(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/184 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
B62D1/184
(21)【出願番号】P 2020059274
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 傑
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏高
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶之
(72)【発明者】
【氏名】生田 智紘
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-105130(JP,A)
【文献】特開2000-066750(JP,A)
【文献】特開2019-038307(JP,A)
【文献】特開2008-285064(JP,A)
【文献】実開昭55-112718(JP,U)
【文献】特開2002-274392(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0032220(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの位置調節を行うためのチルト調節及びテレスコピック調節の少なくともいずれかを可能とする操作レバーを備えたステアリング装置であって、
前記操作レバーは、
長手方向に沿って延びる金属板製のレバー本体と、前記レバー本体の
前記長手方向の
一方側の端部に設けられた樹脂製のノブ部と、を備え、
前記レバー本体の
前記長手方向の
一方側の端部は、
前記長手方向に延びる第1部位と、
当該第1部位に対して前記長手方向の一方側に隣接して配置され且つ当該第1部位における前記長手方向の一方側の端に位置する屈曲部で、前記レバー本体の板厚方向に向けて折れ曲がる第2部位と、
当該第2部位に設けられ、且つ、前記レバー本体の
前記長手方向及び
前記板厚方向に直交する幅方向の一方側端部に配置された第1切欠部と前記幅方向の他方側端部に配置された第2切欠部と
、を有し、
前記屈曲部と、前記第1切欠部及び前記第2切欠部
とは、前記ノブ部で覆われている、
ステアリング装置。
【請求項2】
ステアリングホイールの位置調節を行うためのチルト調節及びテレスコピック調節の少なくともいずれかを可能とする操作レバーを備えたステアリング装置であって、
前記操作レバーは、長手方向に沿って延びる金属板製のレバー本体と、前記レバー本体の前記長手方向の一方側の端部に設けられた樹脂製のノブ部と、を備え、
前記レバー本体の前記長手方向の一方側の端部は、
前記長手方向に延び且つ当該長手方向の一方側の端に位置する屈曲部を有する第1部位と、当該第1部位に対して前記長手方向の一方側に隣接して配置される第2部位と、
当該第2部位に設けられ、且つ、前記レバー本体の前記長手方向及び板厚方向に直交する幅方向の一方側端部に配置された第1切欠部と前記幅方向の他方側端部に配置された第2切欠部と、を有し、
前記板厚方向から見て、前記第2部位は、前記第1部位に対して前記幅方向に屈曲して延び、
前記屈曲部と、前記第1切欠部及び前記第2切欠部とは、前記ノブ部で覆われている、
ステアリング装置。
【請求項3】
ステアリングホイールの位置調節を行うためのチルト調節及びテレスコピック調節の少なくともいずれかを可能とする操作レバーを備えたステアリング装置であって、
前記操作レバーは、長手方向に沿って延びる金属板製のレバー本体と、前記レバー本体の前記長手方向の一方側の端部に設けられた樹脂製のノブ部と、を備え、
前記レバー本体の前記長手方向の一方側の端部は、
前記長手方向に延びる第1部位と、
当該第1部位に対して前記長手方向の一方側に隣接して配置され且つ当該第1部位における前記長手方向の一方側の端に位置する屈曲部で、前記レバー本体の板厚方向に向けて折れ曲がる第2部位と、
当該第2部位に設けられ、且つ、前記レバー本体の前記長手方向及び前記板厚方向に直交する幅方向の一方側端部に配置された第1切欠部と前記幅方向の他方側端部に配置された第2切欠部と、を有し、
前記板厚方向から見て、前記第2部位は、前記第1部位に対して前記幅方向に屈曲して延び、
前記屈曲部と、前記第1切欠部及び前記第2切欠部とは、前記ノブ部で覆われている、
ステアリング装置。
【請求項4】
前記第1切欠部は、
前記第2部位の長手方向の
一方側の端縁であ
って前記幅方向に延びる第1縁に沿って延びる第2縁と第3縁とを備え、
前記第2切欠部は、前記第1縁に沿って延びる第4縁と第5縁とを備える、
請求項1
から3のいずれか1項に記載のステアリング装置。
【請求項5】
前記第1縁における前記幅方向の一方側及び他方側の角部、前記第2縁における前記幅方向の一方側及び他方側の角部、前記第3縁における前記幅方向の一方側及び他方側の角部、前記第4縁における前記幅方向の一方側及び他方側の角部、並びに、前記第5縁における前記幅方向の一方側及び他方側の角部は、前記板厚方向から見て、弧状部である、
