(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】物品収容装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20231114BHJP
B65D 85/30 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/30 500
(21)【出願番号】P 2020149025
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宣之
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/005611(WO,A1)
【文献】特開2009-290102(JP,A)
【文献】特開2019-36761(JP,A)
【文献】特表2009-540556(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073823(WO,A1)
【文献】特表2009-500256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の物品を載せて支持可能な支持体を複数有し、これら前記支持体を上下方向に重ねることにより、内部に上下の前記支持体間に連なり、不活性ガスを充填可能な閉じた空間となるガス充填可能部を構成する収容容器と、
前記収容容器を構成する重ねられた複数の前記支持体のうちの1つの前記支持体と、その上側の前記支持体とを上下方向に離し、前記1つの支持体に支持された物品を取り出すための取り出し空間を形成する開閉装置と、
前記取り出し空間に向けて不活性ガスを噴出するガス噴出装置と、
前記収容容器を昇降させる昇降装置と、を備え、
前記ガス噴出装置は、不活性ガスが入れられていた前記ガス充填可能部から前記開閉装置により形成された前記取り出し空間を介して前記収容容器外に漏れ出ることを抑制する、又は、前記取り出し空間を介して、不活性ガスが入れられている前記ガス充填可能部に不活性ガスを補填し、
前記開閉装置は、前記昇降装置により昇降される前記収容容器に対して所定高さで前記取り出し空間を形成させ、
前記ガス噴出装置は、前記所定高さに対応した不活性ガスの噴出口を備える、
物品収容装置。
【請求項2】
板状の物品を載せて支持可能な支持体を複数有し、これら前記支持体を上下方向に重ねることにより、内部に上下の前記支持体間に連なり、不活性ガスを充填可能な閉じた空間となるガス充填可能部を構成する収容容器と、
前記収容容器を構成する重ねられた複数の前記支持体のうちの1つの前記支持体と、その上側の前記支持体とを上下方向に離し、前記1つの支持体に支持された物品を取り出すための取り出し空間を形成する開閉装置と、
前記取り出し空間に向けて不活性ガスを噴出するガス噴出装置と、を備え、
前記ガス噴出装置は、不活性ガスが入れられていた前記ガス充填可能部から前記開閉装置により形成された前記取り出し空間を介して前記収容容器外に漏れ出ることを抑制する、又は、前記取り出し空間を介して、不活性ガスが入れられている前記ガス充填可能部に不活性ガスを補填し、
前記ガス噴出装置は、前記収容容器を構成する重ねられた複数の前記支持体のうちの最上部の前記支持体と、その上側の蓋体とを上下方向に離して形成された第3空間に向けて不活性ガスを噴出する、物品収容装置。
【請求項3】
前記開閉装置は、前記複数の支持体の間に対して進退可能な爪部と、前記収容容器を昇降させる昇降装置とを備え、
前記昇降装置は、前記爪部が進出して前記上側の支持体を支持した状態で前記1つの支持体を下降させることにより、前記1つの支持体と、前記爪部に支持された前記上側の支持体とを離して、前記取り出し空間を形成させる、請求項2に記載の物品収容装置。
【請求項4】
前記噴出口は、前記取り出し空間の上下寸法に対応して上下方向に複数配設される、請求項1に記載の物品収容装置。
【請求項5】
前記開閉装置は、前記取り出し空間とは別に前記1つの支持体と、その下側の前記支持体とを上下方向に離した第2空間を形成させ、
前記噴出口は、前記第2空間にも対応して設けられる、請求項1又は請求項4に記載の物品収容装置。
【請求項6】
前記ガス噴出装置は、前記取り出し空間が形成されているときに第1流量で不活性ガスを噴出させ、前記取り出し空間が形成されていないときに前記第1流量よりも小さい第2流量で不活性ガスを噴出させる流量調整部を有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の物品収容装置。
【請求項7】
前記ガス噴出装置は、前記取り出し空間が形成されているときに第1流量で不活性ガスを噴出させ、前記取り出し空間が形成されていないときに前記第1流量よりも小さい第2流量で不活性ガスを噴出させる流量調整部を有し、
前記流量調整部は、前記昇降装置により前記収容容器を昇降させる際にも前記第1流量で不活性ガスを噴出させる、請求項
1又は請求項3に記載の物品収容装置。
【請求項8】
前記昇降装置は、前記収容容器を載せて昇降する昇降台を備え、
前記昇降台は、前記昇降台に載置されている前記収容容器に、この収容容器の底部から不活性ガスを供給するノズルを有する、請求項1
又は請求項3に記載の物品収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハ等の板状の物品を載せて支持可能な支持体を複数有し、これら支持体を上下方向に重ねることにより、内部に上下の支持体間に連なり、不活性ガスを充填可能な閉じた空間となるガス充填可能部を構成する収容容器と、支持体同士を上下方向に離して、支持体に支持された物品を取り出すための取り出し空間を形成する開閉装置とを有する物品収容装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の物品収容装置では、開閉装置により持体同士を上下方向に離して取り出し空間を形成するので、物品を出し入れする際、収容容器に充填されていた不活性ガスが取り出し空間から漏れ出てしまい、外気が収容容器の内部に入り込む場合がある。その結果、収容容器内の物品が外気に触れて物品の劣化を招く可能性がある。
【0005】
