IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 宇部興産機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-除塵装置 図1
  • 特許-除塵装置 図2
  • 特許-除塵装置 図3
  • 特許-除塵装置 図4
  • 特許-除塵装置 図5
  • 特許-除塵装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20231114BHJP
   B01D 33/00 20060101ALI20231114BHJP
   B01D 33/04 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
E02B5/08 102B
B01D33/00 D
B01D33/04 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019209321
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021080750
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長井 謙一
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-311628(JP,A)
【文献】特開平09-079333(JP,A)
【文献】特開2007-161458(JP,A)
【文献】特開2004-231318(JP,A)
【文献】特開2014-194128(JP,A)
【文献】特開2007-063939(JP,A)
【文献】特開2011-073822(JP,A)
【文献】特開2011-011875(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0088593(KR,A)
【文献】特開昭61-049011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 5/00-7/18
B01D 45/00-45/18
B01D 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の無端状のキャリングチェーンに、水路を幅方向に横切るように塵芥捕捉用スクリーンを備えた網枠を接合し、
前記キャリングチェーンが鉛直方向に配置された上下部スプロケットホイールを介して鉛直方向に回動し、水中の塵芥をすくい上げて除去する除塵装置において、
上部スプロケットホイールの歯と、前記キャリングチェーンのローラが噛み合い始めて、前記上部スプロケットホイールの回転軸心を通る水平線を越えて前記塵芥捕捉用スクリーンが上昇するときに生じる脈動を抑えるために、前記上部スプロケットホイールと水面上の間の、左右一対の前記キャリングチェーンのうち前記上部スプロケットホイールに向かって上方向へ進行する部分に、上流側からキャリングチェーンに押し当てられた左右一対のガイド板を備えて、
ガイド板の垂直下方向長さはスプロケットホイールの隣接する2枚の歯の間に円弧上にかけ渡されたキャリングチェーンの弦長以上として、
ガイド板の上端は、スプロケットホイールの歯とキャリングチェーンのローラが噛み合い始める位置の直下に位置することを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
請求項に記載の除塵装置において、前記スプロケットホイールの歯数を等間隔に並べられた6枚とし、上部スプロケットホイールの半径の長さr(mm)としたとき、
ガイド板の上端は、上部スプロケットホイールの中心から垂直下方向へa(mm)、さらに上流方向へ水平にb(mm)移動したポイントに位置にあると特定され、
【数1】
【数2】
より、求められることを特徴とする除塵装置。
【請求項3】
