(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】はんだ付けシステム、治具および調整方法
(51)【国際特許分類】
B23K 1/08 20060101AFI20231114BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B23K1/08 320B
H05K3/34 506K
(21)【出願番号】P 2019162597
(22)【出願日】2019-09-06
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】廣崎 旭宏
(72)【発明者】
【氏名】井内 健輔
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-357865(JP,A)
【文献】特開2011-189395(JP,A)
【文献】国際公開第2018/131419(WO,A1)
【文献】特開平10-193092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00 - 3/08
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送するための搬送装置と、
ノズルを含み、前記搬送装置によって搬送された前記基板に対して前記ノズルから溶融はんだを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置とを備えるはんだ付けシステムであって、
前記搬送装置によって搬送可能な治具をさらに備え、
前記治具は、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記ノズルに対向する複数の板状体と、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記複数の板状体が搬送方向に沿って隙間を空けて配列され、かつ、前記複数の板状体と前記ノズルとの距離が互いに異なるように、前記複数の板状体を支持する支持部とを含み、
前記はんだ付けシステムは、さらに、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されたときに、前記複数の板状体の各々と前記ノズルから噴出された前記溶融はんだとの接触状態を計測する計測部と、
前記複数の板状体の各々の前記接触状態に基づいて、前記ノズルからの前記溶融はんだの噴出量を制御する制御部とを備え
、
前記複数の板状体の各々は、前記ノズルから噴出された前記溶融はんだを覆う、はんだ付けシステム。
【請求項2】
基板を搬送するための搬送装置と、
ノズルを含み、前記搬送装置によって搬送された前記基板に対して前記ノズルから溶融はんだを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置とを備えるはんだ付けシステムであって、
前記搬送装置によって搬送可能な治具をさらに備え、
前記治具は、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記ノズルに対向する複数の板状体と、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記複数の板状体が搬送方向に沿って隙間を空けて配列され、かつ、前記複数の板状体と前記ノズルとの距離が互いに異なるように、前記複数の板状体を支持する支持部とを含み、
前記はんだ付けシステムは、さらに、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されたときに、前記複数の板状体の各々と前記ノズルから噴出された前記溶融はんだとの接触状態を計測する計測部と、
前記複数の板状体の各々の前記接触状態に基づいて、前記ノズルからの前記溶融はんだの噴出量を制御する制御部とを備え、
前記隙間は、前記搬送方向に沿って10mm以上である、はんだ付けシステム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の板状体の各々の前記接触状態から、前記ノズルによる前記溶融はんだの噴流高さを推定し、
前記噴流高さが予め定められた範囲内に入るように前記噴出量を制御する、請求項1
または2に記載のはんだ付けシステム。
【請求項4】
前記計測部は、前記複数の板状体の各々と前記ノズルから噴出された前記溶融はんだとの接触面積を前記接触状態として計測し、
前記制御部は、
前記複数の板状体の各々の前記接触面積が予め定められた範囲内に入るように前記噴出量を制御する、請求項1
または2に記載のはんだ付けシステム。
【請求項5】
前記複数の板状体は透明であり、
前記はんだ付けシステムは、
前記ノズルの上方に配置され、前記搬送装置によって搬送される前記治具を撮像するための撮像装置をさらに備え、
前記計測部は、前記撮像装置の撮像により得られた画像を処理することにより前記接触状態を計測する、請求項1から
4のいずれか1項に記載のはんだ付けシステム。
【請求項6】
前記複数の板状体の各々は、前記ノズルに対向する面内に配置された複数の導電部を有し、
前記計測部は、前記複数の導電部の各々と前記溶融はんだとの導通の有無に基づいて前記接触状態を計測する、請求項1から
4のいずれか1項に記載のはんだ付けシステム。
【請求項7】
前記複数の導電部は、前記複数の板状体の各々における前記ノズルに対向する面内においてマトリクス状に配置される、請求項
6に記載のはんだ付けシステム。
【請求項8】
前記複数の導電部は、前記複数の板状体の各々における前記ノズルに対向する面内において、前記搬送方向に直交する方向のライン状に配置される、請求項
6に記載のはんだ付けシステム。
【請求項9】
前記隙間は、前記搬送方向に沿って10mm以上である、請求項
1に記載のはんだ付けシステム。
【請求項10】
基板を搬送するための搬送装置と、
ノズルを含み、前記搬送装置によって搬送された前記基板に対して前記ノズルから溶融はんだを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置とを備えるはんだ付けシステムにおける前記ノズルからの噴出量の調整のために使用される治具であって、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記ノズルに対向する複数の板状体と、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記複数の板状体が搬送方向に沿って隙間を空けて配列され、かつ、前記複数の板状体と前記ノズルとの距離が互いに異なるように、前記複数の板状体を支持する支持部とを備え
、
前記複数の板状体の各々は、前記ノズルから噴出された前記溶融はんだを覆う、治具。
【請求項11】
基板を搬送するための搬送装置と、
ノズルを含み、前記搬送装置によって搬送された前記基板に対して前記ノズルから溶融はんだを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置とを備えるはんだ付けシステムにおける前記ノズルからの噴出量の調整のために使用される治具であって、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記ノズルに対向する複数の板状体と、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記複数の板状体が搬送方向に沿って隙間を空けて配列され、かつ、前記複数の板状体と前記ノズルとの距離が互いに異なるように、前記複数の板状体を支持する支持部とを備え、
前記隙間は、前記搬送方向に沿って10mm以上である、治具。
【請求項12】
前記複数の板状体の各々は、前記ノズルに対向する面内に配置された複数の導電部を有し、
前記治具は、
前記複数の導電部の各々と前記溶融はんだとの導通の有無を検知するセンサをさらに備える、請求項
10または11に記載の治具。
【請求項13】
基板を搬送するための搬送装置と、
ノズルを含み、前記搬送装置によって搬送された前記基板に対して前記ノズルから溶融はんだを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置とを備えるはんだ付けシステムにおける前記ノズルからの前記溶融はんだの噴出量を調整する調整方法であって、
前記搬送装置によって治具を搬送させるステップを備え、
前記治具は、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記ノズルに対向する複数の板状体と、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記複数の板状体が搬送方向に沿って隙間を空けて配列され、かつ、前記複数の板状体と前記ノズルとの距離が互いに異なるように、前記複数の板状体を支持する支持部とを含み、
前記調整方法は、さらに、
