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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】コイル部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20231114BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20231114BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20231114BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F27/29 123
H01F41/04 B
H01F41/04 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017205483
(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公開番号】P2018121047
(43)【公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-09-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2017-0010480
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジュン ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ハイ ヨン
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】須原 宏光
【審判官】畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-197590(JP,A)
【文献】特開2016-9854(JP,A)
【文献】特開2015-228477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 5/00
H01F 17/00-19/08
H01F 27/28,41/04
H05K 1/16,3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性物質を含む本体と、
前記本体の内部に配置された支持部材と、
前記本体の内部の前記支持部材上に配置されたコイルパターンと、を含むコイル部品であって、
前記コイルパターンは、平面渦巻き状を有する第1導体層と、前記支持部材の少なくとも一部及び前記第1導体層を覆い、厚さが線幅よりも大きい第2導体層と、を含み、
前記本体の厚さ方向及び幅方向の断面視において、
前記第1導体層の最外側パターン及び最内側パターンの線幅が、前記最外側パターンと前記最内側パターンとの間に配置された少なくとも1つの内部パターンの線幅よりも狭
前記第2導体層は前記第1導体層の上面及び側面を覆う、コイル部品。
【請求項2】
前記少なくとも1つの内部パターンは、厚さが線幅よりも小さい、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記本体の厚さ方向及び幅方向の断面視において、
前記第1導体層の上面と前記第2導体層の上面との間の距離が、前記第1導体層の側面と前記第2導体層の側面との間の距離よりも大きい、請求項に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記コイルパターンは、前記支持部材の上面及び下面にそれぞれ形成された第1コイルパターン及び第2コイルパターンを含み、
前記第1コイルパターン及び前記第2コイルパターンはそれぞれ前記第1導体層及び前記第2導体層を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1コイルパターン及び前記第2コイルパターンは、前記支持部材を貫通するビアを介して連結されている、請求項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第2導体層を覆う絶縁膜をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記磁性物質は金属磁性体粉末及び絶縁樹脂を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記支持部材の中央部には貫通孔が形成されており、
前記貫通孔には前記磁性物質が充填されている、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記本体上に配置され、前記コイルパターンと電気的に連結された外部電極をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第2導体層は1.2以上のアスペクト比を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記ビアは円筒状を有する、請求項に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記ビアは砂時計状を有する、請求項に記載のコイル部品。
