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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-10
(45)【発行日】2023-11-20
(54)【発明の名称】地盤撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20231113BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023132562
(22)【出願日】2023-08-16
【審査請求日】2023-08-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597028287
【氏名又は名称】埼玉八栄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】根岸 良幸
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-231691(JP,A)
【文献】特開2021-172982(JP,A)
【文献】特開2006-037632(JP,A)
【文献】特開2003-342947(JP,A)
【文献】特開2010-048068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、
前記駆動モータの回転を伝えるチェーン機構と、
前記チェーン機構により回転する回転軸の両側に取り付けられた第1の撹拌体及び第2の撹拌体と、を備え、
前記第1の撹拌体は、複数の撹拌爪が配列された第1の単位撹拌翼体及び第2の単位撹拌翼体からなり、前記第2の撹拌体は、複数の撹拌爪が配列された第3の単位撹拌翼体及び第4の単位撹拌翼体からなり、
前記第1から前記第4の単位撹拌翼体は、それぞれ前記回転軸に取り付けられた単位撹拌翼基体と、該単位撹拌翼基体と接続される撹拌爪取付台座と、該撹拌爪取付台座の外部表面に沿って配列された前記複数の撹拌爪と、を有し、
前記複数の撹拌爪は、それぞれ前記撹拌爪取付台座上で前記回転軸の方向に間隔をあけて配列され、
前記第1から前記第4の単位撹拌翼体の各単位撹拌翼基体は、対向する2つの単位撹拌翼基板と、該2つの単位撹拌翼基板の間の両側部を覆う、各撹拌爪取付台座から延びた2つの側板と、を有する、
地盤撹拌装置。
【請求項2】
前記第1の単位撹拌翼体と前記第2の単位撹拌翼体との間及び前記第3の単位撹拌翼体と前記第4の単位撹拌翼体との間は、それぞれ、互いに180度の角間隔で配設される、請求項1に記載の地盤撹拌装置。
【請求項3】
前記第1の単位撹拌翼体の前記撹拌爪取付台座は、前記複数の撹拌爪が前記回転軸の回転方向に対して内側から外側に向かって斜めに配設さるように、前記第1の単位撹拌翼体の前記単位撹拌翼基体に対して傾けて配置され、
前記第2の単位撹拌翼体の前記撹拌爪取付台座は、前記複数の撹拌爪が前記回転軸の回転方向に対して外側から内側に向かって斜めに配設さるように、前記第2の単位撹拌翼体の前記単位撹拌翼基体に対して傾けて配置され、
前記第3の単位撹拌翼体の前記撹拌爪取付台座は、前記複数の撹拌爪が前記回転軸の回転方向に対して外側から内側に向かって斜めに配設さるように、前記第3の単位撹拌翼体の前記単位撹拌翼基体に対して傾けて配置され、
前記第4の単位撹拌翼体の前記撹拌爪取付台座は、前記複数の撹拌爪が前記回転軸の回転方向に対して内側から外側に向かって斜めに配設さるように、前記第4の単位撹拌翼体の前記単位撹拌翼基体に対して傾けて配置される、請求項2に記載の地盤撹拌装置。
【請求項4】