請求項4に記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリング装置には、チルトレバー等の操作レバーが装着される場合がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の操作レバー(チルトレバー)は、レバー本体と、レバー本体に固定された平板状の芯金と、芯金がインサート成形されたノブ部と、を備える。レバー本体及び芯金は金属製であり、ノブ部は樹脂製である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の操作レバーでは、平板状の芯金がノブ部にインサート成形されているため、レバー本体がノブ部から抜けにくいというメリットがある一方、操作レバー全体として軽量化することには限界がある。
【0005】
本開示は、前記の課題に鑑みてなされたものであって、ノブ部がレバー本体から外れることを抑制しつつ重量がより小さくなる操作レバーを備えたステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本開示の一態様のステアリング装置は、ステアリングホイールの位置調節を行うためのチルト調節及びテレスコピック調節の少なくともいずれかを可能とする操作レバーを備えたステアリング装置であって、前記操作レバーは、金属板製のレバー本体と、前記レバー本体の長手方向の端部に設けられた樹脂製のノブ部と、を備え、前記レバー本体の長手方向の端部は、前記レバー本体の長手方向及び板厚方向に直交する幅方向の一方側端部に配置された第1切欠部と前記幅方向の他方側端部に配置された第2切欠部とを有し、前記第1切欠部及び前記第2切欠部は、前記ノブ部で覆われている。
【0007】
このように、本開示では、レバー本体の長手方向の端部に第1切欠部及び第2切欠部が設けられ、且つ、第1切欠部及び第2切欠部はノブ部で覆われている。このため、第1切欠部及び第2切欠部を覆っている樹脂部分によってノブ部が保持されるため、ノブ部に荷重が印加された場合にノブ部がレバー本体の端部から外れることが抑制される。また、レバー本体が金属板製であるため、従来のように芯金がレバー本体に固定され芯金がノブ部で覆われた操作レバーと比較すると、操作レバー全体の重量をより小さくすることができる。このように、本開示によれば、ノブ部がレバー本体から外れることを抑制しつつ重量がより小さくなる操作レバーを備えたステアリング装置を提供することができる。
【0008】
前記ステアリング装置の望ましい態様として、前記第1切欠部は、前記レバー本体の長手方向の端縁である第1縁に沿って延びる第2縁と第3縁とを備え、前記第2切欠部は、前記第1縁に沿って延びる第4縁と第5縁とを備える。このように、第1切欠部の第2縁及び第3縁、並びに、第2切欠部の第4縁及び第5縁は全て、第1縁に沿って延びている。
【0009】
ここで、レバー本体の長手方向の両端部のうちノブ部と反対側の端部を回転軸とし、回転軸を中心とする周方向の一方側にレバー本体を揺動させる場合、第1切欠部と第2切欠部との幅方向の中央に位置する軸を中心としてノブ部が回転しようとする。すると、ノブ部の樹脂部分が第1縁、第2縁及び第5縁を押圧する力が印加される。また、周方向の他方側に揺動させる場合、ノブ部の樹脂部分が第1縁、第3縁及び第4縁を押圧する力が印加される。このように、レバー本体の第1縁、第1切欠部の第2縁及び第3縁、並びに、第2切欠部の第4縁及び第5縁によって、力を受けるため、ノブ部がレバー本体から外れることが更に抑制され、且つ、レバー本体の曲げ剛性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ノブ部がレバー本体から外れることを抑制しつつ重量がより小さくなる操作レバーを備えたステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るステアリング装置の概略を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るステアリング装置の概略を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るステアリング装置の一部を示す側面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る操作レバーの側面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る操作レバーのレバー本体の端部を拡大した側面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る操作レバーのレバー本体の端部を示す側面図であり、レバー本体の端部に回転モーメントが印加された状態を示す。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る操作レバーの側面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る操作レバーのレバー本体の端部を拡大した側面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る操作レバーの側面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る操作レバーのレバー本体の端部を拡大した側面図である。
