(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】放熱シート及び半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20231114BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231114BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20231114BHJP
B32B 3/02 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L23/40 D
H05K7/20 F
B32B15/08 U
B32B3/02
(21)【出願番号】P 2019056613
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】田頭 宣雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏寛
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/125419(WO,A1)
【文献】特開2016-092184(JP,A)
【文献】特開2018-119050(JP,A)
【文献】特開2016-044098(JP,A)
【文献】特開2012-244026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/40
H05K 7/20
B32B 15/08
B32B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材と、
前記金属基材と重なる樹脂層と、
を含み、
前記金属基材は、前記樹脂層の反対側の第1面と、前記第1面の反対側にあって前記樹脂層と対向する第2面と、を有し、
前記樹脂層は、前記金属基材の反対側の第1面を有し、
前記金属基材及び前記樹脂層は、前記金属基材の前記第1面及び前記樹脂層の前記第1面の間の第1側面を有し、
前記金属基材の前記第1側面及び前記樹脂層の前記第1側面は、前記金属基材の前記第1面から樹脂層の前記第1面に向かうにつれて、前記金属基材の前記第1面に対して、前記金属基材及び前記樹脂層の外側又は内側に向けて傾いており、
前記金属基材の前記第2面は、前記金属基材の前記第1面に沿った第1部分と、前記金属基材の外側に向かうにつれて、前記第1部分に対して、前記金属基材の前記第1面に向けて傾く
だれ面を含む第2部分と、を有し、
前記樹脂層は、前記金属基材の前記第2面の前記第2部分のうちの少なくとも一部分を覆っている、放熱シート。
【請求項2】
請求項1に記載の放熱シートにおいて、
前記金属基材の前記第2面の前記第2部分は、前記金属基材の前記第1面に向けて湾曲している、放熱シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の放熱シートにおいて、
前記金属基材は、銅、アルミニウム、錫、鉛、銀、金及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一を含む、放熱シート。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項記載の放熱シートにおいて、
前記樹脂層は、熱硬化性樹脂と、充填剤と、を含む樹脂組成物を含む、放熱シート。
【請求項5】
請求項4に記載の放熱シートにおいて、
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一である、放熱シート。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の放熱シートにおいて、
前記充填剤は、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び炭化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一である、放熱シート。
【請求項7】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するリードフレームと、
前記リードフレームの前記第1面上に搭載された半導体素子と、
前記リードフレームの前記第2面から前記樹脂層及び前記金属基材の順に前記リードフレームと重なっている、請求項1から6までのいずれか一項に記載の放熱シートと、
を含む半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱シート及び半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体モジュールは、リードフレーム及び半導体素子を含むことがある。半導体素子は、リードフレームに搭載されている。半導体モジュールは、放熱シートをさらに含むことがある。放熱シートは、金属基材及び樹脂層を含んでいる。樹脂層は、リードフレームのうちの半導体素子の反対側に取り付けられている。
