IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用照明装置 図1
  • 特許-車両用照明装置 図2
  • 特許-車両用照明装置 図3
  • 特許-車両用照明装置 図4
  • 特許-車両用照明装置 図5
  • 特許-車両用照明装置 図6
  • 特許-車両用照明装置 図7
  • 特許-車両用照明装置 図8
  • 特許-車両用照明装置 図9
  • 特許-車両用照明装置 図10
  • 特許-車両用照明装置 図11
  • 特許-車両用照明装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20231114BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60Q1/04 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020137611
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033618
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 真央
(72)【発明者】
【氏名】岡部 善治
(72)【発明者】
【氏名】志田 充央
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-012493(JP,A)
【文献】特開2007-153167(JP,A)
【文献】特開2020-055519(JP,A)
【文献】特開2018-090253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に搭載され、所定の方向に配列された複数の発光部と、
前記複数の発光部のそれぞれの発光強度を制御する制御装置と、
前記車両の運転を開始する際に運転者によって操作される操作部と、
を備え、
前記制御装置は、第1期間の終了時点にて前記複数の発光部のそれぞれの前記発光強度が所定の第1強度以上になるように、前記複数の発光部のそれぞれの前記発光強度を変化させる特定点灯制御を実行するように構成され、
前記第1期間は、前記操作部が操作された操作時点から、当該操作時点からの経過時間が所定の第1時間になるまでの期間であり、
前記第1期間は、複数の時間間隔を含む第2期間を含み、
前記制御装置は、前記第2期間の前記時間間隔のそれぞれにおいて、前記複数の発光部のうちの少なくとも1組の互いに隣接する前記発光部の間で発光パラメータが異なるように、前記特定点灯制御を実行するとともに、前記第2期間において前記複数の発光部の前記発光強度の合計が徐々に増加するように、前記特定点灯制御を実行するように構成され、
前記発光パラメータは、前記時間間隔における前記発光強度の変化量の大きさと、前記時間間隔における前記発光強度の増減方向と、前記時間間隔の終了時点での前記発光強度と、の少なくとも2つを含む、
車両用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用照明装置において、
前記制御装置は、前記時間間隔のそれぞれの終了時点にて、前記複数の発光部のそれぞれの前記発光強度が所定の範囲内になるように、前記特定点灯制御を実行するように構成された、
車両用照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用照明装置において、
前記複数の発光部は、前記車両の前記前部の左側に設けられた複数の第1発光部と、前記車両の前記前部の右側に設けられた複数の第2発光部と、を含み、
前記制御装置は、
前記第2期間の前記時間間隔のそれぞれにおいて、少なくとも1組の互いに隣接する前記第1発光部の間で前記発光パラメータが互いに異なるように、前記特定点灯制御を実行し、且つ、
前記第2期間の前記時間間隔のそれぞれにおいて、少なくとも1組の互いに隣接する前記第2発光部の間で前記発光パラメータが互いに異なるように、前記特定点灯制御を実行する
ように構成され、
更に、前記第2期間において、前記複数の第1発光部の前記発光強度の変化のパターンと前記複数の第2発光部の前記発光強度の変化のパターンとが異なる、
車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部に搭載された複数の発光部のそれぞれの発光強度を制御する車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の周囲に存在する人間(歩行者及び他車両の運転者等)に対し、当該車両が発進することを、発光部からの光を用いて報知することができる車両用照明装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、車両の前部に複数の発光部(光源ユニット)を備える。これらの複数の発光部は、車幅方向(左右方向)に一列に並べられている。従来装置は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に変更されたとき、互いに隣接する3つの発光部を選択的に点灯させる点灯制御を実行する。これにより、従来装置は、車両が発進する前に歩行者の注意を喚起することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-12493号公報