本発明は、収容容器に取り出し空間を形成させた場合であっても、収容容器内の物品の劣化を防止することが可能な物品収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る物品収容装置は、板状の物品を載せて支持可能な支持体を複数有し、これら支持体を上下方向に重ねることにより、内部に上下の支持体間に連なり、不活性ガスを充填可能な閉じた空間となるガス充填可能部を構成する収容容器と、収容容器を構成する重ねられた複数の支持体のうちの1つの支持体と、その上側の支持体とを上下方向に離し、1つの支持体に支持された物品を取り出すための取り出し空間を形成する開閉装置と、取り出し空間に向けて不活性ガスを噴出するガス噴出装置と、前記収容容器を昇降させる昇降装置と、を備え、ガス噴出装置は、不活性ガスが入れられていたガス充填可能部から開閉装置により形成された取り出し空間を介して収容容器外に漏れ出ることを抑制する、又は、取り出し空間を介して、不活性ガスが入れられているガス充填可能部に不活性ガスを補填し、前記開閉装置は、前記昇降装置により昇降される前記収容容器に対して所定高さで前記取り出し空間を形成させ、前記ガス噴出装置は、前記所定高さに対応した不活性ガスの噴出口を備える。
また、本発明の態様に係る物品収容装置は、板状の物品を載せて支持可能な支持体を複数有し、これら前記支持体を上下方向に重ねることにより、内部に上下の前記支持体間に連なり、不活性ガスを充填可能な閉じた空間となるガス充填可能部を構成する収容容器と、前記収容容器を構成する重ねられた複数の前記支持体のうちの1つの前記支持体と、その上側の前記支持体とを上下方向に離し、前記1つの支持体に支持された物品を取り出すための取り出し空間を形成する開閉装置と、前記取り出し空間に向けて不活性ガスを噴出するガス噴出装置と、を備え、前記ガス噴出装置は、不活性ガスが入れられていた前記ガス充填可能部から前記開閉装置により形成された前記取り出し空間を介して前記収容容器外に漏れ出ることを抑制する、又は、前記取り出し空間を介して、不活性ガスが入れられている前記ガス充填可能部に不活性ガスを補填し、前記ガス噴出装置は、前記収容容器を構成する重ねられた複数の前記支持体のうちの最上部の前記支持体と、その上側の蓋体とを上下方向に離して形成された第3空間に向けて不活性ガスを噴出する。
【発明の効果】
【0007】
上記態様に係る物品収容装置によれば、開閉装置により収容容器に取り出し空間が形成される際に取り出し空間に向けて不活性ガスが供給されるので、収容容器に充填されていた不活性ガスが取り出し空間から漏れ出るのを抑制することができる。また、収容容器に形成された取り出し空間からガス充填可能部に不活性ガスを補填することができる。その結果、収容容器内の物品が外気に触れにくくなるため、物品が劣化することを防止できる。
【0008】
また、収容容器を昇降させる昇降装置を備え、開閉装置は、昇降装置により昇降される収容容器に対して所定高さで取り出し空間を形成させ、ガス噴出装置は、所定高さに対応した不活性ガスの噴出口を備えてもよい。この構成によれば、不活性ガスの噴出口を所定高さに配置すればよいので、不活性ガスが無駄に噴出されることを回避し、不活性ガスの無駄な消費を抑制できる。また、開閉装置が、複数の支持体の間に対して進退可能な爪部を備え、さらに、収容容器を昇降させる昇降装置を備え、昇降装置は、爪部が進出して上側の支持体を支持した状態で1つの支持体を下降させることにより、1つの支持体と、爪部に支持された上側の支持体とを離して、取り出し空間を形成させてもよい。この構成によれば、爪部で上側の支持体を支持して1つの支持体を下降させるといった簡単な操作で容易に取り出し空間を形成することができる。また、噴出口が、取り出し空間の上下寸法に対応して上下方向に複数配設されてもよい。この構成によれば、取り出し空間に向けて広く不活性ガスを噴出することができる。
【0009】
また、開閉装置が、取り出し空間とは別に1つの支持体と、その下側の支持体とを上下方向に離した第2空間を形成させ、噴出口は、第2空間にも対応して設けられてもよい。この構成によれば、第2空間の高さに合わせて不活性ガスを噴出させるので、不活性ガスの無駄な噴出を防止できる。また、ガス噴出装置が、取り出し空間が形成されているときに第1流量で不活性ガスを噴出させ、取り出し空間が形成されていないときに第1流量よりも小さい第2流量で不活性ガスを噴出させる流量調整部を有してもよい。この構成によれば、取り出し空間が形成されていないときにおいても第2流量で不活性ガスを噴出させるので、噴出口へのパーティクルの付着を防止できる。さらに、第2流量が第1流量よりも小さいので、不活性ガスの消費を抑えることができる。また、流量調整部が、昇降装置により収容容器を昇降させる際にも第1流量で不活性ガスを噴出させてもよい。この構成によれば、収容容器に取り出し空間が形成される前の昇降するタイミングで不活性ガスを噴出させるので、取り出し空間が形成された際に確実に不活性ガスを供給することができる。
【0010】
また、昇降装置が、収容容器を載せて昇降する昇降台を備え、昇降台は、昇降台に載置されている収容容器に、この収容容器の底部から不活性ガスを供給するノズルを有してもよい。収容容器内にノズルを介して不活性ガスを供給するので、収容容器に取り出し空間が形成された場合でもガス充填可能部に不活性ガスを供給できる。また、ガス噴出装置が、収容容器を構成する重ねられた複数の支持体のうちの最上部の支持体と、その上側の蓋体とを上下方向に離して形成された第3空間に向けて不活性ガスを噴出させてもよい。この構成によれば、蓋体と支持体との間に形成された第3空間から不活性ガスが漏れ出るのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る物品収容容器の一例を示す図である。
【
図3】支持体の一例を示す平面図であり、(A)は第1支持体を示す図であり、(B)は第2支持体を示す図である。
【
図4】支持体の一例を示す側面図であり、(A)は第1支持体を示す図であり、(B)は第2支持体を示す図である。
【
図7】第1爪部と支持体との位置関係の一例を示す図である。
【
図8】第1爪部と支持体との位置関係の一例を示す図である。
【
図9】収容容器に取り出し空間及び第2空間が形成された状態の一例を示す図である。
【
図10】昇降台に収容容器を載置した状態の一例を示す平面図である。
【
