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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20231114BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20231114BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20231114BHJP
【FI】
H01B7/00 301
H02G3/04 068
B60R16/02 620S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020058861
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158024
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩間 卓司
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑治
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-095530(JP,A)
【文献】特開2018-024419(JP,A)
【文献】国際公開第2016/181818(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電路と、
前記第1導電路とは異なる第2導電路と、
前記第1導電路及び前記第2導電路を覆う外装部材と
を備え、
前記第1導電路は、導電性を有する筒状の第1筒状導体を有し、
前記第2導電路は、導電性を有する筒状の第2筒状導体を有し、
前記第1筒状導体の厚さは、前記第2筒状導体の厚さと異なり、
前記第1筒状導体の外径は、前記第2筒状導体の外径と等しいワイヤハーネス。
【請求項2】
前記第1導電路は、導電性を有し前記第1筒状導体の端部に電気的に接続された第1柔軟導体を更に有し、
前記第2導電路は、導電性を有し前記第2筒状導体の端部に電気的に接続された第2柔軟導体を更に有し、
前記第1柔軟導体は、前記第1筒状導体よりも柔軟性に優れており、
前記第2柔軟導体は、前記第2筒状導体よりも柔軟性に優れている請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記第1筒状導体と前記第1柔軟導体とは、前記外装部材によって一括して覆われ、
前記第2筒状導体と前記第2柔軟導体とは、前記外装部材によって一括して覆われている請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記外装部材は、前記第1筒状導体及び前記第2筒状導体よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブであり、
前記第1筒状導体の外周面と前記コルゲートチューブの内周面との間には、前記コルゲートチューブの軸方向と直交する方向における前記コルゲートチューブと前記第1筒状導体との相対移動を許容する隙間があり、
前記第2筒状導体の外周面と前記コルゲートチューブの内周面との間には、前記コルゲートチューブの軸方向と直交する方向における前記コルゲートチューブと前記第2筒状導体との相対移動を許容する隙間があり、
前記コルゲートチューブを保持し車両に固定される固定部材を備えている請求項1から請求項3の何れか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記外装部材は、前記第1導電路を覆う第1外装部材と、前記第1外装部材とは別体で設けられ前記第2導電路を覆う第2外装部材とを含む請求項1から請求項4の何れか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記外装部材は、前記第1導電路と前記第2導電路とを一括して覆っている請求項1から請求項4の何れか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記第1筒状導体は、前記第1筒状導体の端部に、平坦な第1接続面を備えた第1接続部を有し、
前記第2筒状導体は、前記第2筒状導体の端部に、平坦な第2接続面を備えた第2接続部を有し、
前記第1接続部は、前記第1接続面と交差する方向に前記第1接続部を貫通する第1接続孔を有し、
前記第2接続部は、前記第2接続面と交差する方向に前記第2接続部を貫通する第2接続孔を有する請求項1から請求項5の何れか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記第1接続孔は、前記第1筒状導体の延びる方向に長い長孔であり、
前記第2接続孔は、前記第2筒状導体の延びる方向に長い長孔である請求項7に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるワイヤハーネスには、例えば特許文献1に記載されているように、形状を保持可能な筒状の筒状導体を含む導電路を備えたものがある。導電路は、車両に搭載される電気機器同士を電気的に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/171204号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなワイヤハーネスは、それぞれ筒状導体を含む複数の導電路を備える場合がある。このようなワイヤハーネスにおいて、各導電路に通電される電流の電流値が異なる場合には、各導電路に通電される電流の電流値に応じて、筒状導体の横断面積を確保することになる。例えば、各筒状導体の厚さを一定とする一方で、筒状導体の外径を変化させると、各筒状導体において通電される電流の電流値に応じた横断面積を容易に確保することができる。
【0005】
ところで、一般的に、柔軟性に乏しい筒状導体がワイヤハーネスに用いられる場合、筒状導体は、予めパイプベンダー(パイプ曲げ加工装置)にて曲げ加工が施されることにより、配策経路に合わせた形状とされる。パイプベンダーでは、曲げ加工を施す筒状導体の外径に応じた金型が使用される。従って、外径の異なる複数の筒状導体に曲げ加工を施すためには、筒状導体の外径に応じて、パイプベンダーの金型を切り替えることになるため、ワイヤハーネスの製造性が低下するという問題が生じる。
【0006】
本開示の目的は、製造性を向上できるワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のワイヤハーネスは、第1導電路と、前記第1導電路とは異なる第2導電路と、前記第1導電路及び前記第2導電路を覆う外装部材とを備え、前記第1導電路は、導電性を有する筒状の第1筒状導体を有し、前記第2導電路は、導電性を有する筒状の第2筒状導体を有し、前記第1筒状導体の厚さは、前記第2筒状導体の厚さと異なるワイヤハーネスである。
【発明の効果】
【0008】
本開示のワイヤハーネスによれば、製造性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態におけるワイヤハーネスが車両に配策された状態を示す模式図である。
図2図2は、一実施形態におけるワイヤハーネスを示す模式図である。
図3図3は、一実施形態における導電路の一部を示す斜視図である。
図4図4は、一実施形態におけるワイヤハーネスの端面図である。
図5図5は、一実施形態における導電路の端部を示す断面図である。
図6図6は、一実施形態における導電路の端部を示す断面図である。
図7図7は、変更例における筒状導体の端部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]第1導電路と、前記第1導電路とは異なる第2導電路と、前記第1導電路及び前記第2導電路を覆う外装部材とを備え、前記第1導電路は、導電性を有する筒状の第1筒状導体を有し、前記第2導電路は、導電性を有する筒状の第2筒状導体を有し、前記第1筒状導体の厚さは、前記第2筒状導体の厚さと異なるワイヤハーネスである。
