(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】発泡樹脂材への付属品の取付構造およびそれを備えた浴室ユニット
(51)【国際特許分類】
E03C 1/20 20060101AFI20231114BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
E03C1/20 B
E04H1/12 301
(21)【出願番号】P 2020020164
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】丸山 寛樹
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-090719(JP,A)
【文献】特開2013-241139(JP,A)
【文献】特開平09-032192(JP,A)
【文献】実開昭52-083430(JP,U)
【文献】特開2007-278006(JP,A)
【文献】特開2018-166673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/20
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する発泡樹脂材への付属品の取付構造であって、
第1面と、前記第1面の裏側に第2面と、を有する前記発泡樹脂材と、
前記発泡樹脂材の第2面側に配置されている前記付属品と、
頭部と、前記第1面側から前記発泡樹脂材へ挿入されてこの発泡樹脂材と前記付属品とを貫通しているねじ部と、を有するねじと、
前記ねじの頭部と前記第1面との間に挟まれ、前記ねじ部が貫通している座金と、
前記ねじ部のうち前記付属品を貫通して突出した部分に螺合していることで、前記付属品を前記発泡樹脂材へ固定しているナットと、を備え、
前記座金は、前記ねじの頭部から受けているねじの締め付け力によって、前記第1面を変形させて凹部を形成しているとともにこの凹部に沈み込み、
前記ねじの頭部は、前記座金の前記凹部への沈み込みに伴って、前記第1面の表面のうち前記ねじの締め付け力による変形が起きていない場所の表面よりも沈み込んでいることを特徴とする発泡樹脂材への付属品の取付構造。
【請求項2】
前記座金の前記第1面への沈み込み方向前方には、前記座金の沈み込み深さが所定量以下となるように、前記座金の沈み込みを規制する規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂材への付属品の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発泡樹脂材への付属品の取付構造を備えた浴室ユニットであって、
洗い場床と、
前記洗い場床に隣接して設置されている浴槽と、
前記発泡樹脂材から構成され、前記洗い場床と前記浴槽とが並ぶ方向と直交する方向の前記浴槽の一端側に設けられて前記浴槽の裏側の空間と前記浴室ユニットの外部の空間とを仕切っている壁面を有する浴槽防水パンと、
前記洗い場床側において前記浴槽防水パンと隣接して設けられ、前記浴槽防水パンの壁面と対向している壁面を有する洗い場側立壁部と、
前記浴槽の裏側の空間に設けられ、前記浴槽内の湯水を汲み上げるポンプと、
前記ポンプによって汲み上げられた湯水を前記浴槽内に吐水する吐水部と、
前記付属品として、前記ポンプと前記吐水部との間の経路から飛散した湯水が前記浴槽防水パンの壁面と前記洗い場側立壁部の壁面との境界部分に直接的に到達しないように遮断する湯水遮断部材と、を備え、
前記浴槽防水パンの壁面は、前記第1面と、前記第2面と、を有し、
前記第1面側は、前記浴室ユニットの外部の空間にある、この浴室ユニットが設置されている建築物の建築躯体と対向し、
前記第2面側には、前記発泡樹脂材への付属品の取付構造により、前記湯水遮断部材が取り付けられていることを特徴とする浴室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂材への付属品の取付構造およびそれを備えた浴室ユニットに関し、特に弾性を有する発泡樹脂材に対して好適な発泡樹脂材への付属品の取付構造およびそれを備えた浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、浴槽内の湯水をポンプによって汲み上げ、入浴者の肩や腰などに吐水するといった機能を備えた浴槽が出てきている。こうした浴槽において、ポンプ等の機器は、浴槽と、浴室ユニットの外部の空間への漏水を防ぐ浴槽防水パンとで囲まれた、浴槽のフランジ部の下方の空間(以下、浴槽の裏側の空間と呼称する)に設けられるが、施工時の接続不良などによりポンプによって汲み上げられた大流量の湯水が水漏れを起こしてしまうと、浴槽防水パンの壁面とバスエプロンのエプロンガイドといった他の部材の壁面との境界部分に、大流量の湯水が直接的にかかってしまう可能性がある。
【0003】
通常、上記境界部分には、浴室ユニットの外部の空間への漏水を防ぐためにパッキン等の止水部材が設けられるが、この止水部材に大流量の水が直接的にかかってしまうと、止水部材だけでは湯水を抑えきれなかったり、止水部材の劣化を早めてしまうこととなるため、やはり浴室ユニットの外部の空間への漏水の可能性がある。そこで、本願出願人はこの課題の対策として、飛翔した湯水が上記境界部分に直接的にかかることを防ぐ湯水遮断部材を、浴槽防水パンに取り付けた浴室ユニットを考案した。
【0004】
湯水遮断部材は浴槽防水パンに対して座金をかませてねじ止めされるが、この浴槽防水パンは、浴槽の裏側の空間と浴室ユニットの外部の空間とを仕切り、さらにこのの外部の空間にある建築物の建築躯体と近距離で対向する場所に配置されるため、浴槽防水パンと建築躯体との間にはクリアランス(間隔)がほとんど無い。この状態で、浴槽防水パンに取り付けたねじの頭部が浴槽防水パンの表面から突出してしまっていると、ねじの頭部が建築躯体に干渉し、浴室ユニット施工時の妨げとなる可能性がある。したがって、浴槽防水パンへねじを取り付けるにあたっては、浴槽防水パンの表面からねじの頭部が突出しないようにすることが望まれる。
【0005】
ねじを取り付けた部材の表面からねじの頭部を突出させない先行技術として、例えば特許文献1がある。特許文献1では、ハニカム構造体又は発泡構造体とされる中間層と、中間層の両面に配置された表面層を形成する繊維強化複合材とを有する複合パネルのボルト取付構造が開示されている。特許文献1に記載のボルトの取付構造では、複合パネルに形成されたブッシュ取付穴に、ボルト頭からのボルトの締め付け力を受けるボルト座面部を備えたブッシュ部材を取り付け、このブッシュ部材にボルトを挿入した際に、ボルト頭も挿入可能とする構成となっている。この構成により、複合パネルにボルトを取り付けた際に、ボルト頭がブッシュ部材に挿入され、複合パネルの表面からボルト頭が突出することを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のボルト取付構造は、炭素繊維やガラス繊維などを含む繊維強化複合部材で表面層が形成されている複合パネルなど、機械的強度が高い部材に対して利用することは有効である。しかし、浴槽防水パンにおいては、浴槽内の湯水の温度を長時間にわたって保温できるように、断熱性に優れる発泡樹脂材が材料として従来から用いられている。発泡樹脂材は、特許文献1に記載の複合パネルと比べると機械的強度が低い。したがって、浴槽防水パンとして用いられる発泡樹脂材に対して付属品である湯水遮断部材を座金をかませてねじ止めする際に、ねじの頭部と座金、あるいはねじの頭部が載置される座面部を備えたブッシュ部材を挿入できるほどの大きな穴を形成しようとすると、穴を形成する過程で生じる応力や、発泡樹脂材の機械的強度の低下によって、発泡樹脂材が割れてしまう恐れがある。