図11】収容容器のガス充填可能部に不活性ガスを供給する一例を示す図である。
【
図12】収容容器に第3空間が形成された状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは形状、寸法等が異なる場合がある。
図1は、本実施形態に係る物品収容装置30の一例を示す図である。物品収容装置30は、例えば、ウェハ貯蔵システム100に含まれる。
図1に示すように、ウェハ貯蔵システム100は、ロードポート10と、ウェハ搬送装置20と、物品収容装置30と、ストッカ40と、制御部50とを備える。
【0013】
ロードポート10は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)2が載置され、搬送車等の搬送装置との間でFOUP2の受け渡しを行うために用いられる。搬送車は、例えば半導体工場の天井等に設けられた軌道に沿って走行し、FOUP2を搬送する。FOUP2は、開口部を有する箱状の筐体と、開口部を覆う蓋部とを有する。蓋部は、筐体に対し取り外し可能に設けられている。FOUP2には、1又は複数のウェハ(物品)Wが収容される。
【0014】
ウェハ搬送装置20は、FOUP2と後述する収容容器5との間でウェハWを搬送する。ウェハ搬送装置20は、ウェハWの搬送動作を行う不図示のロボットアームを有する。なお、ロボットアームは、収容容器5を構成する重ねられた複数の支持体7のうち、1つの支持体7に対してウェハWの受け渡しを行う。ロボットアームは、ウェハWをすくい上げて移載するスライドフォークを有する。ロボットアームは、開閉装置60とロードポート10とに隣接して配置されている(
図1参照)。ロボットアームは、例えば、EFEM(Equipment Front End Module)である。
【0015】
物品収容装置30は、ストッカ40に設けられ、ストッカ40に保管されている複数の収容容器5のうち、後述する容器搬送装置42によって搬送された1つの収容容器5が配置される。物品収容装置30は、
図1に示すように開閉装置60と、ガス噴出装置70とを備えている。
【0016】
図2は、収容容器5の一例を示す概略斜視図である。収容容器5は、
図2示すように、複数の支持体7が上下方向に重ねられて構成される。各支持体7は、それぞれウェハWを載せて支持可能である。収容容器5は、上下方向に複数の支持体7が重ねられることにより、内部にガス充填可能部5gを備える。ガス充填可能部5gは、収容容器5の内部において上下の支持体7間に連なり、不活性ガスを充填可能な閉じた空間となるように形成される。不活性ガスとは、収容する物品に対して不活性なガスを意味し、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどである。ガス充填可能部5gは、閉じた空間であるため、不活性ガスの濃度を維持する機能を有する。
【0017】
支持体7は、複数の第1支持体7Aと、複数の第2支持体7Bと、を含む。第1支持体7Aと第2支持体7Bとは、上下方向に交互に積み重ねられている。第1支持体7Aと第2支持体7Bとは、平面視において外縁形状が同一又はほぼ同一である。第1支持体7Aと第2支持体7Bとの外縁形状は、180°回転(点対象)させた関係にある。なお、平面視とは、上方又は下方(Z方向)から見た場合と同義である。また、支持体7は、例えば、セルリング、リング、セルと称される場合がある。
【0018】
収容容器5は、側面をできる限り気密にするため、複数の支持体7がほぼ隙間なく積み重ねられている。収容容器5は、最下層の支持体7が載置される底部5aと、最上層の支持体7に載置される蓋部5bと、を備える。底部5a及び蓋部5bは、例えば矩形状の板状体である。底部5aには、後述するノズル68が接続されるノズル挿入孔5c(
図11参照)が設けられる。複数の支持体7は、蓋部5bの重さを利用して下方へ押さえ付けられている。蓋部5bには、収容容器5の内部のガスを排出する排気孔5dが設けられる。排気孔5dは、ガス充填可能部5gと連通している。なお、収容容器5が排気孔5dを備えるか否かは任意であり、排気孔5dは設けられなくてもよい。
【0019】
図3(A)は、第1支持体7Aを示す平面図、
図3(B)は、第2支持体7Bを示す平面図である。
図4(A)は、第1支持体7Aを示す側面図、
図4(B)は、第2支持体7Bを示す側面図である。
図3(A)に示すように、第1支持体7Aは、枠体11、第1被支持部12、第1保持部13、係合凸部14及び係合孔15を有する。枠体11は、平面視で矩形の枠状である。枠体11は、一対の辺部11aと、これら一対の辺部11aと直交する一対の辺部11bと、により構成されている。
【0020】
第1被支持部12は、開閉装置60で支持される部分である。第1被支持部12は、一対の辺部11aのそれぞれの外側の側面において、平面視で外側へ突き出る(出っ張る)ように設けられた凸部分である。第1被支持部12は、一対の辺部11aのそれぞれの両端部に、2つずつ(合計4つ)設けられている。第1被支持部12は、一方の辺部11aにおいては、角部に設けられている。第1被支持部12は、他方の辺部11aにおいては、角部から離れて設けられている。以下、平面視において、第1支持体7Aの第1被支持部12の位置を「第1位置」とする。
【0021】
図3(A)及び
図4(A)に示すように、第1保持部13は、第1被支持部12よりも上方でウェハWを保持する。第1保持部13は、一対の辺部11bのそれぞれの内側に接続されたアーム13aの先端に設けられている。アーム13aは、一対の辺部11bのそれぞれの内側に2つずつ(合計4つ)設けられている。アーム13aは、それぞれ平面視で第1支持体7Aの中心に向かうように延びている。アーム13aは、第1支持体7Aの中心に向かうに連れて、上方へ向かうように延びた後に下方へ向かうように湾曲して延びる。第1保持部13は、アーム13aの先端から水平に延びる。ウェハWは、4つの第1保持部13上に架け渡されるように載置される。また、ウェハWは、4つのアーム13aにおける湾曲部分によって水平方向に位置決めされる。
【0022】
図3(A)に示すように、係合凸部14は、枠体11の上面における対角となる一対の角部のそれぞれに、上方に突出するように設けられている。係合凸部14は、上側に重ねられた第2支持体7Bの係合孔25に挿入される。係合孔15は、枠体11の係合凸部14の周辺に設けられた貫通孔である。なお、枠体11の内側には、開口部16が形成されている。
