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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】光受信器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/08 20060101AFI20231114BHJP
   H04B 10/69 20130101ALI20231114BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H03F3/08
H04B10/69
H01L31/10 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019193430
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021069025
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】板橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓二
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-521825(JP,A)
【文献】特開昭63-099634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0284878(US,A1)
【文献】特開2002-217833(JP,A)
【文献】特開2000-244419(JP,A)
【文献】米国特許第05363064(US,A)
【文献】特開昭61-163738(JP,A)
【文献】再公表特許第2000/076093(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00-3/72
H04B 10/69
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を光電流に変換するフォトダイオードと、バイアス端子と、入力端子と、フィルタ回路と、増幅回路と、第1抵抗素子と、バイパス回路と、制御回路と、
を備え、
前記フォトダイオードのアノードは、前記入力端子に電気的に接続され、
前記フォトダイオードのカソードは、前記バイアス端子に電気的に接続され、
前記バイパス回路は、前記入力端子に電気的に接続され、
前記制御回路は、前記増幅回路が出力する出力信号に応じて前記フィルタ回路、および前記バイパス回路を制御し、
前記第1抵抗素子は、前記増幅回路の入力および出力の間に電気的に接続され、
前記バイパス回路は、前記光電流の交流成分からバイパス電流を引き抜いて前記増幅回路に入力する交流電流を低減する第1機能を有し、前記制御回路から出力される第1指示信号に応じて前記第1機能をオンするときに前記入力端子から見た前記バイパス回路の入力インピーダンスを減少させ、前記第1指示信号に応じて前記第1機能をオフするときに、前記入力端子から見た前記バイパス回路の入力インピーダンスを増加させ、
前記フィルタ回路は、前記バイアス端子と電源との間に電気的に接続され、前記バイアス端子から見た前記フィルタ回路の入力インピーダンスを増減する第2機能を有し、前記制御回路から出力される第2指示信号に応じて前記第2機能をオンするときに前記バイアス端子から見た前記フィルタ回路の入力インピーダンスを増加させ、前記第2指示信号に応じて前記第2機能をオフするときに、前記バイアス端子から見た前記フィルタ回路の入力インピーダンスを減少させ、
前記制御回路は、前記増幅回路の出力信号に基づいて前記バイパス回路に前記第1機能のオンを指示する前記第1指示信号を出力する場合には、前記フィルタ回路に前記第2機能のオンを指示する前記第2指示信号を出力し、該増幅回路の出力信号に基づいて前記バイパス回路に前記第1機能のオフを指示する該第1指示信号を出力する場合には、前記フィルタ回路に前記第2機能のオフを指示する該第2指示信号を出力する、
光受信器。
【請求項2】
前記フィルタ回路は、電界効果トランジスタと、第2抵抗素子および第3抵抗素子と、キャパシタとを備え、
前記第2抵抗素子の一端は、前記バイアス端子に電気的に接続され、
前記第2抵抗素子の他端は、前記電源に電気的に接続され、
前記キャパシタは、前記第2抵抗素子の前記一端および前記電界効果トランジスタのドレインの間に電気的に接続され、
前記電界効果トランジスタのソースは、接地され、
前記第3抵抗素子は、前記電界効果トランジスタのソースおよびドレインの間に電気的に接続され、
前記電界効果トランジスタのゲートは、前記第2指示信号を受ける、
請求項1に記載の光受信器。
【請求項3】
前記フィルタ回路は、電界効果トランジスタと、第2抵抗素子および第3抵抗素子と、第1キャパシタおよび第2キャパシタとを備え、
前記第2抵抗素子の一端は、前記バイアス端子に電気的に接続され、
前記第2抵抗素子の他端は、前記電源に電気的に接続され、
前記第1キャパシタは、前記第2抵抗素子の前記一端および前記電界効果トランジスタのドレインの間に電気的に接続され、
前記電界効果トランジスタのソースは、接地され、
前記電界効果トランジスタのゲートは、前記第2指示信号を受け、
前記第2キャパシタは、前記第2抵抗素子の前記一端および前記第3抵抗素子の間に電気的に接続され、該第3抵抗素子を介して接地されている、
請求項1に記載の光受信器。
【請求項4】
前記フィルタ回路は、電界効果トランジスタと、第2抵抗素子および第3抵抗素子と、第1キャパシタおよび第2キャパシタとを備え、
前記第2抵抗素子の一端は、前記バイアス端子に電気的に接続され、
前記第2抵抗素子の他端は、前記電源に電気的に接続され、
前記第1キャパシタは、前記第2抵抗素子の前記一端および前記電界効果トランジスタのドレインの間に電気的に接続され、
前記電界効果トランジスタのソースは、接地され、
前記電界効果トランジスタのゲートは、前記第2指示信号を受け、
前記第3抵抗素子は、前記第2抵抗素子の前記一端および前記第2キャパシタの間に電気的に接続され、該第2キャパシタを介して接地されている、
請求項1に記載の光受信器。
【請求項5】
前記制御回路は、
第1電界効果トランジスタ、第2電界効果トランジスタ、第3電界効果トランジスタ、第4電界効果トランジスタ、第5電界効果トランジスタ、および第6電界効果トランジスタと、第4抵抗素子、第5抵抗素子、第6抵抗素子、および第7抵抗素子と、電流源とを備え、
前記第1電界効果トランジスタのゲートには、外部から供給される基準信号が入力され、
前記第2電界効果トランジスタのゲートには、前記増幅回路の出力信号に応じた信号が入力され、
前記第1電界効果トランジスタのソースは、前記第4抵抗素子を介して前記電流源に電気的に接続され、
前記第2電界効果トランジスタのソースは、前記第5抵抗素子を介して前記電流源に電気的に接続され、
前記第3電界効果トランジスタのドレインは、前記第6抵抗素子を介して接地され、前記第2指示信号を前記フィルタ回路に出力し、