前記複数の板状体の各々と前記ノズルから噴出された前記溶融はんだとの接触状態を計測するステップと、
前記複数の板状体の各々の前記接触状態に基づいて、前記ノズルからの前記溶融はんだの噴出量を制御するステップとを備え
、
前記複数の板状体の各々は、前記ノズルから噴出された前記溶融はんだを覆う、調整方法。
【請求項14】
基板を搬送するための搬送装置と、
ノズルを含み、前記搬送装置によって搬送された前記基板に対して前記ノズルから溶融はんだを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置とを備えるはんだ付けシステムにおける前記ノズルからの前記溶融はんだの噴出量を調整する調整方法であって、
前記搬送装置によって治具を搬送させるステップを備え、
前記治具は、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記ノズルに対向する複数の板状体と、
前記治具が前記搬送装置によって搬送されるときに、前記複数の板状体が搬送方向に沿って隙間を空けて配列され、かつ、前記複数の板状体と前記ノズルとの距離が互いに異なるように、前記複数の板状体を支持する支持部とを含み、
前記調整方法は、さらに、
前記複数の板状体の各々と前記ノズルから噴出された前記溶融はんだとの接触状態を計測するステップと、
前記複数の板状体の各々の前記接触状態に基づいて、前記ノズルからの前記溶融はんだの噴出量を制御するステップとを備え、
前記隙間は、前記搬送方向に沿って10mm以上である、調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付けシステム、治具および調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶融はんだの噴流を用いて基板のはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置が知られている。噴流式はんだ付け装置では、基板と溶融はんだの噴流との接触状態を安定化させるために、噴流高さが調整される。
【0003】
特開2000-357865号公報(特許文献1)は、基板搬送経路における噴出部分に臨む箇所に透光性を有する板状体を配置し、板状体に当たる溶融はんだの状態を板状体を通して観察し、観察結果に基づいて溶融はんだの供給を調整する方法を開示している。具体的には、板状体には、搬送方向に対して噴出箇所からの距離が段階的に異なるように複数の面が段階的に形成されている。当該複数の面の各々への溶融はんだの当たり具合が観察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、複数の面のうち隣り合う2つの面の間には、サブミリオーダーの段差のみが形成される。そのため、複数の面のうちのある面に溶融はんだが当たったとき、板状体の表面張力により、当該面に隣り合う面にも溶融はんだが引っ張られる。その結果、複数の面の各々への溶融はんだの当たり具合を精度良く観察することができず、噴流高さを所望の高さに精度良く調整できない。
【0006】
本開示は、上記の問題点に着目してなされたもので、その目的は、溶融はんだの噴流高さを精度良く調整することが可能なはんだ付けシステム、治具および調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例によれば、はんだ付けシステムは、基板を搬送するための搬送装置と、ノズルを含み、搬送装置によって搬送された基板に対してノズルから溶融はんだを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置とを備える。はんだ付けシステムは、搬送装置によって搬送可能な治具をさらに備える。治具は、複数の板状体と、支持部とを含む。複数の板状体は、治具が搬送装置によって搬送されるときに、ノズルに対向する。支持部は、治具が搬送装置によって搬送されるときに、複数の板状体が搬送方向に沿って隙間を空けて配列され、かつ、複数の板状体とノズルとの距離が互いに異なるように、複数の板状体を支持する。はんだ付けシステムは、さらに、治具が搬送装置によって搬送されたときに、複数の板状体の各々とノズルから噴出された溶融はんだとの接触状態を計測する計測部と、複数の板状体の各々の接触状態に基づいて、ノズルからの溶融はんだの噴出量を制御する制御部とを備える。
【0008】
この開示によれば、複数の板状体のうちノズルの上方に位置する板状体に溶融はんだが接触したとしても、表面張力によって当該板状体に隣り合う板状体に溶融はんだが引っ張られることを抑制できる。したがって、計測部は、複数の板状体の各々とノズルから噴出された溶融はんだとの接触状態を精度良く計測することができる。これにより、制御部は、当該接触状態に基づいてノズルからの溶融はんだの噴出量を制御することにより、溶融はんだの噴流高さを精度良く調整できる。
【0009】
上述の開示において、制御部は、複数の板状体の各々の接触状態から、ノズルによる溶融はんだの噴流高さを推定し、噴流高さが予め定められた範囲内に入るように噴出量を制御する。
【0010】
この開示によれば、安定してはんだ付けができる噴流高さの範囲を予め定めておくことにより、ノズルからの噴流高さが当該範囲内に入るように噴出量が制御される。その結果、基板に対して安定してはんだ付けすることができる。
【0011】
上述の開示において、計測部は、複数の板状体の各々とノズルから噴出された溶融はんだとの接触面積を接触状態として計測する。制御部は、複数の板状体の各々の接触面積が予め定められた範囲内に入るように噴出量を制御する。
【0012】
この開示によれば、安定してはんだ付けができる接触面積の範囲を予め定めておくことにより、計測部により計測された接触面積が当該範囲内に入るように噴出量が制御される。その結果、基板に対して安定してはんだ付けすることができる。
【0013】
上述の開示において、複数の板状体は透明である。はんだ付けシステムは、ノズルの上方に配置され、搬送装置によって搬送される治具を撮像するための撮像装置をさらに備える。計測部は、撮像装置の撮像により得られた画像を処理することにより接触状態を計測する。この開示によれば、計測部は、画像に基づいて接触状態を精度良く計測することができる。
【0014】
上述の開示において、複数の板状体の各々は、ノズルに対向する面内に配置された複数の導電部を有する。計測部は、複数の導電部の各々と溶融はんだとの導通の有無に基づいて接触状態を計測する。
【0015】
この開示によれば、撮像装置を用いることなく、接触状態を精度良く計測することができる。
【0016】
上述の開示において、複数の導電部は、複数の板状体の各々におけるノズルに対向する面内においてマトリクス状に配置される。
【0017】
この開示によれば、板状体が噴流の上方に到達したタイミングにおける複数の導電部の各々と溶融はんだとの導通の有無に基づいて、当該板状体と溶融はんだとの接触状態を精度良く計測することができる。
【0018】
上述の開示において、複数の導電部は、複数の板状体の各々におけるノズルに対向する面内において、搬送方向に直交する方向のライン状に配置される。
【0019】
この開示によれば、板状体が噴流の上方を通過する際の複数のタイミングにおける複数の導電部の各々と溶融はんだとの導通の有無に基づいて、当該板状体と溶融はんだとの接触状態を精度良く計測することができる。
【0020】
上述の開示において、隙間は、搬送方向に沿って10mm以上である。この開示によれば、噴流高さの分解能を向上させることができる。
【0021】
本開示の一例によれば、治具は、はんだ付けシステムにおけるノズルからの噴出量の調整のために使用される。はんだ付けシステムは、基板を搬送するための搬送装置と、ノズルを含み、搬送装置によって搬送された基板に対してノズルから溶融はんだを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置とを備える。治具は、複数の板状体と、支持部とを備える。複数の板状体は、治具が搬送装置によって搬送されるときに、ノズルに対向する。支持部は、治具が搬送装置によって搬送されるときに、複数の板状体が搬送方向に沿って隙間を空けて配列され、かつ、複数の板状体とノズルとの距離が互いに異なるように、複数の板状体を支持する。
【0022】
この開示によれば、複数の板状体のうちノズルの上方に位置する板状体に溶融はんだが接触したとしても、表面張力によって当該板状体に隣り合う板状体に溶融はんだが引っ張られることを抑制できる。したがって、上記の治具を使用することにより、複数の板状体の各々とノズルから噴出された溶融はんだとの接触状態を精度良く観察できる。これにより、観察結果に基づいて、溶融はんだの噴流高さを精度良く調整できる。
【0023】
上述の開示において、複数の板状体の各々は、ノズルに対向する面内に配置された複数の導電部を有する。治具は、複数の導電部の各々と溶融はんだとの導通の有無を検知するセンサをさらに備える。この開示によれば、撮像装置を用いることなく、接触状態を精度良く計測することができる。
