(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】太陽光発電システム及び太陽光発電システムの保護方法
(51)【国際特許分類】
H02H 7/12 20060101AFI20231114BHJP
H02H 7/122 20060101ALI20231114BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20231114BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231114BHJP
【FI】
H02H7/12 E
H02H7/122
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02M7/48 M
H02M7/48 R
(21)【出願番号】P 2021569192
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2020040429
(87)【国際公開番号】W WO2022091250
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺島 大貴
(72)【発明者】
【氏名】多和田 義大
(72)【発明者】
【氏名】勝倉 朋也
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-234802(JP,A)
【文献】特開平11-332257(JP,A)
【文献】特開2005-192324(JP,A)
【文献】特開2014-007909(JP,A)
【文献】特開2007-089241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/12
H02H 7/122
H02J 3/38
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の系統の太陽電池パネルが並列接続されて構成される直流電源と、
前記直流電源の直流電力を交流電力に変換する電力変換器と、
前記直流電源と前記電力変換器との間の電路に直列に挿入され、前記電路を開放可能な遮断器と、
前記直流電源を構成する前記複数の系統の太陽電池パネルのそれぞれと前記遮断器との間の電路にそれぞれ直列に挿入され、前記複数の系統の太陽電池パネルのうち、自身の太陽電池パネルとは別の系統の太陽電池パネルから電流が流入したときに完全溶断されるPVヒューズと、
前記電力変換器内の回路に接続された直流コンデンサと、
前記遮断器が投入されてから所定時間が経過したことを計時するタイマと、
前記電力変換器内を流れる電流を検出する電流検出器と、
前記タイマが、前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流の減少を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与える保護判定器と、
前記電力変換器内で過電流又は過電圧が保護検出されたときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与えるインバータ制御回路と、
を備え、
前記タイマは、前記インバータ制御回路による開放動作指示に基づいて前記遮断器が開放された後に前記遮断器が再投入されたときは、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時し、
前記保護判定器は、前記タイマが、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流の減少を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与える
ことを特徴とする
太陽光発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の
太陽光発電システムにおいて、
前記直流コンデンサの電圧を検出する電圧検出器と、
をさらに備え、
前記保護判定器は、前記タイマが、前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出器が前記電圧を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与え、
前記保護判定器は、前記タイマが、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出器が前記電圧を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与える
ことを特徴とする
太陽光発電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の
太陽光発電システムにおいて、
前記保護判定器は、前記タイマが、前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流の減少を検出しないか、又は、前記電流検出器が前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出器が前記電圧を検出しないかの少なくともいずれか一方のときに、前記遮断器に対して開放動作指示を与えるとともに、前記タイマが、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流の減少を検出しないか、又は、前記電流検出器が前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出器が前記電圧を検出しないかの少なくともいずれか一方のときに、前記遮断器に対して開放動作指示を与える
