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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】自立袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/14 20060101AFI20231113BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
B65D33/14 Z
B65D30/16 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023017460
(22)【出願日】2023-02-08
【審査請求日】2023-02-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000147316
【氏名又は名称】株式会社生産日本社
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】野口 ▲隆▼之
(72)【発明者】
【氏名】室伏 利幸
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-105741(JP,A)
【文献】特開2000-177755(JP,A)
【文献】特開2014-198581(JP,A)
【文献】特開2005-320020(JP,A)
【文献】特開2002-362586(JP,A)
【文献】特開2006-123958(JP,A)
【文献】特開2004-161288(JP,A)
【文献】特開2007-168832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/14
B65D 30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部フィルムとして少なくともベース層とシーラント層とを有するラミネートフィルムを、前記シーラント層を内側にして縦シールを設けて上端及び下端が開放した筒形状とし、該筒形状を扁平状として左側縁及び右側縁を設けた胴部と、
開放辺と、前記開放辺に対向する上端閉塞辺と、前記開放辺の左側端と前記上端閉塞辺の左側端とを結ぶ左側辺と、前記開放辺の右側端と前記上端閉塞辺の右側端とを結ぶ右側辺と、を有する底フィルムが前記開放辺を下側にして前記胴部の下端部に挿入された底ガゼットと、を備え、
前記胴部フィルムと前記底フィルムとは、底シールで固定されており、
該底シールは、少なくとも、対面し合う前記底フィルムの下端部と前記胴部フィルムの下端部とが接着された下端シール部を有し、
前記底フィルムは、少なくともベース層とシーラント層とを有するラミネートフィルムであり、
前記上端閉塞辺は、前記底フィルムが前記ベース層を内側にして二つ折りされた折り目であり、
前記底シールは、前記底フィルムの前記左側辺から所定幅の領域と前記胴部フィルムの内表面とが接着された左側シール部と、前記底フィルムの前記右側辺から所定幅の領域と前記胴部フィルムの内表面とが接着された右側シール部とを更に有し、
前記自立袋は、前記胴部の前記左側縁における内壁と前記底フィルムの前記左側辺との間及び前記胴部の前記右側縁における内壁と前記底フィルムの前記右側辺との間にそれぞれ隙間を有し、かつ、前記左側縁側の前記隙間の全域で前記胴部フィルムの内表面同士が接着された左側隙間シール部と、前記右側縁側の前記隙間の全域で前記胴部フィルムの内表面同士が接着された右側隙間シール部と、前記左側シール部及び前記左側隙間シール部の上方に連接し前記胴部フィルムの内表面同士を接着させた左側連接シール部と、前記右側シール部及び前記右側隙間シール部の上方に連接し前記胴部フィルムの内表面同士を接着させた右側連接シール部と、を更に有することを特徴とする自立袋。
【請求項2】
前記縦シールは、前記左側縁と前記右側縁との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の自立袋。
【請求項3】
前記縦シールは、前記左側縁又は前記右側縁に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の自立袋。
【請求項4】
前記縦シールは、前記胴部の外表面に沿って折り返された状態で前記胴部の外表面に固定されていることを特徴とする請求項に記載の自立袋。
【請求項5】
前記縦シールは、前記胴部の外表面に対して遊離しており、かつ、前記自立袋を吊り下げるための係止孔を有することを特徴とする請求項に記載の自立袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自立袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、胴部と底部とを備え、底部をガゼット形式で形成したスタンディングパウチなどの自立袋が知られている(例えば、特許文献1~3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-66828号公報
【文献】特開2011-195175号公報
【文献】特開2019-6435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような自立袋では、左右端縁にサイドシールが施されている。このサイドシールは剛性が強いため、消費者が手で持つ時に手にサイドシールが当たって手に痛みを感じるなど使用感に問題があった。また、特許文献1のようなサイドシールを有する自立袋は、底部フィルムを、ナイロンなどのベースフィルム層側を内側、かつ、ポリエチレンなどのシーラント層側を外側にして二つ折り状態とし、該二つ折り状態の底部フィルムを表裏の胴部フィルムの間に挿入して、底部フィルムと胴部フィルムとの周縁部同士を熱接着して製造される。このとき、底部フィルムにおいて二つ折り状態の内側を向く対向面同士は、ナイロンなどの高融点フィルムからなるため、互いに熱接着されない。このため、自立が不安定となるおそれがある。そこで、底部フィルムの左右側端縁の一部に切り欠き部を設けて胴部フィルムを露出させ、露出した胴部フィルム同士を熱接着させる方策がとられることがある。しかし、この方策では、自立袋の製造工程が多くなるうえ、切り欠き部を設ける際に端材が生じて相対的にコスト高となる問題があった。また、端材は小さいため散乱しやすく、生産効率が悪くなる問題もあった。また、特許文献2、3のような自立袋は、サイドシールがないが、底部材と胴部とが別体の接着部材によって接着されており、構造が複雑である。このため、生産効率の低下及び接着不良などの製造不良が起こりやすい問題があった。また、筒状のフィルムからなる袋体は、その剛性の弱さからくびれや歪みが生じてしまい自立が不安定になっていた。
