(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/13 20060101AFI20231114BHJP
B60C 11/24 20060101ALI20231114BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B60C11/13 C
B60C11/24 B
B60C11/03 300E
(21)【出願番号】P 2019225753
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】中島 幸一
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/156397(WO,A1)
【文献】実開平02-041802(JP,U)
【文献】特開2002-219906(JP,A)
【文献】特開2013-139164(JP,A)
【文献】特開昭63-141804(JP,A)
【文献】特開2012-086396(JP,A)
【文献】特開2007-045239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部に、タイヤ軸方向に延びる複数本の横溝が設けられたタイヤであって、
前記横溝の長手方向と直角な断面において、前記横溝の少なくとも一方の壁面は、
溝底に向かって溝幅が広がる向きに傾斜する第1面部と、前記第1面部の溝底側端から溝幅中心側へトレッド面と実質的に平行に延びる第2面部とが交互に複数繰り返されるイナズマ状部を含
み、
前記第1面部のトレッド面の法線に対する角度θcは、3~20°であり、
最もトレッド面側に配される前記第1面部の前記角度θcは、最も溝底側に配される前記第1面部の前記角度θcより大きい、タイヤ。
【請求項2】
前記第1面部の前記角度θcは、タイヤ半径方向外側の前記第1面部の前記角度θcほど大きい、請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記横溝は、溝底に摩耗インジケータを具えるとともに、前記イナズマ状部は、トレッド面から前記摩耗インジケータまでの範囲に形成される、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記横溝は、タイヤ周方向に連続して延びる周方向溝からタイヤ軸方向外側にトレッド接地端を越えて延びるショルダー横溝である、請求項1~3の何れかに記載のタイヤ。
【請求項5】
トレッド部に、タイヤ軸方向に延びる複数本の横溝が設けられたタイヤであって、
前記横溝の長手方向と直角な断面において、前記横溝の少なくとも一方の壁面は、
溝底に向かって溝幅が広がる向きに傾斜する第1面部と、前記第1面部の溝底側端から溝幅中心側へトレッド面と実質的に平行に延びる第2面部とが交互に複数繰り返されるイナズマ状部を含み、
前記第1面部のトレッド面の法線に対する角度θcは、3~20°であり
前記第1面部の前記角度θcは、タイヤ半径方向外側の前記第1面部の前記角度θcほど大きい、タイヤ。
【請求項6】
トレッド部に、タイヤ軸方向に延びる複数本の横溝が設けられたタイヤであって、
前記横溝の長手方向と直角な断面において、前記横溝の少なくとも一方の壁面は、
溝底に向かって溝幅が広がる向きに傾斜する第1面部と、前記第1面部の溝底側端から溝幅中心側へトレッド面と実質的に平行に延びる第2面部とが交互に複数繰り返されるイナズマ状部を含み、
前記横溝は、溝底に摩耗インジケータを具えるとともに、前記イナズマ状部は、トレッド面から前記摩耗インジケータまでの範囲に形成される、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッドレスタイヤとして好適であり、特に氷路面での制動性能を向上させたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
スタッドレスタイヤでは、氷雪路などでの走行性能を高めるために、トレッド部に、周方向溝及び横溝によって区画されたブロックを配したパターンが広く採用されている。
【0003】
このようなパターンに用いられる前記横溝の壁面は、一般に、溝底に向かって溝幅が減じる向きに傾斜する斜面によって形成されている(例えば下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、氷路面上には、タイヤの接地圧により氷が溶けて薄い水膜が形成されている。そして、この水膜がトレッド面と氷路面との間に介在すると、グリップが急激に減少する。従って、氷路面での制動性能を高めるためには、氷路面上の水膜を掃き出して、水膜がトレッド面下に入り込ませないことが重要となる。