【0011】
この構成によれば、第1筒状導体及び第2筒状導体の各々において通電される電流の電流値に応じた横断面積を確保しつつ、第1筒状導体の外径と第2筒状導体の外径とを、等しい大きさ、もしくは、パイプベンダーで同じ金型を使用できる程度に近い大きさとすることが可能である。すると、パイプベンダーの金型を切り替えなくとも、第1筒状導体及び第2筒状導体に曲げ加工を施すことができる。その結果、ワイヤハーネスの製造性を向上できる。
【0012】
[2]前記第1導電路は、導電性を有し前記第1筒状導体の端部に電気的に接続された第1柔軟導体を更に有し、前記第2導電路は、導電性を有し前記第2筒状導体の端部に電気的に接続された第2柔軟導体を更に有し、前記第1柔軟導体は、前記第1筒状導体よりも柔軟性に優れており、前記第2柔軟導体は、前記第2筒状導体よりも柔軟性に優れていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、車両が振動した場合、第1柔軟導体の両側に接続された部品同士の当該振動に起因する位置ずれを、第1柔軟導体において吸収できる。同様に、第2柔軟導体の両側に接続された部品同士の当該振動に起因する位置ずれを、第2柔軟導体において吸収できる。
【0014】
[3]前記第1筒状導体と前記第1柔軟導体とは、前記外装部材によって一括して覆われ、前記第2筒状導体と前記第2柔軟導体とは、前記外装部材によって一括して覆われていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、第1筒状導体と第1柔軟導体とを覆う外装部材が共通化されるため、第1筒状導体を覆う外装部材と第1柔軟導体を覆う外装部材とを個別に設ける場合に比べて部品点数が低減される。また、外装部材において第1筒状導体を覆う部分と第1柔軟導体を覆う部分との間の継ぎ目をなくすことができるため、外装部材の内部に水等の液体が浸入することを抑制できる。その結果、第1筒状導体と第1柔軟導体との電気的な接続部分に液体が付着することを抑制できる。更に、当該継ぎ目に設けるグロメット等の防水部材を配置しなくてもよい。
【0016】
同様に、第2筒状導体と第2柔軟導体とを覆う外装部材が共通化されるため、第2筒状導体を覆う外装部材と第2柔軟導体を覆う外装部材とを個別に設ける場合に比べて部品点数が低減される。また、外装部材において第2筒状導体を覆う部分と第2柔軟導体を覆う部分との間の継ぎ目をなくすことができるため、外装部材の内部に水等の液体が浸入することを抑制できる。その結果、第2筒状導体と第2柔軟導体との電気的な接続部分に液体が付着することを抑制できる。更に、当該継ぎ目に設けるグロメット等の防水部材を配置しなくてもよい。
【0017】
[4]前記外装部材は、前記第1筒状導体及び前記第2筒状導体よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブであり、前記第1筒状導体の外周面と前記コルゲートチューブの内周面との間には、前記コルゲートチューブの軸方向と直交する方向における前記コルゲートチューブと前記第1筒状導体との相対移動を許容する隙間があり、前記第2筒状導体の外周面と前記コルゲートチューブの内周面との間には、前記コルゲートチューブの軸方向と直交する方向における前記コルゲートチューブと前記第2筒状導体との相対移動を許容する隙間があり、前記コルゲートチューブを保持し車両に固定される固定部材を備えていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1筒状導体の外周面とコルゲートチューブの内周面との間の隙間の範囲内で、第1筒状導体は、当該コルゲートチューブに対して当該コルゲートチューブの軸方向と直交する方向に相対移動可能である。そして、第1筒状導体は、当該コルゲートチューブが固定部材によって車両に固定されることにより、当該車両に固定される。そのため、第1筒状導体よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブが変形することにより、第1筒状導体を車両に対して移動させなくとも、車両と第1筒状導体との間の寸法公差を吸収できる。
【0019】
同様に、第2筒状導体の外周面とコルゲートチューブの内周面との間の隙間の範囲内で、第2筒状導体は、当該コルゲートチューブに対して当該コルゲートチューブの軸方向と直交する方向に相対移動可能である。そして、第2筒状導体は、当該コルゲートチューブが固定部材によって車両に固定されることにより、当該車両に固定される。そのため、第2筒状導体よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブが変形することにより、第2筒状導体を車両に対して移動させなくとも、車両と第2筒状導体との間の寸法公差を吸収できる。
【0020】
[5]前記外装部材は、前記第1導電路を覆う第1外装部材と、前記第1外装部材とは別体で設けられ前記第2導電路を覆う第2外装部材とを含むことが好ましい。
この構成によれば、第1導電路と第2導電路とを一括して1つの外装部材で覆う場合に比べて、ワイヤハーネスを小型化できる。
【0021】
[6]前記外装部材は、前記第1導電路と前記第2導電路とを一括して覆っていることが好ましい。
この構成によれば、第1導電路を覆う外装部材と第2導電路を覆う外装部材とを個別に設ける場合に比べて、部品点数が低減される。また、1つの外装部材の中に第1導電路と第2導電路とが収容されるため、ワイヤハーネスの取り扱いが容易になる。従って、ワイヤハーネスの車両への固定を行いやすくなる。
【0022】
[7]前記第1筒状導体は、前記第1筒状導体の端部に、平坦な第1接続面を備えた第1接続部を有し、前記第2筒状導体は、前記第2筒状導体の端部に、平坦な第2接続面を備えた第2接続部を有し、前記第1接続部は、前記第1接続面と交差する方向に前記第1接続部を貫通する第1接続孔を有し、前記第2接続部は、前記第2接続面と交差する方向に前記第2接続部を貫通する第2接続孔を有することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、ボルト等を用いることにより、車両に搭載された電気機器が備える端子等の接続部材に第1接続部を直接接続できる。そのため、第1筒状導体の端部に、電気機器の接続部材に接続される接続端子を別途接続しなくてもよい。従って、第1導電路を構成する部品の数を低減できる。同様に、ボルト等を用いることにより、車両に搭載された電気機器が備える端子等の接続部材に第2接続部を直接接続できる。そのため、第2筒状導体の端部に、電気機器の接続部材に接続される接続端子を別途接続しなくてもよい。従って、第2導電路を構成する部品の数を低減できる。
【0024】
[8]前記第1接続孔は、前記第1筒状導体の延びる方向に長い長孔であり、前記第2接続孔は、前記第2筒状導体の延びる方向に長い長孔であることが好ましい。
この構成によれば、第1筒状導体の延びる方向における、電気機器の接続部材と第1導電路との間の寸法公差を、第1接続孔において吸収できる。同様に、第2筒状導体の延びる方向における、電気機器の接続部材と第2導電路との間の寸法公差を、第2接続孔において吸収できる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
以下、ワイヤハーネスの一実施形態について説明する。なお、各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、図面において、構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0027】
(ワイヤハーネス20の全体構成)
図1に示すように、ワイヤハーネス20は、自動車等の車両10に搭載された電気機器11同士を電気的に接続する。図1には、車両に搭載される複数の電気機器11のうち4つの電気機器11のみを図示している。ワイヤハーネス20は、同ワイヤハーネス20を配策するためのスペースの形状に応じて、屈曲されながら配策されている。また、本実施形態のワイヤハーネス20は、大部分が車両10の床下に配策される。ワイヤハーネス20は、例えば12ボルト程度の電圧を供給可能な低圧バッテリから電流が供給される低圧ハーネスとして使用可能であるとともに、低圧バッテリよりも高い百ボルト以上の電圧を供給可能な高圧バッテリから電流が供給される高圧ハーネスとしても使用可能である。
