(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/02 20060101AFI20231114BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B41J11/02
B41J2/01 107
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2019171472
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰希
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-171280(JP,A)
【文献】特開2003-140475(JP,A)
【文献】特開2008-247595(JP,A)
【文献】特開平04-217533(JP,A)
【文献】特開2013-231809(JP,A)
【文献】特開2014-046994(JP,A)
【文献】米国特許第06594460(US,B1)
【文献】特開平08-156353(JP,A)
【文献】特開2004-012585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 11/00-11/70
B65H 5/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材と対向配置され、前記ベルト部材と対向する画像形成領域に画像を形成する画像形成部と、
前記ベルト部材の幅方向に延び、前記ベルト部材の前記画像形成領域に対応する箇所において前記ベルト部材の前記幅方向全体を支持する支持部材と、
前記支持部材の端部を前記ベルト部材の外側に向けて引っ張る引っ張り部と、
を備え
、
前記引っ張り部は、前記幅方向における前記支持部材の中央部の撓み変形を矯正するように前記支持部材の端部を引っ張る、
画像形成装置。
【請求項2】
前記引っ張り部は、前記支持部材と前記ベルト部材との対向方向において、前記支持部材の中央部よりも前記ベルト部材側の部位を引っ張る、
請求項1
に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記支持部材と前記ベルト部材との対向方向において、前記支持部材の中央部よりも前記ベルト部材側の第1部位と、前記第1部位以外の部位である第2部位とを有し、
前記第1部位の断面係数は、前記第2部位の断面係数よりも低い、
請求項1
または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1部位の材質は、前記第2部位の材質よりも柔らかい、
請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記支持部材は、回転不能なように固定されている、
請求項1~
4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記引っ張り部は、前記幅方向における前記支持部材の第1端部側に設けられ、
前記幅方向における前記支持部材の第2端部は、前記引っ張り部以外の部材に固定支持され、
前記幅方向における前記支持部材の前記第1端部は、前記引っ張り部に固定支持されている、
請求項1~
5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記引っ張り部は、前記幅方向における前記支持部材の両端部のそれぞれに対応して設けられ、
前記幅方向における前記支持部材の第1端部、および、前記幅方向における前記支持部材の第2端部は、それぞれに対応する引っ張り部に固定支持されている、
請求項1~
5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記支持部材は、少なくとも2つ設けられ、
少なくとも2つの支持部材は、前記画像形成領域を挟むように配置される、
請求項1~
7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記引っ張り部は、
前記支持部材の端部よりも外側に位置する固定部材と、
前記固定部材と前記支持部材の端部との両方に挿通されるネジ部材と、
を有する、
請求項1~
8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記引っ張り部は、前記支持部材の端部に固定されるピストン部と、前記ピストン部を移動可能に支持するシリンダー部とを有するエアーシリンダーである、
請求項1~
8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記引っ張り部は、前記支持部材の端部を前記ベルト部材の外側に向けて付勢する付勢部材を含む、
請求項1~
8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記支持部材は、前記幅方向に延びる中空部を有する、
請求項1~
11の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記中空部は、前記支持部材と前記ベルト部材との対向方向において、前記支持部材の中央部よりも前記ベルト部材側に位置する、
