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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】配電盤、母線および配電盤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/20 20060101AFI20231114BHJP
   H02G 5/06 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H02B1/20 E
H02G5/06 301
H02G5/06 311N
H02G5/06 311B
H02B1/20 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020022684
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021129412
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】樽井 成二
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-186670(JP,U)
【文献】実開平07-023907(JP,U)
【文献】特開2000-324665(JP,A)
【文献】実開昭55-117108(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/20
H02G 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
母線と、
前記母線と電気的に接続される遮断器と、を備える配電盤であって、
前記母線は、
互いに対向するように配置された一対の母線用導体と、
前記一対の母線用導体同士を接続するための平板形状の接続導体と、を含み、
前記一対の母線用導体の各々は、
前記母線用導体の長手方向における一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方に設けられ、前記接続導体に接続される接続部分が形成されるとともに、平板形状を有する平板部と、
前記母線用導体において前記平板部以外の部分に設けられ、前記長手方向から見て、弧状に湾曲している板状の湾曲板部と、を含み、
前記一対の母線用導体は、前記平板部同士が前記接続導体を挟んだ状態で、前記湾曲板部の弧状に湾曲している凹部が、互いに対向するように配置されている、配電盤。
【請求項2】
前記湾曲板部は、前記長手方向から見て、略半円形状に湾曲している、請求項1に記載の配電盤。
【請求項3】
前記湾曲板部は、前記長手方向から見て、略半円形状を有する前記湾曲板部の周方向の端部が、丸形形状を有する、請求項2に記載の配電盤。
【請求項4】
前記湾曲板部は、前記一対の母線用導体が互いに対向する対向方向から見て、前記平板部と略同じ幅を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の配電盤。
【請求項5】
前記一対の母線用導体は、互いに対向する対向方向において、前記湾曲板部同士の最短の離間間隔が、前記平板部同士の離間間隔よりも小さくなるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の配電盤。
【請求項6】
前記母線用導体の各々に対して、前記長手方向において、前記平板部に対応する位置に設けられず、前記湾曲板部に対応する位置に、前記長手方向から見て、前記湾曲板部の外側に沿うように、前記湾曲板部を囲むように設けられる絶縁部材をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の配電盤。
【請求項7】
前記平板部には、前記一対の母線用導体が互いに対向する対向方向に貫通する第1貫通孔が形成されており、
前記接続導体には、前記長手方向において前記第1貫通孔に対応する部分に前記対向方向に貫通する第2貫通孔が形成されており、
前記一対の母線用導体は、前記平板部同士が前記接続導体を挟むとともに、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔を介して締結部材により締結固定されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の配電盤。
【請求項8】
配電盤に設けられる母線であって、
互いに対向するように配置された一対の母線用導体と、
前記一対の母線用導体同士を接続するための平板形状の接続導体と、を備え、
前記一対の母線用導体の各々は、
前記母線用導体の長手方向における一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方に設けられ、前記接続導体に接続される接続部分が形成されるとともに、平板形状を有する平板部と、
前記母線用導体において前記平板部以外の部分に設けられ、前記長手方向から見て、弧状に湾曲している板状の湾曲板部と、を含み、
前記一対の母線用導体は、前記平板部同士が前記接続導体を挟んだ状態で、前記湾曲板部の弧状に湾曲している凹部が、互いに対向するように配置されている、母線。
【請求項9】
母線と、前記母線と電気的に接続される遮断器と、を備える配電盤の製造方法であって、
前記母線を構成するための母線用導体に用いられる平板形状を有する一対の導体用部材を準備する工程と、
前記一対の母線用導体同士を接続するための平板形状の接続導体を準備する工程と、
前記一対の導体用部材の各々に対して、前記導体用部材の長手方向における一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方以外の部分をプレス加工により前記長手方向から見て弧状に湾曲させることにより、前記母線用導体の前記長手方向における一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方に設けられ、平板形状を有する平板部と、前記母線用導体において前記平板部以外の部分に設けられ前記長手方向から見て、弧状に湾曲している湾曲板部とを含む一対の前記母線用導体を形成する工程と、
前記一対の母線用導体を、前記平板部同士が前記接続導体を挟むとともに、前記湾曲板部の弧状に湾曲している凹部が互いに対向するように配置した状態で固定する工程と、を備える、配電盤の製造方法。
