石11によって生成され得る。
【0140】
したがって、集束部材540は、そのような外部磁場からそれらを遮蔽するために、各々シールド要素542を設ける。この実施形態では、シールド要素542は、集束部材540の外向きの表面に提供されるニッケル合金コーティングの形態である。使用され得るニッケル含有材料の例は、米国イリノイ州ベンセンビルのマグネティックシールドコーポレーションによるMuMetal(登録商標)合金である。
【0141】
他の実施形態では、代替または追加の遮蔽を提供し得る。
例えば、ハウジング510の一部は、遮蔽材料(例えば、コーティングされる)で提供され得、および/または1つ以上の独立したシールド要素は、集束部材と電磁石11との間の領域に提供され得る。
【0142】
上部セクション538Aおよび下部セクション538Bは、その近くにプラズマを生成する必要がない、端領域をさらに有する。端領域では、アンテナ509は、ハウジング510の長手方向軸に沿って(すなわち、同軸に)配置される。
【0143】
図12に示すように、集束部材540を構成するものと同じフェライト材料である、フェライト材料は、アンテナ509を完全に取り囲むフェライトシールド546を形成し、それによって、プラズマアンテナアセンブリ538のシールドセクションを形成する。見られるように、ハウジング510内のアンテナ509の変化する位置は、アンテナ509に、上部セクション538Aおよび下部セクション538Bの各々において、概してクランク形状を与える。
【0144】
図13は、前の実施形態と同様の代替の実施形態を示し、同様の参照番号は、同様の部品を示す。この実施形態では、アンテナ609は、プラズマ生成領域の周りを2回ループする。この実施形態では、上部および下部セクションの各々の集束部材640は、アンテナ609の2つの長さを部分的に取り囲む。アンテナ609の長さは、ハウジング610の壁とハウジング610の長手方向軸との間のように前後に配置される。これにより、各集束部材640のくぼみは、前の実施形態よりも深いが、同じ幅を有する。代替の実施形態では、アンテナの長さは、ハウジング内で異なって配置される。例示的な代替の実施形態では、アンテナの長さは、両方とも、ハウジングの壁の近くに配置される。これにより、各集束部材のくぼみは、前の実施形態よりも浅く、幅が広い。
【0145】
プラズマ生成システムで使用される典型的なRF電流の周波数は、13.56MHzである。1つ以上のフェライト集束部材を備えるプラズマアンテナアセンブリを使用するとき、フェライト自体への電力損失を減らすために、約2MHzのより低い周波数を使用することが有益な場合があり得る。
【0146】
図14は、本発明の一態様によるプラズマアンテナアセンブリの例の断面端面図を示す。プラズマアンテナアセンブリは、概して、参照番号1201によって示され、銅コイルの形態の導電体1203を備えるアンテナ1202を備える。窒化シリコンのコーティングの形態のカバー1204は、導電体1203上に設けられる。アンテナ1202は、冷却流体1206、この場合は水、を通過させるための管腔1205を設ける。コーティングの厚さは、約2mmである。
【0147】
図14の配置は、誘電体材料(窒化シリコン)のコーティングがアンテナの導電体1203を周囲のプラズマから隔離するという点で有利である。さらに、窒化シリコンコーティングを使用すると、コーティングに望ましくない亀裂が生じ得るコーティング全体にわたる温度勾配の生成が抑制される。このような温度勾配の構築は、より高いRF電力で発生する傾向がある。これに関連して、窒化シリコンは、高い熱伝導率(約20W/m.K)および低い熱膨張係数(約3x10-6/K)を有する。
【0148】
当業者は、他のコーティング材料を使用し得ることに気付くであろう。例えば、約140~180W/m.Kの熱伝導率および約4.5x10-6/Kの熱膨張係数を有する窒化アルミニウムが使用され得る。
【0149】
コーティング材料は、好ましくは、約5kVの電圧降下に耐える絶縁破壊耐性を有するべきである。
【0150】
