(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】音響警告信号を伴う磁気共鳴イメージングシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 380
(21)【出願番号】P 2022560478
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2021058390
(87)【国際公開番号】W WO2021204614
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-08-25
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アムソー トーマス エリック
(72)【発明者】
【氏名】フーベルリンク‐マルク アンネリーケ
(72)【発明者】
【氏名】スミンク ユーケ
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-101296(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3524994(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0123657(US,A1)
【文献】米国特許第6407548(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01N 24/00 - 24/14
G01R 33/28 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングゾーンからイメージングk空間データを取得
する磁気共鳴イメージングシステムであって、前記磁気共鳴イメージングシステムは、
前記イメージングゾーン内に磁気勾配磁場を生成
する磁場勾配コイルシステムと、
少なくとも部分的に前記イメージングゾーン内に配置された
関連する対象者に警告信号を提供
する信号伝達システムと、
マシン実行可能命令を含むメモリであって、更に、磁気共鳴イメージングプロトコルに従って前記イメージングk空間データを取得するために前記磁気共鳴イメージングシステムを制御
するパルスシーケンスコマンドを含み、前記パルスシーケンスコマンドは、前記イメージングゾーン内に前記磁気勾配磁場を生成するために前記磁場勾配コイルシステムを制御
する勾配コイルパルスコマンドを含み、前記メモリは、更に、前記イメージングk空間データの取得のために前記磁気共鳴イメージングシステムを構成
するための複数の準備スキャンコマンドを含む、メモリと、
前記磁気共鳴イメージングシステムを制御
するプロセッサであって、前記マシン実行可能命令の実行により、前記プロセッサが、
前記複数の準備スキャンコマンドを固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドに分類し、
前記不確定持続期間準備スキャンコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御し、
前記不確定持続期間準備スキャンコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御した後に前記固定持続期間準備スキャンコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御し、
前記固定持続期間準備スキャンコマンドの完了及び前記勾配コイルパルスコマンドの開始を可能にするために遅延を含む勾配パルス開始時間を計算し、
前記勾配パルス開始時間の前の所定の時間に
、前記関連する対象者に前記警告信号を提供し、
前記勾配コイルパルスコマンドの実行の開始が前記
勾配パルス開始時間に生じるように前記
イメージングk空間データを取得するために前記パルスシーケンスコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御する、プロセッサと、を備える、磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項2】
前記固定持続期間準備スキャンコマンドが、無線周波数雑音較正を含む、請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項3】
前記不確定持続期間準備スキャンコマンドが、f0中心周波数決定
スキャン又は調査スキャン
のうちの少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項4】
前記固定持続期間準備スキャンコマンドが、B0
スキャン又はB1スキャン
のうちの少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項5】
前記不確定持続期間準備スキャンコマンドの少なくとも一部が、前記
関連する対象者に対象者の動き位相に依存する、請求項
1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項6】
前記不確定持続期間準備スキャンコマンドが、B0
スキャン又はB1スキャンのうちの
少なくとも1つを含む、請求項5に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項7】
前記遅延が、アイドル時間を含む、請求項
1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項8】
前記勾配コイルパルスコマンドの開始は、前記勾配コイルパルスコマンドが最初に所定のしきい値よりも高い勾配電流を指定するときとして決定される、請求項
1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項9】
前記信号伝達システムが、前記
関連する対象者に視覚的刺激を提供するための視覚的インジケータを含む、請求項
1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項10】
前記視覚的インジケータが、前記
関連する対象者に
、光強度変化、光色変化、カウントダウンタイマ、
又はアニメーションのうちの
少なくとも1つ
の視覚的刺激を提供する、請求項9に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項11】
前記信号伝達システムが、前記
関連する対象者に聴覚刺激を提供するためのオーディオ信号伝達システムを含む、請求項
1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項12】
前記オーディオ信号伝達システムが、前記
関連する対象者に
、自動化されたボーカル警告、聴覚カウントダウン、前記勾配パルス開始時間が近づくにつれて遅延が減少する一連のトーン、
又は前記勾配パルス開始時間が近づくにつれて音量が増大する聴覚
信号のうちの
少なくとも1つ
のオーディオ刺激を提供する、請求項11に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項13】
前記マシン実行可能命令の実行により、前記プロセッサが、前記イメージングk空間データから磁気共鳴イメージングデータを再構成する、請求項
1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項14】
磁気共鳴イメージングシステムの作動方法であって、前記磁気共鳴イメージングシステムが、イメージングゾーンからイメージングk空間データを取得
し、前記磁気共鳴イメージングシステムが、前記イメージングゾーン内に磁気勾配磁場を生成
する磁場勾配コイルシステムを含み、前記磁気共鳴イメージングシステムが、更に、少なくとも部分的に前記イメージングゾーン内に配置された対象者に警告信号を提供
する信号伝達システムを含み、前記磁気共鳴イメージングシステムが、磁気共鳴イメージングプロトコルに従って前記イメージングk空間データを取得するために前記磁気共鳴イメージングシステムを制御
するパルスシーケンスコマンドを含むメモリを含み、前記パルスシーケンスコマンドが、前記イメージングゾーン内に前記磁気勾配磁場を生成するために前記磁場勾配コイルシステムを制御
する勾配コイルパルスコマンドを含み、前記メモリが、更に、前記イメージングk空間データを取得
する前記磁気共鳴イメージングシステムを構成
するための複数の準備スキャンコマンドを含み、
前記方法が、
前記複数の準備スキャンコマンドを固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドに分類するステップと、
前記不確定持続期間準備スキャンコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御するステップと、
前記不確定持続期間準備スキャンコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御した後に前記固定持続期間準備スキャンコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御するステップと、
前記固定持続期間準備スキャンコマンドの完了及び前記勾配コイルパルスコマンドの開始を可能にするために遅延を含む勾配パルス開始時間を計算するステップと、
前記勾配パルス開始時間の前の所定の時間に
、前記関連する対象者に前記警告信号を提供するステップと、
前記勾配コイルパルスコマンドの実行の開始が前記
勾配パルス開始時間に生じるように前記