【0028】
図1及び図2に示すように、ワイヤハーネス20は、第1導電路21と、第1導電路21とは異なる第2導電路22と、第1導電路21及び第2導電路22を覆う外装部材23とを備えている。
【0029】
第1導電路21は、電気機器11のうち、車両10における前方寄りの場所に配置された電気機器12と、電気機器12よりも車両10の後方側に配置された電気機器13とを電気的に接続する。第2導電路22は、電気機器11のうち、車両10における前方寄りの場所に配置された電気機器14と、電気機器12よりも車両10の後方側に配置された電気機器15とを電気的に接続する。
【0030】
(第1導電路21の構成)
図3に示すように、第1導電路21は、導電性を有する筒状の第1筒状導体31を有する。第1筒状導体31は、内部が中空構造をなす筒状導体である。第1筒状導体31は、形状を保持可能である。第1筒状導体31の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。なお、図2では、第1筒状導体31を簡略化して破線で図示している。
【0031】
図4に示すように、第1筒状導体31の長さ方向、即ち第1筒状導体31の延びる方向であって第1筒状導体31の軸方向に垂直な平面によって第1筒状導体31を切断した断面形状(つまり、横断面形状)は、任意の形状にすることができる。なお、図4は、図3における4-4端面図である。本実施形態では、第1筒状導体31の横断面形状は、円環状をなしている。即ち、本実施形態の第1筒状導体31は、円筒状をなしている。また、本実施形態の第1筒状導体31は、同第1筒状導体31の両端部を除いて、横断面形状が一定である。このため、第1筒状導体31の両端部を除いて、第1筒状導体31の外径D11及び内径D12が、第1筒状導体31の延びる方向に沿って一定であるとともに、第1筒状導体31の厚さT11が第1筒状導体31の延びる方向に沿って一定である。
【0032】
第1導電路21は、第1筒状導体31の外周面を被覆する絶縁被覆32を有する。絶縁被覆32は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料からなる。絶縁被覆32は筒状をなしている。本実施形態では、絶縁被覆32は、第1筒状導体31に曲げ加工が施される前に同第1筒状導体31に外挿される。そして、第1筒状導体31は、絶縁被覆32が装着された状態でパイプベンダーにより複数箇所が屈曲されることにより、車両10における配策経路に応じた形状に形成されている。なお、第1筒状導体31の長さ方向の両端部は、絶縁被覆32から突出して同絶縁被覆32の外部に露出している。
【0033】
図5及び図6に示すように、第1筒状導体31は、第1筒状導体31の一端部に第1接続部33を有するとともに、第1筒状導体31の他端部に第1接続部34を有する。本実施形態では、第1接続部33は、第1筒状導体31の長さ方向の両端部のうち車両10の前方側に配置される端部に設けられている。そして、第1接続部34は、第1筒状導体31の長さ方向の両端部のうち車両10の後方側に配置される端部に設けられている。
【0034】
図5に示すように、第1接続部33は、第1筒状導体31において、第1筒状導体31の一端部が潰されることにより扁平形状に形成された部分である。第1接続部33は、平坦な第1接続面33aを備えている。本実施形態では、第1接続面33aは、第1筒状導体31の延びる方向と平行な平面である。
【0035】
図6に示すように、第1接続部34は、第1筒状導体31において、第1筒状導体31の他端部が潰されることにより扁平形状に形成された部分である。第1接続部34は、平坦な第1接続面34aを備えている。本実施形態では、第1接続面34aは、第1筒状導体31の延びる方向と平行な平面である。
【0036】
図5に示すように、第1導電路21は、第1接続部33に接続された接続端子35を有する。接続端子35は、導電性の金属材料よりなる。接続端子の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。本実施形態の接続端子35は、環状の外部接続部35aと、外部接続部35aから延びる固定部35bとを有する丸型端子である。接続端子35は、固定部35bが第1接続面33a上に配置されている。そして、固定部35bと第1接続部33とが超音波溶接等の溶接により接続されることにより、第1接続部33と接続端子35とが電気的に接続されている。また、接続端子35は、電気機器12に備えられた図示しない端子等の接続部材に電気的に接続される。本実施形態では、外部接続部35aが当該接続部材に電気的に接続される。
【0037】
図6に示すように、第1導電路21は、導電性を有し第1筒状導体31の端部に電気的に接続された第1柔軟導体36を有する。第1柔軟導体36は、第1筒状導体31よりも柔軟性に優れている。本実施形態では、第1柔軟導体36は、導体よりなる芯線37と、芯線37の外周を被覆する絶縁被覆38とを有する被覆電線である。芯線37としては、例えば、複数の金属素線をより合わせてなる撚線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属線からなる単芯線などを用いることができる。但し、芯線37は、第1筒状導体31よりも柔軟性に優れている。芯線37の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。絶縁被覆38は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料からなる。
【0038】
第1柔軟導体36の長さ方向の一端部は、第1接続部34に電気的に接続されている。第1柔軟導体36において、第1接続部34に接続される一端部は、絶縁被覆38が除去されて芯線37が露出している。そして、第1柔軟導体36における芯線37が露出した一端部は、第1接続面34a上に配置されるとともに、超音波溶接等の溶接により第1接続部34に電気的に接続されている。
【0039】
第1柔軟導体36の長さ方向の他端部は、コネクタ39に備えられた図示しない接続端子に電気的に接続されている。なお、コネクタ39は、電気機器13に電気的に接続されるものである。
【0040】
第1導電路21は、第1筒状導体31と第1柔軟導体36との接続部分を被覆する被覆部材40を有する。被覆部材40は、絶縁材料からなる。本実施形態の被覆部材40は、熱収縮チューブである。被覆部材40は、第1筒状導体31の他端部における絶縁被覆32から露出した部分、並びに、第1柔軟導体36の一端部における芯線37が露出した部分を被覆している。
【0041】
(第2導電路22の構成)
図3に示すように、第2導電路22は、導電性を有する筒状の第2筒状導体41を有する。第2筒状導体41は、第1筒状導体31と同様に、内部が中空構造をなす筒状導体である。第2筒状導体41は、形状を保持可能である。第2筒状導体41の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。なお、図2では、第2筒状導体41を簡略化して破線で図示している。
【0042】
図4に示すように、第2筒状導体41の長さ方向、即ち第2筒状導体41の延びる方向であって第2筒状導体41の軸方向に垂直な平面によって第2筒状導体41を切断した断面形状(つまり、横断面形状)は任意の形状にすることができる。本実施形態では、第2筒状導体41の横断面形状は、円環状をなしている。即ち、本実施形態の第2筒状導体41は、円筒状をなしている。また、本実施形態の第2筒状導体41は、同第2筒状導体41の両端部を除いて、横断面形状が一定である。このため、第2筒状導体41の両端部を除いて、第2筒状導体41の外径D21及び内径D22が、第2筒状導体41の延びる方向に沿って一定であるとともに、第2筒状導体41の厚さT21が第2筒状導体41の延びる方向に沿って一定である。