【請求項10】
前記一対の導体用部材を準備する工程は、前記一対の導体用部材が互いに対向する対向方向において、前記長手方向における一方側の端部および他方側の端部が、前記長手方向における一方側の端部および他方側の端部以外の部分よりも小さく形成された前記導体用部材を準備する工程である、請求項9に記載の配電盤の製造方法。
【請求項11】
前記一対の母線用導体を形成する工程の後、かつ、前記一対の母線用導体を互いに対向するように配置した状態で固定する工程の前に、前記一対の母線用導体の各々に対して、前記長手方向において、前記平板部に対応する部分に設けずに、前記湾曲板部の外側に沿うように、前記湾曲板部を囲むように絶縁部材を設ける工程をさらに備える、請求項9または10に記載の配電盤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配電盤、母線および配電盤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配電盤に設けられる母線が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、配電盤に設けられる母線が、複数の母線用導体が接続されることにより構成されることが記載されている。上記特許文献1に記載の母線用導体は、中空のパイプ形状(円筒形状)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-193658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には記載されていないが、上記特許文献1のような従来の母線用導体同士を接続する場合には、母線用導体同士を平板形状の接続導体を介して接続することが一般的である。したがって、上記特許文献1に記載のような従来のパイプ形状の母線用導体同士を接続する場合、たとえば、平板形状の母線用導体同士を接続する場合と異なり、パイプ形状の母線用導体の長手方向における端部を平板形状の接続導体と接続可能にするために平板形状の接続導体を挿入するための切り欠きを形成する等の比較的複雑な加工が必要となる。このため、パイプ形状の母線用導体に対して比較的複雑な加工を行うことなく、母線用導体同士を接続したいという要望がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、パイプ形状の母線用導体に対して比較的複雑な加工を行うことなく、母線用導体同士を接続することが可能な配電盤、母線および配電盤の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による配電盤は、母線と、母線と電気的に接続される遮断器と、を備える配電盤であって、母線は、互いに対向するように配置された一対の母線用導体と、一対の母線用導体同士を接続するための平板形状の接続導体と、を含み、一対の母線用導体の各々は、母線用導体の長手方向における一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方に設けられ、接続導体に接続される接続部分が形成されるとともに、平板形状を有する平板部と、母線用導体において平板部以外の部分に設けられ、長手方向から見て、弧状に湾曲している板状の湾曲板部と、を含み、一対の母線用導体は、平板部同士が接続導体を挟んだ状態で、湾曲板部の弧状に湾曲している凹部が、互いに対向するように配置されている。
【0008】
この発明の第1の局面による配電盤では、上記のように、一対の母線用導体の各々は、湾曲板部の弧状に湾曲している凹部が、互いに対向するように配置されている。これにより、一対の母線用導体の湾曲板部により、パイプ形状の母線用導体を疑似的に形成することができる。また、上記第1の局面による配電盤では、上記のように、一対の母線用導体の各々は、接続導体に接続される接続部分が形成され平板形状を有する平板部同士が接続導体を挟んだ状態で配置されている。これにより、一対の母線用導体と接続導体とを容易に接続することができる。また、上記第1の局面による配電盤では、上記のように、湾曲板部は、平板部以外の部分に設けられ、長手方向から見て、弧状に湾曲している板状である。これにより、たとえば、平板形状の導体用部材を、長手方向の一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方以外の部分をプレス加工により長手方向から見て弧状に湾曲させることにより、平板部と湾曲板部とを含む母線用導体を容易に形成することができる。すなわち、母線用導体に対して比較的複雑な加工を行うことなく、パイプ形状の母線用導体の長手方向における端部を平板形状の接続導体と接続可能にすることができる。これらの結果、パイプ形状の母線用導体に対して比較的複雑な加工を行うことなく、母線用導体同士を接続することができる。なお、パイプ形状の母線用導体を用いた場合、平板形状の母線用導体を用いる場合と比較して、母線用導体において電界集中が生じにくくなることによって母線用導体の絶縁距離を短くすることが可能であるとともに、母線用導体の単位断面積当たりの電流容量が大きくなることによって導体材料を減らすことが可能であることである。
【0009】
上記第1の局面による配電盤において、好ましくは、湾曲板部は、長手方向から見て、略半円形状に湾曲している。このように構成すれば、一対の母線用導体の湾曲板部により疑似的に形成されるパイプ形状の母線用導体を、長手方向から見て、より真円に近付けることができるので、湾曲板部が、長手方向から見て、略半円形状以外の形状に湾曲している場合と比較して、母線用導体において電界集中が生じるのをより抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による配電盤において、好ましくは、湾曲板部は、長手方向から見て、略半円形状を有する湾曲板部の周方向の端部が、丸形形状を有する。このように構成すれば、母線用導体の周方向の端部において電界集中が生じるのを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による配電盤において、好ましくは、湾曲板部は、一対の母線用導体が互いに対向する対向方向から見て、平板部と略同じ幅を有する。このように構成すれば、長手方向および対向方向と直交する幅方向において、母線用導体の長さを略等しくすることができるので、対向方向から見て、湾曲板部の幅と平板部の幅とが略等しくない場合と比較して、幅方向において、配電盤における母線用導体の設置の制約が大きくなるのを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面による配電盤において、好ましくは、一対の母線用導体は、互いに対向する対向方向において、湾曲板部同士の最短の離間間隔が、平板部同士の離間間隔よりも小さくなるように構成されている。このように構成すれば、湾曲板部同士の最短の離間間隔を比較的小さくすることができるので、一対の母線用導体の湾曲板部により、パイプ形状の母線用導体をより精度良く疑似的に形成することができる。
