(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】障害物認識方法、装置、自律移動機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20231113BHJP
G06T 7/12 20170101ALI20231113BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G06T7/12
(21)【出願番号】P 2022541668
(86)(22)【出願日】2021-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2021076964
(87)【国際公開番号】W WO2021212986
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】202010322554.9
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520441349
【氏名又は名称】追▲べき▼創新科技(蘇州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Dreame Innovation Technology (Suzhou) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Bldg. E3, Shangjinwan Headquarters Economic Park, 2288 Wuzhong Ave., Yuexi St., Wuzhong Dist., Suzhou City, Jiangsu Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】孫 佳佳
(72)【発明者】
【氏名】徐 銀波
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110353583(CN,A)
【文献】特開2014-194729(JP,A)
【文献】国際公開第2018/219473(WO,A1)
【文献】特開2011-069626(JP,A)
【文献】特開2006-146778(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107632308(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G06T 7/12
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動機器に適用され、前記自律移動機器には第1ラインレーザトランスミッタと画像収集ユニットが取り付けられ、前記第1ラインレーザトランスミッタは走行方向に対する斜め下に沿ってラインレーザを出射するものであり、前記画像収集ユニットは前記ラインレーザが物体によって反射された反射光を含む環境画像を収集するものであり、
前記画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得するステップと、
前記環境画像内の反射光の画素座標を用いて、前記ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定するステップと、
前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定するステップとを含み、
前記環境画像内の反射光の画素座標を用いて、前記ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定する前記ステップの後に、
前記輪郭情報中の輪郭形状における凸起の数を決定するステップと、
前記凸起の数が閾値よりも大きいとき、前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であると決定し、前記凸起の数が閾値以下であるとき、前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭ではないと決定するステップとをさらに含む、ことを特徴とする障害物認識方法。
【請求項2】
前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定する前記ステップの後、
前記輪郭情報に従って前記障害物の地面に対する垂直方向距離を決定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記輪郭情報に従って前記障害物の地面に対する垂直方向距離を決定する前記ステップは、
地面と前記第1ラインレーザトランスミッタとの間の第1垂直方向距離を取得するステップと、
レーザー測距原理及び前記輪郭情報の画素座標に基づいて、前記ラインレーザの作用する物体と前記第1ラインレーザトランスミッタとの間の第2垂直方向距離を決定するステップと、
前記第2垂直方向距離と前記第1垂直方向距離との間の差を前記垂直方向距離として決定するステップとを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