当業者は、図14のプラズマアンテナアセンブリが本発明の他の態様で使用され得ることを理解するであろう。例えば、図14のプラズマアンテナアセンブリは、図11に示すように、フェライト材料とともに使用され得、プラズマの生成に焦点を合わせ得る。加えてまたはあるいは、図14のプラズマアンテナアセンブリは、図4、5、6および8を参照して上記のようにシールドと組み合わせて使用され得る。
【0151】
図14は、導電体を適切な材料でコーティングすることによって、アンテナにカバーを設け得る方法を示す。代替のカバー、例えば、スリーブなどの誘電体カバー部材の形態のカバーを提供することも可能である。これに関連して、図15は、本発明によるプラズマアンテナアセンブリの例の概略断面側面図を示す。プラズマアンテナアセンブリは、概して、参照番号1101によって示され、銅コイルの形態の導電体1103を備えるアンテナ1102を備える。プラズマアンテナアセンブリは、プラズマ1107内に位置する。円筒形スリーブの形態のカバー部材1104は、導電体1103の中央部分1111上に設けられる。カバー1104は、第1の端スペーサー1109および第2の端スペーサー1110によって、導電体1103との明確な空間的関係に保持され、スペーサー1109、1110は、導電体1103とカバー1104との間に中央ギャップ1108が存在することを保証する。中央のギャップ1108は、断面が環状であり、カバー1104と導電体1103との間の寸法が約1mmである。第1の端スペーサー1109および第2の端スペーサー1110は、導電体1103の中央の覆われた部分をプラズマから密閉しない。したがって、プラズマは導電体1103に接触する。しかしながら、中央ギャップ1108は、中央ギャップ1108でのプラズマ点火を防ぐために暗空間遮蔽を確保するのに十分に小さい。第1の覆われていない部分1116および第2の覆われていない部分1117は、導電体1103の覆われた中央部分1111から延在する。
【0152】
プラズマアンテナアセンブリ1101は、第1の覆われていない部分1116および第2の覆われていない部分1117が各々の第1のパーティション1114および第2のパーティション1115を通ってそれぞれの非プラズマ雰囲気1120、1121に延在するプラズマアンテナ配置に組み込まれる。アンテナの2つの端は、非プラズマ雰囲気1120、1121でプラズマにさらされないため、これらの端は、誘電体カバーによって覆われる必要はない。電気的接触は、アンテナ配置の第1の1116および第2の1117で行われ得る。
【0153】
誘電体カバー1104のそれぞれの端と第1のパーティション1114と第2のパーティション1115との間に小さなギャップ、第1の端ギャップ1112および第2の端ギャップ1113が存在する。これらの第1の端ギャップ1112および第2の端ギャップ1113は、第1の端ギャップ1112および第2の端ギャップ1113でのプラズマ点火を防ぐために、暗空間遮蔽を確保するのに十分に小さい。
【0154】
アンテナ1102は、水などの冷却流体(図示せず)を受け入れるための管腔(図示せず)を設ける。
【0155】
誘電体カバー1104は、窒化シリコンから形成されるが、当業者は、任意の適切な誘電体材料が使用され得ることを理解するであろう。
【0156】
カバー1104を形成する材料は、好ましくは、約5kVの電圧降下に耐えるのに十分に高い破壊耐性を有するべきである。
【0157】
当業者は、図14および15に示される様々な特徴の寸法が原寸に比例しておらず、その結果、個々の特徴が図に見られるように描かれていることに気付くであろう。例えば、管腔の直径は、通常10mmであり、コーティングの厚さは、通常1~2mmである。
【0158】
図15の配置は、誘電体カバー1104がプラズマとアンテナの導電体との間の接触を妨げないが、誘電体カバー1104とアンテナの導電体1103との間のギャップは、プラズマの点火がアンテナの導電体に隣接して発生しないのに十分に小さいという点で有利である。さらに、図15の配置は、プラズマアンテナを石英管内に収容する既知の配置よりもおそらく単純である。
【0159】
当業者は、図15のプラズマアンテナアセンブリが本発明の他の態様で使用され得ることを理解するであろう。例えば、図15のプラズマアンテナアセンブリは、図11に示すように、フェライト材料とともに使用され得、プラズマの生成に焦点を合わせる。加えてまたはあるいは、図15のプラズマアンテナアセンブリは、図4、5、6および8を参照して上記のようにシールドと組み合わせて使用され得る。