【0013】
上記第1の局面による配電盤において、好ましくは、母線用導体の各々に対して、長手方向において、平板部に対応する位置に設けられず、湾曲板部に対応する位置に、長手方向から見て、湾曲板部の外側に沿うように、湾曲板部を囲むように設けられる絶縁部材をさらに備える。このように構成すれば、長手方向から見て湾曲板部を囲むように設けられた絶縁部材により、湾曲板部と湾曲板部の周囲の部材との絶縁距離を小さくすることができる。また、絶縁部材が、平板部に対応する位置に設けられず、湾曲板部に対応する位置に設けられるので、接続導体に接続される接続部分が形成され平板形状を有する平板部同士が接続導体を挟んだ状態で配置される前に、長手方向の一方側または他方側から絶縁部材に母線用導体を貫通させて湾曲板部を囲む位置に配置することにより、母線用導体の各々に対して、湾曲板部に絶縁部材を容易に取り付けることができる。
【0014】
上記第1の局面による配電盤において、好ましくは、平板部には、一対の母線用導体が互いに対向する対向方向に貫通する第1貫通孔が形成されており、接続導体には、長手方向において第1貫通孔に対応する部分に対向方向に貫通する第2貫通孔が形成されており、一対の母線用導体は、平板部同士が接続導体を挟むとともに、第1貫通孔および第2貫通孔を介して締結部材により締結固定されている。このように構成すれば、一対の母線用導体と接続導体とを確実かつ容易に接続することができる。
【0015】
また、上記目的を達成するために、この発明の第2の局面による母線は、配電盤に設けられる母線であって、互いに対向するように配置された一対の母線用導体と、一対の母線用導体同士を接続するための平板形状の接続導体と、を備え、一対の母線用導体の各々は、母線用導体の長手方向における一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方に設けられ、接続導体に接続される接続部分が形成されるとともに、平板形状を有する平板部と、母線用導体において平板部以外の部分に設けられ、長手方向から見て、弧状に湾曲している板状の湾曲板部と、を含み、一対の母線用導体は、平板部同士が接続導体を挟んだ状態で、湾曲板部の弧状に湾曲している凹部が、互いに対向するように配置されている。
【0016】
この発明の第2の局面による母線では、上記のように、一対の母線用導体の各々は、湾曲板部の弧状に湾曲している凹部が、互いに対向するように配置されている。これにより、一対の母線用導体の湾曲板部により、パイプ形状の母線用導体を疑似的に形成することができる。また、上記第1の局面による配電盤では、上記のように、一対の母線用導体の各々は、接続導体に接続される接続部分が形成され平板形状を有する平板部同士が接続導体を挟んだ状態で配置されている。これにより、一対の母線用導体と接続導体とを容易に接続することができる。また、上記第2の局面による母線では、上記のように、湾曲板部は、平板部以外の部分に設けられ、長手方向から見て、弧状に湾曲している板状である。これにより、たとえば、平板形状の導体用部材を、長手方向の一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方以外の部分をプレス加工により長手方向から見て弧状に湾曲させることにより、平板部と湾曲板部とを含む母線用導体を容易に形成することができる。これらの結果、上記第1の局面による配電盤と同様に、パイプ形状の母線用導体に対して比較的複雑な加工を行うことなく、母線用導体同士を接続することができる。
【0017】
また、上記目的を達成するために、この発明の第3の局面による配電盤の製造方法は、母線と、母線と電気的に接続される遮断器と、を備える配電盤の製造方法であって、母線を構成するための母線用導体に用いられる平板形状を有する一対の導体用部材を準備する工程と、一対の母線用導体同士を接続するための平板形状の接続導体を準備する工程と、一対の導体用部材の各々に対して、導体用部材の長手方向における一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方以外の部分をプレス加工により長手方向から見て弧状に湾曲させることにより、母線用導体の長手方向における一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方に設けられ、平板形状を有する平板部と、母線用導体において平板部以外の部分に設けられ長手方向から見て、弧状に湾曲している湾曲板部とを含む一対の母線用導体を形成する工程と、一対の母線用導体を、平板部同士が接続導体を挟むとともに、湾曲板部の弧状に湾曲している凹部が互いに対向するように配置した状態で固定する工程と、を備える。
【0018】
この発明の第3の局面による配電盤の製造方法では、上記のように、一対の母線用導体の各々を、湾曲板部の弧状に湾曲している凹部が互いに対向するように配置した状態で固定する工程を備える。これにより、一対の母線用導体の湾曲板部により、パイプ形状の母線用導体を疑似的に形成することができる。また、第3の局面による配電盤の製造方法では、上記のように、一対の母線用導体の各々を、接続導体に接続される接続部分が形成され平板形状を有する平板部同士が接続導体を挟んだ状態で固定する工程を備える。これにより、一対の母線用導体と接続導体とを容易に接続することができる。また、上記第3の局面による配電盤の製造方法では、上記のように、一対の導体用部材の各々に対して、導体用部材の長手方向における一方側の端部および他方側の端部の少なくともいずれか一方以外の部分をプレス加工により長手方向から見て弧状に湾曲させることにより、平板部と湾曲板部とを含む一対の母線用導体を形成する工程を備える。これにより、母線用導体に対して比較的複雑な加工を行うことなく、パイプ形状の母線用導体の長手方向における端部を平板形状の接続導体と接続可能にすることができる。これらの結果、パイプ形状の母線用導体に対して比較的複雑な加工を行うことなく、母線用導体同士を接続することが可能な配電盤の製造方法を提供することができる。