地面と前記第1ラインレーザトランスミッタとの間の第1垂直方向距離を取得する前記ステップは、
過去に収集された、前記ラインレーザの作用する物体の地面に対する垂直方向距離が
予め設定された距離閾値以下の過去環境画像について、レーザー測距原理及び前記過去環境画像内の反射光の画素座標に基づいて、前記物体と前記第1ラインレーザトランスミッタとの間の垂直方向距離を決定し、前記第1垂直方向距離を得るステップを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記自律移動機器には、第2ラインレーザトランスミッタがさらに配置されており、前記第2ラインレーザトランスミッタは前記ラインレーザと出射方向が異なる他のラインレーザを送信するものであり、前記環境画像は前記他のラインレーザが物体によって反射された反射光をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定する前記ステップの後、
前記障害物のタイプに基づいて、前記障害物を回避又は乗り越えるための前記自律移動機器の作動戦略を決定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記障害物のタイプに基づいて前記自律移動機器の作動戦略を決定する前記ステップは、前記障害物がカーペットであり、かつ前記カーペットの地面に対する垂直方向距離が第1閾値よりも大きく、第2閾値よりも小さい場合、前記障害物を乗り越えるために、前記自律移動機器の作動戦略として加速走行を決定するステップと、
前記障害物がカーペットであり、かつ前記カーペットの地面に対する垂直方向距離が第2閾値以上である場合、前記障害物を回避するために前記自律移動機器の作動戦略として運転方向変更を決定するステップと、
前記障害物が階段であり、前記階段が地下にあり、かつ地面に対する最大垂直方向距離が第3閾値よりも大きく、第4閾値よりも小さい場合、前記階段に対応する高さに降下するために前記自律移動機器の作動戦略として減速運転を決定するステップと、
前記障害物が階段であり、前記階段が地下にあり、かつ地面に対する最大垂直方向距離が第4閾値以上である場合、前記障害物を回避するために前記自律移動機器の作動戦略として運転方向変更を決定するステップとを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ラインレーザが平坦な地面に照射されるとき、前記画像収集ユニットによってキャプチャされた環境画像から抽出された地面情報は、平坦かつ光滑であるものであり、前記障害物がカーペットであり、かつ前記ラインレーザがカーペットに照射されるとき、前記画像収集ユニットによってキャプチャされた環境画像から抽出された地面情報はノイズを伴う不規則なデータである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
自律移動機器に適用され、前記自律移動機器には、第1ラインレーザトランスミッタと画像収集ユニットが取り付けられ、前記第1ラインレーザトランスミッタは走行方向に対する斜め下に沿ってラインレーザを出射するものであり、前記画像収集ユニットは前記ラインレーザが物体によって反射された反射光を含む環境画像を収集するものであり、
前記画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得する画像取得モジュールと、
前記環境画像内の反射光の画素座標を用いて、前記ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定する輪郭決定モジュールと、
前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定する物体認識モジュールとを含み、
前記輪郭情報中の輪郭形状における凸起の数を決定し、前記凸起の数が閾値よりも大きいとき、前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であると決定し、前記凸起の数が閾値以下であるとき、前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭ではないと決定する、ことを特徴とする障害物認識装置。
【請求項10】
ハウジングと、第1ラインレーザトランスミッタと、画像収集ユニットと、制御ユニットとを含み、前記第1ラインレーザトランスミッタは前記ハウジングに設けられ、走行方向に対する斜め下に沿ってラインレーザを出射するものであり、前記画像収集ユニットは前記ラインレーザが物体によって反射された反射光を含む環境画像を収集するものであり、前記第1ラインレーザトランスミッタ及び前記画像収集ユニットはそれぞれ前記制御ユニットに通信可能に接続され、
前記制御ユニットは、
前記画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得し、
前記環境画像内の反射光の画素座標を用いて、前記ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定し、
前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定するものであり、
