IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 宇部興産株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/34 20060101AFI20231114BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20231114BHJP
   F16L 11/04 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B32B27/34
B32B1/08 B
F16L11/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020562856
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2019042000
(87)【国際公開番号】W WO2020137128
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2018245633
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】UBE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】坪井 一俊
(72)【発明者】
【氏名】中尾 祐貴子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】福田 竜
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-240139(JP,A)
【文献】特開2016-130273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/34
B32B 1/08
F16L 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)層と(b)層とを含む2層以上の積層チューブであって、
少なくとも1組の前記(a)層と前記(b)層とは、隣接して配置され、
前記(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含み、
前記(b)層は、脂肪族ポリアミド組成物(B)を含み、
前記脂肪族ポリアミド組成物(A)は、ポリアミド(A1)、ポリアミド(A2)、及びエラストマー重合体(A3)を含み、
前記ポリアミド(A1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が8.0以上の脂肪族ポリアミドであって、かつε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含まない脂肪族ポリアミドであり、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、30質量%以上85質量%以下含まれ、
前記ポリアミド(A2)は、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含む脂肪族ポリアミドであり、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、10質量%以上35質量%以下含まれ、
前記エラストマー重合体(A3)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有していてもよいエラストマー重合体であり、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、5質量%以上30質量%以下含まれ、
前記脂肪族ポリアミド組成物(B)は、ポリアミド(B1)及びエラストマー重合体(B2)を含み、
前記ポリアミド(B1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が8.0未満の脂肪族ポリアミドであり、前記脂肪族ポリアミド組成物(B)に、55質量%以上95質量%以下含まれ、
前記エラストマー重合体(B2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体であり、前記脂肪族ポリアミド組成物(B)に、5質量%以上30質量%以下含まれる積層チューブ。
【請求項13】
外側から前記(a)層、前記(b)層、前記(a)層の順に積層し、かつそれぞれが隣接している、請求項10又は11に記載の積層チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般産業用向け動力伝達用の油圧チューブや自動車用エアブレーキ用等の空圧チューブをはじめとする自動車配管用薬液及び/又はガス搬送チューブにおいては、軽量化や作業性(組付け性)の観点から、その主要素材は、金属から、防錆性に優れ軽量な樹脂への代替が進みつつある。通常、薬液及び/又はガス搬送チューブの材料として、強度、靭性、耐薬品性、柔軟性等に優れるポリアミド11又はポリアミド12が使用されている。
一方、薬液及び/又はガス搬送チューブ用材料として、熱可塑性ポリウレタンを使用することもある。これらは、ポリアミド11又はポリアミド12より廉価であるが、機械的強度及び耐薬品性に劣る。
【0003】
例えば、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12等の長鎖脂肪族ポリアミドは、破壊圧強度、低温耐衝撃性等の機械的特性が良好で、応力亀裂形成に対して耐性を有しており、かつ燃料、オイル、及び炭化水素等の薬品に対する耐性や耐加水分解性に優れている。長鎖脂肪族ポリアミドのこれら特性を最大限に生かし、コストを低減すべく、長鎖脂肪族ポリアミド以外の他の廉価ポリアミドとの接着、積層化等の検討が種々行なわれている。
【0004】
例えば、ポリアミド11又はポリアミド12よりなる最外層、変性ポリオレフィン又はポリアミド612よりなる接着層、高温時における曲げ弾性率が特定の値以上である耐衝撃性改良ポリアミド6よりなる内層、及びポリアミド11又はポリアミド12よりなる最外層、変性ポリオレフィン又はポリアミド612よりなる接着層、高温時における曲げ弾性率が特定の値以上である耐衝撃性改良ポリアミド6又はポリアミド66よりなる中間層、変性ポリオレフィン又はポリアミド612よりなる接着層、ポリアミド11又はポリアミド12よりなる最内層を有するエアーブレーキ用積層チューブが提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリアミド11、ポリアミド12、炭素原子数が6以上12以下の脂肪族ジアミンと炭素原子数が9以上 12以下の脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリアミド、ポリアミド11/12共重合体等の長鎖脂肪族ポリアミドよりなる最外層、ポリアミド、耐衝撃性改良ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリアミド及びポリアミドエラストマーの混合物を内層し、変性ポリオレフィン又はポリアミド6/12共重合体を主体とするポリアミド共重合体よりなる接着層を有する圧縮空気用積層ホースが提案されている(特許文献2参照)。
更に、モノマー単位の平均炭素原子数が8以上のポリアミドよりなる外層、耐衝撃性改良されていないポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体よりなる中間層、モノマー単位の平均炭素原子数が8以上のポリアミドよりなるよりなる内層から構成され、中間層の厚みが特定範囲の比率であるエアーブレーキ用積層チューブが提案されている(特許文献3参照)。該技術は、外層材料としてモノマー単位の平均炭素原子数が8以上のポリアミドとしてポリアミド12を使用する場合、耐衝撃性改良されていないポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体よりなる中間層の間に、モノマー単位の平均炭素原子数が9のポリアミド612が使用されており、外側から内側に向かって、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド6、ポリアミド612、ポリアミド12の順で配置されている積層チューブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6670004号明細書
【文献】特開2004-34705号公報
【文献】特表2010-507501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら積層チューブにおいて、長時間燃料に接触・浸漬した後や熱処理後の層間接着性(層間接着性の耐久性)のみならず、初期の層間接着性に関しても具体的な技術データの開示は無く、後記に示す通り、特許文献1から3の積層チューブは、初期の層間接着性はある程度十分であるものの、長時間燃料に接触・浸漬した後や熱処理後等において、層間接着性の耐久性については改善の余地があることが判明した。
そこで、本発明は、接着層を用いなくても、層間接着性、及びその耐久性に優れる積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記問題点を解決するために、鋭意検討した結果、少なくとも2種の層を有し、該両層が隣接する積層体において、一方の層を構成する脂肪族ポリアミド組成物が、メチレン基数のアミド基数に対する比が特定の値以上の脂肪族ポリアミドと特定のモノマー種からなる共重合体であるポリアミド、並びにカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有してもよいエラストマー重合体を含むことにより、接着層を用いなくても、層間接着性、及びその耐久性に優れる積層体が得られることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、
(a)層と(b)層とを含む2層以上の積層体であって、
少なくとも1組の前記(a)層と前記(b)層とは、隣接して配置され、
前記(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含み、
前記(b)層は、脂肪族ポリアミド組成物(B)を含み、
前記脂肪族ポリアミド組成物(A)は、ポリアミド(A1)、ポリアミド(A2)、及びエラストマー重合体(A3)を含み、
前記ポリアミド(A1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が8.0以上の脂肪族ポリアミドであって、かつε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含まない脂肪族ポリアミドであり、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、30質量%以上85質量%以下含まれ、
前記ポリアミド(A2)は、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体からなる脂肪族ポリアミドであり、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、10質量%以上35質量%以下含まれ、
前記エラストマー重合体(A3)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有していてもよいエラストマー重合体であり、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、5質量%以上30質量%以下含まれ、
前記脂肪族ポリアミド組成物(B)は、ポリアミド(B1)及びエラストマー重合体(B2)を含み、
前記ポリアミド(B1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が8.0未満の脂肪族ポリアミドであり、前記脂肪族ポリアミド組成物(B)に、55質量%以上95質量%以下含まれ、
前記エラストマー重合体(B2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体であり、前記脂肪族ポリアミド組成物(B)に、5質量%以上30質量%以下含まれる積層体に関する。
【0009】
積層体の好ましい態様を以下に示す。好ましい態様は複数組み合わせることができる。
[1]
前記ポリアミド(A1)が、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を2種以上用いた少なくとも1種の共重合体である積層体。
[2]前記ポリアミド(A2)が、ポリアミド6/12、ポリアミド6/66/12から選ばれる共重合体である積層体。
[3]前記ポリアミド(A2)が、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aを50質量%以上含む積層体。
[4]前記エラストマー重合体(A3)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体を、前記エラストマー重合体(A3)100質量%中に60質量%以上含む積層体。
[5]前記ポリアミド(B1)が、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、及びポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/若しくはこれらを形成する原料単量体を2種以上用いた少なくとも1種の共重合体である積層体。
[6]脂肪族ポリアミド組成物(A)の1gあたりのポリアミド(A1)及びポリアミド(A2)のそれぞれの末端アミノ基濃度(μeq/g)、末端カルボキシル基濃度(μeq/g)にその混合質量比を乗じた値を合計した末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)とした時、[A]>[B]+5である積層体。
[7]前記(a)層が、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)を40質量%以上100質量%以下含み、前記(b)層が、前記脂肪族ポリアミド組成物(B)を60質量%以上100質量%以下含む積層体。
[8]共押出成形により製造される積層体。
[9]形状が中空体である、積層体。
[10]薬液及び/又はガス搬送チューブとして使用される積層体。
[11]前記(a)層に対して内側に配置される少なくとも1層の前記(b)層を有する積層体。
[12]外側から前記(a)層、前記(b)層、前記(a)層の順に積層し、かつそれぞれが隣接している積層体。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接着層を用いなくても、層間接着性、及びその耐久性に優れた積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
積層体は、少なくとも1組の(a)層及び(b)層を含み、2層以上である。
1.(a)層
積層体の(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含む。耐熱性、耐薬品性、機械物性の観点から、脂肪族ポリアミド組成物(A)は、(a)層中に、40質量%以上100質量%以下含まれるのが好ましく、45質量%以上100質量%以下含まれるのがより好ましい。
【0012】
[脂肪族ポリアミド組成物(A)]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、ポリアミド(A1)、ポリアミド(A2)及びエラストマー重合体(A3)を含み、ポリアミド(A1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が8.0以上の脂肪族ポリアミドであって、かつε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含まない脂肪族ポリアミドであり、脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、30質量%以上85質量%以下含まれ、前記ポリアミド(A2)は、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含む脂肪族ポリアミドであり、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、10質量%以上35質量%以下含まれ、エラストマー重合体(A3)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有していてもよいエラストマー重合体であり、脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、5質量%以上30質量%以下含まれる(以下、脂肪族ポリアミド組成物(A)と称する場合がある。)。また、脂肪族ポリアミド組成物(A)は、長時間燃料に接触・浸漬した後及び/又は短時間の熱処理後における層間接着性の耐久性の観点から可塑剤を含有しないことが好ましい。
【0013】
[ポリアミド(A1)]
ポリアミド(A1)は、脂肪族基を構成繰り返し単位中に含み、主鎖中にアミド結合(-CONH-)を有し、メチレン基数([CH])のアミド基数([NHCO])に対する比[CH]/[NHCO](以下、メチレン基数のアミド基数に対する比を[CH]/[NHCO]と称する場合がある。)が8.0以上である脂肪族ポリアミドであって、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体以外の脂肪族ポリアミドである(以下、ポリアミド(A1)と称する場合がある)。ポリアミド(A1)の[CH]/[NHCO]は、9.0以上であることが好ましく、9.5以上であることがより好ましく、10.0以上であることが更に好ましい。ポリアミド(A1)のメチレン基数([CH])のアミド基数([NHCO])に対する比が前記の値未満であると、得られる積層体の機械的特性及び耐薬品性が劣る。
【0014】
尚、ポリアミド(A1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドの単独重合体;メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)のみを少なくとも2成分用いたポリアミド共重合体;及びメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分とし、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分用いたポリアミド共重合体であることが好ましい。ポリアミド(A1)は、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含まない。