【0008】
浴槽防水パンとして用いられる発泡樹脂材に対して、大きな穴を形成できるような機械的強度を確保するために、特許文献1に記載の複合パネルのように繊維強化複合部材で形成される表面層を発泡樹脂材に設ける、あるいはそもそも浴槽防水パンの材料として発泡樹脂材よりも機械的強度の高い繊維強化複合部材を用いるという方法も考えられる。しかし、上記の方法では、発泡樹脂材のみを浴槽防水パンの材料として用いる場合よりも製造上の工数やコストがかかる他、繊維強化複合部材に含まれる炭素繊維やガラス繊維等は発泡樹脂材よりも一般的に材料として断熱性が低いため、発泡樹脂材が持つ高い断熱性を浴槽防水パンに対して生かすことができない。したがって、浴槽防水パンの材料としてはやはり発泡樹脂材のみを用いて、且つこの発泡樹脂材が割れる恐れのある大きな穴を形成せずに、ねじの頭部を発泡樹脂材の表面から突出させない方法を用いることが望ましい。
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、発泡樹脂材へ付属品をねじ止めする際に、発泡樹脂材が割れる恐れのある大きな穴を形成することなく、発泡樹脂材の表面からねじの頭部を突出させない発泡樹脂材への付属品の取付構造およびそれを備えた浴室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、弾性を有する発泡樹脂材への付属品の取付構造であって、第1面と、前記第1面の裏側に第2面と、を有する前記発泡樹脂材と、前記発泡樹脂材の第2面側に配置されている前記付属品と、頭部と、前記第1面側から前記発泡樹脂材へ挿入されてこの発泡樹脂材と前記付属品とを貫通しているねじ部と、を有するねじと、前記ねじの頭部と前記第1面との間に挟まれ、前記ねじ部が貫通している座金と、前記ねじ部のうち前記付属品を貫通して突出した部分に螺合していることで、前記付属品を前記発泡樹脂材へ固定しているナットと、を備え、前記座金は、前記ねじの頭部から受けているねじの締め付け力によって、前記第1面を変形させて凹部を形成しているとともにこの凹部に沈み込み、前記ねじの頭部は、前記座金の前記凹部への沈み込みに伴って、前記第1面の表面のうち前記ねじの締め付け力による変形が起きていない場所の表面よりも沈み込んでいることを特徴とする発泡樹脂材への付属品の取付構造である。
【0011】
第1の発明においては、付属品が発泡樹脂材へねじ止めする際に、まずねじのねじ部が座金を貫通して第1面側から発泡樹脂材へ挿入され、さらにこの発泡樹脂材および第2面側に配置されている付属品も貫通する。その後、ねじ部のうち付属品を貫通して突出した部分にナットが螺合することで、付属品が発泡樹脂材の第2面とナットに挟まれて固定される。この時、座金はねじの頭部と発泡樹脂材の第1面によって挟まれた状態となるが、この座金はねじの頭部からねじの締め付け力を受け、その締め付け力を発泡樹脂材の第1面にも伝える。加えて、発泡樹脂材は、炭素繊維やガラス繊維などを含んだ繊維強化複合材とは異なり、もともと材料の特性として弾性を有しているため、座金がねじの締め付け力を発泡樹脂材の第1面に伝えることにより、この第1面は容易に変形する。
【0012】
本願出願人は、上記ねじの締め付け力と、発泡樹脂材がもともと有する弾性をうまく利用することに着目し、発泡樹脂材が割れる恐れのある大きな穴を形成せずに、ねじの頭部が発泡樹脂材の第1面の表面から突出するのを防止することに成功した。すなわち、ねじの頭部からの締め付け力によって、このねじの頭部と発泡樹脂材の第1面に挟まれた座金が、弾性を有する発泡樹脂材の第1面を凹部を形成するように変形させ、さらに座金自体もまた第1面の変形とともに上記凹部に沈み込む。その結果、座金の凹部への沈み込みに伴って、ねじの頭部も発泡樹脂材の第1面の表面のうちねじの締め付け力による変形が起きていない場所の表面よりも沈み込み、第1面の表面からねじの頭部が突出していない状態とすることができる。したがって、発泡樹脂材にねじの頭部や座金を挿入できるほどの大きな穴を形成しなくて済むので、発泡樹脂材が穴形成時の応力や機械的強度の低下で割れる恐れが無く、ねじの締め付け力と発泡樹脂材の弾性を利用して発泡樹脂材の第1面の表面からのねじの頭部の突出も防ぐことができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、前記座金の前記第1面への沈み込み方向前方には、前記座金の沈み込み深さが所定量以下となるように、前記座金の沈み込みを規制する規制部材が設けられていることを特徴とする発泡樹脂材への付属品の取付構造である。
【0014】
前述した通り、第1の発明においては、ねじの締め付け力と発泡樹脂材の弾性をうまく利用することで、発泡樹脂材が割れる恐れがある大きな穴を形成すること無く、ねじの頭部が発泡樹脂材の第1面の表面から突出することを防ぐことができる。しかしながら、上記第1の発明において、付属品を発泡樹脂材に取り付ける際、第1面側からねじを締め付けすぎてしまうと、発泡樹脂材に必要以上の大きな締め付け力が加わることで、弾性を有してはいてもやはり割れてしまう恐れがある。これでは、わざわざ発泡樹脂材へねじの頭部や座金を挿入できる大きな穴を形成することを避けたメリットを損ねてしまう。
【0015】
そこで、第2の発明では、ねじの締め付け力で発泡樹脂材の第1面が変形して凹部を形成し、座金がこの凹部に沈み込む際に、沈み込み方向前方に座金の沈み込み深さが所定量以下となるように座金の沈み込みを規制する規制部材が設けられている。これにより、座金がねじの頭部から受けるねじの締め付け力によって、発泡樹脂材の第1面を変形させつつ所定量の深さまで沈み込むと、それ以上は座金が沈み込まなくなり、発泡樹脂材にもそれ以上のねじの締め付け力はかからない。したがって、発泡樹脂材に第1面側からねじを締め付ける際に、座金を沈み込ませすぎてしまうことによって発泡樹脂材に必要以上の大きなねじの締め付け力がかかり、発泡樹脂材が割れてしまうことを防ぐことができる。
【0016】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明の発泡樹脂材への付属品の取付構造を備えた浴室ユニットであって、洗い場床と、前記洗い場床に隣接して設置されている浴槽と、前記発泡樹脂材から構成され、前記洗い場床と前記浴槽とが並ぶ方向と直交する方向の前記浴槽の一端側に設けられて前記浴槽の裏側の空間と前記浴室ユニットの外部の空間とを仕切っている壁面を有する浴槽防水パンと、前記洗い場床側において前記浴槽防水パンと隣接して設けられ、前記浴槽防水パンの壁面と対向している壁面を有する洗い場側立壁部と、前記浴槽の裏側の空間に設けられ、前記浴槽内の湯水を汲み上げるポンプと、前記ポンプによって汲み上げられた湯水を前記浴槽内に吐水する吐水部と、前記付属品として、前記ポンプと前記吐水部との間の経路から飛散した湯水が前記浴槽防水パンの壁面と前記洗い場側立壁部の壁面との境界部分に直接的に到達しないように遮断する湯水遮断部材と、を備え、前記浴槽防水パンの壁面は、前記第1面と、前記第2面と、を有し、前記第1面側は、前記浴室ユニットの外部の空間にある、この浴室ユニットが設置されている建築物の建築躯体と対向し、前記第2面側には、前記発泡樹脂材への付属品の取付構造により、前記湯水遮断部材が取り付けられていることを特徴とする浴室ユニットである。