【発明の概要】
【0005】
従来装置は、点灯制御において、発光領域(3つの発光部)を左側から右側に向けて移動させる。しかし、この点灯制御においては、発光領域が一方向へ単純に移動するだけなので、車両の周囲に存在する人間の注意を引けない場合もある。例えば、車両が旋回する状況においては、ヘッドライトの発光領域が一方向へ移動する。歩行者は、このような発光領域の一方向への移動に普段から慣れている。従って、従来装置における点灯制御に対して注意を向けない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的の一つは、車両が発進する前に、車両の周囲に存在する人間の注意を引くことが可能な車両用照明装置を提供することである。
【0007】
本発明の車両用照明装置は、
車両の前部に搭載され、所定の方向に配列された複数の発光部(33L-1~33L-n、及び、33R-1~33R-n)と、
前記複数の発光部のそれぞれの発光強度(cd)を制御する制御装置(10)と、
前記車両の運転を開始する際に運転者によって操作される操作部(50)と、
を備える。
前記制御装置は、第1期間(Tp1)の終了時点にて前記複数の発光部のそれぞれの前記発光強度が所定の第1強度(cd1)以上になるように、前記複数の発光部のそれぞれの前記発光強度を変化させる特定点灯制御を実行するように構成されている。前記第1期間は、前記操作部が操作された操作時点から、当該操作時点からの経過時間が所定の第1時間(Tm1)になるまでの期間である。更に、前記第1期間は、複数の時間間隔(ti_1、…、ti_10)を含む第2期間(Tp2)を含む。
前記制御装置は、前記第2期間の前記時間間隔のそれぞれにおいて、前記複数の発光部のうちの少なくとも1組の互いに隣接する前記発光部の間で発光パラメータが異なるように、前記特定点灯制御を実行するように構成されている。
前記発光パラメータは、前記時間間隔における前記発光強度の変化量の大きさと、前記時間間隔における前記発光強度の増減方向と、前記時間間隔の終了時点での前記発光強度と、の少なくとも2つを含む。
【0008】
上記構成を備える照明装置は、操作部に対する操作に応じて、複数の発光部のそれぞれの発光強度を第1強度以上に増加させる。更に、照明装置は、少なくとも一部の発光部(上記の少なくとも1組の隣接する発光部)の発光強度を不規則に変化させる。このように、複数の発光部のそれぞれの発光強度が増加しつつ、少なくとも一部の発光部の発光強度が不規則に変化する。これにより、車両の周囲に存在する人間の注意を引くことができる。
【0009】
本発明の一態様において、前記制御装置は、前記第2期間において前記複数の発光部の前記発光強度の合計(SL_t0~SL_t10、及び、SR_t0~SR_t10)が徐々に増加するように、前記特定点灯制御を実行するように構成されている。
【0010】
上記構成によれば、複数の発光部の全体の明るさの度合が、途中で減少することなく、徐々に増加する。これにより、車両の周囲に存在する人間に対する注意喚起の効果を高めることができる。
【0011】
本発明の一態様において、前記制御装置は、前記時間間隔のそれぞれの終了時点(t1、…、t9)にて、前記複数の発光部のそれぞれの前記発光強度が所定の範囲内になるように、前記特定点灯制御を実行するように構成されている。
【0012】
上記構成によれば、時間間隔のそれぞれの終了時点において、各発光部の発光強度が所定の範囲内に収まる。従って、複数の発光部のそれぞれの発光強度が極端に小さくなること及び極端に大きくなることを防ぐことができる。
【0013】
本発明の一態様において、前記複数の発光部は、前記車両の前記前部の左側に設けられた複数の第1発光部(33L-1~33L-n)と、前記車両の前記前部の右側に設けられた複数の第2発光部(33R-1~33R-n)と、を含む。
前記制御装置は、
前記第2期間の前記時間間隔のそれぞれにおいて、少なくとも1組の互いに隣接する前記第1発光部の間で前記発光パラメータが互いに異なるように、前記特定点灯制御を実行し、且つ、
前記第2期間の前記時間間隔のそれぞれにおいて、少なくとも1組の互いに隣接する前記第2発光部の間で前記発光パラメータが互いに異なるように、前記特定点灯制御を実行する
ように構成されている。
更に、前記第2期間において、前記複数の第1発光部の前記発光強度の変化のパターンと前記複数の第2発光部の前記発光強度の変化のパターンとが異なる。
【0014】
上記構成によれば、複数の第1発光部の発光強度と複数の第2発光部の発光強度とが異なるパターンで変化するので、車両の周囲に存在する人間の注意を引く効果をより高めることができる。
【0015】
一以上の実施形態において、上記の制御装置は、本明細書に記述される1以上の機能を実行するためにプログラムされたマイクロプロセッサにより実施されてもよい。一以上の実施形態において、制御装置は、1以上のアプリケーションに特化された集積回路、即ち、ASIC等により構成されたハードウェアによって、全体的に或いは部分的に実施されてもよい。上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る車両用照明装置の概略構成図である。
図2】左ヘッドライト及び右ヘッドライトの配置を表す車両の正面図である。
