(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】コルセット
(51)【国際特許分類】
A61F 5/02 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
A61F5/02 K
(21)【出願番号】P 2020538278
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2019030641
(87)【国際公開番号】W WO2020039902
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2018154151
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片石 有一
(72)【発明者】
【氏名】宮川 克也
(72)【発明者】
【氏名】松本 美沙
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-007394(JP,A)
【文献】実開平05-013417(JP,U)
【文献】特開2012-130388(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0822375(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/00-02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の胴部に装着されるフレームと、
前記フレームに設けられ、前記フレームを前記装着者の胴部に装着した際に、腰椎の位置に当接する第1の当接部並びに左右の大腿骨大転子の位置にそれぞれ当接する第2の当接部及び第3の当接部とを備え、
前記フレームの前記第1の当接部、前記第2の当接部及び前記第3の当接部を含む部分は、樹脂成型品であり、
前記装着者の胴部を、前記第1の当接部、前記第2の当接部及び前記第3の当接部により3点支持する、コルセット。
【請求項2】
前記フレームは、軸方向に伸びるスリット状の開口部を有する断面C字状の筒体である本体部を有している、請求項1に記載のコルセット。
【請求項3】
前記フレームは、前記本体部のスリット状の開口部の間隔を調整する調整部を有している、請求項2に記載のコルセット。
【請求項4】
前記フレームは、前記本体部の下端部から下方に突出する2つのウイング部を有し、
前記第2の当接部及び前記第3の当接部は、前記ウイング部にそれぞれ設けられている、請求項2又は3に記載のコルセット。
【請求項5】
前記第2の当接部及び前記第3の当接部は、前記ウイング部の中央部にそれぞれ設けられている、請求項4に記載のコルセット。
【請求項6】
前記第1の当接部は、前記装着者の第3腰椎から第5腰椎のいずれかの位置に当接する、請求項1~5のいずれか1項に記載のコルセット。
【請求項7】
前記フレームは、前記第1の当接部を含む第1の部分と、前記第2の当接部を含む第2の部分と、前記第3の当接部を含む第3の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分及び前記第3の部分とを連結する連結部材とを含む本体部を有し、
前記連結部材は、前記第1の部分、前記第2の部分及び前記第3の部分よりも軟質の材料からなる、請求項1~6のいずれか1項に記載のコルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコルセットに関し、特に腰椎疾患等において使用するコルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
腰椎疾患においては、腰椎部を支持、固定する体幹装具(コルセット)が用いられる。コルセットは、装着することにより腹腔の内圧を高め、これにより脊柱前方を支えて腰椎にかかる負荷を軽減する。このため、通常のコルセットは腹部及び腰椎部を圧迫して腰部の動きを制限し体幹を固定する。
【0003】
通常のコルセットはある程度伸縮性のあるベルトを体幹に巻き付けて、圧迫と固定とを行う。通常のコルセットは、下腹部が圧迫されるため、装着者に大きな不快感を与える。また、食事や起坐などの日常生活の障害となる場合もある。
【0004】
不快感や日常生活の障害を取り除くために、プレート等の硬質の構造を組合せたり、胸部にも支点を設けたりすることが検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、その原理上、従来のコルセットは下腹部を圧迫せざるを得ない。このため、装着時の不快感等を取り除く効果は極めて限定的である。
【0007】
本開示の課題は、下腹部の圧迫によらずに体幹を固定することが可能なコルセットを実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のコルセットの一態様は、装着者の胴部に装着されるフレームと、フレームに設けられ、フレームを装着者の胴部に装着した際に、腰椎の位置に当接する第1の当接部並びに左右の腰骨の位置にそれぞれ当接する第2の当接部及び第3の当接部とを備え、装着者の胴部を、第1の当接部、第2の当接部及び第3の当接部により3点支持する。
【0009】
このような構成とすることにより、腰椎にかかる力を腰骨に分散させて支えることができ、下腹部の圧迫による装着時の不快感等を大幅に低減しつつ、十分な腰椎の支持及び固定が可能となる。