【0019】
上記第3の局面による配電盤の製造方法において、好ましくは、一対の導体用部材を準備する工程は、一対の導体用部材が互いに対向する対向方向において、長手方向における一方側の端部および他方側の端部が、長手方向における一方側の端部および他方側の端部以外の部分よりも小さく形成された導体用部材を準備する工程である。このように構成すれば、母線用導体を形成する工程において、湾曲板部が、一対の母線用導体が互いに対向する対向方向から見て、平板部と略同じ幅を有する母線用導体を容易に形成することができる。その結果、長手方向および対向方向と直交する幅方向において、母線用導体の長さを略等しくすることができるので、対向方向から見て、湾曲板部の幅と平板部の幅とが略等しくない場合と比較して、幅方向において、配電盤における母線用導体の設置の制約が大きくなるのを抑制することができる。
【0020】
上記第3の局面による配電盤の製造方法において、好ましくは、一対の母線用導体を形成する工程の後、かつ、一対の母線用導体を互いに対向するように配置した状態で固定する工程の前に、一対の母線用導体の各々に対して、長手方向において、平板部に対応する部分に設けずに、湾曲板部の外側に沿うように、湾曲板部を囲むように絶縁部材を設ける工程をさらに備える。このように構成すれば、長手方向から見て湾曲板部を囲むように設けられた絶縁部材により、湾曲板部の絶縁距離を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、パイプ形状の母線用導体に対して比較的複雑な加工を行うことなく、母線用導体同士を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による配電盤を示した図である。
図2】本発明の一実施形態による配電盤に設けられる母線を示した平面図である。
図3】本発明の一実施形態による配電盤に設けられる母線を示した側面図である。
図4】本発明の一実施形態による母線を構成する母線用導体を示した平面図である。
図5】本発明の一実施形態による母線を構成する母線用導体を示した側面図である。
図6図3の500-500線に沿った断面図である。
図7図3の600-600線に沿った断面図である。
図8】本発明の一実施形態による母線を絶縁するための絶縁部材を示した側面図である。
図9図8の700-700線に沿った断面図である。
図10】本発明の一実施形態による配電盤の製造工程を示すフロー図である。
図11】本発明の一実施形態による母線用導体に用いられる導体用部材を示した平面図である。
図12】本発明の一実施形態による母線用導体に用いられる導体用部材を示した側面図である。
図13】本発明の一実施形態による母線用導体に用いられる導体用部材に湾曲板部を形成した後の状態を示した平面図である。
図14】本発明の一実施形態による母線用導体に用いられる導体用部材に湾曲板部を形成した後の状態を示した側面図である。
図15図14の800-800線に沿った断面図である。
図16】本発明の一実施形態による母線用導体に絶縁チューブを取り付けた状態を示した平面図である。
図17】本発明の一実施形態による母線用導体に絶縁チューブを取り付けた状態を示した側面図である。
図18図17の900-900線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1図9を参照して、本発明の一実施形態による配電盤100の構成について説明する。配電盤100は、電気機器類が金属で閉鎖された筐体11(図1参照)に収納されている配電盤(金属閉鎖型配電盤)である。
【0025】
図1に示すように、配電盤100は、母線12と、遮断器13と、を備えている。母線12は、配電設備において基幹となる電線(導体)である。遮断器13は、母線12と電気的に接続されている。遮断器13は、母線12を含む電力回路で事故が発生した場合や電力回路のメンテナンスを行う場合等に、電力回路における電流を遮断するための機器である。遮断器13は、たとえば、真空遮断器である。
【0026】
図2および図3に示すように、本実施形態では、母線12は、互いに対向するように配置された一対の母線用導体20と、一対の母線用導体20同士を接続するための平板形状の接続導体30と、を含む。具体的には、一対の母線用導体20と、接続導体30と、一対の母線用導体20とが、母線用導体20の長手方向に沿って、この順に接続されている。なお、互いに接続される一対の母線用導体20および接続導体30の個数は、限定されない。
【0027】
なお、以下の説明では、母線用導体20の長手方向、一対の母線用導体20が互いに対向する対向方向、および、母線用導体20の長手方向および対向方向と直交する方向を、それぞれ、X方向、Z方向およびY方向とする。そして、母線用導体20の長手方向における一方側および他方側を、それぞれ、X1側およびX2側とする。また、対向方向における一方側および他方側を、それぞれ、Z1側およびZ2側とする。
【0028】
図4および図5に示すように、本実施形態では、一対の母線用導体20の各々は、母線用導体20のX1側の端部20aおよびX2側の端部20aに設けられ平板形状を有する平板部21と、母線用導体20において平板部21以外の部分に設けられている板状の湾曲板部22と、を含む。具体的には、一対の母線用導体20の各々は、X方向における端部20aが平板部21として構成されるとともに、平板部21以外の部分が湾曲板部22として構成されている。
【0029】
なお、以下の説明では、図4および図5のように、母線用導体20の各々について説明する場合、母線用導体20の長手方向、一対の母線用導体20が互いに対向する対向方向、および、母線用導体20の長手方向および対向方向と直交する方向を、それぞれ、E方向、G方向およびF方向とする。そして、母線用導体20の長手方向における一方側および他方側を、それぞれ、E1側およびE2側とする。また、対向方向における一方側および他方側を、それぞれ、G1側およびG2側とする。すなわち、E方向、F方向およびG方向は、それぞれ、X方向、Y方向およびZ方向と対応する。
【0030】
