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特許7384140輝度調整装置、輝度調整システム及び輝度調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】輝度調整装置、輝度調整システム及び輝度調整方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/16 20200101AFI20231114BHJP
   B60Q 1/38 20060101ALI20231114BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20231114BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20231114BHJP
   H05B 45/14 20200101ALI20231114BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20231114BHJP
【FI】
H05B47/16
B60Q1/38 B
B60Q1/34 A
H05B47/18
H05B45/14
H05B47/165
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020169224
(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公開番号】P2022061304
(43)【公開日】2022-04-18
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】後呂 翔太
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-063187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/16
B60Q 1/38
B60Q 1/34
H05B 47/18
H05B 45/14
H05B 47/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプの輝度値を調整する輝度調整装置であって、
処理を実行する処理部を備え、
前記処理部は、
1周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている輝度パターンに従って前記ランプの輝度値を調整し、
前記輝度パターンに関する時間値を取得し、
取得した時間値に基づいて、前記経過時間の実際値を取得した時間値に変更し、又は取得した時間値と前記経過時間の実際値との差分値だけ前記経過時間の実際値を増減させることによって、前記輝度パターンの1周期が終わるタイミングを変更する
輝度調整装置。
【請求項2】
前記処理部は、
取得した時間値及び前記実際値の差分値が閾値以上であるか否かを判定し、
前記差分値が前記閾値以上であると判定した場合、取得した時間値に基づいて、前記実際値を変更する
請求項1に記載の輝度調整装置。
【請求項3】
前記処理部は、通信線を介して送信された前記時間値を取得し、
前記閾値は、前記通信線の負荷値が大きい程、大きい
請求項2に記載の輝度調整装置。
【請求項4】
前記処理部は、
取得した時間値に対応する第1輝度値が前記実際値に対応する第2輝度値と異なるか否かを判定し、
前記第1輝度値が前記第2輝度値と異なると判定した場合、前記経過時間の第2の時間値を決定し、
取得した時間値から、決定した第2の時間値前までの前記輝度パターンの輝度値を変更し、
前記実際値を、取得した時間値に変更する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の輝度調整装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記第1輝度値が前記第2輝度値と異なると判定した場合にて、取得した時間値が前記実際値を超えているとき、前記第2の時間値を、取得した時間値よりも大きい値に決定し、
前記ランプの輝度値が、取得した時間値の輝度値から前記第2の時間値の輝度値に段階的に到達するように、取得した時間値から前記第2の時間値前までの前記輝度パターンの輝度値を変更する
請求項4に記載の輝度調整装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記第1輝度値が前記第2輝度値と異なると判定した場合にて、取得した時間値が前記実際値未満であるとき、前記第2の時間値を前記実際値に決定し、
取得した時間値から前記第2の時間値前までの前記輝度パターンの輝度値を、前記実際値の輝度値に変更する
請求項4又は請求項5に記載の輝度調整装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記輝度パターンに従ったランプの輝度値の調整を繰り返し、
前記時間値に基づいて、前記輝度パターンの1周期が終わるタイミングが変わるように前記実際値を変更する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の輝度調整装置。
【請求項8】
ランプの輝度値を調整する複数の輝度調整装置と、
1周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている輝度パターンに関する時間値を前記複数の輝度調整装置に送信する送信装置と
を備え、
各輝度調整装置は処理を実行する処理部を有し、
各輝度調整装置の処理部は、
前記複数のランプの中で自装置に対応するランプについて、前記輝度パターンに従って輝度値を調整し、
前記送信装置が送信した時間値を取得し、
取得した時間値に基づいて、前記経過時間の実際値を取得した時間値に変更し、又は取得した時間値と前記経過時間の実際値との差分値だけ前記経過時間の実際値を増減させることによって、前記輝度パターンの1周期が終わるタイミングを変更する
輝度調整システム。
【請求項9】
ランプの輝度値を調整する輝度調整方法であって、
1周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている輝度パターンに従って前記ランプの輝度値を調整するステップと、
前記輝度パターンに関する時間値を取得するステップと、
取得した時間値に基づいて、前記経過時間の実際値を取得した時間値に変更し、又は取得した時間値と前記経過時間の実際値との差分値だけ前記経過時間の実際値を増減させることによって、前記輝度パターンの1周期が終わるタイミングを変更するステップと
をコンピュータが実行する輝度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輝度調整装置、輝度調整システム及び輝度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、ランプの輝度値を調整する輝度調整装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1では、輝度調整装置として、第1輝度調整装置及び第2輝度調整装置が開示されている。第1輝度調整装置は、第1ランプの点灯及び消灯を交互に繰り返す。第1輝度調整装置は、第1ランプを点灯する場合、第2ランプの点灯を指示する信号を、通信線を介して第2輝度調整装置に送信する。第1輝度調整装置は、第1ランプを消灯する場合、第2ランプの消灯を指示する信号を、通信線を介して第2輝度調整装置に送信する。第2輝度調整装置は、第1輝度調整装置から受信した信号の指示に従って、第2ランプの点灯及び消灯を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-101075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、第1輝度調整装置は、第1ランプの点灯又は消灯を行う都度、通信線を介して信号を送信する必要がある。この問題を解消する構成として、第1輝度調整装置が、第2ランプの点滅を指示する信号を第2輝度調整装置に送信する構成が考えられる。この構成では、第2輝度調整装置は、第1輝度調整装置から信号を受信した場合、第1輝度調整装置と同様に、第2ランプの点灯及び消灯を繰り返す。従って、第1輝度調整装置は、第1ランプの点灯又は消灯を行う都度、通信線を介して、第2輝度調整装置に信号を送信する必要はない。
【0005】
しかしながら、この構成では、通常、時間が経過するにつれて、第1ランプ及び第2ランプの点灯又は消灯が行われるタイミングのずれが大きくなる。従って、第2輝度調整装置は、第2ランプの輝度値の調整に関する同期を、適宜、第1輝度調整装置ととる必要がある。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ランプの輝度値の調整に関する同期を実現することができる輝度調整装置、輝度制御システム及び輝度制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る輝度調整装置は、ランプの輝度値を調整する輝度調整装置であって、処理を実行する処理部を備え、前記処理部は、1周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている輝度パターンに従って前記ランプの輝度値を調整し、前記輝度パターンに関する時間値を取得し、取得した時間値に基づいて、前記経過時間の実際値を変更する。
【0008】
本開示の一態様に係る輝度調整システムは、ランプの輝度値を調整する複数の輝度調整装置と、1周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている輝度パターンに関する時間値を前記複数の輝度調整装置に送信する送信装置とを備え、各輝度調整装置は処理を実行する処理部を有し、各輝度調整装置の処理部は、前記複数のランプの中で自装置に対応するランプについて、前記輝度パターンに従って輝度値を調整し、前記送信装置が送信した時間値を取得し、取得した時間値に基づいて、前記経過時間の実際値を変更する。