【0003】
特許文献1には、放熱シートの一例について記載されている。この放熱シートは、金属層及び樹脂層の間の絶縁層を含んでいる。金属層及び絶縁層は、金属層から絶縁層に向かうにつれて、金属層及び絶縁層の内側に向けて傾く側面を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、放熱シートの絶縁耐圧を高くすることを検討した。
【0006】
本発明の目的の一例は、放熱シートの絶縁耐圧を高くすることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
金属基材と、
前記金属基材と重なる樹脂層と、
を含み、
前記金属基材は、前記樹脂層の反対側の第1面と、前記第1面の反対側にあって前記樹脂層と対向する第2面と、を有し、
前記金属基材の前記第2面は、前記金属基材の前記第1面に沿った第1部分と、前記金属基材の外側に向かうにつれて、前記第1部分に対して、前記金属基材の前記第1面に向けて傾く第2部分と、を有し、
前記樹脂層は、前記金属基材の前記第2面の前記第2部分のうちの少なくとも一部分を覆っている、放熱シートである。
【0008】
本発明の他の一態様は、
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するリードフレームと、
前記リードフレームの前記第1面上に搭載された半導体素子と、
前記リードフレームの前記第2面から前記樹脂層及び前記金属基材の順に前記リードフレームと重なっている、上述した放熱シートと、
を含む半導体モジュールである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、放熱シートの絶縁耐圧を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】
図1及び
図2に示した放熱シートの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図4】
図1及び
図2に示した放熱シートの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図6】
図5に示した放熱シートの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図7】実施形態に係る半導体モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る放熱シート100の平面図である。
図2は、
図1のA-A´断面図である。
【0013】
放熱シート100は、第1面102及び第2面104を有している。第2面104は、第1面102の反対側にある。
図1は、放熱シート100の第2面104を示している。放熱シート100は、第1面102及び第2面104の間に、例えば、50μm以上500μm以下の厚さを有している。
【0014】
第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て、放熱シート100は、実質的に矩形形状を有している。この矩形は、厳密な矩形でなくてもよく、例えば、丸まった角を有していてもよい。放熱シート100は、第1側面106a、第2側面106b、第3側面106c及び第4側面106dを有している。第1側面106aは、第1面102及び第2面104の間にある。第2側面106bは、第1側面106aの反対側にある。第3側面106cは、第1側面106a及び第2側面106bの間にある。第4側面106dは、第3側面106cの反対側にある。第1側面106aから第4側面106dのそれぞれは、第1面102から第2面104に向かうにつれて、第1面102に対して、金属基材110及び樹脂層120の外側に向けて傾いている。
【0015】
放熱シート100は、金属基材110及び樹脂層120を含んでいる。
【0016】
金属基材110は、第1面112、第2面114、第1側面部116a及び第2側面部116bを有している。第1面112は、放熱シート100の第1面102である。第1面112は、実質的に平坦となっている。第2面114は、第1面112の反対側にある。第1側面部116aは、第1面112及び第2面114の間にある。第1側面部116aは、放熱シート100の第1側面106aの一部分である。第2側面部116bは、第1側面部116aの反対側にある。第2側面部116bは、放熱シート100の第2側面106bの一部分である。
【0017】
樹脂層120は、第1面122、第2面124、第1側面部126a及び第2側面部126bを有している。第1面122は、放熱シート100の第2面104である。第2面124は、第1面122の反対側にある。第1側面部126aは、第1面122及び第2面124の間にある。第1側面部126aは、放熱シート100の第1側面106aの一部分である。第2側面部126bは、第1側面部126aの反対側にある。第2側面部126bは、放熱シート100の第2側面106bの一部分である。
【0018】
