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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/00 885
H04N1/00 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019191776
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021068966
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲杢▼尾 智之
(72)【発明者】
【氏名】奥野 徳次郎
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-083428(JP,A)
【文献】特開2009-190346(JP,A)
【文献】特開2016-149809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を載置する載置面と接する支持部と、
原稿を読み取る読み取り手段を備えるとともに前記支持部に対して回転することで姿勢変化可能に設けられる装置本体部と、
前記装置本体部に対して回転することで開閉可能に設けられ、開くことにより前記装置本体部から排出される原稿を受ける排出トレイと、を備え、
前記装置本体部は、非使用時の姿勢である第1姿勢と、
前記読み取り手段により原稿読み取りを行う際の前記装置本体部の姿勢であって前記載置面に対する投影面積が前記第1姿勢よりも大きくなる第2姿勢と、を切り換え可能であり、
前記排出トレイは、腕部を介して前記装置本体部に対し回転可能に取り付けられ、
前記支持部は、当接面を有し、
前記装置本体部が前記第1姿勢にあるとともに前記排出トレイが閉じた状態から前記排出トレイを開くと、前記腕部が前記当接面に当接することで、前記支持部から前記装置本体部に向けて反力が生じ、前記反力による回転モーメントが前記装置本体部に対し前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わる方向の力として作用し、前記装置本体部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、前記装置本体部における電力供給を制御する制御部と、
前記装置本体部の前記第1姿勢を検出する第1姿勢検出部と、
前記装置本体部の前記第2姿勢を検出する第2姿勢検出部と、を備え、
前記制御部は、前記読み取り手段により原稿読み取りを行う際の電力供給モードである第1電力供給モードと、前記第1電力供給モードより消費電力が小さく前記装置本体部の非使用時の電力供給モードである第2電力供給モードと、を切り換え可能であり、
前記制御部は、前記装置本体部の姿勢が前記第1姿勢にあるとともに前記第2電力供給モードにある状態で、前記装置本体部の前記第1姿勢から前記第2姿勢への変化を検知すると、前記第1電力供給モードに移行する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置において、前記制御部は、前記装置本体部の前記第2姿勢から前記第1姿勢への変化を検知すると、前記第2電力供給モードに移行する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像読取装置において、前記装置本体部には、電源状態を視認可能な表示部が設けられ、
前記排出トレイは、閉じた状態において前記表示部を覆い、開くことで前記表示部を露呈させる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置において、前記排出トレイの少なくとも開き方向の回転を減衰させる減衰手段を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像読取装置において、前記装置本体部における電力供給を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記読み取り手段により原稿読み取りを行う際の電力供給モードである第1電力供給モードと、前記第1電力供給モードより消費電力が小さく前記装置本体部の非使用時の電力供給モードである第2電力供給モードと、を切り換え可能であるとともに、前記第2電力供給モードの状態において前記排出トレイが閉じた状態から開くと、前記第1電力供給モードに移行する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の一例であるスキャナーには、特許文献1のように、装置本体を構成する筐体内に設けられるシート搬送路が水平方向に対して傾斜する第1状態と、第1状態よりもシート搬送路が水平方向に近づく第2状態とを切り換えて、設置姿勢を変更可能に構成されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2009-527143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の画像読取装置における第1状態では、シート搬送路が水平方向に対して傾斜するため、装置の大型化を抑えることができる。また第2状態では、シート搬送路が第1状態よりも水平方向に近づくので、剛性が高いシートを排出する際に、画像読取装置が設置されている床面などにシートの先端部が衝突することが回避できる。
しかしながら上述の様に装置の姿勢を切り換え可能な画像読取装置は公知であるものの、装置の使い勝手の観点において工夫の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の画像読取装置は、装置を載置する載置面と接する支持部と、原稿を読み取る読み取り手段を備えるとともに前記支持部に対して回転することで姿勢変化可能に設けられる装置本体部と、前記装置本体部に対して回転することで開閉可能に設けられ、開くことにより前記装置本体部から排出される原稿を受ける排出トレイと、を備え、前記装置本体部は、非使用時の姿勢である第1姿勢と、前記読み取り手段により原稿読み取りを行う際の前記装置本体部の姿勢であって前記載置面に対する投影面積が前記第1姿勢よりも大きくなる第2姿勢と、を切り換え可能であり、前記装置本体部が前記第1姿勢にあるとともに前記排出トレイが閉じた状態から前記排出トレイを開くと、前記排出トレイが、前記支持部と係合して前記装置本体部に対し前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わる方向の力を付与し、前記装置本体部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第2姿勢にある装置本体部を前方から視た外観斜視図。
