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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】伸縮性デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/14 20060101AFI20231114BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20231114BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20231114BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20231114BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L23/14 R
H01L23/12 F
H05K1/02 L
H05K3/28 G
H05K1/18 U
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019147657
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028946
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】小川 健一
(72)【発明者】
【氏名】永江 充孝
(72)【発明者】
【氏名】沖本 直子
(72)【発明者】
【氏名】三好 徹
(72)【発明者】
【氏名】坂田 麻紀子
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517890(JP,A)
【文献】特開2019-075409(JP,A)
【文献】特開平11-163475(JP,A)
【文献】特開2008-049464(JP,A)
【文献】特開2005-039064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/12-23/15
H05K1/00-1/02
H05K1/18
H05K3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材および配線を有し、かつ、伸縮性を有する回路基板と、
前記回路基板の一方の面側に配置され、前記配線と電気的に接続された剛性体と、
前記剛性体を覆うカバー体と、を有し、
前記回路基板および前記剛性体が接着されていなく、
前記回路基板の伸縮時に、前記剛性体が、前記回路基板の前記剛性体側の面に対して移動可能である、伸縮性デバイス。
【請求項2】
前記配線が、前記基材の第1面の面内方向の1つである第1方向に沿って並ぶ複数の山部および谷部を含む蛇腹形状部を有する、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項3】
少なくとも基材および配線を有する回路基板と、
前記回路基板の少なくとも一部を内包し、かつ、伸縮性を有する筐体と、
前記筐体の一方の面側に配置され、前記配線と電気的に接続された剛性体と、
前記剛性体を覆うカバー体と、を有し、
前記筐体の伸縮時に、前記剛性体が、前記筐体の前記剛性体側の面に対して移動可能である、伸縮性デバイス。
【請求項4】
前記回路基板は、伸縮性を有する、請求項3に記載の伸縮性デバイス。
【請求項5】
前記配線が、前記基材の第1面の面内方向の1つである第1方向に沿って並ぶ複数の山部および谷部を含む蛇腹形状部を有する、請求項4に記載の伸縮性デバイス。
【請求項6】
前記筐体および前記剛性体が接着されていない、請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の伸縮性デバイス。
【請求項7】
前記回路基板は、前記配線に電気的に接続された機能性部材を有する、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の伸縮性デバイス。
【請求項8】
前記剛性体の幅は、前記機能性部材の幅よりも大きい、請求項7に記載の伸縮性デバイス。
【請求項9】
前記剛性体は、電池を含む、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の伸縮性デバイス。
【請求項10】
前記回路基板は、前記配線を基準として、前記基材とは反対側に保護層を有し、
前記保護層の前記基材とは反対の面側に、前記剛性体が位置する、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の伸縮性デバイス。
【請求項11】
前記伸縮性デバイスは、前記回路基板の剛性体とは反対の面側に、粘着層を有する、請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の伸縮性デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伸縮性デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伸縮性エレクトロニクス(ストレッチャブルエレクトロニクスとも称する。)が注目を集めており、伸縮可能な伸縮性デバイスの開発が盛んになされている。例えば、特許文献1には、フレキシブル基板および半導体構造を有する伸縮性半導体素子が開示されている。一方、伸縮性を有する回路基板に関する技術ではないものの、特許文献2には、衣服と、身体活動情報を測定する測定部と、測定部の少なくとも一部を収容する筒状の収容部とを有するウエアラブル生体センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-281406号公報
【文献】特開2017-70599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伸縮性を有する回路基板または筐体と、伸縮性を有しない剛性体とを有する伸縮性デバイスにおいては、剛性体が、回路基板または筐体の伸縮性を阻害する場合がある。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、剛性体による伸縮性の阻害を抑制した伸縮性デバイスを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示においては、少なくとも基材および配線を有し、かつ、伸縮性を有する回路基板と、上記回路基板の一方の面側に配置され、上記配線と電気的に接続された剛性体と、上記剛性体を覆うカバー体と、を有し、上記回路基板および上記剛性体が接着されていない、伸縮性デバイスを提供する。
【0006】
また、本開示においては、少なくとも基材および配線を有する回路基板と、上記回路基板の少なくとも一部を内包し、かつ、伸縮性を有する筐体と、上記筐体の一方の面側に配置され、上記配線と電気的に接続された剛性体と、上記剛性体を覆うカバー体と、を有する、伸縮性デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示における伸縮性デバイスは、剛性体による伸縮性の阻害を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1態様の伸縮性デバイスを例示する概略断面図である。
図2】第1態様における剛性体を例示する模式図である。
図3】第1態様における接続部材を例示する概略断面図である。
図4】第1態様における接続部材を例示する概略断面図である。
図5】第1態様におけるカバー体を例示する概略斜視図である。
図6】第1態様の伸縮性デバイスを例示する概略断面図である。
図7】第1態様における回路基板を例示する模式図である。
図8】第1態様における蛇腹形状部を例示する模式図である。
図9】第1態様における回路基板を例示する概略断面図である。
図10】第1態様における回路基板を例示する模式図である。
図11】第1態様における回路基板の製造方法を例示する工程図である。
図12】第2態様の伸縮性デバイスを例示する概略断面図である。
図13】第2態様の伸縮性デバイスを例示する概略断面図である。