前記第4電界効果トランジスタのドレインは、前記第7抵抗素子を介して接地され、前記第1指示信号を前記バイパス回路に出力し、
前記第1電界効果トランジスタおよび前記第5電界効果トランジスタのそれぞれのドレインと、前記第5電界効果トランジスタのゲートと、前記第3電界効果トランジスタのゲートとは、互いに電気的に接続され、
前記第2電界効果トランジスタおよび前記第6電界効果トランジスタのそれぞれのドレインと、前記第6電界効果トランジスタのゲートと、前記第4電界効果トランジスタのゲートとは、互いに電気的に接続され、
前記第3電界効果トランジスタ、前記第4電界効果トランジスタ、前記第5電界効果トランジスタ、および前記第6電界効果トランジスタのそれぞれのソースは、互いに電気的に接続される、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の光受信器。
【請求項6】
前記電源は、前記フォトダイオードにバイアス電圧を供給するための直流電源回路である、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の光受信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、光受信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光受信機に係る技術が開示されている。光受信機は、受光素子と、電流電圧変換回路(TIA)と、容量受動素子とを有する。受光素子は、アノードとカソードを有し、受信した信号光に対応する光電流を生成する。電流電圧変換回路は、受光素子のアノードに接続され、光電流を電圧信号に変換する。容量受動素子は、第1電極および第2電極を有する。受光素子のカソードと容量受動素子の第1電極とは、接続される。容量受動素子の第2電極は、電流電圧変換回路313の基準電位に接続される。第2電極は電流電圧変換回路の基準電位端子以外には繋がらない。
【0003】
特許文献2には、受信回路に係る技術が開示されている。受信回路は、差動出力増幅回路を備え、差動出力増幅回路の差動出力について識別回路で2値化識別を行う。受信回路は、二つのピーク検出回路と、平均値検出回路と、二つの演算増幅器と、二つのトランジスタとを備え、差動出力に応じて差動出力増幅回路の入力インピーダンスおよびオフセットを制御する。
【0004】
特許文献3には、前置増幅回路に係る技術が開示されている。前置増幅回路は、第一の増幅回路と、利得切替え判断回路と、オフセット電流制御回路とを備える。第一の増幅回路は、利得切替え機能を備える。利得切替え判断回路は、第一の増幅回路の出力端子に接続され、ヒステリシスコンパレータを備える。前置増幅回路は、利得切替え判断回路の出力信号により、第一の前置増幅回路の利得切替えを行う。オフセット電流制御回路は、第一の増幅回路の入力端子に接続される。前置増幅回路は、利得切替え判断回路の出力信号によって、オフセット電流制御回路を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-4954号公報
【文献】特開平11-8522号公報
【文献】特開2009-49488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光受信器では、例えばフォトダイオードが外部の光導波路(光ファイバ)から光信号を受け、光信号を光電流に変換する。フォトダイオードのカソードは、フィルタ回路を介して電源からバイアス電圧を受け、フォトダイオードのアノードは、トランスインピーダンス増幅回路に光電流を出力する。フォトダイオードは、ボンディングワイヤや信号配線を介してフィルタ回路やトランスインピーダンス増幅回路に接続される。ボンディングワイヤは寄生インダクタンスを有し、信号配線は寄生容量を有する。そのため、それらの寄生インダクタンス、および寄生容量などによって、フォトダイオード、フィルタ回路、およびトランスインピーダンス増幅回路を含む回路に共振現象を生じ得る。共振現象は、光受信器の利得帯域、群遅延等の諸特性に影響を与え、光受信器の周波数応答特性に影響を与える。このような共振現象は、トランスインピーダンス回路の入力インピーダンスが比較的に大きい場合に低減(ダンピング)され得る。
【0007】
一方、フォトダイオードの光電流を受けるトランスインピーダンス増幅回路では、入力(電流信号)と出力(電圧信号)との間の線形性を維持するために、光電流の一部をバイパスさせて、トランスインピーダンス増幅回路に入力する電流信号の振幅を小さくする制御が行われ得る。この制御は、例えばトランスインピーダンス増幅回路から出力される電圧信号の振幅に応じて行われ、AGC(Automatic Gain Control)と呼ばれている。特に、光電流から交流成分の一部を除去(バイパス)する制御がAGCによって行われる場合には、トランスインピーダンス増幅回路の入力インピーダンスが減少し、上述の共振現象が抑制されなくなる虞がある。
【0008】
本開示は、光受信器において、寄生インダクタンスおよび寄生容量等による共振現象を抑制し、周波数応答特性の劣化を回避する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの例示的実施形態において、光受信器が提供される。光信号を光電流に変換するフォトダイオードと、バイアス端子と、入力端子と、フィルタ回路と、増幅回路と、第1抵抗素子と、バイパス回路と、制御回路と、を備える。フォトダイオードのアノードは、入力端子に電気的に接続される。フォトダイオードのカソードは、バイアス端子に電気的に接続される。バイパス回路は、入力端子に電気的に接続される。制御回路は、増幅回路が出力する出力信号に応じてフィルタ回路、およびバイパス回路を制御する。第1抵抗素子は、増幅回路の入力および出力の間に電気的に接続される。バイパス回路は、光電流の交流成分からバイパス電流を引き抜いて増幅回路に入力する交流電流を低減する第1機能を有し、制御回路から出力される第1指示信号に応じて第1機能をオンするときに入力端子から見たバイパス回路の入力インピーダンスを減少させ、第1指示信号に応じて第1機能をオフするときに、入力端子から見たバイパス回路の入力インピーダンスを増加させる。フィルタ回路は、バイアス端子から見たフィルタ回路の入力インピーダンスを増減する第2機能を有し、制御回路から出力される第2指示信号に応じて第2機能をオンするときにバイアス端子から見たフィルタ回路の入力インピーダンスを増加させ、第2指示信号に応じて第2機能をオフするときに、バイアス端子から見たフィルタ回路の入力インピーダンスを減少させる。制御回路は、増幅回路の出力信号に基づいてバイパス回路に第1機能のオンを指示する第1指示信号を出力する場合には、フィルタ回路に第2機能のオンを指示する第2指示信号を出力し、増幅回路の出力信号に基づいてバイパス回路に第1機能のオフを指示する第1指示信号を出力する場合には、フィルタ回路に第2機能のオフを指示する第2指示信号を出力する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、光受信器において、寄生インダクタンスおよび寄生容量等による共振現象を抑制し、周波数応答特性の劣化を回避し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一つの例示的実施形態に係る光受信器の構成を示す図である。