【
図12】
図12は、第1参考例に係るレバー本体の側面図である。
【
図13】
図13は、第2参考例に係るレバー本体の側面図である。
【
図14】
図14は、第3参考例に係るレバー本体の側面図である。
【
図15】
図15は、第4参考例に係るレバー本体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るステアリング装置の概略を示す模式図である。
図2は、第1実施形態に係るステアリング装置の概略を示す斜視図である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、ステアリング装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、を備え、ピニオンシャフト87に接合されている。また、ステアリング装置80は、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94とを備える。車速センサ95は、車体に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により車速信号VをECU90に出力する。
【0015】
ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部がユニバーサルジョイント84に連結される。本実施形態では、入力軸82a及び出力軸82bは、機械構造用炭素鋼(SC材(Carbon Steel for Machine Structural Use))又は機械構造用炭素鋼鋼管(いわゆるSTKM材(Carbon Steel Tubes for Machine Structural Purposes))等の一般的な鋼材等から形成される。
【0016】
ロアシャフト85は、ユニバーサルジョイント84を介して出力軸82bに連結される部材である。ロアシャフト85の一方の端部がユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント86に連結される。ピニオンシャフト87の一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、ピニオンシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
【0017】
ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを備える。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。すなわち、ステアリング装置80は、ラックアンドピニオン式である。
【0018】
操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、電動モータ93とを備える。電動モータ93は、例えばブラシレスモータであるが、ブラシ(摺動子)及びコンミテータ(整流子)を備えるモータであってもよい。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。電動モータ93で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイールによって、電動モータ93で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。すなわち、ステアリング装置80は、コラムアシスト方式である。
【0019】
トルクセンサ94は、ステアリングホイール81を介して入力軸82aに伝達された操作者の操舵力を操舵トルクとして検出する。車速センサ95は、ステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。電動モータ93、トルクセンサ94及び車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。
【0020】
ECU90は、電動モータ93の動作を制御する。また、ECU90は、トルクセンサ94及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。すなわち、ECU90は、トルクセンサ94から操舵トルクTを取得し、且つ車速センサ95から車体の車速信号Vを取得する。ECU90は、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置(例えば車載のバッテリ)99から電力が供給される。ECU90は、操舵トルクTと車速信号Vとに基づいてアシスト指令の補助操舵指令値を算出する。そして、ECU90は、その算出された補助操舵指令値に基づいて電動モータ93へ供給する電力値Xを調節する。ECU90は、電動モータ93から誘起電圧の情報又は電動モータ93に設けられたレゾルバ等から出力される情報を動作情報Yとして取得する。