【0024】
本開示の一例によれば、調整方法は、はんだ付けシステムにおけるノズルからの溶融はんだの噴出量を調整する。はんだ付けシステムは、基板を搬送するための搬送装置と、ノズルを含み、搬送装置によって搬送された基板に対してノズルから溶融はんだを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置とを備える。調整方法は、搬送装置によって治具を搬送させるステップを備える。治具は、複数の板状体と、支持部とを含む。複数の板状体は、治具が搬送装置によって搬送されるときに、ノズルに対向する。支持部は、治具が搬送装置によって搬送されるときに、複数の板状体が搬送方向に沿って隙間を空けて配列され、かつ、複数の板状体とノズルとの距離が互いに異なるように、複数の板状体を支持する。調整方法は、さらに、複数の板状体の各々とノズルから噴出された溶融はんだとの接触状態を計測するステップと、複数の板状体の各々の接触状態に基づいて、ノズルからの溶融はんだの噴出量を制御するステップとを備える。この開示によっても、溶融はんだの噴流高さを精度良く調整できる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、溶融はんだの噴流高さを精度良く調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施の形態に係るはんだ付けシステムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示すはんだ付けシステムが備える治具を示す斜視図である。
【
図4】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図5】複数の板状体の各々と一次噴流ノズルから噴出された溶融はんだ(一次噴流)との接触状態の一例を示す図である。
【
図6】複数の板状体の各々と二次噴流ノズルから噴出された溶融はんだ(二次噴流)との接触状態の一例を示す図である。
【
図7】コントローラのハードウェア構成を示す模式図である。
【
図8】はんだ付けシステムにおける噴流高さの調整処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】変形例3に係るはんだ付けシステムの全体構成を示す模式図である。
【
図11】変形例3に係る治具に含まれる複数の板状体を示す断面図である。
【
図12】変形例3に係る治具に含まれる板状体を示す下面図である。
【
図13】変形例3に係る治具に含まれる板状体を示す断面図である。
【
図14】センサからの出力信号の一例を示す図である。
【
図15】センサからの出力信号の別の例を示す図である。
【
図16】センサからの出力信号のさらに別の例を示す図である。
【
図17】変形例3に係るはんだ付けシステムにおける噴出高さの調整処理の流れを示すフローチャートである。
【
図18】変形例4に係る治具に含まれる板状体を示す下面図である。
【
図19】変形例4におけるセンサからの出力信号の一例を示す図である。
【
図20】変形例4におけるセンサからの出力信号の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<適用例>
図1および
図2を参照して、本発明が適用される場面の一例について説明する。
図1は、本実施の形態に係るはんだ付けシステムの全体構成を示す模式図である。
図2は、
図1に示すはんだ付けシステムが備える治具を示す斜視図である。
図3は、
図2のX-X線矢視断面図である。
【0028】
図1に示されるように、はんだ付けシステム1は、基板(図示せず)を搬送するための搬送装置10と、基板に対して溶融はんだSを噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置20とを備える。
【0029】
噴流式はんだ付け装置20は、はんだ槽21と、ダクト22,23と、ポンプ24,25と、一次噴流ノズル26と、二次噴流ノズル27とを含む。
【0030】
はんだ槽21は、溶融はんだSを収容する。ダクト22,23は、はんだ槽21内に設置される。ポンプ24,25は、ダクト22,23内に溶融はんだSをそれぞれ圧送する。ポンプ24は、例えばモータ24aと、モータ24aによって回転する羽根車24bとを有する。ポンプ25は、例えばモータ25aと、モータ25aによって回転する羽根車25bとを有する。
【0031】
一次噴流ノズル26はダクト22に接続される。一次噴流ノズル26は、ダクト22内で圧送された溶融はんだSの流れを鉛直方向上向きに変え、上端の開口部から溶融はんだSを噴出させる。一次噴流ノズル26は、表面が波状の一次噴流を生成する。
【0032】
二次噴流ノズル27はダクト23に接続される。二次噴流ノズル27は、ダクト23内で圧送された溶融はんだSの流れを鉛直方向上向きに変え、上端の開口部から溶融はんだSを噴出させる。二次噴流ノズル27は、表面が平坦な二次噴流を生成する。
【0033】
モータ24a,25aの回転数を制御することにより、一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27の噴流高さを調整することができる。
【0034】
搬送装置10は、はんだ付けの対象となる基板を一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27の上方に向けて搬送する。搬送装置10は、搬送ベルト11と、複数の予備加熱装置(プリヒータ)12と、フレーム13と、冷却装置14とを含む。
【0035】
搬送ベルト11は、基板を搬送方向Dに沿って一定速度で搬送する。複数の予備加熱装置12は、搬送ベルト11における一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27の上方よりも上流側に配置され、基板を予備加熱する。
【0036】
フレーム13は、一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27の上方に設置される。フレーム13には観察窓13aが形成されており、観察窓13aを通して、一次噴流ノズル26からの一次噴流および二次噴流ノズル27の二次噴流を上方から観察できる。
【0037】
冷却装置14は、搬送ベルト11における一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27の上方よりも下流側に配置され、基板を冷却する。
【0038】
搬送装置10と噴流式はんだ付け装置20とを備えるはんだ付けシステム1では、基板に対する溶融はんだSの噴流の当たり具合に応じて、はんだ付けの状態が変化する。従って、はんだ付け不良を低減するためには、基板と溶融はんだSの噴流との接触状態を安定化させることが好ましい。しかしながら、基板と噴流式はんだ付け装置20との相対位置関係は、微妙に変動し得る。例えば、予備加熱装置12による熱の影響により搬送装置10自体が膨張することにより、基板と噴流式はんだ付け装置20との距離が変動し得る。基板と噴流式はんだ付け装置20との相対位置関係の変動が生じたとしても、基板と溶融はんだSの噴流との接触状態を安定化させるために、はんだ付けシステム1は、治具30と、カメラ40と、画像処理装置50と、コントローラ60とをさらに備える。
【0039】
図2および
図3に示されるように、治具30は、複数の板状体と、支持部35,36と、連結部37,38とを含む。
図2および
図3に示す例では、複数の板状体は、4枚の板状体31~34を含む。ただし、板状体の枚数は、4枚に限定されず、2,3枚または5枚以上であってもよい。
【0040】
4枚の板状体31~34は、治具30が搬送装置10によって搬送されるときに、一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27に順次対向する。4枚の板状体31~34は、例えば平面視矩形状の耐熱透明ガラスによって構成される。
【0041】
支持部35は、4枚の板状体31~34の一方の短辺側を厚み方向に上下から挟み込むことにより支持する。同様に、支持部36は、4枚の板状体31~34の他方の短辺側を厚み方向に沿って上下から挟み込むことにより支持する。連結部37,38は、2つの支持部35,36を連結する。
【0042】
支持部35,36は、治具30が搬送装置によって搬送されるときに、4枚の板状体31~34が搬送方向Dに沿って隙間39を空けて配列されるように、4枚の板状体31~34を支持する。
【0043】
さらに、支持部35,36は、4枚の板状体31~34と一次噴流ノズル26(および二次噴流ノズル27)との距離が互いに異なるように、4枚の板状体31~34を支持する。
