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特許7384335駆動基板及びその製作方法並びに表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】駆動基板及びその製作方法並びに表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231114BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20231114BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231114BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20231114BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20231114BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20231114BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G09F9/30 317
G02F1/1333 500
G09F9/00 338
G09F9/33
H05K1/02 A
H05K1/09 B
H05K1/09 C
H05K3/46 B
H05K3/46 S
H05K3/46 T
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021564455
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 CN2019113006
(87)【国際公開番号】W WO2021077354
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】汪 建国
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109597245(CN,A)
【文献】国際公開第2015/104928(WO,A1)
【文献】特開2018-190999(JP,A)
【文献】特開2010-278217(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109031779(CN,A)
【文献】国際公開第2017/159613(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1333
G09F9/00-9/46
H05K1/00-1/02
1/09
1/16
3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動基板であって、
ベース基板と、
前記ベース基板上に位置する応力緩衝層と、
前記応力緩衝層の前記ベース基板から離れた側に位置し、前記応力緩衝層と接触する配線の厚さが1μmよりも大きく且つ30μm以下である配線構造と、
前記配線構造の前記ベース基板から離れた側に位置する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の前記ベース基板から離れた側に位置し、前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して配線構造に接続される複数の電子部品と
を含み、
前記配線構造は、少なくとも2つの層の配線層を含み、各層の配線は、複数の配線を含み、隣接する二層の配線層の間には第2絶縁層が介され、前記ベース基板に近い方から前記ベース基板から離れた方に向かう方向で、前の層の各配線は前記第2絶縁層を貫通するビアホールを介して後の層の少なくとも1つの配線に接続され、
前記駆動基板は、表示領域と、表示領域の周辺に位置するバインディング領域とを含み、前記第2絶縁層を貫通するビアホールは、前記表示領域に位置する第1ビアホールと、前記バインディング領域に位置する第2ビアホールとを含み、前記第1ビアホールの直径は、前記第2ビアホールの直径よりも小さいことを特徴とする駆動基板。
【請求項2】
記ベース基板に近い方から前記ベース基板から離れた方に向かう方向で、後の層の各配線は少なくとも1つの電子部品に接続されることを特徴とする請求項1に記載の駆動基板。
【請求項3】
前記配線構造は、第1層の配線層と、第2層の配線層とを含み、前記第1層の配線層は、相互に絶縁された複数の第1配線を含み、前記第2層の配線層は、相互に絶縁された複数の第2配線を含み、前記第1配線の各々は、前記第2絶縁層を貫通するビアホールを介して少なくとも1つの前記第2配線に接続され、前記第2配線の各々は、前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して少なくとも1つの電子部品に接続されることを特徴とする請求項2に記載の駆動基板。
【請求項4】
前記第2層の配線層は、アレイに配置された複数のグループの第2配線を含み、各グループの第2配線は、ほぼ四角形のリング形状に沿って分布されることを特徴とする請求項3に記載の駆動基板。
【請求項5】
前記第1配線及び/又は前記第2配線は、銅層を含むことを特徴とする請求項3に記載の駆動基板。
【請求項6】
前記第1配線は、前記銅層の前記ベース基板に近い側に位置する第1金属層を更に含み、前記第1金属層と前記応力緩衝層との間の接着力は、前記銅層と前記応力緩衝層との間の接着力よりも大きく、且つ/又は
前記第2配線は、前記銅層の前記ベース基板に近い側に位置する第2金属層を含み、前記第2金属層と前記第2絶縁層との間の接着力は、前記銅層と前記第2絶縁層との間の接着力よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の駆動基板。
【請求項7】
前記第1金属層及び前記第2金属層は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用することを特徴とする請求項6に記載の駆動基板。
【請求項8】
前記第1金属層の厚さは5~50nmであり、前記第2金属層の厚さは5~50nmであり、前記銅層の厚さは1~30μmであることを特徴とする請求項7に記載の駆動基板。
【請求項9】
前記第1配線は、前記銅層の前記ベース基板から離れた側に位置する第1導電保護層を更に含み、且つ/又は
前記第2配線は、前記銅層の前記ベース基板から離れた側に位置する第2導電保護層を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の駆動基板。
