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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】エレベータの制御システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20231114BHJP
   B66B 3/02 20060101ALI20231114BHJP
   B66B 1/18 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B66B3/00 K
B66B3/02 N
B66B1/18 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022097185
(22)【出願日】2022-06-16
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-167207(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074093(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 3/02
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場への進入を規制する規制装置に表示部が設けられており、当該規制装置を利用者が通過するときに、その利用者についての乗りかごへの割当ての情報が前記表示部に表示されるエレベータに適用可能な制御システムであり、
前記規制装置には、当該規制装置の通過が許可されている否かを利用者ごとに判断するための識別情報を、その利用者が所持する記録媒体から読み取る読取部が設けられており、当該読取部は、前記識別情報を読み取るごとに、その後の読取りが一旦無効になり、設定された長さの無効期間を経て再び読取りが有効になるように構成されており、
音声出力部と、
前記表示部の故障を検出する検出処理部と、
前記検出処理部が前記表示部の故障を検出した場合に、当該表示部が設けられている前記規制装置においては、前記無効期間の長さを、前記検出処理部による前記故障の検出がない場合よりも大きい値に変更する変更処理部と、
前記規制装置を利用者が通過するときに、当該規制装置における前記表示部の故障が前記検出処理部によって検出されている場合には、その利用者についての前記割当ての情報を、前記音声出力部からの音声出力によって当該利用者に通知する出力処理部と、
を備える、エレベータの制御システム。
【請求項2】
前記音声出力部は、移動可能なロボットに設けられており、
前記検出処理部が前記表示部の故障を検出した場合に、前記ロボットを、当該表示部が設けられている前記規制装置と前記ロボットとの間に対応関係があることを利用者が認識できる位置まで移動させるロボット制御処理部、を更に備える、請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項3】
乗場への進入を規制する規制装置に表示部が設けられており、当該規制装置を利用者が通過するときに、その利用者についての乗りかごへの割当ての情報が前記表示部に表示されるエレベータに適用可能な制御システムであり、
移動可能なロボットに設けられる音声出力部と、
前記表示部の故障を検出する検出処理部と、
前記検出処理部が前記表示部の故障を検出した場合に、前記ロボットを、当該表示部が設けられている前記規制装置と前記ロボットとの間に対応関係があることを利用者が認識できる位置まで移動させるロボット制御処理部と、
前記規制装置を利用者が通過するときに、当該規制装置における前記表示部の故障が前記検出処理部によって検出されている場合には、その利用者についての前記割当ての情報を、前記音声出力部からの音声出力によって当該利用者に通知する出力処理部と、
を備える、エレベータの制御システム。
【請求項4】
乗場への進入を規制する規制装置に表示部が設けられており、当該規制装置を利用者が通過するときに、その利用者についての乗りかごへの割当ての情報が前記表示部に表示されるエレベータに適用可能な制御システムであり、
前記規制装置に設けられている前記表示部とは別の表示部であり、移動可能なロボットに設けられる第2の表示部と、
前記規制装置における前記表示部の故障を検出する検出処理部と、
前記検出処理部が前記表示部の故障を検出した場合に、前記ロボットを、当該表示部が設けられている前記規制装置と前記ロボットとの間に対応関係があることを利用者が認識できる位置まで移動させるロボット制御処理部と、
前記規制装置を利用者が通過するときに、当該規制装置における前記表示部の故障が前記検出処理部によって検出されている場合には、その利用者についての前記割当ての情報を、前記第2の表示部での画面表示によって当該利用者に通知する出力処理部と、
を備える、エレベータの制御システム。
【請求項5】
前記ロボットに設けられる音声出力部、を更に備え、
