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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】排出装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20231114BHJP
   B65H 29/58 20060101ALI20231114BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20231114BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B65H31/26
B65H29/58 B
B65H85/00
G03G15/00 463
G03G15/00 440
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019132739
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2021017307
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 新
(72)【発明者】
【氏名】河済 択哉
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033066(JP,A)
【文献】特開2014-133633(JP,A)
【文献】特開2012-254833(JP,A)
【文献】特開2013-095582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/54-29/70
B65H 31/00-31/40
B65H 85/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正回転により排出口から積載トレイにシートを排出し、逆回転により前記シートをスイッチバックする排出ローラーと、
前記シートが排出される場合に前記排出ローラーよりも前記シートの排出方向の下流側において前記シートの上面に当接して、前記シートを下方に付勢するシート付勢部材と、
前記排出ローラーの逆回転を前記シート付勢部材に伝達する駆動伝達部を有し、前記シートがスイッチバックされる場合に前記シート付勢部材を上方に退避させる退避機構と、
を備え
前記シート付勢部材は、前記排出ローラーよりも前記シートの搬送方向の下流側に配置された揺動軸と、前記揺動軸から前記積載トレイへ向けて延出され、前記揺動軸を中心に揺動可能な当接片を有し、
前記退避機構は、
揺動軸を上下方向に移動可能に支持する支持穴と、
大径部と前記大径部よりも径の小さな小径部とを有し、所定方向に回転可能なカムと、
前記カムの上方に配置され、前記揺動軸の一端部から突出し、前記カムのカム面を摺動する従動片と、を有し、
前記シートがスイッチバックされる場合に、前記カムの回転により前記大径部が前記従動片に接触することで前記シート付勢部材が持ち上げられて、前記当接片が上方へ退避することを特徴とする排出装置。
【請求項2】
前記駆動伝達部は、前記排出ローラーが逆回転する場合の駆動力を前記カムに伝達することで前記カムを回転させ、前記排出ローラーが正回転する場合に前記カムを空転させるワンウェイクラッチを備えることを特徴とする請求項に記載の排出装置。
【請求項3】
前記シートに画像を形成する作像装置と、
前記画像が形成された前記シートを排出する請求項1又は2に記載の排出装置と、
前記排出装置によりスイッチバックされた前記シートの表裏を反転させて前記作像装置に搬送する反転機構と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを排出する排出装置及び排出装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、画像が形成されたシートを排出口から排出する排出ローラーと、排出されたシートが積載される積載トレイと、を備えるが、排出されるシートにカールが発生している場合、シートの排出及び積載に不具合が生じるという問題がある。そこで、従来、シートにカールが発生していても排出及び積載を円滑に行うための技術が検討されている。例えば、特許文献1では、複数の排出ローラーの間に排出ローラーより大径の押さえローラーを設けて、排出原稿に通紙方向に平行なカールを付与することで排紙原稿に剛性を与えて通紙方向の反りを防止する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-218458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1とは異なる手法として、排出ローラーよりも排出方向の下流側においてシートを下方に付勢する部材(シート付勢部材)を設けることが考えられる。しかし、両面印刷のためにシートをスイッチバックさせる場合には、この部材がシートを付勢する力がシートに対する負荷となるため、シートにスキューが発生するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、排出されるシートを下方に付勢するシート付勢部材がスイッチバック時にシートに与える負荷を抑制することのできる排出装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る排出装置は、正回転により排出口から積載トレイにシートを排出し、逆回転により前記シートをスイッチバックする排出ローラーと、前記シートが排出される場合に前記排出ローラーよりも前記シートの排出方向の下流側において前記シートの上面に当接して、前記シートを下方に付勢するシート付勢部材と、前記排出ローラーの逆回転を前記シート付勢部材に伝達する駆動伝達部を有し、前記シートがスイッチバックされる場合に前記シート付勢部材を上方に退避させる退避機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る排出装置において、前記シート付勢部材は、前記排出ローラーよりも前記シートの搬送方向の下流側に配置された揺動軸と、前記揺動軸から前記積載トレイへ向けて延出され、前記揺動軸を中心に揺動可能な当接片を有し、前記退避機構は、所定方向に回転可能なカムと、前記揺動軸の一端部から突出し、前記カムのカム面を摺動する従動片と、を有し、前記カムの回転により前記従動片が摺動すると共に、前記揺動軸が回転して、前記当接片が上方へ退避するように構成されてもよい。