請求項に記載の除塵装置において、前記キャリングチェーンのローラが噛み合い始めて、前記上部スプロケットホイールの回転軸心を通る水平線を越えて前記塵芥捕捉用スクリーンが上昇するときに生じる脈動を抑えるために、前記上部スプロケットホイールと水面上の間に上流側からキャリングチェーンに押し当てられた長手方向の長さ800(mm)のガイド板を備え、前記ガイド板の上端が、半径600(mm)の上部スプロケットホイールの中心から垂直下方向へ300(mm)移動し、さらに上流方向へ水平に520(mm)移動したポイントに位置することを特徴とした除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海や河川より取水する際や水の浄化処理の際に、水中の塵芥等の異物を除去する目的で設置される除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所などの発電プラントにおいては、河川や海などからの冷却水として使用するため取水場が配置されている。取水した水の中に塵芥や水生生物が含まれていることがあり、そのまま使用することができない。そのため取水場では、水中の塵芥や水生生物などを捕捉する働きをする除塵装置が設置されている。
【0003】
除塵装置は、取水路を幅方向に横切るように水流に対して垂直もしくは傾斜をつけて設置されており、取水量の多い発電所などでは、金網が取り付けられたスクリーンを周回転させて連続的に塵芥を捕捉して水上へ引き上げる連続回転式の除塵装置が利用されている。
【0004】
図6は、一般的な連続回転式の除塵装置の斜視図である。図示のように除塵装置100は、無端状に左右一対のキャリングチェーン102に、水路を左右(幅方向)に横切るようにリンク毎に備えられたスクリーン104を、水流に対して垂直もしくは傾斜させて取り付けた構造をとっている。また、キャリングチェーン102は上部のスプロケットホイールと下部のスプロケットホイール103を介して、スクリーン104を水路の深さ方向に対して上下に回動させて、流水中の塵芥等を捕捉する働きをする。
【0005】
除塵装置の上下部のスプロケットホイールは剣と平の部分から構成されている。つまり、キャリングチェーンのリンクを接続するローラと噛み合うスプロケットホイールの歯の部分は剣にあたる。従来、スプロケットホイールの歯数は6枚であり、歯(剣の部分)先を直線で結ぶと正六角形の形になる。この正六角形の頂点であるスプロケットホイールの歯とキャリングチェーンのリンクを接続するリンクピン部のローラが噛み合い、スプロケットホイールが回転することで、水路上流側の網枠が持ち上がり、周回転する。このようにして、塵芥捕捉用スクリーンは水中への浸漬と引き上げを繰り返して、水中の塵芥を捕捉する。
このとき、スプロケットホイールの回転中心と上下移動するキャリングチェーンの中心間の距離が変化することで周回転速度が変動し、キャリングチェーンが脈動していた。
【0006】
発電量が増えるに従って、多くの冷却水が必要となるため、除塵装置は連続的に運転して塵芥を除去しなければいけない。特に消費電力の多い夏場においては、取水量が増えるため、その働きは重要になってくるが、夏場はクラゲの発生時期と重なり塵芥量が増加する傾向にあり、除塵回収能力の向上が求められている。
【0007】
しかしながら、塵芥回収能力を上げるためにキャリングチェーンの周回転速度を上げると、上部スプロケットホイールと下部スプロケットホイールの間に懸架されるリンクチェーンは激しく脈動して騒音の発生、装置摺動部の早期摩耗を招くため、既設の除塵装置の周回転速度は8(m/min)程度が限界とされていた。
【0008】
そこで、特許文献1に開示のように、スプロケットホイールの歯数を増やして、スプロケットホイールの歯(剣の部分)と歯間(平の部分)との距離を短くすることで、キャリングチェーンの脈動を低減させる装置が提案されている。 具体的には、スプロケットホイールの歯数を6枚から12枚に増やし、キャリングチェーンのリンクの長さを半分にすることで速度変動を抑制し騒音などを低減している。これによって、周回転速度は最大で16(m/min)を達成することができる。
【0009】
このように、キャリングチェーンのリンクの長さを半分にするような構成は、リンク間の1ピッチの距離が短くなるため、通常のチェーン構造のままでは、設置できる金網やバケットのサイズを小さくせざるを得なくなり、周回転速度が上がったとしても、金網やバケットのサイズが小さいことで、塵芥回収能力の向上は期待できない。
そこで、塵芥回収能力を低下させないために、特殊なチェーンを用いて、リンク2ピッチ毎に、既設の除塵装置に設置されているのと同等のサイズの金網やバケットを取り付ける提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平5-311628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ローラやリンクの数が増えるため、メンテナンス時に交換する部品が多くなるだけでなく、塵芥回収能力を低下させないためには市場性の低い特殊なチェーンを採用する必要があるため、設置やメンテナンスにコストと手間がかかる。
