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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20231114BHJP
   B60R 99/00 20090101ALI20231114BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231114BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231114BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R99/00 321
G08G1/16 C
G06T7/00 650A
B60W30/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019188223
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021064868
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乾 陽司
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 将太
(72)【発明者】
【氏名】古川 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】山村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】下平 祐也
(72)【発明者】
【氏名】山本 政孝
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-156201(JP,A)
【文献】特開2013-116696(JP,A)
【文献】特開2017-076275(JP,A)
【文献】特開2008-285083(JP,A)
【文献】国際公開第2014/083825(WO,A1)
【文献】特開2005-018148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/00
B60R 11/00
B60R 21/00
B60R 99/00
G08G 1/16
G06T 7/00
B60W 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を検出する検出部から取得した検出データに基づいて、車両の駐車区画を規定するための一対の区画線を認識する区画線認識部と、
一対の前記区画線の各々の認識精度が予め定めた所定精度以上であるか否かを判断する判断部と、
一対の前記区画線の内、認識精度が前記所定精度以上の前記区画線を前記駐車区画の目標位置導出に用いる対象区画線として設定し、認識精度が前記所定精度未満の前記区画線について、認識された一対の前記区画線の双方の認識精度が前記所定精度以上であると直前に判断されたときの当該判断に用いた一対の前記区画線の相対位置関係を示す相対情報に基づいて生成した仮想区画線を、前記対象区画線として設定する設定部と、
を備える駐車支援装置。
【請求項2】
前記判断部は
前記車両の周囲の予め定めた検出領域内に前記区画線が含まれる場合、認識精度が前記所定精度以上と判断する、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記設定部は、
一対の前記区画線の一方の認識精度が前記所定精度以上であり、且つ、他方の認識精度が前記所定精度未満の場合、
認識精度が前記所定精度以上の前記区画線を一方の前記対象区画線として設定し、
該対象区画線から前記相対情報に示される相対位置に配置した前記仮想区画線を他方の前記対象区画線として設定する、
請求項1または請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記設定部は
一対の前記区画線の双方の認識精度が前記所定精度未満の場合、
直前に前記所定精度以上と判断された前記区画線の内、前記車両に近い一方の前記区画線を一方の前記対象区画線として設定し、
該対象区画線から前記相対情報に示される相対位置に配置した前記仮想区画線を他方の前記対象区画線として設定する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記設定部は、
一対の前記区画線の各々の認識精度が前記所定精度以上である場合、該一対の前記区画線を一対の前記対象区画線として設定し、該一対の前記対象区画線の内、前記車両に近い一方の前記対象区画線に対する他方の前記対象区画線の相対位置関係を示す前記相対情報を更新する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に、駐車を支援するための駐車支援装置が実装されることがある。例えば、車両の駐車区画を規定するための一対の区画線から駐車枠などの目標位置を設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6086368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、常に認識した一対の区画線から目標位置を設定すると、車両の移動などにより区画線の少なくとも一方の認識精度が低下した場合、目標位置の精度が低下する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の駐車支援装置は、車両の周辺を検出する検出部から取得した検出データに基づいて、車両の駐車区画を規定するための一対の区画線を認識する区画線認識部と、一対の前記区画線の各々の認識精度が予め定めた所定精度以上であるか否かを判断する判断部と、一対の前記区画線の内、認識精度が前記所定精度以上の前記区画線を前記駐車区画の目標位置導出に用いる対象区画線として設定し、認識精度が前記所定精度未満の前記区画線について、認識された一対の前記区画線の双方の認識精度が前記所定精度以上であると直前に判断されたときの当該判断に用いた一対の前記区画線の相対位置関係を示す相対情報に基づいて生成した仮想区画線を、前記対象区画線として設定する設定部と、を備える。当該構成により、例えば、駐車時の目標位置精度の向上を図ることができる。