【0008】
本発明に係る排出装置において、前記駆動伝達部は、前記排出ローラーが逆回転する場合の駆動力を前記カムに伝達することで前記カムを回転させ、前記排出ローラーが正回転する場合に前記カムを空転させるワンウェイクラッチを備えていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記シートに画像を形成する作像装置と、前記画像が形成された前記シートを排出する上記のいずれかの排出装置と、前記排出装置によりスイッチバックされた前記シートの表裏を反転させて前記作像装置に搬送する反転機構と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排出されるシートを下方に付勢するシート付勢部材がスイッチバック時にシートに与える負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る排出装置を支持する構造の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る排出装置の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る排出装置の斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るシート付勢部材の斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る退避機構の斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る排出装置の断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る退避機構の側面図である。
図9】シート排出中の排出装置の断面図である。
図10】シート排出中の退避機構の側面図である。
図11】スイッチバック開始時の排出装置の断面図である。
図12】スイッチバック開始時の退避機構の側面図である。
図13】スイッチバック搬送中の排出装置の断面図である。
図14】スイッチバック搬送中の退避機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るプリンター1(画像形成装置の一例)及び排出装置11について説明する。
【0013】
まず、図1を参照して、プリンター1の全体の構成について説明する。図1は、プリンター1の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、図1における紙面手前側をプリンター1の正面側(前側)とし、左右の向きはプリンター1を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0014】
プリンター1は、概ね直方体の本体部2を備え、本体部2の内部に、シートSが収容される給紙カセット3と、給紙カセット3からシートSを送り出す給紙装置5と、シートSにトナー像を形成する作像装置7と、トナー像をシートSに定着する定着装置9と、シートSを排出口12から排出する排出装置11と、排出されたシートSが積載される積載トレイ13と、が備えられている。
【0015】
本体部2の内部には、給紙装置5から作像装置7、定着装置9を経て排出装置11に至る搬送路15が形成されている。排出装置11は、シートSを挟持搬送する排出ローラー21を備える。排出ローラー21は、正回転と逆回転が可能であり、正回転により排出口12からシートSを排出し、逆回転によりシートSをスイッチバックする。スイッチバック搬送路16(反転機構の一例)は、定着装置9と排出装置11との間の分岐点Bにおいて搬送路15から分岐する。分岐点Bには分岐爪17が配置されている。分岐爪17は、モーター等(図示省略)により回転することで、搬送路15とスイッチバック搬送路16のいずれかを開放する。スイッチバック搬送路16は、給紙装置5と作像装置7との間の合流点Jにおいて搬送路15に合流する。
【0016】
プリンター1は、制御部4を備える。制御部4は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read only memory)等の記憶装置と、を備え、記憶装置に記憶された制御プログラムや制御用データを用いてプリンター1の各部を制御する。
【0017】
次に、プリンター1の画像形成動作を説明する。片面印刷の指示が入力された場合、給紙装置5によって給紙カセット3から送り出されたシートSが搬送路15に沿って作像装置7に搬送され、作像装置7によりシートSにトナー像が形成される。シートSは、搬送路15に沿って定着装置9に搬送され、定着装置9によりトナー像が定着される。分岐爪17が搬送路15を開放することでシートSが排出装置11に案内される。排出ローラー21は、正回転によりシートSを排出方向に挟持搬送し、排出口12から積載トレイ13に排出する。
【0018】
一方、両面印刷の指示が入力された場合、給紙装置5によって給紙カセット3から送り出されたシートSが搬送路15に沿って作像装置7に搬送され、作像装置7によりシートSの第1面にトナー像が形成される。シートSは、搬送路15に沿って定着装置9に搬送され、定着装置9により第1面にトナー像が定着される。分岐爪17が搬送路15を開放することでシートSが排出装置11に案内される。排出ローラー21は、正回転によりシートSを排出方向に挟持搬送し、排出方向におけるシートSの上流側端部が分岐点Bを通過したときに正回転を停止する。