図2図2は、図1に示す増幅回路の具体的な構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1に示すフィルタ回路の主要な構成の一例を示す図である。
図4図4は、図1に示すフィルタ回路の主要な構成の一例を示す図である。
図5図5は、図1に示すフィルタ回路の主要な構成の一例を示す図である。
図6図6は、図1に示す制御回路に含まれる構成の一例を示す図である。
図7図7は、図1に示す制御回路に含まれる構成の一例を示す図である。
図8図8は、図1に示す光受信器の奏する効果を説明するための図である。
図9図9は、図1に示す光受信器の奏する効果を説明するための図である。
図10図10は、図1に示す光受信器の奏する効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[例示的実施形態の説明]
以下、種々の例示的実施形態について説明する。一つの例示的実施形態において、光受信器が提供される。光信号を光電流に変換するフォトダイオードと、バイアス端子と、入力端子と、フィルタ回路と、増幅回路と、第1抵抗素子と、バイパス回路と、制御回路と、を備える。フォトダイオードのアノードは、入力端子に電気的に接続される。フォトダイオードのカソードは、バイアス端子に電気的に接続される。バイパス回路は、入力端子に電気的に接続される。制御回路は、増幅回路が出力する出力信号に応じてフィルタ回路、およびバイパス回路を制御する。第1抵抗素子は、増幅回路の入力および出力の間に電気的に接続される。バイパス回路は、光電流の交流成分からバイパス電流を引き抜いて増幅回路に入力する交流電流を低減する第1機能を有し、制御回路から出力される第1指示信号に応じて第1機能をオンするときに入力端子から見たバイパス回路の入力インピーダンスを減少させ、第1指示信号に応じて第1機能をオフするときに、入力端子から見たバイパス回路の入力インピーダンスを増加させる。フィルタ回路は、バイアス端子から見たフィルタ回路の入力インピーダンスを増減する第2機能を有し、制御回路から出力される第2指示信号に応じて第2機能をオンするときにバイアス端子から見たフィルタ回路の入力インピーダンスを増加させ、第2指示信号に応じて第2機能をオフするときに、バイアス端子から見たフィルタ回路の入力インピーダンスを減少させる。制御回路は、増幅回路の出力信号に基づいてバイパス回路に第1機能のオンを指示する第1指示信号を出力する場合には、フィルタ回路に第2機能のオンを指示する第2指示信号を出力し、増幅回路の出力信号に基づいてバイパス回路に第1機能のオフを指示する第1指示信号を出力する場合には、フィルタ回路に第2機能のオフを指示する第2指示信号を出力する。入力と出力との間の線形性を維持するために増幅回路に入力する交流電流を低減する場合には、入力インピーダンスが低減されるので寄生インダクタンスと寄生容量による共振現象に対するダンピングも低減される。しかし、この場合には、寄生インダクタンスと寄生容量による共振現象がフィルタ回路によって低減され、寄生インダクタンスと寄生容量による共振現象に起因する周波数応答特性の劣化が抑制され得る。
【0013】
一つの例示的実施形態において、フィルタ回路は、電界効果トランジスタと、第2抵抗素子および第3抵抗素子と、キャパシタとを備える。第2抵抗素子の一端は、バイアス端子に電気的に接続される。キャパシタは、第2抵抗素子の一端および電界効果トランジスタのドレインの間に電気的に接続される。電界効果トランジスタのソースは、接地される。第3抵抗素子は、電界効果トランジスタのソースおよびドレインの間に電気的に接続される。電界効果トランジスタのゲートは、第2指示信号を受ける。
【0014】
一つの例示的実施形態において、フィルタ回路は、電界効果トランジスタと、第2抵抗素子および第3抵抗素子と、第1キャパシタおよび第2キャパシタとを備える。第2抵抗素子の一端は、バイアス端子に電気的に接続される。第1キャパシタは、第2抵抗素子の一端および電界効果トランジスタのドレインの間に電気的に接続される。電界効果トランジスタのソースは、接地される。電界効果トランジスタのゲートは、第2指示信号を受ける。第2キャパシタは、第2抵抗素子の一端および第3抵抗素子の間に電気的に接続され、第3抵抗素子を介して接地されている。
【0015】
一つの例示的実施形態において、フィルタ回路は、電界効果トランジスタと、第2抵抗素子および第3抵抗素子と、第1キャパシタおよび第2キャパシタとを備える。第2抵抗素子の一端は、バイアス端子に電気的に接続される。第1キャパシタは、第2抵抗素子の一端および電界効果トランジスタのドレインの間に電気的に接続される。電界効果トランジスタのソースは、接地される。電界効果トランジスタのゲートは、第2指示信号を受ける。第3抵抗素子は、第2抵抗素子の一端および第2キャパシタの間に電気的に接続される。第2キャパシタを介して接地されている。
【0016】
一つの例示的実施形態において、制御回路は、第1電界効果トランジスタ、第2電界効果トランジスタ、第3電界効果トランジスタ、第4電界効果トランジスタ、第5電界効果トランジスタ、および第6電界効果トランジスタと、第4抵抗素子、第5抵抗素子、第6抵抗素子、および第7抵抗素子と、電流源とを備える。第1電界効果トランジスタのゲートには、外部から供給される基準信号が入力される。第2電界効果トランジスタのゲートには、増幅回路の出力信号に応じた信号が入力される。第1電界効果トランジスタのソースは、第4抵抗素子を介して電流源に電気的に接続される。第2電界効果トランジスタのソースは、第5抵抗素子を介して電流源に電気的に接続される。第3電界効果トランジスタのドレインは、第6抵抗素子を介して接地され、第2指示信号をフィルタ回路に出力する。第4電界効果トランジスタのドレインは、第7抵抗素子を介して接地され、第1指示信号をバイパス回路に出力する。第1電界効果トランジスタおよび第5電界効果トランジスタのそれぞれのドレインと第3電界効果トランジスタのゲートとは、互いに電気的に接続される。第2電界効果トランジスタおよび第6電界効果トランジスタのそれぞれのドレインと第4電界効果トランジスタのゲートとは、互いに電気的に接続される。第3電界効果トランジスタ、第4電界効果トランジスタ、第5電界効果トランジスタ、および第6電界効果トランジスタのそれぞれのソースは、互いに電気的に接続される。
【0017】
[例示的実施形態の詳細]
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0018】
図1を参照して、一つの例示実施形態に係る光受信器1の構成を説明する。光受信器1は、フォトダイオードPDと、トランスインピーダンス増幅回路APとを備える。トランスインピーダンス増幅回路APは、フィルタ回路FLと、増幅回路AMと、抵抗素子RF(第1抵抗素子)と、バイパス回路ACNと、制御回路AGCとを備える。トランスインピーダンス増幅回路APは、更に、出力回路BUFを備える。抵抗素子RFは、例えば550[Ω]程度の抵抗値を有し得る。