金属基材110及び樹脂層120は、金属基材110の第2面114及び樹脂層120の第2面124が互いに対向するように重なり合っている。
【0019】
第1側面106aのうちの少なくとも一部分は、金属基材110の第1面112から樹脂層120の第1面122に向かうにつれて、金属基材110の第1面112に対して、金属基材110及び樹脂層120の外側に向けて角度θ傾いている。角度θは、例えば、90°超95°以下である。第2側面106b、第3側面106c及び第4側面106dも、第1側面106aと同様にして、金属基材110の第1面112に対して、傾いている。
【0020】
本実施形態によれば、放熱シート100の絶縁耐圧を高くすることができる。具体的には、本実施形態において、樹脂層120のうちの第1面122及び第1側面106aに沿った経路の長さは、第1側面106aが金属基材110の第1面112に対して垂直になっている場合又は第1側面106aが金属基材110の第1面112に対して本実施形態(
図2)とは逆側に傾いている場合よりも、長くなる。したがって、樹脂層120の第1面122に導電部材(例えば、
図7を用いて後述するリードフレーム300)が搭載された場合において、導電部材及び金属基材110の間における樹脂層120の表面に沿った沿面放電を低減することができる。したがって、放熱シート100の絶縁耐圧を高くすることができる。
【0021】
金属基材110の第2面114は、第1部分114a及び第2部分114bを有している。第1部分114aは、金属基材110の第1面112に沿っている。具体的には、第1部分114aは、金属基材110の第1面112と実質的に平行になっている。第2部分114bは、金属基材110の外側に向かうにつれて、第1部分114aに対して、金属基材110の第1面112に向けて傾いている。具体的には、第2部分114bは、金属基材110の第1面112に向けて湾曲している。樹脂層120は、金属基材110の第2面114の第2部分114bのうちの少なくとも一部分を覆っている。
図2に示す例では、第2部分114bは、第1部分114aの両端部のうちの一方の端部を示しているが、第1部分114aのもう一方の端部も、第2部分114bと同様の構造を有している。さらに、
図2に示す断面とは異なる断面(例えば、A-A´に直交する方向に沿った断面)においても、金属基材110の第2面114は、
図2に示した構造と同様の構造を有している。
【0022】
金属基材110は、第1面112及び第2面114の第1部分114aの間に厚さTを有している。厚さTは、例えば、10μm以上250μm以下である。金属基材110の第1側面部116aは、金属基材110の第1面112に垂直な方向に距離dだけ樹脂層120から露出している。樹脂層120が金属基材110の第2面114の第2部分114bのうちの少なくとも一部分を覆っているため、距離dは、厚さTよりも小さくなっている(すなわち、T-d>0)。
【0023】
本実施形態によれば、放熱シート100の絶縁耐圧を高くすることができる。具体的には、本実施形態において、樹脂層120のうちの第1側面106aに沿った経路の長さは、金属基材110の第2面114の第2部分114bが傾かずに金属基材110の第1面112と平行になっている場合よりも、長くなる。したがって、樹脂層120の第1面122に導電部材(例えば、
図7を用いて後述するリードフレーム300)が搭載された場合において、導電部材及び金属基材110の間における樹脂層120の表面に沿った沿面放電を低減することができる。したがって、放熱シート100の絶縁耐圧を高くすることができる。
【0024】
さらに本実施形態によれば、金属基材110から樹脂層120を剥がれにくくすることができる。具体的には、本実施形態において、樹脂層120は、金属基材110の第2面114の第2部分114bのうちの少なくとも一部分を覆う部分を含んでおり、樹脂層120のこの部分には、金属基材110の第2部分114b(端部)から金属基材110の内側に向けて応力が発生し得る。この応力によって樹脂層120は、金属基材110に強固に接合することができる。
【0025】
樹脂層120の第1面122は、第1部分122a及び第2部分122bを有している。第1部分122aは、金属基材110の第1面112に沿っている。具体的には、第1部分122aは、金属基材110の第1面112と実質的に平行になっている。第2部分122bは、樹脂層120の外側に向かうにつれて、第1部分122aに対して、金属基材110の第1面112に向けて傾いている。具体的には、第2部分122bは、金属基材110の第1面112に向けて湾曲している。
図2に示す例では、第2部分122bは、第1部分122aの両端部のうちの一方の端部を示しているが、第1部分122aのもう一方の端部も、第2部分122bと同様の構造を有している。さらに、
図2に示す断面とは異なる断面(例えば、A-A´に直交する方向に沿った断面)においても、樹脂層120の第1面122は、
図2に示した構造と同様の構造を有している。
【0026】