図14】第2態様の伸縮性デバイスを例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
下記に、図面を参照しながら本開示における実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示における解釈を限定しない。
【0010】
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含む。同様に、本明細書において、「ある部材の面側に」と表記する場合、特段の断りのない限りは、ある部材の面に接するように直接、他の部材を配置する場合と、ある部材の面に別の部材の介して他の部材を配置する場合との両方を含む。
【0011】
本開示における伸縮性デバイスは、第1態様および第2態様に大別できる。本開示における伸縮性デバイスについて、第1態様および第2態様に分けて説明する。また、本開示において、「伸縮性」とは、伸び縮みすることができる性質、すなわち、常態である非伸長状態から伸長することができ、この伸長状態から解放したときに復元することができる性質をいう。非伸長状態とは、引張応力が加えられていないときの状態である。伸縮性は、ストレッチャブルともいう。
【0012】
A.第1態様
第1態様の伸縮性デバイスは、少なくとも基材および配線を有し、かつ、伸縮性を有する回路基板と、上記回路基板の一方の面側に配置され、上記配線と電気的に接続された剛性体と、上記剛性体を覆うカバー体と、を有し、上記回路基板および上記剛性体が接着されていない。
【0013】
図1は、第1態様の伸縮性デバイスを例示する概略断面図である。図1に示す伸縮性デバイス100は、伸縮性を有する回路基板10と、剛性体20と、カバー体30と、を有する。図1における回路基板10は、基材1の第1面1aから順に、支持フィルム3、配線2および保護層5を有している。さらに、回路基板10は、配線2と電気的に接続された機能性部材4を有し、基材1の内部に、機能性部材4と、配線2の端子部2xとをそれぞれ補強する補強部材7を有している。また、回路基板10は、剛性体20とは反対の面側に、粘着層6を有している。
【0014】
図1における剛性体20は、回路基板10の第1面10a側に配置され、接続部材25を介して、配線2と電気的に接続されている。図1におけるカバー体30は、剛性体20の第1面20aを覆うことで、剛性体20を保持している。第1態様においては、回路基板10および剛性体20が接着されていないことを一つの特徴とする。図1においては、回路基板10(保護層5)と、剛性体20との接触面で、両者が接着されていない。
【0015】
第1態様によれば、回路基板および剛性体が接着されていないことから、剛性体による伸縮性の阻害を抑制した伸縮性デバイスとすることができる。具体的には、回路基板および剛性体が接着されていないため、回路基板の伸縮時に、剛性体が滑るように移動する(剛性体が上下左右に振動する)。その結果、回路基板の伸縮性が阻害されることを抑制でき、例えば、伸縮性デバイスを生体に貼付した場合に、貼り心地の向上を図ることができる。さらに、第1態様の伸縮性デバイスは、回路基板の外部に剛性体を有していることから、技術的に小型化が困難な剛性体や、技術的に伸縮性を付与することが困難な剛性体を用いることができる。そのため、伸縮性デバイスを種々の用途に用いることができる。また、第1態様においては、カバー体が剛性体を覆っているため、回路基板および剛性体は接着されていない状態で回路基板が伸縮しても、剛性体の位置を安定化できる。その結果、剛性体の端子部等に過剰な応力が加わることを防止でき、耐久性が良好な伸縮性デバイスとすることができる。
【0016】
第1態様の伸縮性デバイスは、回路基板および剛性体が接着されていないことを一つの特徴とする。「接着されていない」とは、接着力が0.01N/25mm以下であることをいう。両者の接着力は、0.005N/25mm以下であることが好ましく、0.001N/25mm以下であることがより好ましい。粘着力の測定方法としては、180°剥離試験を実施する方法を採用することができる。180°剥離試験においては、まず、25mm幅の試験片を準備し、次に、引張試験機を用いて、引張速度:1200mm/分、剥離角:180°、温度:20℃、湿度:50%の条件で接着力(N/25mm)を測定する。
【0017】
回路基板および剛性体の接着性を評価する場合、試験片として、回路基板および剛性体を有する試験片を用いてもよく、回路基板の構成部材の中で、最も剛性体に近い部材と、剛性体とを有する試験片を用いてもよい。なお、接着性の上記評価は、回路基板および剛性体の接着性に限らず、他の部材同士の接着性に関しても適用できる。一方、「接着されている」とは、接着力が0.01N/25mmより大きいことをいうが、伸縮により剥離しない程度に接着されていることが好ましく、例えば1N/25mm以上であることが好ましく、例えば10N/25mm以上であることがより好ましい。
【0018】
第1態様の伸縮性デバイスは、回路基板、剛性体およびカバー体を少なくとも有する。以下、第1態様の伸縮性デバイスについて、剛性体、カバー体および回路基板の順に説明する。
【0019】
1.剛性体
第1態様における剛性体は、回路基板の一方の面側に配置され、回路基板の配線と電気的に接続されている。また、剛性体は剛性を有する。「剛性を有する」とは、JIS K7171で算出される曲げ弾性率が0.1GPa以上であることをいう。中でも、剛性体の曲げ弾性率は、1GPa以上であることが好ましく、10GPa以上であることがより好ましい。
【0020】
剛性体の具体例としては、電池、および、電池を含む基板が挙げられる。一般的な電池は剛性が高いことから、回路基板の伸縮性を阻害しやすいが、第1態様の伸縮性デバイスは、回路基板および剛性体が接着されていないことから、剛性体による伸縮性の阻害を抑制することができる。図2(a)は、第1態様における剛性体を例示する概略平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA-A断面図である。図2(a)、(b)に示す剛性体20は、電池21であり、回路基板の配線と電気的に接続するための端子部20xを有する。
【0021】
一方、図2(c)は、第1態様における剛性体を例示する概略平面図であり、図2(d)および図2(e)は、図2(c)のA-A断面図である。図2(c)~(e)に示す剛性体20は、電池を含む基板である。この基板は、基体22と、基体22の一方の面側に位置し、端子部20xを有する配線23と、配線23と電気的に接続された電池21と、電池21を固定するためのフォルダ24と、を有する。図2(d)および図2(e)に示すように、剛性体20は、電池21を着脱可能であってもよい。電池を着脱可能であることにより、容易に電池を交換することができる。
【0022】
剛性体の他の具体例としては、BLE(Bluetooth Low Energy)等の通信規格に対応した無線通信ユニット、太陽電池および圧電体を有する発電ユニット、無線給電ユニット、表示機、ICチップ、メモリー、マイクロコントローラーが挙げられる。
【0023】
剛性体の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、矩形、円形が挙げられる。また、図1に示すように、第1方向D1における、剛性体20の幅をW1とし、機能性部材4の幅をW2とする。W1およびW2の大小関係は特に限定されず、W1は、W2より大きくてもよく、W2と同じであってもよく、W2より小さくてもよいが、中でも、W1はW2より大きいことが好ましい。W2に対するW1の割合(W1/W2)は、特に限定されないが、例えば0.8以上であり、1以上であってもよく、1.5以上であってもよい。一方、W1/W2は、例えば10以下であり、5以下であってもよい。W1の値は、特に限定されないが、例えば5mm以上であり、10mm以上であってもよく、15mm以上であってもよい。一方、W1の値は、特に限定されないが、例えば5cm以下であり、25mm以下であってもよい。
【0024】
剛性体は、回路基板の一方の面側に配置される。図1に示すように、剛性体20は、回路基板10の第1面10a側に配置されることが好ましい。一方、特に図示しないが、剛性体は、回路基板の第2面側に配置されていてもよい。
【0025】