【0023】
図3(B)に示すように、第2支持体7Bは、枠体21、第2被支持部22、第2保持部23、係合凸部24及び係合孔25を有する。枠体21は、平面視で矩形の枠状である。枠体21は、一対の辺部21aと、これら一対の辺部21aと直交する一対の辺部21bと、により構成されている。
【0024】
第2被支持部22は、開閉装置60で支持される部分である。第2被支持部22は、一対の辺部21aのそれぞれの外側の側面において、平面視で外側へ突き出るように設けられた凸部分である。第2被支持部22は、一対の辺部21aのそれぞれの両端部に、2つずつ(合計4つ)設けられている。第2被支持部22は、一方の辺部21aにおいては、角部から離れて設けられている。第2被支持部22は、他方の辺部21aにおいては、角部の領域に設けられている。以下、平面視において、第2支持体7Bの第2被支持部22の位置を「第2位置」とする。第1支持体7Aと第2支持体7Bとを重ねたとき(以下、単に「積層時」という場合がある。)に、第2被支持部22は、平面視における第1位置とは異なる第2位置となるように形成されている。
【0025】
第2保持部23は、第2被支持部22よりも上方でウェハWを保持する。第2保持部23は、一対の辺部21bのそれぞれの内側に接続されたアーム23aの先端に設けられている。アーム23aは、一対の辺部21bのそれぞれの内側に2つずつ(合計4つ)設けられている。アーム23aは、それぞれ平面視で第2支持体7Bの中心に向かうように延びている。アーム23aは、第2支持体7Bの中心に向かうに連れて、上方へ向かうように延びた後に下方へ向かうように湾曲して延びる。第2保持部23は、アーム23aの先端から水平に延びる。ウェハWは、4つの第2保持部23上に架け渡されるように載置される。また、ウェハWは、4つのアーム23aにおける湾曲部分によって水平方向に位置決めされる。積層時において、第2保持部23及びアーム23aは、平面視における第1保持部13及びアーム13aとは重ならない位置に設けられている。
【0026】
図3(B)に示すように、係合凸部24は、枠体21の上面における対角となる一対の角部のそれぞれに、上方に突出するように設けられている。係合凸部24は、上側に重ねられた第1支持体7Aの係合孔15に挿入される。係合孔25は、枠体21の係合凸部24の周辺に設けられた貫通孔である。第1支持体7Aの係合凸部14が第2支持体7Bの係合孔25に挿入され、第2支持体7Bの係合凸部24が第1支持体7Aの係合孔15に挿入されることで、第1支持体7Aと第2支持体7Bとが水平方向にズレないように係合されて位置決めされる。なお、枠体21の内側には、第1支持体7Aの開口部16と上下方向に連通する開口部26が形成されている。
【0027】
積層時には、第1支持体7Aの第1保持部13及びアーム13aは、この第1支持体7Aの上側に重ねられた第2支持体7Bの枠体21を貫通している。積層時には、第1支持体7Aの第1保持部13は、この第1支持体7Aの上側に重ねられた第2支持体7Bの枠体21よりも上方に位置する。同様に、積層時には、第2支持体7Bの第2保持部23及びアーム23aは、この第2支持体7Bの上側に重ねられた第1支持体7Aの枠体11を貫通している。積層時には、第2支持体7Bの第2保持部23は、この第2支持体7Bの上側に重ねられた第1支持体7Aの枠体11よりも上方に位置する。
【0028】
開閉装置60は、収容容器5に設けられる複数の支持体7のうちの1つの支持体7と、その上側の支持体7とを上下方向に離し、その1つの支持体7に支持されたウェハWを取り出すための取り出し空間D1を形成する。取り出し空間D1が形成されることにより、ウェハ搬送装置20のロボットアームによるウェハWの受け渡しが可能な状態となる。また、開閉装置60は、取り出し空間D1を介して収容容器5にウェハWが格納された後、1つの支持体7と、その上側の支持体7とを重ねて(取り出し空間D1をなくして)、ガス充填可能部5gを閉じた空間とする。
【0029】
図5は、開閉装置60の一例を示す正面図である。
図6は、開閉装置60の一例を示す概略斜視図である。
図5及び
図6に示すように、開閉装置60は、ベース61と、昇降装置62と、を備える。ベース61は、開閉装置60の下部側に設置される。ベース61は、各種の機構を収容する。
【0030】
昇降装置62は、収容容器5を昇降させる。昇降装置62は、昇降台65と、一対のボールねじ66と、リニアガイド67とを有する。昇降台65は、ベース61の上方において、収容容器5を載せて昇降する。昇降台65には、後述するストッカ40の容器搬送装置42(
図1参照)によって棚41から搬送された収容容器5が載置される。昇降台65には、予め定められた位置に収容容器5が位置決めされて配置される。昇降台65は、収容容器5が置かれた際に収容容器5を位置決めする位置決め部が設けられてもよい。
【0031】
昇降台65には、ノズル68が設けられる。ノズル68は、昇降台65から上方に向けて突出して設けられる。ノズル68は、昇降台65に収容容器5が置かれた際に収容容器5の底部5aのノズル挿入孔5c(
図11参照)に接続される。ノズル68は、ガス充填可能部5gに不活性ガスを供給する。なお、昇降台65がノズル68を備えるか否かは任意であり、昇降台65がノズル68を備えなくてもよい。
【0032】
ボールねじ66は、昇降台65を駆動する駆動装置である。ボールねじ66は、ベース61上において昇降台65を挟んだ両側に配置される。ボールねじ66は、例えば電動モータ等の不図示の駆動源により軸心まわりに回転する。この駆動源は、例えば、ベース61に設けられている。昇降台65は、不図示の雌ネジ部を備えており、ボールねじ66とネジ結合している。ボールねじ66を回転させることで、ボールねじ66にネジ結合している雌ネジ部が昇降し、この雌ネジ部と一体の昇降台65が昇降する。なお、ボールねじ66(ボールねじ機構)を用いて昇降台65を昇降させることに限定されず、例えば、シリンダ装置、リニアモータ等の駆動装置が用いられてもよい。また、昇降台65は、例えば、2本のタイミングベルトによって吊り下げられて配置される形態であってもよい。この形態の場合、2本のタイミングベルトを電動モータ等によって巻き取り又は送り出すことにより昇降台65を昇降させる。昇降台65の高さ位置は、2本のタイミングベルトの巻き取り量又は送り出し量によって設定される。