【0005】
また、飲料用などの液体用の容器としてペットボトルのような剛性容器が多く使用されている。しかし、剛性容器は、破棄時に潰すことが困難であるし、潰したとしてもゴミが嵩張るという問題があった。そこで、剛性容器の代替品となる容器が求められている。
【0006】
本開示は、液体用の剛性容器の代替品としても利用可能な美観を有するとともに環境に配慮し、製造コストを抑えることができ、胴部を手で握った時の不快感がない自立袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自立袋は、胴部フィルムとして少なくともベース層とシーラント層とを有するラミネートフィルムを、前記シーラント層を内側にして縦シールを設けて上端及び下端が開放した筒形状とし、該筒形状を扁平状として左側縁及び右側縁を設けた胴部と、開放辺と、前記開放辺に対向する上端閉塞辺と、前記開放辺の左側端と前記上端閉塞辺の左側端とを結ぶ左側辺と、前記開放辺の右側端と前記上端閉塞辺の右側端とを結ぶ右側辺と、を有する底フィルムが前記開放辺を下側にして前記胴部の下端部に挿入された底ガゼットと、を備え、前記胴部フィルムと前記底フィルムとは、底シールで固定されており、該底シールは、少なくとも、対面し合う前記底フィルムの下端部と前記胴部フィルムの下端部とが接着された下端シール部を有し、前記底フィルムは、少なくともベース層とシーラント層とを有するラミネートフィルムであり、前記上端閉塞辺は、前記底フィルムが前記ベース層を内側にして二つ折りされた折り目であり、前記底シールは、前記底フィルムの前記左側辺から所定幅の領域と前記胴部フィルムの内表面とが接着された左側シール部と、前記底フィルムの前記右側辺から所定幅の領域と前記胴部フィルムの内表面とが接着された右側シール部とを更に有し、前記自立袋は、前記胴部の前記左側縁における内壁と前記底フィルムの前記左側辺との間及び前記胴部の前記右側縁における内壁と前記底フィルムの前記右側辺との間にそれぞれ隙間を有し、かつ、前記左側縁側の前記隙間の全域で前記胴部フィルムの内表面同士が接着された左側隙間シール部と、前記右側縁側の前記隙間の全域で前記胴部フィルムの内表面同士が接着された右側隙間シール部と、前記左側シール部及び前記左側隙間シール部の上方に連接し前記胴部フィルムの内表面同士を接着させた左側連接シール部と、前記右側シール部及び前記右側隙間シール部の上方に連接し前記胴部フィルムの内表面同士を接着させた右側連接シール部と、を更に有することを特徴とする。底フィルムをラミネートフィルムとすることで、胴部だけでなく底部にもバリア性を付与することができるため、袋の全体においてバリア性をより高めることができる。また、胴部フィルムと底フィルムとを相互に同じ材質とすることができるため、コストを抑えることができる。
【0010】
本発明に係る自立袋では、前記縦シールは、前記左側縁と前記右側縁との間に配置されていることが好ましい。左右の両側縁が折り目となるため、胴部のどの部分を把持してもサイドシールが手に当たることによる不快感をなくすことができる。
【0011】
本発明に係る自立袋では、前記縦シールは、前記左側縁又は前記右側縁に配置されている形態を包含する。底シール及び上端縁を閉じるシールのピンホールを防止して、より確実に袋を密閉することができる。また、左右の側縁のうち縦シールを設けていない側の側縁が折り目となり、この部分を中心に袋を把持することでサイドシールが手にあたることによる不快感をなくすことができる。
【0012】
本発明に係る自立袋では、前記縦シールは、前記胴部の外表面に沿って折り返された状態で前記胴部の外表面に固定されていることが好ましい。左右の両側縁が折り目となるため、胴部のどの部分を把持してもサイドシールが手に当たることによる不快感をなくすことができる。
【0013】
本発明に係る自立袋では、前記縦シールは、前記胴部の外表面に対して遊離しており、かつ、前記自立袋を吊り下げるための係止孔を有することが好ましい。係止孔に例えばカラビナ、フックなどの留め具を装着することで、持ち運び性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、液体用の剛性容器の代替品としても利用可能な美観を有するとともに環境に配慮し、製造コストを抑え、胴部を手で握った時の不快感がない自立袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る自立袋の第一例を示す概略正面図である。
図2図1のA-A線概略端面図である。
図3】本実施形態に係る自立袋の第二例を示す概略正面図である。
図4】本実施形態に係る第二例の自立袋の変形例を示す概略正面図である。
図5】本実施形態に係る自立袋の第三例を示す概略正面図である。
図6】本実施形態に係る第三例の自立袋の変形例を示す概略正面図である。
図7図6のB-B線概略端面図である。
図8】本実施形態に係る自立袋の第四例を示す概略正面図である。
図9】本実施形態に係る第四例の自立袋の変形例を示す概略正面図である。
図10】第四例の自立袋の底ガゼットの製造工程の一例を説明するための図であり、(a)は第一工程、(b)は第二工程を示す。
図11】第四例の自立袋の製造工程の一例を説明するための図であり、(a)は第1工程、(b)は第二工程、(c)は第三工程、(d)は第四工程を示す。
図12図3に示す自立袋の底ガゼットを示す概略図である。
図13】底ガゼットの第一変形例を示す概略図である。
図14】底ガゼットの第二変形例を示す概略図である。
図15】底ガゼットの第三変形例を示す概略図である。
図16】底ガゼットの第四変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。また、本明細書では、便宜上、例えば図1に示すように胴部10を扁平状態としたときの一方の面を前面とし、他方の面を背面とし、底ガゼット20を下側にして前面を平面視したときの上下左右を自立袋1の上下左右と表現している。ここで、前面と背面とは区別されず、縦シール部の有無又は胴部若しくは底ガゼットの印刷などとは無関係であり、自立袋の一方の面が前面とも背面ともなりうる。具体的には、ある面を平面視したとき縦シールが左側縁に配置されている袋は、裏返せば縦シールが右側縁に配置されている袋となる。また、図面では、図示と理解しやすさの便宜上、縮尺、寸法比及び厚さなどを実物よりも誇張して図示している。
【0021】