ことを特徴とする
太陽光発電システム。
【請求項4】
複数の系統の太陽電池パネルが並列接続されて構成される直流電源と、
前記直流電源の直流電力を交流電力に変換する電力変換器と、
前記直流電源と前記電力変換器との間の電路に直列に挿入され、前記電路を開放可能な遮断器と、
前記直流電源を構成する前記複数の系統の太陽電池パネルのそれぞれと前記遮断器との間の電路にそれぞれ直列に挿入され、前記複数の系統の太陽電池パネルのうち、自身の太陽電池パネルとは別の系統の太陽電池パネルから電流が流入したときに完全溶断されるPVヒューズと、
前記電力変換器内の回路に接続された直流コンデンサと、
を備える
太陽光発電システムにおいて、
前記遮断器が投入されてから所定時間が経過したことを計時する計時ステップと、
前記電力変換器内を流れる電流を検出する電流検出ステップと、
前記計時ステップにおいて前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流の減少を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与える保護判定ステップと、
前記電力変換器内で過電流又は過電圧が保護検出されたときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与えるインバータ制御ステップと、
を備え、
前記計時ステップでは、前記インバータ制御ステップによる開放動作指示に基づいて前記遮断器が開放された後に前記遮断器が再投入されたときは、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時し、
前記保護判定ステップでは、前記計時ステップにおいて前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流の減少を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与える
ことを特徴とする
太陽光発電システムの保護方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の
太陽光発電システムの保護方法において、
前記直流コンデンサの電圧を検出する電圧検出ステップと、
をさらに備え、
前記保護判定ステップでは、前記計時ステップにおいて前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出ステップにおいて前記電圧を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与え、
前記保護判定ステップでは、前記計時ステップにおいて、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出ステップにおいて前記電圧を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与える
ことを特徴とする
太陽光発電システムの保護方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の
太陽光発電システムの保護方法において、
前記保護判定ステップでは、前記計時ステップにおいて前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流の減少を検出しないか、又は、前記電流検出ステップにおいて前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出ステップにおいて前記電圧を検出しないかの少なくともいずれか一方のときに、前記遮断器に対して開放動作指示を与えるとともに、前記計時ステップにおいて、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流の減少を検出しないか、又は、前記電流検出ステップにおいて前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出ステップにおいて前記電圧を検出しないかの少なくともいずれか一方のときに、前記遮断器に対して開放動作指示を与える
ことを特徴とする
太陽光発電システムの保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、太陽光発電システム及び太陽光発電システムの保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムの電力変換器(パワーコンディショナー)におけるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)ユニットでは、直流側からの過電流に対する保護技術が用いられている(例えば、特許文献1参照)。当該保護技術は、例えば、PV(Photovoltaics:太陽光発電)ヒューズのみを用いる構成が一般的である。このような太陽光発電システムは、例えば、太陽電池と電力変換器との間の電流検出値が所定の設定値を超えた完全地絡状態のとき溶断するヒューズ(PVヒューズ)と、電流検出値が所定の設定値を超えたときに開放される遮断器(直流スイッチ)とを備えている。
【0003】