【0010】
コルセットの一態様において、フレームは、軸方向に伸びるスリット状の開口部を有する断面C字状の筒体である本体部を有し、第1の当接部、第2の当接部及び第3の当接部は、本体部の内面に設けられている構成とすることができる。このような構成とすることにより、下腹部を圧迫することなく、体幹の3点支持を効果的に行うことができる。
【0011】
コルセットの一態様において、フレームは、本体部のスリット状の開口部の間隔を調整する調整部を有していてもよい。このような構成とすることにより、第2の当接部及び第3の当接部を適度な力で腰骨に当接させることができ、安定して体幹の支持及び固定ができる。
【0012】
コルセットの一態様において、フレームは、本体部の下端部から下方に突出するようにそれぞれ設けられた、2つのウイング部を有し、第2の当接部及び第3の当接部は、ウイング部にそれぞれ設けられていてもよい。このような構成とすることにより、コルセットをずれにくくして、さらに安定して体幹の支持及び固定ができる。
【0013】
この場合において、第2の当接部及び第3の当接部は、ウイング部の中央部に設けられていることが好ましい。このような構成とすることにより、より安定して体幹の支持及び固定ができる。
【0014】
コルセットの一態様において、第1の当接部は、装着者の第3腰椎から第5腰椎のいずれかの位置に当接させることができる。このような構成とすることにより、多くの腰椎疾患に対応することができる。
【0015】
コルセットの一態様において、フレームは、第1の当接部を含む第1の部分と、第2の当接部を含む第2の部分と、第3の当接部を含む第3の部分と、第1の部分と第2の部分及び第3の部分とを連結する連結部材とを含む本体部を有し、連結部材は、第1の部材、第2の部材及び第3の部材よりも軟質の材料からなる構成とすることができる。このような構成とすれば、本体部を容易に折り畳んで収容することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示のコルセットによれば、下腹部の圧迫によらずに体幹を固定でき、装着時の不快感等を大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は一実施形態に係るコルセットを示す斜視図である。
【
図2】
図2は一実施形態に係るコルセットの筒体を示す斜視図である。
【
図3】
図3は一実施形態に係るコルセットのプレートを示す斜視図である。
【
図4】
図4は一実施形態に係るコルセットの装着例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1~
図4に示すように、本実施形態のコルセットは、装着者の胴部に装着されるフレーム101と、フレーム101を装着者の胴部に装着した際に、腰椎の位置に当接する第1の当接部111並びに左右の大腿骨大転子の位置にそれぞれ当接する第2の当接部112及び第3の当接部113とを備えている。装着者の体幹(胴部)は、第1の当接部111、第2の当接部112及び第3の当接部113により3点支持される。
【0019】
本実施形態のコルセットは、左右の大腿骨大転子と、腰椎とを3点支持し、腰椎にかかる力の一部を左右の大腿骨大転子に分散させることにより、腰椎にかかる負荷を軽減する。このため、下腹部を圧迫しなくても体幹を支えることができ、下腹部の圧迫による不快感を大幅に低減できる。
【0020】
図2に示すように、本実施形態において、フレーム101は、高さ方向に伸びるスリット状の開口部102aを有する断面C字状の筒体である本体部102と、本体部102の下方に突出する略三角形状の2つのウイング部108とを有している。本体部102は、開口部102aを腹側にして胴部に装着する。本体部102は、人の胴部の形に対応して、周方向中央部及び高さ方向中央部がくびれた形状とすることが好ましい。
【0021】
第1の当接部111、第2の当接部112及び第3の当接部113は、それぞれフレーム101の内周面に設けられ、対応する胴部の体表面に当接する。第1の当接部111は、本体部102の上部で、周方向の中央部に設けられており、第2の当接部112及び第3の当接部113は、それぞれウイング部108の中央部付近に設けられている。
【0022】
フレーム101は、体幹を3点支持することができる程度の硬質の材料により形成されている。また、開口部102aを広げて胴部に装着できる程度の柔軟性を有していることが好ましい。具体的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミドエラストラマー及びポリイミド等の樹脂により形成することができる。このため、フレーム101は、装着していない状態において自立し、3つの当接部の相対的な位置関係が変動しない。
【0023】
本実施形態において、フレーム101は、本体部102の開口部102aの間隔を調整し、第2の当接部112及び第3の当接部113が左右の大腿骨大転子へ当接する力を調整すると共に、本体部102の胴部に対する位置を固定する、調整部103を有している。本実施形態において調整部103は、本体部102の開口部102aを覆うプレート105と、プレート105と本体部102とを連結するベルト106とを有している。ベルト106を締めることにより、C字状の本体部102が変形するため、第2の当接部112と第3の当接部113との径方向の間隔を調整することができる。
【0024】
