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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】画像形成装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 35/00 20210101AFI20231114BHJP
   G02B 30/27 20200101ALI20231114BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G03B35/00 A
G02B30/27
G03G15/04 111
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019204049
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2021076742
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八嶋 俊
(72)【発明者】
【氏名】野本 大貴
(72)【発明者】
【氏名】石崎 智也
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-134758(JP,A)
【文献】特開2010-250143(JP,A)
【文献】特開2007-065441(JP,A)
【文献】特開平06-051405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 35/00
G02B 30/27
G03G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザがパターン画像を伴うレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、それにより把握される線状パターンに基づいて前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像の位置ずれを検出可能である当該パターン画像を形成する画像形成部を備え、
前記パターン画像は、
濃淡が異なる2以上の画像からなり前記レンチキュラーレンズシートのレンズ周期の長さを有する組画像を、前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向に並べて配置した周期画像を含み、
前記周期画像が前記レンチキュラーレンズシートのレンズ長手方向に並べて配置され、前記各周期画像が前記レンズ長手方向に沿って前記レンズ周期未満の距離で徐々に前記レンズ短手方向にずれて配置されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記パターン画像は、
前記各周期画像に対応づけて配置された、前記画像形成部を調整可能な調整値を含む、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記パターン画像が形成されたレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視することで把握される、同じ濃度で延びる線状パターンのレンズ短手方向の複数箇所のそれぞれにおける前記調整値が入力される入力部をさらに含み、
前記入力部が受け付けた各調整値に基づいて、前記画像形成部が調整される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成部は、電子写真方式で画像形成を行う部分であり、感光体ドラムに静電潜像を形成する露光器を含み、
前記調整値は、前記露光器を調整可能な値である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置であって、
前記パターン画像が形成されたレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視することで把握される、同じ濃度で延びる線状パターンのレンズ短手方向の複数箇所のそれぞれにおける前記調整値が入力される入力部をさらに含み、
前記入力部が受け付けた各調整値に基づいて、前記露光器が制御される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記入力部が受け付けた各調整値に基づいて、前記露光器に入力される画像情報が変更される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記入力部が受け付けた各調整値に基づいて、前記露光器の制御信号が変更される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成部は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのそれぞれの色毎に、レンチキュラーレンズシートに前記パターン画像を形成する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記組画像は、黒の塗り潰し画像を含む、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
ユーザがパターン画像を伴うレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、それにより把握される線状パターンに基づいて前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像の位置ずれを検出する方法であって、
前記パターン画像は、濃淡が異なる2以上の画像からなり前記レンチキュラーレンズシートのレンズ周期の長さを有する組画像を、前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向に並べて配置した周期画像を含み、前記周期画像が前記レンチキュラーレンズシートのレンズ長手方向に並べて配置され、前記各周期画像が前記レンズ長手方向に沿って前記レンズ周期未満の距離で徐々に前記レンズ短手方向にずれて配置されており、前記パターン画像は、前記各周期画像に対応づけて配置された調整値を含み、
前記パターン画像を画像形成装置により前記レンチキュラーレンズシートに画像形成するステップと、
