IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 市光工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用灯具 図1
  • 特許-車両用灯具 図2
  • 特許-車両用灯具 図3
  • 特許-車両用灯具 図4
  • 特許-車両用灯具 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20231114BHJP
   F21S 43/31 20180101ALI20231114BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20231114BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20231114BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231114BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/31
F21V5/00 320
F21V5/00 610
F21W103:00
F21Y115:10 500
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019144065
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021026890
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 洋一
(72)【発明者】
【氏名】池之上 翔
(72)【発明者】
【氏名】檀浦 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 綾子
(72)【発明者】
【氏名】中川 正崇
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-063604(JP,A)
【文献】特開昭63-259901(JP,A)
【文献】特開2000-067611(JP,A)
【文献】特開平02-128300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/20
F21S 43/31
F21V 5/00
F21W 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室に設けられた光源部と、
前記光源部から出射された光を部分的に通す透過部と、前記透過部の上部に設けられて外光の前記灯室への侵入を遮る庇部と、を有する区画壁部材と、を備え
前記区画壁部材は、鉛直方向の上側から下側に向かうに連れて前記透過部を通して光が出射される出射方向の前側に向かうように傾斜する上側傾斜部と、前記上側傾斜部の下端から、鉛直方向の上側から下側に向かうに連れて前記出射方向の後側に向かうように傾斜する下側傾斜部と、を有し、
前記上側傾斜部が、前記庇部とされ、
前記下側傾斜部が、前記透過部とされていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記光源部は、前記透過部を通して光が出射される出射方向で前記区画壁部材と対向するリフレクタと、前記リフレクタに対して前記出射方向とは異なる位置に設けられて前記リフレクタへ向けて光を出射する光源と、を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記透過部は、複数の透過箇所で構成され、
複数の前記透過箇所は、それぞれドットであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記透過部は、複数の透過箇所で構成され、
複数の前記透過箇所は、それぞれスリットであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
複数の前記透過箇所は、鉛直方向の上側から下側に向けて大きさ寸法が漸次的に変化されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具は、外光が灯室内に入ることに起因して、非点灯時であっても点灯しているかのように見える疑似点灯を抑制することが考えられている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