【請求項10】
前記第1導電保護層及び前記第2導電保護層は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用することを特徴とする請求項9に記載の駆動基板。
【請求項11】
前記第1導電保護層の厚さは5~50nmであり、前記第2導電保護層の厚さは5~50nmであることを特徴とする請求項10に記載の駆動基板。
【請求項12】
前記応力緩衝層は、SiN、SiO、SiONのうちの少なくとも1つを採用することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の駆動基板。
【請求項13】
前記駆動基板は、前記第2配線の前記ベース基板から離れた側の表面上に位置するNiAu及びSnからなる合金を更に含み、
前記電子部品は、前記合金を介して前記第2配線に接続されることを特徴とする請求項3から11のいずれか一項に記載の駆動基板。
【請求項14】
前記駆動基板は、前記第1絶縁層の前記ベース基板から離れた側に位置する光反射パターンを更に含み、
前記光反射パターンの前記ベース基板上の正投影は、前記電子部品の前記ベース基板上の正投影と少なくとも部分的に重ならないことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の駆動基板。
【請求項15】
前記ベース基板は、ガラス基板又は石英基板であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の駆動基板。
【請求項16】
前記電子部品は、LEDであることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の駆動基板。
【請求項17】
表示装置であって、
請求項1から16のいずれか一項に記載の駆動基板を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項18】
駆動基板の製作方法であって、
ベース基板を提供するステップと、
前記ベース基板上に応力緩衝層を形成するステップと、
応力方向が前記応力緩衝層の応力方向と反対であり、前記応力緩衝層と接触する導電層の厚さは1μmよりも大きく且つ30μm以下であり各層の導電層が複数の配線を含み、配線構造を形成するための少なくとも層の導電層を、前記応力緩衝層上に形成するステップと、
隣接する二層の導電層の間には第2絶縁層を形成するステップと、
前記配線構造を覆う第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して配線構造に接続される複数の電子部品を、前記第1絶縁層上にバインディングするステップと
を含み、
前記ベース基板に近い方から前記ベース基板から離れた方に向かう方向で、前の導電層の各配線は前記第2絶縁層を貫通するビアホールを介して後の導電層の少なくとも1つの配線に接続され、
前記駆動基板は、表示領域と、表示領域の周辺に位置するバインディング領域とを含み、前記第2絶縁層を貫通するビアホールは、前記表示領域に位置する第1ビアホールと、前記バインディング領域に位置する第2ビアホールとを含み、前記第1ビアホールの直径は、前記第2ビアホールの直径よりも小さいことを特徴とする駆動基板の製作方法。
【請求項19】
各層の導電層を形成するステップは、
積層されて前記導電層を構成する複数層の導電副層をそれぞれ形成するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の駆動基板の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示技術分野に関し、特に、駆動基板及びその製作方法並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは、通常、表示パネルを構成する光源に用いられる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施例は、大型サイズの駆動基板を実現可能な駆動基板及びその製作方法並びに表示装置を提供する。
【0004】
上記の技術的課題を解決するために、本開示の実施例は、以下のような技術方案を提供する。
【0005】
一態様では、駆動基板が提供される。前記駆動基板は、ベース基板と、前記ベース基板上に位置する応力緩衝層と、前記応力緩衝層の前記ベース基板から離れた側に位置し、前記応力緩衝層と接触する配線の厚さが閾値よりも大きい配線構造(wiring structure)と、前記配線構造の前記ベース基板から離れた側に位置する第1絶縁層と、前記第1絶縁層の前記ベース基板から離れた側に位置し、前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して配線構造に接続される複数の電子部品とを含む。
【0006】
いくつかの実施例では、前記配線構造は、少なくとも2つの層の配線層を含み、各層の配線は、複数の配線を含み、隣接する二層の配線層の間には第2絶縁層が介され、前記ベース基板に近い方から前記ベース基板から離れた方に向かう方向において、前の層の各配線は後の層の少なくとも1つの配線に接続され、最後の層の各配線は少なくとも1つの電子部品に接続される。
【0007】
いくつかの実施例では、前記配線構造は、第1層の配線層と、第2層の配線層とを含み、前記第1層の配線層は、相互に絶縁された複数の第1配線を含み、前記第2層の配線層は、相互に絶縁された複数の第2配線を含み、前記第1配線の各々は、前記第2絶縁層を貫通するビアホールを介して少なくとも1つの前記第2配線に接続され、前記第2配線の各々は、前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して少なくとも1つの電子部品に接続される。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第2層の配線層は、アレイに配置された複数のグループの第2配線を含み、各グループの第2配線は、ほぼ四角形のリング形状に沿って分布される。いくつかの実施例では、前記第1配線及び/又は前記第2配線は、銅層を含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1配線は、前記銅層の前記ベース基板に近い側に位置する第1金属層を更に含み、前記第1金属層と前記応力緩衝層との間の接着力は、前記銅層と前記応力緩衝層との間の接着力よりも大きく、且つ/又は前記第2配線は、前記銅層の前記ベース基板に近い側に位置する第2金属層を含み、前記第2金属層と前記第2絶縁層との間の接着力は、前記銅層と前記第2絶縁層との間の接着力よりも大きい。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1金属層及び前記第2金属層は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用する。
