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特許7384031印刷装置、制御方法、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】印刷装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20231114BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H04N1/00 912
B41J5/30 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019238688
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021108417
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163108(JP,A)
【文献】特開2018-185652(JP,A)
【文献】特開2017-100386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/21
B41J 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
外部端末から、ページ記述言語で作成された第1データを受信する通信部と、
ユーザの操作を受け付ける操作パネルと、
前記操作パネルによる入力に応じて原稿の画像を読み取る画像読取部と、
記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記記憶部は、受信バッファ領域と、ワーク領域とを含み、
前記受信バッファ領域には、前記通信部によって受信された前記第1データが記憶され、
前記制御部は、
前記受信バッファ領域に記憶された前記第1データを解析し、前記ワーク領域を作業領域として用いながらラスターデータを作成するRIP処理と、
前記RIP処理によって作成された前記ラスターデータに基づく画像を、前記印刷部を用いて印刷する第1印刷処理と、
前記画像読取部によって読み取られた原稿の画像である第2データを、前記印刷部を用いて印刷する第2印刷処理と、
前記第1印刷処理の実行中に、前記第2印刷処理を実行する割込印刷の指示を前記操作パネルにより受け付ける割込印刷受付処理と、
前記割込印刷受付処理によって前記割込印刷の指示が受け付けられると、前記RIP処理を停止するとともに、前記ワーク領域の空き領域の一部を拡張領域として用いて前記受信バッファ領域を拡張し、前記通信部による前記第1データの受信を継続する受信バッファ変更処理と、
を実行する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記RIP処理がページ単位で完了すると、前記割込印刷の指示が前記RIP処理中に受け付けられたか否かを判断し、受け付けられたと判断した場合に、前記RIP処理を停止するとともに、前記受信バッファ変更処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記割込印刷受付処理によって前記割込印刷の指示が受け付けられたと判断した場合に、
前記ワーク領域の空き領域が第1閾値以上である場合、前記受信バッファ変更処理を実行し、
前記ワーク領域の空き領域が前記第1閾値未満の場合、前記受信バッファ変更処理を実行しない、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記受信バッファ領域の空き領域が第2閾値未満である場合、前記外部端末に対して前記通信部を用いて送信エラーを送信し、
前記受信バッファ領域の空き領域が前記第2閾値以上である場合、前記通信部による前記第1データの受信を継続する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記RIP処理中に前記割込印刷の指示を受け付けた場合、ページ単位での処理が完了する前に、前記RIP処理を停止させるとともに前記受信バッファ変更処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記RIP処理により生成されるラスターデータを記憶するページメモリをさらに含み、
前記制御部は、
前記RIP処理中に前記割込印刷の指示を受け付けた場合、前記ワーク領域の空き領域が第1閾値未満であれば、前記RIP処理において前記ラスターデータを生成する過程で前記ワーク領域に記憶させた中間データを前記ページメモリに展開した後、前記受信バッファ変更処理を実行する、
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記中間データを前記ページメモリに展開した際に、前記ワーク領域の空き領域が前記第1閾値以上である場合に、前記受信バッファ変更処理を実行し、
前記中間データを前記ページメモリに展開した際に、前記ワーク領域の空き領域が前記第1閾値未満の場合に、前記受信バッファ変更処理を実行しない、
ことを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第2印刷処理が終了した後、前記拡張領域を含む前記受信バッファ領域に記憶されている前記第1データに対して前記RIP処理を再開する、
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第2印刷処理が終了した後、前記拡張領域を含む前記受信バッファ領域に前記第1データが無くなると、前記拡張領域を解放する、
ことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
外部端末から、ページ記述言語で作成された第1データを受信する通信部と、
ユーザの操作を受け付ける操作パネルと、
前記操作パネルによる入力に応じて原稿の画像を読み取る画像読取部と、
記憶部と、
を備えた印刷装置を制御する制御方法であって、
前記記憶部は、受信バッファ領域と、ワーク領域とを含み、
前記受信バッファ領域には、前記通信部によって受信された前記第1データが記憶され、
前記受信バッファ領域に記憶された前記第1データを解析し、前記ワーク領域を作業領域として用いながらラスターデータを作成するRIP処理工程と、
前記RIP処理工程によって作成された前記ラスターデータに基づく画像を、前記印刷部を用いて印刷する第1印刷処理工程と、
前記画像読取部によって読み取られた原稿の画像である第2データを、前記印刷部を用いて印刷する第2印刷処理工程と、
前記第1印刷処理工程の実行中に、前記第2印刷処理工程を実行する割込印刷の指示を前記操作パネルにより受け付ける割込印刷受付処理工程と、
前記割込印刷受付処理工程によって前記割込印刷の指示が受け付けられると、前記RIP処理工程を停止するとともに、前記ワーク領域の空き領域の一部を拡張領域として用いて前記受信バッファ領域を拡張し、前記通信部による前記第1データの受信を継続する受信バッファ変更処理工程と、
を実行する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
請求項1に記載の印刷装置における制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
外部端末が送信するページ記述言語で作成された印刷ジョブを受信し、ページ記述言語を解析してラスターデータを作成するRIP(Raster Image Processor)処理と、ラスターデータに基づく画像を記録用紙に記録する記録処理とを実行する印刷装置がある。
【0003】