本実施形態において、プレート105は腹腔の内圧を高めるために下腹部を圧迫するものではなく、第2の当接部112と第3の当接部113との間隔を調整して、左右の大腿骨大転子に適度な力により当接させるためのものである。これにより、腰椎にかかる力の一部を第1の当接部111により受け止め、第2の当接部112及び第3の当接部113を介して腰骨に分散させることを可能とする。また、装着者の動きによりフレーム101の装着位置がずれたり、フレーム101が外れたりしないようにすることができる。
【0025】
プレート105は装着者の体表面と密着している必要はなく、プレート105と体表面との間には適度な隙間を設けることができる。プレート105と体表面との間に隙間を設けることにより、プレート105を支えとして頼ることによる装着者の筋力低下を生じにくくすることもできる。
【0026】
本実施形態において、プレート105は両側部に段差部105aを有しており、プレート105における段差部105aの間の部分の周方向長さは、本体部102の開口部102aの周方向長さよりも少し短く設計されている。このため、ベルト106を締めると、段差部105aと本体部102の端部とが当接する位置まで本体部102が変形し第2の当接部112と第3の当接部113との間隔が小さくなる。しかし、それ以上は変形せず、第2の当接部112及び第3の当接部113が腰骨に当接する力が大きくなりすぎたり、プレート105が腹部を圧迫したりしないようになっている。但し、段差部105aを設けない構成とすることもできる。例えば、プレート105と本体部102とが互いに相補的な傾斜面や曲面を有し、その部分が当接するようにして、閉まりすぎを防ぐような構成とすることもできる。
【0027】
本実施形態においてプレート105と本体部102とを連結するベルト106は、面ファスナーを有しており、長さの調節とプレート105の取り外しとが容易にできる。ベルト106の長さの調節はどのような構成により実現してもよく、例えばロックストラップ等により実現することもできる。また、プレート105の一方の端部を蝶番等により本体部102に固定し、他方の端部を長さ調節が可能なベルト等により本体部102と連結する構成とすることもできる。さらに、プレート105及び本体部102のそれぞれに、互いに係合するバックルを有する長さが調節可能なベルト等を設け、これを用いてプレート105と本体部102とを連結することもできる。
【0028】
なお、ベルト106の取り回し等を調整することにより、プレート105の固定及び調整の操作を、装着者の体の正面において行う構成とすることもできる。このような構成とすれば、装着者は体を横に捻ることなく操作をすることができるので、腰痛等の症状を有し体を横に捻ることが困難な装着者でも容易にプレート105の固定及び調整を容易にすることができる。
【0029】
プレート105と本体部102とを調節可能に連結できれば、ベルトに限らず、紐又はワイヤ等を用いることもできる。この場合には、靴紐を締めるために用いられているような、ラッチ機構とダイヤルとを組合せ、ダイヤルを回すことにより紐又はワイヤの長さを調節できる調節機構を設けることもできる。さらに、プレート105と本体部102とをスナップボタンやカギホック等を用いて連結する構成とすることもできる。
【0030】
また、調整部はプレートを有していない構成とすることもできる。例えば、開口部102aの両端部を長さが調節可能なベルト等により直接接続する構成としてもよい。プレートを用いない場合には、ある程度幅広のベルトを用いることが好ましいが、細いベルト、紐又はワイヤ等を用いることもできる。
【0031】
本実施形態において、本体部102は一体成形されている。一体成形すれば本体部102の形成が容易となる。しかし、所定の強度を維持できるのであれば、本体部102を複数の部材を連結して形成することもできる。この場合、本体部102を分解可能とすることもでき、このようにすれば収納が容易となる。
【0032】
例えば、本体部102を第1の当接部111を含む第1の部分、第2の当接部112を含む第2の部分及び第3の当接部113を含む第3の部分に分割することができる。この場合、第1の部分と第2の部分及び第3の部分とにそれぞれ連結部を設けて、一体に組み立てられるようにすることができる。連結部は、例えば各部分の側端部に設けられた互いに嵌合する凹部と凸部とすることができる。また、各部分の側端部に面ファスナーを取り付け、取り付けた面ファスナーにより互いを連結するようにすることもできる。
【0033】
図5に示すように、第1の部分121と第2の部分122及び第3の部分123とを直接連結するのではなく、柔軟なメッシュ生地等からなる帯状の連結部材124を介して連結することもできる。このようにすれば、各部分が互いに連結された状態でも、連結部材124の部分で折り畳んで収納することができる。
図5においては、連結部材124の両側部を固着部とし、固着部を各部分に接着又は融着等により固着させて、3つの部分が互いに分離しないようにした例を示している。このようにすれば、3つの部分を間違えて連結することがなく、3つの部分が使用中に不用意に分離したり、3つの部分の位置関係がずれたりしにくくできる。但し、3つの部分は互いに分離できる構成とすることもできる。
【0034】
図5において、1本の帯状の連結部材124が、各部分の上端から下端まで連続して連結している例を示したが、連結部材の長さは各部分の上端から下端まで達するものでなくてもよい。また、複数の短い連結部材を間隔をおいて配置して各部分を連結してもよい。なお、連結部材124は、メッシュ生地に限らず、第1の部分121、第2の部分122及び第3の部分123よりも柔軟な材料で形成することができる。また、本体部102を3つ以上の部分に分割することもできる。