【0043】
ここで、第1筒状導体31の厚さT11は、第2筒状導体41の厚さT21と異なっている。第1導電路21に通電される電流の電流値と、第2導電路22に通電される電流の電流値とは異なる値である。更に、第1導電路21に通電される電流の電流値は、第2導電路22に通電される電流の電流値よりも小さい。そして、第1筒状導体31の厚さT11及び第2筒状導体41の厚さT21は、第1導電路21に通電される電流の電流値、及び、第2導電路22に通電される電流の電流値に応じた厚さに設定されている。詳しくは、第1筒状導体31の厚さT11は、第1筒状導体31に通電される電流の電流値に応じて第1筒状導体31の横断面積を確保することができる値に設定されている。また、第2筒状導体41の厚さT21は、第2筒状導体41に通電される電流の電流値に応じて第2筒状導体41の横断面積を確保することができる値に設定されている。即ち、ワイヤハーネス20においては、通電される電流の電流値が大きい筒状導体ほど、厚さが厚く、且つ横断面積が大きくなっている。そして、本実施形態では、第1筒状導体31の外径D11と、第2筒状導体41の外径D21とが等しい。なお、本明細書においては、第1筒状導体31の外径D11と第2筒状導体41の外径D21とが「等しい」とは、厳密に同じ値である場合だけでなく、パイプベンダーにより曲げ加工を施す際に同じ金型を使用できる程度に異なる値である場合も含む。
【0044】
なお、本実施形態では、第2導電路22は、第2筒状導体41の厚さT21以外は、第1導電路21とほぼ同一の構成をしている。そこで、図3図5及び図6に、第2導電路22において、第1導電路21の構成と対応する構成の符号を括弧書きで示すことにより、第2導電路22の両端部を個別に図示することは省略する。ただし、図3図5及び図6に示す筒状導体の厚さは、第1筒状導体31の厚さであり、第2筒状導体41の厚さは、図3図5及び図6に図示した筒状導体の厚さより厚い。
【0045】
図4に示すように、第2導電路22は、第2筒状導体41の外周面を被覆する絶縁被覆42を有する。絶縁被覆42は、第1導電路21に備えられた絶縁被覆32と同様のものである。本実施形態では、絶縁被覆42は、第2筒状導体41に曲げ加工が施される前に同第1筒状導体31に外挿される。そして、第2筒状導体41は、絶縁被覆42が装着された状態でパイプベンダーにより複数箇所が屈曲されることにより、車両10における配策経路に応じた形状に形成されている。なお、第2筒状導体41の長さ方向の両端部は、絶縁被覆42から突出して同絶縁被覆42の外部に露出している。
【0046】
図5及び図6に示すように、第2筒状導体41は、第2筒状導体41の一端部に第2接続部43を有するとともに、第2筒状導体41の他端部に第2接続部44を有する。本実施形態では、第2接続部43は、第2筒状導体41の長さ方向の両端部のうち車両10の前方側に配置される端部に設けられている。そして、第2接続部44は、第2筒状導体41の長さ方向の両端部のうち車両10の後方側に配置される端部に設けられている。
【0047】
図5に示すように、第2接続部43は、第1接続部33と同様の形状をなしている。そして、第2接続部43は、第1接続面33aと同様の平坦な第2接続面43aを備えている。本実施形態では、第2接続面43aは、第2筒状導体41の延びる方向と平行な平面である。
【0048】
図6に示すように、第2接続部44は、第1接続部34と同様の形状をなしている。そして、第2接続部44は、第1接続部34と同様の平坦な第2接続面44aを備えている。本実施形態では、第2接続面44aは、第2筒状導体41の延びる方向と平行な平面である。
【0049】
図5に示すように、第2導電路22は、第2接続部43に接続された接続端子45を有する。接続端子45は、第1導電路21に備えられた接続端子35と同様のものである。接続端子45の固定部35bは、第2接続面43a上に配置されている。そして、当該固定部35bと第2接続部43とが超音波溶接等の溶接により接続されることにより、第2接続部43と接続端子45とが電気的に接続されている。また、接続端子45は、電気機器14に備えられた図示しない端子等の接続部材に電気的に接続される。本実施形態では、接続端子45の外部接続部35aが当該接続部材に電気的に接続される。
【0050】
図6に示すように、第2導電路22は、導電性を有し第2筒状導体41の端部に電気的に接続された第2柔軟導体46を有する。第2柔軟導体46は、第2筒状導体41よりも柔軟性に優れている。本実施形態では、第2柔軟導体46は、第1柔軟導体36と同様に、導体よりなる芯線37と、芯線37の外周を被覆する絶縁被覆38とを有する被覆電線である。
【0051】
第2柔軟導体46の長さ方向の一端部は、第2接続部44に電気的に接続されている。第2柔軟導体46において、第2接続部44に接続される一端部は、絶縁被覆42が除去されて芯線37が露出している。そして、第2柔軟導体46における芯線37が露出した一端部は、第2接続面44a上に配置されるとともに、超音波溶接等の溶接により第2接続部44に電気的に接続されている。
【0052】
第2柔軟導体46の長さ方向の他端部は、コネクタ47に備えられた図示しない接続端子に電気的に接続されている。なお、コネクタ47は、電気機器15に電気的に接続されるものである。
【0053】
第2導電路22は、第2筒状導体41と第2柔軟導体46との接続部分を被覆する被覆部材48を有する。被覆部材48は、第1導電路21に備えられた被覆部材40と同様のものであって、本実施形態では熱収縮チューブである。被覆部材48は、第2筒状導体41の他端部における絶縁被覆42から露出した部分、並びに、第2柔軟導体46の一端部における芯線37が露出した部分を被覆している。
【0054】
(外装部材23の構成)
図3に示すように、外装部材23は、第1導電路21を覆う第1外装部材51と、第1外装部材51とは別体で設けられ第2導電路22を覆う第2外装部材52とを含む。なお、本実施形態では、第1外装部材51と第2外装部材52とは、ほぼ同一の構成をしている。そこで、図3図5及び図6には、第1外装部材51に対応する構成である第2外装部材52の符号を括弧書きで示すことにより、第2導電路22を覆う第2外装部材52を個別に図示することは省略する。
【0055】
第1外装部材51及び第2外装部材52は、第1筒状導体31及び第2筒状導体41よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブである。また、本実施形態の第1外装部材51及び第2外装部材52は、何れも横断面形状が円形状をなす円筒状をなしている。第1外装部材51の内径は、第1筒状導体31の外径よりも大きい。更に、本実施形態では、第1外装部材51の内径は、第1筒状導体31の外周面を被覆する絶縁被覆32の外径よりも大きい。そのため、絶縁被覆32の外周面と第1外装部材51の内周面との間には隙間がある。即ち、第1筒状導体31の外周面と第1外装部材51の内周面との間には、第1外装部材51の軸方向と直交する方向における第1外装部材51と第1筒状導体31との相対移動を許容する隙間がある。同様に、第2外装部材52の内径は、第2筒状導体41の外径よりも大きい。更に、本実施形態では、第2外装部材52の内径は、第2筒状導体41の外周面を被覆する絶縁被覆42の外径よりも大きい。そのため、絶縁被覆42の外周面と第2外装部材52の内周面との間には隙間がある。即ち、第2筒状導体41の外周面と第2外装部材52の内周面との間には、第2外装部材52の軸方向と直交する方向における第2外装部材52と第2筒状導体41との相対移動を許容する隙間がある。
【0056】
図5及び図6に示すように、第1外装部材51は、第1導電路21において、第1接続部33とコネクタ39との間の部分を内部に収容することにより被覆している。