前記規制装置を利用者が通過するときに、当該規制装置における前記表示部の故障が前記検出処理部によって検出されている場合には、前記出力処理部は、その利用者についての前記割当ての情報を、前記第2の表示部での画面表示に加えて、前記音声出力部からの音声出力をも用いて当該利用者に通知する、請求項4に記載のエレベータの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティゲートなどの規制装置が設置されたエレベータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、エレベータの制御技術として、セキュリティゲートに設けられているカードリーダにICカードがタッチされた場合に、そのICカードに予め対応付けられている行先階(降車階として初期設定されたデフォルト階)を用いて自動的に乗りかごへの割当てを行い、当該割当ての情報をセキュリティゲートの表示部に表示することにより、乗車すべき乗りかごを利用者に通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-67489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、セキュリティゲートの表示部が故障すると、ゲートの開閉機能が正常であったとしても、乗りかごへの割当ての情報を利用者に通知できなくなるため、そのセキュリティゲートは、表示部のメンテナンスが完了するまで利用不可とせざるを得なくなる。しかし、利用可能なセキュリティゲートの数を減らすと、ゲート前での混雑を招いてしまうおそれがある。
【0005】
そこで本発明の目的は、セキュリティゲートなどの規制装置において表示部が故障した場合でも、それが原因で規制装置を利用不可にせざるを得ないといった事態を回避できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御システムは、次のようなエレベータに適用可能である。そのエレベータでは、乗場への進入を規制する規制装置に表示部が設けられており、当該規制装置を利用者が通過するときに、その利用者についての乗りかごへの割当ての情報が表示部に表示される。そして、制御システムは、音声出力部と、検出処理部と、出力処理部と、を備える。検出処理部は、規制装置における表示部の故障を検出する。出力処理部は、規制装置を利用者が通過するときに、当該規制装置における表示部の故障が検出処理部によって検出されている場合には、その利用者についての割当ての情報を、音声出力部からの音声出力によって当該利用者に通知する。
【0007】
上記制御システムによれば、表示部が故障して割当ての情報を表示することができなくなった場合でも、その情報を音声で利用者に通知することが可能になる。従って、表示部が故障した場合でも、その表示部が設けられている規制装置を継続して使用することができる。
【0008】
また、規制装置が複数設置されている場合でも、音声での出力は表示部が故障した規制装置でのみ行われるため、利用者にとっては、どの規制装置から音声が出力されているのかを判別しやすい。
【0009】
上記規制装置には、当該規制装置の通過が許可されている否かを利用者ごとに判断するための識別情報を、その利用者が所持する記録媒体から読み取る読取部が設けられていてもよく、当該読取部は、上記識別情報を読み取るごとに、その後の読取りが一旦無効になり、設定された長さの無効期間を経て再び読取りが有効になるように構成されたものであってもよい。このような構成において、上記制御システムは、変更処理部を更に備えていてもよく、変更処理部は、検出処理部が表示部の故障を検出した場合に、当該表示部が設けられている規制装置においては、上記無効期間の長さを、検出処理部による故障の検出がない場合よりも大きい値に変更してもよい。
【0010】
ここで、表示部での画面表示による通知によれば、利用者は、割当ての情報を一見して把握することができるが、音声出力部からの音声出力による通知によれば、利用者は、通知されている情報を把握できるまで聞き続ける必要があり、画面表示による通知の場合よりも情報の把握までに時間を要する。このため、音声出力の途中で次の識別情報の読取りが実行されると、音声が途切れ、割当ての情報を把握できなくなるといった不具合が発生するおそれがある。
【0011】
そこで上記構成によれば、検出処理部が表示部の故障を検出した場合には無効期間の長さを大きくすることで、音声出力の途中での次の識別情報の読取りを制限することができ、その結果として、上記のような不具合が発生しにくくなる。
【0012】
上記制御システムにおいて、音声出力部は、移動可能なロボットに設けられていてもよい。このような構成において、制御システムは、ロボット制御処理部を更に備えていてもよく、ロボット制御処理部は、検出処理部が表示部の故障を検出した場合に、ロボットを、当該表示部が設けられている規制装置とロボットとの間に対応関係があることを利用者が認識できる位置まで移動させてもよい。ここで、規制装置に音声出力部を設けた場合、全ての規制装置に音声出力部を設けることが必要になって制御システムが煩雑になるが、上記構成によれば、そのような煩雑さが解消される。また、上述した位置までロボットを移動させることにより、表示部の故障が検出された規制装置を通過する利用者は、その規制装置とロボットとの間に対応関係があることを認識しやすくなり、従って、当該ロボットからの通知を逃さずに確認しやすくなる。
【0013】
上記制御システムは、第2の表示部と、検出処理部と、ロボット制御処理部と、出力処理部と、を備えたものに変更されてもよい。ここで、第2の表示部は、規制装置に設けられている表示部とは別の表示部であり、移動可能なロボットに設けられる。検出処理部は、規制装置における表示部の故障を検出する。ロボット制御処理部は、検出処理部が表示部の故障を検出した場合に、ロボットを、当該表示部が設けられている規制装置とロボットとの間に対応関係があることを利用者が認識できる位置まで移動させる。そして、出力処理部は、規制装置を利用者が通過するときに、当該規制装置における表示部の故障が検出処理部によって検出されている場合には、その利用者についての割当ての情報を、第2の表示部での画面表示によって当該利用者に通知する。