本実施形態によれば、放熱シート100から保護フィルムを剥がしやすくすることができる。具体的には、保護フィルムが樹脂層120の第1面122に貼り付けられている場合、第1面122の第2部分122bの傾きによって放熱シート100から保護フィルムを剥がしやすくすることができる。
【0027】
金属基材110は、例えば、銅、アルミニウム、錫、鉛、銀、金及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一を含んでいる。
【0028】
樹脂層120は、樹脂組成物(P)を含んでいる。樹脂組成物(P)は、熱硬化性樹脂(A)及び充填剤(B)を含み、硬化剤(C)をさらに含むことが好ましく、カップリング剤(D)及びフェノキシ樹脂(E)をさらに含むことがさらに好ましい。熱硬化性樹脂(A)は、Bステージ化されている。
【0029】
[熱硬化性樹脂(A)]
熱硬化性樹脂(A)としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂及びアクリル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂(A)として、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なかでも、高い絶縁性を有する観点から、熱硬化性樹脂(A)としては、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂であることが好ましい。
【0030】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'-(1,3-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'-(1,4-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'-シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノール基メタン型ノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0031】
エポキシ樹脂の中でも、耐熱性及び絶縁信頼性をより一層向上できる観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0032】
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂及びレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。フェノール樹脂の中でも、フェノールノボラック樹脂であることが好ましい。
【0033】
熱硬化性樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物(P)100質量%に対し、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、当該含有量は、樹脂組成物(P)100質量%に対し、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。熱硬化性樹脂(A)の含有量が上記下限値以上であると、樹脂組成物(P)のハンドリング性が向上し、樹脂層120を形成するのが容易となるとともに、樹脂層120の強度が向上する。熱硬化性樹脂(A)の含有量が上記上限値以下であると、樹脂層120の線膨張率や弾性率がより一層向上したり、熱伝導性がより一層向上したりする。
【0034】
[充填剤(B)]
本実施形態における充填剤(B)は、樹脂層120の熱伝導性を向上させるとともに強度を得る観点から用いられる。
【0035】
充填剤(B)としては、熱伝導性フィラーであることが好ましい。より具体的には、充填剤(B)としては、熱伝導性と電気絶縁性とのバランスを図る観点から、例えば、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び炭化ケイ素等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なかでも、充填剤(B)は、アルミナ、窒化ホウ素であることが好ましい。
【0036】
充填剤(B)の含有量は、樹脂組成物(P)100質量%に対し、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。一方、熱伝導性の観点から、当該含有量は、樹脂組成物(P)100質量%に対し、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0037】
[硬化剤(C)]
樹脂組成物(P)は、熱硬化性樹脂(A)としてエポキシ樹脂又はフェノール樹脂を用いる場合、さらに硬化剤(C)を含むことが好ましい。
【0038】
硬化剤(C)としては、硬化触媒(C-1)及びフェノール系硬化剤(C-2)から選択される1種以上を用いることができる。
【0039】