請求項
12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記支持部材は、角柱形状または円柱形状である、
請求項1~
13の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無端状のベルト部材と、ベルト部材と対向する画像形成領域に画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1には、ベルト部材における画像形成領域に対応する範囲を2つのローラー部材で支持する構成が開示されている。この構成では、これにより、当該範囲におけるベルト部材と画像形成部とのギャップを調整する際に、ベルト部材のテンションの変動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の構成では、ローラー部材の軸方向の両端部分が装置の所定部分に固定支持される。ローラー部材の両端部分が固定支持されることで、ローラー部材の軸方向の中央部分が自重により下がるので、ローラー部材が、当該中央部分が撓んだ状態に変形し、ベルト部材もそれに応じて撓むおそれがある。その結果、ベルト部材の平面性が担保できなくなり、ひいてはベルト部材と画像形成部とのギャップを精度良く調整できないおそれがある。また、このベルト部材の撓みを解消するために、調整機構を設けると構成が複雑になるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成によりベルト部材の平面性を担保することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、
無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材と対向配置され、前記ベルト部材と対向する画像形成領域に画像を形成する画像形成部と、
前記ベルト部材の幅方向に延び、前記ベルト部材の前記画像形成領域に対応する箇所において前記ベルト部材の前記幅方向全体を支持する支持部材と、
前記支持部材の端部を前記ベルト部材の外側に向けて引っ張る引っ張り部と、
を備え、
前記引っ張り部は、前記幅方向における前記支持部材の中央部の撓み変形を矯正するように前記支持部材の端部を引っ張る。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構成によりベルト部材の平面性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図4】従来例における支持部材の撓み変形の様子を説明する図である。
【
図5】本実施の形態に係る支持部材の撓み変形の様子を説明するための図である。
【
図6】支持部材におけるネジ部材の固定箇所を変更した例を示す図である。
【
図7】支持部材の形状を変更した例を示す図である。
【
図8】支持部材の形状を変更した例を示す図である。
【
図9】支持部材の形状を変更した例を示す図である。
【
図10】支持部材の第1端部のみを引っ張る構成の一例を示す図である。
【
図11】引っ張り部をエアーシリンダーとした構成の一例を示す図である。
【
図12】引っ張り部が付勢部材を含む構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
【0010】
図1に示すように、画像形成装置1は、インクジェット方式の画像形成装置であり、ベルト搬送装置2、記録ヘッド3および支持部材4等を備えている。
【0011】
ベルト搬送装置2には、所定の間隔をおいて平行に配置された駆動ローラー21および従動ローラー22に亘って所定幅の無端状の搬送ベルト23が張架されている。駆動ローラー21および従動ローラー22に架け渡された搬送ベルト23の上面は、記録媒体Pを密着させて載置する載置面とされている。搬送ベルト23は、本発明の「ベルト部材」に対応する。
【0012】
なお、搬送ベルト23の表面には、搬送中の記録媒体Pを搬送ベルト23の上面に密着させるために、地張りと呼ばれる粘着剤が塗布されている。また、駆動ローラー21は、図示しない副走査モーターによって駆動される。
【0013】
ベルト搬送装置2では、駆動ローラー21が副走査モーターの回転駆動によって、
図1中の反時計方向(矢印を参照)に所定速度で回転することにより、従動ローラー22との間に架け渡された搬送ベルト23を回転移動させる。かかる動作により、搬送ベルト23の上面に載置されている記録媒体Pは、副走査方向である図中の矢印A方向に向けて搬送される。
【0014】
記録媒体Pには、例えば、紙、布帛、プラスチックフィルム、ガラス板等、インクジェット記録に通常使用される記録媒体を使用することができる。記録媒体Pは、所定サイズに裁断されたシート状であってもよいし、ロール状に巻回された元巻から連続して繰り出される長尺状であってもよい。
【0015】
なお、ベルト搬送装置2における記録媒体Pの搬送面とは反対側には、図示しないベルトクリーニング装置が設けられている。このベルトクリーニング装置によって、搬送ベルト23に付着した異物が除去される。
【0016】