【0011】
いくつかの実施例では、前記第1金属層の厚さは5~50nmであり、前記第2金属層の厚さは5~50nmであり、前記銅層の厚さは1~30μmである。
【0012】
いくつかの実施例では、前記第1配線は、前記銅層の前記ベース基板から離れた側に位置する第1導電保護層を更に含み、且つ/又は前記第2配線は、前記銅層の前記ベース基板から離れた側に位置する第2導電保護層を更に含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第1導電保護層及び前記第2導電保護層は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用する。
【0014】
いくつかの実施例では、前記第1導電保護層の厚さは5~50nmであり、前記第2導電保護層の厚さは5~50nmである。
【0015】
いくつかの実施例では、前記応力緩衝層は、SiN、SiO、SiONのうちの少なくとも1つを採用する。
【0016】
いくつかの実施例では、前記駆動基板は、前記第2配線の前記ベース基板から離れた側の表面上に位置するNiAu及びSnからなる合金を更に含み、前記電子部品は、前記合金を介して前記第2配線に接続される。
【0017】
いくつかの実施例では、前記駆動基板は、前記第1絶縁層の前記ベース基板から離れた側に位置する光反射パターンを更に含み、前記光反射パターンの前記ベース基板上の正投影は、前記電子部品の前記ベース基板上の正投影と少なくとも部分的に重ならない。
【0018】
いくつかの実施例では、前記ベース基板は、ガラス基板又は石英基板である。
【0019】
いくつかの実施例では、前記電子部品は、LEDである。
【0020】
いくつかの実施例では、前記駆動基板は、表示領域と、表示領域の周辺に位置するバインディング領域とを含み、前記第2絶縁層を貫通するビアホールは、前記表示領域に位置する第1ビアホールと、前記バインディング領域に位置する第2ビアホールとを含み、前記第1ビアホールの直径は、前記第2ビアホールの直径よりも小さい。
【0021】
いくつかの実施例では、前記閾値は、1μmである。
【0022】
本開示の実施例は、上記のような駆動基板を含む表示装置を更に提供する。
【0023】
本開示の実施例は、駆動基板の製作方法を更に提供する。前記駆動基板の製作方法は、ベース基板を提供するステップと、前記ベース基板上に応力緩衝層を形成するステップと、応力方向が前記応力緩衝層の応力方向と反対であり、前記応力緩衝層と接触する導電層の厚さは閾値よりも大きく、配線構造を形成するための少なくとも一層の導電層を、前記応力緩衝層上に形成するステップと、前記配線構造を覆う第1絶縁層を形成するステップと、前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して配線構造に接続される複数の電子部品を、前記第1絶縁層上にバインディングするステップとを含む。
【0024】
いくつかの実施例では、前記閾値は、1μmである。
【0025】
いくつかの実施例では、各層の導電層を形成するステップは、積層されて前記導電層を構成する複数層の導電副層をそれぞれ形成するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の実施例に係る駆動基板の平面概略図である。
図2】本開示の実施例に係る図1のAA方向での断面概略図である。
図3】本開示の実施例に係る図1のBB方向での断面概略図である。
図4】本開示の実施例に係る第2配線の構成概略図である。
図5図1におけるC部分の等価回路図である。
図6】本開示の別の実施例に係る図1のBB方向での断面概略図である。
図7】本開示の実施例に係るベース基板上に応力緩衝層及び第1配線が形成された後の概略図である。
図8】本開示の実施例に係る第2絶縁層が形成された後の概略図である。
図9】本開示の実施例に係る第2配線及び第1絶縁層が形成された後の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施例が解決しようとする技術的課題、技術方案及び利点をより明確にするために、以下では、添付の図面及び具体的な実施例と併せて詳細に記述することにする。
【0028】
HDR(High―Dynamic Range、ハイダイナミックレンジ)技術は、液晶ディスプレイのコントラスト及び観察体験を著しく向上させ、HDRに必要な完璧な高コントラスト及び優れた色表現力を示すことができる。ゾーン別に制御されるLED(発光ダイオード)面光源は、HDR技術を実現でき、表示効果を大幅に向上させる。LED面光源に大きな電流負荷がかかるため、厚さが1~6μmであるCuを採用してLED基板の配線を製作する必要がある。関連技術では、LEDをプリント回路基板にバインディングし、FPC(フレキシブルプリント回路)は、プリント回路基板上の信号線路を介してそれに電気信号を提供している。プリント回路基板は、コスト制限で、通常、小型サイズの規格になっているため、大型サイズのLED面光源を必要とする場合、小型サイズのプリント回路基板を接ぎ合せて形成すべきである。但し、隣接するプリント回路基板の接ぎ合せ箇所にFPC(フレキシブルプリント回路)のバインディング位置を残しておく必要があり、LED面光源のフレームが非常に広くなって(通常、センチメートルレベル)、ディスプレイ製品の解像度及び表示効果に影響を与える。
【0029】
本発明者は、接ぎ合わされていない大型サイズの面光源を作製し、製造コストを削減するために、LEDを駆動する信号線路をガラス基板上に製作することが考えられ得ることを発見した。然しながら、ガラス基板の素地が比較的脆弱であり、ガラス基板上に厚さが比較的大きい銅層を形成する時に発生する応力により、ガラス基板が砕けてしまう。
【0030】
上記の問題点に鑑み、本発明の実施例は、大型サイズの駆動基板を実現可能な駆動基板及びその製作方法並びに表示装置を提供する。
【0031】
本開示の実施例は、駆動基板を提供する。前記駆動基板は、ベース基板と、前記ベース基板上に位置する応力緩衝層と、前記応力緩衝層の前記ベース基板から離れた側に位置し、前記応力緩衝層と接触する配線の厚さが閾値よりも大きい配線構造と、前記配線構造の前記ベース基板から離れた側に位置する第1絶縁層と、前記第1絶縁層の前記ベース基板から離れた側に位置し、前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して配線構造に接続される複数の電子部品とを含む。