前記輪郭情報中の輪郭形状における凸起の数を決定し、前記凸起の数が閾値よりも大きいとき、前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であると決定し、前記凸起の数が閾値以下であるとき、前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭ではないと決定する、ことを特徴とする自律移動機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、障害物認識方法、装置、自律移動機器及び記憶媒体に関し、コンピュータの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
知能化の持続的な発展に伴い、自律移動機器(例えば、掃除ロボット、スマート芝刈り機など)は前方に障害物が存在するか否かを自動的に認識し、障害物回避戦略を取る。
【0003】
関連技術では、画像認識アルゴリズムによって画像内の障害物を認識する。
【0004】
しかし、画像認識アルゴリズムによって障害物を認識する際に、周囲光が弱い場合、画像認識結果が影響を受け、結果として、障害物の認識ができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、障害物認識結果を向上できる障害物認識方法、装置、自律移動機器及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様では、本願の実施例は、
自律移動機器に適用され、前記自律移動機器には第1ラインレーザトランスミッタと画像収集ユニットが取り付けられ、前記第1ラインレーザトランスミッタは走行方向に対する斜め下に沿ってラインレーザを出射するものであり、前記画像収集ユニットは前記ラインレーザが物体によって反射された反射光を含む環境画像を収集するものであり、
前記画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得するステップと、
前記環境画像内の反射光の画素座標を用いて、前記ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定するステップと、
前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定するステップとを含む、障害物認識方法を提供する。
【0007】
1つの可能な実施形態では、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定する前記ステップの後、
前記輪郭情報に従って前記障害物の地面に対する垂直方向距離を決定するステップをさらに含む。
【0008】
1つの可能な実施形態では、前記輪郭情報に従って前記障害物の地面に対する垂直方向距離を決定する前記ステップは、
地面と前記第1ラインレーザトランスミッタとの間の第1垂直方向距離を取得するステップと、
レーザー測距原理及び前記輪郭情報の画素座標に基づいて、前記ラインレーザの作用する物体と前記第1ラインレーザトランスミッタとの間の第2垂直方向距離を決定するステップと、
前記第2垂直方向距離と前記第1垂直方向距離との間の差を前記垂直方向距離として決定するステップとを含む。
【0009】
1つの可能な実施形態では、地面と前記第1ラインレーザトランスミッタとの間の第1垂直方向距離を取得する前記ステップは、
過去に収集された、前記ラインレーザの作用する物体の地面に対する垂直方向距離が前記予め設定された距離閾値以下の過去環境画像について、レーザー測距原理及び前記過去環境画像内の反射光の画素座標に基づいて、前記物体と前記第1ラインレーザトランスミッタとの間の垂直方向距離を決定し、前記第1垂直方向距離を得るステップを含む。
【0010】
1つの可能な実施形態では、前記自律移動機器には、第2ラインレーザトランスミッタがさらに配置されており、前記第2ラインレーザトランスミッタは前記ラインレーザと出射方向が異なる他のラインレーザを送信するものであり、前記環境画像は前記他のラインレーザが物体によって反射された反射光をさらに含む。
【0011】
1つの可能な実施形態では、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定する前記ステップの後、
前記障害物のタイプに基づいて、前記障害物を回避又は乗り越えるための前記自律移動機器の作動戦略を決定するステップをさらに含む。
【0012】
1つの可能な実施形態では、前記障害物のタイプに基づいて前記自律移動機器の作動戦略を決定する前記ステップは、
前記障害物がカーペットであり、かつ前記カーペットの地面に対する垂直方向距離が第1閾値よりも大きく、第2閾値よりも小さい場合、前記障害物を乗り越えるために前記自律移動機器の作動戦略として加速走行を決定するステップと、
前記障害物がカーペットであり、かつ前記カーペットの地面に対する垂直方向距離が第2閾値以上である場合、前記障害物を回避するために前記自律移動機器の作動戦略として運転方向変更を決定するステップと、
前記障害物が階段であり、前記階段が地下にあり、かつ地面に対する垂直方向距離が第3閾値よりも大きく、第4閾値よりも小さい場合、前記階段に対応する高さに降下するために前記自律移動機器の作動戦略として減速運転を決定するステップと、
