(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】電力融通制御装置及び電力融通方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20231114BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20231114BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20231114BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231114BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20231114BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20231114BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20231114BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20231114BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/80
H02J3/00 180
H02J13/00 301A
H02J3/32
B60L53/12
B60L55/00
G06Q50/06
H02J3/38 110
(21)【出願番号】P 2023513970
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 JP2022041734
【審査請求日】2023-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】小川 明宏
(72)【発明者】
【氏名】細井 隆久
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-067181(JP,A)
【文献】特開2014-045574(JP,A)
【文献】特開2016-071625(JP,A)
【文献】特開2016-102668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/14
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 50/00-50/90
H02J 13/00
B60L 53/12
B60L 55/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を有する電気機器と電力系統との間で電力融通を行う制御装置であって、
前記電気機器の位置情報を取得する電気機器位置情報取得部と、
前記電気機器の蓄電池と無線電力移送を行う前記電力系統に接続された複数の無線電力移送装置の位置情報を保存した保存部と、
前記電気機器位置情報取得部から取得された前記電気機器の位置及び前記保存部に保存された無線電力移送装置の位置から、前記複数の無線電力移送装置のうち、無線電力移送可能な無線電力移送装置を特定する無線電力移送装置特定部と、
前記電気機器の蓄電池と、特定された無線電力移送装置との間の電力融通の指示を行う電力融通指示部と、
前記電気機器の蓄電池の充電残量を取得する電気機器充電残量取得部と、
前記電気機器の蓄電池の充電残量に基づき、前記電気機器の蓄電池と前記特定された無線電力移送装置に送電又は受電を行う指示をする前記電力融通指示部と、
前記電気機器の蓄電池と前記特定された無線電力移送装置との間の電力移送効率を取得する電力移送効率取得部と、
前記電力移送効率取得部によって取得された電力移送効率に基づき、前記電気機器の蓄電池と無線電力移送を行う前記特定された無線電力移送装置を、前記複数の無線電力移送装置のうち前記特定された無線電力移送装置とは異なる無線電力移送装置に切替える無線電力移送装置切替部と、
を備える電力融通制御装置。
【請求項2】
前記特定された無線電力移送装置の電力量計を特定する無線電力移送装置電力量計特定部と、
前記電気機器のユーザーの電力契約情報を保存する前記保存部と、
前記電力契約情報に基づき、前記ユーザーの電力契約で利用されている電力量計を特定するユーザー電力量計特定部と、
前記特定された無線電力移送装置の電力量計が示す無線電力移送量に基づき、前記特定された無線電力移送装置の電力量計の測定値と前記ユーザーの電力契約で利用されている電力量計の測定値とを調整する電力量計調整部と、
を備える、請求項
1に記載の電力融通制御装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の電力融通制御装置を利用した電力融通方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の蓄電池に充電された電力又は電気機器の蓄電池の空き容量をVPPに活用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車の蓄電池への充電において、充電装置を利用したユーザーと充電装置の電力量計を識別し、充電による課金情報をユーザーに提示する技術が開示されている(特許文献1)。