特許文献1の画像形成装置は、先に指示されたページ記述言語で作成された印刷ジョブの記録処理が完了する前に、別の記録処理を実行する割込印刷の実行指令を受け付けると、RIP処理を停止させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-193514号公報(2016年11月17日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷装置が割込印刷の実行指令を受け付けてRIP処理を停止させると、RIP処理による印刷ジョブの解析ができないため、印刷ジョブを受信する受信バッファがフルになる。すると、印刷装置が、外部端末からページ記述言語で作成された印刷ジョブを受信バッファで受信できなくなるため、印刷装置は、外部端末からのページ記述言語で作成された印刷ジョブの受信を停止しなければいけないという問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、割込印刷の受け付け後も外部端末から送信される印刷ジョブの受信を継続する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る印刷装置は、画像を記録媒体に印刷する印刷部と、外部端末から、ページ記述言語で作成された第1データを受信する通信部と、ユーザの操作を受け付ける操作パネルと、前記操作パネルによる入力に応じて原稿の画像を読み取る画像読取部と、記憶部と、制御部と、を備え、前記記憶部は、受信バッファ領域と、ワーク領域とを含み、前記受信バッファ領域には、前記通信部によって受信された前記第1データが記憶され、前記制御部は、前記受信バッファ領域に記憶された前記第1データを解析し、前記ワーク領域を作業領域として用いながらラスターデータを作成するRIP処理と、前記RIP処理によって作成された前記ラスターデータに基づく画像を、前記印刷部を用いて印刷する第1印刷処理と、前記画像読取部によって読み取られた原稿の画像である第2データを、前記印刷部を用いて印刷する第2印刷処理と、前記第1印刷処理の実行中に、前記第2印刷処理を実行する割込印刷の指示を前記操作パネルにより受け付ける割込印刷受付処理と、前記割込印刷受付処理によって前記割込印刷の指示が受け付けられると、前記RIP処理を停止するとともに、前記ワーク領域の空き領域の一部を拡張領域として用いて前記受信バッファ領域を拡張し、前記通信部による前記第1データの受信を継続する受信バッファ変更処理と、を実行する。
【0008】
前記構成によれば、割込印刷が受け付けられるとRIP処理が停止するため、割込印刷が終了するまでは、ワーク領域がRIP処理の作業領域として新たに使用されることはない。このようにRIP処理で不使用となったワーク領域の空き領域を用いて受信バッファ領域を拡張するので、割込印刷の受け付け後も外部端末から順次送信される印刷ジョブの受信を継続することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る印刷装置において、前記制御部は、前記RIP処理がページ単位で完了すると、前記割込印刷の指示が前記RIP処理中に受け付けられたか否かを判断し、受け付けられたと判断した場合に、前記RIP処理を停止するとともに、前記受信バッファ変更処理を実行する、ことが好ましい。
【0010】
前記構成によれば、RIP処理がページ単位で完了すると、作業領域として用いられていた領域が解放されるためワーク領域に充分な空き領域がある可能性が高い。その結果、受信バッファ領域をより充分に拡張することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る印刷装置において、前記制御部は、前記割込印刷受付処理によって前記割込印刷の指示が受け付けられたと判断した場合に、前記ワーク領域の空き領域が第1閾値以上である場合、前記受信バッファ変更処理を実行し、前記ワーク領域の空き領域が前記第1閾値未満の場合、前記受信バッファ変更処理を実行しない、ことが好ましい。
【0012】
前記構成によれば、ワーク領域の空き領域が充分でない場合には、受信バッファ領域を拡張しない。その結果、第1印刷処理再開後にRIP処理で作業領域として用いるワーク領域の空き領域を確保しておくことができる。
【0013】
本発明の一態様に係る印刷装置において、前記制御部は、前記受信バッファ領域の空き領域が第2閾値未満である場合、前記外部端末に対して前記通信部を用いて送信エラーを送信し、前記受信バッファ領域の空き領域が前記第2閾値以上である場合、前記通信部による前記第1データの受信を継続する、ことが好ましい。
【0014】
前記構成によれば、割込印刷の指示が受け付けられた際に受信バッファ領域の空き領域が充分でない場合には送信エラーが外部端末に送信されるが、空き領域が充分であれば第1データの受信が継続される。したがって、割込印刷中に外部端末において第1データの送信がエラーとなる可能性を低減することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る印刷装置において、前記制御部は、前記RIP処理中に前記割込印刷の指示を受け付けた場合、ページ単位での処理が完了する前に、前記RIP処理を停止させるとともに前記受信バッファ変更処理を実行する、ことが好ましい。
【0016】
前記構成によれば、割込印刷の指示が受け付けられると、RIP処理がページ単位で完了する前であってもRIP処理が停止して受信バッファ領域が拡張される。その結果、割込印刷の受け付け後、外部端末から順次送信される印刷ジョブの受信を継続しながら、より迅速に割込印刷を実行することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る印刷装置において、前記記憶部は、前記RIP処理により生成されるラスターデータを記憶するページメモリをさらに含み、前記制御部は、前記RIP処理中に前記割込印刷の指示を受け付けた場合、前記ワーク領域の空き領域が第1閾値未満であれば、前記RIP処理において前記ラスターデータを生成する過程で前記ワーク領域に記憶させた中間データを前記ページメモリに展開した後、前記受信バッファ変更処理を実行する、ことが好ましい。
【0018】
前記構成によれば、ページ単位でRIP処理が完了する前の中間データを一旦ページメモリに展開することで、ワーク領域に、受信バッファ領域を拡張するための空き領域を確保することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る印刷装置において、前記制御部は、前記中間データを前記ページメモリに展開した際に、前記ワーク領域の空き領域が前記第1閾値以上である場合に、前記受信バッファ変更処理を実行し、前記中間データを前記ページメモリに展開した際に、前記ワーク領域の空き領域が前記第1閾値未満の場合に、前記受信バッファ変更処理を実行しない、ことが好ましい。
【0020】
前記構成によれば、RIP処理中に割込印刷が受け付けられた際に、中間データをページメモリに展開してもワーク領域の空き領域が充分でなければ、受信バッファ領域を拡張しない。このため、第1印刷処理再開後にRIP処理が作業領域として用いるワーク領域の空き領域を確保しておくことができる。
【0021】
本発明の一態様に係る印刷装置において、前記制御部は、前記第2印刷処理が終了した後、前記拡張領域を含む前記受信バッファ領域に記憶されている前記第1データに対して前記RIP処理を再開する、ことが好ましい。
【0022】
前記構成によれば、割込印刷終了後に第1データを再受信する必要なく、RIP処理を再開することができる。
【0023】
本発明の一態様に係る印刷装置において、前記制御部は、前記第2印刷処理が終了した後、前記拡張領域を含む前記受信バッファ領域に前記第1データが無くなると、前記拡張領域を解放する、ことが好ましい。
【0024】
前記構成によれば、割込印刷終了後、受信バッファ領域及びワーク領域を元の状態に戻すことができる。