本実施形態に係る自立袋1は、図1に示す第一例の自立袋1(1A)、図3及び図4に示す第二例の自立袋1(1B)、図5及び図6に示す第三例の自立袋1(1C)、図8及び図9に示す第四例の自立袋1(1D)を包含する。まず、図1を例にとって全例に共通する構造を説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る自立袋の第一例を示す概略正面図である。図2は、図1のA-A線概略端面図である。本実施形態に係る自立袋1は、図1又は図2に示すように、胴部フィルム2として少なくともベース層201(図2に図示)とシーラント層202(図2に図示)とを有するラミネートフィルムを、シーラント層202を内側にして縦シール16を設けて上端12及び下端11が開放した筒形状とし、該筒形状を扁平状として左側縁13及び右側縁14を設けた胴部10と、開放辺21と、開放辺21に対向する上端閉塞辺22と、開放辺21の左側端と上端閉塞辺22の左側端とを結ぶ左側辺23と、開放辺21の右側端と上端閉塞辺22の右側端とを結ぶ右側辺24と、を有する底フィルム3が開放辺21を下側にして胴部10の下端部に挿入された底ガゼット20と、を備え、胴部フィルム2と底フィルム3とは、底シール30で固定されており、底シール30は、少なくとも、対面し合う底フィルム3の下端部と胴部フィルム2の下端部とが接着された下端シール部31を有する。
【0023】
自立袋1は、胴部10と底ガゼット20とを有し、底ガゼット20を広げることで自立する袋である。
【0024】
胴部10は、上端12、下端11、左側縁13及び右側縁14を有する平面視で略四角形状であることが好ましい。本明細書において「・・形状」の前に付した「略」とは、細部にこだわらずおよその外形状を意味しており、そのものの形状の他、該そのものの形状に対して角の少なくとも一つを丸めたり角の少なくとも一つを落としたりした形状、又は歪めた形状などの各種変形形状を包含することを意味するものであり、例えば「略四角形状」は、四角形状、四角形の角の少なくとも一つを丸めたり角の少なくとも一つを落としたりした形状、又は少なくとも一つの辺が多少歪んでいたりするなどした変形形状を包含することを意味している。また、本明細書では、胴部10のうち収容空間15に面する側の表面を胴部10の内表面又は胴部フィルム2の内表面といい、収容空間15に面する側とは反対側の表面を胴部10の外表面又は胴部フィルム2の外表面ということもある。
【0025】
胴部10は、1枚のシート状の胴部フィルム2の両側縁の内表面同士が接着されることで縦シール16が形成されるとともに筒形状となり、筒形状を扁平状に潰すことで形成される。胴部10の内部空間は内容物の収容空間15となっている。ここで、扁平状とは、収容空間15に内容物が入っていない状態において、向かい合う胴部フィルム2の内壁面同士が近接又は当接して自立袋1の断面形状が細長形状となっている状態をいう。また、本実施形態は、縦シール16が、左側縁13と右側縁14との間に配置される形態(図1図3図4に図示)、左側縁13又は右側縁14のいずれか一方に配置される形態(図5図6図8図9に図示)、及び左側縁13及び右側縁14の両方に配置される形態(不図示)を包含する。
【0026】
胴部10の上端12は、図1では一例として開放したままの状態を示したが、嵌合具(不図示)又は封止シール(不図示)で封止してもよいし、スパウト(不図示)を設けてもよい。胴部10の上端12にスパウトを設けることで、ペットボトルの代替品として有用である。例えば、ペットボトルは環境保全の観点から多くの自治体ではキャップと印刷されたシュリンクラベルとを、ボトル本体から分別して廃棄することが求められている。消費者は廃棄するのに時間を要するとともにシュリンクラベルを剥がす時に爪や指が傷つくおそれがあった。本実施形態に係る自立袋1は、胴部10に直接印刷することができるため、廃棄時のラベルの分別が不要となるし、スパウトと分別せずに廃棄することができる。このため、家庭ゴミでの廃棄容易性だけでなく、飲食店での作業時間短縮、廃棄費用及び人件費の削減に貢献することができる。自立袋1は、ペットボトルよりも樹脂の使用量が少ないため、使用後は小さくつぶすことができ、ごみ量の劇的な削減が可能である。例えば、本実施形態に係る自立袋1は内容物が空になった後、キャップを外した状態で袋の下部からスパウトがある上部へ向かって胴部を折り畳んでいき、スパウトの下端まで折り畳んだところでキャップを締めれば、袋内が減圧された状態が保持されるので、廃棄状態の体積はサインペン程となる。また、自立袋1は、使用後、洗浄すれば、ペットボトルと同様に繰り返し使用することもでき、環境への負荷を低減することができる。自立袋1はペットボトルよりも安価に製造することができるため、その経済効果は計り知れない。
【0027】
胴部フィルム2は、図2に示すように、2層以上の層同士が貼り合わされたラミネートフィルムであり、少なくともベース層201とシーラント層202とを有する。ベース層201は、包装袋としての機械的強度、印刷適正などを付与する層である。シーラント層202は、熱融着性を有し、製袋加工性を付与する層である。ベース層201の材質及びシーラント層202の材質は下記<1>~<29>に例示するもののうちから任意のものが採用されるが、本実施形態では特に限定されない。これらのうち、ベース層201の材料としては、例えば、ポリアミド樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂の少なくともいずれかを用いることが好ましい。シーラント層202の材料としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンの少なくともいずれかを用いることが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンを用いることがより好ましい。ベース層201の層数及びシーラント層202の層数は、それぞれ、1層であるか、又は2層以上の多層であってもよい。
【0028】
<1> 高密度ポリエチレン(HDPE)
<2> 中密度ポリエチレン(MDPE)
<3> 低密度ポリエチレン(LDPE)
<4> ポリプロピレン(PP)
<5> ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
<6> ポリ塩化ビニル(PVC)
<7> ポリスチレン(PS)
<8> ポリ酢酸ビニル(PVAc)
<9> ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
<10> ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)
<11> AS樹脂(SAN)
<12> アクリル樹脂(PMMA)
<13> ポリアミド(PA)/商品名ナイロン
<14> ポリアセタール(POM)
<15> ポリカーボネート(PC)
<16> 変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE、PPO)
<17> ポリブチレンテレフタレート(PBT)
<18> ポリエチレンテレフタレート(PET)