また、リンク同士の枢着点や各リンクとバスケットの枢支点が、リンクの数に伴って多くなるほど相乗的に騒音が大きくなる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、第1の手段として、本発明は、左右一対の無端状のキャリングチェーンに、水路を幅方向に横切るように塵芥捕捉用スクリーンを備えた網枠を接合し、前記キャリングチェーンが鉛直方向に配置された上下部スプロケットホイールを介して鉛直方向に回動し、水中の塵芥をすくい上げて除去する除塵装置において、上部スプロケットホイールの歯と、前記キャリングチェーンのローラが噛み合い始めて、前記上部スプロケットホイールの回転軸心を通る水平線を越えて前記塵芥捕捉用スクリーンが上昇するときに生じる脈動を抑えるために、前記上部スプロケットホイールと水面上の間の、左右一対の前記キャリングチェーンのうち前記上部スプロケットホイールに向かって上方向へ進行する部分に、上流側からキャリングチェーンに押し当てられた左右一対のガイド板を備えて、ガイド板の垂直下方向長さはスプロケットホイールの隣接する2枚の歯の間に円弧上にかけ渡されたキャリングチェーンの弦長以上として、
ガイド板の上端は、スプロケットホイールの歯とキャリングチェーンのローラが噛み合い始める位置の直下に位置することを特徴とする除塵装置を提供することにある。
【0013】
また、上記課題を解決するために、第1の手段において、左右一対の前記キャリングチェーンのうち前記上部スプロケットホイールに向かって上方向へ進行する部分に、上流側から押し当てられた左右一対の前記ガイド板を備えたことを特徴とする除塵装置を提供することにある。
上記第の手段によれば、キャリングチェーンの脈動を抑えられるため、装置摺動部の早期摩耗を防ぎつつ、騒音を低減化できる。これにより、周回転速度を上げられるようになり、塵芥回収能力の向上につながる。
【0014】
上記課題を解決するために、第2の手段として、前記スプロケットホイールの歯数を等間隔に並べられた6枚とし、ガイド板の上端は、上部スプロケットホイールの歯とキャリングチェーンのローラが噛み合い始める位置の直下に位置することを特徴とする除塵装置上部スプロケットホイールの半径の長さr(mm)としたとき、
ガイド板の上端は、上部スプロケットホイールの中心から垂直下方向へa(mm)、さらに上流方向へ水平にb(mm)移動したポイントに位置にあると特定され、a=r×cos60°、b=r×sin60°より、求められることを特徴とした除塵装置を提供することにある。
上記第の手段によれば、上部スプロケットホイールとガイド板の位置関係を定義しており、確実にキャリングチェーンの脈動を抑えられるため、装置摺動部の早期摩耗を防ぎつつ、騒音を低減化できる。これにより、周回転速度を上げられるようになり、塵芥回収能力の向上につながる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、第1の手段において、ガイド板の上端は、スプロケットホイールの歯とキャリングチェーンのローラが噛み合い始める位置の直下に位置することを特徴とする除塵装置を提供することにある。上記第の手段によれば、キャリングチェーンの脈動を抑えられるため、装置摺動部の早期摩耗を防ぎつつ、騒音を低減化できる。これにより、周回転速度を上げられるようになり、塵芥回収能力の向上につながる。
【0016】
本願参考例においては、第1の手段において、さらに、キャリングチェーンの張り調整に応じて、
ガイド板は上下方向へ移動調整が可能であることを特徴とする除塵装置を提供することにある。
上記手段によれば、メンテナンス時にテークアップユニットによって軸を上下させチェーンの張り調整の際に、キャリングチェーンのローラが噛み合い始める位置が上下方向に移動するため、ガイド板を押し当てることによる効果を損なわせないように、ガイド板の上端がキャリングチェーンのローラが噛み合い始める位置の直下に位置するように上下方向へ移動調整できる。これにより、キャリングチェーンの張りを調整した場合においても、ガイド板によってキャリングチェーンの脈動を抑えられるため、装置摺動部の早期摩耗を防ぎつつ、騒音を低減化できる。これにより、周回転速度を上げられるようになり、塵芥回収能力の向上につながる。
【0017】
上記課題を解決するために、第3の手段として、本発明は、第の手段において前記キャリングチェーンのローラが噛み合い始めて、前記上部スプロケットホイールの軸心を通る水平線を越えて前記塵芥捕捉用スクリーンが上昇するときに生じる脈動を抑えるために、
