(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】電子部品収納容器、電子部品連、電子部品収納容器の製造方法および電子部品連の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/90 20060101AFI20231114BHJP
B65D 73/02 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B65D85/90 300
B65D73/02 A
(21)【出願番号】P 2021528259
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2020023580
(87)【国際公開番号】W WO2020255955
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2019115878
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】清水 保弘
(72)【発明者】
【氏名】中川 聖之
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/065734(WO,A1)
【文献】特開2004-106865(JP,A)
【文献】特開昭63-317402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/90
B65D 73/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収納するための複数の収納凹部が長手方向に沿って配置され、それぞれの前記収納凹部が高さ方向の一方側に開口部を有する本体部と、
前記収納凹部の前記開口部を覆うように、前記本体部に剥離可能に接合されているカバーシートと、
前記本体部との間に前記カバーシートを挟み込むように配置される蓋部と、を備え、
前記本体部は、
略一定の厚さのシート部材を加工することにより形成され、前記開口部の周囲に、前記収納凹部の深さ方向と反対側の方向に向けて隆起する隆起部を有し、
前記隆起部は、前記開口部側に前記収納凹部の深さ方向に沿うように湾曲する湾曲部を含み、
前記カバーシートは、前記隆起部の形状に沿うように接触し、かつ、前記隆起部に剥離可能に接合され、前記隆起部の湾曲部において前記収納凹部の深さ方向に向けて突出する領域を有する、電子部品収納容器。
【請求項2】
前記隆起部の曲率半径は、1.05mm以上1.50mm以下である、請求項1に記載の電子部品収納容器。
【請求項3】
前記隆起部は、前記カバーシートにめり込んでいる、請求項1または2に記載の電子部品収納容器。
【請求項4】
前記隆起部がめり込んでいる部分の前記カバーシートの厚さは、前記本体部と接合されていない部分の前記カバーシートの厚さよりも小さい、請求項3に記載の電子部品収納容器。
【請求項5】
前記カバーシートは、前記隆起部の周囲に、前記収納凹部の深さ方向に向けて突出する領域を有する、請求項3または4に記載の電子部品収納容器。
【請求項6】
前記カバーシートは、複数層から構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品収納容器。
【請求項7】
前記カバーシートは、前記収納凹部の深さ方向において、前記カバーシートと接合されていない部分の前記本体部と0.5mm以上離れている、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子部品収納容器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子部品収納容器と、
前記電子部品収納容器の収納凹部に収納された電子部品と、を備える、電子部品連。
【請求項9】
電子部品を収納するための複数の収納凹部が長手方向に沿って配置され、それぞれの前記収納凹部が高さ方向の一方側に開口部を有する本体部の、それぞれの前記収納凹部の前記開口部を覆うように、前記本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程と、
前記本体部との間に前記カバーシートを挟み込むように蓋部を配置する工程と、を備える、電子部品収納容器の製造方法であって、
前記本体部は、
略一定の厚さのシート部材を加工することにより形成され、前記開口部の周囲に、前記収納凹部の深さ方向と反対側の方向に向けて隆起する隆起部を有し、
前記隆起部は、前記開口部側に前記収納凹部の深さ方向に沿うように湾曲する湾曲部を含み、
前記本体部に前記カバーシートを剥離可能に接合させる工程は、
前記本体部の前記収納凹部の周囲を、前記収納凹部を有する方向から、支持部材によって支持する工程と、
前記支持部材によって前記本体部が支持された状態で、前記隆起部に、前記隆起部の湾曲部において前記収納凹部の深さ方向に向けて突出する領域が形成されるよう、押圧治具を用いて前記収納凹部の深さ方向に向かって前記カバーシートを押圧する工程と、を備える、電子部品収納容器の製造方法。
【請求項10】
前記支持部材は、弾性部を有する、請求項9に記載の電子部品収納容器の製造方法。
【請求項11】
前記支持部材の前記弾性部を前記本体部に接触させる、請求項10に記載の電子部品収納容器の製造方法。
【請求項12】
複数の収納凹部が長手方向に沿って配置され、それぞれの前記収納凹部が高さ方向の一方側に開口部を有する本体部の前記収納凹部に電子部品を収納する工程と、