【請求項13】
支持部材上にコイルパターンを形成する段階と、
前記支持部材を磁性物質で覆って本体を形成する段階と、を含むコイル部品の製造方法であって、
前記コイルパターンを形成する段階は、前記支持部材上に平面渦巻き状を有する第1導体層を形成する段階と、前記支持部材上に、前記支持部材の少なくとも一部及び前記第1導体層を覆い、厚さが線幅よりも大きい第2導体層を形成する段階と、を含み、
前記本体の厚さ方向及び幅方向の断面視において、
前記第1導体層の最外側パターン及び最内側パターンの線幅が、前記最外側パターンと前記最内側パターンとの間に配置された少なくとも1つの内部パターンの線幅よりも狭
前記第2導体層は前記第1導体層の上面及び側面を覆う、コイル部品の製造方法。
【請求項14】
前記第1導体層を形成する段階は、
前記支持部材上に平面渦巻き状の開口部を有するレジストを形成する段階と、
前記開口部をめっきにより満たして第1導体層を形成する段階と、
前記レジストを除去する段階と、を含む、請求項13に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項15】
前記第2導体層を形成する段階は、
前記第1導体層の最外側及び最内側パターンの側部にダムを形成する段階と、
前記支持部材上に、前記第1導体層を引込線として用いて、幅方向に比べて厚さ方向の成長が大きいようにめっきを行うことで、前記第2導体層を形成する段階と、
前記ダムを除去する段階と、を含む、請求項14に記載のコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品及びその製造方法、例えば、パワーインダクター及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイル部品の一つであるインダクター(Inductor)は、抵抗、キャパシターとともに電子回路を成し、ノイズ(Noise)を除去する代表的な受動素子である。インダクターは、めっきを用いる薄膜型インダクター、ペースト印刷を用いる積層型インダクター、及び巻線コイルを用いる巻線型インダクターに大別される。
【0003】
近年、デジタルTV、携帯電話、ノート型パソコンなどのような電子機器の小型化及び薄型化に伴い、かかる電子機器に適用されるコイル部品においても小型化及び高容量化が要求されている。これにより、磁性物質の単価を下げる方法が模索されており、パワーインダクターの主形態が積層型から薄膜型及び巻線型へ移行している。
【0004】
薄膜型インダクターの場合、最近、セットの複合化、多機能化、スリム化などの変化に応じて、チップの厚さをさらに薄くしようとする試みが行われている。したがって、このようなスリム化の傾向の中でも、高性能と信頼性を確保することができる方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の様々な目的の一つは、小型化の機種に適用可能であり、且つ高性能と信頼性を確保することができるコイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により提案する様々な解決手段の一つは、順に平面渦巻き状を有する第1及び第2導体層を形成してコイルパターンを形成する際に、第1導体層の線幅を調節することで、第2導体層の形成における工程ばらつきの問題などを解決することである。
【0007】
例えば、本発明により提案する一例によるコイル部品は、本体の内部に配置された支持部材と、上記本体の内部の上記支持部材上に配置されたコイルパターンと、を含むコイル部品であって、上記コイルパターンは、平面渦巻き状を有する第1導体層と、上記第1導体層を覆い、厚さが線幅よりも大きい第2導体層と、を含み、上記本体の厚さ方向(第3方向)及び幅方向(第2方向)の断面視において、上記第1導体層の最外側及び最内側パターンの線幅は、上記最外側パターンと上記最内側パターンとの間に配置された少なくとも1つの内部パターンの線幅と異なる。
【0008】
例えば、本発明により提案する一例によるコイル部品の製造方法は、支持部材上にコイルパターンを形成する段階と、上記支持部材を磁性物質で覆って本体を形成する段階と、を含むコイル部品の製造方法であって、上記コイルパターンを形成する段階は、上記支持部材上に平面渦巻き状を有する第1導体層を形成する段階と、上記支持部材上に、上記第1導体層を覆い、厚さが線幅よりも大きい第2導体層を形成する段階と、を含み、上記本体の厚さ方向(第3方向)及び幅方向(第2方向)の断面視において、上記第1導体層の最外側及び最内側パターンの線幅は、上記最外側パターンと上記最内側パターンとの間に配置された少なくとも1つの内部パターンの線幅と異なる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な効果の一効果として、小型化の機種に適用可能であり、且つ高性能と信頼性を確保することができるコイル部品及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電子機器に適用されるコイル部品の例を概略的に示す。