前記撹拌爪取付台座は、前記単位撹拌翼基体と接続される、円弧状に湾曲した湾曲部と、該湾曲部の面の長さ方向に沿って前記単位撹拌翼基体を挟んで設けられた補強部とを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の地盤撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を掘削しながら土壌とセメントミルク等の土壌改質材とを撹拌混合して軟弱地盤等を強化するための地盤撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地盤強化のための地盤撹拌装置として、例えば特許文献1に示されるように、土砂を上下・前後左右に効率的に撹拌できるようにした地盤撹拌装置が知られている。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載された地盤撹拌装置では、油圧モータの回転が第1及び第2のチェーン機構により第1及び第2の撹拌体に伝えられる。第1の撹拌体は、4つの撹拌爪が外側から内側に斜めに配設された第1の単位撹拌翼体と、4つの撹拌爪が内側から外側に斜めに配設された第2の単位撹拌翼体とを有する。第2の撹拌体は、4つの撹拌爪が外側から内側に向かって斜めに配設された第3の単位撹拌翼体と、4つの撹拌爪が内側から外側に向かって斜めに配設された第4の単位撹拌翼体とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-231691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来の地盤撹拌装置では、第1の撹拌体及び第2の撹拌体の回転と共に、土砂は、上下方向のみでなく、外側から内側に向かうような方向と、内側から外側向かうような方向とに、交互に動かされる。これにより、土砂は、上下方向及び前後方向と左右方向とに十分に撹拌される。
【0006】
上述の従来の地盤撹拌装置では、第1から第4の単位撹拌翼体の各単位撹拌翼体は、4つの撹拌爪と、4つの撹拌爪が取付られる撹拌爪取付台座と、撹拌爪取付台座の両端部にそれぞれ接続された2つ単位撹拌翼基板とで構成される。2つ単位撹拌翼基板は回転軸に取り付けられる。
第1及び第3の単位撹拌翼体の各撹拌爪取付台座は、4つの撹拌爪が外側から内側に向かって斜めに配設されるように、2つ単位撹拌翼基板に対して斜めに配置される。また、第2及び第4の単位撹拌翼体の撹拌爪取付台座は、4つの撹拌爪が内側から外側に向かって斜めに配設されるように、第1及び第3の単位撹拌翼体とは異なる方向に、2つ単位撹拌翼基板に対して斜めに配置される。
各撹拌爪取付台座の両端部にそれぞれ取り付けられる2つの単位撹拌翼基板は、回転軸の長さ方向に対して所定の間隔離れて配置される。そのため、撹拌された土砂が2つの単位撹拌翼基板の間に入り込み、土砂が詰まって撹拌の抵抗になる場合がある。
【0007】
単位撹拌翼体の構成について、第1の単位撹拌翼体を例にとって、図14及び図15を用いて説明する。
図14及び図15に示すように、第1の単位撹拌翼体141aは、4つの撹拌爪Ba11~Ba14と、4つの撹拌爪Ba11~Ba14が取付られる撹拌爪取付台座146aと、撹拌爪取付台座146aの両端部にそれぞれ接続された2つ単位撹拌翼基板145a,145bとで構成される。
図15に示すように、2つの単位撹拌翼基板145a,145bは、回転軸の長さ方向に対して所定の間隔d離れて配置されるため、単位撹拌翼体141aを回転軸を中心に回転させると、図15に示すように、撹拌された土砂が2つの単位撹拌翼基板145a,145bの間に入り込み、土砂が詰まって撹拌の抵抗になる場合がある。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑み、2つの単位撹拌翼基板間に土砂が入りこまないように構成された地盤撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る実施態様の地盤撹拌装置は、駆動モータと、
前記駆動モータの回転を伝えるチェーン機構と、
前記チェーン機構により回転する回転軸の両側に取り付けられた第1の撹拌体及び第2の撹拌体と、を備え、
前記第1の撹拌体は、複数の撹拌爪が配列された第1の単位撹拌翼体及び第2の単位撹拌翼体からなり、前記第2の撹拌体は、複数の撹拌爪が配列された第3の単位撹拌翼体及び第4の単位撹拌翼体からなり、
前記第1から前記第4の単位撹拌翼体は、それぞれ前記回転軸に取り付けられた単位撹拌翼基体と、該単位撹拌翼基体と接続される撹拌爪取付台座と、該撹拌爪取付台座の外部表面に沿って配列された前記複数の撹拌爪と、を有し、
前記複数の撹拌爪は、それぞれ前記撹拌爪取付台座上で前記回転軸の方向に間隔をあけて配列され、