【0006】
また、実施形態の駐車支援装置において、前記判断部は前記車両の周囲の予め定めた検出領域内に前記区画線が含まれる場合、認識精度が前記所定精度以上と判断する。当該構成により、例えば、駐車時の目標位置精度の向上をより図ることができる。
【0007】
また、実施形態の駐車支援装置において、前記設定部は、一対の前記区画線の一方の認識精度が前記所定精度以上であり、且つ、他方の認識精度が前記所定精度未満の場合、認識精度が前記所定精度以上の前記区画線を一方の前記対象区画線として設定し、該対象区画線から前記相対情報に示される相対位置に配置した前記仮想区画線を他方の前記対象区画線として設定する。当該構成により、例えば、駐車時の目標位置精度の向上をより図ることができる。
【0008】
また、実施形態の駐車支援装置において、前記設定部は、一対の前記区画線の双方の認識精度が前記所定精度未満の場合、直前に前記所定精度以上と判断された前記区画線の内、前記車両に近い一方の前記区画線を一方の前記対象区画線として設定し、該対象区画線から前記相対情報に示される相対位置に配置した前記仮想区画線を他方の前記対象区画線として設定する。当該構成により、例えば、駐車時の目標位置精度の向上をより図ることができる。
【0009】
また、実施形態の駐車支援装置において、前記設定部は、一対の前記区画線の各々の認識精度が前記所定精度以上である場合、該一対の前記区画線を一対の前記対象区画線として設定し、該一対の前記対象区画線の内、前記車両に近い一方の前記対象区画線に対する他方の前記対象区画線の相対位置関係を示す前記相対情報を更新する。当該構成により、例えば、駐車時の目標位置精度の向上をより図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の車両の車室の一部が透視された状態が示された例示的な斜視図である。
図2図2は、実施形態の車両の例示的な平面図である。
図3図3は、実施形態の車両のダッシュボードの一例の車両後方からの視野での図である。
図4図4は、実施形態の駐車支援システムの構成の例示的なブロック図である。
図5図5は、実施形態の駐車支援システムのECUの構成の例示的なブロック図である。
図6図6は、実施形態の区画線の検出の一例の説明図である。
図7A図7Aは、実施形態の相対位置の説明図である。
図7B図7Bは、実施形態の相対角度の説明図である。
図8図8は、実施形態の1対の区画線の内、一方の認識精度が所定精度未満である場合の一例を示す模式図である。
図9図9は、実施形態の1対の区画線の双方の認識精度が所定精度未満である場合の一例を示す模式図である。
図10図10は、実施形態の駐車支援部による駐車支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0012】
図1は、本実施形態の車両1の車室の一部が透視された状態が示された例示的な斜視図である。図2は、本実施形態の車両の例示的な平面図(俯瞰図)である。
【0013】
本実施形態の車両1は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0014】
車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、例えば、運転者の足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、例えば、運転者の足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらには限定されない。
【0015】
また、車室2a内には、表示出力部としての表示装置8や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等により操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。
【0016】
これらの表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。また、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12が設けられている。
【0017】
図3は、本実施形態の車両のダッシュボードの一例の車両後方からの視野での図である。図3に例示されるように、表示装置12は、例えば、ダッシュボード24の計器盤部25に設けられ、計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に位置されている。表示装置12の画面12aの大きさは、表示装置8の画面8aの大きさよりも小さい。この表示装置12には、主として車両1の駐車支援に関する情報を示す画像が表示されうる。表示装置12で表示される情報量は、表示装置8で表示される情報量より少なくてもよい。表示装置12は、例えば、LCDや、OELD等である。なお、表示装置8に、表示装置12で表示される情報が表示されてもよい。
【0018】