【0009】
本開示の一態様に係る輝度調整方法は、ランプの輝度値を調整する輝度調整方法であって、1周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている輝度パターンに従って前記ランプの輝度値を調整するステップと、前記輝度パターンに関する時間値を取得するステップと、取得した時間値に基づいて、前記経過時間の実際値を変更するステップとをコンピュータが実行する。
【0010】
なお、本開示を、このような特徴的な処理部を備える輝度調整装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする輝度調整方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。また、本開示を、輝度調整装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、輝度調整装置を含む輝度調整システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0011】
上記の態様によれば、ランプの輝度値の調整に関する同期を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1における制御システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】統合ECU、個別ECU及びランプの配置の説明図である。
図3】PWM信号のデューティとランプの輝度値との関係の説明図である。
図4】統合ECUの要部構成を示すブロック図である。
図5】ランプ制御装置の手順を示すフローチャートである。
図6】個別ECUの要部構成を示すブロック図である。
図7】デューティテーブルの内容を示す図表である。
図8】輝度パターンのグラフである。
図9】閾値テーブルの内容を示す図表である。
図10】輝度調整処理の手順を示すフローチャートである。
図11】同期処理の手順を示すフローチャートである。
図12】同期処理の手順を示すフローチャートである。
図13】輝度値の変更の第1例を示す説明図である。
図14】輝度値の変更の第2例を示す説明図である。
図15】輝度値の変更の第3例を示す説明図である。
図16】輝度値の変更の第4例を示す説明図である。
図17】実施形態2における同期処理の手順を示すフローチャートである。
図18】調整カウント値の変更の第1例を示す説明図である。
図19】調整カウント値の変更の第2例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0014】
(1)本開示の一態様に係る輝度調整装置は、ランプの輝度値を調整する輝度調整装置であって、処理を実行する処理部を備え、前記処理部は、1周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている輝度パターンに従って前記ランプの輝度値を調整し、前記輝度パターンに関する時間値を取得し、取得した時間値に基づいて、前記経過時間の実際値を変更する。
【0015】
(2)本開示の一態様に係る輝度調整装置では、前記処理部は、取得した時間値及び前記実際値の差分値が閾値以上であるか否かを判定し、前記差分値が前記閾値以上であると判定した場合、取得した時間値に基づいて、前記実際値を変更する。
【0016】
(3)本開示の一態様に係る輝度調整装置は、前記処理部は、通信線を介して送信された前記時間値を取得し、前記閾値は、前記通信線の負荷値が大きい程、大きい。
【0017】
(4)本開示の一態様に係る輝度調整装置では、前記処理部は、取得した時間値に対応する第1輝度値が前記実際値に対応する第2輝度値と異なるか否かを判定し、前記第1輝度値が前記第2輝度値と異なると判定した場合、前記経過時間の第2の時間値を決定し、取得した時間値から、決定した第2の時間値前までの前記輝度パターンの輝度値を変更し、前記実際値を、取得した時間値に変更する。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る輝度調整装置は、前記処理部は、前記第1輝度値が前記第2輝度値と異なると判定した場合にて、取得した時間値が前記実際値を超えているとき、前記第2の時間値を、取得した時間値よりも大きい値に決定し、前記ランプの輝度値が、取得した時間値の輝度値から前記第2の時間値の輝度値に段階的に到達するように、取得した時間値から前記第2の時間値前までの前記輝度パターンの輝度値を変更する。
【0019】
(6)本開示の一態様に係る輝度調整装置では、前記処理部は、前記第1輝度値が前記第2輝度値と異なると判定した場合にて、取得した時間値が前記実際値未満であるとき、前記第2の時間値を前記実際値に決定し、取得した時間値から前記第2の時間値前までの前記輝度パターンの輝度値を、前記実際値の輝度値に変更する。
【0020】
(7)本開示の一態様に係る輝度調整装置は、前記処理部は、前記輝度パターンに従ったランプの輝度値の調整を繰り返し、前記時間値に基づいて、前記輝度パターンの1周期が終わるタイミングが変わるように前記実際値を変更する。
【0021】
(8)本開示の一態様に係る輝度調整システムは、ランプの輝度値を調整する複数の輝度調整装置と、1周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている輝度パターンに関する時間値を前記複数の輝度調整装置に送信する送信装置とを備え、各輝度調整装置は処理を実行する処理部を有し、各輝度調整装置の処理部は、前記複数のランプの中で自装置に対応するランプについて、前記輝度パターンに従って輝度値を調整し、前記送信装置が送信した時間値を取得し、取得した時間値に基づいて、前記経過時間の実際値を変更する。
【0022】
(9)本開示の一態様に係る輝度調整方法は、ランプの輝度値を調整する輝度調整方法であって、1周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている輝度パターンに従って前記ランプの輝度値を調整するステップと、前記輝度パターンに関する時間値を取得するステップと、取得した時間値に基づいて、前記経過時間の実際値を変更するステップとをコンピュータが実行する。
【0023】
上記の態様に係る輝度調整装置及び輝度調整方法にあっては、輝度パターンに従ってランプの輝度値を調整する。ランプの輝度値を、輝度パターンの1周期中の経過時間の実際値に対応する輝度値に調整することによって、ランプの点滅を実現する。外部から取得した時間値に基づいて、実際値を変更することによって、ランプの輝度値の調整に関する同期を実現することができる。
【0024】
上記の態様に係る輝度調整装置にあっては、時間値と実際値との差分値が閾値以上である場合に実際値を変更する。
【0025】
上記の態様に係る輝度調整装置にあっては、通信線の負荷値が大きい場合、時間値が送信されてから、時間値を取得するまでにかかる期間が長い。このため、通信線の負荷値が大きい程、時間値の信頼性は低い。このため、通信線の負荷値が大きい程、値が大きい閾値が用いられる。結果、通信線の負荷値が大きい場合、実際値が変更される可能性は低い。
【0026】
上記の態様に係る輝度調整装置にあっては、時間値から第2の時間値前までの輝度パターンの輝度値を変更する。このため、ランプの輝度値は、大きく変更されることなく、変更前の輝度パターンの輝度値に復帰する。
【0027】
上記の態様に係る輝度調整装置にあっては、ランプの輝度値は、実際値の輝度値から復帰値の輝度値に段階的に到達する。このため、ランプの輝度値は、大きく変更されることはなく、変更前の輝度パターンの輝度値に復帰する。
【0028】
上記の態様に係る輝度調整装置にあっては、実際値が時間値に変更されてから、復帰値に到達するまで、ランプの輝度値が、時間値を取得した時点の実際値の輝度値に維持される。このため、ランプの輝度値は、大きく変更されることなく、変更前の輝度パターンの輝度値に復帰する。
【0029】
上記の態様に係る輝度調整装置にあっては、輝度パターンの1周期が終わるタイミングを調整することによって、ランプの輝度値の調整に関する同期を実現する。
【0030】
上記の態様に係る輝度調整システムにあっては、送信装置は、時間値を複数の輝度調整装置に送信する。これにより、複数の輝度調整装置が行う調整の同期を実現することができる。
【0031】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る制御システム(輝度調整システム)の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
(実施形態1)
<制御システムの構成>
図1は、実施形態1における制御システム1の要部構成を示すブロック図である。制御システム1は車両Cに搭載されている。制御システム1は、統合ECU(Electronic Control Unit)2、複数の個別ECU3、4つのランプ40、アクチュエータ41及び4つのセンサ42を備える。ランプ40は、LED(Light Emitting Diode)又は白熱電球等である。複数の個別ECU3には、ランプ40に接続されている個別ECU3aと、アクチュエータ41に接続されている個別ECU3bが含まれている。図1の例では、個別ECU3aの数は3であり、個別ECU3bの数は1である。
【0033】
個別ECU3aの数は、3に限定されず、2又は4以上であってもよい。個別ECU3bの数は、1に限定されず、2以上であってもよい。制御システム1は、個別ECU3bを備えていなくてもよい。
以下では、個別ECU3aの数が3であり、かつ、個別ECU3bの数が1である例を説明する。
【0034】