【0033】
リニアガイド67は、ボールねじ66の回転によって昇降する昇降台65をガイドする。リニアガイド67は、昇降台65の側方において上下方向に延びて配置される。リニアガイドは、ベース61に固定される。
【0034】
開閉装置60は、第1支持片81と、第2支持片82と、第3支持片83と、第4支持片84と、回転軸85と、第1駆動機構86と、第2駆動機構87と、第3駆動機構88と、第4駆動機構89と、を有する。なお、
図6では、第1支持片81、第2支持片82、第3支持片83、及び第4支持片84をまとめて箱状の一点鎖線で表している。第1支持片81、第2支持片82、第3支持片83、及び第4支持片84(以下、これらを第1支持片81等と称する場合がある。)は、それぞれ第1支持体7A又は第2支持体7Bの何れか一方を支持する。第1支持片81等は、同一水平面上において複数配置され、上下方向に延びる回転軸85の軸まわりに回転可能に設けられている。第1支持片81等は、それぞれ支持体7の枠体11の厚さよりも薄い板状である。
【0035】
第1支持片81等は、回転軸85において上方から第1支持片81、第2支持片82、第3支持片83、第4支持片84の順でそれぞれ間隔をあけて上下方向に並んで配置されている。第1支持片81等は、上下方向の位置が固定されている。第1支持片81は、ウェハWの受け渡し対象である1つの支持体7の上側の支持体7を支持する。第2支持片82は、ウェハWの受け渡し対象である1つの支持体7を支持する。第1支持片81と第2支持片82との間隔は、支持体7に対してウェハ搬送装置20のロボットアームによるウェハWの受け渡しを行うための取り出し空間D1を形成させる間隔に設定される。
【0036】
第3支持片83は、ウェハWの受け渡し対象である1つの支持体7の上側の支持体7を支持する。第4支持片84は、ウェハWの受け渡し対象である1つの支持体7を支持する。第3支持片83と第4支持片84との間隔は、支持体7に対してウェハ搬送装置20のロボットアームによるウェハWの受け渡しを行うための取り出し空間D2(
図9参照)を形成させる間隔に設定される。なお、第2支持片82と第3支持片83との間隔は任意に設定可能である。
【0037】
開閉装置60は、第1支持片81を回転させる第1駆動機構86と、第2支持片82を回転させる第2駆動機構87と、第3支持片83を回転させる第3駆動機構88と、第4支持片84を回転させる第4駆動機構89と、を備えている。第1駆動機構86、第2駆動機構87、第3駆動機構88、及び第4駆動機構89は、例えば、ベース61に設けられる。第1駆動機構86は、電動モータ又はシリンダ装置等の不図示の駆動源と、この駆動源の駆動力を伝達する伝達機構とを有する。この伝達機構は、例えば、複数の第1支持片81を同期して回転させるようなすリンク機構が用いられる。
【0038】
同様に、第1駆動機構86は、不図示の駆動源と伝達機構とを有し、複数の第2支持片82を同期して回転させる。第3駆動機構88は、不図示の駆動源と伝達機構とを有し、複数の第3支持片83を同期して回転させる。第4駆動機構89は、不図示の駆動源と伝達機構とを有し、複数の第4支持片84を同期して回転させる。なお、第1支持片81等を回転させる構成は任意であり、例えば、第1支持片81等をそれぞれ電動モータで回転させる構成であってもよい。
【0039】
開閉装置60は、第1支持片81、第2支持片82、第1駆動機構86、及び第2駆動機構87により、収容容器5において1つの取り出し空間D1を形成させるための1つの開閉モジュールを構成し、第3支持片83、第4支持片84、第3駆動機構88、及び第4駆動機構89により、収容容器5において取り出し空間D1とは異なる1つの取り出し空間D2を形成させるための1つの開閉モジュールを構成する。本実施形態では、開閉装置60が2つの開閉モジュールを備える構成を例に挙げて説明している。ただし、開閉装置60が2つの開閉モジュールを備えることに限定されず、いずれか1つの開閉モジュールを備える形態であってもよい。
【0040】
図7及び
図8は、第1支持片81と第1支持体7Aとの位置関係を示す図である。第1支持片81は、
図7及び
図8に示すように、第1爪部81aと、第2爪部81bと、基部81cとを有する。基部81cは、回転軸85に対して回転可能に取り付けられている。第1爪部81a、第2爪部81b及び基部81cは、一体に形成されて回転軸85を基軸に回転可能に支持されている。平面視において、第1爪部81a及び第2爪部81bは、基部81cから突出するように設けられている。なお、第2支持片82、第3支持片83、及び第4支持片84についても同一の形状である。
【0041】
第1支持片81等は、それぞれ昇降台65の周囲を囲む(平面視における4つの角部にあたる)4箇所に配置されている。第1支持片81等は、それぞれ昇降台65に載置された収容容器5の支持体7に近接する位置に設けられている。具体的には、第1支持片81等は、平面視において支持体7の4つの角部のそれぞれに近接する位置に設けられている。第1支持片81等は、回転軸85まわりに回転することで、支持体7に対して第1爪部81a(82a、83a、84a)を進退させ、又は第2爪部81b(82b、83b、84b)を進退させる。
【0042】
図7及び
図8に示すように、第1支持片81は、第1駆動機構86により平面視でそれぞれ時計回りに回転することで、第1爪部81aが第1支持体7Aにおける第1被支持部12の側方に位置した状態となる。この状態は、この第1支持体7Aの上側に重ねられている第2支持体7Bの第2被支持部22(第2位置、
図3(B)参照)と第1爪部81aとが平面視で重なっている。その結果、第1支持体7Aの上側に重ねられている第2支持体7Bを第1爪部81aによって支持可能となる。この状態で、第1爪部81aと収容容器5の底部5aとを相対的に上下方向に離すことで、第1支持体7Aと上側の第2支持体7Bとが上下方向に離れる。
【0043】