この車両用灯具は、光源の前方に複数の透過部と複数の不透過部とを交互に並べた状態で設けている。この車両用灯具は、中央部の各透過部の幅を大きくしつつ周辺部の各透過部の幅を小さくすることで、疑似点灯を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-73501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術は、各透過部を通して外光が灯室内に入ることを抑制する観点すなわち疑似点灯を抑制する観点から改良の余地があった。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、疑似点灯を適切に抑制することのできる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車両用灯具は、灯室に設けられた光源部と、前記光源部から出射された光を部分的に通す透過部と、前記透過部の上部に設けられて外光の前記灯室への侵入を遮る庇部と、を有する区画壁部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の車両用灯具によれば、疑似点灯を適切に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る車両用灯具の構成を断面で示す説明図である。
図2】区画壁部材を、出射方向の前側から見た様子を示す説明図である。
図3図2の枠F1で囲んだ領域を部分的に拡大して示す説明図である。
図4図1の枠F2で囲んだ領域を部分的に拡大して示す説明図である。
図5図3に示す領域におけるその他の一例の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る車両用灯具の一例としての車両用灯具10の実施例1について図面を参照しつつ説明する。図1は、図2においてI-I線に沿って得られた断面に相当する。
【実施例1】
【0011】
本開示に係る車両用灯具の一実施形態に係る実施例1の車両用灯具10を、図1から図5を用いて説明する。車両用灯具10は、自動車等の車両の灯具として用いられるもので、実施例1ではテールランプユニットに用いた例を示す。以下の説明では、図1に示すように、車両用灯具10において、光が出射される方向を出射方向(図面ではZとし、光が出射される側を前側とする)とし、車両に搭載された状態での上下の方向を上下方向(図面ではYとする)とし、出射方向および上下方向に直交する方向を幅方向(図面ではXとする)とする。
【0012】
車両用灯具10は、図1に示すように、筐体11と区画壁部材12と光源部13とを備える。筐体11は、光の透過を遮る材料で形成されており、出射方向の前側の端部である前端部11aが開放された箱状とされている。筐体11は、上側の前端部11aを形成する上壁部11bと、下側の前端部11aを形成する下壁部11cと、それらを繋ぐ奥壁部11dと、を有する。筐体11は、その前端部11aに区画壁部材12が設けられることで、その区画壁部材12と協働して灯室14を形成する。すなわち、区画壁部材12は、車両用灯具10の出射方向の前側において、外方の空間と灯室14とを区画している。光源部13は、その灯室14に設けられている。車両用灯具10は、筐体11と区画壁部材12と光源部13とが、図1に示す位置関係で組み付けられた状態で、車両の後部の両端にそれぞれ配置されることで、テールランプユニットを構成する。なお、区画壁部材12は、車両用灯具10において外気に直接触れるアウターレンズとされていてもよく、アウターレンズの内側に設けられるインナーレンズとされていてもよい。
【0013】
区画壁部材12は、光の透過を許す透明な樹脂材料で形成されており、例えばアクリル樹脂もしくはポリカーボネイト等の樹脂材料が用いられる。区画壁部材12は、表面12a(図4参照)にマスク層15が設けられている。マスク層15は、光の透過を遮る材料で形成されており、実施例1では黒色の塗料の塗布により形成されている。このため、区画壁部材12は、基本的には光を通さない状態とされている。区画壁部材12は、天辺部21と上側傾斜部22と下側傾斜部23とを有し、幅方向に直交する断面において上側傾斜部22と下側傾斜部23とがL字形状に屈曲された位置関係とされている。区画壁部材12は、各部(21、22、23)が幅方向に延びるものとされており(図2参照)、車両用灯具10における出射方向の前側の外形を形成する。区画壁部材12は、天辺部21と上側傾斜部22と下側傾斜部23とが図1に示すように略上下方向で並べられた状態で、図2に示すように、湾曲されての突出端部12bが設けられている。その突出端部12bは、区画壁部材12において、出射方向の前側へと最も突出されている。
【0014】
天辺部21は、図1および図2に示すように、上下方向の上側において、出射方向に延びる板状とされている。天辺部21は、灯室14の上側の壁部を形成しており、筐体11の上壁部11bに覆われている。
【0015】