図3に示す例では、4枚の板状体31~34のうち噴流式はんだ付け装置20に最も近い板状体31に対して、板状体32,33,34は、噴流式はんだ付け装置20からh,2h,3hだけ離れた位置でそれぞれ支持される。すなわち、支持部35,36は、高さピッチhで4枚の板状体31~34を支持する。高さピッチhは例えば0.5mmである。これにより、板状体31の下面である基準面と一次噴流ノズル26との距離をdとすると、板状体32,33,34と一次噴流ノズル26との距離は、それぞれd+h,d+2h,d+3hとなる。
【0044】
なお、板状体31は、下面(基準面)が搬送装置10によって搬送されている基板の下面と同一高さになるように支持部35,36に支持される。
【0045】
隙間39の幅(搬送方向Dに沿った長さ)wは、高さピッチhおよび搬送装置10の搬送速度等に応じて、表面張力により隣り合う板状体に溶融はんだSが引っ張られないように適宜設定される。隙間39の幅wは、例えば10mm以上に設定される。
【0046】
図1に示されるように、撮像装置であるカメラ40は、一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27の上方に配置され、観察窓13aを介して、搬送装置10によって搬送される治具30を撮像する。4枚の板状体31~34が耐熱透明ガラスで構成されているため、撮像により得られる画像は、4枚の板状体31~34の各々の噴流式はんだ付け装置20側の下面の状態を示す像を含む。
【0047】
画像処理装置50は、カメラ40の撮像により得られた画像に対して画像処理を行なうことにより、4枚の板状体31~34の各々と一次噴流ノズル26から噴出された溶融はんだSとの接触状態を計測する計測部として動作する。例えば、画像処理装置50は、4枚の板状体31~34の各々と一次噴流ノズル26から噴出された溶融はんだSとの接触面積を数値化する。
【0048】
同様に、画像処理装置50は、カメラ40の撮像により得られた画像に対して画像処理を行なうことにより、4枚の板状体31~34の各々と二次噴流ノズル27から噴出された溶融はんだSとの接触状態を計測する計測部として動作する。例えば、画像処理装置50は、4枚の板状体31~34の各々と二次噴流ノズル27から噴出された溶融はんだSとの接触面積を数値化する。
【0049】
コントローラ60は、例えば汎用コンピュータによって構成され、一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27からの溶融はんだSの噴出量を制御する制御部161を備える。
【0050】
制御部161は、4枚の板状体31~34の各々と一次噴流ノズル26から噴出された溶融はんだSとの接触状態に基づいて、一次噴流ノズル26からの溶融はんだSの噴出量を制御する。具体的には、制御部161は、ポンプ24のモータ24aの回転数を制御する。
【0051】
制御部161は、4枚の板状体31~34の各々と二次噴流ノズル27から噴出された溶融はんだSとの接触状態に基づいて、二次噴流ノズル27からの溶融はんだSの噴出量を制御する。具体的には、制御部161は、ポンプ25のモータ25aの回転数を制御する。
【0052】
本実施の形態に係るはんだ付けシステム1によれば、基板に対する溶融はんだSの噴流(一次噴流および二次噴流)の当たり具合を調整するために、治具30が搬送装置10にセットされる。治具30に含まれる4枚の板状体31~34は、一次噴流ノズル26の上方に順次移動する。上述したように、4枚の板状体31~34は、搬送方向Dに沿って隙間39を空けて配列される。
【0053】
上記の構成によれば、4枚の板状体31~34のうち一次噴流ノズル26の上方に位置する板状体に溶融はんだSが接触したとしても、表面張力によって当該板状体に隣り合う板状体に溶融はんだSが引っ張られることを抑制できる。したがって、画像処理装置50は、カメラ40の画像を用いて、4枚の板状体31~34の各々と一次噴流ノズル26から噴出された溶融はんだSとの接触状態を精度良く計測することができる。これにより、制御部161は、基板と一次噴流との接触状態が所望の状態となるように、一次噴流ノズル26からの溶融はんだSの噴出量を制御することができる。その結果、一次噴流ノズル26の噴流高さは、基板に対して安定してはんだ付けが可能な高さに精度良く調整される。同様に、二次噴流ノズル27の噴流高さについても、基板に対して安定してはんだ付けが可能な高さに精度良く調整される。
【0054】
<具体例>
(画像処理装置のハードウェア構成)
図4は、画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。画像処理装置50は、CPU(Central Processing Unit)51、メインメモリ52、ハードディスク53、カメラインターフェイス(I/F)54、および通信I/F55を含む。これらの各部は、バス56を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0055】
CPU51は、ハードディスク53にインストールされた画像処理プログラム531を含むプログラム(コード)をメインメモリ52に展開して、これらを所定順序で実行することで、各種の演算を実施する。メインメモリ52は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置である。
【0056】
ハードディスク53は、画像処理装置50が備える内部メモリであって、不揮発性の記憶装置である。ハードディスク53は、画像処理プログラム531および計測データ532を記憶する。計測データ532は、画像処理により得られた、板状体31~34の各々と溶融はんだSとの接続状態の計測結果を示す。なお、ハードディスク53に加えて、あるいは、ハードディスク53に代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。
【0057】
カメラI/F54は、CPU51とカメラ40との間のデータ伝送を仲介する。すなわち、カメラI/F54は、画像データを生成するカメラ40と接続される。
【0058】
通信I/F55は、コントローラ60や他の装置などとの間のデータ伝送を仲介する。通信I/F55は、典型的には、イーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)などからなる。通信I/F55は、計測データ532をコントローラ60に送信する。
【0059】
(板状体と溶融はんだとの接触状態の計測)
次に、複数の板状体の各々と溶融はんだSとの接触状態の計測方法の具体例について説明する。
図5は、複数の板状体の各々と一次噴流ノズルから噴出された溶融はんだ(一次噴流)との接触状態の一例を示す図である。
図6は、複数の板状体の各々と二次噴流ノズルから噴出された溶融はんだ(二次噴流)との接触状態の一例を示す図である。
図5および
図6において、(a)~(d)には、板状体31~34と溶融はんだSとの接触状態がそれぞれ示される。
図5および
図6において、(a)~(d)の上段には、板状体が噴流の上方に到達したときにカメラ40によって撮像された画像が示される。下段には、板状体と噴流との位置関係を示す側面図が示される。
【0060】
板状体31~34と一次噴流ノズル26との距離が互いに異なるため、
図5に示されるように、板状体31~34と一次噴流ノズル26から噴出された溶融はんだSとの接触領域R1の面積が互いに異なる。具体的には、接触領域R1の面積は、板状体31,32,33,34の順に小さくなる。
図5に示す例では、板状体34には溶融はんだSがほとんど接触していない。
【0061】
同様に、板状体31~34と二次噴流ノズル27との距離が互いに異なるため、
図6に示されるように、板状体31~34と二次噴流ノズル27から噴出された溶融はんだSとの接触領域R2の面積が互いに異なる。具体的には、接触領域R2の面積は、板状体31,32の順に小さくなる。
図6に示す例では、板状体33,34には溶融はんだSが接触していない。
【0062】
画像処理装置50は、板状体と溶融はんだSとの接触状態として、接触領域R1,R2の面積(接触面積)を計測する。例えば、画像処理装置50のCPU51は、画像処理プログラム531を実行することにより、接触領域R1,R2の輪郭に対応するエッジ画素を抽出する。CPU51は、抽出したエッジ画素で囲まれる面積を、板状体と溶融はんだSとの接触面積として演算する。
【0063】
なお、一次噴流は波状部分を有するため、
図5の(b)(c)に示されるように、一次噴流の波状部分と接触する板状体32,33では、複数の接触領域R1が見られる。この場合、画像処理装置50は、複数の接触領域R1の面積の総和を接触面積として演算すればよい。
【0064】
(コントローラのハードウェア構成)
図7は、コントローラ60のハードウェア構成を示す模式図である。コントローラ60は、例えば汎用のコンピュータによって実現される。
図7に示されるように、コントローラ60は、OSを含む各種プログラムを実行するCPU61と、BIOSや各種データを格納するROM(Read Only Memory)62と、CPU61でのプログラムの実行に必要なデータを格納するための作業領域を提供するメモリRAM(Random Access Memory)63と、CPU61で実行されるプログラムなどを不揮発的に格納するハードディスク(HDD)64とを含む。