前記障害物が階段であり、前記階段が地下にあり、かつ地面に対する垂直方向距離が第4閾値以上である場合、前記障害物を回避するために前記自律移動機器の作動戦略として運転方向変更を決定するステップとを含む。
【0013】
1つの可能な実施形態では、環境画像内の反射光の画素座標を用いて、前記ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定する前記ステップの後、
前記輪郭情報中の輪郭形状における凸起の数を決定するステップと、
前記凸起の数が閾値よりも大きく、非画像認識アルゴリズムによって前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であると決定されたとき、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定し、前記凸起の数が閾値以下であるとき、輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭ではないと決定するステップとをさらに含む。
【0014】
1つの可能な実施形態では、前記ラインレーザが平坦な地面に照射されるとき、前記画像収集ユニットによってキャプチャされた環境画像から抽出された地面情報は、平坦かつ光滑であるものであり、前記障害物がカーペットであり、かつ前記ラインレーザがカーペットに照射されるとき、前記画像収集ユニットによってキャプチャされた環境画像から抽出された地面情報はノイズを伴う不規則なデータである。
【0015】
第2態様では、本願の実施例は、
自律移動機器に適用され、前記自律移動機器には第1ラインレーザトランスミッタと画像収集ユニットが取り付けられ、前記第1ラインレーザトランスミッタは走行方向に対する斜め下に沿ってラインレーザを出射するものであり、前記画像収集ユニットは前記ラインレーザが物体によって反射された反射光を含む環境画像を収集するものであり、
前記画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得する画像取得モジュールと、
前記環境画像内の反射光の画素座標を用いて、前記ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定する輪郭決定モジュールと、
前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定する物体認識モジュールとを含む、障害物認識装置を提供する。
【0016】
第3態様では、本願の実施例は、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリには、前記プロセッサによってロードされて実行されて第1態様に記載の障害物認識方法を実現するプログラムが記憶されている障害物認識装置を提供する。
【0017】
第4態様では、本願の実施例は、前記プロセッサによってロードされて実行されて第1態様に記載の障害物認識方法を実現するプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0018】
第5態様では、本願の実施例は、ハウジングと、第1ラインレーザトランスミッタと、画像収集ユニットと、制御ユニットとを含み、前記第1ラインレーザトランスミッタは前記ハウジングに設けられ、走行方向に対する斜め下に沿ってラインレーザを出射するものであり、前記画像収集ユニットは前記ラインレーザが物体によって反射された反射光を含む環境画像を収集するものであり、前記第1ラインレーザトランスミッタ及び前記画像収集ユニットはそれぞれ前記制御ユニットに通信可能に接続され、前記制御ユニットは、
前記画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得し、
前記環境画像内の反射光の画素座標を用いて、前記ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定し、
前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定するものである、自律移動機器を提供する。
【0019】
1つの可能な実施形態では、前記自律移動機器は第2ラインレーザトランスミッタをさらに含み、前記第2ラインレーザトランスミッタは前記ラインレーザと出射方向が異なる他のラインレーザを送信するものであり、前記環境画像は前記他のラインレーザが物体によって反射された反射光をさらに含む。
【発明の効果】
【0020】