【0025】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、画像を記録媒体に印刷する印刷部と、外部端末から、ページ記述言語で作成された第1データを受信する通信部と、ユーザの操作を受け付ける操作パネルと、前記操作パネルによる入力に応じて原稿の画像を読み取る画像読取部と、記憶部と、を備えた印刷装置を制御する制御方法であって、前記記憶部は、受信バッファ領域と、ワーク領域とを含み、前記受信バッファ領域には、前記通信部によって受信された前記第1データが記憶され、前記受信バッファ領域に記憶された前記第1データを解析し、前記ワーク領域を作業領域として用いながらラスターデータを作成するRIP処理工程と、前記RIP処理工程によって作成された前記ラスターデータに基づく画像を、前記印刷部を用いて印刷する第1印刷処理工程と、 前記画像読取部によって読み取られた原稿の画像である第2データを、前記印刷部を用いて印刷する第2印刷処理工程と、前記第1印刷処理工程の実行中に、前記第2印刷処理工程を実行する割込印刷の指示を前記操作パネルにより受け付ける割込印刷受付処理工程と、 前記割込印刷受付処理工程によって前記割込印刷の指示が受け付けられると、前記RIP処理工程を停止するとともに、前記ワーク領域の空き領域の一部を拡張領域として用いて前記受信バッファ領域を拡張し、前記通信部による前記第1データの受信を継続する受信バッファ変更処理工程と、を実行する。
【0026】
前記構成によれば、割込印刷が受け付けられるとRIP処理が停止するため、割込印刷が終了するまでは、ワーク領域がRIP処理の作業領域として新たに使用されることはない。このようにRIP処理で不使用となったワーク領域の空き領域を用いて受信バッファ領域を拡張するので、割込印刷の受け付け後も外部端末から順次送信される印刷ジョブの受信を継続することができる。
【0027】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御プログラムは、上述の印刷装置における制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであることを特徴とする。
【0028】
前記構成によれば、割込印刷が受け付けられるとRIP処理が停止するため、割込印刷が終了するまでは、ワーク領域がRIP処理の作業領域として新たに使用されることはない。このようにRIP処理で不使用となったワーク領域の空き領域を用いて受信バッファ領域を拡張するので、割込印刷の受け付け後も外部端末から順次送信される印刷ジョブの受信を継続することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、割込印刷の受け付け後も外部端末から送信される印刷ジョブの受信を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態1に係る印刷システムの構成を概略的に示す図である。
図2】印刷装置の構成を示すブロック図である。
図3】印刷装置の機能構成を例示するブロック図である。
図4】RIP処理の詳細を説明する模式図である。
図5】制御部111が実行する処理全体の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】制御部111が行う第1データの受信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】制御部111が行う受信バッファ変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】制御部111が行うRIP処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】RAM13の構成の変化を模式的に説明する図である。
図10】制御部111が行う第1データの受信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】制御部111が行う受信バッファ変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】RAM13の構成の変化を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
〔実施形態1〕
<システム構成>
図1は、本発明の実施形態1に係る印刷システム100の構成を概略的に示す図である。印刷システム100は、印刷装置1及びPC(Personal Computer)9を備える。印刷装置1は、PCプリント処理及びコピー処理等の印刷処理を実行する。PCプリント処理は、PC9から受信されるデータを用いて記録媒体に画像を印刷する処理である。コピー処理は、印刷装置1が読み取った原稿の画像を記録媒体に印刷する処理である。記録媒体は画像が印刷される媒体であり、例えば用紙である。PC9は、印刷装置1にデータを送信する装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末である。ユーザU1は印刷装置1に対し、コピー処理の指示等の各種の操作を行う。
【0033】
<印刷装置1の構成>
図2は、印刷装置1の構成を示すブロック図である。印刷装置1は、図2に示すように、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、印刷部14と、読取部15と、通信インタフェース16と、操作パネル17とを含む。
【0034】
(ASIC11)
ASIC11は、制御部111を含む。ASIC11は、ROM12、RAM13、印刷部14、読取部15、通信インタフェース16、及び操作パネル17と、それぞれ通信可能に接続される。なお、ASIC11は、ROM12及びRAM13の一方又は両方を含んでいてもよい。ASIC11は、制御部111の制御の基に、接続される各部との間で信号を送受信する。制御部111は例えばCPU(Central Processing Unit)であり、ROM12に記憶された制御プログラムを読み込んでRAM13に展開し、展開されたプログラムにしたがって各種の処理を実行する。
【0035】
(ROM12)
ROM12は、例えば、フラッシュメモリ等といった書き換え可能な不揮発性メモリによって構成される。ROM12は、制御部111を、本発明における制御部またはコンピュータとして機能させるための制御プログラムを記憶している。ROM12に記憶される制御プログラムは、本発明における制御プログラムの一例である。
【0036】
(RAM13)
RAM13は、本発明における記憶部の一例である。RAM13は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等といった揮発性メモリによって構成される。RAM13は、制御部111が制御プログラムを実行する際の作業領域として用いられる。制御部111がPCプリント処理及びコピー処理を実行する際、RAM13には、受信バッファ領域131、ワーク領域132、ページメモリ領域133、及び登録バッファ領域134が確保される。すなわち、RAM13は、受信バッファ領域131、ワーク領域132、ページメモリ領域133、および登録バッファ領域134を含む。
【0037】
受信バッファ領域131は、PC9から受信される第1データを記憶する。第1データは、PC9によって生成されたデータである。本実施形態では、第1データは、PCL(登録商標)、Postscript(登録商標)、LIPS(登録商標)、PDF(Portable Document Format)等のページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたデータである。第1データが受信される毎に、受信された第1データが受信バッファ領域131に記憶される。
【0038】
ワーク領域132は、後述するRIP処理においてワーク領域として用いられる領域である。ページメモリ領域133は、RIP処理により生成されるラスターデータを記憶する領域である。登録バッファ領域134には、印刷部14が記録媒体に画像を印刷する際に用いる画像データ(以下「印刷データ」という)が記憶される。登録バッファ領域134に記憶される印刷データは、例えば、ページメモリ領域133に記憶されたラスターデータに対し色変換処理が行われたラスターデータである。また、印刷データは例えば、第2データから得られる、読取部15により読み取られた原稿の画像を表す画像データである。
【0039】
(印刷部14)
印刷部14は、本発明における印刷部の一例である。印刷部14は、RAM13の登録バッファ領域134に記憶された印刷データの表す画像を記録媒体に印刷する印刷機構である。印刷部14は、搬送経路を搬送される記録媒体の印刷面に画像を印刷する。印刷の方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよいし、サーマル方式であってもよい。印刷部14は、両面印刷可能であってもよいし、片面印刷専用であってもよい。