図3】左ハイビームライト及び右ハイビームライトの構成を説明するための図である。
図4】左ハイビームライトの複数の発光部のそれぞれの発光強度の時間に対する変化を定義しているテーブルの一例である。
図5】左ハイビームライトの複数の発光部のそれぞれの発光強度の変化を説明するための図である。
図6】左ハイビームライトの複数の発光部のそれぞれの発光強度の変化を説明するための図である。
図7】右ハイビームライトの複数の発光部のそれぞれの発光強度の時間に対する変化を定義しているテーブルの一例である。
図8】右ハイビームライトの複数の発光部のそれぞれの発光強度の変化を説明するための図である。
図9】照明ECUのCPUが実行する「特定点灯制御実行ルーチン」を示したフローチャートである。
図10】左ハイビームライトの複数の発光部のそれぞれの発光強度の時間に対する変化を定義しているテーブルの変形例である。
図11】左ハイビームライトの複数の発光部のそれぞれの発光強度の時間に対する変化を定義しているテーブルの変形例である。
図12】左ハイビームライト及び右ハイビームライトを制御する構成の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<構成>
本実施形態に係る照明装置は車両に搭載される。図1に示したように、照明装置は、照明ECU10及びエンジンECU20を備えている。
【0018】
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)であり、CAN(Controller Area Network)40を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、RAM、ROM及びインターフェースI/F等を含む。例えば、照明ECU10は、CPU10a、RAM10b、ROM10c及びインターフェース(I/F)10d等を含むマイクロコンピュータを備える。CPU10aは、ROM10cに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより、後述する各種機能を実現するようになっている。
【0019】
なお、車両制御を実行する各種のECU(例えば、ブレーキECU及びステアリングECU等)がCAN40に接続されているが、本実施形態に係る照明装置とは直接関係しないため、それらについての記載は省略される。
【0020】
照明ECU10は、左ヘッドライト30L及び右ヘッドライト30Rに接続されている。照明ECU10は、左ヘッドライト30L及び右ヘッドライト30Rのそれぞれを制御することができる。
【0021】
図2に示すように、左ヘッドライト30Lは、車体200の前部の左側(左前コーナー部201L)に設けられ、右ヘッドライト30Rは、車体200の前部の右側(右前コーナー部201R)に設けられている。左ヘッドライト30L及び右ヘッドライト30Rの基本的な構成は同一である。左ヘッドライト30Lは、左ハイビームライト31L及び左ロービームライト32Lを含む。右ヘッドライト30Rは、右ハイビームライト31R及び右ロービームライト32Rを含む。
【0022】
再び図1を参照すると、エンジンECU20は、始動スイッチ50に接続されている。始動スイッチ50は、車両の運転を開始する際に運転者によって操作される操作部である。具体的には、始動スイッチ50は、車両の駆動源(本例では、エンジン21)を始動させる際に操作されるスイッチであり、「エンジンスタートスイッチ」又は「イグニッションスイッチ」とも称呼される場合がある。エンジンECU20は、始動スイッチ50の状態がオフ状態からオン状態に変更されると、エンジン21を始動させる。なお、エンジンECU20は、始動スイッチ50の状態(オフ状態又はオン状態)を表す信号をCAN40を介して照明ECU10に送信するようになっている。
【0023】
更に、エンジンECU20は、図示しないエンジンアクチュエータを駆動することによって、エンジン21が発生するトルクを変更することができる。従って、エンジンECU20は、エンジンアクチュエータを制御することによって、車両の駆動力を制御することができる。
【0024】
なお、車両がハイブリッド車両である場合、エンジンECU20は、車両駆動源としての「内燃機関及び電動機」の何れか一方又は両方によって発生する駆動力を制御することができる。更に、車両が電気自動車である場合、エンジンECU20は、車両駆動源としての電動機によって発生する駆動力を制御することができる。ハイブリッド車両又は電気自動車は、例えば、レディスイッチを備える。レディスイッチは、車両の運転を開始する際に運転者によって操作される操作部である。レディスイッチの状態がオフ状態からオン状態へと変更されると、車両の状態が「車両を走行可能な状態(起動状態)」へと変更される。レディスイッチの状態がオン状態であることは、始動スイッチ50がオン状態であることと同義である。
【0025】
<ハイビームライトの構成>
左ハイビームライト31L及び右ハイビームライト31Rは、それぞれ、車両の前方に光(ハイビーム)を照射するようになっている。本例において、照明装置は、アダプティブ・ハイビーム・システム(以下、単に「AHS」と称呼する。)を搭載している。AHSは周知である(例えば、特開2017-140947号公報及び特開2018-020683号公報等を参照。)。AHSは、図示しないセンサ(例えば、カメラセンサ)によって取得される「車両の周辺状況に関する情報」に基いて、左ハイビームライト31L及び右ハイビームライト31Rのそれぞれの照射領域を変更するシステムである。
