(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】バッグインボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B65D77/06 J
(21)【出願番号】P 2019218682
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聡真
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-272663(JP,A)
【文献】実公昭55-044789(JP,Y2)
【文献】特表2004-529659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/06
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器であって、
この液体容器は、柔軟なプラスチックフィルムからなる容器内側に収納されるバッグと、剛性を有して容器外側の外形を形成するボックスとから構成され、
バッグは、注出口を有して内容液を充填密封及び注出可能であって、
ボックスは、ボックス本体と、後ろ側壁面とから構成され、
ボックス本体は、前側壁面、天面、底面、側面とから構成され、
前記前側壁面には、バッグの注出口をボックスの外に貫通して突き出すことのできる孔設部を備えており、
前記前側壁面と、それに対向する前記後ろ側壁面とは同形で、かつ後ろ側壁面の各辺には、ボックス本体との接着用のタブが折り線を介して張り出して設けてあり、
ボックスはその後部において、前記接着用のタブが後ろ側壁面の外側になるよう、折り線で折り曲げて組み立てられており、
前記接着用のタブとボックス本体の後部とは、各辺の接着用のタブの外周部分の接着領域で接着されており、
前記接着用のタブの外周部分の接着領域より内側、かつ前記折り線より外側には、接着用のタブとボックス本体
の両方に
ミシン目が設けられ、そのミシン目の引き裂きによって、接着領域を
切り離し可能に
なっていることを特徴とする、バッグインボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッグインボックスに関するものである。バッグインボックスは内袋と外箱からなる二重の液体容器であって、外箱によって運送やハンドリングに利便性があり、また内袋に充填した内容物を、外箱の外に引き出した注出口から注ぎ出すことができるものである。
【0002】
特に粘度の高い内容物も注ぎ出し可能で、かつ内袋に残留する内容液を残すことなく速やかに排出することが可能な、バッグインボックスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
バッグインボックスは液体容器として、すでに実用化されており、内側にプラスチックフィルムからなる内袋、外側には例えば段ボール箱で外形を形成して二重容器として普及している。その用途は、工業用、業務用、家庭用など幅広い。
【0004】
内容物としては、水や飲料、あるいは酒などの液体を収納して、注出口から繰り返して注ぎだして用いる方式が一般的である。しかしながら、内容物の液体には粘度の高いもの、流動性の低いものも含まれる。
【0005】
例えば内容物として、マヨネーズやケチャップのような粘度の高い内容物に用いようとする場合には、重力や気圧による自然な押し出しだけでは不足する場合もある。あるいは、内容物の残量が少なくなった場合においても、重力や気圧による自然な押し出しだけでは注ぎ出しに不足する場合がある
また、例えば調味料や原材料を大量に投入する食品工場などにおいては、時間をかけることのない、効率的な絞り出しが必要とされている。
【0006】
このようなニーズに対して、特許文献1には、外側の箱の六面体のうち、後壁面を摺動後壁板として前後に動かせるように設け、摺動後壁板を後ろ側から押して内容物の液体を押し出す液体容器が提案されている。
【0007】
しかしながら、この場合の実際の形態は、摺動板が容器本体に固定されておらず、常に可動な状態であるために、輸送中、あるいはハンドリングにおいて動いてしまうおそれがあった。この意図しない摺動板の動きによって、内袋の破袋や、汚染などのおそれもあり、輸送、ハンドリングにも支障をきたすおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、注出口を有して、柔軟な材料からなるバッグと、剛性を有する材料からなるボックスとから構成される二重構造の液体容器において、内容物の液体を押し出すための摺動板が、開封以前に動くことのない、バッグインボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
液体容器であって、
この液体容器は、柔軟なプラスチックフィルムからなる容器内側に収納されるバッグと、剛性を有して容器外側の外形を形成するボックスとから構成され、
バッグは、注出口を有して内容液を充填密封及び注出可能であって、
ボックスは、ボックス本体と、後ろ側壁面とから構成され、
ボックス本体は、前側壁面、天面、底面、側面とから構成され、
前記前側壁面には、バッグの注出口をボックスの外に貫通して突き出すことのできる孔設部を備えており、
