(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】焼結鉱の製造方法
(51)【国際特許分類】
C22B 1/20 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
C22B1/20 F
(21)【出願番号】P 2022503593
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2021006552
(87)【国際公開番号】W WO2021172254
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2020031953
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹原 健太
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】樋口 隆英
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-157979(JP,A)
【文献】国際公開第98/007891(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結機の循環移動するパレット上の原料給鉱部に鉄鉱石や炭材を含む焼結配合原料を装入して原料装入層を形成し、次いで、該原料給鉱部の下流側に配設した点火炉で前記原料装入層の上表面(上層部)の炭材に点火する一方、パレット下方に配設したウインドボックスを介して前記原料装入層上方のガスを吸引して、そのガスを該原料装入層中に導入してこの原料装入層中の炭材を順次に燃焼させることにより配合原料を焼成して焼結鉱を製造する方法
であって、焼結機の操業において気体燃料を用いない焼結鉱の製造方法において、
焼結機上の前記原料装入層の上方から酸素富化を行う際に、該原料装入層の上表面が点火されてから4分経過した位置よりも排鉱部側寄りの位置にて、前記原料装入層に酸素富化空気を導入することによって酸素富化の処理を開始し、前記原料装入層に点火されてから13分経過するまでには酸素富化を終了させ、前記原料装入層への酸素富化の時間を、焼結配合原料の通過時間にして1~7分間とすること
とともに、酸素富化に排ガス循環プロセスを併用しないこと、を特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項2】
装入層の上表面が点火されてから4分経過するまでは酸素富化を行わないことを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項3】
前記原料装入層に導入する前記酸素富化空気の酸素濃度は、25vol.%超であることを特徴とする請求項1
または2に記載の焼結鉱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下方吸引式ドワイトロイド(DL)焼結機での酸素富化操業によって焼結鉱を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉は、塊鉱石や焼結鉱などの鉄源を使用し、炉上部よりその鉄源を含む原料を装入し、炉下部からは還元ガスを吹き込むことで、前記鉄源を溶融-還元して溶鉄を製造する設備である。一般に、高炉の炉内は、還元ガスと鉄源との反応を促進させるために、還元ガスが十分に流れるようにすることが必要である。そのためには、高炉内の通気性を高めることが有効であり、その結果として、溶銑の生産率の向上やコストの低下を図ることができるようになる。高炉内の通気性を高めるためには、鉄源原料の粉率を抑制することが必要であり、その粉率低下のためには強度の大きい原料を用いることが有効である。そのために、従来、高炉内に装入される鉄源原料である焼結鉱について、その強度を向上させる様々な方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、DL焼結機のパレット上の原料装入層に向けて酸素を吹き込むことにより燃焼を促進させ、歩留りを向上させる技術を提案している。この文献に開示の技術は、生産性の改善や歩留りの向上、あるいは焼結ケーキ破砕時の粉発生率の低減を目的として、パレット上の原料装入層上層部へ酸素富化する方法である。ただし、この既知技術における酸素富化の位置は、原料装入層への着火位置に限定されており、それより後での酸素富化は効果がない旨を述べており、また、明確な原料性状などの記載もないし、成品焼結鉱の強度、特に高炉の炉内に達するまでの輸送や貯蔵時に発生する粉を低減させる方法についてまでは言及していない。
【0004】
また、特許文献2では、DL焼結機のパレット上の原料装入層に対し、気体燃料を供給して焼結鉱を製造する方法を提案している。この方法によれば、焼結中の原料装入層中の燃焼領域(燃焼帯)が広がり、製造中に強度が小さい部分にも熱が補填され、成品強度を向上させることができるとしている。
【0005】