【0032】
本実施例では、ベース基板上に応力緩衝層が設置され、応力緩衝層は、ベース基板上に導電層を形成する時に発生する応力を緩和でき、ベース基板が砕けないようにする。このように、ベース基板上に厚さが比較的大きい導電層を形成でき、厚さが比較的大きい導電層を利用して配線を製作することで、駆動基板の配線に対する抵抗率要求を満たすことができ、したがってベース基板上に設置される電子部品を駆動でき、大型サイズの駆動基板を実現し、ディスプレイ製品の解像度及び表示効果を改善させる。具体的には、上記の閾値は、1μmであり得る。
【0033】
ベース基板は、ガラス基板又は石英基板であり得る。ベース基板のサイズは、3m×3m以上に達し得、したがって本開示の技術方案を利用して大型サイズの駆動基板の量産を実現することができる。電子部品は、マイクロメートルレベルのサイズのLEDであり得、即ち、本開示の技術方案は、大型サイズのLED基板を実現することができる。
【0034】
駆動基板上の電子部品の密度を高めるために、前記配線構造は、少なくとも2つの層の配線層を含み得、各層の配線は、複数の配線を含み、隣接する二層の配線層の間には第2絶縁層が介され、前記ベース基板に近い方から前記ベース基板から離れた方に向かう方向で、前の層の各配線は後の層の少なくとも1つの配線に接続され、最後の層の各配線は少なくとも1つの電子部品に接続される。
【0035】
具体的な一実施例では、前記配線構造は、第1層の配線層と第2層の配線層とを含み得、前記第1層の配線層は、相互に絶縁された複数の第1配線を含み、前記第2層の配線層は、相互に絶縁された複数の第2配線を含み、前記第1配線の各々は、前記第2絶縁層を貫通するビアホールを介して少なくとも1つの前記第2配線に接続され、前記第2配線の各々は、前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して少なくとも1つの電子部品に接続される。
【0036】
もちろん、配線構造は、2つの層の配線層を含むことに限らず、より多くの層の配線層を含み得る。配線構造の配線層が多いほど、配置可能な電子部品の密度が大きくなる。
【0037】
図1は、本開示の実施例に係る駆動基板の平面概略図であり、図2は、図1のAA方向での断面概略図であり、図3は、図1のBB方向での断面概略図である。図1乃至図3に示すように、具体的な一実施例では、電子部品がLEDである場合を例として、駆動基板は、ベース基板1と、ベース基板1上に位置する応力緩衝層2と、応力緩衝層2上に位置する第1配線3と、第1配線3を覆う第2絶縁層4と、第2絶縁層4上に位置する第2配線5と、第2配線5を覆う第1絶縁層6と、第1絶縁層6上に位置するLED7とを含み、LED7は、第1絶縁層6を貫通するビアホール11を介して第2配線5に接続され、図1及び図3における点線の円で示されている位置は、ビアホール11の位置である。各第1配線3は、複数の第2配線5に接続され、第1配線3は、第2絶縁層4に位置するビアホール12を介して第2配線5に接続され、図1及び図2における点線のボックスで示されている位置は、ビアホール12の位置である。第2配線5は、複数のLED7に接続され、隣接するLED7を接続させる役割を果たす。図3に示すように、各LED7は、N pad71と、P pad72とを含み、LED7のN pad71及びP pad72は、それぞれ、第1絶縁層6を貫通するビアホール11を介して異なる位置にある第2配線5に接続される。
【0038】
具体的には、図1に示すように、第2配線5は、アレイに配置された複数のグループに分かれる。いくつかの実施例では、各グループの第2配線5は、4つのLED7に接続され、各グループの第2配線5は、ほぼ四角形のリング形状に沿って分布され得る。もちろん、各グループの第2配線5は、リング形状を構成することに限らず、他の形状であっても良い。
【0039】
図5は、図1のC部分の等価回路図である。図5に示すように、各グループの第2配線5は、アノード配線51と、接続線53と、カソード配線52とを含み、各グループの第2配線5は、4つのLEDに接続され、4つのLEDは、2つが直列接続され且つ2つが並列接続されるように接続され、アノード配線51は、LEDのアノードに接続され、カソード配線52は、LEDのカソードに接続され、接続線53は、LEDのアノードを、隣接するLEDのカソードに接続させる。
【0040】
駆動基板の電流負荷が大きいため、配線の抵抗性能に対する要求が高い。銅は、導電性に優れているため、銅を採用して第1配線を製作し得る。図2及び図3に示すように、第1配線3は、銅層32を含み、電流負荷の大きさに応じて銅層32の厚さが調節され得る。電流負荷が大きいほど、銅層32の厚さが大きくなり、銅層32の厚さは、1~30μmであり得る。銅層32は、スパッタリング、電気めっき、化学めっき等の方式によって完成され得る。応力緩衝層2は、SiN、SiO及びSiONのうちの1つ又は複数の絶縁材料を採用し得、形成された銅層32と反対の応力方向を有する。このように、銅層32を形成する時に発生する応力をオフセットし、ベース基板1が砕けるのを回避できる。形成された銅層32の厚さが大きいほど、発生する応力が大きくなるため、銅層32を形成する時に発生する応力をさらに低減するために、厚さが比較的小さい複数層の銅層を複数回に分けてそれぞれ形成し得る。厚さが比較的小さい複数層の銅層が積層されて銅層32が構成され、銅層を複数回に分けて堆積する方式は、銅の熱応力を効果的に低減することができる。
【0041】
圧縮応力とは、物体の圧縮傾向に抵抗する応力を指す。引張応力とは、物体に引張傾向を持たせる外力に対する物体の反作用力を指す。圧縮応力の応力方向は、引張応力の応力方向と反対であり、膜層の厚さが増加するにつれて、応力が大きくなる。銅層32は、引張応力を示し、応力緩衝層2は、圧縮応力を示す。
【0042】
応力緩衝層2がSiNを採用する場合を例にして、先ずベース基板上に圧縮応力を示す一層のSiNを堆積してから、引張応力を示す1つの銅層を堆積する。応力緩衝層の応力方向は、銅層の応力方向と反対であり、応力オフセットが現われるため、ベース基板の反り歪みを大幅に低減することができる。実験により、応力緩衝層を追加することでベース基板上に厚さが3μmである銅層が形成され、この時、ベース基板の反り歪みは、応力緩衝層のない場合においてベース基板上に厚さが1μmである銅層を形成する時のベース基板の反り歪みに相当するにすぎないことが検証されている。
【0043】
関連技術において、ベース基板上に厚さが比較的大きい銅層を堆積する場合、ベース基板の過度の反り歪みによりベース基板が砕ける場合が発生し得る。本開示では、ベース基板上に応力緩衝層2が設置され、応力緩衝層2の応力により銅層の応力をオフセットでき、応力緩衝層2の厚さを調節することで、ベース基板の反り歪みを改善でき、ベース基板が砕けないことを保証する前提で、堆積可能な銅層の厚さを増加させる。