図5に示すように、第1導電路21における第1接続部33側の一端部においては、絶縁被覆32における第1接続部33側の一端部が第1外装部材51の長さ方向の一端部から露出している。従って、第1接続部33及び接続端子35は、外装部材23の長さ方向の一端部から露出している。そして、第1外装部材51の長さ方向の一端部であって、第1接続部33側の一端部には、第1外装部材51の一端部から同第1外装部材51の内部に水等の液体が浸入することを抑制するための防水部材53が装着されている。本実施形態では、防水部材53は、ビニールテープである。ビニールテープである防水部材53は、第1外装部材51の一端部から、当該一端部から露出した絶縁被覆32にわたって巻き付けられている。防水部材53は、第1外装部材51の外周面及び絶縁被覆32の外周面に液密に密着している。
【0057】
図6に示すように、第1導電路21における第1接続部34側の他端部においては、第1外装部材51は、第1接続部34と第1柔軟導体36との電気的な接続部分とコネクタ47との間の部分までを覆っている。従って、第1外装部材51の長さ方向の他端部から、第1柔軟導体36における絶縁被覆38が除去されていない部分及びコネクタ47が露出している。このように、第1筒状導体31と第1柔軟導体36とは、第1外装部材51によって一括して覆われている。即ち、第1筒状導体31と第1柔軟導体36とは、第1筒状導体31及び第1柔軟導体36の各々における外装部材によって覆われるべき部位が1つの第1外装部材51によって一括して覆われている。
【0058】
第1外装部材51の長さ方向の他端部であって、第1接続部34側の他端部には、第1外装部材51の他端部から同第1外装部材51の内部に水等の液体が浸入することを抑制するための防水部材54が装着されている。本実施形態では、防水部材54は、防水部材53と同様のビニールテープである。ビニールテープである防水部材54は、第1外装部材51の他端部から、当該他端部から露出した第1柔軟導体36の絶縁被覆38にわたって巻き付けられている。防水部材54は、第1外装部材51の外周面及び絶縁被覆38の外周面に液密に密着している。
【0059】
なお、第2外装部材52は、第2導電路22における同様の部分を被覆している。そして、第2外装部材52の長さ方向の一端部には、防水部材53と同様の防水部材55が装着されている。更に、第2外装部材52の長さ方向の他端部には、防水部材54と同様の防水部材56が装着されている。
【0060】
(ワイヤハーネス20の車両10への固定態様)
図1及び図2に示すように、ワイヤハーネス20は、第1外装部材51及び第2外装部材52を保持する固定部材57を備えている。固定部材57の数は、ワイヤハーネス20の車両10への配策態様に応じて任意の数とすることができる。本実施形態では、ワイヤハーネス20は、例えば2つの固定部材57を備えている。2つの固定部材57は、ワイヤハーネス20の長さ方向に離れた2箇所において、第1外装部材51及び第2外装部材52を保持している。これらの固定部材57が車両10に固定されることにより、第1導電路21及び第2導電路22は、車両10に固定される。なお、本実施形態では、第2導電路22は、第1導電路21に並走するように車両10に配策される。そして、固定部材57は、第1導電路21と第2導電路22との間の距離を維持するように第1外装部材51及び第2外装部材52を保持している。
【0061】
本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、第1筒状導体31の厚さT11と第2筒状導体41の厚さT21とが異なる。そのため、第1筒状導体31の外径D11と第2筒状導体41の外径D21とが等しい場合であっても、第1筒状導体31の横断面積と第2筒状導体41の横断面積とを異ならせることができる。従って、第1筒状導体31に通電される電流の電流値に応じた第1筒状導体31の横断面積を確保するとともに、第2筒状導体41に通電される電流の電流値に応じた第2筒状導体41の横断面積を確保しながら、第1筒状導体31の外径D11と第2筒状導体41の外径D21とを等しくできる。その結果、第1筒状導体31に曲げ加工を施す場合と、第2筒状導体41に曲げ加工を施す場合とで、パイプベンダーの金型を切り替えなくとも、同一の金型にて第1筒状導体31及び第2筒状導体41の各々に曲げ加工を施すことができる。
【0062】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ワイヤハーネス20は、第1導電路21と、第1導電路21とは異なる第2導電路と、第1導電路21及び第2導電路22を覆う外装部材23を備えている。第1導電路21は、導電性を有する筒状の第1筒状導体31を有する。第2導電路22は、導電性を有する筒状の第2筒状導体41を有する。第1筒状導体31の厚さT11は、第2筒状導体41の厚さT21と異なる。
【0063】
この構成によれば、第1筒状導体31及び第2筒状導体41の各々において通電される電流の電流値に応じた横断面積を確保しつつ、第1筒状導体31の外径D11と第2筒状導体41の外径D21とを、等しい大きさとすることが可能である。すると、パイプベンダーの金型を切り替えなくとも、第1筒状導体31及び第2筒状導体41に曲げ加工を施すことができる。その結果、ワイヤハーネス20の製造性を向上できる。
【0064】
また、例えば、最も大きな電流値の電流が流される導電路に備えられる筒状導体の外径及び厚さと同じ外形及び厚さとなるように、残りの導電路に備えられる筒状導体を構成することが考えられる。このようにすると、残りの導電路に備えられる筒状導体は、過剰な横断面積を有することになるとともに、過剰に外径が大きくされてしまう。そのため、ワイヤハーネスが大型化されてしまう。これに対し、本実施形態では、第1筒状導体31の厚さT11と第2筒状導体41の厚さT21とを異ならせることにより、第1筒状導体31及び第2筒状導体41の各々の横断面積を第1筒状導体31及び第2筒状導体41の各々に通電される電流の電流値に応じた大きさとしている。そのため、第1筒状導体31の外径D11及び第2筒状導体41の外径D21が過剰に大きく設定されることが抑制される。従って、ワイヤハーネス20の大型化を抑制できる。
【0065】
また、第1導電路21及び第2導電路22は、外装部材23によって飛び石等の飛翔物や水滴から保護される。従って、ワイヤハーネス20の耐久性を向上できる。
(2)第1導電路21は、導電性を有し第1筒状導体31の端部に電気的に接続された第1柔軟導体を更に有する。第2導電路22は、導電性を有し第2筒状導体の端部に電気的に接続された第2柔軟導体を更に有する。第1柔軟導体36は、第1筒状導体31よりも柔軟性に優れている。第2柔軟導体46は、第2筒状導体41よりも柔軟性に優れている。
【0066】
この構成によれば、車両10が振動した場合、第1柔軟導体36の両側に接続された部品同士の当該振動に起因する位置ずれを、第1柔軟導体36において吸収できる。本実施形態では、車両10の振動に起因する第1筒状導体31とコネクタ39との間の位置ずれを、第1柔軟導体36において吸収できる。従って、第1接続部34や、コネクタ39に備えられた接続端子に負荷がかかることを抑制できる。
【0067】
同様に、車両10が振動した場合、第2柔軟導体46の両側に接続された部品同士の当該振動に起因する位置ずれを、第2柔軟導体46において吸収できる。本実施形態では、車両10の振動に起因する第2筒状導体41とコネクタ47との間の位置ずれを、第2柔軟導体46において吸収できる。従って、第2接続部44や、コネクタ47に備えられた接続端子に負荷がかかることを抑制できる。
【0068】
(3)第1筒状導体31と第1柔軟導体36とは、第1外装部材51によって一括して覆われている。第2筒状導体41と第2柔軟導体46とは、第2外装部材52によって一括して覆われている。
【0069】