ユーザが前記パターン画像が形成された前記レンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、同じ濃度で延びる線状パターンの前記レンズ短手方向の複数箇所のそれぞれにおける前記調整値を取得するステップと、
ユーザが前記画像形成装置の入力部に、前記取得した、前記画像形成装置を調整可能な前記調整値を入力するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
ユーザがパターン画像を伴うレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、それにより把握される線状パターンに基づいて前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像の位置ずれを検出する方法であって、
前記パターン画像は、濃淡が異なる2以上の画像からなり前記レンチキュラーレンズシートのレンズ周期の長さを有する組画像を、前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向に並べて配置した周期画像を含み、前記周期画像が前記レンチキュラーレンズシートのレンズ長手方向に並べて配置され、前記各周期画像が前記レンズ長手方向に沿って前記レンズ周期未満の距離で徐々に前記レンズ短手方向にずれて配置されており、前記パターン画像は、前記各周期画像に対応づけて配置された調整値を含み、
前記パターン画像を画像形成装置により印刷媒体に画像形成するステップと、
ユーザが前記パターン画像が形成された前記印刷媒体の上に前記レンチキュラーレンズシートを載せるステップと、
ユーザが前記レンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、同じ濃度で延びる線状パターンの前記レンズ短手方向の複数箇所のそれぞれにおける前記調整値を取得するステップと、
ユーザが前記画像形成装置の入力部に、前記取得した、前記画像形成装置を調整可能な前記調整値を入力するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平面の画像に遠近感、立体感、動作変化などを視認させるレンチキュラー印刷物が知られている。レンチキュラー印刷物は、例えば複数の視差画像のそれぞれから切り取った複数の短冊状の画像を集めてなる集合画像が、レンチキュラーレンズシートの各レンズの位置に合わせて配置されている。レンチキュラーレンズシートのレンズ長手方向に長い短冊状の画像を、レンズ短手方向に並べた構成である。
【0003】
レンチキュラー印刷物の製造方法には、レンチキュラーレンズシートに直接、画像を形成する形態と、画像が形成された画像シートをレンチキュラーレンズシートに貼り合わせる形態などがある。なお、レンチキュラーレンズシートは、レンチキュラースクリーン、レンチキュラー板、レンチキュラーシート、レンズシート等とも呼ばれ、レンチキュラーレンズシートのレンズは、シリンドリカルレンズ等とも呼ばれる。
【0004】
特許文献1には、レンチキュラーシートと貼り合わせることにより立体視または画像の変化が可能な、シリンドリカルレンズのそれぞれに対応する、複数の短冊状の画像からなる画像単位(集合画像に相当)が複数並べられてなる合成画像が付与される画像シートであって、合成画像が付与される画像領域と、レンチキュラーシートと位置合わせを行うための調整パターンが付与されるパターン領域とを有する画像シートが開示されている。
【0005】
特許文献2には、シリンドリカルレンズが並設されてなるレンチキュラー板と、複数枚の視差を有する画像が合成されてなる合成画像とを貼り合わせてレンチキュラー表示体を構成するにあたって、合成画像上の特定の位置に、貼り合わせるシリンドリカルレンズの長手方向に延びる直線を配置し、レンチキュラー板を通して合成画像を観察する際、直線が特定の状態となった場合に両者の位置合わせが正しいと判断し、両者を固着させるレンチキュラー表示体の貼り合わせ方法が開示されている。
【0006】
特許文献3には、レンチキュラースクリーンと印刷物とを貼り合わせた構造のレンチキュラー印刷物の製造方法であって、所定幅の直線を所定間隔で平行に配列したパターンを有するゲージを印刷物に印刷し、レンチキュラースクリーンを透過して得るゲージの画像に基づいて印刷物とレンチキュラースクリーンとの位置合わせを行う製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-250143号公報
【文献】特開平11-15086号公報
【文献】特開平11-352441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、画像形成装置によりレンチキュラーレンズシートに直接、またはレンチキュラーレンズシートに貼り合わされる画像シートに画像が形成される際に、レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像の位置がずれることがある。位置ずれが発生した際には、レンチキュラー印刷物から所望の像を視認できなくなる。そのため、画像形成装置に起因するレンズ短手方向の画像位置ずれを検知することが望まれている。
【0009】
本発明の目的は、画像形成装置に起因するレンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像位置ずれを検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、ユーザがパターン画像を伴うレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、それにより把握される線状パターンに基づいて前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像の位置ずれを検出可能である当該パターン画像を形成する画像形成部を備え、前記パターン画像は、濃淡が異なる2以上の画像からなり前記レンチキュラーレンズシートのレンズ周期の長さを有する組画像を、前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向に並べて配置した周期画像を含み、前記周期画像が前記レンチキュラーレンズシートのレンズ長手方向に並べて配置され、前記各周期画像が前記レンズ長手方向に沿って前記レンズ周期未満の距離で徐々に前記レンズ短手方向にずれて