【0044】
いくつかの実施例では、図2及び図3に示すように、第1配線3は、銅層32のベース基板1に近い側に位置する第1金属層31を更に含む。第1金属層31と応力緩衝層2との間の接着力は、銅層32と応力緩衝層2との間の接着力よりも大きく、このように、第1金属層31によって、第1配線3と応力緩衝層2との間の接着力を増加させ、第1配線3がベース基板1から脱落されるのを防止することができる。具体的には、第1金属層31は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用し得る。第1金属層31の厚さは、比較的大きく設定される必要がなく、5~50nmであり得る。
【0045】
銅層32は、空気に接触された後に表面が酸化されやすいので、導電性能に影響を与える。図2及び図3に示すように、第1配線3は、銅層32のベース基板1から離れた側に位置する第1導電保護層33を更に含む。第1導電保護層33は、容易に酸化されない金属又は透明導電性材料を選んで使用し得る。具体的には、第1導電保護層33は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用し得る。第1導電保護層33は、銅層32の表面が酸化されないよう銅層32を保護することができる。第1導電保護層33の厚さは、比較的大きく設定する必要がなく、5~50nmであり得る。
【0046】
第1配線3は、第2絶縁層4で覆われており、第2絶縁層4は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機絶縁材料を採用し得、したがって第1配線3が後続の高温工程で酸化されないよう保護し、第2絶縁層4の厚さは、50~300nmであり得る。第2絶縁層4は、例えば有機樹脂等の厚さが比較的大きい有機絶縁材料を採用して、第1配線3間のギャップを充填し、後続の工程のために平坦な表面を提供して、後続の工程で大きな段差が生じるのを回避することもできる。このように、LEDバインディングが行われる時にLED変位の問題が発生することがない。このとき、第2絶縁層4の厚さは、第1配線3の厚さ以上であるべきであり、1~30μmであり得る。
【0047】
第2絶縁層4上に第2配線5が設置されている。第2配線5の厚さは、あまり大きく設定される必要がなく、300~900nmであり得る。銅は、導電性能に優れているため、銅を採用して第2配線5を製作し得る。図4に示すように、第2配線5は、銅層52を含む。銅層52は、スパッタリング、電気めっき、化学めっき等の方式によって完成され得る。いくつかの実施例では、図4に示すように、第2配線5は、銅層52のベース基板1に近い側に位置する第2金属層51を更に含む。第2金属層51と第2絶縁層4との間の接着力は、銅層52と第2絶縁層4との間の接着力よりも大きく、このように、第2金属層51によって、第2配線5と第2絶縁層4との間の接着力を増加させることができ、第2配線5がベース基板1から脱落されるのを防止する。具体的には、第2金属層51は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用し得る。第2金属層51の厚さは、比較的大きく設定される必要がなく、5~50nmであり得る。
【0048】
銅層52は、空気に接触された後に表面が酸化されやすいので、導電性能に影響を与える。図4に示すように、第2配線5は、銅層52のベース基板1から離れた側に位置する第2導電保護層53を更に含む。第2導電保護層53は、容易に酸化されない金属又は透明導電性材料を選んで使用し得る。具体的には、第2導電保護層53は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用し得る。第2導電保護層53は、銅層52の表面が酸化されるのを回避するよう銅層32を保護することができる。第2導電保護層53の厚さは、比較的大きく設定される必要がなく、5~50nmであり得る。
【0049】
LEDを基板上に形成する場合、LEDの電極は、第2配線5に電気的に接続される。関連技術において、配線はほとんどが銅を採用し、銅が酸化されて酸化銅や窒化銅等の異物が生成されやすいため、はんだによるLEDとの結合力が比較的に弱く、LEDに大量の脱落現象が生じ、LED面光源の輝度及び歩留まりに影響を与えている。LEDはんだと基板との間の付着力を高めるために、駆動基板は、前記第2配線5の前記ベース基板1から離れた側の表面上に位置するNiAu層を更に含み得る。NiAu層は、電気めっき又は化学めっき方式によって形成され得る。第2配線5上にNiAu層を追加することで、銅層52を断絶させ、銅層52が外界により酸化されるのを回避することができる。NiAu層は、はんだと合金を形成して、LEDはんだと基板との間の付着力を大幅に向上させ、LEDの脱落を回避することもできる。LEDがはんだによって基板上に附着された後、LEDは、NiAu及びスズからなる合金10を介して第2配線5に電気的に接続される。
【0050】
NiAu層は、銅層52が外界により酸化されるのを回避できるため、第2配線5のベース基板1から離れた側の表面上にNiAu層が形成されている場合、第2導電保護層53の設置を省略し得る。
【0051】
いくつかの実施例では、前記駆動基板は、前記第1絶縁層6の前記ベース基板1から離れた側に位置する光反射パターン8を更に含み、前記光反射パターン8の前記ベース基板1上の正投影は、前記LED7の前記ベース基板1上の正投影と少なくとも部分的に重ならない。図2及び図3に示すように、前記光反射パターン8の前記ベース基板1上の正投影は、前記LED7の前記ベース基板1上の正投影とまったく重ならない。LED7から発される光線は、各々の方向を向いているため、一部のみが駆動基板の光出射側に向いて出射される。駆動基板の光出射側は、LED7のベース基板1から離れた側である。光線の利用率を向上させるために、LED7から発されて光反射パターン8に照射された光線を光反射パターン8によって光出射側に反射させることで、駆動基板の光線利用率を向上させることができる。前記光反射パターン8は、反射率が比較的高い材料を採用し得るが、具体的には、Ag、Al、Cuのうちの少なくとも1つを採用し得る。光反射パターン8の材料が導電性金属である場合、発光パターンの設置が隣接するLED7間の正常の電気的接続に影響を及ぼさないことを確保する必要がある。もちろん、光線の反射率をさらに増加させるように、発光パターン8が前記LED7のベース基板1に向かっている側に設置された部分を含んでも良いことは理解され得る。