この構成によれば、第1筒状導体31と第1柔軟導体36とを覆う外装部材が共通化される。即ち、第1筒状導体31と第1柔軟導体36とを1つの第1外装部材51によって覆っている。そのため、第1筒状導体31を覆う外装部材と第1柔軟導体36を覆う外装部材とを個別に設ける場合に比べて部品点数が低減される。また、外装部材23において第1筒状導体31を覆う部分と第1柔軟導体36を覆う部分との間の継ぎ目をなくすことができるため、外装部材23の内部、即ち第1外装部材51の内部に水等の液体が浸入することを抑制できる。その結果、第1筒状導体31と第1柔軟導体36との電気的な接続部分に液体が付着することを抑制できる。更に、当該継ぎ目に設けるグロメット等の防水部材を配置しなくてもよい。従って、部品点数の増加を抑制できる。
【0070】
同様に、第2筒状導体41と第2柔軟導体46とを覆う外装部材が共通化される。即ち、第2筒状導体41と第2柔軟導体46とを1つの第2外装部材52によって覆っている。そのため、第2筒状導体41を覆う外装部材と第2柔軟導体46を覆う外装部材とを個別に設ける場合に比べて部品点数が低減される。また、外装部材23において第2筒状導体41を覆う部分と第2柔軟導体46を覆う部分との間の継ぎ目をなくすことができるため、外装部材23の内部、即ち第2外装部材52の内部に水等の液体が浸入することを抑制できる。その結果、第2筒状導体41と第2柔軟導体46との電気的な接続部分に液体が付着することを抑制できる。更に、当該継ぎ目に設けるグロメット等の防水部材を配置しなくてもよい。従って、部品点数の増加を抑制できる。
【0071】
(4)第1外装部材51は、第1筒状導体31よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブである。第2外装部材52は、第2筒状導体41よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブである。第1筒状導体31の外周面とコルゲートチューブである第1外装部材51の内周面との間には、第1外装部材51の軸方向と直交する方向における第1外装部材51と第1筒状導体31との相対移動を許容する隙間がある。第2筒状導体41の外周面とコルゲートチューブである第2外装部材52の内周面との間には、第2外装部材52の軸方向と直交する方向における第2外装部材52と第2筒状導体41との相対移動を許容する隙間がある。ワイヤハーネス20は、第1外装部材51及び第2外装部材52を保持し車両10に固定される固定部材57を備えている。
【0072】
この構成によれば、第1筒状導体31は、形状が保持されるものであるため、車両10へのワイヤハーネス20の組付け時に第1筒状導体31を変形させたり移動させたりすることは困難である。しかしながら、第1筒状導体31の外周面とコルゲートチューブである第1外装部材51の内周面との間の隙間の範囲内で、第1筒状導体31は、第1外装部材51に対して同第1外装部材51の軸方向と直交する方向に相対移動可能である。そして、第1筒状導体31は、第1外装部材51が固定部材57によって車両10に固定されることにより、当該車両10に固定される。そのため、第1筒状導体31よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブである第1外装部材51が変形することにより、第1筒状導体31を車両10に対して移動させなくとも、車両10と第1筒状導体31との間の寸法公差を吸収できる。
【0073】
同様に、第2筒状導体41は、形状が保持されるものであるため、車両10へのワイヤハーネス20の組付け時に第2筒状導体41を変形させたり移動させたりすることは困難である。しかしながら、第2筒状導体41の外周面とコルゲートチューブである第2外装部材52の内周面との間の隙間の範囲内で、第2筒状導体41は、第2外装部材52に対して同第2外装部材52の軸方向と直交する方向に相対移動可能である。そして、第2筒状導体41は、第2外装部材52が固定部材57によって車両10に固定されることにより、当該車両10に固定される。そのため、第2筒状導体41よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブである第2外装部材52が変形することにより、第2筒状導体41を車両10に対して移動させなくとも、車両10と第2筒状導体41との間の寸法公差を吸収できる。
【0074】
また、車両10と第1筒状導体31との間の寸法公差、並びに、車両10と第2筒状導体41との間の寸法公差を固定部材57側で吸収しなくてもよい。そのため、これらの寸法公差を吸収するために、複雑な構造の固定部材を用いなくてもよいため、ワイヤハーネス20の構造が複雑化されることや、ワイヤハーネス20の製造コストが増大することを抑制できる。
【0075】
また、第1外装部材51は、第1筒状導体31よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブであるため、第1柔軟導体36を覆っていたとしても、第1柔軟導体36の変形に容易に追従できる。従って、第1柔軟導体36の他端部に電気的に接続されたコネクタ39を電気機器13に接続する際、第1柔軟導体36は、第1外装部材51によって同第1柔軟導体36の変形が阻害され難いため、配策経路に応じて容易に変形されることができる。同様に、第2外装部材52は、第2筒状導体41よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブであるため、第2柔軟導体46を覆っていたとしても、第2柔軟導体46の変形に容易に追従できる。従って、第2柔軟導体46の他端部に電気的に接続されたコネクタ47を電気機器15に接続する際、第2柔軟導体46は、第2外装部材52によって同第1柔軟導体36の変形が阻害され難いため、配策経路に応じて容易に変形されることができる。
【0076】
更に、第1筒状導体31における第1接続部33と第1接続部34との間の筒状の部分では、当該第1筒状導体31は形状が保持される。そのため、第1導電路21の垂れ下がりが抑制される。同様に、第2筒状導体41における第2接続部43と第2接続部44と間の筒状の部分では、当該第2筒状導体41は形状が保持される。そのため、第2導電路22の垂れ下がりが抑制される。従って、ワイヤハーネス20を車両10に固定する固定部材57の数を低減できる。その結果、ワイヤハーネス20の部品点数を低減できる。更に、固定部材57の数が少ないため、車両10へのワイヤハーネス20の固定が容易になる。
【0077】
これらのことから、ワイヤハーネス20の接続作業性を向上できるとともに、ワイヤハーネス20の車両10への組付け性を向上できる。
(5)外装部材23は、第1導電路21を覆う第1外装部材51と、第1外装部材51とは別体で設けられ第2導電路22を覆う第2外装部材52とを含む。
【0078】
この構成によれば、第1導電路21と第2導電路22とを一括して1つの外装部材で覆う場合に比べて、ワイヤハーネス20を小型化できる。例えば、第1導電路21と第2導電路22とを円筒状の1つのコルゲートチューブにて覆う場合、第1導電路21及び第2導電路22の両方を内側に配置するために、コルゲートチューブの外径が大きくなる。従って、ワイヤハーネスが大型化されてしまう。それに比べて、本実施形態のように第1導電路21と第2導電路22とを第1外装部材51及び第2外装部材52によって個別に被覆することにより、ワイヤハーネス20を同ワイヤハーネス20の長さ方向と直交する方向の大きさを小さくできる。
【0079】
本実施形態では、ワイヤハーネス20の大部分は、車両10の床下を通るように配策されている。そのため、車体の最低地上高を確保するためには、ワイヤハーネス20の長さ方向と直交する方向におけるワイヤハーネス20の大きさを小さくすることが好ましい。従って、本実施形態のワイヤハーネス20は、第1導電路21と第2導電路22とを円筒状の1つのコルゲートチューブにて覆う構成のワイヤハーネスに比べて、車体の最低地上高さを確保しやすい。
【0080】
また、第1導電路21と第2導電路22とを円筒状の1つのコルゲートチューブにて覆う場合において、横断面形状がレーストラック形状をなす扁平なコルゲートチューブを使用することにより、車体の最低地上高さを確保することが考えられる。しかしながら、扁平なコルゲートチューブは、円筒状のコルゲートチューブに比べて屈曲方向の自由度が小さいため、配策経路の自由度が低下されてしまう。これに対し、本実施形態の第1外装部材51及び第2外装部材52は、円筒状のコルゲートチューブであるため、本実施形態のワイヤハーネス20は、車体の最低地上高を確保しつつ、配策経路の自由度を向上できる。