【0040】
(読取部15)
読取部15は、本発明における画像読取部の一例である。読取部15は、操作パネル17による入力に応じて原稿の画像を読み取り、読み取った画像を表す第2データを生成する。第2データは、例えば、ビットマップデータである。読取部15は、載置台に載置された原稿からの反射光を、イメージセンサを用いて検出することにより、原稿に記録された情報を示す第2データを生成する。読取部15は、第2データを読取バッファ(図示せず)に記憶する。
【0041】
(通信インタフェース16)
通信インタフェース16は、本発明における通信部の一例である。通信インタフェース16は、PC9から第1データを受信する。PC9は、本発明における外部装置の一例である。上述したように、第1データは、PC9によって生成され、PDLを用いて記述される。通信インタフェース16は、受信した第1データを受信バッファ領域131に記憶する。例えば、通信インタフェース16は、有線又は無線LAN(Local Area Network)、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、RS-232Cなどのシリアル通信インタフェース、赤外線、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信インタフェース、又はこれらの組み合わせにより構成される。
【0042】
(操作パネル17)
操作パネル17は、本発明における操作パネルの一例である。操作パネル17は、ユーザの操作を受け付ける。例えば、操作パネル17は、タッチパッド及びディスプレイが一体として形成されたタッチパネルを含む。例えば、操作パネル17は、操作領域を含むユーザインタフェース画面をタッチパネルに表示するとともに、操作領域に対するユーザの接触操作を検出する。
【0043】
<印刷装置1の機能構成>
図3は、印刷装置1の機能構成を例示するブロック図である。図3において、RIP処理部101、第1印刷処理部102、第2印刷処理部103、割込受付部104、及び受信バッファ変更部105は、制御部111がROM12に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより印刷装置1に実装される。RIP処理部101、第1印刷処理部102、第2印刷処理部103、割込受付部104、及び受信バッファ変更部105は、マルチタスクOS(オペレーションシステム)により別タスクとして実装される。これら複数のタスクは、OSの制御の下、並行して処理を実行可能である。
【0044】
RIP処理部101は、受信バッファ領域131に記憶されている第1データを解析し、ワーク領域132を作業領域として用いながらラスターデータを作成するRIP処理を実行する。この実施形態では、RIP処理部101は、第1データを第1データに含まれるオブジェクト毎に展開してオブジェクト毎の中間データを生成し、生成した中間データからページ毎のラスターデータを生成する。RIP処理においては、ワーク領域132が作業領域として用いられ、中間データはワーク領域132に記憶される。
【0045】
図4は、RIP処理の内容を説明する模式図である。図4に示すように、第1データP1は、テキスト、形状、ビットマップなどをそれぞれ示すオブジェクトOBJ1~OBJ3の記述を含む。RIP処理部101は、各オブジェクトの記述をそれぞれ解析することにより、オブジェクト毎に中間データを生成し、生成した中間データをワーク領域132に記憶する。図4の例では、中間データD1は、オブジェクトOBJ1の記述を解析することにより生成されたものである。中間データD2は、オブジェクトOBJ2の記述を解析することにより生成されたものである。中間データD3は、オブジェクトOBJ3の記述を解析することにより生成されたものである。RIP処理部101は、第1データの解析がRIP処理の処理単位(以下「ページ単位」という)で終了すると、中間データD1~D3を参照してラスターデータRASを生成する。
【0046】
また、RIP処理部101は、ページ単位での第1データのラスターデータへの展開が完了すると、受信バッファ領域131から当該第1データを削除する。また、RIP処理部101は、ページ単位で第1データのラスターデータへの展開が完了すると、当該第1データを展開する過程でワーク領域132に記憶した中間データを、ワーク領域132から削除する。
【0047】
図3の説明に戻る。第1印刷処理部102は、RIP処理により生成されたラスターデータの表す画像を、印刷部14を用いて印刷する第1印刷処理を実行する。この実施形態では、第1印刷処理部102は、ページメモリ領域133に記憶されたラスターデータ(すなわちRIP処理により生成されたラスターデータ)に対し色変換処理を実行し、色変換処理が行われたラスターデータを登録バッファ領域134に記憶する。登録バッファ領域134に記憶されたラスターデータは、印刷部14が記録媒体に画像を印刷する際に用いられる。なお、第1印刷処理部102は、色変換処理を実行することなく、ページメモリ領域133に記憶されたラスターデータをそのまま登録バッファ領域134に記憶してもよい。
【0048】
第2印刷処理部103は、読取部15によって読み取られた原稿の画像である第2データを、印刷部14を用いて印刷する第2印刷処理を実行する。本実施形態において、第2印刷処理はコピー処理である。割込受付部104は、第1印刷処理の実行中に、第2印刷処理を実行する割込印刷の指示を、操作パネル17により受け付ける割込受付処理を実行する。例えば、操作パネル17に表示されたユーザインタフェース画面に、コピーを指示するコピーボタン領域が含まれているとする。この場合、第1印刷処理を実行中にコピーボタン領域に対するユーザの接触操作が検出されると、制御部111は、第2印刷処理の指示が受け付けられたと判断する。
【0049】
受信バッファ変更部105は、受信バッファ変更処理を実行する。受信バッファ変更処理は、割込印刷受付処理によって割込印刷の指示が受け付けられると、RIP処理を停止するとともに、ワーク領域132の空き領域の一部を拡張領域として用いて受信バッファ領域131を拡張し、通信インタフェース16による第1データの受信を継続する処理である。
【0050】
<制御部111が実行する処理の流れ>
図5~8を用いて、制御部111が実行する処理(制御方法)の流れについて説明する。
【0051】
(全体の流れ)
図5は、制御部111が実行する処理全体の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS101において、制御部111は、PC9から印刷命令を受信したか否かを判断する。
【0052】
ステップS101においてNoと判断された場合、ステップS102において、制御部111は、PC9または操作パネル17から他の命令を受け付けたか否かを判断する。他の命令の一例として、印刷装置1のパラメータを設定する命令が挙げられる。このような命令は、PC9から受信される場合もあるし、操作パネル17に対する操作により受け付けられる場合もある。また、他の命令として、第2印刷処理の実行を指示する命令が挙げられる。このような命令は、操作パネル17に対する操作により受け付けられる。
【0053】
ステップS103において、制御部111は、他の命令が示す処理を実行する。その後、制御部111は、処理を終了する。
【0054】
一方、ステップS101においてYesと判断された場合、ステップS104において、通信インタフェース16は、PC9から順次送信される第1データの受信処理を開始する。第1データの受信処理の詳細については後述する。登録バッファ領域134には、第1データの受信処理において当該第1データから得られる印刷データ(ラスターデータ)が順次記憶される。
【0055】
ステップS105において、制御部111は、第1印刷処理を開始する。本ステップS105における処理は第1印刷処理工程の一例である。具体的には、制御部111は、登録バッファ領域134に順次記憶される印刷データを、印刷部14に順次印刷させる。第1印刷処理は、登録バッファ領域134に印刷データが記憶されている間、繰り返し実行される。