配置されている、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記パターン画像は、前記各周期画像に対応づけて配置された、前記画像形成部を調整可能な調整値を含む、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記パターン画像が形成されたレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視することで把握される、同じ濃度で延びる線状パターンのレンズ短手方向の複数箇所のそれぞれにおける前記調整値が入力される入力部をさらに含み、前記入力部が受け付けた各調整値に基づいて、前記画像形成部が調整される、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記画像形成部は、電子写真方式で画像形成を行う部分であり、感光体ドラムに静電潜像を形成する露光器を含み、前記調整値は、前記露光器を調整可能な値である、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の画像形成装置であって、前記パターン画像が形成されたレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視することで把握される、同じ濃度で延びる線状パターンのレンズ短手方向の複数箇所のそれぞれにおける前記調整値が入力される入力部をさらに含み、前記入力部が受け付けた各調整値に基づいて、前記露光器が制御される、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の画像形成装置であって、前記入力部が受け付けた各調整値に基づいて、前記露光器に入力される画像情報が変更される、ことを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載の画像形成装置であって、前記入力部が受け付けた各調整値に基づいて、前記露光器の制御信号が変更される、ことを特徴とするものである。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、前記画像形成部は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのそれぞれの色毎に、レンチキュラーレンズシートに前記パターン画像を形成する、ことを特徴とするものである。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、前記組画像は、黒の塗り潰し画像を含む、ことを特徴とするものである。
【0019】
請求項10に係る発明は、ユーザがパターン画像を伴うレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、それにより把握される線状パターンに基づいて前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像の位置ずれを検出する方法であって、前記パターン画像は、濃淡が異なる2以上の画像からなり前記レンチキュラーレンズシートのレンズ周期の長さを有する組画像を、前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向に並べて配置した周期画像を含み、前記周期画像が前記レンチキュラーレンズシートのレンズ長手方向に並べて配置され、前記各周期画像が前記レンズ長手方向に沿って前記レンズ周期未満の距離で徐々に前記レンズ短手方向にずれて配置されており、前記パターン画像は、前記各周期画像に対応づけて配置された調整値を含み、前記パターン画像を画像形成装置により前記レンチキュラーレンズシートに画像形成するステップと、ユーザが前記パターン画像が形成された前記レンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、同じ濃度で延びる線状パターンの前記レンズ短手方向の複数箇所のそれぞれにおける前記調整値を取得するステップと、ユーザが前記画像形成装置の入力部に、前記取得した、前記画像形成装置を調整可能な前記調整値を入力するステップと、を含む方法である。
【0020】
請求項11に係る発明は、ユーザがパターン画像を伴うレンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、それにより把握される線状パターンに基づいて前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像の位置ずれを検出する方法であって、前記パターン画像は、濃淡が異なる2以上の画像からなり前記レンチキュラーレンズシートのレンズ周期の長さを有する組画像を、前記レンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向に並べて配置した周期画像を含み、前記周期画像が前記レンチキュラーレンズシートのレンズ長手方向に並べて配置され、前記各周期画像が前記レンズ長手方向に沿って前記レンズ周期未満の距離で徐々に前記レンズ短手方向にずれて配置されており、前記パターン画像は、前記各周期画像に対応づけて配置された調整値を含み、前記パターン画像を画像形成装置により印刷媒体に画像形成するステップと、ユーザが前記パターン画像が形成された前記印刷媒体の上に前記レンチキュラーレンズシートを載せるステップと、ユーザが前記レンチキュラーレンズシートをレンズ側から目視し、同じ濃度で延びる線状パターンの前記レンズ短手方向の複数箇所のそれぞれにおける前記調整値を取得するステップと、ユーザが前記画像形成装置の入力部に、前記取得した、前記画像形成装置を調整可能な前記調整値を入力するステップと、を含む方法である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、パターン画像がレンチキュラーレンズシートに直接、形成された場合にはそのまま、パターン画像がレンチキュラーレンズシートとは別の印刷媒体に形成された場合にはその印刷媒体にレンチキュラーレンズシートが載せられた際に、画像形成装置に起因するレンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像位置ずれが検出される。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、画像形成部を調整可能な調整値が確認される。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、レンズシートのレンズ短手方向の複数箇所で画像形成部の画像形成位置が調整される。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、露光器を調整可能な調整値が確認される。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、レンズシートのレンズ短手方向の複数箇所で露光器の静電潜像の形成位置が調整される。