【0017】
第3の発明の浴室ユニットによれば、浴槽防水パンの壁面と洗い場側立壁部の壁面との境界部分に湯水が直接的に到達しないように、浴槽防水パンの壁面のうち第2面側へ付属品である湯水遮断部材をねじで取り付ける際、浴槽防水パンが発泡樹脂材で弾性を有することを利用し、浴槽防水パンへねじの頭部や座金を挿入できるほどの大きな穴を形成せずとも、浴槽防水パンの壁面における第1面の表面からねじの頭部が突出することを防ぐことができる。したがって、浴槽防水パンに大きな穴を形成することによって浴槽防水パンが割れる恐れが無い。また、ねじの頭部が第1面の表面から突出しないことにより、浴槽防水パンの壁面における第1面と、浴室ユニットの外部の空間にあってこの第1面に対向する建築物の建築躯体との間にほとんどクリアランスが無くとも、浴室ユニットの施工時に第1面から突出したねじの頭部が干渉することも無い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発泡樹脂材へ付属品をねじ止めする際に、発泡樹脂材が割れる恐れのある大きな穴を形成することなく、発泡樹脂材の表面からねじの頭部を突出させない発泡樹脂材への付属品の取付構造およびそれを備えた浴室ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る浴室ユニットを模式的に表す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る浴室ユニットを模式的に表すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る浴槽防水パンの一部を模式的に表す断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るエプロンガイドの周囲を模式的に表す断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る湯水遮断部材の浴槽防水パンの側部への取付構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る浴室ユニットを模式的に表す斜視図である。
図1に示すように、浴室ユニット10は、洗い場床12と、浴槽14と、壁パネル16a~16hと、を備える。浴室ユニット10は、住宅等の建築物の浴室設置空間内に設置して使用される。浴室ユニット10は、いわゆるユニットバスやシステムバスである。
【0021】
浴槽14は、洗い場床12と隣接して設置される。洗い場床12の表面12aは、浴室ユニット10の外部の空間ОSへの湯水の漏出を抑制する防水性を有する。ここで、湯水とは、給水管などから供給されたままの加温前の水、及び給湯器などで加温されたお湯を含むものとする。
【0022】
洗い場床12は、表面12aに流れ出た湯水を外部の排水配管に排出するための排水口12bを有する。洗い場床12の排水口12bは、例えば、浴槽14との境界部近傍に設けられる。洗い場床12は、排水口12bを介して排水配管と接続され、表面12aに流れ出た湯水を排水配管に排出する。
【0023】
洗い場床12の表面12aには、排水口12bに向けて下向き傾斜した排水勾配が設けられている。また、洗い場床12の排水口12bの周囲は、窪んでおり、排水口12bは、図示を省略した蓋によって排水可能に覆われる。
【0024】
浴室ユニット10は、複数の壁パネル16a~16hを備える。浴室ユニット10は、複数の壁パネル16a~16hにより、上方から見た状態において矩形状に配置された4つの壁面を構成する。また、浴室ユニット10は、図示を省略した天井パネルをさらに備え、天井パネルによって、4つの壁面の上方を塞ぐ天井面を構成する。このように、浴室ユニット10は、複数の壁パネル16a~16hと天井パネルとによって、矩形状の空間を形成する。
【0025】
壁パネル16a~16dは、浴槽14のフランジ部の周縁部の上に載置される。壁パネル16e~16hは、洗い場床12の周縁部の上に載置される。また、洗い場床12側の壁パネル16e~16hのいずれかには、ドア取付枠を介してドアが取り付けられる。
【0026】
なお、壁パネル16a~16hの構成は、上記に限定されるものではない。この例では、浴室ユニット10の1つの面を2枚の壁パネルで構成している。これに限ることなく、浴室ユニット10の1つの面は、1枚の壁パネルで構成してもよいし、3枚以上の壁パネルで構成してもよい。また、浴室ユニット10の1つの面を構成する壁パネルの数は、浴室ユニット10の4つの面において異なっていてもよい。
【0027】
浴室ユニット10は、例えば、浴槽防水パン20と、バスエプロン22と、小パネル24、26と、をさらに備える。浴槽防水パン20は、浴槽14の下方に設けられる。浴槽防水パン20は、例えば、浴槽14の下方及び側方に設けられる。換言すれば、浴槽防水パン20は、浴槽14の下方及び側方を覆う。浴槽14と浴槽防水パン20との間には、空間が設けられる。浴槽防水パン20は、例えば、浴槽14の下方に位置する底部と、浴槽14の側方に位置する側部と、を有する。
【0028】
浴槽防水パン20は、浴槽14の裏側に漏れ出た湯水などを受け、浴槽14の裏側に漏れ出た湯水などが浴室ユニット10の外部の空間OSに流れてしまうことを抑制する。浴槽14の裏側とは、より詳しくは、浴槽14において湯水が溜められる内壁面とは反対側の面側である。換言すれば、浴槽14の裏側とは、浴槽14の外壁面側(下面側)である。また、上記のように、浴槽14の下方及び側方を浴槽防水パン20で覆う構成とすることにより、浴槽14の保温性を高めることもできる。
【0029】
浴槽14及び浴槽防水パン20は、図示を省略した排水配管に接続される。浴槽14及び浴槽防水パン20は、例えば、洗い場床12と同じ排水配管に接続される。これにより、洗い場床12、浴槽14、及び浴槽防水パン20に流れた湯水を一本の排水配管で外部に排出することができる。
【0030】
バスエプロン22は、洗い場床12側の空間と浴槽14の裏側の空間とを仕切る。換言すれば、バスエプロン22は、洗い場床12と浴槽14との境界部分に設けられ、浴槽14における洗い場床12側の側面を覆い隠す。洗い場床12側の空間とは、例えば、洗い場床12の表面12aの上方の空間である。換言すれば、洗い場床12と壁パネル16e~16hとで区画される空間である。浴槽14の裏側の空間とは、例えば、浴槽14とバスエプロン22との間の空間である。換言すれば、浴槽14のフランジ部の裏側の面よりも下方の空間である。
【0031】
小パネル24は、洗い場床12と浴槽14とが並ぶ方向と直交する方向の浴槽14の一端側と壁パネル16eとの間に設けられる。小パネル24は、換言すれば、浴槽14と壁パネル16eとの間に空く隙間を埋める。
【0032】
同様に、小パネル26は、洗い場床12と浴槽14とが並ぶ方向と直交する方向の浴槽14の他端側と壁パネル16fとの間に設けられる。小パネル26は、換言すれば、浴槽14と壁パネル16fとの間に空く隙間を埋める。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態に係る浴室ユニットを模式的に表すブロック図である。