電力変換器におけるIGBTユニットの直流電流保護をPVヒューズのみで行う装置構成の場合、電力変換器に素子短絡故障が発生した際、まずは、保護検出回路により、電力変換器の過電圧・過電流等が保護検出される。そして、電力変換器の過電圧・過電流等が保護検出された場合、保護検出回路は、電力変換器を停止させて直流スイッチを開くことで電力変換器におけるIGBTユニットの保護が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、IGBTユニットの直流電流保護を行うPVヒューズが完全溶断されなかったときは、電力変換器が再起動されて直流スイッチが再投入されると、太陽光パネルから素子短絡しているIGBTユニットに短絡電流が流れ続けてしまう。この場合、電力変換器の装置焼損などの2次損害が拡大する恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、素子短絡故障が発生している電力変換器が再起動されたときに、従来よりも早く異常を検出し、電力変換器の破損や焼損などの2次損害の拡大を従来よりも低減させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の太陽光発電システムは、複数の系統の太陽電池パネルが並列接続されて構成される直流電源と、前記直流電源の直流電力を交流電力に変換する電力変換器と、前記直流電源と前記電力変換器との間の電路に直列に挿入され、前記電路を開放可能な遮断器と、前記直流電源を構成する前記複数の系統の太陽電池パネルのそれぞれと前記遮断器との間の電路にそれぞれ直列に挿入され、前記複数の系統の太陽電池パネルのうち、自身の太陽電池パネルとは別の系統の太陽電池パネルから電流が流入したときに完全溶断されるPVヒューズと、前記電力変換器内の回路に接続された直流コンデンサと、前記遮断器が投入されてから所定時間が経過したことを計時するタイマと、前記電力変換器内を流れる電流を検出する電流検出器と、前記タイマが、前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流の減少を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与える保護判定器と、前記電力変換器内で過電流又は過電圧が保護検出されたときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与えるインバータ制御回路と、を備え、前記タイマは、前記インバータ制御回路による開放動作指示に基づいて前記遮断器が開放された後に前記遮断器が再投入されたときは、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時し、前記保護判定器は、前記タイマが、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流の減少を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与えることを特徴とする。
【0008】
なお、一態様の太陽光発電システムにおいて、前記直流コンデンサの電圧を検出する電圧検出器と、をさらに備え、前記保護判定器は、前記タイマが、前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出器が前記電圧を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与え、前記保護判定器は、前記タイマが、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出器が前記電圧を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与えてもよい。
【0009】
また、一態様の太陽光発電システムにおいて、前記保護判定器は、前記タイマが、前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流の減少を検出しないか、又は、前記電流検出器が前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出器が前記電圧を検出しないかの少なくともいずれか一方のときに、前記遮断器に対して開放動作指示を与えるとともに、前記タイマが、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出器が前記電流の減少を検出しないか、又は、前記電流検出器が前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出器が前記電圧を検出しないかの少なくともいずれか一方のときに、前記遮断器に対して開放動作指示を与えてもよい。
【0011】
本発明の一態様の太陽光発電システムの保護方法は、複数の系統の太陽電池パネルが並列接続されて構成される直流電源と、前記直流電源の直流電力を交流電力に変換する電力変換器と、前記直流電源と前記電力変換器との間の電路に直列に挿入され、前記電路を開放可能な遮断器と、前記直流電源を構成する前記複数の系統の太陽電池パネルのそれぞれと前記遮断器との間の電路にそれぞれ直列に挿入され、前記複数の系統の太陽電池パネルのうち、自身の太陽電池パネルとは別の系統の太陽電池パネルから電流が流入したときに完全溶断されるPVヒューズと、前記電力変換器内の回路に接続された直流コンデンサと、を備える太陽光発電システムにおいて、前記遮断器が投入されてから所定時間が経過したことを計時する計時ステップと、前記電力変換器内を流れる電流を検出する電流検出ステップと、前記計時ステップにおいて前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流の減少を