図2は、統合ECU2、個別ECU3a及びランプ40の配置の説明図である。2つのランプ40それぞれは、車両Cの左前側及び右前側に配置されている。残り2つのランプ40それぞれは、車両Cの左後側及び右後側に配置されている。車両Cの後側に配置されている2つのランプ40は互いに接続されている。ランプ40は点滅するランプである。4つのランプ40は、例えばハザードランプである。
【0035】
2つの個別ECU3aそれぞれは、車両Cの前側に配置されている2つのランプ40の近傍に配置されている。これらの個別ECU3aそれぞれは、自装置の近傍に配置されているランプ40に接続されている。残り1つの個別ECU3aは、車両Cの後側に配置されている2つのランプ40の近傍に配置されている。この個別ECU3aは、2つのランプ40間の接続ノードに接続されている。統合ECU2は、車両Cの中央に配置されている。統合ECU2は、3つの通信線Lcによって、3つの個別ECU3aに各別に接続されている。
【0036】
図1に示すように、個別ECU3bには、更に、ランプ40とは異なるアクチュエータ41が接続されている。3つの個別ECU3a及び1つの個別ECU3bそれぞれには、更に、センサ42が接続されている。統合ECU2は、更に、通信線Laによって、個別ECU3bに接続されている。図2では、個別ECU3b、アクチュエータ41及び4つのセンサ42の記載を省略している。
【0037】
各センサ42は、車両Cに関する車両データを繰り返し取得する。車両データは、車両Cの加速度、車両C周辺の照度、雨が降っているか否か、車両Cの乗員によって操作されるスイッチの状態、又は、車両C周辺の画像等を示す。各センサ42は、車両データを取得する都度、取得した車両データを、自身に接続されている個別ECU3に出力する。各個別ECU3は、センサ42から車両データが入力された場合、入力された車両データを統合ECU2に送信する。
【0038】
統合ECU2は、一又は複数の個別ECU3から受信した一又は複数の車両データに基づいて、ランプ40又はアクチュエータ41の動作を決定する。統合ECU2は、決定した動作を示す指示データを、一又は複数の個別ECU3に送信する。個別ECU3aに送信される指示データは、ランプ40の点滅の開始又は終了を示す。個別ECU3bに送信される指示データは、アクチュエータ41の動作を示す。
【0039】
各個別ECU3aは、ランプ40の点滅の開始を示す指示データを受信した場合、PWM(Pulse Width Modulation)信号を一又は複数のランプ40に出力し、PWM信号のデューティを調整する。これにより、ランプ40は点滅を開始する。各個別ECU3aは、ランプ40の点滅の終了を示す指示データを受信した場合、PWM信号の出力を停止する。これにより、一又は複数のランプ40は点滅を終了する。
【0040】
個別ECU3bは、アクチュエータ41の動作を示す指示データを受信した場合、受信した指示データが示す動作をアクチュエータ41に実行させるための制御信号をアクチュエータ41に送信する。これにより、アクチュエータ41は、個別ECU3aが受信した指示データが示す動作を行う。
統合ECU2及び個別ECU3間の通信では、例えば、イーサネット(登録商標)の通信プロトコルが用いられる。
【0041】
<PWM信号のデューティとランプ40の輝度値との関係>
図3は、PWM信号のデューティとランプ40の輝度値との関係の説明図である。図3の上側には、PWM信号の波形が示されている。図3の下側には、PWM信号のデューティとランプ40の輝度値との関係が示されている。図3の上側に示すように、PWM信号はハイレベル電圧又はローレベル電圧を示す。図3では、ハイレベル電圧及びローレベル電圧それぞれを「H」及び「L」で示している。PWM信号が示す電圧は、周期的に、ローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わる。1周期中に、PWM信号が示す電圧はハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わる。
【0042】
PWM信号のデューティは、1周期の中で、PMM信号がハイレベル電圧を示す期間が占める割合である。デューティは、ゼロ以上であり、かつ、1以下である値で表される。各個別ECU3aは、PWM信号が示す電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わるタイミングを調整することによって、PWM信号のデューティを調整する。
なお、デューティがゼロである場合、PWM信号が示す電圧は、1周期中、ローレベル電圧に維持される。デューティが1である場合、PWM信号が示す電圧は、1周期中、ハイレベル電圧に維持される。
【0043】
ランプ40は、PWM信号がハイレベル電圧を示している間、点灯する。ランプ40は、PWM信号がローレベル電圧を示している間、消灯する。PWM信号の周期は短いので、人が感知するランプ40の輝度値は、1周期のランプ40の輝度値の平均値で表される。PWM信号のデューティが大きい程、1周期においてランプ40が点灯している期間は長い。このため、PWM信号のデューティが大きい程、人が感知するランプ40の輝度値は大きい。
【0044】
図3に示すランプ40の輝度値は、人が感知するランプ40の輝度値である。以下では、人が感知するランプ40の輝度値を、単に「ランプ40の輝度値」と記載する。図3の下側に示すように、ランプ40の輝度値は、デューティが上昇した場合に上昇し、デューティが低下した場合に低下する。各個別ECU3aは、PWM信号のデューティを調整することによって、ランプ40の輝度値を調整する。各個別ECU3aは輝度調整装置として機能する。
【0045】
なお、PWM信号は、ハイレベル電圧からローレベル電圧への切替えが周期的に行われる信号であってもよい。この場合、個別ECU3aは、PWM信号が示す電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わるタイミングを調整することによって、PWM信号のデューティを調整する。
【0046】
<統合ECU2の構成>
図4は統合ECU2の要部構成を示すブロック図である。統合ECU2は、同期カウンタ20、複数の通信部21、記憶部22及び制御部23を有する。これらは内部バス24に接続されている。各通信部21は、更に、個別ECU3に通信線Lcによって接続されている。複数の通信部21には、個別ECU3aに接続されている通信部21aと、個別ECU3bに接続されている通信部21bとが含まれている。通信部21aの数は、個別ECU3aの数と同じであり、3である。通信部21bの数は、個別ECU3bの数と同じであり、1である。
【0047】
同期カウンタ20には、同期カウント値が記憶されている。同期カウンタ20は、一定のカウント周期が経過する都度、同期カウント値を1だけインクリメントする。同期カウント値は、同期カウンタ20が測定した時間の測定値である。制御部23は、同期カウンタ20にカウントの開始を指示する。この場合、同期カウンタ20は、同期カウント値をゼロから1ずつ上昇させる。2以上の整数をNcで表す。同期カウンタ20は、同期カウント値が(Nc-1)である状態で、カウント周期が経過した場合、同期カウント値をゼロに変更する。従って、同期カウント値の全体周期は、Nc・(カウント周期)で表される。「・」は積を表す。
【0048】
制御部23は、同期カウント値を同期カウンタ20から読み出す。制御部23は、同期カウンタ20にカウントの終了を指示する。この場合、同期カウンタ20は、カウント、即ち、同期カウント値の上昇を終了させる。同期カウント値は、複数のランプ40の輝度値の調整に関する同期を行うために用いられる。同期は各個別ECU3aによって行われる。
【0049】
各通信部21は、自身に接続されている個別ECU3から車両データを繰り返し受信する。各通信部21が受信した車両データは制御部23によって取得される。各通信部21aは、制御部23の指示に従って、ランプ40の点滅の開始又は終了を示す指示データ、及び、同期カウント値を示す同期データを、自身に接続されている個別ECU3aに送信する。通信部21bは、制御部23の指示に従って、アクチュエータ41の動作を示す指示データを、自身に接続されている個別ECU3に送信する。
【0050】
記憶部22は不揮発性メモリである。従って、統合ECU2に電力が供給されているか否かに無関係に、記憶部35に記憶されているデータは保持される。記憶部22には、コンピュータプログラムPrが記憶されている。制御部23は、処理を実行する処理素子を有する。制御部23の処理素子は、コンピュータプログラムPrを実行することによって、アクチュエータ制御処理及びランプ制御処理等を実行する。アクチュエータ制御処理は、アクチュエータ41の動作を制御するための処理である。ランプ制御処理は、4つのランプ40の動作を制御するための処理である。
【0051】
なお、コンピュータプログラムPrは、制御部23の処理素子が読み取り可能に、非一時的な記憶媒体Arに記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体Arから読み出されたコンピュータプログラムPrが記憶部22に書き込まれる。記憶媒体Arは、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部装置からコンピュータプログラムPrをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムPrを記憶部22に書き込んでもよい。
【0052】
制御部23が有する処理素子の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。制御部23が有する処理素子の数が2以上である場合、複数の処理素子が協同して、アクチュエータ制御処理及びランプ制御処理等を実行してもよい。
【0053】
<アクチュエータ制御処理>