さらに、特許文献3では、焼結中に酸素と共に気体燃料をも同時に吹き込むことにより、原料装入層内に焼結に適した温度条件を作り出し、高強度の焼結鉱を製造する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平2-073924号公報
【文献】特開2008-95170号公報
【文献】特開2014-31580号公報
【文献】特開2010-126773号公報
【文献】特開平9-227958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来技術、特に特許文献1に記載の技術は、入熱の少ない原料装入層上層部の燃焼溶融反応(焼結反応)を補う目的で、点火直後に限ってその上層部に対し酸素富化する方法である。この方法では、焼結ケーキ破砕時の粉発生率は低減するものの、破砕後の成品焼結鉱全体の強度の低減、すなわち高炉炉内までの輸送や貯蔵に際して発生する粉の低減には顕著な効果がない。
【0008】
また、特許文献2、3、4に開示の方法については、気体燃料との併用が必須であり、コスト上の問題がある。また、これらの方法は、燃焼中の燃焼領域・融液発生領域が拡がる結果、通気性が低くなって、生産性が低下するという課題があった。
【0009】
その他、特許文献5については、焼結機での排ガス循環プロセス技術の一環として、原料装入層の中層部に酸素富化を行う方法を提案している。即ち、この提案は、酸素富化した空気ならびに循環排気ガスを原料装入層の中層部へ吸引し、これらのガスの、反応後の排ガスをさらに原料装入層の下層部へ吸引して循環させる技術である。しかし、この技術は、循環排ガスの酸素濃度は低いことから、下層部での燃焼反応の停滞を招くため、事前に中層部に対し低濃度の酸素富化を行う方法である。そのため、この技術は、中層部での焼結反応を促進するための技術ではない。また、この技術における排ガス循環プロセスというのは、焼結機の排ガスによる環境負荷を減らすためのものであり、しかも酸素富化空気と循環排ガスを吸引する面積の比率は、原料、焼結機、排ガス処理設備条件によって設計されるべきものであり、純粋に酸素富化による焼結反応の効果を期待するものではない。従って、本来、焼結原料層への酸素富化は、排ガス循環プロセスと併用しないことが望ましいと言える。
【0010】
本発明の目的は、焼結機の操業において気体燃料を用いることなく、かつ点火位置よりも排鉱部側寄りの位置で適正な酸素富化を行うことにより、高強度の焼結鉱を高い生産率を維持して製造することができる方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決し、上掲の目的を実現するために発明者らは、焼結機の焼結ベッド(原料装入層)の上方からの気体燃料の供給を止める一方、酸素富化については行うこととして、その酸素富化の位置(タイミング)や酸素富化の時間が焼結鉱の強度や生産性などに与える影響について調査した。その結果、特許文献1に開示のような方法、すなわち、焼結ベッド(原料装入層)の上層部分が燃焼するタイミングで酸素富化した場合、歩留は向上するものの成品(焼結鉱)の強度はほとんど上昇しないことを突き止めた。このことは、前述した従来技術の下では、焼結反応が不足して強度が低かった原料装入層上層部での強度が、酸素富化によって破砕時に粉化しない程度にまでは上昇するものの、成品の強度としては原料装入層の中層部~下層部のものに比べると同程度以下にしかならず、成品全体の強度を向上させるまでにはならないためであると考えられた。
【0012】
そこで、発明者らは、原料装入層の上層部だけではなく中層部や下層部で燃焼するタイミングでの酸素富化空気を用いた酸素富化を試みた。その結果、原料装入層の中層部~下層部での酸素富化となるようにすることにより、破砕時の粉化率が低く、ある程度の強度が期待でき、しかも歩留りの低下はあるものの生産率についてはこれを低下させることなく、成品全体の強度を飛躍的に高めることができることを見出した。
【0013】
とくに、原料装入層への酸素富化を少なくとも中層部において行うようにすれば、成品全体の強度を高める効果が大きくなることを突き止め、その中層部への酸素富化を前提として、さらに必要に応じ、原料装入層の上層部への酸素富化および/または下層部への酸素富化を実施することが有効であることを突き止めた。
【0014】
即ち、本発明は、焼結機の循環移動するパレット上の原料給鉱部に鉄鉱石や炭材を含む焼結配合原料を装入して原料装入層を形成し、次いで、該原料給鉱部の下流側に配設した点火炉で前記原料装入層の上表面(上層部)の炭材に点火する一方、パレット下方に配設したウインドボックスを介して前記原料装入層上方のガスを吸引して、そのガスを該原料装入層中に導入してこの原料装入層中の炭材を順次に燃焼させることにより配合原料を焼成して焼結鉱を製造する方法において、焼結機上の前記原料装入層の上方から酸素富化を行う際に、該原料装入層の上表面が点火されてから4分経過した位置よりも排鉱部側寄りの位置にて酸素富化の処理を行って焼結させることを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
【0015】
(1)本発明に係る上記方法については、前記原料装入層に点火されてから13分経過するまでには酸素富化を終了させることが好ましい。