図2A】コイル部品の一例を示す概略的な斜視図である。
図2B】コイル部品の一例を示す概略的な斜視図である。
図3図2のコイル部品の概略的なI-I'断面の一例を示す。
図4図3のコイル部品の概略的な「A」部分を拡大した一例を示す。
図5】コイル部品の一製造例を示す概略的なフローチャートである。
図6】コイルパターンの第1導体層の一製造例を概略的に示す。
図7】コイルパターンの第2導体層の一製造例を概略的に示す。
図8】コイルパターンの第2導体層の一製造例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及びサイズなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0012】
電子機器
図1は電子機器に適用されるコイル部品の例を概略的に示す。図面を参照すると、電子機器には種々の電子部品が用いられることが分かる。例えば、アプリケーションプロセッサー(Application Processor)を中心として、DC/DC、コミュニケーションプロセッサー(Comm. Processor)、WLAN BT/WiFi(登録商標) FM GPS NFC、PMIC、電池、SMBC、LCD AMOLED、オーディオコーデック(Audio Codec)、USB2.0/3.0 HDMI(登録商標)、CAMなどが用いられることができる。この際、このような電子部品の間には、ノイズを除去するなどの目的で、種々のコイル部品がその用途に応じて適宜適用されることができる。例えば、パワーインダクター(Power Inductor)1、高周波インダクター(HF Inductor)2、通常のビーズ(General Bead)3、高周波用ビーズ(GHz Bead)4、コモンモードフィルター(Common Mode Filter)5などが挙げられる。
【0013】
より具体的に、パワーインダクター(Power Inductor)1は、電気を磁場形態で貯蔵して出力電圧を維持し、電源を安定させる用途などに用いられることができる。また、高周波インダクター(HF Inductor)2は、インピーダンスをマッチングして必要な周波数を確保したり、ノイズ及び交流成分を遮断したりするなどの用途に用いられることができる。また、通常のビーズ(General Bead)3は、電源及び信号ラインのノイズを除去したり、高周波リップルを除去したりするなどの用途に用いられることができる。また、高周波用ビーズ(GHz Bead)4は、オーディオに関する信号ライン及び電源ラインの高周波ノイズを除去するなどの用途に用いられることができる。また、コモンモードフィルター(Common Mode Filter)5は、ディファレンシャルモードでは電流を通過させ、コモンモードノイズのみを除去するなどの用途に用いられることができる。
【0014】
電子機器は、代表的にスマートフォン(Smart Phone)であることができるが、これに限定されるものではなく、例えば、携帯情報端末(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピューター(computer)、モニター(monitor)、テレビジョン(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)、自動車(Automobile)であってもよい。これらの他にも、通常の技術者に公知の他の様々な電子機器などであってもよいことは言うまでもない。
【0015】
コイル部品
以下では、本発明によるコイル部品を説明するにあたり、便宜上、パワーインダクターの構造を例として説明するが、上述のような他の様々な用途のコイル部品にも本発明のコイル部品が適用可能であることは言うまでもない。
【0016】
一方、以下で用いる側部は、便宜上、図面の第1方向(長さ方向)または第2方向(幅方向)に向かう方向を意味するものとして用い、上部は、便宜上、第3方向(厚さ方向)に向かう方向を意味するものとして用い、下部は、便宜上、第3方向(厚さ方向)の反対方向に向かう方向として用いた。また、幅方向は、第1方向または第2方向を意味するものとして用い、厚さ方向は第3方向を意味するものとして用いた。
【0017】
一方、側部、上部、または下部に位置するということは、対象構成要素が、基準となる構成要素と該当方向に直接接触することだけでなく、該当方向に位置し、直接接触していない場合も含む概念として用いた。但し、これは説明の便宜のために方向を定義したものであって、特許請求の範囲がこのような方向についての記載により特に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0018】
図2Aはコイル部品の一例を示す概略的な斜視図である。
図2Bはコイル部品の一例を示す概略的な斜視図である。
【0019】
図3図2Aのコイル部品の概略的なI-I'断面の一例を示す。
【0020】