好ましいポリアミド(A1)の例を、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミド単独重合体(A1X)(以下、ポリアミド(A1X)と称する場合がある。)、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)のみを2種以上用いたポリアミド共重合体(A1XX)(以下、ポリアミド(A1XX)と称する場合がある。)、及びメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分とし、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分用いたポリアミド共重合体(A1Y)(以下、ポリアミド(A1Y)と称する場合がある。)とに分けて説明する。
【0015】
メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上のポリアミド(A1X)としては、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11):[CH]/[NHCO]=10.0、ポリドデカンアミド(ポリアミド12):[CH]/[NHCO]=11.0、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612):[CH]/[NHCO]=8.0、ポリヘキサメチレンテトラデカミド(ポリアミド614):[CH]/[NHCO]=9.0、ポリヘキサメチレンヘキサデカミド(ポリアミド616):[CH]/[NHCO]=10.0、ポリヘキサメチレンオクタデカミド(ポリアミド618):[CH]/[NHCO]=11.0、ポリオクタメチレンセバカミド(ポリアミド810):[CH]/[NHCO]=8.0、ポリオクタメチレンドデカミド(ポリアミド812):[CH]/[NHCO]=9.0、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99):[CH]/[NHCO]=8.0、ポリノナメチレンデカミド(ポリアミド910):[CH]/[NHCO]=8.5、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912):[CH]/[NHCO]=9.5、ポリデカメチレンスベラミド(ポリアミド108):[CH]/[NHCO]=8.0、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109):[CH]/[NHCO]=8.5、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010):[CH]/[NHCO]=9.0、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012):[CH]/[NHCO]=10.0、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126):[CH]/[NHCO]=8.0、ポリドデカメチレンスベラミド(ポリアミド128):[CH]/[NHCO]=9.0、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129):[CH]/[NHCO]=9.5、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210):[CH]/[NHCO]=10.0、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212):[CH]/[NHCO]=11.0等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0016】
また、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)のみを2種以上用いたポリアミド共重合体(A1XX)としては、前記ポリアミド(A1X)の少なくとも1種の単独重合体を形成する原料単量体を2種以上用いた共重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0017】
ポリアミド(A1)が共重合体である場合、そのメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、共重合体の構成繰り返し単位を構成する単量体の単独重合体におけるメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]に、その構成繰り返し単位の共重合体中のモル比を乗じた値を、すべての構成繰り返し単位について加え合わせることで求めることができる。
【0018】
メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)のみを2種以上用いたポリアミド共重合体(A1XX)として、例えば、ポリ(ドデカンアミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12/1212)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であることから、構成繰り返し単位のモル比にかかわらず、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0となる。
更に、ポリ(ドデカンアミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12/11)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリドデカンアミド(ポリアミド12)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であり、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は10.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば算出可能で、ポリ(ドデカンアミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12/11)のドデカンアミド単位/ウンデカンアミド単位が80:20(モル比)の場合、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、11.0×0.80+10.0×0.20=10.8となる。ウンデカンアミド単位のモル比が増加すれば、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は減少するが、少なくともメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は10.0を下回ることはない。
このように、ポリ(ドデカンアミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12/1212)及びポリ(ドデカンアミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12/11)のように、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)のみを用いたポリアミド共重合体(A1XX)は、その構成繰り返し単位のモル比によらず、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は8.0以上となり、本願のポリアミド(A1)に包含される。
【0019】
一方、ポリアミド(A1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分とし、後記の通り、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分用いて共重合することも可能で、得られるポリアミド共重合体(A1Y)は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上である限り、本願のポリアミド(A1)に包含される。
メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドとしては、ポリカプロアミド(ポリアミド6):[CH]/[NHCO]=5.0、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26):[CH]/[NHCO]=3.0、ポリテトラメチレンスクシナミド(ポリアミド44):[CH]/[NHCO]=3.0、ポリテトラメチレングルタミド(ポリアミド45):[CH]/[NHCO]=3.5、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46):[CH]/[NHCO]=4.0、ポリテトラメチレンスベラミド(ポリアミド48):[CH]/[NHCO]=5.0、ポリテトラメチレンアゼラミド(ポリアミド49):[CH]/[NHCO]=5.5、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410):[CH]/[NHCO]=6.0、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412):[CH]/[NHCO]=7.0、ポリペンタメチレンスクシナミド(ポリアミド54):[CH]/[NHCO]=3.5、ポリペンタメチレングルタミド(ポリアミド55):[CH]/[NHCO]=4.0、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56):[CH]/[NHCO]=4.5、ポリペンタメチレンスベラミド(ポリアミド58):[CH]/[NHCO]=5.5、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59):[CH]/[NHCO]=6.0、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510):[CH]/[NHCO]=6.5、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512):[CH]/[NHCO]=7.5、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64):[CH]/[NHCO]=4.0、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65):[CH]/[NHCO]=4.5、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66):[CH]/[NHCO]=5.5、ポリヘキサメチレンスベラミド(ポリアミド68):[CH]/[NHCO]=6.0、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69):[CH]/[NHCO]=6.5、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610):[CH]/[NHCO]=7.0、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96):[CH]/[NHCO]=6.5、ポリノナメチレンスベラミド(ポリアミド98):[CH]/[NHCO]=7.5、ポリデカメチレングルタミド(ポリアミド105):[CH]/[NHCO]=6.5、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106):[CH]/[NHCO]=7.0、ポリドデカメチレングルタミド(ポリアミド125):[CH]/[NHCO]=7.5等が挙げられる。また、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドとしては、前記の少なくとも1種の単独重合体を形成する原料単量体を2種以上用いた共重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分とし、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分用いたポリアミド共重合体(A1Y)の[CH]/[NHCO]は以下のように求められる。例えば、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリドデカンアミド(ポリアミド12)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であり、ポリカプロアミド(ポリアミド6)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば算出可能で、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のドデカンアミド単位/カプロアミド単位が50.0:50.0~99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上となる。但し、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)とポリドデカンアミド(ポリアミド12)を区別するため、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のドデカンアミド単位/カプロアミド単位が99.5:0.5(モル比)よりも、ドデカンアミド単位の割合が高い場合は、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)として取り扱う。以下、単独重合体と共重合体は同様の扱いとする。
即ち、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のドデカンアミド単位/カプロアミド単位が50.0:50.0~99.5:0.5(モル比)であるポリアミド共重合体は、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上となり、本願のポリアミド(A1)に包含される。
このように、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分とし、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を少なくとも一成分用いたポリアミド共重合体(A1Y)におけるメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は、構成繰り返し単位のモル比とそれぞれの構成繰り返し単位のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]により計算可能で、メチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]が8.0以上である限り、本願のポリアミド(A1)に包含される。
【0021】
これらの中でも、得られる積層体の機械的特性、耐熱性、耐薬品性等の諸物性を十分に確保し、経済性及び入手の容易さの観点から、ポリアミド(A1)は、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテトラデカミド(ポリアミド614)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンデカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を2種以上用いた少なくとも1種の共重合体等がより好ましく、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を2種以上用いた少なくとも1種の共重合体が更に好ましい。
また、モノマー、オリゴマーの耐溶出性の観点から、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)及び/若しくはポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を2種以上用いた少なくとも1種共重合体が特に好ましい。
【0022】
[ポリアミド(A2)]
ポリアミド(A2)は、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含む脂肪族ポリアミドである(以下、ポリアミド(A2)と称する場合がある。)。
【0023】
ポリアミド(A2)は、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含み、かつ脂肪族ポリアミドであればよく、これを満たすように適宜選択される。尚、ポリアミド(A2)は、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aを50質量%以上含むことが好ましい。
【0024】
ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含む脂肪族ポリアミド(A2)としては、 ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/66/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンセバカミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/610/12)、ポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンドデカミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/612/12)、及びこれらの混合物が好ましく、ポリ(カプロアミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/12)及び/又はポリ(カプロアミド/ヘキサメチレンアジパミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド6/66/12)がより好ましい。
【0025】
入手の容易さ、経済性、得られる積層体の機械的特性、耐薬品性、柔軟性等の諸物性を十分に確保することと、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)との層間接着性及びその耐久性を十分に得る観点から、ポリアミド(A2)は、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位aと、アミノドデカン酸又はω-ラウロラクタムから誘導される単位bとを含む共重合体を含む脂肪族ポリアミドから、ε-カプロラクタム又はε-アミノカプロン酸から誘導される単位a50質量%以上を満たすように適宜選択されることが好ましい。
【0026】
ポリアミド(A1)及びポリアミド(A2)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
【0027】
JIS K-6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定したポリアミド(A1)及びポリアミド(A2)の相対粘度は、得られる積層体の機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層体の望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上5.0以下であることが好ましく、1.8以上4.5以下であることがより好ましい。