<19> 環状ポリオレフィン(COP)
<20> ポリフェニレンスルファイド(PPS)
<21> ポリサルフォン(PSF)
<22> ポリエーテルサルフォン(PES)
<23> 非晶ポリアリレート(PAR)
<24> 液晶ポリマー(LCP)
<25> ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
<26> 熱可塑性ポリイミド(PI)
<27> ポリアミドイミド(PAI)
<28> 熱可塑性ポリウレタン(TPU)
<29> フッ素樹脂(PTFE)
【0029】
胴部フィルム2は、ベース層201とシーラント層202との間に一層以上の中間層(不図示)を適宜積層させてもよい。中間層は、例えば、バリア層、印刷層、金属箔又は紙などの多孔質基材層である。バリア層は、自立袋1の外部の水蒸気及び/又は酸素が胴部フィルム2を透過して自立袋1の内部に侵入することを抑制する層である。バリア層は、例えば、アルミニウム箔などの金属箔、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)などのガスバリア性を有する材質のフィルム、又はベース層201の表面のうち少なくとも一方の面に設けられたバリア性を有する薄膜である。バリア性を有する薄膜は、例えば、コーティング膜又は蒸着膜である。コーティング膜の材質は、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニリデンであり、その形成方法は、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法若しくは含浸法などの公知の塗布方法で形成することができる。また、蒸着膜の材質は、特に限定されず、例えば、アルミニウム、アルミナ又はシリカであり、その形成方法は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法若しくはプラズマ気相成長法などの公知の蒸着方法で形成することができる。胴部フィルム2の形成方法は、特に限定されず、例えば、押出ラミネート法、ドライラミネート法又は共押出法など公知の積層方法で各層同士を貼り合わせて形成することができる。胴部フィルム2の厚さは、特に限定されないが、50~250μmであることが好ましく、80~200μmであることがより好ましい。
【0030】
胴部フィルム2の層構成は、特に限定されないが、例えば、NY/PEである。本明細書では、包装用材料の技術分野における一般的な表現方法に則って、層構成を、フィルムの一方の表面側から他方の表面側に向かって順に各層の材質を示すとともに各層の材質の間に/を設けて表すことがある。NY/PEを例にとって説明すると、ベース層201の材質をNYとし、シーラント層202の材質をPEとし、NYとPEとが相互に貼り合わされていることを表す。NYは、一般的にベース層201として使用される他の材質よりも酸素ガス透過度が小さいため、特に酸化劣化しやすい内容物に好適である。酸素ガス透過度を更に小さくするために、NYとしてバリア層を有するNYを用いてもよい。
【0031】
底ガゼット20は、胴部10の下端11を閉塞する。底ガゼット20は、一辺が解放した袋形状をなしており、収容空間15に内容物が入っていない状態では、底ガゼット20は胴部10の内側で折り畳まれて扁平状態になっており、自立袋1が全体として扁平状になっているが、収容空間15に内容物が収容されると底ガゼット20の折り畳み状態が広げられて自立袋1は安定して自立することができる。本明細書では、底ガゼット20を扁平袋状としたとき、外側となる面を底ガゼット20の外表面又は底フィルム3の外表面といい、内側となる面を底ガゼット20の内表面又は底フィルム3の内表面ということもある。
【0032】
底ガゼット20は、開放辺21と、上端閉塞辺22と、左側辺23と、右側辺24と、を有する。底ガゼット20は、図1に示すように、平面視で略四角形状であることが好ましい。これによって、製造時に底フィルム3の歩留まりを向上し、かつ、効率的に生産することができるので、製造コストを抑制することができる。開放辺21は、自立袋1の下端となる部分であり、向かい合う底フィルム3の端部同士が非接着状態となっている。上端閉塞辺22は、収容空間15に面する部分である。左側辺23は、胴部10の左側縁13の内壁に対向する部分である。右側辺24は、胴部10の右側縁14の内壁に対向する部分である。上端閉塞辺22、左側辺23及び右側辺24では、向かい合う底フィルム3の端部同士が連続しているか、又は接着状態となっている。
【0033】
底フィルム3の材質は、胴部フィルム2の材質として列挙した材質を用いることができる。底フィルム3の材質は、胴部フィルム2の材質と同じであっても異なっていてもよい。底フィルム3の厚さは、胴部フィルム2の厚さよりも薄いことが好ましい。これによって、底ガゼット20をより開きやすくすることができる。例えば、底フィルム3の厚さは、25~200μmであることが好ましく、40~180μmであることがより好ましい。
【0034】
底シール30は、底フィルム3を胴部フィルム2の下端部に挿入した状態において、対面し合う胴部フィルム2の内表面と底フィルム3の外表面とを部分的に接着した部分であり、少なくとも下端シール部31を含む。下端シール部31は、底フィルム3の開放辺21近傍の外表面と胴部フィルム2の下端11近傍の外表面とを接着した部分である。底シール30は、生産効率の観点からヒートシールによって接着することが好ましいが、接着剤などの副資材を用いて接着してもよい。
【0035】
胴部10の左右側縁13,14と底ガゼット20の左右の側辺23,24との間には、図1に示すように隙間40があるか、又は隙間40がなくてもよい(不図示)。隙間40がある場合、胴部10の下端11は、例えば図1に示すように、下端シール部31と、隙間40において胴部フィルム2の内表面同士が接着され、かつ、下端シール部31に連続する隙間シール部51,52と、によって閉じられる。隙間40がない場合、胴部10の下端11は、下端シール部31だけで閉じられる。このうち、隙間40があることがより好ましい。隙間40があることで、底フィルム3を胴部フィルム2の下端部により容易に挿入することができる。このため、生産効率をより高めることができる。
【0036】
隙間40は、胴部10の左側縁13における内壁と底ガゼット20との間だけに設けられているか、胴部10の右側縁14における内壁と底ガゼット20との間だけに設けられているか、又は胴部10の左側縁13における内壁と底ガゼット20との間及び胴部10の右側縁14における内壁と底ガゼット20との間の両方に設けられていてもよい。隙間40の間隔は、特に限定されないが、0.1~1.0mmであることが好ましく、0.4~0.7mmであることがより好ましい。
【0037】
(第一例の自立袋)