制御部23は、一又は複数の個別ECU3から受信した一又は複数の車両データに基づいて、アクチュエータ41を作動させるか否かを判定する。制御部23は、アクチュエータ41を作動させると判定するまで、アクチュエータ41を作動させるタイミングを待つ。制御部23は、アクチュエータ41を作動させると判定した場合、アクチュエータ41の動作を決定する。その後、制御部23は、通信部21bに指示して、決定した動作を示す指示データを個別ECU3bに送信させる。これにより、アクチュエータ41は、制御部23が決定した動作を行う。その後、制御部23はアクチュエータ制御処理を終了する。制御部23は、アクチュエータ制御処理を終了した後、再び、アクチュエータ制御処理を実行し、アクチュエータ41を作動させるタイミングを待つ。
【0054】
<ランプ制御処理>
図5はランプ制御処理の手順を示すフローチャートである。制御部23は、一又は複数の通信部21が受信した一又は複数の車両データに基づいて、4つのランプ40の点滅を開始させるか否かを判定する(ステップS1)。4つのランプ40がハザードランプである場合においては、例えば、ハザードランプのスイッチがオンに切替わったとき、制御部23は4つのランプ40の点滅を開始させると判定する。制御部23は、4つのランプ40の点滅を開始させないと判定した場合(S1:NO)、ステップS1を再び実行し、4つのランプ40の点滅を開始させるタイミングを待つ。
【0055】
制御部23は、4つのランプ40の点滅を開始させると判定した場合(S1:YES)、4つの通信部21aに指示して、ランプ40の点滅の開始を示す指示データを、4つの個別ECU3aに送信させる(ステップS2)。これにより、各個別ECU3aは、自装置に接続されている一又は複数のランプ40にPWM信号を出力し、PWM信号のデューティを調整することによって、一又は複数のランプ40を点滅させる。制御部23は、4つのランプ40の輝度値を調整することはない。
【0056】
制御部23は、ステップS2を実行した後、同期カウンタ20にカウントの開始を指示する(ステップS3)。これにより、同期カウンタ20は、同期カウント値をゼロから1ずつ上昇させる。制御部23は、ステップS3を実行した後、4つのランプ40の輝度値の調整に関する同期を行うか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の第1例として、図示しない受付部が同期の指示を車両Cの乗員から受け付けた場合に、制御部23は同期を行うと判定する。ステップS4の第2例として、ステップS2を実行してから一定期間が経過している場合に、制御部23は同期を行うと判定する。
【0057】
制御部23は、同期を行うと判定した場合(S4:YES)、同期カウンタ20から同期カウント値を読み出し(ステップS5)、4つの通信部21aに指示して、読み出した同期カウント値を示す4つの同期データを4つの個別ECU3aに送信させる(ステップS6)。
【0058】
制御部23は、同期を行わないと判定した場合(S4:NO)、又は、ステップS6を実行した後、一又は複数の通信部21が受信した一又は複数の車両データに基づいて、4つのランプの点滅を終了させるか否かを判定する(ステップS7)。4つのランプ40がハザードランプである場合においては、例えば、ハザードランプのスイッチがオフに切替わったとき、制御部23は4つのランプ40の点滅を終了させると判定する。制御部23は、4つのランプの点滅を終了させないと判定した場合(S7:NO)、ステップS4を実行する。以上のように、4つの通信部21aそれぞれは、4つのランプ40が点滅している間に、適宜、同期データを送信する。
【0059】
制御部23は、4つのランプ40の点滅を終了させると判定した場合(S7:YES)、同期カウンタ20にカウントの終了を指示する(ステップS8)。これにより、同期カウンタ20はカウントを終了する。制御部23は、ステップS8を実行した後、4つの通信部21aに指示して、ランプ40の点滅の終了を示す指示データを4つの個別ECU3aに送信させる(ステップS9)。これにより、各個別ECU3aはPWM信号の出力を停止する。これにより、4つのランプ40は点滅を終了する。
【0060】
制御部23は、ステップS9を実行した後、ランプ制御処理を終了する。制御部23は、ランプ制御処理を終了した後、再びランプ制御処理を実行し、ステップS1を再び実行し、4つのランプ40の点滅を開始させるタイミングを待つ。
【0061】
<個別ECU3aの構成>
図6は個別ECU3aの要部構成を示すブロック図である。4つの個別ECU3aの構成は同様である。個別ECU3aは、調整カウンタ30、通信部31、信号出力部32、データ入力部33、一時記憶部34、記憶部35及び制御部36を有する。これらは、内部バス37に接続されている。通信部31は、更に、通信線Lcによって統合ECU2に接続されている。信号出力部32は、一又は複数のランプ40に接続されている。データ入力部33は、更に、センサ42に接続されている。
【0062】
調整カウンタ30には、調整カウント値が記憶されている。調整カウンタ30は、一定のカウント周期が経過する都度、調整カウント値を1だけインクリメントする。調整カウント値は、調整カウンタ30が測定した時間の測定値である。制御部36は、調整カウンタ30にカウントの開始を指示する。この場合、調整カウンタ30は、調整カウント値をゼロから1ずつ上昇させる。調整カウンタ30は、統合ECU2の同期カウンタ20と同様に、調整カウント値が(Nc-1)である状態で、カウント周期が経過した場合、調整カウント値をゼロに変更する。従って、調整カウント値の全体周期は、Nc・(カウント周期)で表される。「・」は積を表す。
【0063】
前述したように、整数Ncは2以上の整数である。調整カウンタ30の整数Ncは、統合ECU2の同期カウンタ20の整数Ncと同じである。同期カウンタ20及び調整カウンタ30のカウント周期は一致している。ここで、「一致」は、厳密な一致のみを意味せず、実質的な一致も意味する。2つのカウント周期の差が誤差範囲内の値である場合、2つのカウント周期は実質的に一致する。
【0064】
制御部36は、調整カウント値を調整カウンタ30から読み出す。制御部36は、調整カウンタ30にカウントの終了を指示する。この場合、調整カウンタ30は、カウント、即ち、調整カウント値の上昇を終了させる。調整カウント値は、一又は複数のランプ40の輝度を調整するために用いられる。
【0065】
通信部31は、制御部36の指示に従って、車両データを統合ECU2の通信部21aに送信する。通信部31は指示データ及び同期データを受信する。制御部36は、通信部31が受信した指示データ及び同期データを取得する。
【0066】
通信部31は通信線Lcの負荷値を周期的に算出する。通信線Lcの負荷値は、例えば、一定の所定期間において、通信線Lcを介してデータが送信されている期間が占める割合、即ち、使用率で表される。負荷値を算出する第1例として、通信部31は、通信線Lcの電圧に基づいて通信線Lcの使用率(負荷値)を算出する。通信部31は、揮発性を有する図示しない一時記憶部を有し、一時記憶部に、通信線Lcを介して送信するデータを記憶する。通信部31は、一時記憶部に記憶されているデータを順次、通信線Lcを介して送信する。通信部31は、データを送信した後、一時記憶部からデータを消去する。負荷値を算出する第2例として、通信部31は、一時記憶部に記憶されているデータの量に基づいて通信線Lcの使用率(負荷値)を算出する。
【0067】
通信部31の一時記憶部には通信線Lcの負荷値が記憶されている。通信部31は、通信線Lcの負荷値を算出する都度、一時記憶部に記憶されている負荷値を、算出した負荷値に更新する。一時記憶部に負荷値が記憶されていない場合、通信部31は、算出した負荷値を一時記憶部に書き込む。制御部36は、通信部31の一時記憶部に記憶されている負荷値を参照する。
なお、負荷値の算出は、通信部31ではなく、制御部36が行ってもよい。
【0068】
信号出力部32は、制御部36の指示に従って、PWM信号を一又は複数のランプ40に出力する。信号出力部32には、デューティが記憶されている。信号出力部32は、PWM信号のデューティを、自身に記憶されているデューティに調整する。制御部36は、信号出力部32に記憶されているデューティを変更することによって、PWM信号のデューティを変更する。信号出力部32は、制御部36の指示に従って、PWM信号の出力を停止する。
【0069】
センサ42からデータ入力部33に車両データが繰り返し入力される。データ入力部33に入力された車両データは制御部36によって取得される。
一時記憶部34は揮発性メモリである。従って、個別ECU3aへの給電が停止した場合、一時記憶部34に記憶されているデータは消去される。制御部36は、一時記憶部34にデータを書き込む。一時記憶部34に記憶されているデータは制御部36によって読み出される。
【0070】
記憶部35は不揮発性メモリである。従って、個別ECU3aに電力が供給されているか否かに無関係に、記憶部35に記憶されているデータは保持される。記憶部35には、コンピュータプログラムPcが記憶されている。制御部36は、処理を実行する処理素子を有し、処理部として機能する。制御部36の処理素子は、コンピュータプログラムPcを実行することによって、車両データ送信処理、輝度調整処理及び同期処理等を実行する。車両データ送信処理は、車両データを統合ECU2の通信部21aに送信する処理である。輝度調整処理は、ランプ40の輝度値を調整する処理である。同期処理は、4つのランプ40の輝度値の調整に関する同期をとる処理である。
【0071】
なお、コンピュータプログラムPcは、制御部36の処理素子が読み取り可能に、非一時的な記憶媒体Acに記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体Acから読み出されたコンピュータプログラムPcが記憶部35に書き込まれる。記憶媒体Acは、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部装置からコンピュータプログラムPcをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムPcを記憶部35に書き込んでもよい。