図1に示す制御部161は、CPU61が制御プログラムを実行することにより実現される。
【0065】
コントローラ60は、さらに、ユーザからの操作を受け付けるキーボード65およびマウス66と、情報をユーザに提示するためのモニタ67とを含む。さらに、コントローラ60は、画像処理装置50などと通信するための通信I/F68を含む。これらの各部は、バス69を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0066】
(噴出量の制御方法)
コントローラ60の制御部161による一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27からの溶融はんだSの噴出量の制御方法の一例について説明する。
【0067】
(一次噴流高さの調整)
制御部161は、板状体31~34の各々と一次噴流ノズル26から噴出された溶融はんだSとの接触状態(接触面積)から、一次噴流の噴流高さH1を推定する。制御部161は、推定した噴流高さH1が予め定められた範囲(以下、「第1設定範囲」という。)内に入るように、一次噴流ノズル26からの溶融はんだSの噴出量を制御する。
【0068】
図5に示されるように、一次噴流の波状部分の上部のみが板状体に接触している場合、板状体と一次噴流との接触面積はわずかである(
図5の(c)参照)。また、一次噴流の波状部分の下部が板状体に接触している場合、板状体と一次噴流との接触面積は、板状体の下面全体の面積の半分程度となる(
図5の(b)参照)。さらに、一次噴流の波状部分より下方の部分が板状体に接触している場合、板状体と一次噴流との接触面積は、板状体の下面全体の面積に近くなる。このことから、板状体31~34の各々と一次噴流との接触面積から、噴流高さH1を推定できる。
【0069】
噴流高さH1は、例えば、板状体31の下面である基準面に対する、一次噴流のうち波状部分の谷の最高点の高さで示される(
図5参照)。
【0070】
例えば、一次噴流の波状部分(谷を除く)のみが板状体に接触している場合に板状体と一次噴流との接触面積が取り得る範囲の上限値Th1が予め実験等により設定される。さらに、一次噴流の波状部分の谷の最高点が板状体に接触している場合に板状体と一次噴流との接触面積が取り得る範囲の下限値Th2が予め実験等により設定される。
【0071】
制御部161は、板状体31~34の中から、接触面積が下限値Th2以上である最も高い位置の板状体を第1板状体として特定する。さらに、制御部161は、板状体31~34の中から、接触面積が上限値Th1以下である最も低い位置の板状体を第2板状体として特定する。制御部161は、基準面に対する第1板状体の下面の高さと、基準面に対する第2板状体の下面の高さとの間の高さ(例えば中間値)を一次噴流の噴流高さH1として推定する。
【0072】
このような噴流高さH1の推定方法によれば、噴流高さH1の分解能は、板状体31~34の高さピッチhと同じ値となる。
【0073】
基準面に対して安定してはんだ付けできる一次噴流の理想的な噴流高さH1の範囲が予め実験等により第1設定範囲として設定される。例えば、一次噴流のうち波状部分の谷の最高点が基準面よりもh~2hだけ高い場合に基準面に対して安定してはんだ付けできるとき、第1設定範囲としてh~h2が設定される。
【0074】
制御部161は、推定した噴流高さH1が第1設定範囲内である場合、一次噴流ノズル26からの噴出量を現状に維持する。制御部161は、推定した噴流高さH1が第1設定範囲の下限値以下である場合、一次噴流ノズル26からの噴出量を増やす。具体的には、制御部161は、ポンプ24のモータ24aの回転数を1段階だけ増やす。制御部161は、推定した噴流高さH1が第1設定範囲の上限値以上である場合、一次噴流ノズル26からの噴出量を減らす。具体的には、ポンプ24のモータ24aの回転数を1段階だけ減らす。
【0075】
(二次噴流高さの調整)
同様の方法により、制御部161は、板状体31~34の各々と二次噴流ノズル27から噴出された溶融はんだSとの接触状態(接触面積)から、二次噴流の噴流高さH2を推定する。制御部161は、推定した噴流高さH2が予め定められた範囲(以下、「第2設定範囲」という。)内に入るように、二次噴流ノズル27からの溶融はんだSの噴出量を制御する。
【0076】
噴流高さH2は、例えば、板状体31の下面である基準面に対する、二次噴流の最高点の高さで示される(
図6参照)。
【0077】
制御部161は、板状体31~34の中から、接触面積が予め設定された閾値Th3以上である最も高い位置の板状体を第3板状体として特定する。閾値Th3は、例えば0よりもわずかに大きい値である。さらに、制御部161は、板状体31~34の中から、接触面積が閾値Th3以下である最も低い位置の板状体を第4板状体として特定する。制御部161は、基準面に対する第3板状体の下面の高さと、基準面に対する第4板状体の下面の高さとの間の高さ(例えば中間値)を二次噴流の噴流高さH2として推定する。
【0078】
このような噴流高さH2の推定方法によれば、噴流高さH2の分解能は、板状体31~34の高さピッチhと同じ値となる。
【0079】
基準面に対して安定してはんだ付けできる二次噴流の理想的な噴流高さの範囲が予め実験等により第2設定範囲として設定される。例えば、二次噴流の最高点が基準面よりもh~2hだけ高い場合に基準面に対して安定してはんだ付けできるとき、第2設定範囲としてh~h2が設定される。
【0080】
制御部161は、推定した噴流高さH2が第2設定範囲内である場合、二次噴流ノズル27からの噴出量を現状に維持する。制御部161は、推定した噴流高さH2が第2設定範囲の下限値以下である場合、二次噴流ノズル27からの噴出量を増やす。具体的には、制御部161は、ポンプ25のモータ25aの回転数を1段階だけ増やす。制御部161は、推定した噴流高さH2が第2設定範囲の上限値以上である場合、二次噴流ノズル27からの噴出量を減らす。具体的には、制御部161は、ポンプ25のモータ25aの回転数を1段階だけ減らす。
【0081】
(噴流高さの調整処理の流れ)
図8は、はんだ付けシステムにおける噴流高さの調整処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示す調整処理は、一次噴流および二次噴流の各々について実行される。
【0082】
まず、治具30が搬送装置10にセットされる(ステップS1)。次に、画像処理装置50は、治具30に含まれる板状体31~34のうちの1つが噴流の上方に移動したか否かを判断する(ステップS2)。例えば、搬送装置10の動作時間および搬送速度に基づいて、画像処理装置50は、板状体が噴流の上方に移動したか否かを判断すればよい。板状体が噴流の上方に移動していない場合(ステップS2でNO)、調整処理はステップS2に戻る。
【0083】
1つの板状体が噴流の上方に移動した場合(ステップS2でYES)、画像処理装置50は、カメラ40に撮像指示を出力し、板状体を撮像させる(ステップS3)。画像処理装置50は、カメラ40から取得した画像に対して画像処理を行なうことにより、板状体と溶融はんだSとの接触面積を計測する(ステップS4)。
【0084】
次に、画像処理装置50は、全ての板状体31~34を撮像したか否かを判断する(ステップS5)。全ての板状体31~34を撮像していない場合(ステップS5でNO)、残りの1つの板状体についてステップS2~S4が繰り返される。
【0085】
全ての板状体31~34を撮像した場合(ステップS5でYES)、コントローラ60の制御部161は、板状体31~34の各々と溶融はんだSとの接触面積に基づいて、噴流高さ(一次噴流についてはH1、二次噴流についてはH2)を推定する(ステップS6)。
【0086】
制御部161は、推定した噴流高さが設定範囲(一次噴流については第1設定範囲、二次噴流については第2設定範囲)内か判断する(ステップS7)。推定した噴流高さが設定範囲内である場合、噴流高さの調整処理は終了する。
【0087】
推定した噴流高さが設定範囲の下限値以下である場合、制御部161は、モータ出力を上げる(ステップS8)。具体的には、制御部161は、一次噴流についてポンプ24のモータ24aの回転数を1段階増やす。制御部161は、二次噴流についてポンプ25のモータ25aの回転数を1段階増やす。
【0088】
推定した噴流高さが設定範囲の上限値以上である場合、制御部161は、モータ出力を下げる(ステップS9)。具体的には、制御部161は、一次噴流についてポンプ24のモータ24aの回転数を1段階増やす。制御部161は、二次噴流についてポンプ25のモータ25aの回転数を1段階減らす。
【0089】
ステップS8またはステップS9の後、調整処理はステップS1に戻り、再度治具30が搬送装置10にセットされる。その後、ステップS2~S9の処理が繰り返される。