本実施形態では、平板部21には、接続導体30(図2および図3参照)に接続される接続部分21aが形成されている。具体的には、接続部分21aには、G方向に貫通する平板部貫通孔21bが形成されている。平板部貫通孔21bは、E方向を長径とする長穴形状を有する。また、図6に示すように、接続導体30には、Z方向に貫通する接続導体貫通孔30aが形成されている。図3に示すように、接続導体貫通孔30aは、E方向において平板部貫通孔21bに対応する部分に形成されている。すなわち、接続導体貫通孔30aは、接続導体30のX1側の端部30bおよびX2側の端部30bに形成されている。そして、一対の母線用導体20は、平板部21同士が接続導体30を挟むとともに、平板部貫通孔21bおよび接続導体貫通孔30aを介して締結部材40により締結固定されている。締結部材40は、たとえば、ボルトおよびナットである。なお、平板部貫通孔21bおよび接続導体貫通孔30aは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1貫通孔」および「第2貫通孔」の一例である。
【0031】
図7に示すように、本実施形態では、湾曲板部22は、X方向から見て、弧状に湾曲している。そして、図3に示すように、一対の母線用導体20は、平板部21同士が接続導体30を挟んだ状態で、湾曲板部22の弧状に湾曲している凹部22a(図7参照)が、互いに対向するように配置されている。
【0032】
詳細には、図7に示すように、湾曲板部22は、X方向から見て、略半円形状に湾曲している。そして、湾曲板部22の略半円形状に湾曲している凹部22aが、互いに対向するように配置されている。これにより、一対の母線用導体20の湾曲板部22により、パイプ形状(円筒形状)の母線用導体20が疑似的に形成されている。
【0033】
図4および図5に示すように、本実施形態では、湾曲板部22は、G方向から見て、平板部21と略同じ幅W1を有する。すなわち、湾曲板部22と平板部21とから構成される母線用導体20は、Z方向から見て、E方向の全体に渡って、幅W1を有する。なお、図2に示すように、接続導体30は、Z方向から見て、幅W2を有する矩形形状である。幅W2は、幅W1と略等しい。
【0034】
なお、配電盤100では、母線用導体20の各々は、母線用導体20の殆どの角部が丸形形状を有する。たとえば、図4に示すように、母線用導体20は、G方向から見て、四隅の角部20bが、丸型形状を有する。また、図5に示すように、母線用導体20は、F方向から見て、平板部21のE1側の端部21cおよびE2側の端部21cにおいて、端部21cのG1側の角部およびG2側の角部が、丸型形状を有する。また、図7に示すように、本実施形態では、湾曲板部22は、X方向から見て、略半円形状を有する湾曲板部22の周方向(R方向)の端部22bの角部22cが、丸形形状を有する。
【0035】
図3に示すように、本実施形態では、一対の母線用導体20は、Z方向において、湾曲板部22同士の最短の離間間隔D1が、平板部21同士の離間間隔D2よりも小さくなるように構成されている。具体的には、図6に示すように、接続導体30は、Z方向における厚みD2を有する。すなわち、一対の母線用導体20を、平板部21同士が接続導体30を挟むように対向させた状態では、平板部21同士が、離間間隔D2だけ離間する。また、図5に示すように、湾曲板部22は、F方向から見て、G2側の端部22dが、平板部21のG2側の端部21dよりもG2側に位置するように湾曲している。これにより、図7に示すように、湾曲板部22の周方向(R方向)の端部22b同士が、離間間隔D2よりも小さい離間間隔D1だけ離間している。
【0036】
図8に示すように、配電盤100は、母線12を絶縁するための絶縁部材50を備えている。絶縁部材50は、たとえば、ポリオレフィン等の合成樹脂である。絶縁部材50は、母線用導体20の絶縁に用いられる絶縁チューブ51と、導体接続部分20cの絶縁に用いられる絶縁カバー52と、を含む。ここで、導体接続部分20cとは、一対の母線用導体20と接続導体30と一対の母線用導体20とが接続される部分を意味する。なお、絶縁チューブ51は、特許請求の範囲の「絶縁部材」の一例である。
【0037】
絶縁チューブ51は、熱収縮性を有するチューブ状の絶縁部材である。本実施形態では、絶縁チューブ51は、母線用導体20の各々に対して設けられている。絶縁チューブ51は、X方向において、平板部21に対応する位置P1に設けられず、湾曲板部22に対応する位置P2に設けられている。図9に示すように、絶縁チューブ51は、X方向から見て、湾曲板部22の外側に沿うように、湾曲板部22を囲むように設けられている。絶縁チューブ51のうちの湾曲板部22の外側に沿っている部分は、湾曲板部22の湾曲する部分に密着している。
【0038】
図8に示すように、絶縁カバー52は、導体接続部分20cを覆うように設けられている。具体的には、絶縁カバー52は、母線用導体20の平板部21と、接続導体30と、締結部材40と、母線用導体20の湾曲板部22を覆う絶縁チューブ51の端部51aと、を覆うように設けられている。絶縁カバー52は、取付けおよび取外しが可能なカバーである。
【0039】
(配電盤の製造方法)
次に、図3図5図8および図10図18を参照して、配電盤100の製造方法について説明する。なお、図10には、配電盤100の製造工程に関するフロー図を示している。
【0040】
まず、ステップS1において、母線用導体20に用いられる平板形状を有する一対の導体用部材60を複数(少なくとも二対)準備する。本実施形態では、G方向において、E1側の端部60aおよびE2側の端部60aが、E1側の端部60aおよびE2側の端部60a以外の湾曲板部用部分62よりも小さく形成された導体用部材60を準備する。具体的には、図11および図12に示すように、一対の導体用部材60の各々は、E1側の端部60aおよびE2側の端部60aである平板部用部分61と、導体用部材60において平板部用部分61以外の部分である湾曲板部用部分62と、から構成されている。そして、湾曲板部用部分62は、G方向から見て、F方向において、幅W3を有する。幅W3は、平板部用部分61のF方向における幅W2よりも大きい。なお、湾曲板部用部分62は、平板部用部分61側の端部62aにおいて、F方向における幅が徐々に小さくなっている。なお、湾曲板部用部分62は、特許請求の範囲の「(導体用部材の長手方向における一方側の端部および他方側の端部以外の)部分」の一例である。
【0041】