【0021】
ステアリングホイール81に入力された操作者(運転者)の操舵力は、入力軸82aを介して操舵力アシスト機構83の減速装置92に伝わる。この時、ECU90は、入力軸82aに入力された操舵トルクTをトルクセンサ94から取得し、且つ車速信号Vを車速センサ95から取得する。そして、ECU90は、電動モータ93の動作を制御する。電動モータ93が作り出した補助操舵トルクは、減速装置92に伝えられる。
【0022】
出力軸82bを介して出力された操舵トルク(補助操舵トルクを含む)は、ユニバーサルジョイント84を介してロアシャフト85に伝達され、さらにユニバーサルジョイント86を介してピニオンシャフト87に伝達される。ピニオンシャフト87に伝達された操舵力は、ステアリングギヤ88を介してタイロッド89に伝達され、車輪を変位させる。
【0023】
図3は、本実施形態に係るステアリング装置の一部を示す側面図である。なお、以下の説明において、
図3に示す回転中心軸Zに沿う方向のうち、ステアリング装置80を車体に取り付けた場合の車体の前方は、単に前方と記載され、ステアリング装置80を車体に取り付けた場合の車体の後方は、単に後方と記載され、ステアリング装置80を車体に取り付けた場合の車体の側方は、単に側方と記載される。また、回転中心軸Zに対する直交方向のうち、ステアリング装置80を車体に取り付けた場合の車体の上方は、単に上方と記載され、ステアリング装置80を車体に取り付けた場合の車体の下方は、単に下方と記載される。すなわち、
図3において、図中の左側が前方FRであり、図中の右側が後方RRであり、図中の上側が上方UPRであり、図中の下側が下方LWRである。
【0024】
図3に示すように、ステアリングコラム2は、入力軸82aを回転中心軸Zを中心に回転可能に支持するための部材である。ステアリングコラム2は、ピボットブラケット25を介して車体に取り付けられている。ピボットブラケット25は、例えばインナーコラム22の前方端部に設けられ、ステアリングコラム2をチルト方向(上下方向)に揺動できるように支持する。ステアリングコラム2は、アウターコラム21と、インナーコラム22と、を備える。アウターコラム21及びインナーコラム22は、例えば機械構造用炭素鋼鋼管(いわゆるSTKM材)等の一般的な鋼材等から形成される。
【0025】
アウターコラム21は、例えば略円筒状の部材である。例えば、アウターコラム21は、インナーコラム22の後方RRに配置されている。アウターコラム21は、軸受を介して入力軸82aを支持している。インナーコラム22は、例えば略円筒状の部材である。インナーコラム22の一部はアウターコラム21に挿入されている。インナーコラム22の少なくとも一部はアウターコラム21の内壁に接しており、アウターコラム21とインナーコラム22との間には摩擦力が生じている。インナーコラム22とアウターコラム21との間に生じる摩擦力は、通常の使用状態ではインナーコラム22とアウターコラム21とが相対的に移動しない大きさに設定されている。一方、インナーコラム22とアウターコラム21との間に生じる摩擦力は、2次衝突時にはインナーコラム22及びアウターコラム21が相対的に移動できる大きさに設定されている。なお、ブラケット23は、ステアリングコラム2を車体に支持するための部材である。ブラケット23は、上下方向に延びる左右一対の側板24を備える。
【0026】
側板24の側方には、回転カム27を介して操作レバー1が回動可能に支持される。操作レバー1は、ステアリングホイール81の位置調節を行うためのチルト調節を可能とする。チルト調節によって、ステアリングホイール81は上下方向に移動可能となる。なお、本開示は、テレスコピック調節を有する操作レバーにも適用可能である。テレスコピック調節によって、ステアリングホイール81はステアリングシャフト82の軸方向に移動可能となる。
【0027】
具体的には、ステアリングコラム2の径方向に延びるチルトロッド26の一端部には回転カム27が設けられ、回転カム27は操作レバー1の角穴111(
図4参照)に嵌合されている。また、チルトロッドの他端部にはアンカ部が設けられて、操作レバー1の揺動に基づいて側板24の内側面の車幅方向に沿った間隔を拡縮するチルトロック機構を構成している。ステアリングホイール81の位置調節を行う際には、操作レバー1を所定方向に揺動させることにより、回転カム27が操作レバー1と共に揺動して側板24の内側面の車幅方向に沿った間隔を拡げる。この状態で、ステアリングホイール81の高さ位置及び前後位置を調節できる。ステアリングホイール81を所望の位置に移動させた後、操作レバー1を逆方向に揺動させて、側板24の内側面の車幅方向に沿った間隔を縮めれば、ステアリングホイール81を、調節後の位置に保持できる。