硬化触媒(C-1)としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類;2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジエチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、1,2-ビス-(ジフェニルホスフィノ)エタン等の有機リン化合物;フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物;酢酸、安息香酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸;等又はこの混合物が挙げられる。硬化触媒(C-1)として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。硬化触媒(C-1)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物(P)100質量%に対し、0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
【0040】
また、フェノール系硬化剤(C-2)としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリスフェノールメタン型ノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、アミノトリアジンノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、ガラス転移温度の向上及び線膨張係数の低減の観点から、フェノール系硬化剤(C-2)がノボラック型フェノール樹脂又はレゾール型フェノール樹脂が好ましい。フェノール系硬化剤(C-2)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物(P)100質量%に対し、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、当該含有量は、樹脂組成物(P)100質量%に対し、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0041】
[カップリング剤(D)]
樹脂組成物(P)は、カップリング剤(D)を含んでもよい。カップリング剤(D)は、熱硬化性樹脂(A)と充填剤(B)との界面の濡れ性を向上させることができる。
【0042】
カップリング剤(D)としては、特に限定されないが、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種又は2種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。カップリング剤(D)の含有量は、特に限定されないが、充填剤(B)100質量%に対して、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。一方、当該含有量は、充填剤(B)100質量%に対して、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
【0043】
[フェノキシ樹脂(E)]
さらに、樹脂組成物(P)は、フェノキシ樹脂(E)を含んでもよい。フェノキシ樹脂(E)を含むことにより樹脂層120の耐屈曲性を向上できる。また、フェノキシ樹脂(E)を含むことにより、樹脂層120の弾性率を低下させることが可能となり、樹脂層120の応力緩和力を向上させることができる。
【0044】
また、フェノキシ樹脂(E)を含むと、粘度上昇により、流動性が低減し、ボイド等が発生することを抑制できる。また、樹脂層120を金属部材(例えば、
図7を用いて後述するリードフレーム300)と密着させて用いる場合などに、金属部材と樹脂組成物(P)の硬化体との密着性を向上できる。これらの相乗効果により、半導体装置(例えば、
図7を用いて後述する半導体モジュール10)の絶縁信頼性をより一層高めることができる。
【0045】
フェノキシ樹脂(E)としては、例えば、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂及びビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの骨格を複数種有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。
【0046】
フェノキシ樹脂(E)の含有量は、例えば、樹脂組成物(P)100質量%に対して、3質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0047】
[その他の成分]
樹脂組成物(P)は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、ほかに酸化防止剤、レベリング剤等を含むことができる。
【0048】
図3及び
図4のそれぞれは、
図1及び
図2に示した放熱シート100の製造方法の一例を説明するための図である。
【0049】
放熱シート100は、放熱シート基材100Aを製造し、