前記第1から前記第4の単位撹拌翼体の各単位撹拌翼基体は、対向する2つの単位撹拌翼基板と、該2つの単位撹拌翼基板の間の両側部を覆う、各撹拌爪取付台座から延びた2つの側板と、を有する、地盤撹拌装置である。
【0010】
(2) 上記(1)の地盤撹拌装置において、前記第1の単位撹拌翼体と前記第2の単位撹拌翼体との間及び前記第3の単位撹拌翼体と前記第4の単位撹拌翼体との間は、それぞれ、互いに180度の角間隔で配設されることが好ましい。
【0011】
(3) 上記(2)の地盤撹拌装置において、前記第1の単位撹拌翼体の前記撹拌爪取付台座は、前記複数の撹拌爪が前記回転軸の回転方向に対して内側から外側に向かって斜めに配設さるように、前記第1の単位撹拌翼体の前記単位撹拌翼基体に対して傾けて配置され、
前記第2の単位撹拌翼体の前記撹拌爪取付台座は、前記複数の撹拌爪が前記回転軸の回転方向に対して外側から内側に向かって斜めに配設さるように、前記第2の単位撹拌翼体の前記単位撹拌翼基体に対して傾けて配置され、
前記第3の単位撹拌翼体の前記撹拌爪取付台座は、前記複数の撹拌爪が前記回転軸の回転方向に対して外側から内側に向かって斜めに配設さるように、前記第3の単位撹拌翼体の前記単位撹拌翼基体に対して傾けて配置され、
前記第4の単位撹拌翼体の前記撹拌爪取付台座は、前記複数の撹拌爪が前記回転軸の回転方向に対して内側から外側に向かって斜めに配設さるように、前記第4の単位撹拌翼体の前記単位撹拌翼基体に対して傾けて配置されることが好ましい。
【0012】
(4) 上記(1)から(3)のいずれかの地盤撹拌装置において、前記撹拌爪取付台座は、前記単位撹拌翼基体と接続される、円弧状に湾曲した湾曲部と、該湾曲部の面の長さ方向に沿って前記単位撹拌翼基体を挟んで設けられた補強部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、2つの単位撹拌翼基板間に土砂が入りこまないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態の地盤撹拌装置の概要を示す側面図である。
図2】本発明の第1の実施形態の地盤撹拌装置における撹拌体の説明に用いる斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態の地盤撹拌装置の構成を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態の地盤撹拌装置の側面図である。
図5】本発明の第1及び第2の撹拌体の説明に用いる左右側面図及び正面図である。
図6】1つの単位撹拌翼基体の分解斜視図である。
図7】1つの単位撹拌翼基体の斜視図である。
図8】1つの単位撹拌翼基体に撹拌爪取付台座が架設された構成を示す斜視図である。
図9】1つの単位撹拌翼基体に撹拌爪取付台座が架設された構成を示す正面図である。
図10図9のC1-C2断面を回転軸側から見た図である。
図11】単位撹拌翼基体を円形の取付部材に取り付けた状態を示す斜視図である。
図12】2つの撹拌体が一方向に回転する様子を示す図である。
図13】土砂を外側から内側に向かわせる動作と、土砂を内側から外側に向かわせる動作とを説明するための図である。
図14】従来の地盤撹拌装置の説明に用いる断面図である。
図15】従来の地盤撹拌装置の課題を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明が適用された地盤撹拌装置の概要を示すものである。
【0016】
図1において、作業車両101には、可動アーム102が延設される。可動アーム102は、折曲可能に連結されたアーム102a及び102bとからなる。可動アーム102の先端に、本発明の実施形態の地盤撹拌装置100が取り付けられる。地盤撹拌装置100は、可動アーム102の操作により、地盤に対して垂直上下方向に動かすことができる。
【0017】
図2は、本発明の実施形態の地盤撹拌装置を用いた撹拌作業の説明図である。図2に示すように、地盤撹拌装置100は、上部支持体11、下部支持体23及び撹拌体30a及び30bから構成される。軟質土壌の地盤強化を行う場合には、図2(A)に示すように、地盤撹拌装置100の先端を土壌120の上方に位置させる。そして、図2(B)に示すように、撹拌体30a及び30bを回転させながら、可動アーム102を駆動することにより、地盤撹拌装置100を下方に移動させる。地盤撹拌装置100を下方に移動させると、地盤撹拌装置100の移動に伴って、撹拌体30a及び30bにより、土壌120が掘削される。