【0026】
図3に示すように、左ハイビームライト31Lは、車幅方向(車両の左右方向)に配列された複数の(n個の)発光部(33L-1、33L-2、33L-3、…、33L-n)を含む。右ハイビームライト31Rは、車幅方向に配列された複数の(n個の)発光部(33R-1、33R-2、33R-3、…、33R-n)を含む。
【0027】
左ハイビームライト31L及び右ハイビームライト31Rは互いに同じ構成を有するので、以下では、左ハイビームライト31Lの構成について説明する。以降において、左ハイビームライト31Lにおける複数の発光部は、まとめて「複数の発光部33L」と表記される。複数の発光部33Lのそれぞれは、白色LED(発光ダイオード)を含む。
【0028】
照明ECU10は、複数の発光部33Lのそれぞれの点灯状態を独立して制御することができる。即ち、照明ECU10は、複数の発光部33Lのうちの1つ以上の発光部を選択的に点灯させることができる。更に、照明ECU10は、複数の発光部33Lのそれぞれに供給される電流の量を調整することにより、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度を制御することができる。ここで、発光強度とは、ある方向へ放射される光の明るさの度合である。発光強度は、例えば、単位立体角辺りの光束量である光度(cd)である(以降において、「発光強度cd」と表記する。)。
【0029】
なお、複数の発光部(LED)のそれぞれの点灯状態を独立して制御する技術として、例えば、特開2009-123566号公報、特開2008-37240号公報、及び、特開2008-114800号公報等に記載されている技術が採用されてもよい。
【0030】
<ハイビームライトの特定点灯制御>
照明ECU10は、始動スイッチ50の状態がオフ状態からオン状態へ変更されると、左ハイビームライト31L及び右ハイビームライト31Rを以下に述べるように特定の態様にて点灯させる。以降において、始動スイッチ50の状態がオフ状態からオン状態へ変更された時点(即ち、運転者が始動スイッチ50を操作した時点)を単に「オン時点(又は操作時点)」と称呼する。更に、オン時点の直後に行われる点灯制御を「特定点灯制御」と称呼する。
【0031】
特定点灯制御は、第1期間Tp1の終了時点にて複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが所定の第1強度cd1になるように、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdを変化させる制御である。第1期間Tp1は、オン時点から、オン時点からの経過時間が所定の第1時間Tm1になるまでの期間である。照明ECU10は、特定点灯制御を実行することにより、車両が発進しようとしていることを、車両の周囲に存在する人間(歩行者及び他車両の運転者等)に報知することができる。
【0032】
照明ECU10は、図4に示すテーブル400LをROM10cに予め格納している。テーブル400Lは、特定点灯制御を実行する際の複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdの時間に対する変化を定義している。なお、テーブル400Lにおいては、第1強度cd1を「100」として、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが正規化されている。第1強度cd1は、車両から所定の範囲内にいる人間が視認可能な任意の値に設定される。照明ECU10は、テーブル400Lとオン時点からの経過時間とに従って、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdを制御する(即ち、特定点灯制御を実行する)。
【0033】
時点t0は、オン時点(特定点灯制御の開始時点)である。時点t14は、特定点灯制御の終了時点である。第1期間Tp1は、時点t0から時点t14までの期間(=Tm1)である。第1期間Tp1の終了時点t14にて、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdは第1強度cd1(テーブル400Lにおける「100」)である。
【0034】
第1期間Tp1は、第2期間Tp2を含む。第2期間Tp2は、第1期間Tp1のうちの一部の期間であり、本例において、時点t0から時点t10までの期間である。第2期間Tp2は、複数(10個)の時間間隔(ti_1、…、ti_10)を含む。以降において、上記の複数の時間間隔のうちの任意の一つの時間間隔を「時間間隔ti_j」(j=1、…、10)と表現する。
【0035】
テーブル400Lによれば、第2期間Tp2の各時間間隔ti_jにおいて、配設位置が互いに隣接する2つの発光部33Lの間で、以下の発光パラメータのうちの少なくとも2つが異なる。発光パラメータは、時間間隔ti_jにおける発光強度cdの変化量の大きさ(絶対値)と、時間間隔ti_jにおける発光強度cdの変化の方向と、時間間隔ti_jの終了時点での発光強度cdと、を含む。なお、発光強度cdの変化の方向は、発光強度cdの増減方向を意味し、「増加」、「減少」及び「変化なし」を含む。