また、電力取引に、携帯可能な電子機器の蓄電池に充電された電力を用いる技術がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-508270号公報
【文献】特開2015-115983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車に搭載された蓄電池を、VPP(Virtual Power Plant)と呼ばれる電力系統と蓄電池との間で送受電を行う電力取引に利用することが考えられている。電気自動車の蓄電池は、VPPに利用される時、電気自動車を停車させ、送受電装置にケーブルで接続される。
この場合、送受電を行っている、電気自動車の蓄電池と送受電装置とは一対一で対応する。そのため、どの電気自動車の蓄電池が、どの送受電装置で電力の取引を行っているのかを把握することは容易である。
【0005】
しかし、VPPに利用する蓄電池が、電力の送電時又は受電時も移動する電気機器の蓄電池である場合、上述した従来の送受電装置による方法では電力の取引は困難である。これは、送受電装置は固定されているため、VPPに利用する蓄電池の移動に対応できないためである。
【0006】
そこで、本発明は、電力の送電時又は受電時も移動する電気機器の蓄電池と、電力系統との間で電力取引を行う電力融通制御装置及びこれを用いた電力融通方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電力融通制御装置は、蓄電池を有する電気機器と電力系統との間で電力融通を行う制御装置であって、電気機器の位置情報を取得する電気機器位置情報取得部と、電気機器の蓄電池と無線電力移送を行う電力系統に接続された複数の無線電力移送装置の位置情報を保存した保存部と、電気機器位置情報取得部から取得された電気機器の位置及び保存部に保存された無線電力移送装置の位置から、複数の無線電力移送装置のうち、無線電力移送可能な無線電力移送装置を特定する無線電力移送装置特定部と、電気機器の蓄電池と、特定された無線電力移送装置との間の電力融通の指示を行う電力融通指示部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、電気機器の蓄電池と、電力系統に接続された無線電力移送装置との間で電力融通を行う無線電力移送装置を特定することができる。これによって、電気機器の蓄電池と電力系統との間で、無線電力移送装置を介して電力の融通を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る電力融通システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、蓄電池を備える電気機器と電力系統との間で電力融通を行う制御装置である。
【0011】
[電力融通システム100]
図1は、本実施形態の電力融通制御装置を用いた電力融通システム100の全体構成を示す図である。
図1に示すように、電力融通システム100は、電力融通制御装置1と電力系統2と無線電力移送装置3と電気機器4とネットワーク5とを備える。
【0012】
説明の便宜上、
図1には、1台の無線電力移送装置3と1台の電気機器とを示したが、実際には複数の無線電力移送装置3と複数の電気機器4が用いられる。
【0013】
電力系統2は、例えば、送電網、配電網及び変電所等を含む。電気事業者と需要家(以下、「ユーザー」ともいう)は、電力系統2を介して電力の融通を行う。
【0014】
無線電力移送装置3は、電力系統2から電気機器4の蓄電池又は電気機器4の蓄電池から電力系統2に一方向又は双方向の無線電力移送を行う。電力移送は、送電又は受電の何れか一方又はその両方を意味する。また、無線電力移送は、無線送電技術を用いて前述の電力移送を行うことを意味する。
無線送電技術は、電波受信による方法、電磁誘導による方法又は磁界共鳴による方法等が挙げられる。この中でも、送電可能距離の観点から電波受信による方法が好ましい。また、無線電力移送装置3は、電気機器4との間で無線電力移送を行う際に、電気機器4の移動に合わせて電波の送信方向を変更する機能を備えるのが好ましい。
【0015】
無線電力移送装置3は、電力融通制御装置1と後述するネットワーク5を介して通信可能な装置である。また、無線電力移送装置3は、電力量計を備える。無線電力移送装置3は、電力量計によって取得された電気機器4へ電力移送した電力量、又は電気機器4から電力移送された電力量の情報をネットワーク5を介して電力融通制御装置1に送信する。当該電力量の情報は、後述する保存部30に保存される。
【0016】
無線電力移送装置3は、屋外及び屋内のどちらに設置されてもよい。屋外の設置場所は、例えば、電柱、街路灯、建築物の外壁、及び路面等が挙げられる。また、屋内の設置場所は、例えば、商業施設内、駅構内、及び住宅内等が挙げられる、
【0017】