上側傾斜部22は、天辺部21の出射方向の前側の端部から、上下方向で下側に向かうに連れて出射方向の前側へと向かうように、前側斜め下方へと延びるものとされている。上側傾斜部22は、上壁部11bにより覆われない位置関係とされており、筐体11の前端部11aよりも突出されて、全体が露出されている。
【0016】
下側傾斜部23は、上側傾斜部22の下側の端部から下壁部11cの前部へ向けて、上下方向で下側に向かうに連れて出射方向の後側へと向かうように、後側斜め下方へと延びるものとされている。下側傾斜部23は、その下端が筐体11の下壁部11cに支えられており、上側傾斜部22に連続しつつ筐体11の前端部11aよりも突出されて、略全体が露出されている。この下側傾斜部23には、図1から図3に示すように、透過部24と拡散部25とが設けられている。
【0017】
透過部24は、区画壁部材12において光を透過させる箇所であり、実施例1では区画壁部材12の表面に形成されたマスク層15が部分的に剥離されることで形成されている。実施例1の透過部24は、図2に示すように、下側傾斜部23の上端(上側傾斜部22との境目)から下方に向けた所定の領域に設けられている。透過部24は、その領域が区画壁部材12の突出端部12bを中心として幅方向の外側に向かうに連れて上下方向での大きさが小さくされている。透過部24は、図3に示すように、整列された複数の円形状(ドット)にマスク層15が部分的に剥離された透過箇所26を有する。すなわち、透過部24は、複数のドット(透過箇所26)が集合されて所謂水玉模様またはドット柄として形成されている。このような各透過箇所26は、高エネルギー密度の極短パルスをマスク層15に部分的に照射して、その照射した箇所のマスク層15を除去するレーザー剥離を行うことで、細かい模様で精密に形成される。そして、実施例1の透過部24では、上下方向で下側に向かうに連れて透過箇所26の大きさが小さくされている。
【0018】
拡散部25は、透明な樹脂材料で形成された区画壁部材12における出射方向の後側の裏面12cから区画壁部材12内へと進行する光を拡散させる。拡散部25は、裏面12cにシボ加工やブラスト加工等が施されたり、細かな凹凸で形成される拡散プリズム(魚眼プリズム、ローレット等)が設けられたりすることで形成される。なお、拡散部25は、拡散作用を有する部材を裏面12cに貼り付けたり裏面12cの前に設けたりしてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0019】
光源部13は、図1に示すように、筐体11に固定されて灯室14に設けられ、複数の光源31と基板32とリフレクタ33とを有する。複数の光源31は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成され、適宜並べられて基板32に実装されている。各光源31は、実施例1では、出射光軸を中心とするランバーシアン分布で、赤色の単色光(縦軸を光量とし横軸を波長としたグラフにおいてピークが1つとされたもの)を出射する。各光源31は、出射光軸が上下方向に大略沿って設けられており、それぞれの発光面がリフレクタ33に向けられている。
【0020】
基板32は、各光源31の配置位置に対応して適宜出射方向および幅方向に延びる板状に形成されており、総ての光源31が実装されている。その各光源31の配置位置は、下側傾斜部23において透過部24が設けられた領域を満遍なく照射できるように、その領域や下側傾斜部23の位置を鑑みてリフレクタ33(その反射面34)の形状とともに光学的に設定される。基板32は、点灯制御回路からの電力を各光源31に適宜供給することができ、各光源31を適宜点灯させる。
【0021】
リフレクタ33は、基板32において各光源31が設けられた領域の下側を覆うものとされ、その各光源31(その発光面)に対向する反射面34を有する。反射面34は、各光源31から出射した光を区画壁部材12(主にその下側傾斜部23)へ向けて反射する。反射面34は、リフレクタ33において各光源31と対向する内側面に、蒸着や塗装等によりアルミや銀等の反射部材を接着させることで形成される。反射面34は、上記のように各光源31の配置位置や透過部24の位置関係を考慮した自由曲面とされている。
【0022】
この光源部13では、さらに、基板32に実装された各光源31で発生する熱を外部に逃がすヒートシンク部材が適宜設けられる。なお、基板32は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の高い材料で形成することで、基板自身がヒートシンク部材としても機能するものとしてもよい。
【0023】