(2)本発明に係る上記方法については、原料装入層への酸素富化の時間を、焼結配合原料の通過時間にして1~7分間とすることが好ましい。
(3)本発明に係る上記方法については、装入層の上表面が点火されてから4分経過するまでは酸素富化を行わないことが好ましい。
(4)本発明に係る上記方法については、排ガス循環プロセスと併用しないことが好ましい。
(5)本発明に係る上記方法については、前記原料装入層に導入する酸素富化空気の酸素濃度は25vol.%超であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
前述した構成に係る本発明方法によれば、第一に、酸素富化の効果が上がり、焼結鉱の強度を向上させることができる。この点、従来技術に基づく原料装入層への酸素富化の操業は、焼結ベッド(焼結原料層)上部への早いタイミング(点火直後)でのコークスの燃焼を助勢する方法であるか、循環排気ガスを補填する技術であることから歩留の向上には有効であったが、強度の向上はあまり望めなかった。これに対し、本発明方法の場合、焼結ベッド(原料装入層)の中層部ならびに下層部への酸素富化の処理を行う方法であるから、歩留(生産率)の低下を招くことなく、成品(焼結鉱)全体の強度を飛躍的に高めることができる。特に、本発明方法においては、原料装入層の中層部への適格な酸素富化の処理であることから、過剰な熱供給を緩和することができるようになるため、強度が逆に低下してしまうという現象を回避することができる。即ち、本発明方法では、原料装入層の中層部に対して効果的な酸素富化ができることから、強度向上の効果が高くなるのである。
【0017】
なお、原料装入層の上層部への酸素富化および/または下層部への酸素富化は、中層部への酸素富化に比べて強度向上の効果は低いものの、中層部への酸素富化の効果を阻害するものではないので、中層部への酸素富化を前提としてこれと併せて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】DL焼結機パレット上の原料装入層の給鉱部から排鉱部に至る間の原料装入層断面の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、下方吸引式のドワイトロイド(DL)焼結機による酸素富化操業を行って焼結鉱を製造する方法において、基本的には、その酸素富化の作用効果が少なくとも原料装入層の中層部分が燃焼する時に顕れるようにするための方法を提案する。そのために本発明では、まず前記原料装入層の上表面に点火し、その後、一定の時間が経過した時をもって、すなわち中層部への酸素富化を意味することとなる酸素富化ガスの吹付けを開始するようにしたのである。すなわち、点火後にパレット上の原料装入層が排鉱部側に向って一定の時間経過(移動)してから、酸素富化を開始する一方、その酸素富化は所定の時間だけ行って終了するようにしたのである。
【0020】
このように、本発明は、点火後、所定時間を経過してから焼結機パレット上の原料装入層の上方から酸素富化ガスを吹付けて酸素富化する方法である。即ち、本発明は、該原料装入層の上表面が点火されてから通常の焼結機パレットスピード(1.5~3.5m/min)の場合で、4分程経過した位置以降で酸素富化ガスを供給する方法での酸素富化を行い、それを排鉱部側に一定の時間続けるという酸素富化の処理を行って焼結させることを特徴としている。
【0021】
なお、前記原料装入層の上表面が点火した時については、温度計などによる測定によって分るが、簡便には点火炉の出口を通過した時を点火した時としてもよい。
【0022】
前記位置での酸素富化ガス導入による原料装入層中層部への酸素富化の処理に当っては、外気を直接吸引して得られる空気に対し、所定濃度の酸素を富化して得られる酸素富化空気を用いる場合であっても、また、焼結機の排気を循環しようとするいずれの場合であっても、富化する酸素の漏洩による目的としない場所への異常燃焼を防止して、指定の場所への確実な酸素富化を実現するために、フード状覆いなどを用い、そのフード内に酸素を供給するようにすることが望ましい。
【0023】
本発明において、所定の焼成時間を確保して焼結反応を十分に進行させるためには、導入する酸素富化空気の酸素濃度は21vol.%以上、50vol.%以下のものとすることが望ましい。その理由は、酸素富化後の酸素濃度が50vol.%を超えると、コークスの燃焼が早くなり、燃焼帯の移動速度が大きくなってしまうため、燃焼領域が各層でとどまる高温保持時間が減少し、焼結反応が十分に進まないためであり、一方で、酸素富化後の酸素濃度が21vol.%未満では、通常の空気よりも酸素濃度が低く、外気を直接吸引する場合よりもむしろ酸素濃度が低下しており焼結性を低下させるからである。好ましくは、23vol.%以上、50vol.%以下である。さらに好ましくは、25vol.%以上、50vol.%以下である。
【0024】
以下に、本発明に適合する好ましい中層部への酸素富化の方法について試験を行ったので、その結果について説明する。
【0025】
(試験1)
