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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】車両の走行制御装置及び走行制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/14 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B60W30/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020010816
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021115970
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 雄太
(72)【発明者】
【氏名】舟久保 晃
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 光二
(72)【発明者】
【氏名】福庭 一志
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-500773(JP,A)
【文献】特開2015-228089(JP,A)
【文献】特開2015-228090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の目標位置までの候補経路を生成する経路生成部と、生成された該候補経路を追従して前記目標位置に到達するように該車両を制御させる走行制御部とを備える、車両の走行制御装置であって、
前記車両のドライバーのブレーキ操作によらずに、該車両を緊急停車させるための緊急停車システムをさらに備え、
前記緊急停車システムは、
前記車両の前側に交差点があるときにおいて、該交差点の周囲に存在する候補停車位置を、該交差点に入る前に検出する停車位置検出部と、
前記候補停車位置及び前記候補停車位置に到達するまでの前記車両の振る舞いに基づいて、道路上の障害物に衝突する衝突リスクを、前記交差点に入る前に算出するリスク算出部と、
前記停車位置検出部の検出結果と前記リスク算出部の算出結果とに応じて実際に前記車両を停車させる最終停車位置を、前記交差点に入る前に決定する停車位置決定部と、
を有し、
前記リスク算出部は、前記候補停車位置に対して設定された第1スコアと、当該候補停車位置に到達するまでの前記車両の振る舞いに対して設定された第2スコアとの積により前記衝突リスクを算出することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の走行制御装置において、
前記停車位置決定部は、前記停車位置検出部が検出した一の候補停車位置に対する前記衝突リスクが閾値以上であるときには、前記停車位置検出部に前記一の候補停車位置とは異なる他の候補停車位置を検出させ、該他の候補停車位置に対する前記衝突リスクが前記閾値未満であるときに、当該他の候補停車位置を前記最終停車位置に決定することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の走行制御装置において、
前記交差点は、前記車両が少なくとも直進可能な走行路を含む交差点であり、
前記停車位置検出部は、前記車両の直進方向の前側にある停車位置を第1候補停車位置として検出し、
前記停車位置決定部は、前記第1候補停車位置に対する前記衝突リスクが前記閾値以上であるときには、前記停車位置検出部に前記第1候補停車位置とは異なる前記他の候補停車位置を検出させることを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両の走行制御装置において、
前記停車位置検出部は、前記交差点の周囲に位置する前記候補停車位置を複数検出し、
前記リスク算出部は、前記停車位置検出部が検出した前記各候補停車位置に対してそれぞれ前記衝突リスクを算出し、
前記停車位置決定部は、前記衝突リスクが最も低い前記候補停車位置を前記最終停車位置に決定することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両の走行制御装置において、
前記第2スコアは、前記交差点が左折及び右折の両方を選択可能な交差点であるときにおいて、前記車両が右折するときの方が、前記車両が左折するときよりも高く設定されていることを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項6】
請求項1又は5に記載の車両の走行制御装置において、
前記第1スコアは、車線が複数あるときにおいて、相対的に右側の車線の方が、相対的に左側の車線よりも高く設定されていることを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項7】
車両の演算装置により実行される、車両の目標位置までの候補経路を生成する経路生成工程と、生成された該候補経路を追従して前記目標位置に到達するように該車両を制御する走行制御工程とを含む、車両の走行制御方法であって、
前記車両の演算装置は、該車両のドライバーのブレーキ操作によらずに、該車両を緊急停車させるための緊急停車機能を有し、
前記車両の前側に交差点があるときにおいて、前記車両を前記緊急停車機能により緊急停車させるときには、
前記交差点の周囲に存在する候補停車位置を、該交差点に入る前に検出する停車位置検出工程と、
前記候補停車位置及び前記候補停車位置に到達するまでの前記車両の振る舞いに基づいて、道路上の障害物に衝突する衝突リスクを、前記交差点に入る前に算出するリスク算出工程と、
前記停車位置検出工程の検出結果と前記リスク算出工程の算出結果とに応じて実際に前記車両を停車させる最終停車位置を、前記交差点に入る前に決定する停車位置決定工程と、
を実行し、
前記停車位置検出工程で検出された一の候補停車位置に対する前記衝突リスクが閾値以上であるときには、前記一の候補停車位置とは異なる他の候補停車位置を検出するように前記停車位置検出工程を再度実行し、
前記リスク算出工程は、前記候補停車位置に対して設定された第1スコアと、当該候補停車位置に到達するまでの前記車両の振る舞いに対して設定された第2スコアとの積により前記衝突リスクを算出する工程である、ことを特徴とする車両の走行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、車両の走行制御装置及び走行制御方法に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドライバーが体調不良を起こしたり、自動車の制御装置に異常が生じたりしたときに、車両を出来る限り安全な場所に停車させるための走行制御装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ドライバーのブレーキ操作によらずに車両を停止させる緊急停車ユニットを備え、ドライバー状態検出部によりドライバーの状態の悪化が検出された場合には、車両を停車させる位置周辺の環境に応じて車両の舵角を変更しつつ車両を停車させる車両制御装置が開示されている。
【0004】
特に、特許文献1の車両制御装置では、交差点等の近くで車両を緊急停車させる際に、障害物との衝突リスクが高いときには、交差点等の手前で車両を停車させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5569602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、十字路などの交差点では、該交差点を左折又は右折した先に駐車場が存在するなど、交差点に進入して駐車場に停車させた方が、結果的に安全性が高くなることがある。特許文献1に記載の緊急停車ユニットでは、交差点等の手前で車両を停車させる際に、後続車に配慮して停車位置を微調整しているが、緊急停車させる際の安全性を向上させるという観点からは改良の余地がある。