図1および図2に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。これら四つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成されうる。
【0019】
図4は、実施形態の駐車支援システムの構成の例示的なブロック図である。図4に例示されるように、車両1は、少なくとも二つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(electronic control unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(steer by wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aによって操舵部4にトルク、すなわちアシストトルクを付加して操舵力を補ったり、アクチュエータ13aによって車輪3を転舵したりする。この場合、アクチュエータ13aは、一つの車輪3を転舵してもよいし、複数の車輪3を転舵してもよい。また、トルクセンサ13bは、例えば、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出する。
【0020】
また、図2に例示されるように、車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a~15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°~190°の範囲を撮影することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や車両1が駐車可能な領域を含む車体2の周辺の外部の環境を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。以下では、撮影画像データを、撮影画像と称して説明する場合がある。
【0021】
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置され、右側のドアミラー2gに設けられている。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに位置され、フロントバンパー等に設けられている。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに位置され、左側の突出部としてのドアミラー2gに設けられている。
【0022】
ECU14は、複数の撮像部15で得られた撮影画像に基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。なお、俯瞰画像は、平面画像とも称されうる。
【0023】
また、ECU14は、撮像部15の画像から、車両1の周辺の路面に示された区画線等を認識し、駐車目標位置を導出する。
【0024】
また、図1および図2に例示されるように、車体2には、複数の測距部16,17として、例えば四つの測距部16a~16dと、八つの測距部17a~17hとが設けられている。測距部16,17は、例えば、超音波を発射してその反射波を捉えるソナーである。ソナーは、ソナーセンサ、あるいは超音波探知器とも称されうる。
【0025】
ECU14は、測距部16,17の検出結果により、車両1の周囲に位置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。すなわち、測距部16,17は、物体を検出する検出部の一例である。なお、測距部17は、例えば、比較的近距離の物体の検出に用いられ、測距部16は、例えば、測距部17よりも遠い比較的長距離の物体の検出に用いられうる。また、測距部17は、例えば、車両1の前方および後方の物体の検出に用いられ、測距部16は、車両1の側方の物体の検出に用いられうる。
【0026】
また、図4に例示されるように、駐車支援システム100では、ECU14や、モニタ装置11、操舵システム13、測距部16,17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、電気通信回線としての車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク23は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。
【0027】
ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16、測距部17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10等の操作信号等を、受け取ることができる。
【0028】
ECU14は、例えば、CPU14a(central processing unit)や、ROM14b(read only memory)、RAM14c(random access memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。
【0029】
CPU14aは、例えば、表示装置8,12で表示される画像に関連した画像処理や、車両1の移動目標位置の決定、車両1の移動経路の演算、物体との干渉の有無の判断、車両1の自動制御、自動制御の解除等の、各種の演算処理および制御を実行することができる。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。
【0030】