【0019】
フォトダイオードPDは、トランスインピーダンス増幅回路APに電気的に接続される。詳細には、フォトダイオードPDのアノードは、入力端子INを介して、増幅回路AMの入力に電気的に接続される。入力端子INは、フォトダイオードPDのアノードに接続される。
【0020】
フォトダイオードPDのカソードは、バイアス端子CTを介して、フィルタ回路FLに電気的に接続される。バイアス端子CTは、フォトダイオードPDのカソードに接続される。バイアス端子CTは、フォトダイオードPDの動作に必要なバイアス電圧をフォトダイオードPDに供給する。フォトダイオードPDは、バイアス電圧によって逆方向にバイアスされる。フォトダイオードPDは、外部の光導波路(光ファイバ)から光信号を受け、光信号を光電流に変換する。光電流は、トランスインピーダンス増幅回路APの入力端子INに入力される。
【0021】
バイパス回路ACNは、増幅回路AMの入力に電気的に接続される。バイパス回路ACNは、制御回路AGCに電気的に接続される。バイパス回路ACNは、増幅回路AMに入力する交流電流を低減するバイパス機能(第1機能)を有する。これは、例えば、入力端子INに入力された光電流の交流成分の一部がバイパス電流としてバイパス回路に流れ込むことによって行われる。すなわち、光電流からバイパス電流が除去されることで増幅回路AMに入力する交流電流は、光電流よりも減少する。バイパス回路ACNは、制御回路AGCから出力される利得制御電圧Vacn(第1指示信号)に応じて第1機能のオン・オフを切り替える。例えば、第1機能をオンするときは、入力端子INからバイパス回路ACNに向けてバイパス電流を流し(引き込み)、増幅回路AMに入力する交流電流を光電流よりも減少させる。第1機能をオフするときは、バイパス電流を流さず、増幅回路AMに入力する交流電流は光電流と等しくなる。
【0022】
バイパス回路ACNは、第1機能を実現するために、例えばMOS型電界効果トランジスタを備え得る。この場合、例えば、MOS型電界効果トランジスタのドレインは増幅回路AMの入力に電気的に接続され、MOS型電界効果トランジスタのゲートは制御回路AGCに電気的に接続される。なお、入力端子INは、増幅回路AMの入力に電気的に接続されているため、MOS型電界効果トランジスタのドレインは入力端子INに電気的に接続されている。MOS型電界効果トランジスタのソースは、例えば、グランドに電気的に接続される。MOS型電界効果トランジスタのゲートは、制御回路AGCから利得制御電圧Vacnを受ける。
【0023】
バイパス回路ACNのMOS型電界効果トランジスタが利得制御電圧Vacnによってオン状態になると、フォトダイオードPDの入力端子INから出力される交流電流の一部はバイパス電流としてバイパス回路ACNに流れ、増幅回路AMに入力する交流電流の振幅は光電流の振幅よりも低減される。この場合、バイパス回路ACNの第1機能は、オンとなる。このとき、増幅回路AMの入力に並列にMOS型電界効果トランジスタのオン抵抗が接続された状態となり、フォトダイオードPDから見たトランスインピーダンス増幅回路APの入力端子INの入力インピーダンスは、第1機能をオフしたときと比べて相対的に低くなる。
【0024】
バイパス回路ACNのMOS型電界効果トランジスタが利得制御電圧Vacnによってオフ状態になると、フォトダイオードPDのアノード端子から入力端子INに入力される光電流は、バイパス回路ACNには流れずにそのまま交流電流として増幅回路AMに入力する。この場合、バイパス回路ACNの第1機能は、オフとなる。このとき、MOS型電界効果トランジスタのドレイン・ソース間のインピーダンスは数十KΩ以上の高抵抗値となるため、フォトダイオードPDから見たトランスインピーダンス増幅回路APの入力端子INの入力インピーダンスは、第1機能をオンしたときと比べて相対的に高くなる。
【0025】
フォトダイオードPDの寄生インダクタンスおよび寄生容量による共振現象に対して、トランスインピーダンス増幅回路APの入力インピーダンスが大きくなると共振現象を抑制(ダンピング)する作用が強まり、トランスインピーダンス増幅回路APの入力インピーダンスが小さくなると共振現象を抑制(ダンピング)する作用が弱まる。従って、第1機能をオフしているときには、共振現象が抑えられていても、第1機能をオンしたときは、共振現象を抑制しきれない場合がある。
【0026】
フィルタ回路FLは、電源VPDに電気的に接続される。フィルタ回路FLは、ローパスフィルタを構成し、フォトダイオードPDの動作に必要なバイアス電圧を安定化してバイアス端子CTを介してフォトダイオードPDに供給する。フィルタ回路FLは、さらに制御回路AGCに電気的に接続される。フィルタ回路FLは、フォトダイオードPDを流れる共振現象を抑制するダンピング機能(第2機能)を有する。ここでいう共振現象は、上述のボンディングワイヤの有する寄生インダクタンスや信号配線の有する寄生容量がLC共振を起こすことによって生じる。フィルタ回路FLは、制御回路AGCから出力されるフィルタ制御電圧Vfc(第2指示信号)に応じて第2機能のオン・オフを切り替える。第2機能のオンとオフについては後述する。
【0027】
制御回路AGCは、増幅回路AMの出力、フィルタ回路FL、およびバイパス回路ACNのそれぞれに電気的に接続される。制御回路AGCは、増幅回路AMの出力信号に応じてフィルタ回路FLおよびバイパス回路ACNを制御する。
【0028】
詳細には、制御回路AGCは、増幅回路AMの出力電圧Vamout(出力信号)に基づいてバイパス回路ACNに第1機能のオンを指示する利得制御電圧Vacnを出力する場合には、フィルタ回路FLに第2機能のオンを指示するフィルタ制御電圧Vfcを出力する。
【0029】
制御回路AGCは、増幅回路AMの出力電圧Vamoutに基づいてバイパス回路ACNに第1機能のオフを指示する利得制御電圧Vacnを出力する場合には、フィルタ回路FLに第2機能のオフを指示するフィルタ制御電圧Vfcを出力する。
【0030】
出力回路BUFは、差動増幅器であり得る。出力回路BUFの差動入力の一方は、増幅回路AMの出力に電気的に接続される。出力回路BUFの差動入力の他方は、例えば、直流電源回路Vrefに電気的に接続される。出力回路BUFの差動出力の一方は、出力端子OUTpに電気的に接続される。出力回路BUFの差動出力の他方は、出力端子OUTnに電気的に接続される。出力回路BUFは、差動入力の一方と差動入力の他方との電圧差を増幅して差動出力の一方と差動出力の他方との電圧差として出力する。
【0031】
なお、トランスインピーダンス増幅回路APは、増幅回路AMと出力回路BUFとの間にさらに利得可変増幅回路を有していてもよい。
【0032】
図2に、増幅回路AMの具体的な回路構成の一例が示されている。増幅回路AMは、例えば反転増幅回路である。増幅回路AMは、トランジスタTam1およびトランジスタTam2と、抵抗素子R1および抵抗素子R2とを備える。トランジスタTam1およびトランジスタTam2は、例えばNPN型バイポーラトランジスタであり得る。抵抗素子R1および抵抗素子R2は、例えば300[Ω]程度の抵抗値を有し得る。