前記収納凹部に前記電子部品が収納された前記本体部を用いて、請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法により電子部品収納容器を作製する工程と、を備える、電子部品連の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品収納容器に関する。本発明はまた、上記電子部品収納容器に電子部品が収納された電子部品連、上記電子部品収納容器の製造方法および上記電子部品連の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサに代表される電子部品の包装形態の一例として、複数の電子部品を収納容器内に充填した包装形態が挙げられる。電子部品を充填する段階からフィーダーにセットする段階に至るまでの収納容器の取扱い過程において、異物や異製品の混入防止や小型の電子部品のこぼれ防止、ガスバリア機能付与による電子部品のロングライフ化を目的として、電子部品が収納されている部分の上面にカバーフィルムを熱溶着などにより密閉する方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、個片化された電子部品を収納するためのマガジン(包装体)が開示されている。特許文献1に記載の包装体は、長手方向に沿って複数のキャビティ(収納凹部)を有する受容構造体(本体部)と、上記本体部の上側に配置されているカバー構造体(蓋部)と、上記本体部と上記蓋部の間に挟み込まれた密閉箔(カバーシート)とを備え、上記カバーシートが、上記本体部に取り外し可能に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子部品収納容器の本体部にカバーシートを接着させる方法の一例として、コテ受けなどの支持部材によって収納凹部の周囲を支持した状態で、上記収納凹部の開口部の周囲に、コテなどの押圧治具を用いてカバーシートを押圧する方法が知られている。この際、成形のばらつきにより本体部の高さにばらつきが生じている、接着面に対して押圧治具が傾いている、あるいは、支持部材の定位置に対して本体部がずれて支持されている、などの場合には、収納凹部の開口部の周囲にカバーシートを均一に接着させることが困難となるため、本体部に対するカバーシートの接着強度が不均一になる。その結果、温度または気圧などの外部環境の変化によって、収納凹部の内部に残留する空気が膨張すると、熱溶着されているカバーシートの一部が剥がれ、密閉状態が維持できなくなるなどの不具合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、本体部に対するカバーシートの接着強度が開口部の周囲で均一な電子部品収納容器を提供することを目的とする。本発明はまた、上記電子部品収納容器に電子部品が収納された電子部品連、上記電子部品収納容器の製造方法および上記電子部品連の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品収納容器は、電子部品を収納するための複数の収納凹部が長手方向に沿って配置され、それぞれの上記収納凹部が高さ方向の一方側に開口部を有する本体部と、上記収納凹部の上記開口部を覆うように、上記本体部にカバーシートを剥離可能に接合されているカバーシートと、上記本体部との間に上記カバーシートを挟み込むように配置される蓋部と、を備え、上記本体部は、上記開口部の周囲に、上記収納凹部の深さ方向と反対側の方向に向けて隆起する隆起部を有し、上記カバーシートは、上記隆起部の形状に沿うように接触し、かつ、上記隆起部に剥離可能に接合されている。
【0008】
本発明の電子部品連は、本発明の電子部品収納容器と、上記電子部品収納容器の収納凹部に収納された電子部品と、を備える。
【0009】
本発明の電子部品収納容器の製造方法は、電子部品を収納するための複数の収納凹部が長手方向に沿って配置され、それぞれの上記収納凹部が高さ方向の一方側に開口部を有する本体部の、それぞれの上記収納凹部の上記開口部を覆うように、上記本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程と、上記本体部との間に上記カバーシートを挟み込むように蓋部を配置する工程と、を備える。
【0010】
第1の態様において、上記本体部は、上記開口部の周囲に、上記収納凹部の深さ方向と反対側の方向に向けて隆起する隆起部を有し、上記本体部に上記カバーシートを剥離可能に接合させる工程は、上記本体部の上記収納凹部の周囲を、上記収納凹部を有する方向から、支持部材によって支持する工程と、上記支持部材によって上記本体部が支持された状態で、上記隆起部に、押圧治具を用いて、上記収納凹部の深さ方向に向かって、上記カバーシートを押圧する工程と、を備える。
【0011】
第2の態様において、上記本体部に上記カバーシートを剥離可能に接合させる工程は、上記本体部の上記収納凹部の周囲を、上記収納凹部を有する方向から、弾性部を有する支持部材によって支持する工程と、上記支持部材によって上記本体部が支持された状態で、上記開口部の周囲に、押圧治具を用いて、上記収納凹部の深さ方向に向かって、上記カバーシートを押圧する工程と、を備える。
【0012】
本発明の電子部品連の製造方法は、複数の収納凹部が長手方向に沿って配置され、それぞれの上記収納凹部が高さ方向の一方側に開口部を有する本体部の上記収納凹部に電子部品を収納する工程と、上記収納凹部に上記電子部品が収納された上記本体部を用いて、本発明の電子部品収納容器の製造方法により電子部品収納容器を作製する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、本体部に対するカバーシートの接着強度が開口部の周囲で均一な電子部品収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の電子部品連の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子部品連のII-II線断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電子部品連のIII-III線断面図である。
【
図4】
図4は、
図3においてIVで示す部分を拡大した断面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す電子部品連の一部を高さ方向から見た平面図である。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、
図1に示す電子部品連を構成する電子部品収納容器の本体部を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程の一例を模式的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す電子部品連の蓋部を本体部に対して相対的にスライド移動させる様子を模式的に示す斜視図である。
【
図10】
図10は、
図1に示す電子部品連から電子部品を取り出す様子を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11Aおよび