【0052】
いくつかの実施例では、図2及び図3に示すように、前記駆動基板は、前記光反射パターン8の前記ベース基板1から離れた側に位置する光透過絶縁パターン9を更に含み、前記光透過絶縁パターン9の前記ベース基板1上の正投影は、前記光反射パターン8の外へ露出されている部分の前記ベース基板1上の正投影と重なる。光透過絶縁パターン9は、光反射パターン8が引っかかれないように、光反射パターン8を保護することができる。
【0053】
図6に示すように、光透過絶縁パターン9の光透過率が比較的良好な場合、光透過絶縁パターン9は、反射パターン8を覆うだけでなく、LED7も覆うことができ、このように、LED7も保護することができる。
【0054】
駆動基板は、表示領域と、表示領域の周辺に位置するバインディング領域とを含み、前記第2絶縁層を貫通するビアホールは、前記表示領域に位置する第1ビアホールと、前記バインディング領域に位置する第2ビアホールとを含む。バインディング領域の電流負荷が表示領域の電流負荷よりも大きいため、前記第1ビアホールの直径は、前記第2ビアホールの直径よりも小さく、このように、バインディング領域の第1配線と第2配線との間の接続抵抗を比較的小さくすることができる。具体的には、第1ビアホールの直径はマイクロメートルレベルであり得、第2ビアホールの直径はミリメートルレベルであり得る。
【0055】
本開示の実施例は、上記のような駆動基板を含む駆動基板を更に提供する。前記表示装置は、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、デジタルフォトフレーム、携帯電話、タブレットコンピュータ等の表示機能を有する任意の製品又は部材であり得、前記表示装置は、フレキシブル回路基板と、プリント回路基板と、バックプレーンとを更に含む。
【0056】
上記の駆動基板の電子部品がLEDである場合、駆動基板は、表示装置の面光源として使用され得る。
【0057】
本開示の実施例は、駆動基板の製作方法を更に提供する。前記方法は、ベース基板を提供するステップと、前記ベース基板上に応力緩衝層を形成するステップと、応力方向が前記応力緩衝層の応力方向と反対であり、前記応力緩衝層と接触する導電層の厚さは閾値よりも大きく、配線構造を形成するための少なくとも一層の導電層を、前記応力緩衝層上に形成するステップと、前記配線構造を覆う第1絶縁層を形成するステップと、前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して配線構造に接続される複数の電子部品を、前記第1絶縁層上にバインディングするステップとを含む。
【0058】
本実施例では、ベース基板上に応力緩衝層を設置し、応力緩衝層は、ベース基板上に導電層を形成する時に発生する応力を緩和でき、ベース基板が砕けないようにする。このように、ベース基板上に厚さが比較的大きい導電層を形成でき、厚さが比較的大きい導電層を利用して配線を製作することで、駆動基板の配線に対する抵抗率要求を満たすことができ、したがってベース基板上に電子部品を製造でき、大型サイズの駆動基板を実現し、ディスプレイ製品の解像度及び表示効果を改善させる。具体的には、上記の閾値は、1μmであり得る。
【0059】
ベース基板は、ガラス基板又は石英基板であり得る。ベース基板のサイズは、3m*3m以上に達し得、したがって本開示の技術方案を利用して大型サイズの駆動基板の量産を実現することができる。電子部品は、LEDであり得、このように、本開示の技術方案を利用して大型サイズのLED基板を実現することができる。
【0060】
いくつかの実施例では、各層の導電層を形成するステップは、積層されて前記導電層を構成する複数層の導電副層をそれぞれ形成するステップを含む。形成された導電層の厚さが大きいほど、発生する応力が大きくなるため、導電層を形成する時に発生する応力をさらに低減するために、厚さが比較的小さい複数層の導電副層を複数回に分けてそれぞれ形成し得る。厚さが比較的小さい複数層の導電副層が積層されて導電層が構成され、導電副層の層数及び厚さは、必要に応じて調整され得る。
【0061】
駆動基板上の電子部品の密度を高めるために、前記配線構造を形成するステップは、複数層の配線層を順次形成するステップと、隣接する配線層の間に第2絶縁層を形成するステップとを含み、前記ベース基板に近い方から前記ベース基板から離れた方に向かう方向で、前の層の各配線は後の層の少なくとも1つの配線に接続され、最後の層の各配線は少なくとも1つの電子部品に接続される。
【0062】
具体的な一実施例では、前記少なくとも一層の導電層は、第1導電層と、第2導電層とを含み、前記配線構造を形成するステップは、前記応力緩衝層上に第1導電層を形成するステップと、前記第1導電層をパターン化して第1層の配線層を形成するステップであって、前記第1層の配線層は、相互に絶縁された複数の第1配線を含むステップと、前記第1層の配線層を覆う第2絶縁層を形成するステップと、前記第2絶縁層上に第2導電層を形成し、前記第2導電層をパターン化して第2層の配線層を形成するステップであって、前記第2層の配線層は、相互に絶縁された複数の第2配線を含み、前記第1配線の各々は、前記第2絶縁層を貫通するビアホールを介して少なくとも1つの前記第2配線に接続され、前記第2配線の各々は、前記第1絶縁層を貫通するビアホールを介して少なくとも1つの電子部品に接続されるステップとを含む。
【0063】
もちろん、配線構造は、2つの層の配線層を含むことに限らず、より多くの配線層を含み得る。配線構造の配線層が多いほど、配置可能な電子部品の密度が大きくなる。
【0064】
いくつかの実施例では、前記ベース基板から最も遠い層の導電層が形成された後、前記方法は、前記最も遠い層の導電層上にNiAu層を形成するステップを更に含む。
【0065】
電子部品がLEDである場合を例にして、基板上にLEDを形成す場合、LEDの電極は、ベース基板から最も遠い層の導電層により形成される配線に電気的に接続される。関連技術において、配線は銅を採用する場合が多く、銅が酸化されて酸化銅や窒化銅等の異物が生成されやすいため、はんだによるLEDとの結合力が比較的に弱く、LEDに大量の脱落現象が生じ、LED面光源の輝度及び歩留まりに影響を与える。LEDはんだと基板との間の付着力を高めるために、ベース基板から最も遠い層の導電層上にNiAu層を形成する。NiAu層は、電気めっき又は化学めっき方式によって形成され得る。NiAu層は、はんだと合金を形成することもでき、LEDがはんだによって基板と結合される時、はんだは、ベース基板から最も遠い層の導電層上のNiAu層と合金を形成し、LEDはんだと基板との付着力を大幅に向上させLEDの脱落を回避することができる。