【0035】
本実施形態において、第1の当接部111は本体部の内面に設けられた凸部であり、第2の当接部112及び第3の当接部113は、各ウイング部108の内面に設けられた曲面である。各当接部は、当接箇所における疼痛等の発生を抑えるために、面として必要な箇所に当接するように設計することが好ましい。また、個人の専用に設計するのではなく、汎用とする場合には、各当接部は当接位置の個人差を吸収できる程度の範囲に拡がっていることが好ましい。
【0036】
第1の当接部111は、治療の対象とする腰椎が特定されている場合は、その位置に当接させることが好ましい。一般的な用途であれば、治療対象となることが最も多い、第3腰椎~第5腰椎の間に当接させることが好ましく、第4腰椎~第5腰椎の間に当接させることがさらに好ましい。
【0037】
本実施形態のコルセットは、本体部102の下方に突出する2つのウイング部108を有している。本実施形態において、それぞれのウイング部108は、下方に向かって次第に幅が狭くなる略三角形状であり、中央部が装着者の大腿骨大転子と当接する第2の当接部112及び第3の当接部113となるように設けられている。
【0038】
ウイング部108を、大腿骨大転子を中心にして装着者の腸骨を覆うような形状とすることにより、コルセットの左右のぶれを生じにくくし、より安定して体幹を3点支持することが可能となる。ウイング部108の形状は、腸骨を覆うようにできれば、略三角形状に限らず、方形状や半円形状等としてもよい。
【0039】
大腿骨大転子と当接する第2の当接部112及び第3の当接部113を、ウイング部108の中央部に設けることにより、体幹をより安定して支持、固定することができる。但し、第2の当接部112及び第3の当接部113はウイング部108のどこに設けられていてもよく、例えばウイング部108の先端部に設けることもできる。
【0040】
ウイング部108は、本体部102と一体に形成することができるが、本体部102とは別に成形し、後から本体部102に取り付けることも可能である。なお、ウイング部108を設けず、本体部102全体が下方に延びるようにして、第2の当接部及び第3の当接部を設けることもできる。但し、左右に別れたウイング部108を設けることにより、本体部102全体が大腿骨大転子の位置まで延びている場合よりも体の動きを妨げにくくすることができる。
【0041】
フレーム101の内面における第1の当接部111、第2の当接部112及び第3の当接部113だけが装着者の体表面に当接すればよく、他の部分は体表面に当接している必要はない。但し、第1の当接部111、第2の当接部112及び第3の当接部113以外に体表面に当接する部分が生じてもよい。例えば、第2の当接部112及び第3の当接部113が大腿骨大転子に当接する場合に、上後上部腸骨棘又は上前上部腸骨棘と当接する第4及び第5の当接部を設けることができる。
【0042】
本実施形態において、フレーム101に複数の開口部を設けている。開口部を設けることにより、コルセットを装着した際の通気性を向上させることができる。開口部は必要とする強度を保てる限り自由に配置することができる。また、本実施形態において、開口部が意匠性を発揮するようにした例を示しているが、通気性を確保できれば開口部の形状は限定されない。
【0043】
本体部102は、第1の当接部111が設けられたC字状の上部帯と、ウイング部108が接続されたC字状の下部帯とが、複数の柱状部により接続された構成とすることもできる。この場合、上部帯と下部帯との間に1つ又は複数のC字状の中間帯を設けることもできる。
【0044】
本実施形態のコルセットは、装着者の体型の個人差をある程度許容できるので、本体部102の径及び高さが異なるものを数種類用意すれば、大部分の装着者に適用することができる。しかし、各当接部の位置を、装着者の体型に応じて設計することもできる。この場合には、例えば装着者の腰部のX線写真又はCT写真等から、腰椎及び腰骨の位置を特定し、それに合わせて設計することができる。
【0045】
本実施形態のコルセットは、硬質のフレームを有しているが、腹部全体を圧迫することで骨折部の固定等を行う従来の硬性のコルセットとは異なり、腰椎の位置に当接する第1の当接部並びに左右の大腿骨大転子の位置にそれぞれ当接する第2の当接部及び第3の当接部の3点で支持、固定するため、下腹部の圧迫によらずに体幹を固定でき、装着時の不快感等を大幅に低減できる。また、従来の硬性のコルセットは、体表面に合わせて圧迫固定するため、コルセットの面積を大きくする必要がある。このため充分な強度を得るために、金属製とする場合が多く、装着者に大きな重量の負担を強いることになる。一方、本実施形態のコルセットは、3点で支持、固定するため、軽量にすることが可能であり、重量負担を低減するという効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示のコルセットは、下腹部の圧迫によらずに体幹を固定でき、腰椎疾患等において用いるコルセットとして有用である。
【符号の説明】
【0047】
101 フレーム
102 本体部
102a 開口部
103 調整部
105 プレート
105a 段差部
106 ベルト
108 ウイング部
111 第1の当接部
112 第2の当接部
113 第3の当接部
121 第1の部分
122 第2の部分
123 第3の部分
124 連結部材