イメージングk空間データを取得するために前記パルスシーケンスコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御するステップとを含む、方法。
【請求項15】
非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたマシン実行可能命令を含むコンピュータプログラムであって、
前記マシン実行可能命令が、イメージングゾーンからイメージングk空間データを取得するために磁気共鳴イメージングシステムを制御し、前記磁気共鳴イメージングシステムが、前記イメージングゾーン内に磁気勾配磁場を生成
する磁場勾配コイルシステムを含み、前記磁気共鳴イメージングシステムが、少なくとも部分的に前記イメージングゾーン内に配置された対象者に警告信号を提供
する信号伝達システムを含み、前記コンピュータプログラムが、更に、磁気共鳴イメージングプロトコルに従って前記イメージングk空間データを取得するために前記磁気共鳴イメージングシステムを制御
するパルスシーケンスコマンドを含み、前記パルスシーケンスコマンドが、前記イメージングゾーン内に前記磁気勾配磁場を生成するために前記磁場勾配コイルシステムを制御
する勾配コイルパルスコマンドを含み、前記コンピュータプログラムが、更に、前記イメージングk空間データの取得のために前記磁気共鳴イメージングシステムを構成
するための複数の準備スキャンコマンドを含み、前記マシン実行可能命令の実行により、前記磁気共鳴イメージングシステムが、
前記複数の準備スキャンコマンドを固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドに分類し、
前記不確定持続期間準備スキャンコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御し、
前記不確定持続期間準備スキャンコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御した後に前記固定持続期間準備スキャンコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御し、
前記固定持続期間準備スキャンコマンドの完了及び前記勾配コイルパルスコマンドの開始を可能にするために遅延を含む勾配パルス開始時間を計算し、
前記勾配パルス開始時間の前の所定の時間に
、前記関連する対象者に前記警告信号を提供し、
前記勾配コイルパルスコマンドの実行の開始が前記
勾配パルス開始時間に生じるように前記
イメージングk空間データを取得するために前記パルスシーケンスコマンドによって前記磁気共鳴イメージングシステムを制御する、コンピュータプログラム。
【請求項16】
前記警告信号が、前記関連する対象者に視覚的刺激を提供するための視覚的インジケータを含む、請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項17】
視覚的インジケータが、前記関連する対象者に、光強度変化、光色変化、カウントダウンタイマ、又はアニメーションのうちの少なくとも1つの視覚的刺激を提供する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項18】
前記警告信号が、前記関連する対象者に聴覚刺激を提供するためのオーディオ信号伝達システムを含む、請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項19】
オーディオ信号伝達システムが、前記関連する対象者に、自動化されたボーカル警告、聴覚カウントダウン、前記勾配パルス開始時間が近づくにつれて遅延が減少する一連のトーン、又は前記勾配パルス開始時間が近づくにつれて音量が増大する聴覚信号のうちの少なくとも1つのオーディオ刺激を提供する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項20】
オーディオ信号又は視覚的信号のうちの少なくとも1つを介して、前記関連する対象者に前記警告信号を出力するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング、特に、前もって対象者に音響雑音を警告するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
大きな静磁場は、対象者の体内の画像を生成するための手順の一部として原子の核スピンを整列させるために磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナによって使用される。この大きな静磁場は、B0磁場又は主磁場と呼ばれる。空間符号化のために、磁場勾配コイルシステムが、時間に依存する勾配磁場をB0磁場に重ね合わせるために使用される。勾配磁場は、磁気勾配コイルに電流を供給することによって生成される。電流の変化は、磁気共鳴イメージング検査の間に大きな反復する可聴雑音を生じる可能性がある。
【0003】
国際公開第2015/044128号は、患者情報システムと、MRIスキャナなどのスキャニング装置において検査される患者に情報を提供するための関連する医療イメージングシステムとを開示している。一例において、システムは、外部領域のライブ画像、例えば、オペレータ領域におけるオペレータカメラによって撮影された画像又は待機領域における家族カメラによって撮影された画像を表示するためのディスプレイを備える。ディスプレイは、既にスキャンされた及び/又は更にスキャンされる必要がある身体領域の指示を示し、これにより、患者が進行中のスキャニング手順の進捗をモニタすることを可能にする。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、独立請求項において、磁気共鳴イメージングシステム、コンピュータプログラム及び方法を提供する。実施形態が従属請求項において与えられる。
【0005】
磁気共鳴イメージングシステムスキャンの開始時、勾配コイルシステムによって発生する大きな雑音が対象者を驚かせ、対象者の移動を生じる可能性がある。これは、結果として生じる磁気共鳴画像におけるアーティファクト及びぼやけにつながる可能性がある。これを低減又は排除することを助けるために、実施形態は、いつ大きな雑音が開始するかを対象者に警告するための警告信号を提供するシステムを提供する。しかしながら、これは容易なタスクではない。磁気共鳴イメージングスキャンが開始することができる前に、複数の準備スキャンコマンドが行われる。これらの準備スキャンコマンドは、例えば、磁気共鳴イメージングシステムの状態を決定し且つ取得を整列させるために使用される場合がある。どれだけ長く準備スキャンコマンドがかかるかに関してしばしば無制限である。したがって、対象者に警告信号を提供することは、磁気共鳴イメージングスキャンにおける遅延をもたらす。
【0006】
実施形態は、複数の準備スキャンコマンドを固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドに分類することによってこの遅れを低減又は排除する。次いで、磁気共鳴イメージングシステムは、最初に不確定持続期間準備スキャンコマンドを実行する。これにより、固定持続期間準備スキャンコマンドの実行の間でさえも、雑音が磁場勾配コイルシステムによって発生される前の予測可能な時間において、警告信号を提供することができる。
【0007】
1つの態様において、本発明は、イメージングゾーンからイメージングk空間データを取得するように構成された磁気共鳴イメージングシステムを提供する。磁気共鳴イメージングシステムにおいて、データはk空間において取得される。イメージングk空間データは、磁気共鳴イメージングシステムによって取得される特定のk空間データに対する参照である。磁気共鳴イメージングシステムは、イメージングゾーン内に磁気勾配磁場を生成するように構成された磁場勾配コイルシステムを備える。イメージングゾーンは、磁場が十分に一定であり且つ磁気共鳴イメージングを可能にするために十分に高い、磁石又は主磁石によって生成される磁場の領域である。磁場勾配コイルシステムは、k空間データの空間符号化を可能にするために勾配磁場を提供するために使用される。
【0008】
磁気共鳴イメージングシステムは、更に、少なくとも部分的にイメージングゾーン内に配置された対象者に警告信号を提供するように構成された信号伝達システムを備える。異なる例において、信号伝達システムは、異なるタイプの構成要素を備える場合がある。例えば、警告信号は、幾つかの例において視覚的及び/又はオーディオ信号を含む場合がある。k空間データが取得されるときに対象者が少なくとも部分的にイメージングゾーン内に配置されるので、k空間データは、イメージングゾーン内の対象者のその部分を記述する。磁気共鳴イメージングシステムは、更に、磁気共鳴イメージングシステムを制御するように構成されたプロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を含むメモリを備える。
【0009】
メモリは、更に、磁気共鳴イメージングプロトコルに従ってイメージングk空間データを取得するために磁気共鳴イメージングシステムを制御するように構成されたパルスシーケンスコマンドを含む。磁気共鳴イメージングプロトコルは、磁気共鳴イメージを取得し、次いで、再構成するために使用される様々な磁気共鳴イメージングプロトコルのうちの何れか1つである。パルスシーケンスコマンドは、イメージングゾーン内に磁気勾配磁場を生成するために磁場勾配コイルシステムを制御するように構成された勾配コイルパルスコマンドを含む。磁気勾配磁場を生成するための時間に依存する電流の適用は、磁気共鳴イメージングシステム内の主要な雑音源である。したがって、勾配コイルパルスコマンドは、イメージングk空間データの取得の間に磁気共鳴イメージングシステムによって発生される可聴雑音に関連している。