図2に示すように、浴室ユニット10は、第1吐水部31と、第2吐水部32と、ポンプ34と、分岐路36と、ジェットポンプユニット38と、第1流路41と、第2流路42と、を備える。浴室ユニット10において、ポンプ34、分岐路36、ジェットポンプユニット38、第1流路41、及び第2流路42などの各部は、例えば、浴槽14の裏側の空間(浴槽14のフランジ部の下方の空間で、浴槽14と浴槽防水パン20の側部との間の空間)に設けられる。
【0034】
第1吐水部31及び第2吐水部32は、浴槽14内に湯水を吐水する。第1吐水部31及び第2吐水部32には、浴槽14内に溜められた湯水が供給される。第1吐水部31及び第2吐水部32は、供給された湯水を浴槽14内に吐水する。これにより、第1吐水部31及び第2吐水部32は、浴槽14内に溜められた湯水を循環させる。
【0035】
第1吐水部31は、供給された湯水を吐水する第1吐水口31aを有する。第1吐水部31は、浴槽14の内壁面に設けられる。第1吐水部31は、例えば、洗い場床12と浴槽14とが並ぶ方向と直交する方向における浴槽14の一端側の内壁面に設けられる。
【0036】
以下では、浴槽14の内壁面のうち、第1吐水部31が設けられた面を、入浴者の背中を支持する背もたれ面14aと称す。背もたれ面14aは、例えば、略矩形状の浴槽14の4つの内壁面のうちの、洗い場床12と浴槽14とが並ぶ方向と直交する方向における浴槽14の一端側の面である。換言すれば、浴槽14は、入浴者の背中を支持する背もたれ面14aを有し、第1吐水部31は、背もたれ面14aに設けられる。
【0037】
また、以下では、背もたれ面14aに背中を当接させた入浴者からみて上方を「上方」とし、下方を「下方」とし、前方を「前方」とし、後方を「後方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。左右方向は、換言すれば、洗い場床12と浴槽14とが並ぶ方向である。前後方向は、換言すれば、洗い場床12と浴槽14とが並ぶ方向と直交する方向である。
【0038】
第1吐水部31は、例えば、背もたれ面14aの部分において浴槽14を貫通するように取り付けられる。これにより、第1吐水部31は、浴槽14の内方(前方)に向けて湯水を吐水する。
【0039】
第1吐水部31は、例えば、背もたれ面14aに背中を当接させた入浴者の腰などに向けて湯水を噴射する。第1吐水部31は、例えば、入浴者の抗重力筋である脊柱起立筋の位置を狙って湯水を噴射する。これにより、入浴者の腰などに刺激を与え、入浴時のリラクゼーション効果をより高めることができる。
【0040】
浴槽14は、例えば、2つの第1吐水部31を有する。2つの第1吐水部31は、背もたれ面14aに左右に並べて設けられている。第1吐水部31の数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0041】
第2吐水部32は、背もたれ面14aに連なる上端(フランジ部の表面)の上に設けられる。第2吐水部32は、例えば、第1吐水部31よりも上方に設けられる。第2吐水部32は、浴槽14の内方に向けて湯水を吐水する。すなわち、第2吐水部32は、前方に向けて湯水を吐水する。第2吐水部32は、例えば、背もたれ面14aに背中を当接させた入浴者の首や肩に向けて湯水を吐水する。これにより、例えば、入浴者の首や肩をより温めたり、入浴者の首や肩にマッサージ効果を付与したりすることができ、入浴時のリラクゼーション効果をより高めることができる。
【0042】
第2吐水部32は、左右方向(水平方向)に延びたスリット状の第2吐水口32aを有する。これにより、第2吐水部32は、左右方向に延びた帯状の水流を第2吐水口32aから吐水する。第2吐水口32aの左右方向の長さは、例えば、20cm以上である。第2吐水口32aの左右方向の長さは、例えば、人間の首の平均的な幅よりも長い。これにより、背もたれ面14aに背中を当接させた入浴者の首や肩に適切に湯水を当てることができる。また、第2吐水口32aの左右方向の長さは、例えば、浴槽14の内部の空間の左右方向の幅よりも短い。これにより、浴槽14内に適切に湯水を吐水することができる。
【0043】
浴室ユニット10は、例えば、複数の第2吐水部32を有してもよい。例えば、入浴者の右肩に湯水を吐水する第2吐水部32と、入浴者の左肩に湯水を吐水する第2吐水部32と、を有してもよい。
【0044】
また、第2吐水部32は、光源部32bを有する。光源部32bは、前方に向けて光を照射する。これにより、浴槽14の外観をより向上させることができる。光源部32bは、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0045】
上記とは反対に、第1吐水部31から入浴者の肩などに向けて湯水を吐水し、第2吐水部32から入浴者の腰などに向けて湯水を吐水してもよい。また、第1吐水部31及び第2吐水部32は、上記に限ることなく、例えば、浴槽14の底面部分に設けられ、入浴者の脚に向けて湯水を吐水する吐水部などでもよい。第1吐水部31及び第2吐水部32は、浴槽14の内方に向けて湯水を吐水する任意の吐水部でよい。
【0046】
第1流路41は、浴槽14に設けられた吸入口(図示は省略)から第1吐水部31に湯水を供給するための流路である。第2流路42は、浴槽14に設けられた吸入口(図示は省略)から第2吐水部32に湯水を供給するための流路である。第1流路41及び第2流路42は、例えば、複数の配管や流体機械などによって構成される。流体機械とは、例えば、ポンプやバルブなど、内部に湯水を通すことが可能な任意の機器である。なお、第2流路42の接続される吸入口は、第1流路41の接続される吸入口と同じでもよいし、異なってもよい。
【0047】
第1流路41は、例えば、給水管43を有する。給水管43の一端は、浴槽14の吸入口に接続されている。給水管43の他端は、ポンプ34に接続されている。給水管43は、吸入口から吸引された湯水をポンプ34に供給する。
【0048】
第2流路42は、例えば、給水管44を有する。給水管44の一端は、浴槽14の吸入口に接続されている。給水管44の他端は、ジェットポンプユニット38に接続されている。給水管44は、吸入口から吸引された湯水をジェットポンプユニット38に供給する。
【0049】
ポンプ34は、浴槽14の裏側の空間に設けられ、浴槽14内の湯水を汲み上げる。第1吐水部31及び第2吐水部32は、ポンプ34によって汲み上げられた湯水を浴槽14内に吐水する。ポンプ34は、例えば、第1吐水部31及び第2吐水部32が設けられた背もたれ面14aの裏側の空間ISに設けられる。但し、ポンプ34を設ける位置は、例えば、背もたれ面14aと反対側の浴槽14の裏側の空間に設けてもよい。背もたれ面14aの裏側の空間ISにポンプ34を設けた場合には、ポンプ34から第1吐水部31及び第2吐水部32までの距離が短くなり、湯水の搬送効率をより高めることができる。例えば、ポンプ34を効率良く配置することができ、ポンプ34を設けた場合にも、浴槽14の内部の空間(入浴する空間)や洗い場床12側の空間などを狭めてしまうことを抑制することができる。
【0050】
