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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20231114BHJP
   B26D 11/00 20060101ALI20231114BHJP
   B65H 35/02 20060101ALI20231114BHJP
   B65H 35/04 20060101ALI20231114BHJP
   B41J 11/68 20060101ALI20231114BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B26D7/18 E
B26D11/00
B65H35/02
B65H35/04
B41J11/68
B41J11/70
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019172445
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021049592
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱島 早紀
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-002416(JP,A)
【文献】特開平10-310317(JP,A)
【文献】特開2015-030049(JP,A)
【文献】特開2011-230207(JP,A)
【文献】特開2019-063896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
B26D 11/00
B65H 35/02
B65H 35/04
B41J 11/68
B41J 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送機構と、
前記用紙の搬送方向に並んで配置され、前記搬送機構により搬送されてきた用紙を断裁する複数の断裁機構と、
前記複数の断裁機構により前記用紙が断裁された際に下方に落下する断裁屑を収容する屑箱と、
前記屑箱内に収容された前記断裁屑を均す屑均し部材と、
前記屑均し部材の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の断裁機構のうち動作させる前記断裁機構に応じて、前記屑均し部材を移動させる速度を異ならせる制御を行い、
前記制御部は、前記屑均し部材を前記屑箱に沿って移動させ、前記屑均し部材の移動領域における上流位置、中間位置又は下流位置に停止させることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記中間位置は、前記複数の断裁機構の中心付近、かつ、前記断裁屑の落下を妨げない位置であって、前記複数の断裁機構によるそれぞれの断裁動作に先立つ共通の待機位置であることを特徴とする請求項に記載の後処理装置。
【請求項3】
用紙を搬送する搬送機構と、
前記用紙の搬送方向に並んで配置され、前記搬送機構により搬送されてきた用紙を断裁する複数の断裁機構と、
前記複数の断裁機構により前記用紙が断裁された際に下方に落下する断裁屑を収容する屑箱と、
前記屑箱内に収容された前記断裁屑を均す屑均し部材と、
前記屑均し部材の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の断裁機構のうち動作させる前記断裁機構に応じて、前記屑均し部材を移動させる速度を異ならせる制御を行い、
前記制御部は、用紙情報に基づいて前記屑均し部材の移動制御を行うことを特徴とする後処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記屑均し部材を、前記屑箱の全域に亘って水平移動させることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記断裁屑が前記屑箱から溢れる前に満タン状態を検知する検知部を備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記屑均し部材の先端は、前記検知部による検知位置よりも下方に位置することを特徴とする請求項に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記屑均し部材は、上部を支点として揺動可能であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記屑均し部材は、移動する過程で、下部側が前記断裁屑に接触して揺動することを特徴とする請求項に記載の後処理装置。
【請求項9】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記画像が形成された用紙に後処理を行う請求項1~のいずれか一項に記載の後処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置本体により画像が形成された用紙に対して様々な後処理を行う後処理装置が知られている。
近年、ユーザーにより、多様な出力物を省スペースで実現できる画像形成装置が要望されている。それに対し、複数(2種類以上)の断裁機構を有し、その組み合わせによって多様な出力物を印刷可能な画像形成装置が知られている。
【0003】
複数の断裁機構を有する画像形成装置においては、限られたスペースに屑箱を設置する必要があるため、複数の断裁機構のそれぞれに屑箱を設置しようとすると、屑箱の容量が小さくなる。この場合に、ユーザーが一部の断裁機構のみを使用すると、使用した断裁機構の屑箱だけが満杯になるため、屑捨ての回数が必要以上に増えてしまう。