図2】第2姿勢にある装置本体部を前方から視た外観斜視図。
図3】第2姿勢にある装置本体部の原稿搬送経路を幅方向から視た断面図。
図4】装置本体部の姿勢のバリエーションを示す図。
図5】第1姿勢にある装置本体部を後方から視た外観斜視図。
図6図4の部分拡大斜視図。
図7】進退ユニットの斜視図。
図8】制御系統のブロック図。
図9】第1姿勢検出部、第2姿勢検出部、及び第3姿勢検出部の側面図。
図10】第1姿勢検出部、第2姿勢検出部、及び第3姿勢検出部の側面図。
図11】第1姿勢検出部、第2姿勢検出部、及び第3姿勢検出部の側面図。
図12】第1姿勢検出部、第2姿勢検出部、及び第3姿勢検出部の側面図。
図13】電供給モードの切り換えの流れを示すフローチャート。
図14】電供給モードの切り換えの流れを示すフローチャート。
図15】第1姿勢にある装置本体部の断面図。
図16】装置本体部が第1姿勢にある際のスライダユニット周辺の断面図。
図17】装置本体部が第1姿勢にある際の腕部周辺の断面図。
図18】前面カバーが閉じた状態から開く際のスライダユニット周辺の断面図。
図19】前面カバーが閉じた状態から開く際の腕部周辺の断面図。
図20】前面カバーが閉じた状態から所定量開いた際の装置本体部の断面図。
図21】前面カバーが閉じた状態から所定量開いた際のスライダユニット周辺の断面図。
図22】前面カバーが閉じた状態から所定量開いた際の腕部周辺の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る画像読取装置は、装置を載置する載置面と接する支持部と、原稿を読み取る読み取り手段を備えるとともに前記支持部に対して回転することで姿勢変化可能に設けられる装置本体部と、前記装置本体部に対して回転することで開閉可能に設けられ、開くことにより前記装置本体部から排出される原稿を受ける排出トレイと、を備え、前記装置本体部は、非使用時の姿勢である第1姿勢と、前記読み取り手段により原稿読み取りを行う際の前記装置本体部の姿勢であって前記載置面に対する投影面積が前記第1姿勢よりも大きくなる第2姿勢と、を切り換え可能であり、前記装置本体部が前記第1姿勢にあるとともに前記排出トレイが閉じた状態から前記排出トレイを開くと、前記排出トレイが、前記支持部と係合して前記装置本体部に対し前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わる方向の力を付与し、前記装置本体部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記装置本体部が前記第1姿勢にあるとともに前記排出トレイが閉じた状態から前記排出トレイを開くと、前記排出トレイが、前記支持部と係合して前記装置本体部に対し前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わる方向の力を付与し、前記装置本体部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わるので、前記排出トレイを開く操作とは別に前記装置本体部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換える操作が不要となり、装置の使い勝手が向上する。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記排出トレイは、腕部を介して前記装置本体部に対し回転可能に取り付けられ、前記支持部は、当接面を有し、前記装置本体部が前記第1姿勢にあるとともに前記排出トレイが閉じた状態から前記排出トレイを開くと、前記腕部が前記当接面に当接することで、前記腕部が前記装置本体部に対し前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わる方向の力を付与することを特徴とする。
本態様によれば、前記排出トレイが前記装置本体部に対し前記第1姿勢から前記第2姿勢に切り換わる方向の力を付与する手段を、簡易な構成で得ることができる。
【0010】
第3の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記装置本体部における電力供給を制御する制御部と、前記装置本体部の前記第1姿勢を検出する第1姿勢検出部と、前記装置本体部の前記第2姿勢を検出する第2姿勢検出部と、を備え、前記制御部は、前記読み取り手段により原稿読み取りを行う際の電力供給モードである第1電力供給モードと、前記第1電力供給モードより消費電力が小さく前記装置本体部の非使用時の電力供給モードである第2電力供給モードと、を切り換え可能であり、前記制御部は、前記装置本体部の姿勢が前記第1姿勢にあるとともに前記第2電力供給モードにある状態で、前記装置本体部の前記第1姿勢から前記第2姿勢への変化を検知すると、前記第1電力供給モードに移行することを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記制御部は、前記装置本体部の姿勢が前記第1姿勢にあるとともに前記第2電力供給モードにある状態で、前記装置本体部の前記第1姿勢から前記第2姿勢への変化を検知すると、前記第1電力供給モードに移行するので、前記装置本体部の姿勢が前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変化した後にユーザーが電源操作を行う必要がなく、装置の使い勝手が向上する。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、前記制御部は、前記装置本体部の前記第2姿勢から前記第1姿勢への変化を検知すると、前記第2電力供給モードに移行することを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記装置本体部の前記第2姿勢から前記第1姿勢への変化を検知すると、前記第2電力供給モードに移行するので、前記装置本体部の姿勢が前記第2姿勢から前記第1姿勢へ変化した後にユーザーが電源操作を行う必要がなく、装置の使い勝手が向上する。
【0013】
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記装置本体部には、電源状態を視認可能な表示部が設けられ、前記排出トレイは、閉じた状態において前記表示部を覆い、開くことで前記表示部を露呈させることを特徴とする。
本態様によれば、前記装置本体部には、電源状態を視認可能な表示部が設けられ、前記排出トレイは、閉じた状態において前記表示部を覆い、開くことで前記表示部を露呈させる構成であるので、前記表示部により、装置の電源状態を確認することができる。
【0014】