図3及び
図4に示すようにして、打ち抜き加工によって放熱シート基材100Aから放熱シート100が形成される。
【0050】
放熱シート基材100Aは、例えば、以下のようにして製造される。
【0051】
まず、金属基材110上にワニス状の樹脂組成物(P)を塗布した後、これを加熱して乾燥させる。この乾燥処理により、樹脂組成物(P)からなる樹脂層120はBステージ化され、放熱シート基材100Aを得ることができる。樹脂組成物(P)の乾燥処理は、例えば80℃以上150℃以下、5分以上1時間以下の条件において行われる。
【0052】
次いで、放熱シート基材100Aをプレス機で圧縮することにより放熱シート基材100A内の気泡を除去してもよい。これによって、放熱シート基材100Aの熱伝導率及び絶縁性を向上させることができる。この要因としては、例えば、気泡を除去することにより放熱シート基材100A内における樹脂成分の密度が上昇することが推定される。圧縮圧力は、例えば、1MPa以上20MPa以下とすることができる。なお、放熱シート基材100Aを圧縮する際、同時に加熱を行って放熱シート基材100Aを硬化させ、放熱シート基材100AをCステージ化してもよい。この場合の加熱温度は、例えば、50℃以上250℃以下とすることができる。
【0053】
放熱シート100は、例えば、
図3及び
図4に示す製造装置600を用いた打ち抜き加工によって、以下のようにして、放熱シート基材100Aから製造される。
【0054】
製造装置600は、上型610及び下型620を含んでいる。上型610は、ダイ612、エジェクタ614、支持部材616及び固定部材618を含んでいる。下型620は、ストリッパ622及びパンチ624を含んでいる。
【0055】
まず、
図3(a)に示すように、上型610及び下型620の間に放熱シート基材100Aを置く。放熱シート基材100Aは、金属基材110が下型620に対向し、かつ樹脂層120が上型610に対向するように置かれる。
【0056】
次いで、
図3(b)に示すように、上型610を下型620に向けて下降させる。下型620のストリッパ622は、上下方向に可動になっているのに対して、下型620のパンチ624は、上下方向に固定されている。したがって、上型610のダイ612は、下型620のストリッパ622を下方に向けて押し下げる一方で、下型620のパンチ624は、放熱シート基材100Aから放熱シート100を上方に向けて打ち抜く。このようにして、放熱シート基材100Aは、せん断される。
【0057】
金属基材110の第1面112に対する放熱シート100の第1側面106aの角度θは、放熱シート基材100Aのせん断における破断面によって形成される。角度θは、ダイ612及びパンチ624の間のクリアランスによって調整可能である。具体的には、角度θは、ダイ612及びパンチ624の間のクリアランスが小さいほど90°に近づき、ダイ612及びパンチ624の間のクリアランスが大きいほど90°から大きくなる。
【0058】
樹脂層120の第1面122の第2部分122bの傾き(湾曲)は、樹脂層120のせん断において第1面122が引っ張られることにより形成されるだれ面である。同様にして、金属基材110の第2面114の第2部分114bの傾き(湾曲)は、金属基材110のせん断において第2面114が引っ張られることにより形成されるだれ面である。
【0059】
固定部材618は、ダイ612に対して上下方向に固定されている。エジェクタ614は、支持部材616によって支持されており、エジェクタ614及び支持部材616は、固定部材618に対して上下方向に可動になっている。パンチ624が放熱シート100を打ち抜いた場合、エジェクタ614は、ダイ612内に入り込み、放熱シート100は、ダイ612にはめ込まれる。
【0060】
次いで、
図4(a)に示すように、上型610を上昇させる。この場合、放熱シート100は、上型610のダイ612にはめ込まれたまま、上型610とともに上昇する。
【0061】
次いで、
図4(b)に示すように、エジェクタ614及び支持部材616を下方に向けて移動させる。このようにして、放熱シート100が上型610のダイ612から押し出される。
【0062】
図4(a)及び
図4(b)に示す工程及び後述する
図6(a)及び
図6(b)に示す工程の比較より、
図3及び
図4に示す方法において、放熱シート基材100Aから打ち抜かれた放熱シート100の側面は、放熱シート100がエジェクタ614によって押し出される際にダイ612から摩擦力を受け得る。しかしながら、
図6を用いて後述するように、
図3及び
図4に示す方法においては、
図6に示す方法と比べて、放熱シート100の側面は、ダイ612から摩擦力を受けても、削られにくい。したがって、放熱シート100の第1側面106aは、放熱シート100の第1面102から第2面104に向かうにつれて、放熱シート100の外側に向けて傾き得る。
【0063】
【0064】
図5に示すように、第1側面106aのうちの少なくとも一部分は、金属基材110の第1面112から樹脂層120の第1面122に向かうにつれて、金属基材110の第1面112に対して、金属基材110及び樹脂層120の内側に向けて角度θ傾いていてもよい。