【0056】
ステップS106において、制御部111は、割込印刷を指示する操作を受け付けたか否かを判断する。本ステップS106における処理は割込印刷受付処理工程の一例である。制御部111は、割込印刷を指示する操作を受け付けると、割込印刷処理を実行する(ステップS108~S109)。
【0057】
ステップS106においてYesの場合、ステップS107において、制御部111は、割込印刷処理を実行することを示す情報をRAM13に記憶する。例えば、割込フラグがオンであれば割込印刷処理を実行することを示し、オフであれば実行していないことを示すよう定められている場合、制御部111は、割込フラグをオンにする。
【0058】
ステップS108において、制御部111は、ステップS105で開始した第1印刷処理を中断する。これにより、第1データから得られた印刷データが登録バッファ領域134に記憶されていても、当該印刷データの印刷部14による印刷が停止する。ステップS109において、制御部111は、第2印刷処理を開始する。本ステップS109における処理は第2印刷処理工程の一例である。
【0059】
ステップS110において、制御部111は、割込印刷処理が終了したか否かを判断する。ステップS110においてNoの場合、再度ステップS110の処理が実行される。
【0060】
ステップS110においてYesの場合、ステップS111において、制御部111は、割込印刷処理が実行されていないことを示す情報をRAM13に記憶する。例えば、制御部111は、割込フラグをオフにする。あるいは、制御部111は、割込フラグ自体をRAM13から削除してもよい。
【0061】
ステップS112において、制御部111は、第1印刷処理を再開する。すなわち、制御部111は、割込印刷処理が終了した後(ステップS110;Yes)、拡張領域を含む受信バッファ領域131に記憶されている第1データに対してRIP処理を再開する。これにより、第1印刷処理を中断した際に登録バッファ領域134に記憶されていたラスターデータ、および、第1印刷処理の中断以降、登録バッファ領域134に順次記憶されたラスターデータが、印刷部14により順次印刷される。
【0062】
また、ステップS112において、制御部111は、割込印刷処理が終了した後、拡張領域を含む受信バッファ領域131に第1データが無くなると、拡張領域を解放する。
【0063】
ステップS113において、制御部111は、第1印刷処理が終了したか否かを判断する。本ステップは、ステップS106においてNoの場合にも実行される。例えば、制御部111は、登録バッファ領域134に、第1データから得られた印刷データが記憶されていない場合、第1印刷処理が終了したと判断してもよい。
【0064】
ステップS113においてNoの場合、制御部111は、ステップS106からの処理を繰り返す。ステップS113においてYesの場合、制御部111は、処理を終了する。
【0065】
(第1データの受信処理)
図6は、ステップS104で開始される第1データの受信処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。ステップS201において、通信インタフェース16は、PC9から順次送信される第1データの受信を開始する。これにより、受信バッファ領域131には、第1データが順次記憶される。
【0066】
ステップS202において、制御部111は、受信バッファ領域131に記憶された第1データに対するRIP処理を開始する。本ステップS202における処理はRIP処理工程の一例である。RIP処理の詳細については後述する。ページメモリ領域133には、第1データから展開されたラスターデータが順次記憶される。
【0067】
ステップS203において、制御部111は、1ページ分のRIP処理が完了したか否かを判断する。ステップS203においてNoの場合、再度ステップS203の処理が実行される。
【0068】
ステップS203においてYesの場合、ステップS204において、制御部111は、ページメモリ領域133にラスターデータを展開済みの第1データを、受信バッファ領域131から削除する。
【0069】
ステップS205において、制御部111は、ページメモリ領域133に展開されたラスターデータを、登録バッファ領域134に記憶する。登録バッファ領域134に記憶されたラスターデータは、ページメモリ領域133から削除される。
【0070】
ステップS206において、制御部111は、受信バッファ領域131に第1データが記憶されているか否かを判断する。ステップS206においてYesの場合、ステップS207において、制御部111は、RIP処理中に割込印刷の指示を受けたか(割込フラグがオンであるか)を判断する。すなわち、制御部111は、RIP処理がページ単位で完了すると(ステップS203;Yes)、割込印刷の指示がRIP処理中に受け付けられたか否かを判断する。
【0071】
ステップS207においてNoの場合、制御部111は、ステップS203からの処理を繰り返す。
【0072】
ステップS207においてYesの場合、ステップS208において、制御部111は、ステップS202で開始したRIP処理を中断する。ステップS209において、制御部111は、受信バッファ変更処理を実行する。本ステップS209における処理は受信バッファ変更処理工程の一例である。すなわち、本実施形態では、割込印刷の指示が受け付けられると(ステップS207;Yes)、制御部111は、RIP処理を停止するとともに(ステップS208)、ワーク領域132の空き領域の一部を拡張領域として用いて受信バッファ領域を拡張し、通信インタフェース16による第1データの受信を継続する(ステップS209)。その後、制御部111は、ステップS202からの処理を繰り返す。
【0073】
一方、ステップS206においてNoの場合について説明する。PC9から受信した第1データが全て展開済みであれば、受信バッファ領域131には、第1データが記憶されていない。この場合、ステップS206においてNoと判断される。この場合、ステップS210において、制御部111は、受信バッファ領域131が拡張されているか否かを判断する。ステップS210においてNoの場合、制御部111は、処理を終了する。
【0074】
ステップS210においてYesの場合、ステップS211において、制御部111は、受信バッファ領域131として拡張した拡張領域を解放する受信バッファ変更処理を実行する。すなわち、拡張領域であった領域は、ワーク領域132の一部として再度割り当てられる。
【0075】
(第1タイミングでの受信バッファ変更処理)
図7は、ステップS209における受信バッファ変更処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
ステップS301において、制御部111は、ワーク領域132の空き領域が第1閾値以上であるか否かを判断する。ここで、当該ステップは、第1データのRIP処理がページ単位で完了した後に実行される。このため、ワーク領域132には、RIP処理の過程で生成される中間データが記憶されていない。
【0077】
ステップS301でYesの場合、ステップS302において、制御部111は、ワーク領域132の空き領域の一部を拡張領域として受信バッファ領域131に加えることにより、受信バッファ領域131を拡張する。すなわち、制御部111は、割込印刷の指示が受け付けられたと判断した場合(図6のステップS207;Yes)において、ワーク領域132の空き領域が第1閾値以上である場合(図7のステップS301;Yes)、受信バッファ変更処理を実行する。
【0078】
一方、ステップS301でNoの場合、制御部111は、ステップS302の処理をスキップし、ステップS303の処理に進む。制御部111は、ワーク領域132の空き領域が第1閾値未満の場合(図7のステップS301;No)、受信バッファ変更処理を実行しない。
【0079】
ステップS303において、制御部111は、受信バッファ領域131の空き領域が第2閾値以下であるか否かを判断する。ステップS303の判断処理は、ステップS301においてNoの場合にも実行される。