【0007】
ここに開示された技術は、車両を緊急停車させる際の安全性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、車両の目標位置までの候補経路を生成する経路生成部と、生成された該候補経路を追従して前記目標位置に到達するように該車両を制御させる走行制御部とを備える、車両の走行制御装置を対象として、前記車両のドライバーのブレーキ操作によらずに、該車両を緊急停車させるための緊急停車システムをさらに備え、前記緊急停車システムは、前記車両の前側に交差点があるときにおいて、該交差点の周囲に存在する候補停車位置を、該交差点に入る前に検出する停車位置検出部と、前記候補停車位置及び前記候補停車位置に到達するまでの前記車両の振る舞いに基づいて、道路上の障害物に衝突する衝突リスクを、前記交差点に入る前に算出するリスク算出部と、前記停車位置検出部の検出結果と前記リスク算出部の算出結果とに応じて実際に前記車両を停車させる最終停車位置を、前記交差点に入る前に決定する停車位置決定部と、を有し、前記リスク算出部は、前記候補停車位置に対して設定された第1スコアと、当該候補停車位置に到達するまでの前記車両の振る舞いに対して設定された第2スコアとの積により前記衝突リスクを算出する、という構成とした。
【0009】
この構成によると、緊急停車させる際の車両の振る舞いだけでなく、停車位置に応じた衝突リスクが考慮されるため、自車両をより安全な場所に停車させることができる。また
、他車両や歩行者などを含む障害物と衝突する危険性が抑制されるため、他車両や歩行者に対する安全性も向上させることができる。また、この構成によると、衝突リスクが具体的に評価されるため、安全性の高い停車位置をより正確に割り出すことができる。
【0010】
前記車両の走行制御装置の一実施形態では、前記停車位置決定部は、前記停車位置検出部が検出した一の候補停車位置に対する前記衝突リスクが閾値以上であるときには、前記停車位置検出部に前記一の候補停車位置とは異なる他の候補停車位置を検出させ、該他の候補停車位置に対する前記衝突リスクが前記閾値未満であるときに、当該他の候補停車位置を前記最終停車位置に決定する。
【0011】
この構成によると、衝突リスクが閾値未満の停車位置が検出されたときには、停車位置の検出及び衝突リスクの算出を終了させることができる。このため、緊急停車システムの演算量を抑制することができるとともに、最終停車位置を決定するまでに係る時間を短くすることができる。この結果、車両を緊急停車させる際の安全性をより向上させることができる。
【0012】
前記一実施形態において、前記交差点は、前記車両が少なくとも直進可能な走行路を含む交差点であり、前記停車位置検出部は、前記車両の直進方向の前側にある停車位置を第1候補停車位置として検出し、前記停車位置決定部は、前記第1候補停車位置に対する前記衝突リスクが前記閾値以上であるときには、前記停車位置検出部に前記第1候補停車位置とは異なる前記他の候補停車位置を検出させる、という構成でもよい。
【0013】
すなわち、直進方向の前側にある停車位置を最終停車位置とすることができれば、左折や右折をする場合と比較して、移動中に障害物に衝突するリスクが低くなる。また、出来る限り早く停車位置にたどり着くことができるため、移動中に障害物に衝突するリスクが低くなる。このため、停車位置検出部が、先ず、直進方向の前側に位置する停車位置を候補停車位置とすることで、安全な停車位置に出来る限り早く停車させることができるようになる。この結果、車両を緊急停車させる際の安全性を一層向上させることができる。
【0014】
前記車両の走行制御装置において、前記停車位置検出部は、前記交差点の周囲に位置する前記候補停車位置を複数検出し、前記リスク算出部は、前記停車位置検出部が検出した前記各候補停車位置に対してそれぞれ前記衝突リスクを算出し、前記停車位置決定部は、前記衝突リスクが最も低い前記候補停車位置を前記最終停車位置に決定する、という構成でもよい。
【0015】
この構成によると、最も衝突リスクの低い停車位置に車両を緊急停車させることができる。これにより、車両を緊急停車させる際の安全性をより一層向上させることができる。
【0018】
第1スコアと第2スコアにより衝突リスクを算出する車両の走行制御装置において、前記第2スコアは、前記交差点が左折及び右折の両方を選択可能な交差点であるときにおいて、前記車両が右折するときの方が、前記車両が左折するときよりも高く設定されている、という構成でもよい。
【0019】
すなわち、日本のように左側通行の場合には、右折するときには対向車線を横切る必要があるため、障害物としての対向車と衝突する可能性がある。このため、第2スコアを車両が右折するときの方が、車両が左折するときよりも高く設定することで、衝突リスクをより精度良く算出することができる。
【0020】
第1スコアと第2スコアにより衝突リスクを算出する車両の走行制御装置において、前記第1スコアは、車線が複数あるときにおいて、相対的に右側の車線の方が、相対的に左側の車線よりも高く設定されている、という構成でもよい。
【0021】
すなわち、例えば、交差点の周囲に路肩が存在せず、車線内で車両を停車させるとき
であって、日本のように左側通行の場合は、左側の車線ほど中央分離帯から離れており、周囲の車両と接触する可能性が低くなる。このため、第1スコアを相対的に右側の車線の方が、相対的に左側の車線よりも高く設定することで、衝突リスクを一層精度良く算出することができる。
【0022】
ここに開示された技術の他の態様は、車両の演算装置により実行される、車両の目標位置までの候補経路を生成する経路生成工程と、生成された該候補経路を追従して前記目標位置に到達するように該車両を制御する走行制御工程とを含む、車両の走行制御方法を対象として、前記車両の演算装置は、該車両のドライバーのブレーキ操作によらずに、該車両を緊急停車させるための緊急停車機能を有し、前記車両の前側に交差点があるときにおいて、前記車両を前記緊急停車機能により緊急停車させるときには、前記交差点の周囲に存在する候補停車位置を、該交差点に入る前に検出する停車位置検出工程と、前記候補停車位置及び前記候補停車位置に到達するまでの前記車両の振る舞いに基づいて、道路上の障害物に衝突する衝突リスクを、前記交差点に入る前に算出するリスク算出工程と、前記停車位置検出工程の検出結果と前記リスク算出工程の算出結果とに応じて実際に前記車両を停車させる最終停車位置を、前記交差点に入る前に決定する停車位置決定工程と、を実行し、前記停車位置検出工程で検出された一の候補停車位置に対する前記衝突リスクが閾値以上であるときには、前記一の候補停車位置とは異なる他の候補停車位置を検出するように前記停車位置検出工程を再度実行し、前記リスク算出工程は、前記候補停車位置に対して設定された第1スコアと、当該候補停車位置に到達するまでの前記車両の振る舞いに対して設定された第2スコアとの積により前記衝突リスクを算出する工程である、という構成とした。
【0023】