【0014】
ここで、別の制御システムとして、規制装置に第2の表示部を設け、規制装置における表示部の故障が検出された場合に、当該規制装置に設けられている第2の表示部での画面表示によって利用者に割当ての情報を通知することが考えられる。しかし、この制御システムでは、全ての規制装置に第2の表示部を設けることが必要になって制御システムが煩雑になる。一方、上記構成によれば、そのような煩雑さが解消される。また、上述した位置までロボットを移動させることにより、表示部の故障が検出された規制装置を通過する利用者は、その規制装置とロボットとの間に対応関係があることを認識しやすくなり、従って、当該ロボットからの通知を逃さずに確認しやすくなる。
【0015】
上記制御システムは、ロボットに設けられる音声出力部を更に備えていてもよい。そして、規制装置を利用者が通過するときに、当該規制装置における表示部の故障が検出処理部によって検出されている場合には、出力処理部は、その利用者についての割当ての情報を、第2の表示部での画面表示に加えて、音声出力部からの音声出力をも用いて当該利用者に通知してもよい。この構成によれば、割当ての情報がロボットから音声でも通知されるため、利用者は、割当ての情報がロボットから通知されていることを認識しやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表示部が故障した場合でも、それが原因で規制装置を利用不可にせざるを得ないといった事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。
図2】(A)対応管理データの一例を示した概念図、及び(B)装置管理データの一例を示した概念図である。
図3】実施形態においてセキュリティ管理サーバが実行するセキュリティ管理処理を示したフローチャートである。
図4】実施形態において群管理制御装置が実行する故障監視処理を示したフローチャートである。
図5】実施形態において群管理制御装置が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
図6】第1変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。
図7】第1変形例において群管理制御処理が実行する故障監視処理を示したフローチャートである。
図8】第2変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。
図9】第2変形例において群管理制御処理が実行する故障監視処理を示したフローチャートである。
図10】第3変形例に係る制御システムの一例が適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。
図11】第3変形例に係る制御システムの他の例が適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。
図12】第3変形例において群管理制御処理が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1]実施形態
[1-1]エレベータの全体構成
図1は、実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。このエレベータは、乗りかごGと、規制装置1と、セキュリティ管理サーバ2と、エレベータ制御装置3と、群管理制御装置4と、を備えている。以下、各部の構成について具体的に説明する。尚、以下に説明する構成は、乗りかごGの数、規制装置1の数などが、図1の例に示されたものと異なるエレベータにも適用できる。
【0019】
<規制装置>
規制装置1は、エレベータの乗場への進入を規制する装置(セキュリティゲートなど)である。そして、各規制装置1には、当該規制装置1を他の装置と識別するための装置情報Pdが設定されている。また、各規制装置1には、読取部5と、表示部6と、音声出力部7と、が設けられている。
【0020】
読取部5は、カードリーダなどの読取装置で構成された部分であり、利用者が所持する記録媒体Q(ICカードや磁気カードなど)から当該利用者の識別情報Pi(当該利用者を他の利用者と識別するための情報。固有IDなど)を読み取る。
【0021】
読取部5による記録媒体Qの読取り方法は、接触式のものであってもよいし、NFC(Near Field Communication)等の近距離通信で情報を読み取る非接触式のものであってもよい。記録媒体Qは、カード状のものに限らず、スティック状やチップ状のものであってもよい。また、記録媒体Qは、読取部5との近距離通信(NFC等)が可能な情報端末(スマートフォンなど)であってもよい。
【0022】
読取部5が読み取った識別情報Piは、後述するセキュリティ管理サーバ2での認証に用いられ、当該認証により、読取部5に識別情報Piを読み取らせた利用者が規制装置1の通過を許可されている者であるか否かが、利用者ごとに判断される。そこで、規制装置1は、読取部5が識別情報Piを読み取った場合、その識別情報Piをセキュリティ管理サーバ2へ送信する(図1参照)。このとき、規制装置1は、識別情報Piがどの装置から送信されてきたのかをセキュリティ管理サーバ2に認識させ、且つ、当該セキュリティ管理サーバ2を通じて群管理制御装置4にも認識させるべく、識別情報Piと共に、自身の装置情報Pdをセキュリティ管理サーバ2へ送信する。