【0026】
請求項6、7に係る発明によれば、レンズシートのレンズ短手方向の複数箇所で露光器の静電潜像の形成位置が変更される。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、色毎にレンチキュラーレンズシートのレンズ短手方向の画像位置ずれが検出される。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、レンチキュラーレンズシートのレンズ側において、黒色に延びる線状パターンが視認される。
【0029】
請求項10、11に係る発明によれば、レンズシートのレンズ短手方向の複数箇所で画像形成位置が調整される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】画像形成装置の構成を示す模式図である。
図2】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図3】検出器の配置を模式的に示す図である。
図4】露光器が感光体ドラムにレーザ光を主走査する様子を示す図である。
図5】主走査露光位置のずれ量の一例を示す図である。
図6】レンチキュラーレンズシートの一部を示す図である。
図7】レンチキュラーレンズシートに対する視点の変化による焦点の変化を示す図である。
図8】露光器の補正方法の手順を示すフローチャートである。
図9】パターン画像の一部を示す図である。
図10】パターン画像を説明するための図である。
図11】パターン画像の全体を概略的に示す図である。
図12】画像ずれがない場合のレンズシートのレンズ側から視認される線状パターンの一例を示す図である。
図13】画像ずれがある場合のレンズシートのレンズ側から視認される線状パターンの一例を示す図である。
図14】操作画面の一例を示す図である。
図15】別のレンチキュラーレンズシートの一部を示す図である。
図16】露光器の別の補正方法の手順を示すフローチャートである。
図17】別のパターン画像の全体を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下で述べる構成は説明のための例示であって、装置の仕様、レンチキュラーレンズシートの形態等に応じて適宜変更が可能である。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。全ての図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
本発明に係る実施形態は、レンチキュラーレンズシート(以下、レンズシートとも言う)に画像を形成する画像形成装置を補正するものであり、具体的には、画像形成装置の露光器の主走査方向の静電潜像の位置ずれ(画像位置ずれとも言う)を補正するものである。これは、レンズシートに画像形成装置でパターン画像を形成し、操作者がレンズシートのレンズ側からパターン画像を目視し、それにより把握される線状パターンに基づいてパターン画像に含まれる調整値を読み取り(取得するとも言う)、画像形成装置の操作部(入力部とも言う)に読み取った調整値を入力することにより行う。
【0033】
図1は、本発明に係る実施形態における画像形成装置10の構成を示す模式図である。画像形成装置10は、装置外部から画像データを受け付ける。受け付けた画像データは、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色の画像データ(以下、ラスタデータと言う)に変換され、各色のラスタデータは、各色に対応した画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cの露光器(露光装置とも言う)14K、14Y、14M、14Cへ送られる。なお、図面及び以下の説明においては、黒の画像に係わるものについては符号の末尾にKを付し、イエローの画像に係わるものについては符号の末尾にYを付し、マゼンタの画像に係わるものについては符号の末尾にMを付し、シアンの画像に係わるものについては符号の末尾にCを付している。
【0034】
画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cは、黒、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を形成するユニットである。なお、各画像形成ユニットは、その構成がすべて同様となっているため、個々を区別する必要の無い場合は、K、Y、M、Cの符号を付すのを省略することがある。以下では、画像形成ユニット13Kを中心に説明をする。
【0035】
画像形成ユニット13Kは、大別して、所定の回転速度で回転する感光体ドラム15Kと、感光体ドラム15Kの表面を一様に帯電する帯電器16Kと、感光体ドラム15Kの表面に黒色のラスタデータに対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光器14K(露光装置とも言う)と、感光体ドラム15K上に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像器17Kと、感光体ドラム15K上のトナーを除去するクリーニング装置18Kとを含んで構成されている。つまり、画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cは、露光器14により感光体ドラム15上に形成された静電潜像を現像して印刷媒体34に複数色の画像を形成する画像形成手段として機能する。
【0036】