表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15で得られた撮影画像を用いた画像処理や、表示装置8で表示される画像データの合成等を実行する。音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。
【0031】
なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。
【0032】
ブレーキシステム18は、例えば、ブレーキのロックを抑制するABS(anti-lock brake system)や、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:electronic stability control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(brake by wire)等である。
【0033】
ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3ひいては車両1に制動力を与える。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。ブレーキセンサ18bは、例えば、制動操作部6の可動部の位置を検出するセンサである。ブレーキセンサ18bは、可動部としてのブレーキペダルの位置を検出することができる。ブレーキセンサ18bは、変位センサを含む。
【0034】
舵角センサ19は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、舵角センサ19は、操舵部4に含まれる回転部分の回転角度を検出する。舵角センサ19は、角度センサの一例である。
【0035】
アクセルセンサ20は、例えば、加速操作部5の可動部の位置を検出するセンサである。アクセルセンサ20は、可動部としてのアクセルペダルの位置を検出することができる。アクセルセンサ20は、変位センサを含む。
【0036】
シフトセンサ21は、例えば、変速操作部7の可動部の位置を検出するセンサである。シフトセンサ21は、可動部としての、レバーや、アーム、ボタン等の位置を検出することができる。シフトセンサ21は、変位センサを含んでもよいし、スイッチとして構成されてもよい。
【0037】
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ22は、検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ22は、例えば、ホール素子などを用いて構成されうる。ECU14は、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ22は、ブレーキシステム18に設けられている場合もある。その場合、ECU14は、車輪速センサ22の検出結果を、ブレーキシステム18を介して取得する。
【0038】
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定または変更することができる。
【0039】
次に、ECU14内に実現される駐車支援部140の構成について説明する。
【0040】
図5は、本実施形態の駐車支援システム100のECU14の構成の例示的なブロック図である。ECU14は、駐車支援部140と、記憶部150と、を備える。駐車支援部140と記憶部150とは、通信可能に接続されている。
【0041】
駐車支援部140は、データ取得部140Aと、区画線検出部140Bと、区画線管理部140Cと、区画線認識部140Dと、判断部140Eと、設定部140Fと、出力制御部140Gと、を備える。
【0042】
駐車支援部140内の各構成は、図4のCPU14aが、例えばROM14b内に格納された駐車支援プログラムを実行することで実現される。すなわち、駐車支援部140は、ROM14b内に格納された駐車支援プログラムを実行することで、データ取得部140A、区画線検出部140B、区画線管理部140C、区画線認識部140D、判断部140E、設定部140F、および出力制御部140G等を実現する。なお、これらの各部をハードウェアで実現するように構成してもよい。記憶部150は、例えば、RAM14cやSSD14fによって実現される。
【0043】
データ取得部140Aは、撮像部15で得られた撮影画像、および、各センサの検出結果などのデータ(検知データ)を取得する。各センサの検出結果は、具体的には、舵角センサ19で検出された操舵量、車輪速センサ22で検出された車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数の検出結果、などである。すなわち、撮像部15、舵角センサ19、および車輪速センサ22は、車両1の周辺を検出する検出部の一例である。
【0044】
区画線検出部140Bは、検出部からデータ取得部140Aを介して取得したデータ(検知データ)に基づいて、区画線を検出する。区画線とは、車両1の駐車区画を規定するために用いられる対象である。駐車区画とは、車両1が駐車可能な領域である。区画線は、車両1の駐車区画を規定するために用いられる対象であればよい。例えば、区画線は、駐車区画を規定するため形成または配置された、ライン、縁石、生垣、光線、などである。区画線が地面に形成された物である場合、例えば、区画線は、白色のラインである。なお、区画線の色は、白色に限定されない。本実施形態では、区画線が、白色のラインである場合を一例として説明する。
【0045】
本実施形態では、区画線検出部140Bは、撮像部15で得られた撮影画像を公知の方法で画像解析することで、撮影画像に含まれる区画線を検出する。なお、区画線検出部140Bは、撮影画像に加えて測距部16,17の検出結果を用いて、区画線を検出してもよい。