【0160】
図示されていない実施形態は、図6、11および14の特徴を組み合わせ、したがって、水冷銅管誘電体コーティングアンテナを提供し、半円筒ステンレス鋼シールド部材と組み合わせて、プラズマのフェライトベースの集束を備え、その結果、プラズマがアンテナの片側の所望の位置にある体積で効率的に生成され、これによって、プラズマを処理のために使用することが可能であると同時に、望ましくない再結合または結合効果によるプラズマの損失を減らす。
【0161】
ここで、本発明の実施形態によるスパッタ堆積の方法1000を、図1から3および図16を参照して説明する。アンテナは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる形態を有し得る。
【0162】
概要として、プラズマの高密度シートは、処理チャンバーで生成された磁場内のプラズマアンテナによって生成される。プラズマは、ターゲットから基板上にスパッタされる材料のターゲットと相互作用する。図1から3のプラズマ生成システムは、比較的長い長さと幅とにわたって均一な高密度プラズマを生成する必要がある用途で特に有用であり、それによって、大きな寸法の基板でそのようなプラズマを効率的かつ効果的に使用することが可能になる。
【0163】
最初のステップ1001として、コーティングされる基板は、基板アセンブリに搭載される。
【0164】
スパッタプロセスに適した動作圧力(例えば3x10-3Torr)が処理チャンバー2に維持されながら、処理ガス、例えばアルゴンは、処理チャンバーに導入1002される。磁石6および電磁石11は、それらの間および処理チャンバー2全体に約100~500ガウスの強度の磁場を生成する。磁石と電磁石との磁気の「極性」は同じである(つまり、それらは引き合う)。
【0165】
プラズマアンテナは、13.56MHzのRF電流の2kW電源から電力供給され、アンテナの長さに沿って選択された領域で生成され、隔離高密度プラズマ24の1つ以上の局所領域を形成(ステップ1003)する(例えば、1012cm-3を超える電子密度で)。プラズマのそのような領域の形状は、磁場によって制約され、例えば、プラズマのシート(断面の長さ寸法が400mmを超える)を形成し、プラズマを収容するためのプラズマチャンバーを必要とせずに、2つの直交する方向にプラズマが励起され、第3の直交方向にプラズマが伝播される。
【0166】
DC電源19は、負極性電圧をターゲットアセンブリ4に印加し、その結果、プラズマ24からのイオンがターゲット材料20のスパッタリングを引き起こす(ステップ1004)。スパッタ速度は、スパッタリングを開始するために必要な電圧を超えて印加される電圧にほぼ比例し得る。400ボルト以上の電圧は、印加され得る。非常に高速の用途では、より高い電圧、例えば1200ボルトが使用され得る。
【0167】
ターゲット材料20の表面を洗浄および安定化することが可能な必要に応じた時間遅延の後、ターゲットからスパッタされた材料が基板上に堆積され、したがって、基板表面をターゲット材料20の薄膜でコーティングする(ステップ1005)。必要に応じて、材料が基板にスパッタされる時間と場所とを制御する、シャッターシステムを使用する。
【0168】
本発明は、特定の実施形態を参照して説明および図示されてきたが、本発明が本明細書に具体的に図示されていない多くの異なる変形に役立つことは、当技術分野の通常の技術者によって理解されるであろう。特定の可能な変形を、単なる例として次に説明する。
【0169】
磁場の生成方法について、変更があり得る。例えば、図1~3の磁石6および電磁石11は、プラズマを異なる方法で制御および誘導するために、交換され得、補足され得、または他の磁石配置、例えば追加の永久磁石または電磁石によっても置き換えられ得る。これは、例えば、強磁性のターゲット材料をスパッタする場合、プラズマがターゲットアセンブリに向けられて消滅するのを防ぐために、追加のフィールド形成が必要な場合に必要になり得る。
【0170】