【0018】
また、このとき、地盤撹拌装置100の先端には、作業車両101から、スラリー状または粉体状のセメント等の土壌改質材が導かれる。この土壌改質材が地盤撹拌装置100の先端に設けられた噴射ノズル30cから地中に吐出される。これにより、撹拌体30a及び30bにより土壌が掘削されながら、土壌と土壌改質材とが撹拌混合される。
【0019】
このように、本発明の実施形態の地盤撹拌装置では、その先端部に設けられた撹拌体30a及び30bを回転させることで、土壌を掘削しながら撹拌して、軟質土壌の地盤改良を行うことができる。
【0020】
図3及び図4は、本実施の形態に係る地盤撹拌装置100の構成を示すものである。図3及び図4において、縦長の上部支持体11及び下部支持体23の内部は、空間となっており、これらの空間は外部とシールされ、これらの空間にはそれぞれ無端チェーン25,26が挿入され、土砂等がこの空間内に入り込まないように、保護されている。縦長の上部支持体11の上側には、油圧モータ12が配置される。油圧モータ12の駆動軸13にはスプロケット14が嵌着される。
【0021】
上部支持体11と下部支持体23の接続部に中間軸20が設けられる。中間軸20には、スプロケット21及び22が嵌着されている。油圧モータ12の駆動軸13のスプロケット14と、中間軸20のスプロケット21との間に、無端チェーン25が懸装される。
【0022】
下部支持体23の下部には、撹拌体30a及び30bが配設される。撹拌体30a及び30bの回転軸31a及び31bには、スプロケット32が嵌着される。中間軸20のスプロケット22と、撹拌体30a及び30bのスプロケット32との間に、無端チェーン26が懸装される。
【0023】
油圧モータ12の駆動力は、無端チェーン25及び26を介して、撹拌体30a及び30bに伝えられる。すなわち、油圧モータ12が回転すると、油圧モータ12の駆動軸13から中間軸20に、無端チェーン25を介してその回転が伝えられる。そして、中間軸20が回転すると、中間軸20から撹拌体30a及び30bの回転軸31a及び31bに、無端チェーン26を介してその回転が伝えられる。油圧モータ12の回転数の制御や油圧の供給は、送油経路16を介して外部から操作可能とされている。
【0024】
図5(A)~図5(C)は、撹拌体30a及び30bの左側面図、正面図、及び右側面図である。
図5(A)~(C)に示すように、撹拌体30aは、2つの単位撹拌翼体41a及び41bが設けられ、撹拌体30bには、単位撹拌翼体41c及び41dが設けられる。単位撹拌翼体41aと単位撹拌翼体41bとの間、単位撹拌翼体41cと単位撹拌翼体41dとの間は、それぞれ、互いに180度の角間隔で配設される。単位撹拌翼体41a、単位撹拌翼体41b、単位撹拌翼体41c、及び単位撹拌翼体41dは、第1~第4の単位撹拌翼体に対応する。
単位撹拌翼体41aには、4つの撹拌爪Ba1~Ba4が配設(配列)され、単位撹拌翼体41bには、3つの撹拌爪Bb1~Bb3が配設(配列)され、単位撹拌翼体41cには、3つの撹拌爪Bc1~Bc3が配設(配列)され、単位撹拌翼体41dには、4つの撹拌爪Bd1~Bd4が配設(配列)される。回転軸31a及び31bが回転すると、これに伴って、単位撹拌翼体41a、41b及び単位撹拌翼体41c、41dが回転し、撹拌爪Ba1~Ba4、Bb1~Bb3、及びBc1~Bc3、Bd1~Bd4により、土壌が掘削される。
【0025】
ここでは、単位撹拌翼体41aに4つの撹拌爪Ba1~Ba4、単位撹拌翼体41bに3つの撹拌爪Bb1~Bb3、単位撹拌翼体41cには3つの撹拌爪Bc1~Bc3、及び単位撹拌翼体41dに4つの撹拌爪Bd1~Bd4が配設される例が示されているが、単位撹拌翼体41a~単位撹拌翼体41dに設けられる撹拌爪の数は複数であればよく特に限定されない。