露光器14Kは、黒色のラスタデータに応じてレーザ装置19からレーザ光を出力する。レーザ装置19から出力されたレーザ光は、側面に複数の反射面が設けられて回転する正多角形状のポリゴン鏡22へ反射鏡20、21によって案内され、ポリゴン鏡22によって反射される。また、回転するポリゴン鏡22によって反射した光は、再び反射鏡21及び複数枚の反射鏡23、24を介して像保持体である感光体ドラム15K上に走査され、これにより感光体ドラム15Kの表面に静電潜像が形成される。そして、各感光体ドラム15K、15Y、15M、15Cに形成された静電潜像は、現像器17K、17Y、17M、17Cによって、それぞれ黒、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー像として現像される。つまり、各色に対応した露光器14は、予め定められた複数色毎に設けられ、供給されるラスタデータに従って光を主走査方向に走査して感光体ドラム15上に静電潜像を形成する。
【0037】
各感光体ドラム15K、15Y、15M、15C上に形成された黒、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー像は、各画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cの下方に配置された中間転写ベルト25上に、一次転写ロール26K、26Y、26M、26Cによって多重に転写される。中間転写ベルト25は、複数のロールの間に一定の張力を掛けられて掛け回されており、回転駆動されるロールにより、矢印方向に所定の速度で循環駆動される。中間転写ベルト25としては、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0038】
中間転写ベルト25上に多重に転写された黒、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー像は、ロール31側へ押しつけられている2次転写ロール33によって、印刷媒体34に2次転写され、各色のトナー像が転写された印刷媒体34は、2連の搬送ベルト35、36によって定着器37へと搬送される。そして、上記各色のトナー像が転写された印刷媒体34は、定着器37によって熱及び圧力で定着処理を受け、画像形成装置10の外部の排出トレイ38へ排出される。
【0039】
なお、印刷媒体34は、印刷媒体34を格納する複数の格納部39、40、41のうちの何れかからロール42を介して媒体搬送経路46に送り出され、中間転写ベルト25上へ搬送される。また、印刷媒体34は、手差しトレイ70上から中間転写ベルト25へ搬送することも可能となっている。感光体ドラム15は、トナー像の転写工程が終了した後、クリーニング装置18によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。また、中間転写ベルト25は、ベルト用クリーナーによって残留トナーが除去される。
【0040】
図2は、画像形成装置10の制御構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置10は、プロセッサ101、記憶部102、操作部104(入力部とも言う)、および画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cを備え、各部はバスまたは回線110を介して接続されている。なお、画像形成ユニット13K、13Y、13M、13Cをまとめて画像形成部12とも言う。
【0041】
プロセッサ101は、画像形成装置10の全体を制御する。なお、図2には、プロセッサ101が制御する一部の部材(例えば、印刷媒体の搬送機構や、後述する検出器60A、60B、60C等)が省略されている。プロセッサ101は、画像形成装置10のシステム全体を制御するプロセッサと、画像処理用のプロセッサとが分離されている構成であってもよい。記憶部102は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクなどであり、後述するパターン画像等を記憶する。操作部104は、例えばタッチパネルとキーパッドを含み、メニュー画面やメッセージを表示して画像形成装置10の操作者に各種情報を与え、操作者からの指示を受け付ける。
【0042】
画像形成装置10は、図3に示すように、中間転写ベルト25の幅方向(露光器の主走査方向と同じ)に並んだ検出器60A、60B、60Cを備える。検出器60A、60B、60Cは、中間転写ベルト25上に転写される色ずれ検出用のテストパターン50を検出するものである。図3の例では、検出器60A、60B、60Cは、画像形成装置10の手前側、中央部、および奥側にそれぞれ配置されている。
【0043】
ところで、図4に示すように、各画像形成ユニット13の露光器14は、感光体ドラム15に向かって主走査方向にレーザ光を走査して、感光体ドラム15上に静電潜像を形成する。その際、静電潜像の主走査方向の形成位置(主走査露光位置とも言う)が、目標位置からずれることがある。図5は、主走査露光位置のずれ量の一例を示す図である。図5のずれ量は、画像形成装置10にシアン、イエローの画像形成ユニット13C、13Yを組み込む前に、各画像形成ユニット13C、13Yの各露光器14C、14Yで形成される静電潜像の位置ずれ量を画像形成装置10の外で計測したものである。図5のグラフにおいて横軸は主走査方向の位置を示しており、縦軸は目標位置からの画像のずれ量(主走査方向のずれ量)を示している。図5には、主走査方向の7つの位置(第1位置(露光左端)から第7位置(露光右端))のずれ量が示されており、グラフにおける三角形で示す点はイエローのずれ量を表し、四角形で示す点はシアンのずれ量を表す。なお、ずれ量が増加から減少に転じる点、または、減少から増加に転じる点を変曲点ipと言う。
【0044】
図5に示すように、主走査方向のずれ量は主走査方向において一様ではない。そのため、レンチキュラーレンズシートの短手方向を主走査方向として、レンチキュラーレンズシートに画像形成装置10により画像を形成した場合、レンチキュラーレンズシートの短手方向において部分的にまたは全体的に目的とする遠近感、立体感、動作変化などを視認できなくなる可能性がある。なお、ここではシアン、イエローの露光器14C、14Yについて説明したが、黒、マゼンタの露光器14K、14Mについても同様のずれ量が計測される。
【0045】
ここで、画像形成装置10によるレンチキュラーレンズシートへの画像形成について説明する。図5は、レンチキュラーレンズシート80の一部を示す図である。レンチキュラーレンズシート80は、ほぼ透明であり、半円柱状の細長いシリンドリカルレンズ(以下、単にレンズと言う)が一定の周期で配列されている。レンズ長手方向は各レンズが延びる方向であり、レンズ短手方向は各レンズが配列された方向である。