記録ヘッド3は、複数のインクジェットヘッドを有しており、搬送ベルト23上の記録媒体Pが載置される面の上方に所定の間隔をおいて対向配置されている。記録ヘッド3は、その下面に設けられた多数のノズルからインク滴を、所定の画像形成領域に吐出する。
【0017】
所定の画像形成領域は、記録ヘッド3と搬送ベルト23との対向部分の領域である。搬送ベルト23の搬送方向における、所定の画像形成領域の長さは、当該搬送方向における、記録ヘッド3の長さに対応する。
【0018】
記録ヘッド3は、搬送ベルト23の回転移動によって搬送されて上記画像形成領域を通過する記録媒体P上に所望の画像を記録する。記録ヘッド3は、本発明の「画像形成部」に対応する。
【0019】
本実施の形態では、記録ヘッド3は、図示しないキャリッジに搭載されて、間欠的に搬送される記録媒体Pの搬送方向と直交する主査方向に往復移動するシャトル型の記録ヘッドが用いられる。この場合、記録時に、搬送ベルト23は、待機状態と駆動状態を繰り返す間欠動作を行うように、駆動ローラー21の駆動が制御される。
【0020】
なお、記録ヘッド3は、搬送ベルト23の幅方向に亘って固定状に架け渡され、連続的に搬送される記録媒体P上にインク滴を吐出することによって画像を記録するライン型の記録ヘッドであってもよい。この場合、記録時に、搬送ベルト23は、連続的に移動(回転動作)するように、駆動ローラー21の駆動が制御される。
【0021】
支持部材4は、搬送ベルト23の内側から、搬送ベルト23における画像形成領域に対応する箇所を支持する部材である。支持部材4は、搬送方向において、画像形成領域よりも上流側と、画像形成領域よりも下流側との2箇所に設けられている。支持部材4の詳細については後述する。
【0022】
また、搬送ベルト23の内側における、支持部材4とは反対側には、テンションローラー5が設けられている。テンションローラー5は、搬送ベルト23に張力を付与するローラーである。なお、搬送ベルト23の内側に設けられるローラーは、搬送ベルト23の蛇行を補正するローラーであっても良い。
【0023】
図2は、画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御部100、記録ヘッド駆動部110、搬送駆動部120および入出力インターフェース130を備える。
【0024】
制御部100は、CPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)、ROM103(Read Only Memory)および記憶部104を有する。
【0025】
CPU101は、ROM103に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM102に記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。また、CPU101は、画像形成装置1の全体動作を統括的に制御する。
【0026】
RAM102は、CPU101に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、RAM102は、不揮発性メモリーを含んでいても良い。
【0027】
ROM103は、CPU101により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM103に代えて、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられても良い。
【0028】
記憶部104には、入出力インターフェース130を介して外部装置140から入力されたプリントジョブ(画像記録命令)および当該プリントジョブに係る画像データが記憶される。記憶部104としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等が併用されても良い。
【0029】
記録ヘッド駆動部110は、制御部100の制御に基づいて記録ヘッド3に対して適切なタイミングで画像データに応じた駆動信号を供給することにより、記録ヘッド3のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0030】
搬送駆動部120は、制御部100の制御に基づいて駆動ローラー21の副走査モーターに駆動信号を供給することにより、搬送ベルト23を所定の速度およびタイミングで回転移動させる。
【0031】
入出力インターフェース130は、外部装置140と制御部100との間におけるデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース130は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースの何れか、または、これらの組み合わせで構成される。
【0032】
外部装置140は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース130を介して画像記録命令(プリントジョブ)および画像データ等を制御部100に供給する。
【0033】
次に、支持部材4の詳細について説明する。
図3は、支持部材4の端部付近の拡大図である。なお、