【0010】
メモリは、更に、イメージングk空間データの取得のために磁気共鳴イメージングシステムを構成するための複数の準備スキャンコマンドを含む。
【0011】
特定の対象者又はイメージングk空間データの取得のための複数の準備スキャンコマンドは、磁気共鳴イメージングシステムの現在の状態及び磁気共鳴イメージングプロトコルのタイプに応じて変化する。典型的には、複数の準備スキャンコマンドは、磁気共鳴イメージングシステムの状態を確認するために及び/又は磁気共鳴イメージングシステムを構成するために次いで使用されるデータを取得するために使用される。
【0012】
磁気共鳴イメージングシステムは、更に、磁気共鳴イメージングシステムを制御するように構成されたプロセッサを含む。マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、複数の準備スキャンコマンドを固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドに分類する。固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドの例は、以下の説明において及び明細書全体を通じて与えられる。
【0013】
概して、固定持続期間準備スキャンコマンドは、固定された長さの時間を必要とする準備スキャンコマンドである。したがって、固定持続期間準備スキャンコマンドを実行するためにどれだけ長くかかるかを正確に予測することができる。不確定持続期間準備スキャンコマンドは、反復性質の準備スキャンコマンドであり、したがって、実行するためにどれだけ長くかかるかが不確定又は未知である。幾つかの場合、不確定持続期間準備スキャンコマンドは、他の測定又は準備スキャンコマンドが行われるまで不確定である場合がある。幾つかの例において、不確定持続期間準備スキャンコマンドであるスキャンコマンドは、磁気共鳴イメージングデータを取得するための準備が進行するとき、固定持続期間準備スキャンコマンドに移動又は移行させられる。したがって、それらは、実際には、2回以上又は反復して分類される。
【0014】
マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、不確定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御する。この段階の間、磁気共鳴イメージングシステムは、それらを完了するためにどれぐらい長くかかるかが分からない準備スキャンコマンドを調査し、実行する。マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、不確定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御した後、固定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御する。
【0015】
言い換えれば、既知の持続期間によるものの前に、不確定持続期間のものが行われるように、準備スキャンコマンドのための順序が存在する。これは、不確定持続期間準備スキャンコマンドが完了すると、次いで、いつ固定持続期間準備スキャンコマンドが完了するかが非常に予測可能となるという利点を有する。これにより、例えば、高い精度で、磁場勾配コイルシステムに電流を加えることによっていつ磁気共鳴イメージングシステムが雑音を発生し始めるかを予測することができる。したがって、これは、いつ可聴雑音が発生されるかを高い精度で予測することができる。
【0016】
マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、固定持続期間準備スキャンコマンドの完了及び勾配コイルパルスコマンドの開始を可能にするために遅延を含む勾配パルス開始時間を計算する。次いで、勾配パルス開始時間は、磁気共鳴イメージングシステムが、磁場勾配コイルシステムによる磁気勾配磁場の生成による可聴雑音を発生し始める時間と等しい。マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、勾配パルス開始時間の前の所定の時間において信号を提供する。
【0017】
次いで、警告信号は、雑音が生じる前に、雑音が磁気共鳴イメージングシステムによって発生され始めるという警告を対象者に提供するために使用される。マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、勾配コイルパルスコマンドの実行の開始がパルス開始時間において生じるように、k空間データを取得するためにパルスシーケンスコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御する。これは、磁気共鳴イメージングシステムにおいてイメージングされている対象者がより良く準備するための手段を提供する。問題は、勾配パルスによって発生される大きな雑音が対象者を驚かせ又は移動させ、これは、したがって、アーティファクトを生じさせる又は磁気共鳴画像の質を低下させる。実施形態は、可聴雑音が勾配コイルシステムによって生じるという警告の手段として対象者に警告信号を極めて正確に提供することができるという利点を有する。
【0018】
別の実施形態において、固定持続期間準備スキャンコマンドは、無線周波数雑音較正を含む。典型的には、磁気共鳴イメージングシステムは、k空間データの取得中に使用される送信機、受信機又はトランシーバを備える。RF雑音較正の間、システムの雑音が測定される。しかしながら、これは、典型的には、予測可能な長さの時間がかかるように行われる。次いで、無線周波数雑音較正は、固定持続期間準備スキャンコマンドの一部として決定することができる。
【0019】
別の実施形態において、不確定持続期間準備スキャンコマンドは、F0中心周波数決定スキャンを含む。
【0020】
別の実施形態において、不確定持続期間準備スキャンコマンドは、調査スキャンを含む。特に、調査スキャンがカバーする領域は変化し、また、調査スキャンは2回以上行われる。したがって、どれぐらい長く調査スキャンがかかるかを予測することは極めて困難である。
【0021】
別の実施形態において、固定持続期間準備スキャンは、B0スキャンを含む。多くの例において、B0スキャンは、調査スキャンの後に行われる。調査スキャンが行われる前に、どれぐらい長くB0スキャンがかかるかは未知である。調査スキャンが行われた後、B0スキャンは、不確定な持続期間から固定持続期間準備スキャンコマンドへ移動させられる。
【0022】
別の実施形態において、固定持続期間準備スキャンコマンドは、B1スキャンを含む。B0スキャンの場合のように、B1スキャンの持続期間は、関心領域又はスキャンのジオメトリが特定される後まで未知である。これは、典型的には、調査スキャンが行われた後である。
【0023】
別の実施形態において、不確定持続期間準備スキャンコマンドの少なくとも一部は、対象者の動き位相に依存する。例えば、動き位相は、心位相、呼吸位相又はそれらの組み合わせである。スキャンは、対象者の動き位相に依存するので、行うのにどれぐらい長くかかるかを予測することは困難である。
【0024】
別の実施形態において、動き位相は、以下のうちの何れか1つである:心位相、呼吸位相及びそれらの組み合わせ。
【0025】
別の実施形態において、不確定持続期間準備スキャンコマンドは、B0スキャン及び/又はB1スキャンを含む。これは、特に、B0スキャン及びB1スキャンが対象者の特定の動き位相のために行われるときである。
【0026】
これは、幾つかの例においてどのように準備スキャンコマンドが不確定持続期間であるのに対し、他のプロトコルにおいて固定持続期間準備スキャンコマンドであるかの例である。
【0027】
別の実施形態において、不確定持続期間準備スキャンコマンドの実行は、第1の構成データを提供する。固定持続期間準備スキャンコマンドの実行は、第2の構成データを提供する。第1の構成データ及び第2の構成データは、例えば、それぞれ不確定持続期間準備スキャンコマンド及び固定持続期間準備スキャンコマンドによって行われる測定から導き出される。マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、第1の構成データの少なくとも一部及び第2の構成データの少なくとも一部によってパルスシーケンスコマンドを調節することによって磁気共鳴イメージングシステムを構成する。したがって、測定値は、イメージングk空間データの取得を構成するために使用される。
【0028】
別の実施形態において、遅延は、アイドル時間を含む。対象者が、勾配コイルシステムによる聴覚雑音の前に十分な警告を与えられることを保証するために、アイドル時間を含むことが有益である。これは、固定持続期間準備スキャンコマンドの数が小さすぎる場合にバッファとしても使用される。
【0029】
別の実施形態において、アイドル時間は、不確定持続期間準備スキャンコマンドの実行中にオンザフライで調節される。警告信号を次いで対象者に対して効率的な形式で行う又は提供することができるので、これは有益である。
【0030】
別の実施形態において、固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドへの複数の準備スキャンコマンドの分類は、不確定持続期間準備スキャンコマンドの実行中に調節される。不確定持続期間準備スキャンコマンドが行われるとき、幾つかの他の準備スキャンコマンドの持続期間は知られるようになる。前に与えられた例は、スキャンジオメトリを知っており、したがって、これを使用して、B0及びB1測定の持続期間を決定する。
【0031】