【0036】
例えば、時点t0から時点t1までの第1時間間隔ti_1における発光部33L-1の発光パラメータは、以下の通りである。
発光強度cdの変化量の大きさ:5
発光強度cdの変化の方向:増加
第1時間間隔ti_1の終了時点(即ち、時点t1)での発光強度cd:5
【0037】
第1時間間隔ti_1における「発光部33L-1に隣接する発光部33L-2」の発光パラメータは、以下の通りである。
発光強度cdの変化量の大きさ:12
発光強度cdの変化の方向:増加
第1時間間隔ti_1の終了時点での発光強度cd:12
【0038】
第1時間間隔ti_1における「発光部33L-2に隣接する発光部33L-3」の発光パラメータは、以下の通りである。
発光強度cdの変化量の大きさ:11
発光強度cdの変化の方向:増加
第1時間間隔ti_1の終了時点での発光強度cd:11
【0039】
上記のように、第1時間間隔ti_1において、互いに隣接する発光部33L-1及び33L-2の間で発光パラメータのうちの2つ(即ち、発光強度cdの変化量の大きさ及び第1時間間隔ti_1の終了時点での発光強度cd)が異なる。更に、第1時間間隔ti_1において、互いに隣接する発光部33L-2及び33L-3の間で発光パラメータのうちの2つ(即ち、発光強度cdの変化量の大きさ及び第1時間間隔ti_1の終了時点での発光強度cd)が異なる。
【0040】
例えば、時点t1から時点t2までの第2時間間隔ti_2における発光部33L-1の発光パラメータは、以下の通りである。
発光強度cdの変化量の大きさ:16
発光強度cdの変化の方向:増加
第2時間間隔ti_2の終了時点(即ち、時点t2)での発光強度cd:21
【0041】
第2時間間隔ti_2における発光部33L-2の発光パラメータは、以下の通りである。
発光強度cdの変化量の大きさ:0
発光強度cdの変化の方向:変化なし
第2時間間隔ti_2の終了時点での発光強度cd:12
【0042】
第2時間間隔ti_2における発光部33L-3の発光パラメータは、以下の通りである。
発光強度cdの変化量の大きさ:12
発光強度cdの変化の方向:増加
第2時間間隔ti_2の終了時点での発光強度cd:23
【0043】
上記のように、第2時間間隔ti_2において、互いに隣接する発光部33L-1及び33L-2の間で発光パラメータの全てが異なる。更に、第2時間間隔ti_2において、互いに隣接する発光部33L-2及び33L-3の間で発光パラメータの全てが異なる。
【0044】
複数の発光部33Lのうちの任意の一つの発光部を「発光部33L-m」(m=1、…、n-1)と表現する。本例では、第2期間Tp2の各時間間隔ti_jにおいて、互いに隣接する2つの発光部33L-m及び33L-m+1の間で発光パラメータの少なくとも2つが異なる。即ち、隣接する2つの発光部の全ての組に関して、第2期間Tp2の各時間間隔ti_jにおいて発光パラメータの少なくとも2つが異なる。
【0045】
本例において、第2期間Tp2の終了時点t10にて、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが第1強度cd1(テーブル400Lにおける「100」)になる。そして、時点t10から時点t14まで、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが第1強度cd1に維持される。
【0046】
なお、第1期間Tp1の終了時点t14にて複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが第1強度cd1になる限り、複数の発光部33Lの発光強度cdが異なるタイミングで第1強度cd1に到達してもよい。例えば、発光部33L-1の発光強度cdが、時点t10にて第1強度cd1より小さい値であり、時点t12にて第1強度cd1に到達してもよい。
【0047】
照明ECU10は、オン時点からの経過時間が第1時間Tm1に到達した後に(即ち、第1期間Tp1の終了時点t14の直後に)、特定点灯制御を終了させる。照明ECU10は、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdをゼロまで減少させる。
【0048】
このように、照明ECU10は、始動スイッチ50に対する操作に応じて、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdを第1強度cd1まで増加させる。更に、照明ECU10は、第2期間Tp2において、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdを不規則に変化させる。複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが増加し且つ不規則に変化するので、従来装置に比べて、車両の周囲に存在する人間の注意を引くことができる。照明ECU10は、車両が発進する前に、車両の周囲に存在する人間の注意をより効果的に喚起することができる。
【0049】
次に、本実施形態の更なる特徴について説明する。図5に示すように、第2期間Tp2の各時点(t0、…、t10)でのn個の発光部(33L-1、33L-2、33L-3、…、33L-n)の発光強度cdの合計を、「SL_t0、…、SL_t10」と表記する。テーブル400Lによれば、第2期間Tp2において、発光強度cdの合計値が徐々に大きくなる。従って、以下の式1の関係が成立する。