図面を参照すると、一例によるコイル部品100は、本体10の内部に配置された支持部材20と、本体10の内部の支持部材20の上面及び下面にそれぞれ形成された第1及び第2コイルパターン21、22と、本体10上に配置され、第1及び第2コイルパターン21、22とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極31、32と、を含む。第1及び第2コイルパターン21、22はそれぞれ、平面渦巻き状を有する第1導体層21a、22aと、それを覆い、平面渦巻き状を有する第2導体層21b、22bと、を含む。この際、第1及び第2コイルパターン21、22のそれぞれの第1導体層21a、22aは、最外側及び最内側パターンの線幅が、最外側パターンと最内側パターンとの間に配置された内部パターンの線幅と異なる。
【0021】
近年、携帯機器などの電子機器の小型化に伴い、それに用いられる各種チップ部品を小型化及び薄膜化させる研究が行われている。このような傾向の中で、コイル部品においても小型化及び薄膜化にもかかわらず高性能が求められており、これに応えるべく、制限された空間内でコイルの面積を最大限に増大させることが要求されている。これは、コイル面積を増やして直流抵抗(Rdc)を改善させることが、コイルの効率に大きい影響を与えるためである。コイルの面積を増やす方法として、めっきにより、コイルパターンの線幅に対する高さの比であるアスペクト比を高めるための多様な研究が行われている。しかし、めっきにより高いアスペクト比を有するコイルパターンを形成する場合、アスペクト比の上昇に伴ってめっき成長の均一度が低下する恐れがあり、また、コイルパターン間のショートが発生するなどの信頼性の問題が生じている。
【0022】
これに対し、一例によるコイル部品100は、支持部材20上に平面渦巻き状を有する第1導体層21a、22aを形成し、この第1導体層21a、22aを引込線として用いて、支持部材20上に高いアスペクト比を有する平面渦巻き状の第2導体層21b、22bを形成する。この際、本体10の厚さ方向(第3方向)及び幅方向(第2方向)の断面視において、第1導体層21a、22aの最外側及び最内側パターンの線幅が、それらの間に配置された内部パターンの線幅と異なるように形成する。この場合、めっきにより第2導体層21b、22bを形成する際に、第2導体層21b、22bのアスペクト比の上昇にもかかわらずめっき成長の均一度が一定であり、ショート問題も最小化することができる。すなわち、一例によるコイル部品100は、第1導体層21a、22aの線幅を調節することで、高いアスペクト比を有する第2導体層21b、22bのめっきばらつきを改善することができるため、直流抵抗(Rdc)及びインダクタンス(Ls)特性を極大化することができる。さらに、第1導体層21a、22aを引込線として第2導体層21b、22bを引き続き形成するため、その中間に別のめっき工程などを行う必要がない。したがって、工程の簡素化により生産性を高めることもできる。
【0023】
以下では、図面を参照して一例によるコイル部品100の構成要素についてより詳細に説明する。
【0024】
本体10はコイル部品100の基本的な外観を成すことができる。本体10は、第1方向(長さ方向)に対向する第1及び第2面と、第2方向(幅方向)に対向する第3及び第4面と、第3方向(厚さ方向)に対向する第5及び第6面と、を含むことができる。本体10は、このように略六面体形状であることができるが、これに限定されるものではない。第1面から第6面が接する6つの角は、グラインディング(Grinding)などによって丸ければよい。
【0025】
本体10は磁気特性を示す磁性物質を含む。例えば、本体10は、フェライトまたは金属磁性体粉末が樹脂に充填されたものであることができる。フェライトは、例えば、Mn-Zn系フェライト、Ni-Zn系フェライト、Ni-Zn-Cu系フェライト、Mn-Mg系フェライト、Ba系フェライトまたはLi系フェライトなどの物質からなることができる。金属磁性体粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)及びニッケル(Ni)からなる群から選択される何れか1つ以上を含み、例えば、Fe-Si-B-Cr系非晶質金属であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0026】
本体10の磁性物質は、金属磁性体粉末及び絶縁樹脂を含む磁性体樹脂複合体であることができる。金属磁性体粉末は、鉄(Fe)、クロム(Cr)、またはシリコン(Si)を主成分として含み、例えば、鉄(Fe)-ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、鉄(Fe)-クロム(Cr)-シリコン(Si)などを含むことができるが、これに限定されるものではない。絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、及び/または液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer;LCP)などを含むことができるが、これに限定されるものではない。金属磁性体粉末は、少なくとも2つ以上の平均粒径を有する金属磁性体粉末が充填されたものであることができる。または、金属磁性体粉末は、少なくとも3つ以上の平均粒径を有する金属磁性体粉末が充填されたものであることができる。この場合、互いに異なるサイズの金属磁性体粉末を用いて圧着することで、磁性体樹脂複合体を完全に満たすことができるため、充填率を高めることができる。その結果、コイル部品100の容量増大が可能となる。