剛性体は、回路基板の配線と電気的に接続されている。図1に示すように、剛性体20と、回路基板10の配線2とは、接続部材25を介して、電気的に接続されていることが好ましい。接続部材としては、例えば、ケーブル、フレキシブルプリント回路基板(FPC)が挙げられる。図3(a)、(b)に示すように、剛性体20の端子部20xにおいて、接続部材25であるケーブルが、接続部201により剛性体20に接続されていてもよい。また、図3(c)、(d)に示すように、剛性体20の端子部20xにおいて、接続部材25であるFPCが、接続部201により剛性体20に接続されていてもよい。接続部としては、例えば、はんだ、異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電ペースト(ACP)、ケーブルコネクタが挙げられる。
【0026】
一方、図4(a)、(b)に示すように、配線2の端子部2xにおいて、接続部材25であるケーブルが、接続部202により剛性体20に接続されていてもよい。図4(b)に示すように、配線2の端子部2xに、接続部202として、ケーブルコネクタ(ハウジング)を実装してもよい。また、図4(c)、(d)に示すように、配線2の端子部2xにおいて、接続部材25であるFPCが、接続部202により剛性体20に接続されていてもよい。図4(d)に示すように、FPC(接続部材25)には、第2の接続部材25´として、他の接続部材(例えばケーブル)が接続されていてもよい。
【0027】
2.カバー体
第1態様におけるカバー体は、剛性体を覆う。カバー体を設けることにより、回路基板および剛性体は接着されていない状態で回路基板が伸縮しても、剛性体の位置を安定化できる。
【0028】
カバー体の材料は、伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。伸縮性を有する材料としては、例えば、エラストマーが挙げられる。エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレンが挙げられる。一方、伸縮性を有しない材料としては、例えば樹脂が挙げられる。樹脂として、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれも用いることができる。また、伸縮性を有しない材料として、金属を用いることができる。さらに、カバー体の材料として、織物、編物、不織布等の生地を用いることもできる。
【0029】
カバー体の厚さ(肉厚)は、例えば0.1mm以上であり、1mm以上であってもよい。また、カバー体の厚さ(肉厚)は、例えば5mm以下である。
【0030】
カバー体は、剛性体の第1面の少なくとも一部を覆っていることが好ましく、剛性体の第1面の全体を覆っていてもよく、剛性体の第1面の一部のみを覆っていてもよい。例えば図5(a)に示すカバー体30は、剛性体(図示せず)の第1面の全体を覆っている。全体を覆うことで、剛性体の位置をより安定化できる。なお、図5(a)に示すカバー体30は、内部に剛性体(図示せず)を保持可能である。
【0031】
また、カバー体は、剛性体の側面の少なくとも一部を覆っていることが好ましく、剛性体の側面の全体を覆っていてもよく、剛性体の側面の一部のみを覆っていてもよい。後者の場合、カバー体は、剛性体の側面の一部が露出する開口部を有することが好ましい。図5(a)におけるカバー体30は、剛性体(図示せず)の側面の全体を覆っている。一方、図5(b)におけるカバー体30は、剛性体20の側面の一部が露出する開口部31を有している。カバー体が開口部を有することで、例えば剛性体の交換が容易となる。なお、特に図示しないが、カバー体は、剛性体の第1面の一部が露出する開口部を有していてもよい。また、開口部がある場合、カバー体は、開口部を脱着可能に塞ぐ蓋部を有していてもよい。
【0032】
また、図6(a)に示すように、カバー体30は、剛性体20の側面αに接していなくてもよく、剛性体20の第1面20aに接していなくてもよい。カバー体が、剛性体の側面や第1面に接していないことで、回路基板の伸縮時に剛性体が滑るように移動する(剛性体が上下左右に振動する)際に、カバー体との衝突による剛性体の破損を防止することができる。一方、特に図示しないが、例えばカバー体が伸縮性を有する場合、カバー体は、剛性体の側面および第1面の少なくとも一方と接していてもよい。
【0033】
また、図6(a)に示すように、カバー体30は、剛性体20の第2面20bに位置していなくてもよい。一方、図6(b)に示すように、カバー体30は、剛性体20の第2面20bに位置していてもよい。この場合、カバー体30は伸縮性を有し、回路基板10と接着されていることが好ましい。さらに、剛性体20と、接着されたカバー体30を含む回路基板10とは、接着されていないことが好ましい。
【0034】
カバー体の形成方法の一例としては、カバー体(例えばウレタン不織布)の周囲のみに接着剤を設け、回路基板に接着する方法が挙げられる。
【0035】
3.回路基板
第1態様における回路基板は、少なくとも基材および配線を有し、伸縮性を有する。また、回路基板は、基材および配線に加えて、後述する各部材を有していてもよい。
【0036】
図7(a)は、第1態様における回路基板を例示する概略平面図であり、図7(b)は図7(a)のA-A断面図である。図7(a)、(b)に示す回路基板10は、基材1と、支持フィルム3と、配線2とを、この順に有している。回路基板10において、配線2は、基材1の第1面1aの法線方向における山部51および谷部52が基材1の第1面1aの面内方向に沿って繰り返し現れる蛇腹形状部50を有する。第1態様においては、図7(a)、(b)に示すように、蛇腹形状部50の山部51および谷部52が繰り返し現れる方向を第1方向D1と称する場合がある。
【0037】
(1)基材
第1態様における基材は、伸縮性を有する。また、基材は、配線側に位置する第1面と、第1面の反対側に位置する第2面と、を含む。なお、本開示における第1面および第2面は、部材によらず、同一方向側の面をいう。
【0038】
基材は、伸縮性を有する。基材の伸縮性を表すパラメータの例として、復元率が挙げられる。基材の復元率は、常態(非伸長状態)を基準として50%(初期の長さの1.5倍)に伸長した後、この伸長状態から解放したときの復元率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、復元率の上限は100%である。また、復元率は、幅25mmの試験片を準備し、試験片を50%伸長して1時間保持した後、伸長を解放して1時間放置して復元させ、下記の計算式により求めることができる。
復元率(%)=(伸長直後の長さ-復元後の長さ)÷(伸長直後の長さ-引張前の長さ)×100
なお、伸長直後の長さとは、50%伸長した状態の長さをいう。
【0039】
また、基材の伸縮性を表すパラメータの他の例として、伸長率が挙げられる。基材は、破壊されることなく非伸長状態から1%以上伸長することができることが好ましく、より好ましくは20%以上伸長することができ、さらに好ましくは75%以上伸長することができる。このような伸縮性を有する基材を用いることにより、回路基板が全体に伸縮性を有することができる。さらに、人の腕等の身体の一部に取り付けるという、高い伸縮が必要な製品や用途において、回路基板を使用することができる。一般に、人の脇の下に取り付ける製品には、垂直方向において72%、水平方向において27%の伸縮性が必要であるといわれている。また、人の膝、肘、臀部、足首、脇部に取り付ける製品には、垂直方向において26%以上42%以下の伸縮性が必要であるといわれている。また、人のその他の部位に取り付ける製品には、20%未満の伸縮性が必要であるといわれている。
【0040】
基材のヤング率は、例えば10MPa以下であり、1MPa以下であってもよい。また、基材のヤング率は、例えば1kPa以上である。なお、各部材のヤング率は、室温(25℃)でのヤング率である。基材のヤング率の測定方法としては、基材のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、基材のヤング率を求める方法としては、ISO14577に準拠してナノインデーション法による測定方法を採用することもできる。具体的には、基材のヤング率は、ナノインデンターを用いて測定することができる。基材のサンプルを準備する方法としては、回路基板から基材の一部をサンプルとして取り出す方法や、回路基板を構成する前の基材の一部をサンプルとして取り出す方法が挙げられる。その他にも、基材のヤング率を求める方法として、基材を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて基材のヤング率を求めるという方法を採用することもできる。なお、基材以外の各部材のヤング率を求める方法についても、上記と同様である。