(式1)
SL_t0<SL_t1<SL_t2<SL_t3<SL_t4<SL_t5<SL_t6<SL_t7<SL_t8<SL_t9<SL_t10
【0050】
このように、照明ECU10は、テーブル400Lに従って、第2期間Tp2において発光強度cdの合計値が徐々に大きくなるように、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdを変化させる。複数の発光部33Lが全体の明るさの度合が、途中で減少することなく、徐々に増加する。これにより、車両の周囲に存在する人間の注意を引く効果をより高めることができる。
【0051】
更に、照明ECU10は、テーブル400Lに従って、第2期間Tp2の各時点(t0、…、t10)において複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが所定の範囲内になるように、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdを変化させる。
【0052】
この構成のために、テーブル400Lは以下のように作成されてよい。図6に示すように、まず、第2期間Tp2における各時点(t1、…、t9)での発光強度cdの基準値cd_refが設定される。基準値cd_refは、時間の経過とともに徐々に大きくなるように設定される。次に、基準値cd_refを所定値dw(正の値)だけ大きくした値が、発光強度cdの範囲の上限値として設定される。更に、基準値cd_refを所定値dwだけ小さくした値が、発光強度cdの範囲の下限値として設定される。所定値dwは、例えば、「基準値cd_refの10%~50%」である。本例において、所定値dwは、基準値cd_refの50%である。この場合、例えば、時点t1の基準値cd_refは「10」であり、所定値dwは5になるから、時点t1の発光強度cdの範囲は5~15である。
【0053】
なお、所定値dwは、基準値cd_refに対する割合に限定されず、発光強度cdの具体的な数値に設定されてもよい。この場合、所定値dwは、0より大きく且つ基準値cd_refよりも小さい値である。
【0054】
上記の構成によれば、第2期間Tp2の各時点(t1、…、t9)において、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが所定の範囲内に収まる。よって、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが極端に小さくなること及び極端に大きくなることを防ぐことができる。これにより、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdをスムーズに第1強度cd1まで増加させることができる。
【0055】
右ハイビームライト31Rに関しても、照明ECU10は、同様のやり方で特定点灯制御を実行する。以降において、右ハイビームライト31Rにおける複数の発光部は、まとめて「複数の発光部33R」と表記される。
【0056】
照明ECU10は、図7に示すテーブル400RをROM10cに予め格納している。テーブル400Rは、特定点灯制御を実行する際の複数の発光部33Rのそれぞれの発光強度cdの時間に対する変化を定義している。なお、テーブル400Rにおいては、第1強度cd1を「100」として、複数の発光部33Rのそれぞれの発光強度cdが正規化されている。照明ECU10は、テーブル400Rとオン時点からの経過時間とに従って、複数の発光部33Rのそれぞれの発光強度cdを制御する。
【0057】
テーブル400Rによれば、第2期間Tp2の各時間間隔ti_jにおいて、互いに隣接する2つの発光部33Rの各組の間で発光パラメータのうちの少なくとも2つが異なる。複数の発光部33Rのうちの任意の一つの発光部を「発光部33R-m」(m=1、…、n-1)と表現する。本例では、第2期間Tp2の各時間間隔ti_jにおいて、隣接する2つの発光部33R-m及び33R-m+1の間で発光パラメータの少なくとも2つが異なる。
【0058】
なお、テーブル400Rは、第2期間Tp2における複数の発光部33Rの発光強度cdの変化のパターンが、第2期間Tp2における複数の発光部33Lの発光強度cdの変化パターンと異なるように、設定されている。例えば、発光部33R-1及び発光部33L-1の間で、発光パラメータ(例えば、第1時間間隔ti_1における発光強度cdの変化量の大きさ及び第1時間間隔ti_1の終了時点での発光強度cd)が異なる。このように、第2期間Tp2において、複数の発光部33Rの発光強度cdと複数の発光部33Lの発光強度cdとが異なるパターンで変化する。従って、車両の周囲に存在する人間の注意を引く効果をより高めることができる。
【0059】
更に、第2期間Tp2の各時点(t0、…、t10)でのn個の発光部(33R-1、33R-2、33R-3、…、33R-n)の発光強度cdの合計を、「SR_t0、…、SR_t10」と表記する。テーブル400Rにおいても、以下の式2の関係が成立する。
(式2)
SR_t0<SR_t1<SR_t2<SR_t3<SR_t4<SR_t5<SR_t6<SR_t7<SR_t8<SR_t9<SR_t10