【0023】
表示部6は、液晶パネルなどの表示装置で構成された部分である。
【0024】
ここで、本実施形態においては、セキュリティ管理サーバ2での認証が成功して規制装置1の通過が利用者に許可された場合には、自動的に(即ち、その後の利用者の操作を何ら必要とせずに)、乗りかごGへの割当てが実行され、且つ、その割当ての情報が利用者に通知される。乗りかごGへの割当ての情報には、当該乗りかごGを識別するための番号や記号などの情報(以下、この情報を「かご情報Pg」と称す)が含まれる。尚、この割当ての情報には、利用者の行先階(後述する対応管理データDpにおいて当該利用者の識別情報Piに対応付けられているデフォルト階Ft)が含まれていてもよい。また、詳細については後述するが、乗りかごGへの割当てから利用者への通知までの一連の処理は、後述する呼び登録処理(群管理制御装置4が実行する制御処理の1つ。図5参照)の中で実行される。
【0025】
そして、表示部6は、割当ての情報を利用者に通知するための出力手段の1つであり、当該表示部6には、規制装置1の通過が利用者に許可されたときに、そのときの割当ての情報(かご情報Pgなど)を含んだ画面が表示される。このように、本実施形態においては、規制装置1を利用者が通過するときに、その利用者についての乗りかごGへの割当ての情報が表示部6に表示される。
【0026】
一方、規制装置1の表示部6が故障すると、通行規制に必要な機能(ゲートの開閉機能など)が正常であったとしても、乗りかごGへの割当ての情報(かご情報Pgなど)を利用者に通知できなくなるため、その規制装置1は、表示部6のメンテナンスが完了するまで利用不可とせざるを得なくなる。しかし、利用可能な規制装置1の数を減らすと、規制装置1前での混雑を招いてしまうおそれがある。
【0027】
そこで、本実施形態では、更に音声出力部7が各規制装置1に設けられている。ここで、音声出力部7は、マイクロフォンなどの音声出力装置で構成された部分である。
【0028】
そして、本実施形態では、そのような音声出力部7を含んだエレベータにおいて、規制装置1にて表示部6が故障した場合でも、それが原因で規制装置1を利用不可にせざるを得ないといった事態を回避できる制御システムが、当該エレベータの一部又は全部によって構成されている。
【0029】
<セキュリティ管理サーバ>
セキュリティ管理サーバ2は、エレベータのセキュリティ管理が可能となるように構成されたサーバであり、記憶部21と、制御部22と、を備えている。
【0030】
記憶部21は、ROMやRAMなどのメモリで構成される部分であり、当該記憶部21には、セキュリティ管理に必要な情報(それに関連する情報も含む)が保存される。具体的には、そのような情報として対応管理データDpと装置管理データDrとが、記憶部21に保存されている。
【0031】
図2(A)は、対応管理データDpの一例を示した概念図である。この図に示されるように、対応管理データDpには、エレベータの利用が許可されている利用者の識別情報Piが、当該利用者のデフォルト階Ft(その利用者の降車階として初期設定された行先階)と対応付けて予め保存されている。
【0032】
図2(B)は、装置管理データDrの一例を示した概念図である。この図に示されるように、装置管理データDrには、規制装置1の装置情報Pdが、その規制装置1の設置階Fsと対応付けて予め保存されている。ここで、設置階Fsは、装置情報Pdで特定される規制装置1が設置されている階であり、その規制装置1を通過した利用者が乗りかごGに乗車する階になる。従って、設置階Fsは、群管理制御装置4が乗りかごGへの割当てを行う際に、利用者の出発階(乗車階)として用いられる。
【0033】
制御部22は、CPUなどの処理装置で構成される部分であり、セキュリティ管理に必要な制御処理(セキュリティ管理処理)を実行する。以下、具体的に説明する。尚、より詳細な内容(制御の流れなど)については後述する。
【0034】
制御部22は、規制装置1から識別情報Piを受信した場合に、上記対応管理データDpを用いて当該識別情報Piに対する認証を行う(認証処理)。制御部22は、そのときの認証の成否により、規制装置1の読取部5に識別情報Piを読み取らせた利用者が当該規制装置1の通過を許可されている者(即ち、エレベータの利用を許可されている者)であるか否かを判断する。
【0035】
そして、制御部22は、識別情報Piに対する認証に成功した場合には、当該識別情報Piを送信してきた規制装置1の通過を利用者に許可する。更に制御部22は、呼び登録処理に必要な情報を群管理制御装置4へ送信する(送信処理)。
【0036】
一方、制御部22は、識別情報Piに対する認証に失敗した場合には、当該識別情報Piを送信してきた規制装置1の通過を禁止する。更に制御部22は、認証に失敗したことを利用者に認識させるための画面を、群管理制御装置4を通じて表示部6に表示させる。
【0037】
このようなセキュリティ管理処理は、セキュリティ管理サーバ2の制御部22内に構築される処理部(不図示)によって実行される。本実施形態では、当該処理部は、制御部22にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものがセキュリティ管理サーバ2の記憶部21に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部21に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、セキュリティ管理サーバ2内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0038】