【0041】
基材の材料としては、例えばエラストマーが挙げられる。エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、ニトリル系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、エステル系エラストマー、1,2-ポリブタジエン系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等が挙げられる。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。また、基材がシリコーンを含んでいてもよい。シリコーンは、耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れており、基材の材料として好ましい。また、基材の材料として、例えば、不織布、織布、編物等の布を用いることもできる。
【0042】
基材の厚さは、例えば10μm以上であり、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよい。また、基材の厚さは、例えば10mm以下であり、3mm以下であってもよく、1mm以下であってもよい。
【0043】
例えば図7(b)では、基材1の第1面1aに蛇腹形状部が現れているが、基材1の第2面1bには蛇腹形状部が現れないない。一方、第1態様においては、基材の第2面に蛇腹形状部が現れていてもよい。
【0044】
(2)配線
第1態様における配線は、導電性を有する。さらに、配線は、基材の第1面側に位置し、上述した蛇腹形状部を有することが好ましい。図7(b)において、配線2は、基材1の第1面1a側に位置し、蛇腹形状部50を有している。
【0045】
蛇腹形状部の振幅は、例えば1μm以上であり、10μm以上であってもよく、50μm以上であってもよく、100μm以上であってもよい。また、蛇腹形状部の振幅は、例えば500μm以下であり、400μm以下であってもよく、300μm以下であってもよい。
【0046】
蛇腹形状部の振幅は、図8に示すように、符号S1、S2で表すことができ、隣り合う山部と谷部との間の、基材の第1面の法線方向における距離である。振幅S1は、配線2の基材側の面とは反対側の面における蛇腹形状部50の、基材の法線方向における振幅である。また、振幅S2は、配線2の基材側の面における蛇腹形状部50の、基材の法線方向における振幅である。
【0047】
蛇腹形状部の振幅は、例えば、配線の長さ方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部と谷部との間の、基材の第1面の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。配線の長さ方向における一定の範囲は、例えば10mmである。隣り合う山部と谷部との間の距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡を用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真等の画像に基づいて、隣り合う山部と谷部との間の距離を測定してもよい。
【0048】
蛇腹形状部の周期は、例えば10μm以上であり、50μm以上であってもよく、100μm以上であってもよい。また、蛇腹形状部の周期は、例えば1000μm以下であり、750μm以下であってもよく、500μm以下であってもよい。なお、蛇腹形状部の周期は、図8に示すように、符号Fで表すことができ、第1方向D1における、隣り合う山部の間隔である。
【0049】
蛇腹形状部の周期は、例えば、配線の長さ方向における一定の範囲にわたって、第1方向における、隣り合う山部の間隔を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。配線の長さ方向における一定の範囲は、例えば10mmである。隣り合う山部の間隔を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡を用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真等の画像に基づいて、隣り合う山部の間隔を測定してもよい。
【0050】
配線のヤング率は、例えば100MPa以上であり、200MPa以上であってもよい。また、配線のヤング率は、例えば300GPa以下であり、200GPa以下であってもよく、100GPa以下であってもよい。
【0051】
配線の材料は、それ自体が伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。伸縮性を有さない材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属、これらの金属を含む合金が挙げられる。一方、伸縮性を有する材料としては、例えば、導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物が挙げられる。この場合、配線は、導電性粒子およびエラストマーを含む。導電性粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子が挙げられる。また、エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレンが挙げられる。
【0052】
配線の平面視形状は、特に限定されないが、中でも図7(a)に例示するように直線状であることが好ましい。また、配線は、電極として機能してもよい。電極としては、例えば、太陽電池用の電極、有機エレクトロルミネッセンス用の電極が挙げられる。
【0053】
配線の厚さは、特に限定されない。例えば、配線の材料が伸縮性を有さない場合、配線の厚さは、例えば25nm以上であり、50nm以上であってもよく、100nm以上であってもよい。また、この場合、配線の厚さは、例えば50μm以下であり、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。一方、配線の材料が伸縮性を有する場合、配線の厚さは、例えば5μm以上であり、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。また、この場合、配線の厚さは、例えば60μm以下であり、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。また、配線の幅は、例えば、50μm以上、10mm以下である。
【0054】
配線の形成方法は、特に限定されない。例えば、配線の材料が伸縮性を有さない場合、例えば蒸着法、スパッタリング法、めっき法、金属箔の転写・圧着等の方法により金属膜を形成し、その後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。一方、配線の材料が伸縮性を有する場合、例えば、一般的な印刷法により導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物をパターン状に印刷する方法が挙げられる。
【0055】
(3)機能性部材
第1態様における回路基板は、上記配線に電気的に接続された機能性部材を有することが好ましい。機能性部材は、基材の第1面側に位置することが好ましい。図7(b)において、機能性部材4は、基材1の第1面1a側に位置し、配線2に電気的に接続されている。機能性部材は、配線と物理的に接触していることが好ましい。また、回路基板は、機能性部材を内部に有していてもよい。
【0056】