別の実施形態において、勾配コイルパルスコマンドの開始は、勾配コイルパルスコマンドが最初に所定のしきい値よりも高い勾配電流を指定するときに決定される。磁気共鳴イメージングプロトコルの間、勾配コイルに供給される電流は、時間に関して変化する。勾配パルスの振幅が大きくなるほど、音響雑音は大きくなる。しきい値を使用することによって、警告信号を提供するときに関する聴覚レベルを選択することが可能である。
【0032】
別の実施形態において、信号伝達システムは、対象者に視覚的刺激を提供するように構成された視覚的インジケータを備える。視覚的インジケータは、異なる例において異なる形式を取る。1つの例において、視覚的インジケータはスクリーンである。その他の例において、その他の種類のディスプレイが提供される。視覚的インジケータの使用は有益である。なぜならば、準備スキャンコマンドの間、可聴雑音が存在するからである。準備スキャンコマンドの間に発生する雑音は、視覚的インジケータを妨げない。
【0033】
別の実施形態において、視覚的インジケータは、警告信号として光強度変化を提供するように構成される。これは、例えば、急激に又は徐々に適用される。
【0034】
別の実施形態において、視覚的インジケータは、対象者に光色変化の視覚的刺激を提供するように構成される。これも、対象者に警告するための急激な変化又は徐々の変化である。
【0035】
別の実施形態において、視覚的インジケータは、対象者にカウントダウンタイマを提供するように構成される。カウントダウンタイマは、大きな音響雑音の開始を極めて正確に表示するために使用される。これにより、対象者は、より大きな雑音に対して準備することができる。
【0036】
別の実施形態において、視覚的インジケータは、対象者に視覚的刺激としてのアニメーションを提供するように構成される。例えば、対象者にリラックスする警告信号を提供するものとして、開花する花又は何かの動きが有効である。
【0037】
別の実施形態において、信号伝達システムは、対象者に聴覚刺激を提供するように構成されたオーディオ信号伝達システムを備える。幾つかの例において、聴覚刺激は、対象者が大きな雑音に対して準備する際にも有益である。例えば、自動化されたカウントダウンタイマ又は警告が対象者に提供される。その他の例において、勾配コイルシステムが従事させられるとき聴覚雑音の変化を低減するために振幅が増大されるバックグラウンド雑音が存在する。
【0038】
別の実施形態において、オーディオ信号伝達システムは、対象者に警告信号の少なくとも一部として後続のオーディオ刺激を提供するように構成される。1つの例において、これは、自動化されたボーカル警告である。別の例において、これは、聴覚カウントダウンである。別の実施形態において、勾配パルス開始時間が近づくにつれて遅延が減少する一連のトーンである。これは、例えば、自動車ドライバが後退するときに障害物を警告するために多くの自動車において使用されるシステムに類似する。これは、何かが近づいているときに指示するために極めて効率的である。可能なオーディオ刺激の別の例は、勾配パルス開始時間が近づくにつれて音量が増大する聴覚信号である。例えば、聴覚信号は、勾配コイルと等しいレベルまで増強させることができ、次いで、勾配コイルが雑音を発生し始めると突然停止させられることができる。したがって、これは、対象者が聞く雑音の音量の急激な移行が全く存在しないことを意味する。これは、例えば、対象者が驚いて移動し、磁気共鳴イメージング手順又はプロトコルを駄目にすることを防止する。
【0039】
別の実施形態において、マシン実行可能命令の実行により、プロセッサは、イメージングk空間データから磁気共鳴イメージングデータを再構成する。
【0040】
別の態様において、本発明は、磁気共鳴イメージングシステムを作動させる方法を提供する。磁気共鳴イメージングシステムは、イメージングゾーンからイメージングk空間データを取得するように構成されている。磁気共鳴イメージングシステムは、イメージングゾーン内に磁気勾配磁場を生成するように構成された磁場勾配コイルシステムを備える。磁気共鳴イメージングシステムは、更に、少なくとも部分的にイメージングゾーン内に配置された対象者に警告信号を提供するように構成された信号伝達システムを備える。
【0041】
磁気共鳴イメージングシステムは、磁気共鳴イメージングプロトコルに従ってイメージングk空間データを取得するために磁気共鳴イメージングシステムを制御するように構成されたパルスシーケンスコマンドを含むメモリを備える。パルスシーケンスコマンドは、イメージングゾーン内に磁気勾配磁場を生成するために磁場勾配コイルシステムを制御するように構成された勾配コイルパルスコマンドを含む。メモリは、更に、イメージングk空間データの取得のために磁気共鳴イメージングシステムを構成するための複数の準備スキャンコマンドを含む。
【0042】
本方法は、複数の準備スキャンコマンドを固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドに分類するステップを有する。本方法は更に、不確定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御するステップを有する。本方法は更に不確定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御した後に固定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御するステップを有する。本方法は更に、固定持続期間準備スキャンコマンドの完了及び勾配コイルパルスコマンドの開始を可能にするために遅延を含む勾配パルス開始時間を計算するステップを有する。本方法は更に、勾配パルス開始時間の前の所定の時間に信号を提供するステップを有する。本方法は更に、勾配コイルパルスコマンドの実行の開始がパルス開始時間に生じるようにk空間データを取得するためにパルスシーケンスコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御するステップを有する。
【0043】
別の態様において、本発明は、イメージングゾーンからイメージングk空間データを取得するために磁気共鳴イメージングシステムを制御するためのマシン実行可能命令を含むコンピュータプログラムを提供する。磁気共鳴イメージングシステムは、イメージングゾーン内に磁気勾配磁場を生成するように構成された磁場勾配コイルシステムを備える。磁気共鳴イメージングシステムは、少なくとも部分的にイメージングゾーン内に配置された対象者に警告信号を提供するように構成された信号伝達システムを備える。
【0044】
コンピュータプログラムは、更に、磁気共鳴イメージングプロトコルに従ってイメージングk空間データを取得するために磁気共鳴イメージングシステムを制御するように構成されたパルスシーケンスコマンドを含む。パルスシーケンスコマンドは、イメージングゾーン内に磁気勾配磁場を生成するために磁場勾配コイルシステムを制御するように構成された勾配コイルパルスコマンドを含む。コンピュータプログラムは、更に、イメージングk空間データの取得のために磁気共鳴イメージングシステムを構成するための複数の準備スキャンコマンドを含む。
【0045】
マシン実行可能命令の実行により、プロセッサは、複数の準備スキャンコマンドを固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドに分類する。マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、不確定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御する。
【0046】
マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、不確定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御した後に固定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御する。マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、固定持続期間準備スキャンコマンドの完了及び勾配コイルパルスコマンドの開始を可能にするために遅延を含む勾配パルス開始時間を計算する。マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、勾配パルス開始時間の前の所定の時間に信号伝達システムを使用して信号を提供する。マシン実行可能命令の実行により、更に、プロセッサは、勾配コイルパルスコマンドの実行の開始がパルス開始時間に生じるようにk空間データを取得するためにパルスシーケンスコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御する。
【0047】
本発明の上述の実施形態のうちの1つ又は複数は、組み合わせられた実施形態が相互排他的でない限り、組み合わせられることを理解されたい。
【0048】
当業者には理解されるように、本発明の態様は、装置、方法又はコンピュータプログラムプロダクトとして具体化され得る。したがって、本発明の態様は、全面的にハードウェア実施形態、全面的にソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)又は本明細書において全て一般的に「回路」、「モジュール」若しくは「システム」と称され得るソフトウェア及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態をとり得る。更に、本発明の態様は、コンピュータ可読媒体上で具現化されたコンピュータ実行可能コードを有する1つ又は複数のコンピュータ可読媒体において具体化されたコンピュータプログラムプロダクトの形態をとり得る。コンピュータプログラムは、コンピュータ実行可能コード又は「プログラム命令」を含む。