前記前側壁面と、それに対向する前記後ろ側壁面とは同形で、かつ後ろ側壁面の各辺には、ボックス本体との接着用のタブが折り線を介して張り出して設けてあり、
ボックスはその後部において、前記接着用のタブが後ろ側壁面の外側になるよう、折り線で折り曲げて組み立てられており、
前記接着用のタブとボックス本体の後部とは、各辺の接着用のタブの外周部分の接着領域で接着されており、
前記接着用のタブの外周部分の接着領域より内側、かつ前記折り線より外側には、接着用のタブとボックス本体の、いずれかまたは両方に、接着領域をボックスから分離可能にミシン目が設けてあることを特徴とする、バッグインボックスである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、注出口を有して、柔軟な材料からなるバッグと。剛性を有する材料からなるボックスとから構成される二重構造の液体容器において、内容物の液体を押し出すための摺動板が、開封以前に動くことのない、バッグインボックスを提供することが可能である。
【0012】
本発明はバッグインボックスのボックスの一部を摺動板として用いるものである。すなわち、摺動板の押し込みによって内容物の注ぎ出しを促進する形式のバッグインボックスであって、注ぎ出しに際して必要なタイミングで後ろ側壁面が、摺動板として可動となり、ボックス本体とは連続せず、独立した動きが可能である。
【0013】
本発明において、開封前にはバッグインボックスとして、ボックス本体と後ろ側壁面は接着領域を介して固定されており、ハンドリングや輸送途中に後ろ側壁面が動くことはない。
【0014】
また、内容物の注ぎ出しに際しては、ボックスの後部を開封するために、接着領域に沿って設けたミシン目で引き裂いて接着領域を分離するが、容易な開封を、かつ必要なタイミングで行うことが可能である。
【0015】
また、本発明おいて摺動板は、ボックス本体への押し込みでバッグに充填された内容物の注ぎ出しを促進することが可能であり、内容物の残量が少なくなった時にも、注ぎ出しを最後まで継続することが可能であり、食品ロスなどの無駄の排除や、環境適合の観点からも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明に係るバッグインボックスの一実施態様において、ボックス本体を説明するための平面展開図である。
【
図2】
図2は本発明に係るバッグインボックスの一実施態様において、後ろ側壁面を説明するための平面展開図である。
【
図3】
図3は本発明に係るバッグインボックスの一実施態様において、容器内側のバッグを説明するための斜視模式図である。
【
図4】
図4は本発明に係るバッグインボックスの一実施態様を説明するための、バッグインボックス前面側から見た斜視模式図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様を説明するための、バッグインボックス後ろ側から見た斜視模式図である。
【
図6】
図6は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様の、バッグインボックスの中央部での断面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様の、バッグインボックス中央部での断面模式図であり、特にミシン目部分を切り取って接着領域をボックスから分離した状態を説明するための、断面模式図である。
【
図8】
図8は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様の、バッグインボックス中央部での断面模式図であり、特に後ろ側壁面を押して、内容物の液体を押し出して注出口から外部に注ぎ出している状態を説明するための、断面模式図である。
【
図9】
図9は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様の、バッグインボックス中央部での断面模式図であり、特に後ろ側壁面をいっぱいに押して、内容物の液体をすべて押し出して注出口から外部への注ぎ出しが完了している状態を説明するための、断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を
図1~
図9を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって限定されるものである。
【0018】
図1は本発明に係るバッグインボックスの一実施態様において、ボックス本体を説明するための平面展開図である。
【0019】
本発明は、液体容器である。この液体容器は、柔軟なプラスチックフィルムからなる容器内側に収納されるバッグと、剛性を有して容器外側の外形を形成するボックスとから構成されている。ボックスは例えば、剛性を有する板紙や段ボールから構成することができる。
【0020】
図1は、このうち容器外側の外形を形成する、ボックス本体(10)の平面展開図である。
【0021】
図1に示す例において、ボックスは6面体であるが、
図1には、後ろ側壁面は別部材であるために、含まれていない。
【0022】
図1に示す例においてボックス本体(10)の、天面(1)にはFの文字が表示されて前後左右が識別できるようにしてある。