第6の態様は、第1から第5の態様のいずれかにおいて、前記排出トレイの少なくとも開き方向の回転を減衰させる減衰手段を備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記排出トレイの少なくとも開き方向の回転を減衰させる減衰手段を備えるので、前記排出トレイが勢いよく開くことに起因する騒音や破損等を抑制できる。
【0015】
第7の態様に係る画像読取装置は、原稿を読み取る読み取り手段を備える装置本体部と、前記装置本体部に対して開閉可能に設けられ、開くことにより前記装置本体部から排出される原稿を受ける排出トレイと、前記装置本体部における電力供給を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記読み取り手段により原稿読み取りを行う際の電力供給モードである第1電力供給モードと、前記第1電力供給モードより消費電力が小さく前記装置本体部の非使用時の電力供給モードである第2電力供給モードと、を切り換え可能であるとともに、前記第2電力供給モードの状態において前記排出トレイが閉じた状態から開くと、前記第1電力供給モードに移行することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記制御部は、前記第2電力供給モードの状態において前記排出トレイが閉じた状態から開くと、前記第1電力供給モードに移行するので、前記排出トレイを開いた後にユーザーが電源操作を行う必要がなく、装置の使い勝手が向上する。
【0017】
以下、本発明を具体的に説明する。
尚、本明細書において電力供給モードとは、電力消費状態の相違を表す為に用いる名称であって、例えば装置のいずれの構成要素にも電力が供給されていない状態、即ち電力消費がゼロの状態も電力供給モードの一つであるものとする。
【0018】
以下、画像読取装置の一例として、原稿の表面及び裏面のうち少なくとも一面を読み取り可能なスキャナー1を例に挙げる。スキャナー1は、読み取り手段に対して原稿を移動させつつ読み取りを行う、所謂ドキュメントスキャナーである。
【0019】
尚、各図において示すX-Y-Z座標系は、X軸方向が装置幅方向であり原稿幅方向でもある。Y軸方向は装置奥行き方向であり、水平方向に沿った方向である。Z軸方向は鉛直方向に沿った方向である。またV軸方向は、後述する原稿搬送経路T、T1、T2、T3に平行な方向であって、装置の姿勢によって特にY軸方向との成す角度が変化する。
本実施形態では、+Y方向を装置背面から前面に向かう方向とし、-Y方向を装置前面から背面に向かう方向とする。また、装置前面から見て左を+X方向、右を-X方向とする。
また、以下では原稿が搬送されていく方向(+V方向)を「下流」といい、これと反対の方向(-V方向)を「上流」という場合がある。
【0020】
図1図5においてスキャナー1は、装置本体部2と、装置本体部2を回転可能に支持する支持部5とを備えている。
装置本体部2は、下部ユニット3、及び上部ユニット4を備えて構成されている。
上部ユニット4は、下部ユニット3に対して不図示の回転軸を中心に回転することで開閉可能に設けられており、上部ユニット4を装置前方に開くことで後述する原稿搬送経路を露呈させることができる。
【0021】
装置本体部2を構成する下部ユニット3は、支持部5を構成するアーム部5aに対して
回転軸5bを介して回転可能に設けられ、回転することにより姿勢変化可能に構成されて
いる。
下部ユニット3は図5に示す様に外郭が第1筐体24と第2筐体25とで構成されてお
り、第2筐体25は、下部ユニット3の回転軌跡に沿った形状となるアーチ部25aを有
している。アーチ部25aにはラック部26が設けられており、このラック部26が、図
3に示す様に支持部5に設けられたピニオン歯車28と噛合している。
ピニオン歯車28には、不図示のダンパー機構によって回転負荷が付与されており、こ
れにより下部ユニット3が回転する際、即ち装置本体部2が姿勢変化する際の回転速度が
減衰される様に構成されている。

【0022】
本実施形態に係るスキャナー1の装置本体2は、後述する姿勢保持手段によって3つ
の姿勢を保持可能に構成されており、3つの姿勢のうち2つは原稿読み取り時の姿勢であ
り、残る1つが非使用時の姿勢である。図2図3図4の中央及び一番下に示す姿勢は
、原稿読み取り時の姿勢であって、図2図3、及び図4の中央の姿勢が第2姿勢であり
図4の一番下に示す姿勢が第3姿勢である。また図5及び図4の一番上に示す姿勢は、
非使用時の姿勢であり、第1姿勢である。第1姿勢では、スキャナー1の載置面Gへの投
影面積が最も小さくなり、より具体的にはY軸方向の占有スペースが最も小さくなる姿勢
となる。第2姿勢では、第1姿勢よりも前記投影面積が増え、第3姿勢では、第2姿勢よ
りも前記投影面積が増える。
以下では便宜上、図4の一番上に示す第1姿勢を「収納姿勢」と称し、図4の中央に示
す第2姿勢を「通常姿勢」と称し、図4の一番下に示す第3姿勢を「水平姿勢」と称する


【0023】
次に、上部ユニット4は前面カバー19を備え、下部ユニット3は上面カバー10を備
えている。前面カバー19は、上部ユニット4に対して回転軸19a(図4参照)を中心
に回転可能に設けられており、回転することで、図1及び図4の一番上の図に示す様に閉
じた状態と、図2図3図4の中央の図及び一番下の図に示す様に開いた状態とを取り
得る。ユーザーは、装置本体2が通常姿勢にある場合、閉じている前面カバー19に対し
、斜め手前上方向、つまり+Z方向と+Y方向の双方向に外力を付与することで開くこと
ができる。前面カバー19を開く際の回転方向(図4において反時計回り方向)は、上面
カバー10を開く際の回転方向(図4において時計回り方向とは逆となる。また前面カ
バー19を開く際の回転方向は、装置本体2が収納姿勢から通常姿勢に向けて姿勢変化す
る際の装置本体2の回転方向(図4において時計回り方向)とは反対となる。
前面カバー19は、開くことで、読み取りが行われて排出される原稿を受ける原稿受け
トレイとして機能する。
尚、前面カバー19の回転軸19aには、減衰手段としてのダンパー19c(図4参照
)が設けられており、このダンパー19cにより、前面カバー19の開き方向の回転が減
衰される。これにより、前面カバー19が勢いよく開くことに起因する騒音や破損等を抑
制できる
尚、前面カバー19の開閉については後に更に詳述する。

【0024】
上部ユニット4は、上面に、図2に示す様に各種読み取り設定や読み取り実行の操作を行い、また読み取り設定内容等を示す為のユーザインタフェース(UI)が実現される操作パネル7を備えている。操作パネル7は、本実施形態では表示と入力の双方が行える所謂タッチパネルであり、各種操作を行う為の操作部と、各種情報を表示する為の表示部とを兼ねる。操作パネル7は、前面カバー19を開くことで露呈する。