機能性部材は、能動素子であってもよく、受動素子であってもよく、機構素子であってもよい。機能性部材としては、例えば、トランジスタ、LSI(Large-Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、LED、OLED、LCD等の発光素子、センサ、ブザー等の発音素子、振動を発する振動素子、冷却発熱をコントロールするペルチェ素子や電熱線等の冷発熱部品、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、スイッチ、コネクタが挙げられる。
【0057】
センサとしては、例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、光電センサ、近接センサ、せん断力センサ、磁気センサ、レーザーセンサ、マイクロ波センサ、湿度センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、変位センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、臭いセンサ、脳波センサ、電流センサ、振動センサ、脈波センサ、心電センサ、光度センサが挙げられる。特に、センサは、心拍、脈拍、心電、血圧、体温、血中酸素濃度、筋電、脳波等の生体情報を測定することができる生体センサであることが好ましい。
【0058】
機能性部材および配線を接続する電気接合部を補強するため、機能性部材の周囲をポッティング剤等の樹脂で覆うことができる。これにより、機能性部材および配線の電気接合部の機械的な信頼性を向上させることができる。機能性部材は、蛇腹形状部を有していてもよく、蛇腹形状部を有していなくてもよい。例えば、機能性部材がTFTまたはOLEDである場合、蛇腹形状部を有することができる。また、配線の一部を、機能性部材として利用してもよい。
【0059】
(4)支持フィルム
第1態様における回路基板は、基材と配線との間に、配線を支持する支持フィルムを有していてもよい。例えば、図9(a)~(d)では、回路基板10が、基材1および配線2の間に支持フィルム3を有している。また、支持フィルムは、通常、蛇腹形状部を有する。蛇腹形状部については、上述した通りである。
【0060】
基材と配線との間に支持フィルムが位置している場合、回路基板の製造方法において、支持フィルムに接合された基材から引張応力が取り除かれて基材が収縮するとき、支持フィルムおよび配線に蛇腹形状部が形成される。支持フィルムの特性や寸法は、このような蛇腹形状部が形成され易くなるよう設定されていることが好ましい。
【0061】
支持フィルムは、例えば、基材のヤング率よりも大きいヤング率を有する。支持フィルムのヤング率は、例えば100MPa以上であり、1GPa以上であってもよい。また、支持フィルムのヤング率は、基材のヤング率に対して、例えば、100倍以上、50000倍以下であり、1000倍以上、10000倍以下であってもよい。このように支持フィルムのヤング率を設定することにより、蛇腹形状部の周期が小さくなり過ぎることを抑制することができる。また、蛇腹形状部において局所的な折れ曲がりが生じることを抑制することができる。また、支持フィルムのヤング率が大きすぎると、弛緩時の基材の復元が難しくなり、また基材の割れや折れが発生し易くなる。
【0062】
支持フィルムの材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂の具体例としては、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂が挙げられる。また、支持フィルムは、平面視上、配線の少なくとも一部と重複するように位置していることが好ましい。また、支持フィルムは、基材の第1面側の全面に位置していてもよく、基材の第1面側に部分的に位置していてもよい。
【0063】
支持フィルムの厚さは、例えば500nm以上であり、1μm以上であってもよい。一方、支持フィルムの厚さは、例えば10μm以下であり、5μm以下であってもよい。支持フィルムの厚さが薄すぎると、支持フィルムの製造工程や、支持フィルム上に部材を形成する工程における、支持フィルムの取り扱いが難しくなる。また、支持フィルムの厚さが厚すぎると、弛緩時の基材の復元が難しくなり、目標の基材の伸縮が得られなくなる場合がある。また、回路基板が、基材および配線の間に支持フィルムを有する場合、基材および支持フィルムの間に接着層を有することが好ましい。
【0064】
(5)調整層
第1態様における回路基板は、基材の第1面側に位置し、配線よりも小さいヤング率を有し、蛇腹形状部を有する調整層を有していてもよい。例えば、図9(a)~(d)では、回路基板10が、基材1の第1面1a側に位置し、蛇腹形状部を有する調整層8を有している。
【0065】
調整層を設けることで、配線に生じる湾曲や屈曲の程度が局所的に大きくなった場合であっても、湾曲や屈曲の程度が局所的に大きい箇所での応力集中を低減することができる。伸縮性を有する回路基板の製造方法において、配線が蛇腹状に変形する際、変形の度合いが、伸長の際の基材伸びのばらつきや、基材上の金属薄膜の分布密度の差等に起因して、位置によってばらついてしまう。配線の変形の度合いにばらつきがあると、配線に生じる湾曲や屈曲の程度が局所的に大きくなることがある。配線に生じる湾曲や屈曲の程度が局所的に大きい箇所では、応力が集中する。また、一般に、基材にはエラストマーが用いられ、配線には金属や合金等が用いられることから、配線のヤング率は基材のヤング率よりも非常に大きい。すなわち、配線は基材よりも硬く変形しにくい。そのため、配線に生じる湾曲や屈曲の程度が局所的に大きい箇所では、応力が集中しやすくなる。配線において応力が集中する箇所では、折れ等の破損が生じたり、また、回路基板を繰り返し伸縮した際に抵抗値が上昇したりしてしまう。これに対し、配線よりも小さいヤング率を有する、すなわち配線よりも柔らかく変形しやすい調整層が位置していることにより、応力を分散させることができる。そのため、配線に生じる湾曲や屈曲の程度が局所的に大きくなった場合であっても、湾曲や屈曲の程度が局所的に大きい箇所での応力集中を低減することができる。
【0066】
調整層のヤング率は、配線のヤング率よりも小さい。また、調整層のヤング率は、基材のヤング率よりも大きいことが好ましい。すなわち、調整層は、配線および基材の中間のヤング率を有することが好ましい。配線よりも柔らかくて変形しやすく、基材よりも硬くて変形しにくい調整層を設けることで、応力集中を低減することができる。
【0067】
また、基材および配線の間に支持フィルムが位置する場合、調整層のヤング率は、支持フィルムのヤング率よりも小さくてもよく、支持フィルムのヤング率と同じであってもよく、支持フィルムのヤング率よりも大きくてもよい。中でも、調整層のヤング率は、支持フィルムのヤング率よりも小さいことが好ましい。
【0068】
また、調整層のヤング率は、例えば1GPa以下であり、100MPa以下であってもよく、10MPa以下であってもよい。また、調整層のヤング率は、例えば10kPa以上であり、1MPa以上であってもよい。
【0069】
調整層の材料は、伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。伸縮性を有する材料としては、例えば、エラストマーが挙げられる。エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレンが挙げられる。一方、伸縮性を有しない材料としては、例えば樹脂が挙げられる。樹脂として、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれも用いることができる。
【0070】
調整層は、平面視上、配線の少なくとも一部と重複するように位置していることが好ましい。また、調整層は、基材の第1面側の全面に位置していてもよく、基材の第1面側に部分的に位置していてもよい。
【0071】
調整層は、基材の第1面側に位置していればよい。例えば、調整層は、基材と配線との間に位置していてもよく、配線の基材とは反対の面側に位置していてもよい。また、回路基板が、基材および配線の間に支持フィルムを有する場合、調整層は、支持フィルムと配線との間に位置していてもよく、配線の支持フィルムとは反対の面側に位置していてもよく、基材と支持フィルムとの間に位置していてもよい。