【0023】
このボックス本体(10)の平面展開図において、天面(1)から順に右側側面(2)、底面(3)、左側側面(4)が連続しており、さらに左側側面(4)には、組み立て用の、のりしろ(5)が連続している。こののりしろ(5)は天面(1)と接着してボックス本体(10)が組み立てられる。
【0024】
また、
図1に向かって上側は、ボックス本体(10)の前面であって、前側壁面の上部(21)、および前側壁面の下部(22)とによってボックス本体(10)の前側壁面が形成される。
【0025】
特にボックス本体(10)を組み立てて、前側壁面を形成としたときの前側壁面の下部(22)は、バッグの注出口をボックス本体(10)の外に貫通して突き出すことのできる孔設部(6)を備えている。
【0026】
また、
図1に向かって下側の斜線を入れた部分は、ボックス本体(10)の後ろ側になる部分であって、後述する後ろ側壁面の接着用のタブの外周部分の接着領域と接着する、ボックス本体(10)側の接着領域(9)である。
【0027】
また、一点鎖線(7)が示してあるが、これはボックスを組み立てた後の、後述する後ろ側壁面の位置、すなわち後ろ側壁面の接着用のタブの折り線の位置を示している。
【0028】
また本発明において、ボックス側の接着領域(9)と、一点鎖線(7)すなわち、後ろ側壁面の接着用のタブの折り線の間には、ミシン目(8)を設ける。ミシン目(8)は、接着用のタブとボックス本体(10)の、いずれかまたは両方に、接着領域をボックスから分離可能に設けてある。
【0029】
図2は本発明に係るバッグインボックスの一実施態様において、後ろ側壁面を説明するための平面展開図である。
【0030】
後ろ側壁面(11)は、前側壁面と対向してボックス本体(10)の後ろ側に設けられてボックスを形成する。後ろ側壁面(11)は、前側壁面と同形で、かつ後ろ側壁面(11)の各辺にはボックス本体(10)との接着用のタブ(12)が折り線(14)を介して張り出して設けてある。
【0031】
図2に示す例において、後ろ側壁面(11)は四角形であり、前側壁面と同形である。したがって、接着用のタブ(12)もまた四角形の4辺に対応して4箇所に設けてある例である。なお、前側壁面は、
図1に示す、前側壁面の上部(21)、および前側壁面の下部(22)とによって形成される四角形である。
【0032】
接着用のタブ(12)の最外周部分には、ボックス本体(10)との接着のための接着領域(13)が設けてあり、この部分でバッグインボックス側の接着領域(9)と接着して組み立てられる。
【0033】
また
図2に示す例において、後ろ側壁面(11)はボックスの外側になる面が
図2に向かって手前側となる例である。ボックスの組み立てにおいては、接着用のタブ(12)は、4本の谷折り線(14)で90度折り曲げられて、ボックス本体(10)の後ろ側から挿入され、組み立てられる。
【0034】
接着用のタブ(12)は、外周部分に接着領域(13)を有しており、ボックス本体(10)の後部との接着は、接着領域(13)を介して行われる。これによって、後ろ側壁面(11)はボックス本体(10)の後ろ側端部に固定される。
【0035】
図3は本発明に係るバッグインボックスの一実施態様において、容器内側のバッグを説明するための斜視模式図である。
【0036】
二重容器内側のバッグ(30)は、柔軟なプラスチックフィルムからなる。プラスチックフィルムは、プラスチックフィルム単体でも良く、あるいは他の材料との積層体にして用いるのでも良い。
【0037】
また、二重容器内側のバッグ(30)は、注出口(31)を有して内容液を充填密封及び注出可能であって、注出口(31)をバッグインボックスの外に貫通して突き出した状態で、内容物の液体を注ぎ出すことができる。
【0038】
注出口(31)にはキャップ(32)を装着して、バッグ(30)を密封状態とすることができる。キャップ(32)は例えば、はめ込み式のスナップオンタイプのほか、コックタイプ、ヒンジタイプ、スクリュータイプ、ディスペンサータイプなど、内容物や用途に合わせた形式のものから、適宜選択することができる。
【0039】
バッグ(30)を構成するプラスチックフィルムは、プラスチックフィルム単体のものでも良く、あるいは他の材料との積層体でも良い。積層体にする場合の材料構成は、内容物の液体の種類や、保管などの外部環境、またバッグ(30)の容量などを勘案して適宜選択することができる。
【0040】
プラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。
【0041】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0042】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、バッグ(30)に対する要求品質に応じて適宜設計することができる。
【0043】
バッグ(30)の製袋には例えば、バッグ(30)を構成する積層体の表面にシーラント層を設け、ヒートシールによって製袋することができる。また注出口(31)も、たとえばプラスチックの成型品などを用いる場合には、バッグ(30)を構成する積層体にシールして接着し、一体化することが可能である。