【0072】
制御部36が有する処理素子の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。制御部36が有する処理素子の数が2以上である場合、複数の処理素子が協同して、車両データ送信処理、輝度調整処理及び同期処理等を実行してもよい。
各個別ECU3aの制御部36は、車両データ送信処理、輝度調整処理及び同期処理等を同様に実行する。
【0073】
記憶部35には、更に、輝度値を調整するために用いられるデューティテーブルTcが記憶されている。図7はデューティテーブルTcの内容を示す図表である。図7に示すように、デューティテーブルTcでは、Nc個の調整カウント値それぞれに対応するPWM信号のデューティが記憶されている。前述したように、PWM信号のデューティが決まった場合、ランプ40の輝度値が決まる。このため、デューティは輝度値に相当する。
【0074】
前述したように、調整カウンタ30は、カウント周期が経過する都度、調整カウント値を1だけインクリメントする。このため、調整カウント値は、1周期中の経過時間の時間値に相当する。調整カウント値に応じて、デューティ、即ち、ランプ40の輝度値が調整される。Nc個の調整カウント値それぞれのデューティ、即ち、輝度値は、1周期中の経過時間(時点)に応じた輝度パターンに従って設定されている。
【0075】
図8は輝度パターンのグラフである。図8では、輝度パターンのグラフが破線で示されている。輝度パターンのグラフに関して、横軸には調整カウント値が示されている。縦軸には、ランプ40の輝度値として、PWM信号のデューティが示されている。前述したように、調整カウント値は、カウント周期が経過する都度、1だけインクリメントするので、横軸は時間軸に相当する。輝度パターンでは、第1期間、第2期間、第3期間及び第4期間が設けられている。第1期間では輝度値が一定の傾きでゼロから一定値まで上昇する。第2期間では、輝度値が一定値に維持される。第3期間では輝度値が一定の傾きで一定値からゼロまで低下する。第4期間では輝度値がゼロに維持される。
【0076】
以下では、輝度パターンの1周期を輝度周期と記載する。調整カウント値の1目盛に対応する期間はカウント周期であるので、輝度周期は、Nc・(カウント周期)で表される。調整カウント値は、輝度周期中の経過時間の時間値である。従って、輝度パターンでは、輝度周期中の経過時間に応じた輝度値が示されている。図7に示すデューティテーブルTcのデューティ(輝度値)は、輝度パターンに従って設定されている。デューティテーブルTcにおいて表される複数のデューティは、図8において複数の黒点によって示されている。
【0077】
記憶部35には、更に、通信線Lcの負荷値と閾値との関係を示す閾値テーブルThが記憶されている。閾値は、ランプ40の輝度値の調整に関する同期をとるか否かの判定に用いられる。閾値は、同期カウント値と調整カウント値との差分値と比較される。
【0078】
図9は閾値テーブルThの内容を示す図表である。図9には、通信線Lcの負荷値が通信線Lcの使用率である例が示されている。この場合、負荷値の単位はパーセントである。閾値テーブルThでは、通信線Lcの負荷値に対応する閾値が示されている。閾値は、1以上であり、かつ、Nc以下である整数である。負荷値が大きい程、閾値は、大きい値に設定されている。
【0079】
<輝度調整処理>
図10は輝度調整処理の手順を示すフローチャートである。輝度調整処理では、個別ECU3aの制御部36は、一又は複数のランプ40の点滅を開始するか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11では、制御部36は、通信部31がランプ40の点滅の開始を示す指示データを統合ECU2の通信部21aから受信した場合、一又は複数のランプ40の点滅を開始すると判定する。制御部36は、通信部31が一又は複数のランプ40のランプ40の点滅の開始を示す指示データを受信していない場合、点滅を開始しないと判定する。
【0080】
制御部36は、点滅を開始しないと判定した場合(S11:NO)、ステップS11を再び実行し、通信部31がランプ40の点滅の開始を示す指示データを受信するまで待機する。制御部36は、点滅を開始すると判定した場合(S11:YES)、記憶部35に記憶されているデューティテーブルTcを一時記憶部34に書き込む(ステップS12)。同期処理では、制御部36は、デューティテーブルTcにおいて示されている複数のデューティを一時的に変更する。その後、制御部36は、デューティテーブルTcにおいて示されている複数のデューティを元の値に戻す。このため、制御部36はステップS12を実行する。
【0081】
制御部36は、ステップS12を実行した後、信号出力部32に指示して、PWM信号を一又は複数のランプ40に出力させる(ステップS13)。次に、制御部36は、調整カウンタ30にカウントの開始を指示する(ステップS14)。これにより、調整カウンタ30はカウントを開始する。調整カウント値は、ゼロから、カウント周期が経過する都度、1ずつ上昇する。次に、制御部36は、調整カウンタ30から調整カウント値を読み出す(ステップS15)。ステップS15において制御部36が読み出す調整カウント値はゼロである。
【0082】
次に、制御部36は、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcにおいて、ステップS15で読み出した調整カウント値に対応するデューティを読み出す(ステップS16)。次に、制御部36は、信号出力部32が出力しているPWM信号のデューティを、ステップS16で読み出したデューティに調整する(ステップS17)。
【0083】
制御部36は、一又は複数のランプ40の点滅を終了するか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18では、制御部36は、通信部31がランプ40の点滅の終了を示す指示データを統合ECU2の通信部21aから受信した場合、一又は複数のランプ40の点滅を終了すると判定する。制御部36は、通信部31が一又は複数のランプ40のランプ40の点滅の終了を示す指示データを受信していない場合、点滅を終了しないと判定する。
【0084】
制御部36は、点滅を終了しないと判定した場合(S18:NO)、調整カウンタ30から調整カウント値を読み出す(ステップS19)。制御部36は、ステップS19を実行した後、調整カウンタ30の調整カウント値が変化したか否かを判定する(ステップS20)。制御部36は、調整カウンタ30から読み出した最新の2つの調整カウント値が相互に異なっている場合、調整カウント値が変化したと判定する。制御部36は、調整カウンタ30から読み出した最新の2つの調整カウント値が同じである場合、調整カウント値は変化していないと判定する。
【0085】
制御部36は、調整カウント値が変化していないと判定した場合(S20:NO)、ステップS18を実行し、通信部31がランプ40の点滅の終了を示す指示データを受信するか、又は、調整カウント値が変化するまで待機する。制御部36は、調整カウント値が変化したと判定した場合(S20:YES)、ステップS16を再び実行し、PWM信号のデューティを変更する。
【0086】
制御部36は、点滅を終了すると判定した場合(S18:YES)、調整カウンタ30にカウントの終了を指示する(ステップS21)。これにより、調整カウンタ30は、カウントを終了する。制御部36は、ステップS21を実行した後、信号出力部32に指示して、PWM信号の出力を停止させる(ステップS22)。制御部36は、ステップS22を実行した後、輝度調整処理を終了する。制御部36は、輝度調整処理を終了した後、再び、輝度調整処理を実行し、通信部31が、ランプ40の点滅の開始を示す指示データを受信するまで待機する。
【0087】
基本的に、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcは、記憶部35に記憶されているデューティテーブルTcと同じである。調整カウント値は、ゼロから整数Nc(=0)までの遷移を繰り返す。このため、輝度調整処理では、制御部36は、基本的に、記憶部35に記憶されているデューティテーブルTc、即ち、図8に示す輝度パターンに従った一又は複数のランプ40の輝度値の調整を繰り返す。4つの個別ECU3aの制御部36それぞれは、輝度調整処理を実行する。このため、4つのランプ40について、輝度パターンに従った輝度値の調整が繰り返される。
【0088】
なお、同期処理において、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcは一時的に変更される可能性がある。同期は、4つの個別ECU3aが備える4つの調整カウンタ30の調整カウント値を共通の値に変更することによって実現される。4つの調整カウント値それぞれは、種々の要因で他の調整カウント値とのずれが生じる。
【0089】
<同期処理>
図11及び図12は同期処理の手順を示すフローチャートである。同期処理では、制御部36は、通信部31が同期データを受信したか否かを判定する(ステップS31)。通信部31が同期データを受信した場合、制御部36は通信部31から通信線Lcを介して送信された同期データを取得する。従って、通信部31が行う同期データの受信は、制御部36が行う同期データの取得に相当する。同期データの取得は、同期カウント値の取得に相当する。制御部36は、通信部31が同期データを受信していないと判定した場合(S31:NO)、ステップS31を再び実行し、通信部31が同期データを受信するまで待機する。
【0090】