【0033】
トランジスタTam1のベースは、入力端子INに電気的に接続される。トランジスタTam1のエミッタは、接地される。トランジスタTam1のコレクタおよびトランジスタTam2のベースは、互いに電気的に接続される。トランジスタTam1のコレクタは、抵抗素子R1を介して電源VCC1に電気的に接続される。
【0034】
トランジスタTam2のコレクタは、電源VCC1に電気的に接続される。トランジスタTam2のエミッタは、抵抗素子R2を介して接地される。トランジスタTam2と抵抗素子R2はエミッタフォロワ回路を構成する。トランジスタTam2のエミッタは、制御回路AGCと、出力回路BUFの差動入力とに電気的に接続される。トランジスタTam2のエミッタから、出力電圧Vamoutが出力される。例えばトランジスタTam1のゲート電圧(すなわち増幅回路AMの入力電圧)が上昇してトランジスタTam1のコレクタ電流が増加すると、トランジスタTam1のコレクタ電圧は低下する。トランジスタTam1のコレクタ電圧は、エミッタフォロワ回路によって低電位側にレベルシフトされて出力電圧Vamoutとして出力される。従って、増幅回路AMの入力電圧が増加(上昇)すると、出力電圧Vamoutは減少(低下)する。反対に、増幅回路AMの入力電圧が減少(低下)すると、出力電圧Vamoutは増加(上昇)する。
【0035】
図1に示すフィルタ回路FLは、例えば図3に示すフィルタ回路FLa、図4に示すフィルタ回路FLb、および図5に示すフィルタ回路FLcの何れかであり得る。まず、図3を参照して、図1に示すフィルタ回路FLの一例を説明する。図3に示すフィルタ回路FLaは、図1に示すフィルタ回路FLの一例である。
【0036】
フィルタ回路FLaは、電界効果トランジスタTaと、抵抗素子Ra1(第2抵抗素子)および抵抗素子Ra2(第3抵抗素子)と、キャパシタCaとを備える。抵抗素子Ra1の一端は、バイアス端子CTに電気的に接続される。抵抗素子Ra1の他端は、電源VPDに電気的に接続される。電源VPDは、フォトダイオードPDにバイアス電圧を供給するための直流電源回路である。
【0037】
電界効果トランジスタTaのオン抵抗は、抵抗素子Ra2より十分小さい値に設定されている。従って、電界効果トランジスタTaをオンすることによってキャパシタCaとグランドとの間の電気抵抗を低減し得る。キャパシタCaとグランドとの間の電気抵抗は、電界効果トランジスタTaのオン抵抗と抵抗素子Ra2との合成抵抗となる。
【0038】
電界効果トランジスタTaは、例えばN型MOSトランジスタ(MOS:Metal Oxide Semiconductor)であり得る。
【0039】
キャパシタCaは、バイアス端子CTに電気的に接続されている抵抗素子Ra1の一端、および電界効果トランジスタTaのドレイン、の間に電気的に接続される。電界効果トランジスタTaのソースは、接地される。電界効果トランジスタTaのゲートには、フィルタ制御電圧Vfcが入力される。
【0040】
抵抗素子Ra2は、電界効果トランジスタTaのソースおよびドレインに対して並列に接続される。バイアス端子CTから見たフィルタ回路FLaの入力インピーダンスは、電界効果トランジスタTaのソース・ドレイン間の抵抗と抵抗素子Ra2の並列接続による電気抵抗を抵抗成分(ダンピング抵抗)として含む。
【0041】
電界効果トランジスタTaが、フィルタ制御電圧Vfcの電圧が閾値電圧よりも上昇することによって、オン状態になると、電界効果トランジスタTaのソース・ドレイン間の抵抗値は抵抗素子Ra2の抵抗値と同程度かそれよりも小さい値に減少し、ダンピング抵抗は抵抗素子Ra2の抵抗値よりも減少する。この場合、フィルタ回路FLaの第2機能は、オフになる。フィルタ回路FLaの第2機能がフィルタ制御電圧Vfcによってオフになっている場合には、バイパス回路ACNの第1機能は利得制御電圧Vacnによってオフになっている。
【0042】
電界効果トランジスタTaが、フィルタ制御電圧Vfcの電圧が閾値電圧よりも低くなることによって、オフ状態になると、電界効果トランジスタTaのソース・ドレイン間の抵抗値は増加して抵抗素子Ra2の抵抗値よりも数十倍以上に大きくなり、ダンピング抵抗は増加して抵抗素子Ra2の抵抗値にほぼ等しくなる。この場合、フィルタ回路FLaの第2機能は、オンになる。フィルタ回路FLaの第2機能がフィルタ制御電圧Vfcによってオンになっている場合には、バイパス回路ACNの第1機能は利得制御電圧Vacnによってオンになっている。
【0043】
従って、第2機能がオフになるときは、フィルタ回路FLaの入力インピーダンスに含まれる抵抗成分(ダンピング抵抗)が小さくなり、第2機能がオンになるとき、フィルタ回路FLaの入力インピーダンスに含まれる抵抗成分(ダンピング抵抗)は大きくなる。寄生インダクタンスと寄生容量による共振現象に対して、ダンピング抵抗は共振を弱める作用を有する。すなわち、ダンピング抵抗が大きくなると、共振現象を抑制する作用が強まり、ダンピング抵抗が小さくなると、共振現象を抑制する作用が弱まる。
【0044】
バイパス回路ACNの第1機能がオンするとき、トランスインピーダンス増幅回路APの入力インピーダンスが相対的に減少するため、共振現象を抑制する作用は弱まるが、フィルタ回路FLaの第2機能がオンすると、フィルタ回路FLaのダンピング抵抗は相対的に大きくなり、共振現象を抑制する作用は強まる。一方で、バイパス回路ACNの第1機能がオフするとき、トランスインピーダンス増幅回路APの入力インピーダンスが相対的に増加するため、共振現象を抑制する作用は強まるが、フィルタ回路FLaの第2機能がオフすると、フィルタ回路FLaのダンピング抵抗は相対的に小さくなり、共振現象を抑制する作用は弱まる。このように、バイパス回路ACNの第1機能とフィルタ回路FLaの第2機能を互いに連動させることで、常に共振現象を抑えることができる。
【0045】
図4を参照して、図1に示すフィルタ回路FLの他の一例を説明する。図4に示すフィルタ回路FLbは、図1に示すフィルタ回路FLの一例である。
【0046】
フィルタ回路FLbは、電界効果トランジスタTbと、抵抗素子Rb1(第2抵抗素子)および抵抗素子Rb2(第3抵抗素子)とを備える。フィルタ回路FLbは、キャパシタCb1(第1キャパシタ)およびキャパシタCb2(第2キャパシタ)を備える。電界効果トランジスタTbは、例えばN型MOSトランジスタであり得る。
【0047】
抵抗素子Rb1の一端は、バイアス端子CTに電気的に接続される。抵抗素子Rb1の他端は、電源VPDに電気的に接続される。
【0048】
キャパシタCb1は、バイアス端子CTに電気的に接続されている抵抗素子Rb1の一端、および電界効果トランジスタTbのドレイン、の間に電気的に接続される。電界効果トランジスタTbのソースは、接地される。電界効果トランジスタTbのゲートには、フィルタ制御電圧Vfcが入力される。
【0049】
キャパシタCb2は、バイアス端子CTに電気的に接続されている抵抗素子Rb1の一端、および抵抗素子Rb2、の間に電気的に接続される。キャパシタCb2は、抵抗素子Rb2を介して接地されている。