【0049】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが利用されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読ストレージ媒体でもよい。本明細書で使用される「コンピュータ可読ストレージ媒体」は、コンピューティングデバイスのプロセッサによって実行可能な命令を保存することができる任意の有形ストレージ媒体を包含する。コンピュータ可読ストレージ媒体は、コンピュータ可読非一時的ストレージ媒体と称される場合もある。コンピュータ可読ストレージ媒体はまた、有形コンピュータ可読媒体と称される場合もある。一部の実施形態では、コンピュータ可読ストレージ媒体はまた、コンピューティングデバイスのプロセッサによってアクセスされることが可能なデータを保存可能であってもよい。コンピュータ可読ストレージ媒体の例は、フロッピーディスク、磁気ハードディスクドライブ、半導体ハードディスク、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、光ディスク、磁気光学ディスク、及びプロセッサのレジスタファイルを含むが、これらに限定されない。光ディスクの例は、例えば、CD-ROM、CD-RW、CD-R、DVD-ROM、DVD-RW、又はDVD-Rディスクといったコンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD)を含む。コンピュータ可読ストレージ媒体という用語は、ネットワーク又は通信リンクを介してコンピュータデバイスによってアクセスされることが可能な様々な種類の記録媒体も指す。例えば、データは、モデムによって、インターネットによって、又はローカルエリアネットワークによって読み出されてもよい。コンピュータ可読媒体上で具現化されたコンピュータ実行可能コードは、限定されることはないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等を含む任意の適切な媒体、又は上記の任意の適切な組み合わせを用いて送信されてもよい。コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンドにおいて又は搬送波の一部として内部で具体化されたコンピュータ実行可能コードを備えた伝搬データ信号を含んでもよい。このような伝搬信号は、限定されることはないが電磁気、光学的、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含む様々な形態の何れかをとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読ストレージ媒体ではない及び命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって又はそれと関連して使用するためのプログラムを通信、伝搬、若しくは輸送できる任意のコンピュータ可読媒体でもよい。
【0050】
「コンピュータメモリ」又は「メモリ」は、コンピュータ可読ストレージ媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサに直接アクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータストレージ」又は「ストレージ」は、コンピュータ可読ストレージ媒体の更なる一例である。コンピュータストレージは、任意の不揮発性コンピュータ可読ストレージ媒体である。一部の実施形態において、コンピュータストレージはコンピュータメモリであってもよく、又はその逆であってもよい。
【0051】
本明細書で使用される「プロセッサ」は、プログラム、マシン実行可能命令、又はコンピュータ実行可能コードを実行可能な電子コンポーネントを包含する。「プロセッサ」を含むコンピューティングデバイスへの言及は、場合により、2つ以上のプロセッサ又は処理コアを含むと解釈されるべきである。プロセッサは、例えば、マルチコアプロセッサである。プロセッサは、また、単一のコンピュータシステム内の、又は複数のコンピュータシステムの中へ分配されたプロセッサの集合体も指す。コンピュータデバイスとの用語は、各々が1つ又は複数のプロセッサを有するコンピュータデバイスの集合体又はネットワークを指してもよいと理解されるべきである。コンピュータ実行可能コードは、同一のコンピュータデバイス内の、又は複数のコンピュータデバイス間に分配された複数のプロセッサによって実行される。
【0052】
コンピュータ実行可能コードは、本発明の態様をプロセッサに行わせるマシン実行可能命令又はプログラムを含んでもよい。本発明の態様に関する動作を実施するためのコンピュータ実行可能コードは、Java(登録商標)、Smalltalk(登録商標)、又はC++等のオブジェクト指向プログラミング言語及びCプログラミング言語又は類似のプログラミング言語等の従来の手続きプログラミング言語を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい及びマシン実行可能命令にコンパイルされてもよい。場合によっては、コンピュータ実行可能コードは、高水準言語の形態又は事前コンパイル形態でもよい及び臨機応変にマシン実行可能命令を生成するインタプリタと共に使用されてもよい。
【0053】
コンピュータ実行可能コードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアローンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で及び部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行することができる。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを通してユーザのコンピュータに接続されてもよい、又はこの接続は外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネットを通して)行われてもよい。
【0054】
一般的に、プログラム命令は1つのプロセッサ又は幾つかのプロセッサにおいて実行することができる。幾つかのプロセッサの場合、プログラム命令は、クライアント、サーバなどの複数の異なるエンティティに分配することができる。各プロセッサは、当該エンティティのために意図された命令の一部を実行することができる。したがって、複数のエンティティに関与するシステム又はプロセスを参照する場合、コンピュータプログラム又はプログラム命令は、それぞれのエンティティに関連付けられた又は関連したプロセッサによって実行されるように適合されると理解される。
【0055】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラムプロダクトのフローチャート、図及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート、図、及び/又はブロック図の各ブロック又は複数のブロックの一部は、適用できる場合、コンピュータ実行可能コードの形態のコンピュータプログラム命令によって実施され得ることが理解されよう。相互排他的でなければ、異なるフローチャート、図、及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせが組み合わせられてもよいことが更に理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/行為を実施するための手段を生じさせるようにマシンを作るために、汎用コンピュータ、特定用途コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサへと提供されてもよい。
【0056】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に保存された命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/行為を実施する命令を含む製品を作るように、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスにある特定の方法で機能するように命令することができるコンピュータ可読媒体に保存されてもよい。
【0057】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行する命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/行為を実施するためのプロセスを提供するように、一連の動作ステップがコンピュータ、他のプログラム可能装置又は他のデバイス上で行われるようにすることにより、コンピュータ実施プロセスを生じさせるために、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上にロードされてもよい。
【0058】