図11Bは、本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程の別の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図12】
図12Aおよび
図12Bは、本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程の別の一例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の電子部品収納容器および電子部品連について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0016】
本発明の電子部品連は、電子部品収納容器と、上記電子部品収納容器に収納された電子部品とを備える。なお、本発明の電子部品連を構成する電子部品収納容器も本発明の1つである。
【0017】
[電子部品連]
図1は、本発明の電子部品連の一例を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電子部品連のII-II線断面図である。
図3は、
図1に示す電子部品連のIII-III線断面図である。
【0018】
図1、
図2および
図3に示す電子部品連100は、電子部品収納容器10と、電子部品収納容器10内に収納された複数の電子部品1(
図2および
図3参照)とを備える。
【0019】
図1に示すように、電子部品収納容器10は、本体部20と、カバーシート30と、蓋部40とを備える。電子部品収納容器10は、例えば、長手方向(DR1方向)および幅方向(DR2方向)を有し、長尺状に形成されている。なお、長手方向は、後述するスライド方向(
図9中のAR1方向)と平行な方向であり、幅方向は長手方向と直交する方向である。高さ方向(DR3方向)から平面視した場合、本体部20、カバーシート30および蓋部40は、例えば、矩形形状を有する。なお、高さ方向は、長手方向および幅方向と直交する方向である。
【0020】
本体部20は、長手方向に延びるように設けられている。本体部20は、電子部品1を収納するための複数の収納凹部21を有している。
図1に示す電子部品連100では、本体部20は、7つの収納凹部21を有している。
【0021】
収納凹部21は、長手方向に沿って配置されている。
図1に示す電子部品連100では、7つの収納凹部21は、長手方向に沿って一列に並んで配置されている。
【0022】
本実施形態では、
図2に示すように、7つの収納凹部21A、21B、21C、21D、21E、21Fおよび21Gのうち、長手方向における本体部20の第1の端部20aに配置されている収納凹部21Aは、開口部の面積および深さ寸法が他の収納凹部21B、21C、21D、21E、21Fおよび21Gに比べて小さくなっている。一方、長手方向における本体部20の第2の端部20bに配置されている収納凹部21Gは、開口部の面積および深さ寸法が収納凹部21A以外の収納凹部21B、21C、21D、21Eおよび21Fと同一である。
【0023】
図3に示すように、それぞれの収納凹部21は、高さ方向の一方側に開口部211を有している。高さ方向から平面視した場合、開口部211は、例えば、略円形状を有する。
【0024】
本体部20は、例えば、シート部材を加工することにより形成される。本体部20を構成する材料としては、カーボンまたは導電塗料等の導電材料を練り込んだポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。本体部20の厚さは、例えば、0.5mm程度である。
【0025】
カバーシート30は、収納凹部21の開口部211を覆うように配置されている。カバーシート30は、本体部20の少なくとも一部に剥離可能に接合されている。
【0026】
カバーシート30は、帯状形状を有する。長手方向において、カバーシート30は、蓋部40よりも長い。好ましくは、カバーシート30の長さは、本体部20の長さの2倍以上である。
【0027】
カバーシート30を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリルおよび塩化ビニル等が挙げられる。また、カバーシート30に金属コートを施してもよい。カバーシート30の総厚は、例えば、50μm程度である。
【0028】
カバーシート30は、複数層から構成されていることが好ましい。カバーシート30は、例えば、基材層および接着層を備え、接着層が本体部20に剥離可能に接合されている。カバーシート30は、基材層と接着層との間に中間層などを備えてもよい。複数層から構成されているカバーシート30としては、例えば、帯電防止性能を有する市販のカバーテープを用いることができる。
【0029】
蓋部40は、本体部20との間にカバーシート30の一部を挟み込むように配置されている。蓋部40は、本体部20に対して長手方向にスライド可能に嵌合されている。
【0030】
長手方向において、蓋部40は、本体部20よりも長い。好ましくは、蓋部40の長さは、カバーシート30の長さの半分以下である。
【0031】
図2および
図3に示すように、電子部品収納容器10の収納凹部21には、複数の電子部品1が収納されている。
【0032】
後述するように、電子部品連100は、蓋部40を本体部20に対して長手方向にスライド移動させることにより、収納凹部21に収納された電子部品1を取り出し可能に構成されている。
【0033】
電子部品1は、例えば、積層セラミックコンデンサである。電子部品1のサイズは限定されず、例えば、1005サイズ、0603サイズ、0402サイズ等が挙げられる。一例として、1005サイズの場合、長手方向の寸法(L寸法)は1.0mmであり、幅方向の寸法(W寸法)は0.5mmである。厚さ方向の寸法(T寸法)はJIS規格にて定められていないが、例えば0.5mmである。ここで、L寸法、W寸法およびT寸法はいずれも設計目標値であって、必ずしも正確に1.0mm、0.5mmおよび0.5mmとなるわけではない。つまり、L寸法、W寸法およびT寸法はいずれも公差を持っている。
【0034】
本実施形態では、
図2に示すように、両端の収納凹部21Aおよび21Gを除く5つの収納凹部21B、21C、21D、21Eおよび21Fに、正規製品である電子部品1が収納されている。一方、本体部20の第1の端部20aに配置されている収納凹部21Aには、検品用に少量の電子部品1が収納されている。また、本体部20の第2の端部20bに配置されている収納凹部21Gには、電子部品1が収納されていない。ただし、収納凹部21Gには、正規製品である電子部品1が収納されていてもよい。また、収納凹部21Aを検品用に使用しない場合には、収納凹部21Aに電子部品1が収納されていなくてもよい。