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与える保護判定ステップと、前記電力変換器内で過電流又は過電圧が保護検出されたときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与えるインバータ制御ステップと、を備え、前記計時ステップでは、前記インバータ制御ステップによる開放動作指示に基づいて前記遮断器が開放された後に前記遮断器が再投入されたときは、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時し、前記保護判定ステップでは、前記計時ステップにおいて前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流の減少を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与えることを特徴とする。
【0012】
なお、一態様の太陽光発電システムの保護方法において、前記直流コンデンサの電圧を検出する電圧検出ステップと、をさらに備え、前記保護判定ステップでは、前記計時ステップにおいて前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出ステップにおいて前記電圧を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与え、前記保護判定ステップでは、前記計時ステップにおいて、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出ステップにおいて前記電圧を検出しないときは、前記遮断器に対して開放動作指示を与えてもよい。
【0013】
また、一態様の太陽光発電システムの保護方法において、前記保護判定ステップでは、前記計時ステップにおいて前記遮断器が投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流の減少を検出しないか、又は、前記電流検出ステップにおいて前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出ステップにおいて前記電圧を検出しないかの少なくともいずれか一方のときに、前記遮断器に対して開放動作指示を与えるとともに、前記計時ステップにおいて、前記遮断器が再投入されてから前記所定時間が経過したことを計時したときに、前記電流検出ステップにおいて前記電流の減少を検出しないか、又は、前記電流検出ステップにおいて前記電流を検出するにも拘らず、前記電圧検出ステップにおいて前記電圧を検出しないかの少なくともいずれか一方のときに、前記遮断器に対して開放動作指示を与えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、素子短絡故障が発生している電力変換器が再起動されたときに、従来よりも早く異常を検出し、電力変換器の破損や焼損などの2次損害の拡大を従来よりも低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る保護システム及び保護方法の一実施形態を示す構成図である。
【
図2】
図1に示す保護システム及び保護方法の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】直流スイッチが再投入されたときの状態の一例を示す構成図である。
【
図4】PVヒューズが完全溶断される場合の一例を示す構成図である。
【
図5】太陽電池電流電圧特性カーブ(I-Vカーブ)の一例を示すグラフである。
【
図6】直流スイッチの投入後の直流電流の値の変化及び直流コンデンサの電圧の値の変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る保護システム及び保護方法の一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
<一実施形態の構成>
図1は、本発明に係る保護システム及び保護方法の一実施形態を示す構成図である。本発明の保護システム及び保護方法は、例えば、太陽光発電システムに適用可能である。このため、ここでは、太陽光発電システム1を用いて一実施形態について説明する。
【0019】
図1に示すとおり、太陽光発電システム1は、太陽電池パネル10と、PVヒューズ20と、直流スイッチ30と、電力変換器40と、電路(直流母線)50とを有する。太陽電池パネル10と、PVヒューズ20と、直流スイッチ30と、電力変換器40とは、電路50を介して直列に接続されている。太陽光発電システム1は、図の右側において、不図示の電力系統と系統連系するシステムである。なお、符号60は、信号線であり、符号70は、素子短絡が発生していることを示す。
【0020】
太陽電池パネル10は、太陽光パネル、太陽電池モジュール、太陽光モジュール、又は単にモジュールとも称され、複数の太陽電池セルを組み合わせて1枚のパネルとしたものである。
図1では、便宜上1枚の太陽電池パネル10が図示されているが、実際には、複数枚の太陽電池パネル10を互いに直列又は並列に組み合わせた太陽電池ストリングや、太陽電池ストリングを組み合わせた太陽電池アレイを形成してもよい。なお太陽電池パネル10は、請求項の直流電源の一例であり、電力変換器40に直流電力を供給する。
【0021】
PVヒューズ20は、太陽光発電システム1の何らかの異常によって電路50に所定の電流値を超える電流が流れると、ジュール熱により内蔵する合金部品が溶断し、回路を開くことにより回路を保護するものである。但し、PVヒューズ20は、