【0090】
(検証実験)
板状体31~34の高さピッチhおよび隙間39の幅wを異ならせた複数種類の治具を作製し、当該複数種類の治具を用いて噴流高さの推定精度を検証した。高さピッチhは、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmのいずれかである。隙間39の幅wは、0mm、5mm、10mmのいずれかである。各治具を用いて制御部161によって推定された噴流高さが実際の噴流高さと一致する割合(以下、「正常推定割合」という。)を評価した。上述したように、板状体31~34の各々と溶融はんだSとの接触面積から推定される噴流高さの分解能は、板状体31~34の高さピッチhと同じ値となる。そのため、高さピッチhに応じた分解能での正常推定割合を評価した。
【0091】
図9は、検証実験結果を示す図である。
図9に示されるように、高さピッチhが1.0mmである場合(つまり噴流高さの分解能が1.0mmである場合)には、隙間39の幅wが0mmであっても、噴流高さを正確に推定することができた。これは、隣り合う2つの板状体の段差が比較的大きいため、当該2つの板状体の間に隙間がなくても、一方の板状体に溶融はんだSが接触したとしても表面張力によって他方の板状体に溶融はんだSが引っ張られないためである。
【0092】
しかしながら、隙間39の幅wが0mmである場合、高さピッチhを0.8mm以下にすることにより、噴流高さを正確に推定することができなかった。つまり、隙間39がない場合、分解能0.8mm以下で噴流高さを正確に推定することができない。これは、隣り合う2つの板状体の段差が小さくなり、一方の板状体に溶融はんだSが接触すると表面張力によって他方の板状体に溶融はんだSが引っ張られるためである。
【0093】
これに対し、隙間39の幅wを10mmにすることにより、高さピッチhを0.4mmとしても、噴流高さを正確に推定することができた。つまり、分解能0.4mmで噴流高さを正確に推定することができた。これは、隣り合う2つの板状体の間の幅10mmの隙間39によって、一方の板状体に溶融はんだSが接触したとしても表面張力によって他方の板状体に溶融はんだSが引っ張られないためである。
【0094】
(利点)
以上のように、本実施の形態に係るはんだ付けシステム1は、搬送装置10によって搬送可能な治具30を備える。治具30は、板状体31~34と支持部35,36とを含む。板状体31~34は、治具30が搬送装置10によって搬送されるときに、ノズル(一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27)に対向する。支持部35,36は、治具30が搬送装置によって搬送されるときに、板状体31~34が搬送方向Dに沿って隙間39を空けて配列され、かつ、板状体31~34とノズルとの距離が互いに異なるように、板状体31~34を支持する。はんだ付けシステム1は、さらに、画像処理装置50と制御部161とを備える。画像処理装置50は、治具30が搬送装置10によって搬送されたときに、板状体31~34の各々とノズルから噴出された溶融はんだSとの接触状態を計測する。制御部161は、板状体31~34の各々の接触状態に基づいて、ノズルからの溶融はんだSの噴出量を制御する。
【0095】
上記の構成によれば、板状体31~34のうちノズルの上方に位置する板状体に溶融はんだSが接触したとしても、表面張力によって当該板状体に隣り合う板状体に溶融はんだSが引っ張られることを抑制できる。したがって、画像処理装置50は、板状体31~34の各々とノズルから噴出された溶融はんだSとの接触状態を精度良く計測することができる。これにより、制御部161は、当該接触状態に基づいてノズルからの溶融はんだSの噴出量を制御することにより、溶融はんだSの噴流高さを精度良く調整できる。
【0096】
制御部161は、板状体31~34の各々の接触状態から、ノズルによる溶融はんだSの噴流高さ(一次噴流についてはH1、二次噴流についてはH2)を推定する。制御部161は、噴流高さが予め定められた範囲(一次噴流については第1設定範囲、二次噴流については第2設定範囲)内に入るように噴出量を制御する。これにより、安定してはんだ付けができる噴流高さの範囲を予め定めておくことにより、ノズルからの噴流高さが当該範囲内に入るように噴出量が制御される。その結果、基板に対して安定してはんだ付けすることができる。
【0097】
板状体31~34は透明である。はんだ付けシステム1は、ノズルの上方に配置され、搬送装置10によって搬送される治具30を撮像するためのカメラ40をさらに備える。画像処理装置50は、カメラ40の撮像により得られた画像を処理することにより接触状態を計測する。これにより、画像処理装置50は、画像に基づいて接触状態を精度良く計測することができる。
【0098】
隙間は、搬送方向Dに沿って10mm以上である。これにより、上記の検証実験から噴流高さの分解能を0.4mmまで向上させることができる。
【0099】
(変形例1)
上記の説明では、複数の板状体の各々と噴流との接触状態として接触面積が計測される。しかしながら、画像処理装置50は、複数の板状体の各々と溶融はんだSとの接触の有無を計測してもよい。
【0100】
表面が平坦な二次噴流の場合、
図6に示されるように、二次噴流の最高点よりも下側に位置する板状体31,32は二次噴流と接触し、二次噴流の最高点よりも上側に位置する板状体33,34は二次噴流と接触しない。したがって、制御部161は、板状体31~34の中から、二次噴流と接触している最も高い位置の板状体を第3板状体として特定し、二次噴流と接触していない最も低い位置の板状体を第4板状体として特定すればよい。これにより、制御部161は、基準面に対する第3板状体の下面の高さと、基準面に対する第4板状体の下面の高さとの間の高さ(例えば中間値)を二次噴流の噴流高さH2として推定することができる。
【0101】
(変形例2)
上記の説明では、制御部161は、複数の板状体の各々と溶融はんだSとの接触状態から噴流高さを推定し、推定した噴流高さが設定範囲内に入るように噴出量を調整するものとした。しかしながら、制御部161は、複数の板状体の各々と溶融はんだSとの接触面積が予め定められた範囲内に入るように噴出量を調整してもよい。
【0102】
例えば、二次噴流の最高点が基準面よりもh~2hだけ高い場合に基準面に対して安定してはんだ付けできるとき、制御部161は、以下のようにして噴出量を調整してもよい。
【0103】
最高点が基準面よりもh~2hだけ高い二次噴流と板状体32との接触面積が取り得る範囲の下限値Th4が予め設定される。さらに、最高点が基準面よりもh~2hだけ高い二次噴流と板状体33との接触面積が取り得る範囲の上限値Th5が予め設定される。
【0104】
制御部161は、板状体32と二次噴流との接触面積および板状体33と二次噴流との接触面積を画像処理装置50から受ける。制御部161は、板状体32と二次噴流との接触面積が下限値Th4以上であり、かつ、板状体33と二次噴流との接触面積が上限値Th5以下であるか否かを判断する。
【0105】
板状体32と二次噴流との接触面積が下限値Th4以上であり、かつ、板状体33と二次噴流との接触面積が上限値Th5以下である場合、制御部161は、二次噴流ノズル27からの噴出量を現状に維持する。板状体32と二次噴流との接触面積が下限値Th4未満である場合、制御部161は、二次噴流ノズル27からの噴出量を増やす。板状体33と二次噴流との接触面積が上限値Th5を超える場合、制御部161は、二次噴流ノズル27からの噴出量を減らす。
【0106】
変形例2によっても、基板に対して安定してはんだ付けが可能な高さに二次噴流ノズル27の噴流高さを精度良く調整することができる。
【0107】
(変形例3)
上記の説明では、カメラ40および画像処理装置50により、板状体と溶融はんだSとの接触状態が計測されるものとした。しかしながら、板状体と溶融はんだSとの接触状態の計測方法はこれに限定されるものではない。
【0108】
図10は、変形例3に係るはんだ付けシステムの全体構成を示す模式図である。
図10に示されるように、変形例3に係るはんだ付けシステム1Aは、
図1に示すはんだ付けシステム1と比較して、治具30,カメラ40,画像処理装置50およびコントローラ60の代わりに、治具130,受信装置70およびコントローラ60Aを備える点で相違する。
【0109】
図11は、変形例3に係る治具に含まれる複数の板状体を示す断面図である。治具130は、
図2に示す治具30と比較して、板状体31~34の代わりに、
図11に示す板状体131~134を含む点で相違する。すなわち、支持部35,36(
図2参照)は、治具130が搬送装置10によって搬送方向Dに沿って搬送されるときに、4枚の板状体131~134が搬送方向Dに沿って隙間39を空けて配列されるように、4枚の板状体131~134を支持する。さらに、支持部35,36は、4枚の板状体131~134と一次噴流ノズル26(および二次噴流ノズル27)との距離が互いに異なるように、4枚の板状体131~134を支持する。