【0028】
図4は、第1実施形態に係る操作レバーの側面図である。
図5は、
図4の上面図である。
図4に示すように、操作レバー1は、レバー本体11とノブ部12とを備え、長手方向D1に沿って延びている。レバー本体11は、一端部110と、他端部120と、中間部130と、を備える。一端部110には、角穴111が設けられ、角穴111には、
図3に示す回転カム27が嵌合されている。即ち、レバー本体11の一端部110は、回転カム27及びチルトロッド26を介して側板24に回動可能に支持される。他端部120には、詳細に後述する第1切欠部3及び第2切欠部4が設けられる。他端部120には、第1切欠部3及び第2切欠部4を覆った状態でインサート成形された樹脂製のノブ部12が設けられる。一端部110と他端部120との間には、中間部130が設けられる。中間部130には、長手方向D1向に沿うリブ131がプレス成形によって形成されている。また、
図5に示すように、一端部110と他端部120とは、ほぼ平行に延びる。具体的には、一端部110と他端部120との間の角度(一端部110と他端部120との交差角)は、10度から20度である。
【0029】
図4に示すように、操作レバー1は、長手方向D1に沿って配置された3つの屈曲部を有する。具体的には、長手方向D1に沿って、第1屈曲部141と、第2屈曲部142と、第3屈曲部143と、が配置される。先端112から第1屈曲部141までが一端部110である。第1屈曲部141から第2屈曲部142を介して第3屈曲部143までが中間部130である。第3屈曲部143から他端113までが他端部120である。他端部120は、
図5に示すように、第2屈曲部142から第3屈曲部143までの部位に対して、板厚方向D2に傾斜している。この傾斜によって、ノブ部12がレバー本体11から抜けにくくなっている。なお、
図5に示すように、長手方向D1と板厚方向D2とは直交し、
図4に示すように、長手方向D1と幅方向D3とは直交する。即ち、幅方向D3は、長手方向D1と板厚方向D2との双方に直交する。
【0030】
図6は、第1実施形態に係る操作レバーのレバー本体の端部を拡大した側面図である。レバー本体11の他端部120(端部)には、第1切欠部3及び第2切欠部4が設けられる。第1切欠部3は、レバー本体11の幅方向D3の一方側端部に設けられ、第2切欠部4は、レバー本体11の幅方向D3の他方側端部に設けられる。即ち、第1切欠部3と第2切欠部4とは、レバー本体11を挟んで幅方向D3の両側に一対に配置される。
【0031】
レバー本体11の他端部120の端縁は、第1縁30である。第1縁30は、前述した他端113であり、幅方向D3に沿って延びる。第1縁30は、第1角部31から第2角部32まで延びている。例えば、ステアリングホイール81の位置が固定されている時(操作レバー1が最も上側にある時)、第1縁30は、鉛直方向に沿う。なお、第2角部32から第3角部33までは湾曲した弧状部34が形成されている。第1切欠部3の縁は、第2縁35と第3縁36と内側縁37とを備える。第2縁35及び第3縁36は、第1縁30に沿って延びている。内側縁37は、長手方向D1に沿って延びている。第2縁35と第3縁36と内側縁37とでU字状の形状を有する。第2切欠部4の縁は、第4縁41と第5縁42と内側縁43とを備える。第4縁41及び第5縁42は、第1縁30に沿って延びている。内側縁43は、長手方向D1に沿って延びている。第4縁41と第5縁42と内側縁43とでU字状の形状を有する。
【0032】
図7は、第1実施形態に係る操作レバーのレバー本体の端部を示す側面図であり、レバー本体の端部に回転モーメントが印加された状態を示す。まず、第1切欠部3と第2切欠部4との幅方向D3の中央を含み且つレバー本体11の板厚方向D2(
図5参照)に延びる軸Cを仮想的に設定する。乗員がノブ部12を把持して操作レバー1を下方の矢印方向100に回転させると、軸Cを中心としてノブ部12がレバー本体11に対して回転しようとする。すると、ノブ部12の樹脂部分が第1縁30、第2縁35及び第5縁42を押圧する力101,102(矢印で示す)が印加される。力101,102の入力方向と第2縁35及び第5縁42とは略直交するため、第2縁35及び第5縁42とによってノブ部12の力101,102を受けることができる。このように、前述した回転モーメントは、軸Cを中心として、ノブ部12の樹脂部分がレバー本体11の他端部120を回転させようとする力101,102である。
【0033】
以上説明したように、第1実施形態の操作レバー1は、金属板製のレバー本体11と、レバー本体11の長手方向D1の端部に設けられた樹脂製のノブ部12と、を備え、レバー本体11の長手方向D1の他端部120(端部)は、レバー本体11の長手方向D1及び板厚方向D2に直交する幅方向D3の一方側端部に配置された第1切欠部3と幅方向D3の他方側端部に配置された第2切欠部4とを有し、第1切欠部3及び第2切欠部4は、ノブ部12で覆われている。