この構成でも、緊急停車させる際の車両の振る舞いだけでなく、停車位置に応じた衝突リスクが考慮されるため、自車両をより安全な場所に停車させることができる。また、他車両や歩行者などを含む障害物と衝突する危険性が抑制されるため、他車両や歩行者に対する安全性も向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、車両を緊急停車させる際の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】例示的な実施形態1に係る走行制御装置を概略的に示すブロック図である。
図2】車両の走行シーンを示す概略図であって、第1候補停車位置に停車可能なシーンの一例を示す。
図3】第1スコアを示すテーブルである。
図4】第2スコアを示すテーブルである。
図5】車両の走行シーンを示す概略図であって、第1候補停車位置に停車不能なシーンの一例を示す。
図6】車両の動作の一例を示す概略図であって、交差点を左折した先に停車する場合を示す。
図7】車両の動作の一例を示す概略図であって、路上に停車する場合を示す。
図8】車両の緊急停車時における走行制御装置による処理動作を示すフローチャートである。
図9】実施形態2に係る走行制御装置が搭載された自動車の緊急停車時における、走行制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
図10】実施形態3に係る走行制御装置が搭載された自動車の緊急停車時における、走行制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
図11】第3スコアを示すテーブルである。
図12】交差点の一例を示す図である。
図13】交差点の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において、車両(本実施形態では自動車)の前進走行側を単に前側といい、後退走行側を単に後側という。また、後側から前側を見たときの左側を左側といい、その逆を右側という。また、以下の説明では、車両は左側通行の地域を走行する場合を想定して説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1に係る走行制御装置1を概略的に示す。走行制御装置1は演算装置100を備える。演算装置100は、前記車両のアシスト運転及び自動運転を可能にするために、前記車両が走行すべき経路を算出するとともに、該経路を追従するための前記車両の運動を決定する機能を有する。また、演算装置100は、車両のドライバーに失陥が生じたときに、車両を緊急停車させるための機能を有している。演算装置100は、1つ又は複数のチップで構成されたマイクロプロセッサであって、CPUやメモリ等を有している。尚、図1においては、本実施形態に係る機能(経路生成機能や緊急停車機能)を発揮するための構成を示しており、演算装置100が有する全ての機能を示しているわけではない。
【0028】
図1に示すように、演算装置100は、車両の外部環境を含む車両情報を入力する複数のセンサ等からの入力された情報に基づいて、車両の目標運動を決定して、デバイスの作動制御を行う。演算装置100に情報を出力するセンサ等は、前記車両のボディ等に設けられかつ車外環境を撮影する複数のカメラ70と、車両のボディ等に設けられかつ車外の物標等を検知する複数のレーダ71と、全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)を利用して、車両の位置(車両位置情報)を検出する位置センサ72と、車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ等の車両の挙動を検出するセンサ類の出力から構成され車両の状態を取得する車両状態センサ73と、車内カメラ等により構成され、車両の乗員の状態を取得する乗員状態センサ74と、自車両の周囲に位置する他車両からの通信情報やナビゲーションシステムからの交通情報を受信して演算装置100に入力する車外通信部75を含む。また、センサ類には、後述する緊急停車システム130により車両の緊急停車制御が実行されるときに、該緊急停車制御を停止させるためのキャンセルスイッチ76が含まれる。
【0029】
各カメラ70は、車両の周囲を水平方向に360°撮影できるようにそれぞれ配置されている。各カメラ70は、車外環境を示す光学画像を撮像して画像データを生成する。各カメラ70は、生成した画像データを演算装置100に出力する。
【0030】
各カメラ70が取得した画像データは、演算装置100以外にも、HMI(Human Machine Interface)ユニット(図示省略)に入力される。このHMIユニットは、取得した画像データに基づく情報を車内のディスプレイ装置等に表示する。
【0031】
各レーダ71は、カメラ70と同様に、検出範囲が車両の周囲を水平方向に360°広がるようにそれぞれ配置されている。レーダ71の種類は特に限定されず、例えば、ミリ波レーダや赤外線レーダを採用することができる。
【0032】
〈演算装置〉
演算装置100は、アシスト運転時や自動運転時には、各センサ70~76から入力された情報に基づいて、車両の走行経路を設定して、車両が該走行経路を追従するように、車両の目標運動を設定する。演算装置100は、車両の目標運動を設定するために、カメラ70等からの出力を基にして車外環境を認定する車外環境認定部111と、車外環境認定部111が認定した車外環境に応じて、車両が走行可能な1つ又は複数の候補経路を算出する候補経路生成部112と、候補経路生成部112が生成した候補経路と車両状態センサ73からの出力とを基にして車両の挙動を推定する車両挙動推定部113と、乗員状態センサ74からの出力を基にして、車両の乗員の挙動を推定する乗員挙動推定部114と、車両が走行すべき経路を決定する経路決定部115と、経路決定部115が設定した経路を追従するための車両の目標運動を決定する車両運動決定部116とを有する。
【0033】
演算装置100は、車両運動決定部116が決定した目標運動を達成するための前記走行用デバイスの制御量(例えば、エンジンEのインジェクタにおける燃料噴射量やブレーキ装置Bにおけるブレーキアクチュエータの作動量)を算出する、パワートレイン制御部(以下、PT制御部という)117、ブレーキ制御部118、及び操舵制御部119を有する。
【0034】
また、演算装置100は、セーフティ機能として、所定のルールにより車外の対象物を認定して、該対象物を避けるような走行経路を生成するルールベース経路生成部120を有する。
【0035】
また、演算装置100は、車両の乗員(ここではドライバー)に異常が生じていると推定されるときに、車両を緊急停車させる緊急停車システム130を有する。緊急停車システム130の詳細については後述する。
【0036】
車外環境認定部111は、車両に搭載されたカメラ70やレーダ71等の出力を受け、車外環境を認定する。認定する車外環境は、少なくとも道路および障害物を含む。ここでは、車外環境認定部111は、カメラ70やレーダ71のデータを基にして、車両の周囲の3次元情報と車外環境モデルとを対照することにより、道路および障害物を含む車両環境を推定するものとする。車外環境モデルは、例えば深層学習によって生成された学習済みモデルであって、車両周囲の3次元情報に対して、道路や障害物等を認識することができる。
【0037】