【0050】
電界効果トランジスタTbが、フィルタ制御電圧Vfcが電界効果トランジスタTbの閾値電圧よりも上昇することによって、オン状態になると、電界効果トランジスタTbのドレイン・ソース間の抵抗値は抵抗素子Rb2の抵抗値と同程度かそれよりも小さい値に減少し、バイアス端子CTから見たときのフィルタ回路FLbの入力インピーダンスが含む抵抗成分(ダンピング抵抗)は抵抗素子Rb2の抵抗値よりも減少する。この場合、フィルタ回路FLbの第2機能は、オフになる。フィルタ回路FLbの第2機能がフィルタ制御電圧Vfcによってオフになっている場合には、バイパス回路ACNの第1機能は利得制御電圧Vacnによってオフになっている。
【0051】
電界効果トランジスタTbが、フィルタ制御電圧Vfcが電界効果トランジスタTbの閾値電圧よりも低くなることによって、オフ状態になると、電界効果トランジスタTbのドレイン・ソース間の抵抗値が抵抗素子Ra2の抵抗値よりも数十倍以上に大きくなり、バイアス端子CTから見たときのフィルタ回路FLbの入力インピーダンスが含む抵抗成分(ダンピング抵抗)は増加して抵抗素子Rb2の抵抗値にほぼ等しくなる。この場合、フィルタ回路FLbの第2機能は、オンになる。フィルタ回路FLbの第2機能がフィルタ制御電圧Vfcによってオンになっている場合には、バイパス回路ACNの第1機能は利得制御電圧Vacnによってオンになっている。
【0052】
従って、第2機能がオフになるときは、フィルタ回路FLbの入力インピーダンスに含まれる抵抗成分(ダンピング抵抗)が小さくなり、第2機能がオンになるとき、フィルタ回路FLbの入力インピーダンスに含まれる抵抗成分(ダンピング抵抗)は大きくなる。寄生インダクタンスと寄生容量による共振現象に対して、ダンピング抵抗は共振を弱める作用を有する。すなわち、ダンピング抵抗が大きくなると、共振現象を抑制する作用が強まり、ダンピング抵抗が小さくなると、共振現象を抑制する作用が弱まる。
【0053】
バイパス回路ACNの第1機能がオンするとき、トランスインピーダンス増幅回路APの入力インピーダンスが相対的に減少するため、共振現象を抑制する作用は弱まるが、フィルタ回路FLbの第2機能がオンすると、フィルタ回路FLbのダンピング抵抗は相対的に大きくなり、共振現象を抑制する作用は強まる。一方で、バイパス回路ACNの第1機能がオフするとき、トランスインピーダンス増幅回路APの入力インピーダンスが相対的に増加するため、共振現象を抑制する作用は強まるが、フィルタ回路FLbの第2機能がオフすると、フィルタ回路FLbのダンピング抵抗は相対的に小さくなり、共振現象を抑制する作用は弱まる。このように、バイパス回路ACNの第1機能とフィルタ回路FLbの第2機能を互いに連動させることで、常に共振現象を抑えることができる。
【0054】
図5を参照して、図1に示すフィルタ回路FLの他の一例を説明する。図5に示すフィルタ回路FLcは、図1に示すフィルタ回路FLの一例である。
【0055】
フィルタ回路FLcは、電界効果トランジスタTcと、抵抗素子Rc1(第2抵抗素子)および抵抗素子Rc2(第3抵抗素子)とを備える。フィルタ回路FLcは、キャパシタCc1(第1キャパシタ)およびキャパシタCc2(第2キャパシタ)を備える。
【0056】
抵抗素子Rc1の一端は、バイアス端子CTに電気的に接続される。抵抗素子Rc1の他端は、電源VPDに電気的に接続される。
【0057】
キャパシタCc1は、バイアス端子CTに電気的に接続されている抵抗素子Rc1の一端、および電界効果トランジスタTcのドレイン、の間に電気的に接続される。
【0058】
電界効果トランジスタTcのソースは、接地される。電界効果トランジスタTcのゲートには、フィルタ制御電圧Vfcが入力される。
【0059】
抵抗素子Rc2は、バイアス端子CTに電気的に接続されている抵抗素子Rc1の一端、および第2キャパシタ、の間に電気的に接続される。抵抗素子Rc2は、キャパシタCc2を介して接地されている。
【0060】
電界効果トランジスタTcが、フィルタ制御電圧Vfcが電界効果トランジスタTcの閾値電圧よりも上昇することによって、オン状態になると、電界効果トランジスタTcのドレイン・ソース間の抵抗値は抵抗素子Rc2の抵抗値と同程度かそれよりも小さい値に減少し、バイアス端子CTから見たときのフィルタ回路FLcの入力インピーダンスが含む抵抗成分(ダンピング抵抗)は抵抗素子Rc2の抵抗値よりも減少する。この場合、フィルタ回路FLcの第2機能は、オフになる。フィルタ回路FLcの第2機能がフィルタ制御電圧Vfcによってオフになっている場合には、バイパス回路ACNの第1機能は利得制御電圧Vacnによってオフになっている。
【0061】
電界効果トランジスタTcが、フィルタ制御電圧Vfcが電界効果トランジスタTcの閾値電圧よりも低くなることによって、オフ状態になると、電界効果トランジスタTcのドレイン・ソース間の抵抗値が抵抗素子Ra2の抵抗値よりも数十倍以上に大きくなり、バイアス端子CTから見たときのフィルタ回路FLcの入力インピーダンスが含む抵抗成分(ダンピング抵抗)は増加する。この場合、フィルタ回路FLcの第2機能は、オンになる。フィルタ回路FLcの第2機能がフィルタ制御電圧Vfcによってオンになっている場合には、バイパス回路ACNの第1機能は利得制御電圧Vacnによってオンになっている。
【0062】
従って、第2機能がオフになるときは、フィルタ回路FLcの入力インピーダンスに含まれる抵抗成分(ダンピング抵抗)が小さくなり、第2機能がオンになるとき、フィルタ回路FLcの入力インピーダンスに含まれる抵抗成分(ダンピング抵抗)は大きくなる。寄生インダクタンスと寄生容量による共振現象に対して、ダンピング抵抗は共振を弱める作用を有する。すなわち、ダンピング抵抗が大きくなると、共振現象を抑制する作用が強まり、ダンピング抵抗が小さくなると、共振現象を抑制する作用が弱まる。
【0063】
バイパス回路ACNの第1機能がオンするとき、トランスインピーダンス増幅回路APの入力インピーダンスが相対的に減少するため、共振現象を抑制する作用は弱まるが、フィルタ回路FLcの第2機能がオンすると、フィルタ回路FLcのダンピング抵抗は相対的に大きくなり、共振現象を抑制する作用は強まる。一方で、バイパス回路ACNの第1機能がオフするとき、トランスインピーダンス増幅回路APの入力インピーダンスが相対的に増加するため、共振現象を抑制する作用は強まるが、フィルタ回路FLcの第2機能がオフすると、フィルタ回路FLbのダンピング抵抗は相対的に小さくなり、共振現象を抑制する作用は弱まる。このように、バイパス回路ACNの第1機能とフィルタ回路FLcの第2機能を互いに連動させることで、常に共振現象を抑えることができる。
【0064】
図6および図7を参照して、制御回路AGCの構成の一例について説明する。制御回路AGCは、一例として、図6に示すように、ピーク検出回路PMON、平均値検出回路AMON、演算増幅器OP、電圧生成回路GENを備え得る。
【0065】