次に、ステップS2において、一対の母線用導体20同士を接続するための平板形状の接続導体30(図3参照)を準備する。なお、ステップS2では、一対の導体用部材60の個数に応じた個数の接続導体30が準備される。
【0042】
次に、ステップS3において、母線用導体20と接続導体30とを締結固定するための締結部材40(図3参照)を準備する。
【0043】
次に、ステップS4において、母線用導体20を絶縁するための絶縁チューブ51(図8参照)を準備する。
【0044】
次に、ステップS5において、導体接続部分20c(一対の母線用導体20と接続導体30と一対の母線用導体20とが接続される部分)を絶縁するための絶縁カバー52(図8参照)を準備する。
【0045】
次に、ステップS6において、導体用部材60の一部をプレス加工することにより平板部21と湾曲板部22とを含む母線用導体20を形成する。詳細には、図13図15に示すように、一対の導体用部材60の各々に対して、湾曲板部用部分62をプレス加工によりE方向から見て弧状に湾曲させる。すなわち、図4および図5に示すように、平板部21と、湾曲板部22とを含む一対の母線用導体20を形成する。なお、図4および図5では、湾曲板部用部分62をプレス加工した後に、平板部21に平板部貫通孔21bを形成した状態を示している。
【0046】
次に、ステップS7において、一対の導体用部材60の各々に対して、湾曲板部22に絶縁チューブ51を取り付ける。詳細には、図16図18に示すように、一対の母線用導体20の各々に対して、E方向において、平板部21に対応する部分に設けずに、湾曲板部22の外側に沿うように、湾曲板部22を囲むように絶縁チューブ51を設ける。絶縁チューブ51は、上述したように、熱収縮性を有する。そして、絶縁チューブ51が、湾曲板部22を囲むように配置された後に、絶縁チューブ51が加熱される。これにより、絶縁チューブ51が収縮することにより、絶縁チューブ51が湾曲板部22に密着する。なお、図16図18では、絶縁チューブ51の熱収縮後の状態を示している。
【0047】
次に、ステップS8において、図3に示すように、一対の母線用導体20を、平板部21同士が接続導体30を挟むとともに、湾曲板部22の凹部22aが互いに対向するように配置する。
【0048】
次に、ステップS9において、図3に示すように、平板部21に形成された接続部分21aにより、締結部材40を介して、一対の母線用導体20と接続導体30とを固定する。すなわち、一対の母線用導体20を、前記平板部21同士が前記接続導体30を挟むとともに、前記湾曲板部22の弧状に湾曲している凹部22aが互いに対向するように配置した状態で固定する。
【0049】
次に、ステップS10において、図8に示すように、導体接続部分20c(一対の母線用導体20と接続導体30と一対の母線用導体20とが接続される部分)に、絶縁カバー52を取り付ける。
【0050】
なお、上記のフローにおいて、配電盤100の製造に用いられる部材を準備する工程(ステップS1~ステップS5)の順序は、互いに変更可能である。すなわち、ステップS2(接続導体30を準備する工程)は、ステップS8(一対の母線用導体20を、平板部21同士が接続導体30を挟むとともに、…ように配置する工程)よりも前であれば、いずれのタイミングでもよい。また、ステップS3(締結部材40を準備する工程)は、ステップS9(締結部材40を介して、一対の母線用導体20と接続導体30とを固定する工程)よりも前であれば、いずれのタイミングでもよい。また、ステップS4(絶縁チューブ51を準備する工程)は、ステップS7(湾曲板部22に絶縁チューブ51を取り付ける工程)よりも前であれば、いずれのタイミングでもよい。また、ステップS5の絶縁カバー52を準備する工程は、ステップS10(母線用導体20の平板部21と、接続導体30とに対応する部分に、絶縁カバー52を取り付ける工程)よりも前であれば、いずれのタイミングでもよい。
【0051】
[実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0052】
(実施形態の装置の効果)
本実施形態では、上記のように、一対の母線用導体20の各々は、湾曲板部22の弧状に湾曲している凹部22aが、互いに対向するように配置されている。これにより、一対の母線用導体20の湾曲板部22により、パイプ形状の母線用導体20を疑似的に形成することができる。また、上記のように、一対の母線用導体20の各々は、接続導体30に接続される接続部分21aが形成され平板形状を有する平板部21同士が接続導体30を挟んだ状態で配置されている。これにより、一対の母線用導体20と接続導体30とを容易に接続することができる。また、上記のように、湾曲板部22は、平板部21以外の部分に設けられ、長手方向から見て、弧状に湾曲している板状である。これにより、平板形状の導体用部材60を、長手方向(E方向)の一方側(E1側)の端部60aおよび他方側(E2側)の端部60a以外の部分をプレス加工により長手方向(E方向)から見て弧状に湾曲させることにより、平板部21と湾曲板部22とを含む母線用導体20を容易に形成することができる。すなわち、母線用導体20に対して比較的複雑な加工を行うことなく、パイプ形状の母線用導体20の長手方向(X方向)における端部20aを平板形状の接続導体30と接続可能にすることができる。これらの結果、パイプ形状の母線用導体20に対して、比較的複雑な加工を行うことなく、母線用導体20同士を接続することができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、湾曲板部22は、長手方向(X方向)から見て、略半円形状に湾曲している。これにより、一対の母線用導体20の湾曲板部22により疑似的に形成されるパイプ形状の母線用導体20を、長手方向(X方向)から見て、より真円に近付けることができるので、湾曲板部22が、長手方向(X方向)から見て、略半円形状以外の形状に湾曲している場合と比較して、母線用導体20において電界集中が生じるのをより抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、湾曲板部22は、長手方向(X方向)から見て、略半円形状を有する湾曲板部22の周方向(C方向)の端部22bの角部22cが、丸形形状を有する。