例えば、車外環境認定部111は、カメラ70が撮像した画像から、画像処理によって、フリースペースすなわち物体が存在しない領域を特定する。ここでの画像処理には、例えば深層学習によって生成された学習済みモデルが利用される。そしてフリースペースを表す2次元のマップを生成する。また、車外環境認定部111は、レーダ71の出力から、車両の周辺に存在する物標の情報を取得する。この情報は、物標の位置や速度等を含む測位情報である。そして、車外環境認定部111は、生成された2次元のマップと物標の測位情報とを結合させて、車両の周囲を表す3次元マップを生成する。ここでは、カメラ70の設置位置および撮像方向の情報、レーダ71の設置位置および送信方向の情報が用いられる。車外環境認定部111は、生成した3次元マップと車外環境モデルとを対比することによって、道路及び障害物を含む車両環境を推定する。尚、深層学習では、多層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)が用いられる。多層ニューラルネットワークとして、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)がある。
【0038】
候補経路生成部112は、車外環境認定部111の出力、位置センサ72の出力、及び車外通信部75から送信される情報等を基にして、車両が走行可能な候補経路を生成する。例えば、候補経路生成部112は、車外環境認定部111によって認定された道路上において、車外環境認定部111によって認定された障害物を回避する走行経路を生成する。車外環境認定部111の出力は、例えば、車両が走行する走行路に関する走行路情報が含まれている。走行路情報には、走行路自体の形状に関する情報や、走行路上の対象物に関する情報が含まれる。走行路形状に関する情報には、走行路の形状(直線、カーブ、カーブ曲率)、走行路幅、車線数、各車線幅等が含まれる。対象物に関する情報には、自車両に対する対象物の相対位置及び相対速度、対象物の属性(種類、移動方向)等が含まれる。対象物の種類としては、例えば、他車両、歩行者、道路、区画線等がある。
【0039】
ここでは、候補経路生成部112は、ステートラティス法を用いて複数の候補経路を計算し、これらの中からそれぞれの候補経路の経路コストに基づいて、1つまたは複数の候補経路を選択するものとする。ただし、他の手法を用いて経路の算出を行ってもよい。
【0040】
候補経路生成部112は、走行路情報に基づいて走行路上に仮想のグリッド領域を設定する。このグリッド領域は、複数のグリッド点を有する。各グリッド点により、走行路上の位置が特定される。候補経路生成部112は、所定のグリッド点を目標到達位置に設定する。そして、グリッド領域内の複数のグリッド点を用いた経路探索により複数の候補経路を演算する。ステートラティス法では、あるグリッド点から車両の進行方向前側の任意のグリッド点へ経路が枝分かれしていく。したがって、各候補経路は、複数のグリッド点を順次に通過するように設定される。各候補経路は、各グリッド点を通過する時間を表す時間情報、各グリッド点での速度・加速度等に関する速度情報、その他車両運動に関する情報等も含む。
【0041】
車両挙動推定部113は、車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、ホイールトルク等の車両の挙動を検出するセンサ類の出力から、車両の状態を計測する。車両挙動推定部113は、車両の挙動を示す車両6軸モデルを用いる。
【0042】
ここで、車両6軸モデルとは、走行中の車両の「前後」「左右」「上下」の3軸方向の加速度と、「ピッチ」「ロール」「ヨー」の3軸方向の角速度を、モデル化したものである。すなわち、車両の動きを古典的な車両運動工学的な平面上のみ(車両の前後左右(X-Y移動)とヨー運動(Z軸)のみ)で捉えるのではなく、4つの車輪にサスペンションを介して乗っている車体のピッチング(Y軸)およびロール(X軸)運動とZ軸の移動(車体の上下動)の、計6軸を用いて車両の挙動を再現する数値モデルである。
【0043】
車両挙動推定部113は、候補経路生成部112が生成した走行経路に対して、車両6軸モデルを当てはめて、該走行経路を追従する際の車両の挙動を推定する。
【0044】
乗員挙動推定部114は、乗員状態センサ74の検出結果から、特に、ドライバーの健康状態や感情を推定する。健康状態としては、例えば、健康、軽い疲労、体調不良、意識低下等がある。感情としては、例えば、楽しい、普通、退屈、イライラ、不快等がある。
【0045】
例えば、乗員挙動推定部114は、例えば、車室内に設置されたカメラによって撮像された画像から、ドライバーの顔画像を抽出し、ドライバーを特定する。また、撮影された画像からドライバーの視線の動きを検出して、ドライバーの状態を推定する。抽出した顔画像と特定したドライバーの情報は、人間モデルに入力として与えられる。人間モデルは、例えば深層学習によって生成された学習済みモデルであり、当該車両のドライバーであり得る各人について、その顔画像から、健康状態および感情を出力する。
【0046】
また、ドライバーの情報を取得するための乗員状態センサ74として、皮膚温センサ、心拍センサ、血流量センサ、発汗センサ等の生体情報センサが用いられる場合は、乗員挙動推定部114は、生体情報センサの出力から、ドライバーの生体情報を計測する。この場合、人間モデルは、当該車両のドライバーであり得る各人について、その生体情報を入力とし、健康状態および感情を出力する。乗員挙動推定部114は、人間モデルが出力したドライバーの健康状態および感情を出力する。
【0047】
また、人間モデルとして、当該車両のドライバーであり得る各人について、車両の挙動に対して人間が持つ感情を推定するモデルを用いてもよい。この場合には、車両挙動推定部113の出力、ドライバーの生体情報、推定した感情状態を時系列で管理して、モデルを構築すればよい。このモデルによって、例えば、ドライバーの感情の高まり(覚醒度)と車両の挙動との関係を予測することが可能となる。
【0048】
また、乗員挙動推定部114は、人間モデルとして、人体モデルを備えていてもよい。人体モデルは、例えば、頭部質量(例:5kg)と前後左右Gを支える首周り筋力等を特定している。人体モデルは、車体の動き(加速度Gや加加速度)を入力すると、予想される乗員のフィジカルと主観を出力する。乗員のフィジカルとしては例えば、心地よい/適度/不快、主観としては例えば、不意/予測可能、等である。人体モデルを参照することによって、例えば、頭部がわずかでも仰け反らせるような車体挙動は乗員にとって不快であるので、その走行経路を選択しないようにすることができる。一方、頭部がお辞儀するように前に移動する車体挙動は乗員がこれに抗する姿勢をとりやすく、直ちに不快につながらないようので、その走行経路を選択するようにすることができる。あるいは、人体モデルを参照することによって、例えば、乗員の頭部が揺れないように、あるいは、生き生きするようにダイナミックに、目標運動を決定することができる。
【0049】
経路決定部115は、候補経路生成部112及び車両挙動推定部113の出力に基づいて、車両が走行すべき経路を決定する。候補経路生成部112が生成した経路が1つである場合には、経路決定部115は当該経路を車両が走行すべき経路とする。候補経路生成部112が生成した経路が複数ある場合には、車両挙動推定部113の出力を考慮して、例えば、すなわち、障害物を回避するに当たって慎重過ぎるなどの冗長さをドライバーに感じさせない経路を選択する。
【0050】
経路決定部115は、緊急停車システム130から車両を緊急停車させることを示す信号を受信したときには、緊急停車システム130からの出力に基づいて候補経路生成部112により生成された走行経路を、車両が走行すべき経路として選択する。
【0051】
ルールベース経路生成部120は、カメラ70及びレーダ71からの出力を基にして、深層学習を利用せずに、所定のルールにより車外の対象物を認定して、該対象物を避けるような走行経路を生成する。ルールベース経路生成部120でも、候補経路生成部112と同様に、ステートラティス法を用いて複数の候補経路を計算し、これらの中からそれぞれの候補経路の経路コストに基づいて、1つまたは複数の候補経路を選択するものとする。ルールベース経路生成部120では、例えば、対象物の周囲数m以内には侵入しないというルールに基づいて、経路コストが算出される。このルールベース経路生成部120でも、他の手法を用いて経路の算出を行ってもよい。