【0035】
以下の説明においては、特に断りのない限り、「収納凹部21」は、正規製品である電子部品1が収納されている収納凹部(
図2では、収納凹部21B、21C、21D、21Eおよび21F)を意味するものとする。
【0036】
本実施形態では、
図3に示すように、本体部20が、開口部211の周囲に、収納凹部21の深さ方向(
図3では下方向)と反対側の方向(
図3では上側)に向けて隆起する隆起部23を有し、カバーシート30が、隆起部23の形状に沿うように接触し、かつ、隆起部23に剥離可能に接合されている。
【0037】
本体部20の開口部211の周囲に隆起部23を設け、カバーシート30を隆起部23の形状に沿うように接触させることにより、カバーシート30を開口部211の周囲に均一に接着させることができる。その結果、本体部20に対するカバーシート30の接着強度を開口部211の周囲で均一にすることができる。
【0038】
図4は、
図3においてIVで示す部分を拡大した断面図である。
図4に示すように、隆起部23は、カバーシート30にめり込んでいることが好ましい。この場合、隆起部23がめり込んでいる部分のカバーシート30の厚さT
1は、本体部20と接合されていない部分のカバーシート30の厚さT
2よりも小さいことが好ましい。
【0039】
一方、カバーシート30は、
図4に示すように、隆起部23の周囲に、収納凹部21の深さ方向に向けて突出する領域R
30を有することが好ましい。この場合、カバーシート30が隆起部23に接合する面積が増えるため、本体部20に対するカバーシート30の接着強度を高くすることができる。
【0040】
図5は、
図3に示す電子部品連の一部を高さ方向から見た平面図である。なお、
図5は、本体部の隆起部とカバーシートとの接合面よりも本体部側の部分を高さ方向から見た平面図である。
図5に示すように、隆起部23の内周および外周の全体に、収納凹部21の深さ方向に向けて突出する領域R
30を有することが好ましい。
【0041】
また、カバーシート30は、収納凹部21の深さ方向において、カバーシート30と接合されていない部分の本体部20と0.5mm以上離れていることが好ましい。すなわち、収納凹部21の深さ方向における、カバーシート30と接合されていない部分の本体部20とカバーシート30との間の距離(
図4中、Xで示す長さ)が0.5mm以上であることが好ましい。この場合、本体部20からカバーシート30を安定して剥離することができる。
【0042】
収納凹部21の深さ方向における、カバーシート30と接合されていない部分の本体部20とカバーシート30との間の距離Xは、2mm以下であることが好ましい。
【0043】
隆起部23の曲率半径は、1.05mm以上1.50mm以下であることが好ましい。隆起部の曲率半径を上記の範囲とすることにより、カバーシート30を隆起部23に均一に接着させやすくすることができる。また、0603サイズ以下の極小の電子部品1が接着部へ挟み込まれる状態が軽減され、カバーシート30の開封時に電子部品1が飛び出してしまう不具合を防止することができる。
【0044】
隆起部23の曲率半径は、以下の方法により測定される。まず、レーザーを利用した表面高さ測定器を用いて、本体部20の表面のスキャニングを行い、高さ方向のマッピング情報を取得する。1つの収納凹部21につき、開口部211の中心を通る断面における2箇所の隆起部23の曲率半径を測定する。正規製品である電子部品1が収納されている全ての収納凹部21について、2箇所ずつ隆起部23の曲率半径を測定し、これらの平均値を隆起部23の曲率半径とする。なお、開口部211の中心を通る断面としては、開口部211が隣り合っている
図1のII-II線に沿った断面を除いた断面であれば、いずれの断面でもよい。例えば、
図1のIII-III線に沿った断面などが挙げられる。また、収納凹部21ごとに、開口部211の中心を通る断面の位置が異なっていてもよい。
【0045】
(本体部)
本実施形態では、
図3に示すように、本体部20は、収納凹部21、ストリップ部22および隆起部23を備える。
【0046】
複数の収納凹部21は、長手方向に沿って配置される限り、一列に並んで配置されていてもよいし、二列に並んで配置されていてもよいし、三列以上に並んで配置されていてもよい。また、複数の収納凹部21は、行列状に配置されていてもよいし、千鳥状に配置されていてもよいし、ランダムに配置されていてもよい。
【0047】
複数の収納凹部21のうち、長手方向における本体部20の第1の端部20aに配置されている収納凹部21Aは、開口部の面積および深さ寸法の少なくとも一方が他の収納凹部に比べて小さい方向識別用収納凹部であることが好ましい。
長手方向における本体部の一方の端部にのみサイズの異なる収納凹部を設けることにより、外観上、方向性を識別可能な状態にすることができる。これにより、後述する固定装置などの設備へ取り付ける方向またはカバーシートを剥離する方向などを誤るリスクを低減することができる。
【0048】
複数の収納凹部21のうち、長手方向における本体部20の第1の端部20aに配置されている収納凹部21Aは、収納されている電子部品の数が他の収納凹部に比べて少ない検品用収納凹部であることが好ましい。
この場合、正規製品が収納されている収納凹部の密閉状態を維持した状態で、検品用の電子部品のみを個別に取り出すことにより、使用前の検査が可能となる。使用前の検査としては、例えば、電気的特性などの品質検査、製品ラベル記載情報と包装製品の現品相違に関する検査などが挙げられる。
【0049】
なお、収納凹部21Aは、方向識別用収納凹部と検品用収納凹部を兼ねていてもよい。
【0050】
本実施形態では、収納凹部21は、底部212および周壁部213を備え、底部212と対向する位置に開口部211が形成されている。底部212は、ストリップ部22と略平行となるように設けられている。周壁部213は、底部212の周縁から立設されている。ストリップ部22に接続される周壁部213の端部側に開口部211が設けられている。
【0051】