【0066】
銅は、導電性能に優れており、駆動基板の配線に対する要求を満たすことができるため、銅を採用して駆動基板の配線を製作し得る。銅を採用して配線を製作し、かつ電子部品がLEDである場合を例にして、本実施例の駆動基板の製作方法は、具体的に以下のステップを含む。
【0067】
ステップ1では、ベース基板1を提供し、ベース基板上に応力緩衝層2を形成する。
ベース基板1は、ガラス基板又は石英基板であり得る。応力緩衝層2は、SiN、SiO及びSiONのうちの1つ又は複数の絶縁材料を採用し得る。応力緩衝層2と形成されるべき銅層32との応力方向は、反対であり、このように、応力緩衝層2によって、銅層32を形成する時に発生する応力をオフセットし、ベース基板1が砕けることを回避できる。
【0068】
ステップ2では、応力緩衝層2上に第1金属層31を形成する。
銅層32と応力緩衝層2との間の接着力があまり強くないため、先ず応力緩衝層2上に第1金属層31を形成し得、第1金属層31と応力緩衝層2との間の接着力は、銅層32と応力緩衝層2との間の接着力よりも大きく、このように、第1金属層31によって、第1配線3と応力緩衝層2との間の接着力を増加させ、第1配線3がベース基板1から脱落されるのを防止することができる。具体的には、第1金属層31は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用し得る。第1金属層31の厚さは、比較的大きく設定される必要がなく、5~50nmであり得る。
【0069】
ステップ3では、第1金属層31上に銅層32を形成する。
銅層32は、スパッタリング、電気めっき、化学めっき等の方式によって完成され得る。駆動基板の電流負荷の大きさに応じて銅層32の厚さが調節され得、銅層32の厚さは、1~30μmであり得る。形成された銅層32の厚さが大きいほど、発生する応力が大きくなるため、銅層32を形成する時に発生する応力をさらに低減するために、厚さが比較的小さい複数層の銅層をそれぞれ形成し、厚さが比較的小さい複数層の銅層が積層されて銅層32が構成され得る。
【0070】
ステップ4では、銅層32上に第1導電保護層33を形成する。
銅層32は、空気に接触された後に表面が酸化されやすく、導電性能に影響を与えるため、銅層32のベース基板1から離れた側に第1導電保護層33を形成する。第1導電保護層33は、容易に酸化されない金属又は透明導電性材料を選んで使用し得る。具体的には、第1導電保護層33は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用し得る。第1導電保護層33は、銅層32の表面が酸化されるのを回避するよう銅層32を保護することができる。第1導電保護層33の厚さは、比較的大きく設定される必要がなく、5~50nmであり得る。
【0071】
ステップ5では、図7に示すように、第1金属層31、銅層32及び第1導電保護層33をパターン化して、第1配線3を形成する。
1つの層の膜層を形成するたびに、形成された膜層をパターン化して第1配線3の一部を形成し得る。工程フローを単純化するために、第1金属層31、銅層32及び第1導電保護層33を形成した後、第1金属層31、銅層32及び第1導電保護層33を一緒にパターン化して第1配線3を形成しても良い。
【0072】
ステップ6では、図8に示すように、第1配線3を覆う第2絶縁層4を形成し、第2絶縁層4をパターン化して、第1配線3を露出させるビアホールを形成する。
第2絶縁層4は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機絶縁材料を採用し得、したがって第1配線3が後続の高温工程で酸化されないよう保護する。第2絶縁層4の厚さは、50~300nmであり得る。第2絶縁層4は、例えば有機樹脂等の厚さが比較的大きい有機絶縁材料を採用して、第1配線3間のギャップを充填し、後続の工程のために平坦な表面を提供して、後続の工程で大きな段差が生じるのを回避することもできる。このように、LEDバインディングが行われる時にLED変位の問題が発生することがない。このとき、第2絶縁層4の厚さは、第1配線3の厚さ以上であるべきであり、1~30μmであり得る。
【0073】
第2絶縁層4をドライエッチングして、第1配線3を露出させるビアホールを形成し得る。駆動基板は、表示領域と、表示領域の周辺に位置するバインディング領域とを含み、第2絶縁層4を貫通するビアホールは、表示領域に位置する第1ビアホールと、バインディング領域に位置する第2ビアホールとを含む。図6に示すように、点線の左側が表示領域であり、点線の右側がバインディング領域である。バインディング領域の電流負荷が表示領域の電流負荷よりも大きいため、表示領域に位置する第1ビアホールの直径は、バインディング領域に位置する第2ビアホールの直径よりも小さく、このように、バインディング領域の第1配線3と第2配線5との間の接続抵抗を比較的小さくすることができる。具体的には、第1ビアホールの直径はマイクロメートルレベルであり得、第2ビアホールの直径はミリメートルレベルであり得る。
【0074】
ステップ7では、図9に示すように、第2配線5を形成する。
第2配線5の厚さは、あまり大きく設定される必要がなく、300~900nmであり得る。銅は、導電性能に優れているため、銅を採用して第2配線5を製作し得る。もちろん、他の導電性材料を採用して第2配線5を製作しても良い。
【0075】
図4に示すように、第2配線5は、銅層52を含む。銅層52は、スパッタリング、電気めっき、化学めっき等の方式によって完成され得る。いくつかの実施例では、図4に示すように、第2配線5は、銅層52のベース基板1に近い側に位置する第2金属層51を更に含む。第2金属層51と第2絶縁層4との間の接着力は、銅層52と第2絶縁層4との間の接着力よりも大きく、このように、第2金属層51によって、第2配線5と第2絶縁層4との間の接着力を増加させ、第2配線5がベース基板1から脱落されるのを防止することができる。具体的には、第2金属層51は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用し得る。第2金属層51の厚さは、比較的大きく設定される必要がなく、5~50nmであり得る。
【0076】
銅層52は、空気に接触された後に表面が酸化されやすいので、導電性能に影響を与える。図4に示すように、第2配線5は、銅層52のベース基板1から離れた側に位置する第2導電保護層53を更に含む。第2導電保護層53は、容易に酸化されない金属又は透明導電性材料を選んで使用し得る。具体的には、第2導電保護層53は、Mo、MoNb、MoTi、MoWu、MoNi、MoNiTiのうちの少なくとも1つを採用し得る。第2導電保護層53は、銅層52の表面が酸化されるのを回避するよう銅層32を保護することができる。第2導電保護層53の厚さは、比較的大きく設定される必要がなく、5~50nmであり得る。