【0025】
下部ユニット3に設けられた上面カバー10は、下部ユニット3に対して回転可能に設けられており、回転することで、図1図4の一番上の図、図5に示す様に閉じた状態と、図2図3図4の中央の図及び一番下の図に示す様に開いた状態とを取り得る。ユーザーは、装置本体2が通常姿勢にある場合、閉じている上面カバー10に対し、+Z方向に外力を付与することで開くことができる。上面カバー10が開く際の回転方向(図4において時計回り方向)は、装置本体2が収納姿勢から通常姿勢に向けて姿勢変化する際の装置本体2の回転方向(図4において時計回り方向)と同じである。
そして上面カバー10は、開くことで、給送される原稿を支持する原稿支持トレイとして機能する。図2において符号12a、12bは、原稿のサイドエッジをガイドするエッジガイドである。
装置本体部2の上部には装置本体部2内部に連なる給送口6が設けられており、上面カバー10に載置される原稿は、給送口6から装置本体部2内部に向けて送られる。
尚、本実施形態では前面カバー19の面積は上面カバー10の面積より大きく、換言すれば前面カバー19が装置本体2を覆う面積が、上面カバー10が装置本体2を覆う面積より大きい。但し、その逆であっても良いことは勿論である。
【0026】
次に、主として図3を参照して、スキャナー1における原稿搬送経路について説明する。図3において原稿搬送経路T2(図4の中央の図も参照)は、装置本体部2が通常姿勢にあるときの原稿搬送経路である。これに対し原稿搬送経路T1(図4の一番上の図も参照)は、装置本体部2が収納姿勢にあるときの原稿搬送経路の一部を示すものである。また原稿搬送経路T3(図4の一番下の図も参照)は、装置本体部2が水平姿勢にあるときの原稿搬送経路の一部を示すものである。
原稿搬送経路Tは、収納姿勢にあるときに最も垂直に近くなり(原稿搬送経路T1)、通常姿勢にあるときに概ね45°の傾斜を成し(原稿搬送経路T2)、水平姿勢にあるときに、ほぼ水平に沿った状態となる(原稿搬送経路T3)。
以下、原稿搬送経路T1、T2、T3のこれらを特に区別する必要の無い場合には原稿搬送経路Tと称する。
【0027】
原稿搬送経路Tは、下部ユニット3と上部ユニット4との間に形成される、略直線状の原稿搬送経路である。
原稿搬送経路Tの最も上流には、上述した上面カバー10が設けられており、上面カバー10の下流側には、上面カバー10に載置された原稿を下流に向けて送る給送ローラー14と、給送ローラー14との間で原稿をニップして分離する分離ローラー15とが設けられている。給送ローラー14は、上面カバー10に載置された原稿のうち、最下位のものと接する。従って上面カバー10に複数枚の原稿が載置された場合、最下位の原稿から順に下流に向けて給送される。
【0028】
給送ローラー14は、給送モーター57(図8参照)から回転トルクを得て、図3において反時計回り方向に回転する。
分離ローラー15には、分離モーター56(図8参照)から、不図示のトルクリミッタを介して図3の反時計回り方向に回転する回転トルクが伝達される。
【0029】
給送ローラー14と分離ローラー15との間に原稿が介在しない場合、或いは1枚のみ介在する場合、分離ローラー15は、不図示のトルクリミッタにおいて滑りが生じることにより、分離モーター56(図8参照)から受ける回転トルクに拘わらず給送ローラー14の回転に伴い図3の時計回り方向に従動回転する。
給送ローラー14と分離ローラー15との間に、給送されるべき原稿に加えて更に2枚目以降の原稿が入り込むと、原稿間で滑りが生じることにより、分離ローラー15は分離モーター56(図8参照)から受ける回転トルクによって図3の反時計回り方向に回転する。これにより、原稿の重送が防止される。
【0030】
給送ローラー14の下流には、搬送ローラー対16と、原稿画像を読み取る読み取り手段としての読取部20と、排出ローラー対17とが設けられている。搬送ローラー対16は、搬送モーター58(図8参照)により回転駆動される搬送駆動ローラー16aと、従動回転する搬送従動ローラー16bとを備えて成る。
給送ローラー14及び分離ローラー15によりニップされて下流に給送された原稿は搬送ローラー対16にニップされて、搬送ローラー対16の下流に位置する上部センサーユニット20A及び下部センサーユニット20Bと対向する位置に搬送される。
【0031】
読取部20は、原稿搬送経路Tに対して上に位置し、上部ユニット4に設けられた上部センサーユニット20Aと、原稿搬送経路Tに対して下に位置し、下部ユニット3に設けられた下部センサーモユニット20Bと、を備えている。上部センサーユニット20Aはセンサーモジュール21Aを有し、下部センサーユニット20Bはセンサーモジュール21Bを有している。本実施形態においてセンサーモジュール21A、21Bは、密着型イメージセンサーモジュール(CISM)である。
原稿搬送経路Tに対して上に位置するセンサーモジュール21Aにより、原稿の上面が読み取られ、原稿搬送経路Tに対して下に位置するセンサーモジュール21Bにより、原稿の下面が読み取られる。
尚、上部センサーユニット20Aによる原稿読み取り面(不図示)及び下部センサーユニット20Bによる原稿読み取り面(不図示)は、原稿搬送経路Tに対して平行な面を成している。
【0032】
上部センサーユニット20Aは、下部センサーユニット20Bが備えるセンサーモジュール21Bと対向する位置に背景板22Aを備え、下部センサーユニット20Bは、上部センサーユニット20Aが備えるセンサーモジュール21Aと対向する位置に背景板22Bを備えている。
背景板22A、22Bは、シェーディング補正の為に、対向するセンサーモジュールにより読み取られる基準板で、例えば白色、灰色、黒色等の樹脂板または白色、灰色、黒色等に塗装された金属板等を用いることができる。
【0033】
背景板22A、22Bは、背景板駆動モーター59(図8参照)の動力により回転可能に設けられ、回転することにより、実線で示す様に対向するセンサーモジュールと対面する対面状態と、二点鎖線で示す様に前記対面状態を解消する非対面状態とを切り換えることができる。背景板22A、22Bは、一例として白色を成しており、前記対面状態では白色基準値を取得することができ、前記非対面状態では黒色基準値を取得することができる。
【0034】
原稿は、読取部20において原稿の上面及び下面の少なくとも一方の面の画像を読み取られた後、読取部20の下流側に位置する排出ローラー対17にニップされて、排出口18から排出される。
排出ローラー対17は、搬送モーター58(図8参照)により回転駆動される排出駆動ローラー17aと、従動回転する排出従動ローラー17bとを備えて成る。
【0035】
続いて図8を参照しつつスキャナー1における制御系統について説明する。