【0072】
調整層は、通常、粘着性を有さない。回路基板が、基材および配線の間に支持フィルムを有する場合、基材および支持フィルムの間に接着層を有する場合があるが、調整層は、そのような接着層とは区別される。ここで、粘着性を有さないとは、調整層の粘着力が0.01N/25mm以下であることをいい、0.005N/25mm以下であってもよく、0.001N/25mm以下であってもよい。
【0073】
粘着力の測定方法としては、調整層のサンプルを用いて180°剥離試験を実施する方法を採用することができる。180°剥離試験においては、まず、25mm幅の試験片を採取し、試験片の調整層側の面に、25mm幅のガラス板を貼り合せる。次に、引張試験機を用いて、引張速度:1200mm/分、剥離角:180°、温度:20℃、湿度:50%の条件で、ガラス板に対する粘着力(N/25mm)を測定する。
【0074】
調整層の厚さは、例えば0.1μm以上であり、1μm以上であってもよく、10μm以上であってもよい。また、調整層の厚さは、例えば1mm以下であり、500μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
【0075】
(6)保護層
第1態様における回路基板は、基材の第1面側に位置し、配線の基材とは反対の面側に位置する保護層を有していてもよい。例えば、図1では、回路基板10が、基材1の第1面1a側に位置し、配線2の基材1とは反対の面側に位置する保護層5を有している。保護層を設けることで、回路基板の構成部材(例えば配線)を保護することができる。また、保護層は、絶縁性を有していてもよい。
【0076】
保護層のヤング率は、配線のヤング率よりも小さいことが好ましい。保護層のヤング率は、例えば1GPa以下であり、100MPa以下であってもよく、10MPa以下であってもよい。また、保護層のヤング率は、例えば10kPa以上であり、1MPa以上であってもよい。
【0077】
保護層の材料は、伸縮性を有していることが好ましい。伸縮性を有する材料としては、例えば、エラストマーが挙げられる。エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレンが挙げられる。
【0078】
保護層は、平面視上、配線の少なくとも一部と重複するように位置していることが好ましい。また、保護層は、例えば、基材の第1面側の全面に位置していてもよく、基材の第1面側に部分的に位置していてもよい。また、保護層の基材とは反対側の面は、平坦であることが好ましい。
【0079】
保護層の厚さは、例えば100μm以上であり、500μm以上であってもよく、1000μm以上であってもよい。また、保護層の厚さは、例えば10mm以下であり、5mm以下であってもよく、2mm以下であってもよい。
【0080】
(7)補強部材
第1態様における回路基板は、基材の第1面側、基材の第2面側、または基材の内部に位置する補強部材を有していてもよい。図1において、回路基板10は、平面視上、機能性部材4の端部と重複する位置に補強部材7を有している。同様に、回路基板10は、平面視上、配線2の端子部2xの端部と重複する位置に補強部材7を有している。
【0081】
補強部材を設けることにより、機能性部材または端子部の近傍において配線に大きな山部が生じることを抑制することができる。これにより、良好な電気接合が維持できる。
【0082】
補強部材は、基材のヤング率よりも大きいヤング率を有することが好ましい。補強部材のヤング率は、例えば1GPa以上であり、より好ましくは10GPa以上である。補強部材のヤング率は、基材のヤング率の100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。補強部材のヤング率は、500GPa以下であってもよい。また、補強部材7のヤング率は、基材のヤング率の500000倍以下であってもよい。
【0083】
補強部材の材料としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料;一般的な熱可塑性エラストマー;アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系、シリコーン系等のオリゴマー、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系、シリコーン系等のポリマーが挙げられる。補強部材の厚さは、例えば10μm以上である。
【0084】
(8)粘着層
第1態様における回路基板は、剛性体とは反対の面側に、粘着層を有していてもよい。粘着層を設けることにより、例えば、伸縮性デバイスを人の身体等の対象物に貼付することができる。粘着層は、蛇腹形状部を有していてもよく、有していなくてもよい。
【0085】
粘着層の材料としては、一般的な粘着剤を用いることができ、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤が挙げられる。また、粘着層の厚さは、例えば、10μm以上、100μm以下である。粘着層の形成方法としては、例えば、粘着剤を塗布する方法が挙げられる。また、粘着層の剛性体とは反対の面側に、剥離層が配置されていてもよい。
【0086】
(9)第1の伸縮制御部
第1態様における回路基板は、基材の第1面側、基材の第2面側、または基材の内部に位置し、第1方向に沿って並ぶ複数の第1の伸縮制御部を有していてもよい。第1の伸縮制御部は、平面視上、配線の少なくとも一部と重複するように位置していることが好ましい。
【0087】
図10(a)は、第1態様における回路基板を例示する概略平面図であり、図10(b)は図10(a)のA-A断面図である。図10(a)、(b)において、回路基板10は、蛇腹形状部50の山部51および谷部52が繰り返し現れる第1方向D1に沿って並ぶ複数の第1の伸縮制御部91を有している。
【0088】
第1の伸縮制御部を設けることにより、蛇腹形状部の周期または振幅を制御することができる。このため、配線に局所的に大きな湾曲や屈曲が生じることを抑制することができる。これにより、配線が破損することを抑制することができる。
【0089】
第1の伸縮制御部のヤング率は、基材のヤング率よりも大きくてもよく、基材のヤング率以下であってもよい。第1の伸縮制御部の材料の一例としては、金属材料が挙げられる。金属材料としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼が挙げられる。一方、第1の伸縮制御部の材料の他の例としては、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレンが挙げられる。第1の伸縮制御部の厚さは、例えば、1μm以上、100μm以下である。
【0090】
(10)第2の伸縮制御部
第1態様における回路基板は、基材の第1面側、基材の第2面側、または基材の内部に位置し、平面視上、機能性部材の端部と重複する位置に第2の伸縮制御部を有していてもよい。図10(a)、(b)において、回路基板10は、機能性部材4の端部と重複する位置に第2の伸縮制御部92を有している。
【0091】
第2の伸縮制御部を設けることにより、機能性部材の近傍において配線に大きな山部が生じること抑制することができる。これにより、機能性部材と配線との間の電気接合部が破損することを抑制することができる。なお、第2の伸縮制御部のヤング率、材料、厚さ等については、上記第1の伸縮制御部と同様である。
【0092】
(11)回路基板の製造方法
第1態様における回路基板は、伸縮性を有する。このような回路基板の製造方法としては、例えば、伸縮性を有する基材を伸長する伸長工程と、基材を伸長した状態で、基材の一方の面側に配線を配置する配線配置工程と、配線配置工程後、基材の引張応力を取り除く解放工程と、を有する製造方法が挙げられる。
【0093】