本願の実施例では、自律移動機器には第1ラインレーザトランスミッタと画像収集ユニットが取り付けられ、第1ラインレーザトランスミッタは走行方向に対する斜め下に沿ってラインレーザを出射するものであり、画像収集ユニットはラインレーザが物体によって反射された反射光を含む環境画像を収集するものであり、画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得し、環境画像内の反射光の画素座標を用いて、ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定し、輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定し、これによって、周囲光により影響されやすく、結果として認識結果が不正確になるという従来の障害物認識方法の問題を解決し、第1ラインレーザトランスミッタと画像収集ユニットとを組み合わせることによって環境画像を収集するため、周囲光が少ない場合にも、画像収集ユニットはラインレーザの反射光の画像を収集することができ、したがって、周囲光が少ない場合にも障害物を認識できることを確保する。また、画像認識アルゴリズムを用いて障害物を認識する代わりに、ラインレーザの反射光の画素座標に従って物体輪郭情報を抽出し、この輪郭情報に従って障害物を認識し、これによって、障害物の認識に要する機器リソースを節約することができる。
【0021】
上記の説明は本願の技術案の概要に過ぎず、本願の技術手段をより明確に把握し、明細書の内容に基づいて実施できるように、以下、本願の好適な実施例及び図面の詳細を組み合わせて以下のように説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本願の一実施例に係る自律移動機器の構造概略図である。
【
図2】本願の一実施例に係る障害物認識方法のフローチャートである。
【
図3】本願の一実施例に係る認識障害物のシーンの概略図である。
【
図4】本願の一実施例に係る障害物認識装置のブロック図である。
【
図5】本願の一実施例に係る障害物認識装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面及び実施例を参照して、本願の具体的な実施形態についてさらに詳細に説明する。以下の実施例は本願を説明するものであり、本願の範囲を限定するものではない。
【0024】
図1は本願の一実施例に係る自律移動機器の構造概略図である。自律移動機器とは、手動で力を印加せずに移動可能な機器である。自律移動機器には、掃除ロボット、スマート芝刈り機などが含まれるが、これらに限定されるものではなく、本実施例は、自律移動機器のタイプについて限定しない。
図1に示すように、該自律移動機器は、少なくとも、第1ラインレーザトランスミッタ110と、画像収集ユニット120と、制御ユニット130とを含む。
【0025】
第1ラインレーザトランスミッタ110は、自律移動機器のハウジングに設けられ、走行方向に対する斜め下に沿ってラインレーザを出射するものである。第1ラインレーザトランスミッタ110の数は1つ又は複数であり、本実施例は、第1ラインレーザセンサ110の数について限定しない。
【0026】
走行方向に対する斜め下の角度は、水平方向に対して15°、30°、45°などであってもよく、本実施例は走行方向に対する斜め下の角度の値について限定しない。
【0027】
画像収集ユニット120はラインレーザが物体によって反射された反射光を含む環境画像を収集するものである。1つの可能な実施形態では、画像収集ユニット120はカメラ、ビデオカメラなどであり、本実施例は画像収集ユニット120の機器のタイプについて限定しない。
【0028】
第1ラインレーザトランスミッタ110及び画像収集ユニット120は、それぞれ、制御ユニット130に通信可能に接続される。制御ユニット130は、第1ラインレーザトランスミッタ110及び画像収集ユニット120の作動タイミングを制御する。1つの可能な実施形態では、制御ユニット130は第1ラインレーザトランスミッタ110を制御して画像収集ユニット120よりも先に作動を開始させる。
【0029】
本願の実施例では、制御ユニット130は、また、画像収集ユニット120によって送信された環境画像を取得し、環境画像内の反射光の画素座標を用いて、ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定し、輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定するものである。
【0030】
1つの可能な実施形態では、輪郭情報は輪郭の形状及び位置を含む。
【0031】
1つの可能な実施形態では、自律移動機器には、第2ラインレーザトランスミッタ140が配置されており、第2ラインレーザトランスミッタ140は、第1ラインレーザトランスミッタ110から出射されるラインレーザと出射方向が異なる他のラインレーザを送信するものであり、環境画像は他のラインレーザが物体によって反射された反射光をさらに含む。このとき、他のラインレーザの反射光は自律移動機器による障害物の有無の決定を支援してもよい。
【0032】
本実施例に係る自律移動機器では、第1ラインレーザトランスミッタと画像収集ユニットとを組み合わせることによって環境画像を収集し、周囲光が少ない場合にも、画像収集ユニットはラインレーザの反射光の画像を収集することができ、したがって、周囲光が少ない場合にも障害物を認識できることを確保する。
【0033】
また、画像認識アルゴリズムを用いて障害物を認識する代わりに、ラインレーザの反射光の画素座標に従って物体の輪郭情報を抽出し、この輪郭情報に従って障害物を認識することにより、障害物の認識に要する機器リソースを節約することができる。
【0034】
図2は本願の一実施例に係る障害物認識方法のフローチャートである。本実施例では、該方法は