制御部50は原稿の給送、搬送、排出制御及び読み取り制御を含め、その他スキャナー1の各種制御を行う。制御部50には操作パネル7からの信号が入力され、また、操作パネル7の表示、特にユーザインタフェース(UI)を実現する為の信号が制御部50から操作パネル7に送信される。
【0036】
制御部50は、分離モーター56、給送モーター57、搬送モーター58、背景板駆動モーター59、のこれらモーターを制御する。本実施形態では各モーターはDCモーターである。
制御部50には、読取部20からの読み取りデータが入力され、また、読取部20を制御する為の信号が制御部50から読取部20に送信される。
制御部50には、載置検出部54、重送検出部51、第1原稿検出部52、第2原稿検出部53、第1姿勢検出部30A、第2姿勢検出部30B、第3姿勢検出部30C、姿勢変化検出部40、のこれら検出部からの信号も入力される。
また制御部50には、搬送駆動ローラー16a及び排出駆動ローラー17aの回転量を検出する不図示のエンコーダーの検出値も入力され、これにより制御部50は各ローラーによる原稿搬送量を検出できる。
【0037】
制御部50は、CPU60、フラッシュROM61、及びRAM62を備えている。C
PU60はフラッシュROM61に格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、
スキャナー1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROM61は読み
出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。また操作パネル7を介してユーザーが
入力した各種設定情報も、フラッシュROM61に記憶される。記憶手段の一例であるR
AM61には、一時的に各種情報が格納される。

【0038】
次に装置本体部2の背面には背面カバー9(図5参照)が開閉可能に設けられており、この背面カバー9を開くことで、不図示の電源プラグ接続部と、不図示のインターフェースコネクタ接続部とが露呈する。インターフェースコネクタ接続部は、インターフェース63を構成している。スキャナー1は、インターフェース63を介して外部コンピューター90と通信可能に構成されている。インターフェース63は、一例としてUSB(Universal Serial Bus)インターフェースが挙げられる。
またスキャナー1は、上記電源プラグ接続部に、装置外部のACアダプター91の電源プラグが接続されることで、DC/DCコンバーター70を介して商用電源から電力の供給を受ける。DC/DCコンバーター70から供給された電力は電力制御部65によって装置の各部位に適した電圧に調整され、供給される。また電力制御部65は、CPU60の制御のもと、装置の各部位への電力の供給と遮断とを切り換える。
【0039】
続いて、原稿搬送経路Tに設けられた各検出部について説明する。
載置検出部54は、給送ローラー14(図3参照)の上流に設けられた検出部である。
制御部50は、載置検出部54から送信される信号により、上面カバー10上の原稿の有
無を検知できる。
第1原稿検出部52は、給送ローラー14(図3参照)と搬送ローラー対16(図3
照)との間に設けられた検出部である。制御部50は、第1原稿検出部52から送信され
る信号により、原稿の先端或いは後端の通過を検知できる。

【0040】
重送検出部51は、給送ローラー14(図3参照)と搬送ローラー対16(図3参照)との間に設けられた検出部であり、原稿送り経路Tを挟んで対向配置される超音波発信部及び超音波受信部を備えて成り、制御部50は、重送検出部51から送信される信号により、原稿の重送を検知できる。
【0041】
第2原稿検出部53は、搬送ローラー対16(図3参照)と読取部20(図3参照)との間に設けられた検出部であり、制御部50は、第2原稿検出部53から送信される信号により、原稿の先端或いは後端の通過を検知できる。
【0042】
続いて装置本体部2の姿勢を保持する姿勢保持手段について説明する。この姿勢保持手段は、図5に示す第1凹部29a、第2凹部29b、第3凹部29c、のこれら凹部と、図7に示す進退ユニット8とを備えて構成されている。
図5に示す第1凹部29a、第2凹部29b、第3凹部29c、のこれら凹部は、第2筐体25のアーチ部25aの周方向に沿って、間隔を空けて設けられている。
図7に示す進退ユニット8は、ベース部35と、ベース部35においてアーチ部25aに対する進退方向に変位可能に設けられるスライダユニット36と、スライダユニット36をアーチ部25aに向けて押圧するばね37と、スライダユニット36をばね37のばね力に抗してアーチ部25aから退避させる為の操作レバー27(図5参照)と、を備えている。
【0043】
スライダユニット36には、従動ローラー38が設けられている。従動ローラー38は自由回転可能なローラーであり、装置本体部2が姿勢変化する際に図5に示すアーチ部25aの表面に接して従動回転する。そして従動ローラー38を含めたスライダユニット36の先端部が第1凹部29a、第2凹部29b、第3凹部29cのこれらに入り込むことにより、装置本体部2の姿勢が保持される。
より具体的には、スライダユニット36が図5の凹部29aに入り込むことにより、装置本体部2の収納姿勢が保持され、スライダユニット36が図5の凹部29bに入り込むことにより、装置本体部2の通常姿勢が保持され、スライダユニット36が図5の凹部29cに入り込むことにより、装置本体部2の水平姿勢が保持される。
装置本体部2の姿勢保持状態を解除する場合は、図5の操作レバー27を操作する。これによりスライダユニット36が下降し、即ちスライダユニット36が各凹部から退避し、装置本体部2が姿勢変化可能となる。
尚、図6に示す様に各凹部にはレバー32の一部が露呈しているが、これについては後に説明する。
【0044】
続いて、第1姿勢検出部30A、第2姿勢検出部30B、第3姿勢検出部30C、姿勢変化検出部40、のこれら検出部について図6図7図9図12を参照して説明する。
図9図12に示す様に、装置本体部2においてアーチ部25aの周方向に沿って、第1姿勢検出部30A、第2姿勢検出部30B、第3姿勢検出部30C、のこれら検出部が間隔を空けて設けられている。
各検出部は全て、揺動可能なレバー32と、レバー32の姿勢変化を検出する検出部31と、を備えている。各検出部が備えるレバー32は、図6に示す様に各凹部において一部が露呈する様に設けられており、図7を参照しつつ説明したベース部35に形成された突起部36aが、レバー32を押すことができる様に構成されている。
【0045】
そして図7に示すスライダユニット36が図5に示す第1凹部29aに入り込むと、突
起部36aが第1姿勢検出部30Aを構成するレバー32を押し、レバー32が揺動して
レバー32が検出部31から外れる(図9参照)。これにより制御部50は、装置本体部