【0046】
図6は、区画線Cの検出の一例の説明図である。区画線検出部140Bは、例えば、撮像部15(撮像部15a~15d)の各々の撮影領域B(撮影領域Ba~Bd)の撮影画像を画像解析することで、区画線Cを検出する。
【0047】
図5に戻り説明を続ける。区画線管理部140Cは、区画線検出部140Bで検出された区画線Cを管理する。詳細には、区画線管理部140Cは、区画線検出部140Bで区画線Cが検出されるごとに、区画線Cの検出結果を記憶部150の区画線管理情報150Aへ記憶する。区画線Cの検出結果は、例えば、検出された区画線Cの位置情報および延伸方向を示す情報を含む。
【0048】
例えば、図6に示すように、区画線Cの位置情報は、区画線Cにおける、最も車両1に近い側の端部Pの位置を示す情報である。区画線Cの延伸方向は、該端部Pを原点とした区画線Cの延伸方向(例えば、矢印Y方向)を示す情報である。区画線管理部140Cは、区画線Cが検出されるごとに、車両1の現在の位置情報と、車両1の現在の位置情報を原点とする座標系で表される区画線Cの位置情報と、区画線Cの延伸方向と、を対応付けて区画線管理情報150Aへ順次記憶する。
【0049】
区画線管理部140Cは、車両1の操舵角および移動量などの検知結果を用いて、前回の区画線C検出時の車両1の位置に対する、現在の車両1の位置を導出すればよい。そして、区画線管理部140Cは、現在の(最新の)車両1の位置を原点とする座標系で表される位置情報となるように、車両1の移動に応じて、区画線管理情報150Aに記憶されている区画線Cの各々の位置情報を更新すればよい。区画線管理部140Cは、公知の座標変換処理により、区画線管理情報150Aに記憶されている区画線Cの各々の位置情報を更新すればよい。
【0050】
図5に戻り説明を続ける。区画線認識部140Dは、一対の区画線Cを認識する。区画線認識部140Dは、車両1の車幅より広い間隔を隔てて隣接して配置された、対を成す1対の区画線Cを認識する。区画線認識部140Dは、区画線管理情報150Aに記憶されている、複数の区画線Cの各々の位置情報および延伸方向を示す情報を検索することで、対を成す1対の区画線Cを認識すればよい。
【0051】
例えば、図6に示すように、区画線認識部140Dは、第1区画線C1と第2区画線C2の一対の区画線Cを認識する。すなわち、区画線認識部140Dは、第1区画線C1の第1認識結果D1と、第2区画線C2の第2認識結果D2と、を一対の区画線Cの認識結果Dとして認識する。認識結果Dは、上述した区画線Cの検出結果と同様である。すなわち、認識結果Dは、区画線Cにおける、最も車両1に近い側の端部Pの位置を示す位置情報と、該端部Pを原点とした区画線Cの延伸方向を示す情報で表される。このため、図6に示す例の場合、第1区画線C1の第1認識結果D1は、端部P1の位置情報と、該端部P1からの第1区画線C1の延伸方向(矢印Y1方向)を示す情報で表される。また、第2区画線C2の第2認識結果D2は、端部P2の位置情報と、該端部P2からの第2区画線C2の延伸方向(矢印Y2方向)を示す情報で表される。
【0052】
ここで、撮像部15(撮像部15a~15d)によって撮影される撮影領域Bの撮影画像は、撮像部15から離れた位置の物体が映り込んだ領域ほど、鮮鋭度および解像度、すなわち精度が低いものとなる。また、測距部16および測距部17の検出結果についても同様に、車両1から離れた位置の物体の検出結果ほど、精度の低い検出結果となる。
【0053】
具体的には、区画線検出部140Bは、車両1の周囲の予め定められた検出領域E内の物体については、所定精度以上の認識精度で検出することができる。詳細には、区画線検出部140Bは、撮像部15a~15dの各々の撮影領域Ba~Bdにおける、特定の検出領域Ea~Ed内の物体については、所定精度以上の認識精度で検出することができる。一方、区画線検出部140Bは、検出領域E以外に存在する部材については、所定精度未満の認識精度で検出することとなる。
【0054】
このため、区画線認識部140Dが認識した一対の区画線Cの少なくとも一方の認識精度が、所定精度未満の認識精度となる場合がある。
【0055】
一対の区画線Cの少なくとも一方の認識精度が所定精度未満である場合、このような一対の区画線Cを用いてECU14が目標位置を導出すると、目標位置精度が低下する。目標位置とは、車両1の移動目標位置である。
【0056】
そこで、本実施形態では、判断部140Eが、区画線認識部140Dによって認識された一対の区画線Cの各々の認識精度が予め定めた所定精度以上であるか否かを判断する。
【0057】
例えば、判断部140Eは、車両1の周囲の予め定めた検出領域E内に、区画線Cの認識結果Dが含まれる場合、認識精度が所定精度以上と判断する。検出領域Eは、周辺の撮影領域Bの内、撮像部15および測距部16の性能などに応じて予め定めればよい。検出領域Eは、具体的には、撮像部15および測距部16の性能および設置位置に応じて、所定精度以上の認識精度が得られる範囲を予め定めればよい。所定精度には、区画線Cを誤認識することなく正確に認識可能な精度を予め設定すればよい。
【0058】
設定部140Fは、区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの内、認識精度が所定精度以上の区画線Cの認識結果Dを、対象区画線として設定する。対象区画線とは、駐車区画の目標位置導出に用いる区画線Cである。
【0059】
また、設定部140Fは、区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの内、認識精度が所定精度未満の区画線Cについて、相対情報に基づいて生成した仮想区画線を、対象区画線Gとして設定する。すなわち、設定部140Fは、認識精度が所定精度未満の区画線Cについては、区画線Cの認識結果Dに代えて、生成した仮想区画線を対象区画線Gとして設定する。