図11(a)~(e)は、第1態様における回路基板の製造方法を例示する工程図である。まず、図11(a)に示すように、基材1および接着層9を有する第1積層体を準備する。次に、図11(b)に示すように、支持フィルム3、配線2および機能性部材4を有する第2積層体を準備する。次に、図11(c)に示すように、第1積層体(基材1を含む積層体)を伸長する。次に、図11(d)に示すように、第1積層体を伸長させた状態で、第1積層体上に、第2積層体(配線2を含む積層体)を配置する。最後に、図11(e)に示すように、基材1の引張応力を取り除く。この際、伸縮性を有する基材1が収縮するのに伴い、配線2、支持フィルム3および接着層9が変形し、蛇腹形状部が形成される。これにより、回路基板10が得られる。このような製造方法を用いた場合、蛇腹形状部を構成する山部および谷部の振幅および周期は、均一ではなく、不均一となる。また、回路基板10の剛性体側の面には、剛性体の滑り性を向上させる易滑層が配置されていてもよい。易滑層の材料としては、例えば、不織布、表面に凹凸を有するエラストマーが挙げられる。
【0094】
4.伸縮性デバイス
第1態様の伸縮性デバイスは、伸縮性を有することから、曲面に適用することができ、かつ、変形に追従することができる。このような利点から、第1態様の伸縮性デバイスは、例えば、ウェアラブルデバイス、医療機器、ロボット等に用いることができる。
【0095】
第1態様の伸縮性デバイスは、例えば、人の皮膚に貼付して用いてもよく、ウェアラブルデバイスやロボットに装着して用いてもよい。また、人の腕等の身体の一部に取り付ける製品の少なくとも一部として、第1態様の伸縮性デバイスを用いてもよい。伸縮性デバイスを伸長させた状態で身体に取り付けることにより、伸縮性デバイスを身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現することができる。また、伸縮性デバイスは、剛性体による伸縮性の阻害を抑制できるため、例えば配線に応力が集中することを抑制できる。さらに、伸縮性デバイスは、伸縮性を有するため、曲面や立体形状に沿わせて設置することができる。
【0096】
伸縮性デバイスの用途としては、家電製品用途、カーテンやドアノブ等の電子機能化による家装品用途、座布団やマットレス等の電子機能化による寝具用途、ペットボトルやラップ等の電子機能化による食品パッケージ用途、ロボット用途、イオントフォレシスによる薬液浸透美容マスクや電気刺激ダイエット用品等の美容用途、帽子や服等の電子機能化によるアパレル用途が挙げられる。第1態様においては、これらのいずれかの用途に用いられる物品であって、上述した伸縮性デバイスを有する物品を提供することができる。
【0097】
また、伸縮性デバイスが設置される物品としては、例えば、靴、インソール、マスク、靴下、ストッキング、リストバンド、服、はちまき、手袋、インナーウェア、スポーツウェア、おむつ、帽子、マフラー、耳あて、カバン(例えばリュックサック、ウエストポーチ、ハンドバッグ、スポーツバッグ、スーツケース)、メガネ、補聴器、イヤリング、ピアス、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ベルト、ヘアアクセサリー、ヘアバンド、カチューシャ、時計、首輪、指輪、付け爪、ベビーカー、ドローン、車椅子、水着、家具(例えば、ソファ、椅子、机、照明、ドア、花瓶、手すり、ベッド、マットレス、敷布団、座布団、かけ布団、毛布・シーツ、ランチョンマット)、絆創膏、包帯、薬液パック、チューブ、薬液浸透美容マスク、湿布、ガーゼ、歯ブラシ、カテーテル、義手、義足、義眼、コンタクトレンズ、サポーター、ボール、ラケット、自動車内装シート、インパネ、タイヤ、旗、ノート、書籍、ロボハンド、ロボットの外装、バイタルセンサ、ディスポーザブル生体電極、懐炉、リード、個人ID認識デバイス、ヘルメット、ICタグ、電池、ビニールハウスが挙げられる。また、伸縮性デバイスが設置される物品の他の例としては、ヘルスケア製品、スポーツ製品、アミューズメント製品、振動アクチュエーターデバイス等のハプティクス製品、ワイヤレス給電のアンテナ等のエネルギーマネージメント製品、家電製品、カーテンやカーペット、ソファ等の家具や家具装飾品、座布団やマットレス等の寝具製品、ペットボトルやラップ等のパッケージ製品、書籍やペン等の文具製品、自動車内装やシート等のモビリティ関連製品が挙げられる。第1態様においては、これらのいずれかの物品であって、上述した伸縮性デバイスを有する物品を提供することができる。
【0098】
B.第2態様
第2態様の伸縮性デバイスは、少なくとも基材および配線を有する回路基板と、上記回路基板の少なくとも一部を内包し、かつ、伸縮性を有する筐体と、上記筐体の一方の面側に配置され、上記配線と電気的に接続された剛性体と、上記剛性体を覆うカバー体と、を有する。
【0099】
図12は、第2態様の伸縮性デバイスを例示する概略断面図である。図12に示す伸縮性デバイス100は、回路基板10と、伸縮性を有する筐体40と、剛性体20と、カバー体30と、を有する。図12における回路基板10は、基材1の第1面1aから順に、支持フィルム3、配線2および保護層5を有している。さらに、回路基板10は、配線2と電気的に接続された機能性部材4を有し、基材1の内部に、機能性部材4と、配線2の端部とをそれぞれ補強する補強部材7を有している。
【0100】
図12における筐体40は、回路基板10の少なくとも一部を内包し、伸縮性を有する。さらに、筐体40は、剛性体20とは反対の面側に、粘着層6を有している。図12における剛性体20は、筐体40の第1面40a側に配置され、接続部材25を介して、配線2と電気的に接続されている。図12におけるカバー体30は、剛性体20の第1面20aを覆うことで、剛性体20を保持している。
【0101】
第2態様によれば、回路基板の少なくとも一部を内包する筐体が伸縮性を有すすることから、剛性体による伸縮性の阻害を抑制した伸縮性デバイスとすることができる。伸縮性を有する筐体は、回路基板よりもサイズが大きいため、伸縮性に余裕がある。そのため、伸縮性を有する筐体を用いることで、回路基板の伸縮性が阻害されることを抑制でき、例えば、伸縮性デバイスを生体に貼付した場合に、貼り心地の向上を図ることができる。さらに、第2態様の伸縮性デバイスは、筐体の外部に剛性体を有していることから、技術的に小型化が困難な剛性体や、技術的に伸縮性を付与することが困難な剛性体を用いることができる。そのため、伸縮性デバイスを種々の用途に用いることができる。また、第2態様においては、カバー体が剛性体を覆っているため、剛性体の位置を安定化できる。
【0102】
第2態様の伸縮性デバイスは、回路基板、筐体、剛性体およびカバー体を少なくとも有する。
【0103】
1.回路基板
第2態様における回路基板は、少なくとも基材および配線を有する。第2態様においては、回路基板は、伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。伸縮性を有する回路基板については、上記「A.第1態様」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0104】
一方、第2態様における回路基板は、伸縮性を有していなくてもよい。筐体が伸縮性を有するため、回路基板が伸縮性を有していなくても、剛性体による伸縮性の阻害を抑制した伸縮性デバイスを得ることができる。伸縮性を有しない回路基板に用いられる基材としては、例えば、石英、金属、紙フェノール基板(FR-1)、ガラスエポキシ基板(FR-4)が挙げられる。なお、伸縮性を有しない回路基板に用いられる他の部材の詳細については、上記「A.第1態様」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0105】
また、第2態様における回路基板が伸縮性を有する場合、回路基板および筐体は、互いに、接着されていてもよく、接着されていなくてもよい。図12において、回路基板10と、筐体40との接触面で、両者が接着されていてもよく、接着されていなくてもよい。一方、第2態様における回路基板が伸縮性を有しない場合、回路基板および筐体は、互いに、接着されていないことが好ましい。伸縮性を有しない回路基板が、筐体の伸縮性を阻害するためである。
【0106】
2.筐体
第2態様における筐体は、回路基板の少なくとも一部を内包し、かつ、伸縮性を有する。筐体のヤング率は、配線のヤング率よりも小さいことが好ましい。筐体のヤング率は、例えば1GPa以下であり、100MPa以下であってもよく、10MPa以下であってもよい。また、筐体のヤング率は、例えば10kPa以上であり、1MPa以上であってもよい。
【0107】