【0006】
しかし、上記の横溝の場合、壁面と氷路面との接触角度が大になる。そのため、氷路面上の水膜を掃き出す効果(以下、ワイピング効果という。)を充分に発揮することが難しく、氷路面での制動性能に劣るという問題がある。
【0007】
そこで、本発明者は、横溝の壁面の全体を、溝底に向かって溝幅が広がる向きに傾斜させ、壁面と氷路面との接触角度を小にすることを提案した。しかし、この提案の場合、壁面と氷路面との接触部での接地圧が逆に低くなる。そのため、接触角度が大の場合と同様、ワイピング効果が充分に発揮されず、制動性能を充分に向上させることができなかった。
【0008】
本発明は、ワイピング効果を高め、制動性能を向上させたタイヤを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トレッド部に、タイヤ軸方向に延びる複数本の横溝が設けられたタイヤであって、
前記横溝の長手方向と直角な断面において、前記横溝の少なくとも一方の壁面は、
溝底に向かって溝幅が広がる向きに傾斜する第1面部と、前記第1面部の溝底側端から溝幅中心側へトレッド面と実質的に平行に延びる第2面部とが交互に複数繰り返されるイナズマ状部を含む。
【0010】
本発明に係るタイヤにおいて、前記第1面部のトレッド面の法線に対する角度θcは、3~20°であるのが好ましい。
【0011】
本発明に係るタイヤにおいて、最もトレッド面側に配される第1面部の前記角度θcは、最も溝底側に配される第1面部の前記角度θcより大きいのが好ましい。
【0012】
本発明に係るタイヤにおいて、前記第1面部の前記角度θcは、タイヤ半径方向外側の第1面部の角度θcほど大きいのが好ましい。
【0013】
本発明に係るタイヤにおいて、前記横溝は、溝底に摩耗インジケータを具えるとともに、前記イナズマ状部は、トレッド面から前記摩耗インジケータまでの範囲に形成されるのが好ましい。
【0014】
本発明に係るタイヤにおいて、前記横溝は、タイヤ周方向に連続して延びる周方向溝からタイヤ軸方向外側にトレッド接地端を越えて延びるショルダー横溝であるのが好ましい。
【0015】
前記トレッド面とは、トレッド部のタイヤ半径方向外表面を意味する。
【0016】
前記トレッド接地端とは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した状態のタイヤに正規荷重を負荷した時にトレッド面が接地する接地領域のタイヤ軸方向最外端の位置を意味する。
【0017】
又前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、横溝の少なくとも一方の壁面が、イナズマ状部を含む。イナズマ状部は、溝底に向かって溝幅が広がる向きに傾斜する第1面部と、第1面部の溝底側端から溝幅中心側へトレッド面と実質的に平行に延びる第2面部とが、交互に複数繰り返したイナズマ状に形成されている。
【0019】
その結果、壁面と氷路面との接触角度を小としながら、壁面と氷路面との接触部における接地圧を高めることができる。これにより、ワイピング効果を高め、氷路面での制動性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態のタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
【
図3】(a)は、壁面にイナズマ状部を有するブロックの制動時の接地状態を示す断面図、(b)は、壁面にイナズマ状部が無いブロックの制動時の接地状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のタイヤ1は、スタッドレスタイヤであって、トレッド部2に、少なくともタイヤ軸方向にのびる複数本の横溝3を含むトレッドパターンが形成される。
【0022】
詳しくは、本例のトレッドパターンは、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の周方向溝4をさらに具える。周方向溝4として、本例では、タイヤ赤道Cの両側に配される内の周方向溝4iと、そのタイヤ軸方向外側に配される外の周方向溝4oとの4本から構成される。これにより、トレッド部2は、周方向溝4i、4i間のセンタ陸部5cと、周方向溝4i、4o間のミドル陸部5mと、周方向溝4oよりもタイヤ軸方向外側のショルダー陸部5sとの、5本の陸部に区分されている。