また、図示していないが、第1支持片81が反時計回りに回転することで、第2爪部81bが第2支持体7Bにおける第2被支持部22の側方に位置した状態となる。この状態は、この第2支持体7Bの上側に重ねられている第1支持体7Aの第1被支持部12(第1位置)と第2爪部81bとが平面視で重なっている。その結果、第2支持体7Bの上側に重ねられている第1支持体7Aを第2爪部81bによって支持可能となる。この状態で、第2爪部81bと収容容器5の底部5aとを相対的に上下方向に離すことで、第2支持体7Bと上側の第1支持体7Aとが上下方向に離れることになる。
【0044】
第2支持片82、第3支持片83、第4支持片84についても第1支持片81と同様に、第2駆動機構87、第3駆動機構88、第4駆動機構89により時計回りに回転することで、第1爪部82a、83a、84aを突出させて第2支持体7Bを支持することができる。また、第2支持片82、第3支持片83、第4支持片84が反時計回りに回転することで、第2爪部82b、83b、84bを突出させて第1支持体7Aを支持することができる。なお、第1支持片81等は、第1爪部82a等及び第2爪部82b等の双方を突出させない中立状態にすることもできる。中立状態は、第1支持片81等が平面視で第1位置及び第2位置の双方と重ならない状態である。
【0045】
図9は、開閉装置60により収容容器5に取り出し空間D1、D2が形成された状態の一例を示す図である。開閉装置60は、2つの支持体7を上下方向に離すことにより、収容容器5に対して所定高さで取り出し空間D1、D2を形成する。
図9に示すように、開閉装置60は、ウェハWの受け渡し対象となる第1支持体7A(複数の支持体7のうちの1つの支持体7)の上側の第2支持体7Bを第1支持片81で支持させ、昇降台65を下降させることで第1支持体7Aを下降させ、上側の第2支持体7Bとの間にウェハWの取り出し空間D1を形成させる。また、開閉装置60は、ウェハWの受け渡し対象となる第1支持体7Aを第2支持片82で支持させ、昇降台65を下降させることで第1支持体7Aの下側の第2支持体7Bを下降させ、下側の第2支持体7Bとの間に第2空間D3を形成させる。上記したように第1支持片81及び第2支持片82は上下方向に移動しない。従って、取り出し空間D1及び第2空間D3が形成される高さは変動せず、固定された高さに設定されている。
【0046】
また、開閉装置60は、ウェハWの受け渡し対象となる第1支持体7Aの上側の第2支持体7Bを第3支持片83で支持させ、昇降台65を下降させることで第1支持体7Aを下降させ、上側の第2支持体7Bとの間にウェハWの取り出し空間D2を形成させる。また、開閉装置60は、ウェハWの受け渡し対象となる第1支持体7Aを第4支持片84で支持させ、昇降台65を下降させることで第1支持体7Aの下側の第2支持体7Bを下降させ、下側の第2支持体7Bとの間に第2空間D4を形成させる。上記したように第3支持片83及び第4支持片84は上下方向に移動しない。従って、取り出し空間D2及び第2空間D4が形成される高さは変動せず、固定された高さに設定されている。
【0047】
ガス噴出装置70は、ガス供給部71と、配管72とを有する。ガス供給部71は、不活性ガスを配管72に供給する。ガス供給部71は、例えば、工場等の建屋に設けられている窒素ガスの供給ライン等が用いられる。ガス供給部71は、配管72に供給する不活性ガスの流量を調整する流量調整部74を有する。配管72は、ガス供給部71からの不活性ガスを流通させる。配管72は、昇降台65に対してウェハ搬送装置20側に配置される(
図1参照)。配管72は、ウェハ搬送装置20側の第1支持片81等よりも外側において一対配置され、上下方向に延びている。配管72は、不活性ガスを噴出する複数の噴出口73を有する。
【0048】
噴出口73は、配管72の上下方向に複数並んだ状態で設けられ、昇降台65上の収容容器5側に向けられている(
図7及び
図8参照)。噴出口73は、取り出し空間D1、D2及び第2空間D3、D4の上下寸法に対応して上下方向に複数配置される。開閉装置60は、
図9に示すように、高さH1と高さH2との間で取り出し空間D1及び第2空間D3を形成させる。従って、噴出口73は、配管72のうち高さH1と高さH2との間に対応する部分に設けられる。また、開閉装置60は、
図9に示すように、高さH3と高さH4との間で取り出し空間D2及び第2空間D4を形成させる。従って、噴出口73は、配管72のうち高さH3と高さH4との間に対応する部分に設けられる。この構成により、不活性ガスの無駄な噴射を防止できる。
【0049】
ガス噴出装置70は、開閉装置60により形成された取り出し空間D1、D2及び第2空間D3、D4を介して、ガス充填可能部5gから収容容器5外に漏れ出ることを抑制する、又は、取り出し空間D1、D2及び第2空間D3、D4を介して、ガス充填可能部5gに不活性ガスを補填する。
【0050】
流量調整部74は、噴出口73から噴出される不活性ガスの流量を調整すれる。この場合、流量調整部74は、取り出し空間D1、D2及び第2空間D3、D4が形成されているときに第1流量で噴出口73から不活性ガスを噴出させ、取り出し空間D1、D2及び第2空間D3、D4が形成されていないときに第1流量よりも小さい第2流量で噴出口73から不活性ガスを噴出させる。第1流量は、ガス充填可能部5gから不活性ガスが漏れ出ることを抑制することを目的とした単位時間あたりの流量、又は、ガス充填可能部5gに不活性ガスを補填することを目的とした単位時間当たりの流量に設定される。第2流量は、取り出し空間D1等を形成していない間に、噴出口73へのパーティクルの付着を防止することを目的とした単位時間当たりの流量に設定される。この第2流量は第1流量よりも少ないので、不活性ガスの消費を抑えることができる。
【0051】
また、流量調整部74は、昇降装置62により収容容器5を昇降させる際に第1流量で不活性ガスを噴出させてもよい。すなわち、取り出し空間D1等を形成する際に、昇降装置62により収容容器5を昇降させるが、取り出し空間D1等が形成される前のタイミングから第1流量で不活性ガスを噴出させることで、取り出し空間D1等が形成された際に確実に不活性ガスの噴出を行うことができる。
【0052】