一方、複数の断裁機構に共通の屑箱を設置した場合であっても、特定の箇所(断裁屑の落下位置近傍)に断裁屑が積もってしまうため、屑箱のスペースを有効に使えないという課題がある。
【0004】
そこで、ユーザーの屑捨て回数を減らすことを目的として、屑箱内の断裁屑の山を平坦に均す屑均し部材と、屑均し部材を往復運動させる制御部と、を備える構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-153766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の構成は、断裁機構を複数有するものではないため、多様な出力物を印刷可能な構成ではなかった。また、上記特許文献1記載の構成は、屑均し部材の制御が一定であるため、断裁屑のサイズによっては屑均し部材の上に断裁屑が残ってしまうという課題がある。
【0007】
本発明は、多様な出力物を印刷可能な構成において、ユーザーの屑捨て回数を減らしつつ、屑均し部材の上に断裁屑が残ることを抑制することが可能な後処理装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
後処理装置において、
用紙を搬送する搬送機構と、
前記用紙の搬送方向に並んで配置され、前記搬送機構により搬送されてきた用紙を断裁する複数の断裁機構と、
前記複数の断裁機構により前記用紙が断裁された際に下方に落下する断裁屑を収容する屑箱と、
前記屑箱内に収容された前記断裁屑を均す屑均し部材と、
前記屑均し部材の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の断裁機構のうち動作させる前記断裁機構に応じて、前記屑均し部材を移動させる速度を異ならせる制御を行い、
前記制御部は、前記屑均し部材を前記屑箱に沿って移動させ、前記屑均し部材の移動領域における上流位置、中間位置又は下流位置に停止させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の後処理装置において、
前記中間位置は、前記複数の断裁機構の中心付近、かつ、前記断裁屑の落下を妨げない位置であって、前記複数の断裁機構によるそれぞれの断裁動作に先立つ共通の待機位置であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
後処理装置において、
用紙を搬送する搬送機構と、
前記用紙の搬送方向に並んで配置され、前記搬送機構により搬送されてきた用紙を断裁する複数の断裁機構と、
前記複数の断裁機構により前記用紙が断裁された際に下方に落下する断裁屑を収容する屑箱と、
前記屑箱内に収容された前記断裁屑を均す屑均し部材と、
前記屑均し部材の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の断裁機構のうち動作させる前記断裁機構に応じて、前記屑均し部材を移動させる速度を異ならせる制御を行い、
前記制御部は、用紙情報に基づいて前記屑均し部材の移動制御を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の後処理装置において、
前記制御部は、前記屑均し部材を、前記屑箱の全域に亘って水平移動させることを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の後処理装置において、
前記断裁屑が前記屑箱から溢れる前に満タン状態を検知する検知部を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の後処理装置において、
前記屑均し部材の先端は、前記検知部による検知位置よりも下方に位置することを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の後処理装置において、
前記屑均し部材は、上部を支点として揺動可能であることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の後処理装置において、
前記屑均し部材は、移動する過程で、下部側が前記断裁屑に接触して揺動することを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明は、
画像形成装置において、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記画像が形成された用紙に後処理を行う請求項1~のいずれか一項に記載の後処理装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、多様な出力物を印刷可能な構成において、ユーザーの屑捨て回数を減らしつつ、屑均し部材の上に断裁屑が残ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
図3】後処理装置の構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る画像形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】印刷停止時の後処理装置の様子の一例を示す図である。
図6】印刷開始時の後処理装置の様子の一例を示す図である。
図7】屑均し板を速度V1で上流位置に移動させる様子の一例を示す図である。
図8】屑均し板を速度V1で中間位置に移動させる様子の一例を示す図である。
図9】屑均し板を速度V2で下流位置に移動させる様子の一例を示す図である。