プラズマ処理に使用されるほとんどのRF電源システムは、13.56MHzで動作するが、これは産業用に割り当てられた周波数であるため、他の無線周波数ユーザーとの干渉を引き起こしにくく、実装がより簡単である。代替の高周波、例えば、40MHzまたは13.56MHzの倍数は、実施形態のアンテナに電力を供給するために使用され得る。
【0171】
アンテナの軸がハウジングの軸から離れるように、アンテナをそのハウジングに偏心して取り付けられ得る。そのような配置は、アンテナ軸の周りの特定の円周方向の領域でより高密度のプラズマが生成されることを促進し得る。
【0172】
特定の実施形態において、プラズマアンテナのためのハウジングは、材料の集合体から作成され得る。ハウジングは、例えば、マルチターンアンテナを密閉するために並べて配置された、例えば2~3mmの厚さの石英の複数の管を含み得る。ハウジングは、大気圧でアンテナを収容するように構築され得る。アンテナは、例えば単純な空気流を使用して冷却され得、それによって、プラズマ生成システムが、そうでない場合よりも高いRF電力で動作することを可能にする。
【0173】
アンテナは、アンテナの長さが直線(すなわち線形)であり、場合によっては1つ以上の湾曲部分によって結合される、いくつかの実施形態である。他の実施形態では、アンテナの1つ以上コイル状の長さ(例えば、ヘリカルコイル)が存在し得る。コイル状の長さは、円筒形のハウジング(チューブ)の一部の直線の長さの範囲内に保持され得る。
【0174】
遮蔽は、プラズマの生成を制限するものとして本明細書で説明される。制限、制限されたなどの単語は、上記の説明において削減、削減されたなどの単語に置き換えられ得る。削減あるいは、制限、制限されたなどの単語は、上記の説明において、抑制、抑制されたなどの単語に置き換えられ得る。
【0175】
図4から9に示される遮蔽は、所望の用途の特定の要件に応じて異なる形状であり得る。
【0176】
十分に接地された固体導電性材料は、シールドとして機能し得る。
【0177】
この装置は、反応性スパッタプロセス、すなわち、反応性ガスまたは蒸気がガス供給システムを介して導入され、スパッタされた1つ以上の材料と反応し、それによって基板上に複合薄膜を堆積させるプロセスにおいても使用され得る。例えば、酸素ガスは、酸化物薄膜を堆積させるために、例えば、酸素ガスの存在下でアルミニウムターゲットのスパッタリングによってアルミナを堆積させるために、または酸素ガスの存在下でシリコンターゲットのスパッタリングによってシリカを堆積させるために、スパッタプロセスに導入され得る。
【0178】
プラズマ生成システムは、任意のスパッタターゲットとは独立して動作し得、例えば基板のクリーニング、表面改質、またはエッチングツールとしてのさらなる用途を実現することが可能である。特に、例えば、ロールツーロール(「ウェブ」)コーティングなどの、大きな寸法の基板を高スループット率で処理する場合に便利である。
【0179】
プラズマ生成システムは、蒸発コーティングプロセスツールで通常使用されるように、他のコーティングプロセスの「プラズマ支援」ツールとしても使用され得る。
【0180】
プラズマ生成システムは、プラズマ励起化学気相堆積(PECVD)の技術に基づくコーティングプロセスにも適用され得る。
【0181】
前述の説明において、既知の、明白な、または予見可能な均等物を有する整数または要素が言及される場合、そのような均等物は、個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本発明の真の範囲を決定するための特許請求の範囲を参照すべきであり、それは、そのような均等物を包含するように解釈されるべきである。好ましい、有利な、便利ななどとして記載される本発明の整数または特徴は任意選択であり、独立請求項の範囲を限定しないことについても、読者には、理解されるであろう。さらに、そのような必要に応じた整数または特徴は、本発明のいくつかの実施形態において可能な利益はあるが、他の実施形態においては望ましくない可能性があり、したがって存在しない可能性があることを理解されたい。
図1
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