ストッカ40は、収容容器5を保管する。ストッカ40は、複数の棚41と、容器搬送装置42とを有する。複数の棚41は、例えば、ストッカ40内において、上下方向及び水平方向にそれぞれ並んで配置されている。各棚41は、収容容器5を載置可能であり、載置された収容容器5に対して不活性ガスを供給する不図示のガス供給機構を備えていてもよい。容器搬送装置42は、例えばクレーン装置が用いられ、収容容器5の底部5aの下面側を保持する不図示の搬送アームを備えている。容器搬送装置42は、棚41と物品収容装置30の昇降台65との間で収容容器5を搬送する。また、容器搬送装置42は、棚41と棚41との間で収容容器5を搬送する。
【0053】
制御部50は、物品収容装置30の各動作を制御する。制御部50は、例えば開閉装置60、ガス噴出装置70の動作を制御する。また、制御部50は、物品収容装置30を含めたウェハ貯蔵システム100の各動作を制御する。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。制御部50は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。制御部50は、一つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。
【0054】
次に、物品収容装置30の動作の一例を説明する。以下の説明では収容容器5に収容されているウェハWをウェハ搬送装置20により取り出してFOUP2に収容する動作について説明する。まず、ウェハ搬送装置20の容器搬送装置42により、収容容器5が棚41から物品収容装置30内の昇降台65に載置される。
【0055】
図10は、昇降台65に収容容器5を載置した状態の一例を示す平面図である。
図10に示すように、昇降台65に収容容器5を載置されると、昇降台65のノズル68が、収容容器5の底部5aに設けられているノズル挿入孔5cに挿入される。ノズル68又は昇降台65には、ノズル68がノズル挿入孔5cに挿入されたこと、又は収容容器5が昇降台65に載置されたことを検出するセンサが設けられている。このセンサによよって収容容器5が昇降台65に載置されたことを検出すると、制御部50は、ガス供給部71を駆動させてノズル68から不活性ガスを噴出させる。
【0056】
収容容器5は、昇降台65に載置されることで、ノズル68からガス充填可能部5gに不活性ガスが供給される。すなわち、棚41から昇降台65まで搬送される間に不活性ガスが漏れ出たとしても再度ガス充填可能部5gに不活性ガスが補充される。ガス供給部71は、上記した配管72への不活性ガスの供給と、ノズル68への不活性ガスの供給とを行っている。ただし、配管72に不活性ガスを供給するガス供給部と、ノズル68に不活性ガスを供給するガス供給部とが別に設けられてもよい。また、収容容器5が昇降台65に載置されていない間は、ノズル68へのパーティクルの付着を防止することを目的とした少ない流量でノズル68から不活性ガスを噴出させてもよい。
【0057】
図11は、収容容器5のガス充填可能部5gに不活性ガスを供給する一例を示す図である。
図11に示すように、ノズル68から噴出された不活性ガスは、ノズル挿入孔5cを介して収容容器5のガス充填可能部5gに入り、収容容器5の内部を循環した後、蓋部5bの排気孔5dから排出される。このように、収容容器5の内部は、ノズル68から供給される新鮮な不活性ガスが循環する状態となる。このため、収容容器5に収容されるウェハWが外気に触れにくくなり、ウェハWの劣化を防止できる。
【0058】
次に、制御部50は、昇降装置62を駆動させて昇降台65を上昇させ、収容容器5を上昇させる。このとき、開閉装置60の第1支持片81等は中立状態となっている。また、制御部50は、昇降台65の上昇にともない、配管72の噴出口73から第1流量で不活性ガスを噴出させてもよい。制御部50は、ウェハWの取り出し対象となる第1支持体7Aの高さが、第1支持片81の高さに達した段階で昇降台65の上昇を停止させる。次に、制御部50は、第1支持片81を回転させて第1爪部81aを突出させる。その結果、第1支持体7Aの上側の第2支持体7Bが第1爪部81aによって支持された状態となる。
【0059】
次に、制御部50は、昇降台65を下降させる。その結果、ウェハWの取り出し対象となる第1支持体7Aは、上側の第2支持体7Bから離れて下降する。制御部50は、この第1支持体7Aの下側の第2支持体7Bが第2支持片82の高さに達した段階で昇降台65の下降を停止させる。第1支持体7Aと上側の第2支持体7Bとの間には取り出し空間D1が形成される(
図9参照)。このとき、制御部50は、流量調整部を制御して不活性ガスを第1流量で噴出口73から噴出させる。取り出し空間D1から不活性ガスが収容容器5外に漏れ出すが、噴出口73から噴出された第1流量の不活性ガスにより、取り出し空間D1からの不活性ガスの漏れ出しを抑制し、又はガス充填可能部5gに不活性ガスを充填する。
【0060】
次に、制御部50は、第2支持片82を回転させて第2爪部82bを突出させる。その結果、第1支持体7Aが第2爪部82bによって支持された状態となる。次に、制御部50は、昇降台65を下降させる。その結果、下側の第2支持体7Bは、第1支持体7Aから離れて下降する。第1支持体7Aと下側の第2支持体7Bとの間には第2空間D3が形成される(
図9参照)。このとき、第2空間D3から不活性ガスが収容容器5外に漏れ出すが、噴出口73から噴出された第1流量の不活性ガスにより、第2空間D3からの不活性ガスの漏れ出しを抑制し、又はガス充填可能部5gに不活性ガスを充填する。
【0061】
制御部50は、次のウェハWの取り出し対象となる第1支持体7Aの高さが、第3支持片83の高さに達した段階で昇降台65の下降を停止させる。次に、制御部50は、第3支持片83を回転させて第1爪部83aを突出させる。その結果、第1支持体7Aの上側の第2支持体7Bが第1爪部83aによって支持された状態となる。次に、制御部50は、昇降台65を下降させる。その結果、ウェハWの取り出し対象となる第1支持体7Aは、上側の第2支持体7Bから離れて下降する。
【0062】
制御部50は、この第1支持体7Aの下側の第2支持体7Bが第4支持片84の高さに達した段階で昇降台65の下降を停止させる。第1支持体7Aと上側の第2支持体7Bとの間には取り出し空間D2が形成される(
図9参照)。上記と同様に、取り出し空間D2から不活性ガスが収容容器5外に漏れ出すが、噴出口73から噴出された第1流量の不活性ガスにより、取り出し空間D2からの不活性ガスの漏れ出しを抑制し、又はガス充填可能部5gに不活性ガスを充填する。