この試験では、焼結ベッド(原料装入層)を高さ方向に三等分(上層、中層、下層)に分け、それぞれの位置に酸素富化空気を導入する方式での酸素富化を行う試験を行った。まず、ベースケースとして酸素富化を行わない焼成試験(比較例1)を行い、ベース(基準)となる焼成時間(15.5分)を決定した。その焼成時間から点火作業に必要な1分間を引いた時間を3等分にした時間を酸素富化時間とした(下記式)。
酸素富化時間=(ベースの焼成時間-1)/3
【0026】
また、この試験では、焼結原料として、塩基度(B2)が2.0になるように調整した表1に示すような焼結配合原料を用いた。そして、この焼結配合原料を水分が7.5mass%となるよう水分添加を行いながらドラムミキサーにて造粒し、得られた造粒物を焼成鍋を用いて焼成した。この焼成試験では、風圧は一定(6kPa)とし、酸素富化空気の酸素濃度が30vol.%になるようした。
【0027】
【0028】
この試験の結果については表2に示した。この試験において、ベースの焼成時間は15.5分であることから、それぞれの位置への酸素富化時間は4.8分となる。そこで、その4.8分間の酸素富化を焼結原料層の上層(比較例2)、中層(発明例1)、下層(発明例2)で行ったところ、中層部に酸素富化を行った場合が、焼結鉱の強度(TI強度)が最も大きく改善可能であることが分った。このことは点火を開始した後の5.8分、すなわち点火完了後4.8分経過してからの次の4.8分の間に酸素富化を行ったときが最もよいことを意味している。結局、焼結ベッド(焼結原料層)への酸素富化は、上層部(比較例2)および下層部(発明例2)への酸素富化効果をも考慮して、点火後4分経過した位置よりも排鉱部側寄りの位置にて行うことが効果的である。
【0029】
なお、表2に示す結果からは、中層部に続く下層部への酸素富化についても中層部ほどではないものの強度の向上が認められている。このことは点火開始後10.6分(点火完了後9.6分以降)からの4.8分の間に酸素富化を行ったとしても、効果が減殺されることはないことを意味している。即ち、焼結原料層の下層部に対する酸素富化による強度上昇の効果(63.5%-61.6%=1.9)は、中層における酸素富化による強度上昇の効果(65.2%-61.6%=3.6)の53%に相当していた。
【0030】
このことは、下層部中のとくに下部では熱が過剰となり、焼結の進行による強度上昇と過熱による強度低下が相殺されることによる結果と考えられることから、該下層部に酸素富化を行う場合には、点火開始後10.6分(点火完了後9.6分)以降からの2.5分間(4.8分間×53%)に留めること、すなわち原料装入層の上表面に点火されてから13分(10.6分+2.5分)経過まで酸素富化を行うことが望ましいと考えられる。
【0031】
【実施例】
【0032】
以下で述べる実施例は、焼結原料層の中層部における酸素富化時間の影響を検証したものである。この実施例で用いた原料は、SiO2:4.9mass%、塩基度:2.0となるように調整した焼結配合原料(表1)を用いた。この焼結配合原料を水分が7.5mass%となるように水分を添加しながらドラムミキサーにて造粒し、得られた造粒焼結原料を焼成鍋を用いて焼成試験を行った。その焼成は、風圧一定(6kPa)とし、造粒焼結原料の酸素濃度が30vol.%になるように調整して試験に供した。酸素富化を行わないベース(比較例1)の焼成時間は15.5分であった。また、この試験において、酸素富化のタイミングとしては、点火後5.8~10.6分の期間内(中層部)とし、このときにおける酸素富化の時間は0.3~4.8min.に変更した。
【0033】
その結果、表3に示すとおり、中層部への酸素富化時間を、1.0分以上を確保すると、少なくとも生産率や焼結鉱強度(TI強度)については大きな改善が認められることが分った。なお、酸素富化の時間については特に規定されないが、前述したように中層部への富化時間4.8分と下層部への4.8分の53%に当たる2.5分の合計7分間が効果的であると考えられた。
【0034】
【0035】
次に、以下に述べる実施例は、焼結原料層の中層部への酸素富化処理時の酸素濃度の影響を検証したものである。この実施例で用いた原料は、SiO2:4.9mass%、塩基度:2.0となるように調整した焼結配合原料を用いた(表1)。この焼結配合原料を水分が7.5mass%となるように水分を添加しながらドラムミキサーにて造粒し、得られた造粒焼結原料を焼成鍋を用いて焼成試験を行った。その焼成は、風圧一定(6kPa)とし、造粒焼結原料の酸素濃度が30vol.%になるように調整した酸素富化空気を用いて試験に供した。この試験では実施例3と同様に点火を開始した後の5.8分、すなわち点火完了後4.8分経過してからの次の4.8分の間、酸素富化を行った。酸素富化時の酸素濃度は30~40vol.%の範囲で変更した。この結果、表4に示すとおり、酸素富化空気の濃度が40vol.%になるまで強度が向上することが明らかとなった。
【0036】
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の前述した説明は、主として気体燃料を用いない焼結機の操業を前提としたが、気体燃料を併用する焼結機の操業の場合にも応用が可能である。