例えば、単位撹拌翼体41a及び単位撹拌翼体41dの撹拌爪の数は、5つ以上であってもよく、単位撹拌翼体41b及び単位撹拌翼体41cの撹拌爪の数は、4つ以上であってもよい。単位撹拌翼体41a及び単位撹拌翼体41dの撹拌爪の数は、単位撹拌翼体41b及び単位撹拌翼体41cの撹拌爪の数よりも1つ多くしているが、2つ以上多くしてもよい。また、単位撹拌翼体41a~単位撹拌翼体41dに設けられる撹拌爪の数は同じでもよい。単位撹拌翼体41a~単位撹拌翼体41dに設けられる撹拌爪の数や大きさは、単位撹拌翼体41a~単位撹拌翼体41dの大きさにより適宜決められ、単位撹拌翼体41a~単位撹拌翼体41dに設けられる複数の撹拌爪の間隔は、単位撹拌翼体41a~単位撹拌翼体41dの大きさや撹拌爪の数によって適宜決められる。単位撹拌翼体41a~単位撹拌翼体41dの大きさ、撹拌爪の数及び複数の撹拌爪の間隔は、地盤撹拌装置の大きさによって変えることができる。
【0026】
左側の撹拌体30aは、図5(A)及び図5(B)に示すように、2つの単位撹拌翼体41a及び41bを有している。単位撹拌翼体41aには、複数の例えば4つの撹拌爪Ba1~Ba4が回転方向M1に対して内側から外側に向かって斜めに配設され、単位撹拌翼体41bには、複数の例えば3つの撹拌爪Bb1~Bb3が回転方向M1に対して外側から内側に向かって斜めに配設されている。
【0027】
右側の撹拌体30bは、図5(C)及び図5(B)に示すように、2つの単位撹拌翼体41c及び41dを有している。単位撹拌翼体41cには、複数の例えば3つの撹拌爪Bc1~Bc3が回転方向M1に対して外側から内側に向かって斜めに配設され、単位撹拌翼体41dには、複数の例えば4つの撹拌爪Bd1~Bd4が回転方向M1に対して内側から外側に向かって斜めに配設されている。
【0028】
左側の撹拌体30aについて更に説明する。
単位撹拌翼体41aは、単位撹拌翼基体45aと、4つの撹拌爪Ba1~Ba4が配設された撹拌爪取付台座46aとを備えている。単位撹拌翼体41bは、単位撹拌翼基体45bと、3つの撹拌爪Bb1~Bb3が配設された撹拌爪取付台座46bと、を備えている。撹拌爪取付台座46a、46bは、円弧状に湾曲した湾曲部46af、46bfと、補強部46as、46bsとを有する。補強部46as、46bsは、円弧状に湾曲した湾曲部46af、46bfが歪まないように補強する。ここでは、補強部46as、46bsは、湾曲部46af、46bfの円弧状に湾曲した四角状の面の長手方向に沿って単位撹拌翼基体45a、45bを挟んで対角線方向に配置されているが、四角状の面の長手方向に平行に配置されてもよい。
左側の回転軸31aには、図5(A)及び図5(B)に示すように、円形の取付部材42aが嵌着される。取付部材42aに、単位撹拌翼基体45aと、単位撹拌翼基体45bが取り付けられる。
【0029】
単位撹拌翼基体45aには、撹拌爪取付台座46aが架設される。撹拌爪取付台座46aの湾曲部46afの外側の面には、例えば図5(B)に示すように、回転方向M1に対して内側から外側に向かって斜めに4つの撹拌爪Ba1~Ba4が配設(配列)される。
撹拌爪取付台座46aは、4つの撹拌爪Ba1~Ba4が回転方向M1に対して内側から外側に向かって斜めに配設さるように、単位撹拌翼基体45aに対して傾けて配置される。
単位撹拌翼基体45bには、撹拌爪取付台座46bが架設される。撹拌爪取付台座46bの湾曲部46bfの外側の面には、例えば図5(B)に示すように、回転方向M1に対して外側から内側に向かって斜めに3つの撹拌爪Bb1~Bb3が配設(配列)される。
撹拌爪取付台座46bは、3つの撹拌爪Bb1~Bb3が回転方向M1に対して外側から内側に向かって斜めに配設さるように、単位撹拌翼体45bに対して傾けて配置される。
【0030】
次に、側の撹拌体30bについて更に説明する。
単位撹拌翼体41cは、単位撹拌翼基体45cと、3つの撹拌爪Bc1~Bc3が配設された撹拌爪取付台座46cとを備えている。単位撹拌翼体41dは、単位撹拌翼基体45dと、4つの撹拌爪Bd1~Bd4が配設された撹拌爪取付台座46dと、を備えている。撹拌爪取付台座46c、46dは、円弧状に湾曲した湾曲部46cf、46dfと、補強部46cs、46dsとを有する。補強部46cs、46dsは、円弧状に湾曲した湾曲部46cf、46dfが歪まないように補強する。ここでは、補強部46cs、46dsは、湾曲部46cf、46dfの円弧状に湾曲した四角状の面の長手方向に沿って単位撹拌翼基体45c、45dを挟んで対角線方向に配置されているが、四角状の面の長手方向に平行に配置されてもよい。
【0031】