ピーク検出回路PMON、平均値検出回路AMONは、増幅回路AMの出力に電気的に接続されている。電圧生成回路GENは、フィルタ回路FL、バイパス回路ACNに電気的に接続されている。制御回路AGCに入力する出力電圧Vamoutは、ピーク検出回路PMONと平均値検出回路AMONとに入力される。ピーク検出回路PMONと平均値検出回路AMONのぞれぞれの入力インピーダンスは、増幅回路AMの出力インピーダンスよりも十分に大きい値に設定されている。ピーク検出回路PMON及び平均値検出回路AMONのそれぞれから出力される信号は、演算増幅器OPの差動入力に入力し、演算増幅器OPによって増幅され、振幅依存電位Vampとしてとして演算増幅器OPから出力される。
【0066】
振幅依存電位Vampは、電圧生成回路GENに入力する。振幅依存電位Vampが電圧生成回路GENに入力することによって、電圧生成回路GENからフィルタ制御電圧Vfc及び利得制御電圧Vacnが出力される。
【0067】
ピーク検出回路PMONは、出力電圧Vamoutのピーク値を検出する。ピーク検出回路PMONは、ピーク値の検出結果を示す信号を、演算増幅器OPの差動入力の一方に出力する。
【0068】
平均値検出回路AMONは、出力電圧Vamoutの平均値を検出する。この平均値は、時間に対する平均値であって、例えば出力電圧Vamoutの直流成分に相当する。平均値検出回路AMONは、平均値の検出結果を示す信号を、演算増幅器OPの差動入力の他方に出力する。
【0069】
演算増幅器OPは、ピーク検出回路PMONから出力される信号(ピーク値を示す信号)と平均値検出回路AMONから出力される信号(平均値を示す信号)とに基づいて、出力電圧Vamoutの大きさを示す振幅依存電位Vampを電圧生成回路GENに出力する。
【0070】
振幅依存電位Vampは、増幅回路AMの出力電圧Vamoutに応じた電圧を有する。
【0071】
電圧生成回路GENは、振幅依存電位Vampを受けて、フィルタ制御電圧Vfcをフィルタ回路FLに出力し、利得制御電圧Vacnをバイパス回路ACNに出力する。電圧生成回路GENから出力されるフィルタ制御電圧Vfcは、図7に示すように、電圧生成回路GENの電界効果トランジスタT3のドレインから出力される。電圧生成回路GENから出力される利得制御電圧Vacnは、図7に示すように、電圧生成回路GENの電界効果トランジスタT4のドレインから出力される。
【0072】
電圧生成回路GENは、電界効果トランジスタT1(第1電界効果トランジスタ)、電界効果トランジスタT2(第2電界効果トランジスタ)を備える。電圧生成回路GENは、電界効果トランジスタT3(第3電界効果トランジスタ)、電界効果トランジスタT4(第4電界効果トランジスタ)を備える。電圧生成回路GENは、電界効果トランジスタT5(第5電界効果トランジスタ)、および電界効果トランジスタT6(第6電界効果トランジスタ)を備える。
【0073】
電圧生成回路GENは、抵抗素子Re1(第4抵抗素子)、および抵抗素子Re2(第5抵抗素子)を備える。電圧生成回路GENは、抵抗素子Rfc(第6抵抗素子)、および抵抗素子Racn(第7抵抗素子)を備える。電圧生成回路GENは、電流源CSを備える。
【0074】
電界効果トランジスタT1および電界効果トランジスタT2は、例えばN型MOSトランジスタであり得る。電界効果トランジスタT3、電界効果トランジスタT4、電界効果トランジスタT5、および電界効果トランジスタT6は、例えばP型MOSトランジスタであり得る。
【0075】
電界効果トランジスタT1のゲートには、外部から供給される一定電位Vstが入力される。電界効果トランジスタT2のゲートには、増幅回路AMの出力電圧Vamoutに応じた振幅依存電位Vampが入力される。
【0076】
電界効果トランジスタT1のソースは、抵抗素子Re1を介して電流源CSに電気的に接続される。電界効果トランジスタT2のソースは、抵抗素子Re2を介して電流源CSに電気的に接続される。
【0077】
電界効果トランジスタT3のドレインは、抵抗素子Rfcを介して接地される。電界効果トランジスタT3のソースは、電源VCC2に電気的に接続される。電源VCC2は、電源電圧Vcc2を電圧生成回路GENに供給する。電界効果トランジスタT3と抵抗素子Rfcは、電界効果トランジスタT3のゲートを入力とし、電界効果トランジスタT3のドレインを出力とする反転回路を構成する。電界効果トランジスタT3のドレインは、フィルタ制御電圧Vfcをフィルタ回路FLに出力する。電源電圧Vcc2を基準電位として、例えば電界効果トランジスタT1のドレイン電圧が電界効果トランジスタT3の閾値電圧よりも小さくなると電界効果トランジスタT1はオンして、抵抗素子Rfcにドレイン電流が流れてVfcは接地電位を基準として大きくなる。電源電圧Vcc2を基準電位として、例えば電界効果トランジスタT1のドレイン電圧が電界効果トランジスタT3の閾値電圧よりも大きくなると電界効果トランジスタT1はオフして、ドレイン電流は遮断されてVfcは接地電位を基準として小さくなる(0Vに近い値となる)。電界効果トランジスタT4のドレインは、抵抗素子Racnを介して接地される。電界効果トランジスタT4のソースは、電源VCC2に電気的に接続される。電界効果トランジスタT4と抵抗素子Racnは、電界効果トランジスタT4のゲートを入力とし、電界効果トランジスタT4のドレインを出力とする反転回路を構成する。電界効果トランジスタT4のドレインは、利得制御電圧Vacnをバイパス回路ACNに出力する。電源電圧Vcc2を基準電位として、例えば電界効果トランジスタT2のドレイン電圧が電界効果トランジスタT4の閾値電圧よりも小さくなると電界効果トランジスタT4はオンして、抵抗素子Racnにドレイン電流が流れてVacnは接地電位を基準として大きくなる。電源電圧Vcc2を基準電位として、例えば電界効果トランジスタT2のドレイン電圧が電界効果トランジスタT4の閾値電圧よりも大きくなると電界効果トランジスタT4はオフして、ドレイン電流は遮断されてVacnは接地電位を基準として小さくなる(0Vに近い値となる)。
【0078】
利得制御電圧Vacnの電圧値を、Vg1[V]と称する場合があり、フィルタ制御電圧Vfcの電圧値を、Vg2[V]と称する場合がある。Vg1[V]およびVg2[V]は、例えば、Vg1=2.2-Vg2[V]の関係を満たす場合がある。この場合、例えばVamp<VstのときVg1=1.2[V]且つVg2=1.0[V]、または、例えばVamp>VstのときVg1=2.0[V]且つVg2=0.2[V]、であり得る。それら2つの場合について、バイパス回路ACNをn型MOS型電界効果トランジスタによって構成するとき、そのn型MOS型電界効果トランジスタの閾値電圧を適当な値に設定することによって、Vg1=2.0[V]且つVg2=0.2[V]の場合、バイパス回路ACNによる光電流の交流成分からのバイパス電流の引き抜きは行われ、Vg1=1.2[V]且つVg2=1.0[V]の場合、バイパス回路ACNによる光電流の交流成分からのバイパス電流の引き抜きは行われないようにすることができる。
【0079】