図1に示す自律移動機器に適用され、かつ各ステップの実行部は自律移動機器の制御ユニット130である場合を例として説明する。該方法は、少なくとも、ステップ201~ステップ203を含む。
ステップ201において、画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得する。
【0035】
環境画像は第1ラインレーザトランスミッタから出射されたラインレーザが物体によって反射された反射光を含む。
【0036】
1つの可能な実施形態では、自律移動機器には第2ラインレーザトランスミッタがさらに配置されており、第2ラインレーザトランスミッタは、ラインレーザと出射方向が異なる他のラインレーザを送信するものであり、環境画像は他のラインレーザが物体によって反射された反射光をさらに含む。このとき、環境画像は他のラインレーザが物体によって反射された反射光をさらに含む。
【0037】
ステップ202において、環境画像内の反射光の画素座標を用いて、ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定する。
【0038】
輪郭情報は、輪郭の形状及び位置を含むが、これらに限定されるものではない。
【0039】
自律移動機器の走行方向に障害物が存在しないとき、物体の輪郭情報は平坦且つ光滑であるものである。一方、走行方向に障害物が存在するとき、物体の輪郭情報は通常凹凸のあるものである。これに基づいて、自律移動機器は、輪郭情報によって走行方向に障害物が存在するか否かを決定することができる。
【0040】
1つの可能な実施形態では、自律移動機器は反射光の画素座標を繋いで、物体の輪郭情報を得る。
【0041】
ステップ203において、輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定する。
【0042】
1つの可能な実施形態では、自律移動機器は、輪郭情報中の輪郭形状をテンプレート形状と比較し、該輪郭形状がテンプレートの形状とマッチングすれば、輪郭情報によって示される輪郭は障害物輪郭であり、該輪郭形状がテンプレート形状とマッチングしなければ、輪郭情報によって示される輪郭は障害物輪郭ではない。
【0043】
ここで、テンプレート形状は、各種の障害物の輪郭形状、例えば、カーペットの輪郭形状、階段の輪郭形状やワードローブの輪郭形状などを含む。
【0044】
及び/又は、自律移動機器は、輪郭形状中の凸起の数を決定し、凸起の数が閾値よりも大きいとき、輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であると決定し、凸起の数が閾値以下であるとき、輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭ではないと決定する。
【0045】
もちろん、自律移動機器は、他の方式によって、輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるか否かを決定してもよく、本実施例は、ここで一々例示していない。
【0046】
1つの可能な実施形態では、ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定した後、自律移動機器はまた、輪郭情報に従って、障害物の地面に対する垂直方向距離を決定してもよい。
【0047】
一例では、輪郭情報に従って障害物の地面に対する垂直方向距離を決定するステップは、地面と第1ラインレーザトランスミッタとの間の第1垂直方向距離を取得するステップと、レーザー測距原理及び輪郭情報の画素座標に基づいて、ラインレーザの作用する物体と第1ラインレーザトランスミッタとの間の第2垂直方向距離を決定するステップと、第2垂直方向距離と第1垂直方向距離との間の差を垂直方向距離として決定するステップとを含む。
【0048】
制御ユニットはレーザー測距原理及び反射光の画素座標に基づいて第1ラインレーザトランスミッタと物体との間の距離を測定し、ラインレーザの出射角度は自律移動機器に予め記憶されており、このため、第1ラインレーザトランスミッタと物体との間の距離及び該出射角度に基づいて、物体と第1ラインレーザトランスミッタとの間の第2垂直方向距離を決定することができる。
【0049】
地面と第1ラインレーザトランスミッタとの間の第1垂直方向距離を取得するステップは、過去に収集された、ラインレーザの作用する物体の地面に対する垂直方向距離が予め設定された距離閾値以下である過去環境画像について、レーザー測距原理及び過去環境画像内の反射光の画素座標に基づいて、物体と第1ラインレーザトランスミッタとの間の垂直方向距離を決定し、第1垂直方向距離を得るステップを含む。ラインレーザの作用する物体の地面に対する垂直方向距離が予め設定された距離閾値以下であることから、過去環境画像内のラインレーザの作用する物体が障害物ではないことが示され、この場合、デフォルトではこの物体は地面である。
【0050】
1つの可能な実施形態では、ラインレーザの作用する物体と第1ラインレーザトランスミッタとの間の第2垂直方向距離を決定するステップは、レーザー測距原理及び環境画像内の反射光の画素座標に基づいて、ラインレーザの作用する物体と第1ラインレーザトランスミッタとの間の垂直方向距離及び最小垂直方向距離を決定するステップと、垂直方向距離と最小垂直方向距離との平均値を第2垂直方向距離として決定するステップとを含む。もちろん、第2垂直方向距離はこの垂直方向距離であってもよく、本実施例は、第2垂直方向距離を設定する方式について限定しない。