右側の回転軸31bには、図5(C)及び図5(B)に示すように、円形の取付部材42bが嵌着される。取付部材42bに、単位撹拌翼基体45cと、単位撹拌翼基体45dが取り付けられる。
【0032】
単位撹拌翼基体45cには、撹拌爪取付台座46cが架設される。撹拌爪取付台座46cの湾曲部46cfの外側の面には、図5(B)に示すように、回転方向M1に対して外側から内側に向かって斜めに3つの撹拌爪Bc1~Bc3が配設(配列)される。
撹拌爪取付台座46cは、3つの撹拌爪Bc1~Bc3が回転方向M1に対して外側から内側に向かって斜めに配設さるように、単位撹拌翼基体45cに対して傾けて配置される。
単位撹拌翼基体45dには、撹拌爪取付台座46dが架設される。撹拌爪取付台座46dの湾曲部46dfの外側の面には、図5(B)に示すように、回転方向M1に対して内側から外側に向かって斜めに4つの撹拌爪Bd1~Bd4が配設(配列)される。
撹拌爪取付台座46dは、4つの撹拌爪Bd1~Bd4が回転方向M1に対して内側から外側に向かって斜めに配設さるように、単位撹拌翼基体45dに対して傾けて配置される。
【0033】
以下、単位撹拌翼基体45a~45cの構成について、単位撹拌翼基体45aを取り上げて詳細に説明する。単位撹拌翼基体45b~45dの構成は、単位撹拌翼基体45aの構成と同じである。
図6は、単位撹拌翼基体45aの分解斜視図である。図7は単位撹拌翼基体45aの斜視図である。図8は、単位撹拌翼基体45aに撹拌爪取付台座46aが架設された構成を示す斜視図、図9は単位撹拌翼基体45aに撹拌爪取付台座46aが架設された構成を示す正面図である。図10図9のC1-C2断面を回転軸側から見た図である。図11は単位撹拌翼基体45aを円形の取付部材42aに取り付けた状態を示す斜視図である。
【0034】
図6及び図7に示すように、単位撹拌翼基体45aは、対向する、単位撹拌翼基板45a1と単位撹拌翼基板45a2、及び単位撹拌翼基板45a1と単位撹拌翼基板45a2の側部を覆う、側板45a3と側板45a4を備えている。
図8及び図9に示すように、単位撹拌翼基体45aが回転方向M1に回転すると、撹拌爪取付台座46aの湾曲部46afに配置された4つの撹拌爪Ba1~Ba4は、土砂を内側から外側に向かって送り出す。送りだされた土砂は、単位撹拌翼基板45a1と単位撹拌翼基板45a2の側部を覆う、側板45a3と側板45a4に当たり、単位撹拌翼基板45a1と単位撹拌翼基板45a2との間に入り込むことが抑制される。
単位撹拌翼基体45dについても単位撹拌翼基体45aと同様な効果があり、単位撹拌翼基体45b及び単位撹拌翼基体45cについては、土砂は外側から内側に向かって送り出されるが、単位撹拌翼基体45aと同様な効果がある。
【0035】
本発明の実施形態では、撹拌体30aは、それぞれ4つの撹拌爪Ba1~Ba4、3つの撹拌爪Bb1~Bb3が内側から外側、外側から内側に向かって斜めに配設された単位撹拌翼体41a及び41bを有する。撹拌体30bは、それぞれ3つの撹拌爪Bc1~Bc3、4つの撹拌爪Bd1~Bd4が外側から内側、内側から外側に向かって斜めに配設された単位撹拌翼体41及び41を有する。また、このため、撹拌体30a及び30bが回転すると、土壌が上下・前後左右に撹拌され、満遍なく撹拌される。
【0036】
すなわち、本発明の実施形態では、図3に示したように、油圧モータ12が回転すると、油圧モータ12の駆動軸13から中間軸20に、無端チェーン25を介してその回転が伝えられる。そして、中間軸20が回転すると、中間軸20から撹拌体30a及び30bの回転軸31a及び31bに、無端チェーン26を介してその回転が伝えられる。これにより、図12に示すように、撹拌体30a及び30bが矢印M1方向に回転する。
【0037】
単位撹拌翼体41b及び41cは、外側から内側に向かって斜めに撹拌爪Bb1~Bb3、Bc1~Bc3が配設される。このため、単位撹拌翼体41b及び41cが図6に示すような矢印M1方向に回転すると、順次土砂を撹拌し、その結果、図13に示すように、外側から内側に向かって、土砂に対して力がかかる。このため、撹拌体30a及び30bの回転とともに、土砂は、外側から内側に向かうような方向に動いていく。
【0038】