前記上部スプロケットホイールと水面上の間に上流側からキャリングチェーンに押し当てられた長手方向の長さ800(mm)のガイド板を備え、
前記ガイド板の上端が、半径600(mm)の上部スプロケットホイールの中心から垂直下方向へ300(mm)移動し、さらに上流方向へ水平に520(mm)移動したポイントに位置することを特徴とした除塵装置を提供することにある。上記第3の手段によれば、キャリングチェーンの脈動を抑えられるため、装置摺動部の早期摩耗を防ぎつつ、騒音を低減化できる。これにより、周回転速度を上げられるようになり、塵芥回収能力の向上につながる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガイド板を押し当てることによってキャリングチェーンが回動する際に生じる脈動は抑えられるため、装置摺動部の早期摩耗を防ぎつつ、騒音が低減化される。これにより、周回転速度を上げられるようになり、塵芥回収能力は向上する。
また、スプロケットホイールの歯数の変更や、キャリングチェーンのリンクの長さを変更するような特殊な構成をとることないため、設置やメンテナンスにコストと手間がかからない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の除塵装置の部分構造の側面図である。
図2】従来の除塵装置の部分構造の側面図である。
図3】スプロケットホイールの側面図である。
図4】本発明の除塵装置のキャリングチェーンのローラと上部スプロケットホイールの軌跡を示した軌跡図である。
図5】従来の除塵装置のキャリングチェーンのローラと上部スプロケットホイールの軌跡を示した軌跡図である。
図6】従来の除塵装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の除塵装置を添付の図面を参照しながら、以下に詳細説明する。
[本発明の除塵装置の部分構造10と従来の除塵装置の部分構造11]
図1図2は、本発明のガイド板15を備えた除塵装置の部分構造10と従来の除塵装置の部分構造11から、上部スプロケットホイール13とキャリングチェーン12の部分を抜粋した側面図である。図示のように、上部スプロケットホイール13を跨ぐようにして構成されているキャリングチェーン12のうち上方向に持ち上げられて進行する上流側のキャリングチェーン12にガイド板15は押し当てられている。
【0021】
上部スプロケットホイール13に連動して、下部スプロケットホイールが共に回転するのに伴ってキャリングチェーン12が周回転しているとき、6枚の歯16(剣の部分)を持つ上部スプロケットホイール13の歯間17(平の部分)が最上部にある状態を状態Iとし、歯16が最上部にある状態をIIとする。図1図2の状態は状態Iを示し、図4図5の状態は状態IIを示している。
スプロケットホイールの回転に従って、状態Iから状態IIへ(もしくは、状態IIから状態Iへ)と変化を繰り返す。状態IIから状態Iを経由して状態IIに変化する過程において、ガイド板15は機能する。
【0022】
[従来の除塵装置の軌跡21]
図5は従来の除塵装置のキャリングチェーンのローラの軌跡22と上部スプロケットホイールの軌跡24を示した軌跡図である。図示のように、上部スプロケットホイールは軌跡24を描きながら時計回りに回転する。この回転に伴い、キャリングチェーンはローラが噛み合うことで持ち上げられて回動する。
【0023】
上部スプロケットホイールとキャリングチェーンのローラが噛み合い始める8時の位置である26Bから、スプロケットホイールが回転してキャリングチェーンが持ち上げられて上昇した10時の位置である26Aへ移動するときの軌跡は、半径600(mm)の60°の扇形の円弧を描きながら移動する。
このとき、振動が上部スプロケットホイールに噛み込む前のキャリングチェーンに伝わり、水流方向に向かって凸な扇形の円弧が複数連なったローラの軌跡22を描くように脈動する。
【0024】
[ガイド板15を備えた除塵装置の軌跡]
図4は本発明のガイド板15を備えた除塵装置のキャリングチェーンのローラの軌跡22と上部スプロケットホイールの軌跡24を示した軌跡図である。ガイド板15は脈動を抑えるために備えられている。これにより、装置摺動部の早期摩耗を防ぎつつ、騒音を低減化できるため、周回転速度を上げられるようになり、塵芥回収能力は向上する。
【0025】
[ガイド板15]
ガイド板15は、キャリングチェーンの脈動を抑えるために上流側から水平方向に押し当てられている。