【0044】
シーラント層は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、加熱、加圧してヒートシールすることによって互いを接着させ、バッグ(30)に製袋することを可能にする。
【0045】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0046】
シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0047】
図4は本発明に係るバッグインボックスの一実施態様を説明するための、バッグインボックス前面側から見た斜視模式図である。
【0048】
図4に示す例においては、バッグインボックス(100)は、6面体のボックスが外形を形成しており、内側には略6面体のバッグが収納されている。前側壁面(15)下部にはバッグ(30)の注出口(31)を、ボックスの外に貫通して突き出すことのできる孔設部(32)を有しており、ここに形成した孔からは、注出口(31)が外側に突き出して、内容物の液体の外部への注ぎだしを可能にしている。
【0049】
孔設部(6)は、例えば前側壁面の下部(22)に円形のミシン目を設けるなどして形成することができる。バッグインボックス(100)の開封に際しては、このミシン目を切り取って孔をあけて、注出口(31)をボックスの外部に引き出して、開封すればよい。
【0050】
したがって、孔設部(32)は、注出口(31)を外部に引き出す必要が出るまで、すなわちバッグインボックス(100)から内容物の液体を注ぎ出す際に、孔をあけて注出口(31)を引き出せばよいのであって、バッグインボックス(100)の保管や輸送中においては閉じた状態とすることができる。
【0051】
これは、輸送効率や、またバッグや注出口の汚染などを防止する観点から求められる。孔設部(32)は例えば、容易に孔を形成することができるように、円形にミシン目を入れておくなどしてもよい。
【0052】
図5は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様を説明するための、バッグインボックス後ろ側から見た斜視模式図である。
【0053】
図5に示す6面体のバッグインボックス(100)の後部には、接着用のタブ(12)の最外周の接着領域(13)より内側の位置に、接着用のタブ(12)またはボックス本体(10)のいずれかまたは両方に、タブ側の接着領域(13)およびボックス本体(10)側の接着領域(9)を、バッグインボックス(100)から分離可能にミシン目(8)が設けてある。
【0054】
このミシン目(8)を引き裂いて、バッグインボックス(100)の後部を切り離すことができ、この時、接着用のタブ(12)の接着領域(13)およびボックス本体(10)側の接着領域(9)もまた分離されるために、ボックス本体(10)と後ろ側壁面(11)は接着が解かれて後ろ側壁面(11)はボックス本体(10)の中で可動となる。可動となった後ろ側壁面(11)は、摺動板として機能させることができる。
【0055】
後ろ側壁面(11)をボックス本体(10)の中に押し込むことによって、例えばバッグ(30)内の内容物の注ぎ出しをより容易にすることができ、これは特に粘度が高い内容物の場合には効果的である。
【0056】
すなわち、ミシン目(8)の引き裂きによって接着が解かれるまでは、後ろ側壁面(11)はボックス本体(10)と固定されており、内容物の液体を押し出すための摺動板すなわち後ろ側壁面(11)が、開封以前に動くことのない、バッグインボックス(100)を実現することができる。
【0057】
図6は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様の、バッグインボックスの中央部での断面模式図である
図6に示す例にみられるように、本発明によるバッグインボックス(100)は、柔軟なプラスチックフィルムからなる容器内側に収納されるバッグ(30)と剛性を有して容器外側の外形を形成するボックスとから構成される。
【0058】
バッグ(30)は、注出口(31)を有して内容液(40)を充填密封及び注出可能である。またボックスは、ボックス本体(10)と、別部材の後ろ側壁面(11)とから構成される。
【0059】
ボックス本体(10)の前側壁面には、バッグ(30)の注出口(31)をボックスの外に貫通して突き出すことのできる孔設部を備えている。
【0060】
前側壁面(15)と、それに対向する後ろ側壁面(11)とは同形で、かつ後ろ側壁面(11)の各辺のボックス本体(10)との接着用のタブ(12)が折り線(14)を介して張り出して設けてある。
【0061】
ボックス本体(10)はその後部において、後ろ側壁面(11)の接着用のタブ(12)が外側になるよう、折り線(14)で折り曲げて組み立てられている。
【0062】
また、接着用のタブ(12)とボックス本体(10)の後部とは、各辺の接着用のタブ(12)の外周部分の接着領域(13)で接着されている。すなわち接着用タブ(12)側の接着領域(13)、およびボックス本体(10)側の接着領域(9)は同位置であって、互いに対向して接着されている。
【0063】