図3における左右方向は、搬送ベルト23の幅方向である。
【0034】
図3に示すように、支持部材4は、搬送ベルト23の幅方向に延びる四角柱形状の金属部材(例えば、アルミ)であり、搬送ベルト23の内側から搬送ベルト23の幅方向全体を支持している。なお、支持部材4周辺の構成は、幅方向の両側において対称構成であるので、
図3では、支持部材4の一方側の端部(
図3の右端部)のみ図示し、支持部材4の他方側の端部の図示および説明を省略している。
【0035】
支持部材4の端部4Aは、画像形成装置1における搬送ベルト23の幅方向の両側、つまり、支持部材4の端部4Aの外側に設けられる側壁6に固定されている。支持部材4は、四角柱における四角形の平面となる部分が、搬送ベルト23と対向するように配置される。側壁6は、本発明の「固定部材」に対応する。
【0036】
支持部材4の端部4Aには、ネジ部材7を挿通可能な孔4Bが形成されている。また、側壁6にも、ネジ部材7を挿通可能な孔6Aが形成されている。ネジ部材7は、側壁6を介して、支持部材4の孔4Bに挿通されることで、側壁6に支持部材4の端部4Aを固定する。つまり、支持部材4の端部4Aは、側壁6およびネジ部材7に固定支持されている。
【0037】
このように固定されることで、支持部材4の端部4Aは、搬送ベルト23の幅方向の外側に向けて引っ張られる(矢印参照)。具体的には、側壁6は、画像形成装置1において移動不能な部分であるので、ネジ部材7を支持部材4の端部4Aに挿通することで、移動しない側壁6およびネジ部材7に対して支持部材4が相対的に側壁6側に移動する。すなわち、支持部材4には、側壁6およびネジ部材7により、側壁6側に引っ張られる荷重が付与される。側壁6およびネジ部材7は、本発明の「引っ張り部」に対応する。
【0038】
上記したように、支持部材4付近の構成は、幅方向の両側において対称構成であるので、支持部材4の両端部は、側壁6およびネジ部材7により互いに反対側に引っ張られる。言い換えると、幅方向における支持部材4の第1端部(例えば、
図3の右端部)、および、幅方向における支持部材4の第2端部(例えば、
図3の図示しない左端部)は、それぞれに対応する側壁6およびネジ部材7により、互いに反対側に引っ張られる。
【0039】
例えば、
図4に示すように、所定の支持部材10の両端部を固定支持する構成があったとする。このような構成では、支持部材10の幅方向の中央部が自重により下がるので、支持部材10が、中央部が撓んだ状態に変形する。そのため、支持部材10に支持されるベルト部材11もその撓みに応じて撓むおそれがあるので、ベルト部材11の平面性を担保できないおそれがある。そのため、ベルト部材11と画像形成部とのギャップを調整する際において、当該ギャップを精度良く調整できなくなる。
【0040】
また、この支持部材10の撓みを解消するために、例えば、撓みを調整可能な調整機構を設ける構成が考えられるが、このような構成であると、装置の構成が全体として複雑になるおそれがある。
【0041】
それに対し、本実施の形態では、
図5に示すように、支持部材4の端部4Aが搬送ベルト23の幅方向の外側に向けて引っ張られる。その結果、支持部材4の幅方向の中央部が自重により下がることに起因する、支持部材4の中央部の撓み量が低減される。つまり、側壁6およびネジ部材7が、支持部材4の中央部の撓み変形を矯正するように、支持部材4の端部4Aを引っ張るので、搬送ベルト23が支持部材4の撓みに応じて撓むことを低減することができる。
【0042】
すなわち、本実施の形態では、搬送ベルト23の平面性を担保することができる。その結果、画像形成領域を通過する記録媒体P上に所望の画像を形成することができるとともに、搬送ベルト23と記録ヘッド3とのギャップを調整する際において、当該ギャップを精度良く調整することができる。
【0043】
また、支持部材4に引っ張り荷重が付与されることから、調整機構を設ける必要がないので、簡易な構成とすることができる。また、調整機構を設ける必要がないので、装置の省スペース化、コストダウンを図ることができる。
【0044】
また、支持部材4の両端部がネジ部材7により側壁6に固定されるので、支持部材4が回転不能なように固定されることとなる。
【0045】
支持部材4が回転可能に固定されていると、支持部材4が回転することにより、搬送ベルト23の平面性が悪化するおそれがある。例えば、四角柱形状の支持部材4の角部に対応する部分が、搬送ベルト23と対向した場合、当該角部によって、搬送ベルト23の状態が変動して、ひいては平面性が悪化する。
【0046】
しかし、本実施の形態では、支持部材4が回転不能であるので、支持部材4の平面部分が搬送ベルト23と対向したままとなる。その結果、支持部材4の回転に起因する搬送ベルト23の平面性の悪化を抑制し、ひいては搬送ベルト23の平面性を向上させることができる。
【0047】
また、支持部材4の両端部のそれぞれを別個に固定する構成であるので、例えば、各端部において製造誤差が発生した場合、両側のネジ部材7の締め付け度合いをそれぞれ別個に調整することができる。その結果、端部毎に支持部材4の固定状態を調整することで、支持部材4による搬送ベルト23の平面性を維持しやすくすることができる。
【0048】