【0034】
これによれば、レバー本体11の長手方向D1の端部に第1切欠部3及び第2切欠部4が設けられ、且つ、第1切欠部3及び第2切欠部4はノブ部12で覆われている。このため、第1切欠部3及び第2切欠部4を覆っている樹脂部分によってノブ部12が保持されるため、ノブ部12に荷重が印加された場合にノブ部12がレバー本体11の端部から外れることが抑制される。また、第1切欠部3及び第2切欠部4が幅方向D3の端部に設けられるので、特許文献1の操作レバーと比較すると、操作レバー1全体の重量をより小さくすることができる。このように、本開示によれば、ノブ部12がレバー本体11から外れることを抑制しつつ重量がより小さくなる操作レバー1を備えたステアリング装置80を提供することができる。
【0035】
また、第1切欠部3は、レバー本体11の長手方向D1の端縁である第1縁30に沿って延びる第2縁35と第3縁36とを備え、第2切欠部4は、第1縁30に沿って延びる第4縁41と第5縁42とを備える。
【0036】
第1切欠部3の第2縁35及び第3縁36、並びに、第2切欠部4の第4縁41及び第5縁42は全て、第1縁30に沿って延びている。ここで、チルトロッド26を中心とする周方向の一方側にレバー本体11を揺動させる場合、第1切欠部3と第2切欠部4との幅方向D3の中央に位置する軸Cを中心としてノブ部12が回転しようとする。すると、ノブ部12の樹脂部分が第1縁30、第2縁35及び第5縁42を押圧する。また、周方向の他方側に揺動させる場合、ノブ部12の樹脂部分が第1縁30、第3縁36及び第4縁41を押圧する。このように、レバー本体11の第1縁30、第1切欠部3の第2縁35及び第3縁36、並びに、第2切欠部4の第4縁41及び第5縁42の摩擦が増加するため、ノブ部12がレバー本体11から外れることが更に抑制され、且つ、レバー本体11の曲げ剛性が向上する。
【0037】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る操作レバーの側面図である。
図9は、第2実施形態に係る操作レバーのレバー本体の端部を拡大した側面図である。
【0038】
図8に示すように、操作レバー1Aは、レバー本体11Aとノブ部12Aとを備え、長手方向に沿って延びている。レバー本体11Aは、一端部110Aと、他端部120Aと、中間部130Aと、を備える。一端部110Aには、角穴111Aが設けられる。中間部には、リブ131Aが設けられる。
【0039】
図9に示すように、レバー本体11Aの他端部120A(端部)には、第1切欠部3A及び第2切欠部4Aが設けられる。第1切欠部3Aは、レバー本体11Aの幅方向の一方側端部に設けられ、第2切欠部4Aは、レバー本体11Aの幅方向の他方側端部に設けられる。即ち、第1切欠部3Aと第2切欠部4Aとは、レバー本体11Aを挟んで幅方向D3の両側に一対に配置される。
【0040】
レバー本体11Aの他端部120Aの端縁は、第1縁30Aである。第1縁30Aは、幅方向の両側に一対に設けられ、一対の第1縁30A同士の間には、切欠き38が設けられる。第1切欠部3Aの縁は、第2縁35Aと第3縁36Aと内側縁37Aとを備える。第2縁35A及び第3縁36Aは、第1縁30Aに沿って延びている。内側縁37Aは、長手方向に沿って延びている。第2縁35Aと第3縁36Aと内側縁37AとでU字状の形状を有する。第2切欠部4Aの縁は、第4縁41Aと第5縁42Aと内側縁43Aとを備える。第4縁41A及び第5縁42Aは、第1縁30Aに沿って延びている。内側縁43Aは、長手方向に沿って延びている。第4縁41Aと第5縁42Aと内側縁43AとでU字状の形状を有する。
【0041】
以上説明したように、第2実施形態では、レバー本体11Aの他端部120Aに印加される回転モーメントが切欠き38にも印加されるため、ノブ部12Aがレバー本体11Aから外れることが更に抑制され、且つ、レバー本体11Aの曲げ剛性が向上する。
【0042】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態に係る操作レバーの側面図である。
図11は、第3実施形態に係る操作レバーのレバー本体の端部を拡大した側面図である。
【0043】
図10に示すように、操作レバー1Bは、レバー本体11Bとノブ部12Bとを備え、長手方向に沿って延びている。レバー本体11Bは、一端部110Bと、他端部120Bと、中間部130Bと、を備える。一端部には、角穴111Bが設けられる。中間部には、リブ131Bが設けられる。
【0044】
図11に示すように、レバー本体11Bの他端部120B(端部)には、第1切欠部3B及び第2切欠部4Bが設けられる。第1切欠部3Bは、レバー本体11Bの幅方向の一方側端部に設けられ、第2切欠部4Bは、レバー本体11Bの幅方向の他方側端部に設けられる。即ち、第1切欠部3Bと第2切欠部4Bとは、レバー本体11Bを挟んで幅方向の両側に一対に配置される。
【0045】