【0052】
ルールベース経路生成部120が生成した経路の情報は車両運動決定部116に入力される。
【0053】
車両運動決定部116は、経路決定部115が決定した走行経路について、目標運動を決定する。目標運動とは、走行経路を追従するような操舵および加減速のことをいう。また、車両運動決定部116は、車両6軸モデルを参照して、経路決定部115が選択した走行経路について、車体の動きを演算する。
【0054】
車両運動決定部116は、ルールベース経路生成部120が生成する走行経路を追従するための目標運動を決定する。
【0055】
車両運動決定部116は、経路決定部115が決定した走行経路が、ルールベース経路生成部120が生成した走行経路と比較して大きく逸脱していたときには、ルールベース経路生成部120が生成した走行経路を、車両が走行すべき経路として選択する。
【0056】
デバイス制御部は、PT制御部117、ブレーキ制御部118、及び操舵制御部119で構成されている。
【0057】
PT制御部117は、エンジンE及びトランスミッションTの制御量を算出して、エンジンE及びトランスミッションTに制御信号を出力する。具体的には、PT制御部117は、車両運動決定部116の出力に基づいて、エンジンEのインジェクタの燃料噴射量や燃料噴射タイミング、エンジンEの点火プラグの点火タイミング等を設定し、該設定に従って、エンジンEを制御する制御信号を生成する。PT制御部117は、生成した制御信号をエンジンEのインジェクタ等に出力する。また、PT制御部117は、車両運動決定部116の出力に基づいて、トランスミッションTのギヤ段を設定し、該設定に従ってトランスミッションTを制御する制御信号を出力する。PT制御部117は、生成した制御信号をトランスミッションTに出力する。ブレーキ制御部118は、車両運動決定部116の出力に基づいて、ブレーキ装置Bのブレーキアクチュエータの動作を設定し、該設定に従ってブレーキアクチュエータを制御する制御信号を生成する。ブレーキ制御部118は、生成した制御信号をブレーキ装置Bに出力する。操舵制御部119は、車両運動決定部116の出力に基づいて、ステアリング装置Sの電動パワーステアリングの動作を設定し、該設定に従って電動パワーステアリングを制御する制御信号を生成する。操舵制御部119は、生成した制御信号をステアリング装置Sに出力する。
【0058】
演算装置100は、ナビゲーションシステムのディスプレイやヘッドマウントディスプレイなどの表示装置Dを制御する表示制御部140を有する。表示制御部140は、ナビゲーション用の地図情報を表示させる他、車両を緊急停車させるときには、緊急停車させることをドライバーに報知するために、緊急停車に関する情報を表示する。
【0059】
〈緊急停車システム〉
本実施形態1における演算装置100は、乗員挙動推定部114により車両のドライバーの異常が推定されたときに、ドライバーのブレーキ操作によらずに該車両を緊急停車させるための緊急停車システム130を有する。緊急停車システム130は、図1に示すように、停車位置の候補である候補停車位置を検出する停車位置検出部131と、候補停車位置及び候補停車位置に到達するまでの車両の振る舞いに基づいて、道路上の障害物に衝突する衝突リスクを算出するリスク算出部132と、停車位置検出部131の検出結果とリスク算出部132の算出結果とに応じて実際に車両を停車させる最終停車位置を決定する停車位置決定部133とを有する。尚、リスク算出部132にて考慮される障害物は、他車両、自転車、歩行者、ロードコーン、道路標識などがある。
【0060】
本実施形態1の緊急停車システム130は、交差点付近で車両を緊急停車させる際の緊急停車制御、特に車両が直進可能な走行路を含む交差点付近で車両を緊急停車させる際の緊急停車制御が工夫されている。以下、交差点での緊急停車制御について説明する。
【0061】
図2は、交差点付近における走行シーンの一例を示す。図2に示す第1交差点C1は、いわゆる十字路であり、車両が直進、左折、及び右折を選択できるようになっている。第1交差点C1を含む道路は片側三車線の道路であり、最も左側の第1車線は車両が直進又は左折するためのレーンであり、中央の第2車線は車両が直進するためのレーンであり、最も右側の車線は右折用車線である。また、第1交差点C1付近には、第1交差点C1を直進した先に第1緊急退避スペースS1があるとともに、第1交差点C1を左折した先に第2緊急退避スペースS2がある。
【0062】
ここで、第1交差点C1に進入する前に自車両10のドライバーの異常が推定されて、緊急停車システム130により緊急停車制御が実行されるとする。緊急停車制御では、先ず、停車位置検出部131は、第1交差点C1よりも手前で、特に第1交差点C1の停止線SLに到達するよりも前に、交差点Cの周囲にある候補停車位置を検出する。停車位置検出部131は、車外通信部75から入力される地図情報と、位置センサ72から入力される地図情報とに基づいて候補停車位置を検出する。停車位置検出部131は、先ず、直進方向の前側にある候補停車位置を第1候補停車位置に設定する。この例では、停車位置検出部131は、第1交差点C1を直進した先の第1緊急退避スペースS1を第1候補停車位置に設定する。尚、停車位置検出部131が検出する範囲は、例えば、自車両10の車速を1秒間に10km/hの割合で減速させて、該車速が10km/hになると推定される位置を基準点として、該基準点から150m範囲で、かつ、該基準点から60秒以内に到達できる範囲とすることができる。また、停車位置検出部131が候補停車位置を検出する際に、横断歩道の周辺は予め検出範囲から除外されている。
【0063】
次に、緊急停車システム130は、候補経路生成部112に第1候補停車位置の情報を出力する。候補経路生成部112は、自車両10が第1候補停車位置に到達するまでの経路を生成する。
【0064】
次に、候補経路生成部112は、緊急停車システム130に生成した候補経路の情報を出力する。緊急停車システム130のリスク算出部132は、生成された候補経路を移動する際の自車両10の振る舞い(直進、左折、一時停止など)を推定し、第1候補停車位置と推定した自車両10の振る舞いから前記衝突リスクを算出する。
【0065】
衝突リスクは、候補停車位置に対して設定された第1スコアと、当該候補停車位置に到達するまでの自車両10の振る舞いに対して設定された第2スコアとの積により算出される。第1スコア及び第2スコアは、それぞれテーブルとして演算装置100に記憶されている。
【0066】
図3は第1スコアを示すテーブルである。本実施形態1では、第1スコアは、図3に示すように、駐車場が最も低く設定されている。そして、第1スコアは、基本的には、道路の左側ほど低い値になるように設定されている。すなわち、第1スコアは、複数の車線があるときにおいて、相対的に右側の車線の方が、相対的に左側の車線よりも高く設定されている。交差点内は原則として最終停車位置とならないように、後述する閾値よりも高い値に設定されている。尚、駐車場は、緊急退避スペースを含み、店舗の駐車場なども含む。
【0067】