【0051】
ラインレーザが平坦な地面に放射されるとき、画像収集ユニットによってキャプチャされた画像から抽出された地面情報は、平坦かつ光滑であるものである。このとき、地面の第1ラインレーザトランスミッタに対する第1垂直方向距離H1を推定することができる。
【0052】
図3に示すように、ラインレーザがカーペットに照射されるとき、カーペットの縁部の特性により、抽出された地面情報はノイズを伴う不規則なデータである。この場合、カーペットの第1ラインレーザトランスミッタに対する第2垂直方向距離H2を推定することができる。カーペットが検出されると、自律移動機器の走行方向において検出された第1垂直方向距離H1から、カーペットの垂直方向距離(H2-H1)を推定することができる。
【0053】
自律移動機器が第2ラインレーザトランスミッタをさらに含む場合、
図3に示すように、第2ラインレーザトランスミッタから出射された他のラインレーザがカーペットに照射されるとき、カーペットの縁部の特性により、抽出された地面情報はノイズを伴う不規則なデータである。この場合、他のラインレーザがカーペットから出射された反射光は自律移動機器によるカーペットの垂直方向距離の決定を支援する。
【0054】
前記のように、本実施例に係る障害物認識方法では、自律移動機器には第1ラインレーザトランスミッタと画像収集ユニットが取り付けられ、第1ラインレーザトランスミッタは走行方向に対する斜め下に沿ってラインレーザを出射するものであり、画像収集ユニットはラインレーザが物体によって反射された反射光を含む環境画像を収集するものであり、画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得し、環境画像内の反射光の画素座標を用いて、ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定し、輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定し、これにより、周囲光により影響されやすく、結果として認識結果が不正確になるという従来の障害物認識方法の問題を解決し、第1ラインレーザトランスミッタと画像収集ユニットとを組み合わせることによって環境画像を収集するため、周囲光が少ない場合にも、画像収集ユニットはラインレーザの反射光の画像を収集することができ、したがって、周囲光が少ない場合にも障害物を認識できることを確保する。また、画像認識アルゴリズムを用いて障害物を認識する代わりに、ラインレーザの反射光の画素座標に従って物体輪郭情報を抽出し、この輪郭情報に従って障害物を認識することによって、障害物認識に要する機器リソースを節約することができる。
【0055】
1つの可能な実施形態では、ステップ203の後、自律移動機器は、障害物のタイプに基づいて障害物を回避又は乗り越える自律移動機器の作動戦略を決定してもよい。
【0056】
一例では、障害物がカーペットであり、かつカーペットの地面に対する垂直方向距離が第1閾値よりも大きく、第2閾値よりも小さい場合、障害物を乗り越えるために自律移動機器の作動戦略として加速走行を決定し、障害物がカーペットであり、かつカーペットの地面に対する垂直方向距離が第2閾値以上である場合、障害物を回避するために自律移動機器の作動戦略として運転方向変更を決定し、障害物が階段であり、階段が地下にあり、かつ地面に対する最大垂直方向距離が第3閾値よりも大きく、第4閾値よりも小さい場合、階段に対応する高さに降下するために自律移動機器の作動戦略として減速運転を決定し、障害物が階段であり、階段が地下にあり、かつ地面に対する最大垂直方向距離が第4閾値以上である場合、障害物を回避するために自律移動機器の作動戦略として運転方向変更を決定する。
【0057】
第2閾値は第1閾値よりも大きく、本実施例は、第1閾値及び第2閾値の値について限定しない。
【0058】
第4閾値は第3閾値よりも大きく、本実施例は、第3閾値及び第4閾値の値について限定しない。
【0059】
本実施例では、障害物の地面に対する垂直方向距離によってさまざまな作動戦略を取ることによって、自律移動機器が障害物に詰まったり高所から落下したりして、自律移動機器の耐用年数を損なうことを回避する。
【0060】
図4は本願の一実施例に係る障害物認識装置のブロック図であり、本実施例では、該装置が
図1に示す自律移動機器に適用される場合を例として説明する。該装置は、少なくとも、画像取得モジュール410と、輪郭決定モジュール420と、物体認識モジュール430とを含む。
【0061】
画像取得モジュール410は、前記画像収集ユニットによって送信された環境画像を取得し、
輪郭決定モジュール420は、前記環境画像内の反射光の画素座標を用いて、前記ラインレーザの作用する物体の輪郭情報を決定し、
物体認識モジュール430は、前記輪郭情報によって示される輪郭が障害物輪郭であるとき、前記ラインレーザの作用する物体が障害物であると決定する。
【0062】