筐体の材料は、伸縮性を有していることが好ましい。伸縮性を有する材料としては、例えば、エラストマーが挙げられる。エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレンが挙げられる。
【0108】
筐体の厚さ(肉厚)は、例えば0.1mm以上であり、1mm以上であってもよい。また、筐体の厚さ(肉厚)は、例えば5mm以下であり、2mm以下であってもよい。
【0109】
筐体は、回路基板の第1面の少なくとも一部を覆っていることが好ましく、回路基板の第1面の全体を覆っていてもよく、回路基板の第1面の一部のみを覆っていてもよい。例えば図12における筐体40は、回路基板10の第1面10aの全体を覆っている。また、筐体は、回路基板の側面の少なくとも一部を覆っていることが好ましく、回路基板の側面の全体を覆っていてもよく、回路基板の側面の一部のみを覆っていてもよい。後者の場合、筐体は、回路基板の側面の一部が露出する開口部を有していてもよい。なお、特に図示しないが、筐体は、回路基板の第1面の一部が露出する開口部を有していてもよい。
【0110】
また、図12に示すように、筐体40は、回路基板10の側面βに接していなくてもよく、回路基板10の第1面10aに接していなくてもよい。一方、特に図示しないが、筐体は、回路基板の側面および第1面の少なくとも一方と接していてもよい。また、図12に示すように、筐体40は、回路基板10の第2面10bに位置していてもよい。一方、図13に示すように、筐体40は、回路基板10の第2面10bに位置していなくてもよい。この場合、回路基板10は伸縮性を有することが好ましい。
【0111】
3.剛性体
第2態様における剛性体は、筐体の一方の面側に配置され、回路基板の配線と電気的に接続されている。剛性体の詳細については、上記「A.第1態様」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0112】
第2態様において、筐体および剛性体は、接着されていてもよく、接着されていなくてもよいが、後者が好ましい。剛性体による伸縮性の阻害をより抑制できるからである。また、剛性体は、筐体の一方の面側に配置される。図12に示すように、剛性体20は、筐体40の第1面40a側に配置されることが好ましい。一方、特に図示しないが、剛性体は、筐体の第2面側に配置されていてもよい。
【0113】
4.カバー体
第2態様におけるカバー体は、剛性体を覆う。カバー体の詳細については、上記「A.第1態様」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0114】
図14に示すように、カバー体30は、剛性体20の第2面20bに位置していてもよい。この場合、カバー体30は伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していないてもよい。例えば、外力による剛性体の破損を防止する観点では、カバー体は、伸縮性を有さず、硬いことが好ましい。このような場合、カバー体の材料は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料であることが好ましい。また、図14に示すように、カバー体30は、筐体40と接着されていることが好ましい。この場合、剛性体20と、接着されたカバー体30を含む筐体40とは、接着されていてもよく、接着されていなくてもよいが、後者が好ましい。剛性体による伸縮性の阻害をより抑制できるからである。また、特に図示しないが、第2態様におけるカバー体および筐体は、一体的に構成されていてもよい。「一体的」とは、両者の間に界面が存在しないことをいう。
【0115】
5.伸縮性デバイス
第2態様の伸縮性デバイスは、図13および図14に示すように、回路基板10の剛性体20とは反対の面側に、粘着層6を有することが好ましい。また、第2態様の伸縮性デバイスは、伸縮性を有することから、曲面に適用することができ、かつ、変形に追従することができる。伸縮性デバイスの用途、および、その他の事項については、上記「A.第1態様」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0116】
本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【実施例
【0117】
[実施例1]
<回路基板の準備>
支持フィルムとして厚さ1μmのPENフィルムを準備した。支持フィルム上に、1μmの厚みを有する銅層を蒸着法により形成した。続いて、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて銅層をパターン加工し、配線を形成した。配線は、200μmの線幅にパターンされ、さらに配線の一部が800μmの間隔が空けられた電極対となるようにした。支持フィルムの弾性係数を、ASTM D882に準拠した引張試験により測定した。結果、支持フィルムの弾性係数は2.2GPaであった。次いで、電極対に1.6mm×0.8mmサイズのLEDチップ(機能性部材)を、導電性接着剤を用いて搭載した。
【0118】
次いで、粘着シート8146-2(3M社製)を準備した。粘着シート上に、2液付加縮合のポリジメチルシロキサン(PDMS)を、厚さが約1mmとなるように塗布し、硬化させ、伸縮を有する基材を得た。基材の弾性係数を、JIS K6251に準拠した引張試験により測定した。結果、弾性係数は0.05MPaであった。
【0119】
次いで、上記で準備した基材を1軸方向に1.5倍に伸長させた。続いて、伸長させた基材の粘着面と、支持フィルムのLEDチップ部品が搭載されていない面と、を貼合させた。続いて、基材の伸長を解放した。このようにして形成された配線の表面には蛇腹形状部が生じた。続いて、LEDチップに配線されたアノード配線およびカソード配線にFPCとACFを用いて圧着し、配線とFPCを導通させた。その後、FPCは回路基板の第1面側に折り曲げた。
【0120】
次いで、LEDチップが搭載された面にPDMSを厚さが約1mmとなるように塗布し、硬化させた。これにより、LEDチップおよび配線の蛇腹形状部が埋没し、かつ、FPCが回路基板の第1面側に突き出る保護層を形成した。保護層の表面は平坦であった。さらに、保護層の表面にウレタン不織布(カバー体)を弾性接着剤(セメダイン社製 スーパーX)により接着し、易滑層を形成した。このようにして、回路基板を準備した。
【0121】
<剛性体の設置>
上記で準備した回路基板への電源として、リチウムコイン電池CR1220を回路基板上に以下のように配置した。はじめに、CR1220に半田を用いてリード線を接続し、他方のリード端を上記で準備した回路基板の突き出したFPCに接続した。次いで、ウレタン不織布(カバー体)の周囲のみに弾性接着剤を設け、コイン電池を覆うように配置した。ここで、ウレタン不織布(カバー体)の周囲に設けた弾性接着剤は、回路基板のウレタン不織布(易滑層)に接着させた。このようにして、伸縮性デバイスを得た。回路基板上に接着させずに設置したコイン電池は、回路基板の伸縮時に、PDMS(保護層)表面に配置したウレタン不織布(易滑層)で滑りが生じ、コイン電池直下の回路基板の伸縮性を妨げなかった。
【0122】
[比較例1]
<回路基板の準備>
実施例1と同様にして回路基板を準備した。
<剛性体の設置>
上記で準備した回路基板への電源として、リチウムコイン電池CR1220を準備し、コイン電池の一方の面と、回路基板のウレタン不織布(易滑層)の面とを、弾性接着剤を用いて接着した。なお、コイン電池と回路基板との導通接続については、実施例1と同様とした。このように、回路基板にコイン電池を接着させた場合、回路基板の伸縮時に、コイン電池直下の回路基板は伸縮しなかった。このため、コイン電池直下の回路基板の伸縮性が著しく低下した。
【符号の説明】
【0123】
1 … 基材
2 … 配線
3 … 支持フィルム
4 … 機能性部材
5 … 保護層
6 … 粘着層
10 … 回路基板
20 … 剛性体
30 … カバー体
100 … 伸縮性デバイス
図1
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図10
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