図4は第2スコアを示すテーブルである。第2スコアは、図4に示すように、交差点に進入せずに車線を維持する場合が最も低く設定されている。交差点に進入する場合には、直進する場合が最も低く、自車両10が右折するときの方が、自車両10が左折するときよりも高い値に設定されている。これは、交差点を左折するときは、歩行者に衝突する可能性があるためである。また、本実施形態1のように左側通行の場合には、右折するときには対向車線を横切る必要があるため、障害物としての対向車と衝突する可能性が高いためである。交差点内での一時停車は、そのまま移動不能に陥る可能性が高いため、自車両10がこのような振る舞いをしないよう閾値よりも高い値に設定されている。
【0068】
尚、図3で示す第1スコア及び図4で示す第2スコアは一例であり、任意に設定してよい。特に、米国など車両が右側通行である地域では、相対的に左側の車線ほど第1スコアを高く設定するとともに、交差点を左折するときの方が、交差点を右折するときよりも第2スコアを高く設定することが好ましい。
【0069】
リスク算出部132が衝突リスクを算出するときには、候補停車位置に到達するまでの自車両10の振る舞い全てに対して第2スコアが考慮される。例えば、自車両10が第2車線に位置しており、左折先の路肩が候補停車位置として検出されたとする。このときには、自車両10は、第1車線に車線変更をした後、交差点を左折して、路肩に停車する。このときの衝突リスクは、1.5×3×1.5=6.75となる。
【0070】
停車位置決定部133は、リスク算出部132が算出した衝突リスクを所定の閾値と比較する。そして、衝突リスクが閾値未満であれば、第1候補停車位置を最終停車位置に設定する。閾値は、例えば、6に設定されている。
【0071】
図2に示す例では、自車両10は、車線変更することなく第1交差点C1を直進した後、第1緊急退避スペースS1に停車することができる。このときの衝突リスクは2である。このため、停車位置決定部133は、第1候補停車位置を最終停車位置に設定する。そして、経路決定部115に、自車両10を第1候補停車位置に緊急停車させることを表す情報を出力する。経路決定部115は、自車両10を第1候補停車位置に緊急停車させる経路を、自車両10が走行すべき経路に決定して、車両運動決定部116に情報を出力する。これにより、図2に示すように、自車両10は、第1候補停車位置である直進先の第1緊急退避スペースS1に緊急停車する。
【0072】
一方で、図5に示すように、第1緊急退避スペースS1を塞ぐように他車両11の渋滞が発生していることがある。この状況において、第1候補停車位置に停車させるためには、第1交差点C1内で一時停止をする必要がある。このため、衝突リスクは、10以上の値であって閾値以上の値になる。そこで、停車位置決定部133は、停車位置検出部131に第1交差点C1の周囲にある他の候補停車位置を検出させる。次に、検出された他の候補停車位置の衝突リスクを算出する。そして、該衝突リスクが閾値未満であれば、検出された他の候補停車位置を最終停車位置に設定する。
【0073】
例えば、図5に示すように、第1交差点C1を左折した先に第2緊急退避スペースS2が存在する。図6に示すように、停車位置検出部131が第2緊急退避スペースS2を候補停車位置として設定したとする。第2緊急退避スペースS2に到達するには、第1交差点C1を左折する必要がある。このときの衝突リスクは3であって、閾値未満である。このため、停車位置決定部133は、第2緊急退避スペースS2を最終停車位置に設定する。これにより、図6に示すように、自車両10は、第1交差点C1を左折して第2緊急退避スペースS2に緊急停車する。
【0074】
一方で、停車位置決定部133は、衝突リスクが閾値以上であれば、停車位置検出部131に、さらに他の候補停車位置を検出させる。そして、再び、リスク算出部132により衝突リスクを算出して、停車位置決定部133により評価を行う。緊急停車システム130は、衝突リスクが閾値未満となる他の候補停車位置が検出されるか、所定期間が経過するまで前述の工程を繰り返す。所定期間は、例えば、車速が10km/h未満になってから60秒が経過するまでの期間に設定されている。緊急停車システム130は、所定期間が経過したときには、直進で到達可能な車線内を最終停車位置に決定して、当該車線内に自車両10を緊急停車させる。
【0075】
例えば、図7に示すような第2交差点C2の場合、左折した先及び右折した先には緊急退避スペースが存在しない。停車位置検出部131が第2交差点C2を左折した先の第1車線を停車位置として設定したとする。このとき、衝突リスクは12となって、閾値以上の値となる。そして、停車位置検出部131が、衝突コストが閾値未満になる候補停車位置を検出できないまま、所定期間が経過したとする。このとき、停車位置決定部133は、現在走行中の第1車線を緊急停車位置として設定する。その後、図7に示すように、第2交差点C2に進入する前の停止線で、自車両10が緊急停車する。
【0076】
前述のように、緊急停車システム130は、適切な候補停車位置が検出されないときには、車線内に自車両10を緊急停車させる。このとき、交差点直前の停止線で車両を停止させられるように、緊急停車システム130は、交差点よりも手前で、候補停車位置の検出、候補停車位置に対する衝突リスクの評価、及び最終停車位置の決定を行う。すなわち、停車位置検出部131は、交差点よりも手前で候補停車位置を検出し、リスク算出部132は、交差点よりも手前で衝突リスクを算出し、停車位置決定部133は、交差点よりも手前で最終停車位置を決定する。これにより、適切な候補停車位置が検出されないときには、自車両10を交差点に進入させることなく緊急停車させることができる。
【0077】
尚、乗員挙動推定部114によりドライバーの異常が推定されたタイミングが交差点内であるときには、緊急停車システム130は、該交差点を抜けた後で、停車位置の検出等を実行するようにしてもよい。
【0078】
緊急停車システム130は、自車両10を緊急停車させるときには表示制御部140に信号を出力して、表示装置Dに緊急停車させることを示す情報を表示させる。ここで、乗員挙動推定部114の推定が誤っているときには、前記情報を確認したドライバーの意思により緊急停車制御を中止できるようにすることが望ましい。そこで、本実施形態1では、緊急停車制御を中止させるためのキャンセルスイッチ76が設けられている。ドライバーが該キャンセルスイッチ76を押したときには、緊急停車制御が中止されて、緊急停車制御を実行する前の運転モード(自動運転等)に戻る。
【0079】
図8は、車両の緊急停車時における走行制御装置1による処理動作を示すフローチャートである。図8は、緊急停車システム130での処理を示し、実際には候補経路生成部112による候補経路の生成や、車両運動決定部116による各デバイスの制御量の演算も実行されている。
【0080】
まず、ステップS101において、緊急停車システム130は、各センサや乗員挙動推定部114からデータを取得する。
【0081】
次に、ステップS102において、緊急停車システム130は、乗員挙動推定部114からドライバーの異常を示す信号を受信したか否かを判定する。緊急停車システム130は、ドライバーの異常を示す信号を受信したYESのときにはステップS103に進む一方で、ドライバーの異常を示す信号を受信していないNOのときには、フローチャートを終了する。
【0082】
前記ステップS103において、緊急停車システム130は、停車位置検出部131に自車両の直進方向の前側にある候補停車位置を検出させて、該候補停車位置を第1候補停車位置に設定させる。
【0083】
次にステップS104において、緊急停車システム130は、リスク算出部132に第1候補停車位置に自車両を停車させる際の衝突リスクを算出させる。
【0084】