【0077】
1つの層の膜層を形成するたびに、形成された膜層をパターン化して第2配線5の一部を形成し得る。工程フローを単純化するために、第2金属層51、銅層52及び第2導電保護層53を形成した後、第2金属層51、銅層52及び第2導電保護層53を一緒にパターン化して第2配線5を形成しても良い。
【0078】
LEDはんだと基板との間の付着力を高めるために、第2配線5のベース基板1から離れた側の表面上にNiAu層を形成しても良い。NiAu層は、電気めっき又は化学めっき方式によって形成され得る。第2配線5上にNiAu層を追加することで、銅層52を断絶させ、銅層52が外界により酸化されるのを回避することができる。NiAu層は、はんだと合金を形成して、LEDはんだと基板との間の付着力を大幅に向上させ、LEDの脱落を回避することもできる。
【0079】
ステップ8では、図3に示すように、第1絶縁層6を形成する。
第1絶縁層6は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機絶縁材料を採用し得、したがって第2配線5が後続の高温工程で酸化されないよう保護する。第1絶縁層6の厚さは、50~300nmであり得る。第1絶縁層6は、例えば有機樹脂等の厚さが比較的大きい有機絶縁材料を採用して、第2配線5間のギャップを充填し、後続の工程のために平坦な表面を提供して、後続の工程で大きな段差が生じるのを回避することもできる。このように、LEDバインディングが行われる時にLED変位の問題が発生することがない。このとき、第1絶縁層6の厚さは、第2配線5の厚さ以上であるべきである。
【0080】
ステップ9では、第1絶縁層6を貫通するビアホールを形成する。
具体的には、第1絶縁層6をドライエッチングして、第2配線5を露出させるビアホールを形成し得る。
【0081】
ステップ10では、第1絶縁層6上に光反射パターン8を形成する。
LED7から発される光線は、各々の方向を向いているため、光線の利用率を向上させるために、LED7から発されて光反射パターン8に照射された光線を、光反射パターン8によってベース基板1から離れた側に反射させることで、駆動基板の光線利用率を向上させることができる。前記光反射パターン8は、反射率が比較的高い材料を採用し得るが、具体的には、Ag、Al、Cuのうちの少なくとも1つを採用し得る。
【0082】
ステップ11では、光反射パターン8上に透明絶縁パターン9を形成する。
前記光透過絶縁パターン9の前記ベース基板1上の正投影は、前記光反射パターン8の外へ露出されている部分の前記ベース基板1上の正投影と重なり、光透過絶縁パターン9は、光反射パターン8が引っかかれないように、光反射パターン8を保護することができる。
【0083】
ステップ12では、図3に示すように、LEDを駆動基板にバインディングする。
【0084】
具体的には、はんだによってLEDを駆動基板にバインディングし、はんだは、第2配線5上のNiAu層と合金10を形成し、LEDを駆動基板上にしっかり固定させることができ、LED7の脱落を防止することができる。
【0085】
上記のステップを経て、図3に示すような本実施例の駆動基板が得られる。本実施例により、大型サイズの駆動基板の量産を実現でき、更に進んでディスプレイ製品の解像度及び表示効果を改善させる。
【0086】
いくつかの実施例では、光透過絶縁パターン9の前記ベース基板1上の正投影は、前記光反射パターン8の外へ露出されている部分の前記ベース基板1上の正投影と重なる。光透過絶縁パターン9及び光反射パターン8を形成した後にLEDのバインディングが行われ得る。故に、LEDをバインディングする前に、パターニング工程によって光透過絶縁パターン9及び光反射パターン8を形成する。
【0087】
光透過絶縁パターン9の光透過率が比較的良好な場合、図6に示すように、LEDをバインディングした後に光反射パターン8及びLED7を覆う光透過絶縁パターン9を形成し得、このように、光透過絶縁パターン9は、LED7を保護することができる。このため、LEDをバインディングする前に、パターニング工程によって光反射パターン8を形成してから、LEDのバインディングを行い、LED7をバインディングした後、透明絶縁材料をコーティングして光透過絶縁パターン9を形成する必要がある。
【0088】
本開示の各方法実施例において、上記の各ステップのシーケンス番号は、各ステップの先後順序を限定するために用いられ得ない。当業者にとって、創造的な労働なしになされる各ステップの先後に対する変更も本開示の保護範囲内に入る。
【0089】
別途の定義がない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解される通常の意味を有するべきである。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似した単語は、いかなる順序、数量又は重要性も示さず、単に異なる構成部分を区別するために用いられる。「含む」又は「含有する」等の類似した単語は、該単語の前に現れる素子又は物品が該単語の後に列挙される素子又は物品及びそれらの同等物を包含し、他の素子又は物品を除外しないことを意味する。「接続」又は「連結」等の単語は、物理的又は機械的接続に限定されず、直接又は間接を問わず、電気的接続を含み得る。「上」、「下」、「左」、「右」等は、相対的な位置関係を表すためにのみ使用され、記述される対象の絶対位置が変更されると、該相対的な位置関係もそれに応じて変更され得る。
【0090】
例えば、層、膜、領域又は基板等の素子が別の素子の「上」又は「下」に位置すると言及される場合、該素子が「直接」該別の素子の「上」又は「下」に位置し得るか、或いは、中間要素が存在し得ることは理解できる。
【0091】
上記は、本開示の好ましい実施形態である。指摘すべきことは、当業者にとって、本開示に記載された原理から逸脱することなく、いくつかの改善及び潤飾を更に行うことができ、これらの改善及び潤飾も本開示の保護範囲と見なされるべきである。
【符号の説明】
【0092】
1 ベース基板
2 応力緩衝層
3 第1配線
4 第2絶縁層
5 第2配線
6 第1絶縁層
7 LED
8 光反射パターン
9 光透過絶縁パターン
10 NiAu及びSnにより形成された合金
11、12 ビアホール
51 アノード配線
52 カソード配線
53 接続線
71 LED N pad
72 LED P pad
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9