【0028】
ポリアミド(A1)1gあたりの末端アミノ基濃度を[A1](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B1](μeq/g)とした時、得られる積層体の層間接着性及びその耐久性を十分に確保する観点から、[A1]>[B1]+5であることが好ましく、[A1]>[B1]+10であることがより好ましく、[A1]>[B1]+15であることが更に好ましい。更に、ポリアミドの溶融安定性及びゲル状物発生抑制の観点から、[A1]>20であることが好ましく、30<[A1]<120であることがより好ましい。
また、ポリアミド(A2)1gあたりの末端アミノ基濃度を[A2](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B2](μeq/g)とした時、得られる積層体の層間接着性及びその耐久性を十分に確保する観点から、[A2]>[B2]+5であることがより好ましく、[A2]>[B1]+10であることが更に好ましく、[A2]>[B2]+15であることが特に好ましい。更に、ポリアミドの溶融安定性及びゲル状物発生抑制の観点から、[A2]>20であることがより好ましく、30<[A2]<120であることが更に好ましい。
ポリアミド(A1)及びポリアミド(A2)を含む脂肪族ポリアミド組成物(A)においては、脂肪族ポリアミド組成物(A)の1gあたりの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)とした時、得られる積層体の層間接着性及びその耐久性を十分に得る観点から、[A]>[B]+5であることがより好ましく、[A]>[B]+10であることが更に好ましく、[A]>[B]+15であることが特に好ましい。更に、ポリアミドの溶融安定性及びゲル状物発生抑制の観点から、[A]>30であることがより好ましく、30<[A]<120であることが更に好ましい。
【0029】
ここで、脂肪族ポリアミド組成物(A)の1gあたりの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)は、ポリアミド(A1)及びポリアミド(A2)のそれぞれの末端アミノ基濃度(μeq/g)、末端カルボキシル基濃度(μeq/g)にそれぞれの混合質量比を乗じ、両者を加えた値とする。
尚、末端アミノ基濃度(μeq/g)は、該ポリアミドをフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、0.05Nの塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度(μeq/g)は、該ポリアミドをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
【0030】
ポリアミド(A1)及びポリアミド(A2)は、前記ポリアミド原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法で、重合又は共重合することにより製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、得られる積層体の層間接着性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
前記アミン類としては、モノアミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、及びポリアミンが挙げられる。また、アミン類の他に、前記の末端基濃度条件の範囲を外れない限り、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のカルボン酸類を添加しても良い。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加しても良い。また、後記例示のアミン類、カルボン酸類は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0031】
添加するモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;ベンジルアミン、β-フエニルメチルアミン等の芳香族モノアミン;N,N-ジメチルアミン、N,N-ジエチルアミン、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジオクチルアミン等の対称第二アミン;N-メチル-N-エチルアミン、N-メチル-N-ブチルアミン、N-メチル-N-ドデシルアミン、N-メチル-N-オクタデシルアミン、N-エチル-N-ヘキサデシルアミン、N-エチル-N-オクタデシルアミン、N-プロピル-N-ヘキサデシルアミン、N-プロピル-N-ベンジルアミン等の混成第二アミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0032】
添加するジアミンの具体例としては、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン;m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
添加するトリアミン及びテトラアミンの具体例としては、1,2,3-トリアミノプロパン、1,2,3-トリアミノ-2-メチルプロパン、1,2,4-トリアミノブタン、1,2,3,4-テトラミノブタン、1,3,5-トリアミノシクロヘキサン、1,2,4-トリアミノシクロヘキサン、1,2,3-トリアミノシクロヘキサン、1,2,4,5-テトラミノシクロヘキサン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベンゼン、1,2,3-トリアミノベンゼン、1,2,4,5-テトラミノベンゼン、1,2,4-トリアミノナフタレン、2,5,7-トリアミノナフタレン、2,4,6-トリアミノピリジン、1,2,7,8-テトラミノナフタレン、1,4,5,8-テトラミノナフタレン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
添加するポリアミンは、第1級アミノ基(-NH)及び/又は第2級アミノ基(-NH-)を複数有する化合物であればよく、例えば、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。活性水素を備えたアミノ基は、ポリアミンの反応点である。
【0035】
ポリアルキレンイミンは、エチレンイミン、プロピレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、或いは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解又は完全加水分解させる方法等で製造される。ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、或いは、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物等が挙げられる。ポリビニルアミンは、例えば、N-ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N-ビニルホルムアミド)とした後、該重合体を塩酸等の酸で部分加水分解又は完全加水分解することにより得られる。ポリアリルアミンは、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られる。
【0036】
ポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2-ブチレンイミン、2,3-ブチレンイミン、1,1-ジメチルエチレンイミン等の炭素原子数2以上8以下のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体及び/又は共重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンイミンがより好ましい。ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンを原料として、これを開環重合させて得られる1級アミン、2級アミン、及び3級アミンを含む分岐型ポリアルキレンイミン、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリアルキレンイミン、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。更に、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等を含むものであってもよい。ポリアルキレンイミンは、通常、含まれる窒素原子上の活性水素原子の反応性に由来して、第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基(イミノ基)を有する。
【0037】
ポリアルキレンイミン中の窒素原子数は特に制限されず、4以上3,000以下であることが好ましく、8以上1,500以下であることがより好ましく、11以上500以下であることが更に好ましい。また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、100以上20,000以下であることが好ましく、200以上10,000以下であることがより好ましく、500以上8,000以下であることが更に好ましい。
【0038】
添加されるアミン類の使用量は、製造しようとするポリアミド(A1)及びポリアミド(A2)の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及び相対粘度を考慮して、公知の方法により適宜決められる。通常、ポリアミド原料1モルに対して(繰り返し単位を構成する単量体又は単量体ユニット1モル)、アミン類の添加量は、十分な反応性を得ることと、所望の粘度を有するポリアミドの製造を容易とする観点から、0.5meq/モル以上20meq/モル以下であることが好ましく、1meq/モル以上10meq/モル以下であることがより好ましい(アミノ基の当量(eq)は、カルボキシル基と1:1(モル比)で反応してアミド基を形成するアミノ基の量を1当量とする。)。
【0039】
ポリアミド(A1)及びポリアミド(A2)において、前記例示のアミン類のうち、末端基濃度の条件を満たすために、ジアミン及び/又はポリアミンを重合時に添加することが好ましく、ゲル発生抑制という観点から、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びポリアルキレンイミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を重合時に添加することがより好ましく、ポリアルキレンイミンを重合時に添加することがさらに好ましい。
【0040】
一方、添加するカルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセン二酸、ドコサン二酸、ジグリコール酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、m-キシリレンジカルボン酸、p-キシリレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,3,5-ペンタントリカルボン酸、1,2,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、トリメシン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0041】
[エラストマー重合体(A3)]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有していてもよいエラストマー重合体(A3)を含有する(以下、エラストマー重合体(A3)と称する場合がある。)。
エラストマー重合体(A3)としては、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有する、(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、及び芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体、並びにカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有しない、(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、及び芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0042】
エラストマー重合体(A3)は、機械物性、流動性の観点から、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体を、前記エラストマー重合体(A3)100質量%中に60質量%以上含むことが好ましく、75質量%以上95質量%以下含むことがより好ましい。
【0043】
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素原子数3以上のα-オレフィンとを共重合した重合体であり、炭素原子数3以上のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン等の非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0044】
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β-不飽和カルボン酸エステル単量体とを共重合した重合体であり、α,β-不飽和カルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0045】
また、前記芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン化合物系重合体ブロックとからなるブロック共重合体であり、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックを少なくとも1個と、共役ジエン化合物系重合体ブロックを少なくとも1個とを有するブロック共重合体が用いられる。前記ブロック共重合体では、共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合が水素添加されていてもよい。
【0046】
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物に由来する単位から主としてなる重合体ブロックである。その場合の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、1,5-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、場合により少量の他の不飽和単量体からなる単位を有していてもよい。
【0047】
共役ジエン化合物系重合体ブロックは、1,3-ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等の共役ジエン系化合物の1種又は2種以上から形成された重合体ブロックであり、水素添加した芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体では、その共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合部分の一部又は全部が水素添加により飽和結合になっている。
芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及びその水素添加物の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状、又はそれら任意の組み合わせのいずれであってもよい。これらの中でも、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物として、1個の芳香族ビニル化合物重合体ブロックと1個の共役ジエン化合物系重合体ブロックが直鎖状に結合したジブロック共重合体、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック-共役ジエン化合物系重合体ブロック-芳香族ビニル化合物系重合体ブロックの順に3つの重合体ブロックが直鎖状に結合しているトリブロック共重合体、及びそれらの水素添加物の1種又は2種以上が好ましく用いられ、未水添又は水添スチレン/ブタジエンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(イソプレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0048】
エラストマー重合体(A3)の構成単位を形成してもよいカルボキシル基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸、及びこれらカルボン酸の金属塩等のα,β-不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。エラストマー重合体(A3)の構成単位を形成してもよい酸無水物基を有する不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等のα,β-不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、α,β-不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸がより好ましい。
【0049】
エラストマー重合体(A3)におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、低温耐衝撃性の改良効果、後記脂肪族ポリアミド組成物(B)との層間接着性及びその耐久性を十分に得るとともに、得られる脂肪族ポリアミド組成物(A)の流動性の観点から、25μeq/g以上200μeq/g以下であることが好ましく、50μeq/g以上150μeq/g以下であることがより好ましい。
【0050】
尚、エラストマー重合体(A3)におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、該エラストマー重合体をトルエン溶媒に溶解し、更に、エタノールを加えて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定して測定することができる。
【0051】