高さ方向から平面視した場合、収納凹部21の開口部211は、後述する蓋部40の相対的なスライド方向と直交する方向に延在する辺部を含まない形状を有することが好ましい。例えば、開口部211は、平面視した場合、略円形状または楕円形状を有することが好ましい。また、開口部211は、平面視した場合、長手方向に一対の頂点が配置され、幅方向に他の一対の頂点が配置される菱形形状などの多角形状を有していてもよい。
【0052】
開口部211がこのような形状を有することにより、蓋部40を本体部20に対してスライド移動させた場合に、カバーシート30と開口部211の周囲に位置する部分の本体部20との接合面積が剥離方向に沿って緩やかに変化する。これにより、カバーシート30が剥離される際に、カバーシート30の接合部33(
図3参照)に瞬間的に大きな力が作用してカバーシート30が破けたり、カバーシート30が剥離不能となったりすることを防止することができる。
【0053】
収納凹部21は、樹脂によって構成されている。収納凹部21の内表面の表面抵抗率は、例えば、0Ω/□以上、1×109Ω/□以下であることが好ましい。これにより、収納凹部21の内表面に、静電気によって電子部品1が付着することを抑制することができる。
【0054】
ストリップ部22は、後述する蓋部40のガイド部42に嵌合可能に構成されている。本体部20のストリップ部22が蓋部40のガイド部42に嵌合されることにより、本体部20が高さ方向に対して蓋部40に保持される。
【0055】
ストリップ部22は、おもて面22aおよびうら面22bを有する。ストリップ部22は、収納凹部21の開口面214に略平行となるように設けられている。
【0056】
図3に示すように、開口部211の開口端に隆起部23が設けられていることが好ましい。隆起部23は、収納凹部21の周囲に位置する部分の本体部20に設けられていてもよい。隆起部23は、収納凹部21の深さ方向(
図3では下方向)とは反対側の方向(
図3では上方向)に向けて隆起する。
【0057】
隆起部23は、開口部211を取り囲むように設けられている。隆起部23は、高さ方向から平面視した場合に、開口部211を規定する周縁部とほぼ同様の形状を有する。開口部211と隣接する収納凹部21の開口縁部は、湾曲部を有することが好ましい。隆起部23は、開口部211側において、収納凹部21の底部212に向かうにつれて収納凹部21の深さ方向に沿うように湾曲する湾曲部を有することが好ましい。
【0058】
隆起部23の高さは、例えば、0.5mm以上1.2mm以下である。隆起部23を上記の高さとすることにより、蓋部40とストリップ部22との間に電子部品1等が挟み込まれることを抑制することができる。また、隆起部23の幅は、例えば、1mm以上2mm以下程度である。隆起部23を上記の幅とすることにより、カバーシート30を隆起部23から剥離する際に必要な力を小さくすることができる。これにより、蓋部40および本体部20が変形することを抑制することができ、隆起部23からカバーシート30を安定して剥離することができる。
【0059】
図6Aおよび
図6Bは、
図1に示す電子部品連を構成する電子部品収納容器の本体部を模式的に示す斜視図である。
本体部20の長手方向の寸法(
図6A中、L
2で示す長さ)は、例えば、168mm±1mmである。本体部20の幅方向の寸法(
図6A中、W
2で示す長さ)は、例えば、32mm±0.3mmである。
【0060】
収納凹部21Aを除く収納凹部21の外径(
図6B中、D
1で示す長さ)は、例えば、19mm±0.2mmである。収納凹部21Aを除く収納凹部21の深さ寸法(
図6B中、d
1で示す長さ)は、例えば、12.5mm±0.5mmである。
【0061】
収納凹部21Aの外径(
図6B中、D
2で示す長さ)は、例えば、15mm±0.2mmである。収納凹部21Aの深さ寸法(
図6B中、d
2で示す長さ)は、例えば、5.5mm±0.5mmである。収納凹部21Aは、他の収納凹部21と比べて、外径が80%以下、深さ寸法が50%以下、容積が30%以下であることが好ましい。
【0062】
収納凹部21Aを含む収納凹部21のピッチ(
図6B中、P
1で示す長さ)は、例えば、24.0mm±0.1mmである。
なお、収納凹部のピッチとは、隣り合う収納凹部の中心点間の距離を意味する。
【0063】
(カバーシート)
本実施形態では、
図1、
図2および
図3に示すように、カバーシート30は、蓋部40に巻回されて保持されている。具体的には、カバーシート30は、幅方向を巻回軸とする軸回りに蓋部40に巻回されていることが好ましい。これにより、カバーシート30は、蓋部40のおもて面40a側に位置する部分31と、蓋部40のうら面40b側に位置する部分32とを含む(
図3参照)。
【0064】
図1に示すように、カバーシート30の第1の端部30aと第2の端部30bとは、例えば、接着テープ35によって接続されている。具体的には、カバーシート30の第1の端部30a側と第2の端部30b側とは重ねられた状態で接続されている。
【0065】
カバーシート30は、後述するように、複数の隆起部23の各々に接合された後に、蓋部40に巻回される。その後、カバーシート30の両端部が接続される。カバーシート30の両端部が接続される限り、その接続方法は、上記のような接着テープによる接続に限定されない。
【0066】
カバーシート30は、後述するように、蓋部40の相対的なスライド移動に連動して蓋部40の周りを周回するように蓋部40に巻回されている。カバーシート30は、蓋部40がスライド方向(
図9中のAR1方向)に沿って相対的にスライド移動した場合に、
図9中のDR4方向に示すように、蓋部40の周りを回転する。
【0067】
上述したように、カバーシート30は、本体部20の少なくとも一部に剥離可能に接合されている。カバーシート30は、複数の開口部211のそれぞれの周囲に位置する部分の本体部20の少なくとも一部に接合された接合部33を有する(
図3参照)。
【0068】
カバーシート30の接着強度は、0.4N/mm2以上、1.0N/mm2以下であることが好ましく、0.4N/mm2以上、0.6N/mm2以下であることがより好ましい。カバーシート30の接着強度が上記の範囲にあると、カバーシート30と本体部20との接着性を維持することができる。
なお、カバーシートの接着強度は、例えば、JIS C0806-3(P21)で定義する、テーピング包装部品のカバーテープの剥離強度試験に準じた測定方法により測定される。
【0069】