【0046】
画像形成装置10は、レンチキュラーレンズシート80の裏側(レンズ側とは反対側)に画像を形成する。操作者は、手差しトレイ70(図1参照)に、レンズシートのレンズ側が下側となるようにレンズシートを置く。この時、レンズシートのレンズ長手方向が画像形成装置10の搬送方向と一致するように、レンズ短手方向が露光器14の主走査方向と一致するように、手差しトレイ70にレンズシートを置く。レンズシートは、手差しトレイ70から中間転写ベルト25に搬送され、レンズシートの裏側に、中間転写ベルト25上のトナー像が2次転写され、レンズシートは、定着器37によって定着処理を受けた後、排出トレイ38に排出される。
【0047】
図7は、画像が形成されたレンチキュラーレンズシート80(レンチキュラー印刷物とも言う)の一例を示す図である。レンチキュラーレンズシート80に形成される画像は、複数の視差画像のそれぞれから切り取った複数の短冊状(帯状とも言う)の画像を集めてなる集合画像を、レンチキュラーレンズシート80の各レンズの位置に合わせて配置したものである。図7には、AとBの2つの視差画像のそれぞれから切り取った2つの短冊状の画像を組み合わせてなる集合画像(AとBの組)のそれぞれを、レンズ周期LCに合わせて配置している。図7に示すように、レンチキュラーレンズシート80に対するレンズ側からの視線の角度によりレンズ焦点位置が変化し、視認される画像がAとBで変化する。このような効果を得るためには、各レンズの位置に対して正確に集合画像を配置しなければならないが、前述したように露光器14を起因として主走査方向(レンズ短手方向と同じ)の画像形成位置がずれるため、集合画像の配置がずれることになる。そのため、露光器14の補正が必要となる。以下、本発明に係る実施形態の露光器14の補正方法(画像形成部の補正方法とも言う)について詳細に説明する。
【0048】
図8は、露光器の補正方法(調整方法とも言う)の手順を示すフローチャートである。図8のフローは、黒、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の露光器14について個別に行うが、ここでは、黒の露光器14Kの補正を例に挙げて説明する。
【0049】
図8に示すように、まずS100で、操作者はレンチキュラーレンズシート80にパターン画像を形成する。図9は、パターン画像86の一部を示す図であり、図10は、パターン画像86を説明するための図であり、図11は、パターン画像86の全体を概略的に示す図である。なお、図9、10において、レンズ長手方向(図9、10の上下方向)に並んだ複数の2重波線と、図9、10の右側にある太い点線は、パターン画像86の一部が省略されていることを示すものであり、パターン画像86を構成するものではない。また、図9、10、11および以降説明する図17に示された、位相+2、+1、0、-1、-2、-3の文字、「長手方向」、「短手方向(主走査方向)」の文字とそれらに付随する矢印は、本実施形態ではパターン画像86を構成するものではないが、別の実施形態としてパターン画像86に含まれるものとしてもよい。
【0050】
図10には、説明のために、図9に示すパターン画像86の黒の塗り潰し画像を灰色の塗り潰し画像に変換し、点線や実線が加えられた図が示されている。図10は、あくまでパターン画像86を説明するための図であり、パターン画像86自体ではないことに留意すべきである。図9、10に示すように、パターン画像86は、枠線88と、枠線88の中に配置された複数の周期画像92を含む。なお、枠線88は省略することもできる。図9の枠線88の中の白で示す領域は、画像が形成されない領域であり、透明である領域を示す。図10に示すように、パターン画像86は、濃淡が異なる2以上の画像(図9、10では、黒の塗り潰し画像と、画像が形成されないことによる透明な画像)からなりレンズシートのレンズ周期LCの長さを有する組画像90を、レンズシートのレンズ短手方向に並べて配置した周期画像92を含む。周期画像92は、レンズシートのレンズ長手方向に並べて配置され、各周期画像92は、レンズ長手方向に沿ってレンズ周期TC未満の距離で徐々にレンズ短手方向にずれて配置されている。図9、10では、各周期画像92が、レンズ長手方向に沿ってレンズ周期TCの1/6の距離で徐々にレンズ短手方向にずれて配置されている。ここで、位相0と示された周期画像92の各組画像90が、レンズシートのレンズ周期LCと一致するように、すなわち、図7のようにレンチキュラーレンズシート80の各レンズ82の中に収まるように、パターン画像86がレンズシートに形成される。なお、図9等に示された位相+2、+1、0などの位相の値は、周期画像ごとに付されており、位相0の周期画像に対する周期画像の相対的なずれ量を示している。なお、各組画像90の黒の塗り潰し画像は、レンズ長手方向に平行である。
【0051】
図11(パターン画像86の全体図)には、図9、10の枠線88内に配置された各周期画像92が簡略化されてハッチングで示されている。図11に示すように、パターン画像86は、レンズ長手方向の位置に対応した、露光器14Kを補正するための複数の調整値94と、レンズ短手方向に間隔をあけて配置された複数の読み取り線96a、96b、96cと、レンチキュラーレンズシート80をレンズ側から目視する際にレンチキュラーレンズシート80の方向を明確にするための目印MPを含む。図11において、調整値94が上下逆さまに記載されている理由は、パターン画像86が形成されたレンズシートをひっくり返してレンズ側から目視した際に、調整値94が上下逆さまにならないようにするためである。各調整値94は、各周期画像ごとに設けられ、各周期画像の位相に対応させた値である。図11に示すように、各調整値94は、パターン画像86の枠線88の左右両側の線に沿って設けられると共に、各読み取り線96a、96b、96cに沿って設けられる。
【0052】