脂肪族ポリアミド組成物(A)中のポリアミド(A1)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、30質量%以上85質量%以下であり、35質量%以上80質量%以下であることが好ましく、40質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。ポリアミド(A1)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層体の機械的特性が劣る場合があり、一方、前記の値を超えると、得られる積層体の低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性が劣る場合がある。
【0052】
脂肪族ポリアミド組成物(A)中のポリアミド(A2)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、10質量%以上35質量%以下であり、13質量%以上30質量%以下であることが好ましく、15質量%以上27質量%以下であることがより好ましい。ポリアミド(A2)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層体の層間接着性及びその耐久性が劣ることがあり、一方、前記の値を超えると、得られる積層体の薬液バリア性及び耐薬品性が劣ることがある。
【0053】
脂肪族ポリアミド組成物(A)中のエラストマー重合体(A3)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、5質量%以上30質量%以下であり、7質量%以上27質量%以下であることが好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。エラストマー重合体(A3)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層体の低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性が劣る場合があり、一方、前記の値を超えると、得られる積層体の機械的特性及び得られる脂肪族ポリアミド組成物(A)の流動性が劣る場合がある。
【0054】
ポリアミド(A1)、ポリアミド(A2)、及びエラストマー重合体(A3)を混合する方法は、特に制限されず、必要に応じて各種添加剤を配合し、従来から知られている各種の方法を採用することができる。例えば、両者をタンブラー及び/又はミキサーを用いて、ポリアミド(A1)、ポリアミド(A2)、及びエラストマー重合体(A3)のペレット同士を前記の混合割合になるように均一にドライブレンドする方法、両者を必要に応じて添加される他の成分と共に、成形時に使用する濃度で予めドライブレンドし、溶融混練する方法等により製造することができる。溶融混練は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を使用して行うことができる。
【0055】
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、その他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。脂肪族ポリアミド組成物(A)中のその他の熱可塑性樹脂の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0056】
混合するその他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリスチレン系樹脂;カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された前記ポリオレフィン系樹脂及びポリスチレン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂;ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂;ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトンケトン(PEKKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリビニル系樹脂;酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂;熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)等の含フッ素系重合体、アミノ基に対して反応性を有する官能基を含有する前記含フッ素系重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0057】
更に、脂肪族ポリアミド組成物(A)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機充填剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤等を添加してもよい。
【0058】
2.(b)層
積層体の(b)層は、脂肪族ポリアミド組成物(B)を含む。耐熱性、機械物性の観点から、(b)層中、脂肪族ポリアミド組成物(B)は、60質量%以上100質量%以下含まれるのが好ましく、70質量%以上100質量%以下含まれるのがより好ましい。
【0059】
前記脂肪族ポリアミド組成物(B)は、ポリアミド(B1)及びエラストマー重合体(B2)を含み、ポリアミド(B1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が8.0未満の脂肪族ポリアミドであり、前記ポリアミド組成物(B)中に55質量%以上95質量%以下含まれ、エラストマー重合体(B2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体であり、前記ポリアミド組成物(B)中に5質量%以上30質量%以下含まれる(以下、脂肪族ポリアミド組成物(B)と称する場合がある)。
【0060】
ポリアミド(B1)は、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、及びポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/若しくはこれらを形成する原料単量体を2種以上用いた少なくとも1種の共重合体である。
【0061】
ポリアミド(B1)の製造方法及び製造装置は、ポリアミド(A1)及び(A2)と同様である。
JIS K-6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定したポリアミド(B1)の相対粘度は、得られる積層体の機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層体の望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上5.0以下であることが好ましく、1.8以上4.5以下であることがより好ましい。
【0062】
脂肪族ポリアミド組成物(B)中のポリアミド(B1)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(B)100質量%に対して、55質量%以上95質量%以下であり、60質量%以上93質量%以下であることが好ましく、70質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。脂肪族ポリアミド(B1)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層体の機械的物性が劣ることがあり、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの低温耐衝撃性及び耐薬品性が劣ることがある。
【0063】
前記脂肪族ポリアミド組成物(B)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体(B2)を含む。
エラストマー重合体(B2)としては、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有する、(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、及び芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの例示としては、エラストマー重合体(A3)として例示したものと同様のものが挙げられる。エラストマー重合体(B2)としては、エラストマー重合体(A3)と同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0064】
脂肪族ポリアミド組成物(B)中のエラストマー重合体(B2)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(B)100質量%に対して、5質量%以上30質量%以下であり、7質量%以上25質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。エラストマー重合体(B2)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層体の低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性が劣ることがあり、一方、前記の値を超えると、得られる積層体の機械的特性及び得られる脂肪族ポリアミド組成物(B)の流動性が劣ることがある。
【0065】
ポリアミド(B1)及びエラストマー重合体(B2)を混合する方法は、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)の説明で記載した公知の方法が挙げられる。
【0066】
脂肪族ポリアミド組成物(B)は、その他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。その他の熱可塑性樹脂としては、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)の場合と同様の樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。脂肪族ポリアミド組成物(B)中のその他の熱可塑性樹脂の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(B)100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0067】
更に、脂肪族ポリアミド組成物(B)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機質充填剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤、潤滑剤、可塑剤等を添加してもよい。
【0068】
[積層体] 積層体の態様は、(a)層及び(b)層の少なくとも2層を含み、少なくとも1組の(a)層と(b)層とが隣接して配置される。
積層体としては、積層中空体、積層フィルム、積層板があげられる。
積層中空体としては、チューブやホースがあげられる。
【0069】
(b)層を含むことにより、積層体の環境応力負荷後の低温耐衝撃性が良好となる。更に、(a)層と(b)層とが隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層体を得ることが可能となる。
【0070】
好ましい積層中空体の実施態様としては、(a)層に対して内側に配置される少なくとも1層の(b)層を有する。この場合、少なくとも1組の(a)層と(b)層とが隣接している限り、(a)層に対して内側に配置される(b)層は、(a)層と隣接するように配置されていてもよく、(a)層と(b)層の間に他の層が配置されていてもよい。例えば、最外層(a)層及び最内層(a)層との間に中間層(b)層を1層含んだ3層構造の場合、隣接した(a)層及び(b)層としては、最外層(a)層と中間層(b)層との組み合わせと、最内層(a)層と中間層(b)層との組み合わせがあるが、2つの組み合わせの中で、少なくとも一方において、(b)層は、(a)層に対して内側に配置されているため、前記要件を満たす。
【0071】
より好ましい積層中空体の実施態様としては、積層体の外側から内側に向かって、(a)層、(b)層の順に配置される。(a)層が外層に配置されることにより、耐薬品性に優れる積層体が得ることが可能となる。(b)層が内側に配置されることにより、含アルコールガソリンとの接触によるモノマー、オリゴマー等低分子量成分の溶出を抑制することが可能となる。
【0072】
更に好ましい積層中空体の実施態様としては、積層体の外側から内側に向かって、(a)層、(b)層、(a)層の順に配置され、かつそれぞれが隣接している。(a)層が外層及び内層に配置されることにより、耐薬品性及び柔軟性に優れた積層体を得ることが可能となる。
この層構成において、積層体の成形安定性、耐薬品性の観点から、外層の(a)層は、積層体全体の層厚みに対して、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。
【0073】
また、前記積層中空体において、更に導電性フィラーを含有させた脂肪族ポリアミド組成物(A)又は脂肪族ポリアミド組成物(B)を含む導電層が、積層中空体の最内層に配置されると、耐劣化燃料性に優れるとともに、燃料配管チューブとして使用された場合、配管内を循環する燃料の内部摩擦あるいは管壁との摩擦によって発生したスパークが燃料に引火することを防止することが可能となる。その際、導電性を有しない脂肪族ポリアミド組成物(A)又は脂肪族ポリアミド組成物(B)を含む層が、前記導電層に対して外側に配置されることにより、低温耐衝撃性と導電性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。
【0074】
導電性とは、例えば、ガソリンのような引火性の流体が樹脂のような絶縁体に連続的に接触した場合、静電気が蓄積して引火する可能性があるが、この静電気が蓄積しない程度の電気特性を有することを言う。これにより、燃料等の流体の搬送時に発生する静電気による爆発防止が可能となる。
導電性フィラーは、樹脂に導電性能を付与するために添加されるすべての充填剤が包含され、粒状、フレーク状、繊維状フィラー等が挙げられる。
【0075】
粒状フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。フレーク状フィラーとしては、アルミフレーク、ニッケルフレーク、ニッケルコートマイカ等が挙げられる。また、繊維状フィラーとしては、炭素繊維、炭素被覆セラミック繊維、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブ、アルミ繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維等の金属繊維等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、カーボンナノチューブ、カーボンブラックが好ましい。
【0076】
カーボンナノチューブは、中空炭素フィブリルと称されるものであり、該フィブリルは、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが該フィブリルの円柱軸の周囲に実質的に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルである。更に、前記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、前記中空領域の直径が2nm以上20nm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの外径は、樹脂中への十分な分散性及び得られる樹脂成形体の良好な導電性を付与する観点から、3.5nm以上70nm以下であることが好ましく、4nm以上60nm以下であることがより好ましい。カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/外径の比)は、5以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましい。該アスペクト比を満たすことにより、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
【0077】
カーボンブラックは、導電性付与に一般的に使用されているカーボンブラックがすべて包含され、好ましいカーボンブラックとしては、アセチレンガスを不完全燃焼して得られるアセチレンブラック、原油を原料にファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック等のファーネスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アセチレンブラック、ファーネスブラックがより好ましい。
【0078】
また、カーボンブラックは、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分等の特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。該カーボンブラックの特性に制限は無いが、良好な鎖状構造を有し、凝集密度の大きいものが好ましい。カーボンブラックの多量配合は、耐衝撃性の観点から好ましくなく、より少量で優れた電気伝導度を得る観点から、平均粒径は、500nm以下であることが好ましく、5nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上70nm以下であることが更に好ましく、表面積(BET法)は、10m/g以上であることが好ましく、30m/g以上であることがより好ましく、50m/g以上であることが更に好ましく、更に、DBP(ジブチルフタレート)吸油量は、50ml/100g以上であることが好ましく、100ml/100g以上であることがより好ましく、150ml/100g以上であることが更に好ましい。灰分は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。ここでいうDBP吸油量は、ASTM D-2414に定められた方法で測定した値である。また、カーボンブラックの揮発分含量は、1質量%未満であることが好ましい。
これら、導電性フィラーはチタネート系、アルミ系、シラン系等の表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。更に、溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
【0079】
導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等とのバランスの観点から、脂肪族ポリアミド組成物(A)及び脂肪族ポリアミド組成物(B)100質量部に対して、一般に、3質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、かかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が10Ω/square以下であることが好ましく、10Ω/square以下であることがより好ましい。但し、前記導電性フィラーの添加は、強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