本明細書で使用される「ユーザインタフェース」は、ユーザ又はオペレータがコンピュータ又はコンピュータシステムとインタラクトすることを可能にするインタフェースである。「ユーザインタフェース」は、「ヒューマンインタフェースデバイス」と称される場合もある。ユーザインタフェースは、情報若しくはデータをオペレータに提供することができる及び/又は情報若しくはデータをオペレータから受信することができる。ユーザインタフェースは、オペレータからの入力がコンピュータによって受信されることを可能にしてもよい及びコンピュータからユーザへ出力を提供してもよい。つまり、ユーザインタフェースはオペレータがコンピュータを制御する又は操作することを可能にしてもよい、及びインタフェースはコンピュータがオペレータの制御又は操作の結果を示すことを可能にしてもよい。ディスプレイ又はグラフィカルユーザインタフェース上のデータ又は情報の表示は、情報をオペレータに提供する一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、指示棒、グラフィックタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブコム、ヘッドセット、ペダル、有線グローブ、リモコン、及び加速度計を介したデータの受信は、オペレータから情報又はデータの受信を可能にするユーザインタフェース要素の全例である。
【0059】
本明細書で使用される「ハードウェアインタフェース」は、コンピュータシステムのプロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置とインタラクトする及び/又はそれを制御することを可能にするインタフェースを包含する。ハードウェアインタフェースは、プロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置へ制御信号又は命令を送ることを可能にしてもよい。ハードウェアインタフェースはまた、プロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置とデータを交換することを可能にしてもよい。ハードウェアインタフェースの例は、ユニバーサルシリアルバス、IEEE1394ポート、パラレルポート、IEEE1284ポート、シリアルポート、RS-232ポート、IEEE488ポート、ブルートゥース(登録商標)接続、無線LAN接続、TCP/IP接続、イーサネット(登録商標)接続、制御電圧インタフェース、MIDIインタフェース、アナログ入力インタフェース、及びデジタル入力インタフェースを含むが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用される「ディスプレイ」又は「ディスプレイデバイス」は、画像又はデータを表示するために構成された出力デバイス又はユーザインタフェースを包含する。ディスプレイは、視覚、音声、及び/又は触覚データを出力してもよい。ディスプレイの例は、コンピュータモニタ、テレビスクリーン、タッチスクリーン、触覚電子ディスプレイ、点字スクリーン、陰極線管(CRT)、蓄積管、双安定ディスプレイ、電子ペーパー、ベクターディスプレイ、平面パネルディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ(VF)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネッセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プロジェクタ、及びヘッドマウントディスプレイを含むが、これらに限定されない。
【0061】
k空間データは、本明細書では、磁気共鳴イメージングスキャンの間に磁気共鳴装置のアンテナを使用して原子スピンによって放出される無線周波数信号の記録された測定であると定義される。磁気共鳴データは、医療画像データの例である。磁気共鳴イメージング(MRI)画像又はMR画像は、本明細書では、k空間データ内に含まれた解剖学的データの再構成された二次元又は三次元の視覚化であると定義される。この視覚化は、コンピュータを使用して行うことができる。
【0062】
以下において、本発明の好適な実施形態が、単なる例として次の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】磁気共鳴イメージングシステムの一例を示す図である。
【
図2】
図1の磁気共鳴イメージングシステムを作動させる方法を示すフローチャートである。
【
図5】警告信号のタイミングを示すタイミング図である。
【
図6】警告信号のタイミングを示す更なるタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図において似通った参照番号を付された要素は、等価な要素であるか、同じ機能を実行するかの何れかである。先に考察された要素は、機能が等価である場合は、後の図においては必ずしも考察されない。
【0065】
図1は、磁気共鳴イメージングシステム100の一例を示す。磁気共鳴イメージングシステムは、磁石102を備える。磁石102は、例えば、超電導磁石である。代替的に、磁石102は、抵抗タイプ磁石である。
【0066】
異なるタイプの磁石の使用も可能である。例えば、分割円筒磁石及びいわゆる開放磁石の両方を使用することが可能である。分割円筒磁石は、磁石のアイソプレーンへのアクセスを可能にするためにクライオスタットが2つのセクションに分割されている点を除き、分割円筒磁石は標準的な円筒磁石と類似であり、このような磁石は、例えば、荷電粒子ビーム治療と共に使用される。開放磁石は、2つの磁石セクションを有し、これらの磁石セクションは、対象者を収容するために十分に大きな空間をそれらの間に有するように互いに上下に位置している。2つのセクションの配列は、ヘルムホルツコイルのものに類似している。開放磁石は、対象者がより閉じ込められないので、人気がある。円筒磁石のクライオスタット内に、超電導コイルの集合体が設けられている。円筒磁石102のボア106内にイメージングゾーン108が設けられており、このイメージングゾーン108において、磁場は、磁気共鳴イメージングを行うために十分に強く且つ均一である。関心領域109が、イメージングゾーン108内に示されている。対象者118は、対象者118の少なくとも一部がイメージングゾーン108及び関心領域109内に位置するように、対象者支持台120によって支持されて示されている。
【0067】
磁石のボア106内には、磁石104のイメージングゾーン108内で磁気スピンを空間的に符号化するために、予備的磁気共鳴データの取得のために使用される磁場勾配コイル110のセットもある。磁場勾配コイル110は、磁場勾配コイル電源112に接続される。磁場勾配コイル110は代表的なものであることが意図される。一般的に、磁場勾配コイル110は、3つの直交空間方向で空間的に符号化するためのコイルの3つの別個のセットを含む。磁場勾配電源は、電流を磁場勾配コイルに供給する。磁場勾配コイル110に供給される電流は、時間の関数として制御され、傾斜化されるか又はパルス化される。
【0068】
イメージングゾーン108に隣接するのは、同じくイメージングゾーン108内のスピンから無線伝送を受信するための無線周波数コイル114である。幾つかの例において、無線周波数コイルはまた、イメージングゾーン108内の磁気スピンの配向を操作するために構成される。無線周波数アンテナは、複数のコイル素子を含む。無線周波数アンテナは、チャネル又はアンテナとも呼ばれる。無線周波数コイル114は、無線周波数受信機又はトランシーバ116に接続される。無線周波数コイル114及び無線周波数トランシーバ116は、選択的に、別個の送信及び受信コイル並びに別個の送信機及び受信機と置き換えられる。無線周波数コイル114及び無線周波数トランシーバ116は代表的なものであることを理解されたい。無線周波数コイル114は、専用送信アンテナ及び専用受信アンテナをも表すことができる。同様に、トランシーバ116は、別個の送信機及び受信機をも表す。無線周波数コイル114は、複数の受信/送信コイル素子をも有し、無線周波数トランシーバ116は、複数の受信/送信チャネルを有する。例えば、SENSEなどの並列イメージング技術が行われる場合、無線周波数コイル114は、複数のコイル素子を有する。
【0069】
磁気共鳴イメージングシステム100は、信号伝達システムを備えるものとして示されている。信号伝達システム122は、警告信号を提供するために使用される。信号伝達システム122は、スクリーン又はディスプレイ124及びヘッドフォン125のセットを備えるように示されている。スクリーン124は、例えば、対象者118に照明の変化を提供するため又はイメージ若しくはメッセージを提供するために使用される。ヘッドフォン125は、対象者118に警告するためにカウントダウン又は更には増大する雑音レベルなどの聴覚警告を提供するために使用することができる。全ての実施形態において、スクリーン又は必ずしも更にはヘッドフォン125が必要であるわけではない。スクリーン124及びヘッドフォン125は、磁気共鳴イメージング適合性技術を使用して構成される。例えば、既存のスクリーン124及び照明システムを、磁石102のボア106及びヘッドフォン125を提供するためのシステム内で使用することができる。例えば、ヘッドフォン125に雑音を提供するために、強制空気が使用される。
【0070】
トランシーバ116、勾配コントローラ112及び信号伝達システム122は、コンピュータシステム126のハードウェアインタフェース128に接続されるものとして示されている。コンピュータシステムは、更に、ハードウェアシステム128と通信しているプロセッサ130と、メモリ134と、ユーザインタフェース132とを備える。メモリ134は、プロセッサ130にとってアクセス可能なメモリのあらゆる組み合わせである。これは、フラッシュRAM、ハードドライブ、又は他のストレージデバイスなど、メインメモリ、キャッシュメモリ、更には不揮発性メモリなどのようなものを含む。幾つかの例において、メモリ130は、非一時的コンピュータ可読媒体である。
【0071】