次に、この車両用灯具10の作用について説明する。車両用灯具10は、点灯制御回路からの電力を基板32を介して各光源31に適宜供給することで、各光源31を点灯させる。すると、各光源31から出射された光は、図1に示すように、上下方向で対向するリフレクタ33へと向かい、そのリフレクタ33で区画壁部材12(主にその下側傾斜部23)へ向けて反射される。その反射された反射光は、下側傾斜部23の透過部24が設けられた領域の全体を照射する。なお、図1では、主に光が進行する方向を示しているので反射が平行とされているが、実際には様々な進行方向で下側傾斜部23の透過部24が設けられた領域を中心として区画壁部材12へと向かう。
【0024】
その反射光は、透過部24の各透過箇所26を通して区画壁部材12の外側へと出射されることとなり、各透過箇所26を赤色に光らせる。その透過部24は、上記のように各透過箇所26が上下方向で下側に向かうに連れて大きさが小さくされて構成されている。このため、透過部24は、下側に向かうに連れて徐々に暗くなって、上下方向にグラーデーション(階調)を形成して光る。また、区画壁部材12すなわち上側傾斜部22および下側傾斜部23では、表面12aにマスク層15を設けていることで光を通さない状態とされているので、透過部24以外からは区画壁部材12の外側へと光が出射されることはない。このため、車両用灯具10は、区画壁部材12において、マスク層15が設けられた箇所を光らせることなく、下側傾斜部23の透過部24のみをグラーデーション状に赤く光らせることができる。
【0025】
また、車両用灯具10は、点灯制御回路から各光源31への電力の供給を止めることで、各光源31を消灯させる。すると、車両用灯具10は、透過部24の各透過箇所26から光が出射されることはないので、透過部24が暗いままとなり、下側傾斜部23における透過部24以外の箇所や上側傾斜部22の中に透過部24が埋没して区画壁部材12の全体が黒く見える。
【0026】
ここで、一般的な車両用灯具では、疑似点灯が生じることが知られている。この疑似点灯は、外光が灯室内に入ることにより、灯室内が明るくなることで、非点灯時であっても光源が点灯しているかのように見えるものである。そこで、先行技術文献に記載の従来技術では、光源の前方に複数の透過部と複数の不透過部とを交互に並べており、周辺部の各透過部の幅を小さくすることで、疑似点灯を抑制している。
【0027】
ところで、車両用灯具は、車両において外側に露出して設けられていることから、疑似点灯を生じさせ得る外光が、露出した箇所である各透過部と各不透過部との全体を照射する。このように照射されると、上記の従来技術は、各透過部の幅を小さくしても交互に並べられることで各不透過部の間に各透過部が位置するので、その各透過部から外光が灯室内に入ってしまう。このため、上記の従来技術は、明るさは抑制できても疑似点灯が生じてしまう。
【0028】
これに対して、車両用灯具10は、区画壁部材12において、透過部24の上側に、マスク層15を設けた上側傾斜部22を設けている。このため、車両用灯具10は、図1に示すように、外光ALが差し込んだ場合であっても、上側傾斜部22(そのマスク層15)の全体で外光ALを遮ることができ、外光ALが灯室14内に入ることを抑制できる。これにより、車両用灯具10は、各光源31の非点灯時には、灯室14内を暗くすることができ、透過部24が光って見える疑似点灯を適切に抑制することができる。このため、車両用灯具10は、各光源31の非点灯時には、透過部24を含めた下側傾斜部23および上側傾斜部22すなわち区画壁部材12全体を黒く見せることができ、透過部24が見える場合と比較して、見栄えを向上させることができる。また、車両用灯具10は、各光源31の点灯時には、同様に上側傾斜部22により外光ALの影響を抑制できるので、透過部24を意図した色(実施例1では各光源31からの赤色)に光らせることができる。これらのことから、上側傾斜部22のマスク層15は、点灯時であるか非点灯時であるかに拘らず、区画壁部材12における上部の上側傾斜部22(透過部24の上部)に設けられて外光の灯室14への侵入を防止する庇部35として機能する。
【0029】
特に、車両用灯具10は、庇部35としてのマスク層15を、筐体11の前端部11aから上下方向で下側に向かうに連れて出射方向の前側へと向かって斜め下方へと延びる上側傾斜部22に設けている。ここで、外光ALは、様々なものが考えられるが、最も多く生じる場面としては車両用灯具10に対して斜め上方から差し込む太陽光や、街中等に設けられて斜め上方から照らす外灯等のように、斜め上方から照射されることが考えられる。このため、車両用灯具10は、庇部35を筐体11の前端部11aから斜め下方へと延びるものとすることで、外光ALが灯室14内に入ることをより適切に抑制でき、より効果的に疑似点灯が生じることを抑制できる。
【0030】