【0080】
積層体では、各層の厚みは特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層体における全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層体の薬液バリア性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。一般には、(a)層及び(b)層の厚みは、積層体全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性及び薬液バリア性のバランスを考慮して、(b)層の厚みは、積層体全体の厚みに対して、20%以上80%以下であることがより好ましく、30%以上70%以下であることが更に好ましい。
【0081】
また、積層体における全体の層数は、(a)層及び(b)層を有する、少なくとも2層である限り、特に限定されない。更に、積層体は、(a)層及び(b)層の2層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層体を得るために、他の熱可塑性樹脂を含む層を1層又は2層以上を有していてもよい。積層体の層数は2層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、3層以上7層以下であることがより好ましい。
【0082】
積層体における他の熱可塑性樹脂を含む層における熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(A1)、ポリアミド(A2)、及びポリアミド(B1)以外のポリメタキシリレンスクシナミド(ポリアミドMXD4)、ポリメタキシリレングルタミド(ポリアミドMXD5)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドMXDT(H))、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンスクシナミド(ポリアミドPXD4)、ポリパラキシリレングルタミド(ポリアミドPXD5)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリパラキシリレンスベラミド(ポリアミドPXD8)、ポリパラキシリレンアゼラミド(ポリアミドPXD9)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)、ポリパラキシリレンドデカミド(ポリアミドPXD12)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドPXDT(H))、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、
ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)、ポリパラフェニレンイソフタラミド(PPIA)、ポリメタフェニレンテレフタラミド(PMTA)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(PMIA)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンスクシナミド)(ポリアミド2,6-BAN4)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレングルタミド)(ポリアミド2,6-BAN5)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンアジパミド)(ポリアミド2,6-BAN6)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンスベラミド)(ポリアミド2,6-BAN8)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド2,6-BAN9)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンセバカミド)(ポリアミド2,6-BAN10)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンドデカミド)(ポリアミド2,6-BAN12)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6-BANI)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT(H))、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6-BANN)、ポリ(2,5-フランジメチレンスクシナミド)(ポリアミド2,5-F4)、ポリ(2,5-フランジメチレングルタミド)(ポリアミド2,5-F5)、ポリ(2,5-フランジメチレンアジパミド)(ポリアミド2,5-F6)、ポリ(2,5-フランジメチレンスベラミド)(ポリアミド2,5-F8)、
ポリ(2,5-フランジメチレンアゼラミド)(ポリアミド2,5-F9)、ポリ(2,5-フランジメチレンセバカミド)(ポリアミド2,5-F10)、ポリ(2,5-フランジメチレンドデカミド)(ポリアミド2,5-F12)、ポリ(2,5-フランジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,5-FT)、ポリ(2,5-フランジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,5-FI)、ポリ(2,5-フランジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,5-FT(H))、ポリ(2,5-フランジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,5-FN)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,3-BAC6)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンスベラミド(ポリアミド1,3-BAC8)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,3-BAC9)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,3-BAC10)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,3-BAC12)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,3-BACI)、
ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT(H))、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,3-BACN)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,4-BAC6)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンスベラミド)(ポリアミド1,4-BAC8)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,4-BAC9)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,4-BAC10)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,4-BAC12)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,4-BACI)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT(H))、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,4-BACN)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACM9)、
ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACMT(H))、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACMN)、
ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アジパミド)(ポリアミドMACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)スベラミド)(ポリアミドMACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アゼラミド)(ポリアミドMACM9)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)セバカミド)(ポリアミドMACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ドデカミド)(ポリアミドMACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テトラデカミド)(ポリアミドMACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサデカミド)(ポリアミドMACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)オクタデカミド)(ポリアミドMACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テレフタラミド)(ポリアミドMACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)イソフタラミド)(ポリアミドMACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドMACMT(H))、
ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ナフタラミド)(ポリアミドMACMN)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACP6)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACP8)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACP9)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACP10)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACP12)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACP14)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACP16)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACP18)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACPT)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACPI)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACPT(H))、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACPN)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンスベラミド(ポリアミドIPD8)、ポリイソホロンアゼラミド(ポリアミドIPD9)、ポリイソホロンセバカミド(ポリアミドIPD10)、
ポリイソホロンドデカミド(ポリアミドIPD12)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリイソホロンイソフタラミド(ポリアミドIPDI)、ポリイソホロンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドIPDT(H))、ポリイソホロンナフタラミド(ポリアミドIPDN)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンスクシナミド)(ポリアミド2,5-F(H)4)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレングルタミド)(ポリアミド2,5-F(H)5)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンアジパミド)(ポリアミド2,5-F(H)6)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンスベラミド)(ポリアミド2,5-F(H)8)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンアゼラミド)(ポリアミド2,5-F(H)9)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンセバカミド)(ポリアミド2,5-F(H)10)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンドデカミド)(ポリアミド2,5-F(H)12)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,5-F(H)T)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,5-F(H)I)、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,5-F(H)T(H))、ポリ(2,5-テトラヒドロフランジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,5-F(H)N)、ポリテトラメチレンテレフタラミド(ポリアミド4T)、ポリテトラメチレンイソフタラミド(ポリアミド4I)、ポリテトラメチレンナフタラミド(ポリアミド4N)、ポリテトラメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド4T(H))、ポリペンタメチレンテレフタラミド(ポリアミド5T)、ポリペンタメチレンイソフタラミド(ポリアミド5I)、ポリペンタメチレンナフタラミド(ポリアミド5N)、ポリペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド5T(H))、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミド6N)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリ(2-メチルペンタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM5T)、ポリ(2-メチルペンタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM5I)、ポリ(2-メチルペンタメチレンナフタラミド(ポリアミドM5N)、
ポリ(2-メチルペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM5T(H))、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリ(2-メチルオクタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM8T)、ポリ(2-メチルオクタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM8I)、ポリ(2-メチルオクタメチレンナフタラミド)(ポリアミドM8N)、ポリ(2-メチルオクタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM8T(H))、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリトリメチルヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミドTMHI)、ポリトリメチルヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミドTMHN)、ポリトリメチルヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドTMHT(H))、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、
ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリ(テトラメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミド4F)、ポリ(ペンタメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミド5F)、ポリ(ヘキサメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミド6F)、ポリ(2-メチルペンタメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミドM5F)、ポリ(ノナメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミド9F)、ポリ(2-メチルオクタメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミドM8F)、ポリ(トリメチルヘキサメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミドTMHF)、ポリ(デカメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミド10F)、ポリ(ウンデカメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミド11F)、ポリ(ドデカメチレン-2,5-フランジカルボキシアミド)(ポリアミド12F)、ポリ(テトラメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミド4F(H))、