制御部36は、通信部31が同期データを受信したと判定した場合(S31:YES)、通信部31から、通信線Lcの負荷値を読み出す(ステップS32)。制御部36は、閾値テーブルThにおいて、ステップS32で読み出した負荷値に対応する閾値を読み出す(ステップS33)。前述したように、閾値テーブルThでは、通信線Lcの負荷値が大きい程、閾値は大きい。次に、制御部36は、調整カウンタ30から、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値の実カウント値を読み出す(ステップS34)。
【0091】
前述したように、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値は、カウント周期が経過する都度、ゼロから1ずつ上昇する。輝度調整処理では、一又は複数のランプ40の輝度値は、調整カウント値に応じた輝度値に調整される。従って、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値、及び、制御部36がステップS34で読み出した実カウント値それぞれは、輝度周期中の経過時間の実際値に相当する。
【0092】
次に、制御部36は、通信部31が受信した同期データが示す同期カウント値と、ステップS34で読み出した実カウント値との差分値が、ステップS33で読み出した閾値以上であるか否かを判定する(ステップS35)。以下の同期処理の説明では、通信部31が受信した同期データが示す同期カウント値を、単に同期カウント値と記載する。
【0093】
前述したように、統合ECU2では、3つの通信部21aが、ランプ40の点滅の開始を示す指示データを送信した場合に、同期カウンタ20はカウントを開始する。同期カウント値及び調整カウント値それぞれは、カウント周期が経過する都度、ゼロから1ずつ上昇する。同期カウント値がNc-1である状態で同期カウント値が1だけインクリメントされた場合、同期カウント値はゼロに戻る。同様に、調整カウント値がNc-1である状態で調整カウント値が1だけインクリメントされた場合、調整カウント値はゼロに戻る。従って、同期カウント値は輝度パターンに関する時間値である。
【0094】
前述したように、統合ECU2の3つの通信部21aそれぞれは同期データを3つの個別ECU3aの通信部31に送信する。このため、統合ECU2は送信装置として機能する。制御システム1は輝度調整システムとして機能する。
【0095】
制御部36は、差分値が閾値以上であると判定した場合(S35:YES)、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcにおいて同期カウント値に対応する輝度値(デューティ)が、共通のデューティテーブルTcにおいて、実カウント値に対応する輝度値(デューティ)と異なるか否かを判定する(ステップS36)。
【0096】
制御部36は、同期カウント値に対応する輝度値が、実カウント値に対応する輝度値と同じであると判定した場合(S36:NO)、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を、通信部31が受信した同期データが示す同期カウント値に変更する(ステップS37)。これにより、同期が実現される。同期カウント値に対応する輝度値は第1輝度値に相当する。実カウント値に対応する輝度値は第2輝度値に相当する。
なお、調整カウント値が変更された場合に、調整カウンタ30は、カウント周期の経過を検知するための計時を再びゼロから開始することはない。
【0097】
制御部36は、差分値が閾値未満であると判定した場合(S35:NO)、又は、ステップS37を実行した後、同期処理を終了する。制御部36は、同期処理を終了した後、再び、同期処理を実行し、通信部31が同期データを受信するまで待機する。
【0098】
制御部36は、同期カウント値に対応する輝度値が実カウント値に対応する輝度値と異なると判定した場合(S36:YES)、実カウント値及び同期カウント値に基づいて、復帰カウント値を決定する(ステップS38)。復帰カウント値は第2の時間値に相当する。
【0099】
2つの輝度値が異なる場合において、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を同期カウント値に変更した場合、ランプ40の輝度値が大きく変化し、ランプ40を見ている人に違和感を与える可能性がある。この場合、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcにおいて、同期カウント値に対応する輝度値(デューティ)を実カウント値に対応する輝度値(デューティ)に変更し、調整カウント値が上昇するにつれて、図8に示す輝度パターンの輝度値(デューティ)に戻す。復帰カウント値は、ランプ40の輝度値(デューティ)が、記憶部35に記憶されているデューティテーブルTcのデューティ、即ち、図8に示す輝度パターンの輝度値(デューティ)に戻る調整カウント値である。
【0100】
制御部36は、ステップS38を実行した後、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcにおいて、同期カウント値から、復帰カウント値の1つ前の調整カウント値までの複数の調整カウント値に対応する複数のデューティを決定する(ステップS39)。複数のデューティの決定方法については後述する。同期カウント値に対応する輝度値は、実カウント値に対応する輝度値に決定される。次に、制御部36は、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcの複数のデューティを、ステップS39で決定した複数のデューティに変更する(ステップS40)。これにより、同期カウント値から、ステップS38で決定した復帰値の1つ前までの輝度パターンの複数の輝度値(デューティ)が変更される。
【0101】
制御部36は、ステップS40を実行した後、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を、通信部31が受信した同期データが示す同期カウント値に変更する(ステップS41)。これにより、輝度調整処理では、変更されたデューティテーブルTcに従って、同期カウント値に対応する輝度値(デューティ)から、ランプ40の輝度値を順次調整する。次に、制御部36は、調整カウンタ30から調整カウント値を読み出す(ステップS42)。次に、制御部36は、ステップS42で読み出した調整カウント値が、ステップS38で決定した復帰カウント値と一致しているか否かを判定する(ステップS43)。
【0102】
制御部36は、調整カウント値が復帰カウント値とは異なっていると判定した場合(S43:NO)、ステップS42を再び実行し、調整カウンタ30の調整カウント値が復帰カウント値と一致するまで待機する。制御部36は、調整カウント値が復帰カウント値と一致していると判定した場合(S43:YES)、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcを、記憶部35に記憶されている元のデューティテーブルTcに戻す(ステップS44)。制御部36は、ステップS44を実行した後、同期処理を終了する。制御部36は、同期処理を終了した後、再び同期処理を実行し、通信部31が同期データを受信するまで待機する。
【0103】
<輝度値(デューティ)の変更の第1例>
図13は輝度値の変更の第1例を示す説明図である。図13には、Nc個の調整カウント値に対応するNc個の輝度値(デューティ)が示されている。図13の上側には、同期処理のステップS40が実行される前のデューティテーブルTcに対応するNc個の輝度値が示されている。図13の下側には、同期処理のステップS40が実行された後のデューティテーブルTcに対応するNc個の輝度値が示されている。
【0104】
図13の例では、同期カウント値が実カウント値を超えており、かつ、同期カウント値に対応する輝度値が実カウント値に対応する輝度値よりも大きい。この場合において、デューティテーブルTcのデューティ(輝度値)を変更することなく、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を、同期カウント値に変更したとき、ランプ40の輝度値は急速に上昇する。この場合、ランプ40を見ている人は違和感を持つ可能性がある。
【0105】
そこで、同期処理のステップS38では、同期カウント値が実カウント値を超えている場合、制御部36は、復帰カウント値は同期カウント値よりも大きい値に決定する。同期処理のステップS40では、図13の下側に示すように、制御部36は、デューティテーブルTcの同期カウント値に対応する輝度値を、実カウント値に対応する輝度値に変更する。更に、制御部36は、同期カウント値の次の調整カウント値から、復帰カウント値の1つ前の調整カウント値に対応する一又は複数の輝度値(デューティ)を変更する。具体的には、制御部36は、ランプ40の輝度が、同期カウント値に対応する輝度値から復帰カウント値に対応する輝度値に段階的に到達するように、一又は複数の輝度値(デューティ)を変更する。これにより、ランプ40の輝度値は、大きく変更されることなく、図13の上側に示す輝度パターンの輝度値に復帰する。
【0106】
調整カウント値が復帰カウント値に到達した場合、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcは、記憶部35に記憶されている元のデューティテーブルTcに戻す。図13では、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcを、下側の輝度パターンに対応するデューティテーブルTcから、上側の輝度パターンに対応するデューティテーブルTcに戻す。
図13の例では、復帰カウント値は、同期カウント値及び実カウント値の差分値を同期カウント値に加算することによって得られる値に決定されている。
【0107】