【0080】
ステップS303においてYesの場合、ステップS304において、制御部111は、受信バッファ領域131に第1データを記憶できないことを示すエラー情報を、PC9に対して送信する。すなわち、制御部111は、受信バッファ領域131の空き領域が第2閾値未満である場合、外部端末に対して通信インタフェース16を用いて送信エラーを送信する。
【0081】
一方、ステップS303でNoの場合、制御部111はステップS304の処理をスキップし、ステップS305の処理に進む。すなわち、制御部111は、受信バッファ領域131の空き領域が第2閾値以上である場合、通信インタフェース16による第1データの受信を継続する。
【0082】
ステップS305において、制御部111は、第2印刷処理、すなわち割込印刷が終了したか否かを判断する。ステップS305の判断処理は、ステップS303においてNoの場合にも実行される。
【0083】
ステップS305においてNoの場合、ステップS303からの処理が繰り返される。ステップS305においてYesの場合、制御部111は、受信バッファ変更処理を終了する。
【0084】
(RIP処理)
図8は、ステップS202で開始されるRIP処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【0085】
ステップS401において、制御部111は、対象となる第1データに、未処理のオブジェクトの記述が含まれているか否かを判断する。未処理のオブジェクトの記述が含まれているか否かにより、第1データのページ単位分の解析が終了したか否かを判断可能である。
【0086】
ステップS401でYesの場合、第1データのページ単位分の解析が終了していない。この場合、ステップS402において、制御部111は、当該オブジェクトの記述を解析し、ワーク領域132に記憶すべき中間データを生成する。
【0087】
ステップS403において、制御部111は、ワーク領域132の空き領域が第3閾値以上か否かを判断する。ステップS403でYesの場合、ステップS404において、制御部111は、ステップS402で生成した中間データを、ワーク領域132に記憶させる。
【0088】
一方、ステップS403でNoの場合、ステップS405において、制御部111は、ワーク領域132に既に記憶されている中間データをページメモリ領域133に展開する。このとき、ワーク領域132に記憶されている中間データは、1ページ分の中間データよりも少ない。したがって、本ステップでページメモリ領域133に展開されるのは、1ページ分の第1データの一部を示す部分的なラスターデータである。
【0089】
ステップS406において、制御部111は、ワーク領域132に記憶されている中間データを削除する。なお、ラスターデータのデータサイズは、当該ラスターデータの展開に用いられたた中間データのデータサイズの合計よりも小さい。したがって、部分的なラスターデータをページメモリ領域133に展開してワーク領域132から中間データを削除することにより、ワーク領域132に空き領域が確保されるだけでなく、RAM13全体としての空き容量も増加する。
【0090】
そして、制御部111は、ステップS404を実行し、ステップS406でワーク領域132に確保された空き領域に、ステップS402で生成した中間データを記憶させる。
【0091】
また、ステップS401でNoの場合、第1データの1ページ分の解析が終了している。この場合、ステップS407において、制御部111は、ワーク領域132に記憶されている1ページ分の中間データからラスターデータを生成し、ページメモリ領域133に展開する。
【0092】
ステップS408において、制御部111は、ワーク領域132に記憶されている中間データを削除する。
【0093】
<具体例1>
図9は、以上のように動作する印刷装置1におけるRAM13の構成の変化を模式的に説明する図である。本具体例の説明では、ページ単位を「ページ」または「Page」と記載する。
【0094】
(第1タイミングにおけるRAM13の構成)
図9の左図は、ステップS207において割込フラグがオンであると判断したタイミング(以下「第1タイミング」という)でのRAM13の構成を示す。印刷装置1は、第1タイミングまでに、PC9から第1データPage1、Page2、・・・、PageN、PageN+1、PageN+3までを受信している。
【0095】
受信バッファ領域131は、第1データPageN+3を記憶している。PageN+2までの第1データは、ページメモリ領域133に展開された後であるため、受信バッファ領域131から削除されている。ここでは、RAM13のうち、受信バッファ領域131としてサイズb1の領域が割り当てられている。
【0096】
ワーク領域132は、中間データを記憶していない。これは、当該RAM13の構成は、第1データPageN+2のRIP処理が完了したと判断された後の第1タイミングにおける構成を示しているためである。第1データPageN+2のRIP処理が完了していることにより、第1データPageN+2から生成された中間データは、ワーク領域132から削除されている。
【0097】
ここでは、RAM13のうち、ワーク領域132としてサイズb2の領域が割り当てられており、全て空き領域であるものとする。すなわち、ワーク領域132の空き領域はサイズb2であり、第1閾値以上である。なお、ワーク領域132には、中間データ以外のデータが格納される可能性があるが、本具体例では、説明を簡単にするため、中間データを記憶していない状態のワーク領域132全体のサイズと、ワーク領域132の空き領域のサイズとが同一であるものとして説明する。
【0098】
ページメモリ領域133は、ラスターデータPageN+2を記憶している。ラスターデータPageN+2は、第1データPageN+2から得られたラスターデータである。PageN+1までのラスターデータは、既に登録バッファ領域134に記憶された後であるため、ページメモリ領域133から削除されている。
【0099】
登録バッファ領域134は、ラスターデータPageN、PageN+1を記憶している。これらのラスターデータは、印刷部14によって記録媒体に順次印刷される。PageN-1までのラスターデータは、既に印刷済みであるため、登録バッファ領域134から削除されている。
【0100】
(受信バッファ拡張処理)
このような受信バッファ拡張前のRAM13の構成において、次のように受信バッファ拡張処理が行われる。まず、ステップS301において、ワーク領域132の空き領域のサイズb2が第1閾値以上ではあると判断される。そこで、ステップS302において、サイズb2のワーク領域132のうちサイズb3の拡張領域を用いて、受信バッファ領域131が拡張される。
【0101】
(受信バッファ拡張後のRAM13の構成)
図9の右図は、ステップS209において受信バッファ変更処理が実行された後のRAM13の構成を示す。この時点で、印刷装置1は、PC9から、引き続き第1データPageN+5までを受信している。
【0102】
図9の右図に示すように、拡張された受信バッファ領域131は、第1データPageN+3、PageN+4、PageN+5を記憶している。拡張された受信バッファ領域131は、拡張前のサイズb1の受信バッファ領域131に、ワーク領域132の一部であったサイズb3の拡張領域が加えられたものである。このため、拡張された受信バッファ領域131のサイズは、元の受信バッファ領域131のサイズb1と拡張領域のサイズb3とを加算したb1_2である。
【0103】
第1データPageN+3は、割込フラグがオンであると判断された時点で既に受信バッファ領域131に記憶されていた第1データである。第1データPageN+4、PageN+5は、割込フラグがオンであると判断された第1タイミング以降にPC9から受信された第1データである。これらの第1データPageN+3、PageN+4、PageN+5は、ステップS208でRIP処理が中断されているため、少なくともRIP処理が再開されるまでは受信バッファ領域131から削除されない。受信バッファ領域131は、受信バッファ拡張前よりもサイズが増加しているため、受信する第1データをより多く記憶することができる。