図10】屑均し板を速度V2で中間位置に移動させる様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本実施形態に係る画像形成装置1は、図1に示すように、画像形成装置本体100と、後処理装置200と、を備えて構成されている。
【0023】
画像形成装置本体100は、原稿から画像を読み取って得られた画像データ、又は、外部装置から受信した画像データに基づいて、電子写真方式によりカラー画像を形成する。
画像形成装置本体100は、図1及び図2に示すように、操作部11と、表示部12と、原稿読取ユニット13と、画像形成部14と、給紙部15と、画像形成制御部16と、記憶部17と、コントローラーIF(Inter Face)18と、画像処理部19と、を備えて構成されている。
【0024】
操作部11は、表示部12の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を画像形成制御部16に出力する。
【0025】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、画像形成制御部16から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0026】
原稿読取ユニット13は、ADF(自動原稿給紙装置)、スキャナー等を備え、原稿の画像を読み取って得られた画像データを画像形成制御部16に出力する。
【0027】
画像形成部14は、画像処理部19により画像処理が行われた画像データに基づいて、給紙部15から供給された用紙上に画像を形成する。
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム141Y,141M,141C,141K、中間転写ベルト142、2次転写ローラー143、定着部144等を備えて構成されている。
【0028】
感光体ドラム141Yは、一様に帯電された後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光され、静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム141Y上の静電潜像にイエロー色のトナーが付着され、現像が行われる。
感光体ドラム141M,141C,141Kについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム141Yと同様であるため、説明を省略する。
【0029】
感光体ドラム141Y,141M,141C,141K上に形成された各色のトナー像は、回転する中間転写ベルト142上に逐次転写される(1次転写)。すなわち、中間転写ベルト142上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト142上のカラートナー像は、2次転写ローラー143により、用紙上に一括して転写される(2次転写)。
【0030】
定着部144は、カラートナー像が転写された用紙を加熱する加熱ローラー、当該用紙を加圧する加圧ローラーを備え、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙に定着させる。
【0031】
給紙部15は、給紙トレイT11~T13を備え、画像形成部14に用紙を供給する。各給紙トレイT11~T13には、給紙トレイごとに予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。
【0032】
画像形成制御部16は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、画像形成装置本体100の各部の動作を集中制御する。また、CPUは、出力された用紙に対して後処理を行う場合には、後処理装置200に所定の後処理を実行する指示を出す。
ROMは、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
メモリーは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成され、プログラムや各種画像処理に係る画像データ等の各種データを一時的に記憶する。
【0033】
記憶部17は、プログラムや画像データ等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリー等の不揮発性の記憶装置である。記憶部17には、プログラムデータや各種設定データ等のデータを画像形成制御部16から読み書き可能に記憶する。
【0034】
コントローラーIF18は、外部装置から入力される画像データを受信する。
【0035】
画像処理部19は、記憶部17に記憶された画像データ、原稿読取ユニット13により原稿から画像を読み取って得られた画像データ、外部装置から入力された画像データに必要な画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部14に送信する。画像処理には、階調処理、中間調処理、色変換処理等が含まれる。階調処理は、画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。色変換処理は、RGBの各階調値をCMYKの各階調値に変換する処理である。
【0036】
後処理装置200は、画像形成装置本体100から出力された用紙に、必要に応じて後処理を行う装置である。後処理としては、例えば、天地スリット処理、CD断裁処理、ドブ断処理等が挙げられる。後処理は必須ではなく、後処理装置200は、画像形成装置本体100から指示された場合のみ実行する。後処理がない場合、後処理装置200は搬送された用紙をそのまま排紙トレイT1に搬送する。