電気機器4は、蓄電池を備える。また、電気機器4は、蓄電池から外部に送電、又は外部から蓄電池に受電の何れか一方又は両方が可能な電力移送インターフェースを備える。電力移送インターフェースは無線送電技術によるものである。電気機器4は、蓄電池の状態を監視する蓄電池監視部を備える。当該蓄電池監視部により、蓄電池の充電残量、及び蓄電池の送電量又は受電量等を取得する。
さらに、電気機器4は、電力融通制御装置1と後述するネットワーク5を介して通信可能な装置である。電気機器4は、一定時間おき(例えば、10分おき)に、電気機器4の蓄電池の充電残量と、電気機器4の位置を表す位置情報とを含む電気機器情報を、ネットワーク5を介して電力融通制御装置1に送信する。当該電気機器情報は、後述する保存部30に保存される。
【0018】
電気機器4は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、ビーコン受信機、Wi-Fi(Wireless Fidelity)受信機等によって、位置情報を取得する。
【0019】
電気機器4は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話機、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の携帯電子機器及び電気自動車、電動バイク等の電動モビリティが挙げられる。
【0020】
ネットワーク5は、例えば、インターネットプロトコル(Internet Protocol;IP)によって通信可能なコンピュータネットワークである。なお、ネットワーク5は、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network;LAN)、携帯電話網も含んでいる。また、ネットワーク5は、インターネットに接続されていてもよい。
【0021】
<電力融通制御装置1>
図2に示すように電力融通制御装置1は、制御部10と保存部30と通信部40とを備える。
【0022】
制御部10は、電力融通制御装置1の全体を制御する。制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。
図3に示すように制御部10の各種機能、すなわち電気機器位置情報取得部11、無線電力移送装置特定部12、電力融通指示部13、電気機器充電残量取得部14、電力移送効率取得部15、無線電力移送装置切替部16、無線電力移送装置電力量計特定部17、ユーザー電力量計特定部18及び電力量計調整部19は、例えば記憶部30に格納された所定のソフトウェア(プログラム又はアプリケーション)を実行することで実現される。制御部10の各種機能、すなわち電気機器位置情報取得部11、無線電力移送装置特定部12、電力融通指示部13、電気機器充電残量取得部14、電力移送効率取得部15、無線電力移送装置切替部16、無線電力移送装置電力量計特定部17、ユーザー電力量計特定部18、及び電力量計調整部19は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0023】
保存部30は、所定のソフトウェア(プログラム又はアプリケーション)を保存する。保存部30は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の書き換え可能なメモリで構成される。
【0024】
保存部30は、無線電力移送装置3及び電気機器4から送信された情報を保存する。また、保存部30は、複数の無線電力移送装置3の位置情報、電気機器4のユーザー情報、及び電気機器4のユーザーが属する世帯の電気契約情報等の電力融通を行うために必要な情報を予め保存する。
【0025】
通信部40は、ネットワーク5を介して無線電力移送装置3と電気機器4とが取得した情報及び電力融通制御装置1からの制御信号の送受信を行う。
【0026】
電気機器位置情報取得部11は、電気機器4の位置情報を取得する。
【0027】
無線電力移送装置特定部12は、電気機器4の位置情報と保存部30に保存された無線電力移送装置3の位置情報とを基に、当該電気機器4と送電可能な無線電力移送装置3を特定する。当該特定された無線電力移送装置3は、複数の特定された無線電力移送装置3であってもよい。
無線電力移送装置3の特定は、例えば、電気機器4の位置から所定の距離内(例えば、10m以内)であるか否かを基に行う。当該所定の距離は、無線電力移送装置3及び電気機器4で用いられる無線送電技術が無線電力移送可能な距離の範囲で設定することができる。
【0028】
電力融通指示部13は、電力機器4及び無線電力移送装置3に対して、電気機器4と特定された無線電力移送装置3との間で無線電力移送によって、電力の融通を行う指示を与える。当該電力融通を行う指示は、1つの電気機器4に対して複数の特定された無線電力移送装置3が無線電力移送を行う指示であってもよい。
【0029】
電気機器充電残量取得部14は、電気機器4から電気機器4の蓄電池の充電残量を取得する。電力融通指示部13は、当該充電残量に基づき、当該電気機器4の蓄電池と特定された無線電力移送装置3との間で、電力融通の開始及び終了を決定する。
【0030】
電力融通の開始は、例えば、以下のように決定される。
特定された無線電力移送装置3から電気機器4の蓄電池への送電は、電気機器4の蓄電池の充電残量が基準値未満(例えば、90%未満)の場合に開始する。