【0110】
図12は、変形例3に係る治具に含まれる板状体を示す下面図である。
図13は、変形例3に係る治具に含まれる板状体を示す断面図である。
【0111】
図12および
図13に示されるように、板状体131~134の各々は、基体139と、複数の導電部140とを有する。基体139は、平面視矩形状であり、耐熱ガラス等の絶縁材料で構成される。
【0112】
複数の導電部140は、銅などの導電性材料によって構成される。複数の導電部140は、治具130が搬送装置10によって搬送されるときに板状体131~134の各々の噴流式はんだ付け装置20側の下面141a内に配置される。
図12に示す例では、7×17個の導電部140がマトリクス状に配置されている。
図13に示されるように、複数の導電部140の各々は、板状体131~134の各々の下面141aおよび上面141bから露出するように基体139内に埋設されている。
【0113】
治具130は、板状体131~134の各々に対応するセンサ142をさらに含む。センサ142は、支持部35,36または連結部37,38(
図2参照)に取り付けられる。センサ142は、電池143と、対応する板状体が有する複数の導電部140にそれぞれ接続された複数の抵抗器144とを有する。複数の抵抗器144の各々は、電池143の正極と対応する導電部140との間に接続される。電池143の負極は、はんだ槽21内の溶融はんだSに電気的に接続される。
【0114】
板状体131~134の各々の下面141aに溶融はんだSの噴流が接触すると、当該噴流に接触した導電部140に接続される抵抗器144に電流が流れる。一方、噴流と接触していない導電部140に接続される抵抗器144には電流が流れない。
【0115】
センサ142は、複数の抵抗器144の各々について電流値を監視し、抵抗器144毎に監視結果を示す信号を出力する。例えば、センサ142は、電流値が予め定められた閾値を超えた場合にオン信号を出力し、電流値が閾値以下である場合にオフ信号を出力する。導電部140と溶融はんだSの噴流とが導通すると、当該導電部140に接続された抵抗器144に電流が流れ、当該抵抗器144についてオン信号が出力される。導電部140と溶融はんだSの噴流とが導通していない場合、当該導電部140に接続された抵抗器144の電流値が0であるため、当該抵抗器144についてオフ信号が出力される。
【0116】
図14は、センサからの出力信号の一例を示す図である。
図15は、センサからの出力信号の別の例を示す図である。
図16は、センサからの出力信号のさらに別の例を示す図である。
図14には、板状体131の大部分に噴流が接触したときの例が示される。
図15には、板状体131の中央付近にのみ噴流が接触したときの例が示される。
図16には、板状体131に噴流が接触していないときの例が示される。
図14~
図16において、上段には板状体131の下面141aを示す平面図が示され、下段には複数の抵抗器144にそれぞれ対応する複数の出力信号の状態(オン/オフ)が示される。
【0117】
図14~16に示されるように、板状体131と溶融はんだSの噴流との接触領域R内に配置されている導電部140に接続された抵抗器144に対応する出力信号がオン信号となる。そのため、各抵抗器144からの出力信号を確認することにより、板状体131と噴流との接触状態(例えば接触領域Rの大きさ)を把握することができる。
【0118】
図13に示されるように、治具130は、センサ142からの出力信号を送信する送信装置145をさらに備える。送信装置145は、支持部35,36または連結部37,38(
図2参照)に取り付けられる。送信装置145は、無線通信によりセンサ142からの出力信号を受信装置70(
図10参照)に送信する。
【0119】
図10に示す受信装置70は、板状体131~134の各々について、当該板状体が噴流(一次噴流または二次噴流)の上方に移動したタイミングで、当該板状体に対応するセンサ142からの出力信号を送信装置145から受信する。受信装置70は、受信した出力信号をコントローラ60Aに出力する。
【0120】
コントローラ60Aは、
図1に示すコントローラ60と比較して、計測部162をさらに備える点で相違する。コントローラ60Aは、コントローラ60と同様に、
図7に示されるようなハードウェア構成を有する。計測部162は、CPU61が計測プログラムを実行することにより実現される。
【0121】
計測部162は、板状体131~134の各々について、受信装置70から受けたセンサ142の出力信号に基づいて、当該板状体と溶融はんだSの噴流との接触状態(ここでは接触面積)を計測する。
【0122】
図14~
図16に示されるように、複数の抵抗器144のうちオン信号に対応する抵抗器144の個数は、接触領域Rの面積(接触面積)と相関する。そのため、計測部162は、センサ142の出力信号のうちオン信号の個数をカウントする。計測部162は、カウントした個数を接触面積に換算し、換算した接触面積を制御部161に出力する。これにより、制御部161は、上記の説明と同様の方法により、板状体31~34の各々と溶融はんだSとの接触面積に基づいて、溶融はんだの噴出量を制御できる。
【0123】
図17は、変形例3に係るはんだ付けシステムにおける噴出高さの調整処理の流れを示すフローチャートである。
図17に示すフローチャートは、
図8に示すフローチャートと比較して、ステップS2~S5の代わりにステップS12~S15を含む点で相違する。
【0124】
受信装置70は、治具130に含まれる板状体131~134のうちの1つが噴流の上方に移動したか否かを判断する(ステップS12)。いずれの板状体も噴流の上方に移動していない場合(ステップS12でNO)、調整処理はステップS12に戻る。
【0125】
板状体が噴流の上方に移動した場合(ステップS12でYES)、受信装置70は、当該板状体に対応するセンサ142の出力信号を送信装置145から受信する(ステップS13)。コントローラ60Aの計測部162は、センサ142の出力信号を用いて、板状体と溶融はんだSとの接触面積を計測する(ステップS14)。
【0126】
次に、受信装置70は、全ての板状体131~134についてセンサ142の出力信号を受信したか否かを判断する(ステップS15)。全ての板状体131~134についてセンサ142の出力信号を受信していない場合(ステップS15でNO)、残りの1つの板状体についてステップS12~S14が繰り返される。
【0127】
全ての板状体131~134についてセンサ142の出力信号を受信した場合(ステップS15でYES)、調整処理はステップS6に移る。
【0128】
(変形例4)
上記の変形例3では、板状体131~134の各々において、複数の導電部140は、噴流式はんだ付け装置20側の下面141a内にマトリクス状に配置される。しかしながら、複数の導電部140は、ライン状に配置されてもよい。
【0129】
図18は、変形例4に係る治具に含まれる板状体を示す下面図である。
図18に示されるように、複数の導電部140は、噴流型はんだ付け装置側の下面141a(すなわち、一次噴流ノズル26および二次噴流ノズル27に対向する面)内において、搬送方向Dに直交する方向のライン状に配置される。
【0130】
受信装置70は、板状体131~134の各々について、複数のタイミングで送信装置145から当該板状体に対応するセンサ142からの出力信号を受信する。複数のタイミングは、噴流(一次噴流および二次噴流のいずれか)における搬送方向Dの上流側の端部上方に複数の導電部140が到達する第1タイミングから、当該噴流における搬送方向Dの下流側の端部上方に複数の導電部140が到達する第nタイミングまでのn個のタイミングである。
【0131】
図19は、変形例4におけるセンサからの出力信号の一例を示す図である。
図20は、変形例4におけるセンサからの出力信号の別の例を示す図である。
図19には、板状体131の大部分に噴流が接触するときの例が示される。
図20には、板状体131の半分くらいに噴流が接触するときの例が示される。
図19および
図20の上段には、板状体131の下面を示す平面図が示される。
図19および
図20の下段には、第1~第7タイミングにおける、センサ142の出力信号の状態(オン/オフ)が示される。第1タイミングは、噴流における搬送方向Dの上流側の端部上方に複数の導電部140が到達したタイミングである(上段の一点鎖線参照)。第7タイミングは、噴流における搬送方向Dの下流側の端部上方に複数の導電部140が到達したタイミングである(上段の二点鎖線参照)。
【0132】
図19および
図20に示されるように、板状体131と噴流との接触領域Rに導電部140が含まれる期間において、当該導電部140に接続された抵抗器144に対応する出力信号がオン信号となる。そのため、第1~第7タイミングにおける各抵抗器144からの出力信号を確認することにより、板状体131と噴流との接続状態(例えば接触領域Rの大きさ)を把握することができる。