【0037】
後処理装置200は、図1図3に示すように、搬送部21と、後処理モジュールM1~M4と、屑箱22と、屑均し板23と、屑均しセンサー24と、屑均し駆動部25と、後処理制御部26と、満タン検知センサー27と、用紙検知センサーPS1と、用紙検知センサーPS2と、を備えて構成されている。
【0038】
搬送部(搬送機構)21は、画像形成装置本体100から搬送された用紙を後処理モジュールM1~M4に搬送し、後処理モジュールM1~M4で後処理が行われた用紙を排紙トレイT1に搬送する。
【0039】
後処理モジュールM1~M4は、用紙の搬送方向に並んで配置され、搬送部21により搬送されてきた用紙に後処理を行う。
本実施形態において、最上流の後処理モジュールM1は、用紙の端部をFD方向(用紙搬送方向)に断裁する天地スリッターであり、最下流の後処理モジュールM4は、用紙の端部をCD方向(用紙幅方向)に断裁するCD断裁用のCDカッターである。後処理モジュールM2、M3は、サービスマンにより手動で選択可能であり、例えば、用紙の中央部をFD方向(用紙搬送方向)に規定のスリット幅で断裁(ドブ断)するためのドブ断スリッターなどから選択される。
すなわち、後処理モジュールM1~M4は、用紙の搬送方向に並んで配置され、搬送機構により搬送されてきた用紙を断裁する本発明の断裁機構として機能する。なお、図3における符号A1は天地スリット処理による天地スリット位置であり、符号A2はドブ断処理によるドブ断スリット位置であり、符号A3はCD断裁処理によるCD断裁位置である。
【0040】
屑箱22は、複数の断裁機構(後処理モジュールM1~M4)の下方に配置され、複数の断裁機構により用紙が断裁された際に下方に落下する断裁屑を収容する。
【0041】
屑均し板(屑均し部材)23は、屑箱内22に収容された断裁屑を均すための部材である。屑均し板23は、後処理制御部26による屑均し駆動部25の制御により、屑箱22の用紙搬送方向の全域(断裁屑の山ができやすい範囲全域)に亘って水平移動する。屑均し板23は、印刷開始時に中間位置へと移動し、断裁動作に応じて用紙搬送方向の上下流に往復移動する。ここで、中間位置とは、後処理モジュールM1~M4の用紙搬送方向の中心付近、かつ、断裁屑の落下を妨げない位置であって、後処理モジュールM1~M4によるそれぞれの断裁動作に先立つ共通の待機位置である。また、屑均し板23は、上部を支点としてゆらゆらと揺動可能であり、移動する過程で、下部側が断裁屑に接触して揺動するようになっている。
なお、屑均し板23は、屑箱22の屑捨て時(取り出し時)には下流のHP(ホームポジション)に移動して収容される(図3中B1参照)ため、屑箱22にぶつかることはなく、ユーザーによる屑捨て操作を妨げることはない。
【0042】
屑均しセンサー24は、屑均し板23の移動領域における上流位置、中間位置及び下流位置にそれぞれ設けられ、屑均し板23を検知する。後処理制御部26は、屑均しセンサー24による検知結果に基づいて、屑均し板23を上流位置、中間位置又は下流位置に停止させる。
【0043】
屑均し駆動部25は、後処理制御部26の制御により、屑均し板23を屑箱22の用紙搬送方向の全域に亘って水平移動させる。
【0044】
後処理制御部(制御部)26は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、後処理装置200の各部の動作を集中制御する。
例えば、後処理制御部26は、画像形成装置本体100の画像形成制御部16と情報の伝達を行う。また、後処理制御部26は、屑均し駆動部25を制御することで、屑均し板23の移動を制御する。具体的には、後処理制御部26は、屑均し駆動部25を制御することで、屑均し板23を屑箱22に沿って用紙搬送方向に移動させ、屑均し板23の移動領域における上流位置、中間位置又は下流位置に停止させる。また、後処理制御部26は、複数の断裁機構に応じて異なる制御を行う。具体的には、後処理制御部26は、複数の断裁機構のうち動作させる断裁機構に応じて、屑均し板23を移動させる速度を異ならせる。
【0045】
満タン検知センサー(検知部)27は、屑箱22の可能な限り上部に設置され、断裁屑が屑箱22から溢れる前に満タン状態を検知する。本実施形態において、屑均し板23の先端(下端)は、図3に示すように、満タン検知センサー27による検知位置C1よりも下方(例えば71mm下方)に位置する。これにより、満タン検知センサー27が満タン検知をする前に、断裁屑を均すことができる。
なお、屑均し板23は、断裁屑を平坦に均すことを目的としたものでなくてもよい。すなわち、満タン検知センサー27が断裁屑(満タン状態)を誤検知しないよう、断裁屑を移動可能なものであれば、屑均し板23(屑均し部材)と定義するものに含まれる。
【0046】
用紙検知センサーPS1は、屑均し駆動部25よりも用紙搬送方向上流側に配置され、用紙の通過を検知する。
用紙検知センサーPS2は、屑均し駆動部25よりも用紙搬送方向下流側に配置され、用紙の通過を検知する。
【0047】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1(後処理装置200)の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、各後処理モジュール駆動時の屑均し板23の移動速度は、天地スリット及びドブ断スリットがV1、CD断裁がV2(<V1)となっている。すなわち、断裁屑のFD方向(用紙搬送方向)が長辺となる天地スリット及びドブ断スリットでは、屑均し板23の上に断裁屑が残りやすいため、屑均し板23の上に断裁屑を残さぬよう、屑均し板23の移動速度を速くしている。また、各後処理モジュール駆動時の屑均し板23の移動速度は、待機位置(中間位置)から断裁屑落下位置までの距離等によって決定される。