これにより、母線用導体20の周方向(C方向)の端部22bにおいて電界集中が生じるのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、湾曲板部22は、一対の母線用導体20が互いに対向する対向方向(Y方向)から見て、平板部21と略同じ幅W1を有する。これにより、長手方向(X方向)および対向方向(Z方向)と直交する幅方向(Y方向)において、母線用導体20の長さを略等しくすることができるので、対向方向(Z方向)から見て、湾曲板部22の幅W1と平板部21の幅W1とが略等しくない場合と比較して、幅方向(Y方向)において、配電盤100における母線用導体20の設置の制約が大きくなるのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、一対の母線用導体20は、互いに対向する対向方向(Z方向)において、湾曲板部22同士の最短の離間間隔D1が、平板部21同士の離間間隔D2よりも小さくなるように構成されている。これにより、湾曲板部22同士の最短の離間間隔D1を比較的小さくすることができるので、一対の母線用導体20の湾曲板部22により、パイプ形状の母線用導体20をより精度良く疑似的に形成することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、配電盤100は、母線用導体20の各々に対して、長手方向(X方向)において、平板部21に対応する位置P1に設けられず、湾曲板部22に対応する位置P2に、長手方向(X方向)から見て、湾曲板部22の湾曲する部分の外側に沿うように、湾曲板部22を囲むように設けられる絶縁チューブ51を備える。これにより、長手方向(X方向)から見て湾曲板部22を囲むように設けられた絶縁チューブ51により、湾曲板部22と湾曲板部22の周囲の部材との絶縁距離を小さくすることができる。また、絶縁部材50が、平板部21に対応する位置P1に設けられず、湾曲板部22に対応する位置P2に設けられるので、接続導体30に接続される接続部分21aが形成され平板形状を有する平板部21同士が接続導体30を挟んだ状態で配置される前に、長手方向(X方向)の一方側(X1側)または他方側(X2側)から絶縁チューブ51に母線用導体20を貫通させて湾曲板部22を囲む位置に配置することにより、母線用導体20の各々に対して、湾曲板部22に絶縁チューブ51を容易に取り付けることができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、平板部21には、一対の母線用導体20が互いに対向する対向方向(Z方向)に貫通する平板部貫通孔21bが形成されており、接続導体30には、長手方向(X方向)において平板部貫通孔21bに対応する部分に対向方向(Z方向)に貫通する接続導体貫通孔30aが形成されており、一対の母線用導体20は、平板部21同士が接続導体30を挟むとともに、平板部貫通孔21bおよび接続導体貫通孔30aを介して締結部材40により締結固定されている。これにより、一対の母線用導体20と接続導体30とを確実かつ容易に接続することができる。
【0059】
(実施形態の製造方法の効果)
本実施形態では、上記のように、配電盤100の製造方法は、一対の母線用導体20の各々を、湾曲板部22の弧状に湾曲している凹部22aが互いに対向するように配置した状態で固定する工程(S9)を備える。これにより、一対の母線用導体20の湾曲板部22により、パイプ形状の母線用導体20を疑似的に形成することができる。また、上記のように、配電盤100の製造方法は、一対の母線用導体20の各々を、接続導体30に接続される接続部分21aが形成され平板形状を有する平板部21同士が接続導体30を挟んだ状態で固定する工程(S9)を備える。これにより、一対の母線用導体20と接続導体30とを容易に接続することができる。また、配電盤100の製造方法は、上記のように、一対の導体用部材60の各々に対して、導体用部材60の長手方向(E方向)における一方側(E1側)の端部60aおよび他方側(E2側)の端部60a以外の湾曲板部用部分62をプレス加工により長手方向(E方向)から見て弧状に湾曲させることにより、平板部21と湾曲板部22とを含む一対の母線用導体20を形成する工程(S6)を備える。これにより、母線用導体20に対して比較的複雑な加工を行うことなく、パイプ形状の母線用導体20の長手方向(X方向)における端部20aを平板形状の接続導体と接続可能にすることができる。これらの結果、パイプ形状の母線用導体20に対して、比較的複雑な加工を行うことなく、母線用導体20同士を接続することが可能な配電盤100の製造方法を提供することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、一対の導体用部材60を準備する工程(S1)は、一対の導体用部材60が互いに対向する対向方向(G方向)において、長手方向(E方向)における一方側(E1側)の端部60aおよび他方側(E2側)の端部60aが、長手方向(E方向)における一方側(E1側)の端部60aおよび他方側(E2側)の端部60a以外の部分よりも小さく形成された導体用部材60を準備する工程である。これにより、母線用導体20を形成する工程(S6)において、湾曲板部22が、一対の母線用導体20が互いに対向する対向方向(Z方向)から見て、平板部21と略同じ幅W1を有する母線用導体20を容易に形成することができる。その結果、長手方向(X方向)および対向方向(Z方向)と直交する幅方向(Y方向)において、母線用導体20の長さを略等しくすることができるので、対向方向(Z方向)から見て、湾曲板部22の幅W1と平板部21の幅W1とが略等しくない場合と比較して、幅方向(Y方向)において、配電盤100における母線用導体20の設置の制約が大きくなるのを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、配電盤100の製造方法は、一対の母線用導体20を形成する工程(S6)の後、かつ、一対の母線用導体20を互いに対向するように配置した状態で固定する工程(S9)の前に、一対の母線用導体20の各々に対して、長手方向(X方向)において、平板部21に対応する位置P1に設けずに、湾曲板部22の外側に沿うように、湾曲板部22を囲むように絶縁部材50を設ける工程(S7)を備える。これにより、長手方向(X方向)から見て湾曲板部22を囲むように設けられた絶縁部材50により、湾曲板部22の絶縁距離を小さくすることができる。
【0062】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0063】