【0065】
図5に示す例においても、樹脂層120は、金属基材110の第2面114の第2部分114bのうちの少なくとも一部分を覆っている。したがって、
図2に示した例と同様にして、放熱シート100の絶縁耐圧を高くすることができる。
【0066】
図5に示す例においても、第2部分122bは、樹脂層120の外側に向かうにつれて、第1部分122aに対して、金属基材110の第1面112に向けて傾いている。したがって、
図2に示した例と同様にして、放熱シート100から保護フィルムを剥がしやすくすることができる。
【0067】
図6は、
図5に示した放熱シート100の製造方法の一例を説明するための図である。
【0068】
まず、実施形態と同様にして、放熱シート基材100Aを製造する。次いで、実施形態と同様にして、
図3(a)に示す工程及び
図3(b)に示す工程を実施する。
【0069】
次いで、
図6(a)に示すように、放熱シート100をエジェクタ614及びパンチ624の間に挟んだまま、ダイ612及び固定部材618を上昇させる。このようにして、放熱シート100をダイ612から抜き出すことができる。
【0070】
次いで、
図6(b)に示すように、エジェクタ614及び支持部材616を上昇させる。
【0071】
図4(a)及び
図4(b)に示す工程及び
図6(a)及び
図6(b)に示す工程の比較より、
図6に示す方法において、放熱シート基材100Aから打ち抜かれた放熱シート100の側面は、ダイ612及び固定部材618が上昇する際にダイ612から摩擦力を受け得る。この場合、放熱シート100はエジェクタ614及びパンチ624の双方から力を受けることで僅かに押しつぶれて、放熱シート100の側面が外側に向けて広がり得る。したがって、放熱シート100の側面は、ダイ612からの摩擦力によって削られやすくなる。放熱シート100の第1側面106aは、放熱シート100の側面がダイ612からの摩擦力によって削られることで、放熱シート100の第1面102から第2面104に向かうにつれて、放熱シート100の内側に向けて傾き得る。
【0072】
図7は、実施形態に係る半導体モジュール10の断面図である。
【0073】
半導体モジュール10は、放熱シート100、半導体素子200、リードフレーム300、ボンディングワイヤ400及び封止樹脂500を含んでいる。リードフレーム300は、第1面302及び第2面304を有している。第2面304は、第1面302の反対側にある。
【0074】
半導体素子200は、例えば、パワー半導体素子である。半導体素子200は、リードフレーム300の第1面302上に搭載されている。半導体素子200は、ボンディングワイヤ400を介して、リードフレーム300に電気的に接続されている。半導体素子200及びボンディングワイヤ400は、封止樹脂500によって封止されている。
【0075】
放熱シート100は、リードフレーム300の第2面304から樹脂層120及び金属基材110の順にリードフレーム300と重なっている。具体的には、Bステージの樹脂層120をリードフレーム300に貼り付けた後、樹脂層120は、加熱によって硬化体となっている。このようにして、放熱シート100は、リードフレーム300に取り付けられている。
【0076】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0077】
(実施例1)
実施例1に係る放熱シートは、以下のようにして製造した。
【0078】
以下に示す組成となるように樹脂組成物(P)を調製した。具体的には、以下に示す各成分をシクロヘキサノン溶媒へ添加して、高速撹拌装置を用いて液温が35~38℃となるようにして撹拌し、ワニス状の樹脂組成物(P)を得た。
熱硬化性樹脂(A):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(型番:830S、製造元:DIC)50g
充填剤(B):窒化ホウ素(型番:HP-40、製造元:水島合金鉄)300g
硬化触媒(C-1):イミダゾール(型番:2P4MZ、製造元:四国化成)
フェノール系硬化剤(C-2):ノボラック型フェノール樹脂(型番:PR-51470、製造元:住友ベークライト)30g
フェノキシ樹脂(E):フェノキシ樹脂(型番:YP55U、製造元:新日鉄住金)20g
【0079】
次いで、金属基材(厚さ70μmの銅箔)上に、樹脂組成物(P)を塗布した後、110℃、15分乾燥し、さらにプレス機で10MPa、140℃、5分加圧加温することでBステージ状態の放熱シート基材を得た。放熱シート基材の厚さは、100μmであった。
【0080】
次いで、
図3及び
図4を用いて説明した方法によって、放熱シート基材から放熱シートを打ち抜いた。
【0081】
放熱シートを観察したところ、
図2を用いて説明した構造と同様にして、放熱シートの側面は、金属基材の下面(
図2に示した第1面112に相当する面)から樹脂層の上面(
図2に示した第1面122に相当する面)に向かうにつれて、金属基材の下面(