また、支持部材4が、搬送ベルト23の画像形成領域に対応する部分の上流側と下流側の2箇所において、画像形成領域を挟むように2つ設けられている。その結果、搬送ベルト23の画像形成領域に対応する部分の平面性を上流側と下流側の両方で維持することができ、ひいては搬送ベルト23の画像形成領域に対応する部分の平面性をさらに担保しやすくすることができる。
【0049】
なお、上記実施の形態では、支持部材4の端部の固定箇所は、支持部材4と搬送ベルト23との対向方向(上下方向)における中央部分であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6に示すように、支持部材4の端部の固定箇所が、当該対向方向において、支持部材4の中央部(破線C参照)よりも搬送ベルト23側の部位であっても良い。言い換えると、側壁6およびネジ部材7(引っ張り部)は、当該対向方向において、支持部材4の中央部よりも搬送ベルト23側の部位を引っ張る。
【0050】
このようにすることで、支持部材4に付与される引っ張り荷重の作用点を搬送ベルト23に近づけることができる。その結果、支持部材4の、搬送ベルト23と対面する側を変形させやすくすることができ、ひいては搬送ベルト23における平面性を担保しやすくすることができる。
【0051】
また、対向方向において支持部材4の中央部よりも搬送ベルト23側の部位を引っ張るので、中央部よりも搬送ベルト23とは反対側の部位を引っ張る構成よりも、引っ張る力を弱くすることができる。その結果、支持部材4にかかる負荷を小さくすることができるので、支持部材4の耐久性を向上させることができる。また、支持部材4を引っ張る力を弱くすることで、搬送ベルト23の調整を容易に行うことができる。また、これにより、搬送ベルト23の調整に要する力を弱くすることができるので、搬送ベルト23の調整性を向上させることができる。
【0052】
また、
図6に示す構成では、支持部材4の固定箇所を搬送ベルト23側に位置させることで、支持部材4の、搬送ベルト23と対面する側を変形させやすくしていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、支持部材4の第1部位41の断面係数が、支持部材4の第2部位42の断面係数よりも低くなるようにしても良い。なお、
図7~9の左右方向は、搬送ベルト23の搬送方向である。
【0053】
第1部位41は、支持部材4と搬送ベルト23との対向方向において、支持部材4の中央部(破線C参照)よりも搬送ベルト23側の部位である。第2部位42は、支持部材4における第1部位41以外の部位であって、第1部位41を挟んで搬送ベルト23とは反対側の部位である。
【0054】
図7に示す支持部材4は、断面視において台形状に構成されており、
図7における上底の部分である第1部位41の表面41Aが、
図7における下底の部分である第2部位42の表面42Aよりも短い構成となっている。
【0055】
このようにしても、第1部位41の方が、第2部位42よりも変形しやすくなる。つまり、支持部材4の、搬送ベルト23と対面する側を変形させやすくすることができ、ひいては搬送ベルト23における平面性を担保しやすくすることができる。
【0056】
また、
図8に示すように、第1部位41の材質が、第2部位42の材質よりも柔らかい構成としても良い。
【0057】
図8に示す支持部材4では、第1部位41がPOM(ポリアセタール)等のプラスチック部材であり、第2部位42が金属部材である。
【0058】
このようにしても、第1部位41の方が、第2部位42よりも変形しやすくなる。つまり、支持部材4の、搬送ベルト23と対面する側を変形させやすくすることができ、ひいては搬送ベルト23における平面性を担保しやすくすることができる。
【0059】
また、
図9に示す構成のように、第1部位41に中空部41Bが形成された構成であっても良い。言い換えると、支持部材4は、支持部材4と搬送ベルト23との対向方向において、中央部(破線C参照)よりも搬送ベルト23側に位置する中空部41Bを有する。中空部41Bは、幅方向に延びており、支持部材4を貫通している。
【0060】
このようにしても、第1部位41の方が、第2部位42よりも変形しやすくなる。つまり、支持部材4の、搬送ベルト23と対面する側を変形させやすくすることができ、ひいては搬送ベルト23における平面性を担保しやすくすることができる。
【0061】
特に、この構成では、支持部材4が、樹脂部材等のように、金属部材のように剛性の高い部材ではない部材で構成されている場合、中空部が形成されていない第2部位42により、支持部材4全体の剛性を確保することができる。
【0062】
また、中空部41Bは、支持部材4が金属部材のように剛性の高い部材で構成されている場合、第1部位41のみではなく、例えば対向方向において支持部材4全体に形成されていても良い。
【0063】
また、上記実施の形態では、支持部材4の両端部が、側壁6およびネジ部材7により固定されていたが、本発明はこれに限定されず、支持部材4の両端部のうち、片方のみが側壁6およびネジ部材7により固定支持されていても良い。
【0064】
このような支持部材4は、
図10に示すように、装置の幅方向における支持部材4の第1端部4A(