次にステップS105において、緊急停車システム130は、停車位置決定部133に、前記ステップS104において算出した衝突リスクが閾値以上であるか否かを判定させる。緊急停車システム130は、第1候補停車位置に対する衝突リスクが閾値以上であるYESのときにはステップS106に進む一方、第1候補停車位置に対する衝突リスクが閾値未満であるNOのときにはステップS111に進んで第1候補停車位置を最終停車位置に決定してフローチャートを終了させる。
【0085】
前記ステップS106において、緊急停車システム130は、停車位置検出部131に第1候補停車位置とは異なる他の候補停車位置を検出させる。
【0086】
次にステップS107において、緊急停車システム130は、停車位置検出部131が検出した他の候補停車位置に対して、該候補停車位置に自車両を停車させる際の衝突リスクをリスク算出部132に算出させる。
【0087】
次にステップS108において、緊急停車システム130は、停車位置決定部133に、前記ステップS107において算出した衝突リスクが閾値以上であるか否かを判定させる。緊急停車システム130は、前記ステップS106で検出した他の候補停車位置に対する衝突リスクが閾値以上であるYESのときにはステップS109に進む。一方で、該他の候補停車位置に対する衝突リスクが閾値未満であるNOのときにはステップS112に進んで当該他の候補停車位置を最終停車位置に決定してフローチャートを終了させる。
【0088】
前記ステップS109において、緊急停車システム130は、所定期間が経過したか否かを判定する。緊急停車システム130は、所定期間が経過したYESのときには、ステップS110に進んで直進で到達可能な車線内、特に現在走行中の車線内を最終停車位置に決定して、フローチャートを終了させる。一方で、緊急停車システム130は、所定時間が経過していないNOのときには、前記ステップS106に戻って再び別の候補停車位置を検出させる。
【0089】
最終停車位置が決定した後には、経路決定部115に信号を送信して、最終停車位置に停車させるまでの経路を自車両が走行すべき経路として決定させる。その後、車両運動決定部116により最終停車位置に自車両を緊急停車させるまでの各デバイスの制御量が算出される。
【0090】
尚、図8のフローチャートには記載していないが、ドライバーによりキャンセルスイッチ76が押されたときには、フローの途中で緊急停車制御が中止される。
【0091】
したがって、本実施形態1の走行制御装置1は、車両の目標位置までの候補経路を生成する候補経路生成部112と、生成された該候補経路を追従して前目標位置に到達するように該車両を制御させる走行制御部(車両運動決定部116、PT制御部117等)と、車両のドライバーのブレーキ操作によらずに、該車両を緊急停車させるための緊急停車システム130とを備え、緊急停車システム130は、車両の前側に交差点があるときにおいて、該交差点の周囲に存在する候補停車位置を、該交差点に入る前に検出する停車位置検出部131と、候補停車位置及び当該候補停車位置に到達するまでの車両の振る舞いに基づいて、道路上の障害物に衝突する衝突リスクを、交差点に入る前に算出するリスク算出部132と、停車位置検出部131の検出結果とリスク算出部132の算出結果とに応じて実際に車両を停車させる最終停車位置を、交差点に入る前に決定する停車位置決定部133とを有する。これにより、緊急停車させる際の車両の振る舞いだけでなく、停車位置に応じた衝突リスクが考慮されるため、車両をより安全な場所に停車させることができる。また、他車両や歩行者などを含む障害物と衝突する危険性が抑制されるため、他車両や歩行者に対する安全性も向上させることができる。
【0092】
また、本実施形態1において、停車位置決定部133は、停車位置検出部131が検出した一の候補停車位置に対する衝突リスクが閾値以上であるときには、停車位置検出部131に一の候補停車位置とは異なる他の候補停車位置を検出させ、該他の候補停車位置に対する衝突リスクが閾値未満であるときに、当該他の候補停車位置を最終停車位置に決定する。
【0093】
特に、本実施形態1において、停車位置検出部131は、車両の直進方向の前側にある停車位置を第1候補停車位置として検出し、停車位置決定部133は、第1候補停車位置に対する衝突リスクが閾値以上であるときには、停車位置検出部131に第1候補停車位置とは異なる他の候補停車位置を検出させる。
【0094】
すなわち、直進方向の前側にある停車位置を最終停車位置とすることができれば、左折や右折をする場合と比較して、移動中に障害物に衝突するリスクが低くなる。また、出来る限り早く停車位置にたどり着くことができるため、移動中に障害物に衝突するリスクが低くなる。このため、停車位置検出部131が、先ず、直進方向の前側に位置する停車位置を候補停車位置とすることで、安全な停車位置に出来る限り早く停車させることができるようになる。この結果、車両を緊急停車させる際の安全性を一層向上させることができる。
【0095】
また、本実施形態1において、リスク算出部132は、候補停車位置に対して設定された第1スコアと、当該候補停車位置に到達するまでの車両の振る舞いに対して設定された第2スコアとの積により衝突リスクを算出する。これにより、衝突リスクが具体的に評価されるため、安全性の高い停車位置をより正確に割り出すことができる。
【0096】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0097】
本実施形態2に係る走行制御装置1は、緊急停車システム130における停車位置の決定方法が前記実施形態1とは異なる。具体的には、本実施形態2の緊急停車システム130は、直進方向の前側に位置する第1候補停車位置に対して算出された衝突リスクが閾値以上であったときには、交差点周囲にある他の候補停車位置を複数検出して、検出された他の候補停車位置のうち最も衝突リスクの低い候補停車位置を最終停車位置に決定する。衝突リスクは、前記実施形態1と同様に、候補停車位置に対して設定された第1スコアと、当該候補停車位置に到達するまでの自車両の振る舞いに対して設定された第2スコアとの積により算出される。尚、候補停車位置には車線内も含まれる。
【0098】
図9は、実施形態2に係る走行制御装置1の緊急停車制御における処理動作を示すフローチャートである。図9は、緊急停車システム130での処理を示し、実際には候補経路生成部112による候補経路の生成や、車両運動決定部116による各デバイスの制御量の演算も実行されている。
【0099】
まず、ステップS201において、緊急停車システム130は、各センサや乗員挙動推定部114からデータを取得する。
【0100】
次に、ステップS202において、緊急停車システム130は、乗員挙動推定部114からドライバーの異常を示す信号を受信したか否かを判定する。緊急停車システム130は、ドライバーの異常を示す信号を受信したYESのときにはステップS203に進む一方で、ドライバーの異常を示す信号を受信していないNOのときには、フローチャートを終了する。
【0101】
前記ステップS203において、緊急停車システム130は、停車位置検出部131に自車両の直進方向の前側にある候補停車位置を検出させて、該候補停車位置を第1候補停車位置に設定させる。
【0102】
次にステップS204において、緊急停車システム130は、リスク算出部132に第1候補停車位置に自車両を停車させる際の衝突リスクを算出させる。
【0103】
次にステップS205において、緊急停車システム130は、停車位置決定部133に、前記ステップS204において算出した衝突リスクが閾値以上であるか否かを判定させる。緊急停車システム130は、第1候補停車位置に対する衝突リスクが閾値以上であるYESのときにはステップS206に進む一方、第1候補停車位置に対する衝突リスクが閾値未満であるNOのときにはステップS209に進んで第1候補停車位置を最終停車位置に決定してフローチャートを終了させる。