【0104】
ワーク領域132は、中間データを記憶していない。これは、ステップS208でRIP処理が中断されているため、少なくともRIP処理が再開されるまでは、新たな中間データが記憶されないためである。ワーク領域132のサイズは、元のワーク領域132のサイズb2から、拡張領域として割り当てられたサイズb3の領域を減算したサイズb2_2である。ここでは、ワーク領域132の空き領域がサイズb2_2であるとする。RIP処理が再開された後は、当該サイズb2_2の空き領域を用いて中間データが記憶される。
【0105】
ページメモリ領域133は、拡張前と同様に、ラスターデータPageN+2を記憶している。
【0106】
登録バッファ領域134は、拡張前に記憶されていたラスターデータPageN、PageN+1に加えて、第2データPage1、Page2を記憶している。第2データPage1、Page2は、読取部15によって原稿から読み取られたデータである。割込印刷を指示する操作により第1印刷処理が中断されているため、登録バッファ領域134に記憶されているデータのうち、第2データPage1、Page2が印刷部14によって印刷される。その後、第1印刷処理が再開されると、PageN以降のラスターデータが印刷される。
【0107】
以上説明したように本実施形態によれば、割込印刷が受け付けられるとRIP処理が停止するため、割込印刷が終了するまでは、ワーク領域132がRIP処理の作業領域として新たに使用されることはない。このようにRIP処理で不使用となったワーク領域132の空き領域を用いて受信バッファ領域131を拡張するので、割込印刷の受け付け後も外部端末から順次送信される印刷ジョブの受信を継続することができる。
【0108】
また、本実施形態では、RIP処理がページ単位で完了すると、作業領域として用いられていた領域が解放されるためワーク領域132に充分な空き領域がある可能性が高い。その結果、受信バッファ領域131をより充分に拡張することができる。
【0109】
また、本実施形態では、ワーク領域132の空き領域が充分でない場合には、受信バッファ領域131を拡張しないので、第1印刷処理再開後にRIP処理で作業領域として用いるワーク領域132の空き領域を確保しておくことができる。
【0110】
また、本実施形態では、割込印刷の指示が受け付けられた際に受信バッファ領域131の空き領域が充分でない場合には送信エラーが外部端末に送信されるが、空き領域が充分であれば第1データの受信が継続される。したがって、割込印刷中に外部端末において第1データの送信がエラーとなる可能性を低減することができる。
【0111】
また、本実施形態では、割込印刷終了後に第1データを再受信する必要なく、RIP処理を再開することができる。
【0112】
また、本実施形態では、割込印刷終了後、受信バッファ領域131及びワーク領域132を元の状態に戻すことができる。
【0113】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2として、実施形態1に係る印刷装置1の他の態様について以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0114】
実施形態2において、印刷装置1の構成および制御部111が実行する各処理については、図2および図3を参照して実施形態1で説明した通りである。ここでは、制御部111が実行する処理の流れについて、実施形態1と異なる点について説明する。
【0115】
<制御部111が実行する処理の流れ>
図10~11を用いて、制御部111が実行する処理の流れについて説明する。ここで、制御部111が実行する処理全体の流れについては、図5を参照して実施形態1において説明した通りである。本実施形態では、図5のステップS104において開始される第1データの受信処理の詳細と、受信バッファ変更処理の詳細とが、実施形態1と異なる。
【0116】
(第1データの受信処理)
図10は、ステップS104で開始される第1データの受信処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態では、図6を参照して説明した実施形態1における第1データの受信処理の流れに対して、割込フラグがオンであるか否かを判断するタイミングが異なる。実施形態1では、ページ単位でRIP処理が完了した後の第1タイミングで当該判断を行っていた。本実施形態では、ページ単位でRIP処理中のタイミング(以下「第2タイミング」という)で当該判断が行われる。
【0117】
ステップS501~S503において、制御部111は、図6に示したステップS201~S203と同様に動作する。
【0118】
ステップS503でNoの場合、ステップS504において、制御部111は、RIP処理中に割込印刷の指示を受けたか(割込フラグがオンであるか)を判断する。ステップS504においてNoの場合、制御部111は、ステップS503からの処理を繰り返す。
【0119】
ステップS504においてYesの場合、ステップS505において、制御部111は、ステップS502で開始したRIP処理を中断する。ステップS506において、制御部111は、受信バッファ変更処理を実行する。すなわち、制御部111は、RIP処理中に割込印刷の指示を受け付けた場合(ステップS504;Yes)、ページ単位での処理が完了する前に、RIP処理を停止させる(ステップS505)とともに受信バッファ変更処理を実行する(ステップS506)。当該ステップの詳細については後述する。その後、制御部111は、ステップS502からの処理を繰り返す。
【0120】
また、ステップS503でYesの場合、すなわち、ページ単位でRIP処理が完了したと判断した場合、制御部111は、ステップS507~S508まで、図6に示したステップS204~S205と同様に動作する。これにより、展開済みの第1データが受信バッファ領域131から削除され、ラスターデータが登録バッファ領域134に記憶される。
【0121】
ステップS509において、制御部111は、受信バッファ領域131に第1データが記憶されているか否かを判断する。ステップS509でYesの場合、制御部111は、ステップS503からの処理を繰り返す。
【0122】
一方、ステップS509でNoの場合について説明する。PC9から受信した第1データが全て展開済みであれば、受信バッファ領域131には、第1データが記憶されていない。この場合、ステップS509においてNoと判断される。この場合、制御部111は、ステップS510~S511まで、図6に示したステップS210~S211と同様に動作する。これにより、受信バッファ領域131が拡張されていた場合に解放処理が実行されて、拡張領域であった領域が、ワーク領域132の一部として再度割り当てられる。
【0123】
(第2タイミングでの受信バッファ変更処理)
図11は、ステップS506における受信バッファ変更処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態では、図7を参照して説明した実施形態1における受信バッファ変更処理の流れに対して、ワーク領域132の空き領域が第1閾値以上でなかった場合の動作が異なる。実施形態1では、ワーク領域132の空き領域が第1閾値未満であった場合、受信バッファ領域131は拡張されなかった。本実施形態では、ワーク領域132の空き領域が第1閾値未満であった場合、ワーク領域132の空き領域を増加させる処理が行われる。
【0124】
ステップS601において、制御部111は、ワーク領域132の空き領域が第1閾値以上であるか否かを判断する。ステップS601でYesの場合、制御部111は、ステップS602~S605まで、図7に示したステップS302~S305と同様に動作する。これにより、受信バッファ領域131が拡張されるとともに、拡張された受信バッファ領域131の空き領域が第2閾値以下になると、エラー情報がPC9に送信される。
【0125】
一方、ステップS601でNoの場合、ステップS606において、制御部111は、ワーク領域132に記憶されている中間データから、部分的なラスターデータを生成してページメモリ領域133に展開する。