ここで、図4に示す例では、後処理モジュールとして、「天地スリット」及び「CD断裁」を組み合わせた構成を例示して説明する。
【0048】
なお、屑均し板23は、図5に示すように、印刷停止時(電源OFF時、印刷動作以外の時)、下流HP(図3中B1参照)にて収容されている。また、屑均し板23は、図6に示すように、イニシャル時(印刷開始時)、中間位置(用紙搬送方向中央に配置された屑均しセンサー24の位置)へ移動して待機する。
【0049】
まず、後処理制御部26は、屑均し駆動部25の上流側に設けられた用紙検知センサーPS1により用紙(1枚目の用紙P1)が検知されたか否かを判定する(ステップS101)。
後処理制御部26は、用紙検知センサーPS1により用紙が検知されたと判定した場合(ステップS101:YES)、次のステップS102へと移行する。
一方、後処理制御部26は、用紙検知センサーPS1により用紙が検知されていないと判定した場合(ステップS101:NO)、用紙が検知されるまでステップS101の処理を繰り返す。
【0050】
次に、後処理制御部26は、図7に示すように、屑均し駆動部25を制御して、屑均し板23を速度V1で上流位置(用紙搬送方向上流側に配置された屑均しセンサー24の位置)に移動させる(ステップS102)。ここで、上流位置は、天地スリット位置A1よりも用紙搬送方向上流側の位置である。なお、ステップS102では、屑均し板23の移動と天地スリット処理による断裁動作とが重ならないよう、屑均し板23の移動を一定時間停止させる。また、ステップS102では、ステップS101で用紙の位置を検知した状態(すなわち、天地スリット処理による断裁動作のタイミングを計った状態)で、屑均し板23の移動を開始させる。したがって、屑均し板23の上に断裁屑を残さないようにすることができる。
【0051】
次に、後処理制御部26は、屑均し駆動部25の上流側に設けられた用紙検知センサーPS1により次の用紙(2枚目の用紙P2)が検知されたか否かを判定する(ステップS103)。
後処理制御部26は、用紙検知センサーPS1により次の用紙が検知されたと判定した場合(ステップS103:YES)、次のステップS104へと移行する。
一方、後処理制御部26は、用紙検知センサーPS1により次の用紙が検知されていないと判定した場合(ステップS103:NO)、次の用紙が検知されるまでステップS103の処理を繰り返す。
【0052】
次に、後処理制御部26は、図8に示すように、屑均し駆動部25を制御して、屑均し板23を速度V1で中間位置に移動させる(ステップS104)。なお、ステップS104では、ステップS102と同様、屑均し板23の移動と天地スリット処理による断裁動作とが重ならないよう、屑均し板23の移動を一定時間停止させる。また、ステップS104では、ステップS103で次の用紙の位置を検知した状態(すなわち、天地スリット処理による断裁動作のタイミングを計った状態)で、屑均し板23の移動を開始させる。したがって、屑均し板23の上に断裁屑を残さないようにすることができる。
【0053】
次に、後処理制御部26は、図9に示すように、屑均し駆動部25を制御して、屑均し板23を速度V2で下流位置(用紙搬送方向下流側に配置された屑均しセンサー24の位置)に移動させる(ステップS105)。ここで、下流位置は、CD断裁位置A3よりも用紙搬送方向下流側の位置である。
【0054】
次に、後処理制御部26は、図10に示すように、屑均し駆動部25を制御して、屑均し板23を速度V2で中間位置に移動させる(ステップS106)。
以下、上記全ての用紙の後処理が終わるまで、上記ステップS101~ステップS106の処理を繰り返す。すなわち、後処理制御部26は、用紙情報(用紙検知センサーPS1(又はPS2)により検知された用紙位置の情報)に基づいて、屑均し板23の移動制御を行う。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置10の後処理装置200は、用紙を搬送する搬送機構(搬送部21)と、用紙の搬送方向に並んで配置され、搬送機構により搬送されてきた用紙を断裁する複数の断裁機構(後処理モジュールM1~M4)と、複数の断裁機構により用紙が断裁された際に下方に落下する断裁屑を収容する屑箱22と、屑箱22内に収容された断裁屑を均す屑均し部材(屑均し板23)と、屑均し部材の移動を制御する制御部(後処理制御部26)と、を備える。また、制御部は、複数の断裁機構に応じて異なる制御を行う。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、断裁機構の組み合わせに応じて適切な速度で屑均し部材を移動させて断裁屑を均すことができるので、多様な出力物を印刷可能な構成において、ユーザーの屑捨て回数を減らしつつ、屑均し部材の上に断裁屑が残ることを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る後処理装置200によれば、制御部は、屑均し部材を、屑箱22の全域に亘って水平移動させる。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、特定の箇所(断裁屑の落下位置近傍)に積もった断裁屑を均すことができるので、屑箱22のスペースを有効に活用することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る後処理装置200によれば、制御部は、屑均し部材を屑箱22に沿って移動させ、屑均し部材の移動領域における上流位置、中間位置又は下流位置に停止させる。