<エレベータ制御装置>
エレベータ制御装置3は、乗りかごGに1つずつ対応させて設けられており、自身に対応する乗りかごGの動作を制御する。そして、それらのエレベータ制御装置3は、群管理制御装置4によって一元的に管理される。
【0039】
<群管理制御装置>
群管理制御装置4は、複数のエレベータ制御装置3に対する一元的な管理が可能となるように構成された装置であり、記憶部41と、制御部42と、を備えている。本実施形態では、群管理制御装置4は、制御処理として、規制装置1ごとに表示部6の故障の有無を監視する故障監視処理と、乗りかごGへの割当てから利用者への通知までの一連の処理を含んだ呼び登録処理と、を実行する。
【0040】
記憶部41は、ROMやRAMなどのメモリで構成される部分であり、当該記憶部41には、制御処理(故障監視処理及び呼び登録処理を含む)に必要な情報が保存される。
【0041】
制御部42は、CPUなどの処理装置で構成される部分であり、故障監視処理及び呼び登録処理を実行する。以下、具体的に説明する。尚、より詳細な内容(制御の流れなど)については後述する。
【0042】
故障監視処理では、制御部42は、規制装置1ごとに表示部6の故障を検出する(検出処理)。一例として、各規制装置1の表示部6は、自身が正常に動作していることを群管理制御装置4に知らせるべく、ハートビート信号を定期的(例えば1秒ごと)に群管理制御装置4へ向けて発信するように構成されている。そして、制御部42は、全ての表示部6が正常に動作している場合には、それぞれからハートビート信号を定期的に受信する一方で、そのうちのどれかが故障した場合には、故障した表示部6からはハートビート信号を受信できなくなくなる。そこで、制御部42は、ハートビート信号を受信できなくなった場合には、そのハートビート信号の発信元であった表示部6を、故障した表示部6として検出する。尚、表示部6の故障を検出する方法は、これに限らず、規制装置1ごとに表示部6の故障を検出できるものであれば、別の方法に適宜変更されてもよい。
【0043】
呼び登録処理では、制御部42は、セキュリティ管理サーバ2での認証が成功して当該セキュリティ管理サーバ2から呼び登録に必要な情報を受信した場合に、当該情報を用いて乗りかごGへの割当てを実行する(割当処理)。
【0044】
その後、制御部42は、利用者が規制装置1を通過するときに、実行した割当ての情報(本実施形態では、かご情報Pgなど)を何らかの出力手段を通じて当該利用者に通知する。具体的には、制御部42は、利用者が通過しようとしている規制装置1において表示部6の故障を検出していない場合には、実行した割当ての情報を、当該表示部6での画面表示によって利用者に通知する(出力処理)。一方、制御部42は、利用者が通過しようとしている規制装置1において表示部6の故障を検出している場合には、実行した割当ての情報を、音声出力部7からの音声出力によって当該利用者に通知する(出力処理)。
【0045】
このような故障監視処理及び呼び登録処理は、群管理制御装置4の制御部42内に構築される処理部によって実行される。図1では、そのような処理部として、検出処理部421、割当処理部422、及び出力処理部423が示されている。本実施形態では、当該処理部は、制御部42にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが群管理制御装置4の記憶部41に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部41に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、群管理制御装置4内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0046】
[1-2]制御処理
上述したエレベータ及びその制御システムにおいて、何れかの規制装置1にて表示部6が故障した場合でも、それが原因で規制装置1を利用不可にせざるを得ないといった事態を回避できるようにするための処理が、以下のとおり実行される。
【0047】
[1-2-1]セキュリティ管理サーバが実行するセキュリティ管理処理
図3は、セキュリティ管理サーバ2が実行するセキュリティ管理処理を示したフローチャートである。セキュリティ管理処理は、セキュリティ管理サーバ2が規制装置1から識別情報Pi及び装置情報Pdを受信した場合に開始される。以下では、このときにセキュリティ管理サーバ2が受信した情報を纏めて「受信情報Pr1」と称す。
【0048】
セキュリティ管理処理が開始されると、セキュリティ管理サーバ2は、受信情報Pr1内の識別情報Piに対する認証を行い、そのときの認証の成否により、規制装置1の読取部5に識別情報Piを読み取らせた利用者が当該規制装置1の通過を許可されている者(即ち、エレベータの利用を許可されている者)であるか否かを判断する(認証処理。ステップS101)。
【0049】
具体的には、セキュリティ管理サーバ2は、対応管理データDpに登録済みの識別情報Piの中に、受信情報Pr1内の識別情報Piと一致するものが存在するか否かを判断することにより、当該識別情報Piに対する認証を行う。
【0050】