この接着領域(13)および接着領域(9)での接着によって、後ろ側壁面(11)はボックス本体(10)と一体化しており、例えばバッグインボックス(100)の輸送中や、ハンドリングにおいて、動くことがない。すなわち、開封以前に摺動部が動くことのない、バッグインボックス(100)を実現することが可能である。
【0064】
また、接着用のタブ(12)の外周部分の接着領域(13)より内側、かつ折り線(14)より外側には、接着用のタブ(12)とボックス本体(10)の、いずれかまたは両方に、接着領域(13)をボックス本体(10)から分離可能にミシン目(8)が設けてある。
【0065】
図6に示す例においては、ミシン目(8)は、接着用のタブ(12)とボックス本体(10)の両方に設けてある例である。どちらか一方でもミシン目(8)による、接着領域(13)および接着領域(9)の切り離しには一定の効果が期待できるが、両方に設けてあることによって、ミシン目(8)による接着領域の切り離しを、より容易かつ安定的なものとすることができる。
【0066】
図6に示す例においては、バッグインボックス(100)は6面体であるから、切り離しは、切り離し線(16)に沿って、ボックス本体(10)および接着用タブ(12)の後部4辺を切り取って行われる。
【0067】
図7は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様の、バッグインボックス中央部での断面模式図であり、特にミシン目部分を切り取って接着領域をボックスから分離した状態を説明するための、断面模式図である
ミシン目(8)部分を切り取って接着領域(13)をバッグインボックス(100)から分離した状態において、後ろ側壁面(11)は前方向に可動となり、ボックス本体(10)の内側において、摺動部として機能することが可能になる。
【0068】
すなわち
図7において示すように、後ろ側壁面(11)を図中矢印(50)の方向に押し込むことによって、内容物(40)が充填されたバッグ(30)に、内容物(40)を注出するための圧力をかけることが可能になる。
【0069】
図8は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様の、バッグインボックス中央部での断面模式図であり、特に後ろ側壁面を押して、内容物の液体を押し出して注出口から外部に注ぎ出している状態を説明するための、断面模式図である
図7に示す状態から、さらに後ろ側壁面(11)を押し込むことによって、内容物(40)の液体を注出口(31)から、バッグインボックス(100)の外側に注ぎだすことができる。
【0070】
この時容器内側に収納されているバッグは、柔軟なプラスチックフィルムまたは積層体から構成されているために、後ろ側壁面の押し込みに対応して、体積を小さくすることが可能である。
【0071】
この後ろ側壁面(11)の押し込みによる内容物(40)の注ぎ出しは、特に粘度の高い液体、例えばホイップクリーム、マヨネーズ、ケチャップのような内容物(40)の場合に有効である。
【0072】
また後ろ側壁面(11)には、各辺にミシン目(8)で切り取られたタブの一部が残っているために、矢印(50)方向には動きやすく、逆方向にはタブがストッパーとして機能する。
【0073】
図9は、本発明に係るバッグインボックスの一実施態様の、バッグインボックス中央部での断面模式図であり、特に後ろ側壁面をいっぱいに押して、内容物の液体をすべて押し出して注出口から外部への注ぎ出しが完了している状態を説明するための、断面模式図である。
【0074】
図8に示す状態から、さらに後ろ側壁面(11)を摺動板として矢印(50)の方向に押し込むことによって、内容物(40)の液体をすべて注出口(31)から、注ぎ出すことができる。
【0075】
すなわち、バッグ(30)が柔軟な材料からなるために、後ろ側壁面(11)によって押しつぶされた状態となるために、残留する内容物(40)がすべて押し出されることになる。
【0076】
図9に示す状態において、バッグ(30)に残留する内容物(40)がなくなるまで注ぎ出しを継続することが可能であることを示しており、これは食品ロスなどの無駄の排除や、環境適合の観点からも好ましい。また摺動板を用いて注ぎ出しを促進することができるために、より効率的な注ぎ出しが可能である。
【0077】
このように本発明によれば、注出口を有して、柔軟な材料からなるバッグと、剛性を有する材料からなるボックスとから構成される二重構造の液体容器において、内容物の液体を押し出すための摺動板が、開封以前に動くことのない、バッグインボックスを提供することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1・・・天面
2・・・右側側面
3・・・底面
4・・・左側側面
5・・・のりしろ
6・・・孔設部
7・・・一点鎖線
8・・・ミシン目
9・・・接着領域
10・・・ボックス本体の平面展開図
11・・・後ろ側壁面
12・・・接着用タブ
13・・・接着領域
14・・・折り線
15・・・前側壁面
16・・・切り離し線
20・・・後ろ壁面の平面展開図
30・・・バッグ
31・・・注出口
32・・・キャップ
40・・・内容物
50・・・矢印
100・・・バッグインボックス