【0060】
相対情報とは、一対の対象区画線Gの相対位置関係を示す情報である。詳細には、相対情報は、区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの双方の認識精度が所定精度以上であると直前に判断されたときの、該判断に用いた一対の区画線Cの相対位置関係を示す情報である。
【0061】
図6には、区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの双方の認識精度が所定精度以上である場合の例を示した。区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの双方の認識精度が所定精度以上である場合、設定部140Fは、一対の区画線Cの各々の認識結果Dを、対象区画線Gとして設定する。
【0062】
具体的には、設定部140Fは、第1区画線C1の認識結果Dである第1認識結果D1を、対となる対象区画線Gの一方である第1対象区画線G1として設定する。また、設定部140Fは、第2区画線C2の認識結果Dである第2認識結果D2を、対となる対象区画線Gの他方である第2対象区画線G2として設定する。
【0063】
設定部140Fは、一対の区画線Cの双方の認識精度が所定精度以上である場合、これらの区画線Cから設定した一対の対象区画線G(第1対象区画線G1、第2対象区画線G2)の相対情報を、記憶部150へ記憶する。なお、記憶部150には、1つの相対情報が記憶され、設定部140Fによって順次更新されるものとする。
【0064】
相対情報は、具体的には、一対の対象区画線Gの一方に対する他方の相対位置と相対角度によって表される。
【0065】
図7Aは、相対位置Fの説明図である。図7Bは、相対角度θの説明図である。相対情報Hは、相対位置Fと相対角度θによって表される。相対位置Fは、第1対象区画線G1の端部Pである端部P1に対する、第2対象区画線G2の端部Pである端部P2までの距離と方向を示す情報である。相対角度θは、第1対象区画線G1の延伸方向(矢印Y1方向)に平行な直線と、第2対象区画線G2の延伸方向(矢印Y2方向)に平行な直線と、の成す角度を示す情報である。
【0066】
このため、区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの双方の認識精度が所定精度以上である場合、これらの一対の区画線Cの各々の認識結果Dが、一対の対象区画線Gとして設定される。また、記憶部150には、これらの一対の対象区画線Gから導出された相対情報Hが、記憶されることとなる。すなわち、記憶部150には、認識精度が所定精度以上であると直前に判断された一対の区画線Cの相対情報Hが、記憶されることとなる。
【0067】
図5に戻り説明を続ける。一方、区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの内、少なくとも一方の認識精度が所定精度未満と判断された場合、設定部140Fは、以下の処理を行う。
【0068】
この場合、設定部140Fは、認識精度が所定精度未満の区画線Cについて、相対情報Hに基づいて生成した仮想区画線を、対象区画線Gとして設定する。
【0069】
まず、区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの内、一方の認識精度が所定精度未満であり、他方の認識精度が所定精度以上である、と判断された場合を想定する。この場合、設定部140Fは、認識精度が所定精度以上の区画線Cの認識結果Dを、一方の対象区画線Gとして設定する。そして、設定部140Fは、設定した該対象区画線Gから相対情報Hに示される相対位置Fおよび相対角度θに配置した仮想区画線を、他方の対象区画線Gとして設定する。
【0070】
図8は、区画線認識部140Dで認識された1対の区画線Cの内、一方の認識精度が所定精度未満である場合の一例を示す模式図である。図8に示す例では、一対の区画線Cの内、第1区画線C1が検出領域E内に存在し、第2区画線C2が検出領域Eから外れた位置に存在する。このため、この場合、区画線認識部140Dは、第1区画線C1の第1認識結果D1を所定精度以上の認識精度であると判断し、第2区画線C2の第2認識結果D2を所定精度未満の認識精度であると判断する。
【0071】
そして、この場合、設定部140Fは、第1区画線C1の第1認識結果D1を、第1対象区画線G1として設定する。
【0072】
一方、設定部140Fは、第2区画線C2の第2認識結果D2について、該第1認識結果D1から設定した第1対象区画線G1と、相対情報Hと、を用いて、仮想区画線Jを生成する。設定部140Fは、第1対象区画線G1の端部P1を、相対情報Hに含まれる相対位置Fに移動させた点を端部P2’とし、該端部P2’から該第1対象区画線G1の延伸方向(矢印Y1方向)に平行な方向に対して相対角度θ傾いた方向(矢印Y2’方向)に延伸した、仮想区画線Jを生成する。そして、設定部140Fは、第2認識結果D2に代えて仮想区画線Jを、第2対象区画線G2として設定する。
【0073】
このため、設定部140Fは、認識精度が所定精度未満の区画線Cについては、区画線Cの認識結果Dに代えて、相対情報Hに基づいて生成した仮想区画線Jを、対象区画線Gとして設定する。
【0074】