セキュリティ管理サーバ2は、ステップS101にて認証に「成功」した場合、それを以て、読取部5に識別情報Piを読み取らせた利用者は規制装置1の通過を許可されている者であると判断できる。この場合、セキュリティ管理サーバ2は、規制装置1の通過を利用者に許可する。更にセキュリティ管理サーバ2は、呼び登録に必要な情報を群管理制御装置4へ送信する(送信処理。ステップS102A)。具体的には、セキュリティ管理サーバ2は、対応管理データDpから、ステップS101での認証に成功した識別情報Piに対応付けられているデフォルト階Ftを読み出し、それを群管理制御装置4へ送信する。このとき、セキュリティ管理サーバ2は、受信情報Pr1内の装置情報Pdも群管理制御装置4へ送信し、更には、装置管理データDrから、当該装置情報Pdに対応付けられている設置階Fsを読み出し、それも群管理制御装置4へ送信する。
【0051】
一方、セキュリティ管理サーバ2は、ステップS101にて認証に「失敗」した場合、それを以て、読取部5に識別情報Piを読み取らせた利用者は規制装置1の通過を許可されている者でないと判断できる。この場合、セキュリティ管理サーバ2は、規制装置1において利用者が通過することを禁止する。更にセキュリティ管理サーバ2は、認証に失敗したことを利用者に認識させるための画面を、群管理制御装置4を通じて表示部6に表示させる(ステップS102B)。一例として、セキュリティ管理サーバ2は、上記画面を表示部6に表示させるための認証失敗信号を群管理制御装置4へ送信する。このとき、制御部22は、認証に失敗した識別情報Piを送信してきた規制装置1の装置情報Pdも群管理制御装置4へ送信する。そして、群管理制御装置4は、これらの情報(認証失敗信号、装置情報Pd)をセキュリティ管理サーバ2から受信した場合、装置情報Pdで特定される規制装置1に、表示部6での上記画面の表示を実行させる。
【0052】
[1-2-2]群管理制御装置が実行する故障監視処理
図4は、群管理制御装置4が実行する故障監視処理を示したフローチャートである。故障監視処理は、エレベータの運行開始(メンテナンス後の再開を含む)に伴って開始され、規制装置1ごとに、その規制装置1に設けられている表示部6を監視対象として実行される。
【0053】
故障監視処理が開始されると、群管理制御装置4は先ず、故障フラグPf(x)の値を「True」に設定する(ステップS201)。ここで、変数xは、規制装置1の装置情報Pdを表す変数であり、故障フラグPf(x)は、変数xの値(=装置情報Pd)で特定される規制装置1において表示部6が故障しているか否かを判別するためのフラグである。この故障フラグPf(x)は、後述する呼び登録処理において用いられる。そして本実施形態では、変数xの値(=装置情報Pd)で特定される規制装置1において表示部6の故障が検出されていない場合には、故障フラグPf(x)の値が「True」に設定され、当該表示部6の故障が検出された場合には、故障フラグPf(x)の値が「False」に設定される。
【0054】
ステップS201の実行後、群管理制御装置4は、変数xの値(=装置情報Pd)で特定される規制装置1において表示部6の故障を検出したか否かを判断する(検出処理。ステップS202)。このステップS202は、当該ステップS202にて「検出した(Yes)」と判断されるか、或いは、メンテナンスなどでエレベータの運行が停止されるまで繰り返し実行される。
【0055】
そして、群管理制御装置4は、ステップS202にて「検出した(Yes)」と判断した場合には、故障フラグPf(x)の値を「False」に変更する(ステップS203)。このとき、群管理制御装置4は、変数xの値(=装置情報Pd)で特定される規制装置1において表示部6のメンテナンスが必要であることを監視センタ(不図示)などに通知してもよい。
【0056】
[1-2-3]群管理制御装置が実行する呼び登録処理
図5は、群管理制御装置4が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。群管理制御処理は、群管理制御装置4がセキュリティ管理サーバ2からデフォルト階Ftなどの情報を受信した場合に開始される。以下では、このときに群管理制御装置4が受信した情報(デフォルト階Ft、設置階Fs、装置情報Pd)を纏めて「受信情報Pr2」と称す。
【0057】
呼び登録処理が開始されると、群管理制御装置4は、受信情報Pr2内の設置階Fs及びデフォルト階Ftを利用者の出発階(乗車階)及び行先階(降車階)として用い、それらを1つの乗場呼びとして、当該乗場呼びについての乗りかごGへの割当てを行う(割当処理。ステップS301)。
【0058】
その後、群管理制御装置4は、ステップS301で実行した割当ての情報(本実施形態では、かご情報Pgなど)を何らかの出力手段を通じて利用者に通知するべく、利用者が通過しようとしている規制装置1において表示部6を出力手段として選択できるか否かを判断する。具体的には、群管理制御装置4は、受信情報Pr2内の装置情報Pdを変数xに代入したときの故障フラグPf(x)の値が「True」と「False」のどちらであるのかを判断する(ステップS302)。
【0059】
そして、群管理制御装置4は、ステップS302にて「True」であると判断した場合には、表示部6は故障していないと判断できるため、ステップS301で実行した割当ての情報を、当該表示部6での画面表示によって利用者に通知する(出力処理。ステップS303A)。尚、この割当ての情報には、かご情報Pgに加えて、利用者の行先階(割当てに用いられたデフォルト階Ft)が含まれていてもよい。
【0060】