ポンプ34は、例えば、第1流路41の経路上に設けられる。ポンプ34は、浴槽14内の湯水を吸入口から吸引し、下流側に供給する。ポンプ34の入力ポートは、給水管43に接続されている。ポンプ34は、給水管43を介して吸入口から湯水を吸引する。ポンプ34は、例えば、電動ポンプである。ポンプ34は、例えば、電気的に駆動される電動モータ(図示せず)に直結されたインペラ(図示せず)の回転により、浴槽14内の湯水を吸引し、吸引した湯水を下流側に圧送する。
【0051】
浴室ユニット10は、例えば、配管46と、切替弁47と、配管48と、をさらに有する。配管46の一端は、ポンプ34の出力ポートに接続されている。配管46の他端は、切替弁47の入力ポートに接続されている。切替弁47は、1つの入力ポートと、2つの出力ポートと、を有する。切替弁47は、入力ポートから供給された湯水を、一方の出力ポートのみに流す状態と、他方の出力ポートのみに流す状態と、2つの出力ポートのそれぞれに流す状態と、を選択的に切り替える。なお、切替弁47は、例えば、流路の切替機能を有しない二又管などに置き換えてもよい。
【0052】
配管48の一端は、切替弁47の一方の出力ポートに接続されている。配管48の他端は、第1吐水部31に接続されている。これにより、ポンプ34の駆動に応じて吸入口から吸引された湯水が、給水管43、ポンプ34、配管46、切替弁47、及び配管48を介して第1吐水部31に供給される。すなわち、この例においては、給水管43、ポンプ34、配管46、切替弁47、及び配管48によって、第1流路41が形成される。第1流路41の構成は、上記に限ることなく、第1吐水部31に湯水を供給可能な任意の構成でよい。
【0053】
分岐路36は、第1吐水部31とポンプ34との間において第1流路41から分岐する。分岐路36の一端は、切替弁47の他方の出力ポートに接続されている。分岐路36の他端は、ジェットポンプユニット38に接続されている。切替弁47は、換言すれば、第1流路41と分岐路36との分岐部に設けられる。切替弁47は、換言すれば、ポンプ34から供給された湯水を、第1吐水部31のみに供給する経路と、第2吐水部32のみに供給する経路と、第1吐水部31及び第2吐水部32の双方に供給する経路と、を選択的に切り替える。
【0054】
ジェットポンプユニット38は、第2流路42の経路上に設けられるとともに、分岐路36を介してポンプ34と接続されている。この例において、ジェットポンプユニット38は、第2吐水部32と切替弁47との間に設けられる。ジェットポンプユニット38は、例えば、第2吐水部32の直下に設けられる。
【0055】
ジェットポンプユニット38は、貯水部50と、吸引管52と、噴射部54と、を有する。貯水部50は、容器状であり、内部の空間に湯水を貯水可能とする。貯水部50は、給水管44の他端と接続されている。これにより、貯水部50は、吸入口から供給された湯水を内部に貯水する。また、貯水部50は、分岐路36を介して切替弁47と接続されている。分岐路36は、例えば、貯水部50の下部に接続される。
【0056】
吸引管52は、貯水部50に貯水された湯水を吸引するための管路である。吸引管52は、例えば、分岐路36と対向して貯水部50の上部に接続される。吸引管52は、貯水部50から上方に向かって延び、第2吐水部32と接続される。これにより、この例では、給水管44、貯水部50、及び吸引管52によって、第2流路42が形成される。第2流路42の構成は、上記に限ることなく、第2吐水部32に湯水を供給可能な任意の構成でよい。
【0057】
噴射部54は、貯水部50と分岐路36との接続部に設けられる。噴射部54は、貯水部50に貯水された湯水がジェットポンプ作用によって吸引管52に吸引されるように、切替弁47及び分岐路36を介してポンプ34から供給された湯水を吸引管52内に噴射する。これにより、ポンプ34から供給された湯水が第2吐水部32に供給されるとともに、貯水部50内に貯水された湯水が、ジェットポンプ作用によって吸引管52内に引き込まれ、貯水部50内に貯水された湯水も第2吐水部32に供給される。これにより、ポンプ34を比較的小型にした場合にも大流量の湯水を第2吐水部32に供給することができる。例えば、ポンプ34からの供給流量以上の流量の湯水を第2吐水部32に供給することができる。
【0058】
浴室ユニット10は、例えば、制御部60と、操作部62と、をさらに備える。制御部60は、ポンプ34、切替弁47、及び操作部62と接続されている。操作部62は、例えば、浴槽14や壁パネル16a~16dの壁面などに取り付けて使用される。操作部62は、スイッチやセンサなどを有し、入浴者などの操作に応じて、制御部60に種々の操作指示を入力可能である。操作部62は、いわゆるリモコンである。制御部60と操作部62との間の電気的な通信は、有線でもよいし、無線を介して行ってもよい。
【0059】
制御部60は、操作部62から入力された操作指示に応じて、ポンプ34及び切替弁47の動作を制御する。制御部60は、第1吐水部31からの湯水の吐水を操作部62から指示された場合、ポンプ34の駆動を開始し、切替弁47を第1吐水部31側に切り替えることにより、第1吐水部31から湯水を吐水させる。
【0060】
制御部60は、第2吐水部32からの湯水の噴射を操作部62から指示された場合、ポンプ34の駆動を開始し、切替弁47を第2吐水部32側に切り替えることにより、第2吐水部32から湯水を吐水させる。
【0061】
また、制御部60は、第1吐水部31及び第2吐水部32からの同時吐水を操作部62から指示された場合、ポンプ34の駆動を開始し、切替弁47を第1吐水部31及び第2吐水部32の双方と連通する状態にすることにより、第1吐水部31から湯水を吐水させるとともに、第2吐水部32から湯水を吐水させる。
【0062】
そして、制御部60は、第1吐水部31からの湯水の吐水の停止、又は第2吐水部32からの湯水の吐水の停止を指示された場合に、ポンプ34の駆動を停止させる。また、制御部60は、例えば、操作部62から入力された操作指示に応じて、ポンプ34の出力(駆動力)を変化させる。制御部60は、例えば、ポンプ34の回転数を変化させる。これにより、第1吐水部31及び第2吐水部32から吐水される湯水の流量を変化させることができる。例えば、流量の少ない「弱運転」、弱運転よりも流量の多い「強運転」、弱運転と強運転との間の流量の「中運転」などのように運転モードを切り替えることができる。
【0063】
このように、浴室ユニット10では、ポンプ34を駆動し、切替弁47の経路を切り替えることにより、第1吐水部31のみから湯水を吐水する状態と、第2吐水部32のみから湯水を吐水する状態と、第1吐水部31及び第2吐水部32の双方から同時に湯水を吐水する状態と、を切り替えることができる。また、制御部60は、光源部32bと接続されている。制御部60は、操作部62から入力された操作指示に応じて、光源部32bの点灯及び消灯を切り替える。
【0064】
例えば、切替弁47を手動式とし、第1吐水部31のみから湯水を吐水する状態と、第2吐水部32のみから湯水を吐水する状態と、第1吐水部31及び第2吐水部32の双方から同時に湯水を吐水する状態と、を手動操作によって切り替えられるようにしてもよい。また、切替弁47を二又管などに置き換え、ポンプ34の駆動によって常に第1吐水部31及び第2吐水部32の双方から同時に湯水が吐水されるようにしてもよい。また、切替弁47は、必ずしも同時吐水を可能にするものに限ることなく、第1吐水部31及び第2吐水部32の一方のみから選択的に湯水を吐水させるものでもよい。