【0019】
続いて、分岐爪17がスイッチバック搬送路16を開放し、排出ローラー21が逆回転を開始することで、シートSがスイッチバック搬送路16に案内される。シートSは、スイッチバック搬送路16を経て搬送路15に搬送され、第2面を上方に向けて作像装置7に搬送され、作像装置7により第2面にトナー像が形成される。シートSは、搬送路15に沿って定着装置9に搬送され、定着装置9により第2面にトナー像が定着される。分岐爪17が搬送路15を開放することでシートSが排出装置11に案内される。排出ローラー21は、正回転によりシートSを排出方向に挟持搬送し、排出口12から積載トレイ13に排出する。
【0020】
次に、図2乃至6を参照して、排出装置11の構成について詳細に説明する。図2は、排出装置11を支持する構造の斜視図である。図3、4は、排出装置11の斜視図である。図5は、シート付勢部材41の斜視図である。図6は、退避機構51の斜視図である。図7は、排出装置11の断面図である。図8は、退避機構51の側面図である。
【0021】
図2に示されるように、排出装置11は、本体部2の内部の前側に設けられた前側板18と後側に設けられた後側板19とに支持されている。図3、4に示されるように、排出装置11は、概ね直方体の筐体14を備え、筐体14の右側面の上部に排出口12が形成されている。
【0022】
排出装置11は、正回転により排出口12から積載トレイ13にシートSを排出し、逆回転によりシートSをスイッチバックする排出ローラー21と、シートSが排出される場合に排出ローラー21よりもシートSの排出方向の下流側においてシートSを下方に付勢し、シートSがスイッチバックされる場合に上方に退避するシート付勢機構40と、を備える。シート付勢機構40は、シートSが排出される場合に排出ローラー21よりもシートSの排出方向の下流側においてシートSの上面に当接して、シートSを下方に付勢するシート付勢部材41と、排出ローラー21の逆回転をシート付勢部材41に伝達するワンウェイクラッチ55(駆動伝達部の一例)を有し、シートSがスイッチバックされる場合にシート付勢部材41を上方に退避させる退避機構51と、を備える。
【0023】
[排出ローラー]
図3、4、7に示されるように、排出ローラー21は、前後方向を軸方向として筐体14内の上部に配置されている。排出ローラー21は、上側に配置された駆動ローラー22と、下側に配置された従動ローラー23とを備え、シートSを挟持搬送する。筐体14の前面には、モーター31、第1ギア32、第2ギア33、第3ギア34、排出ローラー駆動ギア35が配置されている。排出ローラー駆動ギア35は、駆動ローラー22の軸に結合されている。モーター31は、例えばステッピングモーターである。
【0024】
モーター31の駆動力が第1ギア32、第2ギア33、第3ギア34を介して排出ローラー駆動ギア35に伝達されることで、排出ローラー21が駆動される。モーター31の正回転により排出ローラー21が正回転し、シートSが排出される。従動ローラー23が駆動ローラー22よりも若干右側に配置されているため、シートSは、やや上向きに排出される。モーター31の逆回転により排出ローラー21が逆回転し、シートSがスイッチバックされる。
【0025】
[シート付勢機構]
シート付勢機構40は、シート付勢部材41と退避機構51とを含む。シート付勢部材41は、排出ローラー21よりもシートSの搬送方向の下流側に配置された揺動軸43と、揺動軸43から積載トレイ13へ向けて延出され、揺動軸43を中心に揺動可能な当接片45を有する。退避機構51は、所定方向に回転可能なカム54と、揺動軸43の一端部から突出し、カム54のカム面を摺動する従動片44と、を有し、カム54の回転により従動片44が摺動すると共に、揺動軸43が回転して、当接片45が上方へ退避する。
【0026】
[シート付勢部材]
具体的には、図5に示されるように、シート付勢部材41は、前後方向を長手方向とする揺動軸43と、揺動軸43の前端部に形成された従動片44と、揺動軸43の長手方向の3箇所に形成された当接片45と、を含む。図7に示されるように、シート付勢部材41は、排出ローラー21よりもシートSの排出方向の下流側に設けられている。図8に示されるように、筐体14の前後の側板には、U字形の支持穴46が形成されており、揺動軸43の前後両端部が支持穴46に支持されている。シート付勢部材41は、揺動軸43を中心として揺動可能であり、且つ、支持穴46に沿って上下方向に移動可能である。従動片44は、揺動軸43に垂直に形成された板状の部位であり、下部の半径がその他の部分より若干長くなるように形成されている。従動片44は、筐体14の前面に露出されている。当接片45は、上方に反り返った板状の部位であり、揺動軸43から右下方に延出するように形成されている。
【0027】
[退避機構]
図6に示されるように、退避機構51は、前後方向を長手方向とするシャフト52と、シャフト52の後端部に固定されたカム駆動ギア53と、カム駆動ギア53の前側に設けられ、軸穴を有する円板状のカム54と、カム54に内蔵されたワンウェイクラッチ55と、を含む。図8に示されるように、退避機構51は、シート付勢部材41の従動片44の下方に設けられている。カム駆動ギア53は、排出ローラー駆動ギア35に噛み合わされている。
【0028】
カム54は、大径部54Lと、大径部54Lよりも径の小さな小径部54Sと、を備える。図6における小径部54Sの左端部は段差部54Dを介して大径部54Lと接続され、小径部54Sの右端部は段差部54Dよりもなだらか且つ滑らかに湾曲した湾曲部54Cを介して大径部54Lと接続されている。
【0029】
[ワンウェイクラッチ]