カバーシート30は、例えば、熱溶着性の材料によって構成されている。この場合、カバーシート30は、本体部20、より特定的には複数の隆起部23の各々に熱溶着によって接合されている。収納凹部21から電子部品1を取り出す際に、カバーシート30の剥離後の部分に電子部品1が付着することを抑制するために、接合部33におけるカバーシート30および隆起部23の粘着性は小さい方が好ましい。
【0070】
なお、カバーシート30は、接着剤によって本体部20、より特定的には隆起部23に接合されてもよい。カバーシート30は、透明であることが好ましいが、透明でなくてもよい。
【0071】
カバーシート30の表面抵抗率は、1×1011Ω/□以下であることが好ましい。これにより、カバーシート30の表面に、静電気によって電子部品1が付着することを抑制できる。
【0072】
(蓋部)
本実施形態では、
図1、
図2および
図3に示すように、蓋部40は、本体部20、より特定的には隆起部23との間にカバーシート30の一部を挟み込むように配置されている。蓋部40における本体部20と対向する面は、カバーシート30と固定も接合もされていないことが好ましい。
【0073】
本実施形態では、蓋部40は、板状部41と、ガイド部42とを含み、本体部20に対して長手方向にスライド可能に嵌合されている。板状部41は、長手方向に沿って延在する。板状部41は、ストリップ部22と略平行となるように設けられている。板状部41にカバーシート30が巻回されている。
【0074】
ガイド部42は、幅方向における板状部41の両端に設けられている。
ガイド部42は、本体部20から蓋部40が脱落することを防止しつつ、本体部20に対する蓋部40のスライド移動を案内する。具体的には、ガイド部42は、ストリップ部22のおもて面22aに対向する部分とストリップ部22のうら面22bに対向する部分との間にストリップ部22が位置するように、ストリップ部22の端部に隙間を隔てて配置されている。
【0075】
なお、ガイド部42の形状は、蓋部40が本体部20に対して相対的にスライド移動可能となる限り適宜変更することができる。
【0076】
蓋部40は、例えば、真空成形、射出成形などの成形加工により形成される。蓋部40を構成する材料としては、樹脂等が挙げられる。蓋部40は、透明であってもよいし、透明でなくてもよい。蓋部40およびカバーシート30を透明にした場合には、収納凹部21内に複数の電子部品1が収納されていることを目視等にて確認することができる。
【0077】
長手方向において、蓋部40は、本体部20よりも長いことが好ましい。長手方向において、蓋部40の長さは、カバーシート30の長さの半分以下であることが好ましい。
【0078】
電子部品収納容器10の長手方向の寸法(
図1および
図2中、L
1で示す長さ)は、例えば、169mm±1mmである。電子部品収納容器10の幅方向の寸法(
図1および
図3中、W
1で示す長さ)は、例えば、35.8mm±1mmである。電子部品収納容器10の高さ方向の寸法(
図1および
図3中、H
1で示す長さ)は、例えば、13.7mmである。
【0079】
電子部品収納容器10において、本体部20と蓋部40との嵌合部の高さ(
図3中、H
2で示す長さ)は、例えば、2mm±0.2mmである。
【0080】
[電子部品連の製造方法]
本発明の電子部品連の製造方法の一例として、
図1に示す電子部品連100の製造方法について説明する。
【0081】
まず、本体部20の所定の収納凹部21に必要な数の電子部品1を収納する。
【0082】
次に、それぞれの収納凹部21の開口部211を覆うように、本体部20にカバーシート30を剥離可能に接合させる。例えば、カバーシート30で収納凹部21を覆った後に、隆起部23にカバーシート30を熱溶着して接合する。カバーシート30で収納凹部21を覆う際には、長手方向の両端からカバーシート30がはみ出すように、カバーシート30を長手方向に沿って本体部20上に配置する。
【0083】
図7Aおよび
図7Bは、本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図8Aおよび
図8Bは、本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程の一例を模式的に示す平面図である。
図8Aおよび
図8Bでは、本体部20および支持部材50を断面図で示している。
【0084】
まず、
図7Aおよび
図8Aに示すように、本体部20の収納凹部21の周囲を、収納凹部21を有する方向から、コテ受けなどの支持部材50によって支持する。この際、対象の収納凹部21が所定の位置にセットされるように、長手方向に沿って本体部20を移動させることが好ましい。上述のように、本体部20は、開口部211の周囲に隆起部23を有する。
【0085】
支持部材50は、例えば、全体がカップ状であり、かつ、本体部20との接触面となる上面の平面形状がリング状である形状を有する。支持部材50の開口部は、収納凹部21の開口部211よりも大きいことが好ましい。
【0086】
支持部材50は、
図7Aおよび
図8Aに示すように、弾性部51を有することが好ましい。弾性部51を構成する材料としては、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどのゴム材料などが挙げられる。弾性部51以外の支持部材50を構成する材料としては、好ましくはヤング率(E/GPa)が60以上220以下の材料であり、例えば、ステンレス(SUS)、アルミニウム、鋼材などが挙げられる。
【0087】
支持部材50が弾性部51を有する場合、
図7Aおよび
図8Aに示すように、支持部材50の弾性部51を本体部20に接触させることが好ましい。
【0088】
その後、
図7Bおよび
図8Bに示すように、支持部材50によって本体部20が支持された状態で、隆起部23に、コテなどの押圧治具60を用いて、収納凹部21の深さ方向に向かって、カバーシート30を押圧する。これにより、隆起部23にカバーシート30を熱溶着することができる。
【0089】
押圧治具60は、
図7Bおよび
図8Bに示すように、接着面側から見た平面視において、リング状の接触部61を有することが好ましい。接触部61の幅は、隆起部23の幅よりも大きいことが好ましい。
【0090】