【0023】
横溝3は、本例では、周方向溝4i、4o間をのびる複数のミドル横溝3mと、周方向溝4oからタイヤ軸方向外側にトレッド接地端Teを越えてのびる複数のショルダー横溝3sとから構成される。
【0024】
即ち、センタ陸部5cは、タイヤ周方向に連続してのびるリブRとして形成されている。又ミドル陸部5mは、ミドル横溝3mによって区分されたブロックBmからなるブロック列として形成されている。又ショルダー陸部5sは、ショルダー横溝3sによって区分されたブロックBsからなるブロック列として形成されている。
【0025】
又、前記リブR、及びブロックBm、Bsの表面には、エッジ効果を発揮して氷雪上性能をさらに高めるために、サイプ6が適宜形成される。サイプ6は、例えば幅0.8mm以下の切れ込み状をなし、接地時に壁面間が閉塞するものを意味する。サイプ6として種々なタイプが採用しうる。しかし
図4に代表して示すような三次元サイプが好ましい。本例の三次元サイプでは、トレッド面2Sと平行な水平断面において長さ方向にジグザグ状にのび、かつトレッド面2Sと直角な垂直断面において深さ方向にジグザグ状にのびる。
【0026】
周方向溝4の溝幅及び溝深さ、並びに、横溝3の溝幅及び溝深さ等は、慣例に従い、適宜設定しうる。又トレッドパターン自体も、特に規制されることなく、種々のパターンが採用しうる。
【0027】
ミドル横溝3m及びショルダー横溝3sのタイヤ軸方向に対する角度θm、θsは、トラクション性能の観点から、30°以下、さらには20°以下が好ましい。特に、操縦安定性への影響が大きいショルダー横溝3sにおいては、前記角度θsは15°以下、さらには10°以下が好ましい。
【0028】
図2に示すように、本発明では、横溝3の少なくとも一方の壁面8は、イナズマ状部9を含む。
図2は、
図1のA-A線断面図であって、本例では、ショルダー横溝3sの長手方向と直角な溝断面を示す。
【0029】
本例では、ショルダー横溝3sの両側の壁面8、8に、イナズマ状部9が配される。イナズマ状部9は、前記溝断面において、第1面部11と第2面部12とが交互に複数回繰り返されるイナズマ状(或いは鋸刃状)の屈曲面をなす。
【0030】
第1面部11は、溝底13に向かって溝幅が広がる向きに傾斜する傾斜面として形成される。又、第2面部12は、第1面部11の溝底側端11eから溝幅中心j側へトレッド面2Sと実質的に平行にのびる面として形成される。「実質的に平行」とは、トレッド面2Sと平行、及びトレッド面2Sに対して5°以下の角度で傾く場合を含む。
【0031】
イナズマ状部9は、トレッド面2Sに連なって形成される。又第1面部11と第2面部12との繰り返し数は、特に規制されないが3~5回が好ましい。又イナズマ状部9は、壁面8のタイヤ軸方向の幅全体に亘って形成されるのが好ましい。
【0032】
図3(a)には、壁面8にイナズマ状部9を有するブロックBsの、制動時の接地状態が示され、
図3(b)には、壁面8にイナズマ状部9が無いブロックBs’の、制動時の接地状態が示される。
【0033】
図3(a)、(b)に示されるように、制動時、トレッド面2Sと壁面8とが交わるエッジ部Eが氷路面Tと接触することで、水膜Aは、進行方向前方側に掃き出される(ワイピング効果)。この時、
図3(b)に示されるように、壁面8にイナズマ状部9が無いブロックBs’の場合、壁面8と氷路面Tとの接触角度αが大であるため、ワイピング効果が不充分となり、水膜Aがブロック下に入り込む傾向を招く。
【0034】
これに対して、
図3(a)に示されるように、壁面8にイナズマ状部9を有するブロックBsの場合、イナズマ状部9の第1面部11により、氷路面Tとの接触角度αが小になる。しかも第2面部12により、壁面8と氷路面Tとの接触部P(エッジ部E)での接地圧を高く確保できる。そしてこの相乗効果によってワイピング効果が高まり、水膜Aのブロック下への入り込みを抑えて制動性能を向上させうる。
【0035】
又イナズマ状部9では、第1面部11と第2面部12とが交互に複数回繰り返されるため、トレッド部2に摩耗が進行した場合にも、順次、新しい第1面部11がトレッド面2Sに出現でき、上記効果を長期に亘って発揮することができる。
【0036】
なお
図5に示すように、壁面8の全体が、溝底13に向かって溝幅が広がる向きに傾斜する場合にも、氷路面Tとの接触角度αは小になりうる。しかしこの場合、接触部Pとなるエッジ部Eのタイヤ半径方向内側には横溝の空隙Hが配される。そのため、タイヤ荷重が接触部Pに充分に伝わらず、接地圧が減じてワイピング効果が充分に発揮されない。これに対して、本発明では、第2面部12を有するため、接触部Pでの接地圧が高く確保される。