【0065】
図3は、本発明の実施の形態に係る浴槽防水パンの一部を模式的に表す断面図である。
図3は、浴槽防水パン20を上下方向及び左右方向と平行な平面で切断し、前方側から見た状態を模式的に表している。換言すれば、
図3は、浴槽防水パン20のうち、浴槽14の背もたれ面14a側の構成を模式的に表している。
【0066】
図3に示すように、浴槽防水パン20は、底部20aと、側部20b~20eと、を有する。底部20aは、浴槽14の下方に設けられ、浴槽14の下方を覆う。底部20aには、浴槽14の裏側に漏れ出た湯水などを外部に排出するための排水口20fが設けられている。浴槽防水パン20は、排水口20fを介して排水配管と接続される。これにより、例えば、第1吐水部31に湯水を供給するための第1流路41や第2吐水部32に湯水を供給するための第2流路42などから湯水が漏れ出た場合には、排水口20fを介して漏れ出た湯水を排水配管に排出することができる。
【0067】
側部20b~20eは、底部20aの側端部から上方に向かって壁面を形成するように延びる。側部20bは、浴槽14の後方側に設けられ、浴槽14の後方側を覆う。側部20c(
図1参照)は、浴槽14の前方側に設けられ、浴槽14の前方側を覆う。側部20dは、浴槽14の左側方側に設けられ、浴槽14の左側方側を覆う。側部20eは、浴槽14の右側方側に設けられ、浴槽14の右側方側を覆う。
【0068】
このように、浴槽防水パン20は、上方に開口する開口箱状に形成される。これにより、浴槽14の裏側に漏れ出た湯水が、浴室ユニット10の外部の空間OSに漏れ出てしまうことを抑制することができる。
【0069】
側部20b~20dは、浴槽14と浴室ユニット10の外部の空間OSとの間に位置する。側部20b~20dは、浴槽14の裏側の空間と浴室ユニット10の外部の空間OSとを仕切る。側部20b~20dは、例えば、浴槽14の側方の略全体を覆う。
【0070】
側部20bは、洗い場床12と浴槽14とが並ぶ方向と直交する方向の浴槽14の一端側に設けられ、浴槽14の裏側の空間と浴室ユニット10の外部の空間OSとを仕切る。従って、この例では、浴槽防水パン20の側部20bが、洗い場床12と浴槽14とが並ぶ方向と直交する方向の浴槽14の一端側に設けられ、浴槽14の裏側の空間と浴室ユニット10の外部の空間OSとを仕切っている壁面を有する。
【0071】
側部20eは、洗い場床12と浴槽14との間に位置する。側部20eの高さは、側部20b~20dの高さよりも低い。側部20eは、浴槽14の裏側の空間と洗い場床12側の空間との一部を仕切る。側部20eは、例えば、浴槽14の側方の一部を覆う。
【0072】
浴槽14の裏側の空間と洗い場床12側の空間とが隣接する部分では、浴室ユニット10の外部の空間OSへの漏水が発生しない。従って、側部20eでは、側部20b~20dと比べて、高さを低く抑えることができる。これにより、例えば、浴室ユニット10の施工性やメンテナンス性を向上させることができる。但し、側部20eの高さは、側部20b~20dの高さと同じでもよい。換言すれば、浴槽14の側方の全周を覆ってもよい。
【0073】
以上説明してきた底部20aおよび側部20b~20eを有する浴槽防水パン20は、材料として発泡樹脂材が用いられる。発泡樹脂材は、FRP(繊維強化プラスチック)等、繊維強化複合材と比較して機械的強度は低いものの、型成形の容易さ、軽さ、弾性、断熱性など材料として優れた特性を多く有する。特にその優れた断熱性は断熱材として用いるのに好適であり、浴槽防水パン20の材料として用いることで、浴槽14内に貯められたお湯の温度を長時間にわたって保つことができる。
【0074】
本発明の実施の形態にかかる浴槽防水パン20においては、具体的には、材料として発泡樹脂材の1つであり、耐薬品性にも優れるEPP(発砲ポリプロピレン)が用いられており、その発泡倍率は例えば15~20倍程度である。発泡倍率15~20倍程度のEPPは優れた断熱性とともに、適度な剛性と弾性を兼ね備えており、加工も容易であるため、浴槽防水パン20の材料としては、好適である。
【0075】
図3に示すように、浴室ユニット10は、エプロンガイド70をさらに備える。エプロンガイド70は、洗い場床12側において浴槽防水パン20の側部20bと隣接して設けられる。エプロンガイド70は、例えば、小パネル24と重ねるようにして、浴槽防水パン20の側部20bの洗い場床12側に隣接して設けられる。小パネル24及びエプロンガイド70は、例えば、壁パネル16a、16eを支持するジョイナーなどと呼ばれる支持体(図示は省略)に取り付けられることにより、支持体に支持される。小パネル24及びエプロンガイド70は、例えば、浴槽防水パン20の補強材や浴槽防水パン20自体、あるいは浴槽14などに取り付けてもよい。
【0076】
図示は省略するが、浴室ユニット10は、洗い場床12側において浴槽防水パン20の側部20cと隣接して設けられるエプロンガイドをさらに備える。換言すれば、浴室ユニット10は、浴槽防水パン20の前後方向の両端側に設けられた一対のエプロンガイド70を備える。
【0077】
エプロンガイド70は、バスエプロン22の取り付けに用いられる。一対のエプロンガイド70は、バスエプロン22の両側端を支持する。一対のエプロンガイド70は、例えば、バスエプロン22を着脱可能に支持する。バスエプロン22は、一対のエプロンガイド70を介して周囲の支持体に支持され、浴槽14及び浴槽防水パン20の洗い場床12側に隣接して設けられることにより、洗い場床12側の空間と浴槽14の裏側の空間とを仕切る壁面として配置される。
【0078】
エプロンガイド70の上端は、浴槽防水パン20の側部20bの上端と同程度に設定される。エプロンガイド70の下端は、浴槽防水パン20の側部20eの上端と同程度に設定される。エプロンガイド70は、側部20eよりも上方の部分において、側部20bの洗い場床12側に隣接する。エプロンガイド70は、例えば、側部20eよりも上方の部分の側部20bの略全体と隣接する。
【0079】
図4は、本発明の実施の形態に係るエプロンガイドの周囲を模式的に表す断面図である。
なおこれ以降、浴槽14の裏側の空間のうち、
図2においてポンプ34が設けられている背もたれ面14aの裏側の空間ISを、単に浴槽14の裏側の空間ISとして便宜上呼称することとする。
図4は、浴槽防水パン20、バスエプロン22、小パネル24、及びエプロンガイド70などを前後方向及び左右方向と平行な平面(水平面)で切断し、上方から見た状態を模式的に表している。
図4では、理解を容易にするため、
図3などと比べて、浴槽防水パン20、バスエプロン22、小パネル24、及びエプロンガイド70などの各部の構成を簡略化して図示している。
【0080】
図4に示すように、エプロンガイド70は、浴槽防水パン20の側部20bの壁面W1と対向する壁面W2を有する。従って、この例では、エプロンガイド70が、洗い場床12側において浴槽防水パン20の側部20bと隣接して設けられ、この側部20bの壁面W1と対向する壁面W2を有する洗い場側立壁部として機能する。
【0081】