たとえば、上記実施形態では、一対の母線用導体20は、平板部21同士が接続導体30を挟むとともに、平板部貫通孔21b(第1貫通孔)および接続導体貫通孔30a(第2貫通孔)を介して締結部材40により締結固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一対の母線用導体は、平板部同士が接続導体を挟むとともに、締結部材による締結固定以外の方法(たとえば、溶接等)によって固定されていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、配電盤100は、母線用導体20の各々に対して、長手方向(X方向)において、平板部21に対応する位置P1に設けられず、湾曲板部22に対応する位置P2に、長手方向(X方向)から見て、湾曲板部22の外側に沿うように、湾曲板部22を囲むように設けられる絶縁チューブ51(絶縁部材)を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、配電盤は、母線用導体の各々に対して、長手方向から見て、湾曲板部の外側に沿うように、湾曲板部を囲むように設けられる絶縁部材を備えないように構成してもよい。すなわち、上記配電盤の製造方法において、長手方向から見て、湾曲板部の外側に沿うように、湾曲板部を囲むように設けられる絶縁部材を配置する工程が省略されてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、一対の母線用導体20は、一対の母線用導体20が互いに対向する対向方向(Z方向)において、湾曲板部22同士の最短の離間間隔D1が、平板部21同士の離間間隔D2よりも小さくなるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一対の母線用導体は、一対の母線用導体が互いに対向する対向方向において、湾曲板部同士の最短の離間間隔が、平板部同士の離間間隔と略等しい大きさとなるように構成されてもよいし、平板部同士の離間間隔よりも大きくなるように構成されてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、湾曲板部22は、一対の母線用導体20が互いに対向する対向方向(Z方向)から見て、平板部21と略同じ幅W1を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、湾曲板部は、一対の母線用導体が互いに対向する対向方向から見て、平板部と異なる幅を有してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、湾曲板部22は、長手方向(X方向)から見て、略半円形状を有する湾曲板部22の周方向(C方向)の端部22bの角部22cが、丸形形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、湾曲板部は、長手方向から見て、略半円形状を有する湾曲板部の周方向の端部の角部が、角形形状を有してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、湾曲板部22は、長手方向(X方向)から見て、略半円形状に湾曲している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、湾曲板部は、長手方向から見て、略半円形状以外の形状(たとえば、U字形状、半楕円形状、等)に湾曲していてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、一対の母線用導体の各々は、平板部21が、母線用導体20の長手方向(X方向)における一方側(X1側)の端部20aおよび他方側(X2側)の端部20aの両方に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一対の母線用導体のうち、平板部が、母線用導体の長手方向における一方側の端部または他方側の端部のいずれか一方のみに設けられる母線用導体を含むように構成してもよい。すなわち、上記配電盤の製造方法の母線用導体を形成する工程において、複数の導体用部材のうちの一部に対して、導体用部材の長手方向における一方側の端部または他方側の端部のいずれか一方のみ以外の部分をプレス加工により長手方向から見て弧状に湾曲させてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、一対の導体用部材60を準備する工程(S1)において、一対の導体用部材60が互いに対向する対向方向(G方向)において、長手方向(E方向)における一方側(E1側)の端部60aおよび他方側(E2側)の端部60aが、長手方向(E方向)における一方側(E1側)の端部60aおよび他方側(E2側)の端部60a以外の部分よりも小さく形成された導体用部材60を準備する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一対の導体用部材を準備する工程において、一対の導体用部材が互いに対向する対向方向において、長手方向における一方側の端部および他方側の端部が、長手方向における一方側の端部および他方側の端部以外の部分と略等しい大きさの導体用部材を準備してもよいし、長手方向における一方側の端部および他方側の端部以外の部分よりも大きく形成された導体用部材を準備してもよい。
【符号の説明】
【0071】
12 母線
13 遮断器
20 母線用導体
20a (母線用導体の)長手方向における一方側の端部および他方側の端部
21 平板部
21a 接続部分
21b 平板部貫通孔(第1貫通孔)
22 湾曲板部
22a (湾曲板部の弧状に湾曲している)凹部
22b (湾曲板部の)周方向の端部
30 接続導体
30a 接続導体貫通孔(第2貫通孔)
40 締結部材
51 絶縁チューブ(絶縁部材)
60 導体用部材
60a (導体用部材の)長手方向における一方側の端部および他方側の端部
100 配電盤
D1 (対向方向における湾曲板部同士の)最短の離間間隔
D2 (平板部同士の)離間間隔
P1 長手方向における平板部に対応する位置
P2 長手方向における湾曲板部に対応する位置
W1 (湾曲板部の対向方向から見た)幅、(平板部の対向方向から見た)幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18