<輝度値(デューティ)の変更の第2例>
図14は輝度値の変更の第2例を示す説明図である。図14には、Nc個の調整カウント値に対応するNc個の輝度値(デューティ)が示されている。図13と同様に、図14の上側及び下側それぞれには、同期処理のステップS40が実行される前のデューティテーブルTcに対応するNc個の輝度値、及び、同期処理のステップS40が実行された後のデューティテーブルTcに対応するNc個の輝度値が示されている。
【0108】
図14の例では、同期カウント値が実カウント値を超えており、かつ、同期カウント値に対応する輝度値が実カウント値に対応する輝度値よりも小さい。この場合において、デューティテーブルTcのデューティ(輝度値)を変更することなく、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を、同期カウント値に変更したとき、ランプ40の輝度値は急速に低下する。この場合、ランプ40を見ている人は違和感を持つ可能性がある。
【0109】
そこで、同期処理のステップS38では、同期カウント値が実カウント値を超えている場合、制御部36は、復帰カウント値は同期カウント値よりも大きい値に決定する。同期処理のステップS40では、図14の下側に示すように、制御部36は、デューティテーブルTcの同期カウント値に対応する輝度値を、実カウント値に対応する輝度値に変更する。更に、制御部36は、同期カウント値の次の調整カウント値から、復帰カウント値の1つ前の調整カウント値に対応する一又は複数の輝度値(デューティ)を変更する。具体的には、制御部36は、ランプ40の輝度が、同期カウント値に対応する輝度値から復帰カウント値に対応する輝度値に段階的に到達するように、一又は複数の輝度値(デューティ)を変更する。これにより、ランプ40の輝度値は、大きく変更されることなく、図14の上側に示す輝度パターンの輝度値に復帰する。
【0110】
調整カウント値が復帰カウント値に到達した場合、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcは、記憶部35に記憶されている元のデューティテーブルTcに戻す。図14では、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcを、下側の輝度パターンに対応するデューティテーブルTcから、上側の輝度パターンに対応するデューティテーブルTcに戻す。
図14の例では、図13と同様に、復帰カウント値は、同期カウント値及び実カウント値の差分値を同期カウント値に加算することによって得られる値に決定されている。
【0111】
<輝度値(デューティ)の変更の第3例>
図15は輝度値の変更の第3例を示す説明図である。図15には、Nc個の調整カウント値に対応するNc個の輝度値(デューティ)が示されている。図13及び図14と同様に、図15の上側及び下側それぞれには、同期処理のステップS40が実行される前のデューティテーブルTcに対応するNc個の輝度値、及び、同期処理のステップS40が実行された後のデューティテーブルTcに対応するNc個の輝度値が示されている。
【0112】
図15の例では、同期カウント値が実カウント値未満であり、かつ、同期カウント値に対応する輝度値が実カウント値に対応する輝度値よりも大きい。この場合において、デューティテーブルTcのデューティ(輝度値)を変更することなく、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を、同期カウント値に変更したとき、ランプ40の輝度値は急速に低下する。この場合、ランプ40を見ている人は違和感を持つ可能性がある。
【0113】
そこで、同期処理のステップS38では、同期カウント値が実カウント値未満である場合、制御部36は、復帰カウント値は実カウント値に決定する。同期処理のステップS40では、図15の下側に示すように、制御部36は、デューティテーブルTcの同期カウント値に対応する輝度値を、実カウント値に対応する輝度値に変更する。更に、制御部36は、同期カウント値の次の調整カウント値から、復帰カウント値の1つ前の調整カウント値に対応する一又は複数の輝度値(デューティ)も同期カウント値に対応する輝度値に変更する。これにより、ランプ40の輝度値は、大きく変更されることなく、図15の上側に示す輝度パターンの輝度値に復帰する。
【0114】
調整カウント値が復帰カウント値に到達した場合、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcは、記憶部35に記憶されている元のデューティテーブルTcに戻す。図15では、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcを、下側の輝度パターンに対応するデューティテーブルTcから、上側の輝度パターンに対応するデューティテーブルTcに戻す。
【0115】
<輝度値(デューティ)の変更の第4例>
図16は輝度値の変更の第4例を示す説明図である。図16には、Nc個の調整カウント値に対応するNc個の輝度値(デューティ)が示されている。図13図15と同様に、図16の上側及び下側それぞれには、同期処理のステップS40が実行される前のデューティテーブルTcに対応するNc個の輝度値、及び、同期処理のステップS40が実行された後のデューティテーブルTcに対応するNc個の輝度値が示されている。
【0116】
図16の例では、同期カウント値が実カウント値未満であり、かつ、同期カウント値に対応する輝度値が実カウント値に対応する輝度値よりも小さい。この場合において、デューティテーブルTcのデューティ(輝度値)を変更することなく、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を、同期カウント値に変更したとき、ランプ40の輝度値は急速に上昇する。この場合、ランプ40を見ている人は違和感を持つ可能性がある。
【0117】
そこで、同期処理のステップS38では、同期カウント値が実カウント値未満である場合、制御部36は、復帰カウント値は実カウント値に決定する。同期処理のステップS40では、図16の下側に示すように、制御部36は、デューティテーブルTcの同期カウント値に対応する輝度値を、実カウント値に対応する輝度値に変更する。更に、制御部36は、同期カウント値の次の調整カウント値から、復帰カウント値の1つ前の調整カウント値に対応する一又は複数の輝度値(デューティ)も同期カウント値に対応する輝度値に変更する。これにより、ランプ40の輝度値は、大きく変更されることなく、図16の上側に示す輝度パターンの輝度値に復帰する。
【0118】
調整カウント値が復帰カウント値に到達した場合、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcは、記憶部35に記憶されている元のデューティテーブルTcに戻す。図16では、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcを、下側の輝度パターンに対応するデューティテーブルTcから、上側の輝度パターンに対応するデューティテーブルTcに戻す。
【0119】
なお、同期カウント値及び実カウント値に対応する2つの輝度値(デューティ)が同一である場合、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcを変更することなく、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を同期カウント値に変更する。
【0120】
<制御システム1及び個別ECU3aの効果>
以上のように、3つの個別ECU3aは、統合ECU2から同期データを受信した場合、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を、受信した同期データが示す同期カウント値に変更する。これにより、3つの個別ECU3aが行う4つのランプの輝度値の調整に関する同期を実現することができる。
【0121】
通信線Lcの負荷値が大きい場合、統合ECU2から個別ECU3aまでの同期データの伝播時間が長く、同期データが示す同期カウント値の信頼性は低い。このため、各個別ECU3aでは、前述したように、通信線Lcの負荷値が大きい程、値が大きい閾値が用いられる。結果、通信線Lcの負荷値が大きい場合、同期データが示す同期カウント値を用いて、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値は変更される可能性は低い。
【0122】
(実施形態2)
実施形態1では、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を、同期データが示す同期カウント値に変更することによって同期が実現されている。しかしながら、同期を実現する方法は、調整カウント値を同期カウント値に変更する方法に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0123】
<同期処理>
図17は実施形態2における同期処理の手順を示すフローチャートである。実施形態2における同期処理の一部は、実施形態1における同期処理の一部と共通する。このため、実施形態1における同期処理のステップと共通する実施形態2の同期処理のステップについては、同様の符号を付し、これらのステップの詳細な説明を省略する。具体的には、ステップS31~S35の詳細な説明を省略する。実施形態2における同期処理の説明でも、通信部31が受信した同期データが示す同期カウント値を、単に同期カウント値と記載する。実施形態1の説明で述べたように、各個別ECU3aの制御部36は、車両データ送信処理、輝度調整処理及び同期処理等を実行する。
【0124】