加えて、車両用灯具10は、光源部13が、複数の光源31とリフレクタ33とを有し、各光源31から出射された光をリフレクタ33で反射することで、区画壁部材12の透過部24を光らせている。このため、車両用灯具10は、透過部24を介して灯室14内を見ても、透過部24と出射方向で対向する位置にはリフレクタ33が存在するのみであり、各光源31が直接に見えることはない。また、車両用灯具10は、透過部24を、複数の透過箇所26で形成している。このため、車両用灯具10は、透過部24を介して灯室14内を見ようとしても、1つ1つの透過箇所26が小さくなるので、灯室14内を見ることが困難である。さらに、車両用灯具10は、透過部24を設けた下側傾斜部23を、上側傾斜部22の前側で下側の端部から、上下方向で下側に向かうに連れて出射方向の後側へと向かって斜め下方へと延びるものとしている。このため、車両用灯具10は、車両に設けられた状態で透過部24と正対して灯室14内が見られる場面を稀とすることができ、灯室14内を見ることをより困難にできる。加えて、車両用灯具10は、透過部24を設けた下側傾斜部23の裏面12cに拡散部25を設けている。このため、車両用灯具10は、透過部24を介して灯室14内を見ようとしても、拡散部25により暈されるので、灯室14内の様子を把握することが極めて困難とすることができる。よって、車両用灯具10は、点灯時であるか非点灯時であるかに拘わらず、外方から各光源31が見えることを防止でき、各光源31が見える場合と比較して、見栄えを向上させることができる。特に、車両用灯具10は、点灯時には、光っている箇所が点在して見えることを抑制できるので、意図した態様(実施例1ではグラーデーション状)で光らせることができる。
【0031】
このように、車両用灯具10は、疑似点灯を適切に抑制することができるとともに、点灯時や非点灯時の見栄えを向上させることができる。そして、車両用灯具10は、各光源31の点灯により区画壁部材12の透過部24を赤色に光らせることで、テールランプとして機能させることができる。また、車両用灯具10は、複数の透過箇所26で透過部24を構成しているので、各透過箇所26の配置や形状や大きさを適宜設定することで、上記した効果を得つつ透過部24の形状や階調表現を適宜設定することができる。
【0032】
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0033】
車両用灯具10は、灯室14に設けられた光源部13と、区画壁部材12と、を備える。その区画壁部材12は、光源部13から出射された光を部分的に通す透過部24と、その上部に設けられて外光の灯室14への侵入を遮る庇部35と、を有する。このため、車両用灯具10は、区画壁部材12の上部の庇部35により外光の灯室14への侵入を遮ることができるので、疑似点灯を適切に抑制することができる。
【0034】
また、車両用灯具10は、光源部13が、透過部24を通して光が出射される出射方向で区画壁部材12と対向するリフレクタ33と、区画壁部材12に対して出射方向とは異なる位置であってリフレクタ33へ向けて光を出射する光源31と、を有する。このため、車両用灯具10は、透過部24と出射方向で対向する位置にはリフレクタ33が存在するのみなので、各光源31が直接に見えることを防止でき、見栄えを向上させることができる。
【0035】
さらに、車両用灯具10は、透過部24を複数の透過箇所26で構成し、その各透過箇所26をドットとしている。このため、車両用灯具10は、透過部24を介して灯室14内を見ようとしても、複数の透過箇所の1つまたは複数を通して見ることとなるので、灯室14内を見ることを困難にできる。
【0036】
車両用灯具10は、複数の透過箇所26を、鉛直方向の上側から下側に向けて大きさ寸法を漸次的に変化させている。このため、車両用灯具10は、上記した効果を得つつ透過部24を上下方向にグラーデーション(階調)を形成して光らせることができる。
【0037】
車両用灯具10は、庇部35を、鉛直方向の上側から下側に向かうに連れて出射方向の前側に向かうように傾斜されている上側傾斜部22に設けている。このため、車両用灯具10は、最も多く生じると考えられる斜め上方から照射される外光ALを、より適切に庇部35で遮ることができ、より適切に疑似点灯が生じることを抑制できる。
【0038】
車両用灯具10は、透過部24を、上側傾斜部22の下端から、鉛直方向の上側から下側に向かうに連れて出射方向の後側に向かうように傾斜されている下側傾斜部23に設けている。このため、車両用灯具10は、車両に設けられた状態で透過部24と正対して灯室14内が見られる場面を稀とすることができ、灯室14内を見ることをより困難にできる。
【0039】
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、疑似点灯を適切に抑制することができる。
【0040】
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0041】