次に、第一例の自立袋1Aについて特徴的な構造を説明する。本実施形態に係る第一例の自立袋1Aでは、底フィルム3は、少なくともベース層とシーラント層とを有するラミネートフィルムであり、上端閉塞辺22は、底フィルム3がベース層を内側にして二つ折りされた折り目であり、底シール30は、底フィルム3の左側辺23から所定幅の領域と胴部フィルム2の内表面とが接着された左側シール部32と、底フィルム3の右側辺24から所定幅の領域と胴部フィルム2の内表面とが接着された右側シール部33とを更に有し、自立袋1Aは、胴部10の左側縁13における内壁と底フィルム3の左側辺23との間及び胴部10の右側縁14における内壁と底フィルム3の右側辺24との間にそれぞれ隙間40を有し、かつ、左側縁13側の隙間40の全域で胴部フィルム2の内表面同士が接着された左側隙間シール部51と、右側縁14側の隙間40の全域で胴部フィルム2の内表面同士が接着された右側隙間シール部52と、左側シール部32及び左側隙間シール部51の上方に連接し胴部フィルム2の内表面同士を接着させた左側連接シール部53と、右側シール部33及び右側隙間シール部52の上方に連接し胴部フィルム2の内表面同士を接着させた右側連接シール部54と、を更に有することが好ましい。
【0038】
第一例の自立袋1Aでは、胴部フィルム2及び底フィルム3の両方がラミネートフィルムである。胴部フィルム2と底フィルム3とは、相互に同じ層構成とするか、又は異なる層構成としてもよい。胴部フィルム2と底フィルム3とを相互に同じ材質とすることで、コストを抑えることができる。胴部フィルム2の層構成は、特に限定されないが、例えば、NY/PEである。底フィルム3の層構成は、特に限定されないが、例えば、NY/PEである。第一例の自立袋1Aでは、胴部10だけでなく底ガゼット20にもバリア性を付与することができるため、自立袋1Aの全体においてバリア性をより高めることができる。
【0039】
第一例の自立袋1Aでは、縦シール16は、図1及び図2に示すように左側縁13と右側縁14との間に配置されるか、又は左側縁13又は右側縁14に配置されてもよい。このうち、縦シール16は、図1及び図2に示すように左側縁13と右側縁14との間に配置されることがより好ましい。左右の両側縁13,14が胴部フィルム2の折り目となるため、胴部10のどの部分を把持しても縦シールが手に当たることによる不快感をなくすことができる。
【0040】
底ガゼット20は、1枚の底フィルム3がベース層を内側にして二つ折りされ、二つ折りされた折り目が上端閉塞辺22となるように胴部10の下端部に挿入される。このとき、左右の側辺23,24は向かい合う底フィルム3の内表面同士が非接着状態となっている。また、底フィルム3の幅は、扁平筒状とされた胴部10の幅よりも短く設計されており、胴部10の左右側縁13,14と底フィルム3の左右側辺23,24との間にはそれぞれ隙間40が設けられる。
【0041】
第一例の自立袋1Aでは、底シール30は、下端シール部31に加えて、左側シール部32と右側シール部33とを更に含む。左側シール部32は、左側辺23から所定幅の領域に設けられ、右側シール部33は、右側辺24から所定幅の領域に設けられる。ここで、所定幅は、特に限定されず、例えば、袋の寸法又は内容物の重量などに応じて、1~10mm程度で適宜設計することができる。底シール30は、開放辺21と左側シール部32との間で斜めに伸びる左側傾斜シール部34と、開放辺21と右側シール部33との間で斜めに伸びる右側傾斜シール部35と、を更に含んでいてもよい。左側傾斜シール部34及び右側傾斜シール部35は、開放辺21と左側シール部32又は右側シール部33との間で連続して設けてもよいし(図1に図示)、断続的若しくは部分的に設けてもよい。また、図1では、左側傾斜シール部34の収容空間15側の境界線及び右側傾斜シール部35の収容空間15側の境界線が直線状であり、左側傾斜シール部34、下端シール部31及び右側傾斜シール部35が連なって逆台形状をなしている形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、左側傾斜シール部34の収容空間15側の境界線及び右側傾斜シール部35の収容空間15側の境界線を外側に突の円弧状とし、左側傾斜シール部34、下端シール部31及び右側傾斜シール部35が連なって円弧形状をなしている形態(不図示)であってもよい。図1では、下端シール部31、左側シール部32及び左側傾斜シール部34で囲まれた領域に、対面し合う胴部フィルム2の内表面と底フィルム3の外表面とを非接着状態とした非接着部60を有する形態を示したが、図1において非接着部60となっている部分においても対面し合う胴部フィルム2の内表面と底フィルム3の外表面とを接着させてもよい。
【0042】
さらに、自立袋1Aは、左右の隙間40の全域で胴部フィルム2の内表面同士が接着された左側隙間シール部51及び右側隙間シール部52と、左側隙間シール部51及び右側隙間シール部52のそれぞれの上方に連接し胴部フィルム2の内表面同士を接着させた左側連接シール部53及び右側連接シール部54と、を更に有する。底フィルム3の左側辺23及び右側辺24がそれぞれ切欠き28を有しており、左側隙間シール部51及び右側隙間シール部52が、切欠き28内で胴部フィルムの内表面同士が接着した部分を含むことが好ましい。左側隙間シール部51及び右側隙間シール部52をより強固に接着させることができる。左側連接シール部53の収容空間15側の境界線及び右側連接シール部54の収容空間15側の境界線の形状は、図1では一例として収容空間15側の境界線が直線である形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、外側に突の円弧状としてもよい(不図示)。また、左側連接シール部53の収容空間15側の境界線及び右側連接シール部54の収容空間15側の境界線を外側に突の円弧状とし、かつ、左側傾斜シール部34の収容空間15側の境界線及び右側傾斜シール部35の収容空間15側の境界線を外側に突の円弧状とし、左側連接シール部53,左側傾斜シール部34、下端シール部31、右側傾斜シール部35及び右側連接シール部54が連なって円弧形状をなしている形態(不図示)としてもよい。
【0043】
第一例の自立袋1Aは、底フィルム3の内表面がベース層からなるため、底フィルム3の内表面同士をヒートシールすることができず、底フィルム3の左右側辺23,24は向かい合う底フィルム3同士が非接着状態となっており、下端シール部31と隙間シール部51,52とを設けただけでは、胴部10の下端11が閉塞されない。そこで、左側シール部32、左側隙間シール部51及び左側連接シール部53を連続して設け、かつ、右側シール部33、右側隙間シール部52及び右側連接シール部54を連続して設けることで、胴部10の下端11が閉塞される。