側部20bの壁面W1は、例えば、側部20bの側部20eよりも上方の部分の洗い場床12側の側端の壁面である。上述のように、エプロンガイド70は、側部20eよりも上方の部分の側部20bの略全体と隣接する。エプロンガイド70の壁面W2は、例えば、上下方向において壁面W1の略全体と対向する。これにより、側部20bの側部20eよりも上方の部分の洗い場床12側の側端から浴室ユニット10の外部の空間OSへの漏水を抑制し易くすることができる。
【0082】
ここで、上下方向における壁面W1の略全体と対向するとは、例えば、壁面W2の壁面W1と対向する部分の上下方向の長さが、壁面W1の上下方向の長さに対して90%以上のことをいう。壁面W2の壁面W1と対向する部分の上下方向の長さと、壁面W1の上下方向の長さと、の差は、例えば、5cm以下である。
【0083】
図3および
図4に示すように、浴室ユニット10は、湯水遮断部材72、74をさらに備える。湯水遮断部材72、74は、ポンプ34と第1吐水部31との間の経路及びポンプ34と第2吐水部32との間の経路から飛散した湯水が浴槽防水パン20の側部20bの壁面W1とエプロンガイド70の壁面W2との境界部分BPに直接的に到達しないように遮断する。湯水遮断部材72、74は、換言すれば、水返し材である。
【0084】
ポンプ34と第1吐水部31との間の経路は、例えば、第1流路41である。ポンプ34と第2吐水部32との間の経路は、例えば、第2流路42である。飛散した湯水が境界部分BPに直接的に到達する状態とは、例えば、配管の接続不良などによって意図せず第1流路41や第2流路42などから飛散した湯水が、他の部材に当たって反射したりすることなく、何にも当たらずに強い勢いを保ったまま境界部分BPに到達する状態である。湯水遮断部材72、74は、こうした直接的(直線的に)境界部分BPに向かう湯水を遮断する。
【0085】
湯水遮断部材72、74は、例えば、ポンプ34と第1吐水部31との間の経路と境界部分BPとの間およびポンプ34と第2吐水部32との間の経路と境界部分BPとの間に設けられる。換言すれば、湯水遮断部材72、74は、例えば、第1流路41と境界部分BPとの間および第2流路42と境界部分BPとの間に設けられる。これにより、ポンプ34と第1吐水部31との間の経路およびポンプ34と第2吐水部32との間の経路から飛散した湯水が境界部分BPに直接的に到達しないように遮断することができる。
【0086】
浴槽防水パン20の側部20bは上方に伸びることで壁面を形成しているが、
図4に示すように、その壁面はエプロンガイド70の壁面W2と対向している壁面W1を有する一方で、浴室ユニット10の外部の空間OSに面する第1面202と、その裏側であり、浴槽14の裏側の空間ISに面する第2面204と、をさらに有する。すなわち、浴槽防水パン20の側部20bが、浴室ユニット10の外部の空間OSと、ポンプ34が設けられている浴槽14の裏側の空間ISと、を仕切る壁面として機能している。
【0087】
浴室ユニット10の外部の空間OSには、この浴室ユニット10が設置されている住宅等の建築物の建築躯体80があり、浴槽防水パン20の側部20bにおける第1面202と近い距離で対向し、建築躯体80と第1面202との間にはクリアランス(間隔)がほとんど無い。一方、第1面202の裏側にある第2面204側には、湯水遮断部材72、74が配置され、ねじ90とナット92によって浴槽防水パン20の側部20bに固定されている。浴槽防水パン20の側部20bへの湯水遮断部材72、74の詳細な取付構造については、後述する。
【0088】
浴槽防水パン20の側部20bに固定されている湯水遮断部材72、74は、この側部20bの第2面204から浴槽14側に向かって延びる。湯水遮断部材72、74は、例えば、略L字状に折り曲げられた板状である。湯水遮断部材72、74は、例えば、第1流路41と境界部分BPとの間及び第2流路42と境界部分BPとの間において側部20bの第2面204に取り付けられ、この第2面204から浴槽14側に向かって延びる板状である。これにより、ポンプ34と第1吐水部31との間の経路及びポンプ34と第2吐水部32との間の経路から飛散した湯水を、より適切に境界部分BPに直接的に到達しないように遮断することができる。
【0089】
浴室ユニット10は、上下方向に並ぶ2つの湯水遮断部材72、74を有する。湯水遮断部材72の下端の上下方向の位置は、湯水遮断部材74の上端の上下方向の位置と実質的に同じである。これにより、湯水遮断部材72の下端と湯水遮断部材74の上端との間に隙間が空き、この隙間から湯水が境界部分BPに向かってしまうことを抑制することができる。このように、複数の湯水遮断部材72、74で境界部分BPに直接的に湯水が到達することを抑制する場合には、隣接する湯水遮断部材72、74の間に湯水が通り抜ける隙間を形成しないようにすることが好ましい。
【0090】
湯水遮断部材の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。湯水遮断部材を1つにした場合には、隙間が空くことを抑制し易くし、境界部分BPに直接的に湯水が到達することをより適切に抑制することができる。一方、湯水遮断部材を複数設けた場合には、例えば、形状の異なる複数の種類の浴槽防水パン20などに対応し易くすることができる。同じ湯水遮断部材を複数種類の浴槽防水パン20に適用することができ、浴槽14などの形状が異なる複数種類の浴室ユニット10を製造する場合などに、複数種類の浴室ユニット10の全体での製造コストを抑制することができる。
【0091】
湯水遮断部材72、74は、例えば、境界部分BPの上下方向の略全体に亘って、直接的に到達しないように湯水を遮断する。湯水遮断部材72の上端から湯水遮断部材74の下端までの上下方向の長さは、例えば、境界部分BPの上下方向の長さの90%以上である。これにより、境界部分BPに直接的に湯水が到達することをより適切に抑制することができる。
【0092】
図4に表したように、浴室ユニット10は、止水材76をさらに備える。止水材76は、浴槽防水パン20の側部20bの壁面W1とエプロンガイド70の壁面W2との境界部分BPに設けられる。換言すれば、止水材76は、壁面W1と壁面W2との間に設けられる。止水材76は、弾性を有する。止水材76には、発泡ウレタンやゴムなどの弾性材料が用いられる。止水材76は、壁面W1と壁面W2との間に挟まれて押し潰されることにより、壁面W1と壁面W2との間に隙間が空くことを抑制する。これにより、境界部分BPから浴室ユニット10の外部の空間OSへの漏水をより適切に抑制することができる。
【0093】
次に、
図5を参照しながら、本発明の実施の形態にかかる湯水遮断部材72(74)の浴槽防水パン20の側部20bへの取付構造について詳述する。
図5は、本発明の実施の形態に係る湯水遮断部材の浴槽防水パンの側部への取付構造の模式図であり、
図4における湯水遮断部材、ねじおよびナットの周囲の拡大図である。
【0094】
図5に示すように、浴槽防水パン20の側部20bへ湯水遮断部材72(74)を固定するにあたっては、ねじ90およびナット92によってねじ止めが行われる。しかし、浴槽防水パン20の側部20bにおける第1面202と、浴室ユニット10の外部の空間OSにある建築躯体80との間のクリアランス(間隔)Dは非常に小さく、例えば10mm以下しかない。浴槽防水パン20を浴室ユニット10へ設置するにあたっては、予め側部20bの第2面204側に湯水遮断部材72、74がねじ90とナット92で固定された状態で、第1面202が浴室ユニット10の外部の空間OSにある建築躯体80と対向するように浴槽防水パン20が浴室ユニット10へ設置される。この時、ねじ90の頭部90aが第1面202の表面から突出していると、浴室ユニット10へ浴槽防水パン20を設置する際にこのねじ90の頭部90aが建築躯体80に干渉するなど、施工性が非常に悪くなったり、浴槽防水パン20が収容できない恐れがある。そこで、本発明の実施の形態に係る浴室ユニット10においては、前述した浴槽防水パン20を構成している発泡樹脂材のEPPが材料の特性としてもともと有する弾性と、ねじ90の締め付け力をうまく利用して、第1面202の表面からのねじ90の頭部90aの突出を防いでいる。