次に、区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの双方の認識精度が所定精度未満である場合を想定する。この場合、設定部140Fは、直前に所定精度以上と判断された区画線Cの内、車両1に近い一方の区画線Cの認識結果Dを、対象区画線Gとして設定する。そして、設定部140Fは、該対象区画線Gから相対情報Hに示される相対位置Fに配置した仮想区画線Jを、他方の対象区画線Gとして設定する。
【0075】
図9は、区画線認識部140Dで認識された1対の区画線Cの双方の認識精度が所定精度未満である場合の一例を示す模式図である。図9に示す例では、一対の区画線Cの双方が、検出領域Eから外れた位置に存在する。このため、この場合、区画線認識部140Dは、第1区画線C1の第1認識結果D1、および、第2区画線C2の第2認識結果D2、の双方を、所定精度未満の認識精度であると判断する。
【0076】
この場合、設定部140Fは、該第1区画線C1について、認識精度が所定精度以上であると直前に判断された区画線Cの内、車両1に近い区画線Cである第1区画線C1の第1認識結果D1を、第1区画線C1の第1対象区画線G1として設定する。設定部140Fは、区画線管理情報150Aに登録されている、車両1の現在の位置情報を原点とする座標系で表される区画線Cの位置情報を読取ることで、第1区画線C1が車両1に近い区画線Cであると特定すればよい。すなわち、この場合、設定部140Fは、第1区画線C1の第1認識結果D1に代えて、前回所定精度以上と判断された第1区画線C1の第1認識結果D1を、第1対象区画線G1として設定する。
【0077】
そして、設定部140Fは、前回の所定精度以上の第1認識結果D1である第1対象区画線G1と、相対情報Hと、を用いて、仮想区画線Jを生成する。設定部140Fは、該第1対象区画線G1の端部P1を、相対情報Hに含まれる相対位置Fに移動させた点を端部P2’とし、該端部P2’から該第1対象区画線G1の延伸方向(矢印Y1方向)に対して相対角度θ傾いた方向(矢印Y2’方向)に延伸した、仮想区画線Jを生成する。そして、設定部140Fは、第2認識結果D2に代えて仮想区画線Jを、第2対象区画線G2として設定する。
【0078】
このように、設定部140Fは、区画線認識部140Dで認識された一対の区画線Cの双方の認識精度が所定精度未満である場合、車両1に近い一方の第1区画線C1については、認識精度が所定精度以上の前回の第1認識結果D1を第1対象区画線G1として設定する。そして、設定部140Fは、該第1対象区画線G1と相対情報Hとを用いて生成した仮想区画線Jを、車両1から遠い方の第2区画線C2の第2対象区画線G2として設定する。
【0079】
図5に戻り説明を続ける。そして、設定部140Fは、設定した一対の対象区画線Gを用いて、車両1の移動目標位置である目標位置を導出する。目標位置の導出は、公知の方法で行えばよい。
【0080】
出力制御部140Gは、導出した目標位置を示す情報を、該目標位置を示す情報を用いて各種処理を実行する機器へ出力する。例えば、出力制御部140Gは、目標位置を示す情報を、表示装置12、表示装置8、音声出力装置9、アクセルセンサ20、ブレーキシステム18、操舵システム13、などへ出力する。目標位置を示す情報を受信したこれらの機器は、目標位置への走行経路作成、目標位置への車両1の移動制御、目標位置を示す画像の表示、などの各種処理を実行する。
【0081】
次に、本実施形態の駐車支援部140が実行する駐車支援処理の一例を説明する。なお、以下に説明する駐車支援処理は一例であり、部分的に省略されたり、変更されたりしてもよい。
【0082】
図10は、駐車支援部140による駐車支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0083】
例えば、駐車支援部140は、車両1が移動している間、図10に示すフローチャートに示される処理を実行する。なお、駐車支援部140は、所定条件を満たしたと判断したときに、図10のフローチャートに示される処理を実行してもよい。所定条件は、例えば、運転者による操作部14gの操作指示などにより駐車支援開始が指示された場合、車両1の速度が予め設定された値を下回った場合、などである。なお、所定条件は、これらに限定されない。
【0084】
なお、図10に示す例では、一対の区画線Cの内の第1区画線C1が、第2区画線C2より車両1に近い位置に配置されているものとして説明する。
【0085】
データ取得部140Aが、撮像部15で得られた撮影画像、および、各センサの検出結果などのデータを取得する(ステップS200)。区画線検出部140Bは、ステップS200で取得したデータを用いて、区画線Cを検出する(ステップS202)。区画線管理部140Cは、ステップS202で検出された区画線Cの検出結果を区画線管理情報150Aへ記憶する(ステップS204)。
【0086】
区画線認識部140Dは、一対の区画線Cを認識したか否かを判断する(ステップS0206)。区画線認識部140Dは、区画線管理情報150Aに記憶されている、複数の区画線Cの各々の位置情報および延伸方向を示す情報を検索することで、対を成す1対の区画線Cを認識したか否かを判断する。ステップS206で否定判断すると(ステップS206:No)、上記ステップS200へ戻る。ステップS206で肯定判断すると(ステップS206:Yes)、ステップS208へ進む。
【0087】
ステップS208では、判断部140Eが、ステップS206で認識された一対の区画線Cの内、第1区画線C1の認識精度が所定精度以上であるか否かを判断する(ステップS208)。第1区画線C1の認識精度が所定精度以上であると判断すると(ステップS208:Yes)、ステップS210へ進む。
【0088】
ステップS210では、設定部140Fが、第1対象区画線G1として第1区画線C1の第1認識結果D1を設定する(ステップS210)。
【0089】