レバー本体11Bの他端部の端縁は、第1縁30Bである。詳細には、第1縁30Bは、レバー本体11Bの他端部に設けられた突起部50の端縁である。第1切欠部3Bの縁は、第2縁35Bと第3縁36Bと内側縁37Bとを備える。第2縁35B及び第3縁36Bは、第1縁30Bに沿って延びている。内側縁37Bは、長手方向に沿って延びている。第2縁35Bと第3縁36Bと内側縁37BとでU字状の形状を有する。第2切欠部4Bの縁は、第4縁41Bと第5縁42Bと内側縁43Bとを備える。第4縁41B及び第5縁42Bは、第1縁30Bに沿って延びている。内側縁43Bは、長手方向に沿って延びている。第4縁41Bと第5縁42Bと内側縁43BとでU字状の形状を有する。
【0046】
以上説明したように、第3実施形態では、レバー本体11Bの他端部120Bに印加される回転モーメントが突起部50にも印加されるため、ノブ部12Bがレバー本体11Bから外れることが更に抑制され、且つ、レバー本体11Bの曲げ剛性が向上する。
【0047】
[第1参考例]
図12は、第1参考例に係るレバー本体の側面図である。
図12に示すように、第1参考例に係るレバー本体11Cは、一端部110Cと、他端部120Cと、中間部130Cと、を備える。一端部110Cには、角穴111Cが設けられる。中間部には、リブ131Cが設けられる。
【0048】
レバー本体11Cの他端部120C(端部)には、円形穴51と切欠部52が設けられる。レバー本体11Cの他端部120Cの端縁は、第1縁30Cである。第1縁30Cは、幅方向の両側に一対に設けられ、一対の第1縁30C同士の間に切欠部52が設けられる。切欠部52の縁は、U字状の形状を有する。
【0049】
以上説明したように、第1参考例では、レバー本体11Cの他端部120Cに印加される回転モーメントが円形穴51と切欠部52に印加されるため、ノブ部12がレバー本体11Cから外れることが更に抑制され、且つ、レバー本体11Cの曲げ剛性が向上する。
【0050】
[第2参考例]
図13は、第2参考例に係るレバー本体の側面図である。
図13に示すように、第2参考例に係るレバー本体11Dは、一端部110Dと、他端部120Dと、中間部130Dと、を備える。一端部110Dには、角穴111Dが設けられる。中間部130Dには、リブ131Dが設けられる。
【0051】
レバー本体11Dの他端部120D(端部)には、略L字状の切欠部53が設けられる。レバー本体11Dの他端部120Dの端縁は、第1縁30Dである。
【0052】
以上説明したように、第2参考例では、レバー本体11Dの他端部120Dに印加される回転モーメントが切欠部53に印加されるため、ノブ部12がレバー本体11Dから外れることが更に抑制され、且つ、レバー本体11Dの曲げ剛性が向上する。
【0053】
[第3参考例]
図14は、第3参考例に係るレバー本体の側面図である。
図14に示すように、第3参考例に係るレバー本体11Eは、一端部110Eと、他端部120Eと、中間部130Eと、を備える。一端部110Eには、角穴111Eが設けられる。中間部には、リブ131Eが設けられる。
【0054】
レバー本体11Eの他端部120E(端部)には、V字状の突起54が設けられる。突起54は、長手方向の他端側に突出する2つの脚部541,542を備える。2つの脚部541,542の間が切欠部55となっている。レバー本体11Eの他端部120Eの端縁は、突起54の端縁である第1縁30Eである。
【0055】
以上説明したように、第3参考例では、レバー本体11Eの他端部120Eに印加される回転モーメントがV字状の突起54に印加されるため、ノブ部12がレバー本体11Eから外れることが更に抑制され、且つ、レバー本体11Eの曲げ剛性が向上する。
【0056】
[第4参考例]
図15は、第4参考例に係るレバー本体の側面図である。
図15に示すように、第4参考例に係るレバー本体11Fは、一端部110Fと、他端部120Fと、中間部130Fと、を備える。一端部110Fには、角穴111Fが設けられる。中間部130Fには、リブ131Fが設けられる。
【0057】
レバー本体11Fの他端部120F(端部)には、切欠部56が設けられる。切欠部56は、円形穴561と円形穴561に連通する矩形穴562とを備える。矩形穴562は長手方向に延び、他端が開口されている。レバー本体11Fの他端部120Fの端縁は、第1縁30Fである。
【0058】
以上説明したように、第4参考例では、レバー本体11Fの他端部120Fに印加される回転モーメントが切欠部56に印加されるため、ノブ部12がレバー本体11Fから外れることが更に抑制され、且つ、レバー本体11Fの曲げ剛性が向上する。
【符号の説明】
【0059】
1、1A、1B 操作レバー
3、3A、3B 第1切欠部
4、4A、4B 第2切欠部
11、11A、11B レバー本体
12、12A、12B ノブ部
30、30A、30B 第1縁
35、35A、35B 第2縁
36、36A、36B 第3縁
41、41A、41B 第4縁
42、42A、42B 第5縁
80 ステアリング装置
120、120A、120B 他端部(端部)
D1 長手方向
D2 板厚方向
D3 幅方向