本体部20の開口部211の周囲には隆起部23が設けられているため、カバーシート30が本体部20に接着される面積が物理的に規制される。そのため、成形のばらつきにより本体部20の高さにばらつきが生じている、接着面に対して押圧治具60が傾いている、あるいは、支持部材50の定位置に対して本体部20がずれて支持されている、といった場合においても、本体部20に対するカバーシート30の接着強度を開口部211の周囲で均一にすることができる。
【0091】
さらに、支持部材50が弾性部51を有する場合には、押圧治具60が下降する際の圧力分布を均一化することができる。そのため、成形のばらつきにより本体部20の高さにばらつきが生じている、あるいは、接着面に対して押圧治具60が傾いている、といった場合の影響を小さくすることができる。
【0092】
1つの収納凹部21に対してカバーシート30を接合させた後には、支持部材50が下降し、次の収納凹部21がセットされるように、長手方向に沿って本体部20を移動させる。これらを繰り返し、全ての収納凹部21に対してカバーシート30を接合させる。
【0093】
次に、所定の長さとなるようにカバーシート30を切断する。所定の長さとは、例えば、カバーシート30で蓋部40を巻回可能な長さである。
【0094】
続いて、本体部20上に位置するカバーシート30を本体部20とで挟み込むように蓋部40を配置する。
【0095】
その後、上述したように、本体部20の両端からはみ出す部分のカバーシート30を蓋部40に巻き付け、カバーシート30の両端部同士を接合する。
【0096】
以上により、複数の収納凹部21内に複数の電子部品1が密封された電子部品連100が製造される。
【0097】
[電子部品連の使用方法]
図9は、
図1に示す電子部品連の蓋部を本体部に対して相対的にスライド移動させる様子を模式的に示す斜視図である。
図10は、
図1に示す電子部品連から電子部品を取り出す様子を模式的に示す断面図である。なお、
図9においては、便宜上、収納凹部21の開口部211が上方に向くように電子部品連100が配置された状態を示しているが、電子部品1を取り出す際には、
図10に示すように、収納凹部21の開口部211が下方に向くように電子部品連100が配置された状態で、蓋部40を本体部20に対して相対的にスライド移動させることが好ましい。
図9および
図10を参照して、本実施形態に係る電子部品連100から電子部品1を取り出す様子を説明する。
【0098】
図9および
図10に示すように、収納凹部21に収納された複数の電子部品1を取り出すためには、蓋部40を本体部20に対して相対的にスライド方向(AR1方向)に沿ってスライド移動させる。具体的には、固定装置(不図示)によって蓋部40を固定して、本体部20をAR1方向と反対方向(AR2方向)にスライド移動させる。本体部20は、搬送装置(不図示)によって所定量移動させられる。搬送装置は、本体部20を載置して移動させるようなコンベヤ式でもよく、本体部20を把持して移動させるような構成でもよい。このとき、方向識別用収納凹部として上述した収納凹部21Aが設けられていると、外観で方向性を識別することができるため、固定装置などの設備に取り付ける方向を誤るリスクが低減される。その結果、カバーシート30を剥離する方向を誤るリスクも低減される。
【0099】
蓋部40が相対的にスライド方向(AR1方向)に沿って移動する場合には、まず、蓋部40の相対的なスライド方向の後方側に位置する接合部33に剥離力が作用する。さらに、蓋部40が相対的にスライド移動していくことにより、蓋部40の相対的なスライド方向に沿ってカバーシート30が徐々に剥離されていく。
【0100】
この際、カバーシート30は、蓋部40の相対的なスライド移動に連動して、DR4方向に示すように、蓋部40の周りを回転する。具体的には、蓋部40の相対的なスライド方向の後方側において、蓋部40のうら面40b側に位置する部分32が蓋部40のおもて面40a側に移動し、蓋部40の相対的なスライド方向の前方側において、蓋部40のおもて面40a側に位置する部分31が蓋部40のうら面40b側に移動するように、上記巻回軸回りに回転する。
【0101】
1つの収納凹部21に着目した場合には、蓋部40の相対的なスライド方向における一端側から他端側にかけて開口部211の周囲(隆起部23)からカバーシート30が剥離されることにより、収納凹部21が開封される。収納凹部21が開封されることにより、複数の電子部品1が、開口部211から下方に向けて落下して、被供給部に供給される。
【0102】
この際、収納凹部21の内周面は、溝部等を有さず、平滑に形成されていることが好ましい。これにより、複数の電子部品1が収納凹部21の内周面に引っ掛かることを抑制でき、複数の電子部品1を電子部品収納容器10から円滑に取り出すことができる。
【0103】
蓋部40は、本体部20の第2の端部20b側から第1の端部20a側に向けて相対的にAR1方向にスライド移動することにより、本体部20の第2の端部20b側から第1の端部20a側に向けて隆起部23からカバーシート30が剥離されていき、収納凹部21が順に開封されていく。これにより、複数の電子部品1が、開封された収納凹部21から順に取り出されていく。なお、蓋部40の相対的なスライド移動は、連続的に行われてもよいし、断続的に行なわれてもよい。
【0104】
以上のように、本実施形態に係る電子部品連100においては、電子部品収納容器10から複数の電子部品1を円滑に取り出すことができる。
【0105】
本実施形態においては、蓋部40における本体部20と対向する面が、カバーシート30と接合されていない構成にすることにより、蓋部40を本体部20に対して相対的にスライド移動させた場合に、蓋部40をスムーズに移動させることができる。さらに、蓋部40に対してもカバーシート30が移動可能となり、本体部20からのカバーシート30の剥離を容易に行なうことができる。
【0106】
また、カバーシート30を蓋部40によって保持し、蓋部40を本体部20に対して相対的にスライド移動可能に構成することにより、上記固定装置および上記搬送装置を用いて収納凹部21の開封を自動的に行うことができる。これにより、複数の電子部品1を被供給部に自動的に供給することが可能となる。
【0107】
さらに、カバーシート30を蓋部40によって保持し、収納凹部21の開口面に平行な方向に沿って、蓋部40を本体部20に対して相対的にスライド移動可能に構成することにより、カバーシート30の剥離時に、蓋部40および本体部20が変形することを抑制することができる。
【0108】
[その他の実施形態]