【0027】
支持部材20は、コイルパターン21、22を支持できるものであればその材質や種類が特に限定されない。例えば、支持部材20は、銅張積層板(CCL)、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板または金属系軟磁性基板などであることができる。また、絶縁樹脂からなる絶縁基板であってもよい。絶縁樹脂としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)などが用いられることができる。剛性維持の点では、ガラス繊維及びエポキシ樹脂を含む絶縁基板を用いることができるが、これに限定されるものではない。支持部材20の厚さ(T)は、80μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは40μm以下であることができるが、これに限定されるものではない。
【0028】
コイルパターン21、22は、コイルから発現される特性により、コイル部品100が様々な機能を担うようにする。例えば、コイル部品100はパワーインダクターであることができ、この場合、コイルパターン21、22は、電気を磁場形態で貯蔵して出力電圧を維持し、電源を安定させる役割などを果たすことができる。コイルパターン21、22は、支持部材20の上面及び下面にそれぞれ配置された第1コイルパターン21及び第2コイルパターン22を含み、第1及び第2コイルパターン21、22は、支持部材20を貫通するビア23を介して電気的に連結されることができる。
【0029】
コイルパターン21、22はそれぞれ、第1導体層21a、22a及び第2導体層21b、22bを含む。第1導体層21a、22aは、支持部材20上に配置されており、平面渦巻き状を有する。第2導体層21b、22bは、支持部材20上に第1導体層21a、22aを覆うように配置されており、同様に平面渦巻き状を有する。第1導体層21a、22a及び第2導体層21b、22bは何れもめっきにより形成されることができ、それぞれ、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、またはこれらの合金などの導電性物質を含むことができる。第1導体層21a、22aは、最外側及び最内側パターンの線幅が、それらの間に配置された内部パターンの線幅と異なる。これにより、第2導体層21b、22bの形成過程で発生し得るばらつきの問題などを改善することができる。
【0030】
ビア23は、支持部材20を貫通して第1及び第2コイルパターン21、22を電気的に連結させる。これにより、第1及び第2コイルパターン21、22は電気的に連結され、1つのコイルを形成することができる。ビア23も、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、またはこれらの合金などの導電性物質を含むことができる。ビア23の断面は、砂時計状、円筒状などであることができる。
【0031】
絶縁膜24、25はコイルパターン21、22を保護することができる。絶縁膜24、25はそれぞれコイルパターン21、22を覆うことができる。絶縁膜24、25の材質は、絶縁物質を含むものであれば何れも適用可能である。例えば、通常の絶縁コーティングに用いられる絶縁物質、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
支持部材20の中心部には貫通孔15が形成されており、貫通孔15に磁性物質が充填されて磁性コアを形成することができる。すなわち、第1及び第2コイルパターン21、22の中心部が支持部材20の妨害なしに連結され、磁性物質で満たされた磁性コアを形成することができる。この場合、インダクタンス特性をさらに改善することができる。
【0033】
外部電極31、32は、コイル部品100が電子機器などに実装される際に、コイル部品100内のコイルパターン21、22と電子機器とを電気的に連結させる。第1及び第2外部電極31、32はそれぞれ、第1及び第2コイルパターン21、22の引き出し電極と連結されることができる。外部電極31、32は導電性物質を含むことができる。例えば、外部電極31、32はそれぞれ、導電性樹脂層と、導電性樹脂層上に形成されためっき層と、を含むことができる。導電性樹脂層は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)及び銀(Ag)からなる群から選択される何れか1つ以上の導電性金属と熱硬化性樹脂を含むことができる。めっき層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びスズ(Sn)からなる群から選択される何れか1つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層とスズ(Sn)層が順に形成されたものであることができる。但し、これに限定されるものではなく、例えば、これら層の順序が互いに変わっていてもよい。