【0060】
更に、テーブル400Rは以下のように作成されてよい。図8に示すように、第2期間Tp2における各時点(t1、…、t9)での発光強度cdの基準値cd_refが設定される。基準値cd_refを所定値dwだけ大きくした値が、発光強度cdの範囲の上限値として設定される。更に、基準値cd_refを所定値dwだけ小さくした値が、発光強度cdの範囲の下限値として設定される。所定値dwは、上述したように、基準値cd_refの50%である。従って、第2期間Tp2の各時点(t1、…、t9)において、複数の発光部33Rのそれぞれの発光強度cdが所定の範囲内に収まる。
【0061】
<作動>
次に、照明ECU10のCPU10a(単に「CPU」と称呼する。)の作動について説明する。CPUは、所定時間が経過する毎に、図9にフローチャートにより示した「特定点灯制御実行ルーチン」を実行するようになっている。
【0062】
所定のタイミングになると、CPUは、図9のステップ900から処理を開始してステップ901に進み、実行フラグX1の値が「0」であるか否かを判定する。実行フラグX1は、その値が「0」であるとき、特定点灯制御が実行されていないことを示す。実行フラグX1は、その値が「1」であるとき、特定点灯制御が実行されていることを示す。
【0063】
いま、実行フラグX1の値が「0」であると仮定すると、CPUはステップ901にて「Yes」と判定してステップ902に進み、所定の開始条件が成立するか否かを判定する。開始条件は、始動スイッチ50の状態がオフ状態からオン状態へと変更されたときに成立する。開始条件が成立しない場合、CPUはステップ902にて「No」と判定してステップ995に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0064】
これに対し、開始条件が成立した場合、CPUは、ステップ902にて「Yes」と判定して、以下に述べるステップ903乃至ステップ905の処理を順に行う。その後、CPUはステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0065】
ステップ903:CPUは、実行フラグX1の値を「1」に設定する。
ステップ904:CPUは、ROM10cからテーブル400L及び400Rを読み込む。
【0066】
ステップ905:CPUは、テーブル400Lとオン時点からの経過時間とに従って、左ハイビームライト31Lの複数の発光部33Lのそれぞれに対して制御指令を送信する。加えて、CPUは、テーブル400Rとオン時点からの経過時間とに従って、右ハイビームライト31Rの複数の発光部33Rのそれぞれに対して制御指令を送信する。このように、CPUは、特定点灯制御を実行する。
【0067】
CPUが、特定点灯制御を開始した後に、図9のルーチンを再び開始する。CPUがステップ901に進むと、CPUは、「No」と判定してステップ906に進む。CPUは、所定の終了条件が成立するか否かを判定する。終了条件は、オン時点(本例において、ステップ903を実行した時点)からの経過時間が第1時間Tm1に到達したときに成立する。終了条件が成立しない場合、CPUは、ステップ906にて「No」と判定してステップ905に進み、特定点灯制御を継続する。
【0068】
これに対し、終了条件が成立した場合、CPUはステップ906にて「Yes」と判定して、以下に述べるステップ907及びステップ908の処理を順に行う。その後、CPUはステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0069】
ステップ907:CPUは、左ハイビームライト31Lの複数の発光部33Lのそれぞれに対して制御指令を送信して、当該複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdをゼロまで減少させる。更に、CPUは、右ハイビームライト31Rの複数の発光部33Rのそれぞれに対して制御指令を送信して、当該複数の発光部33Rのそれぞれの発光強度cdをゼロまで減少させる。このように、CPUは、特定点灯制御を終了させる。
ステップ908:CPUは、実行フラグX1の値を「0」に設定する。
【0070】
以上の構成を備える照明装置は、始動スイッチ50に対する操作に応じて、複数の発光部33L及び33Rのそれぞれの発光強度cdを第1強度cd1まで増加させる。更に、照明装置は、複数の発光部33L及び33Rのそれぞれの発光強度cdが第1強度cd1になるまでに(即ち、第2期間Tp2において)、複数の発光部33L及び33Rのそれぞれの発光強度cdを不規則に変化させる。
【0071】
上述したように、従来装置は、発光領域を一方向へ移動させるだけなので、車両の周囲に存在する人間の注意を引けない場合もある。これに対し、本実施形態における照明装置は、複数の発光部33L及び33Rのそれぞれの明るさの度合を増加させながら、複数の発光部33L及び33Rのそれぞれの発光強度cdを不規則に変化させる。照明装置は、従来装置に比べて、車両の周囲に存在する人間の注意を引く効果を高めることができる。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0073】
(変形例1)