単位撹拌翼体41a及び41dには内側から外側に向かって斜めに撹拌爪Ba1~Ba4、Bd1~Bd4が配設される。このため、単位撹拌翼体41a及び41dが、さらに矢印M1方向に180度回転すると、順次土砂を撹拌し、その結果、図13に示すように、内側から外側に向かって、土砂に対して力がかかる。このため、撹拌体30a及び30bの回転とともに、土砂は、内側から外側に向かうような方向に動いていく。
【0039】
撹拌体30a及び30bは、回転とともに、図13に示す、土砂を外側から内側に向かわせる動作と、土砂を内側から外側に向かわせる動作と、を繰り返す。したがって、撹拌体30a及び30bの回転と共に、土砂は、上下方向のみでなく、外側から内側に向かうような方向と、内側から外側向かうような方向とに、交互に動かされることになり、前後方向と左右方向とに十分に撹拌されることになる。両側の撹拌体30a及び30bは、それぞれ、互いに180度の角間隔で2つの単位撹拌翼体が配設されていることが望ましい。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施形態では、撹拌体30a及び30bは、複数の撹拌爪Bb1~Bb3、Bc1~Bc3が外側から内側に向かって斜めに配設された単位撹拌翼体41b及び41cと、複数の撹拌爪Ba1~Ba4、Bd1~Bd4が内側から外側に向かって斜めに配設された単位撹拌翼体41a及び41dとを有する。このため、土壌が上下・前後左右に撹拌され、満遍なく撹拌される。
【0041】
また、本発明の実施形態では、油圧モータ12の回転を無端チェーン25及び26を介して、撹拌体30a及び30bの回転軸31a及び31bに伝えるようにしている。このような無端チェーン25及び26を使うことにより、十分なトルクを得られると共に、スムーズに撹拌体30a及び30bを回転させることができる。
【0042】
また、本発明の実施形態では、油圧モータ12の回転を、無端チェーン25を介して中間軸20で受け、さらに、中間軸20から無端チェーン26を介して、撹拌体30a及び30bの回転軸31a及び31bに伝えるようにしている。このため、撹拌体30a及び30bの位置で最適なトルクが得られるように、中間軸でトルク変換を行うことができる。
【0043】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、本発明は、地盤を掘削しながらセメントミルク等の固化材と土壌とを撹拌混合して軟弱地盤等を強化するための地盤撹拌装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
11 上部支持体(第1の支持体)
12 油圧モータ
13 駆動軸
14 スプロケット
16 送油経路
20 中間軸
21 スプロケット
22 スプロケット
23 下部支持体(第2の支持体)
25,26 無端チェーン
30a~30d 撹拌体
30c 噴射ノズル
32 スプロケット
41a~41d 単位撹拌翼体
42a、42b 取付部材
45a~45d 単位撹拌翼基体
45a1、45a2 単位撹拌翼基板
45a3、45a4 側板
46a~46d 撹拌爪取付台座
46af~46df 湾曲部
46as~46ds 補強部
Ba1~Ba4,Bb1~Bb3,Bc1~Bc3,Bd1~Bd4 撹拌爪
100 地盤撹拌装置
【要約】
【課題】2つの単位撹拌翼基板間に土砂が入りこまないようにする。
【解決手段】地盤撹拌装置が、回転軸の両側に取り付けられた第1及び第2の撹拌体と、を備え、第1の撹拌体は、複数の撹拌爪が配列された第1の単位撹拌翼体及び第2の単位撹拌翼体とからなり、第2の撹拌体は、複数の撹拌爪が配列された第3の単位撹拌翼体及び第4の単位撹拌翼体とからなり、第1から第4の単位撹拌翼体は、それぞれ回転軸に取り付けられた単位撹拌翼基体と、単位撹拌翼基体と接続される撹拌爪取付台座と、撹拌爪取付台座の外部表面に沿って配列された複数の撹拌爪と、を有し、複数の撹拌爪は、それぞれ撹拌爪取付台座上で回転軸の方向に間隔をあけて配列され、第1から第4の単位撹拌翼体の各単位撹拌翼基体は、対向する2つの単位撹拌翼基板と、該2つの単位撹拌翼基板の間の両側部を覆う、各撹拌爪取付台座から延びた2つの側板と、を有する。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15