ポリ(ペンタメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミド5F(H))、ポリ(ヘキサメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミド6F(H))、ポリ(2-メチルペンタメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミドM5F(H))、ポリ(ノナメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミド9F(H))、ポリ(2-メチルオクタメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミドM8F(H))、ポリ(トリメチルヘキサメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミドTMHF(H))、ポリ(デカメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミド10F(H))、ポリ(ウンデカメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミド11F(H))、ポリ(ドデカメチレン-2,5-テトラヒドロフランジカルボキシアミド)(ポリアミド12F(H))、及びこれらポリアミドの原料単量体、並びに/又は前記ポリアミド(A1)、ポリアミド(A2)、及びポリアミド(B1)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体を形成する原料単量体を2種以上用いた共重合体等のポリアミド系樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0083】
また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等の含フッ素系重合体、アミノ基に対して反応性を有する官能基を含有する前記含フッ素系重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0084】
更に、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)、スチレン/ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン/イソプレン共重合体(SIR)、スチレン/イソプレン/ブタジエン共重合体(SIBR)、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体(SEPS)等のポリスチレン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等のカルボキシル基、及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等の酸無水物基;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等のエポキシ基等の官能基が含有された前記ポリオレフィン系樹脂及びポリスチレン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂;ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂;ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトンケトン(PEKKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂;ポリ酢酸ビニル(PVAc)等のポリビニルエステル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂;酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂;熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0085】
尚、積層体においては、溶融安定性及び成形安定性の観点から、前記例示の熱可塑性樹脂のうち、融点が290℃以下のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリチオエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及び含フッ素系重合体を使用することが好ましい。
【0086】
また、熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿、木材等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属、金属化合物、及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の銅合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0087】
積層体製造法としては、層の数又は材料の数に対応する押出機を用いて、溶融押出し、ダイ内あるいは外において、同時に積層する方法(共押出成形法)、あるいは、一旦、単層チューブあるいは、前記の方法により製造された積層体を予め製造しておき、外側に順次、必要に応じては接着剤を使用し、樹脂を一体化せしめ積層する方法(コーティング法)が挙げられる。積層体は、各種材料を溶融状態で共押出し、両者を熱融着(溶融接着)し、一段階で積層構造のチューブを製造する共押出成形法により製造されることが好ましい。即ち、積層体の製造方法は、共押出成形することを含むことが好ましい。
【0088】
また、得られる積層体が複雑な形状である場合や、成形後に加熱曲げ加工を施して成形品とする場合は、成形品の残留歪みを除去するために、前記の積層体を形成した後、前記チューブを構成する樹脂の融点のうち最も低い融点未満の温度で、0.01時間以上10時間以下熱処理して、目的の成形品を得る事も可能である。
【0089】
積層体においては、波形領域を有するものであってもよい。波形領域とは、波形形状、蛇腹形状、アコーディオン形状、又はコルゲート形状等に形成した領域である。波形領域は、積層体全長にわたり有するものだけではなく、途中の適宜の領域に部分的に有するものであってもよい。波形領域は、まず直管状の積層体を成形した後に、引き続いてモールド成形し、所定の波形形状等とすることにより容易に形成することができる。かかる波形領域を有することにより、衝撃吸収性を有し、取り付け性が容易となる。更に、例えば、コネクタ等の必要な部品を付加したり、曲げ加工したりすることによりL字、U字の形状等にすることが可能である。
【0090】
このように成形した積層体の外周の全部又は一部には、石ハネ、他部品との摩耗、及び耐炎性を考慮して、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、カルボキシル化ブタジエンゴム(XBR)、カルボキシル化クロロプレンゴム(XCR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、アクリロニトリルイソプレンゴム(NIR)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン酢酸ビニルゴム(EVM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシル化スチレンブタジエンゴム(XSBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム(MQ,VMQ)、フッ素ゴム(FKM,FFKM)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等から構成するソリッド又はスポンジ状の保護部材(プロテクタ)を配設することができる。保護部材は、既知の手法によりスポンジ状の多孔体としてもよい。多孔体とすることにより、軽量で断熱性に優れた保護部を形成できる。また、材料コストも低減できる。あるいは、ガラス繊維等を添加して、その強度を改善してもよい。保護部材の形状は特に限定されないが、通常は、筒状部材又は積層体の一態様である積層チューブを受け入れる凹部を有するブロック状部材である。筒状部材の場合は、予め作製した筒状部材に積層チューブを後で挿入したり、あるいは積層チューブの上に筒状部材を被覆押出しし、両者を密着して作ることができる。両者を接着させるには、保護部材内面あるいは前記凹面に必要に応じ接着剤を塗布し、これに積層チューブを挿入又は嵌着し、両者を密着することにより、積層チューブと保護部材の一体化された構造体を形成する。また、金属等で補強することも可能である。
【0091】
積層チューブの外径は、薬液(例えば、含アルコールガソリン等の燃料)等の流量を考慮し、肉厚は薬液の透過性が増大せず、また、通常のチューブの破壊圧力を維持できる厚みで、かつ、チューブの組み付け作業容易性及び使用時の耐振動性が良好な程度の柔軟性を維持することができる厚みに設計されるが、限定されるものではない。外径は4mm以上300mm以下、内径は3mm以上250mm以下、肉厚は0.5mm以上25mm以下であることが好ましい。
【0092】
本実施形態の積層体は、自動車部品、内燃機関用途、電動工具ハウジング類等の機械部品を始め、工業材料、産業資材、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品等各種用途に使用することが可能である。
【0093】
また、積層体は、薬液及び/又はガス搬送チューブとして好適である。薬液としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン類等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコ-ル等のアルコール;フェノール溶媒;ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ポリオ-ルエステル類、ポリビニルエ-テル類等のエーテル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン等のケトン溶媒;鉱油類、シリコ-ン油類、天然パラフィン類、ナフテン類、合成パラフィン類、ポリアルファオレフィン類等、ガソリン、灯油、ディーゼルガソリン、菜種油メチルエステル、大豆油メチルエステル、パ-ム油メチルエステル、ココナツ油メチルエステル、ガス液化油(Gas To Liquid:GTL)、石炭液化油(Coal To Liquid:CTL)、バイオマス液化油(Biomass To Liquid: BTL)、含アルコールガソリン、エチル-t-ブチルエーテルブレンド含酸素ガソリン、含アミンガソリン、サワーガソリン、圧縮天然ガス(CNG)、液化石油ガス(LPG)、液化炭化水素ガス(LHG)、液化天然ガス(LNG)、燃料用ジメチルエーテル(DME)、ひまし油ベースブレーキ液、グリコールエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パワーステアリングオイル、含硫化水素オイル、ウインドウオッシャー液、エンジン冷却液、尿素溶液、医薬剤、インク、塗料等が挙げられる。
【0094】
ガスとしては、水素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン、ネオン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニル、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、酸素、オゾン、窒素、空気、アンモニア、メタン、エタン、プロパン、イソブタン、n-ブタン等の炭化水素;アセチレン、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、スチレン及びブタジエン等の不飽和炭化水素;HFC-23(トリフルオロメタン)、HFC-32(ジフルオロメタン)、HFC-41(フルオロメタン)、HFC-123(2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン)、HFC-125(1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン)、HFC-134(1,1,2,2-テトラフルオロエタン)、HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、HFC-143(1,1,2-トリフルオロエタン)、HFC-143a(1,1,1-トリフルオロエタン)、HFC-152(1,2-ジフルオロエタン)、HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン)、HFC-161(フルオロエタン)、HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、HFC-227ca(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-236cb(1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-236ca(1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-245ca(1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-245ea(1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-245eb(1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-245cb(1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン)、HFC-254eb(1,1,1,2-テトラフルオロプロパン)、HFC-254cb(1,1,2,2-テトラフルオロプロパン)、HFC-254ca(1,2,2,3-テトラフルオロプロパン)、
HFC-263fb(1,1,1-トリフルオロプロパン)、HFC-263ca(1,2,2-トリフルオロプロパン)、HFC-272fb(1,1-ジフルオロプロパン)、HFC-272ea(1,2-ジフルオロプロパン)、HFC-272fa(1,3-ジフルオロプロパン)、HFC-272ca(2,2-ジフルオロプロパン)、HFC-281fa(1-フルオロプロパン)、HFC-281ea(2-フルオロプロパン)、HFC-329p(1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロブタン)、HFC-329mmz(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロ)プロパン)、HFC-338mf(1,1,1,3,3,4,4,4-オクタフルオロブタン)、HFC-338mcc(1,1,1,2,2,3,4,4-オクタフルオロブタン)、HFC-338pcc(1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン)、HFC-347s(1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロブタン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)、HFC-4310mee(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン)、HFC-1123(トリフルオロエチレン)、HFC-1132a(1,2-ジフルオロエチレン)、FC-1216(ヘキサフルオロ-1-プロペン)、HFC-1223(3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1225zc(1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン)、HFC-1225ye(1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン)、HFC-1225yc(1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン)、HFC-1232xf(3,3-ジフルオロ-1-プロペン)、
HFC-1234ye(1,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1234ze(1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1234yc(1,1,2,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1234zc(1,1,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243yf(2,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243zc(1,1,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243ye(1,2,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243ze(1,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243zf(3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243yc(1,1,2-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1261yf(2-フルオロプロペン)、FC-1318my(1,1,1,2,3,4,4,4-オクタフルオロ-2-ブテン)、FC-1318cy(1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1327my(1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1327ye(1,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1327py(1,1,1,2,3,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1327et(1,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン)、