なお、実施例1では、光源部13(各光源31)が赤色の光を出射するものとしている。しかしながら、各光源31は、車両用灯具10の用途に応じて適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0042】
また、実施例1では、透過部24を図1に示す全体形状としている。しかしながら、透過部24は、適宜全体形状を設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。また、実施例1では、透過部24の複数の透過箇所26をドットとしている。しかしながら、各透過箇所26は、光源部13からの光を通すものであって複数で透過部24を形成するものであれば、形状や大きさや並び方は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。その他の一例としての各透過箇所26Aを図5に示す。各透過箇所26Aは、図5に示すように、幅方向に延びる長尺なスリットとされており、上下方向で下側に向かうに連れて太さ(上下方向での大きさ)が小さくされている。この各透過箇所26Aは、このように構成した場合であっても、実施例1の各透過箇所26を設けた場合と同様の効果を得ることができる。加えて、透過部24は、実施例1では、複数の透過箇所26で形成しているが、単一の透過箇所26で形成してもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0043】
さらに、実施例1では、区画壁部材12にマスク層15を設けることで上側傾斜部22に庇部35を形成するとともに、そのマスク層15を部分的に剥離して複数の透過箇所26を設けることで下側傾斜部23に透過部24を形成している。しかしながら、区画壁部材12は、光源部13から出射された光を部分的に通す透過部24と、その上部において外光の灯室14への侵入を遮る庇部35と、が設けられていればよく、実施例1の構成に限定されない。例えば、区画壁部材12は、光の透過を許す透明な樹脂材料で構成し、そこに透過部24を模る光の透過を遮る材料をプリントすることで、透過部24(各透過箇所26、25A)と庇部35とを形成するものとしてもよい。また、例えば、区画壁部材12は、透過部24(各透過箇所26、25A)としての貫通孔を設けた金属材料からなるパンチングメタルを、光の透過を許す透明な樹脂材料に重ねることで、透過部24(各透過箇所26、25A)と庇部35とを形成するものとしてもよい。さらに、区画壁部材12は、上側傾斜部22を光の透過を遮る材料で形成して庇部35としてもよい。
【0044】
実施例1では、区画壁部材12を、天辺部21と上側傾斜部22と下側傾斜部23とを有するものとして上記した形状としている。しかしながら、区画壁部材12は、光源部13から出射された光を部分的に通す透過部24と、その上部において外光の灯室14への侵入を遮る庇部35と、が設けられていれば、天辺部21を有していなくてもよく、上側傾斜部22と下側傾斜部23との位置関係や傾斜の状態を適宜設定してもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0045】
実施例1では、区画壁部材12の裏面12cに拡散部25を設けている。しかしながら、拡散部25を設けなくてもよく、表面12aに設けてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0046】
実施例1では、透過部24の各透過箇所26を上下方向で下側に向かうに連れて大きさが小さくしている。しかしながら、各透過箇所26の大きさは、互いに等しいものとしてもよく、実施例1とは異なる方向に向けて大きさを変化させるものでもよく、複数の方向に向けて大きさを変化させるものでもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0047】
実施例1では、光源部13において、リフレクタ33の上方に複数の光源31を設けている。しかしながら、光源31は、リフレクタ33に対して出射方向とは異なる位置に設けられてリフレクタ33へ向けて光を出射するものであれば、位置や数は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。加えて、光源部13は、透過部24から出射方向に光を出射させるものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
【符号の説明】
【0048】
10 車両用灯具 12 区画壁部材 13 光源部 14 灯室 22 上側傾斜部 23 下側傾斜部 24 透過部 26、26A 透過箇所 31 光源 33 リフレクタ 35 庇部
図1
図2
図3
図4
図5