【0044】
(第二例の自立袋)
次に、図3及び図4を参照して、第二例の自立袋1Bについて特徴的な構造を説明する。本実施形態に係る第二例の自立袋1(1B)では、底フィルム3は、少なくとも、第1面に高融点シーラント層と第1面とは反対側の第2面に高融点シーラント層よりも融点の低い低融点シーラント層とを有し、第1面を内側にして開放辺以外の辺が閉塞した扁平袋形状をなしており、図3又は図4に示すように、底シール30は、開放辺21と左側辺23との間で斜めに伸びる左側傾斜シール部34と、開放辺21と右側辺24との間で斜めに伸びる右側傾斜シール部35と、を更に有し、左側傾斜シール部34及び右側傾斜シール部35は、対面し合う胴部フィルム2の内表面と底フィルム3とを接着した部分であることが好ましい。
【0045】
第二例の自立袋1Bは、後で説明する通り、底フィルム3の層構成が第一例の自立袋1Aと異なり、底フィルム3の内表面がヒートシール性を有する。このため、底フィルム3の開放辺21以外の辺、すなわち上端閉塞辺22及び左右側辺23,24のいずれか一辺を折り目とし、残りの辺を向かい合う底フィルム3同士を熱接着として閉塞することができる。これによって、胴部10の下端11が下端シール部31と隙間シール部50だけで閉塞される。その結果、胴部10の左右側縁13,14における胴部フィルム2の内表面同士の接着部が胴部10の下端の限られた領域だけとなるため、胴部10の底ガゼット20を内包する部分を把持してもサイドシールが手に当たることによる不快感をなくすことができる。
【0046】
底フィルム3は、開放辺21だけが向かい合う底フィルム3の内表面同士が非接着状態となっており、上端閉塞辺22、左側辺23及び右側辺24が閉塞されていればよく、図3では一例として、底フィルム3が1枚のシート状フィルムであり、該1枚のシート状フィルムを二つ折りした折り目を上端閉塞辺22とし、折り目に対向する縁でシート状フィルムの内表面同士を非接着状態した部分を開放辺21とし、折り目の両端から延びる両縁でシート状フィルムの内表面同士を接着して閉塞した部分を左側辺23及び右側辺24とした形態を示したが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
第二例の自立袋1Bでは、底フィルム3の材質は、表裏に異なる融点を有する材質で構成したシーラント層を配置した積層フィルムであって、該積層フィルムは、第2面(外側、胴部フィルム2側)となるシーラント層の融点が、第1面(内側、胴部フィルム2側とは反対側)となるシーラント層の融点よりも低い。これによって、底フィルム3の向かう合う内表面同士を熱接着可能としながら、下端シール部31の形成時に底フィルム3の内側同士が接着することを防止することができるので、自立袋1を効率的に製造することができる。低融点シーラント層の材質及び高融点シーラント層の材質は、胴部フィルム2の材質として例示した材質のうちシーラント層として利用可能な材質から表裏で所望の融点差となるように適宜組み合わせればよく、特に限定されず、例えば、PE及びPPの中から適宜選択することが好ましい。低融点シーラント層の融点は、特に限定されないが、70~100℃であることが好ましく、80~90℃であることがより好ましい。高融点シーラント層の融点は、特に限定されないが、90~130℃であることが好ましく、100~120℃であることがより好ましい。高融点シーラント層と低融点シーラント層との融点差は、10~50℃であることが好ましく、20~40℃であることがより好ましい。
【0048】
第二例の自立袋1Bでは、底フィルム3は、高融点シーラント層と低融点シーラント層との間にベース層が積層されたラミネートフィルムであることが好ましい。ベース層がバリア層を有することがより好ましい。胴部10だけでなく底ガゼット20にもバリア性を付与することができるため、自立袋1の全体においてバリア性をより高めることができる。ベース層の材質は、特に限定されず、例えば胴部フィルム2の材質として例示した材質から適宜選択することができる。底フィルム3の層構成は、特に限定されないが、例えば、PE/NY/PEである。
【0049】
第二例の自立袋1Bでは、底シール30は、下端シール部31に加えて、左側傾斜シール部34と右側傾斜シール部35とを更に含む。左側傾斜シール部34及び右側傾斜シール部35は、開放辺21と左右の側辺23,24との間で連続して設けてもよいし(図1に図示)、断続的若しくは部分的に設けてもよい。また、図3では、左側傾斜シール部34の収容空間15側の境界線及び右側傾斜シール部35の収容空間15側の境界線が直線状であり、左側傾斜シール部34、下端シール部31及び右側傾斜シール部35が連なって逆台形状をなしている形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、左側傾斜シール部34の収容空間15側の境界線及び右側傾斜シール部35の収容空間15側の境界線を外側に突の円弧状とし、左側傾斜シール部34、下端シール部31及び右側傾斜シール部35が連なって円弧形状をなしている形態(不図示)であってもよい。
【0050】
第二例の自立袋1Bでは、縦シール16は、図3又は図4に示すように、左側縁13と右側縁14との間に配置されている。縦シール16は、収容空間15の胴部フィルム2の厚さ方向の外側に配置される。これによって、左右の両側縁13,14が胴部フィルム2の折り目となるため、胴部10のどの部分を把持してもサイドシールが手に当たることによる不快感をなくすことができる。縦シール16を設ける位置は、図3に示すように左側縁13と右側縁14との間のうち右側縁14寄りであるか、図4に示すように左側縁13と右側縁14との間の中央部であるか、又は左側縁13と右側縁14との間のうち左側縁13寄りであってもよい(不図示)。また、縦シール16の形状は、一般的には図3に示すような略四角形状であるが、図4に示すように異形としてもよい。また、図4に示すように、縦シール16に係止孔17を設けて吊り下げ可能としてもよい。
【0051】
(第三例の自立袋)
次に、図5図7を参照して、第三例の自立袋1Cについて特徴的な構造を説明する。第三例の自立袋1Cは縦シール16の位置が異なる以外は、第二例の自立袋1Bと構成を同じくする。このため、共通する構成については説明を省略する。
【0052】
第三例の自立袋1Cでは、縦シール16は、左側縁13又は右側縁14に配置されている。図5及び図6では、縦シール16が右側縁14に配置されているが、本発明はこれに限定されず左側縁13に配置されていてもよい。縦シール16をサイドシールとすることで、次のような効果が得られる。例えば、胴部10の上端12のうち収容空間15に連通する開口縁の全周にわたって厚さを均一とすることができるため、底シール30及び胴部10の上端12を閉じるシールのピンホールを防止して、より確実に袋を密閉することができる。また、左右の側縁13,14のうち縦シール16を設けていない側の側縁(図5及び図6では左側縁13)が胴部フィルム2の折り目となるため、この部分を中心に自立袋1を把持することでサイドシールが手にあたることによる不快感をなくすことができる。