一方、群管理制御装置4は、ステップS302にて「False」であると判断した場合には、表示部6は故障していると判断できるため、当該表示部6での画面表示に代えて、ステップS301で実行した割当ての情報を、受信情報Pr2内の装置情報Pdで特定される規制装置1での音声出力部7からの音声出力によって利用者に通知する(出力処理。ステップS303B)。尚、この割当ての情報には、かご情報Pgに加えて、利用者の行先階(割当てに用いられたデフォルト階Ft)が含まれていてもよい。特に音声出力の場合には、利用者の行先階とかご情報Pgの両方(例えば「5階へはA号機に乗車ください」)が音声で通知されることにより、利用者は、行先階なしでかご情報Pgだけが音声で通知される場合よりも、通知された情報が割当ての情報であることを認識しやすくなる。しかも、利用者は、自身の行先階に続けてかご情報Pgが通知されることにより、突然かご情報Pgが通知される場合に比べて、かご情報Pgを聞き漏らさずに認識することが可能になる。
【0061】
上述した制御システム及び制御処理によれば、表示部6が故障して割当ての情報(本実施形態では、かご情報Pgなど)を表示することができなくなった場合でも、その情報を音声で利用者に通知することが可能になる。従って、表示部6が故障した場合でも、その表示部6が設けられている規制装置1を継続して使用することができ、その結果として、表示部6の故障が原因で規制装置1を利用不可にせざるを得ないといった事態を回避できる。
【0062】
また、規制装置1が複数設置されている場合でも、音声での出力は表示部6が故障した規制装置1でのみ行われるため、利用者にとっては、どの規制装置1から音声が出力されているのかを判別しやすくなる。
【0063】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
図6は、第1変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。また、図7は、第1変形例において群管理制御装置4が実行する故障監視処理を示したフローチャートである。
【0064】
上述した実施形態において、読取部5は、識別情報Piを読み取るごとに、その後の読取りが一旦無効になり、設定された長さの無効期間Tqを経て再び読取りが有効になるように構成されたものであってもよい。そして、群管理制御装置4は、何れかの規制装置1において表示部6の故障を検出した場合に、その規制装置1においては、上記無効期間Tqの長さを、故障の検出がない場合よりも大きい値に変更してもよい(変更処理。図7のステップS211)。一例として、無効期間Tqは、表示部6の故障が検出されていない場合(画面表示の場合)には3秒に設定され、表示部6の故障が検出された場合(音声出力の場合)には6秒に変更される。図6では、そのような処理が、制御部42内に構築された変更処理部424で実行される場合が示されている。
【0065】
ここで、表示部6での画面表示による通知によれば、利用者は、割当ての情報を一見して把握することができるが、音声出力部7からの音声出力による通知によれば、利用者は、通知されている情報を把握できるまで聞き続ける必要があり、画面表示による通知の場合よりも情報の把握までに時間を要する。このため、音声出力の途中で次の識別情報Piの読取りが実行されると、音声が途切れ、割当ての情報を把握できなくなるといった不具合が発生するおそれがある。
【0066】
そこで上記構成によれば、表示部6の故障を検出した場合には無効期間Tqの長さを大きくすることで、音声出力の途中での次の識別情報Piの読取りを制限することができ、その結果として、上記のような不具合が発生しにくくなる。
【0067】
[2-2]第2変形例
図8は、第2変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。また、図9は、第2変形例において群管理制御装置4が実行する故障監視処理を示したフローチャートである。
【0068】
上述した実施形態において、音声出力部7は、規制装置1に代えて、移動可能なロボット8に設けられていてもよい。そして、群管理制御装置4は、何れかの規制装置1において表示部6の故障を検出した場合に、ロボット8を、その規制装置1とロボット8との間に対応関係があることを利用者が認識できる位置まで移動させてもよい(ロボット制御処理。図9のステップS212)。図8では、そのような処理が、制御部42内に構築されたロボット制御処理部425で実行される場合が示されている。
【0069】
より具体的に、規制装置1との対応関係を利用者が認識できる位置は、例えば、当該規制装置1を通過した利用者が、自身との関係でロボット8が移動してきたことを認識できる位置(例えば、規制装置1を通過した利用者の正面の位置や、通過した利用者の通行を妨げない位置(正面の位置から左右に少しずれた位置)など)であってもよい。そして、図8では、規制装置1との対応関係を利用者が認識できる位置の一例として、最も右側の規制装置1に設けられている表示部6の故障が検出された場合の、当該規制装置1とロボット8との位置関係が示されている。より詳細には、ロボット8は、最も右側の規制装置1との間に対応関係があることを利用者に認識させるべく、且つ、当該規制装置1を通過した利用の通行を妨げないように、その規制装置1を通過した利用者の正面の位置から右に少しずれた位置に配置されている。尚、後述する図10図11においても、規制装置1との対応関係を利用者が認識できる位置の一例として、図8と同様の例が示されている。
【0070】
その後、群管理制御装置4は、表示部6の故障が検出された規制装置1を通過する利用者に対しては、図5のステップS301で実行した割当ての情報(ここでは、かご情報Pgなど)を、ロボット8に設けられた音声出力部7を通じて利用者に通知する(図5のステップS303B)。