関連詳細は上記方法の実施例を参照する。
【0063】
なお、上記実施例に係る障害物認識装置による障害物の認識に関しては、上記の各機能モジュールの区分は例示的に説明するものに過ぎず、実際の適用では、上記機能は必要に応じて異なる機能モジュールによって発揮されてもよく、即ち、障害物認識装置の内部構造は異なる機能モジュールに分割されて、上記した全部又は一部の機能を発揮する。また、上記実施例に係る障害物認識装置は、障害物認識方法の実施例と同一の構想であるので、具体的な実現過程については方法実施例に示されており、ここでは詳しく説明しない。
【0064】
図5は本願一実施例に係る障害物認識装置のブロック図であり、該装置は
図1に示す自律移動機器であってもよい。該装置は、少なくともプロセッサ501とメモリ502を含む。
【0065】
プロセッサ501は1つ又は複数の処理コア、例えば、4コアプロセッサ、8コアプロセッサなどを含んでもよい。プロセッサ501は、DSP(Digital Signal Processing、デジタル信号処理)、FPGA(Field-Programmable Gate Array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)、PLA(Programmable Logic Array、プログラマブルロジックアレイ)のうちの少なくとも1種のハードウェアの形態で実現されてもよい。プロセッサ501は、メインプロセッサとコプロセッサを含んでもよく、メインプロセッサはウェイクアップ状態でのデータを処理するためのプロセッサであり、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)とも呼ばれ、コプロセッサは、待機状態でのデータを処理する低電力プロセッサである。いくつかの実施例では、プロセッサ501はGPU(Graphics Processing Unit、画像プロセッサ)を統合してもよく、GPUはディスプレイに表示すべき内容のレンダリングや描画を行う。いくつかの実施例では、プロセッサ501はAI(Artificial Intelligence、人工知能)プロセッサをさらに含んでもよく、該AIプロセッサは機械学習に関連する計算操作を処理する。
【0066】
メモリ502は1つ又は複数のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含んでもよく、該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は非一時的なものであってもよい。メモリ502はまた、高速ランダムアクセスメモリ、及び不揮発性メモリ、例えば1つ又は複数の磁気ディスク記憶機器、フラッシュ記憶機器を含んでもよい。いくつかの実施例では、メモリ502の中の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は少なくとも1つの命令を記憶するものであり、この少なくとも1つの命令は、プロセッサ501によって実行されて、本願の方法実施例に係る障害物認識方法を実現する。
【0067】
いくつかの実施例では、障害物認識装置は、任意選択的に、周辺機器インターフェース及び少なくとも1つの周辺機器を含んでもよい。プロセッサ501、メモリ502及び周辺機器インターフェースは互いにバス又は信号線を介して接続されてもよい。各周辺機器はバス、信号線又は回路基板を介して周辺機器インターフェースに接続されてもよい。例示的には、周辺機器は、RF回路、画像収集ユニット、ラインレーザトランスミッタ、オーディオ回路や電源などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0068】
もちろん、障害物認識装置はより少ない又はより多いユニットを含んでもよく、本実施例はこれについて限定しない。
【0069】
1つの可能な実施形態では、本願の実施例はまた、プロセッサによってロードされて実行されて上記方法の実施例の障害物認識方法を実現するプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0070】
1つの可能な実施形態では、本願の実施例はまた、プロセッサによってロードされて実行されて上記方法の実施例の障害物認識方法を実現するプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含むコンピュータ製品を提供する。
【0071】
以上の前記実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせられてもよく、説明の便宜上、上記実施例の各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせには矛盾がない限り、本明細書に記載の範囲内であるとみなすべきである。
【0072】
以上の前記実施例は本願のいくつかの実施形態だけを示しており、その説明は具体的かつ詳細であるが、発明特許範囲を制限するものとして解釈すべきではない。なお、当業者であれば、本願の構想を逸脱することなく、いくつかの変形や改良を加えることもでき、これらは全て本願の特許範囲に属する。したがって、本願特許の範囲は添付の特許請求の範囲に準じるべきである。