【0034】
図4図3のコイル部品の概略的な「A」部分を拡大した一例を示す。
【0035】
図面を参照すると、本体10の厚さ方向(第3方向)及び幅方向(第2方向)の断面視において、第1コイルパターン21の第1導体層21aの最外側パターン21a1の線幅W1及び最内側パターン21a4の線幅W4は、それらの間に配置された内部パターン21a2、21a3の線幅W2、W3よりも狭ければよい。最外側パターン21a1及び最内側パターン21a4の線幅W1、W4を内部パターン21a2、21a3の線幅W2、W3と等しくするか、より広くする場合、最外側パターン21a1及び最内側パターン21a4が過大に成長して、ばらつきに悪い影響を与える恐れがある。ばらつきが発生すると、コイルの断面積が均一ではないため、直流抵抗(Rdc)の改善が難しくなり、これを覆う本体10のカバー層も薄く形成され、インダクタンス(Ls)にも悪影響を与える恐れがある。これに対し、最外側パターン21a1及び最内側パターン21a4の線幅W1、W4を、内部パターン21a2、21a3の線幅W2、W3よりも狭くする場合、ばらつきを容易に制御することができる。図面には示していないが、これは第2コイルパターン22においても同様である。
【0036】
図面を参照すると、本体10の厚さ方向(第3方向)及び幅方向(第2方向)の断面視において、第1コイルパターン21の第2導体層21bの厚さH2が、第1導体層21aの厚さH1よりも厚ければよい。すなわち、第2導体層21bは、厚さが線幅よりも大きく、高いアスペクト比を有することができる。したがって、十分なコイル面積を確保することができる。これに対し、第1導体層21aは、めっき安定性の点でアスペクト比が小さければよく、例えば、第1コイルパターン21の第1導体層21aの内部パターン21a2、21a3は、厚さが線幅よりも小さければよい。このような点から、第1導体層21aの上面と第2導体層21bの上面との間の距離が、第1導体層21aの側面と第2導体層21bの側面との間の距離よりも大きければよい。図面には示していないが、これは第2コイルパターン22においても同様である。
【0037】
図5はコイル部品の一製造例を示す概略的なフローチャートである。
【0038】
図6はコイルパターンの第1導体層の一製造例を概略的に示す。
【0039】
図7はコイルパターンの第2導体層の一製造例を概略的に示す。
【0040】
図面を参照すると、一例によるコイル部品100の製造方法は、支持部材20上にコイルパターン21、22を形成する段階と、支持部材20を磁性物質で覆って本体10を形成する段階と、本体10上にコイルパターン21、22と電気的に連結される外部電極31、32を形成する段階と、を含む。
【0041】
先ず、支持部材20上に、第1導体層21aを形成するための平面渦巻き状の開口部201Hを有するレジスト201を形成する。その後、開口部201Hをめっきにより満たして第1導体層21aを形成する。その後、レジスト201を除去する。一連の過程を経て、第1導体層21aが形成される。一方、レジスト201は通常の感光性レジストフィルムであることができる。
【0042】
次に、支持部材20上に、第1導体層21aの最外側及び最内側パターン21a1、21a4の側部にダム202a、202bを形成する。その後、支持部材20上に、第1導体層21aを引込線として用いて、幅方向(第2方向)に比べて厚さ方向(第3方向)の成長が大きいようにめっきを行うことで第2導体層21bを形成する。具体的に、第2導体層21bは、電気めっきの際に、電流密度、めっき液の濃度、めっき速度などを調節することで、幅方向(第2方向)の成長は抑えられ、且つ高さ方向(第3方向)へのみ成長した形状の異方めっき層として形成することができる。したがって、第2導体層21bはアスペクト比が1.2以上であることができる。その後、ダム202a、202bを除去する。一連の過程を経て、第2導体層21bが形成される。すなわち、第1コイルパターン21が形成される。一方、ダム202a、202bも同様に公知の感光性レジストフィルムであることができ、これにより、めっきショートを防止することができる。
【0043】
一方、図面には示していないが、第2コイルパターン22を形成することは第1コイルパターン21を形成することと実質的に同様であり、これらは同時に形成することができる。
【0044】
一方、コイルパターン21、22を形成する際に、支持部材20を貫通するビアホールを形成した後、めっきをともに行うことでビア23を形成することができる。また、コイルパターン21、22を形成した後、それを被覆する絶縁膜24、25を形成することができ、絶縁膜24、25は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(Photo Resist、PR)の露光、現像による工程またはスプレー(spray)塗布工程などの公知の方法により形成することができる。