ガイド板15の取り付け位置は水中ではなく、水面より上に設置されることが求められる。水中に設置された場合、ガイド板15は取水時の流水抵抗となるのに加えて、水によって腐食されてしまうため、メンテナンス回数が増えることにつながる。そのため、ガイド板15は上部スプロケットホイールと水面の間に設置されるのが望ましい。
【0026】
ガイド板15の上端の位置は、上部スプロケットホイール13の半径の長さr(mm)としたとき、数式1と数式2より求められ、
【数1】
【数2】
上部スプロケットホイール13の中心から垂直下方向へa(mm)、さらに上流方向へ水平にb(mm)移動したポイントに位置すると特定される。
半径の長さr(mm)は、図3に示すように上部スプロケットホイールの中心から、歯16が有する2角を線で結んだ曲線(破線部)の中間までの距離を表す。
【0027】
図4に示すように、ガイド板15の上端は、上部スプロケットホイールとキャリングチェーンのローラが噛み合い始める8時の位置である26Bの直下に位置する。
つまり、上部スプロケット半径の長さがr=600(mm)のとき、ガイド板15の上端は、上部スプロケットホイール13の中心から垂直下方向(水底方向)へ300(mm)下に、さらに水流方向に向かって(上流方向へ)520(mm)水平に移動したポイントに位置している。この位置は前記ポイントから上下方向にそれぞれ±50(mm)の範囲にあっても良い。
【0028】
ガイド板15は、前記したガイド板15の上端のポイントから垂直下方向(水底方向)に向かって延びており、脈動により生じるローラの軌跡22の円弧のうち少なくとも1つ分を抑えられるだけの長さが必要になる。そのため、ガイド板15の長手方向の長さは、円弧の弦長600(mm)よりも長くなければならず、少なくとも800(mm)必要である。
【0029】
ガイド板15は除塵装置の運転時間が長くなるとともにキャリングチェーン12と接触する表面が摩耗する。そのため使用するガイド板15に使用される素材としては、耐摩耗鋼、合金又は表面処理(焼き入れや窒化など)を施した耐摩耗性を有する金属が好ましい。
さらに、ガイド板15の素材は金属に限らず、耐摩耗性を有する樹脂である超高分子量ポリエチレンであっても良い。
【0030】
既存の方法には、下流側から(水流方向に対向する方向から)ガイド板を設ける手段がある。そこで、本発明と組み合わせて既存の方法のように下流側からもガイド板を設けても良い。
つまり、上部スプロケットホイール13を跨ぐキャリングチェーン12のうち、上流側のキャリングチェーン12に対して、上流側と下流側の2方向から2枚のガイド板で挟み、キャリングチェーンが進行するためのレールを形成することで脈動を抑制する効果はより一層大きくなる。
【0031】
運転時間が長くなると、キャリングチェーン12が伸びて弛んでくるため、キャリングチェーン12は張り調整を行なう必要が生じる。このキャリングチェーン12の張り調整に応じて、ガイド板15を上下方向へ移動調整ができることを特徴とする。
例えば、弛みに対するメンテナンスは、キャリングチェーン12を構成するリンクを少なくとも1枚取り外すことで、全体の長さを短くして弛みを解消する。この場合、周回転するキャリングチェーン12の位置が全体的に上昇するため、ガイド板15は上方向への移動調整が求められる。
調整範囲はガイド板15の上端が前記ポイントを基準にして、垂直上方向へ150(mm)、垂直下方向へ100(mm)まで移動可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明はプラントなどの取水施設において塵芥を捕捉するための金網が取り付けられたスクリーン回転式の除塵装置で特に有用である。
【符号の説明】
【0033】
10 本発明のガイド板を備えた除塵装置の部分構造
11 従来の除塵装置の部分構造
12、102 キャリングチェーン
13 上部スプロケットホイール
15 ガイド板
16 スプロケットホイールの歯
17 スプロケットホイールの歯間
20 本発明のガイド板を備えた除塵装置の軌跡
21 従来の除塵装置の軌跡
22 ローラの軌跡
24 スプロケットホイールの軌跡
26A 上部スプロケットホイールと噛み合い上昇したローラ
26B 上部スプロケットホイールと噛み合い始めたローラ
100 除塵装置
101 ハウジング
103 下部スプロケットホイール
104 スクリーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6