パターン画像86の画像情報は、例えばラスタデータとして予め記憶部102(図2参照)に格納しておく。操作者は、手差しトレイ70(図1参照)に、レンズシートのレンズ側が下側となるようにレンズシートを置く。この時、レンズシートのレンズ長手方向が画像形成装置10の搬送方向と一致するように、レンズ短手方向が露光器14Kの主走査方向と一致するように、手差しトレイ70にレンズシートを置く。そして、操作者は、操作部104のタッチパネル等からパターン画像86をレンズシートに形成する指示を出す。それにより、プロセッサ101は、パターン画像86のラスタデータを記憶部102から読み出し、画像形成ユニット13Kの露光器14Kに送り出し、露光器14Kは、感光体ドラム15K上にパターン画像86の静電潜像を形成する。感光体ドラム15K上の静電潜像は、現像されて中間転写ベルト25に一次転写される。レンズシートは、手差しトレイ70から中間転写ベルト25上に搬送され、レンズシートの裏側に、中間転写ベルト25上のパターン画像のトナー像が2次転写され、レンズシートは、定着器37によって定着処理を受けた後、排出トレイ38に排出される。
【0053】
図8に戻り、S100でレンズシートにパターン画像が形成された後は、S102で、操作者は、パターン画像が形成されたレンズシートをレンズ側から目視する。そして、目視することで把握される、同じ濃度で延びる線状パターンのレンズ短手方向の複数箇所のそれぞれにおける調整値を取得する(読み取る)。
【0054】
図12は、主走査方向の画像ずれがない場合のレンズシートのレンズ側から視認される線状パターン98の一例を示す図であり、図13は、主走査方向の画像ずれがある場合のレンズシートのレンズ側から視認される線状パターン98の一例を示す図である。図12に示すように、主走査方向の画像ずれがない場合には、レンズシートの各レンズに、位相0の周期画像の各組画像の位置が合っているので、位相0の周期画像の領域で最も濃度が高い黒の線状パターン98が視認される。また、位相0の周期画像からレンズ長手方向に離れるのに従って(位相(絶対値)が大きくなるのに従って)、パターン画像の透明な領域に焦点が部分的に合うようになり、徐々に黒の濃度が低くなる状態が視認される。また、最も濃度が高い黒の線状パターン98が位相0の周期画像の領域でレンズ短手方向と平行に延びる状態が視認される。
【0055】
一方、主走査方向の画像ずれがある場合(意図した位置から画像がずれている場合)には、最も濃度が高い黒の線状パターン98は、位相0の周期画像の領域から離れた位置で視認される。また、主走査方向のずれ量が主走査方向において一様ではない場合には、図13に示すように曲がりくねって視認される。これは、露光器14Kに起因した主走査方向の画像形成位置のずれと周期画像の位相ずれが打ち消し合って組画像がレンズ周期と一致した箇所で、最も濃度が高い黒が視認されるためである。最も濃度が高い黒が視認される位置が、位相0の周期画像からレンズ長手方向に離れるほど、ずれ量が大きいことを示す。レンズ長手方向の位置がずれ量の大きさを示しており、レンズ長手方向に沿って記載された調整値94は、そのずれ量を打ち消すための露光器14Kの補正量(調整量とも言う)、または補正量の基礎となる値である。
【0056】
操作者は、パターン画像の目印MPが特定の位置(本実施形態では右上の位置)になるようにレンズシートを配置して、調整値94を読み取る。具体的には、枠線の左側の線、各読み取り線96a、96b、96c、枠線の右側の線の5カ所の主走査方向の位置における、最も濃度が高い黒が現れている位置の調整値94を読み取る。なお、この実施形態では、パターン画像に記載されている調整値の間の値(例えば-4と0の間の-2等)も有効な調整値として扱う。図13の例では、操作者は、左から順に-2、-8、-4、2、および0を調整値として読み取る。これらの値は、それぞれの主走査方向の位置における露光器14Kの補正量、または補正量の基礎となる値である。
【0057】
図8に戻り、S102で調整値を読み取った後は、S104で、操作者は、読み取った調整値を操作部104を介して画像形成装置10へ入力する。図14は、操作部104のタッチパネルに表示される操作画面200の一例である。操作者は、例えば図14に示す操作画面200の各ボックス202を順次選択して、不図示のキーパッドを用いて、S102で読み取った調整値を入力する。図14には、図13の例で読み取った-2、-8、-4、2、および0の値が入力された状態が示されている。そして、操作者が「完了」のボタン204を押下することで、入力処理が終了する。
【0058】
プロセッサ101は、操作部104を介して入力された複数の調整値を受け付けて、主走査方向の位置と対応づけて記憶部102に格納する。例えば、プロセッサ101は、新たにレンズシートに画像を形成する際に、主走査方向の位置と対応づけられた各調整値を記憶部102から読み出し、露光器14Kに入力されるラスタデータ(画像情報とも言う)の主走査方向の位置に対応させて各調整値を適用し、ラスタデータを変更することで、露光器14Kの主走査方向の静電潜像の形成位置を補正する。また、例えば、プロセッサ101は、画像情報に代えて、露光器14Kの制御信号(例えば露光器14Kがレーザ光を主走査する際の同期信号など)に対して、主走査方向の位置に対応させて各調整値を適用し、制御信号を変更することで、露光器14Kの主走査方向の静電潜像の形成位置を補正するとしてもよい。なお、操作部104から調整値が入力されていない主走査方向の位置については、その位置の両側で得られている2つの調整値から、プロセッサ101が調整値を生成するとしてもよい。
【0059】
以上説明した図8のフローを、イエロー、マゼンタ、シアンについても行うことにより、露光器14Y、14M、14Cの主走査方向の静電潜像の形成位置も補正される。なお、図8のフローを、イエロー、マゼンタ、シアンについて行う場合には、上記したパターン画像86の黒の塗り潰し画像は、各色の塗り潰し画像に置き換わる。
【0060】
以上説明した実施形態によれば、各露光器14の主走査露光位置が目標位置またはそれにより近くなる。よって、レンチキュラーレンズシートに画像形成装置10により画像を形成した際に、レンチキュラーレンズシートから目的とする遠近感、立体感、動作変化などが視認できるようになる、または視認できる可能性が高まる。
【0061】
なお、以上説明した実施形態では、黒、イエロー、マゼンタ、シアンの各色ごとに図8のフローを行うとしたが、補正が必要な色のみについて、図8のフローを行うとしてもよい。
【0062】
また、以上説明した実施形態では、パターン画像86に調整値94が含まれていたが、パターン画像86に調整値94が含まれない形態であってもよい。この場合であっても、レンズシートをレンズ側から目視し、レンズシートのレンズ短手方向に向かって同じ濃度で延びる線状パターンがレンズ短手方向と平行でない場合には、レンズ短手方向に画像位置ずれがあることを検出することができる。すなわち、レンズシートに目的画像を形成した際にレンズ短手方向に画像位置ずれが生じることを把握することができる。