【0071】
上述した実施形態のように規制装置1に音声出力部7を設けた場合には、全ての規制装置1に音声出力部7を設けることが必要になって制御システムが煩雑になるが、上記構成によれば、そのような煩雑さが解消される。また、上述した位置までロボット8を移動させることにより、表示部6の故障が検出された規制装置1を通過する利用者は、その規制装置1とロボット8との間に対応関係があることを認識しやすくなり、従って、当該ロボット8からの通知を逃さずに確認しやすくなる。尚、このような構成は、上述した第1変形例にも適用可能である。
【0072】
[2-3]第3変形例
図10及び図11は、第3変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を示した概念図である。また、図12は、第3変形例において群管理制御装置4が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
【0073】
上述した第2変形例において、ロボット8には、規制装置1に設けられた表示部6とは別の表示部である第2の表示部9が、音声出力部7に代えて設けられていてもよいし(図10参照)、或いは、音声出力部7と共に設けられていてもよい(図11参照)。
【0074】
そして、群管理制御装置4は、何れかの規制装置1において表示部6の故障を検出した場合に、ロボット8を、その規制装置1とロボット8との間に対応関係があることを利用者が認識できる位置まで移動させてもよい(ロボット制御処理。図9のステップS212)。その後、群管理制御装置4は、表示部6の故障が検出された規制装置1を通過する利用者に対しては、図12のステップS301(図5のステップS301と同じ)で実行した割当ての情報(ここでは、かご情報Pgなど)を、ロボット8に設けられた第2の表示部9での画面表示によって利用者に通知してもよい(図12のステップS303B)。このとき、図11に示されるように第2の表示部9と音声出力部7の両方がロボット8に設けられている場合には、群管理制御装置4は、第2の表示部9での画面表示に加えて、音声出力部7からの音声出力をも用いて割当ての情報を利用者に通知してもよい。
【0075】
ここで、別の制御システムとして、各規制装置1に第2の表示部9を設け、何れかの規制装置1において表示部6の故障が検出された場合に、当該規制装置1に設けられている第2の表示部9での画面表示によって利用者に割当ての情報を通知することが考えられる。しかし、この制御システムでは、全ての規制装置1において表示部6とは別に第2の表示部9を設けることが必要になって制御システムが煩雑になる。一方、本変形例における上記構成によれば、そのような煩雑さが解消される。また、上述した位置までロボット8を移動させることにより、表示部6の故障が検出された規制装置1を通過する利用者は、その規制装置1とロボット8との間に対応関係があることを認識しやすくなり、従って、当該ロボット8からの通知を逃さずに確認しやすくなる。
【0076】
また、図11に示された制御システムでは、割当ての情報がロボット8から音声でも通知されるため、利用者は、割当ての情報がロボット8から通知されていることを認識しやすくなる。
【0077】
[2-4]他の変形例
上述した制御システム及び制御処理において、セキュリティ管理サーバ2が担う部分は、その一部又は全部が群管理制御装置4によって構成されてもよい。
【0078】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0079】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、エレベータの制御システムに限らず、その制御システムを構成する装置、当該制御システムで実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 規制装置
2 セキュリティ管理サーバ
3 エレベータ制御装置
4 群管理制御装置
5 読取部
6 表示部
7 音声出力部
8 ロボット
9 第2の表示部
G 乗りかご
Q 記録媒体
21、41 記憶部
22、42 制御部
Dp 対応管理データ
Dr 装置管理データ
Fs 設置階
Ft デフォルト階
Pd 装置情報
Pf 故障フラグ
Pg かご情報
Pi 識別情報
Tq 無効期間
421 検出処理部
422 割当処理部
423 出力処理部
424 変更処理部
425 ロボット制御処理部
Pr1、Pr2 受信情報
【要約】
【課題】セキュリティゲートなどの規制装置において表示部が故障した場合でも、それが原因で規制装置を利用不可にせざるを得ないといった事態を回避できる技術を提供する。
【解決手段】制御システムは、次のようなエレベータに適用可能である。そのエレベータでは、乗場への進入を規制する規制装置に表示部が設けられており、当該規制装置を利用者が通過するときに、その利用者についての乗りかごへの割当ての情報が表示部に表示される。そして、制御システムは、音声出力部と、検出処理部と、出力処理部と、を備える。検出処理部は、規制装置における表示部の故障を検出する。出力処理部は、規制装置を利用者が通過するときに、当該規制装置における表示部の故障が検出処理部によって検出されている場合には、その利用者についての割当ての情報を、音声出力部からの音声出力によって当該利用者に通知する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12