【0053】
第三例の自立袋1Cでは、縦シール16は、図5に示すように、胴部10の外表面に対して遊離しており、かつ、自立袋1を吊り下げるための係止孔17を有することが好ましい。係止孔17は、縦シール16に設けた貫通孔であり、その形状は特に限定されない。係止孔17に例えばカラビナ、フックなどの留め具(不図示)を装着することで、持ち運び性をより向上させることができる。このため、アウトドアアクティビティ又は運動時など持ち運びを要する用途に好適である。また、縦シール16は、一般的には略四角形状であるところ、例えば図5に示すように部分的に幅広な部分を設けるなどして異形としてもよいし、係止孔17を設けやすいように通常よりも幅広シールとしてもよい。
【0054】
また、第三例の自立袋1Cでは、縦シール16は、図6及び図7に示すように、胴部10の外表面に沿って折り返された状態で胴部10の外表面に固定されていることが好ましい。左右の両側縁13,14が胴部フィルム2の折り目となるため、胴部10のどの部分を把持してもサイドシールが手に当たることによる不快感をなくすことができる。縦シール16の胴部10の外表面への固定方法は、特に限定されず、例えば、ホットメルト接着剤による接着である。
【0055】
(第四例の自立袋)
次に、図8図11を参照して、第四例の自立袋1Dについて特徴的な構造を説明する。第四例の自立袋1Dは、縦シール16の下端部が底フィルム3を含んでおり、胴部フィルム2と底フィルム3とが一体に接着されている以外は、第三例の自立袋1Cと構成を同じくする。このため、共通する構成については説明を省略する。
【0056】
第四例の自立袋1Dでは、底フィルム3は、少なくとも、第1面3a(図10に図示)に高融点シーラント層と第1面3aとは反対側の第2面3b(図10に図示)に高融点シーラント層よりも融点の低い低融点シーラント層とを有し、左側辺23は、図8又は図9に示すように、底フィルム3が第1面を内側にして折り返された折り目であり、縦シール16は、右側縁14に配置され、かつ、底フィルム3の右側辺24が胴部フィルム2同士の間に挟まれた状態で胴部フィルム2と一体に接着された下端部16aを有しており、縦シール16の下端部16aは、胴部フィルム2及び底フィルム3の厚さ方向に沿って、胴部フィルム2の内表面と底フィルム3との接着部と、底フィルム3同士の接着部と、底フィルム3と胴部フィルム2の内表面との接着部と、を有することが好ましい。
【0057】
第四例の自立袋1Dでは、縦シール16の位置及び縦シール16の下端部16aに含まれる底フィルム3の側辺をいずれも右側に限定して表現しているが、先に述べた通り、左右は便宜上の表現であって、図8及び図9の自立袋1Dを図示された面とは反対側の面を平面視すれば、縦シール16の位置は胴部10の左側縁となり、縦シール16の下端部16aに含まれる底フィルム3の側辺は左側辺となる。このため、第四例の自立袋1Dにおいて、左右の表現は縦シール16が右側にくるように自立袋1Dを平面視したときの左右を意味する。第四例の自立袋1Dは、第三例の自立袋1C(図5又は図6に図示)と同様に縦シール16がサイドシールとなるため、前述の縦シール16をサイドシールとすることによって得られる効果を奏する。
【0058】
第四例の自立袋1Dでは、少なくとも上端閉塞辺22及び左側辺23が閉塞されていればよく、図8及び図9では一例として、1枚の底フィルム3が折り返された折り目を左側辺23とし、左側辺23の一端から伸びる辺において底フィルム3の内表面同士を接着して上端閉塞辺22とした形態を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8及び図9に示す左側辺23において底フィルム3の内表面同士が接着された状態としてもよい。底フィルム3の内表面同士が接着された状態は、1枚の底フィルム3を折り返した折り目の上から熱シールして折り目から所定幅の領域で対面し合う底フィルム3同士を接着した形態、及び2枚の底フィルム3同士を第1面を内側にして重ね合わせて端辺を所定幅で接着した形態を包含する。
【0059】
第四例の自立袋1Dは、図8に示すように、縦シール16が、胴部10の外表面に対して遊離しており、かつ、自立袋1を吊り下げるための係止孔17を有していることが好ましい。係止孔17の構成及びその効果は、図5に示す第三例の自立袋1Cと同様である。
【0060】
図9の胴部10を横断する端面は、図7に示す端面図のようになっている。第四例の自立袋1Dは、図8に示すように、縦シール16が、胴部10の外表面に沿って折り返された状態で胴部10の外表面に固定されていることが好ましい。縦シール16の固定及びその効果は、図6に示す第三例の自立袋1Cと同様である。
【0061】
図10及び図11を参照して、第四例の自立袋1Dの製造工程の一例を説明する。まず、図10(a)に示すように、1枚のシート状の底フィルム3を高融点シーラント層からなる第1面3aを内側にして二つ折りして、折り目からなる閉塞した左側辺23を形成する。次いで、図10(b)に示すように、左側辺23の一端から伸びる辺において向かい合う底フィルム3の内表面同士を接着して、上端閉塞辺22を形成する。このとき、右側辺24は、底フィルム3の内表面同士を非接着状態とするか、又は底フィルム3の内表面同士を接着状態としてもよい。
【0062】
図10(b)で得られた底フィルム3を、図11(a)に示すように1枚のシート状の胴部フィルム2を二つ折りした下端部へ挿入する(第一工程)。このとき、縦シール16の下端部16aが形成される部分では、重ね合わされた2枚の胴部フィルム2の内表面同士の間に、重ね合わされた2枚の底フィルム3からなる右側辺24が挟まれた状態とされる。また、図11(a)では、一例として底フィルム3の開放辺21側の縁を胴部フィルム2の下端縁から外側に出すように配置しているが、本発明はこれに限定されず、開放辺21側の縁を胴部フィルム2の下端縁よりも内側に配置するか(不図示)、開放辺21側の縁を胴部フィルム2の下端縁に一致させて配置してもよい(不図示)。次いで、図11(b)に示すように、縦シール16を形成する(第二工程)。縦シールは、熱シールで形成することが好ましく、その形成方法は、特に限定されないが、例えば、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、スポットシール、インパルスシーラー又はレーザーによる接合であってもよい。