図2に示した第1面112に相当する面)に対して放熱シートの外側に向けて傾いていた。
【0082】
放熱シートをさらに観察したところ、
図2を用いて説明した構造と同様にして、金属基材の上面(
図2に示した第2面114に相当する面)の端部及び樹脂層の上面(
図2に示した第1面122に相当する面)の端部のそれぞれは、湾曲しており、丸みを帯びていた。さらに、金属基材の上面(
図2に示した第2面114に相当する面)の端部は、樹脂層によって覆われていた。なお、金属基材の側面部(
図2に示した第1側面部116aに相当する面)は、金属基材の下面(
図2に示した第1面112に相当する面)に垂直な方向に距離dだけ樹脂層から露出しており、(T-d)/T(T:金属基材の厚さ)は、0.65であった。
【0083】
(実施例2)
実施例2に係る放熱シートは、以下の点を除いて、実施例1に係る放熱シートと同様にして製造した。
【0084】
まず、実施例1と同様にして、放熱シート基材を製造した。
【0085】
次いで、
図6を用いて説明した方法によって、放熱シート基材から放熱シートを打ち抜いた。
【0086】
放熱シートを観察したところ、
図5を用いて説明した構造と同様にして、放熱シートの側面は、金属基材の下面(
図5に示した第1面112に相当する面)から樹脂層の上面(
図5に示した第1面122に相当する面)に向かうにつれて、金属基材の下面(
図5に示した第1面112に相当する面)に対して放熱シートの内側に向けて傾いていた。
【0087】
放熱シートをさらに観察したところ、
図5を用いて説明した構造と同様にして、金属基材の上面(
図5に示した第2面114に相当する面)の端部及び樹脂層の上面(
図5に示した第1面122に相当する面)の端部のそれぞれは、湾曲しており、丸みを帯びていた。さらに、金属基材の上面(
図5に示した第2面114に相当する面)の端部は、樹脂層によって覆われていた。なお、金属基材の側面部(
図5に示した第1側面部116aに相当する面)は、金属基材の下面(
図5に示した第1面112に相当する面)に垂直な方向に距離dだけ樹脂層から露出しており、(T-d)/Tは、0.60であった。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 金属基材と、
前記金属基材と重なる樹脂層と、
を含み、
前記金属基材は、前記樹脂層の反対側の第1面と、前記第1面の反対側にあって前記樹脂層と対向する第2面と、を有し、
前記金属基材の前記第2面は、前記金属基材の前記第1面に沿った第1部分と、前記金属基材の外側に向かうにつれて、前記第1部分に対して、前記金属基材の前記第1面に向けて傾く第2部分と、を有し、
前記樹脂層は、前記金属基材の前記第2面の前記第2部分のうちの少なくとも一部分を覆っている、放熱シート。
2. 1.に記載の放熱シートにおいて、
前記金属基材の前記第2面の前記第2部分は、前記金属基材の前記第1面に向けて湾曲している、放熱シート。
3. 1.又は2.に記載の放熱シートにおいて、
前記金属基材は、銅、アルミニウム、錫、鉛、銀、金及びニッケルからなる群から選択される少なくとも一を含む、放熱シート。
4. 1.から3.までのいずれか一つ記載の放熱シートにおいて、
前記樹脂層は、熱硬化性樹脂と、充填剤と、を含む樹脂組成物を含む、放熱シート。
5. 4.に記載の放熱シートにおいて、
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一である、放熱シート。
6. 4.又は5.に記載の放熱シートにおいて、
前記充填剤は、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び炭化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一である、放熱シート。
7. 第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するリードフレームと、
前記リードフレームの前記第1面上に搭載された半導体素子と、
前記リードフレームの前記第2面から前記樹脂層及び前記金属基材の順に前記リードフレームと重なっている、1.から6.までのいずれか一つに記載の放熱シートと、
を含む半導体モジュール。
【符号の説明】
【0088】
10 半導体モジュール
100 放熱シート
100A 放熱シート基材
102 第1面
104 第2面
106a 第1側面
106b 第2側面
106c 第3側面
106d 第4側面
110 金属基材
112 第1面
114 第2面
114a 第1部分
114b 第2部分
116a 第1側面部
116b 第2側面部
120 樹脂層
122 第1面
122a 第1部分
122b 第2部分
124 第2面
126a 第1側面部
126b 第2側面部
200 半導体素子
300 リードフレーム
302 第1面
304 第2面
400 ボンディングワイヤ
500 封止樹脂
600 製造装置
610 上型
612 ダイ
614 エジェクタ
616 支持部材
618 固定部材
620 下型
622 ストリッパ
624 パンチ