【0095】
具体的な構成は、以下の通りである。ねじ90は、頭部90aと、この頭部90aよりも径が小さくて細長く、側面に図示しないらせん状の凹凸部が形成されたねじ部90bを有する。ねじ90の頭部90aと、浴槽防水パン20の側部20bにおける第1面202との間には、Oリング形状をした座金94が挟まれている。浴槽防水パン20の側部20bには、座金94の外径よりも小さく、且つねじ90のねじ部90bが貫通可能な径を有する貫通孔96が形成されている。さらに、この貫通孔96の内部には、円筒形状のスペーサ98が挿入されており、スペーサ98の一端側は第1面202上にある座金94と当接し、他端側は第2面204上にある湯水遮断部材72(74)と当接している。
【0096】
ねじ90のねじ部90bは座金94、スペーサ98(貫通孔96)、湯水遮断部材72(74)を貫通している。さらに、このねじ部90bのうち、湯水遮断部材72(74)を貫通して突出している部分には内径側面に図示しないらせん状の凹凸部が形成されたナット92が螺合し、湯水遮断部材72(74)を浴槽防水パン20の側部20bに固定している。
【0097】
一方、ねじ90の頭部90aおよび座金94は、第1面202に形成されている凹部100に沈み込んでおり、第1面202の表面のうち、凹部100が形成されていない場所の表面よりも沈み込み、第1面202の表面から突出していない状態となっている。凹部100の形成については、後で詳述する。
【0098】
湯水遮断部材72(74)を浴槽防水パン20の側部20bに取り付ける方法について説明する。まず、ねじ90のねじ部90bを、座金94、貫通孔96内のスペーサ98、湯水遮断部材72(74)の順に貫通するように、第1面202側から挿入する。次に、ねじ90のねじ部90bのうち、湯水遮断部材72(74)を貫通して突出した部分にナット92を螺合させ、第2面204側に向かってナットを締めていき、側部20bに対して湯水遮断部材72(74)を仮止めする。
【0099】
その後、湯水遮断部材72(74)とナット92が回転しないように固定しつつ、電動ドライバー等でねじ90を頭部90aから締めていくと、側部20bの第1面202は座金94から、第2面204は湯水遮断部材72(74)から、ねじ90およびナット92の締め付け力による圧力を受ける。この時、座金94の方が湯水遮断部材72(74)よりも側部20bに触れる面積が小さい分、第1面202が座金94から大きな圧力を受ける。その結果、座金94はねじ90の頭部90aから締め付け力を受け、弾性を有する浴槽防水パン20の側部20bにおける第1面202を、凹部100を形成するように変形させる。
【0100】
この第1面202の変形に伴って、座金94及びねじ90の頭部90aも凹部100へ沈み込んでいく。その際、座金94の沈み込み深さ、すなわち凹部100の深さが所定量Hとなるまで第1面202が変形すると、座金94の沈み込み方向前方にあるスペーサ98の一端側(後方側)に座金94、他端側(前方側)に湯水遮断部材72(74)が当接することで、座金94はそれ以上第1面202を変形させて沈み込むことができなくなる。すなわち、スペーサ98は、座金94の第1面202に対する沈み込み深さが所定量H以下となるように沈み込みを規制する、規制部材として機能する。浴槽防水パン20の材質や発泡率にもよるが、例えば、EPPで構成されている浴槽防水パン20(側部20b)の厚さTが20mm以下の場合、沈み込み深さHは5mm以下とするのが好ましい。座金94の沈み込み深さが所定量Hとなったら、湯水遮断部材72(74)の浴槽防水パン20の側部20bへの固定が完了する。
【0101】
以上のように、湯水遮断部材72(74)が浴槽防水パン20の側部20bに固定されていることによって、
図5に示すように、浴槽防水パン20の側部20bにおける第1面202の表面からねじ90の頭部90aが突出せず、浴室ユニット10へ浴槽防水パン20を設置する際に、ねじ90の頭部90aが浴室ユニット10の外部の空間OSにある建築躯体80に干渉することが無い。
【0102】
また、弾性を有するEPPで構成されている浴槽防水パン20の側部20bにおける第1面202は、ねじ90の頭部90aからねじ90の締め付け力を受けている座金94によって凹部100が形成されるように変形し、さらにこの凹部100にねじ90の頭部90aおよび座金94が沈み込んでいる。このような構成とすることで、浴槽防水パン20の側部20bにねじ90の頭部90aや座金94を挿入できるほどの大きな穴を形成せずとも、ねじ90の頭部90aが第1面202の表面から突出することを防ぐことができ、大きな穴の形成の過程で生じる応力や強度低下等で浴槽防水パン20が割れる恐れも無い。
【0103】
さらに、第1面202に対する座金94の沈み込み方向前方に、座金94の沈み込み深さが所定量H以下となるように、座金94の沈み込み深さがHとなると、それ以上の沈み込みを規制する規制部材としてスペーサ98が設けられている。このような構成とすることで、第1面202側からねじ90を締める際に、座金94を沈み込ませすぎてしまうことによって浴槽防水パン20の側部20bに必要以上の大きなねじ90の締め付け力がかかり、割れてしまうことを防ぐことができる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
【0105】
例えば、本発明の実施の形態においては、湯水遮断部材72,74を浴槽防水パン20の側部20bに固定するねじ90として、
図5に示すような皿小ねじを用いているが、ナット92と併用するものであれば、ねじ90としてボルト等を用いても良い。
【0106】
また、例えば、本発明の実施の形態においては、湯水遮断部材72(74)、座金94、スペーサ98をそれぞれ別体、すなわち別々の部品として構成しているが、湯水遮断部材72(74)とスペーサ98、あるいは座金94とスペーサ98とを1つの部品として一体的に構成しても良い。
【0107】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0108】
10 浴室ユニット、 12 洗い場床、 14 浴槽、 16a~16h 壁パネル、20 浴槽防水パン、 22 バスエプロン、 24、26 小パネル、 31 第1吐水部、 32 第2吐水部、 34 ポンプ、 36 分岐路、 38 ジェットポンプユニット、 41 第1流路、 42 第2流路、 43 給水管、 44 給水管、 46 配管、 47 切替弁、 48 配管、 50 貯水部、 52 吸引管、 54 噴射部、 60 制御部、 62 操作部、 70 エプロンガイド、 72、74 湯水遮断部材、 76 止水材、 80 建築躯体、 90 ねじ、 92 ナット、 94 座金、 96 貫通孔、 98 スペーサ、 100 凹部