本発明の電子部品収納容器および電子部品連は、上記実施形態に限定されるものではなく、電子部品収納容器の構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0109】
例えば、電子部品収納容器10の上面および下面に識別ラベルがそれぞれ貼付されていてもよい。
【0110】
具体的には、電子部品収納容器10の蓋部40に第1の識別ラベルが貼付されており、電子部品収納容器10の本体部20に第2の識別ラベルが貼付されていてもよい。第1の識別ラベルは、カバーシート30と蓋部40の間に貼付られていてもよいし、カバーシート30の上面に貼付られていてもよい。
【0111】
第1の識別ラベルは、例えば、第2の識別ラベルに記載されている2次元コード情報と同一のバーコード情報を含む。第1の識別ラベルは、バーコード情報として、例えば、製品識別コード、部品識別コード、数量コード、トレーサビリティコード等を含む。第1の識別ラベルは、さらに、文字で記載された可読情報を含んでもよい。
詳細については、IEC 62090:2017(Product package labels for electronic components using bar code and two-dimensional symbologies)を参照されたい。
【0112】
第2の識別ラベルは、例えば、正規製品である電子部品1が収納される収納凹部21のうち、本体部20の第2の端部20bに最も近い位置に配置されている収納凹部21の裏面に貼付されている。
【0113】
第2の識別ラベルは、例えば、第1の識別ラベルのバーコード情報と同一の2次元コードのみを含む。
【0114】
上述した実施形態においては、蓋部40を固定して本体部20をスライド移動させる場合を説明したが、本体部20を固定して蓋部40をスライド移動させてもよい。なお、蓋部40を固定して本体部20をスライド移動させる場合には、被供給部の設置位置を移動させることなく安定して被供給部に複数の電子部品1を供給することができる。
【0115】
上述した実施形態においては、ガイド部42が蓋部40に設けられている場合を説明したが、ガイド部が本体部20に設けられていてもよい。この場合、蓋部40は平板状に構成され、本体部20におけるストリップ部22の幅方向の両端側にガイド部が形成される。当該ガイド部は、蓋部40の端面を跨いで蓋部40のうら面40bから蓋部40のおもて面40aに折り曲げられるように構成される。
【0116】
本発明の電子部品収納容器の製造方法および電子部品連の製造方法では、本体部において、開口部の周囲に隆起部が設けられていなくてもよい。この場合、本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程において、弾性部を有する支持部材によって、本体部の収納凹部の周囲を支持すればよい。
【0117】
図11Aおよび
図11Bは、本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図12Aおよび
図12Bは、本体部にカバーシートを剥離可能に接合させる工程の別の一例を模式的に示す平面図である。
図12Aおよび
図12Bでは、本体部20´および支持部材50を断面図で示している。
【0118】
まず、
図11Aおよび
図12Aに示すように、本体部20´の収納凹部21の周囲を、収納凹部21を有する方向から、弾性部51を有する支持部材50によって支持する。本体部20´は、本体部20と異なり、開口部211の周囲に隆起部23を有していない。
【0119】
図11Aおよび
図12Aに示すように、支持部材50の弾性部51を本体部20´に接触させることが好ましい。
【0120】
その後、
図11Bおよび
図12Bに示すように、支持部材50によって本体部20´が支持された状態で、開口部211の周囲に、押圧治具60を用いて、収納凹部21の深さ方向に向かって、カバーシート30を押圧する。これにより、開口部211の周囲にカバーシート30を熱溶着することができる。
【0121】
開口部211の周囲に隆起部23が設けられていない場合であっても、支持部材50が弾性部51を有することで、押圧治具60が下降する際の圧力分布を均一化することができる。そのため、成形のばらつきにより本体部20の高さにばらつきが生じている、あるいは、接着面に対して押圧治具60が傾いている、といった場合の影響を小さくすることができる。
【0122】
その他の工程については、開口部の周囲に隆起部が設けられている場合と同様である。
【0123】
開口部の周囲に隆起部が設けられていない場合、開口部を規定する収納凹部の内周面は、開口縁部において、収納凹部の底部に向かうにつれて収納凹部の深さ方向に沿うように湾曲する湾曲部を有することが好ましい。
【符号の説明】
【0124】
1 電子部品
10 電子部品収納容器
20,20´ 本体部
20a 本体部の第1の端部
20b 本体部の第2の端部
21,21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G 収納凹部
211 開口部
212 底部
213 周壁部
214 開口面
22 ストリップ部
22a ストリップ部のおもて面
22b ストリップ部のうら面
23 隆起部
30 カバーシート
30a カバーシートの第1の端部
30b カバーシートの第2の端部
31 蓋部のおもて面側に位置するカバーシート
32 蓋部のうら面側に位置するカバーシート
33 カバーシートの接合部
35 接着テープ
40 蓋部
40a 蓋部のおもて面
40b 蓋部のうら面
41 板状部
42 ガイド部
50 支持部材
51 弾性部
60 押圧治具
61 接触部
100 電子部品連
L1 電子部品収納容器の長手方向の寸法
L2 本体部の長手方向の寸法
W1 電子部品収納容器の幅方向の寸法
W2 本体部の幅方向の寸法
H1 電子部品収納容器の高さ方向の寸法
H2 本体部と蓋部との嵌合部の高さ
P1 収納凹部のピッチ
D1 収納凹部21Aを除く収納凹部21の外径
D2 収納凹部21Aの外径
d1 収納凹部21Aを除く収納凹部21の深さ寸法
d2 収納凹部21Aの深さ寸法
R30 収納凹部の深さ方向に向けて突出する領域
T1 隆起部がめり込んでいる部分のカバーシートの厚さ
T2 本体部と接合されていない部分のカバーシートの厚さ
X カバーシートと接合されていない部分の本体部とカバーシートとの間の距離