メモリは、マシン実行可能命令を含むものとして示されている。マシン実行可能命令140は、プロセッサ130が磁気共鳴イメージングシステム100を制御するための手段を提供する。マシン実行可能命令140は、プロセッサ130が様々なデータ分析及び画像再構成タスクを行うことも可能にする。メモリ134は、更に、複数の準備スキャンコマンド142を含むように示されている。メモリ134は、したがって、固定持続期間準備スキャンコマンド144及び不確定持続期間準備スキャンコマンド146を含むように示されている。スキャンコマンド144及び146は、複数の準備スキャンコマンド142から分類された。
【0072】
メモリ134は、選択的に第1の構成データ148及び第2の構成データ150を含むように示されている。第1の構成データ148は、固定持続期間準備スキャンコマンド144の実行の間に取得された又は導き出されたデータである。第2の構成データは、不確定持続期間準備スキャンコマンド146の実行の間に導き出された又は取得されたデータである。幾つかの例において、これは、パルスシーケンスコマンド152を構成するために使用される。パルスシーケンスコマンド152もメモリ134に記憶されて示されている。パルスシーケンスコマンドは、k空間データを取得するために磁気共鳴イメージングシステムを制御するために使用されるこのようなコマンドに変換されるコマンド又はデータである。メモリ134は、パルスシーケンスコマンド152によって磁気共鳴イメージングシステムを制御することによって取得されたイメージングk空間データを含むものとして示されている。メモリ158は、更に、イメージングk空間データ156から再構成された磁気共鳴イメージングデータ158を含むものとして示されている。イメージングk空間データ156は、例えば、関心領域109のために取得される。
【0073】
パルスシーケンスコマンド152は、勾配コイルパルスコマンド154を含む。勾配コイルパルスコマンド154は、磁場勾配コイル110に電流を提供するために、制御された磁場勾配コイル電源を制御するこのようなコマンドに変換されるコマンド又はデータである。これが生じると、磁石102のボア106において大きな聴覚雑音を発生させる。メモリ134は、更に、勾配パルス開始時間160及び所定の時間162を含むように示されている。勾配パルス開始時間160は、勾配コイルパルスコマンド154の実行が開始される時間である。これは、基本的に、大きな雑音が磁石102のボア106において発生されることが開始するときである。勾配パルス開始時間160がいつかを知ることにより、警告信号を所定の時間162に提供することができる。
【0074】
図2は、
図1の磁気共鳴イメージングシステム100を作動させる方法を示すフローチャートである。最初に、ステップ200において、複数の準備スキャンコマンド142が、固定持続期間準備スキャンコマンド144及び不確定持続期間準備スキャンコマンド146に分類される。このタスクは、本方法の実行の間、反復して繰り返されることに留意されたい。例えば、幾つかの不確定持続期間準備スキャンコマンド146が完了した後、次いで、幾つかの準備スキャンコマンドは、有さなかった前に対して固定持続期間を有する。次に、ステップ202において、磁気共鳴イメージングシステムは、不確定持続期間準備スキャンコマンド146によって制御される。
【0075】
次に、ステップ204において、磁気共鳴イメージングシステムは、固定持続期間準備スキャンコマンド144によって制御される。ステップ206において、勾配パルス開始時間160が計算され、これは、固定持続期間準備スキャンの完了及び勾配コイルパルスコマンド154が開始することを可能にする遅延を含む。次に、ステップ208において、警告信号が、勾配パルス開始時間160の前の所定の時間162に提供される。最後に、ステップ210において、磁気共鳴イメージングシステムは、イメージングk空間データ156を取得するためにパルスシーケンスコマンド152によって制御される。
【0076】
図3は、ディスプレイ124に提示された警告信号300の一例を示す。この例では、警告信号300はカウントダウンタイマ302を含む。このように、対象者118は、勾配パルスからの雑音がいつ開始するかを極めて正確に知る。
【0077】
幾つかの例において、対象者118は、カウントダウンタイマ302を理解するのに困難な時間を有する。
図4は代替例を表示している。
図4は、移動するボール402を含む警告信号400を示している。移動するボール402は、終了位置404まで経路406を辿る。移動するボール402は、警告信号400を提供するために使用することができるアニメーションの一例である。落下するボール、開花する花又はその他の動きなどのその他のものを警告信号400として使用することもできる。
【0078】
例えば、カウントダウンタイマを視覚化することによって、雑音が開始するまでの正確な時間について、シーケンスの開始直前に対象者に知らせるための手段、つまり警告システム122を提供する。
【0079】
例は、また、同時に不要なシステムアイドル時間を最小限に抑制しながら、シーケンス開始の前の準備スキャンの長さ及び数が事前に一般的に知られないとしても、勾配パルス開始時間の前の所定の時間に、固定カウントダウン持続期間を実現する方法を提供する。
【0080】
多くの対象者は、大きな予測しない雑音によりMR検査中に不快に感じる。雑音源を理解しないことにより更に恐怖を生じる。各スキャンの開始前にオートボイスを介して技術者又は説明との通信が存在するとしても、対象者は、いつ正確に雑音が予測されるかを知ることはない。
【0081】
磁気共鳴検査の間、対象者は、典型的には、正確にいつシーケンスが開始するか及びいつ正確に付随する雑音(磁気勾配コイルシステムによって生じる)が予測されるかを知ることはない。この予測不能性は恐怖を生じ、何が起こっているかについて制御できないという感情につながる。予測しない大きな雑音は、更に、望ましくない僅かな身体の動きにつながり、これにより、画質に影響する。
【0082】
磁気共鳴スキャンの前に、典型的には、ほとんど聞こえないがクリック音を伴う幾つかの準備スキャンが行われる。必要とされる準備スキャンの長さ及び数は常に前もって分かるわけではない。なぜならば、これらのスキャンの幾つかは互いに依存しているからである。
【0083】
したがって、一般的に、いつスキャン雑音が開始するかの正確な時点を予測することは容易ではない。
【0084】
例は、例えば、カウントダウンタイマを視覚化することによって(302)、雑音が開始するまでの正確な時間について、シーケンスの開始直前に対象者に通知することによってこの問題を解決する。
【0085】
本発明は、更に、最適な方式で著しい雑音を発生しない準備スキャン又はその他のアクティビティでこの期間を満たすことによってカウントダウンの間、システムのアイドル時間(502)を最小限に抑制する方法を含む。
【0086】
例は、場合によっては、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む:
所定のカウントダウン期間が最小限のシステムアイドル時間で達成されるように、スキャン開始直前に準備スキャン及びアイドル時間ブロックを配置する方法。
カウントダウンをトリガする警告信号を送信するためのシステム(信号伝達システム122)。
視覚化を介して光学的に(124)又は音響的に(125)、対象者にカウントダウンを提示するためのシステム。
【0087】
MRスキャンがオペレータによって開始されたとき、準備相は時間tprepにおいて開始する。準備相の間、システムを較正するために、複数の準備スキャンが行われる。準備相の後、画像データの実際の取得が、tscanにおいて開始する。
【0088】
準備相の前に、オートボイスアナウンスメントなどの、その他のイベントが行われる。
【0089】
準備相において、システム状態及び前の準備スキャンの結果に応じて、幾つかの準備スキャンは、長さ及び数が変化する。したがって、「予測不能」及び「予測可能」準備スキャン(不確定持続期間準備スキャンコマンド146及び固定持続期間準備スキャンコマンド144)が区別される。予測不能スキャンは、システムの前の状態に依存するスキャンであり、準備相が進行している間に長さ及び数が調節される。予測可能スキャンは、準備相の間に変化しない所定の長さ及び数を有するスキャンである。
【0090】
以下の
図5及び
図6は、準備相及び画像取得タイミングの概略図を提供する。画像取得は、調査又は診断画像の取得又は参照画像データ、例えば、SENSE参照スキャン、コイル調査スキャン、又はB0又はB1マッピングスキャンの取得を指すことができる。
【0091】
図5は、不確定持続期間準備スキャンコマンド146、固定持続期間準備スキャンコマンド144及びパルスシーケンスコマンド152の関係を示すタイミング図を示す。不確定持続期間準備スキャンコマンド146が固定持続期間準備スキャンコマンド144の前に行われることが分かる。符号152の時間は、パルスシーケンスコマンド152が実行される時間を示す。大きなバー154は、勾配コイルパルスコマンド154が行われる時間を表す。これは、磁石102のボア106において大きな音響雑音が生じる時間である。マーキング160又はtスキャンは、勾配パルス開始時間160がいつであるかの時間を表す。時間162は、警告信号300又は400が提供されるときの所定の時間162を表す。選択的なアイドル時間502が存在する。Δtは、所定の時間162と勾配パルス開始時間160との間の遅延500である。Δtが所定のサイズを有することを保証するために、アイドル時間ブロック502が挿入される。
【0092】
図6は、