また、電気機器4の蓄電池から特定された無線電力移送装置3への送電は、電気機器4の蓄電池の充電残量が基準値以上(例えば、51%以上)の場合に開始する。
当該2つの基準値は、電気機器4のユーザーが任意の値で設定することができる。
【0031】
電力融通の終了は、例えば、以下のように決定される。
特定された無線電力移送装置3から電気機器4の蓄電池への送電は、電気機器4の蓄電池の充電残量が基準値以上(例えば、90%以上)の場合に終了する。
また、電気機器4の蓄電池から特定された無線電力移送装置3への送電は、電気機器4の蓄電池の充電残量が基準値未満(例えば、51%未満)の場合に終了する。
当該2つの基準値は、電気機器4のユーザーが任意の値で設定することができる。
【0032】
電気事業者は、電力供給が電力需要を上回ることが予測される場合(以下、「発電量過剰時」)又は電力需要が電力供給を上回ることが予測される場合(以下、「発電量不足時」)、特定された無線電力移送装置3と電気機器4の蓄電池との間で、電力融通の開始を決定する基準値又は終了を決定する基準値、又はその両方の基準値を変更することができる。当該基準値の変更は、電気機器4のユーザーの許可によって行うことができる。当該電気機器4のユーザーの許可は、電気事業者が発電量過剰時又は発電量不足時に当該電気機器4のユーザーに通知を行うことによって許可を得てもよいし、当該電気機器4のユーザーに予め許可を得ていてもよい。
【0033】
当該基準値の変更は、例えば、以下のように行う。
特定された無線電力移送装置3から電気機器4の蓄電池への送電について、発電量過剰時の場合を説明する。
電気機器4のユーザーが、電力融通の開始の基準値を当該電気機器4の蓄電池の充電残量が90%未満、電力融通の終了の基準値を当該電気機器4の蓄電池の充電残量が90%以上としていたとする。電気事業者は、当該電気機器4のユーザーの許可によって、電力融通の開始の基準値を当該電気機器4の蓄電池の充電残量が100%未満、電力融通の終了の基準値を当該電気機器4の蓄電池の充電残量が100%に変更することができる。
電気機器4の蓄電池から特定された無線電力移送装置3への送電について、発電不足剰時の場合を説明する。
電気機器4のユーザーが、電力融通の開始の基準値を当該電気機器4の蓄電池の充電残量が51%以上、電力融通の終了の基準値を当該電気機器4の蓄電池の充電残量が51%未満としていたとする。電気事業者は、当該電気機器4のユーザーの許可によって、電力融通の開始の基準値を当該電気機器4の蓄電池の充電残量が31%以上、電力融通の終了の基準値を当該電気機器4の蓄電池の充電残量が31%未満に変更することができる。
【0034】
電力移送効率取得部15は、電気機器4の蓄電池と無線電力移送装置3との無線電力移送による電力移送の効率を取得する。
【0035】
電力移送効率の計算は、例えば、以下のような方法で行う。
無線電力移送装置3から電気機器4の蓄電池に対して電力を無線電力移送する場合、無線電力移送装置3からの送電量をE3tとし、電気機器4の蓄電池の受電量をE4rとする。電力移送効率は、下記式(a)で求められる。
E4r/E3t・・・(a)
また、電気機器4の蓄電から池無線電力移送装置3に対して電力を無線電力移送する場合、電気機器4の蓄電池からの送電量をE4tとし、無線電力移送装置3の受電量をE3rとする。電力移送効率は、下記式(b)で求められる。
E3r/E4t・・・(b)
【0036】
無線電力移送装置切替部16は、取得した電力移送効率が基準値以上(例えば、80%以上)であるかに基づき、電気機器4の蓄電池と無線電力移送を行う無線電力移送装置3を、前述の特定された無線電力移送装置3とは異なる無線電力移送装置3に切替る。
【0037】
例えば、式(a)又は(b)によって得られた電力移送効率が基準値未満となった場合、無線電力移送装置特定部12によって、電気機器4の蓄電池と無線電力移送可能な異なる無線電力移送装置3を特定する。
【0038】
電力融通指示部13は、特定された異なる無線電力移送装置3によって、電力機器4の蓄電池と無線電力移送装置3の間で電力の融通を行う指示を与える。
【0039】
電気機器4の蓄電池と何れの特定された異なる無線電力移送装置3との間でも電力移送効率が、前述の基準値未満の場合、電力融通指示部13は、電力の融通を終了する指示を与える。
【0040】
無線電力移送装置電力量計特定部17は、電気機器4の蓄電池と無線電力移送を行っている無線電力移送装置3の電力量を測定している電力量計(以下、電力量計A)を特定する。
【0041】
ユーザー電力量計特定部18は、電気機器4のユーザー情報を保存部30から取得する。また、ユーザー電力量計特定部18は、当該ユーザー情報を基に電気機器4のユーザーが属する世帯の電気契約と保存部30から取得する。当該電気契約情報によって、ユーザーの属する世帯が利用している電力量計(以下、電力量計B)を特定する。
【0042】
電力量計調整部19は、無線電力移送装置3が電気機器4の蓄電池との無線電力移送によって、電力量計A及び電力量計Bがそれぞれ測定した電力量を調整する。
【0043】
電力量計A及び電力量計Bによる電力量の調整は、例えば、以下のように行う。