【0081】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、第1接続部33は、第1接続部33に電気的に接続された接続端子35を介して電気機器12に電気的に接続される。しかしながら、第1接続部33は、電気機器12に備えられた端子等の接続部材に直接電気的に接続されてもよい。
【0082】
例えば、図7に示す例では、第1接続部33は、第1接続面33aと交差する方向に第1接続部33を貫通する第1接続孔33bを有する。本例では、第1接続孔33bは、第1接続面33aと直交する方向に第1接続部33を貫通している。第1接続孔33bの形状は、任意の形状とすることができる。例えば、第1接続孔33bは、貫通方向から見た形状が、円形状、多角形状等をなすものであってもよい。本例では、第1接続孔33bは、第1筒状導体31の延びる方向に長い長孔である。なお、第2接続部43にも、第1接続孔33bと同様の形状をなす、第2接続面43aと交差する方向に第2接続部43を貫通する第2接続孔43bを設けてもよい。因みに、図7には、第2筒状導体41において、第1筒状導体31における第1接続部33と対応する構成である第2接続部43、並びに、第1筒状導体31における第1接続孔33bと対応する構成である第2接続孔43bの符号を、括弧書きで示している。
【0083】
このようにすると、ボルト等を用いることにより、車両10に搭載された電気機器12が備える端子等の接続部材に第1接続部33を直接接続できる。そのため、第1筒状導体31の端部に、電気機器12の接続部材に接続される接続端子を別途接続しなくてもよい。従って、第1導電路を構成する部品の数を低減できる。また、接続端子を第1筒状導体31の端部に接続する工程を行わなくてよいため、ワイヤハーネス20の製造性をより向上できる。
【0084】
同様に、ボルト等を用いることにより、車両10に搭載された電気機器14が備える端子等の接続部材に第2接続部43を直接接続できる。そのため、第2筒状導体41の端部に、電気機器14の接続部材に接続される接続端子を別途接続しなくてもよい。従って、第2導電路22を構成する部品の数を低減できる。また、接続端子を第2筒状導体41の端部に接続する工程を行わなくてよいため、ワイヤハーネス20の製造性をより向上できる。
【0085】
また、第1接続孔33bは、第1筒状導体31の延びる方向に長い長孔であるため、第1筒状導体31の延びる方向における、電気機器12の接続部材と第1導電路21との間の寸法公差を、第1接続孔33bにおいて吸収できる。その結果、第1接続部33と電気機器12の接続部材との位置合わせが容易になるため、第1導電路21と電気機器12との接続作業性を向上できる。同様に、第2接続孔43bは、第2筒状導体41の延びる方向に長い長孔であるため、第2筒状導体41の延びる方向における、電気機器14の接続部材と第2導電路22との間の寸法公差を、第2接続孔43bにおいて吸収できる。その結果、第2接続部43と電気機器14の接続部材との位置合わせが容易になるため、第2導電路22と電気機器14との接続作業性を向上できる。
【0086】
・上記実施形態では、第1導電路21と第2導電路22とは、第1外装部材51及び第2外装部材52によって個別に被覆されている。しかしながら、外装部材23は、第1導電路21と第2導電路22とを一括して覆っていてもよい。例えば、外装部材23は、1本のコルゲートチューブよりなるものであってもよい。そして、当該コルゲートチューブの内側に第1導電路21及び第2導電路22が配置されてもよい。
【0087】
このようにすると、第1導電路21を覆う外装部材と第2導電路22を覆う外装部材とを個別に設ける場合に比べて、部品点数が低減される。また、1つの外装部材23の中に第1導電路21と第2導電路22とが収容されるため、ワイヤハーネス20の取り扱いが容易になる。従って、ワイヤハーネス20の車両10への固定を行いやすくなる。
【0088】
・上記実施形態では、第1外装部材51及び第2外装部材52は、何れも円筒状のコルゲートチューブである。しかしながら、外装部材23に用いるコルゲートチューブは、円筒状に限らない。例えば、横断面形状が楕円形状や、レーストラック形状をなす筒状のコルゲートチューブを外装部材23に用いてもよい。また、外装部材23は、コルゲートチューブに限らず、第1導電路21及び第2導電路22を覆うものであればよい。例えば、第1外装部材51及び第2外装部材52の少なくとも一方を、ツイストチューブとしてもよい。
【0089】
・上記実施形態では、ワイヤハーネス20は、固定部材57を備えている。しかしながら、ワイヤハーネス20は、必ずしも固定部材57を備えなくてもよい。
・上記実施形態では、第1筒状導体31と第1柔軟導体36とは、第1外装部材51によって一括して覆われている。また、第2筒状導体41と第2柔軟導体46とは、第2外装部材52によって一括して覆っている。しかしながら、第1筒状導体31及び第1柔軟導体36の各々は、異なる外装部材によって覆われてもよい。同様に、第2筒状導体41及び第2柔軟導体46の各々は、異なる外装部材によって覆われてもよい。
【0090】
・被覆部材40,48としては、熱収縮チューブで以外に、絶縁性のビニールテープを用いてもよい。また、被覆部材40は、第1筒状導体31と第1柔軟導体36との電気的な接続部分に塗布された絶縁性の樹脂よりなるものであってもよい。被覆部材48についても同様である。また、第1導電路21は、必ずしも被覆部材40を備えなくてもよい。第2導電路22は、必ずしも被覆部材48を備えなくてもよい。
【0091】
・上記実施形態では、第1柔軟導体36及び第2柔軟導体46は、何れも、導体よりなる芯線37と、芯線37の外周を被覆する絶縁被覆38とを有する被覆電線である。しかしながら、第1柔軟導体36は、被覆電線に限らず、導電性を有し第1筒状導体31よりも柔軟性に優れた部材であればよい。同様に、第2柔軟導体46は、被覆電線に限らず、導電性を有し第2筒状導体41よりも柔軟性に優れた部材であればよい。
【0092】
例えば、第1柔軟導体36として、導電性の素線が筒状に編み込まれた編組線を用いることができる。この場合、第1筒状導体31の他端部は、上記実施形態と同様の第1接続部34であってもよいし、潰されることなく円筒状のままであってもよい。第1接続部34に編組線よりなる第1柔軟導体36を接続する場合には、例えば超音波溶接等の溶接により接続できる。また、第1筒状導体31の他端部が円筒状である場合には、編組線よりなる第1柔軟導体36の内側に第1筒状導体31の他端部を挿入する。その後、第1筒状導体31の他端部の外周面に当該第1柔軟導体36を電気的に接続する。例えば、第1筒状導体31の他端部に、当該第1柔軟導体36の外周側から固定リングを装着して当該第1柔軟導体36を圧着することにより、第1筒状導体31と第1柔軟導体36とを電気的に接続することができる。このとき、第1筒状導体31の他端部にスウェージング加工を施すことにより環状の溝を形成すると、当該溝に固定リングを装着することができる。従って、第1筒状導体31に対する固定リングの位置決めを容易に行うことができる。なお、第2筒状導体41と第2柔軟導体46についても、同様に変更してもよい。
【0093】
・上記実施形態では、第1柔軟導体36の他端部は、コネクタ39に接続されている。しかしながら、第1柔軟導体36の他端部には、丸形端子等の接続端子が電気的に接続されてもよい。この場合、第1筒状導体31は、電気機器13が備える端子等の接続部材に当該接続端子が電気的に接続されることにより、第1柔軟導体36及び当該接続端子を介して電気機器13に電気的に接続される。第2柔軟導体46の他端部についても同様に、コネクタ47に代えて丸形端子等の接続端子が電気的に接続されてもよい。
【0094】