HFC-1327cz(1,1,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1327cye(1,1,2,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1327cyc(1,1,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336yf(2,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336ze(1,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336eye(1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336eyc(1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336pyy(1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)、HFC-1336pz(1,1,1,2,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)、HFC-1336mzy(1,1,1,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)、HFC-1336mzz(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)、HFC-1336qc(1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336pe(1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336ft(3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン)、HFC-1345qz(1,1,1,2,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345mzy(1,1,1,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345fz(3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345mzz(1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345sy(1,1,1,2,3-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345fyc(2,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345pyz(1,1,2,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345cyc(1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345pyy(1,1,2,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、
HFC-1345eyc(1,2,3,3,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345ctm(1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-メチル-1-プロペン)、HFC-1345ftp(2-(ジフルオロメチル)-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC1345fye(2,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345eyf(1,2,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345eze(1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345ezc(1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345eye(1,2,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1354fzc(3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン)、HFC-1354ctp(1,1,3,3-テトラフルオロ-2-メチル-1-プロペン)、HFC-1354etm(1,3,3,3-テトラフルオロ-2-メチル-1-プロペン)、HFC-1354tfp(2-(ジフルオロメチル)-3,3-ジフルオロ-1-プロペン)、HFC-1354my(1,1,1,2-テトラフルオロ-2-ブテン)、HFC-1354mzy(1,1,1,3-テトラフルオロ-2-ブテン)、FC-141-10myy(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-2-ペンテン)、FC-141-10cy(1,1,2,3,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-1-ペンテン)HFC-1429mzt(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、HFC-1429myz(1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429mzy(1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429eyc(1,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1429czc(1,1,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1429cycc(1,1,2,3,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン)、
HFC-1429pyy(1,1,2,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429myyc(1,1,1,2,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429myye(1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429eyym(1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1429cyzm(1,1,2,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1429mzt(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、HFC-1429czym(1,1,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1438fy(2,3,3,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1438eycc(1,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1438ftmc(3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1438czzm(1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1438ezym(1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1438ctmf(1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、
HFC-1447fzy(3,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1447fz(3,3,4,4,5,5,5-プタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1447fycc(2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1447cz(1,1,3,3,5,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1447mytm(1,1,1,2,4,4,4ヘプタフルオロ-3-メチル-2-ブテン)、HFC-1447fyz(2,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1447ezz(1,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1447qzt(1,4,4,4-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、HFC-1447syt(2,4,4,4-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、HFC-1456szt(3-(トリフルオロメチル)-4,4,4-トリフルオロ-2-ブテン)、HFC-1456szy(3,4,4,5,5,5ヘキサフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1456mstz(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-ブテン)、HFC-1456fzce(3,3,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1456ftmf(4,4,4-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、FC-151-12c(1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ドデカ-1-ヘキセン、
ペルフルオロ-1-ヘキセン)、FC-151-12mcy(1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,6-ドデカ-3-ヘキセン、ペルフルオロ-3-ヘキセン)、FC-151-12mmtt(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、FC-151-12mmzz(1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-152-11mmtz(1,1,1,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-152-11mmyyz(1,1,1,3,4,5,5,5-オクタフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-152-11mmyyz(1,1,1,3,4,5,5,5-オクタフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-1549fz(PFBE)(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロ-1-ヘキセン、パ-フルオロブチル)、HFC-1549fztmm(4,4,4-トリフルオロ-3,3-ビス(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1549mmtts(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、
HFC-1549fycz(2,3,3,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン)、HFC-1549myts(1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-3-メチル-2-ペンテン)、HFC-1549mzzz(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-1558szy(3,4,4,5,5,6,6,6-オクタフルオロ-2-ヘキセン)、HFC-1558fzccc(3,3,4,4,5,5,6,6-オクタフルオロ-2-ヘキセン)、HFC-1558mmtzc(1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-1558ftmf(4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン)、HFC-1567fts(3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-2-メチル-1-ペンテン)、HFC-1567szz(4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヘキセン)、HFC-1567fzfc(4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-1-ヘキセン)、HFC-1567sfyy(1,1,1,2,2,3,4-ヘプタフルオロ-3-ヘキセン)、HFC-1567fzfy(4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン)、HFC-1567myzzm(1,1,1,2,5,5,5-ヘプタフルオロ-4-メチル-2-ペンテン)、HFC-1567mmtyf(1,1,1,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、FC-161-14myy(1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-2-ヘプテン)、FC-161-14mcyy(1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-2-ヘプテン)、HFC-162-13mzy(1,1,1,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン)、HFC162-13myz(1,1,1,2,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン)、
HFC-162-13mczy(1,1,1,2,2,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン)、HFC-162-13mcyz(1,1,1,2,2,3,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン)、CFC-11(フルオロトリクロロメタン)、CFC-12(ジクロロジフルオロメタン)、CFC-114(1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-ジクロロエタン)、CFC-114a(1,1,1,2-テトラフルオロ-2,2-ジクロロエタン)、CFC-115(1,1,1,2,2-ペンタフルオロ-2-ジクロロエタン)、HCFC-21(ジクロロフルオロメタン)、HCFC-22(クロロジフルオロメタン)、HCFC-122(1,1,2-トリクロロ-2,2-ジフルオロエタン)、HCFC-123(1,1,1-トリフルオロ-2,2-ジクロロエタン)、HCFC-124(1,1,1,2-テトラフルオロ-2-クロロエタン)、HCFC-124a(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-クロロエタン)、HCFC-132(ジクロロジフルオロエタン)、HCFC-133a(1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタン)、HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC-142(1,1-ジフルオロ-2-クロロエタン)、HCFC-142b(1,1-ジフルオロ-1-クロロエタン)、HCFC-225ca(3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン)、
HCFC-225cb(1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン)、HCFC-240db(1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン)、HCFC-243db(1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパン)、HCFC-243ab(1,1,1-トリフルオロ-2,2-ジクロロプロパン)、HCFC-244eb(1,1,1,2-テトラフルオロ-3-クロロプロパン)、HCFC-244bb(1,1,1,2-テトラフルオロ-2-クロロプロパン)、HCFC-244db(1,1,1,3-テトラフルオロ-2-クロロプロパン)、HCFC-1111(1,1,2-トリクロロ-2-フルオロエチレン)、HCFC-1113(1,1,2-トリフルオロ-2-クロロエチレン)、HCFC-1223xd(3,3,3-トリフルオロ-1,2-ジクロロプロペン)、HCFC-1224xe(1,3,3,3-テトラフルオロ-2-クロロプロペン)、HCFC-1232xf(3,3-ジフルオロ-1,3-ジクロロプロペン)、HCFC-1233xf(3,3,3-トリフルオロ-2-クロロプロペン)、HCFC-1233zd(3,3,3-トリフルオロ-1-クロロプロペン)、及びこれらの混合物等のハロオレフィン類等が挙げられる。
【0095】
積層体は、前記薬液及び/又はガスを搬送するチューブとして好適であり、具体的には、フィードチューブ、リターンチューブ、エバポチューブ、フューエルフィラーチューブ、ORVRチューブ、リザーブチューブ、ベントチューブ等の燃料チューブ、燃料電池用水素搬送チュ-ブ、オイルチューブ、石油掘削チューブ、空圧、油圧チューブ、クラッチチューブ、ブレーキチューブ、ブレーキ負圧チューブ、サスペンションチューブ、エアーチューブ、ターボエアーチューブ、エアーダクトチューブ、ブローバイチューブ、EGRバルブコントロールチューブ、ウインドウオッシャー液用チューブ、エンジン冷却液(LLC)チューブ、リザーバータンクチューブ、尿素溶液搬送チューブ、冷却水、冷媒等用クーラーチューブ、エアコン冷媒用チューブ、ヒーターチューブ、ラジエータチューブ、ロードヒーティングチューブ、床暖房チューブ、インフラ供給用チューブ、消火器及び消火設備用チューブ、医療用冷却機材用チューブ、インク、塗料散布チューブ、その他薬液チューブが挙げられる。特に、燃料チューブとして好適である。即ち、本発明は、前記積層体の燃料チューブとしての使用を包含する。
【実施例
【0096】
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0097】
尚、実施例及び比較例における分析及び物性の測定方法、並びに実施例及び比較例に用いた材料を示す。
【0098】
ポリアミドの特性は、以下の方法で測定した。
[相対粘度]