【0037】
図2に示すように、タイヤの無負荷状態において、第1面部11のトレッド面2Sの法線nに対する角度θcは、3~20°であるのが好ましい。角度θcが3°を下回ると、接触角度αの角度が大きくなり、逆に20°を越えても、接触部P(エッジ部E)の剛性が減じて接地圧が下がる。そのため、ワイピング効果の向上が減じる傾向となる。このような観点から、角度θcの下限は5°以上、上限は10°以下であるのがさらに好ましい。
【0038】
又最もトレッド面2S側に配される第1面部11の角度θc2Sは、最も溝底13側に配される第1面部11の角度θc13より大きいのが好ましい。特には、第1面部11の前記角度θcは、タイヤ半径方向外側の第1面部11の角度θcほど大きいのが好ましい。
【0039】
その理由は、以下のとおりである。摩耗初期においては、ブロックBsが高いため、制動時のブロックの倒れが大きくなって、壁面8と氷路面Tとの接触角度αは大きくなる。そして、接触角度αは、摩耗の進行に従って小さくなる。従って、タイヤ半径方向外側の第1面部11の角度θcほど大きくすることで、接触角度αを、摩耗の進行に影響させることなく一定に保つことが可能になる。即ち、摩耗初期から摩耗終期に至り、ワイピング効果を一定化させることが可能になる。
【0040】
又接触部Pでの接地圧を高く確保するという観点から、イナズマ状部9では、各第1面部11の半径方向外端を通る仮想線Xは、トレッド面2Sと直角、或いは、溝底に向かって溝幅が減じる向きに傾斜しているのが好ましい。
【0041】
複数のショルダー横溝3sのうちの少なくとも1つには、溝底13に摩耗インジケータ(図示省略)が配されるのが好ましい。このとき、イナズマ状部9は、トレッド面2Sから摩耗インジケータまでの範囲に形成されるのが好ましい。なおイナズマ状部9から溝底13まで、平滑面からなる平滑面部14が配される。このように溝底側に平滑面部14を設けることにより、溝底側に発生しやすいクラックなどの損傷を抑制しうる。平滑面部14は、前記仮想線X上を通るのが好ましい。
【0042】
なお溝底13に摩耗インジケータが無い場合、トレッド面2Sからイナズマ状部9の溝底側端までの半径方向距離h1は、ショルダー横溝3sの溝深さhの65~85%の範囲であるのが好ましい。
【0043】
本例では、ショルダー横溝3sの両側の壁面8、8にイナズマ状部9が形成された場合が示されたが、一方の壁面8のみにイナズマ状部9が形成されても良い。又ショルダー横溝3sに代えて、ミドル横溝3mの壁面8にイナズマ状部9が形成されても良く、又ショルダー横溝3s及びミドル横溝3mの双方にイナズマ状部9が形成されても良い。
【0044】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0045】
図1に示すトレッドパターンを基本パターンとしたサイズ195/65R15のスタッドレスタイヤが表1の仕様に基づき試作され、新品時及び50%摩耗時において、それぞれ氷路面での制動性能がテストされた。
【0046】
比較例1では、横溝の壁面が、溝底に向かって溝幅が減じる向きに傾斜する斜面によって形成されている。壁面のトレッド面の法線に対する角度は10度である。比較例2では、横溝の壁面が溝底に向かって溝幅が広がる向きに傾斜する斜面によって形成されている。壁面のトレッド面の法線に対する角度は7度である。実施例ではミドル横溝及びショルダー横溝の各壁面にイナズマ状部が形成されている。又実施例4では、タイヤ半径方向外側の第1面部の角度θcほど順次大としている。
【0047】
(1)氷路面での制動性能
タイヤをリム(15×6.0JJ)、内圧(230kPa)の条件で、車両(乗用車両:ゴルフ)の全輪に装着し、外気温-5゜Cでの氷路面上で速度40km/hからの制動距離を測定した。新品時の比較例1を100として指数表示した。数値が小さい程、制動性能が良好であることを示す。
【0048】
【0049】
テストの結果、実施例のものは、制動性能に優れるのが確認できた。又実施例4では、摩耗始期から50%終期にかけて耐偏摩耗性能と騒音性能とをバランス良く向上することが確認できた。
【符号の説明】
【0050】
1 タイヤ
2 トレッド部
2S トレッド面
3 横溝
3s ショルダー横溝
4 周方向溝
8 壁面
9 イナズマ状部
11 第1面部
11e 溝底側端
12 第2面部
13 溝底
j 溝幅中心
Te トレッド接地端