・上記実施形態では、第1筒状導体31の延びる方向の両端部のうち、他端部のみに第1柔軟導体36が接続されている。しかしながら、第1筒状導体31の一端部に第1柔軟導体36が電気的に接続されてもよい。この場合、第1筒状導体31の他端部には、第1筒状導体31の一端部に接続された第1柔軟導体36とは異なる第1柔軟導体36が接続されてもよいし、接続端子35が電気的に接続されてもよい。また同場合、第1筒状導体31の他端部は、電気機器13に備えられた端子等の接続部材に直接電気的に接続されてもよい。
【0095】
同様に、上記実施形態では、第2筒状導体41の延びる方向の両端部のうち、他端部のみに第2柔軟導体46が接続されている。しかしながら、第2筒状導体41の一端部に第2柔軟導体46が電気的に接続されてもよい。この場合、第2筒状導体41の他端部には、第2筒状導体41の一端部に接続された第2柔軟導体46とは異なる第2柔軟導体46が接続されてもよいし、接続端子35が電気的に接続されてもよい。また同場合、第2筒状導体41の他端部は、電気機器15に備えられた端子等の接続部材に直接電気的に接続されてもよい。
【0096】
・第1導電路21は、必ずしも第1柔軟導体36を備えなくてもよい。この場合、第1筒状導体31の延びる方向の両端部に接続端子35が接続されてもよい。また同場合、第1筒状導体31の両端部が、電気機器12,13に備えられた端子等の接続部材に直接電気的に接続されてもよい。また、第1筒状導体31の延びる方向の両端部のうち何れか一方の端部に接続端子35が電気的に接続されるとともに、何れか他方の端部は電気機器に備えられた端子等の接続部材に直接電気的に接続されてもよい。
【0097】
第2導電路22についても同様に、必ずしも第2柔軟導体46を備えなくてもよい。この場合、第2筒状導体41の延びる方向の両端部に接続端子45が接続されてもよい。また同場合、第2筒状導体41の両端部が、電気機器14,15に備えられた端子等の接続部材に直接電気的に接続されてもよい。また、第2筒状導体41の延びる方向の両端部のうち何れか一方の端部に接続端子45が電気的に接続されるとともに、何れか他方の端部は電気機器に備えられた端子等の接続部材に直接電気的に接続されてもよい。
【0098】
・上記実施形態では、接続端子35,45として丸型端子を用いている。しかしながら、接続端子35,45は、丸型端子に限らず、先開形端子等の圧着端子であってもよい。また、接続端子35,45は、圧着端子に限らず、バスバなどの任意の形状の端子を用いることもできる。
【0099】
・上記実施形態では、防水部材53~56は、何れもビニールテープよりなる。しかしながら、防水部材53,54は、第1外装部材51の両端部から同第1外装部材51の内部に液体が浸入することを抑制できるものであればよい。同様に、防水部材55,56は、第2外装部材52の両端部から同第2外装部材52の内部に液体が浸入することを抑制できるものであればよい。例えば、防水部材54は、第1外装部材51における第1接続部34側の他端部から露出した第1柔軟導体36の外周を覆うとともに、第1外装部材51における当該他端部の外周面もしくは内周面とコネクタ39の外周面とに液密に密着するグロメットであってもよい。また、防水部材56を同様のグロメットとしてもよい。また例えば、防水部材53は、第1外装部材51における第1接続部33側の一端部から露出した絶縁被覆32の外周面と、第1外装部材51における当該一端部の外周面もしくは内周面とに液密に密着するグロメットであってもよい。また、防水部材55を同様のグロメットとしてもよい。なお、ワイヤハーネス20は、必ずしも防水部材53~56を備えなくてもよい。
【0100】
・絶縁被覆32は、第1筒状導体31に外挿される筒状をなすものに限らない。例えば、絶縁被覆32は、第1筒状導体31の外周面に塗布もしくは塗装された絶縁材料であってもよい。この場合、第1筒状導体31は、絶縁被覆32が設けられる前に曲げ加工が施されてもよいし、絶縁被覆32が設けられた後に曲げ加工が施されてもよい。第2筒状導体41の外周面を覆う絶縁被覆42についても同様に変更してもよい。
【0101】
・上記実施形態では、第1筒状導体31及び第2筒状導体41は、何れも、横断面形状が円環状をなす円筒状をなしている。しかしながら、第1筒状導体31及び第2筒状導体41は、形状を保持可能な筒状をなすのであれば、必ずしも円筒状でなくてもよい。例えば、第1筒状導体31及び第2筒状導体41は、横断面形状が楕円形状やレーストラック形状をなす扁平な筒状であってもよい。
【0102】
・上記実施形態では、第2導電路22は、第1導電路21に並走するように車両10に配策される。しかしながら、第2導電路22は、必ずしも第1導電路21に並走するように配策されなくてもよい。また、第1導電路21の長さ、第1筒状導体31の長さ、第1筒状導体31におけるパイプベンダーによる屈曲部の数、第2導電路22の長さ、第2筒状導体41の長さ、第2筒状導体41におけるパイプベンダーによる屈曲部の数は、適宜変更してもよい。
【0103】
・上記実施形態では、ワイヤハーネス20は、第1導電路21と第2導電路22との2つの導電路を有する。しかしながら、ワイヤハーネス20が備える導電路の数は、これに限らない。例えば、ワイヤハーネス20は、3本以上の導電路を有する構成であってもよい。一例を挙げると、ワイヤハーネスは、第1導電路21及び第2導電路22とは異なる第3導電路を更に備えてもよい。この場合、第3導電路は、導電性を有する筒状の第3筒状導体を備える。そして、当該ワイヤハーネスにおいては、通電される電流の電流値が大きい導電路に備えられる筒状導体ほど、筒状導体の厚さが厚い。そして、各筒状導体の外径は等しく形成される。第3導電路は、車両10に搭載された電気機器11同士を電気的に接続する。
【0104】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)導電路と、前記導電路を覆うコルゲートチューブと、前記コルゲートチューブを保持し車両に固定される固定部材とを備え、前記導電路は、導電性を有する筒状の筒状導体を有し、前記コルゲートは、前記筒状導体よりも柔軟性に優れており、前記筒状導体の外周面と前記コルゲートチューブの内周面との間には、前記コルゲートチューブの軸方向と直交する方向における前記コルゲートチューブと前記筒状導体との相対移動を許容する隙間があるワイヤハーネス。
【0105】
この構成によれば、筒状導体は、形状が保持されるものであるため、車両へのワイヤハーネスの組付け時に当該筒状導体を変形させたり移動させたりすることは困難である。しかしながら、このワイヤハーネスにおいては、筒状導体の外周面と同筒状導体を覆うコルゲートチューブの内周面との間の隙間の範囲内で、筒状導体が、当該コルゲートチューブに対して当該コルゲートチューブの軸方向と直交する方向に相対移動可能である。そして、筒状導体は、当該コルゲートチューブが固定部材によって車両に固定されることにより、当該車両に固定される。そのため、筒状導体よりも柔軟性に優れたコルゲートチューブが変形することにより、筒状導体を車両に対して移動させなくとも、車両と筒状導体との間の寸法公差を吸収できる。
【符号の説明】
【0106】
10 車両
11 電気機器
12 電気機器
13 電気機器
14 電気機器
15 電気機器
20 ワイヤハーネス
21 第1導電路
22 第2導電路
23 外装部材
31 第1筒状導体
32 絶縁被覆
33 第1接続部
33a 第1接続面
33b 第1接続孔
34 第1接続部
34a 第1接続面
35 接続端子
35a 外部接続部
35b 固定部
36 第1柔軟導体
37 芯線
38 絶縁被覆
39 コネクタ
40 被覆部材
41 第2筒状導体
42 絶縁被覆
43 第2接続部
43a 第2接続面
43b 第2接続孔
44 第2接続部
44a 第2接続面
45 接続端子
46 第2柔軟導体
47 コネクタ
48 被覆部材
51 第1外装部材
52 第2外装部材
53 防水部材
54 防水部材
55 防水部材
56 防水部材
57 固定部材
D11 外径
D12 内径
D21 外径
D22 内径
T11 厚さ
T21 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7