【0045】
次に、コイルパターン21、22が形成された支持部材20の上部及び下部に磁性体シートを積層した後、それを圧着及び硬化することで本体10を形成する。磁性体シートは、金属磁性体粉末、絶縁樹脂、及び溶剤などの有機物を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法によりキャリアフィルム(carrier film)上に数十μmの厚さに塗布した後、乾燥することでシート状に製造することができる。
【0046】
一方、支持部材20の中央部は、機械的ドリル、レーザードリル、サンドブラスト、打ち抜き加工などを行うことで除去され、貫通孔15が形成されることができる。貫通孔15は、磁性体シートを圧着及び硬化する過程で磁性物質で満たされることができる。
【0047】
次に、本体10の第1面及び第2面にそれぞれ引き出される第1及び第2コイルパターン21、22の引き出し電極と連結されるように、少なくともそれぞれ本体10の第1面及び第2面を覆う第1及び第2外部電極31、32を形成する。外部電極31、32は、電気伝導性に優れた金属を含むペーストを用いて形成することができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)または銀(Ag)などの単独またはこれらの合金などを含む伝導性ペーストを印刷する方法により形成することができる。また、伝導性ペーストを印刷した後、めっき層をさらに形成することができる。めっき層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びスズ(Sn)からなる群から選択される何れか1つ以上を含み、例えば、ニッケル(Ni)層とスズ(Sn)層が順に形成されたものであることができる。
【0048】
図8はコイルパターンの第2導体層の一製造例を概略的に示す。図面を参照すると、先ず、S801の段階において、支持部材20上に、第1導体層21aを形成するための平面渦巻き状の開口部201Hを有するレジスト201を形成する。その後、S802の段階において、開口部201Hをめっきにより満たして第1導体層21aを形成する。その後、S803の段階において、レジスト201を除去する。一連の過程を経て、第1導体層21aが形成される。一方、レジスト201は通常の感光性レジストフィルムであることができる。
【0049】
次に、S804の段階において、支持部材20上に、第1導体層21aの最外側及び最内側パターン21a1、21a4の側部にダム202a、202bを形成する。その後、S805の段階において、支持部材20上に、第1導体層21aを引込線として用いて幅方向(第2方向)に比べて厚さ方向(第3方向)の成長が大きいようにめっきを行うことで第2導体層21bを形成する。具体的に、第2導体層21bは、電気めっきの際に、電流密度、めっき液の濃度、めっき速度などを調節することで、幅方向(第2方向)は抑えられ、且つ高さ方向(第3方向)へのみ成長した形状の異方めっき層として形成することができる。したがって、第2導体層21bはアスペクト比が1.2以上であることができる。その後、S806の段階において、第2導体層21b1、21b2、21b3、21b4の個別のパターンを区別するための絶縁膜を形成する。その後、S807の段階において、ダム202a、202bを除去する。一連の過程を経て、第2導体層21bが形成される。すなわち、第1コイルパターン21が形成される。一方、ダム202a、202bも同様に公知の感光性レジストフィルムであることができ、これにより、めっきショートを防止することができる。
【0050】
一方、本発明において「電気的に連結される」というのは、物理的に連結された場合と、連結されていない場合をともに含む概念である。また、第1、第2などの表現は、一つの構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるもので、該当する構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、本発明の範囲を外れずに、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【0051】
また、本発明で用いられた一例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対であるか矛盾する説明がない限り、他の一例に関連する説明であると理解されることができる。
【0052】
なお、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0053】
1 パワーインダクター
2 高周波インダクター
3 通常のビーズ
4 高周波用ビーズ
5 コモンモードフィルター
100 コイル部品
10 本体
15 貫通孔
20 支持部材
21、22 コイルパターン
21a、22a 第1導体層
21b、22b 第2導体層
23 ビア
24、25 絶縁膜
31、32 外部電極
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8