このとき、縦シール16の下端部16aでは、胴部フィルム2の内表面と底フィルム3との熱接着部と、底フィルム3同士の熱接着部と、底フィルム3と胴部フィルム2の内表面との熱接着部と、が形成されて、2枚の胴部フィルム2と2枚の底フィルム3とが一体に熱接着される。縦シール16の下端部16a以外の部分では、2枚の胴部フィルムの内表面同士が相互に熱接着される。次いで、図11(c)に示すように、各種の底シール30(31,34,35)及び隙間40があれば隙間シール部50が形成されて、胴部10の下端11が閉塞される(第三工程)。各種の底シール30(31,34,35)及び隙間シール部50は、すべて同時に形成してもよいし、それぞれ順次形成してもよい。図11(a)の工程において、底フィルム3の開放辺21側の縁を胴部フィルム2の下端縁から外側に出すように配置した場合、図11(d)に示すように、図11(c)で形成した下端シール部31及び隙間シール部50を適切な位置、例えば一点鎖線L(図11(c)に図示)の位置で切断する(第四工程)。これによって、胴部フィルム2の下端と底フィルム3の開放辺21とが一致しており、かつ、一致した胴部フィルム2の下端と底フィルム3の開放辺21とが全周にわたって接着されている状態となり、自立袋1の接地面に対して剛性の高い胴部フィルム2の下端と底フィルム3の開放辺21との接着部が設置することとなり、自立袋1は安定して自立することができる。
【0063】
ここまで、本実施形態に係る自立袋1について具体例を示して説明してきたが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0064】
例えば、図1に示す第一例の自立袋1Aにおいて、図4に示すように縦シール16に係止孔17を設けて吊り下げ可能としたり、縦シール16を左側縁13又は右側縁14に配置し、図5に示すように縦シール16に係止孔17を設けて吊り下げ可能としたり、図6及び図7に示すように縦シール16を胴部10の外表面に沿って折り返された状態で胴部10の外表面に固定する変形を行ってもよい。
【0065】
図3図6に示す第二例の自立袋1B、第三例の自立袋1Cでは、図12に示すように、底ガゼット20が、1枚のシート状の底フィルム3(3C)を二つ折りした折り目が上端閉塞辺22であり、折り目の両端から延びる両縁で底フィルム3の内表面同士を接着して閉塞した部分が左側辺23及び右側辺24である例を示したが、例えば、図13図16に示すような変形をしてもよい。
【0066】
底フィルム3(3A)は、図13に示すように、周方向に継ぎ目のないチューブ状フィルムであって両端が開放した筒形状をなし、開放辺21は、底フィルム3(3A)の筒形状の両端のうち一端で向かい合う底フィルム3(3A)同士を非接着状態とした部分であり、上端閉塞辺22は、底フィルム3(3A)の筒形状の両端のうち他端で向かい合う底フィルム3(3A)同士を接着して閉塞した部分であり、左側辺23及び右側辺24は、底フィルム3(3A)の筒形状を扁平状として形成される折り目であることが好ましい。図13に示すような周方向に継ぎ目のないチューブ状フィルムは、例えばインフレーション成形によって形成することができる。予め筒形状のフィルムの巻き取り品を用意し、フィルムを繰り出しながら所定間隔でヒートシールしてスリットするというような簡易な工程で底フィルム3(3A)を製造することができるので、製造コストを抑制することができる。
【0067】
また、底フィルム3(3B)は、図14に示すように、1枚のシート状フィルムであり、該シート状フィルムを背貼りして筒形状をなしており、底フィルム3(3B)の筒形状の両端のうち他端で向かい合う底フィルム3(3B)同士を接着して上端閉塞辺22とし、底フィルム3(3B)の筒形状を扁平状として形成される折り目を左側辺23及び右側辺24としてもよい。
【0068】
底フィルム3(3D)は、図15に示すように、2枚のシート状フィルムであり、該2枚のシート状フィルムを重ね合わせて周縁のうち一つの縁でシート状フィルムの内表面同士を非接着状態とした部分を開放辺21とし、周縁のうち残りの縁でシート状フィルムの内表面同士を接着して閉塞してそれぞれ上端閉塞辺22、左側辺23及び右側辺24とした形態であってもよい。
【0069】
底フィルム3(3E)は、1枚のシート状フィルムであり、該1枚のシート状フィルムを二つ折りした折り目を左側辺23又は右側辺24のいずれか一方とし(図7では右側辺24)、折り目に対向する縁で底フィルムの内表面同士を接着して閉塞した部分を左側辺23又は右側辺24のいずれか他方とし(図7では左側辺23)、折り目の一端から延びる縁でシート状フィルムの内表面同士を接着して閉塞した部分を上端閉塞辺22とし、折り目の他端から延びる縁でシート状フィルムの内表面同士を非接着状態とした部分を開放辺21とした形態であってもよい。
【0070】
図8及び図9に示す第四例の自立袋1Dでは、底ガゼット20を、図12図16に示す底フィルム3で形成する変形をしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1(1A,1B,1C,1D) 自立袋
2 胴部フィルム
3(3A,3B,3C,3D,3E) 底フィルム
3a 第1面
3b 第2面
10 胴部
11 下端
12 上端
13 左側縁
14 右側縁
15 収容空間
16 縦シール
16a 縦シールの下端部
17 係止孔
20 底ガゼット
21 開放辺
22 上端閉塞辺
23 左側辺
24 右側辺
28 切欠き
30 底シール
31 下端シール部
32 左側シール部
33 右側シール部
34 左側傾斜シール部
35 右側傾斜シール部
40 隙間
50 隙間シール部
51 左側隙間シール部
52 右側隙間シール部
53 左側連接シール部
54 右側連接シール部
60 非接着部
201 ベース層
202 シーラント層
【要約】
【課題】本開示は、液体用の剛性容器の代替品としても利用可能な美観を有するとともに環境に配慮し、製造コストを抑えることができ、胴部を手で握った時の不快感がない自立袋を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る自立袋1は、胴部フィルム2として少なくともベース層とシーラント層とを有するラミネートフィルムを、シーラント層を内側にして縦シール16を設けて上端12及び下端11が開放した筒形状とし、該筒形状を扁平状として左側縁13及び右側縁14を設けた胴部10と、開放辺21と、上端閉塞辺22と、左側辺23と、右側辺24と、を有する底フィルム3が開放辺を下側にして胴部の下端部に挿入された底ガゼット20と、を備え、胴部フィルムと底フィルムとは、底シール30で固定されており、底シールは、少なくとも、対面し合う底フィルム3の下端部と胴部フィルム2の下端部とが接着された下端シール部31を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16