【0104】
前記ステップS206において、緊急停車システム130は、停車位置検出部131に、交差点の周囲にあってかつ第1候補停車位置とは異なる他の候補停車位置を複数検出させる。
【0105】
次にステップS207において、緊急停車システム130は、リスク算出部132に、停車位置検出部131が検出した各候補停車位置に対して、各候補停車位置に自車両を停車させる際の衝突リスクを候補停車位置毎に算出させる。
【0106】
次にステップS208において、緊急停車システム130は、停車位置決定部133に、前記ステップS206において検出した各候補停車位置のうち、衝突リスクが最も低い候補停車位置を最終停車位置に決定してフローチャートを終了させる。
【0107】
したがって、本実施形態2では、緊急停車システム130は、基本的には直進先の候補停車位置に車両をさせるようにしつつ、直進先の候補停車位置に停車させるリスクが高いときには、交差点周囲にある他の候補停車位置のうち最も衝突リスクの低い候補停車位置に緊急停車させる。この実施形態2でも、車両を緊急停車させる際の安全性を向上させることができる。また、第1候補停車位置が最終停車位置として適切でなかったときだけ、複数の候補停車位置に対する位置の検出及び衝突リスクの算出をするため、走行制御装置1の演算量を出来る限り少なくすることができる。
【0108】
(実施形態3)
以下、実施形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1及び2と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0109】
本実施形態3に係る走行制御装置1は、緊急停車システム130における停車位置の決定方法が前記実施形態1及び2とは異なる。具体的には、本実施形態2の緊急停車システム130は、交差点周囲にある候補停車位置を複数検出して、検出された候補停車位置のうち最も衝突リスクの低い候補停車位置を最終停車位置に決定する。衝突リスクは、前記実施形態1及び2と同様に、候補停車位置に対して設定された第1スコアと、当該候補停車位置に到達するまでの自車両の振る舞いに対して設定された第2スコアとの積により算出される。尚、候補停車位置には車線内も含まれる。
【0110】
図10は、実施形態3に係る走行制御装置1の緊急停車制御における処理動作を示すフローチャートである。図10は、緊急停車システム130での処理を示し、実際には候補経路生成部112による候補経路の生成や、車両運動決定部116による各デバイスの制御量の演算も実行されている。
【0111】
まず、ステップS301において、緊急停車システム130は、各センサや乗員挙動推定部114からデータを取得する。
【0112】
次に、ステップS302において、緊急停車システム130は、乗員挙動推定部114からドライバーの異常を示す信号を受信したか否かを判定する。緊急停車システム130は、ドライバーの異常を示す信号を受信したYESのときにはステップS303に進む一方で、ドライバーの異常を示す信号を受信していないNOのときには、フローチャートを終了する。
【0113】
前記ステップS303において、緊急停車システム130は、停車位置検出部131に、交差点の周囲にある候補停車位置を複数検出させる。
【0114】
次にステップS304において、緊急停車システム130は、リスク算出部132に、停車位置検出部131が検出した各候補停車位置に自車両を停車させる際の衝突リスクを候補停車位置毎に算出させる。
【0115】
次にステップS305において、緊急停車システム130は、停車位置決定部133に、前記ステップS304において検出した各候補停車位置のうち、衝突リスクが最も低い候補停車位置を最終停車位置に決定してフローチャートを終了させる。
【0116】
したがって、本実施形態2では、停車位置検出部131は、交差点の周囲に位置する候補停車位置を複数算出し、リスク算出部132は、停車位置検出部131が検出した各候補停車位置に対してそれぞれ衝突リスクを算出し、停車位置決定部133は、衝突リスクが最も低い候補停車位置を前記最終停車位置に決定する。この実施形態3の走行制御装置1によると、最も衝突リスクが低い停車場所が最終停車位置に設定されるため、車両を緊急停車させる際の安全性を特に向上させることができる。
【0117】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0118】
例えば、前述の実施形態1~3では、リスク算出部132は、候補停車位置に対して設定された第1スコアと、当該候補停車位置に到達するまでの自車両の振る舞いに対して設定された第2スコアとの積により衝突リスクを算出していた。これに限らず、例えば、図11に示すような道路状況に関する第3スコアを更に考慮するようにしてもよい。第3スコアを考慮する場合、停車位置決定部133での判定における閾値を調整することが望ましい。
【0119】
また、前述の実施形態1~3では、十字路と呼ばれる交差点がある環境での緊急停車について説明した。これに限らず、例えば、図12に示すような丁字路や図13に示すような四差路のように、交差点がある環境では、本実施形態1~3の制御を適用可能である。前述したように、候補停車位置における駐車場は、図13に示すような店舗の駐車場Pも含む。
【0120】
また、ここに開示された技術は、ラウンドアバウトのような交差点にも適用することができる。このときには、「直進方向の前側にある候補停車位置を検出」という部分を、例えば、「最も近い位置にある候補停車位置を検出」とすればよい。
【0121】
また、前記実施形態1~3において、候補停車位置までの走行経路は、候補経路生成部112により生成されていた。これに限らず、緊急停車システム130に候補停車位置までの走行経路を生成するプロセッサを設けてもよい。つまり、通常の走行経路については候補経路生成部112により生成する一方で、緊急停車時における候補停車位置までの走行経路については緊急停車システム130により生成するようにしてもよい。
【0122】
また、前述の実施形態1及び2において、第1候補停車位置に自車両10を停車させるか否かを衝突コストではなく、車外環境認定部111による認定結果や車外通信部75から取得されるナビゲーション情報から判定してもよい。すなわち、交差点を直進した先の道路が渋滞しているか否かは、車外環境認定部111が認定した車外環境から判定することができる。また、ナビゲーション情報に渋滞情報が含まれていれば、該渋滞情報から第1候補停車位置に自車両10を停車させることが可能か否かを判定することができる。
【0123】
また、前記実施形態1において、停車位置検出部131は候補停車位置を逐一検出していた。これに限らず、例えば、停車位置検出部131が第1スコアの小さい順に優先的に検出するようにしてもよい。
【0124】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0125】
ここに開示された技術は、車両の目標位置までの候補経路を生成する経路生成部と、生成された候補経路を追従して目標位置に到達するように車両を制御させる走行制御部とを備える、車両の走行制御装置として有用である。
【符号の説明】
【0126】
1 走行制御装置
10 自車両
112 候補経路生成部
115 経路決定部
130 緊急停車システム
131 停車位置検出部
132 リスク算出部
133 停車位置決定部
図1
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