無線電力移送装置3から電気機器4の蓄電池へ無線電力移送を行う場合、当該無線電力移送による電力量は電力量計Aで測定される。当該電力量に係る電力は、電気機器4のユーザーが利用したものである。そのため、電力量計Aによって測定された電力量に係る料金は電気機器4のユーザーが負担するものである。そこで、電力量計調整部19は、電力量計Aにより測定された電力量を、電力量計Bの測定値から調整する。
また、電気機器4の蓄電池から無線電力移送装置3へ無線電力移送を行う場合、当該無線電力移送による電力量は電力量計Aで測定される。当該電力量に係る電力は、電気機器4のユーザーが電気事業者に売却したものである。そのため、電力量計Aによって測定された電力量に係る売電利益は電気機器4のユーザーが得るものである。そこで、電力量計調整部19は、電力量計Aにより測定された電力量を、電力量計Bの測定値から調整する。
【0044】
具体的には、無線電力移送装置3から電気機器4の蓄電池に5Whの電力を送電した場合、電力量計Aの供給用指示数(電気事業者から需要家への送電量を示す値)から5Whを引き、電力量計Bの供給用指示数に5Whを足す。
また、電気機器4の蓄電池から無線電力移送装置3に5Whの電力を送電した場合、電力量計Aの受給用指示数(需要家から電気事業者への送電量を示す値)から5Whを引き、電力量計Bの受給用指示数に5Whを足す。
【0045】
以上の通り、本発明者により、以下の(1)から(4)が提供される。
(1)蓄電池を有する電気機器4と電力系統2との間で電力融通を行う制御装置であって、
電気機器4の位置情報を取得する電気機器位置情報取得部11と、
電気機器4の蓄電池と無線電力移送を行う電力系統2に接続された複数の無線電力移送装置3の位置情報を保存した保存部30と、
電気機器位置情報取得部11から取得された電気機器4の位置及び保存部30に保存された無線電力移送装置3の位置から、複数の無線電力移送装置3のうち、無線電力移送可能な無線電力移送装置3を特定する無線電力移送装置特定部12と、
電気機器4の蓄電池と、特定された無線電力移送装置3との間の電力融通の指示を行う電力融通指示部13と、
を備える電力融通制御装置1。
(2)電気機器4の蓄電池の充電残量を取得する電気機器充電残量取得部14と、
電気機器4の蓄電池の充電残量に基づき、電気機器4の蓄電池と特定された無線電力移送装置3に送電又は受電を行う指示をする電力融通指示部13と、
電気機器4の蓄電池と特定された無線電力移送装置3との間の電力移送効率を取得する電力移送効率取得部15と、
電力移送効率取得部15によって取得された電力移送効率に基づき、電気機器4の蓄電池と無線電力移送を行う特定された無線電力移送装置3を、複数の無線電力移送装置3のうち特定された無線電力移送装置3とは異なる無線電力移送装置3に切替える無線電力移送装置切替部16と、
を備える(1)に記載の電力融通制御装置1。
(3)特定された無線電力移送装置3の電力量計を特定する無線電力移送装置電力量計特定部17と、
電気機器4のユーザーの電力契約情報を保存する保存部30と、
電力契約情報に基づき、ユーザーの電力契約で利用されている電力量計を特定するユーザー電力量計特定部18と、
特定された無線電力移送装置3の電力量計が示す無線電力移送量に基づき、特定された無線電力移送装置3の電力量計の測定値とユーザーの電力契約で利用されている電力量計の測定値とを調整する電力量計調整部19と、
を備える、(1)又は(2)に記載の電力融通制御装置1。
(4)(1)から(3)に記載の電力融通制御装置1を利用した電力融通方法。
【0046】
これにより、電力の送電時又は受電時も移動する電気機器4の蓄電池と電力系統2との間で、無線電力移送装置3を介して電力の融通を行うことができる。
【0047】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。本実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
100 電力融通システム
1 電力融通制御装置
2 電力系統
3 無線電力移送装置
4 電気機器
10 制御部
11 電気機器位置情報取得部
12 無線電力移送装置特定部
13 電力融通指示部
14 電気機器充電残量取得部
15 電力移送効率取得部
16 無線電力移送装置切替部
17 無線電力移送装置電力量計特定部
18 ユーザー電力量計特定部
19 電力量計調整部
30 保存部
40 通信部
【要約】
電力の送電時又は受電時も移動する電気機器の蓄電池と、電力系統との間で電力取引を行う電力融通制御装置及びこれを用いた電力融通方法を提供する。
蓄電池を有する電気機器と電力系統との間で電力融通を行う制御装置であって、電気機器の位置情報を取得する電気機器位置情報取得部と、電気機器の蓄電池と無線電力移送を行う電力系統に接続された複数の無線電力移送装置の位置情報を保存した保存部と、電気機器位置情報取得部から取得された電気機器の位置及び保存部に保存された無線電力移送装置の位置から、複数の無線電力移送装置のうち、無線電力移送可能な無線電力移送装置を特定する無線電力移送装置特定部と、電気機器の蓄電池と、特定された無線電力移送装置との間の電力融通の指示を行う電力融通指示部と、を備える電力融通制御装置。