【0063】
また、以上説明した実施形態では、パターン画像86の組画像90は、黒の塗り潰し画像と、画像が形成されないことによる透明な画像から構成されていた。しかし、組画像は、濃淡が異なる3以上の画像から構成されていてもよく、透明な画像が含まれなくてもよい。
【0064】
また、以上説明した実施形態では、パターン画像86の調整値94の読み取り位置は、主走査方向の略均等に離れた5カ所であった。しかし、パターン画像86の調整値94の読み取り位置は、適宜変更することができる。例えば、調整値94の読み取り位置を示す読み取り線96a、96b、96cの位置は、検出器60A、60B、60C(図3参照)の位置であってもよい。また、例えば、読み取り線96a、96b、96cの位置は、露光器14のずれ量の変曲点ip(図5参照)の位置であってもよい。また、以上説明した実施形態における調整値は、あくまで一例であって、パターン画像86に含まれる調整値94の数、値は適宜変更することができる。
【0065】
また、以上説明した実施形態では、パターン画像86の調整値94を操作部104(入力部)に入力するものであった。しかし、パターン画像86に、周期画像92の位相の値(図9等に示した位相+2、+1、0、-1等の値)が含まれる場合には、その位相の値を操作部104(入力部)に入力するとしてもよい。この場合には、例えばレンズ周期LCを予め記憶部102に記憶しておき、レンズ周期LCと、入力された位相の値から露光器14のずれ量を計算し、ずれ量の分だけ露光器14を補正する。
【0066】
また、以上説明した実施形態では、パターン画像86の各周期画像92が、レンズ長手方向に沿ってレンズ周期TCの1/6の距離で徐々にレンズ短手方向にずれて配置されていた。しかし、各周期画像92のずらし方は適宜変更することができ、例えば各周期画像92はレンズ周期TCの1/2、1/3、1/10、1/20等の距離で徐々にレンズ短手方向にずれて配置されていてもよい。
【0067】
また、以上説明した実施形態では、露光器14を補正したが、画像形成ユニット13の他の部分を補正する(調整する)としてもよい。また、以上説明した実施形態は、電子写真方式の画像形成装置10によりレンズシートに画像を形成するものであったが、画像形成装置10は電子写真方式に限定されない。例えば、インクジェット方式の画像形成装置10によりレンズシートに画像を形成してもよい。この場合には、インクジェット方式の画像形成装置10により、パターン画像86が形成され、読み取られた調整値によって当該インクジェット方式の画像形成装置10の画像形成部が補正される。
【0068】
また、以上説明した実施形態では、レンチキュラーレンズシート80に直接、パターン画像86を形成した。しかし、図15に示すように、レンチキュラーレンズシート80とは別の印刷媒体34の上面にパターン画像86を形成し、その印刷媒体34の上にレンチキュラーレンズシート80を載せることにより、主走査方向に画像位置ずれがあるか否かを検出したり、調整値を読み取るとしてしもよい。図16は、この場合の露光器14の補正方法の手順を示すフローチャートである。図16のフローでは、上記した図8のフローのS100の「レンズシートにパターン画像を形成」が「印刷媒体にパターン画像を形成」(S200)に置き換わっており、図8のフローに対して「印刷媒体の上にレンズシートを置く」(S202)のステップが追加されているが、その他の処理は図8のフローと同様である。なお、S202の「印刷媒体の上にレンズシートを置く」ステップに加えて、「印刷媒体にレンズシートを貼り合わせる」ステップが追加されてもよい。なお、この実施形態では、図15に示すように印刷媒体34の上面側とレンズ側が同じ側となるので、以上で説明した図11のようにパターン画像86に含まれる調整値94を上下逆さまに記載する必要はなく、図17のように順方向を向く調整値94をパターン画像86に含ませればよい。
【0069】
なお、レンチキュラー印刷物の製造方法には、レンチキュラーレンズシートに直接、画像を形成する形態と、画像が形成された画像シートをレンチキュラーレンズシートに貼り合わせる形態などがある。以上説明した実施形態は、レンチキュラーレンズシートに直接、画像を形成する形態を前提としたものであったが、画像が形成された画像シートをレンチキュラーレンズシートに貼り合わせる形態などにおいても適用可能である。この場合、パターン画像86が形成された画像シートをレンズシートに貼り合わせることで、主走査方向に画像位置ずれかあるか否かが検出され、読み取った調整値を画像形成装置に入力することで画像形成部が補正される。
【0070】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0071】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成装置、12 画像形成部、13,13C,13M,13Y,13K 画像形成ユニット、14,14C,14M,14Y,14K 露光装置(露光器)、15,15C,15M,15Y,15K 感光体ドラム、16C,16M,16Y,16K 帯電器、17C,17M,17Y,17K 現像器、18,18C,18M,18Y,18K クリーニング装置、19 レーザ装置、20,21,23,24 反射鏡、22 ポリゴン鏡、25 中間転写ベルト、26C,26M,26Y,26K 一次転写ロール、31,42 ロール、33 2次転写ロール、34 印刷媒体、35,36 搬送ベルト、37 定着器、38 排紙トレイ、39,40,41 格納部、46 媒体搬送経路、50 テストパターン、60A,60B,60C 検出器、70 手差しトレイ、80 レンチキュラーレンズシート(レンズシート)、82 レンズ、86 パターン画像、88 枠線、90 組画像、92 周期画像、94 調整値、96a,96b,96c 読み取り線、98 線状パターン、101 プロセッサ、102 記憶部、104 操作部(入力部)、110 回線、200 操作画面、202 ボックス、204 ボタン、LC レンズ周期、ip 変曲点、MP 目印。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17