図1に示す太陽電池パネル10から供給される直流電力が最大であっても溶断されない規格である。このため、電力変換器40において素子短絡が発生した場合であっても、PVヒューズ20は完全溶断されない仕様となっている。
【0022】
直流スイッチ30は、PVヒューズ20と電力変換器40との間の電路50に直列に設けられ、後述のインバータ制御回路42や作業者からの投入指示又は開放指示に従って、電路50を接続又は開放する。直流スイッチ30が開放されると太陽電池パネル10から供給される直流電流が電力変換器40に流入することを遮断する。なお、直流スイッチ30は、請求項の遮断器の一例である。
【0023】
電力変換器40は、太陽電池パネル10と電路50を介して接続されており、太陽電池パネル10が発電した直流電力を交流電力に変換する。電力変換器40は、インバータ回路41と、インバータ制御回路42と、直流コンデンサ43と、電流計44と、電圧計45とを有する。
【0024】
電力変換器40は、公知の最大電力点追従制御(MPPT:Maximum power point tracking)を実施するように構築されている。最大電力点追従制御(MPPT制御)は、太陽電池パネル10からの電力が最大になる出力電圧で電流を取り出すための制御機能である。電力変換器40には出力リミッタ機能も設けられていることが好ましい。なお、電力変換器40は、インバータユニット、パワーコンディショナー、パワーコンディショニングシステム(PCS:Power Conditioning Subsystem)とも称される。
【0025】
インバータ回路41は、IGBT等の複数のスイッチング素子で構築されている。インバータ制御回路42は、スイッチング素子のゲート駆動信号であるパルス幅変調信号を生成する。インバータ制御回路42は、信号線60aを介してインバータ回路41と接続されており、インバータ回路41の動作を制御する。
【0026】
インバータ制御回路42は、後述のタイマ46及び保護判定器47の機能を有する。インバータ制御回路42は、直流スイッチ30と、インバータ回路41と、電流計44と、電圧計45と、信号線60を介して接続されている。インバータ制御回路42は、インバータ回路41に素子短絡70等の事故が発生すると、電流計44の値や、その他のセンサの値により、過電流・過電圧の保護検出を行う。インバータ制御回路42は、過電流・過電圧を保護検出すると、電力変換器40を停止させ、信号線60bを介して直流スイッチ30に開放動作指示を与える。これにより、インバータ制御回路42は、インバータ回路41に短絡電流が流れることを従来よりも低減させ、インバータ回路41を保護している。
【0027】
直流コンデンサ43は、電力変換器40が停止中又はゲートブロック(GB)中に、直流スイッチ30が投入されると、太陽電池パネル10からの直流電力により充電される。このため、通常の運用時には、直流スイッチ30が投入されてから所定時間が経過すると、直流コンデンサ43の電圧の値は上昇し、直流電流の値は減少する。直流コンデンサ43の電圧が上昇し、充電が完了すると、直流コンデンサ43からの放電により電力変換器40の運転が開始され、ゲートブロック(GB)も解除される。
【0028】
しかし、電力変換器40に素子短絡70等の事故が発生すると、直流スイッチ30を投入しても、短絡電流が流れ続けるのみで、直流コンデンサ43は充電されない。このため、電力変換器40に素子短絡70が発生している場合、直流スイッチ30が投入されてから所定時間が経過しても、直流コンデンサ43の電圧の上昇が見られず、また、直流電流の値は減少しない。詳細は後述するが、本発明は、この直流コンデンサ43の性質を利用している。
【0029】
電流計44は、例えば、ホールCT等の電流センサであり、電力変換器40又はインバータ回路41内を流れる電流を計測する。電流計44は、信号線60cを介してインバータ制御回路42と接続されている。なお、電流計44が設けられる位置は、
図1に示す位置には限られず、例えば、インバータ回路41内やインバータ制御回路42内に設けられてもよい。なお、電流計44は、請求項の電流検出器の一例である。
【0030】
電圧計45は、例えば直流電圧センサであり、直流コンデンサ43の電圧を計測する。電圧計45は、信号線60dを介してインバータ制御回路42と接続されている。なお、電圧計45が設けられる位置は、直流コンデンサ43の電圧が計測できる位置であればどこでもよく、
図1に示す位置には限られない。なお、電圧計45は、請求項の電圧検出器の一例である。
【0031】
タイマ46は、インバータ制御回路42の機能の一つであり、電力変換器40が停止中又はゲートブロック(GB)中に直流スイッチ30が投入されると、直流スイッチ30の投入を検知し、直流スイッチ30が投入されてから所定時間が経過したことを計時する。なお、タイマ46は、インバータ制御回路42とは別に設けられてもよい。
【0032】
保護判定器47は、インバータ制御回路42の機能の一つであり、下記の2つの方法のうち、いずれか一方又は両方の方法で、素子短絡70などの異常が発生しているか否かを検出する。保護判定器47は、素子短絡70の発生などの異常を検出したときは、信号線60bを介して直流スイッチ30を開放させることで、インバータ回路41の保護を図っている。なお、保護判定器47は、インバータ制御回路42とは別に設けられてもよい。
【0033】
第1の方法として、保護判定器47は、タイマ46が、直流スイッチ30が投入されてから所定時間が経過したことを計時したときに、電流計44が電流の減少を検出しているか否かを判定する。電流計44が電流の減少を検出していると判定したときは、素子短絡70は発生していないと判定し、電力変換器40に通常運転を続けさせる。