次に、判断部140Eは、ステップS206で認識された一対の区画線Cの内、第2区画線C2の認識精度が所定精度以上であるか否を判断する(ステップS212)。第2区画線C2の認識精度が所定精度以上であると判断すると(ステップS212:Yes)、ステップS214へ進む。
【0090】
ステップS214では、設定部140Fが、第2対象区画線G2として第2区画線C2の第2認識結果D2を設定する(ステップS214)。
【0091】
次に、設定部140Fは、ステップS210で設定した第1対象区画線G1と、ステップS214で設定した第2対象区画線G2と、の相対情報Hを、記憶部150へ記憶する(ステップS216)。記憶部150に相対情報Hが既に記憶されている場合には、出力制御部140Gは、既に記憶されている相対情報Hに上書きして、新たに生成した相対情報Hを記憶する。
【0092】
なお、記憶部150に記憶された相対情報Hは、車両1のエンジン停止時などにクリアされるものとする。また、記憶部150に記憶された相対情報Hは、運転者による操作部14gの操作指示などにより駐車支援終了が指示された場合、または、車両1の速度が予め設定された値を上回った場合などに、クリアされてもよい。
【0093】
次に、出力制御部140Gは、設定した一対の対象区画線G(第1対象区画線G1、第2対象区画線G2)を用いて、車両1の移動目標位置である目標位置を導出する(ステップS218)。
【0094】
出力制御部140Gは、ステップS218で導出した目標位置を示す情報を、該目標位置を示す情報を用いて各種処理を実行する機器へ出力する(ステップS220)。そして、本ルーチンを終了する。
【0095】
一方、ステップS212で否定判断すると(ステップS212:No)、ステップS222へ進む。ステップS222では、設定部140Fは、記憶部150に相対情報Hが記憶済であるか否かを判断する(ステップS222)。相対情報Hが記憶部150に記憶されていない場合(ステップS222:No)、上記ステップS200へ戻る。相対情報Hが記憶部150に記憶されている場合(ステップS222:Yes)、ステップS224へ進む。
【0096】
ステップS224では、設定部140Fは、ステップS210で設定した対象区画線Gから、記憶部150に記憶されている相対情報Hに示される相対位置Fおよび相対角度θに配置した仮想区画線Jを作成する(ステップS224)。そして、設定部140Fは、ステップS224で作成した仮想区画線Jを、第2対象区画線G2として設定する(ステップS226)。そして、上記ステップS218へ進む。
【0097】
一方、ステップS208で否定判断すると(ステップS208:No)、ステップS228へ進む。ステップS228では、設定部140Fは、記憶部150に相対情報Hが記憶済であるか否かを判断する(ステップS228)。相対情報Hが記憶部150に記憶されていない場合(ステップS228:No)、上記ステップS200へ戻る。相対情報Hが記憶部150に記憶されている場合(ステップS228:Yes)、ステップS230へ進む。
【0098】
ステップS230では、設定部140Fは、直前に所定精度以上と判断された区画線Cの認識結果Dの内、車両1に近い第1区画線C1の第1認識結果D1を、第1対象区画線G1として設定する(ステップS230)。
【0099】
次に、設定部140Fは、ステップS230で設定した対象区画線Gから、記憶部150に記憶されている相対情報Hに示される相対位置Fおよび相対角度θに配置した仮想区画線Jを作成する(ステップS232)。そして、設定部140Fは、ステップS232で作成した仮想区画線Jを、第2対象区画線G2として設定する(ステップS234)。そして、上記ステップS218へ進む。
【0100】
以上説明したように、本実施形態の駐車支援部140(駐車支援装置)は、区画線認識部140Dと、判断部140Eと、設定部140Fと、を備える。区画線認識部140Dは、車両1の周辺を検出する検出部から取得した検出データに基づいて、車両1の駐車区画を規定するための一対の区画線Cを認識する。判断部140Eは、一対の区画線Cの各々の認識精度が予め定めた所定精度以上であるか否かを判断する。設定部140Fは、一対の区画線Cの内、認識精度が所定精度以上の区画線Cを駐車区画の目標位置導出に用いる対象区画線Gとして設定し、認識精度が所定精度未満の区画線Cについて、予め記憶した1対の対象区画線Gの相対位置関係を示す相対情報Hに基づいて生成した仮想区画線Jを、対象区画線Gとして設定する。
【0101】
このように、本実施形態の駐車支援装置では、認識精度が所定精度未満の区画線Cに代えて、認識精度が所定精度以上の一対の対象区画線Gの相対位置関係を示す相対情報Hを用いて生成した仮想区画線Jを、駐車区画の目標位置導出に用いる対象区画線Gとして設定する。
【0102】
すなわち、本実施形態の駐車支援装置は、目標精度が所定精度未満の区画線Cの認識結果Dに代えて、相対情報Hから生成した仮想区画線Jを対象区画線Gとして用いる。このため、本実施形態の駐車支援装置は、認識精度の向上した対象区画線Gを用いて目標位置を導出することで、駐車時の目標位置精度の向上を図ることができる。
【0103】
従って、本実施形態の駐車支援装置は、駐車時の目標位置精度の向上を図ることができる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0105】
1…車両、14…ECU、100…駐車支援システム、140…駐車支援部、140D…区画線認識部、140E…判断部、140F…設定部、C…区画線、G…対象区画線、J…仮想区画線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10