【0063】
次に、制御部50は、第4支持片84を回転させて第2爪部84bを突出させる。その結果、第1支持体7Aが第2爪部84bによって支持された状態となる。次に、制御部50は、昇降台65を下降させる。その結果、下側の第2支持体7Bは、第1支持体7Aから離れて下降する。第1支持体7Aと下側の第2支持体7Bとの間には第2空間D4が形成される(
図9参照)。上記と同様に、第2空間D4から不活性ガスが収容容器5外に漏れ出すが、噴出口73から噴出された第1流量の不活性ガスにより、第2空間D4からの不活性ガスの漏れ出しを抑制し、又はガス充填可能部5gに不活性ガスを充填する。
【0064】
上記した取り出し空間D1、D2では、第1支持体7AのウェハWが露出している。また、第1支持体7Aのアーム13aによってウェハWが持ち上げられており、ウェハ搬送装置20のロボットアームをウェハWの下側に差し込むことが可能な空間を確保している。また、取り出し空間D1、D2の上下方向の寸法は、ウェハ搬送装置20のロボットアームがウェハWを掬い取ることができる寸法に設定されている。また、第2爪部82b、84bは、それぞれ第1支持体7Aの高さを位置決めしており、ウェハ搬送装置20のロボットアームが正確にウェハWを取り出すことができるようにしている。
【0065】
上記のように取り出し空間D1、D2が形成された後、ウェハ搬送装置20のロボットアームにより第1支持体7AのウェハWが取り出される。制御部50は、ウェハWを取り出した後、昇降台65を上昇させつつ順次第1支持片81等を中立状態にさせることで、取り出し空間D1、D2及び第2空間D3、D4が閉じられ、ガス充填可能部5gが密封された元の状態に戻る。なお、取り出し空間D1、D2及び第2空間D3、D4が閉じられたタイミングで、制御部50は、噴出口73から噴出させる不活性ガスの流量を第1隆昌から第2流量に切り替える。なお、上記では第1支持体7AのウェハWの取り出しについて説明しているが、第2支持体7BからウェハWを取り出す場合も同様である。また、ウェハ搬送装置20のロボットアームから空の第1支持体7A又は第2支持体7BにウェハWを搬入する場合も上記と同様に取り出し空間D1、D2及び第2空間D3、D4を形成することにより行うことができる。
【0066】
上記した実施形態では、支持体7同士の間に取り出し空間を形成する場合について説明しているが、この形態に限定されない。収容容器5の蓋部5bと支持体7との間で取り出し空間が形成されてもよい。
図12は、収容容器5に取り出し空間としての第3空間D5が形成された状態の一例を示す図である。制御部50は、蓋部5bの下側の第1支持体7Aの高さが第1支持片81に達するまで昇降台65を上昇(下降)させ、昇降台65を停止させた後、第1支持片81を回転させて第1爪部81aを突出させてから、再度昇降台65を下降させる。
【0067】
その結果、第1支持体7Aは、蓋部5bから離れて下降する。
図12に示すように、蓋部5bと第1支持体7Aとの間には第3空間D5が形成される。このとき、制御部50は、流量調整部を制御して不活性ガスを第1流量で噴出口73から噴出させる。第3空間D5から不活性ガスが収容容器5外に漏れ出すが、噴出口73から噴出された第1流量の不活性ガスにより、第3空間D5からの不活性ガスの漏れ出しを抑制し、又はガス充填可能部5gに不活性ガスを充填する。なお、上記と同様に第1支持体7Aの下方に第2空間D6を形成する点は、上記と同様のため説明を省略する。
【0068】
このように、本実施形態に係る物品収容装置30によれば、開閉装置60により収容容器5が開口される際に取り出し空間D1、D2に向けて不活性ガスが供給されるので、収容容器5内の不活性ガスが取り出し空間D1、D2から流出するのが抑制される。又は、取り出し空間D1、D2を介して、不活性ガスが入れられているガス充填可能部5gに不活性ガスを補填することができる。その結果、収容容器5内のウェハWが外気に触れにくくなり、ウェハWが劣化することを防止できる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各手順の実行順序は、前の手順の結果を後の手順で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上述した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【0070】
また、上記した実施形態では、不活性ガスの噴出口73が配管72において所定高さに配置された構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、噴出口73は、配管72の全長にわたって一定間隔で配置されてもよい。
【0071】
また、上記した実施形態では、第1支持片81等が上下方向に移動しない構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、第1支持片81等を上下方向に移動させる機構を備えてもよい。この場合、開閉装置60は、収容容器5を昇降させる昇降装置62を含まずに構成することができる。ただし、物品収容装置30は、第1支持片81等を上下方向に移動させる機構と、昇降装置62との双方を備える構成であってもよい。
【0072】
また、上記した実施形態では、第1支持片81等が回転することにより第1爪部81a等と第2爪部81b等とを選択的に支持体7に対して進退させる構成を例挙げて説明しているが、この構成に限定されない。例えば、第1爪部81a等又は第2爪部81b等が別体で形成され、それぞれがスライドすることで支持体7に対して進退する構成が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
D1、D2・・・取り出し空間
D3、D4、D6・・・第2空間
D5・・・第3空間
W・・・ウェハ
5・・・収容容器
7・・・支持体
30・・・物品収容装置
60・・・開閉装置
62・・・昇降装置
65・・・昇降台
68・・・ノズル
70・・・ガス噴出装置
71・・・ガス供給部
72・・・配管
73・・・噴出口
74・・・流量調整部
81a、82a、83a、84a・・・第1爪部
81b、82b、83b、84b・・・第2爪部
100・・・ウェハ貯蔵システム