第2期間Tp2は、上記の例(時点t0から時点t10までの期間)に限定されない。第2期間Tp2は、第1期間Tp1の少なくとも一部の期間であればよい。例えば、照明ECU10は、図10に示すテーブル400L_aに従って、特定点灯制御を実行してもよい。テーブル400L_aにおいて、第2期間Tp2は、時点t3から時点t9までの期間である。この構成によれば、時点t0から時点t3までの期間において複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが規則的に(10ずつ)増加し、時点t3から時点t9までの期間において複数の発光部33Lの発光強度cdが不規則に変化する。この不規則な発光強度cdの変化によって車両の周囲に存在する人間の注意を引くことができる。別の例において、第2期間Tp2は、第1期間Tp1と同じであってもよく、即ち、時点t0から時点t14までの期間であってもよい。
【0074】
(変形例2)
上記の例では、隣接する発光部の全ての組に関して、第2期間Tp2の各時間間隔ti_jにおいて発光パラメータの少なくとも2つが異なるが、これに限定されない。第2期間Tp2の各時間間隔ti_jにおいて、少なくとも1組の互いに隣接する発光部の間で発光パラメータが異なる限り、上述の効果を得ることができる。
【0075】
例えば、照明ECU10は、図11に示すテーブル400L_bに従って、特定点灯制御を実行してもよい。テーブル400L_bによれば、発光部33L-1の発光強度cdが第2期間Tp2において不規則に増加する。これに対して、他の発光部(33L-2、…、発光部33L-n)の発光強度cdが第2期間Tp2において規則的に(10ずつ)増加する。この構成によれば、第2期間Tp2の各時間間隔ti_jにおいて、1組の隣接する発光部(33L-1及び33L-2)の間のみで発光パラメータの少なくも2つが異なる。一部の発光部33Lの発光強度cdが不規則に変化するので、車両の周囲に存在する人間の注意を引くことができる。
【0076】
(変形例3)
上記の例では、第1期間Tp1の終了時点t14にて、全ての発光部33Lの発光強度cdが第1強度cd1であるが、これに限定されない。第1期間Tp1の終了時点t14にて、複数の発光部33Lの1つ以上の発光強度cdが第1強度cd1を超えていてもよい。従って、特定点灯制御は、第1期間Tp1の終了時点にて複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdが第1強度cd1以上になる制御であってもよい。
【0077】
(変形例4)
上記の式1及び式2の関係が成立しなくてもよい。第2期間Tp2において、発光強度cdの合計値が、途中で減少し、その後、徐々に大きくなってもよい。
【0078】
(変形例5)
図12に示すように、照明装置は、ドライバ60を更に備えてもよい。ドライバ60は、左ハイビームライト31Lの複数の発光部33L及び右ハイビームライト31Rの複数の発光部33Rを制御するECUを含む。この構成において、ドライバ60は、テーブル400L及びテーブル400Rを予め格納している。照明ECU10は、開始条件が成立した場合、ドライバ60に対して所定の開始指令を送信する。ドライバ60は、開始指令に応じて、テーブル400L及びテーブル400Rに従って、特定点灯制御を実行する。照明ECU10は、終了条件が成立した場合、ドライバ60に対して所定の終了指令を送信する。ドライバ60は、終了指令に応じて、特定点灯制御を終了させる。
【0079】
別の例において、照明ECU10は、開始条件が成立した場合、図6に示した発光強度cdの基準値cd_refに関する情報をドライバ60に送信してもよい。ドライバ60は、第2期間Tp2において、基準値cd_refに基いて、複数の発光部33Lのそれぞれの発光強度cdを図6に示した発光強度の範囲内でランダムに変更させてもよい。
【0080】
(変形例6)
上記の例において、左ハイビームライト31L及び右ハイビームライト31Rは、それぞれ、車幅方向に一列に配列された発光部を含むが、これに限定されない。左ハイビームライト31L及び右ハイビームライト31Rは、それぞれ、車幅方向に複数列に配列された発光部を含んでもよい。この構成において、照明ECU10は、第2期間Tp2の各時間間隔ti_jにおいて、上下に隣接する発光部の間で発光パラメータのうちの少なくとも2つが異なるように、複数の発光部のそれぞれの発光強度を変更させてもよい。
【0081】
(変形例7)
なお、上記の実施形態においては、複数の発光部のそれぞれの発光強度の最大出力が発光強度の範囲(図6及び図8を参照。)の最大値になり得るが、これに限定されない。発光強度が強すぎることにより発光部に故障が生じることを避けるため、複数の発光部のそれぞれの発光強度に関して上限値が設定されてもよい。1以上の実施形態において、テーブル400L及び400Rは、それぞれ、複数の発光部のそれぞれの発光強度が当該上限値を超えないように、定義されてもよい。1以上の実施形態において、第1強度cd1は、当該上限値に設定されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…照明ECU、20…エンジンECU、30L、30R…ヘッドライト、31L、31R…ハイビームライト、32L、32R…ロービームライト、33L、33R…発光部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12