2が収納姿勢に切り換わったことを検出できる。
同様に、図7に示すスライダユニット36が図5に示す第2凹部29bに入り込むと、
突起部36aが第2姿勢検出部30Bを構成するレバー32を押し、レバー32が揺動し
てレバー32が検出部31から外れる(図11参照)。これにより制御部50は、装置本
体部2が通常姿勢に切り換わったことを検出できる。
更に同様に、図7に示すスライダユニット36が図5に示す第3凹部29cに入り込む
と、突起部36aが第3姿勢検出部30を構成するレバー32を押し、レバー32が揺
動してレバー32が検出部31から外れる(図12参照)。これにより制御部50は、装
置本体部2が水平姿勢に切り換わったことを検出できる。

【0046】
また、装置本体部2において第2姿勢検出部30Bの付近には、姿勢変化検出部40が設けられている。姿勢変化検出部40は、揺動可能なレバー42と、レバー42の揺動を検出する検出部41とを備えて構成されている。レバー42は、図6に示す様に第2筐体25のアーチ部25aから外側に突出できる様に設けられている。
図6に示す様に支持部5には+Z方向に突出する突出部5cが設けられており、この突出部5cにおいてアーチ部25aと対向する面5dが、図9図12に示す様に湾曲面として形成されている。突出部5cにおいてアーチ部25aと対向する面5dを、以下ではセンサー接触面5dと称する。
【0047】
レバー42はセンサー接触面5dと接触可能な位置に設けられており、装置本体部2の姿勢変化に伴い、図10に示す様にセンサー接触面5dと接触する状態と、図9図11図12に示す様にセンサー接触面5dから離間する状態と、を切り換え可能となっている。
図10において符号S2で示す範囲は、装置本体部2の回転中心C1を中心にしてセンサー接触面5dが形成されている角度範囲を示しており、符号R3は上限位置を、符号R4は下限位置を示している。また符号S1で示す区間は、装置本体部2が収納姿勢と通常姿勢との間で回転する際に、レバー42が移動する角度範囲を示しており、符号R1は装置本体部2が収納姿勢(図9参照)をとる際のレバー42の位置を示しており、符号R2は装置本体部2が通常姿勢(図11参照)をとる際のレバー42の位置を示している。従って区間S1は、装置本体部2の、第1姿勢と第2姿勢との間の姿勢変化区間と言うことができる。
【0048】
センサー接触面5dの形成範囲S2は、姿勢変化区間S1に包含されており、位置R3及び位置R4、つまりレバー42が揺動する位置は、姿勢変化区間S1に含まれている。このうち位置R3は、姿勢変化区間S1の中間位置Jよりも位置R1寄りに設定されており、位置R4は、姿勢変化区間S1の中間位置Jよりも位置R2寄りに設定されている。
以上の構成を備えた姿勢変化検出部40により、制御部50は、装置本体部2が例えば図11に示す通常姿勢から図9に示す収納姿勢に切り替わる途中で、レバー42の揺動に伴う姿勢変化検出部40の信号変化を受信し、装置本体部2が通常姿勢から収納姿勢に向けて姿勢変化している途中であることを検知できる。同様に制御部50は、装置本体部2が例えば図9に示す収納姿勢から図11に示す通常姿勢に切り替わる途中で、レバー42の揺動に伴う姿勢変化検出部40の信号変化を受信し、装置本体部2が収納姿勢から通常姿勢に向けて姿勢変化している途中であることを検知できる。
【0049】
次に制御部50は、本実施形態では第1電力供給モード、第2電力供給モード、第3電力供給モード、のこれら3つの電力供給モードを備えている。
第1電力供給モードは、最も電力消費が多いモードであり、図8に示した装置の各部位、より具体的には電力の供給を受ける部位の全てに対し電力を供給するモードであって、原稿読み取り時の電力供給モードである。
第2電力供給モードは、上記第1電力供給モードよりも電力消費が小さいモードであり、図8に示した装置の各部位のうち、姿勢変化検出部40のみに電力供給されるモードである。
第3電力供給モードは、上記第1電力供給モードよりも電力消費が少なく且つ上記第2電力供給モードよりも電力消費が多いモードであり、図8に示した構成のうち姿勢変化検出部40、載置検出部54、CPU60、フラッシュROM61、RAM62、インターフェース63、のこれらに電力が供給され、その他には電力供給が行われないモードである。
特に上記第2電力供給モード及び第3電力供給モードでは、第1姿勢検出部30A、第2姿勢検出部30B、第3姿勢検出部30C、のこれらには電力は供給されない。
尚、第3電力供給モードにおいてCPU60、フラッシュROM61、RAM62、のこれらへの電力供給は、第1電力供給モードの場合より少なくなるように制御しても良い。
【0050】
以下、制御部50による電力供給モードの切り換えについて図13及び図14を参照して説明する。先ず、図13を参照して装置本体部2の姿勢変化を伴わない場合の電力供給モードの切り換えを説明する。
制御部50は、電源オフ状態において操作パネル7を介した電源オン操作が行われると(ステップS101)、その際の姿勢が通常姿勢または水平姿勢であるかを判断し(ステップS102)、通常姿勢または水平姿勢、つまり原稿読み取り時の姿勢である場合には(ステップS102においてYes)、第1電力供給モードに移行する(ステップS103)。尚、ここでの電源オフ状態とは、装置本体部2の全ての構成要素に電力が供給されない状態か、或いは上記第2電力供給モードの状態であっても良い。
ステップS102においてNoの場合、即ち電源オン操作を行われたものの、その際の姿勢が収納姿勢である場合には、電源オフ状態を維持する。
【0051】
次いで制御部50は、第1電力供給モードの実行状態において所定時間無操作の場合(ステップS104においてYes)、第3電力供給モードに移行して電力消費を抑制する。尚、このときの第3電力供給モードへの移行条件として、操作パネル7が所定時間無操作であることに加え、インターフェース63が外部コンピューター90から所定時間信号を受信しないことを加えても良い。
【0052】
続いて図14を参照して装置本体部2の姿勢変化を伴う場合の電力供給モードの切り換えについて説明する。
制御部50は、姿勢変化検出部40の検出信号をもとに、装置本体部2の姿勢変化を検出した場合には(ステップS201においてYes)、その後に第1姿勢検出部30A、第2姿勢検出部30B、及び第3姿勢検出部30Cの検出信号をもとに装置本体部2の姿勢がどの様に切り換わったかを判断する。尚、制御部50は装置本体部2の姿勢変化を検出した場合(ステップS201においてYes)、その際の電力供給モードが上記第2電力供給モード或いは上記第3電力供給モード、つまり第1姿勢検出部30A、第2姿勢検出部30B、及び第3姿勢検出部30Cの各検出部に電力を供給していないモードである場合は、前記各検出部に電力を供給する。