図10における右端部)が、右側の側壁6およびネジ部材7により固定支持されている。第1端部4Aは、右側の側壁6と間隔をあけて配置されている。また、支持部材4は、幅方向における支持部材4の第2端部4C(
図10における左端部)が、装置の左側の側壁6に固定支持されている。具体的には、第2端部4Cは、側壁6に嵌め込むことにより固定されている。
【0065】
すなわち、第2端部4Cが、左側の側壁6およびネジ部材7(引っ張り部以外の部材)に固定され、第1端部4Aが、右側の側壁6およびネジ部材7(引っ張り部)により固定支持されるように支持部材4が構成されている。
【0066】
このような構成であっても、支持部材4の撓み変形を低減することができる。また、ネジ部材を用いずに第2端部を固定支持するので、第1端部に対応するネジ部材7を設けるのみで良いので、部品点数を削減することができる。
【0067】
また、上記実施の形態では、引っ張り部が側壁6およびネジ部材7で構成されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、エアーシリンダーで構成されていても良い。
【0068】
具体的には、
図11に示すように、引っ張り部8は、支持部材4の端部に固定されるピストン部81と、ピストン部81を左右方向に移動可能に支持するシリンダー部82とを有する。
【0069】
引っ張り部8は、シリンダー部82においてエアーの圧力を調整することで、ピストン部81によって、支持部材4を外側に引っ張るようにする。
【0070】
このように構成することでも、搬送ベルト23の平面性を担保することができ、ひいては搬送ベルト23と記録ヘッド3とのギャップを精度良く調整することができる。
【0071】
また、
図12に示すように、引っ張り部は、支持部材4の端部を搬送ベルト23の外側に向けて付勢する付勢部材83を含む構成であっても良い。
【0072】
図12に示す支持部材4の端部4Aには、延出部材43が設けられている。延出部材43は、支持部材4の端部4Aから延出する延出部43Aと、延出部43Aの先端部に設けられる押圧部43Bとを有する。
【0073】
延出部43Aは、円柱状に構成されており、画像形成装置1における、支持部材4の端部4Aの外側に設けられる側壁6に支持されている。押圧部43Bは、延出部43Aよりも径が大きく構成されており、側壁6よりも外側に位置している。
【0074】
付勢部材83は、側壁6と押圧部43Bとの間に設けられるバネである。付勢部材83は、側壁6に対して押圧部43Bを外側に付勢している。側壁6、延出部材43および付勢部材83は、本発明の「引っ張り部」に対応する。
【0075】
これにより、押圧部43Bが外側に付勢されることで、支持部材4は、外側に向けて引っ張られる。その結果、搬送ベルト23の平面性を担保することができ、ひいては搬送ベルト23と記録ヘッド3とのギャップを精度良く調整することができる。なお、延出部材43は、支持部材4とは別体であっても良い。
【0076】
また、上記実施の形態では、支持部材4は角柱形状であったが、本発明はこれに限定されず、例えば円柱形状であっても良い。また、支持部材が円柱形状である場合、支持部材を回転可能なように固定されていても良い。
【0077】
また、上記実施の形態では、支持部材4は四角柱形状であったが、本発明はこれに限定されず、三角柱形状でも良いし、その他の多角柱形状であっても良い。ただし、搬送ベルト23の平面性を安定させる観点から、角柱形状の平面部分が搬送ベルト23と対向しているようにすることが好ましい。
【0078】
また、上記実施の形態では、ベルト部材として、記録媒体Pを搬送する搬送ベルト23を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、中間転写ベルト等であっても良い。
【0079】
また、上記実施の形態では、画像形成部として、インクジェットヘッドを有する記録ヘッド3、つまり、インクジェット方式に基づく構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、インクジェット方式に基づく構成以外の構成を画像形成部としても良い。
【0080】
また、上記実施の形態では、支持部材4が2つ設けられていたが、本発明はこれに限定されず、1つ以上設けられていれば良い。
【0081】
また、上記実施の形態では、支持部材4が画像形成領域を挟むように設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、支持部材4が、画像形成領域の範囲内の箇所や、駆動ローラー21と画像形成領域の端との間の範囲、従動ローラー22と画像形成領域の端との間の範囲のような画像形成領域に対応する箇所に設けられていれば、どの箇所に設けられていても良い。
【0082】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 画像形成装置
2 ベルト搬送装置
3 記録ヘッド
4 支持部材
4A 端部
4B 孔
5 テンションローラー
6 側壁
6A 孔
21 駆動ローラー
22 従動ローラー
23 搬送ベルト
100 制御部
110 記録ヘッド駆動部
120 搬送駆動部
130 入出力インターフェース