JIS K-6920に準じて、96%の硫酸中、ポリアミド濃度1%、温度25℃の条件下で測定した。
【0099】
[ポリアミド(A1)、ポリアミド(A2)の末端アミノ基濃度]
活栓付三角フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、あらかじめ調整しておいた溶媒フェノール/メタノール(体積比9/1)の40mLを加えた後、マグネットスターラで攪拌溶解し、指示薬にチモールブルーを用いて0.05Nの塩酸で滴定を行い、末端アミノ基濃度を求めた。
【0100】
[ポリアミド(A1)、ポリアミド(A2)の末端カルボキシル基濃度]
三つ口ナシ型フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、ベンジルアルコール40mLを加えた後、窒素気流下、180℃に設定したオイルバスに浸漬する。上部に取り付けた攪拌モータにより攪拌溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用いて0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定を行い、末端カルボキシル基濃度を求めた。
【0101】
[エラストマー重合体(A3)のカルボキシル基及び酸無水物基の合計濃度]
三つ口ナシ型フラスコに所定量のエラストマー重合体試料を入れ、トルエン170mLに溶解し、更に、エタノールを30mL加えて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定を行い、カルボキシル基及び酸無水物基の合計濃度を求めた。
【0102】
積層チューブの各物性は、以下の方法で測定した。
【0103】
[層間接着性(初期剥離強度)]
200mmにカットしたチューブを更に、スパイラル状に半分にカットし、テストピースを作成した。万能材料試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTMIII-200)を用い、50mm/minの引張速度にて90°剥離試験を実施した。S-Sカーブの極大点から剥離強度を読み取り、層間接着性を評価した。
【0104】
[層間接着性の耐久性(熱処理後剥離強度)]
200mmにカットしたチューブを160℃のオーブンに入れ、30分処理した。取り出したチューブの層間接着性を前記の方法に従い評価した。熱処理後の剥離強度が2.0N/mm以上の場合、層間接着性の耐久性に優れていると判断した。
【0105】
[実施例及び比較例で用いた材料]
ポリアミド(A1)
ポリアミド12(A1-1)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、ドデカンラクタム19.73kg(100.0モル)、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン45.0g(0.264モル)、及び蒸留水0.5Lを仕込み、重合槽内を窒素置換した後、180℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで重合槽内温度を270℃まで昇温させ、槽内圧力を3.5MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において5時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥し、相対粘度2.10、末端アミノ基濃度48μeq/g、末端カルボキシル基濃度24μeq/gのポリアミド12を得た(以下、このポリアミド12を(A1-1)という。)。ポリアミド12(A1-1)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であり、8.0以上を満たす。
【0106】
ポリアミド(A2)
ポリアミド6/12(A2-1)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、カプロラクタム9.90kg(87.5モル)、12-アミノドデカン酸2.69kg(12.5モル)、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン20.0g(0.12モル)、及び蒸留水2.0Lを入れ、100℃に加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。引き続き、更に、温度を260℃まで昇温させ、2.5MPaの圧力下で1時間攪拌した。その後、放圧して水分を反応容器から揮散させながら常圧下、260℃で2時間重合反応を行い、更に、260℃、53kPaの減圧下で4時間重合反応させた。反応終了後、反応容器の下部ノズルからストランド状に取り出した反応物を水槽に導入して冷却し、カッティングして、ペレットを得た。このペレットを熱水中に浸漬し、未反応モノマーを抽出して除去した後、減圧乾燥し、相対粘度2.63、末端アミノ基濃度54μeq/g、末端カルボキシル基濃度40μeq/gのポリアミド6/12(カプロアミド単位/ドデカンアミド単位=87.5/12.5モル%)を得た(以下、このポリアミド6/12を(A2-1)という。)。ポリアミド6/12(A2-1)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.75であり、8.0未満である。
【0107】
ポリアミド(B1)
ポリアミド6(B1-1)の製造
ポリアミド6/12(A2-1)の製造において、カプロラクタム9.90kg(87.5モル)、12-アミノドデカン酸2.69kg(12.5モル)をカプロラクタム11.32kg(100.0モル)に変更し、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン20.0g(0.12モル)を80.0g(0.47モル)に変更した以外は、ポリアミド6/12(A2-1)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.50、末端アミノ基濃度112μeq/g、末端カルボキシル基濃度33μeq/gのポリアミド6を得た(以下、このポリアミド6を(B1-1)という。)。ポリアミド6(B1-1)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は5.0であり、8.0未満である。
【0108】
カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有する及び/又は含有しないエラストマー重合体(A3)
無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A3-1)(三井化学(株)製、タフマーMH5010、酸無水物基濃度:50μeq/g)
無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A3-2)(三井化学(株)製、タフマーMH5020、酸無水物基濃度:100μeq/g)
【0109】
脂肪族ポリアミド組成物(A)
ポリアミド12組成物(A-1)の製造
ポリアミド12(A1-1)にポリアミド6/12(A2-1)、無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A3-1)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度180℃から270℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、ポリアミド12(A1-1)/ポリアミド6/12(A2-1)/無水マレイン酸変性エラストマー重合体(A3-1)=55.0/25.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-1)という。)。また、ポリアミド12組成物(A-1)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)(脂肪族ポリアミド組成物(A)の1gあたりのポリアミド(A1)及びポリアミド(A2)のそれぞれの末端アミノ基濃度(μeq/g)、末端カルボキシル基濃度(μeq/g)とそれぞれの混合質量比から算出される値を脂肪族ポリアミド組成物(A)の1gあたりの末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)とする。以下同様。)は、[A]>[B]+5を満たす。
【0110】
ポリアミド12組成物(A-2)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)及びポリアミド6/12(A2-1)の添加量を変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(A1-1)/ポリアミド6/12(A2-1)/無水マレイン酸変性エラストマー重合体(A3-1)=65.0/15.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-2)という。)。また、ポリアミド12組成物(A-2)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
【0111】
ポリアミド12組成物(A-3)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)及びポリアミド6/12(A2-1)の添加量を変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(A1-1)/ポリアミド6/12(A2-1)/無水マレイン酸変性エラストマー重合体(A3-1)=60.0/20.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-3)という。)。また、ポリアミド12組成物(A-3)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
【0112】
ポリアミド12組成物(A-4)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A3-1)を(A3-2)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(A1-1)/ポリアミド6/12(A2-1)/エラストマー重合体(A3-2)=55.0/25.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-5)という。)。また、ポリアミド12組成物(A-4)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
【0113】
ポリアミド12組成物(A-5)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド6/12(A2-1)を使用せず、二軸溶融混練機のシリンダの途中から、可塑剤としてベンゼンスルホン酸ブチルアミドを定量ポンプにより注入した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(A1-1)/無水マレイン酸変性エラストマー重合体(A3-1)/可塑剤=87.5/10.0/2.5(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-5)という。)。また、ポリアミド12組成物(A-5)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
【0114】
ポリアミド12組成物(A-6)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド6/12(A2-1)を使用しないこと以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(A1-1)/無水マレイン酸変性エラストマー重合体(A3-1)=80.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-6)という。)。また、ポリアミド12組成物(A-6)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
【0115】
ポリアミド組成物(B)
ポリアミド6組成物(B-1)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド6(B1-1)に変更し、ポリアミド6/12(A2-1)を使用を使用しない以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド6(B1-1)/無水マレイン酸変性エラストマー重合体(A3-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6組成物を(B-1)という。)。
【0116】
ポリアミド6組成物(B-2)の製造
ポリアミド6組成物(B-1)の製造において、可塑剤としてベンゼンスルホン酸ブチルアミドを定量ポンプにより注入した以外は、ポリアミド6組成物(B-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド6(B1-1)/無水マレイン酸変性エラストマー重合体(A3-1)/可塑剤=75.0/10.0/15.0(質量%)よりなるポリアミド6組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6組成物を(B-2)という。)。
【0117】
導電性ポリアミド6組成物(B-3)の製造
ポリアミド6組成物(B-1)の製造において、導電性フィラーとしてカーボンブラック(キャボット社製、バルカンXC-72)を用い、シリンダ温度を270℃から300℃に変更した以外は、ポリアミド6組成物(B-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド6(B1-1)/無水マレイン酸変性エラストマー重合体(A3-1)/導電性フィラー=60.0/20.0/20.0(質量%)よりなる導電性ポリアミド6組成物のペレットを得た(以下、この導電性ポリアミド6組成物を(B-3)という。)。
【0118】
実施例1
前記に示すポリアミド12組成物(A-1)、ポリアミド6組成物(B-1)を使用して、PAL32(マイルファー社製)2層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度260℃、(B-1)を押出温度260℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)=0.70/0.30mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0119】
実施例2
実施例1において、最外層に使用したポリアミド12組成物(A-1)を(A-2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0120】
実施例3
実施例1において、最外層に使用したポリアミド12組成物(A-1)を(A-3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0121】
実施例4
実施例1において、最外層に使用したポリアミド12組成物(A-1)を(A-4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0122】
実施例5
実施例3において、最内層に使用したポリアミド6組成物(B-1)をポリアミド6組成物(B-2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0123】
実施例6
実施例3において、最内層に使用したポリアミド6組成物(B-1)をポリアミド6組成物(B-3)に変更し,(B-3)の押出温度を260℃から280℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、10Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0124】
実施例7
前記に示すポリアミド12組成物(A-1)、及びポリアミド6組成物(B-1)を使用して、PAL32(マイルファー社製)3層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度260℃、(B-1)を押出温度260℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(中間層)、(A-1)からなる(a’)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(a’)=0.30/0.50/0.20mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
【0125】
実施例8
実施例7において、最外層及び最内層に使用したポリアミド12組成物(A-1)をポリアミド12組成物(A-2)に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
【0126】
実施例9
実施例7において、最外層及び最内層に使用したポリアミド12組成物(A-1)をポリアミド12組成物(A-3)に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
【0127】
実施例10
実施例7において、最外層及び最内層に使用したポリアミド12組成物(A-1)をポリアミド12組成物(A-4)に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
【0128】
実施例11
実施例9において、ポリアミド6組成物(B-1)を(B-2)に変更した以外は、実施例9と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
【0129】
比較例1
実施例1において、最外層に使用したポリアミド12組成物(A-1)を(A-5)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0130】
比較例2
実施例1において、最外層に使用したポリアミド12組成物(A-1)を(A-6)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0131】
比較例3
実施例7において、最外層及び最内層に使用したポリアミド12組成物(A-1)を(A-5)に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
【0132】
比較例4
実施例7において、最外層及び最内層に使用したポリアミド12組成物(A-1)を(A-6)に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
表1及び2から明らかなように、本発明に規定のポリアミド(A2)を使用していない(a)層を有する比較例1、2、3、及び4の積層チューブは、層間接着性及びその耐久性に劣っていた。一方、本発明に規定されている条件を満たす実施例1から11の積層チューブは、層間接着性、及びその耐久性等の諸特性が良好であることは明らかである。