【0133】
第1~第7タイミングにおける複数の抵抗器144に対応する複数の出力信号のうちのオン信号の個数は、板状体131と噴流との接触面積に相関する。そのため、コントローラ60Aの計測部162は、第1~第7タイミングにおけるセンサ142の出力信号のうちオン信号の個数を接触面積に換算すればよい。これにより、コントローラ60Aの制御部161は、上記の説明と同様の方法により、板状体31~34の各々と溶融はんだSとの接触面積に基づいて、溶融はんだの噴出量を制御できる。
【0134】
<付記>
以下のように、本実施の形態は、以下のような開示を含む。
【0135】
(構成1)
基板を搬送するための搬送装置(10)と、
ノズル(26,27)を含み、前記搬送装置(10)によって搬送された前記基板に対して前記ノズル(26,27)から溶融はんだ(S)を噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置(20)とを備えるはんだ付けシステム(1,1A)であって、
前記搬送装置(10)によって搬送可能な治具(30,130)をさらに備え、
前記治具(30,130)は、
前記治具(30,130)が前記搬送装置(10)によって搬送されるときに、前記ノズル(26,27)に対向する複数の板状体(31~34,131~134)と、
前記治具(30,130が前記搬送装置(10)によって搬送されるときに、前記複数の板状体(31~34,131~134)が搬送方向に沿って隙間(39)を空けて配列され、かつ、前記複数の板状体(31~34,131~134)と前記ノズル(26,27)との距離が互いに異なるように、前記複数の板状体(31~34,131~134)を支持する支持部(35,36)とを含み、
前記はんだ付けシステム(1,1A)は、さらに、
前記治具(30,130)が前記搬送装置(10)によって搬送されたときに、前記複数の板状体(31~34,131~134)の各々と前記ノズル(26,27)から噴出された前記溶融はんだ(S)との接触状態を計測する計測部(50,162)と、
前記複数の板状体(31~34,131~134)の各々の前記接触状態に基づいて、前記ノズル(26,27)からの前記溶融はんだ(S)の噴出量を制御する制御部(161)とを備える、はんだ付けシステム(1,1A)。
【0136】
(構成2)
前記制御部(161)は、
前記複数の板状体(31~34,131~134)の各々の前記接触状態から、前記ノズル(26,27)による前記溶融はんだ(S)の噴流高さを推定し、
前記噴流高さが予め定められた範囲内に入るように前記噴出量を制御する、構成1に記載のはんだ付けシステム(1,1A)。
【0137】
(構成3)
前記計測部(50,162)は、前記複数の板状体(31~34,131~134)の各々と前記ノズル(26,27)から噴出された前記溶融はんだ(S)との接触面積を前記接触状態として計測し、
前記制御部(161)は、
前記複数の板状体(31~34,131~134)の各々の前記接触面積が予め定められた範囲内に入るように前記噴出量を制御する、構成1に記載のはんだ付けシステム(1,1A)。
【0138】
(構成4)
前記複数の板状体(31~34)は透明であり、
前記はんだ付けシステム(1)は、
前記ノズル(26,27)の上方に配置され、前記搬送装置(10)によって搬送される前記治具(30)を撮像するための撮像装置(40)をさらに備え、
前記計測部(50)は、前記撮像装置(40)の撮像により得られた画像を処理することにより前記接触状態を計測する、構成1から3のいずれかに記載のはんだ付けシステム(1)。
【0139】
(構成5)
前記複数の板状体(131~134)の各々は、前記ノズル(26,27)に対向する面(141a)内に配置された複数の導電部(140)を有し、
前記計測部(162)は、前記複数の導電部(140)の各々と前記溶融はんだ(S)との導通の有無に基づいて前記接触状態を計測する、構成1から3のいずれかに記載のはんだ付けシステム(1A)。
【0140】
(構成6)
前記複数の導電部(140)は、前記複数の板状体(131~134)の各々における前記ノズル(26,27)に対向する面(141a)内においてマトリクス状に配置される、構成5に記載のはんだ付けシステム(1A)。
【0141】
(構成7)
前記複数の導電部(140)は、前記複数の板状体(131~134)の各々における前記ノズル(26,27)に対向する面(141a)内において、前記搬送方向に直交する方向のライン状に配置される、構成5に記載のはんだ付けシステム(1A)。
【0142】
(構成8)
前記隙間(39)は、前記搬送方向に沿って10mm以上である、構成1から7のいずれかに記載のはんだ付けシステム(1,1A)。
【0143】
(構成9)
基板を搬送するための搬送装置(10)と、
ノズル(26,27)を含み、前記搬送装置(10)によって搬送された前記基板に対して前記ノズル(26,27)から溶融はんだ(S)を噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置(20)とを備えるはんだ付けシステム(1,1A)における前記ノズル(26,27)からの噴出量の調整のために使用される治具(30,130)であって、
前記治具(30,130)が前記搬送装置(10)によって搬送されるときに、前記ノズル(26,27)に対向する複数の板状体(31~34,131~134)と、
前記治具(30,130)が前記搬送装置(10)によって搬送されるときに、前記複数の板状体(31~34,131~134)が搬送方向に沿って隙間(39)を空けて配列され、かつ、前記複数の板状体(31~34,131~134)と前記ノズル(26,27)との距離が互いに異なるように、前記複数の板状体(31~34,131~134)を支持する支持部(36,36)とを備える、治具(30,130)。
【0144】
(構成10)
前記複数の板状体(131~134)の各々は、前記ノズル(26,27)に対向する面(141a)内に配置された複数の導電部(140)を有し、
前記治具(130)は、
前記複数の導電部(140)の各々と前記溶融はんだ(S)との導通の有無を検知するセンサ(142)をさらに備える、構成9に記載の治具(130)。
【0145】
(構成11)
基板を搬送するための搬送装置(10)と、
ノズル(26,27)を含み、前記搬送装置(10)によって搬送された前記基板に対して前記ノズル(26,27)から溶融はんだ(S)を噴出させてはんだ付けを行なう噴流式はんだ付け装置(20)とを備えるはんだ付けシステム(1,1A)における前記ノズル(26,27)からの前記溶融はんだ(S)の噴出量を調整する調整方法であって、
前記搬送装置(10)によって治具(30,130)を搬送させるステップを備え、
前記治具(30,130)は、
前記治具(30,130)が前記搬送装置(10)によって搬送されるときに、前記ノズル(26,27)に対向する複数の板状体(31~34,131~134)と、
前記治具(30,130が前記搬送装置(10)によって搬送されるときに、前記複数の板状体(31~34,131~134)が搬送方向に沿って隙間(39)を空けて配列され、かつ、前記複数の板状体(31~34,131~134)と前記ノズル(26,27)との距離が互いに異なるように、前記複数の板状体(31~34,131~134)を支持する支持部(35,36)とを含み、
前記調整方法は、さらに、
前記複数の板状体(31~34,131~134)の各々と前記ノズル(26,27)から噴出された前記溶融はんだ(S)との接触状態を計測するステップと、
前記複数の板状体(31~34,131~134)の各々の前記接触状態に基づいて、前記ノズル(26,27)からの前記溶融はんだ(S)の噴出量を制御するステップとを備える、調整方法。
【0146】
本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0147】
1,1A はんだ付けシステム、10 搬送装置、11 搬送ベルト、12 予備加熱装置、13 フレーム、13a 観察窓、14 冷却装置、20 噴流式はんだ付け装置、21 はんだ槽、22,23 ダクト、24,25 ポンプ、24a,25a モータ、24b,25b 羽根車、26 一次噴流ノズル、27 二次噴流ノズル、30,130 治具、31~34,131~134 板状体、35,36 支持部、37,38 連結部、39 隙間、40 カメラ、50 画像処理装置、51,61 CPU、52 メインメモリ、53,64 ハードディスク、54 カメラI/F、55,68 通信I/F、56,69 バス、60,60A コントローラ、62 ROM、63 RAM、65 キーボード、66 マウス、67 モニタ、70 受信装置、139 基体、140 導電部、141a 下面、141b 上面、142 センサ、143 電池、144 抵抗器、145 送信装置、161 制御部、162 計測部、531 画像処理プログラム、532 計測データ、S 溶融はんだ。