【0034】
一方、保護判定器47は、電流計44が電流の減少を検出していないと判定したときは、素子短絡70などの異常が発生していると判定し、信号線60bを介して直流スイッチ30に開放動作指示を与える。素子短絡70が発生すると、短絡電流が流れ続けるのみで、直流コンデンサ43は充電されないため、電流の値は減少しない。このため、保護判定器47は、このような直流コンデンサ43の性質を用いて素子短絡70等の異常を検出し、直流スイッチ30を開放させることで、電力変換器40の保護を図る。
【0035】
第2の方法として、保護判定器47は、タイマ46が、直流スイッチ30が投入されてから所定時間が経過したことを計時したときに、電流計44が電流を検出し、かつ、電圧計45が電圧を検出しているか否かを判定する。電流計44が電流を検出し、かつ、電圧計45が電圧を検出したと判定したときは、素子短絡70は発生していないと判定し、電力変換器40に通常運転を続けさせる。
【0036】
一方、保護判定器47は、電流計44が電流を検出する一方で、電圧計45が電圧を検出していないと判定したときは、素子短絡70などの異常が発生していると判定し、信号線60aを介して直流スイッチ30に開放動作指示を与える。素子短絡70が発生すると、短絡電流が流れ続けるのみで、直流コンデンサ43は充電されないため、直流コンデンサ43の電圧の上昇が見られない。このため、保護判定器47は、このような直流コンデンサ43の性質を用いて素子短絡70等の異常を検出し、直流スイッチ30を開放させることで、電力変換器40の保護を図る。
【0037】
なお、保護判定器47は、第1の方法と第2の方法の何れか一方、又は両方の方法を用いて素子短絡70等の異常を検出しても良い。すなわち、保護判定器47は、所定時間が経過したときに、電流計44が電流を検出しているが電流の減少を検出せず、かつ、電圧計45が電圧を検出しないと判定したときに、素子短絡70などの異常が発生していると判定してもよい。
【0038】
次に、本発明の一実施形態の動作について説明する。
【0039】
<一実施形態の動作>
図2は、
図1に示す保護システム及び保護方法の動作の一例を示すフローチャートである。
図2のフローチャートは、インバータ回路41などに素子短絡70などの異常が発生したときに開始される。
【0040】
ステップS1において、インバータ制御回路42は、電力変換器40内のセンサ等によって過電流・過電圧を保護検出する。インバータ回路41内に素子短絡70等の事故が発生すると、急激な電流・電圧の上昇が見られるため、インバータ制御回路42は、その急激な電流・電圧の上昇を保護検出する。
【0041】
ステップS2において、インバータ制御回路42は、電力変換器40の動作を停止させ、信号線60bを介して直流スイッチ30に開放動作指示を与える。これにより、電力変換器40は、ゲートブロック(GB)中の状態となる。これにより、インバータ制御回路42は、インバータ回路41に短絡電流が流れることを防ぎ、電力変換器40を保護している。
【0042】
ステップS3において、インバータ制御回路42は、作業者による電力変換器40のCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)リセットを受け付ける。ステップS3は、ステップS2において、急激な電流・電圧の上昇によって素子短絡70の事故は正しく検出され、電力変換器40は、重故障停止している状態である。この場合、作業者によって電力変換器40のCPUリセットが行われると、インバータ回路41内には電流も電圧も存在しないため、作業者には、事故が起きているのか否かが判別できない。このため、作業者には、電力変換器40やインバータ回路41は一見正常であるように見えてしまい、作業者によって、直流スイッチ30の誤投入が行われることがある。
【0043】
ステップS4において、インバータ制御回路42は、作業者による直流スイッチ30の再投入を受け付ける。例えば、作業者が、事故が起きていることに気付かず、作業者によって直流スイッチ30が誤投入された場合などである。この場合、直流スイッチ30が再投入されても、インバータ回路41内に、素子短絡70の事故が起きたときのような急激な電流・電圧の上昇が見られない。このため、ステップS1のように、インバータ制御回路42によって過電流・過電圧が保護検出されない。
【0044】
図3は、直流スイッチ30が再投入されたときの状態の一例を示す構成図である。なお、
図3において、
図1と同一の構成については、
図1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図3に示すとおり、素子短絡70が発生しているときは、太陽電池パネル10から電力変換器40に向けて、短絡電流Isc(short-circuit current)90が流れる。
【0045】
ここで、電路50aの位置には、PVヒューズ20が設けられている。しかし、PVヒューズ20による保護が想定される事故は、インバータ回路41の素子短絡70などの事故ではないため、インバータ回路41に素子短絡70が発生してもPVヒューズ20は、完全溶断されない。厳密に言えば、この場合もPVヒューズ20が一部溶断されることもあるが、完全溶断まではされることはない。従って、ステップS3までの時点では、PVヒューズ20は完全溶断されておらず、ステップS4によっても、PVヒューズ20は完全溶断されない。
【0046】
図4は、PVヒューズ20が完全溶断される場合の一例を示す構成図である。