ワンウェイクラッチ55は、排出ローラー21が逆回転する場合の駆動力をカム54に伝達することでカム54を回転させ、排出ローラー21が正回転する場合にカム54を空転させる。具体的には、ワンウェイクラッチ55は、カム54のシャフト52が貫通する貫通孔を備え、排出ローラー21が逆回転する場合にシャフト52の周面と貫通孔の内周面との連結によりカム54を接続することで、シャフト52を逆回転(図6参照)させる駆動力をカム54に伝達する。一方、ワンウェイクラッチ55は、排出ローラー21が正回転する場合にシャフト52とカム54の接続を切断することでシャフト52に対してカム54を空転させる。
【0030】
次に、図7乃至14を参照して、排出装置11の動作について説明する。図9は、シート排出中の排出装置11の断面図である。図10は、シート排出中の退避機構51の側面図である。図11は、スイッチバック開始時の排出装置11の断面図である。図12は、スイッチバック開始時の退避機構51の側面図である。図13は、スイッチバック搬送中の排出装置11の断面図である。図14は、スイッチバック搬送中の退避機構51の側面図である。
【0031】
初期状態においては(図7、8参照)、シート付勢部材41の当接片45が排出口12の右方に重力により垂れ下がった姿勢になっている。このとき、カム54はシャフト52に接続されておらず、小径部54Sがシャフト52の真上よりもやや右寄りに位置しており、カム54はシート付勢部材41の従動片44に接触していない。
【0032】
次に、制御部4は、排出ローラー21を正回転させてシートSの排出を開始する(図9、10参照)。すると、排出口12から排出されてきたシートSによってシート付勢部材41の当接片45が持ち上げられることにより、揺動軸43を中心としてシート付勢部材41が反時計回りに回転する。このとき、シャフト52は排出ローラー駆動ギア35からカム駆動ギア53を介して伝達される駆動力により時計回りに回転するが、カム54がシャフト52に接続されていないため、カム54の姿勢は初期状態から変化せず、カム54はシート付勢部材41の従動片44に接触していない。
【0033】
次に、制御部4は、排出ローラー21を逆回転させてシートSのスイッチバックを開始する(図11、12参照)。このとき、シャフト52は反時計回りに回転するが、ワンウェイクラッチ55がカム54をシャフト52に接続するため、カム54がシャフト52に追従して反時計回りに回転し、カム54の湾曲部54Cがシート付勢部材41の従動片44の下端部に接触する。
【0034】
さらにシートSのスイッチバックが進行すると(図13、14参照)、カム54の大径部54Lがシート付勢部材41の従動片44の下端部に接触することで、シート付勢部材41が持ち上げられる。その結果、シート付勢部材41の当接片45がシートSに接触しなくなるため、シート付勢部材41がスイッチバック時にシートSに与える負荷が抑制される。
【0035】
なお、一般に、カム54の1周期と1枚分のスイッチバック動作に要する時間とは一致しないので、1枚のシートSをスイッチバックさせる間にカム54は複数回回転し、それに伴ってシート付勢部材41は複数回上下に揺動する。
【0036】
以上説明した本実施形態に係る排出装置11によれば、排出されるシートSを下方に付勢するシート付勢部材41がスイッチバック時にシートSに与える負荷を抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る排出装置11によれば、シート付勢部材41が、シートSが排出される場合に重力により下降することでシートSを下方に付勢するから、シート付勢部材41を下降させるための駆動力が不要であり、消費電力を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る排出装置11によれば、排出ローラー21の逆回転に連動してシート付勢部材41が退避するから、シート付勢部材41専用の駆動機構が不要である。
【0039】
上記の実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0040】
上記実施形態では、シート付勢部材41が重力により下降することでシートSを下方に付勢する例を示したが、ねじりコイルばね等によりシート付勢部材41を時計回りに付勢することでシートSを下方に付勢するように構成されていてもよい。
【0041】
カム54の初期状態におけるシャフト52の真下の位置に錘を設けることにより、空転時に重力の作用によりカム54が初期状態に戻るように構成されてもよい。また、カム54の回転角を検知するセンサーを設け、1枚のスイッチバックが完了するたびに、カム54の回転角が初期位置に戻ったことが検知されるまで排出ローラー21の逆回転によりカム54を駆動するように構成されてもよい。
【0042】
最大サイズのシートSのスイッチバックに要する期間のカム54の回転角が360度となるようにカム54の回転を減速する機構が設けられてもよい。この構成によれば、1枚のシートSのスイッチバックに要する時間内にカム54が1回転以上することでシート付勢部材41が複数回上下動することを防ぐことができる。
【0043】
上記実施形態では、スイッチバック時にシート付勢部材41の当接片45がシートSに当接しなくなる例を示したが、シート付勢部材41がカム54によって持ち上げられたときに当接片45がシートSに当接していてもよい。当接片45がシートSに当接していても、シート付勢部材41が持ち上げられることで、シートSに対する負荷を抑制することができる。
【符号の説明】
【0044】
7 作像装置
11 排出装置
12 排出口
13 積載トレイ
21 排出ローラー
40 シート付勢機構
41 シート付勢部材
51 退避機構
54 カム
55 ワンウェイクラッチ(駆動伝達部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14