図5に示されたタイミング図の変化態様を示す。この例において、勾配パルス開始時間160は、パルスシーケンスコマンド152が開始した後に開始する。幾つかの例において、勾配パルス開始時間160は、勾配コイルに供給される電流の値をしきい値にすることによって決定される。これは、勾配コイルがどれぐらい大きな音になるかの有効な測度である。この場合、勾配パルス開始時間160は、パルスシーケンスコマンド152が開始した後にかかり、これは、次いで所定の時間162を与える遅延500を計算するために使用される。
【0093】
固定長さΔt(所定の時間)のカウントダウン時間期間は、取得開始(勾配コイルパルスコマンドの開始)の前に行われる。幾つかの例において、これは、以下の方式で達成される:
予測可能スキャン(固定持続期間準備スキャンコマンド)が好ましくは準備相の最後に行われるように準備スキャン(複数の準備スキャンコマンド)をグループ分けする。
全ての予測不能な準備スキャン(不確定持続期間準備スキャンコマンド)が終了する時間において、まだ行われていない全ての予測可能準備スキャンの実行時間の合計Sを計算する。
SとΔtとを比較する。
S<Δtであるならば、即座にカウントダウン開始信号を送信し、準備相の最後にシステムアイドル時間tidle=Δt-Sを追加する。
さもなければ、準備スキャンで進行し、時間tcd=tscan-Δtにおいてカウントダウン開始信号を送信する。
準備相の後、画像取得で進行する。
【0094】
インボア経験システム(ディスプレイ124)への接続は、幾つかの例において、ネットワーク接続によって実現することができる。例えば、この目的を果たすために、既存のREST-APIを拡張することができる。
【0095】
スキャナホストは、時点tprep及びtcdにおいてインボア経験システムに信号を送信する。カウントダウン時間が既知であるので、tscanにおいて信号を送信することは不要である。データ取得がtscanにおいて開始する前にスキャニングが中断されると、APIを通じて停止信号が送信される。インボアシステムは、信号を受信したとき、以下に説明される視覚化又はオーディオフィードバックを開始又は停止する。
【0096】
幾つかの例において、対象者は、例えば、準備期間の間、2つのタイプの視覚化で示される:
tprepとtcdとの間:可変長さの視覚化(ルーピング視覚化)が示されている。この視覚化は、システムがスキャンのために準備していることを示すものとして対象者によって理解されるべきである。例は、動く歯車又はアニメーション化された砂時計を含む。
tcdとtscanとの間:固定長さの視覚化が表示され、スキャン開始までの残り時間が明瞭に見える。例は、カウントダウンタイマ又はグラフィカル進行インジケータを含む。
【0097】
この視覚化は、先行する視覚化の継続と組み合わされる。
【0098】
代替例として、警告信号は、音響カウントダウンとして実施される。視覚的にハンディキャップのある又は対象者台における対象者の位置決めによりインボアスクリーンを見ることができない対象者は、音響カウントダウン代替例を要望する。音響カウントダウンは、コンピュータ音声のカウント(「3」、「2」、「1」)又はビーッ又はカチッなどのその他の可聴エレメントによって実現される。tprepとtcdとの間において、可変全長のループする聴覚エレメントを使用することができる。例えば、「システムが準備している」ことを説明する音声が、短い反復するメロディーを伴う。
【0099】
上述の例は、「通常の」スキャン開始のための適切な実施態様であり、雑音は、シーケンスの開始時に直ちに出現し、カウントダウンは、準備相にスマートに統合される。
【0100】
異なる例において、「サイレントスタート」は、シーケンスの開始時ではなく、ある所定の時間だけ遅れて雑音を発生するMRシーケンスに関する。このようなシーケンスの例はFLAIRであり、シーケンスは、(ほとんど聞こえない)スピン励起イベントで始まり、その後、長い反転時間(数秒)が続く。反転時間の後にようやく大きな雑音が開始する。
【0101】
このようなシーケンスのために、ノイズカウントダウンは、シーケンスの開始前の代わりに、雑音の開始(勾配コイルパルスコマンドの開始)前に示すことができる。カウントダウン持続期間よりも短い反転時間において、カウントダウン期間の第1の部分は、再び、既知の長さの残留準備スキャンで満たすことができる。
【0102】
1つの実施形態(「呼吸」)は、呼吸命令を要求するMRシーケンスに関する:
1.呼吸保持:カウントダウンは、吐き出し期間がいつ終了するか、したがって、その間に画像取得が生じ、したがって雑音が聞こえる呼吸保持期間がいつ開始するかを視覚化するために使用することができる。
2.自由呼吸:呼吸パターンの分析後、呼吸器のトリガされたスキャンの指定パラメータが与えられると、第1の取得音の開始を予測することができ、カウントダウンをそれに応じて前もって視覚化することができる。この適用は、対象者の呼吸パターンが非常に規則的であることを要求し、これにより、予測は、所定の精度まで行うことができ、本当に適合しないカウントダウンについての混乱は存在しない。不規則な呼吸パターンの場合、この機能は必ずしも可能にならない。
【0103】
別の例において、迅速カウントダウン又は進行バーが、心臓のトリガされたスキャンの予測される開始のために示されている。この適用は、非常に規則的な心拍を有する対象者のためにのみ使用されるべきであり、これにより、予測は、所定の精度まで行うことができる。不整脈の場合、誤ったカウントダウンが不安につながる可能性がある。
【0104】
別の例において、スキャン開始の前に準備相が存在しない又は非常に短い準備相のみが存在する場合、カウントダウンの視覚化は、自動音声アナウンスメントが依然として進行している間に(すなわち、技術者が開始ボタンを押した後、ただしスキャンの準備相が開始する前)開始することができる。この場合、自動音声特定言語オーディオファイルの長さが既知でなければならず、tcdの決定において考慮されなければならない。
【0105】
本発明は、図面及び前述の記載において詳細に図示及び説明されたが、このような図示及び記載は、説明的又は例示的であって限定するものではないと見なされるべきである。すなわち本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。
【0106】
開示された実施形態のその他の変形が、図面、本開示及び添付の請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解されて実現され得る。請求項において、「含む、備える」という単語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、単数形は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが請求項に記載された幾つかのアイテムの機能を果たす。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に用いられないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に若しくは他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体等の適当な媒体に保存/分配されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の電気通信システムを介して等の他の形式で分配されてもよい。請求項における任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0107】
100 磁気共鳴イメージングシステム
102 磁石
106 磁石のボア
108 イメージングゾーン
109 関心領域
110 磁場勾配コイル
112 磁場勾配コイル電源
114 無線周波数コイル
116 トランシーバ
118 対象者
120 対象者支持台
122 信号伝達システム
124 スクリーン
125 ヘッドフォン
126 コンピュータシステム
128 ハードウェアインタフェース
130 プロセッサ
132 ユーザインタフェース
134 コンピュータメモリ
140 マシン実行可能命令
142 複数の準備スキャンコマンド
144 固定持続期間準備スキャンコマンド
146 不確定持続期間準備スキャンコマンド
148 第1の構成データ
150 第2の構成データ
152 パルスシーケンスコマンド
154 勾配コイルパルスコマンド
156 イメージングk空間データ
158 磁気共鳴イメージングデータ
160 勾配パルス開始時間
162 所定の時間
200 複数の準備スキャンコマンドを固定持続期間準備スキャンコマンド及び不確定持続期間準備スキャンコマンドに分類する
202 不確定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御する
204 不確定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御した後に固定持続期間準備スキャンコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御する
206 固定持続期間準備スキャンコマンドの完了及び勾配コイルパルスコマンドの開始を可能にするために遅延を含む勾配パルス開始時間を計算する
208 勾配パルス開始時間の前の所定の時間に警告信号を提供する
210 勾配コイルパルスコマンドの実行の開始がパルス開始時間に生じるようにk空間データを取得するためにパルスシーケンスコマンドによって磁気共鳴イメージングシステムを制御する
300 警告信号
302 カウントダウンタイマ
400 警告信号
402 移動するボール
404 終了位置
406 経路
500 遅延
502 アイドル時間