【0053】
次いで、制御部50は姿勢本体部2の姿勢が通常姿勢或いは水平姿勢に切り換わったことを検出した場合(ステップS202においてYes)、つまり装置本体部2の姿勢が原稿読み取り時の姿勢に切り換わった場合には、第1電力供給モードに移行する(ステップS203)。
或いは制御部50は姿勢本体部2の姿勢が収納姿勢に切り換わったことを検出した場合(ステップS204においてYes)、つまり装置本体部2の姿勢が非使用時の姿勢に切り換わったことを検出した場合には、第2電力供給モードに移行する(ステップS205)。
尚、ステップS201において装置本体部2の姿勢変化を検出しても、第1姿勢検出部30A、第2姿勢検出部30B、及び第3姿勢検出部30Cのいずれもが装置本体部2の姿勢切り換わりを検出していない限り、現在の電力供給モードを維持する(ステップS206)。
【0054】
以上説明した様に本実施形態に係るスキャナー1は、原稿を読み取る読み取り手段である読取部20を備えるとともに支持部5に対して姿勢変化可能に設けられる装置本体部2と、装置本体部の非使用時の姿勢である収納姿勢即ち第1姿勢を検出する第1姿勢検出部30Aと、読取部20により原稿読み取りを行う際の装置本体部2の姿勢であって載置面Gに対する投影面積が第1姿勢よりも大きくなる通常姿勢即ち第2姿勢を検出する第2姿勢検出部30Bと、装置本体部2の姿勢の変化を検出する姿勢変化検出部40と、第1姿勢検出部30A、第2姿勢検出部30B、姿勢変化検出部40、の各検出部への電力供給を制御する制御部50と、を備えている。そして制御部50は、装置本体部2が通常姿勢をとる際に第1姿勢検出部30A、第2姿勢検出部30B、及び姿勢変化検出部40へ電力を供給する第1電力供給モードの状態において第1姿勢検出部30Aにより装置本体部2の収納姿勢への切り換わりを検出すると、第1姿勢検出部30A及び第2姿勢検出部30Bへの電力供給を行わず姿勢変化検出部40への電力供給を行う第2電力供給モードに移行する(図14のステップS205)。
これにより、電力消費を抑制でき、そしてその様な電力消費を抑制する状態に移行する為のそれ専用のユーザー操作が不要となり、ユーザビリティが向上する。
【0055】
また制御部50は、第2電力供給モードにおいて姿勢変化検出部40により装置本体部2の姿勢変化を検出すると、少なくとも第2姿勢検出部30Bへの電力供給を行い、第2姿勢検出部30Bにより装置本体部2の通常姿勢への切り換わりを検出すると、第1電力供給モードに移行する(図14のステップS203)。
これにより、第2電力供給モードから第1電力供給モードに移行する為のそれ専用のユーザー操作が不要となり、ユーザビリティが向上する。
【0056】
また各種操作を受け付けるとともに操作に応じた信号を制御部50に出力する操作部である操作パネル7を備え、制御部50は、装置本体部2が通常姿勢をとる状態で操作パネル7から所定時間信号の入力が無い場合、装置全体での消費電力が第1電力供給モードより小さく第2電力供給モードより大きいとともに、少なくとも姿勢変化検出部40に電力を供給する第3電力供給モードに移行する(図13のステップS105)。これにより電力消費を抑制でき、そしてその様な電力消費を抑制する状態に移行する為のそれ専用のユーザー操作が不要となり、ユーザビリティが向上する。
そして第3電力供給モードの状態において、姿勢変化検出部40により装置本体部2の姿勢変化を検出すると、少なくとも第1姿勢検出部30Aへの電力供給を行い、第1姿勢検出部30Aにより装置本体部2の収納姿勢への切り換わりを検出すると、第1電力供給モードに移行する(図14のステップS203)。これにより第3電力供給モードから第1電力供給モードに移行する為のそれ専用のユーザー操作が不要となり、ユーザビリティが向上する。
【0057】
また図10に示した様に、装置本体部2の収納姿勢と通常姿勢との間の姿勢変化区間S1において、姿勢変化検出部40が装置本体部2の姿勢変化を検出可能な位置は、姿勢変化区間S1における中間位置Jから収納姿勢寄りの位置R1と、中間位置Jから通常姿勢寄りの位置R2に設定されている。このことにより、通常姿勢から収納姿勢に向けて装置本体部2が姿勢変化した際、或いは逆に収納姿勢から通常姿勢に向けて装置本体部2が姿勢変化した際に、速やかにそれを検出することができ、電力供給モードの切り換えを速やかに行うことができる。
【0058】
また本実施形態において姿勢変化検出部40は、揺動可能なレバー42と、レバー42の動作を検出する検出部41と、を備え、レバー42が、姿勢変化区間S1に沿って延びるセンサー接触面5dへの接触とセンサー接触面5dからの離間とを切り換えることにより揺動する構成である。このことにより、姿勢変化検出部40を光学式センサーではなく所謂メカ式センサーで構成でき、装置の低コスト化を図ることができる。
尚、メカ式センサーに代えて、光学式センサーを採用しても良い。この場合、例えばセンサー接触面5dに代えてリニアスケールを設け、レバー42及び検出部41に代えて前記リニアスケールを読み取る光学センサーを設けることで、装置本体部2が第1姿勢と第2姿勢の間のどの様な姿勢にあっても直ちに姿勢変化を検出できる。尚その場合のリニアスケールは、姿勢変化区間S1の全域に亘って設けることが好適である。
【0059】
続いて主として図15以降を参照して、装置本体2が収納姿勢にある状態でユーザーが前面カバー19を開いた際の動作について説明する。
図15は装置本体部2が収納姿勢にあり、且つ前面カバー19が閉じた状態を示している。また図16は装置本体部2が収納姿勢にある際のスライダユニット36の状態を示し、図17は装置本体部2が収納姿勢にある際の、後述する当接部19dと傾斜面5eの位置関係を示している。
【0060】
装置本体部2の収納姿勢は、図16に示す様にスライダユニット36の先端部が第1凹
部29aに入り込むことで保持されている。図16において+R方向はスライダユニット
36が第1凹部29aに進出する方向であり、-R方向はスライダユニット36が第1凹
部29aから退避する方向である。スライダユニット36は、ばね37(図7参照)によ
って、+R方向に押圧されている。
装置本体部2の姿勢保持の解除は、操作レバー27を操作することで行うことができる
。操作レバー27は、回転軸27aを中心に回転可能であるとともに、係合部27bがス
ライダユニット36に入り込んでいる。従って操作レバー27を上方向に押し上げると、
操作レバー27が図16の反時計回り方向に回転し、係合部27bがスライダユニット3
6を-R方向に押し下げる。これによりスライダユニット36の先端が第1凹部29aか
ら退避し、装置本体部2の姿勢保持は解除される。

【0061】