図4に示す太陽光発電システム1’は、3つの太陽電池パネル10A、10B、10Cが、並列に接続されるとともに、接続点51で電路50に接続されている点が、
図1に示す太陽光発電システム1とは異なる点である。なお、
図4において、
図1と同一の構成については、
図1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4には、3つの太陽電池パネル10A、10B、10Cが示されているが、これらは、3つには限られず、複数であればよい。また、複数の太陽電池パネル10A、10B、10Cは、複数の太陽電池ストリングや複数の太陽電池アレイであってもよい。
【0047】
図4に示すように、例えば、太陽電池パネル10Aの系統に地絡80が発生すると、図中の矢印で示すような地絡電流85が太陽電池パネル10Aの系統に流入する。この場合、太陽電池パネル10Aの系統における電路50aには、電路50b、50cから地絡点に向けて通常の何倍もの電流が流入することがある。PVヒューズ20は、このように太陽電池パネル10Aの系統とは別の系統である太陽電池パネル10B、10Cの系統から地絡点に向けて電流が流入したときに初めて溶断する規格となっている。従って、PVヒューズ20の溶断が想定される事故は、電力変換器40における素子短絡70などの事故ではないため、素子短絡70等の異常が発生した場合であっても、PVヒューズ20は完全溶断されない。
【0048】
図5は、太陽電池電流電圧特性カーブ(I-Vカーブ)の一例を示すグラフである。
図5には、最適動作点Pmppと、最大出力動作電圧Vmppと、最大出力動作電流Imppと、開放電圧Vocと、短絡電流Iscとが図示されている。最適動作点Pmppは、電流電圧特性カーブS1における動作電圧と動作電流の積である電力特性カーブS2が最も大きくなる極大点である。
【0049】
最大出力動作電圧Vmppは、最適動作点であるMPP点での動作電圧である。最大出力動作電流Imppは、最適動作点であるMPP点での動作電流である。開放電圧Vocは、太陽電池の出力端子に負荷等を何も接続せず、開放した状態での電圧である。短絡電流Iscは、太陽電池の出力端子間を短絡させたときに流れる電流である。電流電圧特性カーブS1は、最適動作点であるMPP点付近に屈曲部を持つ略矩形状のカーブを描いている。電力特性カーブS2は、電圧ゼロボルトから最適動作点Pmppに向かって直線上に立ち上がり、最適動作点Pmppから急峻に立ち下がる。
【0050】
図5に示すとおり、短絡電流Iscは、太陽電池パネル10の電流電圧特性(I-V特性)想定内の電流であり、通常の最大出力動作電流Imppから少し多い位の中途半端な電流である。このため、
図3に示すように、直流スイッチ30が再投入されて短絡電流Isc90が流れても、インバータ制御回路42による過電流・過電圧の保護検出は行われず、PVヒューズ20も完全溶断されない。しかし、短絡電流Isc90が流れ続けると、装置の破損や焼損などの2次損害が発生してしまう。このため、このような場合でも、素子短絡70等の異常をなるべく早く検出する必要がある。
【0051】
図2に戻り、ステップS5において、保護判定器47は、タイマ46による直流スイッチ30が投入されてからの時間の計時開始を受け付ける。
【0052】
ステップS6において、保護判定器47は、タイマ46が、所定時間が経過したことを計時したか否かを判定する。保護判定器47は、所定時間が経過したと判定したときは、ステップS7に処理を移行させる。一方、保護判定器47は、所定時間が経過していないと判定したときは、所定時間が経過するまで、ステップS6の処理を繰り返す。
【0053】
ステップS7において、保護判定器47は、電流計44が計測する電力変換器40内を流れる電流の値を受け付ける。なお、電流計44は、電力変換器40内を流れる電流の値を常時計測していてもよい。
【0054】
ステップS8において、保護判定器47は、電圧計45が計測する電力変換器40内の回路に接続された直流コンデンサ43の電圧の値を受け付ける。なお、電圧計45は、電力変換器40内の回路に接続された直流コンデンサ43の電圧の値を常時計測していてもよい。
【0055】
ステップS9において、保護判定器47は、インバータ回路41に素子短絡70等の異常が発生しているか否かを判定する。ここで、保護判定器47が、異常が発生しているか否かを判定する原理を説明する。
【0056】
図6は、直流スイッチ30の投入後の直流電流の値の変化及び直流コンデンサ43の電圧の値の変化の一例を示すグラフである。
【0057】
図6(a)は、素子短絡70が発生していない場合の直流スイッチ30の投入後の直流電流の変化の一例を示すグラフである。
図6(a)によれば、直流スイッチ30の投入後、電流値は上昇するが、所定時間t1が経過したときには、電流値が減少している。これは、所定時間t1が経過したときには、直流コンデンサ43の充電がほぼ完了しているためである。
【0058】
図6(b)は、素子短絡70が発生している場合の直流スイッチ30の投入後の直流電流の変化の一例を示すグラフである。
図6(b)によれば、直流スイッチ30の投入後、電流値は短絡電流Iscまで急峻に上昇し、所定時間t1が経過しても、電流値は上昇したまま一定値に保たれる。これは、素子短絡70が発生している場合、直流コンデンサ43が充電されず、インバータ回路41に短絡電流Iscが流れ続けているためである。
【0059】
図6(c)は、素子短絡70が発生していない場合の直流スイッチ30の投入後の直流コンデンサの電圧の変化の一例を示すグラフである。