実施形態2における同期処理において、個別ECU3aの制御部36は、同期カウント値と、ステップS34で読み出した実カウント値との差分値が、ステップS33で読み出した閾値以上であると判定した場合(S35:YES)、同期カウント値が実カウント値を超えているか否かを判定する(ステップS50)。実施形態1の説明で述べたように、閾値は1以上である。このため、ステップS50が実行された時点では、同期カウント値が実カウント値と同じであることはない。このため、ステップS50において、同期カウント値が実カウント値を超えていないことは、同期カウント値が実カウント値未満であることを意味する。
【0125】
制御部36は、同期カウント値が実カウント値を超えていると判定した場合(S50:YES)、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値をゼロに切替えるタイミングを示す切替えカウント値を決定する(ステップS51)。ステップS51では、切替えカウント値は、整数Ncから、同期カウント値及び実カウント値の差分値を減算することによって得られる値に決定される。
【0126】
制御部36は、ステップS51を実行した後、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を読み出し(ステップS52)、読み出した調整カウント値がステップS51で決定した切替えカウント値と一致しているか否かを判定する(ステップS53)。制御部36は、調整カウント値が切替えカウント値と一致していないと判定した場合(S53:NO)、ステップS52を再び実行し、調整カウント値が切替えカウント値と一致するまで待機する。輝度調整処理は同期処理と並行して実行されているので、時間の経過とともに調整カウント値は1ずつ上昇する。
【0127】
制御部36は、調整カウント値が切替えカウント値と一致していると判定した場合(S53:YES)、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値をゼロに変更する(ステップS54)。これにより、輝度調整処理では、一又は複数のランプ40の輝度値(デューティ)は、調整カウント値がゼロである場合における輝度値から順次変更される。
【0128】
制御部36は、同期カウント値が実カウント値を超えていない場合(S50:NO)、調整カウント値がゼロに到達した場合に変更する調整カウント値の目標値である戻しカウント値を決定する(ステップS55)。ステップS55では、戻しカウント値は、整数Ncから、同期カウント値及び実カウント値の差分値を減算することによって得られる値に決定される。
【0129】
制御部36は、ステップS55を実行した後、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を読み出し(ステップS56)、読み出した調整カウント値がゼロ、即ち、整数Ncであるか否かを判定する(ステップS57)。制御部36は、調整カウント値がゼロではないと判定した場合(S57:NO)、ステップS56を再び実行し、調整カウント値がゼロと一致するまで待機する。前述したように、輝度調整装置は同期処理と並行して実行されているので、時間の経過とともに調整カウント値は1ずつ上昇する。
【0130】
制御部36は、調整カウント値がゼロであると判定した場合(S57:YES)、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を戻しカウント値に変更する(ステップS58)。これにより、輝度調整処理では、一又は複数のランプ40の輝度値(デューティ)は、調整カウント値が戻しカウント値である場合における輝度値から順次変更される。
制御部36は、差分値が閾値未満であると判定した場合(S35:NO)、又は、ステップS54,S58の一方を実行した後、同期処理を終了する。制御部36は、同期処理を終了した後、再び同期処理を実行し、通信部31が同期データを受信するまで待機する。
【0131】
なお、実施形態2における同期処理では、デューティテーブルTcが示すデューティ(輝度値)を変更する必要はない。このため、個別ECU3aの制御部36は、一時記憶部34に記憶されているデューティテーブルTcを参照する代わりに、記憶部35に記憶されているデューティテーブルTcを参照してもよい。
【0132】
<調整カウント値の変更の第1例>
図18は調整カウント値の変更の第1例を示す説明図である。図18には、Nc個の調整カウント値に対応するNc個の輝度値(デューティ)が示されている。輝度パターンに従ってNc個の輝度値(デューティ)が変更されている。
【0133】
図18の例では、同期カウント値が実カウント値を超えている。同期カウント値及び実カウント値の差分値は3である。このため、個別ECU3aの制御部36は、切替えカウント値を(Nc-3)に決定する。制御部36は、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値が切替えカウント値に到達した場合、調整カウント値をゼロに変更する。これにより、個別ECU3aの調整カウンタ30の調整カウント値は、統合ECU2の同期カウンタ20の同期カウント値と一致する。第4期間、即ち、輝度値がゼロに維持されている期間を短縮することによって同期が実現されている。
【0134】
<調整カウント値の変更の第2例>
図19は調整カウント値の変更の第2例を示す説明図である。図19には、Nc個の調整カウント値に対応するNc個の輝度値(デューティ)が示されている。輝度パターンに従ってNc個の輝度値(デューティ)が変更されている。
【0135】
図19の例では、同期カウント値が実カウント値を超えている。同期カウント値及び実カウント値の差分値は3である。このため、個別ECU3aの制御部36は、戻しカウント値を(Nc-3)に決定する。制御部36は、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値がゼロ、即ち、整数Nc(輝度パターンの右端)に到達した場合、調整カウント値を戻しカウント値に変更する。これにより、個別ECU3aの調整カウンタ30の調整カウント値は、統合ECU2の同期カウンタ20の同期カウント値と一致する。第4期間、即ち、輝度値がゼロに維持されている期間を延長することによって同期が実現されている。
【0136】
<制御システム1及び個別ECU3aの効果>
以上のように、実施形態2における同期処理では、各個別ECU3aの制御部36は、輝度パターンの輝度周期が終わるタイミングが変わるように、同期カウント値に基づいて、調整カウンタ30に記憶されている調整カウント値を、切替えカウント値又は戻しカウント値に変更する。これにより、4つのランプ40の輝度値の調整に関する同期が実現される。
実施形態2における制御システム1及び個別ECU3aは、実施形態1における制御システム1及び個別ECU3aが奏する効果の中で、調整カウント値を同期カウント値に変更することによって得られる効果以外の効果を同様に奏する。
【0137】
<変形例>
実施形態1,2において、ランプ40の数は、4に限定されず、2又は5以上であってもよい。また、ランプ40の他の例として、車両Cの左折又は右折を示すために点滅するターンランプが挙げられる。2つのランプ40が左折を示すターンランプである場合、例えば、2つのランプ40は、車両Cの左前側及び左後側に配置される。同様に、2つのランプ40が右折を示すターンランプである場合、例えば、2つのランプ40は、車両Cの右前側及び右後側に配置される。この場合、例えば、2つの個別ECU3aそれぞれが2つのランプ40の輝度値を調整する。統合ECU2は、2つの個別ECU3aに同期データを送信する。これにより、2つのランプ40の輝度値の調整に関する同期が実現される。
【0138】
また、ランプ40の輝度値を調整する方法、PWM信号のデューティを調整する方法に限定されない。ランプ40に印加されている電圧、又は、ランプ40を介して流れる電流を直接に調整することによって、ランプ40の輝度値を調整する構成を実現してもよい。
更に、ランプ40の構成は、種々の色を点滅させる構成であってもよい。例えば、ランプ40の構成は、赤色、緑色及び青色の光を発する3つのLED(Light Emitting Diode)を含む構成であってもよい。
【0139】
各個別ECU3aに接続されるランプ40の数は、1又は2に限定されず、3以上であってもよい。個別ECU3bに接続されるアクチュエータ41の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。各個別ECU3aに、一又は複数のアクチュエータ41が接続されてもよい。
【0140】
統合ECU2及び複数の個別ECU3それぞれは、バスによって接続されてもよい。この場合、統合ECU2及び複数の個別ECU3それぞれは、例えば、CAN(Controller Area Network)の通信プロトコルが用いられる。個別ECU3a,3bそれぞれは、ランプ40、アクチュエータ41又はセンサ42等の複数の電気機器に電力を分配する機能を有していてもよい。また、統合ECU2はビークルコンピュータであってもよいし、ビークルコンピュータが行う機能に、統合ECU2が行う機能が含まれていてもよい。
【0141】
開示された実施形態1,2はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0142】
1 制御システム(輝度調整システム)
2 統合ECU(送信装置)
3,3b 個別ECU
3a 個別ECU(輝度調整装置)
20 同期カウンタ
21,21a,21b,31 通信部
22,35 記憶部
23 制御部
24,37 内部バス
30 調整カウンタ
32 信号出力部
33 データ入力部
34 一時記憶部
36 制御部(処理部)
40 ランプ
41 アクチュエータ
42 センサ
Ac,Ar 記憶媒体
C 車両
Lc 通信線
Pc,Pr コンピュータプログラム
Tc デューティテーブル
Th 閾値テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19