【0126】
ステップS607において、制御部111は、ワーク領域132に記憶されていた中間データを削除する。ステップS608において、制御部111は、中間データを削除した後のワーク領域132の空き領域が第1閾値以上であるか否かを判断する。
【0127】
ステップS608においてYesの場合、制御部111は、ステップS602~S605までを実行する。これにより、中間データを削除することによりワーク領域132の空き領域が第1閾値上になったので、受信バッファ領域131が拡張される。また、拡張された受信バッファ領域131の空き領域が第2閾値以下になると、エラー情報がPC9に送信される。
【0128】
一方、ステップS608においてNoの場合、制御部111は、ステップS603~S605までを実行する。この場合、中間データを削除してもワーク領域132の空き領域が第1閾値上にならなかったので、受信バッファ領域131は拡張されない。また、受信バッファ領域131の空き領域が第2閾値以下になると、エラー情報がPC9に送信される。
【0129】
すなわち、制御部111は、RIP処理中に割込印刷の指示を受け付けた場合(図10のステップS504;Yes)、ワーク領域132の空き領域が第1閾値未満であれば(ステップS601;Yes)、RIP処理においてラスターデータを生成する過程でワーク領域132に記憶させた中間データをページメモリ領域133に展開した後(ステップS606)、受信バッファ変更処理を実行する(ステップS602)
また、制御部111は、中間データをページメモリ領域133に展開した際に(ステップS606)、ワーク領域132の空き領域が第1閾値以上である場合に(ステップS608;Yes)、受信バッファ変更処理を実行する(ステップS602)。一方、制御部111は、中間データをページメモリ領域133に展開した際に(ステップS606)、ワーク領域132の空き領域が第1閾値未満の場合に(ステップS608;No)、前記受信バッファ変更処理を実行しない。
【0130】
<具体例2>
図12は、実施形態2におけるRAM13の構成の変化を模式的に説明する図である。本具体例は、実施形態1に示した具体例1に対して、ステップS504において割込フラグがオンであると判断した第2タイミングで、ワーク領域132に中間データが記憶されている点が異なる。
【0131】
(受信バッファ拡張前のRAM13の構成)
図12の左図は、ステップS504において割込フラグがオンであると判断した第2タイミングでのRAM13の構成を示す。印刷装置1は、第2タイミングまでに、PC9から第1データPage1、Page2、・・・、PageN、PageN+1、PageN+3までを受信している。
【0132】
受信バッファ領域131は、第1データPageN+3を記憶している。拡張前の受信バッファ領域131の説明については、具体例1で説明した通りである。
【0133】
ワーク領域132は、第1データPageN+3から生成された6つの中間データPageN+3を記憶している。これは、当該RAM13の構成は、第1データPageN+3のRIP処理中の構成を示しているため、RIP処理の過程で生成される中間データPagneN+3が、RIP処理が完了するまでワーク領域132に記憶されているためである。なお、RIP処理中にワーク領域132に記憶される中間データの個数は6つに限られない。
【0134】
ここでは、RAM13のうち、ワーク領域132としてサイズb2の領域が割り当てられており、そのうち6つの中間データPageN+3を除いた空き領域はサイズb4である。空き領域のサイズb4は、第1閾値より小さい。
【0135】
受信バッファ拡張前のページメモリ領域133および登録バッファ領域134については、具体例1で説明した通りである。
【0136】
(受信バッファ拡張処理)
このような受信バッファ拡張前のRAM13の構成において、次のように受信バッファ拡張処理が行われる。まず、ステップS601において、ワーク領域132の空き領域のサイズb4が第1閾値以上ではないと判断される。そこで、ステップS606において、これら6つの中間データPageN+3から部分的なラスターデータ(部分データPageN+3)が生成され、ページメモリ領域133に展開される。また、ステップS607において、ワーク領域132から、6つの中間データPageN+3が削除される。なお、ステップS505でRIP処理が中断されているため、ワーク領域132には、少なくともRIP処理が再開されるまでは、新たな中間データは記憶されない。これにより、ワーク領域132の空き領域はサイズb4_2となり、第1閾値以上となる(ステップS608;Yes)。そこで、ステップS602において、サイズb2のワーク領域132のうちサイズb3の拡張領域を用いて、受信バッファ領域131が拡張される。
【0137】
(受信バッファ拡張後のRAM13の構成)
図12の右図は、ステップS506において受信バッファ変更処理が実行された後のRAM13の構成を示す。この時点で、印刷装置1は、PC9から、引き続き第1データPageN+5までを受信している。
【0138】
拡張された受信バッファ領域131は、第1データPageN+3、PageN+4、PageN+5を記憶している。拡張された受信バッファ領域131の説明については、具体例1で説明した通りである。
【0139】
ワーク領域132からは、受信バッファ拡張前にワーク領域132に格納されていた6つの中間データPageN+3が削除されている。また、ステップS505でRIP処理が中断されているため、ワーク領域132には、少なくともRIP処理が再開されるまでは、新たな中間データは記憶されない。
【0140】
ページメモリ領域133は、受信バッファ拡張前に記憶していたラスターデータPageN+2と、受信バッファ拡張処理によって展開された部分的なラスターデータPageN+3を記憶している。受信バッファ拡張後の登録バッファ領域134については、具体例1で説明した通りである。
【0141】
本実施形態では、割込印刷の指示が受け付けられると、RIP処理がページ単位で完了する前であってもRIP処理が停止して受信バッファ領域131が拡張される。その結果、割込印刷の受け付け後、外部端末から順次送信される印刷ジョブの受信を継続しながら、より迅速に割込印刷を実行することができる。
【0142】
また、本実施形態では、ページ単位でRIP処理が完了する前の中間データを一旦ページメモリに展開することで、ワーク領域に、受信バッファ領域を拡張するための空き領域を確保することができる。
【0143】
また、本実施形態では、RIP処理中に割込印刷が受け付けられた際に、中間データをページメモリに展開してもワーク領域の空き領域が充分でなければ、受信バッファ領域を拡張しない。このため、第1印刷処理再開後にRIP処理が作業領域として用いるワーク領域の空き領域を確保しておくことができる。
【0144】
〔ソフトウェアによる実現例〕
印刷装置1の制御ブロック(特にRIP処理部101、第1印刷処理部102、第2印刷処理部103、割込受付部104、及び受信バッファ変更部105)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0145】
後者の場合、印刷装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0146】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0147】
1 印刷装置
9 PC
11 ASIC
111 制御部
12 ROM
13 RAM
14 印刷部
15 読取部
16 通信インタフェース
17 操作パネル
100 印刷システム
101 RIP処理部
102 第1印刷処理部
103 第2印刷処理部
104 割込受付部
105 受信バッファ変更部
131 受信バッファ領域
132 ワーク領域
133 ページメモリ領域
134 登録バッファ領域
図1
図2
図3
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図10
図11
図12