電界効果トランジスタT1および電界効果トランジスタT5のそれぞれのドレインと電界効果トランジスタT3のゲートとは、互いに電気的に接続される。電界効果トランジスタT2および電界効果トランジスタT6のそれぞれのドレインと電界効果トランジスタT4のゲートとは、互いに電気的に接続される。電界効果トランジスタT3、電界効果トランジスタT4、電界効果トランジスタT5、および電界効果トランジスタT6のそれぞれのソースは、互いに電気的に接続され、電源VCC2に電気的に接続される。電源VCC2は、電界効果トランジスタT3、電界効果トランジスタT4、電界効果トランジスタT5、および電界効果トランジスタT6に電源電圧Vcc2を供給する。
【0080】
なお、抵抗素子Rfcおよび抵抗素子Racnは、ダイオードであり得る。この場合、利得制御電圧Vacnおよびフィルタ制御電圧Vfcに対し、直流電圧のオフセットが、比較的に容易に付与され得る。
【0081】
図8図9、および図10を参照して、光受信器1の動作を説明する。図8には帯域特性が示されており、図9には利得(トランスインピーダンス利得)特性が示されており、図10には群遅延特性が示されている。
【0082】
図8において、横軸はVg1[V](利得制御電圧Vacnの電圧値)を表し、縦軸は光受信器1の帯域を表す。図9において、横軸はフォトダイオードPDから増幅回路AMに入力する光電流の周波数[GHz]を表し、縦軸はトランスインピーダンス増幅回路APによる利得[dBΩ]を表す。図10において、横軸はフォトダイオードPDから増幅回路AMに入力する光電流の周波数[GHz]を表し、縦軸はトランスインピーダンス増幅回路APから出力される信号の群遅延[psec]を表す。
【0083】
図8に示す曲線GA1、図9に示す曲線GA21、曲線GA22、図10に示す曲線GA31、曲線GA32は、何れも、図3に示す構成のフィルタ回路FLaが用いられた場合の結果である。特に、曲線GA21及び曲線GA31は、Vg1=1.2[V]且つVg2=1.0[V]の場合(バイパス回路ACNによるバイパス電流の引き抜きが行われない場合)の結果である。曲線GA22及び曲線GA32は、Vg1=2.0[V]且つVg2=0.2[V]の場合(バイパス回路ACNによるバイパス電流の引き抜きが行われる場合)の結果である。
【0084】
図8に示す曲線GB1、図9に示す曲線GB21、曲線GB22、図10に示す曲線GB31、曲線GB32は、何れも、図3に示す構成のうち電界効果トランジスタTaおよび抵抗素子Ra2が除かれキャパシタCaが直接に接地されている構成(比較例1)のフィルタ回路が用いられた場合の結果である。特に、曲線GB21及び曲線GB31は、何れもVg1=1.2[V]且つVg2=1.0[V]の場合(バイパス回路ACNによるバイパス電流の引き抜きが行われない場合)の結果である。曲線GB22及び曲線GB32は、何れもVg1=2.0[V]且つVg2=0.2[V]の場合(バイパス回路ACNによるバイパス電流の引き抜きが行われる場合)の結果である。
【0085】
図8に示す曲線GC1、図9に示す曲線GC21、曲線GC22、図10に示す曲線GC31、曲線GC32は、何れも、図3に示す構成のうち電界効果トランジスタTaが除かれた構成(比較例2)のフィルタ回路が用いられた場合の結果である。特に、曲線GC21及び曲線GC31は、何れもVg1=1.2[V]且つVg2=1.0[V]の場合(バイパス回路ACNによるバイパス電流の引き抜きが行われない場合)の結果である。曲線GC22及び曲線GC32は、何れもVg1=2.0[V]且つVg2=0.2[V]の場合(バイパス回路ACNによるバイパス電流の引き抜きが行われる場合)の結果である。
【0086】
図8に示す結果によれば、曲線GC1の場合(図3に示す構成のうち電界効果トランジスタTaが除かれた構成のフィルタ回路が用いられた場合)に帯域が最も狭くVg1(利得制御電圧Vacnの電圧値)に対する依存性が最も大きいので、曲線GA1及び曲線GB1の場合の方が曲線GC1の場合よりも帯域性の点において比較的に良好である。しかし、図9及び図10の各々に示す結果によれば、曲線GB22の場合に比較的に大きな共振ピークが利得において生じ、更に、曲線GB32の場合にも比較的に大きな共振ピークが群遅延において生じている。利得及び群遅延におけるこのような共振ピークは、信号品質の劣化を招くため望ましくない。曲線GB22、曲線GB32の各々の場合は、何れも、図3に示す構成のうち電界効果トランジスタTaおよび抵抗素子Ra2が除かれキャパシタCaが直接に接地されている構成のフィルタ回路が用いられた構成に対してバイパス回路ACNによるバイパス電流の引き抜きが行われた場合である。
【0087】
これに対し、曲線GA1、曲線GA21、曲線GA22、曲線GA31、曲線GA32のそれぞれに示す場合(図3に示す構成のフィルタ回路FLaが用いられた場合)には、バイパス電流引き抜きの有無によらずに大きな共振ピークの発生が抑制され、かつ広帯域となっている。このように、図3に示す構成のフィルタ回路FLa(フィルタ回路FL)が用いられた本開示に係る構成の光受信器1は、帯域特性、利得特性、及び群遅延特性に優れている。図4に示すフィルタ回路FLb、図5に示すフィルタ回路FLcの各々においても、同様の効果が確認されている。
【0088】
入力と出力との間の線形性を維持するために増幅回路AMに入力する交流電流を低減する場合には、入力インピーダンスが低減されるので寄生インダクタンスと寄生容量による共振現象に対するダンピングも低減される。しかし、本開示の構成を有する光受信器1によれば、寄生インダクタンスと寄生容量による共振現象がフィルタ回路FLによって低減され、寄生インダクタンスと寄生容量による共振現象に起因する周波数応答特性の劣化が抑制され得る。
【0089】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0090】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0091】
1…光受信器、ACN…バイパス回路、AGC…制御回路、AM…増幅回路、AMON…平均値検出回路、AP…トランスインピーダンス増幅回路、BUF…出力回路、Ca,Cb1,Cb2,Cc1,Cc2…キャパシタ、CS…電流源、CT…バイアス端子、FL,FLa,FLb,FLc…フィルタ回路、GA1,GA21,GA22,GA31,GA32,GB1,GB21,GB22,GB31,GB32,GC1,GC21,GC22,GC31,GC32…曲線、GEN…電圧生成回路、IN…入力端子、OP…演算増幅器、OUTn,OUTp…出力端子、PD…フォトダイオード、PMON…ピーク検出回路、R1,R2,Ra1,Ra2,Rb1,Rb2,Rc1,Rc2,Racn,Re1,Re2,RF,Rfc…抵抗素子、Tam1,Tam2…トランジスタ、T1,T2,T3,T4,T5,T6,Ta,Tb,Tc…電界効果トランジスタ、Vacn…利得制御電圧、Vamp…振幅依存電位、VCC1,VCC2…電源、Vfc…フィルタ制御電圧、VPD…電源、Vref…直流電源回路、Vst…一定電位、Vamout…出力電圧。
図1
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