図6(c)によれば、直流スイッチ30の投入後、所定時間t1が経過するまで電圧は上昇を続け、所定時間t1が経過すると、電圧値は一定に保たれる。これは、所定時間t1が経過したときには、直流コンデンサ43の充電がほぼ完了しているためである。
【0060】
図6(d)は、素子短絡70が発生している場合の直流スイッチ30の投入後の直流コンデンサの電圧の変化の一例を示すグラフである。
図6(d)によれば、直流スイッチ30が投入されても電圧は0Vから上昇せず、所定時間t1が経過しても、電圧は0Vのままである。これは、素子短絡70が発生している場合、インバータ回路41に短絡電流Iscが流れ続けるのみであり、直流コンデンサ43が充電されないためである。
【0061】
図6に示すとおり、素子短絡70が発生している場合と、素子短絡70が発生していない場合とでは、直流スイッチ30の投入から所定時間t1が経過したときの直流電流の値及び直流コンデンサ43の電圧の値が相違する。これは、直流コンデンサ43の性質によるものである。このため、保護判定器47は、このような電流値や電圧値の相違を利用して、インバータ回路41に素子短絡70等の異常が発生しているか否かを判定する。判定は、以下の2つの方法の何れか一方又は両方の方法で行われる。
【0062】
すなわち、ステップS9において、第1の方法として、保護判定器47は、電流計44が電流の減少を検出しているか否かを判定する。保護判定器47は、電流計44が電流の減少を検出していると判定したときは(
図6(a))、異常は発生していないと判定し、本フローチャートの処理を終了させる。一方、保護判定器47は、電流計44が電流の減少を検出していないと判定したときは(
図6(b))、異常が発生していると判定し、ステップS10に処理を移行させる。
【0063】
ステップS9において、第2の方法として、保護判定器47は、電流計44が電流を検出たときに、電圧計45が電圧を検出しているか否かを判定する。保護判定器47は、電流計44が電流を検出し、かつ、電圧計45が電圧を検出していると判定したときは(
図6(c))、異常は発生していないと判定し、本フローチャートの処理を終了させる。一方、保護判定器47は、電流計44が電流を検出する一方で、電圧計45が電圧を検出していないと判定したときは(
図6(d))、異常が発生していると判定し、ステップS10に処理を移行させる。
【0064】
ステップS10において、保護判定器47は、直流スイッチ30に対して、開放動作指示を与え、本フローチャートの処理を終了させる。直流スイッチ30が開放されると、以降のインバータ回路41への短絡電流Iscの流入を防ぐことができる。
【0065】
<一実施形態の作用効果>
以上、
図1から
図6に示す実施形態において、第1の方法によれば、直流スイッチ30が投入されてから所定時間が経過したときに、電流計44が電流の減少を検出しないときは、保護判定器47は、直流スイッチ30に対して開放動作指示を与える。これにより、素子短絡70の発生時にPVヒューズ20が完全溶断されなかった場合であっても、電力変換器40が再起動されたときに、従来よりも早く異常が検出されるため、電力変換器40の破損や焼損などの2次損害の拡大を従来よりも低減させることができる。
【0066】
また、第2の方法によれば、直流スイッチ30が投入されてから所定時間が経過したときに、電流計44が電流を検出するにも拘らず、電圧計45が電圧を検出しないときは、保護判定器47は、直流スイッチ30に対して開放動作指示を与える。これにより、素子短絡70の発生時にPVヒューズ20が完全溶断されなかった場合であっても、電力変換器40が再起動されたときに、従来よりも早く異常が検出されるため、電力変換器40の破損や焼損などの2次損害の拡大を従来よりも低減させることができる。
【0067】
<実施形態の補足事項>
図1から
図6に示す実施形態において、
図1では、電圧計45が構成に含まれている。しかし、第1の方法を採る場合、電圧計45は、構成に含まれなくてもよい。これは、ステップS9において第1の方法を採る場合、直流コンデンサ43の電圧の値は考慮されないためである。この場合、
図2のステップS8の処理は省略されてもよい。これによっても、
図1から
図6に示す実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0068】
また、
図1から
図6に示す実施形態において、
図1では、電流計44が構成に含まれている。しかし、第2の方法を採る場合、電流計44を構成に含まないことも可能である。ステップS9において第2の方法を採る場合、第2の方法の変形例として、保護判定器47は、所定時間の経過後に、電圧計45が電圧を検出するか否かのみによって、素子短絡70等の異常の発生を検出することも考えられるからである。この場合、
図2のステップS7の処理は省略されてもよい。これによっても、
図1から
図6に示す実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0069】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、1’…太陽光発電システム;10、10A、10B、10C…太陽電池パネル;20…PVヒューズ;30…直流スイッチ;40…電力変換器;41…インバータ回路;42…インバータ制御回路;43…直流コンデンサ;44…電流計;45…電圧計;46…タイマ;47…保護判定器;50、50a、50b、50c…電路(直流母線);51…接続点;60、60a、60b、60c、60d…信号線;70…素子短絡;80…地絡;85…地絡電流;90…短絡電流(Isc)