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、複数の断裁機構の配置に合わせて屑均し部材を移動させることができるので、積もった断裁屑を効率的に均すことが可能となり、屑箱22のスペースを有効に活用することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る後処理装置200によれば、中間位置は、複数の断裁機構の中心付近、かつ、断裁屑の落下を妨げない位置であって、複数の断裁機構によるそれぞれの断裁動作に先立つ共通の待機位置である。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、断裁機構の組み合わせによらず適切な位置で屑均し部材を待機させることができるので、積もった断裁屑を効率的に均すことが可能となり、屑箱22のスペースを有効に活用することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る後処理装置200によれば、制御部は、複数の断裁機構のうち動作させる断裁機構に応じて、屑均し部材を移動させる速度を異ならせる。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、断裁機構の組み合わせに応じて適切な速度で屑均し部材を移動させて断裁屑を均すことができるので、多様な出力物を印刷可能な構成において、ユーザーの屑捨て回数を減らしつつ、屑均し部材の上に断裁屑が残ることを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る後処理装置200によれば、制御部は、用紙情報に基づいて屑均し部材の移動制御を行う。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、用紙位置を把握した状態で屑均し部材を移動させることができるので、断裁機構による断裁のタイミングを考慮した上で屑均し部材を移動させることが可能となり、屑均し部材の上に断裁屑を残さないようにすることができる。
【0061】
また、本実施形態に係る後処理装置200によれば、断裁屑が屑箱22から溢れる前に満タン状態を検知する検知部(満タン検知センサー27)を備える。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、満タン検知センサー27が満タン検知をする前に断裁屑を均すことができるので、満タン状態の誤検知を抑制することが可能となり、屑箱22のスペースを有効に活用することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る後処理装置200によれば、屑均し部材の先端は、検知部による検知位置よりも下方に位置する。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、満タン検知センサー27が満タン検知をする前に断裁屑を均すことができるので、満タン状態の誤検知を抑制することが可能となり、屑箱22のスペースを有効に活用することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る後処理装置200によれば、屑均し部材は、上部を支点として揺動可能である。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、揺動しない構成と比べ、断裁屑をより広範囲に均すことができるので、屑箱22のスペースをより有効に活用することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る後処理装置200によれば、屑均し部材は、移動する過程で、下部側が断裁屑に接触して揺動する。
したがって、本実施形態に係る後処理装置200によれば、揺動しない構成と比べ、断裁屑をより広範囲に均すことができるので、屑箱22のスペースをより有効に活用することができる。
【0065】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0066】
例えば、上記実施形態では、屑均し板23を移動領域における上流位置、中間位置又は下流位置に停止させるようにしているが、これに限定されるものではない。すなわち、少なくとも上記の3つの位置に停止させる構成であればよく、断裁機構(断裁位置)の数に応じて屑均し板23の停止位置を4つ以上に増やすようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、印刷停止時、屑均し板23を下流HPに収容するようにしている(図5参照)が、これに限定されるものではない。例えば、屑均し板23を上流HPに収容するようにしてもよい。
【0068】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成装置
100 画像形成装置本体
11 操作部
12 表示部
13 原稿読取ユニット
14 画像形成部
15 給紙部
16 画像形成制御部
17 記憶部
18 コントローラーIF
19 画像処理部
200 後処理装置
21 搬送部(搬送機構)
22 屑箱
23 屑均し板(屑均し部材)
24 屑均しセンサー
25 屑均し駆動部
26 後処理制御部(制御部)
27 満タン検知センサー(検知部)
M1~M4 後処理モジュール(断裁機構)
T1 排紙トレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10