次に、図15に示す様に排出トレイとして機能する前面カバー19は、腕部19bを介して装置本体部2を構成する下部ユニット3に設けられる。腕部19bは、回転軸19aを介して下部ユニット3に取り付けられる。腕部19bは、図2に示す様に原稿幅方向において排出トレイ19の両側に配置される。
腕部19bには、図17図19図22に示す様に支持部5と対向する位置に当接部19dが形成されており、支持部5には、当接部19dと対向する位置に当接面としての傾斜面5eが形成されている。
【0062】
そして図15に示す状態即ち装置本体部2が収納姿勢にあり、且つ前面カバー19が閉じた状態から、ユーザーが前面カバー19を開こうとすると、図19に示す様に当接部19dが傾斜面5eに押し当たる。このとき、傾斜面5eの傾斜角度によって、当接部19dは傾斜面5eから反力Nmを受ける。
【0063】
この反力Nmは、装置本体部2に対し、図15の時計回り方向、即ち収納姿勢から通常姿勢に向かう方向の外力として作用する。
この反力Nmによる回転モーメントは、図16において矢印mで示される。この回転モーメントmにより、第1凹部29aの壁部25bが、スライダユニット36に押し当たる。その際、スライダユニット36の先端部において壁部25bと対向する部位には斜面36bが形成されている為、図16から図18への変化で示す様に、スライダユニット36がばね37(図7参照)のばね力に抗して-R方向に押し下げられる。そして第1凹部29aの入口には斜面25cが形成されているため、スライダユニット36の先端部は、図18から図21への変化で示す様に円滑に第1凹部29aから抜け出すことができる。
【0064】
図20は前面カバー19が所定量開いた状態を示し、図21図20の状態におけるスライダユニット36の状態を示し、図22図20の状態における当接部19dと傾斜面5eの位置関係を示している。装置本体部2の回転により、前面カバー19の回転軸19aは+Y方向に移動するので、装置本体部2の回転によって前面カバー19が容易に開くことができる状態となる。
【0065】
以上のように、装置本体部2が収納姿勢にあり、且つ前面カバー19が閉じた状態から前面カバー19を開くと、前面カバー19が、支持部5の一部である傾斜面5eと係合して装置本体部2に対し収納姿勢から通常姿勢に切り換わる方向の力を付与し、装置本体部2が収納姿勢から通常姿勢に切り換わるので、装置を使用する際に前面カバー19を開く操作とは別に装置本体部2を収納姿勢から通常姿勢に切り換える操作が不要となり、装置の使い勝手が向上する。
【0066】
また、前面カバー19は腕部19bを介して装置本体部2に対し回転可能に取り付けら
れ、支持部5は、傾斜面5eを有し、装置本体部2が収納姿勢にあるとともに前面カバー
19が閉じた状態から前面カバー19を開く際、腕部19bの当接部19dが傾斜面5e
に当接することで、腕部19bが装置本体部2に対し収納姿勢から通常姿勢に切り換わる
方向の力を付与するので、前面カバー19が装置本体部2に対し収納姿勢から通常姿勢に
切り換わる方向の力を付与する手段を、簡易な構成で得ることができる。

【0067】
また制御部50は、図14を参照しつつ説明した様に第2電力供給モードの状態において装置本体部2の収納姿勢から通常姿勢への変化を検知すると(図14のステップS202においてYes)、第1電力供給モードに移行するので(図14のステップS203)、装置本体部2の姿勢が収納姿勢から通常姿勢へ変化した後にユーザーが電源操作を行う必要がなく、装置の使い勝手が向上する。
換言すれば、前面カバー19が、いわば電源を投入する為の操作部を兼用する構成であるとも言える。
【0068】
また制御部50は、図14を参照しつつ説明した様に装置本体部2の通常姿勢から収納姿勢への変化を検知すると(図14のステップS204においてYes)、第2電力供給モードに移行するので(図14のステップS205)、装置本体部2の姿勢が通常姿勢から収納姿勢へ変化した後にユーザーが電源操作を行う必要がなく、装置の使い勝手が向上する。
【0069】
尚、前面カバー19は、図1及び図2の対比で示す様に閉じた状態において表示部としての操作パネル7を覆い、開くことで操作パネル7を露呈させる。第2電力供給モードでは、操作パネル7はバックライトがオフとされており、第1電力供給モードでは、操作パネル7はバックライトが点灯するので、ユーザーは操作パネル7によって装置の電源状態を確認することができる。
【0070】
尚、上記の構成は、換言すれば第2電力供給モードの状態において前面カバー19が閉じた状態から開くと、第1電力供給モードに移行する構成であると言える。これにより、前面カバー19を開いた後にユーザーが電源操作を行う必要がなく、装置の使い勝手が向上する。勿論この様な作用効果は、前面カバー19を開く際に装置本体部2の姿勢変化を伴わない構成であっても得ることができ、更に装置本体部2が姿勢変化可能な構成でなくても得ることができる。
【0071】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
1…スキャナー、2…装置本体部、3…下部ユニット、4…上部ユニット、5…支持部、5a…アーム部、5b…回転軸、5c…突出部、5d…センサー接触面、5e…傾斜面、6…給送口、7…操作パネル、8…進退ユニット、9…背面カバー、10…上面カバー、12a、12b…エッジガイド、14…給送ローラー、15…分離ローラー、16…搬送ローラー対、16a…搬送駆動ローラー、16b…搬送従動ローラー、16c…駆動ローラー軸、17…排出ローラー対、17a…排出駆動ローラー、17b…排出従動ローラー、17c…駆動ローラー軸、18…排出口、19…前面カバー、19a…回転軸、19b…腕部、19c…ダンパー、19d…当接部、20…読取部、20A…上部センサーユニット、20B…下部センサーユニット、21A、21B…センサーモジュール、22A、22B…背景板、24…第1筐体、25…第2筐体、25a…アーチ部、26…ラック部、27…操作レバー、27a…回転軸、27b…係合部、28…ピニオン歯車、29a…第1凹部、29b…第2凹部、29c…第3凹部、30A…第1姿勢検出部、30B…第2姿勢検出部、30C…第3姿勢検出部、31…検出部、32…レバー、32a…回転軸、35…ベース部、36…スライダユニット、36a…突起部、36b…斜面、37…ばね、38…ローラー、40…姿勢変化検出部、41…検出部、42…レバー、50…制御部、51…重送検出部、52…第1原稿検出部、53…第2原稿検出部、54…載置検出部、56…分離モーター、57…給送モーター、58…搬送モーター、59…背景板駆動モーター、60…CPU、61…フラッシュROM、62…RAM、63…IF、65…電力制御部、70…DC/DCコンバーター、90…外部コンピューター、91…ACアダプター
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